特許第5770870号(P5770870)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許5770870-等圧オープン冷凍NGL回収 図000014
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5770870
(24)【登録日】2015年7月3日
(45)【発行日】2015年8月26日
(54)【発明の名称】等圧オープン冷凍NGL回収
(51)【国際特許分類】
   C10L 3/10 20060101AFI20150806BHJP
   F25J 3/02 20060101ALI20150806BHJP
【FI】
   C10L3/10
   F25J3/02 B
【請求項の数】3
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2014-16737(P2014-16737)
(22)【出願日】2014年1月31日
(62)【分割の表示】特願2011-509547(P2011-509547)の分割
【原出願日】2009年4月30日
(65)【公開番号】特開2014-139311(P2014-139311A)
(43)【公開日】2014年7月31日
【審査請求日】2014年1月31日
(31)【優先権主張番号】12/121,880
(32)【優先日】2008年5月16日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】391011227
【氏名又は名称】ルマス テクノロジー インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100077861
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 勝三
(72)【発明者】
【氏名】マルサム マイケル
【審査官】 森 健一
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第05685170(US,A)
【文献】 米国特許第04854955(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C10L 3/00− 3/12
F25J 1/00− 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給ガスストリームから天然ガス液を分離するための装置であって、
(a)供給ガスストリームと1以上のプロセスストリームとの熱交換接触によって、供給ガスストリームから天然ガス液を分離するために必要な加熱及び冷却を提供するように作動できる熱交換器;
(b)前記熱交換器において冷却された供給ガスストリームを前記熱交換器から受け取り、該供給ガスストリームを、供給ガスストリームの軽質炭化水素成分の実質的な量からなる蒸留塔オーバーヘッドストリーム及び重質の炭化水素成分の実質的な量からなる蒸留塔ボトムスストリームに分離する蒸留塔;
(c)前記蒸留塔において分離され、ついで、前記熱交換器において冷却された蒸留塔オーバーヘッドストリームを受け取り、該蒸留塔オーバーヘッドストリームを、オーバーヘッドセールスガスストリーム及び前記熱交換器におけるプロセス冷却を提供するための混合冷媒からなるボトムスストリームに分離する第1のセパレーター;
(d)前記混合冷媒ストリームが前記熱交換器においてプロセス冷却を提供した後、該混合冷媒ストリームを圧縮するためのコンプレッサー:及び
(e)圧縮された前記混合冷媒ストリームを還流ストリームとして前記蒸留塔に供給するためのライン
を含んでなる、供給ガスから天然ガス液を分離する装置。
【請求項2】
圧縮された混合冷媒ストリームを還流ストリームとして蒸留塔に供給するためのラインが、前記蒸留塔よりも前に、圧縮された混合冷媒ストリームを冷却するために、熱交換器に通じている、請求項1記載の装置。
【請求項3】
第1のセパレーターがセパレータードラムである、請求項1又は2記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭化水素を含有するガス供給ストリームから天然ガス液を回収する、特に、ガス供給ストリームからプロパン及びエタンを回収する改良されたプロセスに係る。
【背景技術】
【0002】
