特許第5771008号(P5771008)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5771008
(24)【登録日】2015年7月3日
(45)【発行日】2015年8月26日
(54)【発明の名称】軟質の熱可塑性エラストマー組成物
(51)【国際特許分類】
   C08G 18/40 20060101AFI20150806BHJP
   C08L 75/04 20060101ALI20150806BHJP
   C08L 57/02 20060101ALI20150806BHJP
   C08L 67/02 20060101ALI20150806BHJP
   C08L 77/06 20060101ALI20150806BHJP
【FI】
   C08G18/40
   C08L75/04
   C08L57/02
   C08L67/02
   C08L77/06
【請求項の数】37
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2010-544385(P2010-544385)
(86)(22)【出願日】2009年1月20日
(65)【公表番号】特表2011-510158(P2011-510158A)
(43)【公表日】2011年3月31日
(86)【国際出願番号】US2009031435
(87)【国際公開番号】WO2009094332
(87)【国際公開日】20090730
【審査請求日】2012年1月16日
(31)【優先権主張番号】61/023,144
(32)【優先日】2008年1月24日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/093,568
(32)【優先日】2008年9月2日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506347528
【氏名又は名称】ルブリゾル アドバンスド マテリアルズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100062409
【弁理士】
【氏名又は名称】安村 高明
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】メルツァー, ドナルド エー.
(72)【発明者】
【氏名】ホライオン, ジャックス ペ.ウ.ジ
(72)【発明者】
【氏名】モンタギュー, ギルバート ティー.
(72)【発明者】
【氏名】モージアー, パトリック イー.
【審査官】 小森 勇
(56)【参考文献】
【文献】 特表2001−520251(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 18/40
C08L 57/02
C08L 67/02
C08L 75/04
C08L 77/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(I)(1)少なくとも1つの疎水性ポリオール、(2)ポリイソシアネートと、(3)1,12−ドデカンジオールを含む少なくとも1つの鎖延長剤との反応生成物であって、該疎水性ポリオールは、1,000ダルトンから4,000ダルトンの範囲内にある数平均分子量を有し、該疎水性熱可塑性ブロック共重合体は、50,000ダルトンから1,000,000ダルトンの範囲内にある重量平均分子量を有する、疎水性熱可塑性ブロック共重合体と、
(II)1重量パーセントから80重量パーセントの鉱油、植物油または植物油のアルキルエステルと、
で構成される軟質の半結晶熱可塑性エラストマー組成物であって、
該疎水性ポリオールは、26から44の炭素原子を含む二量化脂肪酸から調製された二塩基酸ポリエステルポリオールである、
軟質の半結晶熱可塑性エラストマー組成物。
【請求項2】
前記疎水性熱可塑性ブロック共重合体は、ポリウレタンである、請求項1に記載の軟質の半結晶熱可塑性エラストマー組成物。
【請求項3】
前記ポリイソシアネートは、ジイソシアネートである、請求項2に記載の軟質の半結晶熱可塑性エラストマー組成物。
【請求項4】
前記ポリイソシアネートは、芳香族ジイソシアネートである、請求項2に記載の軟質の半結晶熱可塑性エラストマー組成物。
【請求項5】
前記芳香族ジイソシアネートは、4,4’−メチレンビス−(フェニルイソシアネート)、m−キシレンジイソシアネート、フェニレン−1,4−ジイソシアネート、ナフタレン−1,5−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジイソシアネート、およびトルエンジイソシアネートからなる群から選ばれる、請求項4に記載の軟質の半結晶熱可塑性エラストマー組成物。
【請求項6】
前記芳香族ジイソシアネートは、4,4’−メチレンビス−(フェニルイソシアネート)である、請求項4に記載の軟質の半結晶熱可塑性エラストマー組成物。
【請求項7】
前記疎水性ポリオールは、2,000ダルトンから3,000ダルトンの範囲内にある数平均分子量を有する、請求項1に記載の軟質の半結晶熱可塑性エラストマー組成物。
【請求項8】
前記鎖延長剤は、1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,4−BDO、1,6−HDO、またはHQEE、あるいはそれらの混合物をさらに含む、請求項1に記載の軟質の半結晶熱可塑性エラストマー組成物。
【請求項9】
前記ジイソシアネートに対する前記鎖延長剤のモル比は、0.3:1から10:1の範囲内にある、請求項1に記載の軟質の半結晶熱可塑性エラストマー組成物。
【請求項10】
前記ジイソシアネートに対する前記鎖延長剤のモル比は、0.5:1から3:1の範囲内にある、請求項1に記載の軟質の半結晶熱可塑性エラストマー組成物。
【請求項11】
前記ジイソシアネートに対する前記鎖延長剤のモル比は、0.5:1から2:1の範囲内にある、請求項1に記載の軟質の半結晶熱可塑性エラストマー組成物。
【請求項12】
前記半結晶熱可塑性ポリウレタンは、90℃を超える融点を有し、0℃未満のガラス転移温度を有する、請求項1に記載の軟質の半結晶熱可塑性エラストマー組成物。
【請求項13】
前記エラストマーは、1.0未満の比重を有する、請求項1に記載の軟質の半結晶熱可塑性エラストマー組成物。
【請求項14】
前記エラストマーは、20から80の範囲内にあるショアA硬度を有する、請求項1に記載の軟質の半結晶熱可塑性エラストマー組成物。
【請求項15】
前記鉱油、植物油または植物油のアルキルエステル、10重量パーセントから0重量パーセントの範囲内にあるレベルで存在する、請求項1に記載の軟質の半結晶熱可塑性エラストマー組成物。
【請求項16】
前記鉱油は、20重量パーセント未満のシクロアルカンを含む、請求項1に記載の軟質の半結晶熱可塑性エラストマー組成物。
【請求項17】
前記鉱油は、the American Petroleum Institute Base Oil Interchangeability Guidelinesにおいて規定されているグループI、グループII、グループIII、グループIV、またはグループVからの基油である、請求項1に記載の軟質の半結晶熱可塑性エラストマー組成物。
【請求項18】
物油を含む、請求項1に記載の軟質の半結晶熱可塑性エラストマー組成物。
【請求項19】
物油のアルキルエステルを含む、請求項1に記載の軟質の半結晶熱可塑性エラストマー組成物。
【請求項20】
硬質の基材の上へオーバーモールドされた軟質の半結晶熱可塑性エラストマー組成物で構成される製造物品であって、
該軟質の半結晶熱可塑性エラストマー組成物は、(I)(1)少なくとも1つの疎水性ポリオールと、(2)ポリイソシアネートと、(3)1,12−ドデカンジオールを含む少なくとも1つの鎖延長剤との反応生成物であって、該疎水性ポリオールは、1,000ダルトンから4,000ダルトンの範囲内にある数平均分子量を有し、該疎水性熱可塑性ブロック共重合体は、50,000ダルトンから1,000,000ダルトンの範囲内にある重量平均分子量を有する、疎水性熱可塑性ブロック共重合体と、
(II)1重量パーセントから80重量パーセントの鉱油、植物油または植物油のアルキルエステル
で構成され、
該疎水性ポリオールは、26から44の炭素原子を含む二量化脂肪酸から調製された二塩基酸ポリエステルポリオールである、
製造物品。
【請求項21】
(1)疎水性ポリオールと、(2)ポリイソシアネートと、(3)1,12−ドデカンジオールとの反応生成物で構成される半結晶熱可塑性ポリウレタンであって、
該疎水性ポリオールは、1,000から4,000の範囲内にある数平均分子量を有し、該半結晶熱可塑性ポリウレタンは、50,000から1,000,000の範囲内にある重量平均分子量を有し、該半結晶熱可塑性ポリウレタンは、80℃から150℃の範囲内にある融点を有し、
該疎水性ポリオールは、26から44の炭素原子を含む二量化脂肪酸から調製された二塩基酸ポリエステルポリオールである、
半結晶熱可塑性ポリウレタン。
【請求項22】
前記半結晶熱可塑性ポリウレタンは、1.1未満の密度を有する、請求項21に記載の半結晶熱可塑性ポリウレタン。
【請求項23】
前記ポリイソシアネートは、ジイソシアネートである、請求項21に記載の半結晶熱可塑性ポリウレタン。
