(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5770889
(24)【登録日】2015年7月3日
(45)【発行日】2015年8月26日
(54)【発明の名称】ムカデ撃退装置及び害虫撃退装置
(51)【国際特許分類】
A01M 29/28 20110101AFI20150806BHJP
【FI】
A01M29/28
【請求項の数】7
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-117033(P2014-117033)
(22)【出願日】2014年6月5日
【審査請求日】2014年6月12日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】713003516
【氏名又は名称】国安 佑太
(74)【法定代理人】
【識別番号】713003527
【氏名又は名称】国安 直子
(72)【発明者】
【氏名】国安 佑太
【審査官】
中村 圭伸
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第04839984(US,A)
【文献】
特開昭60−137235(JP,A)
【文献】
特開2012−174620(JP,A)
【文献】
特開平10−134674(JP,A)
【文献】
特開昭60−141223(JP,A)
【文献】
特開2004−304981(JP,A)
【文献】
特開2000−189038(JP,A)
【文献】
特開昭60−137228(JP,A)
【文献】
特開昭60−137240(JP,A)
【文献】
特開平08−068539(JP,A)
【文献】
特開2010−281497(JP,A)
【文献】
米国特許第06474014(US,B1)
【文献】
特開昭60−137236(JP,A)
【文献】
米国特許第02588894(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01M 1/22
A01M 29/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の外壁に取り付けられるムカデ撃退装置であって、
絶縁性及び撥水性を有し、前記外壁に取り付けられるベース部材と、
前記ベース部材の表面に設けられた平板状の下側電極と、
前記ベース部材の表面に設けられ、前記下側電極に対して間隙をあけて配置された平板状の上側電極と、を備え、
前記下側電極が、前記ベース部材の下端よりも上側に配置され、該下側電極からの漏電を抑制するために前記外壁から離れており、
前記上側電極が、前記ベース部材の上端よりも下側に配置され、該上側電極からの漏電を抑制するために前記外壁から離れており、
前記上側電極及び前記下側電極に電圧が印加されるムカデ撃退装置。
【請求項2】
請求項1記載のムカデ撃退装置において、
前記間隙に水が貯まることを抑制する抑制構造を更に備えたムカデ撃退装置。
【請求項3】
請求項2記載のムカデ撃退装置において、
前記抑制構造は、前記間隙に設けられた突起を有するムカデ撃退装置。
【請求項4】
請求項1記載のムカデ撃退装置において、
前記上側電極の上端部の高さ位置が、前記下側電極の上端部の高さ位置よりも高く、該上側電極の下端部の高さ位置が、前記下側電極の上端部の高さ位置以下となっているムカデ撃退装置。
【請求項5】
請求項4記載のムカデ撃退装置において、
前記上側電極が、前記下側電極よりも該下側電極の厚み方向にずれて配置されているムカデ撃退装置。
【請求項6】
請求項4記載のムカデ撃退装置において、
前記上側電極の下部が、前記下側電極の表面の側に延びているムカデ撃退装置。
【請求項7】
絶縁性及び撥水性を有し、第1の通気孔が形成されたベース部材と、
前記ベース部材の表面に設けられ、第2の通気孔が形成された下側電極と、
前記ベース部材の表面に設けられ、前記下側電極に対して間隙をあけて配置され、第3の通気孔が形成された上側電極と、を備え、
前記上側電極及び前記下側電極に電圧が印加され、
建物に設けられた換気口を覆う害虫撃退装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、
ムカデ撃退装置及び害虫撃退装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、厨房、食堂、食品保存室等に設置されている収納家具、流し台キャビネット、テーブル等に付設する電撃式防虫装置が記載されている。
