【文献】
Journal of Medicinal Chemistry,2001年,Vol.44, No.9,p.1372-1379
【文献】
Journal of Medicinal Chemistry,2001年,Vol.44, No.19,p.3109-3116
【文献】
Journal of Medicinal Chemistry,2000年,Vol.43, No.9,p.1714-1722
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ラクタム架橋は、9位と12位の2つのアミノ酸、12位と16位の2つのアミノ酸、16位と20位の2つのアミノ酸、20位と24位の2つのアミノ酸、または24位と28位の2つのアミノ酸(配列番号1のアミノ酸番号付けによる)の間にある、請求項7記載のペプチド。
配列番号60〜70、73〜78、80〜88,90〜96,103,104,106及び114〜118のいずれかのアミノ酸配列を含むか、又は、表13に記載のペプチド2〜6、表14に記載のペプチド1〜8、及び表15に記載のペプチド2〜6,8,及び9のいずれかのアミノ酸配列を含む、請求項1〜9のいずれか1項記載のペプチド。
配列番号51の配列を含む、グルカゴンアンタゴニスト/GLP−1アゴニストであって、ここで、配列番号51の4位と7位、7位と11位、11位と15位、15位と19位、又は、19位と23位の2つのアミノ酸同士が、ラクタム架橋を介して結合している、
グルカゴンアンタゴニスト/GLP−1アゴニスト。
【発明を実施するための形態】
【0030】
〔定義〕
本発明を記載し、特許請求するに際し、以下の用語を下記に記載した定義に従って使用する。
【0031】
本明細書で使用されるとき、用語「薬学的に許容される担体」には、リン酸緩衝食塩水、水、油/水又は水/油乳剤のような乳剤、並びに多様な種類の湿潤剤のような標準的な医薬担体のいずれかが含まれる。この用語は、また、ヒトを含む動物における使用が米国連邦政府の規制当局により承認されているか又は米国薬局方に記載されている作用物質のいずれかを包含する。
【0032】
本明細書で使用されるとき、用語「薬学的に許容される塩」は、母体化合物の生物学的活性を保持し、生物学的にも非生物学的にも有害ではない、化合物の塩を意味する。本明細書に開示されている化合物の多くは、アミノ及び/若しくはカルボキシル基又は同様の基の存在によって酸性及び/又は塩基性塩を形成することができる。
【0033】
薬学的に許容される塩基性付加塩は、無機又は有機塩基から調製することができる。無機塩基から誘導される塩には、単なる例として、ナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウム、カルシウム及びマグネシウム塩が含まれる。有機塩基から誘導される塩には、第一級、第二級及び第三級アミンの塩が含まれるが、これらに限定されない。
【0034】
薬学的に許容される酸性付加塩は、無機又は有機塩基から調製することができる。無機酸から誘導される塩には、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などが含まれる。有機酸から誘導される塩には、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、リンゴ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、ケイ皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、サリチル酸などが含まれる。
【0035】
本明細書で使用されるとき、用語「治療する」には、特定の障害若しくは状態を予防すること、又は特定の障害若しくは状態に関連する症状を緩和すること、及び/又は前記症状を防止若しくは排除することが含まれる。例えば、本明細書で使用されるとき、用語「糖尿病を治療する」は、一般に血中グルコースレベルをほぼ正常なレベルに維持することを意味し、所定の状態に応じて血中グルコースレベルを増加又は減少することを含むことができる。
【0036】
本明細書で使用されるとき、グルカゴンアンタゴニストの「有効」量又は「治療有効量」は、所望の効果をもたらすペプチドの非毒性であるが十分な量を意味する。例えば、一つの望ましい効果は、高血糖症の予防又は治療である。「有効」である量は、個人の年齢及び全身状態、投与様式などによって被験者毎に変わる。したがって、正確な「有効量」を規定することがいつも可能というわけではない。しかし、個別の症例における適切な「有効」量は、慣用的な実験を使用して当業者によって決定することができる。
【0037】
用語「非経口的」は、消化管を介するのではなく、皮下、筋肉内、脊髄内又は静脈内のような他の経路によることを意味する。
【0038】
本明細書で使用されるとき、用語「天然グルカゴン」は、配列番号1の配列から構成されるペプチドを意味し、用語「天然GLP−1」は、GLP−1(7〜36)アミド(配列番号4の配列から構成される)、GLP−1(7〜37)酸(配列番号3の配列から構成される)、又はこの2つの化合物の混合物を示す総称である。本明細書で使用されるとき、更なる名称が不在なときの「グルカゴン」又は「GLP−1」への一般的な参照は、それぞれ天然グルカゴン又は天然GLP−1を意味することが意図される。
【0039】
本明細書で使用されるとき、「グルカゴン類縁体」には、配列番号1のアミノ酸配列、又は実施例13に記載されているアッセイを使用してcAMP産生により測定されたグルカゴン若しくはGLP−1受容体活性を刺激する、ペプチドのアミノ酸置換若しくは翻訳後修飾(例えば、メチル化、アシル化、ユビキチン化など)を含む配列番号1のアミノ酸配列のアミノ酸の任意の誘導体のいずれかを含む、任意のペプチドが含まれる。
【0040】
用語「グルカゴンアンタゴニスト」は、実施例13に記載されるような検証済インビトロモデルアッセイを使用したcAMP産生により測定されるグルカゴン活性に対抗するか又はグルカゴン機能を防止する化合物を意味する。例えば、グルカゴンアンタゴニストは、グルカゴン受容体に対してグルカゴンにより達成される最大反応の少なくとも50%の阻害(例えば、少なくとも60%、少なくとも70%の阻害)、好ましくは少なくとも80%の阻害を示す。一つの実施態様において、グルカゴンアンタゴニストは、グルカゴン受容体に対してグルカゴンにより達成される最大反応の少なくとも90%の阻害を示す。特定の実施態様において、グルカゴンアンタゴニストは、グルカゴン受容体に対してグルカゴンにより達成される最大反応の100%の阻害を示す。
【0041】
用語「GLP−1アゴニスト」は、実施例13に記載されているような検証済インビトロモデルアッセイを使用したcAMP産生により測定されるGLP受容体活性を刺激する化合物を意味する。したがってGLP−1アゴニストは、GLP−1アゴニスト活性を示す。用語「GLP−1アゴニスト活性」は、天然GLP−1と比べて、GLP−1受容体に対する最大活性が、少なくとも10%〜約200%又はそれ以上(少なくとも、20%、30%、40%、50%、60%、75%、100%、125%、150%又は175%)であることを意味する。
【0042】
本明細書で使用されるとき、「グルカゴンアンタゴニスト/GLP−1アゴニスト」は、天然グルカゴン(配列番号1)のアミノ酸配列と65%を超えるアミノ酸配列同一性を共有するが、グルカゴンアンタゴニスト活性とGLP−1アゴニスト活性の両方を示すように修飾されたペプチドである。
【0043】
幾つかの実施態様において、本明細書に記載されているペプチドは、GLP−1受容体に対するEC50と比べて約100倍高い又は約100倍低い範囲内で、グルカゴン受容体に対するIC50を示す。例えば、配列番号1のペプチドを、ペプチドがGLP−1受容体に対して天然GLP−1により達成される最大アゴニスト作用の少なくとも約50%(例えば、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、約100%)を示し、グルカゴン受容体に対して天然グルカゴンにより達成される最大反応の少なくとも約50%(例えば、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、約100%)の阻害を示すように修飾することができる。
【0044】
一つの例において、グルカゴンアンタゴニスト/GLP−1アゴニストは、配列番号2の11位にグルタミン酸置換を有するか、又は配列番号2の7位と11位、11位と15位、15位と19位及び19位と23位からなる群より選択されるアミノ酸残基対同士の間に形成される分子内架橋、例えばラクタム架橋を有するように修飾された、配列番号2のグルカゴン類縁体を含む。
【0045】
本出願の全体にわたって、特定のアミノ酸の位置に対する数字による全ての参照は、特定の配列番号に対する更なる名称又は参照が不在なとき、天然グルカゴン(配列番号1)中のアミノ酸の位置であって、配列番号1の最初のアミノ酸を1番として始めて連続的に番号付けした位置、又は任意の類縁体における対応するアミノ酸の位置を指す。しかし、特定の配列番号を参照しながら特定のアミノ酸位置が数字により示される場合、示されたアミノ酸位置は、参照された配列番号の最初のアミノ酸から始める連続した番号付けに基づく。例えば、配列番号2の4位のアミノ酸はアスパラギン酸である。
【0046】
本明細書で使用されるとき、アミノ酸「修飾」は、アミノ酸の置換、付加又は欠失を意味し、ヒトタンパク質において一般的に見出される20個のアミノ酸に加え、異形又は非天然のアミノ酸のいずれかによる、置換又は付加が含まれる。異形アミノ酸の商業供給源には、Sigma-Aldrich(Milwaukee, WI)、ChemPep Inc.(Miami, FL)及びGenzyme Pharmaceuticals(Cambridge, MA)が含まれる。異形アミノ酸は、商業供給者から購入する、新規に合成する、又は天然に生じるアミノ酸を化学的に修飾する若しくは誘導体化して得ることができる。
【0047】
本明細書で使用されるとき、アミノ酸「置換」は、1個のアミノ酸残基を異なるアミノ酸残基で置換することを意味する。
【0048】
本明細書で使用されるとき、用語「保存的アミノ酸置換」は、以下の5つの群の1つの範囲内の交換として定義される:
I.小型で脂肪族の非極性又は僅かに極性の残基:
Ala、Ser、Thr、Pro、Gly;
II.極性の負荷電残基及びそれらのアミド:
Asp、Asn、Glu、Gln;
III.極性の正荷電残基:
His、Arg、Lys、オルニチン(Orn);
IV.大型で脂肪族の非極性残基:
Met、Leu、Ile、Val、Cys、ノルロイシン(Nle)、ホモシステイン;
V.大型の芳香族残基:
Phe、Tyr、Trp、アセチルフェニルアラニン。
【0049】
本明細書で使用されるとき、総称「ポリエチレングリコール鎖」又は「PEG鎖」は、一般式:H(OCH
2CH
2)
nOH(nは9以上)により表される、分岐鎖又は直鎖の、エチレンオキシドと水の縮合ポリマーの混合物を意味する。更なる特定がない限り、この用語は、500〜40,000ダルトンの範囲から選択される平均総分子量を有するエチレングリコールのポリマーを含むことが意図される。「ポリエチレングリコール鎖」又は「PEG鎖」を数字の接尾辞と組み合わせて使用して、およその平均分子量を示す。例えば、PEG−5,000は、平均約5,000の総分子量を有するポリエチレングリコール鎖を意味する。
【0050】
本明細書で使用されるとき、用語「ペグ化」及び同様の用語は、ポリエチレングリコール鎖を化合物に結合することにより天然の状態が修飾された化合物を意味する。「ペグ化グルカゴン類縁体」は、PEG鎖を有する共有結合しているグルカゴン類縁体である。
【0051】
本明細書で使用されるとき、ペプチドに対する一般的な参照は、修飾されたアミノ及びカルボキシ末端を有するペプチドも包含することが意図される。例えば、末端カルボン酸の代わりにアミノ基を含むアミノ酸鎖は、標準的なアミノ酸を示すアミノ酸配列に包含されることが意図される。
【0052】
本明細書で使用されるとき、「リンカー」は、2つの別々の実体を互いに結合する結合、分子、又は分子群である。リンカーは、2つの実体に最適な間隔をもたらしてもよいし、更に2つの実体が互いに分離することを可能にする不安定な結合を提供してもよい。不安定な結合には、光切断基、酸不安定部分、塩基不安定部分及び酵素切断基が含まれる。
【0053】
本明細書で使用される「二量体」は、リンカーを介して互いに共有結合している2つのサブユニットを含む複合体である。二量体という用語は、意味を限定する言葉無しに使用される場合、ホモ二量体とヘテロ二量体の両方を包含する。ホモ二量体は、2つの同一のサブユニットを含み、一方、ヘテロ二量体は、異なる2つのサブユニットを含むが、2つのサブユニットは、実質的に互いに類似している。
【0054】
本明細書で使用されるとき、「システインのスルホン酸誘導体」は、一般構造:
【化2】
〔ここで、X
6は、C
1〜C
4アルキル、C
2〜C
4アルケン又はC
2〜C
4アルキニルである〕で示される化合物を意味する。
【0055】
本明細書で使用されるとき、用語「C
1〜C
nアルキル」(ここでnは1〜6であることができる)は、1個から特定の個数までの炭素原子を有する、分岐鎖又は直鎖のアルキル基を表す。典型的なC
1〜C
6アルキル基には、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシルなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0056】
本明細書で使用されるとき、用語「C
2〜C
nアルケニル」(ここでnは2〜6であることができる)は、2個から特定の個数までの炭素原子及び少なくとも1つの二重結合を有する、オレフィン性不飽和の分岐鎖又は直鎖基を表す。そのような基の例には、1−プロペニル、2−プロペニル(−CH
2−CH=CH
2)、1,3−ブタジエニル(−CH=CHCH=CH
2)、1−ブテニル(−CH=CHCH
2CH
3)、ヘキセニル、ペンテニルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0057】
用語「C
2〜C
nアルキニル」(ここでnは2〜6であることができる)は、2からn個までの炭素原子及び少なくとも1つの三重結合を有する不飽和の分岐鎖又は直鎖基を意味する。そのような例には、1−プロピニル、2−プロピニル、1−ブチニル、2−ブチニル、1−ペンチニルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0058】
本明細書で使用されるとき、用語「荷電アミノ酸」は、生理学的pHの水溶液中に負に荷電(すなわち、脱プロトン化)している、又は正に荷電(すなわち、プロトン化)している側鎖を含むアミノ酸を意味する。例えば、負荷電アミノ酸には、アスパラギン酸、グルタミン酸、システイン酸、ホモシステイン酸及びホモグルタミン酸が含まれ、一方、正荷電アミノ酸には、アルギニン、リシン及びヒスチジンが含まれる。荷電アミノ酸には、ヒトタンパク質において一般的に見出される20個のアミノ酸、また異形又は非天然アミノ酸のうちの荷電アミノ酸が含まれる。
【0059】
本明細書で使用されるとき、用語「酸性アミノ酸」は、例えばカルボン酸又はスルホン酸基のような、第2の酸性部分を含むアミノ酸を意味する。
【0060】
本明細書で使用されるとき、用語「患者」は、更なる指定のない限り、任意の家畜化された温血脊椎動物(例えば、家畜類、ウマ、ネコ、イヌ及び他のペット類が含まれるが、これらに限定されない)並びにヒトを包含することが意図される。
【0061】
本明細書で使用されるとき、用語「約」は、記述されている値又は値の範囲よりも10パーセント多い又は少ないことを意味するが、任意の値又は値の範囲をこの広義の定義にのみ指定することを意図しない。用語「約」に続くそれぞれの値又は値の範囲は、記述された絶対値又は値の範囲の実施態様も包含することが意図される。
【0062】
〔実施態様〕
本明細書に開示されているものは、グルカゴンアンタゴニスト及びGLP−1アゴニストとして機能するグルカゴン類縁体である。そのようなグルカゴンアンタゴニスト/GLP−1アゴニストは、グルカゴンアゴニスト作用の抑制が望まれ、同時にGP−1活性の刺激も望まれるあらゆる状況に利用される。例えば、GLP−1刺激と一緒になったグルカゴンアンタゴニスト活性を、グルカゴンアンタゴニスト作用が高血糖症の前臨床モデルで血中グルコースの低下をもたらすことが実証され、且つGLP−1活性がインスリン産生と関連している、糖尿病の治療に使用することができる。GLP−1活性を示す化合物は、肥満の治療及び体重増加の防止にも有用であることが知られている。
【0063】
出願者たちは、N末端からの最初の1〜5個のアミノ酸残基(例えば、最初の1個のアミノ酸、最初の2個のアミノ酸、最初の3個のアミノ酸、最初の4個のアミノ酸、最初の5個のアミノ酸)の除去と、例えば2個のアミノ酸(ここでアミノ酸対は12位と16位、16位と20位、20位と24位及び24位と28位から選択される)の側鎖同士のペプチド内結合の形成などによる、ペプチドのC末端部分におけるアルファ−へリックス構造の安定化とによって修飾されたグルカゴン類縁体が、グルカゴンアンタゴニストとGLP−1アゴニストの両方の活性を示すことを発見した。
【0064】
一つの実施態様によると、グルカゴンアンタゴニスト/GLP−1アゴニストペプチドが提供されるが、このペプチドは、インビトロアッセイにおけるcAMP産生により測定して、GLP−1受容体に対して天然GLP−1により達成される最大アゴニスト作用の少なくとも80%を示し、グルカゴン受容体における最大グルカゴン誘導cAMP産生を少なくとも約50%低減するグルカゴンアンタゴニスト活性を示す。一つの実施態様において、グルカゴンアンタゴニスト/GLP−1アゴニストペプチドは、GLP−1受容体における天然GLP−1の活性の少なくとも90%を示し、グルカゴン受容体における最大グルカゴン誘導cAMP産生を少なくとも約80%低減するグルカゴンアンタゴニスト活性を示す。
【0065】
一つの実施態様によると、グルカゴンアンタゴニスト/GLP−1アゴニストは、配列番号2のペプチドの誘導体を含み、このグルカゴンペプチドは、配列番号2の1、2、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、19、22及び24位から選択される1〜3つのアミノ酸位置において更なるアミノ酸置換を含み、GLP−1受容体における天然GLP−1の活性の少なくとも90%を示し、グルカゴン受容体における最大グルカゴン誘導cAMP産生を少なくとも約80%低減するグルカゴンアンタゴニスト活性を示す。
【0066】
幾つかの実施態様において、グルカゴンペプチドのC末端部分(野生型グルカゴンのアミノ酸番号付けによるアミノ酸12〜29の前後)のアルファ−へリックス構造は、例えば、共有若しくは非共有分子内架橋の形成により、又はアルファ−へリックス安定化アミノ酸(例えば、α,α−二置換アミノ酸)での12〜29位前後のアミノ酸の置換及び/若しくは挿入により、安定化される。一つの実施態様において、ラクタム環は、配列番号2のアミノ酸7及び11又はアミノ酸11及び15の側鎖同士の間に形成される。他の実施態様において、16、20、21又は24位(野生型グルカゴンのアミノ酸番号付けによる)のうちの1、2、3つ又は全ての位置が、α,α−二置換アミノ酸、例えばアミノイソ酪酸(AIB)で置換されている。一つの実施態様において、グルカゴンアンタゴニスト/GLP−1アゴニストは、配列番号15又は配列番号51のペプチド誘導体を含み、ここでグルカゴンペプチドは、配列番号15又は配列番号51の1、2、5、6、8、9、12、13及び14位から選択される1〜3つのアミノ酸位置において更なるアミノ酸置換を含む。一つの実施態様において、1、2、5、6、8、9、12、13及び14位での置換は、保存的アミノ酸置換である。一つの実施態様において、配列番号5又は配列番号6の24位のトレオニンは、グリシンで置換されている。
【0067】
一つの実施態様によると、特定のグルカゴン類縁体が調製されるが、ここで、天然グルカゴンの最初の3〜5個のアミノ酸を欠失させ、天然グルカゴンペプチドに対して9位のアミノ酸を、グルタミン酸、ホモグルタミン酸、β−ホモグルタミン酸、システインのスルホン酸、又は下記構造:
【化3】
〔ここで、X
5は、C
1〜C
4アルキル、C
2〜C
4アルケニル若しくはC
2〜C
4アルキニルである〕
を有するシステインのアルキルカルボキシレート誘導体からなる群より選択されるアミノ酸で置換し、グルカゴンのC末端部分(野生型グルカゴンのアミノ酸番号付けによるアミノ酸12〜29の前後)のアルファ−へリックス構造を、例えば、ラクタム架橋を、天然グルカゴンペプチドに対して、アミノ酸12と16又はアミノ酸16と20の側鎖同士の間に形成することによって、安定化する。
【0068】
一つの実施態様において、グルカゴンペプチドは、配列番号47又は配列番号48のペプチドを含み、更なる実施態様において、グルカゴンペプチドは、配列番号47又は配列番号48のペプチドを含むが、ここでは、これらの配列の4位のアミノ酸がグルタミン酸であり、天然アミノ酸に存在するC末端カルボン酸基がアミド基で置換されている。更なる実施態様において、配列番号47又は配列番号48のペプチドは、ペプチドのカルボキシ末端への配列番号21の配列の付加により更に修飾される。
【0069】
更なる実施態様において、グルカゴン類縁体が開発され、ここでは、天然グルカゴンの最初の5個のアミノ酸を欠失させ、N末端アミノ酸のアミノ基(フェニルアラニン)をヒドロキシル基で置換し(すなわち、最初のアミノ酸はフェニル乳酸である)、12位と16位、16位と20位、20位と24位及び24位と28位から選択される1つ以上のアミノ酸対の側鎖同士を互いに結合させて、それによりグルカゴン類縁体のアルファ−へリックスを安定化する。
【0070】
一つの実施態様において、配列番号2の配列を含むグルカゴンアンタゴニスト/GLP−1アゴニストが提供されるが、この配列番号2は、グルタミン酸、グルタミン、ホモグルタミン酸、ホモシステイン酸、トレオニン又はグリシンからなる群より選択されるアミノ酸による11位(天然グルカゴンのアミノ酸番号付けによる16位)のセリン残基の置換によって修飾されている。一つの実施態様によると、配列番号2の11位のセリン残基は、グルタミン酸、グルタミン、ホモグルタミン酸及びホモシステイン酸からなる群より選択されるアミノ酸で置換されており、一つの実施態様では、セリン残基はグルタミン酸で置換されている。一つの実施態様によると、グルカゴンアンタゴニスト/GLP−1アゴニストは、配列番号38の配列を含む。
【0071】
一つの実施態様において、分子内架橋を2つのアミノ酸の側鎖同士の間に形成して配列番号2のペプチドのカルボキシ末端の三次元構造を安定化した、グルカゴンアンタゴニスト/GLP−1アゴニストが提供される。より詳細には、配列番号2のアミノ酸対7と11、11と15、15と19又は19と23から選択される1つ以上のアミノ酸の側鎖同士を互いに結合して、グルカゴン類縁体のアルファ−へリックスを安定化する。2つの側鎖は、水素結合、イオン相互作用(例えば、塩架橋の形成)又は共有結合を介して互いに結合することができる。一つの実施態様によると、リンカーの大きさは、7〜9個の原子であり、一つの実施態様において、リンカーの大きさは、8個の原子である。一つの実施態様において、グルカゴンアンタゴニスト/GLP−1アゴニストは、配列番号5、配列番号6、配列番号7及び配列番号8からなる群より選択される。一つの実施態様において、アンタゴニスト/GLP−1アゴニストのC末端アミノ酸は、天然アミノ酸に存在するカルボン酸基を置換したアミド基を有する。
【0072】
共有結合して7原子結合架橋を形成することができるアミノ酸対形成の例には、Orn−Glu(ラクタム)、Lys−Asp(ラクタム)又はホモSer−ホモGlu(ラクトン)が挙げられる。8原子リンカーを形成することができるアミノ酸対形成の例には、Lys−Glu(ラクタム)、ホモLys−Asp(ラクタム)、Orn−ホモGlu(ラクタム)、4−アミノPhe−Asp(ラクタム)又はTyr−Asp(ラクトン)が挙げられる。9原子リンカーを形成することができるアミノ酸対形成の例には、ホモLys−Glu(ラクタム)、Lys−ホモGlu(ラクタム)、4−アミノPhe−Glu(ラクタム)又はTyr−Glu(ラクトン)が挙げられる。これらのアミノ酸の側鎖のいずれかを、アルファ−へリックスの三次元構造が妨げられない限り、追加的な化学基で置換することができる。当業者は、同様の大きさ及び所望の効果の構造の安定化を作り出す代替的な対形成又は代替的なアミノ酸類縁体若しくは誘導体を想像することができる。例えば、ホモシステイン−ホモシステインジスルフィド架橋は、長さが6個の原子であり、更に修飾して所望の効果をもたらすことができる。上記に記載されたアミノ酸対形成又は当業者が想像できる同様の対形成は、共有結合無しであっても、非共有結合を介して、例えば塩架橋又は水素結合相互作用の形成を介して、アルファ−へリックスに追加的な安定性をもたらすことができる。
【0073】
一つの実施態様によると、配列番号9のアミノ酸配列を含むグルカゴンアンタゴニスト/GLP−1アゴニスト類縁体が提供される。一つの実施態様において、配列番号9のペプチドのカルボキシ末端の三次元構造は、ペプチドの側鎖同士の間の共有結合の形成により安定化される。一つの実施態様において、2つのアミノ酸側酸は、互いに結合してラクタム環を形成する。ラクタム環の大きさは、アミノ酸の側鎖の長さに応じて変わることができ、一つの実施態様において、ラクタムは、リシンアミノ酸の側鎖とグルタミン酸の側鎖に結合することによって形成される。一つの実施態様において、アンタゴニスト/GLP−1アゴニストのC末端アミノ酸は、天然アミノ酸に存在するカルボン酸基を置換したアミド基を有する。
【0074】
ラクタム環におけるアミド結合の順番を逆転することができる(例えば、ラクタム環を、Lys12とGlu16の側鎖、あるいはGlu12とLys16の側鎖同士の間に形成することができる)。一つの実施態様によると、少なくとも1つのラクタム環が、配列番号9のアミノ酸対7と11、11と15、15と19及び19と23からなる群より選択されるアミノ酸対の側鎖同士の間に形成されている、配列番号9のグルカゴン類縁体が提供される。一つの実施態様において、配列番号10の配列を含むグルカゴンアンタゴニスト/GLP−1アゴニストペプチドが提供されるが、前記配列は、配列番号10の7及び11位のアミノ酸の間又は11及び15位のアミノ酸の間又は15及び19位のアミノ酸の間に形成される分子内ラクタム架橋を更に含む。一つの実施態様において、配列番号11の配列を含むグルカゴンアンタゴニスト/GLP−1アゴニストペプチドが提供されるが、前記配列は、配列番号11の7及び11位のアミノ酸の間又は11及び15位のアミノ酸の間に形成される分子内ラクタム架橋を更に含む。一つの実施態様において、グルカゴンアンタゴニスト/GLP−1アゴニストは、配列番号17の配列を含む。
【0075】
配列番号5の誘導体を含むさらなるグルカゴンアンタゴニスト/GLP−1アゴニストが提供されるが、ここで配列番号5の10位(天然グルカゴンの15位)のアスパラギン酸は、一般構造:
【化4】
〔ここで、X
6は、C
1〜C
3アルキル、C
2〜C
3アルケン又はC
2〜C
3アルキニルである〕で示されるアミノ酸である、グルタミン酸で置換されており、一つの実施態様では、X
6はC
1〜C
3アルキルであり、別の実施態様では、X
6はC
2アルキルである。一つの実施態様において、配列番号9のグルカゴンアンタゴニスト/GLP−1アゴニスト誘導体が提供されるが、配列番号9の10位(天然グルカゴンの15位)は、グルタミン酸、システイン酸、ホモシステイン酸及びホモグルタミン酸からなる群より選択されるアミノ酸で置換されている。更なる実施態様において、配列番号9の10位は、システイン酸又はホモシステイン酸からなる群より選択されるアミノ酸で置換されている。一つの実施態様において、配列番号6、配列番号7又は配列番号8のグルカゴンアンタゴニスト/GLP−1アゴニスト誘導体が提供されるが、配列番号6、配列番号7又は配列番号8の10位は、グルタミン酸、システイン酸、ホモシステイン酸及びホモグルタミン酸からなる群より選択されるアミノ酸で置換されている。一つの実施態様において、アンタゴニスト/GLP−1アゴニストのC末端アミノ酸は、天然アミノ酸に存在するカルボン酸基を置換したアミド基を有する。
【0076】
グルカゴンアンタゴニスト/GLP−1アゴニストを更に修飾して、グルカゴンアンタゴニスト及びGLP−1アゴニスト活性を保持しながら、生理学的pHの水溶液におけるペプチドの可溶性を改善することができる。配列番号5のペプチドの12、15、16、19及び24位又は配列番号6のペプチドの12、16、19若しくは24位に対応する位置への親水性基の導入は、母体化合物のグルカゴンアンタゴニスト及びGLPアゴニスト活性を保持しながら、得られたペプチドの生理学的pHを有する溶液における可溶性を改善することができる。したがって、一つの実施態様において、本開示のグルカゴンアンタゴニスト/GLP−1アゴニストは更に修飾されて、配列番号5又は配列番号6のペプチドの12、15、16、19及び24位のアミノ酸に対応するアミノ酸の側鎖に1つ以上の親水性基が共有結合している。更なる実施態様において、配列番号5又は配列番号6の16及び19位のアミノ酸に対応するアミノ酸の側鎖は、親水性基に共有結合しており、一つの実施態様において、親水性基はポリエチレングリコール(PEG)である。
【0077】
