(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。
【0023】
なお、以下において、単に「画像」と呼ぶ場合には、「動画像」と「静止画像」との両方を含むものとする。
また、「動画像」には、次の第1処理乃至第3処理の夫々により表示される画像を含むものとする。
第1処理とは、平面画像(2D画像)におけるオブジェクト(例えばゲームキャラクタ)の夫々の動作に対して、複数枚からなる一連の静止画像を時間経過と共に連続的に切り替えて表示させる処理をいう。具体的には例えば、2次元アニメーション、いわゆるパラパラ漫画的な処理が第1処理に該当する。
第2処理とは、立体画像(3Dモデルの画像)におけるオブジェクト(例えばゲームキャラクタ)の夫々の動作に対応するモーションを設定しておき、時間経過と共に当該モーションを変化させて表示させる処理をいう。具体的には例えば、3次元アニメーションが第2処理に該当する。
第3処理とは、オブジェクト(例えばゲームキャラクタ)の夫々の動作に対応した映像(即ち動画)を準備しておき、時間経過と共に当該映像を流していく処理をいう。
【0024】
図1は、本発明の一実施形態に係る端末の構成を示している。
本実施形態における端末1は、コンピュータ及びその周辺装置に適用される。本実施形態における各部は、コンピュータ及びその周辺装置が備えるハードウェア並びに当該ハードウェアを制御するソフトウェアによって構成される。
【0025】
上記ハードウェアには、制御部としてのCPU(Central Processing Unit)の他、記憶部、通信部、表示部及び入力部が含まれる。記憶部としては、例えば、メモリ(RAM:Random Access Memory、ROM:Read Only Memory等)、ハードディスクドライブ(HDD:Hard Disk Drive)、光ディスク(CD:Compact Disk、DVD:Digital Versatile Disk等)ドライブ等が挙げられる。通信部としては、例えば、各種有線及び無線インターフェイス装置が挙げられる。表示部としては、例えば、液晶ディスプレイ等の各種ディスプレイが挙げられる。入力部としては、例えば、キーボードやポインティング・デバイス(マウス、トラッキングボール等)が挙げられる。
【0026】
なお、本実施形態の端末1は、例えばスマートフォンで構成され、入力部と表示部を兼ね備えた表示媒体としてのタッチパネルも有している。
タッチパネルの入力部は、例えば表示部の表示領域に積層される静電容量式又は抵抗膜式の位置入力センサにより構成され、タッチ操作がなされた位置の座標を検出する。ここで、タッチ操作とは、表示媒体たるタッチパネル(正確にはそのうちの入力部)に対する物体(ユーザの指やタッチペン等)の接触又は近接の操作をいう。なお、以下、タッチ操作がなされた位置を「タッチ位置」と呼び、タッチ位置の座標を「タッチ座標」と呼ぶ。
【0027】
ここで、タッチ操作の種類としては、例えば、スワイプとフリックが存在する。
ただし、スワイプもフリックも、表示媒体(タッチパネル)への物体の接触又は近接が開始された第1状態から、表示媒体への接触又は近接が維持されて物体が移動する第2状態(タッチ位置が移動する第2状態)を経て、表示媒体への物体の接触又は近接が解除される第3状態(物体が表示媒体から離間する第3状態)まで至る一連の操作である点は変わらない。そこで、本明細書では、このような一連の操作をまとめて「スワイプ」と呼ぶことにする。
換言すると、本明細書でいう「スワイプ」は、一般的に呼ばれるスワイプの他、上述のフリック等も含まれる広義な概念である。
【0028】
また、上記ソフトウェアには、上記ハードウェアを制御するコンピュータ・プログラムやデータが含まれる。コンピュータ・プログラムやデータは、記憶部により記憶され、制御部により適宜実行、参照される。また、コンピュータ・プログラムやデータは、通信回線を介して配布されることも可能であり、CD−ROM等のコンピュータ可読媒体に記録して配布されることも可能である。
【0029】
端末1は、このようなハードウェアとソフトウェアの協働による各種動作をすべく、
図1に示すような機能的構成を有している。
【0030】
端末1は、ゲーム実行部11と、プレイ動画保持制御部12と、プレイ動画保持部13と、インターフェイス制御部14と、プレイ動画記録制御部15と、記憶部16とを備えている。
【0031】
ゲーム実行部11は、所定のゲームを実行する。
【0032】
プレイ動画保持制御部12は、当該ゲームの実行中においてプレイ動画を生成して、一定長のプレイ動画をプレイ動画保持部13に保持させる制御を実行する。
プレイ動画保持部13は、例えば後述する
