(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
複数のアンカーポイントとフリーパラメータとにより特徴付けされるパラメータ化された伝達関数に従って画像データを変換するよう構成されるピクセル座標マッピングユニットを有する装置であって、
前記パラメータ化された伝達関数は、前記フリーパラメータにより制御されるミッドレンジの傾きを有し、
前記アンカーポイントにおける変換は、前記フリーパラメータにより影響されず、
前記アンカーポイントは、黒色レベルアンカーポイント、白色レベルアンカーポイント及びミッドトーンアンカーポイントを有し、
前記黒色レベルアンカーポイントは、前記画像データをカラータイミング処理又は承認するのに利用されるカラータイミングディスプレイの黒色レベルから前記変換された画像データの表示のため用いられるターゲットディスプレイの黒色レベルへの変換に対応し、
前記白色レベルアンカーポイントは、前記カラータイミングディスプレイの白色レベルから前記ターゲットディスプレイの白色レベルへの変換に対応し、
前記ミッドトーンアンカーポイントは、前記ターゲットディスプレイ上の前記画像データのターゲット輝度に影響を与える装置。
入力画像データから前記電子画像ディスプレイに固有のRGB画像フォーマットに画像データを変換するよう構成される画像データ変換装置を有する、請求項5記載の装置。
当該装置は、前記画像データに対応するメタデータを受信し、前記画像データに少なくとも部分的に基づき前記ミッドトーンアンカーポイントの位置を設定するよう構成される、請求項8記載の装置。
当該装置は、変換された画像データピクセルのトーン圧縮量に従って、前記変換された画像データピクセルを再彩度調整するよう構成される、請求項1乃至13何れか一項記載の装置。
当該装置は、前記変換された画像データピクセルのピクセル値における前記伝達関数の傾きに基づき、前記変換された画像データピクセルを再彩度調整するよう構成される、請求項14記載の装置。
周辺光を示す信号に少なくとも部分的に基づき、前記アンカーポイントの1つの座標と前記フリーパラメータとの1以上を制御するステップを有する、請求項16記載の方法。
請求項16記載の方法により前記ローカルトーンマッピングされたピクセル値を第2のグローバルトーンマッピングされたピクセル値に変換するステップをさらに有する、請求項28記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下の説明を通じて、本発明のより完全な理解を提供するため、具体的な詳細が提供される。しかしながら、本発明は、これらの詳細なしに実現されてもよい。他の例では、周知の要素は、本発明を不用に不明りょうにすることを避けるため、詳細には図示又は説明されていない。従って、明細書及び図面は、限定的な意味でなく例示的な意味によるものであるとみなされるべきである。
【0020】
図1は、ビデオ配信パイプライン20を概略的に示す。生のビデオデータ22は、生のビデオ作品24を提供するため、編集室23において取得及び編集される。生のビデオ作品のトーン及び/又はカラーは、カラータイムドビデオ作品27を実現するため、カラリスト(例えば、適切なユーザインタフェースを介しカラータイミングステーション26により提供されるツールを利用する人など)によりカラータイミングステーション26において調整される。カラータイミングステーション26は、カラリストがビデオ作品を視聴するプロフェッショナルモニタ30を有する。カラータイミングステーション26により提供されるツール及びコントロールを利用して、カラリストは、ディスプレイ30上で視聴されるとき、カラリストの芸術的意図に合致した全体的な様相を実現するため、ビデオ作品を構成する画像のすべて又は一部のトーン及び/又はカラーを調整する。
【0021】
カラータイムドビデオ作品27のすべての視聴者がカラリストにより体感されたものと同じ環境状態下のディスプレイ30と同じディスプレイ上でビデオ作品を視聴した場合、人間の画像の知覚の個々の変化を除き、視聴者のすべてはカラリストにより意図されるもの正確にビデオ作品を見ることになる(すなわち、カラリストの芸術的意図に見合う方法により)。使用される極めて広範なディスプレイが与えられると、視聴者すべてが同一のディスプレイを有することを除き、異なる視聴者がビデオ作品を視聴するディスプレイが最大輝度、黒色レベル及び色域などの類似した特性を有することは非現実的である。
【0022】
本発明の1つの態様は、カラリストの視聴体感を詳細に複製する方法により、特定のデスティネーションディスプレイ上に表示するためのカラータイムドビデオ作品27などの画像データからトーン及び/又はカラーをマッピングするため自動的に適用されてもよいマッピング方法及び装置を提供する。
【0023】
一部の実施例では、マッピング方法及び装置は、平均画像輝度(適応化ポイント)、中間トーンローカルコントラスト、彩度、入力された黒色が表示されるレベル、入力された白色が表示されるレベルの1以上に対する直接的な制御を提供する。これらのパラメータは、視聴体感に提供を与える。
【0024】
図2は、本発明の一実施例による装置40を示す。本例では、装置40は、視聴者Vによる視聴のためのターゲットディスプレイ41の画面44に表示されるべきビデオデータを受信する入力42を有する。ビデオデータ43は、制作者の意図を実現するカラータイムドビデオデータから構成されてもよい。装置40は、ビデオデータ43のピクセル値をターゲットディスプレイ41に固有のカラー空間に変換するカラー空間変換手段46を有する。図示された実施例では、ターゲットディスプレイ41の固有のカラー空間は、ターゲットディスプレイ41の原色の強度に関してカラーを特定するRGBカラー空間である。