一つの実施態様において、配列番号5、配列番号6、配列番号7又は配列番号8からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むグルカゴンアンタゴニスト/GLP−1アゴニストが提供されるが、ここで前記ペプチドは、配列番号5の場合はアミノ酸7及び11の側鎖同士の間、配列番号6の場合は11位と15位の側鎖同士の間、配列番号7の場合は15位と19位の側鎖同士の間、配列番号8の場合は19位と24位の側鎖同士の間に形成される、ラクタム環を含み、前記配列は、それぞれ更に修飾されて、ペプチドに共有結合している親水性部分を含む。より詳細には、一つの実施態様において、ラクタムを有するグルカゴンアンタゴニスト/GLP−1アゴニストは、それぞれ、ポリエチレングルコール鎖の共有結合により修飾されている。例えば、配列番号5を含むグルカゴンアンタゴニスト/GLP−1アゴニストでは、ペプチドは、12、15、16、19及び24からなる群より選択される位置でペグ化されており、配列番号6を含むグルカゴンアンタゴニスト/GLP−1アゴニストでは、ペプチドは、12、16、19及び24からなる群より選択される位置でペグ化されており、配列番号7のグルカゴンアンタゴニスト/GLP−1アゴニストでは、ペプチドは、11、12,16及び24からなる群より選択される位置でペグ化されており、配列番号8を含むグルカゴンアンタゴニスト/GLP−1アゴニストでは、ペプチドは、11、12、15及び16らなる群より選択される位置でペグ化されている。一つの実施態様によると、配列番号47又は配列番号48の配列を含み、12、16、19及び24からなる群より選択される位置でペグ化されている、グルカゴンアンタゴニスト/GLP−1アゴニストペプチドが提供される。
【0078】
一つの実施態様において、グルカゴンアンタゴニスト/GLP−1アゴニストのアミノ酸は少なくとも1つのシステイン残基で置換されており、ここでシステイン残基の側鎖は、例えばマレイミド、ビニルスルホン、2−ピリジルチオ、ハロアルキル及びハロアシルのような、チオール反応性試薬により更に修飾される。これらのチオール反応試薬は、カルボキシ、ケト、ヒドロキシ及び他のエーテル基、また、ポリエチレングリコール単位のような、他の親水性部分を含有することができる。別の実施態様において、グルカゴンアンタゴニスト/GLP−1アゴニストのアミノ酸は、リシンで置換されており、置換リシン残基の側鎖は、カルボン酸の活性エスエル(スクシンイミド、無水物など)、又はポリエチレングリコールなどの親水性部分のアルデヒドのような、アミン反応性試薬を使用して、更に修飾される。一つの実施態様によると、配列番号5のペプチドの7位に対応するリシン残基は、アルギニンで置換されており、単一のリシン置換が、配列番号5の12、15、16、19及び24位に対応する1個以上のアミノ酸に挿入されている。
【0079】
別の実施態様において、本明細書に開示されているグルカゴンアンタゴニスト/GLP−1アゴニストの22位に対応するメチオニン残基をロイシン又はノルロイシンに変えて、ペプチドの酸化分解を防止する。
【0080】
本開示のグルカゴンアンタゴニスト/GLP−1アゴニストは、グルカゴン類縁体の機能にとって重要ではないことが知られている位置におけるアミノ酸置換も包含する。一つの実施態様において、置換は、2、5、6、7、8、9、12、13、14、15、16、19、22、23又は24からなる群より選択される1、2又は3つの位置での保存的アミノ酸置換である。一つの実施態様において、天然ペグルカゴンプチドの16、17、20、21、24又は29位に対応するアミノ酸、とりわけ天然グルカゴンの21及び/又は24位に対応するアミノ酸は、システイン又はリシンで置換されており、ここでPEG鎖は、置換システイン又はリシン残基と共有結合している。
【0081】
一つの実施態様によると、ペプチドの11、12、15、16、19及び/又は24位に対応する位置での1つ以上の追加的なアミノ酸置換(例えばシステインによる置換を含む)により更に修飾されている、配列番号9から構成される配列を含むグルカゴンアンタゴニスト/GLP−1アゴニストが提供され、ここでアミノ酸置換は、PEGのような親水性部分との架橋に適した側鎖を有するアミノ酸を含む。天然グルカゴンを、天然に生じるアミノ酸又は合成(非天然)アミノ酸で置換することができる。合成又は非天然アミノ酸は、インビボで天然には存在しないが、それでも、本明細書に記載されるペプチド構造に組み込むことができるアミノ酸を意味する。一つの実施態様において、ペプチドが配列番号9を含み、ペプチドの16又は19位にポリエチレン鎖が更に結合しているグルカゴンアンタゴニスト/GLP−1アゴニストが提供される。更なる実施態様において、グルカゴン類縁体のC末端は修飾されて、カルボン酸基がアミド基で置換されている。
【0082】
グルカゴンアンタゴニスト/GLP−1アゴニストがポリエチレングリコール鎖を含むこれらの実施態様において、ポリエチレン鎖は、直鎖の形態であってもよく、分岐鎖であってもよい。一つの実施態様によると、ポリエチレングリコール鎖は、約500〜約10,000ダルトンの範囲から選択される平均分子量を有する。一つの実施態様において、ポリエチレングリコール鎖は、約1,000〜約5,000ダルトンの範囲から選択される平均分子量を有する。一つの実施態様において、ポリエチレングリコール鎖は、約1,000〜約5,000ダルトンの範囲から選択される平均分子量を有する。一つの実施態様において、ポリエチレングリコール鎖は、約1,000〜約2,000ダルトンから選択される平均分子量を有する。一つの実施態様において、ポリエチレングリコール鎖は、約1,000ダルトンの平均分子量を有する。
【0083】
一つの実施態様において、ペグ化グルカゴンアンタゴニスト/GLP−1アゴニストは、配列番号15又は配列番号51の配列から構成されるペプチドを含み、ここでポリエチレングルコール鎖は、配列番号15又は配列番号51の11、12、15、16、19及び24位からなる群より選択される選択されるアミノ酸に結合しており、PEG鎖の分子量は、約1,000〜約5,000ダルトンである。一つの実施態様において、ペグ化グルカゴンアンタゴニスト/GLP−1アゴニストは、配列番号15又は配列番号51の配列から構成されるペプチドを含み、ここでポリエチレングルコール鎖は、配列番号15又は配列番号51の16又は19位のアミノ酸に結合しており、PEG鎖の分子量は、約1,000〜約5,000ダルトンである。更なる実施態様において、修飾グルカゴンアンタゴニスト/GLP−1アゴニストは、ペプチドに共有結合している2つ以上のポリエチレン鎖を含み、ここでグルカゴン鎖の総分子量は、約1,000〜約5,000ダルトンである。一つの実施態様において、ペグ化グルカゴンアンタゴニスト/GLP−1アゴニストは、配列番号15又は配列番号51の配列を含み、ここでポリエチレングルコール鎖は、配列番号15又は配列番号51の16及び19位のアミノ酸に結合しており、2つのPEG鎖の合計分子量は、約1,000〜約5,000ダルトンである。
【0084】
一つの実施態様によると、下記:
R
1−Phe−Thr−Ser−Xaa−Tyr−Ser−Lys−Tyr−Leu−Xaa−Glu−Arg−Arg−Ala−Gln−Asp−Phe−Val−Gln−Trp−Leu−Xaa−Asn−Thr−R
2(配列番号39)、
R
1−Phe−Thr−Ser−Xaa−Tyr−Ser−Lys−Tyr−Leu−Asp−Glu−Arg−Arg−Ala−Gln−Xaa−Phe−Val−Gln−Trp−Leu−Xaa−Asn−Thr−R
2(配列番号13)、
R
1−Phe−Thr−Ser−Xaa−Tyr−Ser−Lys−Tyr−Leu−Asp−Glu−Arg−Arg−Ala−Gln−Asp−Phe−Val−Xaa−Trp−Leu−Xaa−Asn−Thr−R
2(配列番号14)、及び
R
1−Phe−Thr−Ser−Xaa−Tyr−Ser−Lys−Tyr−Leu−Asp−Glu−Arg−Arg−Ala−Gln−Xaa−Phe−Val−Xaa−Trp−Leu−Xaa−Asn−Thr−R
2(配列番号12)
からなる群より選択されるグルカゴン類縁体を含む、グルカゴンアンタゴニスト/GLP−1アゴニストが提供され、
ここで、4位のXaaは、アスパラギン酸、グルタミン酸、システイン酸又はホモシステイン酸であり、10位のXaaは、Asp、Glu、システイン酸、ホモグルタミン酸及びホモシステイン酸であり、16位のXaaは、Asp、Cys、Orn、ホモシステイン又はアセチルフェニルアラニンであり、19位のXaaは、Gln、Cys、Orn、ホモシステイン及びアセチルフェニルアラニンであり、22位のXaaは、Met、Leu又はNleであり、R
1はOH又はNH
2であり、そしてR
2は、Gly Pro Ser Ser Gly Ala Pro Pro Pro Ser(配列番号21)、Gly Pro Ser Ser Gly Ala Pro Pro Pro Ser Xaa(配列番号50;ここでXaaは、Cys、Orn、ホモシステイン又はアセチルフェニルアラニンである)、COOH又はCONH
2であり、ペプチドは更に、配列番号13の場合は16位、配列番号14の場合は19位、及び配列番号12の場合は16と19位でペグ化されていてもよい。一つの実施態様において、配列番号12〜14及び39の24位のThrは、Glyで置換されている。一つの実施態様によると、ペプチドは、R
1がOHである配列番号13又は配列番号14の配列を含む。一つの実施態様によると、ペプチドは、R
1がOHであり、R
2がCONH
2である、配列番号13又は配列番号14の配列を含む。一つの実施態様によると、ペプチドは、R
1がOHであり、R
2がCONH
2であり、24位のトレオニンがグリシンで置換されている、配列番号13又は配列番号14の配列を含む。
【0085】
一つの実施態様において、血漿タンパク質がペプチドのアミノ酸側鎖に共有結合してグルカゴン類縁体の可溶性、安定性及び/又は薬物動態を改善しているグルカゴンアンタゴニスト/GLP−1アゴニストが提供される。例えば、血清アルブミンを本明細書に提示されているグルカゴンアンタゴニスト/GLP−1アゴニストに共有結合することができる。一つの実施態様において、血漿タンパク質は、配列番号15、配列番号51又は配列番号5の12、15、16、19又は24位に対応するアミノ酸に共有結合している。より詳細には、一つの実施態様において、血漿タンパク質は、グルカゴン類縁体の16又は19位に対応するアミノ酸に結合しており、ここで誘導体は、配列番号5又は配列番号6の配列を含むか、又は血漿タンパク質は、配列番号13の場合は16位、配列番号14の場合は19位、及び配列番号12の場合は16と19位に結合している。
【0086】
一つの実施態様によると、免疫グロブリン分子のFc部分を表す直鎖アミノ酸配列が、本明細書に開示されているグルカゴンアンタゴニスト/GLP−1アゴニストのアミノ酸側鎖に共有結合して、グルカゴン類縁体の可溶性、安定性及び/又は薬物動態を改善している、グルカゴンアンタゴニストが提供される。例えば、免疫グロブリン分子のFc部分を表すアミノ酸配列は、配列番号15、配列番号51又は配列番号5のペプチドの12、15、16、19、21又は24位に共有結合することができる。より詳細には、一つの実施態様において、血漿タンパク質は、グルカゴン類縁体の16又は19位に対応するアミノ酸に結合しており、ここで誘導体は、配列番号5及び配列番号6の配列を含むか又はFc部分は、配列番号13を含む誘導体の16位、配列番号14を含む誘導体の19位及び配列番号12を含む誘導体の16と19位に結合している。Fc部分は、典型的には、IgGから単離されるものであが、任意の免疫グロブリンからのFcペプチドフラグメントも同等に機能するはずである。
【0087】
本開示は、本発明のグルカゴンペプチドが結合する、他の結合体も包含し、この結合は、共有結合を介してでも、リンカーを介してでもよい。結合は、共有化学結合、静電気、水素、イオン、ファンデルワールスのような物理的な力又は疎水的若しくは親水的相互作用により達成することができる。多様な非共有結合系を使用することもでき、その例として、ビオチン−アビジン、リガンド/受容体、酵素/基質、核酸/核酸結合タンパク質、脂質/脂質結合タンパク質、細胞付着分子パートナー又は互いに親和性を有する任意の結合パートナー若しくはそのフラグメントが挙げられる。
【0088】
例示的な結合体には、異種ペプチド又はポリペプチド(例えば、血漿タンパク質を含む)、標的作用物質、免疫グロブリン又はその一部(例えば、可変部領域、CDR若しくはFc領域)、放射性同位体、蛍光体若しくは酵素標識のような診断用標識、水溶性ポリマーを含むポリマー、又は他の治療若しくは診断剤が含まれるが、これらに限定されない。一つの実施態様において、本明細書に開示されるグルカゴンペプチド及び血漿タンパク質を含む結合体が提供され、ここで血漿タンパク質は、アルブミン、トランスフェリン、フィブリノゲン及びグロブリンからなる群より選択される。一つの実施態様において、結合体の血漿タンパク質部分は、アルブミン又はトランスフェリンである。幾つかの実施態様において、リンカーは、1〜約60個、又は1〜30個以上の原子長さ、2〜5個の原子、2〜10個の原子、5〜10個の原子又は10〜20個の原子長さの原子鎖を含む。幾つかの実施態様において、鎖原子は全て炭素原子である。幾つかの実施態様において、リンカーの主鎖の鎖原子は、C、O、N及びSからなる群より選択される。鎖原子及びリンカーは、より可溶性のある結合体をもたらすと予想される可溶性(親水性)に従って選択することができる。幾つかの実施態様において、リンカーは、酵素や他の触媒による切断、又は標的組織若しくは臓器若しくは細胞において見出される加水分解的条件による切断の対象となる官能基を提供する。幾つかの実施態様において、リンカーの長さは、立体障害の潜在性を低減するのに十分な長さである。リンカーが共有結合又はペプチジル結合であり、結合体は、ポリペプチドである場合、全体が融合タンパク質であることができる。そのようなペプチジルリンカーは任意の長さであることができる。例示的なリンカーは、約1〜50個のアミノ酸長さ、5〜50個、3〜5個、5〜10個、5〜15個又は10〜30個のアミノ酸長さである。そのような融合タンパク質は、当業者に既知の組み換え遺伝子操作法により産生することもできる。
【0089】
天然グルカゴンの15〜16位のAsp−Ser配列は、水性緩衝液において天然ホルモンの早期化学切断をもたらす特有の不安定ジペプチドとして同定されている。例えば、0.01NのHClに37℃で2週間維持されたとき、50%を超える天然グルカゴンがフラグメントに切断されうる。2つの遊離切断ペプチド1−15及び16−29は、グルカゴン様生物学的活性を欠いており、したがって、グルカゴン及び関連する類縁体の水性予備処方に対して制限となる。Gluによる天然グルカゴンの15位のAspの選択的化学置換は、15−16ペプチド結合の化学切断を実質的に排除することが観察されている。
【0090】
したがって、本明細書に開示されているグルカゴンアンタゴニスト/GLP−1アゴニストを同様に修飾して、水性緩衝液における早期化学切断に対する感受性を減少できることが予想される。一つの実施態様によると、本明細書に記載されているグルカゴンアンタゴニスト/GLP−1アゴニストを更に修飾して、天然グルカゴンの15位に対応する位置に配置されている天然アスパラギン酸アミノ酸を、システイン酸、グルタミン酸、ホモグルタミン酸及びホモシステイン酸からなる群より選択されるアミノ酸で置換することによって、水溶液中の安定性を増強することができる。一つの実施態様によると、配列番号5、配列番号6、配列番号7又は配列番号8のグルカゴンアンタゴニスト/GLP−1アゴニストの10位のアスパラギン酸残基を、システイン酸、グルタミン酸、ホモグルタミン酸及びホモシステイン酸からなる群より選択されるアミノ酸で置換することができ、一つの実施態様において、配列番号5、配列番号6、配列番号7又は配列番号8の10位の天然アスパラギン酸はグルタミン酸で置換される。一つの実施態様において、アンタゴニストが配列番号9の修飾配列を含み、修飾がGluによる配列番号9の10位のAspの置換を含む、水溶液中で改善された安定性を有するグルカゴンアンタゴニスト/GLP−1アゴニストが提供される。一つの実施態様において、配列番号22、配列番号23、配列番号24及び配列番号25からなる群より選択される配列を含む、グルカゴンアンタゴニスト/GLP−1アゴニストが提供される。一つの実施態様において、グルカゴンアンタゴニスト/GLP−1アゴニストは、アミド化されている。
【0091】
一つの実施態様によると、本明細書に記載されているグルカゴンアンタゴニスト/GLP−1アゴニストの分解を低減することによる安定性の増加は、グルタミン酸、システイン酸、ホモグルタミン酸又はホモシステイン酸による16位(天然グルカゴンの番号付けによる)のセリンの置換によって達成することもできる。特定の実施態様において、16位(天然グルカゴンの配列番号付けによる)のセリンは、グルタミン酸で置換されている。
【0092】
出願者たちは、電荷をカルボキシ末端に導入することによって、ペプチドのアゴニスト特性を保持しながらペプチドの可溶性を増強するように、天然グルカゴンを修飾できることも発見した。増強された可溶性は、ほぼ中性のpHでのグルカゴン溶液の調製及び保存を可能にする。比較的中性のpH(例えば、約6.0〜約8.0のpH)でグルカゴン溶液を配合することは、グルカゴン類縁体の長期安定性を改善する。
【0093】
出願者たちは、本明細書に開示されているグルカゴンアンタゴニスト/GLP−1アゴニストを同様に修飾して、母体タンパク質のグルカゴンアンタゴニスト及びGLP−1活性を保持しながら、比較的中性のpH(例えば、約6.0〜約8.0のpH)の水溶液における可溶性を増強できることを予測する。したがって、一つの実施態様は、野生型グルカゴン(配列番号1)の6〜29位に存在する天然アミノ酸に対して、荷電アミノ酸による天然非荷電アミノ酸の置換により又はカルボキシ末端への荷電アミノ酸の付加によりペプチドに電荷を付加して更に修飾されている、配列番号5、配列番号6、配列番号7又は配列番号8のグルカゴンアンタゴニスト/GLP−1を対象とする。一つの実施態様によると、本明細書に開示されているグルカゴンアンタゴニスト/GLP−1アゴニストのうちの1〜3個の天然非荷電アミノ酸は、荷電アミノ酸で置換されている。一つの実施態様において、荷電アミノ酸は、リシン、アルギニン、ヒスチジン、アスパラギン酸及びグルタミン酸からなる群より選択される。より詳細には、出願者たちは、荷電アミノ酸による(天然グルカゴンの)28及び/若しくは29位に対応する位置で通常生じるアミノ酸の置換、並びに/又はペプチドのカルボキシ末端への1〜2個の荷電アミノ酸の付加が、生理学的に関連するpH(すなわち、約6.5〜約7.5のpH)の水溶液におけるグルカゴン類縁体の可溶性及び安定性を増強することを発見した。したがって、本明細書に開示されているグルカゴンアンタゴニスト/GLP−1アゴニストのそのような修飾は、母体ペプチドの生物学的活性を保持しながら、特に約5.5〜約8.0の範囲のpHの水溶液における可溶性に同様の効果を有することが予測される。
【0094】
一つの実施態様によると、配列番号5、配列番号6、配列番号7又は配列番号8のグルカゴンアンタゴニスト/GLP−1アゴニストは、負荷電アミノ酸(例えば、アスパラギン酸又はグルタミン酸)によるこれらの配列の23位及び/又は24位の天然アミノ酸の置換によって修飾されており、更に、ペプチドのカルボキシ末端への負荷電アミノ酸(例えば、アスパラギン酸又はグルタミン酸)の付加によって修飾されてもよい。別の実施態様において、配列番号5、配列番号6、配列番号7又は配列番号8のグルカゴンアンタゴニスト/GLP−1アゴニストは、正荷電アミノ酸(例えば、リシン、アルギニン又はヒスチジン)による配列番号5、配列番号6、配列番号7又は配列番号8の24位の天然アミノ酸の置換によって修飾されており、更に、ペプチドのカルボキシ末端への1又は2つの正荷電アミノ酸(例えば、リシン、アルギニン又はヒスチジン)の付加によって修飾されてもよい。一つの実施態様によると、改善された可溶性及び安定性を有するグルカゴン類縁体が提供され、類縁体は、配列番号15又は配列番号51のアミノ酸配列を含むが、但し、配列番号15又は配列番号51の23又は24位の少なくとも1個のアミノ酸が、酸性アミノ酸で置換されている、及び/又は、配列番号15若しくは配列番号51のカルボキシ末端に、追加の酸性アミノ酸が付加されている。一つの実施態様において、酸性アミノ酸は、Asp、Glu、システイン酸及びホモシステイン酸からなる群より独立して選択される。
【0095】
一つの実施態様によると、アンタゴニストが配列番号16、配列番号17、配列番号18、又は配列番号19のアミノ酸配列を含む、改善された可溶性及び安定性を有するグルカゴンアンタゴニスト/GLP−1アゴニストが提供される。一つの実施態様によると、配列番号16又は配列番号17の配列を含むグルカゴンアゴニストが提供される。一つの実施態様において、グルカゴンアンタゴニスト/GLP−1アゴニストは、配列番号20の配列を含むが、但し、配列番号20の23位のアミノ酸がアスパラギンであって配列番号20の24位のアミノ酸がトレオニンである場合は、グルカゴンアンタゴニスト/GLP−1アゴニストのカルボキシ末端には、Asp及びGluからなる群より独立して選択される1〜2個のアミノ酸が更に付加される。
【0096】
一つの実施態様によると、配列番号15又は配列番号51の配列を含むグルカゴンアンタゴニスト/GLP−1アゴニストが提供される。一つの実施態様において、配列番号15又は配列番号51の4位は、アスパラギン酸、グルタミン酸、ホモグルタミン酸、システイン酸又はホモシステイン酸であり、一つの実施態様において、4位は、アスパラギン酸、グルタミン酸、システイン酸又はホモシステイン酸であり、更なる実施態様において、配列番号15又は配列番号51の4位は、アスパラギン酸又はグルタミン酸であり、一つの実施態様において、配列番号15又は配列番号51の4位は、アルパラギン酸である。一つの実施態様において、配列番号15又は配列番号51の配列を含み、配列番号15の4位がアスパラギン酸であり、配列番号15の10位がグルタミン酸である、グルカゴンアンタゴニスト/GLP−1アゴニストが提供される。更なる実施態様において、配列番号15又は配列番号51のC末端アミノ酸は修飾されて、天然カルボン酸基が、アミド又はエステルのような電荷中性基で置換されている。
【0097】
本開示は、第2のペプチドがグルカゴンアンタゴニスト/GLP−1アゴニストのC末端に融合している、グルカゴンアンタゴニスト/GLP−1アゴニスト融合ペプチドも包含する。より詳細には、融合ペプチドは、配列番号21(GPSSGAPPPS)、配列番号50(GPSSGAPPPSX)、配列番号26(KRNRNNIA)及び配列番号27(KRNR)からなる群より選択されるアミノ酸配列がアミノ酸24に結合している、配列番号15又は配列番号51のグルカゴンアンタゴニスト/GLP−1アゴニストペプチドを含むことができる。一つの実施態様において、配列番号21(GPSSGAPPPS)のアミノ酸配列は、ペプチド結合を介して配列番号15又は配列番号51のグルカゴンアンタゴニスト/GLP−1アゴニストのアミノ酸24に結合している。別の実施態様において、融合ペプチドは、カルボキシ末端アミノ酸に配列番号21(GPSSGAPPPS)のアミノ酸配列が更に結合している、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号22、配列番号23、配列番号24及び配列番号25のグルカゴンアンタゴニスト/GLP−1アゴニストペプチドを含む。更なる実施態様において、C末端は修飾されて、カルボン酸基がアミド基で置換されている。一つの実施態様において、カルボキシ末端アミノ酸に配列番号21(GPSSGAPPPS)のアミノ酸配列が結合している、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号22、配列番号23、配列番号24及び配列番号25からなる群より独立して選択される配列を2つ含む、グルカゴンアンタゴニスト/GLP−1アゴニスト二量体が提供される。
【0098】
更なる実施態様において、グルカゴンアンタゴニスト/GLP−1アゴニスト融合ペプチドは更に、ペグ化されていてもよい。一つの実施態様において、グルカゴンアンタゴニスト/GLP−1アゴニスト融合ペプチドが提供されるが、融合ペプチドのグルカゴンアンタゴニスト/GLP−1アゴニスト部分は配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号16、配列番号17、配列番号22、配列番号23、配列番号24及び配列番号25からなる群より選択され、配列番号21の配列がグルカゴンアンタゴニスト/GLP−1アゴニスト部分のカルボキシ末端に融合しており、PGE鎖が存在する場合は、PGE鎖は500〜4,000ダルトンの範囲から選択される。より詳細には、一つの実施態様において、前記融合ペプチドのグルカゴンアンタゴニスト/GLP−1アゴニストセグメントは、配列番号12、配列番号13及び配列番号14からなる群より選択され、PGE鎖は、500〜5,000ダルトンの範囲から選択され、とりわけ、一つの実施態様において、PEG鎖は約1,000ダルトンである。別の実施態様において、グルカゴンアンタゴニスト/GLP−1アゴニスト融合ペプチドは、配列番号45又は配列番号46の配列を含み、PEG鎖は、約500〜約5,000ダルトンの範囲から選択され、とりわけ、一つの実施態様において、PEG鎖は約1,000ダルトンである。更なる実施態様において、C末端は修飾されて、カルボン酸基がアミド基で置換されている。
【0099】
幾つかの実施態様において、グルカゴンアンタゴニスト/GLP−1アゴニストは、グルカゴン及びGLP−1受容体に対する活性又は効力に影響を与えることなく、グルカゴンペプチドのC末端の1又は2個のアミノ酸の切断又は欠失(すなわち、天然グルカゴンの29位又は28及び29位のアミノ酸の切断)により更に修飾される。この場合、本明細書に記載されているグルカゴンアンタゴニストは、天然グルカゴンペプチド(配列番号1)のうちのアミノ酸1〜27、1〜28、2〜27、2〜28、3〜27、3〜28、4〜27、4〜28、5〜27、5〜28、6〜27又は6〜28であって、本明細書に記載されているグルカゴンアンタゴニスト活性をもたらす1つ以上の修飾を有するアミノ酸から実質的に構成されるか又は構成されることができる。
【0100】
一つの実施態様において、グルカゴンアンタゴニスト/GLP−1アゴニストは、対応するアミノ酸位置での天然グルカゴン残基の置換により更に修飾された、天然GLP−1のうちの1つ以上のアミノ酸を含む。例えば、グルカゴンアンタゴニスト/GLP−1アゴニストは、2、3、17、18、21、23及び24位(天然グルカゴンのアミノ酸番号付けによる)のいずれかの位置に1つ以上のアミノ酸置換を含むことができる。特定の実施態様において、グルカゴンアンタゴニスト/GLP−1アゴニストは、以下のアミノ酸置換の1つ以上により修飾される:Ser2をAlaで置換、Gln3をGluで置換、Arg17をGlnで置換、18位のArgをAlaで置換、21位のAspをGluで置換、23位のValをIleで置換、そして24位のGlnをAlaで置換(アミノ酸の位置は、天然グルカゴン配列による)。特定の実施態様において、グルカゴンアンタゴニスト/GLP−1アゴニストは、Ser2をAlaで置換すること及びGln3をGluで置換すること(天然グルカゴンのアミノ酸番号付けによる)により修飾される。別の実施態様において、グルカゴンアンタゴニスト/GLP−1アゴニストは、以下のアミノ酸置換の1つ以上により修飾される:Arg17をGlnで置換、18位のArgをAlaで置換、21位のAspをGluで置換、23位のValをIleで置換、そして24位のGlnをAlaで置換(天然グルカゴンによるアミノ酸番号付け)。さらに別の特定の実施態様において、グルカゴンアンタゴニスト/GLP−1アゴニストは修飾されて、21位(配列番号1の番号付けによる)のGluのみを含む。したがって、グルカゴンアンタゴニスト/GLP−1アゴニストは、配列番号60〜70、73〜78、80〜88、90〜96、103、104、106及び114〜118のいずれかのアミノ酸配列を含むことができるし、表13に記載のペプチド2〜6、表14に記載のペプチド1〜8及び表15に記載のペプチド2〜6、8及び9のいずれかのアミノ酸配列を含むことができる。
【0101】
特定の実施態様において、PLAを含む上記に記載されたグルカゴンアンタゴニスト/GLP−1アゴニストは修飾されて、例えばPLAのエステル又はPLAのエーテルのようなPLAのオキシ誘導体を含む。例えば、グルカゴンアンタゴニスト/GLP−1アゴニストは、配列番号2、5〜20、22〜25、32〜36、38、39、45、46及び51のいずれかのアミノ酸配列を含むことができるが、ここでPLAは、エステル又はエーテル結合を介して、アミノ酸、ペプチド、ポリマー、アシル基又はアルキル基に結合している。アミノ酸、ペプチド、ポリマー、アシル基又はアルキル基は、本明細書に記載されている任意のものであることができる。PLAがエステル結合を介してアミノ酸又はペプチドに結合している場合、グルカゴンアンタゴニスト/GLP−1アゴニストは、デプシペプチドであると考慮することができる。
【0102】
また、別の特定の実施態様において、PLAを欠いている上記記載のグルカゴンアンタゴニスト/GLP−1アゴニストは修飾されて、7位(天然グルカゴンの番号付けによる)からN末端までの連続した2個のアミノ酸の間に少なくとも1つのエステル結合又はエーテル結合を含む。特定の実施態様において、グルカゴンアンタゴニスト/GLP−1アゴニストは、連続した2個のアミノ酸の間に少なくとも1つのエステル又はエーテル結合を含む。さらに特定の実施態様において、グルカゴンアンタゴニスト/GLP−1アゴニストは、配列番号1のN末端の6個のアミノ酸を含み、N末端の6個のアミノ酸のうちの連続した2個のアミノ酸は、エステル又はエーテル結合を介して結合している。