【請求項24】
前記ポリイソシアネートは、芳香族ジイソシアネートである、請求項21に記載の半結晶熱可塑性ポリウレタン。
【請求項25】
前記芳香族ジイソシアネートは、4,4’−メチレンビス−(フェニルイソシアネート)、m−キシレンジイソシアネート、フェニレン−1,4−ジイソシアネート、ナフタレン−1,5−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジイソシアネート、およびトルエンジイソシアネートからなる群から選ばれる、請求項24に記載の半結晶熱可塑性ポリウレタン。
【請求項26】
前記芳香族ジイソシアネートは、4,4’−メチレンビス−(フェニルイソシアネート)である、請求項24に記載の半結晶熱可塑性ポリウレタン。
【請求項27】
前記疎水性ポリオールは、2,000から3,000の範囲内にある数平均分子量を有する、請求項21に記載の半結晶熱可塑性ポリウレタン。
【請求項28】
前記疎水性ポリオールは、36の炭素原子を含む二量化脂肪酸から調製された二塩基酸ポリエステルポリオールである、請求項21に記載の半結晶熱可塑性ポリウレタン。
【請求項29】
前記ジイソシアネートに対する前記鎖延長剤のモル比は、0.3:1から10:1の範囲内にある、請求項21に記載の半結晶熱可塑性ポリウレタン。
【請求項30】
前記ジイソシアネートに対する前記鎖延長剤のモル比は、0.5:1から3:1の範囲内にある、請求項21に記載の半結晶熱可塑性ポリウレタン。
【請求項31】
前記ジイソシアネートに対する前記鎖延長剤のモル比は、0.5:1から2:1の範囲内にある、請求項21に記載の半結晶熱可塑性ポリウレタン。
【請求項32】
前記半結晶熱可塑性ポリウレタンは、110℃〜140℃の範囲内にある融点を有する、請求項21に記載の半結晶熱可塑性ポリウレタン。
【請求項33】
前記半結晶熱可塑性ポリウレタンは、0℃未満のガラス転移温度を有する、請求項21に記載の半結晶熱可塑性ポリウレタン。
【請求項34】
請求項21に記載の半結晶熱可塑性ポリウレタンと、該半結晶熱可塑性ポリウレタンの重量を基準として1重量パーセントから100重量パーセントの鉱油、植物油または植物油のアルキルエステルで構成される熱可塑性ポリウレタン組成物。
【請求項35】
硬質の基材の上へオーバーモールドされた軟質の熱可塑性ポリウレタンで構成される製造物品であって、該軟質の熱可塑性ポリウレタンは、(1)疎水性ポリオールと、(2)ポリイソシアネートと、(3)1,12−ドデカンジオールとの反応生成物で構成され、該疎水性ポリオールは、1,500から4,000の範囲内にある数平均分子量を有し、該軟質の熱可塑性ポリウレタンは、50,000から1,000,000の範囲内にある重量平均分子量を有し、該軟質の熱可塑性ポリウレタンは、80℃から150℃の範囲内にある融点を有し、
該疎水性ポリオールは、26から44の炭素原子を含む二量化脂肪酸から調製された二塩基酸ポリエステルポリオールである、
製造物品。
【請求項36】
熱可塑性エラストマーとポリオレフィンとの相溶化ブレンドであって、該ブレンド中の該熱可塑性エラストマーと該ポリオレフィンとの全重量を基準として5重量パーセントから95重量パーセントの該熱可塑性エラストマーと、95重量パーセントから5重量パーセントの該ポリオレフィンと、該熱可塑性エラストマーと該ポリオレフィンとを相溶化させるのに有効な量の相溶化剤とを含み、該相溶化剤は、(1)疎水性ポリオールと、(2)ポリイソシアネートと、(3)1,12−ドデカンジオールとの反応生成物で構成される半結晶熱可塑性ポリウレタンであり、該疎水性ポリオールは、1,000から4,000の範囲内にある数平均分子量を有し、該半結晶熱可塑性ポリウレタンは、50,000から1,000,000の範囲内にある重量平均分子量を有し、該半結晶熱可塑性ポリウレタンは、80℃から150℃の範囲内にある融点を有し、
該疎水性ポリオールは、26から44の炭素原子を含む二量化脂肪酸から調製された二塩基酸ポリエステルポリオールである、
相溶化ブレンド。
【請求項37】
前記相溶化剤の前記有効な量は、前記ブレンド中の前記熱可塑性エラストマーと前記ポリオレフィンとの全重量を基準として100部あたり0.25重量部から15重量部である、請求項36に記載の相溶化ブレンド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、20から80の範囲内にあるショアA硬度を有する、鉱油を含む軟質の疎水性半結晶熱可塑性ポリウレタン組成物に関する。多くの場合にこれらのポリウレタン組成物は、40から70の範囲内にあるショアA硬度を有する。通常、これらのポリウレタン組成物は、異例に低い、すなわち1.0を下回るかまたは0.97さえ下回る比重も有する。この疎水性熱可塑性ポリウレタン組成物は、さまざまな製品を製造する上で利用することが非常に望ましい固有の多数の特性を提供する。例えば、この疎水性熱可塑性ポリウレタン組成物は、消費者向け製品の上へ軟質のグリップをオーバーモールドする際に、および保護コーティングにおいて用いることができる。本発明の別の実施態様は、約80℃から約150℃の範囲内にある融点を有し、1.1を下回るかまたは1.0さえ下回る異例に低い比重を示す、軟質の疎水性半結晶熱可塑性ポリウレタンに関する。この疎水性熱可塑性ポリウレタンは、さまざまな製品を製造する上で利用することが非常に望ましい固有の数々の特性を提供する。例えば、この疎水性熱可塑性ポリウレタンは、消費者向け製品の上へ軟質のグリップをオーバーモールドする際に、接着剤において、保護コーティングにおいて、およびポリオレフィンなどの高分子炭化水素のための改質材として、またはポリオレフィン/TPUブレンドのための相容化剤として用いることができる。
【背景技術】
【0002】
通常、TPU(熱可塑性ポリウレタン)ポリマーは、(1)ヒドロキシル末端ポリエーテルまたはヒドロキシル末端ポリエステルと、(2)鎖延長剤と、(3)イソシアネート化合物とを反応させることによって作られる。これらの3つの反応体のそれぞれについてさまざまな化合物が文献に開示されている。これらの3つの反応体から作られるTPUポリマーにはさまざまな分野において用途がある。それらの分野では、押し出しおよび成型などのプロセスによって所望の物品を作り出すために、TPUをメルト加工し、TPUをさまざまな形状に成形することによって製品が作られている。TPUにとって重要な用途は、靴底、ホース、ケーブル外被、コンベヤーベルトなどの被覆織物、下水道ライニング材料、および印刷用ブランケット、保護コーティング、接着剤、および溶融紡糸した弾性繊維を製造することを含む。
【0003】
TPUは、軟質のセグメントと硬質のセグメントとを有するセグメント化ポリマーである。この特徴がTPUの優れた弾性特性の理由である。軟質のセグメントはヒドロキシル末端ポリエーテルまたはポリエステルから誘導され、硬質のセグメントはイソシアネートおよび鎖延長剤から誘導される。通常、鎖延長剤は、さまざまなグリコールの1つ、例えば1,4−ブタングリコールである。
【0004】
特許文献1は、ヒドロキシル末端ポリエーテルと、グリコール鎖延長剤と、ジイソシアネートとから作られるTPUを開示している。このTPUは、繊維、ゴルフボール芯、娯楽用乗り物、および他の使用品を作るのに有用であると記載されている。
【0005】
多数の利用形において、TPUが低い硬度を示すと望ましいであろう。これらの利用形の多くにおいて、TPUが疎水性であり、低い比重と低レベルの引張りセットとを同時に示すと望ましいであろう。低い比重は、TPUを鉱油中で膨潤させることによって実現することができる。しかし、通常、ポリ(ブチレンアジペート)(PBAd)、ポリ(エチレンオキシド)(PEO)、およびポリ(テトラメチレンオキシド)(PTMEG)などの従来からのポリオールを用いて作られているTPUは、2、3パーセント未満の鉱油しか吸収せず、従って所望の物理特性の組み合わせを有する軟質のTPUは得にくい。
【0006】
多くの家庭用品にはさまざまな形状およびサイズのプラスチックのハンドルが見いだされる。そのような家庭用品は、歯ブラシ、ひげ剃り用カミソリ、ヘアブラシ、ペン、工具、台所器具、および台所用品を含む。これらの家庭用品はさまざまな機能を有するが、ほとんどの場合、ユーザーの手から落ちないように、ユーザーがこれらの用品のハンドルをしっかり握ることが望ましい。他の場合、例えばナイフの場合、てこの力を加えることができるように、ハンドルはさらに強く握られることが望ましい。
【0007】
普通、家庭用品のハンドルは硬質のプラスチックで作られているため、年輩者および手の関節の関節炎にかかっている人々など、人によっては最も簡単な作業が問題となり得る。この問題は、歯ブラシまたはひげ剃り用カミソリなどの物品のハンドルが水と接触し、滑りやすくなる場合にはさらに面倒になる。例えば、歯ブラシまたはカミソリが濡れると、握りにくくなり、ユーザーの手から滑り落ちることがあり得る。工具および台所用品などの他の品目は、プラスチック材料の硬さのために保持するのが難しいかまたは握り心地が悪いハンドルを有することがあり得る。関節炎、手根管症候群、あるいは他の手の損傷または無力症にかかっている人にとって、当たり前の家庭用の物体を使用することが難しくなるかまたは不可能にさえなることがあり得る。
【0008】