【0025】
カラー空間変換手段46は、例えば、ディスプレイ41に固有のカラー空間値(RGB値など)のベクトルを生成するため、3×3の行列とビデオデータ43のピクセル値のベクトルとを乗算する行列乗算手段を有してもよい。変換行列は、ターゲットディスプレイ41の原色及び白色ポイントを考慮して特定されてもよい。一部の実施例では、カラー空間変換手段46は、ピークルミナンスについてスケーリングすることなく、カラー空間変換行列を適用するよう構成されてもよい。後述されるように、これは、以降の画像処理演算のためのパラメータの選択をより直感的なものにするものであってもよい。
【0026】
以下の具体例では、ビデオデータ43のピクセル値はXYZカラー空間により表現され、カラー空間変換手段46は、XYZカラー空間から正のRGB値への変換を実行する。本発明は、XYZカラー空間に提供されるカラーデータに限定されるものでない。ビデオデータ43は、何れか適切なカラー空間により提供されてもよい。
【0027】
固有のRGB値は、色域外のピクセル値の組み合わせの変換を生じさせるものであってもよい(例えば、ディスプレイにより利用される原色の何れか再生可能な組み合わせを利用して再生不可なカラーなど)。カラー空間変換手段46により生成される何れかの負のRGB値は、小さな非負値にクリップされてもよい。あるいは、色域外のピクセル値は、変換前に色域内のピクセル値にマッピングされてもよい(ビデオデータ43のカラー空間内のマッピングなどに従って)。これは、例えば、カラー空間変換手段46のコンポーネント又は独立したマッピングユニットにより実行されてもよい。
【0028】
カラー空間変換手段46により処理された後、ビデオデータ43はそれぞれターゲットディスプレイ41の赤色、緑色及び青色(RGB)の原色に対応する各値48R、48G及び48Bを有する。
【0029】
各値48R、48G及び48Bは、マッピングユニット50により新たな値に独立にマッピングされる。マッピングユニット50R、50G及び50Bが示される。各マッピングユニットは、カラー空間変換手段46から受信した対応する入力値を変換値にマッピングする。図示された実施例では、変換値はそれぞれ、48R’、48G’及び48B’により示される。
【0030】
各マッピングユニット50は、伝達関数55に従ってそれの入力値を出力値にマッピングする。効果的には、伝達関数55は、“アンカーポイント”と呼ばれる複数の固定ポイントと、ミッドレンジ領域において伝達関数の傾きを調整するフリーパラメータとによって特徴付けされてもよい。この傾きは、ミッドレンジコントラストに対応する。フリーパラメータの調整は、ミッドレンジコントラストを制御する手段を提供する。伝達関数は、ミッドレンジ領域において線形であってもよいし、又は線形に近づくものであってもよい。
【0031】
図3は、一例となる伝達関数を示す。
図3において、入力値は水平軸上に示され、出力値は垂直軸上に示される。各軸は対数スケールを有する。伝達関数55は、出力値の最大値56A、出力値の最小値56B及び実質的に線形のミッドトーン領域56Cにより特徴付けされる。マッピングユニット50A、50B及び50Cにより赤色、青色及び緑色のチャネル信号に適用される伝達関数55R、55G及び55Bは、同一又は異なるものであってもよい。マッピングユニット50A、50B及び50Cは、完全に独立してもよいし、又はハードウェア及び/又はソフトウェアコンポーネントを共有してもよい。
【0032】
一実施例では、伝達関数55は以下の式により与えられる。
【0033】
【数1】
ただし、C
1,C
2,C
3は定数であり、Vはカラーチャネルの入力値であり、V’はカラーチャネルの出力値であり、nはパラメータである。式(1)の伝達関数は、パラメータ化されたシグモイドトーン曲線関数の一例である。
【0034】
他のパラメータ化された伝達関数が利用されてもよい。一部の実施例では、伝達関数は、伝達関数の上端及び下端においてロールオフのローエンドスロープ、ハイエンドスロープ及び“シャープネス”の1以上に対する制御を提供するパラメータを含む。
【0035】
具体的なケースにおける式(1)のパラメータの値を決定する1つの方法は、
図4の方法70により示される。方法70は、ターゲットディスプレイに関する情報と、入力ビデオデータのカラータイミング又はアプルーブに利用されるディスプレイに関する情報(カラータイミングディスプレイ)とを利用して、式(1)のパラメータの適切な値を決定する。ブロック71は、曲線55上の3つのルミナンスアンカーポイントを特定する。第1アンカーポイント57Aは、カラータイミングディスプレイ及びターゲットディスプレイの黒色レベルにそれぞれ等しい水平座標と垂直座標とを有する。一部の実施例では、カラータイミングディスプレイに関する情報は、入力信号から推測される。例えば、カラータイミングディスプレイの黒色レベルは、入力信号のルミナンスチャネルの小さなパーセンタイル(例えば、0.1パーセンタイルなど)をとることによって、入力信号から推測されてもよい。ターゲットディスプレイの黒色レベルは、ターゲットディスプレイの黒色レベルである。
【0036】