【0103】
また、本明細書において更に提供されるものは、(1)本明細書に記載された方法により(例えば、分子内架橋又は1個以上のアルファ,アルファ−二置換アミノ酸又若しくは16位(配列番号1の番号付けによる)の酸性アミノ酸の組み込み又はそれらの組み合わせにより)安定化されたアルファ−へリックス、(2)C末端カルボキシレートの代わりにC末端アミド又はエステル及び(3)一般構造A−B−C、を含むペプチド又はその結合体であり、
ここでAは、下記:
(i)PLA;
(ii)PLAのオキシ誘導体;及び
(iii)連続した2個のアミノ酸がエステル又はエーテル結合を介して結合しているアミノ酸2〜6個のペプチド
からなる群より選択され;
Bは、配列番号1のアミノ酸p−26を表し(ここでpは、3、4、5、6又は7である)、更に、下記からなる群より選択される1つ以上のアミノ酸修飾を含んでもよく:
(iv)Glu、Cysのスルホン酸誘導体、ホモグルタミン酸、β−ホモグルタミン酸、又は下記構造:
【化5】
〔ここで、X
5は、C
1〜C
4アルキル、C
2〜C
4アルケニル若しくはC
2〜C
4アルキニルである〕
を有するシステインのアルキルカルボキシレート誘導体による、9位(配列番号1のアミノ酸番号付けによる)のAspの置換;
(v)エステル、エーテル、チオエーテル、アミド、又はアルキルアミン結合を介してアシル又はアルキル基に共有結合しているアミノ酸による、10、20及び24位(配列番号1のアミノ酸番号付けによる)のうちの1又は2個のアミノ酸の置換;
(vi)Cys、Lys、オルチニン、ホモシステイン、及びアセチル−フェニルアラニン(Ac−Phe)からなる群より選択されるアミノ酸による、16、17、20、21及び24位(配列番号1のアミノ酸番号付けによる)のうちの1又は2個のアミノ酸の置換(ここで前記群のアミノ酸は親水性部分に共有結合している);
(vii)システイン酸、グルタミン酸、ホモグルタミン酸、及びホモシステイン酸による15位(配列番号1の番号付けによる)のAspの置換;
(viii)システイン酸、グルタミン酸、ホモグルタミン酸、及びホモシステイン酸による16位(配列番号1の番号付けによる)のSerの置換;
(ix)Glnによる17位のArgの交換、Alaによる18位のArgの交換、Gluによる21位のAspの交換、Ileによる23位のValの交換、及びAlaによる24位のGlnの交換(配列番号1のアミノ酸番号付けによる);
(x)Gluによる16位のSerの交換、Gluによる20位のGlnの交換、又はGluによる24位のGlnの交換(配列番号1のアミノ酸番号付けによる);
そして
Cは、
(vii)X;
(viii)X−Y;
(ix)X−Y−Z;
(x)X−Y−Z−R10
(ここでXは、Met、Leu又はNleであり;Yは、Asn又は荷電アミノ酸であり;Zは、Thr、Gly、Cys、Lys、オルニチン(Orn)、ホモシステイン、アセチル−フェニルアラニン(Ac−Phe)又は荷電アミノ酸であり、R10は、配列番号21、26、27及び50からなる群より選択される)、
からなる群より選択される。
【0104】
特定の態様において、ペプチドは、PLAのオキシ誘導体を含む。本明細書で使用されるとき、「PLAのオキシ誘導体」は、ヒドロキシ基がO−R
11(ここでR
11は化学的部分である)で置換されているPLAの修飾構造を含む化合物を意味する。この場合、PLAのオキシ誘導体は、例えばPLAのエステル又はPLAのエーテルであることができる。
【0105】
PLAのオキシ誘導体を作製する方法は、当該技術分野において既知である。例えば、オキシ誘導体がPLAのエステルである場合、エステルを、PLAのヒドロキシルと、求核剤を有するカルボニルとの反応により形成することができる。求核剤は、アミン又はヒドロキシルが含まれるが、これらに限定されない任意の適切な求核剤であることができる。したがって、PLAのエステルは、式IV:
【化6】
〔式中、R
7は、PLAのヒドロキシルと、求核剤を有するカルボニルとの反応により形成されるエステルである〕
を含むことができる。
【0106】
求核剤を有するカルボニル(PLAのヒドロキシルと反応してエステルを形成する)は、例えば、カルボン酸、カルボン酸誘導体又はカルボン酸の活性化エステルであることができる。カルボン酸誘導体は、塩化アシル、酸無水物、アミド、エステル又はニトリルでありうるが、これらに限定されない。カルボン酸の活性化エステルは、例えば、N−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)、トシレート(Tos)、カルボジイミド又はヘキサフルオロホスフェートであることができる。幾つかの実施態様において、カルボジイミドは、1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、1,1′−カルボニルジイミダゾール(CDI)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDC)又は1,3−ジイソプロピルカルボジイミド(CICD)である。幾つかの実施態様において、ヘキサフルオロホスフェートは、ヘキサフルオロホスフェート ベンゾトリアゾール−1−イル−オキシ−トリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(BOP)、ベンゾトリアゾール−1−イル−オキシトリピロリジノンホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(PyBOP)、2−(1H−7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HATU)及びo−ベンゾトリアゾール−N,N,N′,N′−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HBTU)からなる群より選択される。
【0107】
ヒドロキシル基(例えば、PLAのヒドロキシル)を用いる反応によりエーテルを作製する方法も当該技術分野において既知である。例えば、PLAのヒドロキシル基を、ハロゲン化アルキル又はトシル化アルキルアルコールと反応させて、エーテル結合を形成することができる。
【0108】
一般に、化学的部分であるR
11は、ペプチドの活性を減少させないものである。幾つかの実施態様において、化学的部分は、ペプチドの活性、安定性及び/又は可溶性を増強する。
【0109】
特定の実施態様において、酸素含有結合を介して(例えば、エステル又はエーテル結合を介して)PLAに結合している化学的部分は、ポリマー(例えば、ポリアルキレングリコール)、炭水化物、アミノ酸、ペプチド又は脂質、例えば脂肪酸又はステロイドである。
【0110】
特定の実施態様において、化学的部分は、アミノ酸であり、更に、式IVがデプシペプチドとなるように、ペプチドの一部であってもよい。この場合、PLAは、ペプチドがPLA残基の1個以上(例えば、1、2、3、4、5、6個又はそれ以上)のアミノ酸N末端を含むように、ペプチドのN末端アミノ酸残基以外の位置にあることができる。例えば、ペプチドは、ペプチドのn位にPLAを含むことができ、ここでnは2、3、4、5又は6である。
【0111】
PLA残基のアミノ酸N末端のアミノ酸は、合成アミノ酸であってもよいし、天然に存在するアミノ酸であってもよい。特定の実施態様において、N末端PLAであるアミノ酸は、天然アミノ酸である。一つの実施態様において、PLAのN末端であるアミノ酸は、天然グルカゴンのN末端アミノ酸である。例えば、ペプチドは、N末端に、配列番号52〜56のいずれかのアミノ酸配列を含むことができ、ここでPLAは、エステル結合を介してトレオニンに結合している:
配列番号52 His−Ser−Gln−Gly−Thr−PLA
配列番号53 Ser−Gln−Gly−Thr−PLA
配列番号54 Gln−Gly−Thr−PLA
配列番号55 Gly−Thr−PLA
配列番号56 Thr−PLA
【0112】
別の実施態様において、1個以上のN末端アミノ酸を天然グルカゴンのアミノ酸以外のアミノ酸で置換することができる。例えば、ペプチドが5又は6位のアミノ酸としてPLAを含む場合、1位及び/又は2位のアミノ酸は、ジペプチジルペプチダーゼIVによる切断に対して感受性を低減するアミノ酸であることができる。より詳細には、幾つかの実施態様において、ペプチドの1位は、D−ヒスチジン、アルファ,アルファ−ジメチルイミダゾール酢酸(DMIA)、N−メチルヒスチジン、アルファ−メチルヒスチジン、イミダゾール酢酸、デスアミノヒスチジン、ヒドロキシル−ヒスチジン、アセチル−ヒスチジン、及びホモ−ヒスチジンからなる群より選択されるアミノ酸である。より詳細には、幾つかの実施態様において、アンタゴニスト/アゴニストペプチドの2位は、D−セリン、D−アラニン、バリン、グリシン、N−メチルセリン、N−メチルアラニン及びアミノイソ酪酸(AIB)からなる群より選択されるアミノ酸である。また、例えば、ペプチドが4、5又は6位のアミノ酸としてPLAを含む場合、ペプチドの3位のアミノ酸は、天然グルカゴンの天然グルタミン残基とは対照的に、グルタミン酸であることができる。本発明の例示的な実施態様において、ペプチドは、N末端に、配列番号57〜59のいずれかのアミノ酸配列を含む。
【0113】
式IVの化合物を含むペプチドに関して、ポリマーは、PLAのヒドロキシル基と反応することができる限り、任意のポリマーであることができる。ポリマーは、天然では又は通常は求核剤を有するカルボニルを含むものであることができる。あるいは、ポリマーは、カルボニルを有するカルボニルを含むように誘導体化されているものであることができる。ポリマーは、以下のいずれかを誘導体化したポリマーであってもよい:ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアルキレン及びポリアルキレングリコール、ポリアルキレンオキシド、ポリアルキレンテレフタレートを含むその誘導体、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(エチルメタクリレート)、ポリ(ブチルメタクリレート)、ポリ(イソブチルメタクリレート)、ポリ(ヘキシルメタクリレート)、ポリ(イソデシルメタクリレート)、ポリ(ラウリルメタクリレート)、 ポリ(フェニルメタクリレート)、ポリ(メチルアクリレート)、ポリ(イソプロピルアクリレート)、ポリ(イソブチルアクリレート)及びポリ(オクタデシルアクリレート)を含むアクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルのポリマー、ポリビニルアルコール、ポリビニルエーテル、ポリビニルエステル、ポリビニルハロゲン化物、ポリ(酢酸ビニル)及びポリビニルピロリドンを含むポリビニルポリマー、ポリグリコリド、ポリシロキサン、ポリウレタン及びそのコポリマー、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、セルロースエーテル、セルロースエステル、ニトロセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシブチルメチルセルロース、酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、酢酸フタル酸セルロース、カルボキシエチルセルロース、三酢酸セルロース及びセルロース硫酸ナトリウム塩を含むセルロース、ポリプロピレン、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(エチレンオキシド)及びポリ(エチレンテレフタレート)を含むポリエチレン、並びにポリスチレン。
【0114】
ポリマーは、生分解性ポリマーであることができ、例えば、合成の生分解性ポリマー(例えば、乳酸とグリコール酸ポリマー、ポリ無水物、ポリ(オルト)エステル、ポリウレタン、ポリ(酪酸)、ポリ(吉草酸)及びポリ(ラクチド−co−カプロラクトン))及び天然の生分解性ポリマー(例えば、アルギン酸塩及びデキストランを含む他の多糖類、セルロース、コラーゲン、その化学誘導体(化学基、例えばアルキル、アルキレンの置換、付加、ヒドロキシル化、酸化、及び当業者により日常的に行われる他の修飾)、アルブミン及び他の親水性タンパク質(例えば、ゼイン、他のプロラミン及び疎水性タンパク質))、並びにこれらの任意のコポリマー又は混合物であることができる。一般に、これらの物質は、インビボにおける酵素的加水分解又は水への暴露によって、表面又はバルク侵食により分解される。
【0115】
ポリマーは、生体付着性ポリマーであることができ、例えば、H. S. Sawhney, C. P. Pathak and J. A. Hubbell in Macromolecules, 1993, 26, 581-587により記載される生体侵食性ヒドロゲル(この教示は本明細書に組み込まれる)、ポリヒアルロン酸、カゼイン、ゼラチン、グルチン、ポリ無水物、ポリアクリル酸、アルギン酸塩、キトサン、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(エチルメタクリレート)、ポリ(ブチルメタクリレート)、ポリ(イソブチルメタクリレート)、ポリ(ヘキシルメタクリレート)、ポリ(イソデシルメタクリレート)、ポリ(ラウリルメタクリレート)、ポリ(フェニルメタクリレート)、ポリ(メチルアクリレート)、ポリ(イソプロピルアクリレート)、ポリ(イソブチルアクリレート)及びポリ(オクタデシルアクリレート)であることができる。
【0116】
一つの実施態様において、ポリマーは水溶性ポリマーである。適切な水溶性ポリマーは、当該技術分野において既知であり、例として、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC;Klucel)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC;Methocel)、ニトロセルロース、ヒドロキシプロピルエチルセルロース、ヒドロキシプロピルブチルセルロース、ヒドロキシプロピルペンチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース(Ethocel)、ヒドロキシエチルセルロース、多様なアルキルセルロース及びヒドロキシアルキルセルロース、多様なセルロースエーテル、酢酸セルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、酢酸ビニル/クロトン酸コポリマー、ポリ−ヒドロキシアルキルメタクリレート、ヒドロキシメチルメタクリレート、メタクリル酸コポリマー、ポリメタクリル酸、ポリメチルメタクリレート、無水マレイン酸/メチルビニルエーテルコポリマー、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ナトリウム及びカルシウム、ポリアクリル酸、酸性カルボキシポリマー、カルボキシポリメチレン、カルボキシビニルポリマー、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンコポリマー、ポリメチルビニルエーテル−co−無水マレイン酸、カルボキシメチルアミド、カリウムメタクリレートジビニルベンゼンコポリマー、ポリオキシエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、並びにこれらの誘導体、塩及び組み合わせが挙げられる。
【0117】
特定の実施態様において、ポリマーは、例えばポリエチレングリコール(PEG)もような、ポリアルキレングリコールである。
【0118】
炭水化物は、アルファ離脱基を有するカルボニルを含む又は含むように構成される限り、任意の炭水化物であることができる。炭水化物は、例えば、アルファ離脱基を有するカルボニルを含むように誘導体化されているものであることができる。この場合、炭水化物を、単糖(例えば、グルコース、ガラクトース、フルクトース)、二糖(例えば、スクロース、ラクトース、マルトース)、オリゴ多糖(例えば、ラフィノース、スタキオース)、多糖(デンプン、アミラーゼ、アミロペクチン、セルロース、キチン、カロース、ラミナリン、キシラン、マンナン、フコイダン、ガラクトマンナン)から誘導体化することができる。
【0119】
脂質は、アルファ離脱基を有するカルボニルを含む任意の脂質であることができる。脂質は、例えば、カルボニルを含むように誘導体化されたものであることができる。この場合、脂質は、以下のものの誘導体であることができる:脂肪酸(例えば、C4〜C30脂肪酸、エイコサノイド、プロスタグランジン、ロイコトリエン、トロンボキサン、N−アシルエタノールアミン)、グリセロ脂質(例えば、一置換、二置換、三置換グリセロール)、グリセロリン脂質(例えば、ホスファチジルコリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン)、スフィンゴ脂質(例えば、スフィンゴシン、セラミド)、ステロール脂質(例えば、ステロイド、コレステロール)、プレノール脂質、サッカロ脂質又はポリケチド、油、ロウ、コレステロール、ステロール、脂溶性のビタミン、モノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリド、リン脂質。
【0120】
一つの実施態様において、R7は、約100kDa以下の分子量、例えば90kDa以下、約80kDa以下、約70kDa以下、約60kDa以下、約50kDa以下、約40kDa以下の分子量を有する。したがって、R7は、約35kDa以下、30kDa以下、約25kDa以下、約20kDa以下、約15kDa以下、約10kDa以下、約5kDa以下、又は約1kDaの分子量を有することができる。
【0121】
別の実施態様において、一般構造A−B−Cを含むペプチドは、Aとして、連続した2個のアミノ酸がエステル又はエーテル結合を介して結合しているアミノ酸2〜6個のペプチドを含む。エステル又はエーテル結合は、例えば、アミノ酸2と3、3と4、4と5、又は5と6の間にあることができる。更に、Aのペプチドを、ポリマー(例えば、親水性ポリマー)への結合を含む他の化学的部分への共有結合、アルキル化、又はアシル化により、更に修飾してもよい。
【0122】
Aのペプチドは、連続した少なくとも2個のアミノ酸がエステル又はエーテル結合を介して結合している限り、合成又は天然の任意のアミノ酸を含むことができる。特定の実施態様において、Aのペプチドは天然グルカゴンのアミノ酸を含む。例えば、Aのペプチドは天然グルカゴン(配列番号1)のjから6を含むことができ、ここでjは1、2、3、4又は5である。あるいは、Aのペプチドは、1つ以上のアミノ酸修飾を有する、配列番号1のN末端に基づいたアミノ酸配列を含むことができる。1位及び/又は2位のアミノ酸は、ジペプチジルペプチダーゼIVによる切断に対して感受性を低減させるアミノ酸であることができる。例えば、Aのペプチドは、D−ヒスチジン、アルファ,アルファ−ジメチルイミダゾール酢酸(DMIA)、N−メチルヒスチジン、アルファ−メチルヒスチジン、イミダゾール酢酸、デスアミノヒスチジン、ヒドロキシル−ヒスチジン、アセチル−ヒスチジン、及びホモ−ヒスチジンからなる群より選択されるアミノ酸を1位に含むことができる。より詳細には、幾つかの実施態様において、Aのペプチドの2位は、D−セリン、D−アラニン、バリン、グリシン、N−メチルセリン、N−メチルアラニン及びアミノイソ酪酸(AIB)からなる群より選択されるアミノ酸である。また、例えば、Aのペプチドの3位のアミノ酸は、天然グルカゴンの天然グルタミン残基とは対照的に、グルタミン酸であることができる。したがって、一般構造A−B−Cのペプチドは、下記:
Xaa
1−Xaa
2−Xaa
3−Thr−Gly−Phe(配列番号107);
Xaa
2−Xaa
3−Thr−Gly−Phe(配列番号108);又は
Xaa
3−Thr−Gly−Phe(配列番号109)
のアミノ酸配列を含むことができ、
ここで、Xaa
1は、His、D−ヒスチジン、アルファ,アルファ−ジメチルイミダゾール酢酸(DMIA)、N−メチルヒスチジン、アルファ−メチルヒスチジン、イミダゾール酢酸、デスアミノヒスチジン、ヒドロキシル−ヒスチジン、アセチル−ヒスチジン及びホモ−ヒスチジンからなる群より選択され;Xaa
2は、Ser、D−セリン、D−アラニン、バリン、グリシン、N−メチルセリン、N−メチルアラニン及びアミノイソ酪酸(AIB)からなる群より選択され;そしてXaa
3は、Gln又はGluである。
【0123】
一般構造A−B−Cを含むペプチドに関して、Bは、天然グルカゴンのアミノ酸、例えば配列番号1のアミノ酸i−26を表し(ここでiは、3、4、5、6又は7である)、更に1つ以上のアミノ酸修飾を含んでもよい。特定の実施態様において、Bは、配列番号1のアミノ酸7−26を表し、更に修飾されていてもよい。
【0124】
一つの実施態様において、Bは、3つまでのアミノ酸修飾により修飾されている。例えば、配列番号1の天然アミノ酸配列を表すBは、1つ以上の保存的アミノ酸修飾で修飾されている。
【0125】
別の実施態様において、Bは、本明細書に記載された(iv)〜(x)からなる群より選択される1つ以上のアミノ酸修飾を含む。特定の実施態様において、Bは、アミノ酸修飾(v)及び(vi)のうちの1つ又は両方を含む。更なる特定の実施態様において、Bは、(v)及び(vi)に加えて、(iv)、(vii)、(viii)、(ix)及び(x)からなる群より選択されるアミノ酸修飾の1つ又は組み合わせを含む。
【0126】
本明細書に記載されているように、一般構造A−B−Cを含むペプチドは、C末端に1個以上の荷電アミノ酸、例えば本明細書に記載されているY及び/又はZを含むことができる。代替的に又は追加的に、一般構造A−B−Cを含むペプチドは、CがX−Y−Zを含む場合、ZのC末端に1〜2個の荷電アミノ酸を更に含むことができる。荷電アミノ酸は、例えば、Lys、Arg、His、Asp及びGluのうちの1つであることができる。特定の実施態様において、YはAspである。
【0127】
一つの実施態様において、一般構造A−B−Cを含むペプチドは、1、16、20、21若しくは24位(配列番号1のアミノ酸番号付けによる)のアミノ酸残基に、又はN若しくはC末端残基に、親水性部分が共有結合している。特定の実施態様において、親水性部分は、一般構造A−B−Cを含むペプチドのCys残基に結合している。この場合、天然グルカゴン(配列番号1)の16、21、24又は29位のアミノ酸はCys残基で置換されていることができる。あるいは、親水性部分を含むCys残基を、一般構造A−B−Cを含むペプチドのC末端に、30位として、又は、例えば、一般構造A−B−Cを含むペプチドがC末端延長を含む場合、40位として、付加することができる(位置は配列番号1のアミノ酸番号付けによる)。あるいは、親水性部分は、一般構造A−B−Cを含むペプチドのPLAに、PLAのヒドロキシル部分を介して結合することができる。親水性部分は、例えばポリエチレングルコールを含む、本明細書に記載されている任意のものでありうる。
【0128】
特定の態様において、一般構造A−B−Cを含むペプチドは、分子内架橋が組み込まれたために安定化したアルファ−へリックスを含む。一つの実施態様において、分子内架橋はラクタム架橋である。ラクタム架橋は、9位と12位のアミノ酸、12位と16位のアミノ酸、16位と20位のアミノ酸、20位と24位のアミノ酸又は24位と28位のアミノ酸(配列番号1のアミノ酸番号付けによる)の間にあることができる。特定の実施態様において、12位と16位のアミノ酸又は16位と20位のアミノ酸(配列番号1のアミノ酸番号付けによる)は、ラクタム架橋を介して結合している。ラクタム架橋の他の位置も考慮される。
【0129】
追加的に又は代替的に、一般構造A−B−Cを含むペプチドは、例えば16、20、21又は24(配列番号1のアミノ酸番号付けによる)の任意の位置にアルファ,アルファ−二置換アミノ酸を含むことができる。一つの実施態様において、アルファ,アルファ−二置換アミノ酸はAIBである。特定の実施態様において、AIBは、16位(配列番号1の番号付けによる)に配置されている。代替的に又は追加的に、一般構造A−B−Cを含むペプチドは修飾されて、16位(配列番号1の番号付けによる)に酸性アミノ酸を含むことができ、この修飾はアルファ−へリックスの安定性を増強する。一つの実施態様において、酸性アミノ酸は、側鎖スルホン酸又は側鎖カルボン酸を含むアミノ酸である。より特定の実施態様において、酸性アミノ酸は、Glu、Asp、ホモグルタミン酸、Cysのスルホン酸誘導体、システイン酸、ホモシステイン酸、Asp、及び下記構造:
【化7】
〔ここで、X
5は、C
1〜C
4アルキル、C
2〜C
4アルケニル又はC
2〜C
4アルキニルである〕
を有するCysのアルキル化誘導体からなる群より選択される。
【0130】
特定の実施態様において、グルカゴンアンタゴニスト/GLP−1アゴニストは、配列番号60〜70、73〜78、80〜88、90〜96、103、104、106及び114〜118のいずれかのアミノ酸配列を含むことができるか、又は、表13に記載のペプチド2〜6、表14に記載のペプチド1〜8及び表15に記載のペプチド2〜6、8及び9のいずれかのアミノ酸配列を含むことができる。
【0131】
一つの実施態様において、一般構造A−B−Cを含むペプチドは、グルカゴンアンタゴニスト/GLP−1アゴニストである。特定の実施態様において、ペプチドは、GLP−1受容体に対して天然GLP−1により達成される最大アゴニスト作用の少なくとも約50%を示し、グルカゴン受容体に対して天然グルカゴンにより達成される最大反応の少なくとも約50%の阻害を示す。別の特定の実施態様において、ペプチドは、GLP−1受容体に対して天然GLP−1により達成される最大アゴニスト作用の少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%又は少なくとも約100%を示す。代替的に又は追加的に、ペプチドは、グルカゴン受容体に対して天然グルカゴンにより達成される最大反応の少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%又は少なくとも約100%の阻害を示す。
【0132】
幾つかの実施態様において、下記(1)〜(3)を含み、更に下記(4),(5)も含んでもよい、グルカゴンアンタゴニスト及びGLP−1アゴニスト活性を有するペプチド(例えば、グルカゴンアンタゴニスト、GLP−1アゴニスト)又はその結合体が提供される:
(1)下記を含むが、これらに限定されない、グルカゴンアンタゴニスト活性を付与する修飾:
(a)PLAによる6位(野生型グルカゴンのアミノ酸番号付けによる)のPheの置換(更に、野生型グルカゴンのN末端から1〜5個のアミノ酸を欠失を伴ってもよい)、又は
(b)野生型グルカゴンのN末端からの2〜5個のアミノ酸の欠失(更に、グルタミン酸、ホモグルタミン酸、又はシステインのスルホン酸誘導体による、野生型グルカゴンの9位(野生型グルカゴンのアミノ酸番号付けによる)のAspの置換を伴ってもよい)、
並びに
(2)下記を含むが、これらに限定されない、GLP−1アゴニスト活性を付与する修飾:
(a)野生型グルカゴンのアミノ酸12〜29の範囲内、例えば16、17、18、19、20、21、24若しくは29位(野生型グルカゴンのアミノ酸番号付けによる)のうちの1、2、3、4若しくはそれ以上の位置でのα,α−二置換アミノ酸の挿入若しくは置換、又は
(b)野生型グルカゴンのアミノ酸12〜29の範囲内の分子内架橋、例えば、塩架橋若しくはラクタム架橋若しくは別の種類の共有結合の導入、又は
(c)例えば、Ser2がAlaで置換されている、Gln3がGluで置換されている、Arg17がGlnで置換されている、18位のArgがAlaで置換されている、21位のAspがGluで置換されている、23位のValがIleで置換されている、及び/若しくは24位のGlnがAlaで置換されている、GLP−1の対応するアミノ酸による2、3、17、18、21、23若しくは24位(野生型グルカゴンのアミノ酸番号付けによる)の1つ以上の位置でのアミノ酸の置換、又は
(d)野生型グルカゴンのアミノ酸番号付けによるアミノ酸12〜29位の前後のアルファ−へリックス構造を安定化する他の修飾、
並びに
(3)GLP−1アゴニスト活性を強化する他の修飾、例えば、
(a)C末端カルボキシレートの代わりにC末端アミド又はエステル;
そして、更に、
(4)以下の修飾のうちの1つ以上:
(a)例えばN末端、若しくは6、16、17、20、21、24、29、40位、若しくはC末端アミノ酸への、ポリエチレングルコールのような親水性部分の共有結合、及び/又は
(b)アシル化若しくはアルキル化;そして、更に、
(5)以下の追加的な修飾のうちの1つ以上:
(a)N末端へのアミノ酸の共有結合、例えばN末端への1〜5個のアミノ酸の共有結合(この結合は6位(野生型グルカゴンの番号付けによる)のPLAへのエステル結合を介してであってもよく、更に、本明細書に記載されているようなDPP−IV切断への耐性を改善する1又は2位での修飾を一緒に伴ってもよい);
(b)29位及び/又は28位(野生型グルカゴンの番号付けによる)(更に27位を含んでもよい)でのアミノ酸の欠失;
(c)C末端へのアミノ酸の共有結合;
(d)所望の活性を保持しながらの非保存的置換、保存的置換、付加、又は欠失、例えば、2、5、7、10、11、12、13、14、16、17、18、19、20、21、24、27、28又は29位の1つ以上の位置での保存的置換、Val又はPheによる10位のTyrの置換、Argによる12位のLysの置換、Alaによるこれらの位置の1つ以上での置換;