ほとんどの人々は、触るとより多くの安心感があり、握りやすい軟質のハンドルで物体を保持するのを好むであろう。従って、確実かつ快適につかむことができ、握り、取り回すのに最小限の力と器用さとが必要な軟質のグリップハンドルが求められている。従って、触ると柔らかく、安心感がある多種多様な物品がますます求められている。もちろん、物品が用いられる用途において必要な強さ、耐久性および剛性を有することもこれらの物品にとって重要である。これは、硬質の熱可塑性基材の上へ軟質の熱可塑性組成物をオーバーモールド(overmold)することによって実現することができる。しかし、硬質の熱可塑性樹脂基材の上へオーバーモールドすることができる軟質の熱可塑性エラストマー組成物が求められている。この場合、軟質の熱可塑性組成物は、より低い硬度と低い圧縮セットとを有する。現在、例えばシンジオタクチックポリプロピレン共重合体を用いることによって得られるものより優れた感触と快適さとを有する、より低い弾性率を特徴とする熱可塑性組成物が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第5,959,059号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の軟質の疎水性半結晶熱可塑性エラストマー組成物は、消費者向け製品および産業向け製品を製造する際に、さまざまな用途にとって非常に望ましい固有の数々の化学特性および物理特性を提供する。これらの組成物は疎水性であり、通常、約20から約80の範囲内にあるショアA硬度と約1.0g/cm未満の低い比重とを同時に有する。場合によっては、本発明のエラストマー組成物は、0.97g/cm未満の比重を有する。普通、この組成物は、低い引張りセットも提供する。通常、本発明の軟質の疎水性半結晶熱可塑性エラストマーは、約0℃未満のガラス転移温度も示す。この固有の特性の組み合わせによって、本発明の軟質の疎水性半結晶熱可塑性エラストマー組成物は、接着剤、保護コーティング、印刷用ブランケット、およびさまざまな消費者向け製品用のオーバーモールドされたグリップを製造する際に利用すると有用である。
【0011】
より詳しくは、本発明は、軟質の半結晶熱可塑性エラストマー組成物を開示する。軟質の半結晶熱可塑性エラストマー組成物は、(I)疎水性熱可塑性ブロック共重合体と、(II)1重量パーセントから約80重量パーセントの鉱油とで構成される。疎水性熱可塑性ブロック共重合体は、(I)(1)1つ以上の疎水性ポリオールまたはポリアミンと、(2)ポリイソシアネートまたは芳香族ジカルボン酸と、(3)2から20の炭素原子を含む1つ以上の鎖延長剤との反応生成物、あるいは(1)少なくとも1つの疎水性ポリオールまたはポリアミンと、(2)カルボキシル末端テレケリックポリアミド配列との反応生成物で構成される。疎水性ポリオールまたはポリアミンは、約1,000ダルトンから約4,000ダルトンの範囲内にある数平均分子量を有する。疎水性熱可塑性ブロック共重合体は、50,000ダルトンから1,000,000ダルトンの範囲内にある重量平均分子量を有する。疎水性熱可塑性ブロック共重合体は、約90℃を超える融点を有する。
【0012】
本発明は、硬質の基材の上へオーバーモールドされた軟質の半結晶熱可塑性エラストマー組成物で構成される製造物品も開示する。軟質の半結晶熱可塑性エラストマー組成物は、(I)疎水性熱可塑性ブロック共重合体と、(II)1重量パーセントから約80重量パーセントの鉱油とで構成される。疎水性熱可塑性ブロック共重合体は、(1)少なくとも1つの疎水性ポリオールまたはポリアミンと、(2)ポリイソシアネートまたは芳香族ジカルボン酸と、(3)2から20の炭素原子を含む少なくとも1つの鎖延長剤との反応生成物、あるいは(1)少なくとも1つの疎水性ポリオールまたはポリアミンと、(2)カルボキシル末端テレケリックポリアミド配列との反応生成物で構成される。疎水性ポリオールまたはポリアミンは、約1,000ダルトンから約4,000ダルトンの範囲内にある数平均分子量を有する。疎水性熱可塑性ブロック共重合体は、50,000ダルトンから1,000,000ダルトンの範囲内にある重量平均分子量を有する。
【0013】
本発明の別の実施態様は、消費者向け製品および産業向け製品を製造する際に、さまざまな用途にとって非常に望ましい固有の多数の化学特性および物理特性を提供する軟質の疎水性半結晶熱可塑性ポリウレタンに関する。より詳しくは、このTPUは、高い引張り強さおよび高い破断時伸び率と、約175℃未満の融点とを同時に示す。このTPUはまた、疎水性であり、1.1未満の密度を有し、低い引張りセットを提供し、鉱油中で膨潤させることができる。通常、このTPUは、約0℃未満のガラス転移温度を示す。この固有の特性の組み合わせによって、本発明のこの実施態様のTPUは、接着剤、保護コーティング、印刷用ブランケット、およびさまざまな消費者向け製品用のオーバーモールドされたグリップを製造する際に利用すると有用である。
【0014】
より詳しくは、本発明は、(1)疎水性ポリオールと、(2)ポリイソシアネートと、(3)5つの炭素原子または7から12の炭素を含む直鎖の鎖延長剤との反応生成物で構成される半結晶熱可塑性ポリウレタンを開示する。疎水性ポリオールは、約1,000から約4,000の範囲内にある数平均分子量を有する。半結晶熱可塑性ポリウレタンは、50,000から1,000,000の範囲内にある重量平均分子量を有する。半結晶熱可塑性ポリウレタンは、80℃から150℃の範囲内にある融点を有する。
【0015】
さらに、本発明は、(I)半結晶熱可塑性ポリウレタンと、(II)半結晶熱可塑性ポリウレタンの重量を基準として約1重量パーセントから約100重量パーセントの鉱油とで構成される熱可塑性ポリウレタン組成物を明らかにする。半結晶熱可塑性ポリウレタンは、(1)疎水性ポリオールと、(2)ポリイソシアネートと、(3)5つの炭素原子または7から12の炭素を含む直鎖の鎖延長剤との反応生成物で構成される。疎水性ポリオールは、約1,000から約4,000の範囲内にある数平均分子量を有する。半結晶熱可塑性ポリウレタンは、50,000から1,000,000の範囲内にある重量平均分子量を有する。半結晶熱可塑性ポリウレタンは、80℃から150℃の範囲内にある融点を有する。
【0016】
本発明は、硬質の基材の上へオーバーモールドされた軟質の熱可塑性ポリウレタンで構成される製造物品も開示する。軟質の熱可塑性ポリウレタンは、(1)疎水性ポリオールと、(2)ポリイソシアネートと、(3)5つの炭素原子または7から12の炭素を含む直鎖の鎖延長剤との反応生成物で構成される。疎水性ポリオールは、約1,000から約4,000の範囲内にある数平均分子量を有する。軟質の熱可塑性ポリウレタンは、50,000から1,000,000の範囲内にある重量平均分子量を有する。軟質の熱可塑性ポリウレタンは、80℃から150℃の範囲内にある融点を有する。そのような軟質の熱可塑性ポリウレタンは、組成物をさらに柔らかくし、材料の全コストを引き下げるために、さらに鉱油を含むことが望ましいことがよくある。そのような場合には、通常、鉱油は、熱可塑性ポリウレタンの重量を基準として1重量パーセントから100重量パーセントの範囲内の量で存在する。
【0017】
さらに、本発明は、熱可塑性エラストマーとポリオレフィンとの相溶化ブレンドを明らかにする。相溶化ブレンドは、ブレンド中の前記熱可塑性エラストマーと前記ポリオレフィンとの全重量を基準として約5重量パーセントから約95重量パーセントの熱可塑性エラストマーおよび約95重量パーセントから約5重量パーセントのポリオレフィンと、前記熱可塑性エラストマーおよび前記ポリオレフィンを相溶化させるのに有効な量の相溶化剤とを含む。前記相溶化剤は、(1)疎水性ポリオールと、(2)ポリイソシアネートと、(3)5つの炭素原子または7から12の炭素原子を含む直鎖の鎖延長剤との反応生成物で構成される半結晶熱可塑性ポリウレタンである。疎水性ポリオールは、約1,000から約4,000の範囲内にある数平均分子量を有する。半結晶熱可塑性ポリウレタンは、50,000から1,000,000の範囲内にある重量平均分子量を有する。半結晶熱可塑性ポリウレタンは、80℃から150℃の範囲内にある融点を有する。通常、そのようなブレンド中の前記相溶化剤の有効な量は、ブレンド中の前記熱可塑性エラストマーと前記ポリオレフィンとの全重量を基準として100部あたり約0.25重量部から約15重量部の範囲内にある。
一実施形態において、例えば、以下の項目が提供される。
(項目1)
(I)(1)少なくとも1つの疎水性ポリオールまたはポリアミンと、(2)ポリイソシアネートまたは芳香族ジカルボン酸と、(3)2から20の炭素原子を含む少なくとも1つの鎖延長剤との反応生成物、または(1)少なくとも1つの疎水性ポリオールまたはポリアミンと、(2)カルボキシル末端テレケリックポリアミド配列との反応生成物で構成される疎水性熱可塑性ブロック共重合体であって、前記疎水性ポリオールまたはポリアミンは、約1,000ダルトンから約4,000ダルトンの範囲内にある数平均分子量を有し、前記疎水性熱可塑性ブロック共重合体は、50,000ダルトンから1,000,000ダルトンの範囲内にある重量平均分子量を有する、疎水性熱可塑性ブロック共重合体と、(II)1重量パーセントから約80重量パーセントの鉱油と、で構成される軟質の半結晶熱可塑性エラストマー組成物。
(項目2)
