(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記出題管理手段は、前記個人情報データベース及び前記遷移データベースに基づき、入力された前記解答が正答であっても前記解答時間が前記解答基準時間を超えた場合、前記発展問題ではなく前記基礎問題を前記遷移問題として出題する
ことを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の学習システム。
前記出題管理手段は、前記個人情報データベース及び前記遷移データベースに基づき、入力された前記解答が正答であっても前記解答時間が前記解答基準時間を超えたときには弱点問題に遷移すべき設定がある場合、前記発展問題ではなく前記弱点問題を前記遷移問題として出題する
ことを特徴とする請求項5に記載の学習システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の学習システムにおいては、不正解回数と正解回数との比較に基づいて復習問題を出題するか否かを判定するため、得意問題と不得意問題とに対する軽重付けした学習カリキュラムを提供することが難しい。その結果、学習効果を短時間で得ることが難しいという問題があった。
【0007】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、学習効果を短時間で得ることができる学習システムを提供することを本発明の目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)前述した目的を達成するため、本発明の学習システムは、複数の問題と、問題に個別に付された問題番号と、を含む問題データベースを記憶する第1記憶手段と、出題する問題番号、1の問題から想定される正答、典型的誤答、例外的誤答その他の複数の解答、及び、正答に対応して遷移する発展問題、典型的誤答に対応して遷移する弱点問題、例外的誤答に対応して遷移する類似問題又は基礎問題その他の解答に対応して次に解くことが学習効果上好ましいと考えて出題者が設定した遷移問題の問題番号である遷移番号、を含む遷移データベースを記憶する第2記憶手段と、入力手段を介して入力された解答を収集する収集手段と、収集手段から得られた解答及び遷移データベースに基づいて、次に出題すべき遷移問題を表示手段に出力する出題管理手段と、を備えることを特徴とする。
【0009】
これにより、本発明の学習システムは、解答に応じて次に解くことが学習効果上好ましいと出題者が考える遷移問題を順次出題することができる。
【0010】
(2)また、本発明の学習システムは、例外的誤答を行った問題、例外的誤答、及び、出題した問題から例外的誤答を導出する途中過程において入力された導出情報、を含む誤答データベースを記憶する第3記憶手段と、を更に備えており、収集手段は、解答が例外的誤答である場合、例外的誤答を行った問題、例外的誤答、及び、導出情報、を第3記憶手段に送信することが好ましい。
【0011】
これにより、本発明の学習システムは、例外的誤答に対応する導出情報を記憶することができるため、出題者は例外的誤答を典型的誤答に変更するための分析を行うことができる。
【0012】
(3)また、本発明の学習システムは、学習者を識別する学習者ID、例外的誤答の連続回数を示す連続誤答回数、を含む個人情報データベースを記憶する第4記憶手段と、を更に備えており、第2記憶手段に記憶される遷移データベースは、誤答基準回数、を含んでおり、出題管理手段は、個人情報データベース及び遷移データベースに基づき、入力された解答が誤答であって直近の連続誤答回数が誤答基準回数未満である場合には遷移問題として類似問題を出題するとともに、入力された解答が誤答であって直近の連続誤答回数が誤答基準回数に達した場合には遷移問題として基礎問題を出題することが好ましい。
【0013】
これにより、本発明の学習システムは、連続誤答回数に応じて類似問題又は基礎問題のどちらの問題を遷移問題とすべきかを決定し、遷移問題を出題することができる。
【0014】
