(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を具体化した実施形態を説明する。
【0010】
<実施例1>
図1に示すように、ナビゲーションシステム1は、携帯端末10およびこの携帯端末10と情報ネットワークを通じて接続される経路案内装置20を備える。携帯端末10は、無線通信部11、現在位置検出部12、画像表示部13、入力部14および装置本体を備える携帯電話であり、歩行者用ナビゲーション端末として利用される。経路案内装置20はデータ通信部21、計算機22、記憶部23を備える配信サーバである。なお、計算機22には地点設定部30、経路探索部31、経路案内部32を備えている。また、記憶部23は地図表示用データ40とネットワークデータ41と含む地図データが記憶されている。
【0011】
携帯端末10を構成する無線通信部11は、送信機、受信機およびアンテナからなるトランシーバである。また、現在位置検出部12は、GPS衛星からの電波に基づいて現在位置を検出するGPS受信器と、GPS衛星からの電波を受信しにくい地下街内等では現在位置を検出するために設置された無線局からの近距離の無線電波の受信に基づいて現在位置を求めて現在位置のデータを出力する近距離無線位置検出器とからなる。また、画像表示部13は、液晶ディスプレイ等であって画像表示面に通信メニュー画面や地図画像等の画像を表示するデバイスである。入力部14は、画像表示部13の表面がタッチパネルの機能を有しており、ユーザの指定により、目的地、表示したい地図のエリア、縮尺、施設の階層等を指定することができる。
【0012】
経路案内装置20を構成するデータ通信部21は、光ファイバーによりインターネットWと接続する機能を備えており、インターネットWから無線通信を介して携帯端末10の無線通信部11と接続される。また、計算機22は、コンピュータプログラムや処理条件等が予め記憶されているROMやRAM等の内部記憶装置、およびこのコンピュータプログラムを実行するCPU等からなる大型のコンピュータである。そして、記憶部23は、フラッシュメモリ、ハードディスク、DVDまたはブルーレイディスク等の外部記憶装置であり、地図データを記憶している。
【0013】
地点設定部30は、データ通信部21からの信号を受け付け、記憶部23に記憶された地図データを参照して出発地、目的地等の地点を設定し、経路探索部31へ出力する機能を有する。
【0014】
経路探索部31は、地点設定部30からの出発地や目的地の情報を受け付け、地図データを参照して経路探索に必要な階層のネットワークデータの集合であるネットワークデータ群を生成する機能と、この生成されたネットワークデータ群を使用して目的地までの経路を探索する機能と、探索した経路のデータを経路案内部32へ出力する機能とを有する。
【0015】
経路案内部32は、経路探索部31からの経路のデータを受け付け、地図データを参照してこの経路の案内情報を生成し、データ通信部21へ出力する機能を有する。
【0016】
記憶部23に記憶されている地図データは、行政界図、道路図および施設図等を生成するためのポリラインやポリゴンのデータ等の地図表示用データ40と、歩行者用の通路の接続状態をノードおよびリンクで表現するネットワークデータ41とを含む地図データである。
【0017】
本発明におけるネットワークデータは、高さ方向に階層の異なる複数の階層を有する多階層構造の施設について各階層の通路網を表現した建造物内のネットワークデータを含んでいる。そして、この建造物内のネットワークデータは各階層の通路網の内で鉛直方向に見て一致する所定の通路網を表現した標準ネットワークデータと、この標準ネットワークデータにより表現された通路網との差分を表現した差分ネットワークデータとに区別される。
【0018】
多階層構造を持つ建造物の各階層は、鉛直方向に見て通路が共通している場合が多い。このように共通する通路で構成するように生成された通路網が標準ネットワークデータである。標準ネットワークデータは、建造物内のネットワークデータにおいて鉛直方向から見て数多く一致するネットワークデータで構成されることが望ましい。標準ネットワークデータは後述するように一致するノードを共通化するので、一致する数が多いほど建造物のネットワークデータの容量が削減される。
【0019】
