(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5770908
(24)【登録日】2015年7月3日
(45)【発行日】2015年8月26日
(54)【発明の名称】物干し具
(51)【国際特許分類】
D06F 57/00 20060101AFI20150806BHJP
D06F 55/00 20060101ALI20150806BHJP
A47G 25/02 20060101ALI20150806BHJP
A47G 25/32 20060101ALI20150806BHJP
A47G 25/26 20060101ALI20150806BHJP
【FI】
D06F57/00 350
D06F57/00 340
D06F55/00 B
D06F57/00 370
A47G25/02 D
A47G25/32
A47G25/32 A
A47G25/26
【請求項の数】1
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-217373(P2014-217373)
(22)【出願日】2014年10月24日
【審査請求日】2014年10月24日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】714010182
【氏名又は名称】山崎 比奈子
(72)【発明者】
【氏名】山崎 比奈子
【審査官】
平田 慎二
(56)【参考文献】
【文献】
実公平05−032077(JP,Y2)
【文献】
実公昭63−024880(JP,Y2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 57/00
A47G 25/02
A47G 25/26
A47G 25/32
D06F 55/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物干し竿等に掛ける為のフック(1)と、このフックの下方に位置する横架材(2)と、この横架材に櫛の歯のように結合された複数のクリップ(3)を有する櫛型形状の物干し具において、前記クリップの構造は、間隔をあけて配置された一対の棒(5)の両内側から複数の毛、又は毛束が逆V字に向かい合わせに設けられたブラシ状(6)になっていることを特徴とする物干し具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗濯物等の着脱を軽快に行うことができ、薄型構造であるため収納空間をとらず、クローゼットへの衣類収納にも適している物干し具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から流通している物干し具は、折りたたみ可能な枠と、この枠に対し、揺動可能に吊り部材を介して吊り下げられた洗濯バサミとを有している。洗濯バサミは鎖等で自由に揺動可能に吊り下げられている。(特許文献1)
また、ハンガーの横架部に直接洗濯バサミを取り付けたものもある。(特許文献2)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5483982号
【特許文献2】特許第5543561号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そのために、次のような問題があった。
従来の洗濯バサミは、バネの力で挟むため女性、高齢者、子どもなどの力の弱い人には使いにくかった。
洗濯バサミの挟持力が強すぎて、一度に複数の洗濯物等を取り外すことが容易でなく、洗濯物等を損傷させる恐れもあった。
従来品は、不使用時に枠を折り畳んだ後、再びこの物干し具を使用すべく枠を開こうとする際、洗濯バサミが枠に引っ掛かったたり洗濯バサミ同士がからまったりして開きにくいという難点があった。
収納する際にも、洗濯バサミが他の物にひっかかって、片付けにくいという難点があった。
洗濯バサミが自由に揺動可能に吊り下げられているため、洗濯物がしわにならないようにピンと張った状態で干すのは難しかった。
従来品は、多数の部品によって構成されているため重くて嵩張るため運びづらく、又、物干し具自体が大きいため干す場所に困るという難点があった。
従来品は、折り畳んだりする際に指を挟んだり、自身や他者や物にひっかかりたり、刺さったりして危険な場合もあった。また、洗濯バサミで指を挟んでしまうこともあった。
また、複雑な構造のため価格も高くなるという問題があった。