(4)また、本発明の学習システムは、学習者を識別する学習者ID、解答を導出するのに要した解答時間、を含む個人情報データベースを記憶する第4記憶手段と、を備えており、第2記憶手段に記憶される遷移データベースは、解答基準時間、を含んでおり、出題管理手段は、個人情報データベース及び遷移データベースに基づき、入力された解答が正答であっても解答時間が解答基準時間未満である場合、発展問題ではなく類似問題を遷移問題として出題することが好ましい。
【0015】
これにより、本発明の学習システムは、出題した問題から解答までの導出過程を考慮することなく学習者がでたらめに導出した解答が偶然に正答である場合において、遷移問題として発展問題又は類似問題のどちらの問題を出題すべきか解答基準時間を基準に判断することができる。
【0016】
(5)また、本発明の学習システムにおいて、個人情報データベースは、正答の連続回数を示す連続正答回数、を含んでおり、第2記憶手段に記憶される遷移データベースは、正答基準回数、を含んでおり、出題管理手段は、個人情報データベース及び遷移データベースに基づき、入力された解答が正答であり、解答時間が解答基準時間未満であり、かつ、連続正答回数が正答基準回数に達した場合、類似問題ではなく発展問題を遷移問題として出題することが好ましい。
【0017】
これにより、本発明の学習システムは、類似問題を解答基準時間未満で連続正解することができる高い能力を有する学習者に対して、発展問題を遷移問題として出題することができる。
【0018】
(6)また、本発明の学習システムにおいて、出題管理手段は、個人情報データベース及び遷移データベースに基づき、入力された解答が正答であっても解答時間が解答基準時間を超えた場合、発展問題ではなく基礎問題を遷移問題として出題する。
【0019】
これにより、本発明の学習システムは、出題した問題から解答までの導出過程の理解が不十分な学習者が偶然に正答を導出した場合において、遷移問題として発展問題又は基礎問題のどちらの問題を出題すべきか解答基準時間を基準に判断することができる。
【0020】
(7)また、本発明の学習システムにおいて、出題管理手段は、個人情報データベース及び遷移データベースに基づき、入力された解答が正答であっても解答時間が解答基準時間を超えたときには弱点問題に遷移すべき設定がある場合、発展問題ではなく弱点問題を遷移問題として出題することが好ましい。
【0021】
これにより、本発明の学習システムは、出題した問題から解答までの導出過程の理解が不十分な学習者が偶然に正答を導出した場合であって、導出過程の理解不十分な理由が出題した問題に対する弱点問題の理解不足が原因であることが出題者の経験上明らかな場合、解答基準時間を基準に、遷移問題として弱点問題を出題するか否かを判断することができる。
【0022】
(8)また、本発明の学習用端末は、入力手段を介して入力された解答を収集する収集手段と、複数の問題に個別に付された問題番号、1の問題から想定される正答、典型的誤答、例外的誤答その他の複数の解答、及び、正答に対応して遷移する発展問題、典型的誤答に対応して遷移する弱点問題、例外的誤答に対応して遷移する類似問題又は基礎問題その他の解答に対応して次に解くことが学習効果上好ましいと考えて出題者が設定した遷移問題の問題番号である遷移番号、を含む遷移データベースを記憶する記憶手段から送信される遷移データベース、及び、収集手段から得られた解答に基づいて、次に出題すべき遷移問題を表示手段に出力する出題管理手段と、を備える。
【0023】
これにより、本発明の学習用端末は、解答に応じて次に解くことが学習効果上好ましいと出題者が考える遷移問題を順次出題することができる。
【0024】
(9)また、前述した目的を達成するため、本発明の学習用プログラムは、上記の学習システム又は上記の学習用端末としてコンピュータを機能させるためのプログラムである。
【0025】
これにより、本発明の学習用プログラムは、解答に応じて次に解くことが学習効果上好ましいと出題者が考える遷移問題を順次出題することができる。
【0026】
(10)また、前述した目的を達成するため、本発明の記憶媒体は、上記の学習用プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体である。
【0027】
