特許第5770950号(P5770950)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5770950アポトーシスシグナル調節キナーゼ阻害剤
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5770950
(24)【登録日】2015年7月3日
(45)【発行日】2015年8月26日
(54)【発明の名称】アポトーシスシグナル調節キナーゼ阻害剤
(51)【国際特許分類】
   C07D 401/14 20060101AFI20150806BHJP
   A61K 31/4439 20060101ALI20150806BHJP
   A61P 13/12 20060101ALI20150806BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20150806BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20150806BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20150806BHJP
   C07D 401/04 20060101ALN20150806BHJP
   C07D 233/56 20060101ALN20150806BHJP
【FI】
   C07D401/14CSP
   A61K31/4439
   A61P13/12
   A61P1/16
   A61P11/00
   A61P43/00 111
   !C07D401/04
   !C07D233/56
【請求項の数】2
【全頁数】33
(21)【出願番号】特願2014-554828(P2014-554828)
(86)(22)【出願日】2013年1月24日
(65)【公表番号】特表2015-508749(P2015-508749A)
(43)【公表日】2015年3月23日
(86)【国際出願番号】US2013022997
(87)【国際公開番号】WO2013112741
(87)【国際公開日】20130801
【審査請求日】2015年4月23日
(31)【優先権主張番号】61/591,710
(32)【優先日】2012年1月27日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】500029420
【氏名又は名称】ギリアード サイエンシーズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】ノット, グレゴリー
【審査官】 三木 寛
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2011/0009410(US,A1)
【文献】 特許第5745721(JP,B1)
【文献】 特表2013−530240(JP,A)
【文献】 Foye's Principles of Medicinal Chemistry, 5th Edition,2002年,p.37-67
【文献】 Chem. Rev.,1996年,Vol.96,p.3147-3176
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 401/14
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(I)
【化14】
の化合物または薬学的に許容されるその塩。
【請求項2】
請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩と、薬学的に許容されるキャリアとを含む、医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、ASK1媒介性疾患の処置における使用のための新規化合物に関する。本発明はまた、その調製のための中間体および上記新規化合物を含有する医薬組成物にも関する。
【背景技術】
【0002】
背景
アポトーシスシグナル調節キナーゼ1(ASK1)は、c−JunN−末端タンパク質キナーゼ(「JNK」)およびp38MAPキナーゼを活性化する、マイトジェン活性化タンパク質キナーゼキナーゼキナーゼ(「MAP3K」)ファミリーのメンバーである(Ichijo、H.、Nishida、E.、Irie、K.、Dijke、P.T.、Saitoh、M.、Moriguchi、T.、Matsumoto、K.、Miyazono、K.、およびGotoh、Y.(1997年)Science、275巻、90〜94頁)。ASK1は、酸化ストレス、反応性酸素種(ROS)、LPS、TNF−α、FasL、ERストレス、および細胞内カルシウム濃度の増加を含めた様々な刺激により活性化される(Hattori、K.、Naguro、I.、Runchel、C.、およびIchijo、H.(2009年)Cell Comm. Signal.7巻:1〜10頁;Takeda、K.、Noguchi、T.、Naguro、I.、およびIchijo、H.(2007年)Annu. Rev. Pharmacol. Toxicol.48巻:1〜8.27頁; Nagai、H.、Noguchi、T.、Takeda、K.、およびIchijo、I.(2007年)J. Biochem. Mol. Biol.40巻:1〜6頁)。
【0003】
ASK1タンパク質のリン酸化は、細胞型に応じて、アポトーシスまたは他の細胞応答を引き起こし得る。ASK1活性化およびシグナル伝達は、神経変性障害、心血管障害、炎症性障害、自己免疫性障害、および代謝性障害を含めた広範囲の疾患において重要な役割を果たすことが報告されている。加えて、ASK1は、心臓、脳、および腎臓の虚血および再灌流に続いて生じる器官損傷の媒介に関係している(Watanabeら、(2005年)BBRC 333巻、562〜567頁;Zhangら、(2003年)Life Sci 74巻、37〜43頁;Teradaら、(2007年)BBRC 364巻:1043〜49頁)。
【0004】
ROSは、腎臓における炎症性サイトカインの産生、線維症、アポトーシス、およびネクローシスの増加に関連していることが報告されている。(Singh DK、Winocour P、Farrington K. Oxidative stress in early diabetic nephropathy: fueling the fire. Nat Rev Endocrinol 2011年3月;7巻(3号):176〜184頁;Brownlee M. Biochemistry and molecular cell biology of diabetic complications. Nature、2001年12月13日;414巻(6865号):813〜820頁;Mimura I、Nangaku M. The suffocating kidney: tubulointerstitial hypoxia in end−stage renal disease. Nat Rev Nephrol、2010年11月;6巻(11号):667〜678頁)。
【0005】
さらに、酸化ストレスは、さらなる腎臓損傷およびROSの産生を引き起こす高度なグリケーション最終産物(AGE)の形成を促進する。(Hung KYら、N−acetylcysteine−mediated antioxidation prevents hyperglycemia−induced apoptosis and collagen synthesis in rat mesangial cells. Am J Nephrol、2009年;29巻(3号):192〜202頁)。
【0006】
腎臓における尿細管間質性線維症は、慢性腎疾患を有する患者における、腎不全への進行の強い予測判断材料である(Schainuck LIら、Structural−functional correlations in renal disease. Part II: The correlations. Hum Pathol、1970年;1巻:631〜641頁)。ラットにおける片側尿管閉塞(UUO)は、広く使用されている尿細管間質性線維症のモデルである。UUOは、尿細管間質性(tubulointerstital)炎症、トランスフォーミング増殖因子β(TGF−β)の発現の増加、および筋線維芽細胞の蓄積を引き起こし、これによって、マトリクスタンパク質、例えば、コラーゲンおよびフィブロネクチンを分泌する。UUOモデルを使用して、腎線維症を阻害することによって、慢性腎疾患を処置するための薬物の潜在能力を試験することができる(Chevalierら、Ureteral obstruction as a model of renal interstitial fibrosis and obstructive nephropathy、Kidney International、(2009年)75巻、1145〜1152頁)。
【0007】
したがって、ASK1シグナル伝達の阻害剤として機能する治療剤は、神経変性障害、心血管障害、炎症性障害、自己免疫性障害、および代謝性障害などの疾患または状態に対する処置を必要とする患者の生活を救済または改善する潜在能力を有する。特に、ASK1阻害剤は、腎疾患、糖尿病性腎疾患、慢性腎疾患を含む心臓−腎疾患、線維性疾患(肺線維症および腎線維症を含む)、呼吸器疾患(慢性閉塞性肺疾患(COPD)および急性肺損傷を含む)、急性および慢性肝疾患を処置する潜在能力を有する。
【0008】
米国公開第2007/0276050号は、心血管疾患を予防および/または処置するのに有用なASK1阻害剤を同定するための方法ならびに動物における心血管疾患を予防および/または処置するための方法について記載している。
WO2009027283は、トリアゾロピリジン化合物、その調製のための方法ならびに自己免疫性障害、炎症性疾患、心血管疾患および神経変性疾患を処置するための方法を開示している。
【0009】
2011年1月13日に公開された、米国特許公開第2001/00095410A1号は、ASK−1阻害剤として有用な化合物を開示している。米国特許公開第2001/00095410A1号は、式(I)の化合物に関する:
【化1】
(式中、