前記疎水性熱可塑性ブロック共重合体は、ポリウレタンである、項目1に記載の軟質の半結晶熱可塑性エラストマー組成物。
(項目3)
前記ポリイソシアネートは、ジイソシアネートである、項目2に記載の軟質の半結晶熱可塑性エラストマー組成物。
(項目4)
前記ポリイソシアネートは、芳香族ジイソシアネートである、項目2に記載の軟質の半結晶熱可塑性エラストマー組成物。
(項目5)
前記芳香族ジイソシアネートは、4,4’−メチレンビス−(フェニルイソシアネート)、m−キシレンジイソシアネート、フェニレン−1,4−ジイソシアネート、ナフタレン−1,5−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジイソシアネート、およびトルエンジイソシアネートからなる群から選ばれる、項目4に記載の軟質の半結晶熱可塑性エラストマー組成物。
(項目6)
前記芳香族ジイソシアネートは、4,4’−メチレンビス−(フェニルイソシアネート)である、項目4に記載の軟質の半結晶熱可塑性エラストマー組成物。
(項目7)
前記疎水性ポリオールは、約2,000ダルトンから約3,000ダルトンの範囲内にある数平均分子量を有する、項目1に記載の軟質の半結晶熱可塑性エラストマー組成物。
(項目8)
前記疎水性ポリオールは、脂肪二酸および/または脂肪ジオールから構成される、項目1に記載の軟質の半結晶熱可塑性エラストマー組成物。
(項目9)
前記脂肪二酸は、8から44の炭素原子を含む、項目8に記載の軟質の半結晶熱可塑性エラストマー組成物。
(項目10)
前記脂肪二酸は、12〜36の炭素原子を含む、項目8に記載の軟質の半結晶熱可塑性エラストマー組成物。
(項目11)
前記鎖延長剤は、1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,4−BDO、1,6−HDO、またはHQEE、あるいはそれらの混合物である、項目1に記載の軟質の半結晶熱可塑性エラストマー組成物。
(項目12)
ジイソシアネートに対する前記鎖延長剤のモル比は、約0.3:1から10:1の範囲内にある、項目1に記載の軟質の半結晶熱可塑性エラストマー組成物。
(項目13)
ジイソシアネートに対する前記鎖延長剤のモル比は、約0.5:1から3:1の範囲内にある、項目1に記載の軟質の半結晶熱可塑性エラストマー組成物。
(項目14)
ジイソシアネートに対する前記鎖延長剤のモル比は、約0.5:1から2:1の範囲内にある、項目1に記載の軟質の半結晶熱可塑性エラストマー組成物。
(項目15)
半結晶熱可塑性ポリウレタンは、約90℃を超える融点を有し、0℃未満のガラス転移温度を有する、項目1に記載の軟質の半結晶熱可塑性エラストマー組成物。
(項目16)
前記エラストマーは、約1.0未満の比重を有する、項目1に記載の軟質の半結晶熱可塑性エラストマー組成物。
(項目17)
前記エラストマーは、20から80の範囲内にあるショアA硬度を有する、項目1に記載の軟質の半結晶熱可塑性エラストマー組成物。
(項目18)
前記鉱油は、約10重量パーセントから約70重量パーセントの範囲内にあるレベルで存在する、項目1に記載の軟質の半結晶熱可塑性エラストマー組成物。
(項目19)
前記鉱油は、20重量パーセント未満のシクロアルカンを含む、項目1に記載の軟質の半結晶熱可塑性エラストマー組成物。
(項目20)
前記鉱油は、the American Petroleum Institute Base Oil Interchangeability Guidelinesにおいて規定されているグループI、グループII、グループIII、グループIV、またはグループVからの基油である、項目1に記載の軟質の半結晶熱可塑性エラストマー組成物。
(項目21)
前記鉱油は、植物油である、項目1に記載の軟質の半結晶熱可塑性エラストマー組成物。
(項目22)
前記鉱油は、植物油のアルキルエステルである、項目1に記載の軟質の半結晶熱可塑性エラストマー組成物。
(項目23)
硬質の基材の上へオーバーモールドされた軟質の半結晶熱可塑性エラストマー組成物で構成される製造物品であって、該軟質の半結晶熱可塑性エラストマー組成物は、(I)(1)少なくとも1つの疎水性ポリオールまたはポリアミンと、(2)ポリイソシアネートまたは芳香族ジカルボン酸と、(3)2から20の炭素原子を含む少なくとも1つの鎖延長剤との反応生成物、または(1)少なくとも1つの疎水性ポリオールまたはポリアミンと、(2)カルボキシル末端テレケリックポリアミド配列との反応生成物で構成される疎水性熱可塑性ブロック共重合体であって、該疎水性ポリオールまたはポリアミンは、約1,000ダルトンから約4,000ダルトンの範囲内にある数平均分子量を有し、該疎水性熱可塑性ブロック共重合体は、50,000ダルトンから1,000,000ダルトンの範囲内にある重量平均分子量を有する、疎水性熱可塑性ブロック共重合体と、(II)1重量パーセントから約80重量パーセントの鉱油とで構成される、製造物品。
(項目24)
(1)疎水性ポリオールと、(2)ポリイソシアネートと、(3)5つの炭素原子または7から12の炭素原子を含む直鎖の鎖延長剤との反応生成物で構成される半結晶熱可塑性ポリウレタンであって、該疎水性ポリオールは、約1,000から約4,000の範囲内にある数平均分子量を有し、該半結晶熱可塑性ポリウレタンは、50,000から1,000,000の範囲内にある重量平均分子量を有し、該半結晶熱可塑性ポリウレタンは、80℃から150℃の範囲内にある融点を有する、半結晶熱可塑性ポリウレタン。
(項目25)
前記半結晶熱可塑性ポリウレタンは、1.1未満の密度を有する、項目24に記載の半結晶熱可塑性ポリウレタン。
(項目26)
前記ポリイソシアネートは、ジイソシアネートである、項目24に記載の半結晶熱可塑性ポリウレタン。
(項目27)
前記ポリイソシアネートは、芳香族ジイソシアネートである、項目24に記載の半結晶熱可塑性ポリウレタン。
(項目28)
前記芳香族ジイソシアネートは、4,4’−メチレンビス−(フェニルイソシアネート)、m−キシレンジイソシアネート、フェニレン−1,4−ジイソシアネート、ナフタレン−1,5−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジイソシアネート、およびトルエンジイソシアネートからなる群から選ばれる、項目27に記載の半結晶熱可塑性ポリウレタン。
(項目29)
前記芳香族ジイソシアネートは、4,4’−メチレンビス−(フェニルイソシアネート)である、項目27に記載の半結晶熱可塑性ポリウレタン。
(項目30)
前記疎水性ポリオールは、約2,000から約3,000の範囲内にある数平均分子量を有する、項目24に記載の半結晶熱可塑性ポリウレタン。
(項目31)
前記疎水性ポリオールは、分岐二量化脂肪酸である、項目24に記載の半結晶熱可塑性ポリウレタン。
(項目32)
前記分岐二量化脂肪酸は、26から44の炭素原子を含む、項目31に記載の半結晶熱可塑性ポリウレタン。
(項目33)
前記分岐二量化脂肪酸は、36の炭素原子を含む、項目31に記載の半結晶熱可塑性ポリウレタン。
(項目34)
前記直鎖の鎖延長剤は、1,12−ドデカンジオールである、項目24に記載の半結晶熱可塑性ポリウレタン。
(項目35)
ジイソシアネートに対する前記鎖延長剤のモル比は、約0.3:1から10:1の範囲内にある、項目24に記載の半結晶熱可塑性ポリウレタン。
(項目36)
ジイソシアネートに対する前記鎖延長剤のモル比は、約0.5:1から3:1の範囲内にある、項目24に記載の半結晶熱可塑性ポリウレタン。
(項目37)
ジイソシアネートに対する前記鎖延長剤のモル比は、約0.5:1から2:1の範囲内にある、項目24に記載の半結晶熱可塑性ポリウレタン。
(項目38)
前記半結晶熱可塑性ポリウレタンは、110℃〜140℃の範囲内にある融点を有する、項目24に記載の半結晶熱可塑性ポリウレタン。
(項目39)
前記半結晶熱可塑性ポリウレタンは、0℃未満のガラス転移温度を有する、項目24に記載の半結晶熱可塑性ポリウレタン。
(項目40)
項目24に記載の半結晶熱可塑性ポリウレタンと、該半結晶熱可塑性ポリウレタンの重量を基準として約1重量パーセントから約100重量パーセントの鉱油と、で構成される熱可塑性ポリウレタン組成物。
(項目41)
硬質の基材の上へオーバーモールドされた軟質の熱可塑性ポリウレタンで構成される製造物品であって、該軟質の熱可塑性ポリウレタンは、(1)疎水性ポリオールと、(2)ポリイソシアネートと、(3)5つの炭素原子または7から12の炭素を含む直鎖の鎖延長剤との反応生成物で構成され、かぶせ成形疎水性ポリオールは、約1,500から約4,000の範囲内にある数平均分子量を有し、該軟質の熱可塑性ポリウレタンは、50,000から1,000,000の範囲内にある重量平均分子量を有し、該軟質の熱可塑性ポリウレタンは、80℃から150℃の範囲内にある融点を有する、製造物品。
(項目42)