第2アンカーポイント57Bは、それの水平座標としてカラータイミングディスプレイの白色レベルと、垂直座標としてターゲットディスプレイの白色ポイントとを有する。例えば、カラータイミングディスプレイの白色ポイントは、入力信号の何れかのカラーチャネルの最大値として入力信号から推測されてもよい。
【0037】
真ん中のアンカーポイント57Cの位置は、表示画像の全体的な輝度に影響を与える(画像の“キー”など)。ミッドトーンアンカーポイント57Cの適切な選択は、ターゲットディスプレイ上に適切な明るさとして入力信号が知覚されることを可能にする。
【0038】
ポイント57Cの水平位置は各種方法により設定されてもよく、これらは、以下を含む。
・入力ルミナンスの幾何平均を計算
・適切な中間値としてカラーグレーティング環境において知覚される固定値を選択 例えば、一部の実施例では、当該値は10などのレベルに設定可能である。
【0039】
ポイント57Cの垂直値は、ターゲットディスプレイのミドルグレイに対応するルミナンスレベルに基づくものであってもよい。例えば、1〜400cd/m
2のルミナンス値を生成可能なディスプレイでは、ミドルグレイは約20cd/m
2である(1〜400cd/m
2の対数的に1/2である)。ポイント57Cの適切な値は、ミドルグレイに対応する値であってもよい(本例では、約20cd/m
2)。カラー空間変換手段46がピークルミナンスのスケーリングなしにカラー空間変換行列を適用するよう構成される実施例では、20の値は20cd/m
2のミドルグレイに対応する。
【0040】
一部の実施例では、ミッドトーンアンカーポイント57Cは、伝達関数の入力と出力との双方について所望の係数の範囲内で白色アンカーポイントの座標に対するミットトーンアンカーポイントの座標のレシオを等しくするよう選択される。
【0041】
一部の実施例では、ビデオデータの白色ポイントがターゲットディスプレイ及び/又はターゲット視聴環境の白色ポイントに一致するよう変換されるように、各RGB座標について異なる伝達関数が変換を提供するのに利用されてもよい。これを実現する1つの方法は、色度座標(例えば、CIEのx,y色度座標など)に関して入力ビデオデータの白色ポイントを表現し、以下の式により与えられるスケーリングされたXYZ値に変換することである。
【0042】
【数2】
これらのXYZ値は、(R,G,B)
wp,inとして示される入力データの白色ポイントを生成するため、ターゲットディスプレイのRGBカラー空間に以降に変換されてもよい。ソース及びターゲット白色ポイントが同一であるケースでは、双方の白色ポイントが正規化されたRGB座標において(111)であるべきである。赤色、緑色及び青色チャネルのアンカーポイント57A、57B、57Cの座標は、以下のようにしてルミナンスアンカー値と白色ポイント値とを乗算することによって取得可能である。
【0043】
【数3】
ただし、サブスクリプト“in”は入力画像データを示し、サブスクリプト“out”は出力データを示し(すなわち、当該データは表示用にわたされる)、(Y
max,in,Y
max,out)はアンカーポイント57Bの未調整の座標であり、(Y
min,in,Y
min,out)はアンカーポイント57Aの未調整の座標であり、(Y
mid,in,Y
mid,out)はアンカーポイント57Cの未調整の座標であり、(R,G,B)
wp,outはターゲットディスプレイの白色ポイントのRGB座標である。
【0044】
式(5)〜(10)は、各カラーチャネルの3つのアンカーポイントのセットを提供する。例えば、赤色チャネルのアンカーポイント57Aは(R
max,in,R
max,out)により与えられ、赤色チャネルのアンカーポイント57Bは(R
min,in,R
min,out)により与えられ、赤色チャネルのアンカーポイント57Cは(R
mid,in,R
mid,out)により与えられる。入力ビデオデータとターゲットディスプレイとの白色ポイントが同一でないとき、アンカーポイントのセットは異なることになり、これは、各カラーチャネルについて異なる伝達関数をもたらす。
【0045】
式(1)により提供される形式の各カラーチャネルの伝達関数は、
【数4】
の計算を実行することによって対応するアンカーポイントの座標から取得されてもよい。ここで、x
1,x
2及びx
3は、
【数5】
により与えられ、y
1,y
2及びy
3は、
【数6】
により与えられる。
【0046】
上述した伝達関数の1つの特徴は、nがフリーパラメータのままであるということである。これは、ミッドトーンコントラストが何れか所望のレベルに設定されることを可能にする。ミッドトーンアンカーポイントが入力及び出力範囲の中心にない場合、ミッドトーンアンカーポイントにおける対数・対数の傾きはnの値から若干異なることになることに留意されたい。しかしながら、ミッドトーンコントラストはnについて値を調整することによって設定可能である。ミッドトーンコントラストパラメータnの適切なスタートポイントは1である。nのこの値は、マッピングされたシーンがターゲットディスプレイ及びオリジナルシーンにおいて実質的に同様の中間範囲ローカルコントラストを有することを確保する。
【0047】
上述された伝達関数によって、赤色、緑色及び青色チャネルのそれぞれのディスプレイリニアルミナンス値は、以下のように表現できる。
【0048】
【数7】
これらの値は、画像を表示するためターゲットディスプレイを駆動するのに利用されてもよい。一部の実施例では、これらの値は、ターゲットディスプレイを駆動するのに利用される前に、リニア入力値(正規化されたものなど)に対するターゲットディスプレイのレスポンスについて訂正されてもよい。
