【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一態様は、ねじ込み接続ステップを完了するために使用者によって加えられうる力の強さの変化に関係なく、コネクタがねじ込まれたときにカラーが壊れるリスクを大幅に制限したアダプタを備える薬剤送達デバイ
スを実現することであ
り、このアダプタは、薬剤送達デバイスのエンドピースと係合するか、または係合しない。
【0012】
本発明のさらなる態様は、そのようなアダプタを備える薬剤送達デバイスであり、前記アダプタは、薬剤送達デバイスのエンドピースと係合するか、または係合しない。
【0013】
発明の一態様は、製品を容れるための貯蔵槽を有する薬剤送達デバイス用の、またはこの薬剤送達デバイスと共に使用されることを意図されたアダプタであり、貯蔵槽は貯蔵槽から製品を移送するための通路を画成する遠位に突出したエンドピースを有し、前記アダプタは
−前記エンドピースと係合可能なカラーと、
−前記カラーがエンドピースと係合した後、前記エンドピースに対する前記カラーの並進運動を制限するためのアダプタ固定手段と、
−前記カラーがエンドピースと係合した後、前記エンドピースに対する前記カラーの回転を制限するためのアダプタ回転防止手段と、
−前記カラーが前記エンドピースと係合したときに前記カラーに加えられる所定の値以上の回転トルクに応答して前記アダプタ回転防止手段をニュートラルにし、それによって前記エンドピースに対する前記カラーの回転を許容するための機能停止手段と
を備える。
【0014】
本発明の
一態様は、薬剤送達デバイスであり、この薬剤送達デバイスは、
製品を容れるための貯蔵槽であって、貯蔵槽から製品を移送するための通路を画成する遠位に突出したエンドピースを有する貯蔵槽と、
前記エンドピース
と係合可能なカラーを有す
るアダプタと、
前記カラーが前記エンドピース
と係合した後、前記エンドピースに対する前記カラーの並進運動を制限するための固定手段と、
前記カラーが前記エンドピース
と係合した後、前記エンドピースに対する前記カラーの回転を制限するための回転防止手段と、
前記カラーが前記エンドピースと係合したときに前記カラーに加えられる所定の値以上の回転トルクに応答して前記回転防止手段をニュートラルにし、それによって前記エンドピースに対する前記カラーの回転を許容するための機能停止手段と
を備え
、前記機能停止手段は、前記カラーが前記エンドピースと係合したときに前記所定の値より小さい回転トルクに対して前記エンドピース回転防止手段の部分と係合されたままであり、前記機能停止手段は、前記所定の値以上の回転トルクの効果の下で半径方向外向きに偏向可能であり、前記機能停止手段は、これにより回転防止手段の前記部分から係脱し、前記エンドピースに対する前記カラーの回転を許容し、
前記機能停止手段は、前記カラーの少なくとも1つのスカート部を備え、前記エンドピース回転防止手段の前記部分は、前記エンドピースの外壁に配置された少なくとも1つの突出部を備え、前記スカート部および前記突出部は、前記カラーが前記エンドピースと係合したときに、前記所定の値の前記回転トルクが前記カラーに加えられるまで互いに解放可能に係合可能であり、前記スカート部は、前記回転トルクが前記所定の値以上であるときに半径方向外向きに偏向し、前記突出部を乗り越え、
前記スカート部は、少なくとも1つの半径方向壁を備え、前記突出部は、前記カラーが前記エンドピースと係合したときに、前記所定の値の前記回転トルクが前記カラーに加えられるまで前記エンドピースに対する前記カラーの回転を制限するために前記半径方向壁に当接し、前記半径方向壁は、前記回転トルクが前記所定の値以上であるときに前記スカート部の前記半径方向外向きの偏向の効果の下で前記突出部を乗り越える。
【0015】
遠位に突出したエンドピースは、長手方向軸を有することができる。固定手段は、カラーがエンドピースと係合した後、エンドピースに対する遠位方向のカラーの移動を特に阻止することができる。回転防止手段は、前記カラーが前記エンドピースと係合した後に前記カラーに加えられる回転トルクの効果の下で前記回転軸Aの周りの前記エンドピースに対するカラーの回転を特に防ぐことができる。
【0016】