は、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、またはヘテロシクリルであり、これらのすべては、ハロ、オキソ、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、アリールオキシ、−NO、R、−C(O)−R、−OC(O)−R −C(O)−O−R、−C(O)−N(R)(R)、−OC(O)−N(R)(R)、−S−R、−S(=O)−R、−S(=O)、−S(=O)−N(R)(R)、−S(=O)−O−R、−N(R)(R)、−N(R)−C(O)−R、−N(R)−C(O)−O−R、−N(R)−C(O)−N(R)(R)、−N(R)−S(=O)−R、−CN、および−O−R、から選択される1、2、または3つの置換基で必要に応じて置換されており、ここで、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、フェニル、およびフェノキシは、アルキル、シクロアルキル、アルコキシ、ヒドロキシル、およびハロから選択される1、2、または3つの置換基で必要に応じて置換されており、
およびRは、水素、C〜C15アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールからなる群から独立して選択され、これらのすべては、ハロ、アルキル、モノ−もしくはジアルキルアミノ、アルキルもしくはアリールもしくはヘテロアリールアミド、−CN、低級アルコキシ、−CF、アリール、およびヘテロアリールから選択される1〜3つの置換基で必要に応じて置換されているか、または
およびRは、これらが付加している窒素と一緒になった場合、ヘテロ環を形成し、
は、水素、ハロ、シアノ、アルコキシ、またはアルキル(ハロで必要に応じて置換されている)であり、
は、アリール、ヘテロアリール、またはヘテロシクリルであり、これらのすべては、アルキル、アルコキシ、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ハロ、オキソ、−NO、ハロアルキル、ハロアルコキシ、−CN、−O−R、−O−C(O)−R、−O−C(O)−N(R)(R)、−S−R、−N(R)(R)、−S(=O)−R、−S(=O)、−S(=O)−N(R)(R)、−S(=O)−O−R、−N(R)−C(O)−R、−N(R)−C(O)−O−R、−N(R)−C(O)−N(R)(R)、−C(O)−R、−C(O)−O−R、−C(O)−N(R)(R)、および−N(R)−S(=O)−R、から選択される1つまたは複数の置換基で必要に応じて置換されており、
ここで、上記アルキル、アルコキシ、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルは、ハロ、オキソ、−NO、アルキル、ハロアルキル、ハロアルコキシ、−N(R)(R)、−C(O)−R、−C(O)−O−R、−C(O)−N(R)(R)、−CN、−O−R、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロシクリル;から選択される1つまたは複数の置換基でさらに必要に応じて置換されており、
ただし、上記ヘテロアリールまたはヘテロシクリル部分は、少なくとも1個の環窒素原子を含むことを条件とし、
、X、X、X、X、X、XおよびXは、独立して、C(R)またはNであり、ここで、各Rは、独立して、水素、アルキル、アルコキシ、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、ハロ、−NO、ハロアルキル、ハロアルコキシ、−CN、−O−R、−S−R、−N(R)(R)、−S(=O)−R、−S(=O)、−S(=O)−N(R)(R)、−S(=O)−O−R、−N(R)−C(O)−R、−N(R)−C(O)−O−R、−N(R)−C(O)−N(R)(R)、−C(O)−R、−C(O)−O−R、−C(O)−N(R)(R)、または−N(R)−S(=O)−R、であり、ここで、上記アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、およびヘテロシクリルは、ハロ、オキソ、−NO、−CF、−O−CF、−N(R)(R)、−C(O)−R、−C(O)−O−R、−C(O)−N(R)(R)、−CN、−O−Rから選択される1つまたは複数の置換基でさらに必要に応じて置換されており、または
およびXもしくはXおよびXは、一緒になることによって、必要に応じて置換されている縮合アリールもしくは必要に応じて置換されている縮合ヘテロアリールを提供し、
ただし、X、X、およびXのうちの少なくとも1つはC(R)であり、
、X、X、およびXのうちの少なくとも2つはC(R)であり、
、X、X、X、X、XおよびXのうちの少なくとも1つはNであることを条件とする)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許出願公開第2007/0276050号
【特許文献2】国際公開第2009027283号
【特許文献3】米国特許出願公開第2001/00095410号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上記開示にもかかわらず、ASK1活性化に関する疾患の処置のための、強力であり、改善された薬物動態学的および/または薬力学的プロファイルを示す化合物に対する必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
驚くことに、出願人らは、米国特許公開第2011/0009410A号の範囲内で、その中に開示されている化合物と比較した場合、概して良好な効力、改善された薬物動態学的および/または薬力学的プロファイルを示す、新規化合物を発見した。
【0013】
発明の要旨
本発明は、式:
【化2】
の化合物または薬学的に許容されるその塩に関する。
【0014】
一実施形態では、本発明は、ASK1阻害剤での処置を必要とする患者の疾患の処置における式(I)の化合物の使用に関する。
【0015】
別の実施形態では、本発明は、式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩と、1つまたは複数の薬学的に許容されるキャリアとを含む医薬組成物に関する。
【0016】
別の実施形態では、本発明は、糖尿病性腎症、または糖尿病の合併症を処置する方法であって、式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩の治療有効量を、それを必要とする患者に投与する工程を含む方法である。
【0017】
別の実施形態では、本発明は、腎疾患、または糖尿病性腎疾患を処置する方法であって、式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩の治療有効量を、それを必要とする患者に投与する工程を含む方法に関する。
【0018】
別の実施形態では、本発明は、腎線維症、肺線維症、または特発性肺線維症(IPF)を処置する方法であって、式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩の治療有効量を、それを必要とする患者に投与する工程を含む方法に関する。
【0019】
別の実施形態では、本発明は、糖尿病性腎疾患、糖尿病性腎症、腎線維症、肝線維症、または肺線維症を処置する方法であって、式(forumia)(I)の化合物または塩の治療有効量を、それを必要とする患者に投与する工程を含む方法に関する。
【0020】
別の実施形態では、本発明は、式(I)の化合物を合成するために有用な中間体に関する。
【0021】
別の実施形態では、本発明は、慢性腎疾患の処置のための式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩の使用に関する。
【0022】
別の実施形態では、本発明は、糖尿病性腎疾患の処置のための式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩の使用に関する。
【0023】
別の実施形態では、本発明は、慢性腎疾患の処置のための医薬品の製造における、式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩の使用に関する。
【0024】
さらに別の実施形態では、本発明は、治療における使用のための式(I)の化合物に関する。
本発明の好ましい実施形態において、例えば以下の項目が提供される。
(項目1)
5−(4−シクロプロピル−1H−イミダゾール−1−イル)−N−(6−(4−イソプロピル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)ピリジン−2−イル)−2−フルオロ−4−メチルベンズアミドである、式(I)
【化14】

の化合物または薬学的に許容されるその塩。
(項目2)
5−((4−シクロプロピル−1H−イミダゾール(imdazol)−1−イル)−2−フルオロ−N−(6−(4−イソプロピル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)ピリジン−2−イル)−4−メチルベンズアミドである、式(I)
【化15】

の化合物。
(項目3)
項目1に記載の化合物または塩の治療有効量と、薬学的に許容されるキャリアとを含む、医薬組成物。
(項目4)
項目2に記載の化合物の治療有効量と、薬学的に許容されるキャリアとを含む、医薬組成物。
(項目5)
慢性腎疾患を処置する方法であって、項目2に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩の治療有効量を、それを必要とする患者に投与する工程を含む、方法。
(項目6)
糖尿病性腎症を処置する方法であって、項目2に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩の治療有効量を、それを必要とする患者に投与する工程を含む、方法。
(項目7)
腎線維症、肝線維症、または肺線維症を処置する方法であって、項目1に記載の化合物または塩の治療有効量を、それを必要とする患者に投与する工程を含む、方法。
(項目8)
糖尿病性腎疾患を処置する方法であって、項目1に記載の化合物または塩の治療有効量を、それを必要とする患者に投与する工程を含む、方法。
(項目9)
慢性腎疾患の処置のための医薬品の製造における、項目1に記載の化合物または塩の使用。
(項目10)