本発明は、以上の欠点を解決するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、物干し竿等に掛ける為のフック(1)と、このフックの下方に位置する横架材(2)と、この横架材に櫛の歯のように結合された複数のクリップ(3)を有する櫛型形状の物干し具において、前記クリップの構造は、間隔をあけて配置された一対の棒(5)の両内側から複数の毛、又は毛束が逆V字に向かい合わせに設けられたブラシ状(6)になっていることを特徴とする物干し具である。
【0006】
洗濯物を吊り下げる際には、左右のブラシの間に下から洗濯物を挿入して(7)挟持する。ブラシの弾性力とブラシの毛の硬度による支持力と両ブラシによる挟持力と、ブラシの毛の一本一本の先端が洗濯物の繊維と繊維の隙間にひっかかることにより洗濯物を支え合い保持することができる。
【0007】
本発明の物干し具は、従来品のように洗濯バサミを使用せずに、前述しているような横架材とクリップを結合した櫛型構造であり(
図2)、薄い構造である(
図3)。
【0008】
また本発明の物干し具を連結させたもの(
図7)や、クリップ部分が折りたたみ可能なもの(
図9)は、折りたたむことによって薄い略平板状になることを特徴とする(
図8、
図10)。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、洗濯バサミを利用していないため、洗濯物等の取り付けを下から差し込むという単純な作業で行なうことができ、力の弱い人でも容易に行うことができる。
従来品のように、洗濯バサミを利用していないため、洗濯バサミを開き、洗濯物を挟んで、洗濯物を吊るすという三動作かかっていた手間を、洗濯物を挿入して、洗濯物を吊るすだけという二動作で行なうことができるため、簡単で速やかな作業を実現することができる。
クリップ間が適度に間隔があいて櫛型に固定されているため、従来の洗濯バサミのように揺れないため洗濯物干し作業がしやすい。また、このクリップ間の適度な間隔が通気性をもたらし洗濯物が乾きやすい。
ブラシの柔軟性により、洗濯物を下、又は横方向に引っ張ることで容易に取り外す事ができる。また、複数の洗濯物を一度に取り外す事を可能となった。
よほど繊細な素材を吊るさない限り、洗濯物を取り外す際に従来品の洗濯バサミのように衣類を損傷させる恐れもなく、衣類等に洗濯バサミ痕のような痕も残りにくい。
本発明は、洗濯バサミや鎖を使用していないことにより、物干し具自体が絡み合うという事はない。また、本発明の形状の特徴により、収納時には薄い略平板状(
図3、
図8、
図10)になることから、省スペース化もさることながら、他の物と絡みあって煩わしい思いをする事もない。
前述したとおり、本発明は櫛型形状を成しており、また、挟持部分にはブラシの弾性力を利用していることから、洗濯物を干している状態の時に左右からの引っぱりを適度に保持できるため、ハンカチ等を干す際にピンと張ったしわをのばした状態で干す事ができる(8)。
また、この形状により、軽い小物を干す際にはクリップは1つ、大きめのものや重い物はクリップを複数同時に使うなどして(
図4)、多種多様の洗濯物を干す際にも臨機応変に対応できる。
従来品のハンガーと同じようにTシャツ等の服の内側の肩の部分にかけて干すという使い方もできる(
図5)。
ズボン等は乾きにくい衣類であるが、
図6のように、横架部にズボンの腰部分を内側からひっかけ、内側のクリップで止めるように干すと、乾きやすい上に、水を含んだ重い衣類であっても安定して干すことができる。
実施例3(
図9、
図10)のような使い方をする場合、矢印の方向(9)にクリップを内側に横架材内に折りたたむことができ、折りたたんだ際には、細い1本の棒状になるため(
図10)、嵩張らず、しかも軽量であるため、旅行時やアウトドア、または非常時のための携帯性に優れている。
薄型構造であるため、収納空間もとらないことからスカーフやネクタイ等の収納に適している他、クローゼット等の衣類収納場所への衣類収納にも適している。
また、構造自体がとても単純であり、フック、横架材、クリップをプラスチックで成形した場合、非常に軽い物干し具となる。また、軽い構造のため、洗濯物を取り付けてから移動させるという行為も容易に行なう事ができる。
ブラシの毛の先端の多数の点で保持する構造のため、挟持部に隙間が保たれ通気性が良くなり、洗濯バサミのように面でとめて吊るすよりも挟持部が乾きやすい。
また、本発明は鋭利な突起物が出ない構造になっているため、自身や他者及び物を傷つける心配がない。また、洗濯バサミで手を挟んでしまうこともなく安全である。
