(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5770873
(24)【登録日】2015年7月3日
(45)【発行日】2015年8月26日
(54)【発明の名称】日本酒試飲装置
(51)【国際特許分類】
B67D 1/04 20060101AFI20150806BHJP
G07F 13/02 20060101ALI20150806BHJP
A47F 7/28 20060101ALI20150806BHJP
【FI】
B67D1/04 C
G07F13/02 102
A47F7/28
【請求項の数】4
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2014-33629(P2014-33629)
(22)【出願日】2014年2月25日
【審査請求日】2014年2月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】504190733
【氏名又は名称】株式会社 レルヒ
(74)【代理人】
【識別番号】100084102
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 彰
(72)【発明者】
【氏名】高村 秀夫
【審査官】
柏原 郁昭
(56)【参考文献】
【文献】
登録実用新案第3126202(JP,U)
【文献】
特開平11−198995(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3133631(JP,U)
【文献】
実開平06−003161(JP,U)
【文献】
特開平07−272109(JP,A)
【文献】
特開2005−050261(JP,A)
【文献】
特開平07−000274(JP,A)
【文献】
実開昭63−111499(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B67D 1/04
A47F 7/28
G07F 13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の収納容量を備えた冷蔵庫内に、複数本の日本酒瓶を設置する酒瓶設置部を設けると共に、前記冷蔵庫の前面に日本酒の銘柄毎に前部開口のボックス状の供給部を形成し、前記各供給部内に試飲容器載置部を設け、酒瓶設置部に設置される日本酒瓶内と試飲容器載置部上方に設けた放出口とを供給ホースで連結し、各日本酒瓶を密閉して瓶内に高圧気体を供給すると共に、前記放出口に定量供給制御を行う弁機構を付設し、各供給部に隣接して設けたコイン投入口へのコイン投入検知で、前記弁機構が弁開放を開始して定量供給を行うことを特徴とする日本酒試飲装置。
【請求項2】
高圧気体が窒素ガスである請求項1記載の日本酒試飲装置。
【請求項3】
放出口に隣接して試飲容器内の酒量を検知して弁機構を遮断動作させる水位検知機構を設けてなる請求項1又は2記載の日本酒試飲装置。
【請求項4】
冷蔵庫内の酒瓶設置部に、酒瓶内酒量の空瓶検知機構を付設してなる請求項1乃至3記載の何れかの日本酒試飲装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多数の銘柄が存在する日本酒について、少量供給を行う試飲装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
多数の銘柄が存在する日本酒において、その試飲が容易に行えるような試飲装置が従前より提案されている。
【0003】
例えば特許文献1(実開平6−3161号公報)には、空調装置を備えた断熱ボックス内部に、傾斜載置棚を設置して、定量排出機構を介した放出ホースを連結した酒瓶を前記傾斜棚に載置し、開封した清酒の長期間保存とともに、所望の銘柄の日本酒の定量供給を実現する試飲装置が開示されている。
【0004】
また特許文献2(特開2012−252688号公報)には、複数本の酒容器が上下反転し、且つ回転可能に取り付けられ、前記容器の開口部に定量排出機構を設け、回転手段により所望の銘柄の酒を選択し、当該酒の定量供給を実現する試飲装置が開示されている。
【0005】
更に特許文献3(登録実用新案3133631号公報)には、多数の酒瓶に接続した各ホースに移送ポンプを介在させて、動作させる移送ポンプを選択して所望の銘柄の酒の定量供給を実現する試飲装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開平6−3161号公報。
【特許文献2】特開2012−252688号公報。
【特許文献3】登録実用新案3133631号公報。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
多数の酒瓶から所望の銘柄を選択して試飲する試飲装置は、試飲を行う者が試飲容器(お猪口のような小さい容器)を所定の位置に置き、試飲対象飲料が注がれたら当該載置箇所から試飲容器を取出し、試飲を行うものである。即ち人が立った状態で、自然に試飲容器の載置及び取り出しの動作が行いやすい高さに、試飲容器の載置個所が設けられている。
【0008】
前記の特許文献1,2記載の試飲装置に在っては、飲料供給に自然流下を採用しているので、酒瓶の配置を試飲装置より高い個所とする必要があり、装置全体の安定性や、空瓶の取り換え作業を考慮すると高所配置は不便である。
【0009】
また特許文献3記載のように、酒瓶の下方設置とポンプ圧送を採用した場合には、銘柄酒が混合しないように、銘柄毎に移送ポンプを設ける必要があり装置自体が複雑になり製造コストが嵩む。
【0010】
更に従前の試飲装置は、全体が冷蔵で保冷されているとしても、酒瓶内の飲料が残存している相応の期間は、開封状態となり、酒の酸化が進み、微妙なる風味を飲み分けるための試飲に影響を与える。
【0011】
