(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5770930
(24)【登録日】2015年7月3日
(45)【発行日】2015年8月26日
(54)【発明の名称】低減された軸方向の傾斜に対して構成されたノズルチップアセンブリを含む金型ツールシステム
(51)【国際特許分類】
B29C 45/20 20060101AFI20150806BHJP
【FI】
B29C45/20
【請求項の数】11
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-508475(P2014-508475)
(86)(22)【出願日】2012年4月24日
(65)【公表番号】特表2014-517778(P2014-517778A)
(43)【公表日】2014年7月24日
(86)【国際出願番号】US2012034732
(87)【国際公開番号】WO2012148870
(87)【国際公開日】20121101
【審査請求日】2013年12月25日
(31)【優先権主張番号】61/479,094
(32)【優先日】2011年4月26日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】595155303
【氏名又は名称】ハスキー インジェクション モールディング システムズ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】HUSKY INJECTION MOLDING SYSTEMS LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100101498
【弁理士】
【氏名又は名称】越智 隆夫
(74)【代理人】
【識別番号】100107401
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 誠一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100120064
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 孝夫
(74)【代理人】
【識別番号】100154162
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 浩輔
(72)【発明者】
【氏名】グレイ,スティーヴン リンウッド
(72)【発明者】
【氏名】ホール,ダグラス オリヴァー
(72)【発明者】
【氏名】ボウチ,アブデスラム
【審査官】
田代 吉成
(56)【参考文献】
【文献】
特開平11−70547(JP,A)
【文献】
実開昭55−31604(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 45/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも部分的に低減された軸方向の傾斜のために構成されたチップ本体アセンブリ(206)を有するノズルチップアセンブリ(200)を備え、
前記ノズルチップアセンブリ(200)は、ノズルアセンブリ(104)に少なくとも部分的に取り付けられるように構成され、前記ノズルチップアセンブリ(200)は、前記チップ本体アセンブリ(206)を包囲するシールアセンブリ(208)を備え、
前記シールアセンブリ(208)は、
第1のラジアル支持部(202)を有するシャフト本体(302)と、
ラジアル方向において前記シャフト本体(302)から放射状に外方に延在し離間された複数のアームを伴うアームアセンブリ(304)を備える第2のラジアル支持部(204)であって、前記第1のラジアル支持部(202)は金型アセンブリ(102)と少なくとも部分的に支持可能に接触するように構成される、第2のラジアル支持部(204)と、
を備え、
前記アームは前記金型アセンブリ(102)と少なくとも部分的に支持可能に接触し、前記第2のラジアル支持部(204)は、前記第1のラジアル支持部(202)から離間して配置され、前記第1のラジアル支持部(202)および前記第2のラジアル支持部(204)は、前記ノズルチップアセンブリ(200)の軸方向の傾斜を少なくとも部分的に低減するように構成される金型ツールシステム(100)。
【請求項2】
請求項1に記載の金型ツールシステム(100)であって、
前記第2のラジアル支持部(204)は、前記第1のラジアル支持部(202)から前記ノズルチップアセンブリ(200)の軸(201)に沿って離間されて軸方向に配置される金型ツールシステム(100)。
【請求項3】
請求項1に記載の金型ツールシステム(100)であって、
前記第2のラジアル支持部(204)は、前記第1のラジアル支持部(202)から前記ノズルチップアセンブリ(200)の軸(201)に沿って離間されて軸方向に配置され、