この電撃式防虫装置は、それぞれ断面形状が異なる少なくとも一対の電撃用の電極帯を絶縁基板上に相互間に小間隙をもたせ、かつ平行に配設し、前記一対の電極帯に定電圧を印加する電源装置を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭60−137236号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、一対の電極を有する害虫撃退装置は、雨天時に電極から漏電する可能性がある。
本発明は、電極からの漏電を抑制できる
ムカデ撃退装置及び害虫撃退装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的に沿う第1の発明に係る
ムカデ撃退装置は、建物の外壁に取り付けられる
ムカデ撃退装置であって、
絶縁性及び撥水性を有し、前記外壁に取り付けられるベース部材と、
前記ベース部材の表面に設けられた
平板状の下側電極と、
前記ベース部材の表面に設けられ、前記下側電極に対して間隙をあけて配置された
平板状の上側電極と、を備え、
前記下側電極が、前記ベース部材の下端よりも上側に配置され、
該下側電極からの漏電を抑制するために前記外壁から離れており、
前記上側電極が、前記ベース部材の上端よりも下側に配置され、
該上側電極からの漏電を抑制するために前記外壁から離れており、
前記上側電極及び前記下側電極に電圧が印加される。
【0006】
【0007】
第1の発明に係る
ムカデ撃退装置において、
前記間隙に水が貯まることを抑制する抑制構
造を更に備えていてもよい。
【0008】
第1の発明に係る
ムカデ撃退装置において、
前記抑制構造は、前記間隙に設けられた突起を有することが好ましい。
【0009】
第1の発明に係る
ムカデ撃退装置において、
前記上側電極の上端部の高さ位置が、前記下側電極の上端部の高さ位置よりも高く、該
上側電極の下端部の高さ位置が、前記下側電極の上端部の高さ位置以下となっていること
が好ましい。
【0010】
第1の発明に係る
ムカデ撃退装置において、
前記上側電極が、前記下側電極よりも該下側電極の厚み方向にずれて配置されているこ
とが好ましい。
【0011】
第1の発明に係る
ムカデ撃退装置において、
前記上側電極の下部が、前記下側電極の表面の側に延びていることが好ましい。
【0012】
前記目的に沿う第2の発明に係る害虫撃退装置は、絶縁性及び撥水性を有し、第1の通
気孔が形成されたベース部材と、
前記ベース部材の表面に設けられ、第2の通気孔が形成された下側電極と、
前記ベース部材の表面に設けられ、前記下側電極に対して間隙をあけて配置され、第3
の通気孔が形成された上側電極と、を備え、
前記上側電極及び前記下側電極に電圧が印加され、
建物に設けられた換気口を覆う。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、電極からの漏電を抑制できる
ムカデ撃退装置及び害虫撃退装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の第1の実施の形態に係る害虫撃退装置の斜視図である。
【
図3】本発明の第2の実施の形態に係る害虫撃退装置の斜視図である。
【
図5】本発明の第3の実施の形態に係る害虫撃退装置の斜視図である。
【
図7】本発明の第4の実施の形態に係る害虫撃退装置の斜視図である。
【
図9】同害虫撃退装置の変形例を示す斜視図である。
【
図10】同害虫撃退装置の変形例を示す側面図である。
【
図11】本発明の第5の実施の形態に係る害虫撃退装置の斜視図である。
【
図13】同害虫撃退装置と換気口との位置関係を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。なお、図において、説明に関連しない部分は図示を省略する場合がある。
【0016】
〔第1の実施の形態〕
本発明の第1の実施の形態に係る害虫撃退装置100は、建物の外壁の下部に取り付けられ、例えばムカデ(害虫の一例)が建物の内部に侵入することを抑制できる。害虫撃退装置100は、
図1及び
図2に示すように、絶縁シート6、下側電極5、及び上側電極4を備えている。
【0017】
絶縁シート(ベース部材の一例)6は、絶縁材料で形成され、例えば、建物の外壁の下部(地面から例えば50〜500mmの高さ位置)に取り付けられる。絶縁シート6は、横方向に長い矩形状をしている。絶縁シートは、例えば表面がコーティングされ、下側電極5及び上側電極4の間隙7に水がたまらない程度の撥水性を有している。
【0018】
下側電極5は、絶縁シート6の表面に取り付けられている。下側電極5は、左右方向に延びる板状の電極である。下側電極5は、絶縁シート6の下端よりも上側に配置されている。従って、建物の外壁が濡れている場合であっても、下側電極5からの漏電が抑制される。
【0019】