治療における項目1に記載の化合物または塩の使用。
(項目11)
2−アミノ,5−(4−イソプロピル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)ピリジンである、式:
【化16】

の中間体またはその塩もしくは保護された形態。
(項目12)
5−(4−シクロプロピル−1H−イミダゾール−1−イル)−2−フルオロ−4−メチル安息香酸である、式:
【化17】

の中間体、その塩または保護された形態。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1図1は、7日間の片側尿管閉塞を被った、1日当たり1、3、10、または30mg/kgのb.i.d.により、ビヒクルまたは式(I)の化合物のいずれかで処置したラットの腎臓皮質中のコラーゲンIVレベルを示す棒グラフである。
【0026】
図2図2は、7日間の片側尿管閉塞を被った、1日当たり1、3、10、または30mg/kgのb.i.d.により、ビヒクルまたは式(I)の化合物のいずれかで処置したラットからの、アルファ−平滑筋アクチン(活性化した筋線維芽細胞のマーカー)で染色した腎臓皮質切片の代表的な画像を示している。
【発明を実施するための形態】
【0027】
定義および一般的パラメーター
本明細書で使用される場合、以下の単語および句は、これらが使用されている文脈が他を示す場合を除いて、以下に記述された意味を有することを意図する。いかなる指示や定義も与えられていない場合には、関連する辞書においてまたは当業者に公知の一般的用法において見出されるような単語または句の通常の意味が含まれる。
【0028】
「慢性腎疾患」という用語は、本明細書で使用される場合、通常数カ月または数年の経時的な腎機能の進行性消失を指す。慢性腎疾患(CKD)は、当業者に公知の適当な情報、試験またはマーカーを使用して、適格な介護者により診断される。慢性腎疾患は、暗示的に腎疾患を含む。
【0029】
「糖尿病性腎疾患」という用語は、本明細書で使用される場合、糖尿病が原因となって引き起こされる、糖尿病により増悪する、または糖尿病と共存する腎疾患を指す。糖尿病性腎疾患は、糖尿病患者のほぼ30%に生じる慢性腎疾患の形態である。糖尿病性腎疾患は、タンパク尿の存在および/または損なわれた腎機能(すなわち糸球体濾過速度の低減)を有する糖尿病として定義されている(de B、Iら、Temporal trends in the prevalence of diabetic kidney disease in the United States. JAMA、2011年6月22日;305巻(24号):2532〜2539頁を参照されたい)。
【0030】
「薬学的に許容される塩」という用語は、生物学的有効性および基礎となる化合物の特性を保持し、生物学的にまたは他の点で不適切ではない薬学的化合物、例えば式(I)の化合物の塩を指す。酸付加塩および塩基付加塩が存在する。薬学的に許容される酸付加塩は、無機酸および有機酸から調製することができる。
【0031】
薬学的に許容される塩(それぞれ酸付加塩または塩基付加塩)を形成するための、基礎となる化合物との反応のために有用な酸および塩基は当業者には公知である。同様に、基礎となる化合物(開示による)から薬学的に許容される塩を調製する方法は当業者には公知であり、例えば、Bergeら、Journal of Pharmaceutical Science、1977年1月、66巻、1号、および他の出典において開示されている。無機酸から誘導される塩として、これらに限定されないが塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などが挙げられる。有機酸から誘導される塩として、これらに限定されないがマレイン酸、フマル酸、酒石酸、p−トルエン−スルホン酸などが挙げられる。塩基付加塩を形成するのに有用な塩基は当業者には公知である。式(I)の化合物の薬学的に許容される塩の例は、式(I)の化合物の塩酸塩である。
【0032】
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容されるキャリア」として、本発明の化合物またはその使用に対して有害ではない、賦形剤または作用物質、例えば、溶媒、希釈剤、分散媒、コーティング、抗菌剤および抗真菌剤、等張剤および吸収遅延剤などが挙げられる。薬学的活性物質の組成物を調製するためのこのようなキャリアおよび作用物質の使用は当技術分野で周知である(例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences、Mace Publishing Co.、Philadelphia、PA、第17版(1985年);およびModern Pharmaceutics、Marcel Dekker, Inc.第3版(G.S. Banker & C.T. Rhodes編)を参照されたい。)
【0033】
「心臓−腎疾患」という用語は、本明細書で使用される場合、心血管の問題、例えば、高い血圧または高血圧症などにより引き起こされるまたは増悪する腎臓の機能に関する疾患を指す。高血圧症は腎疾患の主要な原因因子と考えられている。
【0034】
「呼吸器疾患」という用語は、本明細書で使用される場合、慢性閉塞性肺疾患(COPD)および特発性肺線維症(IPF)を含む疾患を指す。
【0035】
「治療有効量」という用語は、1回または複数回の用量で、このような処置を必要とする患者(特にヒト)に投与された場合、以下に定義されるような処置を実行するのに十分な式(I)の化合物の量を指す。治療有効量は、資格のある処方者もしくは介護者により決定されるとおり、患者、処置している疾患、患者の体重および/もしくは年齢、疾患の重症度、または投与方式に応じて異なる。
【0036】
「処置」または「処置する」という用語は、以下の目的のために、式(I)の化合物または薬学的に許容される塩を投与することを意味する:
(i)疾患の発現を遅らせる、すなわち、疾患の臨床症状を発症しないようにさせる、もしくはその発症を遅らせること;
(ii)疾患を阻害する、すなわち、臨床症状の発症を止めること;および/または
(iii)疾患を緩和する、すなわち、臨床症状もしくはその重症度の後退を引き起こすこと。
【0037】
好ましい実施形態では、本発明は、慢性腎疾患の処置における式(I)の化合物の使用であって、それを必要とする患者に治療有効量を投与することを含む、使用に関する。
【0038】
別の好ましい実施形態では、本発明は、糖尿病性腎疾患の処置における式(I)の化合物の使用であって、それを必要とする患者に治療有効量を投与することを含む、使用に関する。
【0039】
別の好ましい実施形態では、本発明は、肺線維症または腎線維症の処置における式(I)の化合物の使用であって、それを必要とする患者に治療有効量を投与することを含む、使用に関する。
【0040】
治療剤の50%阻害濃度(IC50)とは、標的酵素に対する最大阻害の50%を生じさせるのに必要な治療剤の濃度である。治療剤、例えば、低いIC50でアポトーシスシグナル調節キナーゼ(ASK1)を阻害する化合物を発見することが、望ましい目標である。このように、望ましくない副作用は、ASK1酵素を阻害するのにより低い用量の治療剤を使用することができることによって最小限に抑えられる。
【0041】
同様に、低い解離定数(K)を有する治療剤を発見することが望ましい目標である。Kを使用して、リガンド(例えば、治療剤)と、対応するキナーゼまたは受容体との間の親和性を記載する;すなわち、K治療剤がある特定のキナーゼ、例えばアポトーシスシグナル調節キナーゼASK1にどれだけしっかりと結合するかの尺度である。したがって、より低いKは一般的に薬物開発において好ましい。
【0042】
同様に、低いEC50を有する化合物を発見することが望ましい目標である。EC50は、細胞において最大効果の50%を達成する薬物の濃度である。EC50値は、言い換えると、最大効果の50%を達成するのに必要なアッセイ媒体中の化合物の濃度である。したがって、より低いEC50は薬物開発のために一般的に好ましい。
【0043】
EC50に関連する有用な測定単位は、タンパク質結合で調整したEC50(本明細書で使用される場合PBadj.EC50)である。この値は、最大効果の50%を提供する、タンパク質に未結合の薬物の画分と相関する薬物の量、例えば式(I)の化合物の量を測定する。この値は、標的作用部位で利用可能な薬物の量に対して補正された、またはこれと相関する薬物の効能を測定する。
【0044】
別の望ましい特性は、CACO細胞透過性実験で決定した細胞膜流出比が低い化合物を有することである。流出比((B/A)/(A/B))3.0未満が好ましい。3を超える比を有する化合物は、細胞から活発で急速な流出が生じることが予想され、最大効果を達成するために十分な継続時間を細胞内で有することができない。
【0045】
別の望ましい目標は、目的外の(off−target)阻害が最小である薬物を発見することである。すなわち、Cyp450(チトクロムP450)酵素を最小限に阻害する薬物である。より具体的には、P450酵素の中で最も重要であるcyp3A4の弱い阻害剤である薬物が所望される。弱い阻害剤は、プラズマAUC値において少なくとも1.25倍、ただし2倍未満の増加、またはクリアランスにおいて20〜50%の低下を引き起こす化合物である(wikipedia.org/wiki/cyp3A4、11/12/11にアクセス)。一般的に、10uMを超えるCyp3A4のIC50を示す化合物は弱い阻害剤とみなされる。
【0046】
候補薬物の中でcyp3A4阻害を比較するのに有用な尺度は、Cyp3A4阻害とタンパク質結合で調整したEC50との比である。この値から、各薬物に特異的であるタンパク質結合で調整したEC50に対して補正されたcyp阻害に対する相対的潜在能力の指標が得られる。この尺度においてより高い比が好ましいが、これはcyp3A4阻害に対するより低い潜在能力を示すからである。
【0047】
予想外におよび有利なことには、出願人らは、米国特許公開第2001/00095410A1号に開示されている構造的に近い化合物(本明細書中で化合物AおよびBと指定されている)と比較して利点を提供する米国特許公開第2001/00095410A1号の一般的範囲内の化合物(本明細書中の式(I))を発見した
【化3】
【0048】