前記第2のラジアル支持部(204)および前記第1のラジアル支持部(202)は、前記ノズルチップアセンブリ(200)の対向する側部に配置される金型ツールシステム(100)。
【請求項4】
請求項1に記載の金型ツールシステム(100)であって、
前記ノズルチップアセンブリ(200)は、
シールアセンブリ(208)を包囲する断熱材アセンブリ(210)であって、前記断熱材アセンブリ(210)は前記金型アセンブリ(102)と接触し、前記断熱材アセンブリ(210)は、前記ノズルチップアセンブリ(200)を前記金型アセンブリ(102)から少なくとも部分的に断熱するように構成される、断熱材アセンブリ(210)、
をさらに備える金型ツールシステム(100)。
【請求項5】
請求項1に記載の金型ツールシステム(100)であって、
前記ノズルチップアセンブリ(200)は、
シールアセンブリ(208)を包囲する断熱材アセンブリ(210)であって、前記断熱材アセンブリ(210)は前記金型アセンブリ(102)と接触し、前記断熱材アセンブリ(210)は、少なくとも部分的に、前記ノズルチップアセンブリ(200)を前記金型アセンブリ(102)から少なくとも部分的に断熱するように構成される、断熱材アセンブリ(210)と、
前記断熱材アセンブリ(210)と前記シールアセンブリ(208)との間に少なくとも部分的に配置されたバネアセンブリ(212)であって、前記バネアセンブリ(212)は、前記チップ本体アセンブリ(206)を少なくとも部分的にノズルアセンブリ(104)に対して付勢するように構成される、バネアセンブリ(212)と、
をさらに備える金型ツールシステム(100)。
【請求項6】
請求項1に記載の金型ツールシステム(100)であって、
シャフト本体(302)の内面は、チップ本体アセンブリ(206)の外面との接触を少なくとも部分的に回避し、チップ本体アセンブリ(206)の外面とシールアセンブリ(208)のシャフト本体(302)の内面との間に少なくとも部分的に空気が存在し、
前記シャフト本体(302)は、前記シャフト本体(302)に沿ったチップ本体アセンブリ(206)の出口ポータル(211)への熱伝達を低減し、
前記シールアセンブリ(208)は、接触領域(209)において前記チップ本体アセンブリ(206)と物理的に接触し、前記接触領域(209)は、前記チップ本体アセンブリ(206)の前記対向する端部間の中間に近接して配置される金型ツールシステム(100)。
【請求項7】
請求項1に記載の金型ツールシステム(100)であって、
前記第2のラジアル支持部(204)は、前記ノズルチップアセンブリ(200)の前記チップ本体アセンブリ(206)よりも熱伝導率が低い材料によって構成され、熱損失が最小化される金型ツールシステム(100)。
【請求項8】
請求項1に記載の金型ツールシステム(100)であって、
前記第2のラジアル支持部(204)は、前記チップ本体アセンブリ(206)の後部に付加される追加ピースである金型ツールシステム(100)。
【請求項9】
請求項1に記載の金型ツールシステム(100)であって、
前記第2のラジアル支持部(204)は、前記チップ本体アセンブリ(206)の延長部である金型ツールシステム(100)。
【請求項10】
請求項1に記載の金型ツールシステム(100)であって、
前記第2のラジアル支持部(204)は、滑りシールを用いたホットランナーシステムの他の部品において用いられる金型ツールシステム(100)。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載の金型ツールシステム(100)を有する成型システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
一態様は、概して、金型ツールシステムおよび/または金型ツールシステムを有する成形システムに(非限定的に)に関する。
【背景技術】
【0002】
米国特許第5,208,052号(SCHMIDTら)において開示されているホットランナーノズルアセンブリは、内部に金型キャビティを伴う金型アセンブリと、金型アセンブリ内に設けられて金型キャビティと連通する供給ポートと、溶融樹脂を供給ポートへ送る射出ノズルと、ノズルの周囲において金型アセンブリとノズルとの間に配置され、ノズルを金型アセンブリから絶縁させる絶縁スリーブとを備える。
【0003】
米国特許第7,481,649号(GAILLARD)において開示されている射出成形装置は、ホットランナーと、金型とを備える。ホットランナーは、金型のノズル受容キャビティと係合する少なくとも1つのノズルを備える。成形装置は、ノズルの一部を包囲し、ノズルを受容するノズルシーリング開口部を有するノズルスリーブをさらに備える。ノズルスリーブは、ホットランナーまたは金型へ移動可能に固定され、金型がホットランナーから除去されたときも、ノズルスリーブは、装置の対応する部分へ固定されたままになっている。金型およびホットランナーが相互に係合されると、ノズルスリーブは、ばねの様に付勢されて、金型のノズル受容キャビティのシーリング表面と密閉係合する。