これにより、本発明の記憶媒体は、解答に応じて次に解くことが学習効果上好ましいと出題者が考える遷移問題を順次出題することができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明の学習システムによれば、解答に応じて次に解くことが学習効果上好ましいと出題者が考える遷移問題を順次出題することができるなどの上記作用により、学習効果を短時間で得ることができる学習システムを提供するという効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本実施形態の学習システム、学習用端末、学習用プログラム及び記憶媒体を説明する。
【0031】
[1]学習システム1
図1は、本実施形態の学習システム1を示す概略構成図である。
図2は、本実施形態の学習システム1を示すブロック図である。
【0032】
本実施形態の学習システム1は、
図1に示すように、学習用サーバ11と、学習用端末12と、を備える。この学習システム1は、任意の構成として、管理用端末13と、を備えることが好ましい。
【0033】
これらの学習用サーバ11、学習用端末12、及び、管理用端末13は、無線通信又は有線通信を用いて両方向通信を行うことが可能に構成されている。
【0034】
[1−1]学習用サーバ11
本実施形態の学習用サーバ11は、CPU(中央演算処理装置)、RAMやROMなどの主記憶装置(メモリ)、HDD(ハードディスクドライブ)などの二次記憶装置(ストレージ)、LANなどの通信回路などの一般的なコンピュータを構成する部品を用いて構成されている。
【0035】
この学習用サーバ11は、第1記憶手段111と、第2記憶手段112と、を有する。また、学習用サーバ11は、任意の構成として、第3記憶手段113と、第4記憶手段114と、を有することが好ましい。
【0036】
第1記憶手段111、第2記憶手段112、第3記憶手段113及び第4記憶手段114は、1個の二次記憶装置により構成されていても良いし、複数の二次記憶装置により構成されていても良い。
【0037】
[1−1−1]第1記憶手段111
図3は、問題データベースの一例を示すテーブル図である。
【0038】
第1記憶手段111は、
図3に示すように、問題データベースを記憶する。問題データベースは、少なくとも、複数の問題、問題に個別に付された問題番号、などを含む。
【0039】
[1−1−2]第2記憶手段112
図4は、遷移データベースの一例を示すテーブル図である。
【0040】
第2記憶手段112は、遷移データベースを記憶する。遷移データベースは、出題する問題番号、1の問題から想定される複数の解答、遷移番号、各問題に個別設定された解答基準時間、(第1)正答基準回数、第2正答基準回数、誤答基準回数、などを含む。
【0041】
1の問題から想定される複数の解答は、正答、典型的誤答、例外的誤答により構成される。
【0042】
遷移番号とは、遷移問題の問題番号である。また、遷移問題とは、解答に対応して次に解くことが学習効果上好ましいと考えて出題者が設定した問題である。この遷移問題の一例としては、正答に対応して遷移する発展問題、典型的誤答に対応して遷移する弱点問題、例外的誤答に対応して遷移する類似問題又は基礎問題である。
【0043】
発展問題とは、出題した問題と関連する分野の問題であってその問題のレベルよりも1段階高いレベルと出題者が考える問題である。
【0044】
弱点問題とは、出題した問題を解くために必要な1又は2以上の解法知識を学習者が理解するために好ましいと出題者が考える問題である。例えば、一次方程式の問題を解くために必要な解法知識としては、主に、移項及び係数の除法、である。ここで、学習者が移項を完全に理解していないと、移項した項の符号変更を誤った誤答が導き出される。出題者がこの誤答を予想することは容易であるため、この予想が容易な誤答はこの一次方程式の問題に対する典型的誤答に該当する。
【0045】
類似問題とは、出題した問題と関連する分野の問題であってその問題のレベルと同レベルと出題者が考える問題である。例えば、出題した問題が一次方程式に関する中級レベルの問題である場合、類似問題は一次方程式に関する中級レベルの問題である。