したがって、本発明の目的は、これらに限定されないが、式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩、および腎疾患、慢性腎疾患、糖尿病性腎疾患、糖尿病性腎症、腎線維症または肺線維症の処置のための式(I)の化合物を使用する方法の提供を含む。
【0049】
併用療法
心臓−腎疾患、例えば、慢性腎疾患に対する処置を受けている患者は、併用薬物処置から恩恵を受けることができる。例えば、本発明の化合物は、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤、例えば、エナラプリル、カプトプリル、ラミプリル、リシノプリル、およびキナプリル;またはアンジオテンシン(angiontesin)II受容体遮断剤(ARB)、例えば、ロサルタン、オルメサルタン、およびイルベサルタン;または抗高血圧剤、例えば、アムロジピン、ニフェジピン、およびフェロジピンのうちの1種または複数と組み合わせることができる。組合せの利点は、成分に対する効能の増加および/または副作用の減少となり得る。これは、式(I)の化合物および/または他の活性のある成分(複数可)の効能により増大したその効能の恩恵を受けながら、その成分の用量を、副作用を減少させるよう下方調節することができるからである。
【0050】
ASKI阻害剤、例えば、式(I)の化合物で処置可能な慢性腎疾患を呈示する患者はまた、式(I)の化合物と組み合わせて、抗生剤、鎮痛剤、抗うつ剤および/または抗不安剤である1種または複数種の治療剤を共投与すること(資格のある介護者により導かれる通りに)から恩恵を受ける状態を示し得る。組合せ処置は、資格のある介護者により導かれる通りに、同時にもしくは互いに間隔をあけて投与するか、または2種以上の活性薬剤の固定用量(すべての活性成分(active ingreditent)を単一剤形、例えば錠剤へと組み合わせる)の提示によって投与することができる。
【0051】
医薬組成物および投与
本発明の化合物は、医薬組成物の形態で投与することができる。したがって、本発明は、活性成分として、式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩、ならびに1つもしくは複数の薬学的に許容される賦形剤および/またはキャリア(不活性固体希釈剤および充填剤を含む)、希釈剤(滅菌水溶液および様々な有機溶媒を含む)、浸透促進剤、可溶化剤ならびにアジュバントを含有する医薬組成物を提供する。医薬組成物は、単独でまたは他の治療剤と組み合わせて投与することができる。組成物は、固体錠剤、カプセル剤、カプレット、軟膏剤、皮膚パッチ、持続性放出、高速分解する錠剤、吸入製剤など、送達用として調製され得る。典型的な医薬組成物は、薬学技術において周知の方法および/またはプロセスを使用して調製および/または投与される(例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences、Mace Publishing Co.、Philadelphia、PA、第17版(1985年);およびModern Pharmaceutics、Marcel Dekker、Inc.、第3版(G.S. Banker & C.T. Rhodes, 編)を参照されたい)。
【0052】
式(I)の化合物を含む組合せ処置のための配合物は、当業者に公知の手順を使用した、固定用量の配合物、例えば錠剤、エリキシル剤、液剤、軟膏剤、吸入剤、ゲル剤などとして存在してもよい。
【0053】
式(I)の化合物の医薬組成物は、単回または複数回の用量のいずれかで、例えば、直腸、口腔、鼻腔内および経皮的経路を含めた経路で、動脈内注射で、静脈内、腹腔内、非経口的に、筋肉内、皮下、経口的、局所的に、吸入剤として、または含浸させたもしくはコーティングしたデバイス、例えば、ステント、もしくは例えば、動脈挿入された円柱状ポリマーを介して投与することができる。投与の最も好ましい経路として、経口投与、非経口(parental)投与および静脈内投与が挙げられる。
【0054】
式(I)の化合物は、薬学的有効量で投与することができる。経口投与に対して、各投与単位は、好ましくは1mg〜500mgの式(I)の化合物を含有する。より好ましい用量は1mg〜250mgの式(I)の化合物である。特に好ましいのは、1日2回およそ20mg〜1日2回およそ50mgの範囲である式(I)の化合物の用量である。しかし、実際に投与される化合物の量は普通、処置する状態、選ばれた投与経路、適用可能な場合、共投与の化合物、個々の患者の年齢、体重、応答性、患者の症状の重症度などを含めた関連する状況を考慮して医師により決定されることを理解されたい。
【0055】
命名法
ChemBioDraw Ultra 11を使用して生成された、本発明の化合物の名称は、
【化4】
【0056】
5−(4−シクロプロピル−1H−イミダゾール−1−イル)−N−(6−(4−イソプロピル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)ピリジン−2−イル)−2−フルオロ−4−メチルベンズアミドであり、これはまた、5−((4−シクロプロピル−1H−イミダゾール(imdazol)−1−イル)−2−フルオロ−N−(6−(4−イソプロピル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)ピリジン−2−イル)−4−メチルベンズアミドとしても公知である。
【0057】
式(I)の化合物の合成
本発明の化合物は、本明細書中に開示されている方法またはその変化形(本明細書中の開示を考えると明らかである)を使用して調製することができる。本発明の化合物の合成は、以下の実施例に記載されているように遂行することができる。利用可能な場合、試薬は、例えば、Sigma Aldrichまたは他の化学物質の供給元から商業的に購入することができる。代わりに、試薬は、当業者に公知の反応スキームおよび方法を使用して調製することができる。
【0058】
合成反応パラメーター
「溶媒」、「不活性有機溶媒」または「不活性溶媒」という用語は、反応と併せて記載されている反応条件下で不活性な溶媒(例えば、ベンゼン、トルエン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン(THF)、ジメチルホルムアミド(DMF)、クロロホルム、塩化メチレン(またはジクロロメタン)、ジエチルエーテル、石油エーテル(PE)、メタノール、ピリジン、酢酸エチル(EA)などを含む)を指す。反対の意味であることが特定されていない限り、本発明の反応に使用される溶媒は、不活性な有機溶媒であり、反応は、不活性ガス下、好ましくは窒素下で行われる。
【0059】
式(I)の化合物を調製する一つの方法が、以下の反応スキーム1および2において示されている。
スキーム1
【化5】
【0060】
化合物Aの調製
メチル6−アミノピコリネート(432g、2.84モル)のMeOH(5L)中溶液に、NHNH.HO(284g、5.68モル、2.0当量)を加えた。反応混合物を3時間加熱還流し、次いで室温に冷却した。混合物中に形成された沈殿物を濾過で収集し、EAで洗浄し(2L×2)、次いで真空中で乾燥させることによって、化合物Aを白色の固体として得た(405g、94%収率)。
【0061】
化合物Bの調製
化合物A(405g、2.66モル)のジメチルホルムアミド−ジメチルアセタール(DMF−DMA)(3.54L)中混合物を18時間加熱還流し、室温に冷却し、次いで減圧下で濃縮した。残渣をEA(700mL)に溶解し、50℃で20分間加熱した。室温に冷却した後、固体を濾過で収集し、真空中で乾燥させることによって、白色の固体として、化合物Bを得た(572g、82%収率)。
【0062】
Cの調製
化合物B(572g、2.18モル)のCHCN−AcOH(3.6L、4:1)混合物中溶液に、プロパン−2−アミン(646g、5.0当量)を加えた。生成した混合物を24時間加熱還流し、次いで室温に冷却し、溶媒を減圧下で除去した。残渣を水(2.8L)中に溶解し、1Nの水性NaOHを8.0HのpHまで加えた。沈殿物を濾過で収集し、濾液をEA(500mL×3)で抽出した。合わせた有機層を無水NaSOで乾燥させ、次いで150mLの体積まで濃縮した。この混合物に0℃でPE(400mL)をゆっくりと加え、生成した懸濁液を濾過した。合わせた固体をEA−PEから再結晶化することによって、オフホワイト色の固体として化合物Cを得た(253g、57%収率)。
H−NMR (400MHz, CDCl3): δ 8.24 (s, 1H), 7.52 (m, 2H), 6.51 (dd, J=1.6, 7.2Hz, 1H), 5.55 (m, 1H), 4.46 (bs, 2H), 1.45 (d, J=6.8Hz, 6H)。MS(ESI+)m/z:204(M+1)
【0063】
化合物Cは、式(I)の化合物の合成のための主要な中間体である。したがって、本発明の目的はまた、式(I)の化合物の調製のための、中間体化合物C、
【化6】
その塩またはその保護された形態の提供である。化合物Cの塩の例はHCl付加塩である。化合物Cの保護された形態の例は、カルバメート化合物、例えば、Cbz−Clで得られるものである。保護基、これらの調製および使用は、Peter G.M. Wuts and Theodora W. Greene、Protective Groups in Organic Chemistry、第2版、1991年、Wiley and Sons、Publishersにおいて教示されている。
【0064】
スキーム2
式(I)の化合物の調製は連続した:
【化7】
化合物6は、式(I)の化合物の合成のための主要な中間体である。したがって、本発明の目的はまた、式(I)の化合物の調製のための、中間体化合物6、
【化8】
【0065】
その塩または保護された形態の提供である。化合物6の塩の例はHCl付加塩である。化合物6の保護された形態の例はエステル(例えばメチル、エチルまたはベンジルエステル)またはカルバメート化合物、例えば、Cbz−Clで得られるものである。保護基、これらの調製および使用は、Peter G.M. Wuts and Theodora W. Greene、Protective Groups in Organic Chemistry、第2版、1991年、Wiley and Sons, Publishersにおいて教示されている。
【0066】