【発明の概要】
【0004】
本発明者らは、低品質の成形物品または部品を不注意に製造している公知の成形システムと関連付けられた問題について、調査してきた。長年の研究の結果、本発明者らは、以下に記載するこの問題およびその解決法に到達したと考えた。本発明者らは、この理解は公開されていないと考える。圧力保持のために、ホットランナーシステム内のコンポーネント間において滑りシールが用いられることが度々ある。この種のシールの組み込みは、(最も多い理由として熱膨張の速度または方向が異なることに起因して)1つの部品が別の部品に相対して膨張または移動した場合がある。部品間の密閉のための接触圧力は、概して、1つの部品を他方の部品に対してばねにより負荷をかけるか、または熱膨張により達成することができる。摺動の間、部品間の摩擦に起因し、一つ部品がチルトまたはチッピングすることができ、接触圧力が接触面に沿って変動することもある。このような接触圧力は、接触領域部分において、シール機能が適切に働かなく点まで低下することもある。滑りシールを組み込むノズルチップは、摺動時においてプラスチックを滴らせる、または漏洩させる傾向を持つこともある。また、二次的な問題として、ノズルチップが傾斜した場合、ノズルチップと射出オリフィスとの間の調整が狂う場合があり、その結果、部品損傷および/または成形部分不良に繋がることもある。
【0005】
一局面によれば、チップ本体アセンブリ(206)を有するノズルチップアセンブリ(200)を備える金型ツールシステム(100)が提供され、チップ本体アセンブリ(206)は、低減された軸方向の傾斜のために少なくとも部分的に構成される。
【0006】
別の局面によれば、チップ本体アセンブリ(206)を有するノズルチップアセンブリ(200)と、チップ本体アセンブリ(206)の少なくとも部分的に低減された軸方向の傾斜ための手段(400)とを備える金型ツールシステム(100)が提供される。
【0007】
「軸方向」という用語は、概して、軸に沿った方向を示す。上記した金型ツールシステムの技術的効果は、ノズルチップの傾斜を少なくとも部分的に低減することができる。ノズルチップが傾斜した場合、漏洩が発生することもある。
【0008】
当業者であれば、以下の非限定的実施形態の記載を添付図面と共に参照すれば、非限定的実施形態の他の局面および特徴を理解する。
【0009】
非限定的実施形態は、以下の非限定的実施形態の詳細な説明を添付図面と共に参照すれば、より深く理解される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】金型ツールシステム(100)の模式図である。
【
図2】金型ツールシステム(100)の模式図である。
【
図3】金型ツールシステム(100)の模式図である。
【
図4】金型ツールシステム(100)の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図面は、必ずしも縮尺通りではなく、極めて細い線、模式図および部分図によって例示されることもできる。特定の場合において、実施形態の理解において不要な詳細(および/または他の詳細の理解を妨げる詳細)は省略している場合がある。
【0012】
図1、
図2、
図3および
図4は金型ツールシステム(100)の模式図である。詳細には、
図1は金型ツールシステム(100)の断面図である。
【0013】
図1から
図4に示す特徴は、任意の適切な順序および組み合わせで組み合わせるとが可能であることが理解される。金型ツールシステム(100)は、当業者にとって公知の部品を備えることができ、これらの公知の部品はここでは説明しない。すなわち、これら公知の部品について、例えば少なくとも以下の参照文献において記載がある:(i)「Injection Molding Handbook」(著者:OSSWALD/TURNG/GRAMANN(ISBN:3−446−21669−2)、(ii)「Injection Molding Handbook」(著者:ROSATO AND ROSATO (ISBN:0−412−99381−3)、(iii)「Injection Molding System」(第3版、著者:JOHANNABER(ISBN3−446−17733−7)および/または(iv)「Runner and Gating Design Handbook」(著者:BEAUMONT(ISBN1−446−22672−9)。本文書の目的のため、「含む(include)」という文言は、「備える(comprising)」という文言に非限定的に相当することが理解される。「備える」という文言は移行句または移行語であり、請求項のプリアンブルと、発明を本質的に定義する請求項中に記載された特定の要素とを連結するものである。移行句は請求項を制限する機能があり、提訴された装置などが特許中の請求項よりも少数または多数の要素を含む場合において、類似の装置、方法または組成が特許を侵害しているかを示す。「備える」という文言は、オープントランジションとして取り扱われる(すなわち、処理される)べきである。オープントランジションは、最も広範囲の移行である。なぜならば、オープントランジションは、プリアンブルを請求項中に記載のいかなる要素にも限定しないからである。