天然ガスは、メタン、エタン及びプロパンを含む各種の炭化水素を含有する。天然ガスは、通常、メタン及びエタンを主成分として含有し、すなわち、メタン及びエタンは、一般に、ガスの少なくとも50モル%を占める。ガスは、水素、窒素、二酸化炭素等と共に、比較的少量のプロパン、ペンタン等のような重質の炭化水素をも含有する。天然ガスに加えて、炭化水素を含有する他のガスストリームは、軽質及び重質の炭化水素の混合物を含有する。例えば、精製プロセスにおいて生成されたガスストリームは、分離されるべき炭化水素の混合物を含有できる。これら炭化水素の分離及び回収は、直接使用されるか、又は他のプロセスの供給原料として使用される価値ある製品を提供できる。これらの炭化水素は、一般に、天然ガス液(NGL)として回収される。
【0003】
本発明は、本質的に、炭化水素を含有するガスストリームからC3+成分を回収すること、特に、これらのガスストリームからプロパンを回収することを目的とする。以下に記述するプロセスに従って処理される代表的な天然ガス供給物は、メタン約92.12モル%、エタン及び他のC2成分約3.96モル%、プロパン及び他のC3成分約1.05モル%、イソブタン0.15モル%、直鎖状ブタン0.21モル%、ペンタン又はより重質の成分約0.11モル%を含有し、残余は主に窒素及び二酸化炭素でなる。リファイナリーガスは、少量のメタン及びより多量の重質炭化水素を含有する。
【0004】
ガス供給ストリームからの天然ガス液の回収は、ガスの冷却及び冷凍、オイルの吸収、冷凍したオイルの吸収又は多重蒸留塔の使用のような各種のプロセスを使用して行われていた。最近では、Joule-Thompson弁又はターボエキスパンダーを使用する極低温膨張プロセスが、天然ガスからのNGLの回収用として、好適なプロセスとなっている。
【0005】
一般的な極低温膨張プロセスでは、圧力下の供給ガスストリームを、熱交換器によって、プロセスの他のストリーム及び/又はプロパン圧縮‐冷凍システムのような冷凍の外部源にて冷却する。ガスが冷却されるため、液として凝縮され、1つ以上のセパレーターにおいて、所望の成分を含有する高圧液として集められる。
【0006】
高圧液を低圧に膨張し、分別する。膨張したストリーム(液及び蒸気の混合物を含んでなる)を蒸留塔において分別する。蒸留塔では、揮発性のガス及びより軽質の炭化水素がオーバーヘッド蒸気として回収され、より重質の炭化水素が底部における液状製品として排出される。
【0007】
供給ガスは、一般的には、完全には凝縮されず、部分凝縮から残留する蒸気は、Joule-Thompson弁又はターボエキスパンダーを通過して、より低圧となり、更なるストリームの冷却の結果として、液がさらに凝縮する。膨張したストリームを供給ストリームとして蒸留塔に供給する。
【0008】
蒸留塔には、冷却後ではあるが、膨張前に、一般に、部分的に凝縮した供給ガスの一部である還流ストリームが提供される。各種のプロセスでは、圧力下で供給される残渣ガスの再循環ストリームのような還流用の他の源が使用される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述の一般的な極低温プロセスについて各種の改善が試みられているが、これらの改善は、蒸留塔への供給ストリームを膨張させるために、依然としてJoule-Thompson弁又はターボエキスパンダーを使用するものである。天然ガス供給ストリームからのNGLの回収を増大させた改良されたプロセスが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、供給ガスストリームからNGLを回収する改良されたプロセスに係る。このプロセスは、高レベルのNGL回収に必要な低温を達成するために、オープンループ混合冷媒プロセスを使用する。セールスガスのような軽質成分から重質の炭化水素を分離するために、単一の蒸留塔が使用される。蒸留塔からのオーバーヘッドストリームを冷却して、オーバーヘッドストリームを部分的に液化させる。部分的に液化したオーバーヘッドストリームを、セールスガスのような、軽質炭化水素を含んでなる蒸気ストリーム及び混合冷媒として作用する液成分に分離する。混合冷媒はプロセスの冷却を提供し、混合冷媒の一部は、蒸留塔が主要な成分を富有するように、還流成分として使用される。蒸留塔において富有されたガスのため、蒸留塔のオーバーヘッドストリームは、より温かい温度で凝縮し、蒸留塔は、NGLの高レベル回収に一般的に使用されるものよりも温かい温度で作動する。当該プロセスは、Joule-Thompson弁又はターボエキスパンダー系プラントにおけるようなガスを膨張させることなく、ただ1つの蒸留塔を使用して、所望のNGL成分の高レベル回収を達成する。