図5に示すようなリングバッファで構成され、一定長のプレイ動画を保持する。
【0033】
ここで、本明細書でいう「プレイ動画」とは、所定のゲームの実行内容を示す画像という広義な概念である。
即ち、プレイ中のゲーム画面を録画したデータが特に「プレイ動画」と呼ばれて、プレイヤーそのものも含めて撮影された動画像のデータが「ゲーム実況動画」と区別されて呼ばれている場合もあるが、本明細書では、「ゲーム実況動画」も含めたこれらの画像の総称が、「プレイ動画」に該当する。
【0034】
インターフェイス制御部14は、表示制御部21と、タッチ操作検出部22と、記録期間検出部23と、一時停止部24とを備える。
【0035】
表示制御部21は、所定条件が満たされた場合に、プレイ動画保持部13に保持されたプレイ動画に基づいて、ゲームの実行内容を示す複数の画像を時系列順に表示媒体に表示させる制御を実行する。
なお、具体的な表示例については
図3を参照して後述するが、本実施形態では、ゲーム中の各シーンを示す各サムネイル画像(一般的には静止画像だが動画像であってもよい)が帯状に時系列の順に並んだ画像(以下、「帯状画像」と呼ぶ)が表示される。
【0036】
タッチ操作検出部22は、各種タッチ操作を検出する。
このようなタッチ操作のうち所定の操作に対して、帯状画像の中から所定の画像を選択する機能が割り当てられている。ここで、所定の操作は、タッチ操作であれば特に限定されないが、本実施形態ではスワイプが採用されている。より正確には、スワイプは、上述のように第1状態乃至第3状態まで移行するタッチ操作であり、表示媒体への物体の接触又は近接が解除される第3状態(物体が表示媒体から離間する第3状態)のときに選択されていた画像が、選択対象の前記所定の画像として認識されることになる。
また、帯状画像を表示させるための上記所定の条件も、特に限定されないが、本実施形態ではスワイプが検出されたという条件、即ち表示媒体(タッチパネル)への物体の接触又は近接が開始された第1状態が検出されたという条件が採用されている。
【0037】
記録期間検出部23は、タッチ操作検出部22により前記所定の画像の選択の操作が検出された場合、当該所定の画像により特定されるタイミングを、プレイ動画の記録の開始点として決定する。
記録期間検出部23は、帯状画像を表示させるための上記所定の条件が満たされたタイミング(スワイプが検出されたタイミング)に基づいて、プレイ動画の記録の終了点を決定する。
即ち、記録期間検出部23は、タイムシフト録画の期間を決定する。
【0038】
一時停止部24は、帯状画像を表示させるための上記所定の条件が満たされた場合、つまり本実施形態ではスワイプが検出された場合、ゲームの実行を一時停止する。
【0039】
換言すると、本実施形態では、上記所定の条件とは、タイムシフト録画の指示操作を開始するための条件である。つまり、スワイプのために指等の物体が表示媒体に接触又は近接されると(第1状態になると)、上記所定の条件が満たされたものとして、タイムシフト録画の指示操作が開始され、ゲームの実行が一時停止して、帯状画像が表示される。この帯状画像に沿ったスワイプにより、タイムシフト録画の期間(開始点から終了点までの時区間)が決定される。
【0040】
プレイ動画記録制御部15は、プレイ動画保持部13に保持されたプレイ動画のうち、記録期間検出部23により決定された開始点から終了点までの時区間におけるプレイ動画を、記憶部16に記録させる制御を実行する。即ち、プレイ動画記録制御部15は、タイムシフト録画の実行を制御する。
【0041】
記憶部16は、プレイ動画を記憶する。なお、記憶部16は、端末1に内蔵されている必要は特に無く、例えばリムーバブルメディアであってもよい。さらに言えば、記憶部16は、端末1の必須な構成要素ではなく、図示せぬ別装置(サーバ等)にあってもよい。つまり、記憶部16が別装置にある場合、プレイ動画記録制御部15の記録の制御とは、別装置に対してプレイ動画をアップロードする制御を意味している。
【0042】
さらに以下、
図2以降の図面を参照して、本実施形態の情報処理システムについて詳細に説明する。
【0043】
図2は、
図1の端末1に表示される、ゲーム実行中にタイムシフト録画の指示操作を開始するための録画ボタンを含む画面の一例を示す図である。
図2に示すように、ゲーム実行中の画面51には、録画ボタン52が常時又は所定のタイミングで表示される。
所定のタイミングは、任意でよいが、例えばその直前までのゲーム内容を示すプレイ動画として需要が高いと想定されるタイミング、換言すると、プレイヤーにとってプレイ動画の録画の動機付けとなり得るタイミングを採用するとよい。例えば、敵のボスを撃破する、難易度の高い必殺技を出す、ハイスコアを達成する等の意味のあるイベントをユーザが達成したタイミングを、所定のタイミングとして採用することができる。