(e)分解を低減しうる、15位のアスパラギン酸の修飾、例えばグルタミン酸、ホモグルタミン酸、システイン酸若しくはホモシステイン酸での置換による修飾;又は、Asp15−Ser16結合の切断による分解を同様に低減しうる、16位のセリンの修飾、例えばトレオニン、AIB、グルタミン酸での置換、若しくは4原子の長さの側鎖を有する別の負荷電アミノ酸での置換、代替的にはグルタミン、ホモグルタミン酸若しくはホモシステイン酸のいずれかでの置換による修飾;
(f)酸化分解を低減するための、例えばロイシン又はノルロイシンでの置換による、27位のメチオニンの修飾;
(g)Glnの脱アミド化を介して生じる分解を低減するための、例えばAla又はAIBでの置換による、20又は24位のGlnの修飾;
(h)Aspが脱水により環状スクシンイミド中間体を形成し、続いて異性化によりイソアスパラギン酸塩を形成することにより生じる分解を低減するための、21位のAspの修飾、例えば、Gluでの置換による修飾;
(j)本明細書に記載されているホモ二量体化又はヘテロ二量体化;及び
(k)上記の組み合わせ。
【0133】
同じ部類内の修飾のいずれかを一緒に組み合わせてもよいこと及び/又は異なる部類の修飾が組み合わされることが理解される。例えば、修飾の(1)(a)を(2)(a)及び(3)と組み合わせることができ;(1)(a)を、(2)(b)(例えば、ラクタム架橋又は塩架橋)及び(3)と組み合わせることができ;(1)(a)を(2)(c)及び(3)と組み合わせることができ;(1)(b)を(2)(a)及び(3)と組み合わせることができ;(1)(b)を(2)(b)(例えば、ラクタム架橋又は塩架橋)及び(3)と組み合わせることができ;(1)(b)を(2)(c)及び(3)と組み合わせることができ;前述のいずれかを(4)(a)及び/又は(4)(b)と組み合わせることができ;そして前述のいずれかを(5)(a)〜(5)(k)のいずれかと組み合わせることができる。
【0134】
例示的な実施態様において、α,α−二置換アミノ酸AIBは、16、20、21又は24位(野生型グルカゴンのアミノ酸番号付けによる)のうちの1、2、3つ又は全ての位置で置換される。
【0135】
例示的な実施態様において、分子内架橋は塩架橋である。
【0136】
別の例示的な実施態様において、分子内架橋は、共有結合、例えばラクタム架橋である。幾つかの実施態様において、ラクタム架橋は、9位と12位のアミノ酸、12位と16位のアミノ酸、16位と20位のアミノ酸、20位と24位のアミノ酸又は24位と28位のアミノ酸(配列番号1のアミノ酸番号付けによる)の間にある。
【0137】
例示的な実施態様において、アシル化又はアルキル化は、6、10、20又は24位(野生型グルカゴン(配列番号1)のアミノ酸番号付けによる)、又は、N末端若しくはC末端にある。
【0138】
例示的な実施態様において、修飾には下記が含まれる:
(i)システイン酸、グルタミン酸、ホモグルタミン酸及びホモシステイン酸による、15位(配列番号1の番号付けによる)のAspの置換;
(ii)システイン酸、グルタミン酸、ホモグルタミン酸及びホモシステイン酸による、16位(配列番号1の番号付けによる)のSerの置換;
(iii)荷電アミノ酸による28位のAsnの置換;
(iv)Lys、Arg、His、Asp、Glu、システイン酸及びホモシステイン酸からなる群より選択される荷電アミノ酸による、28位のAsnの置換;
(v)Asn、Asp又はGluによる28位での置換;
(vi)Aspによる28位での置換;
(vii)Gluによる28位での置換;
(viii)荷電アミノ酸による29位のThrの置換;
(ix)Lys、Arg、His、Asp、Glu、システイン酸及びホモシステイン酸からなる群より選択される荷電アミノ酸による、29位のThrの置換;
(x)Asn、Glu又はLysによる29位での置換;
(xii)Gluによる29位での置換;
(xii)29位の後への1〜3個の荷電アミノ酸の挿入;
(xiii)29位の後ろへのGlu又はLysの挿入;
(xiv)29位の後ろへのGlu−Lys又はLys−Lysの挿入;或いは
これらの組み合わせ。
【0139】
GLP−1受容体アゴニスト活性、グルカゴン受容体アンタゴニスト活性、ペプチド可溶性及び/又はペプチド安定性を増加する上記に記載された修飾のいずれかを個別に又は組み合わせて適用することができる。
【0140】
開示されているペプチド及びグルカゴンアンタゴニスト/GLP−1アゴニストは、他のグルカゴンアンタゴニスト/GLP−1アゴニストについて以前に記載されているあらゆる使用に適していると考えられる。したがって、本明細書に記載されているグルカゴン類縁体を、高血糖症の治療、又はグルカゴンの高血中レベル若しくは高血中グルコースレベルをもたらす他の代謝疾患の治療に使用することができる。一つの実施態様によると、本明細書に開示されているグルカゴンアンタゴニスト/GLP−1アゴニストを使用して治療される患者は、家畜化された動物であり、別の実施態様では、治療される患者はヒトである。研究は、糖尿病患者におけるグルカゴン抑制の欠如が、部分的にはグリコーゲン分解の促進を介した食後高血糖に寄与することを示唆している。経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)の際の血中グルコースの分析から、ソマトスタチン誘導グルカゴン抑制の存在又は不在にかかわらず、高グルカゴンレベルの被験者においてグルコースの有意な増加が示された。したがって、本明細書に記載されているペプチド及びグルカゴンアンタゴニスト/GLP−1アゴニストは、高血糖症の治療に使用可能であり、また、I型真性糖尿病、II型真性糖尿病又は妊娠糖尿病(インスリン依存性とインスリン非依存性のいずれも)を含む多様な種類の糖尿病を治療すること、及び、腎障害、網膜症及び血管疾患を含む糖尿病の合併症を低減することに有用であることが予想される。
【0141】
低血糖症を治療する方法は、静脈内、腹腔内、皮下若しくは筋肉内のような非経口、鞘内、経皮、直腸内、経口、鼻腔内又は吸入を含む、任意の標準的な投与経路を使用して、本開示のペプチド又はグルカゴンアンタゴニスト/GLP−1アゴニストを患者に投与する工程を含む。一つの実施態様において、組成物は皮下又は筋肉内投与される。一つの実施態様において、組成物は非経口投与され、グルカゴン組成物はシリンジの中に包装される。
【0142】
エキセンディン−4は、39個までのアミノ酸で作製されるペプチドである。GLP−1として知られている受容体の強力な刺激物質である。このペプチドは、食欲を抑制し、減量を誘導することも報告されている。出願者たちは、エキセンディン−4の末端配列は、グルカゴンのカルボキシ末端へ付加されると、グルカゴンの生体活性を損なうことなく、グルカゴンの可溶性及び安定性を改善することを見出した。一つの実施態様によると、本明細書に開示されているペプチド又はグルカゴンアンタゴニスト/GLP−1アゴニストを、食欲を減退させるため、又は体重の減少を促進するための方法として、患者に投与する。一つの実施態様によると、患者は家畜化された動物であり、別の実施態様では、治療される患者はヒトである。一つの実施態様において、エキセンディン−4の末端アミノ酸10個(すなわち配列番号21(GPSSGAPPPS)の配列)は、本明細書に開示されているペプチド又はグルカゴンアンタゴニスト/GLP−1アゴニストのカルボキシ末端に結合している。これらの融合タンパク質は、食欲を抑制し、減量/体重維持を誘導する薬理学的活性を有すると予測される。一つの実施態様によると、本明細書に開示されているペプチド又はグルカゴンアンタゴニスト/GLP−1アゴニストを更に修飾して、ペプチド又はグルカゴンアンタゴニスト/GLP−1アゴニストのカルボキシ末端アミノ酸(24位)に、配列番号21(GPSSGAPPPS))又は配列番号50のアミノ酸配列を結合させて、個人に投与して、減量を誘導するか又は体重維持を支援することができる。より詳細には、グルカゴンアンタゴニスト/GLP−1アゴニストは、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号22、配列番号23、配列番号24及び配列番号25からなる群より選択される配列を含み、カルボキシ末端アミノ酸(24位)に配列番号21(GPSSGAPPPS)又は配列番号50のアミノ酸配列が更に結合しており、食欲の抑制及び減量/体重維持の誘導に使用される。一つの実施態様において、投与されるペプチド又はグルカゴンアンタゴニスト/GLP−1アゴニストは、配列番号16、配列番号17、配列番号18及び配列番号19からなる群より選択される配列を含み、カルボキシ末端アミノ酸(24位)に配列番号21(GPSSGAPPPS)のアミノ酸配列が更に結合している。一つの実施態様において、本方法は、配列番号45又は配列番号46の配列を含むペプチド又はグルカゴンアンタゴニスト/GLP−1アゴニストの投与を含む。
【0143】
そのような食欲を減退する又は体重の減少を促進する方法は、体重の低減、体重増加の防止、又は薬剤誘導肥満を含む多様な原因による肥満の治療、並びに血管疾患(冠動脈疾患、発作、末梢血管疾患、虚血再灌流など)、高血圧、II型糖尿病の発症、高脂血症及び筋骨格系疾患などの肥満に関連する合併症の低減に有用であることが予想される。
【0144】
本発明のグルカゴンペプチドを、単独で又は他の抗糖尿病又は抗肥満剤と組み合わせて投与することができる。当該技術分野において既知であるか又は調査中の抗糖尿病剤には、インスリン;トルブタミド(Orinase)、アセトヘキサミド(Dymelor)、トラザミド(Tolinase)、クロルプロパミド(Diabinese)、グリピジド(Glucotrol)、グリブリド(Diabeta, Micronase, Glynase)、グリメピリド(Amaryl)又はグリクラジド(Diamicron)のようなスルホニル尿素;レパグリニド(Prandin)又はナテグリニド(Starlix)のようなメグリチニド;メトホルミン(Glucophage)又はフェンホルミンのようなビグアナイド;ロシグリタゾン(Avandia)、ピオグリタゾン(Actos)若しくはトログリタゾン(Rezulin)又は他のPPARγインヒビターのようなチアゾリジンジオン;ミグリトール(Glyset)、アルカボース(Precose/Glucobay)のような炭水化物の消化を阻害するアルファグルコシダーゼインヒビター;エクセナチド(Byetta)又はプラムリンチド;ビルダグリプチン又はシタグリプチンのようなジペプチジルペプチダーゼ−4(DPP−4)インヒビター;SGLT(ナトリウム依存性グルコーストランスポーター1)インヒビター;又はFBPase(フルクトース1,6−ビスホスファターゼ)インヒビターが含まれる。
【0145】
当該技術分野において既知であるか又は調査中の抗肥満剤には、フェネチルアミン型刺激薬、フェンテルミン、(更にフェンフルラミン又はデクスフェンフルラミンも)、ジエチルプロピオン(Tenuate(登録商標))、フェンジメトラジン(Prelu-2(登録商標)、Bontril(登録商標))、ベンズフェタミン(Didrex(登録商標))、シブトラミン(Meridia(登録商標)、Reductil(登録商標))を含む食欲抑制薬;リモナバン(Acomplia(登録商標))、他のカンナビノイド受容体アンタゴニスト;オキシントモジュリン;塩酸フルオキセチン(Prozac);Qnexa(トピラメート及びフェンテルミン)、Excalia(ブプロピオン及びゾニサミド)又はContrave(ブプロピオン及びナルトレキソン);或いはゼニカル(Orlistat)若しくはCetilistat (ATL-962としても知られている)又はGT 389-255と類似しているリパーゼインヒビターが含まれる。
【0146】
本明細書に開示されているペプチド又はグルカゴンアンタゴニスト/GLP−1アゴニストを、代謝性るいそうを罹患している患者に投与することもできる。癌患者の過半数が、意図されない進行性の減量、衰弱、並びに低体脂肪及び筋肉により特徴付けられる代謝性るいそうを経験していると推定される。この症状は、AIDS患者において同様に一般的であり、細菌及び寄生虫疾患、リウマチ様関節炎、並びに腸、肝臓、肺及び心臓の慢性疾患においても存在しうる。通常、食欲不振に関連し、加齢の状態又は物理的外傷の結果として表れる可能性がある。代謝性るいそうは、生活の質を減少し、基礎状態を悪化させる症状であり、死亡の主な原因である。出願者たちは、本明細書に開示されているペプチド又はグルカゴンアンタゴニスト/GLP−1アゴニストを患者に投与して、代謝性るいそうを治療できると予測する。
【0147】
本明細書に開示されているペプチド又はグルカゴンアンタゴニスト/GLP−1アゴニストを含む医薬組成物を、標準的な薬学的に許容される担体及び当業者に既知の投与経路を使用して、配合及び投与することができる。したがって、本開示は、本明細書に開示されている1つ以上のペプチド又はグルカゴンアンタゴニスト/GLP−1アゴニストを薬学的に許容される担体と組み合わせて含む医薬組成物も包含する。医薬組成物は、ペプチド又はグルカゴンアンタゴニスト/GLP−1アゴニストを唯一の薬学的活性成分として含んでもよいし、或いはペプチド又はグルカゴンアンタゴニスト/GLP−1アゴニストを1つ以上の追加的な活性剤と組み合わせてもよい。一つの実施態様によると、ペプチド又はグルカゴンアンタゴニスト/GLP−1アゴニストと、インスリン又はインスリン類縁体とを含む組成物が提供される。あるいは、配列番号15又は配列番号51の配列を含み、配列番号15又は配列番号51のアミノ酸24に配列番号21(GPSSGAPPPS)又は配列番号50のアミノ酸配列が更に結合しているペプチドと、抗肥満ペプチドとを含む、減量の誘導又は体重増加の防止のための組成物を提供することができる。適切な抗肥満ペプチドには、米国特許第5,691,309号、同第6,436,435号又は米国特許出願第2005/0176643号に開示されているものが含まれる。
【0148】
一つの実施態様によると、好ましくは滅菌され、好ましくは少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の純度レベルの、本明細書に開示されている任意の新規ペプチド又はグルカゴンアンタゴニスト/GLP−1アゴニストと、薬学的に許容される希釈剤、担体又は賦形剤とを含む、医薬組成物が提供される。そのような組成物は、ペプチドグルカゴンアンタゴニスト/GLP−1アゴニストを、少なくとも0.5mg/ml、1mg/ml、2mg/ml、3mg/ml、4mg/ml、5mg/ml、6mg/ml、7mg/ml、8mg/ml、9mg/ml、10mg/ml、11mg/ml、12mg/ml、13mg/ml、14mg/ml、15mg/ml、16mg/ml、17mg/ml、18mg/ml、19mg/ml、20mg/ml、21mg/ml、22mg/ml、23mg/ml、24mg/ml、25mg/ml、又はそれ以上の濃度で、含有することができる。一つの実施態様において、医薬組成物は、滅菌された、更に多様な容器に保存されてもよい、水性液剤を含む。本明細書に開示されている化合物を一つの実施態様に従って使用して、注射可能な予備処方された液剤を調製することができる。別の実施態様において、医薬組成物は凍結乾燥粉末剤を含む。医薬組成物を、患者に組成物を投与する使い捨て装置を含むキットの一部として更に包装することができる。容器又はキットにラベルを付けて常温又は冷蔵温度で保存することができる。
【0149】
本明細書に記載されている全ての治療方法、医薬組成物、キット及び他の同様の実施態様は、ペプチド又はグルカゴンアンタゴニスト/GLP−1アゴニストという用語の使用にはその薬学的に許容される塩が全て含まれることを考慮する。
【0150】
ペプチド又はグルカゴンアンタゴニスト/GLP−1アゴニストをペグ化することで、アンタゴニストの水溶性を改善することができる。しかし、PEG鎖の長さを増大して又は複数のPEG鎖をペプチドに結合して、結合PEGの総分子量が5,000ダルトンを超えると、修飾グルカゴンアンタゴニスト/GLP−1アゴニスト又はペプチドの作用時間を遅延し始める。一つの実施態様によると、1つ以上のポリエチレングリコール鎖を含むペプチド又はグルカゴンアンタゴニスト/GLP−1アゴニストが提供され、ここで結合PEGの総分子量は、5,000ダルトンを超え、一つの実施態様では、10,000ダルトンを超える。そのような修飾グルカゴンアンタゴニスト/GLP−1アゴニスト又はペプチドは、活性の時間が遅くなるが、生体活性を失うことはない。したがって、そのような化合物を予防的に投与して、投与グルカゴンアンタゴニスト/GLP−1アゴニスト又はペプチドの効果を延ばすことができる。
【0151】
一つの実施態様において、ペグ化グルカゴンアンタゴニスト/GLP−1アゴニストは、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号22、配列番号23、配列番号24及び配列番号25からなる群より選択されるペプチドを含み、ここでペプチドの16又は19位の1個以上のアミノ酸残基の側鎖は、ポリエチレングリコール鎖に共有結合しており、PEG鎖の総分子量は、約10,000ダルトンを超える。一つの実施態様において、PEG鎖の分子量は、10,000超から40,000ダルトン以下である。
【0152】
10,000ダルトンを超える分子量を有するPEG鎖に共有結合するように修飾されたグルカゴンペプチドを、インスリンと一緒に投与して、糖尿病患者においてインスリン作用を緩衝すること及び安定した血中グルコースレベルの維持を助けることができる。本開示の修飾グルカゴンペプチドを単一組成物でインスリンと同時投与することもできるし、別々の液剤として同時に投与するか、あるいは、インスリンと修飾グルカゴンペプチドを互いに異なる時間で投与することもできる。一つの実施態様において、インスリンを含む組成物及び修飾グルカゴンペプチドを含む組成物を、互いに12時間以内に投与する。修飾グルカゴンペプチドと投与されたインスリンの正確な比率は、部分的には患者のグルカゴンレベルを決定することによって決まり、慣用的な実験により決定することができる。
【0153】
一つの実施態様によると、インスリンと、配列番号13のペプチドを含むペグ化グルカゴンアンタゴニスト/GLP−1アゴニストとを含む組成物が提供され、ここで配列番号13の16位のアミノ酸残基は、約10,000〜約40,000ダルトンの範囲から選択される分子量を有するポリエチレングリコール鎖に共有結合している。別の実施態様において、インスリンと、配列番号14のペプチドを含むペグ化グルカゴンアンタゴニスト/GLP−1アゴニスト又はペプチドとを含む組成物が提供され、ここで配列番号14の19位のアミノ酸残基は、約10,000〜約40,000ダルトンの範囲から選択される分子量を有するポリエチレングリコール鎖に共有結合している。一つ実施態様において、ペグ化グルカゴンアンタゴニスト/GLP−1アゴニストは、配列番号12のペプチドを含み、ここで配列番号12の16及び19位のアミノ酸残基は、ポリエチレングリコール鎖に共有結合しており、2つのポリエチレングリコール鎖の合計分子量は、約10,000〜約40,000ダルトンの範囲から選択される。別の実施態様において、ペグ化ルカゴンアンタゴニスト/GLP−1アゴニストは、配列番号13又は配列番号14のペプチドを含み、ここで共有結合しているPEG鎖は、少なくとも約10,000ダルトンの分子量を有し、一つの実施態様において、PEGの分子量は、約20,000〜約40,000ダルトンの範囲から選択される。
【0154】
一つの実施態様によると、本明細書に開示されているグルカゴンアンタゴニスト/GLP−1アゴニストは、腸管の一過性麻痺の誘導に使用される。この方法は、放射線学の目的に有用であり、ペグ化されたグルカゴンアンタゴニスト/GLP−1アゴニスト、C末端延長を含むグルカゴンアンタゴニスト/GLP−1アゴニスト、又はそのようなグルカゴンアンタゴニスト/GLP−1アゴニストの二量体を含む医薬組成物の有効量を投与する工程を含む。
【0155】
本開示は、本明細書に開示されているペプチド又は修飾グルカゴンアンタゴニスト/GLP−1アゴニストの多量体も包含する。2つ以上のグルカゴン類縁体を、標準的な結合剤及び当業者に既知の手順を使用して一緒に結合することができる。例えば、二量体は、2つのペプチド又は修飾グルカゴンアンタゴニスト/GLP−1アゴニスト、特にシステイン、リシン、オルチニン、ホモシステイン又はアセチルフェニルアラニン残基(例えば、配列番号13及び配列番号14)により(例えば、16又は19位で)置換されているグルカゴンアンタゴニスト/GLP−1アゴニストから、二官能チオール架橋剤及び二官能アミン架橋剤の使用を介して形成することができる。二量体は、ホモ二量体であってもよいし、ヘテロ二量体であってもよい。一つの実施態様において、二量体は、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号45、配列番号46、配列番号47及び配列番号48からなる群より独立して選択される2つのグルカゴンアンタゴニスト/GLP−1アゴニストにより形成され、ここで2つのペプチドは、それぞれのペプチドの11位、それぞれのペプチドの16位、若しくはそれぞれのペプチドの19位、又はこれらの任意の組み合わせに結合しているリンカーを介して、互いに結合している。一つの実施態様において、結合は、それぞれのグルカゴンアンタゴニスト/GLP−1アゴニストペプチドのCys16とCys16又はCys19とCys19又はCys16とCys19又はCys24とCys24又はCys35とCys35残基(配列番号45又は配列番号46における)の間のジスルフィド結合である。
【0156】
同様に、二量体は、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号45、配列番号46、配列番号47、配列番号48、及び配列番号51からなる群より独立して選択される、2つのグルカゴンアンタゴニスト/GLP−1アゴニストペプチドにより形成されることができ、ここで結合は、グルカゴンアンタゴニスト/GLP−1アゴニスト配列の11、16、19及び35位から独立して選択されるアミノ酸位置の間に形成される。一つの実施態様によると、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19からなる群より選択される2つのグルカゴンアンタゴニスト/GLP−1アゴニストを含む、グルカゴンアンタゴニスト/GLP−1アゴニスト二量体が提供され、ここで2つのアンタゴニストは、配列番号16、配列番号17、配列番号18又は配列番号19の16又は19位のアミノ酸を介してジスルフィド結合により互いに結合している。一つの実施態様において、二量体は、2つのグルカゴンアンタゴニスト/GLP−1アゴニストのホモ二量体を含む。別の実施態様において、二量体の第1及び第2グルカゴン類縁体は、配列番号5、配列番号6、配列番号7及び配列番号8からなる群より独立して選択される。
【0157】
本明細書に開示されているグルカゴン類縁体又はペプチドを、一つの実施態様に従って、キットの一部として提供することができる。一つの実施態様において、グルカゴンアゴニストを、それを必要とする患者に投与するキットが提供され、ここでキットは、下記からなる群より選択される修飾グルカゴンアンタゴニスト/GLP−1アゴニストを含む:
1)配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25及び配列番号51からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、グルカゴンアンタゴニスト/GLP−1アゴニスト;
2)本明細書に開示されているグルカゴンアンタゴニスト/GLP−1アゴニストの11、12、15、16、19又は24位(類縁体のアミノ酸配列による)にポリエチレン鎖が共有結合し、PEG鎖が約500〜約40,000ダルトンの分子量を有する、ペグ化グルカゴンアンタゴニスト/GLP−1アゴニスト;
3)本明細書に開示されているグルカゴンアンタゴニスト/GLP−1アゴニストの末端アミノ酸に配列番号21のペプチドが更に融合している、融合ペプチド;並びに
4)配列番号21(GPSSGAPPPS)又は配列番号51のアミノ酸配列がカルボキシ末端に更に結合しており、ポリエチレン鎖がグルカゴンアンタゴニスト/GLP−1アゴニストの11、12、15、16、19、24又は35位に共有結合し、更に、ポリエチレン鎖が約500〜約40,000ダルトンの分子量を有する、ペグ化グルカゴンアンタゴニスト/GLP−1アゴニスト。
【0158】
一つの実施態様において、グルカゴンアンタゴニスト/GLP−1アゴニスト又はペプチド組成物を患者に投与する装置を有するキットが提供される。キットは、多様な容器、例えばバイアル、チューブ、ボトルなどを更に含むことができる。好ましくは、キットは使用説明書も含む。一つの実施態様によると、キットの装置は、エアゾール・ディスペンサー装置であり、ここで組成物はエアゾール装置内に予め包装されている。別の実施態様において、キットは、シリンジ及び針を含み、一つの実施態様において、グルカゴンアンタゴニスト/GLP−1アゴニスト組成物は、シリンジの中に予め包装されている。
【0159】
以下が、本明細書に開示されているペプチド及びグルカゴンアンタゴニスト/GLP−1アゴニストに適用される。
【0160】
<アルファ−へリックス構造の安定化>
グルカゴンペプチドのC末端部分(野生型グルカゴン、配列番号1のアミノ酸番号付けによるアミノ酸12〜29の前後)のアルファ−へリックス構造の安定化は、例えば、共有若しくは非共有分子内架橋の形成により又はアルファ−へリックス安定化アミノ酸(例えば、α,α−二置換アミノ酸)での12〜29位(野生型グルカゴンのアミノ酸番号付けによる)前後のアミノ酸の置換及び/若しくは挿入により実施することができる。
【0161】
幾つかの実施態様において、分子内架橋が2つのアミノ酸側鎖同士の間に形成されて、グルカゴンペプチドのカルボキシ末端部分(例えば、野生型グルカゴンのアミノ酸番号付けによるアミノ酸12〜29)の三次元構造を安定化する。2つのアミノ酸側鎖は、水素結合、塩架橋の形成のようなイオン相互作用又は共有結合を介して互いに結合することができる。
【0162】
幾つかの実施態様において、分子内架橋は、3個のアミノ酸で離れている2個のアミノ酸、例えばiとi+4の位置のアミノ酸の間に形成され、ここでiは、野生型グルカゴンのアミノ酸番号付けによる12〜25の間(例えば、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24及び25)の任意の整数である。より詳細には、野生型グルカゴンのアミノ酸番号付けによるアミノ酸対12と16、16と20、20と24、又は24と28(i=12、16、20又は24であるアミノ酸対)の側鎖同士が、互いに結合し、それによりグルカゴンアルファ−へリックスを安定化する。代替的には、iは17であることができる。
【0163】
幾つかの特定の実施態様において、iとi+4位のアミノ酸が分子内架橋で結合している場合、リンカーの大きさは、約8原子又は約7〜9原子である。
【0164】
別の実施態様において、分子内架橋は、2個のアミノ酸で離れている2個のアミノ酸、例えばjとj+3の位置のアミノ酸の間に形成され、ここでjは、野生型グルカゴンのアミノ酸番号付けによる12〜26の間の任意の整数(例えば、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25及び26)である。幾つかの特定の実施態様において、jは17である。
【0165】
幾つかの特定の実施態様において、jとj+3位のアミノ酸が分子内架橋で結合している場合、リンカーの大きさは、約6原子又は約5〜7原子である。
【0166】
さらに別の実施態様において、分子内架橋は、6個のアミノ酸で離れている2個のアミノ酸、例えばkとk+7の位置のアミノ酸の間に形成され、ここでiは、野生型グルカゴンのアミノ酸番号付けによる12〜22の間の任意の整数(例えば、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21及び22)である。幾つかの特定の実施態様において、kは、12、13又は17である。例示的な実施態様において、kは17である。
【0167】
共有結合して6原子結合架橋を形成することができるアミノ酸対形成の例には、OrnとAsp、Gluと式I(式中、nは2である)のアミノ酸、及び、ホモグルタミン酸と式I(式中、nは1である)のアミノ酸、が挙げられ、ここで式Iは、下記の通りである:
【化8】
【0168】
共有結合して7原子結合架橋を形成することができるアミノ酸対形成の例には、Orn−Glu(ラクタム環)、Lys−Asp(ラクタム)、又は、ホモSer−ホモGlu(ラクトン)、が挙げられる。8原子リンカーを形成することができるアミノ酸対形成の例には、Lys−Glu(ラクタム)、ホモLys−Asp(ラクタム)、Orn−ホモGlu(ラクタム)、4−アミノPhe−Asp(ラクタム)、又はTyr−Asp(ラクトン)、が挙げられる。9原子リンカーを形成することができるアミノ酸対形成の例には、ホモLys−Glu(ラクタム)、Lys−ホモGlu(ラクタム)、4−アミノPhe−Glu(ラクタム)、又はTyr−Glu(ラクトン)、が挙げられる。これらのアミノ酸の側鎖のいずれも、アルファ−へリックスの三次元構造が妨げられない限り、別の化学基でさらに置換することができる。当業者であれば、同様の大きさ及び所望の効果の構造の安定化を作り出すと考えられる、代替的な対形成、又は化学的に修飾された誘導体を含む代替的なアミノ酸類縁体を着想することができる。例えば、ホモシステイン−ホモシステインジスルフィド架橋は、長さが6個の原子であり、更に修飾して所望の効果をもたらすことができる。共有結合がなくても、上記に記載されたアミノ酸対形成又は当業者が着想できる同様の対形成も、非共有結合を介して、例えば塩架橋又は水素結合相互作用の形成を介して、アルファ−へリックスに追加的な安定性をもたらすことができる。
【0169】