【0011】
本発明のプロセスの1具体例では、C3+炭化水素、特にプロパンが回収される。入来する供給ストリームの組成に基づいて、C3+炭化水素の所望の回収を達成するために要求されるように温度及び圧力を維持する。プロセスのこの具体例では、供給ガスを主熱交換器に導入し、冷却する。冷却された供給ガスを蒸留塔(この具体例では、脱エタン塔として機能する)に供給する。供給ストリーム用の冷却は、主として、プロパンのような温かい冷媒によって提供される。蒸留塔からのオーバーヘッドストリームを主熱交換器に導入して、混合冷媒を生成し、システムからの所望のNGL回収を提供するために要求される温度に冷却する。
【0012】
冷却された蒸留塔からのオーバーヘッドストリームを、還流ドラムからのオーバーヘッドストリームと合わせ、蒸留塔オーバーヘッドドラムにおいて分離する。蒸留塔オーバーヘッドドラムからのオーバーヘッド蒸気はセールスガス(すなわち、エタン及び不活性ガス)であり、液体ボトムス混合冷媒である。セールスガスを、主熱交換器を通して供給し、ここで、セールスガスは温められる。混合冷媒の温度を、主熱交換器において必要な熱移動を容易なものとするに充分な温度に低下させる。冷媒の温度は、制御弁を通過する冷媒の圧力を低減することによって低下される。混合冷媒を主熱交換器に供給し、ここで、主熱交換器を通過するに連れて、混合冷媒は気化され、過熱される。
【0013】
主熱交換器を通過した後、混合冷媒を圧縮する。好ましくは、コンプレッサー排出圧力は蒸留塔圧力よりも高く、これによって、還流ポンプが不要である。圧縮したガスは主熱交換器を通過して、ここで、部分的に凝縮される。部分的に凝縮した混合冷媒を還流ドラムに導く。還流ドラムからの液体ボトムスを、蒸留塔用の還流ストリームとして使用する。還流ドラムからの蒸気を、主熱交換器から排出された蒸留塔オーバーヘッドストリームと合わせ、合わせたストリームを蒸留塔オーバーヘッドドラムに導く。この具体例では、本発明のプロセスは、供給ガスからプロパン99%以上を回収できる。
【0014】
プロセスの他の具体例では、供給ガスを上述のように処理し、混合冷媒の一部を、圧縮及び冷却に続いてプラントから除去する。プラントから除去された混合冷媒の一部をC2回収ユニットに供給して、混合冷媒中のエタンを回収する。主熱交換器を通過し、圧縮及び冷却された後の混合冷媒の一部の除去は、充分な量のC2成分がシステム内に残り、必要な冷凍を提供できる場合には、プロセスに対する影響は最少である。いくつかの具体例では、混合冷媒ストリームの95%程度が、C2回収用に除去される。除去されたストリームは、エチレンクラッキングユニットにおける供給ストリームとして使用される。
【0015】
プロセスの他の具体例では、蒸留塔オーバーヘッドストリームを分離するために吸収塔を使用する。吸収器からのオーバーヘッドストリームはセールスガスであり、ボトムスは混合冷媒である。
【0016】
本発明のさらに他の具体例では、ただ1個の分離ドラムを使用する。本発明のこの具体例では、圧縮し、冷却した混合冷媒を、還流ストリームとして蒸留塔に戻す。
【0017】
上述のプロセスは、所望の態様で、炭化水素の分離を達成するために変更される。例えば、プラントを、蒸留塔が、C3及びより軽質の炭化水素から、C4+炭化水素、主としてブタンを分離するように作動できる。本発明の他の具体例では、プラントを、エタン及びプロパンの両方を回収するために作動できる。本発明のこの具体例では、蒸留塔を脱メタン塔として使用し、プラントの圧力及び温度を適宜調整する。この具体例では、蒸留塔からのボトムスは、主にC2+成分を含有し、一方、オーバーヘッドストリームは主にメタン及び不活性ガスを含有する。この具体例では、供給ガス中のC2+成分の55%程度の回収が達成される。
【0018】
プロセスの利点は、中でも、蒸留塔への還流が、例えば、エタンを富有しており、蒸留塔からのプロパンの損失が低減されることである。還流は、蒸留塔におけるエタンのような軽質の炭化水素のモルフラクションを増大させ、オーバーヘッドストリームを凝縮させることが容易となる。このプロセスは、蒸留塔オーバーヘッドにおいて凝縮された液体を2度使用するものであり、1度目は低温の冷媒として使用し、2度目は蒸留塔用の還流ストリームとして使用する。本発明のプロセスの他の利点は、下記に示す好適な具体例の詳細な説明に基づき、当業者には明白であろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の方法の具体例を実施するためのプラントであって、混合冷媒ストリームが圧縮され、還流セパレーターに戻されるプラントの概略図である。