【0046】
基礎問題とは、出題した問題と関連する分野の問題であってその問題のレベルよりも1段階低いレベルと出題者が考える問題である。例えば、出題した問題が一次方程式に関する中級レベルの問題である場合、基礎問題は一次方程式に関する初級レベルの問題である。
【0047】
解答基準時間とは、ある問題に対して出題者が好ましいと考える正答の解答時間である。例えば、出題された問題が一次方程式に関する問題である場合、出題者は解答基準時間を1秒〜60秒に設定する。
【0048】
[1−1−3]第3記憶手段113
図5は、誤答データベースの一例を示すテーブル図である。
【0049】
第3記憶手段113は、誤答データベースを記憶する。誤答データベースは、学習者が例外的誤答を行った問題を示す問題番号、例外的誤答、個人ID、導出情報、を含む。
【0050】
導出情報は、出題した問題から例外的誤答を導出する途中過程において入力された情報である。例えば、学習者が例外的誤答を行った問題(=出題した問題)が一次方程式(数学問題)である場合、導出情報は一次方程式を解く際に誤って導き出された例外的誤答の途中式である。
【0051】
[1−1−4]第4記憶手段114
図6は、個人情報データベースの一例を示すテーブル図である。
【0052】
第4記憶手段114は、個人情報データベースを記憶する。個人情報データベースは、学習者を識別する学習者ID、初期問題、解答を導出するのに要した解答時間、連続正答回数、連続誤答回数、などを含む。
【0053】
[1−2]学習用端末12
本実施形態の学習用端末12は、CPU、メモリ、ストレージ、通信回路などの一般的なタブレット型コンピュータ、スマートフォン、ラップトップ型コンピュータ又はデスクトップ型コンピュータを構成する部品を用いて構成されている。
【0054】
この学習用端末12は、表示手段121と、入力手段122と、収集手段123と、出題管理手段124と、を有する。
【0055】
[1−2−1]表示手段121
表示手段121としては、液晶ディスプレイなどのディスプレイが挙げられる。
【0056】
[1−2−2]入力手段122
入力手段122としては、マウスやタッチパネルなどのポインティング・デバイス、キーボード、デジタイザ、フラット・ベッド・スキャナやOCR(光学式文字読取装置)などのイメージ・スキャナなどが挙げられる。
【0057】
[1−2−3]収集手段123
収集手段123は、入力手段122を介して入力された情報に基づき、解答及び導出情報を収集する。
【0058】
ここで、解答が例外的誤答である場合、収集手段123は、入力手段122から得た例外的誤答、その例外的誤答を行った問題(又はその問題番号)、及び、その例外的誤答に関する導出情報、を第3記憶手段113に送信することが好ましい。
【0059】
[1−2−4]出題管理手段124
出題管理手段124は、学習用プログラムにおいて指定された基本的処理フローに基づいて、設定された初期問題又は遷移問題を出題する。
【0060】
また、出題管理手段124は、学習用プログラムにおいて指定された選択的処理フローに基づき、入力された解答が正答であっても解答時間が解答基準時間の範囲外である場合、発展問題ではなく類似問題又は基礎問題を遷移問題として出題することが好ましい。
【0061】
[1−3]管理用端末13
本実施形態の管理用端末13は、CPU、メモリ、ストレージ、通信回路などの一般的なタブレット型コンピュータ、ラップトップ型コンピュータ又はデスクトップ型コンピュータを構成する部品を用いて構成されている。
【0062】
この、管理用端末13は、出題者の操作に基づいて、学習用サーバ11に記憶された各種データベースの項目やパラメータを追加、変更又は削除することができるように構成されている。
【0063】
[2]学習用プログラム
次に、本実施形態の学習用プログラムを説明する。この学習用プログラムは、本実施形態の学習システム1又は本実施形態の学習用端末12としてコンピュータを機能させるためのプログラムである。また、この学習用プログラムの入手方法としては、サーバからダウンロードすることも可能であるし、USBメモリ等のコンピュータが読み取り可能な記憶媒体から入手することも可能である。