差分ネットワークデータは、標準ネットワークデータに対して鉛直方向に見て一致しないデータであり、各階層単位に設定されている。建造物内のネットワークデータは、差分ネットワークデータが最も少なくなる構成となるのが望ましい。差分ネットワークデータを少なくすることで、建造物内のネットワークデータの容量をより多く削減できる効果がある。なお、差分ネットワークデータが無いと表現される階層のネットワークデータは、標準ネットワークデータと同じ構成となる。
【0020】
差分ネットワークデータは、属性情報に「追加」と記載されている追加型ネットワークデータと、属性情報に「削除」と記載されている削除型ネットワークデータと、属性情報に「変更」と記載されている変更型ネットワークデータとがある。追加型ネットワークデータは、注目する一つの階層においてその階層には存在し、かつ標準ネットワークデータには存在しないネットワークデータである。削除型ネットワークデータは、標準ネットワークデータには存在し、かつ注目する一つの階層においてその階層には存在しないネットワークデータである。変更型ネットワークデータは、鉛直方向に見て標準ネットワークデータと一致するものの接続関係などの属性が異なっているネットワークデータである。
なお、変更型ネットワークデータは削除型ネットワークデータと追加型ネットワークデータとを用いて表すこともできる。すなわち、標準ネットワークデータの一部の属性を変更する場合、対象となる標準ネットワークデータを削除型ネットワークデータにより削除する処理、および追加型ネットワークデータにより変更された属性のネットワークデータを追加する処理の両方を実行することにしても良い。
【0021】
たとえば、高さ方向に異なる6階層を有する多階層構造の建造物のネットワークデータの例について、
図8を用いて説明する。
図8(a)に示す建造物内の各階層のネットワークデータを鉛直方向に見た場合、
図8(b)に示すようにノードN1〜N8を含むネットワークデータで表すことができる。標準ネットワークデータにするか否かを判断するための閾値を3に設定したとき、この鉛直方向に見たネットワークデータのうち、鉛直方向に見て一致するノードが閾値以上となるノードはノードN1〜N6である。したがって、この建造物の標準ネットワークデータのノードは、
図9に示すように、ノードN1〜N6で構成することができる。なお、本実施例においては、これらのノード間を結ぶリンクについても鉛直方向に見て閾値以上一致するものについて標準ネットワークデータに加えている。具体的には、
図9に示すように、ノードN1〜N6間のリンクL1〜L7を構成に加えている。
【0022】
また、
図8で示した建造物の各階層の差分ネットワークデータについて、
図10を用いて説明する。1Fから6Fまでの各階層は
図9で示した標準ネットワークデータに対して鉛直方向に見たときに一致しないデータで表現される。1Fの階層において、標準ネットワークデータに存在するノードN2、N5は1Fの階層には存在しないデータである。この場合、1Fの階層の差分ネットワークデータは削除型ネットワークデータのノード(以下、削除型ノードという)であるノードN2、N5で構成される。また、ノードN1、N3についてはノードN2への接続情報、ノードN6、N4についてはノードN5への接続情報がそれぞれ変更型ネットワークデータのノード(以下、変更型ノードという)により変更される。なお、
図8に示す建造物においては、標準ネットワークデータに対応するリンクを設定していない。
【0023】
また、2F〜4Fの階層は差分情報がないため
図10に示す例では「差分なし」と表現している。この場合、2F〜4Fの階層単位のネットワークデータは標準ネットワークデータと同じ構成となる。また、5Fの階層において、標準ネットワークデータには存在しないノードN7、N8は5Fの階層には存在するデータである。したがって、5Fの階層の差分ネットワークデータは、追加型ネットワークデータのノード(以下、追加型ノードという)であるノードN7、N8で構成される。また、ノードN2、N5についてはノード7への接続情報、ノードN3、N4についてはノードN8への接続情報がそれぞれ変更型ノードにより変更される。
【0024】