図2】本発明の方法の具体例を実施するためのプラントであって、圧縮された混合冷媒ストリームの一部が、エタン回収のため、プラントから除去されるプラントの概略図である。
図3】本発明の具体例を実施するためのプラントであって、蒸留塔オーバーヘッドストリームを分離するために、吸収器が使用されるプラントの概略図である。
図4】本発明の具体例を実施するためのプラントであって、ただ1個のセパレータードラムが使用されるプラントの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明は、天然ガス又は石油処理からのガスストリームのような、炭化水素を含有するガス供給ストリームから天然ガス液(NGL)を回収する改良されたプロセスに係る。本発明のプロセスは、プラントを通して、ガス圧を意図的に低減することなく、ほぼ一定の圧力で行われる。プロセスでは、軽質の炭化水素及び重質の炭化水素を分離するためにシングル蒸留塔を使用する。オープンループ混合冷媒がプロセスの冷却を提供して、NGLガスの高レベルでの回収に要求される温度を達成する。混合冷媒は、供給ガス中の軽質及び重質の炭化水素の混合物からなる。
【0021】
オープンループ混合冷媒は、蒸留塔への富有化還流ストリームを提供するためにも使用され、より高い温度で蒸留塔を作動することを可能にし、NGLの回収を増大させる。蒸留塔からのオーバーヘッドストリームを冷却して、オーバーヘッドストリームを部分的に液化させる。部分的に液化されたオーバーヘッドストリームを、セールスガスのような、軽質の炭化水素からなる蒸気ストリーム及び混合冷媒として作用する液体成分に分離する。
【0022】
本発明のプロセスは、混合供給ガスストリームにおける炭化水素を、所望に応じて分離するためにも使用される。1具体例では、本発明のプロセスは、プロパンを高レベルで回収するために使用される。プロセスでは、供給ストリームにおけるプロパンの99%程度又はそれ以上が回収される。プロセスは、プロパンと共に有意の量のエタンを回収する様式又はセールスガスと共にエタンの大部分を排斥するモードでも作動される。別法として、プロセスは、供給ストリームのC4+成分を高割合(%)で回収し、C3及びより軽質の成分を排出するために作動される。
【0023】
本発明のプロセスのいくつかの具体例を実施するためのプラントを図1に示す。温度、圧力、流量及び各種ストリームの組成のような作動パラメーターは、所望のNGLの分離及び回収を達成するように設定される。要求される作動パラメーターは、供給ガスの組成にも左右される。要求される作動パラメーターは、例えば、コンピューターによるシミュレーションを含む公知の技術を使用して、当業者によって容易に決定される。従って、下記に示す各種作動パラメーターの記載及び範囲は、本発明の特別な具体例についての開示を提供するものであり、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
【0024】
ライン(12)を介して、供給ガスを主熱交換器(10)に供給する。供給ガスは、天然ガス、リファイナリーガス又は分離を必要とする他のガスである。供給ガスは、一般に、NGLユニットにおける冷凍を提供するためにプラントに供給される前に、濾過及び脱水される。供給ガスは、一般に、温度約44.3〜54.4℃(110〜130°F)及び圧力約100‐450 psiaで主熱交換器に供給される。主熱交換器(10)では、より冷たいプロセスストリームとの及びプロセスに必要な追加の冷却を提供するために必要な量でライン(15)を介して主熱交換器に供給される冷媒との熱交換接触を行うことによって供給ガスを冷却し、部分的に液化させる。供給ガスに必要な冷却を提供するため、プロパンのような温かい冷媒を使用できる。供給ガスは、主熱交換器において、温度−17.8〜−40℃(0〜−40°F)に冷却される。
【0025】