本発明では、アダプタのカラーが薬剤送達デバイスのエンドピースと係合した後、コネクタを、カラーが壊れたり、さらにはそれにひびが入るというリスクを負うことなくカラーの内壁に存在しうるネジ山内にねじ込むことができる。実際には、一方の手で貯蔵槽を取り扱い、他方の手でコネクタを取り扱う使用者が、アダプタのカラーにコネクタをねじ込み始めるときに、カラーは、エンドピースの長手方向軸の周りのカラーの回転を阻止する、または少なくとも制限する回転防止手段のおかげで、エンドピースに対して動かないように維持される。コネクタがカラーに存在するネジ山の近位端に到達していない限り、使用者は、カラーからのかすかな抵抗を感じ、カラーにコネクタにねじ込むために高い回転トルクを加えないで済む。
【0017】
本発明の
薬剤送達デバイスのエンドピースと係合可能なカラーを有するアダプタの構造のおかげで、使用者は、コネクタがカラーに存在するネジ山の近位端に到達したとき、例えば、以下の説明から明らかなように、音声信号などの信号、またはクリック音によって注意喚起を受ける。したがって、一方では、ねじ込みを続けすぎてカラーを壊したり、それにひびを入れてしまったりするリスクが回避され、他方では、最終使用者は、コネクタが正しく組み立てられ、安全に留められているのを容易にチェックすることができる。
【0018】
実際、本発明
の薬剤送達デバイスでは、コネクタがカラーのネジ山の近位端に到達したときに、使用者はカラーからの抵抗を感じ取り、そこで使用者がコネクタに加える回転トルクはカラーを回転させる傾向がある。このエンドピースに対する回転の可能性を伴わない、カラーがエンドピースに永久的に固定される従来技術のデバイスでは、結果として、コネクタを介して使用者によって加えられる高い回転トルクの効果の下でカラーが壊れるか、またはカラーにひびが入ることになる。
【0019】
それとは反対に、本発明の薬剤送達デバイスのエンドピースと係合可能
なアダプタでは、機能停止手段は、使用者が回転トルクに対する所定の値、すなわち、コネクタが安全にねじ込まれたときに使用者によって感じ取られる対抗力に対応する値に到達した後、回転防止手段をニュートラルにする。次いで、使用者が前記所定の値より高い回転トルクを加えたときにカラーがエンドピースに対して回転させられるという事実により、カラーが壊れたり、またはカラーにひびが入ったりすることが防止される。さらに、使用者は、アダプタのカラーがエンドピースに対して回転するのを見たときに、コネクタがカラーに安全にかつ正しく接続されていること、および現在コネクタを介した貯蔵槽からIVへの製品の移送が一切リスクなく実施できることを通知される。
【0020】
回転防止手段の一部は、アダプタに配置することができ、これらは、本明細書では、アダプタ回転防止手段と称する。回転防止手段の一部は、薬剤送達デバイスのエンドピースに配置することができ、これらは、本明細書では、エンドピース回転防止手段と称する。アダプタ回転防止手段およびエンドピース回転防止手段は互いに連携して、回転防止手段を形成することができる。
【0021】
いくつかの実施形態では、前記アダプタ回転防止手段は、前記カラーが前記エンドピースと係合したときに、前記所定の値の前記回転トルクが前記カラーに加えられるまで前記エンドピースの外壁に配置された相補的部分内に係合されたままにすることができる、前記カラーに配置された部分を備える。相補的部分は、エンドピース回転防止手段を形成することができる。
【0022】
いくつかの実施形態では、前記回転防止手段は、前記カラーに配置された少なくとも1つの部分と前記エンドピースの外壁に配置された少なくとも1つの相補的部分とを備え、前記部分および相補的部分は前記カラーが前記エンドピースと係合したときに前記所定の値の前記回転トルクが前記カラーに加えられるまで互いに係合したままである。このような状況において、前記部分および前記相補的部分は、これにより、前記エンドピースに対する前記カラーの回転を防止する、または少なくとも制限する。
【0023】