【0049】
一部の実施例では、ターゲットディスプレイの正規化された駆動値(R
norm,G
norm,B
norm)は、以下の関係を利用して計算される。
【0050】
【数8】
正規化された値は、ターゲットディスプレイの駆動信号の範囲にスケーリングされてもよい(例えば、8ビットのターゲットディスプレイについて0〜255の範囲など)。
【0051】
任意的には、画像カラーは、彩度を増加させることによってエンハンスされてもよい。これは、例えば、以下の関係などを利用して実行されてもよい。
【0052】
【数9】
式(20)のa,b,cの値は、逆カラー空間変換装置46に対応する逆変換行列Mの各要素を参照して定義されてもよい([X,Y,Z]
T=M*[R,G,B])。具体的には、aはa=M(2,1)により与えられ、bはb=M(2,2)により与えられ、cはc=M(2,3)により与えられてもよい。式(20)、(21)及び(22)において、Sはフリーパラメータである。1より大きいSの値は彩度を増加させる。1未満のSの値は、彩度を減少させる(すなわち、カラーをより彩度の低いものにする)。
【0053】
必要であるとき又は所望されるとき、正規化された駆動値はガンマ補正されてもよい。これは、例えば、以下の関係に従って実行されてもよい。
【0054】
【数10】
ただし、γはディスプレイレスポンスである。γは、いくつかのターゲットディスプレイでは約2.2である。正規化された駆動値が再彩度調整される場合、ガンマ補正は再彩度調整された駆動値(R’、G’及びB’)に対して実行されてもよい。
【0055】
一部の実施例では、画像カラーは、トーン圧縮の結果として失われた彩度を少なくとも概ね復元するため再彩度調整される。トーン圧縮が画像のトーンの範囲において一定でない場合、異なるトーンに適用される異なるレベルのトーン圧縮は、異なるカラーが異なる程度に彩度低下される。一般に、トーン圧縮量が大きくなるに従って、彩度低下量は大きくなる。トーン圧縮量は、トーン曲線の対数・対数傾きにより定量化されてもよい。例示的な具体例として、
図3の曲線55としてプロットされるシグモイドトーン曲線関数は、最大値56A及び最小値56Bの近傍よりも、実質的にリニアなミッドトーン領域56Cにおいて大きな傾斜の対数・対数傾きを実質的に有する。従って、入力(水平座標)から出力(垂直座標)まで行われるトーン圧縮は、実質的にリニアなミッドトーン領域56Cと比較して、各値56A及び56Bの近傍においてより大きくなる。
【0056】
グローバルな再彩度技術を適用することは、トーン圧縮により生じる彩度低下量に関することなくすべてのピクセルを彩度調整してもよい。一部の実施例は、変換された画像データのピクセルのトーン圧縮量に従って、変換された画像データのピクセルを再彩度調整する。トーン圧縮量がトーン曲線の対数・対数傾きに対応することが仮定されると、入力値L
inのトーン圧縮量は、入力値L
inにおける伝達関数L
out=f(L
in)の導関数として決定されてもよい。この伝達関数の対数・対数傾きは、L
in=e
x及びL
out=e
yを設定し、対数・対数傾きを表すdy/dxを解くことによって決定可能である。上記の式(1)によるトーン曲線について、yは、
【数11】
として表され、トーン曲線上の任意の点における対数・対数傾きc(L
in)は、L
inにおけるxに関するyの導関数として計算されてもよい。
【0057】
【数12】
カラーチャネルR、G及びBについて、再彩度調整された駆動値(R
re−sat,G
re−sat,B
re−sat)は、以下のように正規化された駆動値に関して決定されてもよい。
【0058】
【数13】
ただし、f(c)は、
【数14】
として与えられ、k
1及びk
2は定数である。一部の実施例では、k
1=1.6774である。一部の実施例では、k
1=1.677である。一部の実施例では、k
1=1.68である。一部の実施例(k
1=1.6774,k
1=1.677又はk
1=1.68である実施例を限定することなく含む)では、k
2=0.9925である。一部の実施例(k
1=1.6774,k
1=1.677又はk
1=1.68である実施例を限定することなく含む)では、k
2=0.992である。一部の実施例(k
1=1.6774,k
1=1.677又はk
1=1.68である実施例を限定することなく含む)では、k
2=0.99である。許容される結果はk
1及びk
2の他の値を用いて取得されてもよいことが理解されるであろう。また、再彩度調整された駆動値R
re−sat、G
sa−sat及びB
re−satは、赤色、緑色及び青色チャネルのそれぞれのディスプレイリニアルミナンス値(R
out、G
out及びB
out)に基づき計算可能である。
【0059】
トーン圧縮に依存した再彩度調整のための上述した技術は、パラメータフリー(自動的)な方法により実現されてもよいことが理解されるであろう。
【0060】
図5は、さらなる実施例による方法80を示すフローチャートである。方法80は、いくつかの任意的なステップを有する。ブロック81において、方法80は、画像データをターゲットディスプレイのカラー空間に変換する。図示された具体例では、ターゲットディスプレイは、赤色、緑色及び青色の原色を有し、カラー空間はRGBカラー空間である。ブロック81は、ターゲットディスプレイの白色及び原色を考慮した変換の実行を含むものであってもよい。ブロック81は、画像データがターゲットディスプレイの固有のカラー空間にすでにある場合、任意的である。