冷たい供給ガス(12)は主熱交換器(10)を出て、供給ライン(13)を通って蒸留塔(20)に入る。蒸留塔は、供給ガスの圧力よりもわずかに低い圧力、供給ガスの圧力よりも約5〜10psi低い圧力で作動する。蒸留塔では、例えば、プロパン及び他のC3+成分のような重質の炭化水素を、エタン、メタン及び他のガスのような軽質の炭化水素から分離する。重質の炭化水素成分は、液体ボトムスとして、ライン(16)を通って蒸留塔から排出され、一方、軽質の成分は、蒸気オーバーヘッドライン(14)を通って排出される。好ましくは、ボトムスストリーム(16)は、約65.6〜149℃(150〜300°F)の温度で蒸留塔から排出され、オーバーヘッドストリーム(14)は、約−23.3〜−62.2℃(−10〜−80°F)の温度で蒸留塔から排出される。
【0026】
蒸留塔からのボトムスストリーム(16)を、製品ストリーム(18)と、熱入力(Q)を受け取るリボイラー(30)に向かうリサイクルストリーム(22)とに分ける。任意には、冷却器において、製品ストリーム(18)を約15.6〜54.4℃(60〜130°F)の温度に冷却できる。製品ストリーム(18)は、供給ガスストリームにおける重質の炭化水素を高度に富有している。図1に示す具体例では、製品ストリームは、プロパン及びより重質の成分を高度に富有しており、後述のように、軽質のガスはセールスガスとして除去される。別法では、プラントを、製品ストリームがC4+炭化水素を高度に富有し、プロパンがセールスガスにおいてエタンと共に除去されるように作動することができる。リサイクルストリーム(22)を、リボイラー(30)において加熱して、熱を蒸留塔に提供する。蒸留塔のために一般的に使用される各種のリボイラを使用できる。
【0027】
蒸留塔オーバーヘッドストリーム(14)は主熱交換器(10)を通り、ここで、プロセスガスとの熱交換接触によって冷却されて、部分的に液化する。蒸留塔オーバーヘッドストリームは、ライン(19)を通って主熱交換器を排出されるが、後述のように、混合冷媒を生成するように充分に冷却されている。主熱交換器において、蒸留塔オーバーヘッドストリームは、好ましくは、約−34.4〜−90℃(−30〜−130°F)の温度に冷却される。
【0028】
図1に示すプロセスの具体例では、冷却され、部分的に液化されたストリーム(19)を、ミキサー(100)において、還流セパレーター(40)からのオーバーヘッドストリーム(28)と合わせ、ついで、ライン(32)を通って、蒸留塔オーバーヘッドセパレーター(60)に供給する。別法では、ストリーム(19)を、還流セパレーター(40)からのオーバーヘッドストリーム(28)と合わせることなく、蒸留塔オーバーヘッドセパレーター(60)に供給することもできる。オーバーヘッドストリーム(28)を、直接、蒸留塔オーバーヘッドセパレーターに供給することができ、又はプロセスの他の具体例では、還流セパレーター(40)からのオーバーヘッドストリーム(28)をセールスガス(42)と合わせることができる。任意には、還流セパレーター(40)からのオーバーヘッドストリームを、蒸留塔オーバーヘッドストリーム(19)と混合させるためにライン(28a)を通って供給する前に、制御弁(75)を通過させることができる。使用する供給ガス及び他のプロセスのパラメーターに応じて、制御弁(75)は、エタンコンプレッサー(80)への圧力を保持するため(このストリームの凝縮を容易にすることができる)及び蒸留塔の頂部へ液体を移動させるための圧力を提供するために使用される。別法では、蒸留塔の頂部へ液体をさせるために必要な圧力を提供するために、還流ポンプを使用することができる。
【0029】
図1に示す具体例では、合わせた蒸留塔オーバーヘッドストリーム及び還流ドラムオーバーヘッドストリーム(32)を、蒸留塔オーバーヘッドセパレーター(60)において、オーバーヘッドストリーム(42)とボトムスストリーム(34)とに分離する。蒸留塔オーバーヘッドセパレーター(60)からのオーバーヘッドストリーム(42)は、セールスガス(例えば、メタン、エタン及びより軽質の成分)を含有している。蒸留塔オーバーヘッドセパレーターからのボトムスストリーム(34)は、主熱交換器(10)における冷却に使用される混合冷媒である。
【0030】
セールスガスは、ライン(42)から主熱交換器(10)を通過して、加温される。一般的なプラントでは、セールスガスは、−40〜−84.4℃(−40〜−120°F)の温度及び約85〜435 psiaの圧力で脱エタン塔オーバーヘッドセパレーターを出て、約37.8〜48.9℃(100〜120°F)の温度で主熱交換器を出る。セールスガスは、ライン(43)を通って、更なる処理に送給される。