熱可塑性エラストマーとポリオレフィンとの相溶化ブレンドであって、該ブレンド中の該熱可塑性エラストマーと該ポリオレフィンとの全重量を基準として約5重量パーセントから約95重量パーセントの該熱可塑性エラストマーと、約95重量パーセントから約5重量パーセントの該ポリオレフィンと、該熱可塑性エラストマーと該ポリオレフィンとを相溶化させるのに有効な量の相溶化剤とを含み、該相溶化剤は、(1)疎水性ポリオールと、(2)ポリイソシアネートと、(3)5つの炭素原子または7から12の炭素原子を含む直鎖の鎖延長剤との反応生成物で構成される半結晶熱可塑性ポリウレタンであり、該疎水性ポリオールは、約1,000から約4,000の範囲内にある数平均分子量を有し、該半結晶熱可塑性ポリウレタンは、50,000から1,000,000の範囲内にある重量平均分子量を有し、該半結晶熱可塑性ポリウレタンは、80℃から150℃の範囲内にある融点を有する、相溶化ブレンド。
(項目43)
前記相溶化剤の前記有効な量は、該ブレンド中の前記熱可塑性エラストマーと前記ポリオレフィンとの全重量を基準として100部あたり約0.25重量部から約15重量部である、項目42に記載の相溶化ブレンド。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の鉱油含有組成物中に用いられる疎水性熱可塑性ブロック共重合体は、ポリウレタン(TPU)、共重合ポリエステル(COPE)、共重合ポリアミド(COPA)、またはポリウレタンウレア(TPUU)であってよい。本発明の実施において用いることができる熱可塑性ポリウレタン(TPU)は、(1)少なくとも1つの疎水性ポリオールと、(2)ポリイソシアネートと、(3)2から20の炭素原子を含む少なくとも1つの鎖延長剤との反応生成物で構成される。疎水性ポリオールは、約1,000ダルトンから約4,000ダルトンの範囲内にある数平均分子量を有する。TPUは、50,000ダルトンから1,000,000ダルトンの範囲内にある重量平均分子量を有し、融点は、約90℃を上回る。
【0019】
本発明の実施において用いることができる共重合ポリアミド(COPAポリマー)は、ジカルボキシルポリアミドと疎水性ポリオールとの反応生成物であってよい。これらのブロック共重合体は、構造式:
【化1】
式中、Aはポリアミド配列を表し、Zは直鎖または分岐の疎水性ポリオールからの残基を表す、の繰り返し単位を有する。米国特許第4,220,838号および米国特許第4,332,920号に、この種類のCOPAポリマーおよびそれらの合成のための技法がより詳細に記載されている。米国特許第4,220,838号および米国特許第4,332,920号の教示は、本発明の実施において用いることができるCOPAポリマーおよびそれらの合成のための技法を例示する目的で、参照によって本明細書に組み込まれる。米国特許第4,223,112号によって、ラクタム、ポリオール、およびポリアシルラクタムを反応させることによって作られるCOPAポリマーが記載されている。米国特許第4,223,112号の教示は、本発明の実施において用いることができるこの種類のCOPAポリマーおよびその合成のための技法を例示する目的で、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0020】
本発明の実施において用いられる熱可塑性ポリウレタンウレア(TPUU)は、(1)疎水性ポリアミンと、(2)ポリイソシアネートと、(3)2から20の炭素原子を含む鎖延長剤との反応生成物で構成される。疎水性ポリオールは、約1,000ダルトンから約4,000ダルトンの範囲内にある数平均分子量を有する。TPUUは、50,000ダルトンから1,000,000ダルトンの範囲内にある重量平均分子量、および約100℃を上回る融点を有する。本発明の実施において用いられる熱可塑性共重合ポリエステル(COPE)は、(1)少なくとも1つの疎水性ポリオールと、(2)芳香族二塩基酸と、(3)2から20の炭素原子を含む少なくとも1つの鎖延長剤との反応生成物で構成される。疎水性ポリオールは、約1,000ダルトンから約4,000ダルトンの範囲内にある数平均分子量を有する。COPEは、50,000ダルトンから1,000,000ダルトンの範囲内にある重量平均分子量を有する。
【0021】
通常、本発明の組成物を製造する際に利用される疎水性熱可塑性ブロック共重合体は、(1)少なくとも1つの疎水性ポリオールと、(2)ポリイソシアネートまたは芳香族ジカルボン酸と、(3)2から20の炭素原子を含む少なくとも1つの鎖延長剤との反応生成物である。熱可塑性高分子を合成するためにこれらの反応体が重合させる技法は、従来の装置、触媒および手順を利用して行われる。しかし、重合は、約50,000ダルトンから約1,000,000ダルトンの範囲内にある重量平均分子量を実現する結果となるように行われる。もちろん、重合は、COPAの場合を除いて、少なくとも1つの疎水性ポリオールと2から20の炭素原子を含む少なくとも1つの鎖延長剤とを利用して行われる。COPAの場合には、少なくとも1つの疎水性ポリオールをカルボキシル末端テレケリックポリアミド配列と反応させる。通常、鎖延長剤は、2から12の炭素原子を含む直鎖の鎖延長剤である。
【0022】
本発明の実施において用いられる疎水性熱可塑性ブロック共重合体、例えばTPUを合成する際に用いられる疎水性ポリオールは、共役ジオレフィンモノマーのジオール、ポリイソブチレンジオール、脂肪ジオール(fatty diol)および/または脂肪二酸(fatty diacid)から調製されるポリエステルポリオール、またはそれらの混合物であってよい。例えば、用いることができる共役オレフィンモノマーのジオールは、水素化ポリブタジエンジオール、および水素化ポリイソプレンジオールを含む。水素化ポリブタジエンポリオールは、Mitsubishi Chemical Corporationによって商品名POLYTAILで販売され、Kratonポリオールはテキサス州のヒューストンのKraton Polymersによって販売されている。
【0023】
約8から約44の炭素原子を含む二塩基酸ポリエステルポリオールは、本発明の実施における疎水性ポリオールとしての利用に良好に適している。脂肪二酸(およびそれらのエステル)は、良く知られている市販の種類のジカルボン酸(またはエステル)である。脂肪二酸(およびそれらのエステル)は、例えば、通常13から22の炭素原子の不飽和長鎖脂肪族モノカルボン酸またはそれらのエステル(アルキルエステル)を二量化することによって調製することができる。通常、前記二量体酸は、26から44の炭素原子を含む。詳しくは、例は、C18およびC22の不飽和モノカルボン酸(またはエステル)から誘導される二量体酸(またはエステル)を含む。これらは、それぞれC36およびC44の二量体酸(またはエステル)を生じる。リノール酸およびリノレン酸などの酸を含むC18不飽和酸から誘導される二量体酸が特に良く知られている(C36二量体酸を生じる)。例えば、デルタ9,11およびデルタ9,12リノール酸は、環状不飽和構造に二量化することができる(ただしこれは1つの可能な構造でしかなく、非環式構造を含む他の構造も可能である)。
【0024】
普通、二量体酸生成物は、ある比率の三量体酸(C18原料酸を用いるときはC54酸)、おそらくさらに高級なオリゴマー、および少量のモノマー酸も含んでいる。供給業者からいくつかの異なる品位の二量体酸が入手可能であり、これらは、主として一塩基酸画分および三量体酸画分の量と不飽和度とにおいて互いと異なっている。Priplast(商標)ポリエステルポリオールは、本発明の実施における疎水性ポリオールとして特に有用な分岐C36二量化脂肪酸である。Priplast(商標)ポリエステルポリオールは、オランダのゴーダ(Gouda)のCroda Uniqema Inc.から市販されている。通常、本発明のTPUを合成する際に用いられる疎水性ポリオールは、約1,500ダルトンから約4,000ダルトンの範囲内にある数平均分子量を有し、好ましくは約2,000ダルトンから約3,000ダルトンの範囲内にある数平均分子量を有する。
【0025】
通常、本発明の実施において使用することができるTPUUおよびCOPAポリマーを合成する際に用いられる疎水性ポリオールは、構造式:HN−(C2m)−NH、式中、mは、疎水性ポリオール中の炭素原子数を表す整数である、の直鎖または分岐ジアミンである。これらの疎水性ポリオールは、ジアミン末端エチレン−プロピレン共重合体ゴム、ジアミン末端水素化ジエンゴム、例えば水素化ポリイソプレンまたは水素化ポリブタジエン、または類似物、あるいはそれらの混合物であってよい。
【0026】
疎水性熱可塑性ブロック共重合体を合成する際に用いることができる鎖延長剤は、アルカンジオール(直鎖または分岐)、脂環式ジオール、アルキルアリールジオール、および類似物などの2から約20の炭素原子を有する有機ジオールまたはグリコールを含む。多くの場合に、合計で約2から約12の炭素原子を有するアルカンジオールが利用される。用いることができるアルカンジオールのいくつかの代表的な例は、エタンジオール、プロパングリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,3−ブタンジオール(1,3−BDO)、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール(NPG)、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、および1,4−ブタンジオールを含む。ジエチレングリコールおよびジプロピレングリコールなどのジアルキレンエーテルグリコールも鎖延長剤として用いることができる。適当な脂環式ジオールの例は、1,2−シクロペンタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール(CHDM)および類似物を含む。適当なアルキルアリールジオールの例は、ハイドロキノンジ(β−ヒドロキシエチル)エーテル(HQEE)、1,4−ベンゼンジメタノール、ビスエトキシビフェノール、ビスフェノールAエトキシレート、ビスフェノールFエトキシレート、および類似物を含む。さらに他の適当な鎖延長剤は、1,3−ジ(2−ヒドロキシエチル)ベンゼン、および1,2−ジ(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンである。上に記されている鎖延長剤の混合物も利用することができる。