【0044】
図3は、タイムシフト録画の指示操作の一例を説明する図である。
【0045】
図2の録画ボタン52が押下操作されると、即ち、プレイヤーの指等の物体が
図2の録画ボタン52に接触又は近接した状態になると、
図1のタッチ操作検出部22は、スワイプの開始(第1状態)を検出する。
【0046】
スワイプの開始(第1状態)が検出されると、一時停止部24はゲームの実行を一時停止させ、表示制御部21は
図3に示すような帯状画像62を表示させる。
【0047】
帯状画像42は、録画ボタン52の位置に表示されるスワイプ開始点シンボル61から所定方向に延びる複数の画像から構成される。複数の画像の夫々は、本実施形態では、過去の各時点のプレイ内容を示す複数のサムネイル画像の夫々であって、現在(スワイプ開始時点)から過去に遡及する時系列で配置される。
ここで、帯状画像62が延びる所定方向は、特に限定されないが、例えば
図3のように横向き画面の場合は横方向とし、図示はしないが縦向き画面の場合は縦方向とすると好適である。
複数のサムネイル画像の配置順も、特に限定されないが、本実施形態ではスワイプにより録画の開始点が指定されるため、スワイプが開始される位置、即ち、スワイプ開始点シンボル61の位置に、現在(スワイプ開始時点)に最も近いプレイ内容を示すサムネイル画像が配置されるとよい。そして、スワイプが行われる方向、即ち、
図3の例では右から左方向に、時間が新しい順(現在から過去に遡及する時系列の順)で、複数のサムネイル画像が配置される。
従って、スワイプの第2状態(指等の物体の接触又は近接が継続している状態)において、プレイヤーは、指等の物体をスライドさせてタッチ位置を左に移動させていくこと、即ち過去に向かってサムネイル画像を順次選択していくことができる。このため、タッチ位置に存在するサムネイル画像が選択画像になる。従って、タッチ位置が左方にいくほど、選択画像はより過去のプレイ内容を示すものとなる。
【0048】
ここで、スワイプの第2状態において、タッチ位置に存在するサムネイル画像、即ち選択画像については、その拡大画像63が表示される。ユーザは、拡大画像63をみることで、いまの選択画像は何であるのかを容易に認識することができる。
なお、複数のサムネイル画像のうち選択画像は何れなのかを視認させる目的であれば、選択対象の表示形態は、
図3のような拡大表示である必要は特になく、他とは異なる表示形態であれば足りる。例えば、他とは異なる色の枠をつけた選択画像を表示させたり、所定のシンボルを含めて選択画像表示さたり等、任意の表示形態で選択画像を表示させることができる。
ただし、拡大表示とすることで、プレイヤーにとっては、その選択画像は過去のどの時点のプレイ内容のものであるかを容易に把握することができる。即ち、拡大表示(拡大画像63)は、過去のプレイ内容のどの時点からタイムシフト録画を開始させるのかを決定する際の一助になる。
【0049】
プレイヤーの指等の物体が表示媒体から離間すると、
図1のタッチ操作検出部22は、スワイプの終了(第3状態)を検出する。
記録期間検出部23は、スワイプの終了(第3状態)の検出の直前に選択されていたサムネイル画像により特定される過去の時点を、タイムシフト録画の開始点として検出する。なお、タイムシフト録画の終了点は、少なくとも当該開始点よりも未来の点であれば足りる。ただし本実施形態では、スワイプ開始点シンボル61の最近傍のサムネイル画像により特定されるタイミング、即ち、スワイプ開始の直前のプレイ内容を示すサムネイル画像により特定される時点が、タイムシフト録画の終了点として検出される。
即ち、検出されたタイムシフト録画の時区間は、録画の開始点(スワイプにより選択された過去の時点)から終了点(現在に最も近い時点)までとなる。
【0050】
プレイ動画記録制御部15は、検出された時区間のプレイ動画を記憶部10に記憶させる。即ち、タイムシフト録画が実行される。
【0051】
タイムシフト録画が終了すると、本実施形態では
図4に示すようなメッセージ画像64が画面51に表示される。即ち、
図4は、タイムシフト録画の実行が終了した旨のメッセージ画像64が表示された画面51の一例を示す図である。
このメッセージ画像64の表示が終了すると、一時停止部24は、ゲームの一時停止を解除する。即ち、ゲームが再開される。
【0052】
上述のようなタイムシフト録画を可能にするために、本実施形態では、ゲーム画面がバックグラウンドで、一定期間分、例えば5分〜10分程度、常に記録され続けている。
図5は、
図1の端末1について、タイムシフト録画を可能にするための具体的な実装手法を説明する図である。
