(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5770957
(24)【登録日】2015年7月3日
(45)【発行日】2015年8月26日
(54)【発明の名称】ピックル液インジェクタ
(51)【国際特許分類】
A22C 9/00 20060101AFI20150806BHJP
【FI】
A22C9/00
【請求項の数】1
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2015-19480(P2015-19480)
(22)【出願日】2015年2月3日
【審査請求日】2015年2月3日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】391014011
【氏名又は名称】株式会社ヒガシモトキカイ
(74)【代理人】
【識別番号】110000475
【氏名又は名称】特許業務法人みのり特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡田 真哉
【審査官】
土屋 正志
(56)【参考文献】
【文献】
特開2012−044892(JP,A)
【文献】
特開2005−337326(JP,A)
【文献】
特開2004−144215(JP,A)
【文献】
特開平02−003795(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A22C 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料肉を送るコンベヤと、
前記コンベヤの上方に配置されたヘッドと、
前記ヘッドに設けられ、プラグおよびソケットを有し、前記プラグの外面にテーパ面が形成され、前記ソケットの内面にテーパ面が形成され、前記プラグとソケットが互いにはめ合わされ、両者のテーパ面が互いに接触し、前記テーパ面によって前記プラグとソケットがシールされるようにした多数のカップリングと、
前記各カップリングに取り付けられ、前記コンベヤに向かってのびる多数のニードルと、
前記各カップリングに接続され、ピックル液を供給するピックル液供給源と、
前記ヘッドを下降させ、前記各ニードルを前記原料肉に突き刺す駆動機構とからなり、
前記各テーパ面が面接触し、
前記ヘッドに前記プラグが取り付けられ、前記プラグに前記供給源が接続され、前記ソケットに前記ニードルが取り付けられ、前記プラグの下方において、前記プラグに前記ソケットがはめ合わされ、
前記原料肉に前記ピックル液を注入するようにしたことを特徴とするピックル液インジェクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ハムなどの原料肉にピックル液を注入するピックル液インジェクタに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載されているように、たとえば、ハムの加工工程において、その原料肉にピックル液を注入するとき、ピックル液インジェクタと呼ばれるものが一般に使用されている。ピックル液インジェクタでは、ヘッドがコンベヤの上方に配置され、コンベヤによって原料肉が送られる。さらに、多数のカップリングがヘッドに設けられ、これに多数のニードルが組み合わされ、各ニードルが各カップリングに取り付けられ、ニードルはコンベヤに向かってのびる。さらに、ピックル液供給源が各カップリングに接続され、供給源からピックル液が供給され、駆動機構によってヘッドが下降し、各ニードルが原料肉に突き刺さり、原料肉にピックル液が注入される。
【0003】
このインジェクタの場合、たとえば、ニードルが折損したとき、そのニードルをカップリングから取り外し、新しいニードルと交換することができる。各ニードルを定期的に交換することもできる。ただし、問題はカップリングの構造である。普通、カップリングはプラグおよびソケットを有する。そして、プラグとソケットが互いにはめ合わされ、シールリングによってプラグとソケットがシールされるが、衝撃または劣化によってシールリングが破損することがある。シールリングは合成樹脂製である。したがって、破損すると、その破片または粉末がピックル液に混入し、原料肉にそれが注入されることがあり、問題は深刻である。
【0004】
したがって、この発明は、原料肉にピックル液を注入するピックル液インジェクタにおいて、カップリングのシールリングが破損するという問題がないようにすることを目的とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6−209693号公報
【発明の概要】
【0006】
この発明によれば、ヘッドがコンベヤの上方に配置され、コンベヤによって原料肉が送られる。さらに、多数のカップリングがヘッドに設けられ、カップリングはプラグおよびソケットを有する。さらに、プラグの外面にテーパ面が形成され、ソケットの内面にテーパ面が形成され、プラグとソケットが互いにはめ合わされ、両者のテーパ面が互いに接触し、テーパ面によってプラグとソケットがシールされる。さらに、このインジェクタは多数のニードルを有し、各ニードルが各カップリングに取り付けられ、ニードルはコンベヤに向かってのびる。さらに、ピックル液供給源が各カップリングに接続され、供給源からピックル液が供給され、駆動機構によってヘッドが下降し、各ニードルが原料肉に突き刺さり、原料肉にピックル液が注入される。
【0007】
好ましい実施例では、各テーパ面が面接触する。
【0008】
さらに、ヘッドにプラグが取り付けられ、プラグに供給源が接続される。さらに、ソケットにニードルが取り付けられ、プラグの下方において、プラグにソケットがはめ合わされる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】Aは