ステップ1 − 5−アミノ−2−フルオロ−4−メチルベンゾニトリルの調製−化合物(2)
出発の5−ブロモ−4−フルオロ−2−メチルアニリン(1)(20g、98mmol)を無水1−メチルピロリジノン(100mL)中に溶解し、シアン化銅(I)(17.6g、196mmol)を加えた。反応物を180℃に3時間加熱し、室温に冷却し、水(300mL)および濃水酸化アンモニウム(300mL)を加えた。混合物を30分間撹拌し、EA(3×200mL)で抽出した。合わせた抽出物を硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶媒を減圧下で除去した。油性残渣をヘキサン(2×100mL)で洗浄し、固体をジクロロメタン中に溶解し、シリカゲルカラム上に載せた。ヘキサン中0〜25%EAの勾配で溶出させることで5−アミノ−2−フルオロ−4−メチルベンゾニトリルを得た(10.06g、67.1mmol)。LC/MS(m/z:151M+1)。
【0067】
ステップ2 − 5−(2−シクロプロピル−2−オキソエチルアミノ)−2−フルオロ−4−メチルベンゾニトリルの調製−化合物(3)
5−アミノ−2−フルオロ−4−メチルベンゾニトリル(12g、80mmol)を、窒素下で無水N,N−ジメチルホルムアミド(160mL)中に溶解し、撹拌しながら、炭酸カリウム(13.27g、96mmol)およびヨウ化カリウム(14.61g、88mmol)を固体として加えた。反応物を室温で5分間撹拌し、次いでブロモメチルシクロプロピルケトン(20.24mL、180mmol)を加えた。反応混合物を60℃に3時間加熱し、次いで減圧下で溶媒を除去した。残渣をEA(400mL)中に溶解し、400mLの水で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶媒を減圧下で除去した。残渣を最小量のEA中に再溶解し、ヘキサンを加えることによって、溶液を、体積に関して3:1のヘキサン:EAにした。溶液から沈殿した生成物を濾過で収集することによって、5−(2−シクロプロピル−2−オキソエチルアミノ)−2−フルオロ−4−メチルベンゾニトリルを得た(14.19g、61.2mmol)。LC/MS(m/z:233、M+1)。
【0068】
ステップ3 − 5−(4−シクロプロピル−2−メルカプト−1H−イミダゾール−1−イル)−2−フルオロ−4−メチルベンゾニトリルの調製−化合物(4)
5−(2−シクロプロピル−2−オキソエチルアミノ)−2−フルオロ−4−メチルベンゾニトリル(14.19g、61.2mmol)を氷酢酸(300mL)中に溶解した。撹拌しながら、チオシアン酸カリウム(11.9g、122.4mmol)を固体として加えた。反応混合物を110℃に4時間加熱し、この時点で溶媒を減圧下で除去した。残渣をジクロロメタン(200mL)に溶解し、200mLの水で洗浄した。水性抽出物を追加のジクロロメタンで抽出し(2×200mL)、有機抽出物を合わせ、硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶媒を減圧下で除去し、油性残渣をEA(50mL)中に再溶解し、150mLのヘキサンを加えた。形成された暗色の層および撹拌棒をフラスコに加えた。激しい撹拌が、生成物をモモ色の固体として沈殿させた。生成物を濾過で収集することによって、5−(4−シクロプロピル−2−メルカプト−1H−イミダゾール−1−イル)−2−フルオロ−4−メチルベンゾニトリル、(14.26g、52.23mmol)を生成した。分析用LC/MS(m/z:274、M+1)。
【0069】
ステップ4 − 5−(4−シクロプロピル−1H−イミダゾール−1−イル)−2−フルオロ−4−メチルベンゾニトリルの調製−化合物(5)
500mL三口丸底フラスコ内に、酢酸(96mL)、水(19mL)および過酸化水素(30%、7.47mL、65.88mmol)を入れた。内部温度をモニターしながら、混合物を、窒素下で45℃に加熱撹拌した。次いで、内部温度を55℃未満に維持しながら、5−(4−シクロプロピル−2−メルカプト−1H−イミダゾール−1−イル)−2−フルオロ−4−メチルベンゾニトリル(6.00g、21.96mmol)を、固体として、少量ずつ30分間にわたり加えた。チオイミダゾールの添加が完了したら、反応物を45℃の温度で30分間撹拌し、次いで室温に冷却し、20%wt/wtの亜硫酸ナトリウムの水(6mL)中溶液をゆっくりと加えた。混合物を30分間撹拌し、溶媒を減圧下で除去した。残渣を250mLの水中に懸濁させ、4Nの水性水酸化アンモニウムを加えて、pHを約10にした。混合物をジクロロメタン(3×200ml)で抽出し、有機物を合わせ、硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶媒を減圧下で除去した。残渣を20mLのEA中に溶解し、撹拌しながら80mLのヘキサンを加えた。溶媒をデカントすると、油性の残渣が後に残った。このプロセスを繰り返し、生成物、5−(4−シクロプロピル−1H−イミダゾール−1−イル)−2−フルオロ−4−メチルベンゾニトリルを粘性の油として得た(5.14g、21.33mmol)。分析用LC/MS(m/z:242、M+1)。
【0070】
ステップ5 − 5−(4−シクロプロピル−1H−イミダゾール−1−イル)−2−フルオロ−4−メチル安息香酸塩酸塩(6)の調製
5−(4−シクロプロピル−1H−イミダゾール−1−イル)−2−フルオロ−4−メチルベンゾニトリル(11.21g、46.50mmol)を、還流冷却器を取り付けた丸底フラスコ内に入れ、38%塩酸(200mL)中に懸濁させた。混合物を100℃に4.5時間加熱し、次いで室温に冷却した。溶媒を減圧下で除去することによって、ピンク色の固体を得た。これに、100mlのEAを加えた。固体生成物を濾過で収集し、3×100mLのEAで洗浄した。固体生成物に、ジクロロメタン中の10%メタノール、100mLを加え、混合物を撹拌し、濾液を収集した。ジクロロメタン中10%メタノール、100mlをさらに2回分用いて、これを繰り返した。濾液を合わせ、溶媒を減圧下で除去することによって、粗製の5−(4−シクロプロピル−1H−イミダゾール−1−イル)−2−フルオロ−4−メチル安息香酸塩酸塩を得た。さらなる精製は行わなかった(11.13g、37.54mmol)。分析用LC/MS(m/z:261、M+1)。
【0071】
ステップ6 − 5−(4−シクロプロピル−1H−イミダゾール−1−イル)−2−フルオロ−N−(6−(4−イソプロピル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)ピリジン−2−イル)−4−メチルベンズアミドの調製−式(I)
5−(4−シクロプロピル−1H−イミダゾール−1−イル)−2−フルオロ−4−メチル安息香酸塩酸塩(1.5g、5.07mmol)を室温で無水1,2−ジクロロメタン(25mL)中に懸濁させた。撹拌しながら窒素下で塩化オキサリル(0.575ml、6.59mmol)を加え、続いてN,N−ジメチルホルムアミド(0.044ml、0.507mmol)を加えた。混合物を室温で4時間撹拌し、次いで溶媒を減圧下で除去した。残渣を25mLの無水ジクロロメタン中に溶解した。撹拌しながら、窒素下で6−(4−イソプロピル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)ピリジン−2−アミン(1.13g、5.58mmol)(化合物C)および4−ジメチルアミノピリジン(0.62g、5.07mmol)を素早く加えた。反応物を室温で2時間撹拌し、水性の飽和NaHCO(15mL)を加えた。混合物を10分間撹拌し、層を分離し、水層を1×20mLのジクロロメタンで洗浄した。合わせた有機物を乾燥させ(MgSO)、濾過し、濃縮した。残渣を最小量のCHCN中に溶解し、固体が混合物から沈殿するまで水をゆっくりと加えた。固体を濾過で収集し、乾燥させることによって、5−(4−シクロプロピル−1H−イミダゾール−1−イル)−2−フルオロ−N−(6−(4−イソプロピル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)ピリジン−2−イル)−4−メチルベンズアミドを約96%の純度で得た(1.28g、2.88mmol)。分析用LC/MS(m/z:446、M+1)。この物質をRP−HPLC(逆相HPLC)でさらに精製することによって、分析で純粋な試料をHCl塩として得た。
【化9】
2424FNO−HCl。446.2(M+1)。H−NMR (DMSO): δ 11.12 (s, 1H), 9.41 (s, 1H), 9.32 (s, 1H), 8.20 (d, J=8.4Hz, 1H), 8.07 (t, J=8.4Hz, 1H), 7.95 (d, J=6.4Hz, 1H), 7.92 (d, J=7.6Hz, 1H), 7.79 (s, 1H), 7.59 (d, J=10.4Hz, 1H), 5.72 (七重線, J=6.8Hz, 1H), 2.29 (s, 3H), 2.00−2.05 (m, 1H), 1.44 (d, J=6.8Hz, 6H), 1.01−1.06 (m, 2H), 0.85−0.89 (m, 2H)。
【0072】
生物学的アッセイ
ASK1(アポトーシスシグナル調節キナーゼ1)TR−FRETキナーゼアッセイ(生化学的IC50
タンパク質基質としてビオチン化したミエリン塩基性タンパク質[ビオチン−MBP]を利用して、ASK1キナーゼ活性を阻害する化合物の能力を、時間分解蛍光共鳴エネルギー移動[TR−FRET]アッセイを使用して決定した。Beckman Biomek FX液体取扱いロボットを利用して、2.44%の水性DMSO中の2μL/ウェルの化合物を、低体積の384−ウェルポリプロピレンプレート[Nunc、#267460]にスポットし、キナーゼアッセイにおいて100μM〜0.5nMの間の最終濃度の化合物を得た。Deerac Fluidics Equatorを使用して、0.667ng/μLの3μL/ウェル[Upstate Biotechnologies、#14−606、または組織内で調製した同等のタンパク質]および緩衝液(85mM MOPS、pH7.0、8.5mM 酢酸マグネシウム、5%グリセロール、0.085%NP−40、1.7mM DTTおよび1.7mg/mL BSA)中の0.1665ng/mLのビオチン−MBP[Upstate Biotechnologies、#13−111]を、スポットした化合物を含有するプレートに分配した。