【0014】
金型ツールシステム(100)の定義は、以下の通りである:成形システムのプラテンシステム(例えば、射出成形システム)によって画定されたエンベロープ内に配置されることもでき、および/または成形システムのプラテンシステム(例えば、射出成形システム)によって規定されたエンベロープにおいて用いられることもできる。プラテンシステムは、固定プラテンと、固定プラテンに相対して移動することが可能な可動プラテンとを含むこともできる。成形システムは、金型ツールシステム(100)を有することもできる。
【0015】
図1、
図2、
図3および
図4によれば、金型ツールシステム(100)は、概して、ノズルチップアセンブリ(200)を(非限定的に)備える。ノズルチップアセンブリ(200)は、少なくとも部分的に低減された軸方向傾斜に対し構成される。「軸方向」という用語は一般的には、(例えば)軸(201)に沿った方向を示す。
図1、
図2、
図3および
図4は、金型ツールシステム(100)の特徴の多様な組み合わせおよび順序のいくつかの非限定的な例を示す。
図1、
図2、
図3および
図4中に示す特徴および/または例は、任意の適切な順序および組み合わせで組み合わせ可能であることが理解される。「アセンブリ」という用語は、「完全な機械、構造または機械ユニットを形成するように組み立てられた部品の集合」として定義されることが理解される。アセンブリは、全体を構成するように相互に取り付けられた部品の集合でもよい。
【0016】
一般的な例によれば、金型ツールシステム(100)は、ノズルチップアセンブリ(200)を(非限定的に)備える。ノズルチップアセンブリ(200)は、チップ本体アセンブリ(206)と、チップ本体アセンブリ(206)の少なくとも部分において低減された軸方向傾斜のための手段(400)とを(非限定的に)有する。達成可能な技術的効果として、ノズルチップアセンブリ(200)により、ノズルチップアセンブリ(200の)軸方向動きの範囲(207)を制限する、またはそのような制限を達成できる点がある。
【0017】
より詳細な例として、手段(400)は、第1のラジアル支持部(202)と、第2のラジアル支持部(204)とを(非限定的に)備える。第1のラジアル支持部(202)は、金型アセンブリ(102)と支持可能な様態で少なくとも部分的に接触するように構成される。第2のラジアル支持部(204)は、金型アセンブリ(102)と少なくとも部分的に接触するように構成される。第2のラジアル支持部(204)は、第1のラジアル支持部(202)から離間して設けられる。第1のラジアル支持部(202)および第2のラジアル支持部(204)は、ノズルチップアセンブリ(200)の少なくとも部分的な軸方向の傾斜を低減するように構成される。
【0018】
さらに別の例によれば、ノズルチップアセンブリ(200)は、(i)第1のラジアル支持部(202)と、(ii)第2のラジアル支持部(204)とを(非限定的に)備えることが理解される。第1のラジアル支持部(202)は、金型アセンブリ(102)と少なくとも部分的に接触するように構成される。第2のラジアル支持部(204)は、支持可能な様態で金型アセンブリ(102)と少なくとも部分的に接触するように構成される。第2のラジアル支持部(204)は、第1のラジアル支持部(202)から離間して設けられる。第1のラジアル支持部(202)および第2のラジアル支持部(204)は、ノズルチップアセンブリ(200)の少なくとも部分的な軸方向の傾斜を低減するように構成される。特定の選択肢によれば、金型アセンブリ(102)は、キャビティ挿入部(103)を含む。金型キャビティ(106)は、金型アセンブリ(102)によって画定される。
【0019】
選択肢によれば、第2のラジアル支持部(204)は、ノズルチップアセンブリ(200)の軸(201)に沿って第1のラジアル支持部(202)から離間して軸方向に配置される。ノズルチップアセンブリ(200)は、ノズルアセンブリ(104)に少なくとも部分的に取り付けられるように構成される。加えて、第2のラジアル支持部(204)は、ノズルチップアセンブリ(200)の軸(201)に沿って第1のラジアル支持部(202)から離間して軸方向に配置される。第2のラジアル支持部(204)および第1のラジアル支持部(202)は、ノズルチップアセンブリ(200)の対向側に配置される。