【0064】
学習用プログラムは、主に、以下の基本的処理フロー、及び、選択的処理フローを行う。
【0065】
[2−1]基本的処理フロー
図7は、本実施形態の学習用プログラムにより実行される基本的処理フローを示すフローチャート図である。
【0066】
[2−1−1]出題開始
学習用端末12にインストールされた学習用プログラムを起動したとき、学習用端末12は、出題管理手段124及び表示手段121を用いて、初期問題を最初に表示する(S101)。初期問題とは、前回学習時の最後に出題された問題、又は、学習者又は管理者が任意選択した問題、のいずれかである。どちらの問題を初期問題とするかの設定は、学習用端末12又は管理用端末13の入力により行われる。
【0067】
学習者が入力手段122を用いて学習用端末12に問題に対する解答を入力したとき、学習用端末12は、その解答を収集するとともに(S102)、収集した解答及び遷移データベースを照合する(S103)。
【0068】
[2−1−2]遷移問題
[2−1−2−1]解答が正答の場合
例えば、収集した解答が正答である場合、学習用端末12は、解答基準時間の設定がなければ、発展問題を表示する(S104→S105→S106)。解答基準時間の設定がある場合、結合子1(C1)及び結合子2(C2)により結合される選択的処理フロー(
図8)に移行する(S104→S105→C1)。
【0069】
[2−1−2−2]解答が典型的誤答の場合
また、収集した解答が典型的誤答である場合、学習用端末12は、弱点問題を表示する(S104→S107)。
【0070】
[2−1−2−3]解答が例外的誤答の場合
また、収集した解答が例外的誤答である場合、学習用端末12は、導出情報を収集し、学習用サーバ11の第3記憶手段113にアップロードする(S104→S108)。
【0071】
ここで、直近の連続誤答回数が誤答基準回数(例えば2回)未満である場合、学習者は出題された問題の解法を理解しているものの、単純なミスにより例外的誤答を導出した可能性があるため、学習用端末12は類似問題(出題した問題のレベルと同レベルの問題)を表示する(S109→S110)。
【0072】
それに対し、直近の連続誤答回数が誤答基準回数(例えば2回)に達した場合、学習者は出題された問題の解法を理解していない可能性が高いため、学習用端末12は基礎問題(出題した問題のレベルよりも低レベルの問題)を表示する(S109→S111)。
【0073】
[2−1−3]出題終了
学習用端末12は、学習用端末12が学習者からの出題中止の入力、管理者端末からの出題中止信号の受信、又は、学習用プログラムの強制終了が行われた場合を除き、上記した解答の収集及び遷移問題の表示を繰り返す(S112→S102)。
【0074】
それに対し、学習用端末12が学習者からの出題中止の入力、管理者端末からの出題中止信号の受信、又は、学習用プログラムの強制終了が行われた場合、学習用端末12は、現在出題中の未解答問題又は出題中止直前の解答済み問題を、初期問題として個人情報データベースに記憶させる(S112→S113)。
【0075】
そして、初期問題の記憶後、基本的処理フローは終了する。
【0076】
[2−2]選択的処理フロー
図8は、本実施形態の学習用プログラムにより実行される選択的処理フローを示すフローチャート図である。
【0077】
図7に示すように、遷移データベースに所定の解答基準時間が設定されており、かつ、収集手段123により解答の収集ごとに解答時間が個人情報データベースにアップロードされている場合を考える。(S105→結合子1(C1))。この場合、
図8に示すように、学習用端末12は、遷移データベースから得た解答基準時間及び個人情報データベースから得た正答の解答時間に基づき、解答時間と解答基準時間とを比較する(S201)。
【0078】
[2−2−1]解答時間=解答基準時間
ここで、入力された解答が正答であって、解答時間(例:解答時間=10秒)が解答基準時間内(例:1秒≦解答基準時間≦60秒)である場合、学習用端末12は、
図7に示す解答基準時間が設定されていない場合(S105→S106)と同様、遷移問題として発展問題を表示する(S201→S202)。
【0079】