また、さらに6Fの階層において、標準ネットワークデータには存在しないノードN7、N8は6Fの階層には存在するデータである。また、標準ネットワークデータには存在するノードN3は6Fの階層には存在しないデータである。したがって、6Fの階層の差分ネットワークデータは、追加型ノードN7、N8、削除型ノードN3で構成される。また、ノードN2についてはノードN7、N3への接続情報、ノードN5についてはノードN7への接続情報、ノードN4についてはノードN8への接続情報がそれぞれ変更型ノードにより変更される。
【0025】
なお、本発明の地図データは標準ネットワークデータを1つの建造物に対して複数のパターンで用意することを可能な構造にしている。1つの建造物に対して複数のパターンを用意した場合は、各階層に任意に選択された1つのパターンの標準ネットワークデータを対応させる。標準ネットワークデータのパターンを複数設定すると、差分ネットワークデータは建造物の各階層の通路網と任意に選択された1つの標準ネットワークデータとの差分となるので、建造物全体として鉛直方向に見て通路が共通する傾向が複数あるようなときには、差分ネットワークデータの数が少なくなってネットワークデータの容量が削減される場合がある。
【0026】
本実施例の地図データは、
図2に示すように、地図表示用データ40とネットワークデータ41とで構成される。
地図表示用データ40は、高さ方向に異なる複数の階層を有する施設について各階層の画像を表示するための階層単位表示用データを有している。本実施例の階層単位表示用データは、施設ID、施設名称、階層IDをデータとして含んでいる。
【0027】
ネットワークデータ41は、建造物の各階層のデータを表す階層単位データ、通路同士を接続する点を規定するノードデータおよび2つのノード同士を結ぶ線を規定するリンクデータを含んでいる。階層単位データには、階層ID、標準パターン情報、差分情報等をデータとして含んでいる。階層IDにはこの建造物の各階層を識別するIDが格納されている。標準パターン情報には、標準パターンID、ノードID、リンクIDが格納されている。標準パターンIDには標準ネットワークデータのパターンを規定する番号が格納されている。標準パターン情報に格納されるノードIDおよびリンクIDは標準ネットワークデータを構成するノードデータおよびリンクデータに対応している。
【0028】
差分情報は標準パターンIDに対応する標準ネットワークデータに対して、差分ネットワークデータが有るか無いかの情報が格納されている。差分情報が「無し」となっている場合は、この階層のネットワークデータは標準ネットワークデータと同じ構成となる。一方、差分情報が「有り」となっている場合は、追加型ネットワークデータのIDを表す追加型ノード(リンク)ID、削除型ネットワークデータのIDを表す削除型ノード(リンク)IDまたは変更型ネットワークデータのIDを表す変更型ノード(リンク)IDが格納されている。なお、変更型ノード(リンク)には変更対象となるノード(リンク)の属性データを変更するための変更情報が含まれている。
【0029】
ネットワークデータ41のノードの情報であるノードデータには、ノードID、施設ID、接続ノード情報、座標情報、階層遷移情報等をデータとして含んでいる。接続ノード情報には、接続ノードID、この接続ノードに至るコスト情報および接続リンクIDを含んでいる。階層遷移情報は異なる階層へ接続する情報であり、対象となるノードから階層遷移することができるノードがある場合、そのノードの数だけ作成される。階層遷移情報は対象となるノードが位置する階層を表す階層IDと、その接続先の接続ノードID、接続リンクID、接続先階層IDおよびコスト情報とを含んでいる。階層遷移情報はたとえば、階段やエレベータを表現した情報である。
【0030】
ネットワークデータ41のリンクの情報であるリンクデータには、リンクID、施設ID、接続ノードID、座標情報、階層遷移フラグ等をデータとして含んでいる。
【0031】
本実施例のナビゲーションシステム1の処理について
図3〜
図7を用いて説明する。本実施例は、現在位置である出発地から目的地へ至る経路を設定し、ネットワークデータのうちノードデータの接続関係を用いて経路探索を行う例である。リンクデータは、経路探索の後に経路を表示させるときに用いるものとした。なお、出発地と目的地とは一建造物内で設定するものとした。さらに、本実施例では標準ネットワークデータに対応するノードおよびリンクをそれぞれ標準ノードおよび標準リンクとし、差分ネットワークデータに対応するノードおよびリンクをそれぞれ差分ノードおよび差分リンクとした。