そこで本発明は簡易な構造で酒瓶の低所配置を実現し、更に酒の酸化を防止できる日本酒試飲装置を提案したものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の請求項1記載に係る日本酒試飲装置は、所定の収納容量を備えた冷蔵庫内に、複数本の日本酒瓶を設置する酒瓶設置部を設けると共に、
前記冷蔵庫の前面に前部開口のボックス状の供給部を日本酒の銘柄毎に形成し、前記各供給部内に試飲容器載置部を設け、酒瓶設置部に設置される日本酒瓶内と試飲容器載置部上方に設けた放出口とを供給ホースで連結し、
各日本酒瓶を密閉して瓶内に高圧気体を供給すると共に、前記放出口に定量供給制御を行う弁機構を付設し、
各供給部に隣接して設けたコイン投入口へのコイン投入検知で、前記弁機構が弁開放を開始して定量供給を行うことを特徴とするものである。
【0013】
而して試飲対象となる銘柄酒の酒瓶を冷蔵庫内の酒瓶設置部に設置し、前記各酒瓶に供給ホースと高圧気体の供給する気体ホースを連結して密封した状態で、試飲容器を試飲容器載置部に載置して弁機構を開閉すると、酒瓶が低所位置にあっても高所位置のいずれであっても前記高圧気体によって試飲対象酒が押し出され、放出口から試飲容器に向けて放出され、試飲容器に一定量の酒が供給されることになる。
また日本酒の銘柄毎に前部開口のボックス状に形成した供給部内に試飲容器載置部を設けているので、各々銘柄毎に独立して選択して試飲操作ができる。
【0014】
また請求項2記載の発明に係る日本酒試飲装置は、特に高圧気体を窒素ガスとしたもので、酒瓶内は窒素ガスで満たされているので、日本酒の酸化を防止できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の構成は上記のとおりポンプを使用することなく高圧気体による酒瓶からの押し出し放出手段を採用することで、酒瓶の低所配置を含む任意位置の配置を実現したものであり、また特に高圧気体として窒素ガスを使用することで、酒の酸化を防止できる日本酒試飲装置を提供できたものである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に本発明の実施形態について説明する。実施形態に示した日本酒試飲装置は、冷蔵庫1の前面に設けた供給部2、冷蔵庫1内に設けた酒瓶設置部3、供給ホース4、及び高圧気体供給部5を備えてなる。
【0019】
冷蔵庫1は、適宜な空調機構を装備し、背面に開閉扉11を設け、前面に多数の前面開口のボックス状の供給部2を形成したものである。
【0020】
供給部2は、試飲できる銘柄毎に設けられたもので、内部底面には試飲容器(利き酒用容器)Aを載置する試飲容器載置部21を形成し、ボックス内上方に、前記試飲容器載置部21に向けて試飲飲料(日本酒)を放出する放出口22と、放出口22に連続して設けて放出口22の流路を開閉する弁機構(電磁弁機構)23と、放出口に隣接して試飲容器A内の酒量を超音波の反射で検知して、弁機構23を遮断動作させる水位検知機構24を設けてなる。
【0021】
また供給部2におけるボックス外周前面には、試飲対象の日本酒の銘柄表示板25と、弁機構23の開口指示のスイッチ部となるコイン投入口26を設けたものである。
【0022】
酒瓶設置部3は、冷蔵庫1内に設けたもので、所定の銘柄の日本酒が入った酒瓶(市販の状態の日本酒)Bを傾斜状態で設置できる設置台31を備えると共に、設置された酒瓶Bの底面近くに、酒瓶内水位が所定以下に達すると作用する近接スイッチなどで形成した空瓶検知機構32を付設してなるものである。
【0023】
供給ホース4は、各酒瓶B内の底方と各供給部2の弁機構23とを連結するもので、酒瓶B内の日本酒を供給部2まで供給するものである。
【0024】
高圧気体供給部5は、窒素ガスボンベ51と、圧力調整機構52を介し適宜減圧して各酒瓶Bに高圧窒素ガスを供給する気体ホース53と、酒瓶毎の気体ホース53に介設した開閉コック54を備え、各気体ホース53を接続する各酒瓶はその開口個所を密閉してなるものである。
【0025】
而して前記実施形態に示した日本酒試飲装置は、冷蔵庫1内の設置台31に日本酒瓶Bを設置すると共に、各酒瓶Bに供給ホース4と気体ホース53を密閉状態で装着し、供給ホース4は、当該酒瓶Bの銘柄と一致する供給部2の弁機構23に接続する。
【0026】
そこで試飲を行う者は、試飲容器Aを所望の銘柄の供給部2の試飲容器載置部21に試飲容器Aを置き、コイン投入口26から所定のコインを投入すると、弁機構23が開口し、高圧気体(減圧窒素ガス)の圧力が加わっている酒瓶Bから日本酒が供給ホース4に圧送され、供給ホース4内の日本酒が放出口22から押し出されて放出される。
【0027】
日本酒が試飲容器Aに向けて放出され、試飲容器Aに所定量の日本酒が溜まると、水位検知機構24で試飲容器の水位を検知し、弁機構23を閉口動作させて日本酒の放出を停止する。
【0028】
また酒瓶B内の日本酒が少なくなると、空瓶検知機構32で空き状態を知ることができ、冷蔵庫1の開閉扉11から酒瓶Bの取り換えを行うものである。
【符号の説明】
【0029】
1 冷蔵庫
11 開閉扉
2 供給部
21 試飲容器載置部
22 放出口
23 弁機構(電磁弁機構)
24 水位検知機構
25 銘柄表示板
26 コイン投入口
3 酒瓶設置部
31 設置台
32 空瓶検知機構
4 供給ホース
5 高圧気体供給部
51 窒素ガスボンベ
52 圧力調整機構
53 気体ホース
54 開閉コック
【要約】
【課題】 複数銘柄の日本酒の試飲を行う装置において、簡易な機構で日本酒瓶の低所設置も可能な任意位置とし、また日本酒の酸化・劣化を防止する。
【解決手段】所定の収納容量を備えた冷蔵庫1内に、複数本の日本酒瓶Bを設置する酒瓶設置部3を設けると共に、前記冷蔵庫の前面に試飲容器載置部21を備えた供給部2を設け、前記の酒瓶設置部に設置される各日本酒瓶B内と試飲容器載置部上方に設けた放出口とを供給ホース4で連結し、放出口に定量供給制御を行う弁機構を付設し、各日本酒瓶を密閉して瓶内に高圧気体を供給し、高圧気体(窒素ガス)で日本酒を圧送する。
【選択図】
図2