いくつかの実施形態において、前記機能停止手段は前記カラーが前記エンドピースと係合したときに前記所定の値より小さい回転トルクに対してエンドピース回転防止手段と係合されたままにでき、前記機能停止手段は、前記カラーに加えられる前記所定の値以上の回転トルクの効果の下で半径方向外向きに偏向可能であり、前記機能停止手段はこれにより前記エンドピース回転防止手段から係脱し、カラーを前記エンドピースに対して回転させることができる。
【0024】
いくつかの実施形態において、前記機能停止手段は前記カラーが前記エンドピースと係合したときに前記所定の値より小さい回転トルクに対して前記回転防止手段の一部、特にエンドピース回転防止手段と係合されたままにでき、前記機能停止手段は、前記カラーに加えられる前記所定の値以上の回転トルクの効果の下で半径方向外向きに偏向可能であり、前記機能停止手段はこれにより回転防止手段の前記部分から係脱し、カラーを前記エンドピースに対して回転させることができる。
【0025】
いくつかの実施形態において、前記機能停止手段は、前記カラーの少なくとも1つのスカート部(skirt piece)を備え、前記エンドピース回転防止手段もしくは上述の回転防止手段の一部分は前記エンドピースの外壁に配置された少なくとも1つの突出部を備え、前記スカート部および前記突出部は前記カラーが前記エンドピースと係合したときに、前記所定の値の前記回転トルクが前記カラーに加えられるまで互いに解放可能に係合可能であり、前記スカート部は前記回転トルクが前記所定の値以上であるときに半径方向外向きに偏向し、前記突出部を乗り越える。
【0026】
いくつかの実施形態において、前記スカート部は少なくとも半径方向壁を備え、前記突出部は前記カラーが前記エンドピースと係合したときに、前記所定の値の前記回転トルクが前記カラーに加えられるまで前記エンドピースに対する前記カラーの回転を制限するために、いくつかの場合おいて防止するために前記半径方向壁に当接し、前記半径方向壁は前記回転トルクが前記所定の値以上であるときに前記スカート部の半径方向外向きの偏向の効果の下で前記突出部を乗り越える。
【0027】
いくつかの実施形態において、複数の長手方向隆起部が、前記スカート部の内壁にさらに画成され、それぞれの長手方向隆起部は前記カラーが前記エンドピースと係合したときに、前記所定の値の前記回転トルクが前記カラーに加えられるまで前記エンドピースに対する前記カラーの回転を制限するために、いくつかの場合おいて防止するために、また前記回転トルクが前記所定の値以上である場合に前記エンドピースに対して前記カラーの回転を許容するために前記突出部と解放可能に係合可能である。
【0028】
いくつかの実施形態において、複数の突出部が前記エンドピースの外壁に画成され、前記エンドピースの外壁の周りに間隔をあけて並べられ、前記カラーは、前記突出部の間隔と一致するように前記カラーの周上に間隔をあけて並べられた複数のスカート部を備える。例えば、エンドピースの外壁は、エンドピースの周上に規則正しい間隔で並べられた4つの突出部を備えることができ、カラーは、カラーの周上に規則正しい間隔をあけて並べられた4つのスカート部を備えることができる。
【0029】
本発明
の薬剤送達デバイスでは、固定手段の一部は、アダプタに配置することができ、これらは、本明細書では、アダプタ固定手段と称する。固定手段の一部は、エンドピースに配置することができ、これらは、本明細書では、エンドピース固定手段と称する。アダプタ固定手段およびエンドピース固定手段は互いに連携して、固定手段を形成することができる。いくつかの実施形態において、環状隆起部がエンドピースの外壁に設けられ、前記アダプタ固定手段はカラーの内壁に設けられた当接面を備え、前記当接面は前記カラーが前記エンドピースと係合した後に遠位方向に付勢されたときに前記環状隆起部に係合するようになる。
【0030】
いくつかの実施形態において、前記固定手段は、エンドピースの外壁に設けられた環状隆起部とカラーの内壁に設けられた当接面とを備え、前記当接面は前記カラーが前記エンドピースの周りに係合した後に遠位方向に移動されたときに前記環状隆起部に係合するようになる。
【0031】
いくつかの実施形態において、前記当接面は、前記スカート部(複数可)の内壁に設けられた環状リムである。いくつかの実施形態において、前記当接面は、前記長手方向隆起部の遠位端から形成される。
【0032】