プレイ動画保持部13の実装手法は、特定のバッファ管理手法に依存するものではないが、例えば、
図5のプレイ動画保持部13として実装する手法を採用することができる。プレイ動画保持部13は、端末1の主記憶や、二次記憶であるフラッシュメモリ上に設定することができる。
本実施形態では、このプレイ動画保持部13を管理するため、有効な書き込みデータの先頭アドレスを格納するheadポインタ(録画可能な最過去時点に対応する)、及び、有効な書き込みデータの最終アドレスを格納するtailポインタ(現在時点に対応する)が保持されている。これにより、バッファサイズに依存する所定時間の過去画像のデータを常に保持することができる。
【0053】
プレイ動画保持制御部12は、ゲーム開始時点から常に、プレイ中のゲーム画面をバックグラウンドで録画し、プレイ動画保持部13に格納し続ける。上述の通り、既に市場にはゲーム画面をバックグラウンドで録画するためのSDK(Software Development Kit)が多数提供されており、それらを用いて、プレイ動画保持制御部12を実装することが出来る。
【0054】
インターフェイス制御部14は、録画ボタン52の表示、プレイヤーのタッチ操作(スワイプ等)の検出、タイムシフト録画の開始時点と終了時点の決定等、ユーザ・インターフェイスを担当する。
スワイプに関する詳細は
図6のフローチャートを参照して後述するが、このユーザ・インターフェイスにより、タイムシフト録画の記録の指示操作がたった1回のスワイプで検知され、タイムシフト録画が容易に可能になる。
一時停止部24は、プレイヤーがタイムシフト録画を起動したときに、プレイヤーがゲーム内で不利にならない形で、ゲームの一時中断処理としてポージング処理(即ち一時停止)を実行する。
この一時中断処理に関しては、ゲームタイトル毎のカスタマイズが必要であり、多様な実装が想定される。例えば、オンラインでつながった複数のプレイヤーが参加するゲームでは、タイムシフト録画機能を起動したユーザのキャラクターを、一時的に(例えば2秒から3秒程度)ゲーム内で、ダメージを受けないが行動できない状態にする処理を実装すること等が考えられる。1人用ゲームの時は、単純に、画面の一時停止として実現することができる。
表示制御部21は、プレイ動画保持部13に記録されているビデオストリームから、一定期間ごと(例えば、1秒ごと)にサイズの小さい画像であるサムネイル画像のデータを連続的に生成する。そして、表示制御部21は、複数のサムネイル画像の夫々を現在から過去に向かう遡及的な時間軸に沿って配置させた帯状画像(
図3の例では帯状画像62)を表示させる。
これにより、プレイヤーは、直観的にタイムシフト録画の開始点(変数start)を指定できるようになる。
【0055】
プレイ動画記録制御部15は、インターフェイス制御部14(正確には
図1の記録期間検出部23)が設定した2つの変数、即ちタイムシフト録画の開始点(変数start)及び終了点(変数end:一時停止直前の現在時)を受け取る。そして、プレイ動画記録制御部15は、当該3つの変数から特定される時区間の動画像データをプレイ動画保持部13から切り出し、プレイ動画として記憶部16(
図1)に記憶させる。
具体的に、プレイ動画記録制御部15は、タイムシフト録画の開始点(変数start)の時間情報から、該当するフレームをプレイ動画保持部13(リングバッファ)上から検索し、検索した当該フレームに対応するアドレスを、コピー開始アドレスとする。また、プレイ動画記録制御部15は、プレイ動画保持部13(リングバッファ)上のリングバッファ上の書きこみデータの最終アドレス(
図5中のtail pointer)を、コピー終了アドレスとする。そして、プレイ動画記録制御部15は、プレイ動画保持部13(リングバッファ)のコピー開始アドレスからコピー終了アドレスまでの各フレームのデータを読み出して、これらからプレイ動画を生成し、記憶部16に記憶させる(記憶部16が外部の場合アップロードする)。
【0056】
次に、
図6を参照して、
図1の端末が実行する処理のうち、タイムシフト録画の指示操作を受け付けてタイムシフト録画を実行するまでの一連の処理(以下、「タイムシフト録画処理」と呼ぶ)について説明する。
即ち、
図6は、タイムシフト録画処理の流れを説明するフローチャートである。
【0057】
タイムシフト録画処理は、ユーザのゲーム実行開始を契機として開始される。
【0058】
ステップS1において、プレイ動画保持制御部12は、ユーザ(プレイヤー)がゲームをプレイしている間、プレイ中のゲーム画面のバックグラウンドで、ゲーム画面をプレイ動画としてプレイ動画保持部13(リングバッファ)を保持する。
【0059】
ステップS2において、インターフェイス制御部14のタッチ操作検出部22は、スワイプを開始したか否かを判定する。