【0027】
2より多い官能基を有する鎖延長剤も、得られるポリマーがその熱可塑性の性質ならびに他の所望の化学特性および物理特性を保持するという保留条件付で用いることができる。2より多い官能基を有するそのような鎖延長剤の例は、トリメチロールプロパン、グリセリン、およびペントラエリスリトール(pentraerithritol)を含む。普通、2より多い官能基を有する鎖延長剤は、得られる鎖の分岐の程度を制限するために、二官能鎖延長剤とともに用いられる。従って、通常、2より多い官能基を有する鎖延長剤のレベルは、熱可塑性ポリマーを作る際に用いられる鎖延長剤の全量の10モルパーセントを超えない。言い換えると、通常、二官能鎖延長剤は、ポリマーを合成する際に用いられる鎖延長剤の全量の少なくとも約90モルパーセントを表す。
【0028】
本発明の熱可塑性ブロック共重合体(TBC)を作る際に用いられるのに通常好ましい直鎖の鎖延長剤は、通常、構造式:
【化2】
式中、nは、2から20の整数を表し、nは、通常、2から12の整数を表す、のものである。従って、通常、直鎖の鎖延長剤は、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、および1,12−ドデカンジオールからなる群から選ばれる。しかし、本発明の実施における鎖延長剤としてジオールのさまざまな混合物が利用され得ることを理解すべきである。
【0029】
熱可塑性高分子を合成する際に用いられるポリイソシアネートは、好ましくは、ジイソシアネートである。脂肪族ジイソシアネートを利用してもよいが、芳香族ジイソシアネートが非常に好ましい。さらに、架橋を引き起こす多官能イソシアネート化合物、すなわちトリイソシアネート等の使用は、一般に回避され、従って、用いられるとしても、用いられる量は、一般に、用いられるさまざまなイソシアネートのすべての合計モル数を基準として4モルパーセント未満、好ましくは2モルパーセント未満である。適当なジイソシアネートは、芳香族ジイソシアネート、例えば4,4’−メチレンビス−(フェニルイソシアネート)(MDI)、m−キシレンジイソシアネート(XDI)、フェニレン−1−4−ジイソシアネート、ナフタレン−1,5−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジイソシアネート、およびトルエンジイソシアネート(TDI)、ならびに脂肪族ジイソシアネート、例えばイソホロンジイソシアネート(IPDI)、1,4−シクロヘキシルジイソシアネート(CHDI)、デカン−1,10−ジイソシアネート、およびジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネートを含む。上記のジイソシアネートの二量体および三量体も用いてよく、同様に2つ以上のジイソシアネートのブレンドも用いてよい。
【0030】
本発明において用いられるポリイソシアネートは、イソシアネートでエンドキャップされた低分子量ポリマーまたはオリゴマーの形であってよい。例えば、イソシアネートでエンドキャップされた低分子量ポリマーを作り出すために、ヒドロキシル末端ポリエーテルまたはポリエステル中間体をイソシアネート含有化合物と反応させてよい。普通、TPU分野においてそのような材料はプレポリマーと呼ばれる。普通、そのようなプレポリマーは、約1000から約10,000ダルトンの範囲内にある数平均分子量(Mn)を有する。
【0031】
一般に、1つ以上のジイソシアネートのモル比は、1つ以上の疎水性ポリオールと1つ以上の鎖延長剤との全モル数のモルあたり約0.95モルから約1.05モル、好ましくは約0.98モルから約1.03モルである。普通、ポリオールに対する鎖延長剤のモル比は、約0.3:1から5:1の範囲内にあり、さらに普通には、約0.4:1から4:1の範囲内にある。好ましくは、ポリオールに対する鎖延長剤のモル比は、約0.5:1から3:1の範囲内にあり、より好ましくは約0.5:1から2:1の範囲内にある。
【0032】
本発明に従って用いられる疎水性熱可塑性ブロック共重合ポリエステルを合成する際には、非常にさまざまな芳香族ジカルボン酸を利用することができる。通常、芳香族ジカルボン酸は、8から16の炭素原子を含む。用いることができる芳香族ジカルボン酸のいくつかの代表的な例は、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、1,8−ナフタレンジカルボン酸、1,7−ナフタレンジカルボン酸、1,6−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、1,7−アントラセンジカルボン酸、2,6−アントラセンジカルボン酸、2,7−アントラセンジカルボン酸、2,6−フェナレンジカルボン酸、1,6−フェナレンジカルボン酸、1,7−フェナレンジカルボン酸、2,8−ナフタセンジカルボン酸、2,9−ナフタセンジカルボン酸、1,7−ナフタセンジカルボン酸、1,10−ナフタセンジカルボン酸、2,7−ピレンジカルボン酸、2,6−ピレンジカルボン酸、および2,8−ピレンジカルボン酸を含む。好ましい芳香族ジカルボン酸は、テレフタル酸、イソフタル酸、および2,6−ナフタレンジカルボン酸を含み、通常、テレフタル酸が最も好ましい。
【0033】
本発明の製品を製造する際に用いられる疎水性熱可塑性ブロック共重合体は、ポリウレタン、共重合ポリエステル、共重合ポリアミド、またはポリウレタンウレアであってよい。しかし、通常、疎水性熱可塑性ブロック共重合体としてTPUが用いられる。本発明の物品を作る際に有用である疎水性熱可塑性ブロック共重合体、例えばTPUは、従来の疎水性熱可塑性ブロック共重合体を作る際に用いられるのと同じ技法および装置を利用して合成することができる。例えば、本発明の実施において用いられるのに適している疎水性熱可塑性ブロック共重合体を合成する際には、一般に、疎水性ポリオールと、ジイソシアネートと、鎖延長剤とが一緒に加えられ、任意の従来のウレタン反応方法に従って反応させられる。好ましくは、本発明のTPU形成成分は、適当なミキサー、例えば内部ミキサー(Banburyミキサー)、または好ましくは押し出し装置の中で溶融重合させられる。好ましいプロセスにおいては、疎水性ポリオールは、グリコール鎖延長剤とブレンドされ、ブレンドとして押し出し機に加えられる。ジイソシアネートは、別に押し出し機に加えられる。ジイソシアネートの適当な加工開始温度または重合開始温度は、約100℃から約200℃、好ましくは約100℃から約150℃である。疎水性ポリオールと鎖延長剤とのブレンドの適当な加工開始温度または重合開始温度は、約100℃から約220℃、好ましくは約150℃から200℃である。さまざまな成分が反応し、本発明のTPUポリマーを形成することが可能になるのに適している混合時間は、一般に、約2分から約10分、好ましくは約3分から約5分である。
【0034】
TPUを製造する好ましいプロセスは、ワンショット重合プロセスと呼ばれるプロセスである。一般にインサイチュで進むワンショット重合プロセスにおいては、3つの成分、すなわち1つ以上の疎水性ポリオールと、鎖延長剤と、ジイソシアネートとの間で同時反応が起こる。一般に、この反応は、約90℃から約200℃の温度で開始する。一般に、反応が放熱性である程度に応じて、反応温度は約220℃から250℃に増加する。TPUポリマーは、反応押し出し機から出て、通常、ペレット化される。普通、TPUのペレットは、反応を続け、TPUペレットを乾燥させるために加熱された容器中に保存される。
【0035】
多くの場合に、第一スズおよび他の金属のカルボン酸塩ならびに第三アミンなどの触媒を利用するのが望ましい。金属カルボン酸塩触媒の例は、第一スズオクトエート、ジブチルスズジラウレート、フェニル第二水銀プロピオネート、鉛オクトエート、鉄アセチルアセトネート、マグネシウムアセチルアセトネート、および類似物を含む。第三アミン触媒の例は、トリエチレンジアミン、および類似物を含む。1つ以上の触媒の量は低く、一般に、形成される目的TPUポリマーの100万重量部あたり約50から約100重量部である。
【0036】
通常、本発明の実施において用いられるTPUポリマーの重量平均分子量(Mw)は、約50,000ダルトンから約1,000,000ダルトン、好ましくは約100、000ダルトンから約500、000ダルトン、より好ましくは約120,000ダルトンから約400,000ダルトンの範囲にある。TPUポリマーのMwは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によってポリスチレン標準と対比させて測定される。
【0037】