【0031】
混合冷媒は、蒸留塔オーバーヘッドセパレーターボトムスライン(34)を通って流動する。混合冷媒の温度は、制御弁(65)を通る冷媒の圧力を低減することによって低下される。混合冷媒の温度を、主熱交換器(10)における必要な冷却を提供するに充分に冷たい温度に低下させる。ライン(35)を通って、混合冷媒を主熱交換器に供給する。主熱交換器に入る混合冷媒の温度は、一般に、約−51.1〜−115℃(−60〜−175°F)である。混合冷媒の温度を低減するために制御弁(65)を使用する場合、温度は、一般に、約11.1〜27.7℃(20〜50°F)低下され、圧力は約90〜250 psi低下される。混合冷媒は、主熱交換器(10)を通過する間に蒸発、過熱され、ライン(35a)を通って出る。主熱交換器を出る混合冷媒の温度は、約26.7〜37.8℃(80〜100°F)の温度である。
【0032】
主熱交換器を出た後、混合冷媒はエタンコンプレッサー(80)に供給される。混合冷媒は、約110〜176.7℃(230〜350°F)の温度における蒸留塔の作動圧力よりも約15〜20psi高い圧力に圧縮される。混合冷媒を蒸留塔の圧力よりも高い圧力に圧縮することによって、還流ポンプが不要となる。圧縮された混合冷媒は、ライン(36)を通って冷却器(90)に流動し、ここで、約21.1〜54.4℃(70〜130°F)の温度に冷却される。任意には、冷却器(90)を省略でき、後述するように、圧縮した混合冷媒を、主熱交換器(10)に直接供給できる。ついで、混合冷媒はライン(38)を通って主熱交換器(10)に流動し、ここで、さらに冷却され、部分的に液化する。主熱交換器では、混合冷媒は、約−9.4〜−56.7℃(15〜−70°F)の温度に冷却される。部分的に液化した混合冷媒を、ライン(39)を介して還流セパレーター(40)に導入する。既に述べたように、図1の具体例では、還流セパレーター(40)からのオーバーヘッド(28)を、蒸留塔からのオーバーヘッド(14)と合わせ、合わせたストリーム(32)を蒸留塔オーバーヘッドセパレーターに供給する。還流セパレーター(40)からの液体ボトムス(26)を、還流ストリーム(26)として蒸留塔にフィードバックする。制御弁(75,85)は、コンプレッサーへの圧力を保持して凝縮を促進するために使用される。
【0033】
還流として使用されるオープンループ混合冷媒は、蒸留塔において、ガス相成分を富有化させる。蒸留塔において富有化されたガスにより、蒸留塔のオーバーヘッドストリームは、より温かい温度で凝縮し、蒸留塔は、NGLを高レベルで回収するために通常要求されるよりも温かい温度で作動する。
【0034】
蒸留塔への還流も、塔からの重質の炭化水素の損失を低減する。例えば、プロパンの回収プロセスでは、還流は蒸留塔におけるエタンのモルフラクションを増大させ、オーバーヘッドストリームを凝縮させることが容易になる。プロセスは、蒸留塔オーバーヘッドドラムにおいて凝縮した液体を2度使用しており、1度目は低温冷媒としての使用であり、2度目は蒸留塔のための還流ストリームとしての使用である。
【0035】
図2(図中、同じ符号は上述のものと同じ成分及びフローストリームを表わす)に示す他の具体例では、プロセスを、エタン及び軽質の成分からプロパン及び他のC3+炭化水素を分離するために使用している。混合冷媒を戻しライン(45)及びエタン回収ライン(47)に分けるため、ライン(38)において、混合冷媒コンプレッサー(80)及び混合冷媒冷却器の後に、ティー(110)を設けている。戻しライン(45)は、上述のように、混合冷媒の一部をプロセススルー主熱交換器(10)に戻す。エタン回収ライン(47)は、混合冷媒の一部を、エタン回収のための別個のエタン回収ユニットに供給する。混合冷媒ストリームの一部の除去は、所望の冷凍を提供するに充分なC2成分がシステムに残る場合には、プロセスに対して最少の影響を及ぼすのみである。いくつかの具体例では、C2回収のために、混合冷媒の95%程度を除去できる。回収されたストリームは、例えば、エチレンクラッキングユニットにおける供給ストリームとして使用できる。
【0036】
本発明の他の具体例では、NGL回収ユニットは、プロパンと共に、顕著な量のエタンを回収できる。プロセスのこの具体例では、蒸留塔が脱メタン塔であり、オーバーヘッドストリームは、主として、メタン及び不活性ガスを含有し、一方、塔ボトムスは、エタン、プロパン及びより重質の成分を含有する。