いくつかの実施形態において、前記カラーは、遠位壁の内面に画成されたネジ山を有する。以下の説明からわかるように、このネジ山は、前記カラーに接続されることを意図されたコネクタの相補的ネジ山と連携することを意図されている。
【0033】
いくつかの実施形態では、前記カラーの前記遠位壁は、オレフィン、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエーテルエーテルケトン、およびこれらの組合せから選択された材料から形成される。オレフィンは、シクロオレフィン重合体およびシクロオレフィン共重合体などのポリオレフィンまたはシクロオレフィンから選択することができる。このような材料は、カラーの遠位壁の剛性を確実に高めることができ、ネジ山を備えて、コネクタのねじ込みを行える。あるいは、または組み合わせることで、アダプタは、前記カラーの遠位壁の外面に画成された補強手段をさらに備えることができる。補強手段は、カラーの遠位壁の外面に加えられた材料の追加外側隆起部であってもよい。
【0034】
いくつかの実施形態において、前記機能停止手段は、オレフィン、ポリアミド、ポリカーボネート、熱可塑性エラストマー、ポリオキシメチレン、ポリブチレンテレフタレート、スチレン重合体、ポリ塩化ビニル、アクリロニトリルブタジエンスチレン、およびこれらの組合せから選択された材料で作られる。オレフィンは、シクロオレフィン重合体およびシクロオレフィン共重合体などのポリオレフィンまたはシクロオレフィンから選択することができる。
【0035】
いくつかの実施形態において、前記エンドピースは、ガラスから作られる。
【0036】
他の実施形態において、前記エンドピースは、プラスチックから作られる。
【0037】
いくつかの実施形態において、アダプタは、前記カラーが前記エンドピースと係合しているときに前記エンドピース上の前記カラーの位置合わせを確実に行えるようにするアダプタ誘導手段をさらに備えることができる。
【0038】
特に、アダプタ誘導手段は、エンドピースに配置されているエンドピース誘導手段と連携してエンドピースの長手方向軸上で前記カラーの位置合わせを確実にし、前記アダプタ誘導手段およびエンドピース誘導手段は全体として薬剤送達デバイスの誘導手段を形成する。
【0039】
いくつかの実施形態において、前記スカート部(複数可)の前記半径方向壁(複数可)は、前記アダプタ誘導手段の少なくとも一部を形成する。前記アダプタ誘導手段は、長手方向隆起部間に存在する間隙によって形成される長手方向溝をさらに備えることができる。
【0040】
いくつかの実施形態において、薬剤送達デバイスは、前記カラーが前記エンドピースと係合しているときに、前記エンドピース上の、特に前記エンドピースの長手方向軸上の前記カラーの位置合わせを確実に行えるようにする誘導手段をさらに備える。
【0041】
前記誘導手段は、特にエンドピース誘導手段としての前記突出部(複数可)、および前記スカート部(複数可)の前記半径方向壁(複数可)を備えることができ、前記突出部(複数可)は、前記カラーが前記エンドピースと係合しているときに前記半径方向壁(複数可)にそって摺動する。前記誘導手段は、長手方向隆起部の間に存在する間隙によって画成される長手方向溝をさらに備えることができ、前記突出部(複数可)のそれぞれは前記カラーが前記エンドピースと係合しているときに前記長手方向溝のうちの1つの中で係合する。
【0042】
いくつかの実施形態において、前記誘導手段は、前記長手方向隆起部の斜角を付けられた表面をさらに備え、前記斜角を付けられた表面は、前記カラーが前記エンドピースと係合しているときに前記突出部を前記長手方向溝内に付勢する。
【0043】
本発明の別の態様は、薬剤送達デバイスであり、この薬剤送達デバイスは、製品を容れるための貯蔵槽であって、上で説明されているような、貯蔵槽から製品を移送するための通路を画成する遠位方向に突出しているエンドピースを有する貯蔵槽と、前記エンドピースと係合可能な、上で説明されているようなアダプタとを備える。本発明の別の態様は、上で説明されているような薬剤送達デバイスと、前記薬剤送達デバイスのエンドピースに係合可能な上で説明されているようなアダプタとを備えるアセンブリである。