【0073】
Deerac Fluidics Equatorを使用して、緩衝液(50mM MOPS、pH7.0.5mM 酢酸マグネシウム、1mM DTT、5%DMSO)中5μL/ウェルの300μM ATPの添加によりキナーゼ反応を開始する前に、酵素を化合物と共に20分間プレインキュベートさせておいた。キナーゼ反応は、周辺温度で20分間進行させておき、続いてDeerac Fluidics Equatorを使用して、5μL/ウェルの25mM EDTAを添加することによりこれを停止させた。次いで、BiomekFXを使用して、1μL/ウェルの各完了したキナーゼ反応物を、5μL/ウェルの検出試薬(1.11nM Eu−W1024)で標識した抗ホスホトレオニン抗体[PerkinElmer、#AD0094]および1×LANCE検出緩衝液[PerkinElmer、#CR97−100])中の55.56nM ストレプトアビジンアロフィコシアニン[PerkinElmer、#CR130−100]を含有した、OptiPlate−1536白色ポリスチレンプレート[PerkinElmer、#6004299]のウェルに移した。次いで、プレートを周辺温度で2時間インキュベートした後、Perkin Elmer Envisionプレートリーダー上でTR−FRET信号を読んだ。
【0074】
上記に記載されているEDTAおよびATP溶液の添加の順序を切り替えることによって100%阻害ポジティブコントロールウェルを生成した。これらのウェルおよびアッセイ開始時に2.44%DMSOのスポットを含有する0%阻害ウェルを、試験化合物に対する%阻害の計算に使用した。
【0075】
結果
式(I)の化合物は、3.0nMのIC50でASK1を阻害した。このデータは、式(I)の化合物が、競合リガンドATPの存在下でASK1の強力な阻害剤であることを示唆している。
【0076】
上記アッセイの最新バージョンでは、ASK1に対する本発明の化合物の抑制活性をTR−FRET ASK1アッセイを使用して試験し、ATPからペプチド基質へ移ったホスフェートの量を決定した。
【0077】
材料および方法
試薬
脱リン酸化した組換えヒトASK1キナーゼは、Gilead Sciences製のものであった。小分子キナーゼ阻害剤スタウロスポリン(カタログ#S6942)およびジチオトレイトール(DTT、カタログ#43815−5G)を、Sigma Chemicals(St.Louis、MO)から調達した。ATP(カタログ#7724)は、Affymetrix(Santa Clara、CA)製のものであり、式(I)の化合物はGilead Sciences製のものであった。HTRF KinEASE(商標)−STK S3キットは、Cisbio(Bedford、Mass)から調達した。すべて他の試薬は、最高の等級の市販品であった。
【0078】
アッセイ
アッセイは、HTRF検出を使用して、ASK1キナーゼによりビオチン化したペプチド基質のリン酸化レベルを測定する(6.1)。これは、Cisbio製HTRF(登録商標)KinEASE(商標)−STKマニュアルに基づく、競合的な、時間分解蛍光共鳴エネルギー移動(TR−FRET)イムノアッセイである(6.1)。試験化合物、1μM STK3ペプチド基質、4nMのASK1キナーゼを、10mM 酢酸マグネシウム、0.025% NP−40、1mM DTT、0.05% BSAおよび1.5%グリセロールを含有する10mM MOP緩衝液、pH.7.0とともに30分間インキュベートし、次いで100μM ATPを加えることによって、キナーゼ反応を開始し、3時間インキュベートする。10mM EDTAおよび125nM ストレプトアビジンXL665を含有する1X Eu3+クリプテート緩衝液で標識したペプチド抗体を加えて反応を停止させ、PerkinElmer製のEnvision 2103 Multilabeled リーダーを使用してリン酸化したペプチド基質を検出する。蛍光を615nm(クリプテート)および665nm(XL665)で測定し、665nm/615nmの比を各ウェルについて計算する。結果として得たTR−FRETレベル(665nm/615nmの比)は、リン酸化レベルと比例する。これらのアッセイ条件下で、ペプチド基質のリン酸化の度合は、時間および酵素に対する濃度に直線的である。このアッセイ系は、酵素についてのKおよび特定の活性に関して矛盾のない結果を生じた。阻害実験(IC50値)に対して、活性は、一定濃度のATP、ペプチドおよびいくつかの固定された濃度の阻害剤を用いて実施した。スタウロスポリン、非選択的キナーゼ阻害剤をポジティブコントロールとして使用した。すべての酵素活性データは、4通りの測定の平均として報告される。
【0079】
データ解析
IC50値は以下の方程式で計算した:
y=値域(range)/{1+(x/IC50}+バックグラウンド
(式中、xおよびyは、それぞれ阻害剤および酵素活性の濃度を表す)。酵素活性は、ATPから基質ペプチドへ組み込まれたホスフェートの量として表現される。値域は最大y値域(阻害剤なし、DMSO対照)であり、sはスロープ係数である(6.2)。
【0080】
結果
式(I)の化合物は、この試験条件下で3.2nMのIC50を示した。
【0081】
データは、式(I)の化合物は、ASK−11受容体の強力な阻害剤であることを実証している。
【0082】
ASK1(アポトーシスシグナル調節キナーゼ1)293細胞ベースのアッセイ(細胞のEC50
化合物についての細胞の効能を、AP−1:ルシフェラーゼリポーター構築物(293/AP1−Luc細胞−Panomics Inc.、6519 Dumbarton Circle、Fremont、CA)を安定して発現する細胞でアッセイした。細胞をキナーゼ活性のあるASK1(ラットASK1 cDNAの631−1381)を発現するアデノウイルスに感染させた。これによって、AP−1転写因子が活性化し、ルシフェラーゼの発現を増加させる。ASK1の阻害剤は、ASK1の酵素活性を低下させ、したがって、AP−1転写因子の活性およびルシフェラーゼの発現を低下させる。
【0083】
1.本プロトコルに必要な材料
【化10】
【0084】
2.参考資料
Panomics 293/AP1−Luc stable cell line製品の挿入物。
Promega Steady−Glo ルシフェラーゼアッセイ系製品の挿入物。
【0085】
3.必要な媒体
完全増殖培地、「CGM」
DMEM(MediaTech)
10%FBS
1%PSG
100ug/mL ハイグロマイシンB
アッセイ媒体、「AM」
DMEM(Invitrogen)
25mM HEPES
1mM ピルビン酸ナトリウム
1%PSG
【0086】
4.方法
維持:
供給業者の指示に従い293/AP1−Lucが293/Acellを維持する;T150フラスコ内、約80%コンフルエンスにおいて、細胞を以下の通り収穫する:
媒体を吸引し、約12mLの滅菌D−PBSで穏やかに洗浄し、吸引する。
5mLのトリプシン−EDTAを加え、静かに傾けて、フラスコをコーティングし、約5分間37℃でインキュベートする。
フラスコの口を開かない;5mLのCGMを加え、細胞懸濁液でフラスコを4回洗浄し、50mLのコニカルバイアルに移し、1200rpmで5分間遠心分離する。
細胞ペレットから媒体を吸引し、20〜30mLのCGMを加え、ピペッティング(6回)でペレットを再懸濁させ、セルストレーナーを通して、凝集塊を分散させ(必要に応じて)、血球計算板で細胞をカウントする。
【0087】
アッセイ第1日目:
細胞ペレットを再懸濁させる以外は、上記の通り細胞を収穫する。
【0088】
細胞をカウントし、1mL当たり1.5×10細胞に希釈し、細胞1個当たり5感染形成ユニット(infectious forming unit)が存在するようにアデノウイルスを加える。
注入し(20〜30mL)、BioTek uFillを使用して(1ウェル当たり80uL)、Greinerポリ−D−リシンコーティングした384−ウェルプレート中に、細胞を、1ウェル当たり1.2×10細胞をまく。
直ちに、0.4uLの化合物の用量シリーズ(100%DMSO中)をプレートに加え、加湿したインキュベーター(37℃、5%CO)内で24時間インキュベートする。
【0089】
アッセイ第2日目:
プレートを(製造者の指示通り)以下の通り処理する:
層流フード内にプレートをセットし、30分間室温に曝露することによって冷却する。
60uLのAMをアッセイウェルから取り出す。
1ウェル当たり20uLのSteady−Glo Firefly基質を加え、室温で10〜20分間置く。
アッセイプレートの底面を白色バッキングテープで覆う。
蛍光プレートリーダーでデータを取得する
残基709においてリシンのアルギニン(argine)への変異を有する、触媒として不活性なASK1変異体を発現するアデノウイルスに細胞を感染させることによって、100%阻害ポジティブコントロールウェルを生成した。
【0090】
結果
式(I)の化合物は、2.0 nMのEC50を示す。
【0091】
Kdの決定
キナーゼアッセイ
BL21株から誘導された大腸菌宿主内に、キナーゼタグを付けたT7ファージ株を調製した。大腸菌を対数期まで成長させ、T7ファージに感染させ、振盪しながら溶解するまで32℃でインキュベートした。溶解物を遠心分離し、濾過して細胞デブリを除去した。残りのキナーゼをHEK−293細胞中に生成し、続いてqPCR検出用にDNAでタグを付けた。ストレプトアビジンでコーティングした磁気ビーズを、室温で30分間、ビオチン化した小分子リガンドで処理することによって、キナーゼアッセイのための親和性レジンを生成した。
【0092】
リガンド結合させたビーズを過剰のビオチンでブロックし、ブロッキング緩衝液(SeaBlock(Pierce)、1%(ウシ血清アルブミン)、0.05%Tween20、1mM DTT(ジチオトレイトール))で洗浄して、未結合のリガンドを除去し、非特異的結合を減少させた。キナーゼ、リガンド結合させた親和性ビーズ、および試験化合物を1×結合緩衝液(20%SeaBlock、0.17×PBS、0.05%Tween 20、6mM DTT)中で組み合わせることにより、結合反応を組み立てた。すべての反応は、最終体積0.135mLで、ポリスチレン96−ウェルプレート内で実施した。1時間振盪させながら、アッセイプレートを室温でインキュベートし、親和性ビーズを洗浄緩衝液(1×PBS、0.05%Tween20)で洗浄した。次いで、溶出緩衝液(1×PBS、0.05% Tween20、0.5μM非ビオチン化親和性リガンド)中にビーズを再懸濁させ、30分間振盪させながら、室温でインキュベートした。溶出液中のキナーゼ濃度をqPCRで測定した。