【0061】
ブロック82は、ソース及びターゲットの色度白色ポイントを決定する。白色ポイントは、例えば、何れか適切なカラー空間における色度座標として表されてもよく、ターゲットディスプレイの固有のカラー空間に変換されてもよい。
【0062】
ブロック83は、伝達関数の初期的な黒色レベル及び白色レベルのアンカーポイントを決定する。初期的なアンカーポイントは、ソース及びターゲットディスプレイの黒色及び白色レベルに基づき設定されてもよい。
【0063】
ブロック84は、伝達関数の初期的なミッドトーンアンカーポイントを決定する。ミッドトーンアンカーポイントは、ソース画像データの解析を介して決定されてもよく(例えば、ソース画像データのルミナンスの幾何平均を決定するなどによって)、ターゲットディスプレイの特性を決定する(又はターゲットディスプレイの特性及びターゲットディスプレイの現在の視聴環境)。
【0064】
ブロック85は、ブロック82において決定された白色ポイントに基づきアンカーポイントを調整する(例えば、式(5)〜(10)などを適用して)。
【0065】
ブロック86は、ブロック85において決定された調整されたアンカーポイントにより指定される伝達関数を用いて画像データをマッピングする。
【0066】
ブロック87は、ブロック86からのマッピングされた画像データに基づきターゲットディスプレイの駆動値を計算する。
【0067】
任意的なブロック88は、彩度を調整する(ブロック88は、例えば、式(20)〜(22)又は(28)〜(30)を適用するなどしてもよい)。
【0068】
ブロック89は、駆動値をガンマ補正する。
【0069】
方法80の適用により生成された駆動値は、画像を表示するためターゲットディスプレイを駆動するのに適用されてもよく、及び/又はターゲットディスプレイ上への以降の表示のため格納又は送信されてもよい。
【0070】
ここに説明される装置及び方法は、具体的な周辺の視聴状態についてターゲットディスプレイを最適化するのに利用されてもよい。上述された一般的なタイプの伝達関数は、周辺の照明の変化と人間の視覚系(HVS)の結果として変化する適応化レベルとい適応するよう自動的にシフトされてもよい。ターゲットディスプレイの理想的なルミナンスミッドポイントは、周辺の明るさの関数であってもよい。ミッドトーンアンカーポイントの垂直成分は、周辺の照明状態に基づき選択されてもよい。
【0071】
一部の実施例では、中間のアンカーポイント57Cを固定することは、ターゲットディスプレイの特性と共に、周辺の照明又は推定された視聴者の肉眼の適応化(それ自体は、測定された周辺の照明又は測定された周辺の照明と過去のディスプレイコンテンツとの組み合わせに少なくとも基づくものであってもよい)に部分的に基づき実行される。例えば、ポイント57Cの垂直座標は、ターゲットディスプレイの近傍の周辺の照明に基づき調整されてもよい。例えば、垂直座標は、ディスプレイが暗い周辺の照明状態にある場合(又は視聴者の肉眼が暗く適応化されると推定される場合)、より低いルミナンス値に低下させることが可能であり、当該値は、ターゲットディスプレイが高い周辺照明を有する環境にある場合にはより高い値に増加可能である(又は視聴者の肉眼は、より明るい状態に適応化されると推定される)。
【0072】
一部の実施例では、彩度調整量(式(20)、(21)及び(22)並びに式(28)、(29)及び(30)などによる)は、ターゲットディスプレイの特性と共に、周辺の照明又は推定された視聴者の肉眼の適応化(それ自体は、測定された周辺の照明又は測定された周辺の照明と過去のディスプレイコンテンツとの組み合わせに少なくとも基づくものであってもよい)に部分的に基づく。例えば、パラメータSは、ターゲットディスプレイの近傍の周辺の照明又は測定された周辺の照明と過去に表示されたコンテンツとの組み合わせに基づき調整されてもよい。例えば、パラメータSの値は、ディスプレイが暗い周辺の照明状態にある場合(又は視聴者の肉眼が暗く適応化されると推定される場合)、相対的により小さく設定でき、当該値は、ターゲットディスプレイが高い周辺の照明を有する環境にある場合(又は視聴者の肉眼がより明るい状態に適応するよう推定される場合)、相対的により高く設定可能である。一部の実施例は、周辺の光センサ及び/又は過去の画像コンテンツを含む信号及び/又は過去に表示されたコンテンツの全体的な輝度を示す信号を受信する再彩度調整制御ユニットを提供する。再彩度調整制御ユニットは、受信した信号に基づき再彩度調整量に影響を与えるパラメータ(パラメータSなど)の新たな値を設定するよう構成されてもよい。
【0073】
一部の実施例では、周辺の照明のスペクトル特性が考慮される。例えば、各カラーチャネルの伝達関数のポイント57Cの位置は、カラーチャネルに対応するスペクトル範囲における周辺の照明量に部分的に基づき別々に設定されてもよい。
【0074】