【0020】
より詳細な例として、ノズルチップアセンブリ(200)は、(i)チップ本体アセンブリ(206)と、(ii)チップ本体アセンブリ(206)を包囲するシールアセンブリ(208)とを(非限定的に)備える。シールアセンブリ(208)は、「シールリング」と呼ばれることもできる。シールアセンブリ(208)は、漏洩(すなわち、金型アセンブリ(102)からノズルアセンブリ(104)への樹脂の漏洩)を回避しかつ/または低減する装置である。シールアセンブリ(208)は、概して、第1のラジアル支持部(202)および第2のラジアル支持部(204)を(非限定的に)備える。特定の選択肢によれば、シールアセンブリ(208)は、(i)第1のラジアル支持部(202)を有するシャフト本体(302)と、(ii)シャフト本体(302)から外側方向にラジアル方向に延在するアームアセンブリ(304)とを(非限定的に)備える。アームアセンブリ(304)は、1つ以上のアームを備え得ることが理解される。アームアセンブリ(304)は、第2のラジアル支持部(204)を有する。シャフト本体(302)によって規定されたシャフトは、ノズルチップアセンブリ(200)を少なくとも部分的に受容するように構成される。概して、「本体」(主要部分または中心的部分)は、1つ以上の要素を備え得ることが理解される。
図1に示す例によれば、第2のラジアル支持部(204)は、第1のラジアル支持部(202)の範囲からさらに離間して軸方向に延在する。この配置構成は逆に変更してもよく、あるいは、第2のラジアル支持部(204)および第1のラジアル支持部(202)は、チップ本体アセンブリ(206)から離間する軸方向の延在において等しく設けられてもよいことが理解される。
【0021】
さらに別の特定の例として、ノズルチップアセンブリ(200)は、シールアセンブリ(208)を包囲する断熱材アセンブリ(210)を(非限定的に)さらに備える。断熱材アセンブリ(210)は、金型アセンブリ(102)と接触する。断熱材アセンブリ(210)は、ノズルチップアセンブリ(200)を金型アセンブリ(102)から少なくとも部分的に断熱するよう構成される。
【0022】
さらに別の特定の例として、ノズルチップアセンブリ(200)は、バネアセンブリ(212)を(非限定的に)さらに備える。バネアセンブリ(212)は、断熱材アセンブリ(210)とシールアセンブリ(208)との間に少なくとも部分的に設けられる。バネアセンブリ(212)は、チップ本体アセンブリ(206)を少なくとも部分的にノズルアセンブリ(104)に対して付勢するように構成される。バネアセンブリ(212)は、例えば長細型屈曲バネを備えてもよいし、備えなくてもよい。
【0023】
ここで
図4を参照して、金型ツールシステム(100)の別の例が図示されている。この例において、シールアセンブリ(208)は、シャフト本体(302)を有する。シャフト本体(302)は長細型でありかつ肉薄であるため、シャフト本体(302)の内面が少なくとも部分的にチップ本体アセンブリ(206)の外面との接触を回避して、チップ本体アセンブリ(206)の外面とシールアセンブリ(208)のシャフト本体(302)の内面との間に空気が少なくとも部分的に存在する。
図1において、シャフト本体(302)の内面とチップ本体アセンブリ(206)の外面との間において空隙(303)が設けられている様子が図示されている。シャフト本体(302)により、シャフト本体(302)に沿ってチップ本体アセンブリ(206)の出口ポータル(211)への熱伝達が低減される。シャフト本体(302)は肉薄になっているため、シャフト本体(302)に沿ったチップ本体アセンブリ(206)の出口ポータル(211)への熱伝達を低減することができる。シールアセンブリ(208)は、接触領域(209)においてチップ本体アセンブリ(206)と物理的に接触する。接触領域(209)は、チップ本体アセンブリ(206)の対向する端部間の中間に近接して配置される。
【0024】
金型ツールシステム(100)は、ノズルチップアセンブリ(200)の傾斜を低減する。ノズルチップアセンブリ(200)の傾斜を低減することにより、(可能な場合は)ノズルチップアセンブリ(200)からの樹脂漏洩を低減かつ/または回避することができる。第2のラジアル支持部(204)により、ノズルチップアセンブリ(200)の傾斜が回避される。第2のラジアル支持部(204)は、キャビティ挿入部(103)に対して減少されたクリアランスを有する。ノズルチップアセンブリ(200)の後部がラジアル方向に装着されると、第2のラジアル支持部(204)は、キャビティ挿入部(103)と接触することもできる。この配置構成の例により、ノズルチップアセンブリ(200)の傾斜を低減および/または回避することができる。