【0093】
Hill方程式を使用して、標準用量反応曲線で結合定数(Kd)を計算した。
【0094】
結果
式(I)の化合物は0.24nMのKを示した。このデータは、式(I)の化合物がATPの不在下でASK1受容体に強力に結合することを示唆している。
【0095】
血漿に結合した化合物のパーセントの決定
実験デザイン:
Harvard Apparatus(Holliston、Mass、USA)製の1mLのテフロン(登録商標)透析セルをこれらの実験に使用した。試験の前に、透析膜は、0.133Mリン酸緩衝液、pH7.4中にほぼ1時間浸漬させた。設定濃度2μMの化合物を1mLの血漿または1mLの細胞培養媒体にスパイクした。細胞の各側面の液体総体積は1mLであった。37℃の水槽内で3時間平衡状態にした後、1mLのヒト血漿(細胞培養媒体)、または緩衝液のいずれかを含有する適当なバイアル中に細胞の各側面からの試料を等分して入れた。試料バイアルを秤量し、記録した。100μLのアリコートを取り出し、400μLのクエンチ溶液(50%メタノール、25%アセトニトリル、25%水および内部標準)に加えた。試料をボルテックスし、12000Gで15分間遠心分離した。200μLの上清を取り出し、新しい96ウェルプレートに入れた。追加の200μLの1:1ACN:水を加えた。次いでプレートをボルテックスし、LC−MS分析に供した。
以下の方程式を使用して、血漿中の分析物に対して未結合のパーセントを計算した
%未結合=100(C/C
(式中、CおよびCは、それぞれ透析後緩衝液および血漿中濃度である)。
【0096】
結果
式(I)の化合物について、ヒト血漿中で測定した未結合のパーセントは11.94%であった。
【0097】
CACO−2流出比の決定
実験:
37℃、湿度90%およびCO5%に設定したインキュベーター内で、ピルビン酸ナトリウム、Glutmax(1%Pen/Strep、1%NEAAおよび10%ウシ胎仔血清を補充)を有するダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)中でCaco−2細胞を維持した。
【0098】
継代62と72との間のCaco−2細胞を、2100細胞/ウェルで播種し、24ウェルPET(ポリエチレン−テレフタラート)プレート(BD Biosciences)上で少なくとも21日間にわたりコンフルエンスまで成長させた。レシーバーウェルは、pHをpH7.4に調節した1%BSAを補充したHBSS緩衝液(10mM HEPES、15mMグルコース、pHをpH6.5に調節)を含有した。トランスポート緩衝液での最初の平衡化後、TEER値を読んで膜完全性を試験した。試験化合物を含有する緩衝液を加え、100μlの溶液を1時間および2時間の時点でレシーバーコンパートメントから取った。取り出した緩衝液を新鮮な緩衝液で置き換え、取り出した物質について、補正をすべての計算に適用した。実験を反復して行った。すべての試料を直ちに400μlの100%アセトニトリル酸(acetonitrile acid)中に収集することによって、タンパク質を沈殿させ、試験化合物を安定化させた。前方透過性(AからB)および逆方透過性(BからA)を決定するために、細胞には、先端側または基底側へ加えた。細胞を含まないtrans−wellを介した透過性もまた、膜および非特異的結合を介した細胞透過性の尺度として決定する。非特異的結合および化合物の不安定さを試験するためにリカバリーパーセントを決定する。試料をLC/MS/MSで分析した。
見かけの透過性、Papp、および%リカバリーを以下の通り計算した:
app=(dR/dt)×V/(A×D
%リカバリー=100×((V×R120)+(V×D120))/(V×D
(式中、
dR/dtは、60および120分の時点で測定したレシーバー濃度に基づく、レシーバーコンパートメントにおける累積濃度対時間(単位:μM/秒)の傾きである)。
およびVは、それぞれ、レシーバーコンパートメントおよびドナーコンパートメントにおける体積(単位:cm)である。
Aは、セル単層の面積である(0.33cm)。
およびD120は、それぞれ、実験の開始および終了時に測定されたドナー濃度である。
120は、実験終了時のレシーバー濃度である(120分間))。
【0099】
吸収および流出の分類:
【化11】
【0100】
結果
【0101】
式(I)の化合物は、CACOA→B値が27であり、CACOB→A値が35であることが観察され、結果として流出比(B→A)/(A→B)が1.3であった。
肝臓ミクロソーム画分における代謝安定性の決定:
実験:
【0102】
酸化的代謝(NADPH)およびコンジュゲーション(UDPグルクロン酸(UDPGA))の両方についてコファクターを使用して、代謝安定性を評価した。式(I)の化合物の、二重に作製するアリコート(3μLの0.5mM DMSOストック)または代謝安定性標準品(ブスピロン)を、タンパク質濃度1.0mg/mLを得るためにリン酸カリウム緩衝液、pH7.4で希釈し、透過剤としてアラメチシンを含有するミクロソームストックに加えた。NADPH再生系およびUDPGAコファクターの添加により代謝反応が開始した。各反応混合物の最終の組成は以下の通りであった:50mMリン酸カリウム緩衝液、pH7.4中の、3μM試験化合物、1mgのミクロソームタンパク質/mL、5mM UDPGA、23.4μg/mLのアラメチシン、1.25mM NADP、3.3mMグルコース−6−ホスフェート、0.4U/mLグルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼおよび3.3mM MgCl。0、2、5、10、15、30、45、および60分の時点で、25μLアリコートの反応混合物を、250μlのIS/Q(内部標準を含有するクエンチ溶液)を含有するプレートに移した。クエンチ後、プレートを3000×gで30分間遠心分離し、LC/MSを使用して10μLアリコートの上清を分析することによって、分析物/内部標準ピーク面積比を得た。
【0103】
ミクロソーム画分中の代謝安定性を、式(I)の化合物の消失速度を測定することによって決定した。データ(残りの親化合物の%)を片対数目盛上にプロットし指数近似(exponential fit)を使用して適合させた:
【化12】
式中、
は、時間=tにおいて残っている親化合物の%
は、時間=0において残っている親化合物の%
tは時間(hr)
Kは一次排泄速度定数(hr−1
T1/2はインビトロの半減期(hr)
予測される肝臓クリアランスを以下の通り計算した{参照1}:
【化13】
式中、
CLは予測される肝臓クリアランス(L/hr/kg体重)
CLintは内因性肝臓クリアランス(L/hr/kg体重)
Vはインキュベーション体積(L)
はミクロソームタンパク質の収量(mgタンパク質/kg体重)
は肝実質細胞の収量(数百万の細胞/kg体重)
Pはインキュベーションにおけるタンパク質の質量(mg)
Hはインキュベーションにおける肝実質細胞の数(百万)
は肝臓の血流(L/hr/kg体重)。
【0104】
次いで、予測される肝臓クリアランスと肝臓の血流との比較により予測される肝臓での抽出を計算した。インキュベーション期間にわたる基質濃度の減少が10%未満である場合(ミクロソーム画分における外挿された半減期395分超および肝実質細胞における外挿された半減期39.5時間超に相当)、化合物は安定しているとみなされた。
予測される肝臓クリアランスの計算のために使用される値は、以下の表に示されている:
【0105】
表1.ミクロソーム安定性から、予測される肝臓のクリアランスの計算のために使用される値
【表1】
【0106】
結果:
ミクロソーム画分のインビトロ実験から決定した、ヒトにおいて予測される肝臓のクリアランスは0.1L/h/kgである。
【0107】
試験化合物についてのラットCLおよびVssの決定
ラットにおける1mg/kgのIV注入および5.0mg/kgのPO投薬後の、試験化合物の薬物動態
試験品目および配合物
IV投与のため、0.5mg/mLで、1当量のHClを有して、60:40のPEG400:水に試験化合物を配合した。配合物は溶液であった。
【0108】
PO(経口の)投与のため、2.5mg/mLで、5/75/10/10のエタノール/PG/ソルトール/水に試験化合物を配合した。配合物は溶液であった。
【0109】
使用した動物
IVおよびPO投薬群はそれぞれ3匹のオスのSDラットからなった。投薬時に、動物は概して0.317〜0.355kgの間の体重だった。用量の投与前の一晩、および投薬後4時間まで動物を絶食させた。
【0110】
投薬
IV注入群に対して、試験化合物を静脈内注入によって30分間にわたり投与した。注入速度は、2mL/kgで1mg/kgの用量を送達するよう、各動物の体重に従い調節した。経口投薬群に対して、試験品目は、2mL/kgで5.0mg/kgの用量を強制経口投与により投与した。
試料の収集
【0111】
ひと続きの静脈血液試料(それぞれほぼ0.4mL)を、投薬後の特定された時間点で各動物から採取した。抗凝固剤としてEDTAを含有するVacutainer(商標)管(Becton−Disckinson Corp、New Jersey、USA)に血液試料を収集し、血漿採取のための遠心分離を行うまで、直ちに湿った氷上に置いた。
【0112】
血漿中の式(I)の化合物濃度の決定
LC/MS/MS方法を使用して、血漿中の試験化合物濃度を測定した。
【0113】
計算
非コンパートメントの薬物動態学的分析を血漿中濃度−時間データについて実施した。
【0114】
結果
式(I)の化合物は、ラットにおいて、0.09L/hr/kgのCL;75%の経口バイオアベイラビリティー;5.07時間のt1/2および0.55L/kgのVssを示した。
【0115】
Cyp阻害アッセイ
目的
主要なチトクロムP450アイソフォームである、CYP1A、CYP1A2、CYP2B6、CYP2C8、CYP2C9、CYP2C19、CYP2D6およびCYP3A4(2つの基質)を阻害する試験化合物の潜在能力を評価すること。