[2−2−2]解答時間<解答基準時間
また、入力された解答が正答であっても、解答時間(例:解答時間=0.5秒)が解答基準時間(例:1秒≦解答基準時間≦60秒)未満(=解答基準時間の範囲外)である場合を考える(S201)。この場合、連続正答回数が正答基準回数(例えば3回)未満であれば、学習用端末12は、遷移問題として、発展問題ではなく(
図7参照)、類似問題を出題することが好ましい(S201→S203→S204)。
【0080】
ただし、正答の解答時間が解答基準時間未満の場合であっても、連続正答回数が正答基準回数(例えば3回)に達した場合、学習用端末12は、連続正答回数が正答基準回数に達したことを個人情報データベースに記憶させるとともに、遷移問題として類似問題ではなく発展問題を出題することが好ましい(S201→S203→S202)。
【0081】
また、学習者の能力が高い場合、次に出題した発展問題についても正答の解答時間が解答基準時間未満(=解答基準時間の範囲外)になることが考えられる。それを考慮し、連続正答回数が上記の正答基準回数(=第1正答基準回数:例えば3回)未満の第2正答基準回数(例えば2回)に達した場合、学習用端末12は、連続正答回数が第2正答基準回数に達したことを個人情報データベースに記憶させるとともに、遷移問題として、類似問題ではなく、発展問題を出題することが好ましい(S201→S203→S202)。これは、出題した問題に対して学習者の学習能力が充分に高いために類似問題を解答基準時間未満で容易に解くことができる、と出題者が判断できるからである。
【0082】
[2−2−3]解答時間>解答基準時間
一方、入力された解答が正答であっても、個人情報データベースにアップロードされた解答時間が600秒(10分)である場合を考える。設定された解答基準時間は、上記と同様、1秒〜60秒とする。この場合、正答の解答時間が解答基準時間超(=解答基準時間の範囲外)である(S201→S205)。
【0083】
また、出題する問題の特性上、正答の解答時間だけで弱点問題を出題するために必要な分析ができる場合がある。例えば、出題する問題が一次方程式の問題である場合、必要な解法知識(主に「移項」及び「係数の除法」)のうち、出題者の経験上、学習者の理解が不十分なために解答時間が解答基準時間超になる可能性が高い解法知識は「移項」である。このような場合、学習者に対して何を学習させればよいかを、解答時間の遅延に基づき出題者が分析することは可能である。
【0084】
以上のことから、正答の解答時間が解答基準時間を超えており、かつ、解答基準時間超の場合に弱点問題に遷移すべき旨が遷移データベースに設定されている場合、学習者端末は、次に出題すべき遷移問題として、基礎問題ではなく、弱点問題を出題することが好ましい(S201→S205→S206)。
【0085】
それに対し、正答の解答時間が解答基準時間を超えていても、解答基準時間超の場合に弱点問題に遷移すべき旨が遷移データベースに設定されていない場合、学習者端末は、次に出題すべき遷移問題として、基礎問題を出題することが好ましい(S201→S205→S207)。
【0086】
[2−2−4]問題の表示後
発展問題の表示(S202)、類似問題の表示(S204)、弱点問題の表示(S206)、又は、基礎問題の表示(S207)がなされた後、学習用端末12は、学習者からの出題中止の入力、管理者端末からの出題中止信号の受信、又は、学習用プログラムの強制終了が行われたか否かを確認する(
図7及び
図8の結合子2(C2)→
図7のS112)。
【0087】
以上により選択的処理フローが終了し、以後の処理は基本的処理フローに基づき行われる。
【0088】
[3]効果
次に、本実施形態の学習システム1、学習用端末12、学習用プログラム及び記憶媒体の効果を説明する。
【0089】