ユーザの指等の物体の表示媒体への接触又は近接が開始される第1状態が検出されない場合、ステップS2においてNOであると判定され、処理はステップS10に進む。
【0060】
ステップS10において、ゲーム実行部11は、ゲーム終了か否かを判定する。
ゲーム終了の場合、ステップS10においてYESであると判定され、タイムシフト録画処理は終了する。
これに対して、ゲームを続行されている場合、ステップS10においてNOであると判定され、処理はステップS1に戻される。
即ち、ゲームの実行中においては、スワイプが開始されるまでの間、ステップS1、ステップS2NO、及びステップS10NOのループ処理が繰り返されて、バックグラウンドでゲーム画面がプレイ動画としてプレイ動画保持部13(リングバッファ)に保持され続ける。
【0061】
ユーザの指等の物体の表示媒体への接触又は近接が開始される第1状態が検出された場合、スワイプが開始されたとして、ステップS2においてYESであると判定され、処理はステップS3に進む。
【0062】
ステップS3において、一時停止部24は、ゲーム内におけるポージング処理を実行する。
【0063】
ステップS4において、インターフェイス制御部14の表示制御部21は、時間的に遡及する方向に複数のサムネイル画像が配置された帯状画像を表示させる。
【0064】
ステップS5において、インターフェイス制御部14は、スワイプが終了したか否かを判定する。
表示媒体への接触又は近接が維持されて物体(ユーザの指等)が移動する第2状態の場合、ステップS5においてNOであると判定されて、処理はステップS9に進む。
ステップS9において、ゲーム実行部11は、タイムアウトか否かを判定する。
スワイプが開始してから所定の制限時間が経過していない場合、ステップS9においてNOであると判定されて、処理はステップS4に戻される。即ち、スワイプの第2状態が維持されている場合、タイムアウトになるまでは、ステップS4、ステップS5NO、及びステップS9NOのループ処理が繰り返されて、帯状画像が表示され続ける。なお、上述したように、スワイプの第2状態が維持されている場合には、タッチ位置のサムネイル画像が選択されたものとして、拡大表示等される。
スワイプの第2状態が維持されたままで上記制限時間が経過すると、タイムアウトになり、ステップS9においてYESであえと判定されて、処理はステップS8に進む。
ステップS8において、一時停止部24はポージング処理を解除し、ゲーム実行部11はゲームを再開する。
【0065】
タイムアウトになる前に、スワイプの第2状態から、表示媒体への物体(ユーザの指等)の接触又は近接が解除される第3状態に遷移すると、スワイプが終了したとして、ステップS5においてYESであると判定されて、処理はステップS6に進む。
ステップS6において、インターフェイス制御部14の記録期間検出部23は、タイムシフト録画の開始点(変数start)及び終了点(変数end:ステップS3の直前の現在時)を認識する。
【0066】
ステップS7において、プレイ動画記録制御部15は、プレイ動画保持部13のリングバッファ上の、変数startから変数endに対応する各アドレスから動画像(各フレーム)のデータを切り出して、記憶部16に記憶させる。
【0067】
ステップS8において、一時停止部24はポージング処理を解除し、ゲーム実行部11はゲームを再開する。その後処理はステップS10に進み、上述の処理が繰り返される。
【0068】
以上説明したように、本実施形態の端末1は、ゲーム進行中の任意のタイミングで行われる1回のスワイプだけで、ゲームのプレイ動画中の適切な時間範囲(時区間)を指定し、タイムシフト録画を実行することを可能にするユーザ・インターフェイスを実現する。
本実施形態のタイムシフト録画で記録されるプレイ動画は、記憶部10に記憶される。この記憶部10の存在場所は、特に限定されず、
図1に示すように端末1内であってもよいし、図示せぬSNS等のサーバでもあってもよい。図示せぬSNS等のサーバの場合には、プレイ動画は端末1からアップロードされることになる。
本実施形態のタイムシフト録画機能を、スマートフォン上のゲームに実装することにより、従来技術では手軽に作成することが出来なかったゲームプレイ動画の作成・共有を、多数のカジュアルユーザへ広く普及させることが可能となる。
つまり、任意の時点から遡及的にプレイ動画の記録範囲(時区間)を指定するために、ゲームのプレイ中にバックグランドで記録したプレイ動画の時間長を現在時刻から遡る操作を、録画を開始するボタンからのスワイプとして実現することができる。