【0037】
プロセスの他の具体例では、脱エタン塔オーバーヘッドドラムを吸収器と交換することができる。図3(図中、同じ符号は上述のものと同じ成分及びフローストリームを表わす)に示すように、この具体例では、蒸留塔(20)からのオーバーヘッドストリーム(14)は主熱交換器(10)を通過し、冷却されたストリーム(19)は吸収器(120)に供給される。還流セパレーター(40)からのオーバーヘッドストリーム(28)は吸収器(120)に供給される。吸収器からのオーバーヘッドストリーム(42)及び吸収器からのボトムスストリーム(34)は混合冷媒である。図3に示す他のストリーム及び成分は、上述のものと同じフローストリーム経路を有する。
【0038】
図4(図中、同じ符号は上述のものと同じ成分及びフローストリームを表わす)示すさらに他の具体例では、プロセスでは、第2のセパレーター及び冷却器は使用されない。この具体例では、圧縮した混合冷媒(36)を主熱交換器(10)を通して供給し、還流フローを提供するため、ライン(39)を通って蒸留塔に供給する。
【0039】
本発明のプロセスの特別の具体例に係る実施例を以下に示す。これらの実施例は、本発明のプロセスをさらに詳細に説明するために例示するものであり、本発明の範囲を限定するものではない。
【実施例1】
【0040】
以下の実施例では、図1に示す処理プラントにおいて、異なるタイプ及び組成の供給ガスを使用して行った操作を、Apsen HYSYSシミュレーターを使用して、コンピューターにてシミュレートしたものである。この具体例では、比較的リーンな供給ガスを使用するC3+回収に関する操作パラメーターを示す。表7は、リーンな供給ガスを使用するプロパン回収に関する操作パラメーターを示す。供給ガス、セールスガスストリーム及びC3+製品ストリーム、及び混合冷媒ストリームの組成(モルフラクション)を表1に示す。この具体例に関するエネルギー入力は、リボイラー(30)に対して約3.717×105 Btu/時間(Q)及びエタンコンプレッサー(80)に対して約459馬力(P)であった。
【表1】
【0041】
表1において理解されるように、蒸留塔の底部からの製品ストリーム(18)は、高度にC3+成分にて富有化されており、一方、セールスガスストリーム(43)は、ほぼすべてC2及びより軽質の炭化水素及びガスからなる。供給ガス中のプロパンの約99.6%が、製品ストリームにおいて回収された。混合冷媒は、主としてメタン及びエタンからなるが、セールスガスよりも多くのプロパンを含有している。
【実施例2】
【0042】
この実施例では、図1に示す処理プラントにおいて、リファイナリー供給ガスを使用して、製品ストリーム中でC3+成分を回収する場合の操作パラメーターを示す。表8はリファイナリー供給ガスを使用する操作パラメーターを示す。供給ガス、セールスガスストリーム及びC3+製品ストリーム、及び混合冷媒ストリームの組成(モルフラクション)を表2に示す。この具体例に関するエネルギー入力は、リボイラー(30)に対して約2.205×106 Btu/時間(Q)及びエタンコンプレッサー(80)に対して約228馬力(P)であった。
【表2】
【0043】
表2において理解されるように、蒸留塔の底部からの製品ストリーム(18)は、高度にC3+成分にて富有化されており、一方、セールスガスストリーム(43)は、ほぼすべてC2及びより軽質の炭化水素及びガス、特に水素からなる。このストリームは、有用な水素をアップグレードするために、メタンユニット又はPSAに供給される。供給ガス中のプロパンの約97.2%が、製品ストリームにおいて回収された。混合冷媒は、主としてメタン及びエタンからなるが、セールスガスよりも多くのプロパンを含有する。
【実施例3】
【0044】
この実施例では、図1に示す処理プラントにおいて、リファイナリー供給ガスを使用して、製品ストリーム中でC4+成分を回収し、同時にセールスガスストリーム中でC3成分を回収する場合の操作パラメーターを示す。表9は、このプロセスの実施例に関する操作パラメーターを示す。供給ガス、セールスガスストリーム及びC4+製品ストリーム、及び混合冷媒ストリームの組成(モルフラクション)を表3に示す。この具体例に関するエネルギー入力は、リボイラー(30)に対して約2.512×106 Btu/時間(Q)及びエタンコンプレッサー(80)に対して約198馬力(P)であった。
【表3】
【0045】