ラクタム環の大きさは、アミノ酸の側鎖の長さに応じて変わることができ、一つの実施態様において、ラクタムは、リシンアミノ酸の側鎖とグルタミン酸の側鎖に結合することによって形成される。更なる例示的な実施態様(野生型グルカゴンのアミノ酸番号付けによる)は以下の対形成を含み、更に、ラクタム架橋を伴ってもよい:12位のGluと16位のLys;12位の天然Lysと16位のGlu;16位のGluと20位のLys;16位のLysと20位のGlu;20位のGluと24位のLys;20位のLysと24位のGlu;24位のGluと28位のLys;24位のLysと28位のGlu。あるいは、ラクタム環におけるアミド結合の順番を逆転することができる(例えば、ラクタム環を、Lys12とGlu16の側鎖、あるいはGlu12とLys16の側鎖同士の間に形成することができる)。
【0170】
ラクタム架橋以外の分子内架橋を使用して、グルカゴン類縁体ペプチドのアルファ−へリックスを安定化することができる。一つの実施態様において、分子内架橋は疎水性架橋である。この場合、分子内架橋は、更に、グルカゴン類縁体ペプチドのアルファ−へリックスの疎水性面の一部分である2個のアミノ酸の側鎖同士の間にあってもよい。例えば、疎水性架橋により結合しているアミノ酸のうちの1個は、10、14及び18位(野生型グルカゴンのアミノ酸番号付けによる)のアミノ酸であることができる。
【0171】
一つの特定に態様において、オレフィンメタセシスを、全炭化水素架橋系を使用してグルカゴンペプチドのアルファ−へリックスの1又は2ターンを架橋するために使用する。この場合、グルカゴンペプチドは、多様な長さのオレフィン性側鎖を有し、R又はS立体化学のいずれかに配置されている、i位と、i+4位又はi+7位の2カ所のα−メチル化アミノ酸を含むことができる。例えば、オレフィン性側鎖は(CH
2)nを含むことができ、ここでnは、1〜6の任意の整数である。一つの実施態様において、架橋長さが8原子では、nは3である。そのような分子内架橋を形成する適切な方法は、当該技術分野において記載されている。例えば、Schafmeister et al., J. Am. Chem. Soc. 122: 5891-5892 (2000) and Walensky et al., Science 305: 1466-1470 (2004)を参照すること。あるいは、グルカゴンペプチドは、ヘリックスの隣接するターンに配置されている2つのO−アリルSer残基を含むことができ、これらはルテニウム触媒閉環メタセシスを介して一緒に架橋されている。そのような架橋の手順は、例えばBlackwell et al., Angew, Chem., Int. Ed. 37: 3281- 3284 (1998)に記載されている。
【0172】
別の特定の態様において、システインのペプチド模倣体として広く採用されている、非天然チオジアラニンアミノ酸であるランチオニンを、アルファ−へリックスの1ターンを架橋するために使用する。ランチオニンに基づく環化の適切な方法は、当該技術分野において知られている。例えば、Matteucci et al., Tetrahedron Letters 45: 1399-1401 (2004); Mayer et al., J. Peptide Res. 51: 432-436 (1998); Polinsky et al., J. Med. Chem. 35: 4185-4194 (1992); Osapay et al., J. Med. Chem. 40: 2241-2251 (1997); Fukase et al., Bull. Chem. Soc. Jpn. 65: 2227-2240 (1992); Harpp et al., J. Org. Chem. 36: 73-80 (1971); Goodman and Shao, Pure Appl. Chem. 68: 1303-1308 (1996);及びOsapay and Goodman, J. Chem. Soc. Chem. Commun. 1599-1600 (1993)を参照すること。
【0173】
幾つかの実施態様において、i位とi+7位の2つのGlu残基の間のα,ω−ジアミノアルカン鎖、例えば1,4−ジアミノプロパンと1,5−ジアミノペンタンを使用して、グルカゴンペプチドのアルファ−へリックスを安定化する。そのような鎖は、ジアミノアルカン鎖の長さに応じて、9原子又はそれ以上の長さの架橋の形成をもたらす。そのような鎖で架橋されたペプチドを産生する適切な方法は、当該技術分野において記載されている。例えば、Phelan et al., J. Am. Chem. Soc. 119: 455-460 (1997)を参照すること。
【0174】
本発明のさらに別の実施態様において、ジスルフィド架橋を使用して、グルカゴンペプチドのアルファ−へリックスの1又は2ターンを架橋する。あるいは、1個又は両方の硫黄原子がメチレン基で置換されて等配電子マクロ環化をもたらす、修飾ジスルフィド結合を使用して、グルカゴンペプチドのアルファ−へリックスを安定化する。ジスルフィド架橋又は硫黄に基づく環化により修飾する適切な方法は、例えば、Jackson et al., J. Am. Chem. Soc. 113: 9391-9392 (1991)及びRudinger and Jost, Experientia 20: 570-571 (1964)に記載されている。
【0175】
さらに別の実施態様において、グルカゴンペプチドのアルファ−へリックスは、i位とi+4位の2つのHis残基又はHisとCysの対による金属原子の結合を介して安定化される。金属原子は、例えば、Ru(III)、Cu(II)、Zn(II)又はCd(II)であることができる。そのような金属結合に基づいたアルファ−へリックス安定化の方法は、当該技術分野において知られている。例えば、Andrews and Tabor, Tetrahedron 55: 11711-11743 (1999); Ghadiri et al., 7. Am. Chem. Soc. 112: 1630-1632 (1990); and Ghadiri et al., J. Am. Chem. Soc. 119: 9063- 9064 (1997)を参照すること。
【0176】
グルカゴンペプチドのアルファ−へリックスは、代替的には他のペプチド環化の方法により安定化することができ、その方法は、Davies, J. Peptide. ScL 9: 471-501 (2003)により検討されている。アルファ−へリックスは、アミド化架橋、チオエーテル架橋、チオエステル架橋、尿素架橋、カルバメート架橋、スルホンアミド架橋などの形成を介して安定化することができる。例えば、チオエステル架橋を、C末端とCys残基の側鎖との間に形成することができる。あるいは、チオエステルを、チオール(Cys)及びカルボン酸(例えば、Asp、Glu)を有するアミノ酸の側鎖同士を介して形成することができる。別の方法において、ジカルボン酸、例えばスベリン酸(オクタン二酸)などのような架橋剤は、遊離アミン、ヒドロキシル、チオール基及びこれらの組み合わせのような、アミノ酸側鎖の2つの官能基の間に結合を導入することができる。
【0177】
一つの実施態様によると、グルカゴンペプチドのアルファ−へリックスは、i位とi+4位への疎水性アミノ酸の組み込みを介して安定化される。例えば、iはTyrであることができ、そしてi+4はVal又はLeuであることができる;iはPheであることができ、そしてi+4はCys又はMetであることができる;iはCysであることができ、そしてi+4はMetであることができる;或いはiはPheであることができ、そしてi+4はIleであることができる。本明細書の目的のために、上記のアミノ酸対形成を逆転することができるので、これによりi位の示されたアミノ酸を代替的にi+4位に配置することができ、一方、i+4位のアミノ酸をi位に配置することができることが理解されるべきである。
【0178】
本発明の他の実施態様によると、グルカゴンペプチドのC末端部分(野生型グルカゴンのアミノ酸番号付けによるアミノ酸12〜29の前後)に1個以上のアルファ−へリックス安定化アミノ酸を(アミノ酸置換又は挿入のいずれかにより)組み込むことを介して、アルファ−へリックスが安定化される。特定の実施態様において、アルファ−へリックス安定化アミノ酸は、α,α−二置換アミノ酸であり、例えば、メチル、エチル、プロピル及びn−ブチルから選択される同一若しくは異なる基により二置換されているアミノ酸、又はシクロオクタン若しくはシクロヘプタン(例えば、1−アミノシクロオクタン−1−カルボン酸)により二置換されているアミノ酸である、任意のアミノイソ酪酸(AIB)が含まれるが、これに限定されない。幾つかの実施態様において、16、17、18、19、20、21、24又は29位(野生型グルカゴンのアミノ酸番号付けによる)のうちの1、2、3、4つ又はそれ以上の位置は、α,α−二置換アミノ酸で置換されている。特定の実施態様において、16、20、21又は24位(野生型グルカゴンのアミノ酸番号付けによる)のうちの1、2、3つ又は全ての位置は、AIBで置換されている。
【0179】
<親水性部分の結合>
別の実施態様において、本明細書に開示されているグルカゴンペプチドの可溶性は、ペプチドへの親水性部分の共有結合により増強される。親水性部分を、タンパク質と活性化ポリマー分子との反応に使用される任意の適切な条件下でグルカゴンペプチドに結合することができる。アシル化、還元的アルキル化、マイケル付加、チオールアルキル化又はPEG部分に対する反応基(例えば、アルデヒド、アミノ、エステル、チオール、α−ハロアセチル、マレイミド又はヒドラジノ基)と標的化合物に対する反応基(例えば、アルデヒド、アミノ、エステル、チオール、α−ハロアセチル、マレイミド又はヒドラジノ基)との他の化学選択的結合/連結方法を含む、当該技術分野において既知のあらゆる方法を使用することができる。水溶性ポリマーを1つ以上のタンパク質に結合するのに使用できる活性化基には、スルホン、マレイミド、スルフヒドリル、チオール、トリフレート、トレシレート、アジリジン、オキシラン、及び5−ピリジルが含まれるが、これらに限定されない。還元的アルキル化によりペプチドに結合する場合、選択されるポリマーは、重合の程度が制御されるように単一の反応性アルデヒドを有するべきである。例えば、Kinstler et al., Adv. Drug. Delivery Rev. 54: 477-485 (2002); Roberts et al., Adv. Drug Delivery Rev. 54: 459-476 (2002)及びZalipsky et al., Adv. Drug Delivery Rev. 16: 157-182 (1995)を参照すること。
【0180】
適切な親水性部分には、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール、ポリオキシエチレン化ポリオール(例えば、POG)、ポリオキシエチレン化ソルビトール、ポリオキシエチレン化グルコース、ポリオキシエチレン化グリセロール(POG)、ポリオキシアルキレン、ポリエチレングルコールプロピオンアルデヒド、エチレングルコール/プロピレングリコールのコポリマー、モノメトキシ−ポリエチレングリコール、モノ−(C1−C10)アルコキシ−又はアリールオキシ−ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロース、ポリアセタール、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン、ポリ−1,3−ジオキソラン、ポリ−1,3,6−トリオキサン、エチレン/無水マレイン酸コポリマー、ポリ(ベータ−アミノ酸)(ホモポリマー又はランダムコポリマーのいずれか)、ポリ(n−ビニルピロリドン)ポリエチレングリコール、プロプロピレングリコールホモポリマー(PPG)及び他のポリアルキレンオキシド、ポリプロピレンオキシド/エチレンオキシドコポリマー、コロン酸又は他の多糖ポリマー、フィコール又はデキストラン、並びにこれらの混合物が含まれる。
【0181】
親水性部分、例えばポリエチレングリコール鎖は、幾つかの実施態様によると、約500〜約4,0000ダルトンの範囲から選択される分子量を有する。一つの実施態様において、親水性部分、例えばPEGは、約500〜約5,000ダルトン又は約1,000〜約5,000ダルトンの範囲から選択される分子量を有する。別の実施態様において、親水性部分、例えばPEGは、約10,000〜約20,000ダルトンの分子量を有する。さらに別の例示的な実施態様において、親水性部分、例えばPEGは、約20,000〜約40,000ダルトンの分子量を有する。
【0182】
一つの実施態様において、デキストランが親水性部分として使用される。デキストランは、主にα1−6結合により結合しているグルコースサブユニットの多糖ポリマーである。デキストランは、多くの分子量範囲、例えば約1kDから約100kDまでの範囲、又は、約5、10、15若しくは20kDから約20、40、50、60、70、80若しくは90kDまでの範囲で入手することができる。
【0183】
直鎖又は分岐鎖ポリマーが考慮される。得られる結合体の調製物は、実質的に単分散又は多分散であることができ、ペプチド1つあたり約0.5、0.7、1、1.2、1.5又は2つのポリマー部分を有することができる。
【0184】
一つの実施態様において、親水性部分は、、ポリエチレングリコール(PEG)鎖であり、更に、1、16、17、20、21、24、29位(野生型グルカゴンのアミノ酸番号付けによる)の1つ以上、C末端延長内の位置、例えば30位、又はN若しくはC末端のアミノ酸において、ペプチドに結合していてもよい。幾つかの実施態様において、その位置の天然アミノ酸は、ペプチドへの親水性部分の結合を促進するために、親水性部分との架橋に適した側鎖を有するアミノ酸で置換されている。例示的な実施態様において、その位置の天然アミノ酸は、Lys、Cys、Orn、ホモシステイン又はアセチル−フェニルアラニン残基で置換されている。他の実施態様において、親水性基を含むように修飾されているアミノ酸が、ペプチドのN又はC末端に付加される。
【0185】
<結合体及び融合>
本開示は、本発明のグルカゴンペプチドが結合体部分に結合している、他の結合体も包含し、結合は共有結合を介してでもリンカーを介してでもよい。結合は、共有化学結合、静電気、水素、イオン、ファンデルワールスのような物理力、又は、疎水性若しくは親水性相互作用により達成することができる。ビオチン−アビジン、リガンド/受容体、酵素/基質、核酸/核酸結合タンパク質、脂質/脂質結合タンパク質、細胞付着分子パートナー又は互いに親和性を有する任意の結合パートナー若しくはそのフラグメントを含む、多様な非共有結合系を使用することもできる。
【0186】
ペプチドを、ペプチドの標的アミノ酸残基と、これらの標的アミノ酸の選択された側鎖又はN若しくはC末端残基と反応することができる有機誘導体化剤との反応により、直接共有結合を介して結合体部分に結合することができる。ペプチド又はその結合体の反応基には、例えば、アルデヒド、アミノ、エステル、チオール、α−ハロアセチル、マレイミド又はヒドラジノ基が含まれる。誘導体化剤には、例えば、マレイミドベンゾイルスルホスクシンイミドエステル(システイン残基を介して結合)、N−ヒドロキシスクシンイミド(リシン残基を介して結合)、グルタルアルデヒド、無水コハク酸又は当該技術に既知の他の作用物質が含まれる。あるいは、結合体部分を、多糖又はポリペプチド担体のような中間体担体を介してペプチドに間接的に結合することができる。多糖担体の例にはアミノデキストランが挙げられる。適切なポリペプチド担体の例には、ポリリシン、ポリグルタミン酸、ポリアスパラギン酸、それらのコポリマー及びこれらのアミノ酸の混合ポリマー、並びに得られる装填担体に望ましい可溶性の特性を付与する他のもの、例えばセリンが挙げられる。
【0187】
システイニル残基は、最も一般的には、クロロ酢酸又はクロロアセトアミドのようなα−ハロアセテート(及び対応するアミン)と反応して、カルボキシメチル又はカルボキシアミドメチル誘導体を与える。システイニルン残基は、ブロモトリフルオロアセトン、アルファ−ブロモ−β−(5−イミドゾイル)プロピオン酸、クロロアセチルホスフェート、N−アルキルマレイミド、3−ニトロ−2−ピリジルジスルフィド、メチル2−ピリジルジスルフィド、p−クロロ水銀ベンゾエート、2−クロロ水銀−4−ニトロフェノール又はクロロ−7−ニトロベンゾ−2−オキサ−1,3−ジアゾールと反応させることによっても誘導体化される。
【0188】
ヒスチジル残基は、ジエチルピロカーボネートとpH5.5〜7.0で反応させることによって誘導体化されるが、それはこの作用物質がヒスチジル側鎖に比較的特異性があるからである。パラ−ブロモフェナシルブロミドも有用であり、反応は、好ましくは0.1Mカコジル酸ナトリウムによりpH6.0で実施される。
【0189】
リシニル及びアミノ末端残基は、無水コハク酸又は他のカルボン酸無水物と反応する。これらの作用物質による誘導体化は、リシニル残基の電荷を逆転する効果を有する。アルファ−アミノ含有残基を誘導体化するのに適した他の試薬には、メチルピコリンイミデート、ピリドキサールホスフェート、ピリドキサール、クロロボロヒドリド、トリニトロベンゼンスルホン酸、O−メチルイソ尿素、2,4−ペンタンジオンのようなイミドエステル及びグリオキシレートとのトランスアミダーゼ触媒反応が含まれる。
【0190】
アルギニル残基は、1つ又は幾つかの従来の試薬、中でもフェニルグリオキサール、2,3−ブタンジオン、1,2−シクロヘキサンジオン及びニンヒドリンによる反応で修飾される。アルギニン残基の誘導体化のためには、グアニジン官能基のpK
aが高いので、反応をアルカリ条件下で実施する必要がある。更に、これらの試薬は、リシンの基、またアルギニン−イプシロン−アミノ基と反応することができる。
【0191】
チロシル残基の特定の修飾は、スペクトル標識をチロシル残基に導入するのに特に興味深く、芳香族ジアゾニウム化合物又はテトラニトロメタンによる反応によって行うことができる。最も一般的には、N−アセチルイミダゾール及びテトラニトロメタンを使用して、O−アセチルチロシル種及び3−ニトロ誘導体がそれぞれ形成される。
【0192】
カルボニル側基(アスパルチル又はグルタミル)は、R及びR′が異なるアルキル基であるカルボジイミド(R−N=C=N−R′)、例えば1−シクロヘキシル−3−(2−モルホリニル−4−エチル)カルボジイミド又は1−エチル−3−(4−アゾニア−4,4−ジメチルペンチル)カルボジイミドとの反応により選択的に修飾される。更に、アスパルチル残基及びグルタミル残基は、アンモニウムイオンとの反応によってアスパラギニル残基及びグルタミニル残基に変換される。
【0193】
他の修飾として、プロリン及びリシンのヒドロキシル化、セリル又はトレオニル残基のヒドロキシル基のリン酸化、リシン、アルギニン及びヒスチジン側鎖のアルファ−アミノ基のメチル化(T. E. Creighton, Proteins: Structure and Molecular Properties, W.H. Freeman & Co., San Francisco, pp. 79-86 (1983))、アスパラギン又はグルタミンの脱アミド化、N末端アミンのアセチル化、及び/又はC末端カルボン酸基のアミド化若しくはエステル化が挙げられる。
【0194】
別の種類の共有的修飾としては、ペプチドへのグリコシドの化学的又は酵素的結合が挙げられる。糖を、(a)アルギニン及びヒスチジン、(b)遊離カルボキシル基、(c)システインのような遊離スルフヒドリル基、(d)セリン、トレオニン若しくはヒドロキシプロリンのような遊離ヒドロキシル基、(e)チロシン若しくはトリプトファンのような芳香族残基、又は(f)グルタミンのアミド基、に結合することができる。これらの方法は、1987年9月11日に公開されたWO87/05330及びAplin and Wriston, CRC Crit. Rev. Biochem., pp. 259-306 (1981)に記載されている。
【0195】
本明細書に記載されているグルカゴンペプチドのいずれかに結合することができる例示的な結合体部分には、異種ペプチド又はポリペプチド(例えば、血漿タンパク質を含む)、標的作用物質、免疫グロブリン若しくはその一部(例えば、可変部領域、CDR若しくはFc領域)、放射性同位体、蛍光体若しくは酵素標識のような診断用標識、水溶性ポリマーを含むポリマー、又は他の治療若しくは診断剤が含まれるが、これらに限定されない。一つの実施態様において、本明細書に開示されるグルカゴンペプチド及び血漿タンパク質を含む結合体が提供され、ここで血漿タンパク質は、アルブミン、トランスフェリン、フィブリノゲン及びグロブリンからなる群より選択される。
【0196】
幾つかの実施態様において、リンカーは、1〜約60個、又は1〜30個以上の原子長さ、2〜5個の原子、2〜10個の原子、5〜10個の原子又は10〜20個の原子長さの原子鎖を含む。幾つかの実施態様において、原子鎖は全て炭素原子である。幾つかの実施態様において、リンカーの主鎖の原子鎖は、C、O、N及びSからなる群より選択される。原子鎖及びリンカーは、より可溶性のある結合体をもたらすと予想される可溶性(親水性)に従って選択することができる。幾つかの実施態様において、リンカーは、酵素や他の触媒による分解、又は標的組織若しくは臓器若しくは細胞において見出される加水分解的条件による切断の対象となる官能基を提供する。幾つかの実施態様において、リンカーの長さは、立体障害の潜在性を低減するのに十分な長さである。リンカーが共有結合又はペプチジル結合であり、結合体がポリペプチドである場合、結合体はその全体が融合タンパク質であることができる。そのようなペプチジルリンカーは任意の長さであることができる。例示的なリンカーは、約1〜50個のアミノ酸長さ、5〜50個、3〜5個、5〜10個、5〜15個又は10〜30個のアミノ酸長さである。そのような融合タンパク質は、代替的には当業者に既知の組み換え遺伝子操作法により産生することもできる。
【0197】
上記に記述したように、幾つかの実施態様において、グルカゴンペプチドは、免疫グロブリン又はその一部分(例えば、可変部領域、CDR又はFc領域)に結合、例えば融合している。既知の種類の免疫グロブリン(Ig)には、IgG、IgA、IgE、IgD又はIgMが含まれる。Fc領域はIg重鎖のC末端領域であり、これは、再循環(延長された半減期をもたらす)、抗体依存性細胞仲介細胞障害性(ADCC)及び補体依存性細胞障害性(CDC)のような活性を実施するFc受容体への結合に関与している。
【0198】
例えば、幾つかの定義によると、ヒトIgG重鎖Fc領域は、重鎖のCys226からC末端まで伸びている。「ヒンジ領域」は、一般に、ヒトIgG1のGlu216からPro230まで伸びている(他のIgGアイソタイプのヒンジ領域は、システイン結合に関わるシステインを整列することによりIgG1配列と整列させることができる)。IgGのFc領域には2つの定常部ドメイン、CH2及びCH3が含まれる。ヒトIgGのFc領域のCH2ドメインは、通常、アミノ酸231からアミノ酸341まで伸びている。ヒトIgGのFc領域のCH3ドメインは、通常、アミノ酸342から酸447まで伸びている。免疫グロブリン又は免疫グロブリンのフラグメント若しくは領域のアミノ酸番号付けに関する参照は、全て、Kabat et al. 1991, Sequences of Proteins of Immunological Interest, U.S. Department of Public Health, Bethesda, Md.に基づいている。関連する実施態様において、Fc領域は、1つ以上の、CH1以外の免疫グロブリン重鎖の、天然の又は修飾された定常部領域、例えばIgG及びIgAのCH2及びCH3領域、又はIgEのCH3及びCH4領域を含むことができる。
【0199】
適切な結合体部分は、FcRn結合部位を含む免疫グロブリン配列の一部を含む。サルベージ受容体であるFcRnは、免疫グロブリンを再循環して、血液循環に戻すことに関与する。FcRn受容体に結合するIgGのFc部分の領域は、X線結晶構造解析に基づいて記載されている(Burmeister et al. 1994, Nature 372:379)。FcRnへのFcの主な接触領域は、CH2及びCH3ドメインの接合部に近接している。Fc−FcRn接触点は、全て単一Ig重鎖の範囲内である。主な接触部位には、CH2ドメインのアミノ酸残基248、250〜257、272、285、288、290〜291、308〜311及び314、並びにCH3ドメインのアミノ酸残基385〜387、428及び433〜436が含まれる。
【0200】
幾つかの結合体部分は、FcγR結合部位(1つ又は複数の)を含んでもよいし含まなくてもよい。FcγRは、ADCC及びCDCに関与する。FcγRと直接接触するFc領域内の位置の例は、アミノ酸234〜239(低ヒンジ領域)、アミノ酸265〜269(B/Cループ)、アミノ酸297〜299(C′/Eループ)及びアミノ酸327〜332(F/G)ループである(Sondermann et al., Nature 406: 267-273, 2000)。IgEの低ヒンジ領域は、FcRI結合にも関わっている(Henry, et al., Biochemistry 36, 15568-15578, 1997)。IgA受容体結合に関わる残基は、Lewisらにより記載されている(J Immunol. 175:6694-701, 2005)。IgE受容体結合に関わるアミノ酸残基は、Sayers らにより記載されている(J Biol Chem. 279(34):35320-5, 2004)。
【0201】
アミノ酸修飾を免疫グロブリンのFc領域に行うことができる。そのようなFc領域変異体は、Fc領域のCH3ドメイン(残基342〜447)に少なくとも1つのアミノ酸修飾、及び/又はFc領域のCH2ドメイン(残基231〜341)に少なくとも1つのアミノ酸修飾を含む。FcRnに親和性の増加を付与すると考えられる突然変異には、T256A、T307A、E380A及びN434Aが含まれる(Shields et al. 2001, J. Biol. Chem. 276:6591)。他の突然変異は、FcRnの親和性を有意に低減することなく、FcγRI、FcγRIIA、FcγRIIB及び/又はFcγRIIIAへのFc領域の結合を低減することができる。例えば、Ala又は他のアミノ酸によるFc領域の297位のAsnの置換は、高度に保存されたN−グリコシル化部位を除去し、Fc領域の延長された半減期を伴って免疫原性の低減、また、FcγRへの結合の低減をもたらすことができる(Routledge et al. 1995, Transplantation 60:847; Friend et al. 1999, Transplantation 68:1632; Shields et al. 1995, J. Biol. Chem. 276:6591)。FcγRへの結合を低減する、IgG1の233〜236位でのアミノ酸の修飾が行われた(Ward and Ghetie 1995, Therapeutic Immunology 2:77 and Armour et al. 1999, Eur. J. Immunol. 29:2613)。幾つかの例示的なアミノ酸置換は、米国特許第7,355,008号及び同第7,381,408号に記載されており、それぞれその全体が参照として本明細書に組み込まれる。
【0202】
本開示は、第2のペプチド又はポリペプチドがグルカゴンペプチドの末端、例えばカルボキシ末端に融合している、グルカゴン融合ペプチド又はタンパク質も包含する。幾つかの実施態様において、グルカゴンアペプチドのカルボキシ末端に付加される第2ペプチドは、グルカゴンペプチドのアミノ酸29(野生型グルカゴンのアミノ酸番号付けによる)に結合しているGPSSGAPPPS、KRNRNNIA、又はKRNRである。他の実施態様において、第2ペプチドはXGPSSGAPPPSであり、ここでXは、20個の通常のアミノ酸、例えばグルタミン酸、アスパラギン酸又はグリシンのうちの1つから選択される。一つの実施態様において、Xは、アミノ酸の側鎖に共有結合している親水性部分を更に含むアミノ酸、例えばCysを表す。そのようなC末端延長は、可溶性を改善し、グルカゴン又はGLP−1活性も改善することができる。グルカゴンペプチドがカルボキシ末端延長を更に含む幾つかの実施態様において、延長のカルボキシ末端アミノ酸は、カルボン酸ではなくアミド基又はエステル基で終わる。
【0203】
幾つかの実施態様において、例えばC末端延長を含むグルカゴンペプチドにおいて、29位(野生型グルカゴンのアミノ酸番号付けによる)のトレオニンはグリシンで置換されている。例えば、29位のトレオニンにグリシン置換を有し、GPSSGAPPPSのC末端延長を含むグルカゴンペプチドは、同じC末端延長を含むように修飾された天然グルカゴンよりも、GLP−1受容体に対して、4倍も効力がある。このT29G置換を、本明細書に開示されている他の修飾と一緒に使用して、GLP−1受容体に対するグルカゴンペプチドの親和性を増強することができる。例えば、T29G置換を、S16E及びN20Kアミノ酸置換(野生型グルカゴンのアミノ酸番号付けによる)と組み合わせることができ、更にアミノ酸16と20の間にラクタム架橋を伴ってもよいし、更に本明細書に記載されているPEG鎖を付加してもよい。
【0204】
幾つかの実施態様において、アミノ酸がC末端に付加されており、付加されるアミノ酸は、グルタミン酸、アスパラギン酸及びグリシンからなる群より選択される。
【0205】