さらに又は代わりに、伝達関数の傾きは、周辺の照明(又は視聴者の肉眼の適応化の推定)に基づき制御されてもよい。周辺の照明がより明るいとき、ディスプレイ面からの反射は黒色レベルを増加させる傾向がある。これは、ターゲットディスプレイの範囲を効果的に減少させる。高い周辺照明の状態では(視聴者の肉眼が光適応化されると推定される)、ミッドトーン領域の伝達曲線の傾きは、周辺状態の下でエンハンスされた視聴体感を提供するよう低減されてもよい。例えば、低い(暗い)周辺照明状態について、コントラストの知覚は低下する。これは、“フラット”に見える画像を生じさせる可能性がある。従って、伝達関数のミッドトーン部分の傾きは、1:1の傾きから増加し、暗く適応化される肉眼のコントラストレベルを増加させるため、1:1.5までの傾き(例えば、1.3の傾きなど)などのより大きな傾きに増加されてもよい。これは、式(1)により示されるタイプの伝達関数が適用されるフリーパラメータnの値を変化させることによって実行されてもよい。傾きは、周辺の光センサからの入力に応答して制御されてもよい。
【0075】
一部の実施例では、周辺の光センサからの信号、過去の画像コンテンツなどの輝度の加重平均又は他の指標を表す信号を含む入力に応答して、人間の視覚系の適応化レベルを推定する光適応化回路が備えられる。光適応化回路は、例えば、人間の視覚系のモデルに基づくものであってもよい。人間の視覚系の適応化レベルを推定する各種アルゴリズムが当該分野において知られている。光適応化回路は、1以上のプログラマブルデータプロセッサ、固定論理回路又はこれらの組み合わせにおいて実行されるソフトウェアを含む何れか適切な方法により当該アルゴリズムを実現してもよい。伝達関数におけるポイント57Cの位置及び/又はミットトーンコントラストの各値は、光適応化回路からの出力に応答して自動制御されてもよい。
【0076】
一部の実施例では、伝達関数は、ターゲットディスプレイについて1回設定される。伝達関数は、例えば、ターゲットディスプレイなどに組み込まれ、上述されるような伝達関数に従ってマッピングを実行するファームウェア又は他のソフトウェアを実行する1以上のプログラマブルプロセッサ、上述された伝達関数を実現するルックアップテーブル、上述されるような伝達関数に基づき出力を提供するよう設定される配線又は設定可能な論理回路などの形態により実現されてもよい。
【0077】
一部の実施例では、ターゲットディスプレイの赤色、緑色及び青色チャネルの駆動値は、ディスプレイのものにマッチするビット深さに変換される。例えば、ディスプレイは、8ビット駆動値を利用してもよい。伝達関数が浮動小数点又は他のより高い精度の計算を用いて適用される場合、当該変換は、例えば、最も近い対応する8ビット値への駆動値の丸め込みなどを伴ってもよい。
【0078】
上述された実施例では、入力ビデオデータの最小及び最大ルミナンス値は、ディスプレイのピクセルの最小及び最大輝度値にそれぞれマッピングするよう生成可能である。さらに、入力ビデオ信号から選択されたミッドトーンポイントは、ディスプレイの選択されたミッドトーンポイントにマッピングするよう生成可能である。ミッドトーンコントラストは、フリーパラメータのままである。上述された伝達関数の他の特徴は、それらがミッドトーン領域におけるローカルコントラストを維持しながら、低い値と高い値との双方について圧縮又は拡張を提供することである。
【0079】
一部の実施例では、ある画像(あるビデオフレーム又はビデオフレームシーケンスなど)は相対的に低い平均ルミナンス(ローキー)であり、他の画像(フレーム又はフレームグループなど)は、相対的に高い平均ルミナンス(ハイキー)を有するよう慎重に生成されてもよい。一部の実施例では、画像の意図されるキーに関する情報が、メタデータの形式により提供される。メタデータは、例えば、カラーグレーティング処理中に生成され、画像データに関連付けされてもよい。例えばmメタデータは、カラーグレーティッドされたビデオデータを搬送する信号に埋め込まれ、又は関連付けされてもよい。このような実施例では、メタデータにより示される画像のキーは、伝達関数に利用されるミッドトーンアンカーポイントを決定する際に利用されてもよい。メタデータが低いキー画像を示す場合、アンカーポイントの垂直座標はより低い値に移されてもよく、ターゲットディスプレイのキーを再生成する。
【0080】
異なるビデオコンテンツは、異なるリファレンスディスプレイについてカラーグレイティッドされてもよい。上述されたアプローチに従うとき、カラーグレイティッドが実行されたリファレンスディスプレイの特性に応じて何れか特定のターゲットディスプレイにおいてコンテンツを異なってマッピングすることが所望できる。リファレンスディスプレイ又はそれの特性を特定する情報は、例えば、画像データに埋め込まれた又は関連付けされたメタデータにより搬送されてもよい。ターゲットディスプレイは、伝達関数の複数の異なるセットについてパラメータを格納してもよい。伝達関数の異なるセットは、異なるリファレンスディスプレイを用いてカラータイムドされたビデオデータに対応し、利用されてもよい。
【0081】
式(1)により提供される形態を有する一例となる伝達関数の他の特徴は、同一の伝達関数が選択されたパラメータに応じて範囲の上端及び下端において圧縮又は拡張を提供することである。例えば、ターゲットディスプレイが入力データより大きなルミナンス範囲を有する場合、ターゲットディスプレイは、ターゲットディスプレイのものにマッチするか又はより知覚に接近するため、画像データの範囲を拡張する伝達関数により設定されてもよい。
【0082】
ここに説明される一部の実施例による方法及び装置の1つの効果は、マッピングがターゲットディスプレイのRGBカラー空間において実行されることである。これは、かなりの計算量を節約し、及び/又はマッピングを実行するのに要求されるハードウェアのコンプレクシティを低減することを可能にする。
【0083】
マッピングは、リアルタイムにより実行されてもよい。
【0084】