表3において理解されるように、蒸留塔の底部からの生成物ストリーム(18)は、高度にC4+成分にて富有化されており、一方、セールスガスストリーム(43)は、ほぼすべてC3及びより軽質の炭化水素及びガスからなる。供給ガス中のC4+成分の約99.7%が、製品ストリームにおいて回収された。混合冷媒は、主としてC3及びより軽質の成分からなるが、セールスガスよりも多くのブタンを含有していた。
【実施例4】
【0046】
この実施例では、図2に示す処理プラントにおいて、リファイナリー供給ガスを使用して、製品ストリーム中でC3+成分を回収し、同時にセールスガスストリームにおいてC2及びより軽質の成分を回収する場合の操作パラメーターを示す。この例では、混合冷媒の一部を、ライン(47)を通って除去し、さらに処理するため、エタン回収ユニットに供給する。表10は、このプロセスの実施例に関する操作パラメーターを示す。供給ガス、セールスガスストリーム及びC3+製品ストリーム、及び混合冷媒ストリームの組成(モルフラクション)を表4に示す。この具体例に関するエネルギー入力は、リボイラー(30)に対して約2.089×106 Btu/時間(Q)及びエタンコンプレッサー(80)に対して約391馬力(P)であった。
【表4】
【0047】
表4において理解されるように、この実施例では、蒸留塔の底部からの製品ストリーム(18)は、高度にC3+成分にて富有化されており、一方、セールスガスストリーム(43)は、ほぼすべてC2及びより軽質の炭化水素及びガスからなる。混合冷媒は、主としてC2及びより軽質の成分からなるが、セールスガスよりも多くのプロパンを含有する。
【実施例5】
【0048】
この実施例では、図3に示す処理プラントにおいて、リーン供給ガスを使用して、製品ストリーム中でC3+成分を回収し、同時にセールスガスストリームにおいてC2及びより軽質の成分を回収する場合の操作パラメーターを示す。この例では、混合冷媒を得るために、蒸留塔オーバーヘッドストリーム及び還流セパレーターオーバーヘッドストリームを分離するように、吸収器(120)を使用している。表11は、このプロセスの実施例に関する操作パラメーターを示す。供給ガス、セールスガスストリーム及びC3+製品ストリーム、及び混合冷媒ストリームの組成(モルフラクション)を表5に示す。この具体例に関するエネルギー入力は、リボイラー(30)に対して約3.734×105 Btu/時間(Q)及びエタンコンプレッサー(80)に対して約316馬力(P)であった。
【表5】
【0049】
表5において理解されるように、この実施例では、蒸留塔の底部からの製品ストリーム(18)は、高度にC3+成分にて富有化されており、一方、セールスガスストリーム(43)は、ほぼすべてC2及びより軽質の炭化水素及びガスからなる。混合冷媒は、主としてC2及びより軽質の成分からなるが、セールスガスよりも多くのプロパンを含有する。
【実施例6】
【0050】
この実施例では、図1に示す処理プラントにおいて、リッチ供給ガスを使用して、製品ストリーム中でC3+成分を回収し、同時にセールスガスストリームにおいてC2及びより軽質の成分を回収する場合の操作パラメーターを示す。表12は、このプロセスの実施例に関する操作パラメーターを示す。供給ガス、セールスガスストリーム及びC3+製品ストリーム、及び混合冷媒ストリームの組成(モルフラクション)を表6に示す。この具体例に関するエネルギー入力は、リボイラー(30)に対して約1.458×106 Btu/時間(Q)及びエタンコンプレッサー(80)に対して約226馬力(P)であった。
【0051】
【表6】
【0052】
表6において理解されるように、この実施例では、蒸留塔の底部からの製品ストリーム(18)は、高度にC3+成分にて富有化されており、一方、セールスガスストリーム(43)は、ほぼすべてC2及びより軽質の炭化水素及びガスからなる。混合冷媒は、主としてC2及びより軽質の成分からなるが、セールスガスよりも多くのプロパンを含有する。
【0053】
本発明の特別な具体例について上述したが、当業者であれが、特許請求の範囲に記載する発明の精神を逸脱することなく、上述のプロセスに各種の変形及び変更を加えることができるであろう。従って、好適な具体例に関する上述の記載は、本発明を限定するための藻ではなく、単に説明するために示したものである。
【0054】
【表7】
【0055】
【表8】
【0056】
【表9】
【0057】
【表10】
【0058】
【表11】
【0059】
【表12】
図1
図2
図3
図4