(1)本実施形態の学習システム1は、複数の問題と、問題に個別に付された問題番号と、を含む問題データベースを記憶する第1記憶手段111と、出題する問題番号、1の問題から想定される正答、典型的誤答、例外的誤答その他の複数の解答、及び、正答に対応して遷移する発展問題、典型的誤答に対応して遷移する弱点問題、例外的誤答に対応して遷移する類似問題又は基礎問題その他の解答に対応して次に解くことが学習効果上好ましいと考えて出題者が設定した遷移問題の問題番号である遷移番号、を含む遷移データベースを記憶する第2記憶手段112と、入力手段122を介して入力された解答を収集する収集手段123と、収集手段123から得られた解答及び遷移データベースに基づいて、次に出題すべき遷移問題を表示手段121に出力する出題管理手段124と、を備えることを特徴とする。
【0090】
これにより、本実施形態の学習システム1は、解答に応じて次に解くことが学習効果上好ましいと出題者が考える遷移問題を順次出題することができる。
【0091】
(2)また、本実施形態の学習システム1は、例外的誤答を行った問題、例外的誤答、及び、出題した問題から例外的誤答を導出する途中過程において入力された導出情報、を含む誤答データベースを記憶する第3記憶手段113と、を更に備えており、収集手段123は、解答が例外的誤答である場合、例外的誤答を行った問題、例外的誤答、及び、導出情報、を第3記憶手段113に送信することが好ましい。
【0092】
これにより、本実施形態の学習システム1は、例外的誤答に対応する導出情報を記憶することができるため、出題者は例外的誤答を典型的誤答に変更するための分析を行うことができる。
【0093】
(3)また、本実施形態の学習システム1は、学習者を識別する学習者ID、例外的誤答の連続回数を示す連続誤答回数、を含む個人情報データベースを記憶する第4記憶手段114と、を更に備えており、第2記憶手段112に記憶される遷移データベースは、誤答基準回数、を含んでおり、出題管理手段124は、個人情報データベース及び遷移データベースに基づき、入力された解答が誤答であって直近の連続誤答回数が誤答基準回数未満である場合には遷移問題として類似問題を出題するとともに、入力された解答が誤答であって直近の連続誤答回数が誤答基準回数に達した場合には遷移問題として基礎問題を出題することが好ましい。
【0094】
これにより、本実施形態の学習システム1は、連続誤答回数に応じて類似問題又は基礎問題のどちらの問題を遷移問題とすべきかを決定し、遷移問題を出題することができる。
【0095】
(4)また、本実施形態の学習システム1は、学習者を識別する学習者ID、解答を導出するのに要した解答時間、を含む個人情報データベースを記憶する第4記憶手段114と、を備えており、第2記憶手段112に記憶される遷移データベースは、解答基準時間、を含んでおり、出題管理手段124は、個人情報データベース及び遷移データベースに基づき、入力された解答が正答であっても解答時間が解答基準時間未満である場合、発展問題ではなく類似問題を遷移問題として出題することが好ましい。
【0096】
これにより、本実施形態の学習システム1は、出題した問題から解答までの導出過程を考慮することなく学習者がでたらめに導出した解答が偶然に正答である場合において、遷移問題として発展問題又は類似問題のどちらの問題を出題すべきか解答基準時間を基準に判断することができる。
【0097】
(5)また、本実施形態の学習システム1において、個人情報データベースは、正答の連続回数を示す連続正答回数、を含んでおり、第2記憶手段112に記憶される遷移データベースは、正答基準回数、を含んでおり、出題管理手段124は、個人情報データベース及び遷移データベースに基づき、入力された解答が正答であり、解答時間が解答基準時間未満であり、かつ、連続正答回数が正答基準回数に達した場合、類似問題ではなく発展問題を遷移問題として出題することが好ましい。
【0098】
これにより、本実施形態の学習システム1は、類似問題を解答基準時間未満で連続正解することができる高い能力を有する学習者に対して、発展問題を遷移問題として出題することができる。
【0099】
(6)また、本実施形態の学習システム1において、出題管理手段124は、個人情報データベース及び遷移データベースに基づき、入力された解答が正答であっても解答時間が解答基準時間を超えた場合、発展問題ではなく基礎問題を遷移問題として出題する。
【0100】