本開示は、本明細書に開示されている修飾グルカゴンペプチドの多量体も包含する。2つ以上の修飾グルカゴンペプチドを、標準的な結合剤及び当業者に既知の手順を使用して一緒に結合することができる。例えば、二量体は、2つの修飾グルカゴンペプチド、特にシステイン、リシン、オルチニン、ホモシステイン又はアセチルフェニルアラニン残基により置換されているグルカゴンペプチドから、二官能チオール架橋剤及び二官能アミン架橋剤の使用を介して形成することができる。
【0206】
<アシル化及びアルキル化>
幾つかの実施態様によると、本明細書に開示されているグルカゴンペプチドは修飾されて、アシル基又はアルキル基を含む。アシル化又はアルキル化は、循環しているグルカゴンペプチドの半減期を増加させることができる。アシル化又はアルキル化は、有利には、グルカゴン及び/若しくはGLP−1受容体に対して作用の開始を遅延する及び/若しくは作用の持続時間を延長する、並びに/又はDPP−IVのようなプロテアーゼに対する耐性を改善する、並びに/又は可溶性を改善することができる。幾つかの実施態様において、アシル化グルカゴンペプチドの効力は、非アシル化型のグルカゴンペプチドに匹敵する。グルカゴンペプチドを、親水性部分が結合している同じアミノ酸の位置又は異なるアミノ酸の位置でアシル化又はアルキル化することができる。
【0207】
幾つかの実施態様において、本発明は、グルカゴンペプチドの10位(野生型グルカゴンのアミノ酸番号付けによる)のアミノ酸に共有結合しているアシル基又はアルキル基を含むように修飾されているグルカゴンペプチドを提供する。グルカゴンペプチドは、グルカゴンペプチドの10位のアミノ酸とアシル基又はアルキル基との間にスペーサーを更に含むことができる。幾つかの実施態様において、アシル基は、脂肪酸若しくは胆汁酸、又はこれらの塩であり、例えばC40〜C30脂肪酸、C8〜C24脂肪酸、コール酸、C4〜C30アルキル、C8〜C24アルキル、又は胆汁酸のステロイド部分を含むアルキルである。スペーサーは、アシル又はアルキル基を結合するのに適した反応性基を有する任意の部分である。例示的な実施態様において、スペーサーは、アミノ酸、ジペプチド若しくはトリペプチド、又は親水性二官能スペーサーを含む。幾つかの実施態様において、スペーサーは、Trp、Glu、Asp、Cys及びNH
2(CH
2CH
2O)n(CH
2)mCOOHを含むスペーサーからなる群より選択され、ここでmは、1〜6の任意の整数であり、そしてnは、2〜12の任意の整数である。そのようなアシル化又はアルキル化グルカゴンペプチドは、親水性部分を更に含んでもよく、これはポリエチレングリコールであってもよい。前述のグルカゴンペプチドのいずれも、2つのアシル基若しくは2つのアルキル基又はそれらの組み合わせを含むことができる。
【0208】
アシル化は、グルカゴンアンタゴニスト活性(及び場合によりGLP−1活性も)が保持される限り、1〜29位のいずれかの位置、C末端延長内の位置、又はC末端のアミノ酸を含む、グルカゴンペプチド内の任意の位置で実施することができる。非限定例には、5、10、11、12、13、14、16、17、18、19、20、21、24、27、28又は29位(野生型グルカゴンのアミノ酸番号付けによる)が挙げられる。アシル基を、グルカゴンペプチドのアミノ基に直接的に又はグルカゴンペプチドのアミノ基にスペーサーを介して間接的に共有結合することができ、ここでスペーサーは、グルカゴンペプチドのアミノ基とアシル基との間に位置している。グルカゴンペプチドを、親水性部分が結合しているのと同じアミノ酸の位置又は異なるアミノ酸の位置でアシル化することができる。非限定例には、グルカゴンペプチドの10位(野生型グルカゴンのアミノ酸番号付けによる)でのアシル化、及びC末端部分における1つ以上の位置、例えば24、28若しくは29位(野生型グルカゴンのアミノ酸番号付けによる)C末端延長内、又はC末端(例えば、C末端Cysの付加を介する)でのペグ化が挙げられる。
【0209】
本発明の特定の態様において、グルカゴンペプチドは、グルカゴンペプチドのアミノ酸の側鎖のアミン、ヒドロキシル又はチオールの直接的なアシル化により修飾されて、アシル基を含む。幾つかの実施態様において、グルカゴンペプチドは、アミノ酸の側鎖アミン、ヒドロキシル又はチオールを介して直接アシル化される。幾つかの実施態様において、アシル化は、10、20、24又は29位(野生型グルカゴンのアミノ酸番号付けによる)においてである。この場合、アシル化グルカゴンペプチドは、配列番号2のアミノ酸配列、又は本明細書に記載されている1つ以上のアミノ酸修飾を含む配列番号2の修飾アミノ酸配列であって、10、20、24及び29位(野生型グルカゴンのアミノ酸番号付けによる)のアミノ酸の少なくとも1個が修飾されて、側鎖アミン、ヒドロキシル、又はチオールを含む任意のアミノ酸となっているアミノ酸配列を含むことができる。本発明の幾つかの特定の実施態様において、グルカゴンペプチドの直接アシル化は、10位(野生型グルカゴンのアミノ酸番号付けによる)のアミノ酸の側鎖アミン、ヒドロキシル、又はチオールを介して生じる。
【0210】
幾つかの実施態様において、側鎖アミンを含むアミノ酸は、式I:
【化9】
で示されるアミノ酸である。幾つかの例示的な実施態様において、式Iのアミノ酸は、nが4(Lys)であるか又はnが3(Orn)であるアミノ酸である。
【0211】
他の実施態様において、側鎖ヒドロキシルを含むアミノ酸は、式II:
【化10】
で示されるアミノ酸である。幾つかの例示的な実施態様において、式IIのアミノ酸は、nが1(Ser)であるアミノ酸である。
【0212】
さらに別の実施態様において、側鎖チオールを含むアミノ酸は、式III:
【化11】
で示されるアミノ酸である。幾つかの例示的な実施態様において、式IIのアミノ酸は、nが1(Cys)であるアミノ酸である。
【0213】
本発明の一つの実施態様において、アシル化グルカゴンペプチドは、ペプチドとアシル基との間にスペーサーを含む。幾つかの実施態様において、グルカゴンペプチドはスペーサーと共有結合し、スペーサーはアシル基と共有結合している。幾つかの例示的な実施態様において、グルカゴンペプチドは、スペーサーのアミン、ヒドロキシル又はチオールのアシル化により修飾されてアシル基を含み、ここでスペーサーは、グルカゴンペプチドの10、20、24若しくは29位(野生型グルカゴンのアミノ酸番号付けによる)のアミノ酸の側鎖又はC末端アミノ酸に結合している。スペーサーが結合しているアミノ酸は、スペーサーへの結合を可能にする部分を含む任意のアミノ酸であることができる。例えば、側鎖NH2、−OH又は−COOHを含むアミノ酸(例えば、Lys、Orn、Ser、Asp又はGlu)が適している。この場合、アシル化グルカゴンペプチドは、配列番号1のアミノ酸配列か、本明細書に記載されている1つ以上のアミノ酸修飾を含む配列番号1の修飾アミノ酸配列を含んでもよく、ここで、10、20、24及び29位(野生型グルカゴンのアミノ酸番号付けによる)のアミノ酸の少なくとも1個が修飾されて、側鎖アミン、ヒドロキシル又はカルボキシレートを含む任意のアミノ酸となっている。
【0214】
幾つかの実施態様において、スペーサーは、側鎖アミン、ヒドロキシル若しくはチオールを含むアミノ酸であるか又は側鎖アミン、ヒドロキシル若しくはチオールを含むアミノ酸を含むジペプチド若しくはトリペプチドである。
【0215】
アシル化がスペーサーのアミン基を介して生じる場合、アシル化は、アミノ酸のアルファアミン又は側鎖アミンを介して生じることができる。アルファアミンがアシル化される場合、スペーサーアミノ酸は、任意のアミノ酸であることができる。例えば、スペーサーアミノ酸は、疎水性アミノ酸、例えばGly、Ala、Val、Leu、Ile、Trp、Met、Phe、Tyrであることができる。あるいは、スペーサーアミノ酸は、酸性残基、例えばAsp及びGluであることができる。スペーサーアミノ酸の側鎖アミンがアシル化される場合、スペーサーアミノ酸は、側鎖アミンを含むアミノ酸、例えば式Iのアミノ酸(例えば、Lys又はOrn)である。この場合、スペーサーアミノ酸のアルファアミンと側鎖アミンの両方ともアシル化されることが可能であり、それによりグルカゴンペプチドがジアシル化される。本発明の実施態様はそのようなジアシル化分子を含む。
【0216】
アシル化がスペーサーのヒドロキシル基を介して生じる場合、アミノ酸又はジペプチド若しくはトリペプチドのアミノ酸のうちの1個は、式IIのアミノ酸であることができる。特定の例示的な実施態様において、アミノ酸はSerである。
【0217】
アシル化がスペーサーのチオール基を介して生じる場合、アミノ酸又はジペプチド若しくはトリペプチドのアミノ酸のうちの1個は、式IIIのアミノ酸であることができる。特定の例示的な実施態様において、アミノ酸はCysである。
【0218】
一つの実施態様において、スペーサーは、親水性二官能スペーサーを含む。特定の実施態様において、スペーサーは、アミノポリ(アルキルオキシ)カルボキシレートを含む。この場合、スペーサーは、例えばNH
2(CH
2CH
2O)
n(CH
2)
mCOOHを含むことができ(ここでmは、1〜6の任意の整数であり、そしてnは、2〜12の任意の整数である)、その例として、Peptides International, Inc. (Louisville, KY)により販売されている8−アミノ−3,6−ジオキサオクタン酸が挙げられる。
【0219】
アミン、ヒドロキシル及びチオールを介したペプチドアシル化に適した方法は、当該技術分野において知られている。例えば、実施例19(アミンを介したアシル化の方法)、Miller, Biochem Biophys Res Commun 218: 377-382 (1996); Shimohigashi and Stammer, lnt J Pept Protein Res 19: 54-62 (1982);及びPreviero et al., Biochim Biophys Acta 263: 7-13 (1972)(ヒドロキシルを介したアシル化の方法);並びにSan and Silvius, J Pept Res 66: 169-180 (2005)(チオールを介したアシル化の方法); Bioconjugate Chem. "Chemical Modifications of Proteins: History and Applications" pages 1, 2-12 (1990); Hashimoto et al., Pharmacuetical Res. "Synthesis of Palmitoyl Derivatives of Insulin and their Biological Activity" Vol. 6, No: 2 pp.171-176 (1989)を参照すること。
【0220】
アシル化グルカゴンペプチドのアシル基は、任意の大きさ、例えば任意の長さの炭素鎖であることができ、直鎖又は分岐鎖であることができる。本発明の幾つかの特定の実施態様において、アシル基は、C4〜C30脂肪酸である。例えば、アシル基は、C4脂肪酸、C6脂肪酸、C8脂肪酸、C10脂肪酸、C12脂肪酸、C14脂肪酸、C16脂肪酸、C18脂肪酸、C20脂肪酸、C22脂肪酸、C24脂肪酸、C26脂肪酸、C28脂肪酸又はC30脂肪酸のいずれかであることができる。幾つかの実施態様において、アシル基は、C8〜C20脂肪酸、例えばC14脂肪酸又はC16脂肪酸である。
【0221】
別の実施態様において、アシル基は胆汁酸である。胆汁酸は、コール酸、ケノデオキシコール酸、デオキシコール酸、リトコール酸、タウロコール酸、グリココール酸及びコレステロール酸が含まれるが、これらに限定されない任意の適切な胆汁酸であることができる。
【0222】
特定の実施態様において、グルカゴンアンタゴニスト/GLP−1アゴニストは、アルキル化デス−アミノCysスペーサー、すなわちアルキル化3−メルカプトプロピオン酸スペーサーを介してグルカゴンアンタゴニスト/GLP−1アゴニストのLys残基に結合しているコレステロール酸を含む。アルキル化デス−アミノCysスペーサーは、例えば、ドデカエチレングルコール部分を含むデス−アミノCysスペーサーであることができる。一つの実施態様において、グルカゴンアンタゴニスト/GLP−1アゴニストは、下記構造を含む:
【化12】
【0223】
本明細書に記載されているアシル化グルカゴンペプチドは、更に修飾されて、親水性部分を含むことができる。幾つかの特定の実施態様において、親水性部分は、ポリエチレングリコール(PEG)鎖を含むことができる。親水性部分の組み込みは、本明細書に記載されたいずれかの方法のような任意の適切な手段によって達成することができる。この場合、アシル化グルカゴンペプチドは、本明細書に記載されている修飾のいずれを含んでもよい配列番号2を含むことができ、ここで、(a)10、20、24及び29位(野生型グルカゴンのアミノ酸番号付けによる)の少なくとも1個のアミノ酸はアシル基を含み、(b)16、17、21、24若しくは29位(野生型グルカゴンのアミノ酸番号付けによる)、C末端延長内の位置、又はC末端のうちの少なくとも1つのアミノ酸は修飾されて、Cys、Lys、Orn、ホモ−Cys又はAc−Pheとなり、アミノ酸の側鎖は、親水性部分(例えば、PEG)に共有結合している。幾つかの実施態様において、アシル基は、10位(野生型グルカゴンのアミノ酸番号付けによる)に結合しており(結合はCys、Lys、Orn、ホモ−Cys又はAc−Pheを含むスペーサーを介してでもよい)、親水性部分は、24位(野生型グルカゴンのアミノ酸番号付けによる)のCys残基に組み込まれている。
【0224】
あるいは、アシル化グルカゴンペプチドは、スペーサーを含むことができ、ここでスペーサーは、アシル化も修飾もされて、親水性部分を含む。適切なスペーサーの非限定例には、Cys、Lys、Orn、ホモ−Cys及びAc−Pheからなる群より選択される1個以上のアミノ酸を含むスペーサーが挙げられる。
【0225】
一つの実施態様によると、グルカゴンペプチドは、循環の半減期を延長する、並びに/又は作用の開始を遅延する及び/若しくは持続時間を延長する、並びに/又はDPP−IVのようなプロテアーゼに対する耐性を改善する目的で、エステル、エーテル、チオエーテル、アミド又はアルキルアミン結合を介してグルカゴンペプチドに結合しているアルキル基を含むように修飾される。
【0226】
アルキル化は、グルカゴンアンタゴニスト活性(及び場合によりGLP−1活性も)が保持される限り、1〜29位のいずれかの位置、C末端延長内の位置、又はC末端のアミノ酸を含む、グルカゴンペプチド内の任意の位置で実施することができる。非限定例には、5、10、11、12、13、14、16、17、18、19、20、21、24、27、28又は29位(野生型グルカゴンのアミノ酸番号付けによる)が挙げられる。アルキル基を、グルカゴンペプチドのアミノ基に直接的に、又はグルカゴンペプチドのアミノ基にスペーサーを介して間接的に共有結合することができ、ここでスペーサーは、グルカゴンペプチドのアミノ基とアルキル基との間に位置している。グルカゴンペプチドを、親水性部分が結合している同じアミノ酸の位置又は異なるアミノ酸の位置でアルキル化することができる。非限定例には、10位(野生型グルカゴンのアミノ酸番号付けによる)でのアルキル化、及びグルカゴンペプチドのC末端部分における1つ以上の位置、例えば24、28若しくは29位(野生型グルカゴンのアミノ酸番号付けによる)、C末端延長内、又はC末端(例えば、C末端Cysの付加を介する)でのペグ化が挙げられる。
【0227】
本発明の特定の態様において、グルカゴンペプチドは、グルカゴンペプチドのアミノ酸の側鎖のアミン、ヒドロキシル又はチオールの直接的なアルキル化により修飾されて、アルキル基を含む。幾つかの実施態様において、グルカゴンペプチドは、アミノ酸の側鎖アミン、ヒドロキシル、又はチオールを介して直接的にアルキル化される。幾つかの実施態様において、アルキル化は、10、20、24又は29位(野生型グルカゴンのアミノ酸番号付けによる)においてである。この場合、アルキル化グルカゴンペプチドは、配列番号2のアミノ酸配列、又は本明細書に記載されている1つ以上のアミノ酸修飾を含む配列番号2の修飾アミノ酸配列を含むことができ、ここで、10、20、24及び29位(野生型グルカゴンのアミノ酸番号付けによる)のアミノ酸の少なくとも1個が修飾されて、側鎖アミン、ヒドロキシル、又はチオールを含む任意のアミノ酸となっている。本発明の幾つかの実施態様において、グルカゴンペプチドの直接アルキル化は、10位(野生型グルカゴンのアミノ酸番号付けによる)のアミノ酸の側鎖アミン、ヒドロキシル又はチオールを介して生じる。
【0228】
幾つかの実施態様において、側鎖アミンを含むアミノ酸は、式Iのアミノ酸である。幾つかの例示的な実施態様において、式Iのアミノ酸は、nが4(Lys)であるか又はnが3(Orn)であるアミノ酸である。
【0229】
他の実施態様において、側鎖ヒドロキシルを含むアミノ酸は、式IIのアミノ酸である。幾つかの例示的な実施態様において、式IIのアミノ酸は、nが1(Ser)であるアミノ酸である。
【0230】
さらに別の実施態様において、側鎖チオールを含むアミノ酸は、式IIIのアミノ酸である。幾つかの例示的な実施態様において、式IIのアミノ酸は、nが1(Cys)であるアミノ酸である。
【0231】
本発明の一つの実施態様において、アルキル化グルカゴンペプチドは、ペプチドとアルキル基との間にスペーサーを含む。幾つかの実施態様において、グルカゴンペプチドはスペーサーと共有結合し、スペーサーはアルキル基と共有結合している。幾つかの例示的な実施態様において、グルカゴンペプチドは、スペーサーのアミン、ヒドロキシル又はチオールのアルキル化により修飾されて、アルキル基を含み、ここでスペーサーは、グルカゴンペプチドの10、20、24又は29位(野生型グルカゴンのアミノ酸番号付けによる)のアミノ酸の側鎖に結合している。スペーサーが結合しているアミノ酸は、スペーサーへの結合を可能にする部分を含む任意のアミノ酸であることができる。例えば、側鎖NH2、−OH又は−COOHを含むアミノ酸(例えば、Lys、Orn、Ser、Asp又はGlu)が適している。この場合、アルキル化グルカゴンペプチドは、配列番号1のアミノ酸配列か、本明細書に記載されている1つ以上のアミノ酸修飾を含む配列番号1の修飾アミノ酸配列を含んでもよく、ここで、10、20、24及び29位(野生型グルカゴンのアミノ酸番号付けによる)のアミノ酸の少なくとも1個が修飾されて、側鎖アミン、ヒドロキシル、又はカルボキシレートを含む任意のアミノ酸となっている。
【0232】
幾つかの実施態様において、スペーサーは、側鎖アミン、ヒドロキシル若しくはチオールを含むアミノ酸であるか、又は側鎖アミン、ヒドロキシル若しくはチオールを含むアミノ酸を含むジペプチド若しくはトリペプチドである。
【0233】
アルキル化がスペーサーのアミン基を介して生じる場合、アルキル化は、アミノ酸のアルファアミン又は側鎖アミンを介して生じることができる。アルファアミンがアルキル化される場合、スペーサーアミノ酸は、任意のアミノ酸であることができる。例えば、スペーサーアミノ酸は、疎水性アミノ酸、例えばGly、Ala、Val、Leu、Ile、Trp、Met、Phe、Tyrであることができる。あるいは、スペーサーアミノ酸は、酸性残基、例えばAsp及びGluであることができる。スペーサーアミノ酸の側鎖アミンがアルキル化される場合、スペーサーアミノ酸は、側鎖アミンを含むアミノ酸、例えば式Iのアミノ酸(例えば、Lys又はOrn)である。この場合、スペーサーアミノ酸のアルファアミンと側鎖アミンの両方ともアルキル化されることが可能であり、それによりグルカゴンペプチドがジアルキル化される。本発明の実施態様はそのようなジアルキル化分子を含む。
【0234】
アルキル化がスペーサーのヒドロキシル基を介して生じる場合、アミノ酸又はジペプチド若しくはトリペプチドのアミノ酸のうちの1個は、式IIのアミノ酸であることができる。特定の例示的な実施態様において、アミノ酸はSerである。
【0235】
アルキル化がスペーサーのチオール基を介して生じる場合、アミノ酸又はジペプチド若しくはトリペプチドのアミノ酸のうちの1個は、式IIIのアミノ酸であることができる。特定の例示的な実施態様において、アミノ酸はCysである。
【0236】
一つの実施態様において、スペーサーは、親水性二官能スペーサーを含む。特定の実施態様において、スペーサーは、アミノポリ(アルキルオキシ)カルボキシレートを含む。この場合、スペーサーは、例えばNH
2(CH
2CH
2O)
n(CH
2)
mCOOHを含むことができ(ここでmは、1〜6の任意の整数であり、そしてnは、2〜12の任意の整数である)、その例として、Peptides International, Inc. (Louisville, KY)により販売されている8−アミノ−3,6−ジオキサオクタン酸が挙げられる。
【0237】
アミン、ヒドロキシル及びチオールを介したペプチドアルキル化に適した方法は、当該技術分野において知られている。例えば、ウィリアムソンエーテル合成を使用して、グルカゴンペプチドとアルキル基との間にエーテル結合を形成することができる。また、ハロゲン化アルキルによるペプチドの求核置換反応は、エーテル、チオエーテル又はアミノ結合のいずれかをもたらすことができる。
【0238】
アルキル化グルカゴンペプチドのアルキル基は、任意の大きさ、例えば任意の長さの炭素鎖であることができ、直鎖又は分岐鎖であることができる。本発明の幾つかの実施態様において、アルキル基は、C1〜C30アルキルである。例えば、アルキル基は、C1アルキル、C2アルキル、C3アルキル、C4アルキル、C6アルキル、C8アルキル、C10アルキル、C12アルキル、C14アルキル、C16アルキル、C18アルキル、C20アルキル、C22アルキル、C24アルキル、C26アルキル、C28アルキル又はC30アルキルのいずれかであることができる。幾つかの実施態様において、アルキル基は、C8〜C20アルキル、例えばC14アルキル又はC16アルキルである。
【0239】
幾つかの実施態様において、アルキル基は、胆汁酸のステロイド部分、例えば、コール酸、ケノデオキシコール酸、デオキシコール酸、リトコール酸、タウロコール酸、グリココール酸及びコレステロール酸を含む。
【0240】
本明細書に記載されているアルキル化グルカゴンペプチドは更に修飾されて、親水性部分を含むことができる。幾つかの特定の実施態様において、親水性部分は、ポリエチレングリコール(PEG)鎖を含むことができる。親水性部分の組み込みは、本明細書に記載されたいずれかの方法のような任意の適切な手段によって達成することができる。この場合、アルキル化グルカゴンペプチドは、配列番号2又は本明細書に記載されているアミノ酸修飾の1つ以上を含む配列番号2のアミノ酸配列を含むことができ、ここで、(a)10、20、24及び29位(野生型グルカゴンのアミノ酸番号付けによる)の少なくとも1個のアミノ酸はアルキル基を含み、(b)16、17、21、24若しくは29位(野生型グルカゴンのアミノ酸番号付けによる)、C末端延長内の位置、又はC末端のうちの少なくとも1個のアミノ酸は修飾されて、Cys、Lys、Orn、ホモ−Cys又はAc−Pheとなり、アミノ酸の側鎖は、親水性部分(例えば、PEG)に共有結合している。幾つかの実施態様において、アルキル基は、10位(野生型グルカゴンのアミノ酸番号付けによる)に結合しており(結合はCys、Lys、Orn、ホモ−Cys又はAc−Pheを含むスペーサーを介してでもよい)、親水性部分は、24位(野生型グルカゴンのアミノ酸番号付けによる)のCys残基に組み込まれている。
【0241】
あるいは、アルキル化グルカゴンペプチドは、スペーサーを含むことができ、ここでスペーサーは、アルキル化され、かつ修飾もされて親水性部分を含む。適切なスペーサーの非限定例には、Cys、Lys、Orn、ホモ−Cys及びAc−Pheからなる群より選択される1個以上のアミノ酸を含むスペーサーが挙げられる。
【0242】
〔実施例〕
本発明の化合物を、標準的な合成方法、組み換えDNA技術又はペプチド及び融合タンパク質を調製する他の任意の方法により調製することができる。特定の非天然アミノ酸は標準的な組み換えDNA技術により発現することができないが、それらを調製する技術は当該技術分野において知られている。非ペプチド部分を包含する本発明の化合物を、適用可能であれば、標準的なペプチド化学反応に加えて、標準的な有機化学反応により合成することができる。
【0243】
一般的合成プロトコール:
グルカゴン類縁体を、改良Applied Biosystem 430 Aペプチド合成機により、0.2mmolのBoc Thr(OBzl)Pam樹脂から出発し、HBTU活性化「Fast Boc」単一カップリングを使用して合成した。Bocアミノ酸及びHBTUは、Midwest Biotech(Fishers, IN)から得た。使用した側鎖保護基は、Arg(Tos)、Asn(Xan)、Asp(OcHex)、Cys(pMeBzl)、His(Bom)、Lys(2Cl−Z)、Ser(OBzl)、Thr(OBzl)、Tyr(2Br−Z)及びTrp(CHO)であった。N末端Hisの側鎖保護基はBocであった。
【0244】
合成の完了したそれぞれのペプチジル樹脂を、ジメチルホルムアミド中の20%ピペリジンの溶液で処理して、トリプトファンからホルミル基を除去した。液体フッ化水素切断を、p−クレゾール及びジメチルスルフィドの存在下で実施した。切断は、HF装置(Penninsula Labs)を使用して氷浴で1時間実施した。HFを蒸発させた後、残渣をジエチルエーテルに懸濁し、固体物質を濾過した。ペプチドをそれぞれ30〜70mlの酢酸水溶液に抽出し、希釈アリコートをHPLC〔Beckman System Gold、0.46×5cmのZorbax C8、1ml/分、45C、214nm、A緩衝液=0.1%TFA、B=0.1%TFA/90%アセトニトリル、10分間かけて10%から80%Bの勾配〕により分析した。
【0245】
精製を2.2×25cmのKromasil C18カラムのFPLCにより実施し、その間、214nmのUVでモニタリングし、5分毎の画分を収集した。均質画分をまとめ、凍結乾燥して、生成物純度>95%を得た。正確な分子量及び純度は、MALDI質量スペクトル分析を使用して確認した。
【0246】
一般的ペグ化プロトコール:(Cys−マレイミド)
典型的には、グルカゴンCys類縁体をリン酸緩衝食塩水(5〜10mg/ml)に溶解し、0.01Mエチレンジアミン四酢酸を加える(総容量の10〜15%)。過剰(2倍)量のマレイミドメトキシPEG試薬(Nektar)を加え、反応物を室温で撹拌し、その間、HPLCで反応進行をモニタリングする。8〜24時間後、反応混合物を酸性化し、精製のために0.1%TFA/アセトニトリル勾配を使用する分取逆相カラムに装填する。適切な画分をまとめ、凍結乾燥して、所望のペグ化誘導体を得た。
【0247】
〔実施例1〕
グルカゴンCys
17(1−29)及び同様のモノCys類縁体の合成
60mlの反応容器中の0.2mmolのBoc Thr(OBzl) Pam樹脂(SynChem Inc)及び以下の配列を、FastBoc HBTU活性化単一カップリングを使用する改良Applied Biosystems 430A Peptide Synthesizerに入れ、稼働した。
HSQGTFTSDYSKYLDSCRAQDFVQWLMNT(配列番号40)
以下の側鎖保護基を使用した:Arg(Tos)、Asp(OcHex)、Asn(Xan)、Cys(pMeBzl)、Glu(OcHex)、His(Boc)、Lys(2Cl−Z)、Ser(Bzl)、Thr(Bzl)、Trp(CHO)及びTyr(Br−Z)。合成の完了したペプチジル樹脂を20%ピペリジン/ジメチルホルムアミドで処理して、Trpホルミル保護を除去し、次にHF反応容器に移し、真空下で乾燥した。1.0mlのp−クレゾール及び0.5mlのジメチルスルフィドを、磁気式撹拌バーと共に加えた。容器をHF装置(Pennisula Labs)に取り付け、ドライアイス/メタノール浴で冷却し、排気し、およそ10mlの液体フッ化水素を圧入した。反応物を氷浴で1時間撹拌し、次にHFを減圧留去した。残渣をエチルエーテルに懸濁し、固体を濾過し、エーテルで洗浄し、ペプチドを50mlの酢酸水溶液に抽出した。分析HPLC〔0.46×5cmのZorbax C8、1ml/分、45C、214nm、A緩衝液は0.1%TFA、B緩衝液は0.1%TFA/90%ACN、10分間かけて10%Bから80%Bの勾配〕を少量の切断抽出物試料を用いて実施した。残りの抽出物を2.2×25cmのKromasil C18分取逆相カラムに装填し、Pharmacia FPLC系を使用してアセトニトリル勾配を実施した。5分毎の画分を収集し、その間、214nm(2.0A)のUVでモニタリングした。A=0.1%TFA、B=0.1%TFA/50%アセトニトリル。勾配=450分間かけて30%Bから100%B。
【0248】
最も純粋な生成物(48−52)を含有する画分をまとめて冷凍し、凍結乾燥して、30.1mgを得た。生成物のHPLC分析は、>90%の純度を示し、MALDI質量スペクトル分析は、所望の質量の3429.7を示した。グルカゴンCys
21、グルカゴンCys
24及びグルカゴンCys
29を同様に調製した。
【0249】
〔実施例2〕
グルカゴン−Cex及び他のC末端延長類縁体の合成
285mg(0.2mmol)のメトキシベンズヒドリルアミン樹脂(Midwest Biotech)を60mlの反応容器に入れ、以下の配列を、FastBoc HBTU活性化単一カップリングを使用する改良Applied Biosystems 430Aペプチド合成機に入れ、稼働した。
HSQGTFTSDYSKYLDSRRAQDFVQWLMNTGPSSGAPPPS(配列番号41)