この配置構成(すなわち、部品または他のものを相互に配置することによって得られたもの)により、密閉面上の接触圧力を均等に維持することができ、また、ノズルチップアセンブリ(200)とノズルアセンブリ(104)との間の樹脂漏洩を回避することができる。選択肢によれば、第2のラジアル支持部(204)は、シールアセンブリ(208)の延長部である。第2のラジアル支持部(204)は、少なくとも1つの指部または複数の指部を有してもよいし、あるいは、複数の指部またはアームを有することもできる。特定の選択肢によれば、第2のラジアル支持部(204)は、ノズルチップアセンブリ(200)のチップ本体アセンブリ(206)よりも熱伝導率が低い材料で構成されるため、熱損失が最小化される。別の例によれば、第2のラジアル支持部(204)は、チップ本体アセンブリ(206)の後部へ付加することが可能な追加ピースまたは部品でもよい。別の例によれば、第2のラジアル支持部(204)は、チップ本体アセンブリ(206)の延長部でもよい。第2のラジアル支持部(204)は、ハウジングのような滑りシールを利用できるホットランナーシステムの他の部品においても用いることもできる。
【0025】
付記
以下の節は、金型ツールシステム(100)の例のさらなる記載として提案される。節(1):軸方向の傾斜を少なくとも部分的に低減するように構成できるノズルチップアセンブリ(200)を備える金型ツールシステム(100)。節(2):本段落に記載の任意の節の金型ツールシステム(100)において、ノズルチップアセンブリ(200)は、金型アセンブリ(102)と少なくとも部分的に支持可能に接触するように構成された第1のラジアル支持部(202)と、金型アセンブリ(102)と少なくとも部分的に支持可能に接触するように構成された第2のラジアル支持部(204)とを備え、第2のラジアル支持部(204)は、第1のラジアル支持部(202)から離間して配置でき、第1のラジアル支持部(202)および第2のラジアル支持部(204)は、ノズルチップアセンブリ(200)の軸方向の傾斜を少なくとも部分的に低減するように構成する。節(3):本段落に記載の任意の節の金型ツールシステム(100)において、第2のラジアル支持部(204)は、ノズルチップアセンブリ(200)の軸(201)に沿って第1のラジアル支持部(202)から離間されて軸方向に配置される。節(4):本段落に記載の任意の節の金型ツールシステム(100)において、ノズルチップアセンブリ(200)は、ノズルアセンブリ(104)に取り付けられるように構成され、ノズルチップアセンブリ(200)は、チップ本体アセンブリ(206)と、チップ本体アセンブリ(206)を包囲するシールアセンブリ(208)とを備え、シールアセンブリ(208)は、第1のラジアル支持部(202)と、第2のラジアル支持部(204)とを備える。節(5):本段落に記載の任意の節の金型ツールシステム(100)において、ノズルチップアセンブリ(200)はノズルアセンブリ(104)に取り付けられるように構成され、ノズルチップアセンブリ(200)は、チップ本体アセンブリ(206)と、チップ本体アセンブリ(206)を包囲するシールアセンブリ(208)とを備え、シールアセンブリ(208)は、第1のラジアル支持部(202)を有するシャフト本体(302)と、シャフト本体(302)から延在するアームアセンブリ(304)とを備え、アームアセンブリ(304)は、第2のラジアル支持部(204)を有する。節(6):本段落に記載の任意の節の金型ツールシステム(100)において、ノズルチップアセンブリ(200)は、シールアセンブリ(208)を包囲する断熱材アセンブリ(210)をさらに備え、断熱材アセンブリ(210)は金型アセンブリ(102)と接触し、断熱材アセンブリ(210)は、ノズルチップアセンブリ(200)を金型アセンブリ(102)から少なくとも部分的に断熱するよう構成される。節(7):本段落に記載の任意の節の金型ツールシステム(100)において、ノズルチップアセンブリ(200)は、シールアセンブリ(208)を包囲する断熱材アセンブリ(210)であって、金型アセンブリ(102)と接触し、ノズルチップアセンブリ(200)を金型アセンブリ(102)から少なくとも部分的に断熱するように構成される断熱材アセンブリ(210)と、断熱材アセンブリ(210)とシールアセンブリ(208)との間の少なくとも部分的に配置できるバネアセンブリ(212)であって、チップ本体アセンブリ(206)をノズルアセンブリ(104)に対して付勢するように構成されるバネアセンブリ(212)とを備える。