これにより、本実施形態の学習システム1は、出題した問題から解答までの導出過程の理解が不十分な学習者が偶然に正答を導出した場合において、遷移問題として発展問題又は基礎問題のどちらの問題を出題すべきか解答基準時間を基準に判断することができる。
【0101】
(7)また、本実施形態の学習システム1において、出題管理手段124は、個人情報データベース及び遷移データベースに基づき、入力された解答が正答であっても解答時間が解答基準時間を超えたときには弱点問題に遷移すべき設定がある場合、発展問題ではなく弱点問題を遷移問題として出題することが好ましい。
【0102】
これにより、本実施形態の学習システム1は、出題した問題から解答までの導出過程の理解が不十分な学習者が偶然に正答を導出した場合であって、導出過程の理解不十分な理由が出題した問題に対する弱点問題の理解不足が原因であることが出題者の経験上明らかな場合、解答基準時間を基準に、遷移問題として弱点問題を出題するか否かを判断することができる。
【0103】
(8)また、本実施形態の学習用端末12は、入力手段122を介して入力された解答を収集する収集手段123と、複数の問題に個別に付された問題番号、1の問題から想定される正答、典型的誤答、例外的誤答その他の複数の解答、及び、正答に対応して遷移する発展問題、典型的誤答に対応して遷移する弱点問題、例外的誤答に対応して遷移する類似問題又は基礎問題その他の解答に対応して次に解くことが学習効果上好ましいと考えて出題者が設定した遷移問題の問題番号である遷移番号、を含む遷移データベースを記憶する記憶手段から送信される遷移データベース、及び、収集手段123から得られた解答に基づいて、次に出題すべき遷移問題を表示手段121に出力する出題管理手段124と、を備える。
【0104】
これにより、本実施形態の学習用端末12は、解答に応じて次に解くことが学習効果上好ましいと出題者が考える遷移問題を順次出題することができる。
【0105】
(9)また、本実施形態の学習用プログラムは、上記の学習システム1又は上記の学習用端末12としてコンピュータを機能させるためのプログラムである。
【0106】
これにより、本実施形態の学習用プログラムは、解答に応じて次に解くことが学習効果上好ましいと出題者が考える遷移問題を順次出題することができる。
【0107】
(10)また、本実施形態の記憶媒体は、上記の学習用プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体である。
【0108】
これにより、本実施形態の記憶媒体は、解答に応じて次に解くことが学習効果上好ましいと出題者が考える遷移問題を順次出題することができる。
【0109】
すなわち、本実施形態の学習システム1、学習用端末12、学習用プログラム及び記憶媒体によれば、解答に応じて次に解くことが学習効果上好ましいと出題者が考える遷移問題を順次出題することができるなどの上記作用により、学習効果を短時間で得ることができる学習システム1、学習用端末12、学習用プログラム及び記憶媒体を提供するという効果を奏する。
【0110】
なお、本発明は、前述した実施形態などに限定されるものではなく、必要に応じて種々の変更が可能である。
【0111】
例えば、本実施形態の問題例は、
図3に示すように、数学分野である。しかし、問題分野は数学分野に限られない。そのため、他の実施形態の学習システムにおいては、数学分野以外の問題を出題することが可能である。
【0112】
また、他の実施形態の学習用サーバは、第1記憶手段、第2記憶手段、第3記憶手段及び第4記憶手段のすべてを有していなくてもよい。具体例としては、学習用サーバは第1記憶手段及び第3記憶手段を有しており、学習用端末は残りの第2記憶手段及び第4記憶手段を有していてもよい。
【解決手段】本発明の学習システム1は、出題する問題番号、1の問題から想定される正答、典型的誤答、例外的誤答その他の複数の解答、及び、正答に対応して遷移する発展問題、典型的誤答に対応して遷移する弱点問題、例外的誤答に対応して遷移する類似問題又は基礎問題その他の解答に対応して次に解くことが学習効果上好ましいと考えて出題者が設定した遷移問題の問題番号である遷移番号、を含む遷移データベース、及び、収集手段123から得られた解答に基づいて、次に出題すべき遷移問題を表示手段121に出力する。