以下の側鎖保護基を使用した:Arg(Tos)、Asp(OcHex)、Asn(Xan)、Cys(pMeBzl)、Glu(OcHex)、His(Boc)、Lys(2Cl−Z)、Ser(Bzl)、Thr(Bzl)、Trp(CHO)及びTyr(Br−Z)。合成の完了したペプチジル樹脂を20%ピペリジン/ジメチルホルムアミドで処理して、Trpホルミル保護を除去し、次にHF反応容器に移し、真空下で乾燥した。1.0mlのp−クレゾール及び0.5mlのジメチルスルフィドを、磁気式撹拌バーと共に加えた。容器をHF装置(Pennisula Labs)に取り付け、ドライアイス/メタノール浴で冷却し、排気し、およそ10mlの液体フッ化水素を圧入した。反応物を氷浴で1時間撹拌し、次にHFを減圧留去した。残渣をエチルエーテルに懸濁し、固体を濾過し、エーテルで洗浄し、ペプチドを50mlの酢酸水溶液に抽出した。分析HPLC〔0.46×5cmのZorbax C8、1ml/分、45C、214nm、A緩衝液は0.1%TFA、B緩衝液は0.1%TFA/90%ACN、10分間かけて10%Bから80%Bの勾配〕を切断抽出物のアリコートで実施した。残りの抽出物を2.2×25cmのKromasil C18分取逆相カラムに装填し、Pharmacia FPLC系を溶出に使用してアセトニトリル勾配を実施した。5分毎の画分を収集し、その間、214nm(2.0A)のUVでモニタリングした。A=0.1%TFA、B=0.1%TFA/50%アセトニトリル。勾配=450分間かけて30%Bから100%B。画分58−65をまとめて冷凍し、凍結乾燥して、198.1mgを得た。
【0250】
生成物のHPLC分析は、95%を超える純度を示した。MADI質量スペクトル分析は、C末端アミドとして、所望の理論質量の4316.7を有する生成物の存在を示した。オキシントモジュリン及びオキシントモジュリン−KRNRを、適切な装填PAM樹脂から出発して、C末端カルボン酸として同様に調製した。
【0251】
〔実施例3〕
グルカゴンCys
17Mal−PEG−5K
15.1mgのグルカゴンCys
17(1−29)及び27.3mgの平均分子量5000のメトキシポリ(エチレングリコール)マレイミド(mPEG−Mal−5000、Nektar Therapeutics)を、3.5mlのリン酸緩衝食塩水(PBS)に溶解し、0.5mlの0.01Mエチレンジアミン四酢酸(EDTA)を加えた。反応物を室温で撹拌し、反応の進行をHPLC分析〔0.46×5cmのZorbax C8、1ml/分、45C、214nm(0.5A)、A=0.1%TFA、B=0.1%TFA/90%ACN、勾配=10分間かけて10%Bから80%B〕によりモニターした。5時間後、反応混合物を2.2×25cmのKromasil C18分取逆送カラムに装填した。アセトニトリル勾配をPharmacia FPLCにより実施し、その間、214nmのUV波長でモニタリングし、5分毎の画分を収集した。A=0.1%TFA、B=0.1%TFA/50%アセトニトリル、勾配=450分間かけて30%Bから100%B。生成物に対応する画分をまとめて冷凍し、凍結乾燥して、25.9mgを得た。
【0252】
この生成物をHPLC〔0.46×5cmのZorbax C8、1ml/分、45C、214nm(0.5A)、A=0.1%TFA、B=0.1%TFA/90%ACN、勾配=10分間かけて10%Bから80%B〕により分析し、およそ90%の純度を示した。MALDI(マトリックス支援レーザー脱離イオン化)質量スペクトル分析は、8700〜9500の(PEG誘導体に典型的な)広い質量範囲を示した。これは、出発グルカゴンペプチドの質量(3429)へのおよそ5,000原子質量単位の追加を示す。
【0253】
〔実施例4〕
グルカゴンCys
21Mal−PEG−5K
21.6mgのグルカゴンCys
21(1−29)及び24mgのmPEG−Mal−5000(Nektar Therapeutics)を、3.5mlのリン酸緩衝食塩水(PBS)に溶解し、0.5mlの0.01Mエチレンジアミン四酢酸(EDTA)を加えた。反応物を室温で撹拌した。2時間後、更なる12.7mgのmPEG−Mal−5000を加えた。8時間後、反応混合物を2.2×25cmのVydac C18分取逆相カラムに装填し、アセトニトリル勾配を4ml/分のPharmacia FPLCにより実施し、その間、5分毎の画分を収集した。A=0.1%TFA、B=0.1%TFA/50%ACN。勾配=450分間かけて20%から80%B。
【0254】
表れた生成物に対応する画分をまとめて冷凍し、凍結乾燥して、34mgを得た。分析HPLC〔0.46×5cmのZorbax C8、1ml/分、45C、214nm(0.5A)、A=0.1%TFA、B=0.1%TFA/90%ACN、勾配=10分間かけて10%Bから80%B〕による生成物の分析は、出発グルカゴンペプチドと異なる均質生成物を示した。MALDI(マトリックス支援レーザー脱離イオン化)質量スペクトル分析は、8700〜9700の(PEG誘導体に典型的な)広い質量範囲を示した。これは、出発グルカゴンペプチドの質量(3470)へのおよそ5,000原子質量単位の追加を示す。
【0255】
〔実施例5〕
グルカゴンCys
24Mal−PEG−5K
20.1mgのグルカゴンC
24(1−29)及び39.5mgのmPEG−Mal−5000(Nektar Therapeutics)を、3.5mlのPBSに撹拌しながら溶解し、0.5mlの0.01M EDTAを加えた。反応物を室温で7時間撹拌し、次に更なる40mgのmPEG−Mal−5000を加えた。およそ15時間後、反応混合物を、2.2×25cmのVydac C18分取逆相カラムに装填し、アセトニトリル勾配を、Pharmacia FPLCを使用して実施した。5分毎の画分を収集し、その間、214nm(2.0A)のUVでモニタリングした。A緩衝液=0.1%TFA、B緩衝液=0.1%TFA/50%ACN、勾配=450分間かけて30%Bから100%B。生成物に対応する画分をまとめて冷凍し、凍結乾燥して、45.8mgを得た。MALDI質量スペクトル分析は、最大9175.2の典型的なPEGの幅広のシグナルを示し、これはグルカゴンC
24(3457.8)よりもおよそ5,000原子質量単位だけ多い。
【0256】
〔実施例6〕
グルカゴンCys
24Mal−PEG−20K
25.7mgのグルカゴンC
24(1−29)及び40.7mgのmPEG−Mal−20K(Nektar Therapeutics)を、3.5mlのPBSに室温で撹拌しながら溶解し、0.5mlの0.01M EDTAを加えた。6時間後、出発物質と生成物の比率は、HPLCにより決定すると、およそ60:40であった。更なる25.1mgのmPEG−Mal−20Kを加え、反応物を更に16時間撹拌した。生成物比率が有意に改善されなかったので、反応混合物を、2.2×25cmのKromasil C18分取逆相カラムに装填し、450分かけて30%Bから100%Bへの勾配を使用するPharmacia FPLCにより精製した。A緩衝液=0.1%TFA、B緩衝液=0.1%TFA/50%ACN、流量=4ml/分、5分毎の画分を収集し、その間、214nm(2.0A)のUVでモニタリングした。均質な生成物を含有する画分をまとめて冷凍し、凍結乾燥して、25.7mgを得た。分析HPLCにより決定された純度は約90%であった。MALDI質量スペクトル分析は、23,000〜27,000の広域のピークを示し、これは出発グルカゴンC
24(3457.8)よりもおよそ20,000原子質量単位だけ多い。
【0257】
〔実施例7〕
グルカゴンCys
29Mal−PEG−5K
20.0mgのグルカゴンCys
29(1−29)及び24.7mgのmPEG−Mal−5000(Nektar Therapeutics)を、3.5mlのPBSに室温で撹拌しながら溶解し、0.5mlの0.01M EDTAを加えた。4時間後、更なる15.6mgのmPEG−Mal−5000を加えて、反応の完了を促進した。8時間後、反応混合物を、2.2×25cmのVydac C18分取逆相カラムに装填し、アセトニトリル勾配を、Pharmacia FPLC系により実施した。5分毎の画分を収集し、その間、214nm(2.0A)のUVでモニタリングした。A=0.1%TFA、B=0.1%TFA/50%ACN。画分75−97をまとめて冷凍し、凍結乾燥して、HPLCにより回収された出発物質(画分58−63)と異なる、40.0mgの生成物を得た。分析HPLC〔0.46×5cmのZorbax C8、1ml/分、45C、214nm(0.5A)、A=0.1%TFA、B=0.1%TFA/90%ACN、勾配=10分間かけて10%Bから80%B〕による生成物の分析は、95%を超える純度を示した。MALDI質量スペクトル分析は、8,000〜10,000(最大9025.3)の範囲の質量を有するPEG成分の存在を示し、これは出発物質(3484.8)よりも5,540原子質量単位だけ多い。
【0258】
〔実施例8〕
グルカゴンCys
24(2−ブチロラクトン)
24.7mgのグルカゴンCys
24(1−29)に、4mlの0.05M重炭酸アンモニウム/50%アセトニトリル及び5.5ulの2−ブロモ−4−ヒドロキシ酪酸−γ−ラクトンの溶液(アセトニトリル900ul中100ul)を加えた。室温で3時間撹拌した後、更なる105ulのラクトン溶液を反応溶液に加え、更に15時間撹拌した。反応混合物を、10%酢酸水溶液で10mlに希釈し、2.2×25cmのKromasil C18分取逆相カラムに装填した。アセトニトリル勾配(450分かけて20%Bから80%B)をPharmacia FPLCにより実施し、その間、5分毎の画分を収集し、214nm(2.0A)のUVでモニタリングした。流量=4ml/分、A=0.1%TFA、B=0.1%TFA/50%ACN。画分74−77をまとめて冷凍し、凍結乾燥して、7.5mgを得た。HPLC分析は、95%の純度を示し、MALDI質量スペクトル分析は、3540.7の質量又は出発物質よりも84質量単位だけ多い質量を示した。この結果は、単一ブチロラクトン部分の付加と一致している。
【0259】
〔実施例9〕
グルカゴンCys
24(S−カルボキシメチル)
18.1mgのグルカゴンCys
24(1−29)を、9.4mlの0.1Mリン酸ナトリウム緩衝液(pH=9.2)に溶解し、0.6mlのブロモ酢酸溶液(アセトニトリル中1.3mg/ml)を加えた。反応物を室温で撹拌し、反応の進行を分析HPLCにより追跡した。1時間後、更なる0.1mlのブロモ酢酸溶液を加えた。反応物を更に60分間撹拌し、酢酸水溶液で酸性化し、精製のために2.2×25cmのKromasil C18分取逆相カラムに装填した。アセトニトリル勾配をPharmacia FPLC(流量=4ml/分)により実施し、その間、5分毎の画分を収集し、214nm(2.0A)のUVでモニタリングした。A=0.1%TFA、B=0.1%TFA/50%ACN。画分26−29をまとめて冷凍し、凍結乾燥して、数mgの生成物を得た。分析HPLCは、90%の純度を示し、MALDI質量スペクトル分析は、所望の生成物の質量3515を確認した。
【0261】
〔実施例10〕
グルカゴンCys
24マレイミド,PEG−3.4K−二量体
16mgのグルカゴンCys
24及び1.02mgのMal−PEG−Mal−3400、平均分子量3400のポリ(エチレングルコール)−ビス−マレイミド(Nektar Therpeutics)を、3.5 のリン酸緩衝食塩水及び0.5mlの0.01M EDTAに溶解し、反応物を室温で撹拌した。16時間後、更なる16mgのグルカゴンCys
24を加え、撹拌を続けた。およそ40時間後、反応混合物をPharmcia PepRPC 16/10カラムに装填し、アセトニトリル勾配をPharmacia FPLCにより実施し、その間、2分毎の画分を収集し、214nm(2.0A)のUVでモニタリングした。流量=2ml/分、A=0.1%TFA、B=0.1%TFA/50%ACN。画分69−74をまとめて冷凍し、凍結乾燥して、10.4mgを得た。分析HPLCは、90%の純度を示し、MALDI質量スペクトル分析は、9500〜11,000の範囲の成分を示し、これは所望の二量体と一致する。
【0263】
〔実施例11〕
グルカゴン可溶性アッセイ:
グルカゴン(又は類縁体)の溶液(1mg/ml又は3mg/ml)を0.01NのHClで調製する。100ulの原液を、0.01NのHClで1mlに希釈し、UV吸光度(276nm)を決定する。残りの原液のpHを、200〜250ulの0.1M Na
2HOP
4(pH9.2)を使用して、pH7に調整する。溶液を4℃で一晩放置し、次に遠心分離する。次に100ulの上澄みを、0.01NのHClで1mlに希釈し、UV吸光度を決定する(2回繰り返す)。
【0264】
初期吸光度の読み取りを容量の増加で補正し、以下の計算を使用して、溶解率を確立する。
最終吸光度/初期吸光度×100=溶解率
【0265】
結果を表1に示し、表中、グルカゴン−Cexは、野生型グルカゴン(配列番号1)+配列番号21のカルボキシ末端付加を表し、グルカゴン−Cex R
12は、配列番号44を表す。
【0267】
〔実施例12〕
グルカゴン受容体結合アッセイ
グルカゴン受容体へのペプチドの親和性を、シンチレーション近接アッセイ技術を利用する競争結合アッセイにより測定した。シンチレーション近接アッセイ緩衝液(0.05Mのトリス−HCl、pH7.5、0.15MのNaCl、0.1%w/vのウシ血清アルブミン)により作製したペプチドの3倍希釈系列を、0.05nMの(3−〔
125I〕−ヨードチロシル)Tyr10グルカゴン(Amersham Biosciences, Piscataway, NJ)、1ウエルあたり1〜6マイクログラムの、ヒトグルカゴン受容体を過剰発現している細胞から調製した原形質膜画分及び1mg/ウエルのポリエチレンイミン処理ムギ胚芽凝集素A型シンチレーション近接アッセイビーズ(Amersham Biosciences, Piscataway, NJ)と共に、96穴白色/透明底プレート(Corning Inc., Acton, MA)で混合した。ロータリー振とう器により800rpmで5分間振とうしてから、プレートを室温で12時間インキュベートし、次にMicroBetal450液体シンチレーションカウンター(Perkin-Elmer, Wellesley, MA)で読み取った。試験試料の最高濃度よりも4倍高い濃度の「コールドの」天然リガンドを入れたウエルで非特異的結合(NSB)放射能を測定し、競合物質を入れなかったウェルで総結合放射能を検出した。特異的結合の率を以下のように計算した:特異的結合率=((結合−NSB)/(総結合−NSB))×100。IC
50値は、Originソフトウェア(OriginLab, Northampton, MA)を使用して決定した。
【0268】
〔実施例13〕
機能アッセイ−cAMP合成
cAMPを誘導するグルカゴン類縁体の能力を、ホタルルシフェラーゼに基づいたレポーターアッセイにより測定した。グルカゴン受容体又はGLP受容体のいずれかと、cAMP応答配列に結合したルシフェラーゼ遺伝子とを同時形質移入されたHEK293細胞を、0.25%ウシ増殖血清(HyClone, Logan, UT)が補充されたDMEM(Invitrogen, Carlsbad, CA)で16時間培養することにより血清を取り除き、次にグルカゴン、GLP−1又は新規グルカゴン類縁体のいずれかの希釈系列と共に、96穴ポリ−D−リシン被覆「バイオコート」プレート(BD Biosciences, San Jose, CA)中で37℃、5%CO
2で5時間インキュベートした。インキュベーションの終了時に、100マイクロリットルのLucLiteルミネセンス基質試薬(Perkin-Elmer, Wellesley, MA)を各ウエルに加えた。プレートを短時間振とうし、暗黒で10分間インキュベートし、発光をMicroBeta-1450液体シンチレーションカウンター(Perkin-Elmer, Wellesley, MA)で測定した。有効50%濃度は、Originソフトウェア(OriginLab, Northampton, MA)を使用して計算した。結果を
図3、並びに表2及び3に示す。
【0269】
【表2】
*−実験の数
【表3】
*−実験の数
【0270】
〔実施例14〕
グルカゴンCys−マレイミドPEG類縁体の安定性アッセイ
各グルカゴン類縁体を水又はPBSに溶解し、初期HPLC分析を実施した。pHを調整した後(4、5、6、7)、試料を37℃で特定の時間インキュベートし、HPLCにより再び分析して、ペプチドの完全性を決定した。特定の目的とするペプチドの濃度を決定し、無傷のまま残っている率を初期分析と比較して計算した。グルカゴンCys
21−マレイミドPEG
5κについての結果を
図1及び2に示す。
【0271】
〔実施例15〕
グルカゴンアンタゴニスト/GLP−1アゴニスト
グルカゴンアンタゴニスト/GLP−1アゴニストは以下の一般的な戦略を使用して合成した。
【0272】
Boc化学戦略による一般的なペプチド合成プロトコール:
グルカゴン類縁体を、改良Applied Biosystem 430Aペプチド合成機により、0.2mmolのMBHA樹脂から又はPam樹脂に結合した第1アミノ酸から出発し、HBTU活性化「Fast Boc」単一カップリングを使用して合成した。Bocアミノ酸及びHBTUは、Midwest Biotech(Fishers, IN)から得た。使用した一般的な側鎖保護基は以下の通りであった:Arg(Tos)、Asn(Xan)、Asp(OcHex)、Cys(pMeBzl)、His(Bom)、Lys(2Cl−Z)、Ser(OBzl)、Thr(OBzl)、Tyr(2Br−Z)及びTrp(CHO)。Boc−Glu(OFm)−OH及びBoc−Lys(Fmoc)−OH(Chem-Impex, Wood dale, IL)をラクタム架橋形成部位に使用した。自動固相合成の後、N末端3−フェニル乳酸(PLA)(Aldrich, Milwaukee, WI)を、手動で、BEPBT(3−(ジエトキシ−ホスホリルオキシ)−3H−ベンゾ〔d〕〔1,2,3〕トリアジン−4−オン)(Synchem Inc., Aurora, OH)によりカップリングした。
【0273】
ペプチド固相合成の後、合成の完了したそれぞれのペプチジル樹脂を20%ピペラジン/DMFで処理して、Fmoc基を除去した。ラクタム架橋形成には、通常、299mg(1mmol、5倍)のBEPBTを10%DIEA/DMF中で加え、ニンヒドリン試験が陰性を示すまで2〜4時間反応させた。
【0274】
ペプチドを、p−クレゾール及びジメチルスルフィドの存在下で実施した液体フッ化水素切断により切断した。切断は、HF装置(Penninsula Labs)を使用して氷浴で1時間実施した。HFを蒸発させた後、残渣をジエチルエーテルに懸濁し、固体物質を濾過し、エーテルで洗浄した。ペプチドをそれぞれ30〜70mlの酢酸水溶液に抽出し、水で希釈し、凍結乾燥した。粗ペプチドを分析HPLCで分析し、ペプチド分子量をESI又はMALDI−TOF質量分析法により調べた。次にペプチドを一般的なHPLC精製手順により精製した。
【0275】
Fmoc化学戦略による一般的なペプチド合成プロトコール:
ペプチドは、カップリング試薬としてDIC/HOBTを使用し、Rink MBHAアミド樹脂を用いて又はWang樹脂(Novabiochem, San Diego, CA)に結合した第1アミノ酸を用いて、標準的Fmoc化学を使用するABI 433A自動ペプチド合成機により合成した。自動ペプチド合成の後、3−フェニル乳酸(PLA)を、手動で、BEPBTにカップリングした。Nα−Fmoc〔N−(9−フルオレニル)メトキシカルボニル〕アミノ酸の側鎖保護基は以下であった:Arg、Pmc;Asp、OtBu;Cys、Trt;Gln、Trt;His、Trt;Lys、Boc;Ser、tBu、Tyr、tBu;及びTrp、Boc(Pmc=2,2,5,7,8−ペンタメチルクロマン−6−スルホニル、OtBu=tert−ブチルエステル、Trt=トリチル、Boc=tert−ブチルオキシカルボニル及びtBu=tert−ブチルエステル)。Fmoc−Glu(O−2−PhiPr)−OH及びFmoc−Lys(Mmt)−OH(Novabiochem, San Diego, CA)をラクタム架橋形成部位に組み込んだ。
【0276】
固相合成の後、Gluにおける2−フェニルイソプロピル(2−PhiPr)基及びLysにおける4−メトキシトリチル(Mmt)基を、ペピチジル樹脂を介して1%TFA/DCMをフラッシュすることによって除去した。ラクタム架橋形成には、通常、150mg(0.5mmol、5倍)のBEPBTを10%DIEA/DMF中で加え、ニンヒドリン試験が陰性を示すまで2〜4時間反応させた。
【0277】
85%TFA、5%フェノール、5%水及び5%チオアニソール(ペプチドがシステインを含有する場合は2.5%EDTが添加された)を含有する切断カクテルを用いて、ペプチドを樹脂から切断した。粗ペプチドをエーテルに沈殿させ、遠心分離し、凍結乾燥した。次にペプチドを分析HPLCにより分析し、ESI又はMALDI−TOF質量スペクトル分析法により調べた。ペプチドを一般的なHPLC精製手順により精製した。
【0278】
一般的な分析HPLC手順:
分析HPLCは、流量1.0mL/分の勾配溶離及び214nmでのモニタリングを用いて、ZORBAX SB-C8カラム(0.46×5cm、5μm、Agilent)を有するBeckman System GoldHPLC系により実施した。勾配は、10分間の10%Bから80%B、次に5分間の10%Bに設定した。緩衝液A=0.1%TFA及びB=0.1%TFA/90%アセトニトリル。
【0279】
一般的な分取HPLC精製手順:
特に示されていない場合、ペプチドは、通常、準分取HPLCカラム(ZORBAX SB-C8、21.2×250mm、7μm、Agilent)を有する486モニター系に接続したWaters 600Eにより、214nm又は230nMでモニタリングしながら精製した。緩衝液A=0.1TFA/10%アセトニトリル及びB=0.1%TFA/90%アセトニトリル。精製に使用した勾配は、特に示されていない場合、12ml/分の流量による40分間の0〜30%B、次に30分間の30〜50%Bであった。画分を分析HPLCで分析し、質量分析法により調べた。90%を超える純度の画分を収集し、凍結乾燥し、保存した。60〜90%の純度の画分をまとめ、凍結乾燥し、再び精製した。
【0280】
一般的ペグ化プロトコール:(Cys−マレイミド)
典型的には、グルカゴンCys類縁体をリン酸緩衝食塩水(5〜10mg/ml)に溶解し、0.01Mエチレンジアミン四酢酸を加える(総容量の10〜15%)。過剰(1.2〜2倍)量のマレイミドメトキシ−ポリエチレングリコール(MAL−m−dPEG)試薬を加え、反応物を室温で撹拌し、その間、HPLCで反応進行をモニタリングする。2〜12時間後、反応混合物を酸性化し、精製のため、0.1%TFA/アセトニトリル勾配を使用する分取逆相カラムに装填する。適切な画分をまとめ、凍結乾燥して、所望のペグ化誘導体を得た。
【0281】
PBS中の溶解度が低いペプチドについては、それらのペプチドを25%アセトニトリル水、又は50〜100mMトリスを有する4〜6M尿素緩衝液(pH8.0〜8.5に調整)に溶解し、PEG試薬と反応させた。
【0282】
上記に記載された方法により合成された化合物の特定の実施例を以下に提示する。
【0283】
〔PLA6,D9,E16K20(ラクタム),D28〕グルカゴン(6−29)アミドの合成
ペプチド配列TSDYSKYLDERRAKDFVQWLMDT(配列番号49)を、最初に、カップリング試薬としてDIC/HOBTを使用し、0.1mmolのRink MBHAアミドを用いる0.1mmolのFmoc/HOBT/DCC化学プログラムを使用した、ABI 433A自動ペプチド合成機により固相合成した。以下のFmocアミノ酸を使用した:Ala、Arg(Pmc)、Asp(OtBu)、Asn(Trt)、Glu(O−2−PhiPr)、Gln(Trt)、Leu、Lys(Boc)、Lys(Mmt)、Met、PLA、Ser(tBu)、Thr(tBu)、Trp(Boc)、Tyr(tBu)及びVal。自動合成の後、ペプチジル樹脂を、4mlの5%DIEA/DMF中の3フェニル乳酸(83mg、0.5mmol)及びDEPBT(150mg、0.5mmol)と、約2時間手動でカップリングさせて、以下の配列を有するペプチジル樹脂を得た:HO−PLA−Thr−Ser−Asp−Tyr−Ser−Lys−Tyr−Leu−Asp−Glu−Arg−Arg−Ala−Lys−Asp−Phe−Val−Gln−Trp−Leu−Met−Asn−Thr−NH
2(配列番号6)。
【0284】
ペプチジル樹脂を50mlの1%TFA/DCMにより5〜10分間フラッシュし、DCM、5%DIEA/DMF及びDMFで洗浄した。次にペプチジル樹脂を、10%DIEA/DMF中のDEPBT 150mg(0.5mmol、5倍)により、ニンヒドリン試験が陰性を示すまで、2〜4時間処理した。
【0285】
ペプチジル樹脂を、0.5gのフェノール、0.5mlの水及び0.5mlのチオアニソールを添加した8.5mlのTFAにより、室温で2時間処理した。TFAに溶解したペプチドを濾過し、40mlのエーテルを加えて、ペプチドを沈殿させた。粗ペプチドを遠心分離し、酢酸水溶液に溶解し、凍結乾燥して、150〜250mgの粗ペプチドを得た。精製した後、20〜30mg(総収率10〜15%)のペプチドを純度95%で得た。ペプチドを、一般的な分析HPLCで分析したところ、7.63分の保持時間を示し、ESI−MS分析は、ペプチド分子量2997.3に相当する所望質量の2997.0を示した。
【0286】
同様の手順を使用して、以下のペプチドを合成した:分析HPLCで7.17分及びESI−MSで計算分子量の3845.2に相当する3444.5を示す〔PLA6,E9,E16K20(ラクタム)〕グルカゴン(6−39)アミド;分析HPLCで7.71分及びESI−MSの計算分子量の2997.3に相当する2997.0を示す〔PLA6,D9,K12E16(ラクタム),D28〕グルカゴン(6−29)アミド;分析HPLCで7.27分及びESI−MSの計算分子量の3845.2に相当する3845.5を示す〔PLA6,E9,K12E16(ラクタム)〕グルカゴン(6−39)アミド;分析HPLCで7.85分及びESI−MSの計算分子量の2972.3に相当する2972.0を示す〔PLA6,D9,E16K20(ラクタム,C24,D28)〕グルカゴン(6−29)アミド;分析HPLCで7.83分及びESI−MSの計算分子量2972.3に相当する2971.5を示す〔PLA6,D9,K12E16(ラクタム),C24,D28〕グルカゴン(6−29)アミド;分析HPLCで7.13分及び計算分子量の3935.3に相当するMALDI−MSの3935.7を示す〔PLA6,D9,E16K20(ラクタム),D28,C40〕グルカゴン(6−40)アミド。
【0287】
〔PLA6,D9,E16K20(ラクタム),C24(20K),D28〕グルカゴン(6−29)アミドの合成
15mg(0.005mmol)の〔PLA6,D9,E16K20(ラクタム),C24,D28〕グルカゴン(6−29)アミド及び120mg(0.006mmol)の20K m−PEG−MAL(分子量約20K、Chirotech Technology Ltd., Cambs CB4 OWG, Germany)を、9mlの25%アセトニトリル水及び約0.5〜1mlの1Mトリス塩基緩衝液(pH8.0〜8.5に調整)に溶解した。反応物を室温で撹拌し、反応の進行を分析HPLCによりモニターした。HPLCにより初期生成物が何も検出されなかった後(2〜6時間)、反応混合物を分取HPLCにより直接精製した。画分を、214nmの分析HPLCにより調べ、また、280nmのUVで測定した。90%のHPLC純度を有し、UV測定による高吸光度(A280nm=1.0〜2.0)も有する画分をまとめ、凍結乾燥した。分析HPLCの分析が8.5〜8.6分の保持時間を示し、MALDI−MSが22K〜24Kの広域質量分析を示す、約60〜80mgの〔PLA6,D9,E16K20(ラクタム),C24(20K),D28〕グルカゴン(6−29)アミドを得た。
【0288】
同様の手順を使用して、〔PLA6,D9,K12E16(ラクタム),C24(20K),D28〕グルカゴン(6−29)アミド及び〔PLA6,D9,E16K20(ラクタム),D28,C40(20K)〕グルカゴン(6−40)アミドを合成した。
【0289】
二量体〔PLA6,D9,E16K20(ラクタム),C24,D28〕グルカゴン(6−29)アミドの合成
20mg(0.00673mmol)の〔PLA6,D9,E16K20(ラクタム),C24,D28〕グルカゴン(6−29)アミドを6mlのPBS緩衝液、0.5〜1mlの1Mトリス塩基(pH8.0〜8.5に調整)及び3mlのDMSOに溶解した。反応混合物を開放容器中で撹拌し、分析HPLCにより2時間毎にモニターした。初期生成物(HPLC RTにより7.85分)が無くなった後、そして二量体生成物(HPLC RTにより7.96分)が生成物において優勢になった後(約24時間)、混合物を0.1%TFA 10%アセトニトリル水で希釈し、分取HPLCにより直接精製した。凍結乾燥した後、ESI−MSにおいて計算分子量の5942.6に相当する5942.0を示す、約6〜10mgの〔PLA6,D9,E16K20(ラクタム),C24,D28〕グルカゴン(6−29)アミドを得た。
【0290】
〔実施例16〕
グルカゴン類縁体のアンタゴニスト活性
グルカゴン及び多様なグルカゴン誘導体インヒビターの受容体結合、cAMP誘導及びcAMP阻害を比較した。受容体結合、cAMP誘導及びcAMP阻害を測定するアッセイは、実質的に実施例12及び13にそれぞれ開示されているアッセイ系を使用して実施した。
【0291】
グルカゴンアンタゴニスト活性を示す特定のグルカゴン類縁体を調製した。そのような化合物は、天然のN末端残基を有さず、天然グルカゴンでの9位にグルタミン酸置換を有する点において、天然グルカゴンと異なっている。表4、並びに