即ち、プレイヤーは、タイムシフト録画を行うために画面上のボタンに接触又は近接させた指等の物体(第1状態)を、そのままスライドさせ(第2状態)、所望の場所で指等の物体を画面から離間させる(第3状態)ことで、タイムシフト録画の開始時点(第3状態で設定)と終了時点(第1状態で設定)の2つのパラメータを設定することとができる。このような、第1状態から第2状態を経て第3状態に至るスワイプは、2秒未満程度の短時間で簡単な操作である。このような短時間で簡単な操作だけで、プレイ動画の作成及び共有が容易に実現される。
ここで、従来のプレイ動画の作成手法は、予め設定されていたゲーム内の時間単位で録画する手法や、録画ボタンの押下時点から録画を開始する手法である。このような従来のプレイ動画の作成手法と比較すると、本実施形態の端末1は、ゲームを長時間中断させることなく、いつでもタイムシフト録画(過去に遡ったプレイ動画の記録)を実行できる点で、優位性を持つ。
【0069】
換言すると、本実施形態の端末1は、即時性という利点を有している。
即ち、即時性とは、ゲームをプレイ中に、長時間中断することなく、いつでもタイムシフト録画を行えるという意味である。特に、予め録画することを決めていない偶然の結果のプレイ動画を作成可能であったり、普段からプレイ動画を撮影する習慣のないカジュアルユーザが気軽にプレイ動画を作成可能である点において、即時性は有効である。また、この即時性があるからこそプレイヤーは気軽にプレイ動画を作成できようになるため、ゲーム内でプレイ動画を作成することをミッションとすることもできる。
【0070】
さらに、本実施形態の端末1は、次のような利点も有している。
【0071】
例えば、互換性の点でも利点がある。上述のユーザ・インターフェイスは、任意のゲーム動画を録画するSDKと共に実装することができる。即ち、特定のプレイ動画録画方法に依存することなく本実施形態の実装が可能になる。
【0072】
また例えば、独自性の点でも利点がある。ゲームのプレイ動画を録画するためのスマートフォン用のユーザ・インターフェイスは、独自性が高い。
【0073】
また例えば、汎用性の点でも利点がある。本実施形態の情報処理プログラムは、シングルプレイヤーのゲーム、及び、マルチプレイヤーのゲームの両方に組み込むことができる。また、上述のユーザ・インターフェイスは、特定のゲームのジャンルに依存しておらず、アクション、RPG、シューティング、シミュレーション等、幅広いゲームのジャンルに適用することが可能である。
【0074】
ここで、上述の特許文献1乃至7は、プレイ動画の記録方法、及び、プレイ動画に付随するメタデータの記録方法に関するものであり、タイムシフト録画を起動するためのユーザ・インターフェイスについては含んでいない。
従って、これらの特許文献1乃至7に係る発明では、たとえこれらを組合せても、上述の短時間・単純操作でのタイムシフト録画のためのユーザ・インターフェイスと同等の機能を実現することはできない。
【0075】
具体的には特許文献1に係る発明は、リアルタイムでのゲーム内容のリプレイを行うものである。この発明は、キーフレームとプレイヤーの入力情報を紐づけて格納することにより、リアルタイムでのリプレイの記録と再生を可能にしている。
差異点としては、本実施形態の端末1は、外部にエクスポート又はアップロードするプレイ動画(動画ファイル)を生成するために、現在時刻から遡及的な録画(さかのぼり録画)、即ちタイムシフト録画を実行するためのユーザ・インターフェイスを提供する。これにより、本実施形態の端末1は、プレイ動画の作成や共有の目的においては、プレイ動画の記録の開始時点と終了時点とを、短時間の簡易操作で指定することができる。
これに対して、特許文献1に係る発明は、そもそも動画像の開始時点や終了時点を指定するユーザ・インターフェイスすら含んでいない。
【0076】
特許文献2に係る発明は、プレイ動画をバックグラウンドで録画するためのものである。即ち、特許文献2に係る発明は、リアルタイム処理として、ゲームのプレイ動画を、計算コストの低い低クオリティの動画像データとして、バックグランドでレンダリングする。このとき、特許文献2に係る発明は、ゲームプレイのシーケンスを記録し、ゲーム内のイベントに応じて、このプレイ動画の時区間や所定時点にタグ付けを行う。
ユーザが、プレイ動画のエクスポート処理をリクエストすると、装置は、この低クオリティの動画像データをユーザに提示しながら、タグを選択させ、エクスポートの対象となる時区間を設定する。装置は、設定後、ゲームプレイのシーケンスからリプレイ動画データを生成することで、クオリティの高い動画像を再生成する。
差異点としては、本実施形態の端末1は、タグ等の補助情報に依存しない汎用的なユーザ・インターフェイスとして、現在時刻から遡及的な録画(タイムシフト録画)のためのユーザ・インターフェイスを実現する点である。この点により、タグ付けを行うことが困難なアクションゲームやリズムゲームにも、容易に適用することが可能である。