上側電極4は、絶縁シート6の表面に取り付けられている。上側電極4は、左右方向に延びる板状の電極である。上側電極4は、絶縁シート6の上端よりも下側に配置されている。従って、建物の外壁が濡れている場合であっても、上側電極4からの漏電が抑制される。上側電極4は、下側電極5の上側に配置され、下側電極5に対して間隙7をあけて配置されている。この間隙7は、例えば、2〜10mmである。間隙7においては、絶縁シート6が露出しているが、この絶縁シート6は、撥水性を有しているので、間隙7に水がたまることが抑制され、下側電極5及び上側電極4の間でショートすることが抑制される。
下側電極5及び上側電極4には、図示しない電源装置が接続され、電圧が印加されている。印加される電圧の大きさは、例えば、5〜1000Vである。
【0020】
次に、害虫撃退装置100を用いたムカデの撃退方法について説明する。
使用者は、予め害虫撃退装置100を建物の外壁の下部に設置する。害虫撃退装置100は、外壁の周囲を隙間なく取り囲むように取り付けられることが好ましい。
外壁の下方から這い上がってくるムカデは、まず下側電極5に触れ、更に這い上がると、間隙7を跨いで上側電極4にも触れる。下側電極5及び上側電極4に触れたムカデには電流が流れる。その結果、ムカデは、電気的な衝撃を感じて這い上がることを断念する。
従って、害虫撃退装置100によれば、建物内に侵入しようとするムカデを撃退できる。
【0021】
〔第2の実施の形態〕
続いて、本発明の第2の実施の形態に係る害虫撃退装置200について説明する。第1の実施の形態に係る害虫撃退装置100と同一の構成要素については、同じ符号を付して詳しい説明を省略する。
【0022】
本発明の第2の実施の形態に係る害虫撃退装置200は、
図3及び
図4に示すように、絶縁シート6、下側電極5、及び上側電極4を備えている。
下側電極5と上側電極4の間にある間隙7には、間隙7が延びる方向に沿って、絶縁シート6から突出する突起9が形成されている。
このように、害虫撃退装置200によれば、間隙7に突起9が形成されていることにより、間隙7に水滴がたまることが抑制されるので、絶縁シート6の撥水性能が経年変化により低下した場合であっても、電極間(下側電極5及び上側電極4の間)にてショートすることが抑制される。
【0023】
〔第3の実施の形態〕
続いて、本発明の第3の実施の形態に係る害虫撃退装置300について説明する。第1の実施の形態に係る害虫撃退装置100と同一の構成要素については、同じ符号を付して詳しい説明を省略する。
【0024】
本発明の第3の実施の形態に係る害虫撃退装置300は、
図5及び
図6に示すように、絶縁シート6、下側電極5、及び上側電極4aを備えている。
上側電極4aの下部41は外側に折り曲げられ、下側電極5の上端部の表面の側に延びている。換言すると、上側電極4aの上端部の高さ位置は、下側電極5の上端部の高さ位置よりも高くなっており、上側電極4aの下端部の高さ位置は、下側電極5の上端部の高さ位置以下となっている。
【0025】
従って、間隙7が上側電極4aの下部41によって覆われているので、間隙7に水滴がたまることが抑制される。その結果、絶縁シート6の撥水性能が経年変化により低下した場合であっても、電極間(下側電極5及び上側電極4aの間)にてショートすることが抑制される。
【0026】
〔第4の実施の形態〕
続いて、本発明の第4の実施の形態に係る害虫撃退装置400について説明する。第1の実施の形態に係る害虫撃退装置100と同一の構成要素については、同じ符号を付して詳しい説明を省略する。
【0027】
本発明の第4の実施の形態に係る害虫撃退装置400は、
図7及び
図8に示すように、絶縁板11、下側電極5、及び上側電極4を備えている。
絶縁板(ベース部材の一例)11は、絶縁性を有している。また、絶縁板11は、例えば表面がコーティングされ、撥水性を有している。絶縁板11は、例えば、建物の外壁の下部(地面から例えば50〜500mmの高さ位置)に取り付けられる。絶縁板11は、正面から見ると横方向に長い矩形状であり、側面から見ると、上側が下側よりも厚くなるように形成されている。
上側電極4は、絶縁板11の上側の表面に取り付けられ、下側電極5は、絶縁板11の下側の表面に取り付けられている。従って、下側電極5及び上側電極4の間には、各電極4、5の厚み方向に間隙12が形成されている。この間隙12は、例えば、2〜10mmである。
【0028】
換言すると、上側電極4は、下側電極5よりも下側電極5の厚み方向にずれて配置されている。側面から見ると、
図8に示すように、上側電極4の方が、下側電極5よりも外側に配置され、上側電極4の上端部の高さ位置は、下側電極5の上端部の高さ位置よりも高くなっている。また、上側電極4の下端部の高さ位置は、下側電極5の上端部の高さ位置と実質的に同一となっている。