本発明の物干し具は、従来品のような多数の部材を使った複雑なものでないため、安価に製造できる構造である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図9】第三の実施例のクリップを出した状態の正面図である。
【
図10】第三の実施例のクリップを折りたたんだ状態の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、物干し竿等に掛ける為のフック(1)と、このフックの下方に位置する横架材(2)と、この横架材に櫛の歯のように結合された複数のクリップ(3)を有する櫛型形状の物干し具において、前記クリップの構造は、間隔をあけて配置された一対の棒(5)の両内側から複数の毛、又は毛束が逆V字に向かい合わせに設けられたブラシ状(6)になっていることを特徴とする物干し具である。
ブラシの弾性力とブラシの毛の硬度による支持力と両ブラシによる挟持力と、ブラシの
毛の一本一本の先端が洗濯物の繊維と繊維の隙間にひっかかることにより洗濯物を保持するため、ブラシ部分の素材は硬度を保ちながらも反発弾性に優れた素材が望ましい。また、ブラシの毛同士が接触する事によって各々が絡み合わないようにするため、毛自体の摩擦力が小さいナイロン、ポリプロピレン又はそれらと同等の弾性力や硬度のある素材にて構成する事が望ましい。また、ブラシ以外のその他の箇所の部材の素材についてはプラスチック、金属、木等の剛体で剛的に形成する。また、フックについては紐等を利用しても良い。
ブラシ部分の毛(6)は、両側から逆V字に向かい合わせに設けることで保持力が増すため、ブラシ部分の毛を上方に向けて設ける。
クリップの数は、複数にした方が使いやすい。本発明の物干し具は、安全性を考慮し、全体的に丸みを帯びた形状にすることが望ましい。
【実施例1】
【0012】
実施例1は、フック、横架材、クリップが一体化された物干し具である(
図1)。横架材の長さは38cm〜45cm程度が望ましい。プラスチック素材で成形すると軽く、扱いやすい。
【0013】
クリップ間が適度に間隔があいているため、洗濯物干し作業が容易である上、通気性にも優れている。また、
図4の6のように、複数個のクリップを使い、ピンと張った状態で干す事ができるため、洗濯物がしわになりにくく、乾きやすい。
【0014】
図5のように、シャツ等を干す際には、従来品のハンガーのように使用することもできる。
【0015】
ズボン等は乾きにくい衣類であるが、
図6のように、横架部にズボンの腰部分を内側からひっかけ、内側のクリップで止めるように干すと、乾きやすい上に、水を含んだ重い衣類であっても安定して干すことができる。
【実施例2】
【0016】
実施例2は、物干し具を複数連結させたものである(
図7)。本発明の物干し具は櫛型の構造になっているため、櫛の歯を互い違いに折りたたむことにより(
図8)、略平板状になり、取り扱いやすく、収納空間に困らない。
【実施例3】
【0017】
実施例3は、矢印の方向(9)にクリップを内側に横架材内に折りたたむことができ、折りたたんだ際には、細い1本の棒状になるため(
図10)、嵩張らず、しかも軽量であるため、旅行時やアウトドア、または非常時のための携帯性に優れている。
【実施例4】
【0018】
実施例4は、クリップを横架部の左右方向に動かすことが可能である(
図11)。使用者の利用状況によりクリップ間の間隔を自在に決めて利用することができる。
【0019】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において適宜変形実施可能である。
【符号の説明】
【0020】
1 フック
2 横架材
3 クリップ
4 ブラシ
5 クリップを構成する棒
6 ブラシの毛
7 衣類等の挿入方向
8 洗濯物
9 折りたたみ方向
10 折り込まれたクリップの陰線
11 可動方向
【要約】
【課題】
従来から流通している物干し具は、使い勝手が悪く、構造が複雑で重くなり、価格も高くなるという問題があったため本発明によりこれらの問題を解決できる物干し具を提供する。
【解決手段】
本発明は、物干し竿等に掛ける為のフックと、このフックの下方に位置する横架材と、この横架材に対し櫛の歯のように結合された複数のクリップを有する櫛型形状の物干し具において、前記クリップの構造が、左右一対に間隔をあけて配置された棒の両内側に複数の毛、又は毛束が相互に間隔をあけて位置するブラシ状になっていることを特徴とする物干し具を提供する。
【選択図】
図1