これに対して、特許文献2に係る発明は、遡及的な録画のための、ユーザ・インターフェイス、及び、ユーザとのインタラクションは定義しておらず、上述のタイムシフト録画と同等の機能を実現することはできない。
【0077】
特許文献3に係る発明は、ゲームのプレイ状態情報(ゲーム内部の状態データや、マウスクリック、画面タップ、キーボード入力、スマートフォンの傾き等のインプット情報)をクラウド上にリアルタイムに送信し、クラウド側でプレイ動画をリアルタイムに生成するものである。
差異点としては、本実施形態の端末1は、クラウド上での録画、或いは、モバイル端末の上での録画のどちらでもあっても、現在時刻から遡及的な録画(タイムシフト録画)のためのユーザ・インターフェイスを実現できる点にある。
これに対して、特許文献3に係る発明は、クラウド上でのレンダリングに特化したものであり、タイムシフト録画のための、ユーザ・インターフェイス、及び、ユーザとのインタラクションは定義しておらず、上述のタイムシフト録画と同等の機能を実現することはできない。
【0078】
特許文献4に係る発明は、ゲーム専用機におけるSHARE機能を有するものである。このSHARE機能とは、コントローラーに物理的に実装されたSHAREボタンを押すと、プレイ中のゲームのスクリーンショットや動画像を録画することが出来るという機能である。
差異点としては、本実施形態の端末1は、タッチスクリーンを対象として遡及的な録画(タイムシフト録画)のためのユーザ・インターフェイスを実現する点にある。
これに対して、特許文献3に係る発明により実現されるSHARE機能は、タッチスクリーンを対象としたユーザ・インターフェイスを提供しておらず、また、ボタンの押下時点からのタイムシフト録画のためのユーザ・インターフェイスを提供しておらず、上述のタイムシフト録画と同等の機能を実現することはできない。
【0079】
特許文献5に係る発明は、ゲーム中のスコアとプレイ動画像を関連付け、共有されるスコアボードに投稿することにより、スコアの高さに応じてプレイ動画をユーザ間で共有するものである。
また、特許文献6に係る発明は、プレイ動画の記録方法、及び、プレイ動画最盛時の調整方法に関するものである。具体的には、特許文献6によれば、ユーザの顔を撮影しているビデオストリーム、ゲーム画面を録画しているビデオストリーム、サウンドトラック、効果音、ゲームの制御情報、ゲームの状態に関する統計情報、ユーザ・インターフェイスへの入力データ、ゲーム中のイベント情報等が、夫々独立したストリームとして記録される。プレイ動画を視聴するユーザが、視聴時にこれらのストリームの取捨選択を行い、様々な調整を行う。
また、特許文献7に係る発明は、ゲーム中のメタデータを、プレイ動画の時間軸に沿って格納することにより、プレイ動画の自動編集や検索に応用するものである。
これら特許文献5乃至7に関わる発明は、プレイ動画撮影のためのユーザ・インターフェイスに関する定義を含んでおらず、上述のタイムシフト録画と同等の機能を実現することはできない。
【0080】
なお、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【0081】
例えば、上述の実施形態では、プレイ動画保持部13は画面に展開される動画像のデータそのものを保持していたが、特にこれに限定されない。例えば、帯状画像とプレイ動画は、所定数の内部パラメータのシーケンスを含むログデータから再現可能である。よって、プレイ動画保持部13は当該ログデータを保持してもよい。
【0082】
また例えば、上述の実施形態では、帯状画像のうち、スワイプの第2状態で選択されているサムネイル画像は拡大表示するとされたが、特にこれに限定されない。上述したように、当該サムネイル画像が選択されていることをプレイヤーに認識させることを目的とするならば、スワイプの第2状態で選択されているサムネイル画像については他と表示形態を変化させれば足り、変化させる表示形態は、特に限定されず、例えば色を変える形態でもよい。
【0083】
また例えば、上述の実施形態では、複数の画像が帯状に配置された帯状画像が表示され、これら複数の画像のうち、スワイプにより選択された画像が、タイムシフト録画の開始点として指定された。しかしながら、タイムシフト録画の開始点の指定手法は、特にこれに限定されない。例えば、プレイヤーは、複数回のタップの繰り返しで、タイムシフト録画の開始点や終了点を指定してもよい。換言すると、タイムシフト録画の開始点や終了点を指定する操作として、タッチ操作として任意の操作を採用することができる。