図3A及び3Bは、幾つかの特定のグルカゴン類縁体アンタゴニストのグルカゴン受容体親和性及びアンタゴニスト活性を提示する。
【0292】
【表4】
Glu
9は、天然グルカゴンの番号付けによる9位のグルタミン酸である。
【0293】
表5のデータが示すように、一連のhCys9に基づいたアンタゴニストは、以前に報告されたGlu9に基づいたアンタゴニストと同等な効力又は選択性を発揮しない。化合物5B及び6Bは、いくらかのアンタゴニスト作用レベルを示すが、アゴニストとしての有効容量の3倍高い濃度においてのみ示す。しかし、複数のN末端アミノ酸が更に除去されると、hCys9に基づいたグルカゴンアンタゴニストの抗力は増強される(表8を参照すること)。
【0294】
【表5】
*アンタゴニストではない
上付きの数字により示されているものは、天然グルカゴンの番号付けによるアミノ酸位置である。
【0295】
第1アミノ酸の切断及び9位(天然グルカゴンのアミノ酸番号付けによる)の置換により修飾されたグルカゴン及びグルカゴンペプチドのグルカゴン受容体親和性を、実質的に実施例12に記載されたとおりに分析した。結果を表6に示す。
【0296】
【表6】
*EC50(nM)
上付きの数字により示されているものは、天然グルカゴンの番号付けによるアミノ酸位置である。
【0297】
Glu、hGlu、CSA−1、CSA−2及びβ−hGluにより9位で修飾されたペプチドを含む、試験された幾つかの修飾グルカゴンに基づいたペプチドは、強力なグルカゴンアンタゴニスト活性を示した。
【0298】
9位(天然グルカゴンの番号付けによる)に修飾アミノ酸を含み、様々なN末端切断を有するグルカゴンペプチドを、グルカゴンアンタゴニスト活性について分析した。試験したペプチドの結果を表7に示す。
【0299】
【表7】
上付きの数字により示されているものは、天然グルカゴンの番号付けによるアミノ酸位置である。
aデータは、少なくとも3回の独立した実験の平均±STDである。
bpA
2、1単位のアゴニストの反応を0.5単位のアゴニストにより得られた反応に低減する、アンタゴニスト濃度の負の対数。データは、少なくとも二重の実験の平均±STDである。
c(I/A)
50、阻害指数、添加された一定のグルカゴン(0.1〜0.2nM)に対するインヒビターのIC
50比。データは、少なくとも3回の独立した実験の平均であり、EC
50により規準化される。
dNA、完全なアンタゴニストではない。
eND、検出されず。
【0300】
表8は、ホモシステイン酸修飾切断グルカゴンフラグメントを含む、追加のグルカゴン類縁体のグルカゴン受容体親和性及びアンタゴニスト活性を提示する。desHis1に基づいたhCys(SO
3H)
9に基づいたアンタゴニストは、以前に報告されたGlu
9に基づいたアンタゴニスト〔desHis
1,Glu9〕グルカゴンペプチドと同等の効力を発揮する。3、4又は5個のアミノ酸の除去により更に短縮されたhCys(SO
3H)
9に基づいたグルカゴンアンタゴニストを研究した。受容体結合の結果は、第1残基の除去はグルカゴン受容体への化合物の親和性を低減するが、更なる除去は親和性を僅かしか変えず、依然としてナノモル親和性のリガンドを生じることを示している。
【0301】
【表8】
上付きの数字により示されているものは、天然グルカゴンの番号付けによるアミノ酸位置である。
【0302】
6−29短縮グルカゴンアミド主鎖において通常6位に生じるフェニルアラニンをフェニル−乳酸(PLA)で置換した、グルカゴンの特定の類縁体も開発した。PLAはフェニルアラニン(Phe)と等電子であるが、滴定可能な水素を有さない。表9及び10に表されているデータは、PLA6置換によって、天然Asp9類縁体が純粋なアンタゴニスト作用を示すが、効力はGlu9及びhCys(SO
3H)
9類縁体よりも低減していることを示している。文献は、以前は、グルカゴン(2−29)類縁体の高い親和性及び強力なアンタゴニスト作用のためには天然Asp9残基がGlu9又はhCys(SO
3H)
9に変わる必要があると指摘していた。したがって、6−29短縮グルカゴンアミド主鎖におけるPLAによるPheの置換が、類縁体の相対的アンタゴニスト効力をGlu9及びhCys(SO
3H)
9類縁体と同程度にまで改善するのは、驚くべきことである。より詳細には、PLA6類縁体は、天然Phe6類縁体と比べて、グルカゴン受容体への類縁体の親和性を3倍増加させるとともに、アンタゴニスト作用の効力も増加させる。
【0303】
【表9】
上付きの数字により示されているものは、天然グルカゴンの番号付けによるアミノ酸位置である。
【表10】
上付きの数字により示されているものは、天然グルカゴンの番号付けによるアミノ酸位置である。
【0304】
グルカゴン類縁体の4及び5位を含む異なる位置でのPLA置換の効果も調査した。表11に表されているデータは、PLA6類縁体が、僅かに延長されたペプチドよりも明白に強力なアンタゴニストであることを示している。
【0305】
【表11】
ND:検出されず
上付きの数字により示されているものは、天然グルカゴンの番号付けによるアミノ酸位置である。
【0306】
表12に表されているデータは、PLA6置換が、ペプチドを効力を増加させるばかりでなく、ペグ化においても重要な役割を果たすことを示している。PLA6類縁体を、グルカゴンアゴニスト作用を回復することなく選択的にペグ化することができる。天然Phe6類縁体は、驚くべきことに、ペグ化されるとアゴニスト作用の回復を示す。しかし、このアゴニスト作用の回復は、PLA6ペプチド類縁体では観察されない。8、11及び24位(天然グルカゴンペプチドによる)のアミノ酸を含む幾つかの特定のペグ化部位を検査した。PLA6類縁体の24位でのペグ化は、最も強力で選択的なグルカゴンアンタゴニスト作用を示す。
【0307】
【表12】
上付きの数字により示されているものは、天然グルカゴンの番号付けによるアミノ酸位置である。
【0308】
〔実施例17〕
ここに記載されている全てのペプチドは、特に示されていない限り、C末端カルボキシレートの代わりにC末端アミドを含む。ペプチドの名称で指定されているアミノ酸位置は、天然グルカゴンの番号付けに従っている。
【0309】
グルカゴンアンタゴニスト/GLP−1アゴニストの活性
グルカゴン及び多様なグルカゴン誘導体インヒビターの受容体結合、cAMP誘導、及びcAMP阻害を比較した。受容体結合、cAMP誘導、及びcAMP阻害を測定するアッセイは、実質的に実施例12及び13にそれぞれ開示されているアッセイ系を使用して実施した。
【0310】
グルカゴンアンタゴニスト作用とGLP−1アゴニスト作用の両方を示す特定のグルカゴン類縁体を調製した。より詳細には、天然グルカゴンの最初の5個のアミノ酸が除去され、天然グルカゴンの9位のアスパラギン酸残基がグルタミン酸で置換されている、特定の化合物を調製した。これらの化合物の示すGLP−1受容体活性は、天然グルカゴンの16位にグルタミン酸置換を加えるようなペプチドの更なる修飾により増強されうる(
図5を参照すること)。更に、表13及び
図6〜8に表されているデータに示されているように、天然グルカゴンに対して最初の5個のアミノ酸欠失を有し、アミノ酸対7と11又は11と15の側鎖同士の間にラクタム環の形成を有するグルカゴン類縁体は、グルカゴンアンタゴニストとGLP−1の両方の活性を示す。
【0311】
【表13】
【表14】
*グルカゴン受容体におけるEC50
【0312】
表14及び
図6〜8に表されているデータにより示されているように、グルカゴンアンタゴニスト作用/GLP−1アゴニスト作用を示すグルカゴンの特定の類縁体が開発されており、6−29短縮グルカゴンアミド主鎖において、6位にある通常のフェニルアラニンがフェニル−乳酸(PLA)で置換されており(「PLA6類縁体」)、ラクタム架橋が、グルカゴン類縁体の側鎖同士の間に形成されている。
図6A及び6Bにより示されているように、主鎖ラクタムの、他の点ではグルカゴンアンタゴニストへの導入が、残留アゴニスト作用なしに強力なアンタゴニスト作用を維持する。
図7A、7B、8A及び8Bは、主鎖ラクタムの、他の点ではグルカゴンアンタゴニストへの導入が、ペプチドの特定の配列及びラクタムの位置に応じて、多様な抗力の完全なGLP−1アゴニスト作用を導入することを示すデータを表す。
【0313】
表15は、完全なGLP−1アゴニスト作用及び完全なグルカゴンアンタゴニスト作用を示す一連の異なるペプチドを提示する。2つの異なるペプチド主鎖の足場が開発されているが、両者の主な違いは、CEXノナペプチド(配列番号21)による6−29グルカゴンのC末端延長である。
【0315】
高度に相同性の受容体に対してアンタゴニスト作用を維持するペプチドへのアゴニスト作用の系統的導入は、ペプチド化学において前例がない。Bayer Research Labsにより寄稿された文献においてそのような混合グルカゴンアンタゴニスト/GLP−1アゴニストが報告されている〔Journal of Endocrinology (2007) 192:371-80 & Journal of Biological Chemistry (2006) 282:12506-15〕。しかし、以前に開示されたペプチド(ANK2;配列番号37)の分析は、ペプチドが意味のあるグルカゴンアンタゴニスト作用を有していないことを明らかにした。より詳細には、
図9A〜9Cは、本明細書に開示されている新規グルカゴンアンタゴニスト/GLP−1アゴニストと比較したBayerのペプチド(ANK2;配列番号37)が、混合グルカゴンアンタゴニスト/GLP−1アゴニストではないことを示すデータを表している。ANK2ペプチドは、非常に強力なGLP−1アゴニスト作用を有するが、弱いが完全なグルカゴンアゴニスト作用を示す。本明細書に開示されているペプチドは、天然N末端残基を有さず、非天然のアミノ酸を短縮N末端に有し、類縁体の側鎖同士の間に内部架橋(例えば、塩架橋又は主鎖ラクタムの形態で)を有する点において、化学的に異なっている。ペプチドを選択的にペグ化して、混合アゴニスト/アンタゴニスト特性を変えることなく作用の持続時間を延ばすことができる。
【0316】
〔実施例18〕
ここに記載されている全てのペプチドは、特に示されていない限り、C末端カルボキシレートの代わりにC末端アミドを含む。ペプチドの名称で指定されているアミノ酸位置は、天然グルカゴンの番号付けに従っている。
【0317】
本明細書に記載されているグルカゴンアンタゴニストを以下のようにアシル化する。
【0318】
アシル化及び/又はペグ化ペプチドを以下のように調製する。ペプチドは、CS Bio 4886ペプチド合成機又はApplied Biosystems 430Aペプチド合成機のいずれかを使用して、固体支持樹脂上に合成する。Schnolzer et al., Int. J. Peptide Protein Res. 40: 180-193(1992)に記載されている現場中和化学を使用する。アシル化ペプチドでは、アシル化される標的アミノ酸残基(例えば、10位)をNε−FMOCリシン残基で置換する。合成の完了したN末端BOC保護ペプチドのDMF中の20%ピペリジンによる30分間の処理によって、FMOC/ホルミル基を除去する。遊離ε−アミノLys残基へのカップリングは、10倍モル過剰量のFMOC保護スペーサーアミノ基(例えば、FMOC−(N−BOC)−トリプトファン−OH)又はアシル鎖(例えば、C17−COOH)のいずれかと、DMF/DIEA中のPyBOP又はDEPBTカップリング試薬とのカップリングにより達成される。その後のスペーサーアミノ酸のFMOC基の除去に続いて、アシル鎖とのカップリングが繰り返される。100%TFAによる最終処理は、あらゆる側鎖保護基及びN末端BOC基の除去をもたらす。ペプチド樹脂を、5%DIEA/DMFで中和し、乾燥し、次にHF/p−クレゾール95:5を0℃で1時間使用して支持体から切断する。エーテル抽出の後、5%HOAc溶液を使用して粗ペプチドを溶媒和する。次に溶液の試料を、正しい分子量のペプチドを含有しているかについてESI−MSにより確認する。正しいペプチドを、100%CH3CN中の10%CH3CN/0.1%TFAから0.1%TFAの直線勾配を使用してRP−HPLCにより精製する。Vydac C18の22mm×250mmタンパク質カラムを精製に使用する。アシル化ペプチド類縁体は、一般に、緩衝液比率の20:80で完全に溶離する。一部を一緒にプールし、分析RP−HPLCにより純度を調べる。純粋な画分を凍結乾燥して、白色の固体ペプチドを得る。
【0319】
ペプチドのペグ化のためには、40kDaのメトキシポリ(エチレングルコール)マレイミド−プロピオンアミド(Chirotech Technology Ltd.)を、ペプチドとPEGの両方を溶解して透明な溶液にするのに必要な最小量の溶媒(一般に、2〜3mgのペプチドを使用する反応において2mL未満)を使用して、7Mの尿素、50mMのトリス−HCl緩衝液中のモル当量のペプチドと反応させる。室温での激しい撹拌を開始して4〜6時間行い、反応を分析RP−HPLCにより分析する。ペグ化生成物は、保持時間が減少しているので出発物質と異なっていると思われる。精製は、初期ペプチド精製に使用した条件と同じ条件のVydac C4カラムにより実施する。溶離は、緩衝液比率が50:50の前後で生じる。純粋なペグ化ペプチドの画分が見出され、凍結乾燥する。
【0320】
〔実施例19〕
ここに記載されている全てのペプチドは、特に示されていない限り、C末端カルボキシレートの代わりにC末端アミドを含む。ペプチドの名称で指定されているアミノ酸位置は、天然グルカゴンの番号付けに従っている。
【0321】
デプシペプチドを、従来の固相ペプチド合成(SPPS)を使用して組み立てた。PLA誘導体化ペプチド鎖を、最初にラクタム架橋を介して環化し、次に事前活性化対称無水物を手動で使用してアミノ酸によりエステル化した。伝統的なSPPSを続けて、全配列を完成させた。標準的な切断手順及び精製方法を適用して、所望のデプシペプチドを得た。
【0322】
実施例
ラクタム架橋デプシペプチド〔Aib2,E3,Thr5−O−PLA6,E16K20(ラクタム),D28〕G(2−29)アミドの合成
配列HO−PLA−TSDYSKYLDERRAKDFVQWLMDを有するペプチジル樹脂〔PLA6,E16,K20,D28〕グルカゴン(6−29)は、0.2mmolのMBHAアミド樹脂を用い、カップリング試薬としてDEPBTを用いるABI 430A自動ペプチド合成機を使用した固相Boc化学により合成した。以下のBocアミノ酸を使用した:Ala、Arg(Tos)、Asp(OcHx)、Asn(Xan)、Glu(OcHx)、Gln(Xan)、Leu、Lys(2−Cl−Z)、Met、PLA、Ser(OBzl)、Thr(OBzl)、Trp(HOC)、Tyr(2,6−ジ−Cl−Bzl)及びVal(但し、16位のグルタミン酸は、Boc−Glu(OFm)−OHにより組み込まれ、20位のリシンは、Boc−Lys(Fmoc)−OHにより組み込まれた)。DMF中20%ピペリジンにより16及び20のFm及びFmoc保護基を除去した後、ペプチジル樹脂を10%DIEA/DMFのDEPBT 300mg(1mmol)で4時間処理して、ラクタム架橋を形成した。このラクタム架橋ペプチジル樹脂に、DCM中のBoc−Thr(OBzl)−OH(2mmol)/DIC(1mmol)/DMAP(0.2mmol)から構成される事前活性化対称無水物溶液を加え、反応を16時間進行させた。残りのアミノ酸のBoc−Gly−OH、Boc−Glu(OcHx)−OH及びBoc−Aib−OHを、ここでも標準的Boc化学によりカップリングして、以下の配列のデシペプチジル樹脂を得た:Aib−Glu−Gly−Thr−O−PLA−Thr−Ser−Asp−Tyr−Ser−Lys−Tyr−Leu−Asp−Glu
*−Arg−Arg−Ala−Lys
*−Asp−Phe−Val−Gln−Trp−Leu−Met−Asp−Thr−NH
2(
*はラクタム架橋されている)。
【0323】
ペプチジル樹脂を液体フッ化水素で処理して、固体支持体から粗ペプチドを切断し、全ての保護基を除去した。デプシペプチドを、分取HPLCにより精製し、MS及び分析HPLCにより分析した。精製されたペプチドは、分析RP−HPLCにより単一ピークを示し、ESI−MS分析により計算分子量の3369.0ダルトンに相当する所望の質量の3368.5を生じた。
【0324】
同様の手順を使用して、本特許出願に報告されている他のラクタム架橋デプシペプチドを合成した。
【0325】
〔実施例20〕
ここに記載されている全てのペプチドは、特に示されていない限り、C末端カルボキシレートの代わりにC末端アミドを含む。ペプチドの名称で指定されているアミノ酸位置は、天然グルカゴンの番号付けに従っている。
【0326】
以下のペプチドを上記に一般的に記載されたように合成し、続いて、実施例13に一般的に記載されているのと同様に、ヒトGLP−1受容体を発現する細胞からのcAMP放出をアッセイすることにより、GLP−1受容体を刺激する能力について試験し、また、0.2〜0.8nMのグルカゴンにより刺激したヒトグルカゴン受容体発現細胞からのcAMP放出をアッセイすることによって、グルカゴン受容体を刺激する能力について試験した。
【0327】
グルカゴンアンタゴニスト/GLP−1ペプチドのラクタム化及びC末端延長の効果を探求するために、C末端延長グルカゴンアンタゴニスト/GLP−1ペプチドを、16位のGluと20位のLys(天然グルカゴンの番号付けによる)の側鎖同士を架橋するラクタム有り又は無しで産生し、試験した。3つの別々のアッセイをまとめた結果を表16に示す。
【0329】
表16に示されているように、ラクタム架橋を含むC末端延長ペプチドは、ラクタム架橋を欠いている対応するペプチドと比較すると、増加したGLP−1活性を示した。
【0330】
グルカゴンアンタゴニスト/GLP−1アゴニストのペプチド配列内のラクタム架橋の位置の効果は、アミノ酸12と16、16と20、20と24又は24と28(天然グルカゴンのアミノ酸番号付けによる)の側鎖同士を結合しているラクタムを有するペプチドを産生し、試験することによって試験した。3つの別々のアッセイをまとめた結果を表17に示す。
【0332】
表17に示されているように、アミノ酸16と20(天然グルカゴンのアミノ酸番号付けによる)の間にラクタム架橋を含むグルカゴンアンタゴニスト/GLP−1アゴニストペプチドは、最高のGLP−1活性を示した。残基12と16の間のラクタム架橋も、ペプチドが強力なGLP−1活性示すことを可能にした。
【0333】
修飾されて天然グルカゴンアミノ酸配列が天然GLP−1配列で置換されているグルカゴンアンタゴニスト/GLP−1ペプチドを合成し、GLP−1配列交換を欠いている対応するペプチドと比較した。3つの別々のアッセイをまとめた結果を表18に示す。
【0335】
表18に示されているように、天然グルカゴン配列を16〜25位(天然グルカゴン配列による)の前後でGLP−1配列に置換した効果は、ほとんどの場合、GLP−1アゴニスト活性を増加した。しかし、2及び3位(天然グルカゴン配列による)にGLP−1配列を追加的に含み、PLAを欠いているペプチドでは、16〜25位の前後のGLP−1配列の交換は、グルカゴンアンタゴニスト活性を減少した。
【0336】
多様なN末端切断を有し、PLAを欠いているグルカゴンアンタゴニスト/GLP−1ペプチドを作製し、試験した。幾つかのペプチドはGLP−1のN末端配列も有した。2つの別々のアッセイをまとめた結果を表19に示す。
【0337】
【表19】
*Pan et al., JBiol Chem 281(18): 12506-12515 (2006)に記載されているANK2。
【0338】
表19に示されているように、PLAを含むグルカゴンアンタゴニスト/GLP−1ペプチドは、より強力なグルカゴンアンタゴニスト/GLP−1アゴニストである。
【0339】
グルカゴンアンタゴニスト/GLP−1アゴニストデプシペプチド(エステル結合を介してn−1位でThrに結合しているn位(n=5又は6)のPLAを含む)を作製し、活性について試験した。これらのグルカゴンアンタゴニスト/GLP−1アゴニストとしての抗力を、N末端アミノ酸としてPLAを含むペプチド及びPLAを欠いているペプチドと一緒に比較した。2つの別々のアッセイをまとめた結果を表20に示す。
【0341】
表20に示されているように、ペプチドのデプシペプチドへの修飾は、GLP−1アゴニスト活性及びグルカゴンアンタゴニスト活性の両方の増加をもたらした。
【0342】
グルカゴンアンタゴニスト/GLP−1アゴニストペプチドをペグ化する効果を探求するために、24位(天然グルカゴンの番号付けによる)のアミノ酸に結合した、又はC末端延長を含むペプチドのC末端残基に結合した20,000ダルトンのPEG部分を有する、グルカゴンアンタゴニスト/GLP−1アゴニストペプチドを合成した。ペプチド「〔PLA6,E16K20(ラクタム),K24(COCH
2CH
2S−20kDa)〕G(6−29)」では、3−メルカプトプロピオン酸を、ペグ化のために、24位(天然グルカゴンの番号付けによる)のLysの側鎖アミンに結合した。ペプチド「〔PLA6,E16K20(ラクタム),K24(剛性−S−20kDa)〕G(6−29)」では、3−アミノプロパ−1−イニル−安息香酸を、最初に24位のLysの側鎖アミンに結合し、次に3−メルカプトプロピオン酸を、ペグ化のために、剛性結合で結合した。得られたリンカーは、以下の構造を有した:
【化15】
【0343】
次にペプチドを、GLP−1受容体に対するアゴニスト活性及びグルカゴン受容体に対するアンタゴニスト活性について、本明細書に実質的に記載されているように試験した。結果を表21に示す。
【0345】
表21に示されているように、ペグ化は、一般に、グルカゴン受容体に対してIC50を増加し、GLP−1受容体に対してEC50を増加した。
【0346】
グルカゴンアンタゴニスト/GLP−1アゴニストペプチドの脂肪酸アシル化の効果を探求するために、グルタミン酸残基スペーサーを介してペプチドのLys残基に結合しているC16脂肪酸を含み、Lys残基がグルカゴンアンタゴニスト/GLP−1アゴニストペプチドの配列内でアミノ酸の位置を変えている、グルカゴンアンタゴニスト/GLP−1アゴニストペプチド〔PLA6,E16K20(ラクタム),D28〕G(6−29)を作製し、試験した。結果を表22に示す。
【0348】
〔実施例21〕
ここに記載されている全てのペプチドは、特に示されていない限り、C末端カルボキシレートの代わりにC末端アミドを含む。ペプチドの名称で指定されているアミノ酸位置は、天然グルカゴンの番号付けに従っている。
【0349】
コレステロール修飾ペプチドは、ラクタム化ペプチドをブロモアセチル化コレステロール誘導体と溶液中で結合することによって調製した。ペプチドは、従来の固相ペプチド合成(SPPS)を使用して組み立てた。PLA誘導体化ペプチド鎖はラクタム架橋を介して環化した。標準的な切断手順及び精製方法を適用して、所望のデプシペプチドを得た。
【0350】
実施例
コレステロール結合ラクタム架橋ペプチド〔PLA6,K10(COCH2CH2S−Chol),E16K20(ラクタム),D28〕G(2−29)アミドの合成
配列HO−PLA−TSDKSKYLDERRAKDFVQWLMDTを有するペプチジル樹脂〔PLA6,K10,E16,K20,D28〕グルカゴン(6−29)は、0.2mmolのMBHAアミド樹脂を用い、結合試薬としてDEPBTを用いるABI 430A自動ペプチド合成機を使用した固相Boc化学により合成した。以下のBocアミノ酸を使用した:Ala、Arg(Tos)、Asp(OcHx)、Asn(Xan)、Glu(OcHx)、Gln(Xan)、Leu、Lys(2−Cl−Z)、Met、PLA、Ser(OBzl)、Thr(OBzl)、Trp(HOC)、Tyr(2,6−ジ−Cl−Bzl)及びVal(但し、16位のグルタミン酸は、Boc−Glu(OFm)−OHにより組み込まれ、20位のリシンは、Boc−Lys(Fmoc)−OHにより組み込まれ、10位のリシンは、Boc−Lys(Alloc)−OHにより組み込まれた)。DMF中20%ピペリジンにより16及び20位のFm及びFmoc保護基を除去した後、ペプチジル樹脂を10%DIEA/DMF中のDEPBT 300mg(1mmol)で4時間処理して、ラクタム架橋を形成した。このラクタム架橋ペプチジル樹脂を、10mLのCHCl
3中の100mg(0.4当量)のPd(PPh
3)
4、120uLのPhSiH
3、0.25mLのN−メチルモルホリン及び0.5mLの酢酸から構成される溶液によりN
2雰囲気下で約3時間処理して、Alloc基を除去した。次に3−トリチルチオプロピオン酸をDEPBTとカップリングして、HO−PLA−Thr−Ser−Asp−Lys(COCH
2CH
2SH)−Ser−Lys−Tyr−Leu−Asp−Glu
*−Arg−Arg−Ala−Lys
*−Asp−Phe−Val−Gln−Trp−Leu−Met−Asp−Thr−NH
2(
*はラクタム架橋されている)の配列を有するペプチジル樹脂を得た。
【0351】
ペプチジル樹脂を液体フッ化水素で処理して、固体支持体から粗ペプチドを切断し、全ての保護基を除去した。ペプチドを、分取HPLCにより精製し、MS及び分析RP−HPLCにより分析した。精製したペプチドは、分析RP−HPLCにより単一ピークを示し、ESI−MS分析により、ペプチド〔PLA6,K10(CH2CH2SH),E16K20(ラクタム),D28〕G(6−29)アミドの計算分子量の3051.0ダルトンに相当する所望の質量の3050.7を生じた。
【0352】
コレステロール結合ペプチド〔PLA6,K10(COCH2CH2S−Chol),E16K20(ラクタム),D28〕G(6−29)アミドを合成するために、10mg(3.28μM)の〔PLA6,K10(COCH2CH2SH),E16K20(ラクタム),D28〕G(6−29)アミドを、50mMのトリス−HClを含有する7M尿素緩衝液(pH8.0)2mLに溶解した。この溶液に、10mg(9μM)のコレステロール試薬Br−Oxa
12−Chol(下記の構造を参照すること)を、室温で加えた。反応をHPLCによりモニターした。約4時間後、反応溶液をHPLCにより直接精製した。精製したコレステロール結合ペプチドは、分析クロマトグラフィーにより単一ピークを示し、ESI−MS分析により、ペプチド〔PLA6,K10(COCH2CH2S−Chol),E16K20(ラクタム),D28〕G(6−29)アミドの計算分子量の4073.0ダルトンに相当する所望の質量の4973.0を生じた。
【0354】
同様の手順を使用して、本特許出願に報告されている〔PLA6,E16K20(ラクタム),D28,K30(COCH2CH2S−Chol)〕G(6−30)アミド及び〔PLA6,E16K20(ラクタム),D28,K40(COCH2CH2S−Chol)〕G(6−40)アミドのような、その他のコレステロール結合・ラクタム架橋ペプチドを合成した。
【0355】
コレステロール化ペプチドを、GLP−1受容体に対するアゴニスト活性及びグルカゴン受容体に対するアンタゴニスト活性について、実施例13に実質的に記載されているように試験した。GLP−1受容体に対するペプチドのEC50、及び0.4nMグルカゴンで刺激されたグルカゴン受容体に対するIC50を表23に示す。
【0356】
【表23】
標準偏差が()内に示されている。
*2つの異なるアッセイの結果が示されている。
【0357】
〔実施例22〕
ここに記載されている全てのペプチドは、特に示されていない限り、C末端カルボキシレートの代わりにC末端アミドを含む。ペプチドの名称で指定されているアミノ酸位置は、天然グルカゴンの番号付けに従っている。
【0358】
グルカゴンアンタゴニスト/GLP−1ペプチドへのアルファ,アルファ−二置換アミン酸の組み込みを介したアルファ−へリックスの安定化の効果を探求した。6位のPheの代わりにPLAを含み、16位にAIBを含み(天然グルカゴンの番号付けによる)、C末端アミドを含むように修飾された、アミノ酸6−29のグルカゴンを含むペプチド(配列番号97)を作製し、グルカゴンアンタゴニスト活性及びGLP−1アゴニスト活性について試験した。0.2nMのグルカゴンに反応するグルカゴン受容体に対するIC50は、一つのアッセイでは7.04(0.69)であり、別のアッセイでは22.0(2.84)であった(SDが括弧内に提示されている)。GLP−1受容体に対するEC50は、795(31.2)であった。
【0359】
〔実施例23〕
ここに記載されている全てのペプチドは、特に示されていない限り、C末端カルボキシレートの代わりにC末端アミドを含む。ペプチドの名称で指定されているアミノ酸位置は、天然グルカゴンの番号付けに従っている。
【0360】
グルカゴンアンタゴニスト/GLP−1アゴニストペプチドを修飾して、PLA含有デシペプチドにした、並びに/又はグルカゴンの2位及び3位の天然アミノ酸の代わりにこれらの位置にGLP−1の天然アミノ酸を含ませた(番号付けは天然GLP−1及びグルカゴンに従った)。次にペプチドをグルカゴンアンタゴニスト及びGLP−1活性について試験した。アッセイの結果を表24に示す。
【0362】
〔実施例24〕
ここに記載されている全てのペプチドは、特に示されていない限り、C末端カルボキシレートの代わりにC末端アミドを含む。ペプチドの名称で指定されているアミノ酸位置は、天然グルカゴンの番号付けに従っている。
【0363】
以下のペプチドを上記に一般的に記載されたように合成し、続いて、実施例13に一般的に記載されているように、ヒトGLP−1受容体を発現する細胞からのcAMP放出をアッセイすることにより、GLP−1受容体を刺激する能力について試験し、また、0.5nMのグルカゴンにより刺激したヒトグルカゴン受容体発現細胞からのcAMP放出をアッセイすることによって、グルカゴン受容体を刺激する能力について試験した。アッセイの結果を表25に示す。
【0364】
【表25】
(O
*)はデプシペプチド結合を表す。