一部の実施例による方法は、1)平均画像輝度(適応化ポイント)、2)ミットトーンローカルコントラスト(トーン曲線の傾きにより設定される)、3)最小ディスプレイルミナンスへの入力黒色マップ、及び4)最大ディスプレイルミナンスへの入力白色マップのそれぞれに対する直接的な制御を提供する。これらの変数は、オリジナル画像データに実現されるような創作的意図を再生成する画像を提供するための基礎であると分かった。例示的な実施例では、これらの変数は、別々のパラメータに明示的に相当する。このような方法は、オリジナル画像データを取得し(例えば、HDR(High Dynamic Range)データ及び/又はカラーグレーティッド画像データなどから構成されてもよい)、オリジナル画像データを指定された出力ディスプレイの限定的な3次元色域にマッピングするカラーマッピングを実行するためのシンプルで効果的な方法を提供する。
【0085】
ここに説明されるカラーマッピング方法及び装置はさらに又は代わりに、カラーグレーディング/コンテンツ生成において利用されてもよい。カラリストには、上述された変換を実現するフィルタが備えられてもよい。フィルタは、カラリストが伝達関数のパラメータを直接設定することを可能にする制御を有してもよい。カラリストは、例えばこれらの制御を用いて黒色レベルなどを調整してもよい。一部の実施例では、当該制御は、白色レベルアンカーポイント、黒色レベルアンカーポイント及びミッドレベルアンカーポイント(それぞれポイント57A、57B及び57Cなど)の1以上の座標と、ミッドレベルコントラスト(パラメータnなど)との1以上の直接的な設定を可能にする制御を含む。このような制御は、カラリストがミッドトーン傾きに有意な影響を与えることなく、白色レベル、黒色レベル及びキーを設定することを可能にする。
【0086】
一部の実施例では、当該装置は、カラリストが意図するものに近いパラメータのスタートセットを自動的に決定するよう設定される。これらのスタートパラメータは、例えば、入力ビデオコンテンツを特徴付ける情報(ピクセルカラー/ルミナンス座標の最小値及び最大値など)と、ターゲットディスプレイを特徴付ける情報(白色レベル、黒色レベル及び任意的なメタデータ(処理中の画像データのキーを示すメタデータなど)など)とに基づき生成されてもよい。
【0087】
ビデオ制作は、より大きな機能とより低い機能とを有するディスプレイの異なるバージョンを生成することに関する。例えば、SDR(Standard Dynamic Range)グレーティングは、従来のディスプレイ上への表示用のビデオを制作するため実行されてもよい。ここに説明されるツールは、ビデオのSDRバージョンを自動的に生成するため適用されてもよい。カラリストは、最適化された結果を生成するためのツールの処理をガイドしてもよい。
【0088】
さらに、カラリストが低機能ディスプレイ上の視聴用のバージョンを提供するためパラメータを競ってした場合、中程度の機能を有するディスプレイのマッピングを実行するのに利用されるパラメータは、低機能ディスプレイのためにカラリストにより選択されたパラメータ値から決定されてもよい。これは、例えば、中程度の機能を有するディスプレイより高い及び低い機能を有するディスプレイについてカラリストにより決定されたパラメータ値の補間などにより実行されてもよい。
【0089】
ここに説明される方法及び装置は、プロフェッショナルレベルのカラータイミングに関する利用に限定されるものでない。カラータイミングのツールは、アマチュアに利用可能であり、カラータイミングが非キャリブレートモニタ(ホームコンピュータディスプレイ、テレビなど)上で実行される場合でさえ、ここに説明される方法及び装置は、非キャリブレートモニタ上で生成されるコンテンツを他のディスプレイに変換するのに利用されてもよい(例えば、非キャリブレートカラータイミングディスプレイの機能を推定するなどによって)。ここに説明される技術はまた、カラータイムドされない信号への適用を有する。
[グローバルトーンマッピングオペレータとローカルマルチスケールトーンマッピングオペレータとの合成」
ここに説明されるカラーマッピング方法及び装置はまた、ローカルトーンマッピングオペレータ(TMO)などの他のトーンマッピング技術と組み合わされてもよい。
図6は、ここに説明されるグローバルトーンマッピングオペレータは、その全体が参照することによりここに援用される、2012年3月1日に出願された国際特許出願第PCT/US2012/027267号としても出願されたG.J.Wardによる米国仮出願第61/448,606号“A Local Multiscale Tone−Mapping Operator”(“Ward”リファレンスとしてここでは参照される)により開示されたものとしてのローカルマルチスケールトーンマッピングオペレータと組み合わされる。実施例は、ローカルマルチスケールオペレータ(MS TMO)を利用する際のハイライト及びカラー忠実性を保持する能力と、グローバルTMOの予測可能性及び安定性とを組み合わせる。
【0090】
図6に示されるように、方法60は、ステップ62において入力画像又はビデオデータにアクセスすることによってステーとする。これらのデータは、YCbCr、RGB、XYZなどの各種カラーフォーマットにより格納又は送信されてもよい。ステップ63において、入力データからYなどのルミナンスコンポーネントを抽出してもよい。入力データのフォーマット(RGBなど)に依存して、当該ステップは、カラー変換(RGBからXYZなど)を要求してもよい。ステップ64は、式(1)により示されるように、グローバルトーンマッピングオペレータ55を入力データのYカラーコンポーネントに適用してもよい。実施例では、グローバルTMO55のアンカーポイントは、入力データのルミナンス範囲が[4*L