より高分子量のTPUポリマーが望ましいとき、それは、架橋を誘発するために2.0より大きな平均官能基数を有する少量の架橋剤を用いて実現することができる。用いられる架橋剤の量は、好ましくは鎖延長剤の全モルの2モルパーセント未満であり、より好ましくは1モルパーセント未満である。好ましいTPUポリマー中の分子量を増加させる特に望ましい方法は、鎖延長剤の1モルパーセント未満をトリメチロールプロパン(TMP)で置き換えることである。
【0038】
架橋は、TPUポリマーを製造する反応混合物中に疎水性ポリオールと、イソシアネート化合物と、鎖延長剤とともに2.0より大きな平均官能基数を有する架橋剤を加えることによって実現される。TPUポリマーを作る反応混合物の中で用いられる架橋剤の量は、所望の分子量、および用いられる特定の架橋剤の効果によって決まる。通常、TPUポリマーを作る際に用いられるすべての原料からの(1つ以上の鎖延長剤および1つ以上の疎水性ポリオールからの)ヒドロキシルの全当量を基準として、2.0当量パーセント未満、好ましくは1.0当量パーセント未満が用いられる。ヒドロキシルの全当量を基準として2.0当量パーセントを超えるレベルの架橋剤は、溶融プロセスにとって難しい。従って、用いられる架橋剤のレベルは、すべての原料からのヒドロキシルの全当量を基準として約0.05モル当量パーセントから約2.0当量パーセントである。
【0039】
架橋剤は、2.0を超える平均官能基数を有し、TPUポリマーを架橋させる能力を有する任意のモノマー材料またはオリゴマー材料であってよい。そのような材料は、熱硬化性ポリマーの分野では良く知られている。好ましい架橋剤は、トリメチロールプロパン(TMP)およびペンタエリスリトールを含む。トリメチロールプロパンが特に望ましい架橋剤であることが見いだされている。
【0040】
通常、本発明の実施において利用されるTPUは、(1)疎水性ポリオールと、(2)ポリイソシアネートと、(3)2から12の炭素原子を含む直鎖の鎖延長剤との反応生成物である。熱可塑性ポリウレタンを合成するためにこれらの反応体を重合させる技法は、従来の装置、触媒、および手順を利用して行われる。しかし、重合は、約50,000ダルトンから約1,000,000ダルトンの範囲内にある重量平均分子量を実現する結果となるように行われる。もちろん、重合は、疎水性ポリオールと、2から12の炭素原子を含む直鎖の鎖延長剤とを利用しても行われる。
【0041】
本発明の軟質の半結晶熱可塑性エラストマー組成物を作るために、鉱油が疎水性熱可塑性ブロック共重合体に加えられる。疎水性熱可塑性ブロック共重合体は、さまざまな従来の添加剤または配合剤、例えば充填材、増量剤、顔料、潤滑剤、紫外線吸収剤、可塑剤、および類似物と混合されてもよい。用いることができる充填材は、タルク、ケイ酸塩、粘土、炭酸カルシウム、および類似物を含む。従来の添加剤のレベルは、TPUを配合する分野の当業者に良く知られているように、所望の末端利用物の最終特性およびコストによって決まる。添加剤(鉱油を含む)は、疎水性熱可塑性ブロック共重合体を形成するために用いられる反応の間に加えてもよく、または第2の配合ステップにおいて加えてもよい。簡便には、鉱油をポリオールと混合してからポリマーが合成されるときにポリマー中に組み込んでもよく、別々に加えてもよい。鉱油は、ポリウレタンを作る際に用いられる反応が起こるのを妨げない。代わりの方法においては、予め形成されたポリマー中に従来の混合および/または収着技法を利用して鉱油を加えてよい。
【0042】
本発明のエラストマー組成物の中に、約1重量パーセントから約80重量パーセントの鉱油(エラストマー組成物の全重量を基準として)が組み込まれる。普通、ポリウレタン組成物の中に約10重量パーセントから約70重量パーセントの鉱油が組み込まれる。より普通には、エラストマー組成物の中に約15重量パーセントから約50重量パーセントの鉱油が組み込まれる。多くの場合に、エラストマー組成物の中に約20重量パーセントから約45重量パーセントの鉱油が組み込まれる。
【0043】
本発明の実施において利用される鉱物は、American Petroleum Institute(API) Base Oil Interchangeability Guidelinesに規定されているグループI〜Vの任意の基油から選択される任意の油組成物であってよい。5つの基油グループは、以下の通りである。
基油区分 硫黄(%) 飽和体(%) 粘度指数
グループI >0.03 および/または <90 80から120
グループII <0.03 および >90 80から120
グループIII <0.03 および >90 >120
グループIV すべてのポリアルファオレフィン(PAO)
グループV グループI、II、III、またはIVに含まれない他のすべて
【0044】
グループI、グループII、およびグループIIIは、鉱油の基油である。従って、潤滑性粘度の油は、天然合成油または合成潤滑油、およびそれらの混合物を含んでよい。多くの場合に、鉱油と合成油、特にポリアルファオレフィン油およびポリエステル油との混合物が用いられる。
【0045】
天然油は、動物油および植物油(例えばヒマシ油、ラード油、および他の植物酸エステル)ならびに鉱物潤滑油、例えば液体石油系油を含み、溶媒処理または酸処理した、パラフィン型、ナフテン型、またはパラフィン‐ナフテン混合型の鉱物潤滑油が本発明の実施において有用であり得る。潤滑性粘度の有用な油の範囲内に水素処理または水素化分解された油が含まれる。本発明の実施においては、植物油のアルキルエステル、例えば植物油のメチルエステル、植物油のエチルエステル、およびそれらの混合物も鉱油として用いることができる。
【0046】
石炭または頁岩から誘導される潤滑性粘度のオイルも有用である。合成潤滑油は、炭化水素油およびハロ置換炭化水素油、例えば重合または共重合した(interpolymerized)オレフィン、およびそれらの混合物、アルキルベンゼン、ポリフェニル(例えばビフェニル、ターフェニル、およびアルキル化ポリフェニル)、アルキル化ジフェニルエーテル、およびアルキル化ジフェニルスルフィド、ならびにそれらの誘導体、それらの類縁体および同族体を含む。アルキレンオキシドポリマーならびにそれらの共重合体(interpolymer)および誘導体、および、例えばエステル化またはエーテル化によって末端ヒドロキシル基が改変されたものが、用いることができる既知の合成潤滑油の他の種類を構成する。用いることができる別の適当な種類の合成潤滑油は、ジカルボン酸のエステル、およびCからC12モノカルボン酸とポリオールまたはポリオールエーテルとから作られるものを含む。
【0047】
他の合成潤滑油は、リン含有酸の液体エステル、ポリマー性テトラヒドロフラン、ケイ素系の油、例えばポリ−アルキル−、ポリアリール−、ポリアルコキシ−、またはポリアリールオキシ−のシロキサン油およびシリケート油を含む。
【0048】
水素処理されたナフテン油も知られており、用いることができる。Fischer−Tropsch反応によって製造されたものなどの合成油を用いてよく、通常、水素化異性化されたFischer−Tropsch炭化水素またはワックスであってよい。一実施態様においては、Fischer−Tropschのガス−ツゥ−リキッド合成手順ならびに他のガス−ツゥ−リキッド油によって調製されてもよい。
【0049】
本発明の組成物においては、天然であろうと合成であろうと、本明細書中上記に開示されている種類の未精製油、精製油、および再精製油(ならびにこれらの任意のものの2つ以上の混合物)を用いることができる。未精製油は、天然源または合成源からそれ以上の精製処理なしで直接得られるものである。精製油は、1つ以上の特性を改善するために1つ以上の精製ステップにおいてさらに処理されている以外は、未洗練油と同様である。精製油を得るために用いられるプロセスと同様なプロセスを、既に使用された精製油に適用すると再精製油が得られる。多くの場合に、そのような再精製油は、使用済み添加剤および油分解生成物の除去を目的とする技法によってさらに加工される。
【0050】
通常、本発明の実施において用いることができるパラフィン鉱油は、室温(約20℃)において液体であるアルカンの混合物である。これらのパラフィン油は、主として一般式:C2n+2、式中、nは、約6から約20の整数を表す、の化合物で構成される。しかし、パラフィン鉱油中にはより高い分子量(nが20を超える)を有する比較的少量のアルカンが存在してよい。ときとして、これらのパラフィン鉱油は、液体パラフィン、ヌジョール、アデプシン油、アルボリン、グライモール、薬用パラフィン、サキソール、またはUSP鉱油と呼ばれる。通常、パラフィン鉱油は、0.75g/cmから0.88g/cmの範囲内にある密度を有する。
【0051】
ナフテン鉱油は、通常、約40重量パーセントから約100重量パーセントのシクロアルカン(ナフテン)と、約0重量パーセントから約60重量パーセントのパラフィン鉱油とを含む点でパラフィン鉱油と対比させることができる。ナフテン油の低温挙動は、パラフィン油の低温挙動より良好であり、そのためナフテン油は低い流動点を必要とする用途に適している。しかし、ナフテン鉱油がパラフィン鉱油と異なる溶媒特性を有する点に留意すべきである。
【0052】