図1のカップリングの断面図、BはAのプラグとソケットが互いにはめ合わされた状態を示す拡大図、CはBのプラグとソケットが互いに分離される状態を示す拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1はこの発明にかかるピックル液インジェクタを示す。このインジェクタでは、ヘッド1がコンベヤ2の上方に配置され、コンベヤ2によって原料肉が送られる。さらに、多数のカップリング3がヘッド1に設けられ、カップリング3はプラグ4およびソケット5を有する。さらに、このインジェクタでは、
図2に示すように、プラグ4の外面にテーパ面6が形成され、ソケット5の内面にテーパ面7が形成され、プラグ4とソケット5が互いにはめ合わされ、両者のテーパ面6,7が互いに接触し、テーパ面6,7によってプラグ4とソケット5がシールされる。プラグ4は金属製のもので、円筒状であり、テーパ面6は環状をなす。ソケット5も金属製であり、円筒状であり、その内径はプラグ4の外径に対応し、テーパ面7は環状をなす。したがって、プラグ4とソケット5を互いにはめ合わすことができ、はめ合わせたとき、両者のテーパ面6,7をその全周にわたって接触させ、テーパ面6,7によってプラグ4とソケット5をシールすることができる。
【0012】
さらに、テーパ面6,7は環状であるが、その傾斜方向および勾配は互いに対応する。したがって、各テーパ面6,7を面接触させ、プラグ4とソケット5を確実にシールすることができる。
【0013】
なお、ここにいう面接触とは、見かけ上のことである。厳密にいうと、各テーパ面6,7を精密に加工しても、それを面接触させることは困難であるが、見かけ上、各テーパ面6,7を面接触させることはできる。そして、見かけ上、各テーパ面6,7を面接触させれば十分であり、プラグ4とソケット5を確実にシールすることができる。
【0014】
さらに、ソケット5の外面にスリーブ8がはめ合わされる。スリーブ8はソケット5の長さ方向にのび、その外面に沿って移動可能である。さらに、スリーブ8の内面にテーパ面9が形成され、ソケット5の所定位置に孔が形成され、孔にボール10が設けられ、プラグ4の外面にみぞ11が形成される。そして、プラグ4とソケット5が互いにはめ合わされ、テーパ面6,7によってプラグ4とソケット5がシールされたとき、スプリング12によってスリーブ8が押され、テーパ面9がボール10に係合し、テーパ面9によってボール10が押され、ボール10がみぞ11にはめ込まれ、スリーブ8、ボール10およびみぞ11によってプラグ4とソケット5がロックされる。
【0015】
さらに、このインジェクタは多数のニードル13を有し、各ニードル13が各カップリング3に取り付けられ、ニードル13はコンベヤ2に向かってのびる。さらに、ピックル液供給源が各カップリング3に接続され、供給源からピックル液が供給され、駆動機構によってヘッド1が下降し、各ニードル13が原料肉に突き刺さり、原料肉にピックル液が注入される。たとえば、ピックル液供給源にポンプおよびタンクが使用され、タンクからピックル液が供給され、ポンプによってそれが送られ、ピックル液がカップリング3およびニードル13に導かれる。さらに、駆動機構にサーボモータが使用され、サーボモータによってクランクが回転し、ロッド14およびヘッド1が下降し、各ニードル13が原料肉に突き刺さり、原料肉にピックル液が注入される。これは特許文献1のインジェクタと同様である。
【0016】
さらに、カップリング3がヘッド1に設けられるが、この実施例では、ヘッド1にプラグ4が取り付けられ、プラグ4に供給源が接続される。さらに、ソケット5にニードル13が取り付けられ、プラグ4の下方において、プラグ4にソケット5がはめ合わされる。
【0017】
このインジェクタにおいて、たとえば、ニードル13が折損したとき、そのニードル13をカップリング3から取り外し、新しいニードルと交換することができる。各ニードル13を定期的に交換することもできる。交換するには、手作業でスリーブ8を引き下げ、移動させ、そのテーパ面9をボール10から後退させる。これによってロック作用を解除することができ、その状態でソケット5を引き下げ、移動させると、ボール10がみぞ11から押し出され(
図2C)、プラグ4とソケット5を互いに分離させることができる。
【0018】
したがって、分離後、ニードル13をソケット5から取り外し、新しいニードルと交換することができる。その後、手作業でソケット5を押し上げ、プラグ4とソケット5を再度はめ合わせる。そして、両者のテーパ面6,7を再度接触させると、テーパ面6,7によってプラグ4とソケット5がシールされる。これと同時に、スプリング12によってスリーブ8が押され、ボール10がみぞ11にはめ込まれ、スリーブ8、ボール10およびみぞ11によってプラグ4とソケット5がロックされる。
【0019】
したがって、このインジェクタの場合、プラグ4とソケット5が互いにはめ合わされ、両者のテーパ面6,7が互いに接触し、テーパ面6,7によってプラグ4とソケット5がシールされる。各テーパ面6,7を面接触させ、プラグ4とソケット5を確実にシールすることもできる。したがって、シールリングによってプラグ4とソケット5をシールする必要はなく、衝撃または劣化によってシールリングが破損し、その破片または粉末がピックル液に混入するという問題はない。
【符号の説明】
【0020】
1 ヘッド
2 コンベヤ
3 カップリング
4 プラグ
5 ソケット
6,7 テーパ面
13 ニードル
【要約】
【課題】原料肉にピックル液を注入するピックル液インジェクタにおいて、カップリング3のシールリングが破損するという問題がないようにする。
【解決手段】多数のカップリング3がヘッド1に設けられ、カップリング3はプラグ4およびソケット5を有する。さらに、プラグ4の外面にテーパ面6が形成され、ソケット5の内面にテーパ面7が形成され、プラグ4とソケット5が互いにはめ合わされ、両者のテーパ面6,7が互いに接触し、テーパ面6,7によってプラグ4とソケット5がシールされる。
【選択図】
図2