dMin,1/2*L
dMax]の範囲にマッピングされるように選択されてもよい。ここで、L
dMin及びL
dMaxは、ターゲットディスプレイの最小及び最大ルミナンスを示す。4及び1/2のスケーリング係数が典型的であるが、調整可能である。
【0091】
実施例では、ステップ64の出力は、グローバルにトーンマッピングされたルミナンスデータY
TMとして示されてもよい。ステップ65において、“Ward”により示されるように、ローカルマルチスケールトーンマッピングオペレータ(MS TMO)をY
TMデータに適用してもよい。まず、例えば、
【数15】
オリジナルルミナンスピクセルにより除されたグローバルトーンマッピングされたルミナンスデータの対数として定義されるグローバル対数レシオ画像を計算してもよい。Wardにより示されるように、グローバル対数レシオ画像R
Lが与えられると、MS TMOの出力(ステップ65など)は、Y
MSとして示されるローカルトーンマッピングされたルミナンス画像であってもよい。Y
MSを用いて、
【数16】
を計算してもよい。
【0092】
ステップ66において、X
MS,Y
MS及びZ
MSデータが、ターゲットディスプレイにより決定された原色の白色及び黒色レベルによるR
MS,G
MS及びB
MS(RGB
MS)に変換されてもよい。負の又は色域外のRGB
MS値は、大変小さな正の値にクリッピングされてもよいし、又は既知の色域マッピングアルゴリズムの何れかを用いて色域内のRGB値に再マッピングされてもよい。
【0093】
ステップ66からの色域内のRGB
MSデータが与えられると、ステップ67は、グローバルトーンマッピングされた補正データRGB
G−MSを出力するため、グローバルトーンマッピングオペレータ55をすべてのカラーコンポーネントに再適用してもよい。第2のグローバルトーンマッピング演算の適用は、MS TMOの出力がターゲットディスプレイの範囲内にあることを保証する。最後に、ステップ68において、画像データを表示する前(ステップ69)、RGB
G−MSデータは、出力表示用に必要とされる場合にガンマ補正されてもよい。
【0094】
本発明の特定の実現形態は、本発明の方法をプロセッサに実行させるソフトウェア命令を実行するコンピュータプロセッサを有する。例えば、ディスプレイ、カラーグレーティングステーション、セットトップボックス、トランスコーダなどの1以上のプロセッサは、プロセッサにアクセス可能なプログラムメモリのソフトウェア命令を実行することによって、上述されるような画像データ変換方法を実現してもよい。本発明はまた、プログラムプロダクトの形態により提供されてもよい。プログラムプロダクトは、データプロセッサにより実行されると、本発明の方法をデータプロセッサに実行させる命令を有するコンピュータ可読信号のセットを担持する何れかの媒体から構成されてもよい。本発明によるプログラムプロダクトは、広範な形態の何れかによるものであってもよい。プログラムプロダクトは、例えば、フロッピー(登録商標)ディスケット、ハードディスクドライブを含む磁気データ記憶媒体、CD ROM、DVDを含む光データ記憶媒体、ROMを含む電子データ記憶媒体、フラッシュRAMなどの物理媒体などから構成されてもよい。プログラムプロダクトのコンピュータ可読信号は、任意的には、圧縮又は暗号化されてもよい。
【0095】
コンポーネント(ソフトウェアモジュール、プロセッサ、アセンブリ、デバイス、回路など)が上述される場合、特段の断りがない場合、当該コンポーネントの参照(“手段”の参照を含む)は、当該コンポーネントの均等として、本発明の例示された実施例の機能を実行する開示された構成に構造的には等価でないコンポーネントを含む開示されたコンポーネントの機能(すなわち、機能的に等価である)を実行する何れかのコンポーネントを含むものとして解釈されるべきである。
【0096】
一部の非限定的な実施例は、以下の効果の1以上を提供してもよい(状況などに応じて)。
・黒色ポイントアンカーによるトーンマッピング曲線によるマッピングが、暗い入力コンテンツの過剰なトーン圧縮を回避する。
・黒色ポイント及び/又は白色ポイントアンカーによるトーンマッピング曲線によるマッピングが、このようなアンカーポイントの一方又は双方なしの曲線によるトーンマッピングよりもターゲットディスプレイのルミナンス範囲の多くを利用してもよい。
・ルミナンス範囲を最大化するカラーチャネルに固有のマッピング関数が、ターゲットディスプレイのRGBカラー空間において適用されてもよい(例えば、入力カラー空間からターゲットディスプレイのRGBカラー空間への変換後など)。
・ターゲットディスプレイの出力ビデオデータの白色、輝度及び/又はミッドコントラストが、伝達関数において調整されてもよい(例えば、伝達関数によるマッピングの前後の代わりなど)。
【0097】
一部の実施例は、上記効果の何れも提供せず、異なる効果(上記効果でなく又は補完して)を提供してもよい。
【0098】
上記開示に基づき当業者に明らかなように、本発明の趣旨又は範囲から逸脱することなく、多数の変更及び改良が本発明の実現において可能である。従って、本発明の範囲は、以下の請求項により規定される内容に従って解釈されるべきである。