節(8):本段落に記載の任意の節の金型ツールシステム(100)において、シャフト本体(302)の内面は、チップ本体アセンブリ(206)の外面との接触を少なくとも部分的に回避し、チップ本体アセンブリ(206)の外面とシールアセンブリ(208)のシャフト本体(302)の内面との間に空気が少なくとも部分的に存在し、シャフト本体(302)はシャフト本体(302)に沿ってチップ本体アセンブリ(206)の出口ポータル(211)への熱伝達を低減し、シールアセンブリ(208)は、接触領域(209)においてチップ本体アセンブリ(206)と物理的に接触し、接触領域(209)は、チップ本体アセンブリ(206)の対向する端部間の中間に近接して配置される。節(9):本段落に記載の任意の節の金型ツールシステム(100)において、第2のラジアル支持部(204)は、ノズルチップアセンブリ(200)のチップ本体アセンブリ(206)よりも熱伝導率が低い材料で構成され、熱損失が最小化される。節(10):本段落に記載の任意の節の金型ツールシステム(100)において、第2のラジアル支持部(204)は、チップ本体アセンブリ(206)の後部に付加された追加ピースである。節(11):本段落に記載の任意の節の金型ツールシステム(100)において、第2のラジアル支持部(204)は、チップ本体アセンブリ(206)の延長部である。節(12):本段落に記載の任意の節の金型ツールシステム(100)において、第2のラジアル支持部(204)は、滑りシールを利用するホットランナーシステムの他の部品において用いられる。節(13):本段落に記載の任意の節の金型ツールシステム(100)を有する成形システムにおいて、
図1から
図4は、金型ツールシステム(100)の特徴の例を示す。節(14):本段落に記載の任意の節の金型ツールシステム(100)において、第2のラジアル支持部(204)は、第1のラジアル支持部(202)から軸方向に離間してノズルチップアセンブリ(200)の軸(201)に沿って設けら、第2のラジアル支持部(204)および第1のラジアル支持部(202)は、ノズルチップアセンブリ(200)の対向する側部に配置される。節(15):チップ本体アセンブリ(206)と、チップ本体アセンブリ(206)の少なくとも部分的に低減された軸方向の傾斜のための手段(400)とを有するノズルチップアセンブリ(200)を備える金型ツールシステム(100)。節(16):節(15)の金型ツールシステム(100)において、手段(400)は、金型アセンブリ(102)と少なくとも部分的に支持可能に接触するように構成される第1のラジアル支持部(202)と、金型アセンブリ(102)と少なくとも部分的に支持可能に接触するように構成される第2のラジアル支持部(204)とを備え、第2のラジアル支持部(204)は第1のラジアル支持部(202)と離間して設けられ、第1のラジアル支持部(202)および第2のラジアル支持部(204)は、ノズルチップアセンブリ(200)の軸方向の傾斜を少なくとも部分的に低減するように構成される。
図1から
図4中に示す特徴および/または例は、任意の適切な順序および組み合わせで組み合わせることが可能であることが理解される。
【0026】
参照符号リスト
金型ツールシステム(100)
金型アセンブリ(102)
キャビティ挿入部(103)
ノズルアセンブリ(104)
金型キャビティ(106)
ノズルチップアセンブリ(200)
軸(201)
第1のラジアル支持部(202)
第2のラジアル支持部(204)
チップ本体アセンブリ(206)
範囲(207)
シールアセンブリ(208)
接触領域(209)
断熱材アセンブリ(210)
出口ポータル(211)
バネアセンブリ(212)
シャフト本体(302)
空隙(303)
アームアセンブリ(304)
【0027】
当業者が組み合わせおよび置換をそれぞれ明示的に説明する必要なく実行する際に当業者の範囲内である所望の機能およびタスクを行うことが必要とされる場合に、上記のアセンブリおよびモジュールの相互接続が可能であることが理解される。当該技術において利用可能な均等物のうち任意のものよりも優れた特定のアセンブリ、構成要素またはソフトウェアコードは存在しない。また、本発明および/または本発明の例の機能が実行可能である限り、本発明および/または本発明の例の特定の実行様態よりも優れたものは存在しない。本発明の重要局面は全て、本文書中に記載されていると考えられる。本発明の範囲は、独立請求項によって提供されることが理解され、また、本発明の範囲は、(i)従属請求項、(ii)非限定的な実施形態の詳細な説明、(iii)要旨、(iv)要約書および/または(v)本文書外の記載(すなわち、出願時、手続き時および/または特許付与時の本出願外の記載)に限定されることが理解される。本文書の目的のため、「含む(include)」という文言は、「備える(comprising)」という文言と(非限定的に)均等であることが理解される。上記は、非限定的な実施形態(例)の概要を述べたものである点に留意されたい。上記記載は、特定の非限定的な実施形態(例)についてのものである。非限定的な実施形態はひとえに例示的なものであることが理解される。