本発明のポリウレタン組成物を作る際に用いられる鉱油は、パラフィン鉱油であってよい。パラフィン鉱油はシクロアルカンを含まなくてもよく、パラフィン鉱油とナフテン鉱油との混合物であってもよい。普通は、鉱油は、20重量パーセント未満のシクロアルカンを含み、通常は、10重量パーセント未満のシクロアルカンを含む。
【0053】
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、消費者向け製品用の軟質のグリップおよびハンドルを作る際に利用するためのオーバーモールド用組成物として特に有用である。いずれにせよ、鉱油は、TPUを膨潤させ、TPUをより柔らかくするように作用する。通常、鉱油を加えると、TPU組成物の全体としての材料費も減る。
【0054】
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、示差走査熱量計(DSC)を用いるASTM D−3417−99によって測定されるとき、通常、約90℃を超える融点を有する。しかし、非常に軟質のポリマーの場合には、熱可塑性エラストマーの融点を測定するためにKofler法を用いることができる。通常、非常に軟質のポリマーは、80未満のショアA硬度も有する。多くの場合に、本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、70を下回る、または60をも下回るショアA硬度を有する。普通、これらのエラストマー組成物は、20から80の範囲内にあるショアA硬度を有し、一般に、30から70の範囲内にあるショアA硬度を有する。
【0055】
本発明の鉱油含有熱可塑性エラストマー組成物は、圧縮セットおよび引張りセットに対して優れた抵抗性を提供する。例えば、本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、23℃においてASTM D412に従って試験されるとき、通常、200%歪みにおいて30%未満、好ましくは20%未満、最も好ましくは15%未満の引張りセットを提供する。この組成物は、500psi(3.4×10パスカル)を上回る高い引張り強さと、500%を超える破断時伸張率とを提供する。好ましくは、本発明の熱可塑性エラストマーは、700psi(4.8×10パスカル)を超える引張り強さを有し、最も好ましくは、1000psi(6.9×10パスカル)を超える引張り強さを示す。
【0056】
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、オーバーモールドされた消費者向け製品を製造する際に利用するのに特に望ましいものとなる特性を有する。言い換えると、本発明の熱可塑性エラストマーは、軟質のグリップまたはハンドルを製造するためにプラスチック表面または金属表面などの硬質の基材の上にオーバーモールドすることができる。本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、そのようなオーバーモールド利用物において優れた触感特性および低いコストを提供する。それは、基本的に臭いがなく、引っかき抵抗性があり、所望の着色が可能である。より詳しくは、本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、硬質の熱可塑性樹脂または金属の基材の上へ簡単にオーバーモールドすることができる握りやすいハンドルのための低コストの優しい触感の材料を提供する。
【0057】
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、歯ブラシ、ひげ剃り用カミソリ、ヘアブラシ、ヘアドライヤー、ペイントブラシ、ペン、工具(のこぎり、ハンマー、ネジ回し、レンチ、プライヤー)、台所器具(冷蔵庫ドア、オーブン、食器洗浄機、パン暖め機、ゴミ圧縮機用のハンドル)、台所用品(スプーン、フォーク、ナイフ、へら、シシカバブ串、野菜皮剥き、缶切り、栓抜き、コルク栓抜き、泡立て器、タレ塗りブラシ)、掃除機ハンドル、ほうき、モップ、熊手、シャベル、はさみ、スポーツ用品(釣り竿、テニスラケット、銃器、およびゴルフクラブ)、およびディンギーブラシを含むがそれら限定されない製造物品用のグリップまたはハンドルを作る際に有用に用いることができる。より詳しくは、本発明は、金属または熱可塑性樹脂などの硬質の基材の上へオーバーモールドされた本発明の軟質の熱可塑性エラストマー組成物で構成された製造物品を開示する。
【0058】
本発明は、以下の実施例によって例示される。実施例は、単に説明だけを目的とし、本発明の範囲または本発明が実施される態様を限定するとみなすべきでない。特に明記しない限り、部および百分率は、重量基準である。
【0059】
以下の実験においては、同じ一般的な手順を用いて、種々の鎖延長剤を有し、場合によってはさまざまな種類の油を含む一連のTPUポリマーを合成した。
【実施例】
【0060】
実施例1〜実施例6
用いられる手順は、疎水性ポリオールと鎖延長剤とのブレンド、およびジイソシアネートを別々に約120℃に加熱し、次にこれらの成分を混合することを含む。反応混合物の粘度は、約1分から5分で顕著に増加することが観察された。その時点で反応槽を空にし、重合物は室温までゆっくり冷却された。使用された鎖延長剤および用いられたポリイソシアネートに対する鎖延長剤の比が表1に報告されている。それぞれの実施例において、第1スズオクトエートが50ppmのレベルで触媒として用いられた。この系列の実験において、ポリウレタンを作る際に用いられるポリオールの中に鉱油が混合された。加えられた鉱油の量は、作られた熱可塑性ポリマーの物理特性とともに、表1に示される。
【表1】
【0061】
実施例7〜実施例10
実施例1〜6において用いられた一般的な手順をこの系列の実験において繰り返した。それぞれの実施例において、第一スズオクトエートが50ppmのレベルで再び触媒として用いられた。加えられた鉱油の量は、作られた熱可塑性ポリマーの物理特性とともに、表2に示される。
【表2】
【0062】
実施例11〜実施例12
実施例1〜6において用いられた一般的な手順をこの系列の実験において繰り返した。それぞれの実施例において、第一スズオクトエートが50ppmのレベルで触媒として再び用いられた。加えられた鉱油の量は、作られた熱可塑性ポリマーの物理特性とともに、表3に示される。
【表3】
【0063】
Hydrocal 38鉱油およびCalson 810鉱油は、Calumet Lubricants Co.によって提供された。Hydrocal 38鉱油は、100°Fにおいて38.1のSUS粘度、210°Fにおいて30.4のSUS粘度、83の粘度指数、215°FのCOC引火点、10.5のASTM着色、60°Fにおいて28.9のAPI比重、および139°Fのアニリン点を有する。Calsol 810鉱油は、100°Fにおいて58.1のSUS粘度、210°Fにおいて34.0のSUS粘度、0.866の粘度比重定数、295°FのCOC引火点、60°Fにおいて26.9のAPI比重、および161°Fのアニリン点を有する。
【0064】
実施例13〜実施例15
実施例1〜6において用いられる一般的な手順が、この系列の実験において繰り返された。それぞれの実施例において、第1スズオクトエートが50ppmのレベルにおいて触媒として再び用いられた。加えられた鉱油の量は、作られた熱可塑性高分子の物理特性とともに、表4に示される。
【表4】
【0065】
比較実施例16〜18および実施例19〜21
この実験系列においては、作られたTPUポリマーのすべてが、異なる鎖延長剤を用いて同じ一般的な手順を用いて合成された。用いられた手順は、疎水性ポリオールと鎖延長剤とのブレンド、およびジイソシアネートを別々に約120℃に加熱し、次にこれらの成分を混合することを含む。反応混合物の粘度は、反応の間に約1分から5分で顕著に増加することが観測された。この時点で反応器を空にし、重合物は室温までゆっくり冷却されるようにした。使用された鎖延長剤および用いられたポリイソシアネートに対する鎖延長剤の比は、表5に報告されている。実施例16〜実施例18は、1,4−ブタンジオールまたは2−ブチル、2−エチル−1,3−プロパンジオール、BEPDが鎖延長剤に用いられた比較例である点に留意する必要がある。本発明による実施例19〜21において用いられた鎖延長剤は、1,12−ドデカンジオールであった。それぞれの実施例において50ppmのレベルの第1スズオクトエートが触媒として用いられた。
【表5】
【0066】
表1から分かるように、実施例19〜実施例21において1,12−ドデカンジオールを鎖延長剤として用いて作られたTPU試料は、実施例16〜実施例18において作られたTPUと比較して優れた引張り強度を有していた。実施例19〜実施例21において作られたTPUは、実施例16〜実施例18において作られたものより優れた引張り伸長率を有する点にも注意すべきである。実施例19〜実施例21において作られたポリマーの融点は、すべて98℃から135℃の範囲内にあった。これは、193℃の融点を有していた実施例16において作られたTPU、および非常に粘稠な粘着性材料であって融点を測定することが望ましくなかった実施例17および実施例18において作られたポリマーと対照的である。
【0067】
本発明を例示する目的で特定の代表的な実施態様および詳細を示してきたが、本発明の範囲から逸脱することなく、本発明においてさまざまな変化および変更を施し得ることは当業者に自明である。