また、指定される対象も帯状画像である必要も特にない。ゲームの実行内容を示す複数の画像が時系列順に表示媒体に表示されていれば足りる。この時系列順も、所定のルールに従った順番であって、プレイヤーが認識可能なものであれば、特に限定されない。
【0084】
換言すると、本発明が適用される情報処理プログラムは、上述の
図1の実施形態としての端末1で実行される場合を含め、任意のコンピュータに次のようなステップを含む制御処理を実行させる、各種各様の実施形態を取ることができる。
即ち、本発明が適用される情報処理プログラムは、
ゲームの実行を制御するコンピュータに、
実行中の前記ゲームに関するログデータの保持を制御する保持制御ステップ(例えば
図1のプレイ動画保持制御部12が実行するステップ)と、
所定条件が満たされた場合に、前記ログデータに基づいて、前記ゲームの実行内容を示す複数の画像を時系列順に表示媒体に表示させる制御を実行する表示制御ステップ(例えば
図1の表示制御部21が実行するステップ)と、
前記複数の画像の中から所定の画像を選択する操作として、前記表示媒体への物体の接触又は近接の操作を検出する検出ステップ(例えば
図1のタッチ操作検出部22が実行するステップ)と、
検出された前記操作により選択された前記所定の画像により特定されるタイミングを、前記ゲームの実行内容を示す画像の記録の開始点として決定する決定ステップ(例えば
図1の記録期間検出部23が実行するステップ)と、
保持された前記ログデータに基づいて、前記開始点以降の時区間における前記ゲームの実行内容を示す画像の記録を制御する記録制御ステップ(例えば
図1のプレイ動画記録制御部15が実行するステップ)と、
を含む制御処理を実行させる情報処理プログラム。
を備える。
【0085】
これにより、短時間で簡単な操作でタイムシフト録画の指示を可能とするユーザ・インターフェイスを提供することが可能となる。
【0086】
上述した一連の処理は、ハードウェアにより実行させることもできるし、ソフトウェアにより実行させることもできる。
換言すると、
図1の機能的構成は例示に過ぎず、特に限定されない。即ち、上述した一連の処理を全体として実行できる機能が情報処理システムに備えられていれば足り、この機能を実現するためにどのような機能ブロックを用いるのかは特に
図1の例に限定されない。また、機能ブロックの存在場所も、
図1に特に限定されず、任意でよい。例えば、サーバ1の機能ブロックを端末2−2等に移譲させてもよいし、逆に端末2−2の機能ブロックをサーバ1等に移譲させてもよい。
また、1つの機能ブロックは、ハードウェア単体で構成してもよいし、ソフトウェア単体で構成してもよいし、それらの組み合わせで構成してもよい。
【0087】
一連の処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、コンピュータ等にネットワークや記録媒体からインストールされる。
コンピュータは、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータであってもよい。また、コンピュータは、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能なコンピュータ、例えばサーバの他汎用のスマートフォンやパーソナルコンピュータであってもよい。
【0088】
このようなプログラムを含む記録媒体は、ユーザにプログラムを提供するために装置本体とは別に配布される図示せぬリムーバブルメディアにより構成されるだけでなく、装置本体に予め組み込まれた状態でユーザに提供される記録媒体等で構成される。
【0089】
なお、本明細書において、記録媒体に記録されるプログラムを記述するステップは、その順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的或いは個別に実行される処理をも含むものである。
また、本明細書において、システムの用語は、複数の装置や複数の手段等より構成される全体的な装置を意味するものとする。
【解決手段】プレイ動画保持制御部12は、実行中のゲームに関するログデータの保持を制御する。表示制御部21は、所定条件が満たされた場合に、ログデータに基づいて、ゲームの実行内容を示す複数の画像を時系列順に表示媒体に表示させる制御を実行する。タッチ操作検出部22は、複数の画像の中から所定の画像を選択する操作として、表示媒体への物体の接触又は近接の操作を検出する。記録期間検出部23は、検出された操作により選択された所定の画像により特定されるタイミングを、ゲームの実行内容を示す画像の記録の開始点として決定する。プレイ動画記録制御部15は、保持されたログデータに基づいて、開始点以降の時区間におけるゲームの実行内容を示す画像の記録を制御する。