【0116】
チトクロムP450阻害のIC50決定(8つのアイソフォーム、9つの基質)
プロトコルの概要
チトクロムP450アイソフォームに特異的なプローブ基質の存在下で、試験化合物(0.1μM〜25μM)をヒト肝ミクロソームおよびNADPHと共にインキュベートする。CYP2B6、CYP2C8、CYP2C9、CYP2C19、CYP2D6およびCYP3A4に特異的な反応に対して、代謝物を質量分析法でモニターする。CYP1A活性を、蛍光性代謝物の形成を測定することによってモニターする。ビヒクル対照と比較した、代謝物の形成の低減を使用して、IC50値を計算する(50%阻害をもたらす試験化合物濃度)。
【0117】
アッセイに必要なもの
DMSO中の、500μLの10mM試験化合物溶液。
実験手順
CYP1A阻害
6つの試験化合物濃度(DMSO中0.1、0.25、1、2.5、10、25μM;最終DMSO濃度=0.3%)を、プローブ基質エトキシレゾルフィン(0.5μM)の存在下、37℃で5分間、ヒト肝ミクロソーム(0.25mg/mL)およびNADPH(1mM)と共にインキュベートする。選択的CYP1A阻害剤、アルファ−ナフトフラボンを、ポジティブコントロールとして試験化合物と一緒にスクリーニングする。
【0118】
CYP2B6阻害
6つの試験化合物濃度(DMSO中0.1、0.25、1、2.5、10、25μM;最終のDMSO濃度=0.3%)を、プローブ基質ブプロピオン(110μM)の存在下、37℃で5分間、ヒト肝ミクロソーム(0.1mg/mL)およびNADPH(1mM)と共にインキュベートする。選択的CYP2B6阻害剤、チクロピジンを、ポジティブコントロールとして試験化合物と一緒にスクリーニングする。
【0119】
CYP2C8阻害
6つの試験化合物濃度(DMSO中0.1、0.25、1、2.5、10、25μM;最終のDMSO濃度=0.3%)を、プローブ基質パクリタキセル(7.5μM)の存在下、37℃で30分間、ヒト肝ミクロソーム(0.25mg/mL)およびNADPH(1mM)と共にインキュベートする。選択的CYP2C8阻害剤、モンテルカストを、ポジティブコントロールとして試験化合物と一緒にスクリーニングする。
【0120】
CYP2C9阻害
6つの試験化合物濃度(DMSO中0.1、0.25、1、2.5、10、25μM;最終のDMSO濃度=0.25%)を、プローブ基質トルブタミド(120μM)の存在下、37℃で60分間、ヒト肝ミクロソーム(1mg/mL)およびNADPH(1mM)と共にインキュベートする。選択的CYP2C9阻害剤、スルファフェナゾールを、ポジティブコントロールとして試験化合物と一緒にスクリーニングする。
【0121】
CYP2C19阻害
6つの試験化合物濃度(DMSO中0.1、0.25、1、2.5、10、25μM;最終DMSO濃度=0.25%)を、プローブ基質メフェニトイン(25μM)の存在下、37℃で60分間、ヒト肝ミクロソーム(0.5mg/mL)およびNADPH(1mM)と共にインキュベートする。選択的CYP2C19阻害剤、トラニルシプロミンを、ポジティブコントロールとして試験化合物と一緒にスクリーニングする。
【0122】
CYP2D6阻害
6つの試験化合物濃度(DMSO中0.1、0.25、1、2.5、10、25μM;最終DMSO濃度=0.25%)を、プローブ基質デキストロメトルファン(5μM)の存在下、37℃で5分間、ヒト肝ミクロソーム(0.5mg/mL)およびNADPH(1mM)と共にインキュベートする。選択的CYP2D6阻害剤、キニジンを、ポジティブコントロールとして試験化合物と一緒にスクリーニングする。
【0123】
CYP3A4阻害(ミダゾラム)
6つの試験化合物濃度(DMSO中0.1、0.25、1、2.5、10、25μM;最終DMSO濃度=0.26%)を、プローブ基質ミダゾラム(2.5μM)の存在下、37℃で5分間、ヒト肝ミクロソーム(0.1mg/mL)およびNADPH(1mM)と共にインキュベートする。選択的CYP3A4阻害剤、ケトコナゾールを、ポジティブコントロールとして試験化合物と一緒にスクリーニングする。
【0124】
CYP3A4阻害(テストステロン)
6つの試験化合物濃度(DMSO中0.1、0.25、1、2.5、10、25μM;最終DMSO濃度=0.275%)を、プローブ基質テストステロン(50μM)の存在下、37℃で5分間、ヒト肝ミクロソーム(0.5mg/mL)およびNADPH(1mM)と共にインキュベートする。選択的CYP3A4阻害剤、ケトコナゾールをポジティブコントロールとして試験化合物と一緒にスクリーニングする。
【0125】
CYP1Aインキュベーションについては、反応をメタノールで停止し、代謝物、レゾルフィンの形成を蛍光(励起波長=535nm、発光波長=595nm)でモニターする。CYP2B6、CYP2C9、CYP2C19、CYP2D6、およびCYP3A4インキュベーションについては、反応をメタノールで停止する。次いで試料を遠心分離し、LC−MS/MSによる4−ヒドロキシトルブタミド、4−ヒドロキシメフェニトイン、デキストロルファン、および1−ヒドロキシミダゾラムの同時分析用に上清を合わせる。ヒドロキシブプロピオン、6α−ヒドロキシパクリタキセルおよび6β−ヒドロキシテストステロンをLC−MS/MSで別々に分析する。内部標準を含有する脱イオン水中ギ酸(最終濃度=0.1%)を、分析前に最終試料に加える。ビヒクル対照と比較した、代謝物の形成の低減を使用して、IC50値を計算する(50%阻害をもたらす試験化合物濃度)。
結果
【表2】
【0126】
腎線維症のラットの片側尿管閉塞(UUO)モデルについての一般的実験デザイン
オスのスプラーグドーリーラットには、普通の固形飼料を与え、標準的条件下で飼育し、手術前に少なくとも7日間順応させた。実験開始時に、ラットは、体重を一致させた群内に入れ、強制経口投与を介して、ビヒクル、化合物の4つの用量レベルのうちの1つ(1、3、10、または30mg/kg)を投与した(2ml/kg p.o.bid)。ラットは、ノーズコーン上でイソフルラン麻酔し、開腹術を実施した。ラットには、加熱滅菌装置および無菌の外科的技法を使用して、右の尿管(UUO)の完全な閉塞を施した。ラットには、術後直ちに50μlのペニシリン G(i.m.)を投与した。ラットは、清浄な、温めたケージ内で回復させてから、普通の動物施設条件に戻した。ラットには、化合物を、上記に記載されている用量で毎日2回(12時間間隔で)続けて7日間の間投与した。手術後7日目に、ラットをイソフルランで麻酔にかけ、血清、血漿、および尿を収集した。次いで、動物を安楽死させ、腎臓を取り出し、腎臓皮質の生検を、形態学的、組織学的、および生化学的分析のために収集した。生化学的分析用のすべての組織は、液体窒素内でフラッシュ凍結し、−80℃で保存し、組織学的分析用組織は10%の中性緩衝化ホルマリン中で固定した。
【0127】
ELISA法で腎臓のコラーゲンIVの量を測定することにより、および免疫組織化学法で腎臓のアルファ平滑筋アクチン陽性筋線維芽細胞の蓄積を検査することにより、腎線維症を評価した。前者に対して、凍結した腎臓皮質の小片を移送し、RIPA緩衝液中でホモジナイズし(homengenized)、次いで、4℃で10分間、14000×gで遠心分離した。上清を予め冷やした管に収集し、タンパク質濃度を決定した。製造者の指示に従い、全タンパク質の相当量(equivalent amount)をCol IV ELISA アッセイ(Exocell)に供した。
【0128】
ホルマリン固定してパラフィン包埋した腎臓組織を、以前に記載されている通りアルファ−平滑筋アクチンで染色した(Stambeら、The Role of p38 Mitogen−Activated Protein Kinase Activation in Renal Fibrosis J Am Soc Nephrol、第15巻:370〜379頁、2004年)。
【0129】
結果:
式(I)の化合物は、3〜30mg/kgの用量で、腎臓コラーゲンIVの誘発(図1)およびアルファ−平滑筋陽性筋線維芽細胞の蓄積(図2)を有意に減少させることが判明した。
【0130】
式(I)の化合物および対照化合物に対する比較データ
以下の表は、式(I)の化合物と、2011年1月13日に公開された米国特許公開第2001/00095410A1号に開示されている対照化合物AおよびBとに対する比較結果を提供している。出願人は、以下で結果が比較されている実験は、同様の条件で実施されたが、必ずしも一緒に実施されたものではないことを述べておく。

【表3】
丸括弧()内の値は、式(I)の化合物が、示されたパラメーターについて、示された化合物より改善を示す倍数を表す。
【0131】
上記比較データから以下を推定することができる:
【0132】
式(I)の化合物は、化合物AのEC50に匹敵するEC50を有する。
【0133】
式(I)の化合物は、化合物AおよびBについてのIC50sに匹敵する機能的IC50を有する。
【0134】
式(I)の化合物は、化合物AのEC50よりも4倍低く、化合物BのEC50よりも33倍低い、タンパク質結合で調整したEC50を有する。
【0135】
式(I)の化合物は、化合物AおよびBと比較して、弱いCyp3A4阻害剤である。
【0136】
式(I)の化合物は、式Aの化合物についてのCYP3A4IC50/PBAdj.EC50値よりも43倍高く、式Bの化合物についてのCYP3A4IC50/PBAdj.EC50値よりも92倍高い、CYP3A4IC50/PBAdj.EC50値を有する。
【0137】
式(I)の化合物は、式Aの化合物についてのラットCL値よりも2.7倍低く、式Bの化合物についてのラットCL値よりも3.6倍低い、ラットCL値を有する。
【0138】
式(I)の化合物は、ラットにおいて、化合物Aよりも6.8倍高く、化合物Bよりも1.5倍高い、バイオアベイラビリティー百分率を有する。
【0139】
式(I)の化合物は、ラットにおいて、化合物Aの半減期よりも8.6倍長く、化合物Bの半減期よりも3.9倍長い、半減期を有する。
【0140】
上記データは、式(I)の化合物が、式AおよびBの化合物と比較して、予期しないおよび有利な特性を有し、式(I)の化合物は恐らく、慢性腎疾患、肺線維症および/もしくは腎線維症、ならびに/または心臓−腎疾患の処置に対するさらなる開発のためのより良好な候補であることを正当に示唆している。
図1
図2