【0029】
なお、害虫撃退装置400の変形例として、
図9及び
図10に示す害虫撃退装置400aのように、上側電極18の上端部の高さ位置が、下側電極5の上端部の高さ位置よりも高くなっており、上側電極18の下端部の高さ位置が、下側電極5の上端部の高さ位置よりも低くなっていてもよい。
【0030】
すなわち、害虫撃退装置400においては、上側電極4の上端部の高さ位置は、下側電極5の上端部の高さ位置よりも高くなっている。また、上側電極4の下端部の高さ位置は、下側電極5の上端部の高さ位置以下となっている。
従って、下側電極5及び上側電極4の間隙12が水平方向に形成されているので、間隙12に水滴がたまることが抑制され、絶縁板11の撥水性能が経年変化により低下した場合であっても、電極間(下側電極5及び上側電極4の間)にてショートすることが抑制される。
【0031】
〔第5の実施の形態〕
続いて、本発明の第5の実施の形態に係る害虫撃退装置500について説明する。第1の実施の形態に係る害虫撃退装置100と同一の構成要素については、同じ符号を付して詳しい説明を省略する。
【0032】
本発明の第5の実施の形態に係る害虫撃退装置500は、
図13に示すように、建物の下部に設けられた換気口17を覆って取り付けられる。
害虫撃退装置500は、
図11及び
図12に示すように、ベース部材16、下側電極14、及び上側電極13を備えている。
【0033】
ベース部材16は、換気口17(
図13参照)を塞ぐように取り付けられている。ベース部材16は、
図11に示すように、複数の通気孔(第1の通気孔の一例)が形成された網状となっており、空気を通すことができる。ベース部材16は、絶縁材料で形成されている。また、ベース部材16は、例えば表面がコーティングされ、撥水性を有している。
下側電極14は、ベース部材16の表面に設けられている。下側電極14は、左右方向に延び、複数の通気孔(第2の通気孔の一例)が形成された網状の電極である。下側電極14は、ベース部材16の下端よりも上側に配置されている。従って、害虫撃退装置500が取り付けられる建物の外壁が濡れている場合であっても、下側電極14からの漏電が抑制される。
上側電極13は、ベース部材16の表面に設けられている。上側電極13は、左右方向に延び、複数の通気孔(第3の通気孔の一例)が形成された網状の電極である。上側電極13は、ベース部材16の上端よりも下側に配置されている。従って、建物の外壁が濡れている場合であっても、上側電極13からの漏電が抑制される。上側電極13は、下側電極14の上側に配置され、下側電極14に対して間隙15をあけて配置されている。
【0034】
なお、ベース部材16、下側電極14、及び上側電極13にそれぞれ形成された通気孔の大きさは、ムカデが換気口17(
図13参照)の内部に侵入できないよう、ムカデの大きさよりも小さくなっている。
下側電極14及び上側電極13には、図示しない電源装置が接続され、電圧が印加されている。印加される電圧の大きさは、例えば、5〜1000Vである。
【0035】
従って、害虫撃退装置500は、換気口17を覆って設置されるので、換気口17からのムカデの侵入を抑制するだけでなく、害虫撃退装置500を伝って這い上がろうとするムカデを撃退できる。
間隙15には、間隙15が延びる方向に沿って、ベース部材16から突出する突起(不図示)が形成されていてもよい。この突起が形成されていることにより、間隙15に水滴がたまることが抑制される。
【0036】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明は、上記した形態に限定されるものでなく、要旨を逸脱しない条件の変更等は全て本発明の適用範囲である。
害虫撃退装置が撃退できる害虫はムカデに限定されるものではない。害虫撃退装置は、間隙の大きさや電極に印加される電圧の大きさに応じて、種々の害虫を撃退できる。
【符号の説明】
【0037】
4 上側電極
4a 上側電極
5 下側電極
6 絶縁シート
7 間隙
9 突起
11 絶縁板
12 間隙
13 上側電極
14 下側電極
15 間隙
16 ベース部材
17 換気口
18 上側電極
41 下部
100 害虫撃退装置
200 害虫撃退装置
300 害虫撃退装置
400 害虫撃退装置
500 害虫撃退装置
【要約】
【課題】電極間のショートを抑制できる害虫撃退装置を提供する。
【解決手段】害虫撃退装置300は、絶縁性及び撥水性を有するベース部材6と、
ベース部材6の表面に設けられた下側電極5と、ベース部材6の表面に設けられ、下側電極5に対して間隙をあけて配置された上側電極4aと、を備え、上側電極4a及び下側電極5に電圧が印加される。
【選択図】
図1