【0032】
まず、地点設定部30は、入力部14による出発地および目的地の入力に応じてネットワークデータを参照し、出発地に対応する階層および探索開始ノードと目的地に対応する階層および探索終了ノードとを特定する処理(地点設定処理)を実行する(ステップS100)。次に、経路探索部31はステップS100により設定された探索開始ノードから探索終了ノードまでの経路探索を行なう処理(経路探索処理)を実行する(ステップS200)。次に、経路案内部32はステップS200により探索された経路データとリンクデータを用いて経路案内を行う処理(経路案内処理)を実行する(ステップS300)。以上、本発明のメインフローの各処理を説明した。以下、各処理の詳細について説明を行う。
【0033】
(地点設定処理)
ステップS100の地点設定処理について、
図4を用いて以下に詳細な説明を行う。
まず、携帯端末10側でユーザが入力部14のタッチパネルを操作することにより目的地を指定する。目的地の指定は目的地が位置する階層の指定およびこの指定された階層における位置の指定により行なわれる。また、携帯端末10は、現在位置検出部12により現在位置を検出することにより出発地を指定する。出発地の指定は現在位置の位置する階層の指定および当該階層における位置の指定により行なわれる。ユーザの指定を受け付けると、指定された目的地のデータと出発地のデータとを無線通信部11によりインターネットWを介して配信サーバへ送信する処理を実行する(ステップS111)。
【0034】
ステップS111が終了すると、配信サーバ側で、データ通信部21が目的地のデータと出発地のデータを受信して計算機22の地点設定部30へ出力する処理を実行する。続けて、地点設定部30は、記憶部23に記憶されたネットワークデータ41を参照し、地図上に出発地点としての探索開始ノードおよび目的地点としての探索終了ノードを決定する処理を実行する(ステップS112)。本実施例においては、地点設定部30は、出発地指定位置から最近傍のノードを探索開始ノード、目的地の指定位置から最近傍のノードを探索終了ノードとして設定する。地点設定部30により決定された地図上の探索開始ノードおよび探索終了ノードの情報は経路探索部31へ出力され、経路探索処理(ステップS200)へと移行する。
【0035】
(経路探索処理)
ステップS200の経路探索処理について、
図5を用いて以下に詳細な説明を行う。
まず、経路探索部31は、出発地および目的地の階層の標準ノードを記憶部23のネットワークデータ41から取得する(ステップS211)。具体的には、経路探索部31は、出発地のデータに対応する階層における階層IDに対応する標準パターン情報を参照し、標準パターンIDにより規定される標準ノードを取得する。
【0036】
ステップS211が終了すると、経路探索部31は、出発地のデータに対応する階層に存在する差分ノードをネットワークデータ41から取得し、ステップS211で取得した標準ノードに適用して経路探索に必要なノードデータの集合であるノードデータ群を生成する処理を実行する(ステップS212)。この処理の詳細な説明は後述するものとする。
【0037】
ステップS212が終了すると、経路探索部31は、探索開始ノードの接続ノード情報を参照し、ダイクストラ法により到達可能と判断された全ノードから最も低いコストとなるノードを確定する処理を実行する(ステップS213)。
【0038】
ステップS213が終了すると、経路探索部31は、確定したノードである確定ノードが探索終了ノードであるか否かを判定する処理を実施する(ステップS214)。本実施例の場合、直近のステップS213によって確定した確定ノードのノードIDおよび当該確定ノードが位置する階層と探索終了ノードのノードIDおよび探索終了ノードが位置する階層とを比べて判定を行なう。経路探索部31は、ステップS214において、当該確定ノードが探索終了ノードであると判定した場合は(ステップS214:Yes)、経路探索処理を終了する。そして経路探索部31は探索開始ノードから探索終了ノードまでに確定したノードのうち最もコストが低くなる経路を構成するノードを経路案内処理(ステップS300)へ出力する。
【0039】
一方、ステップS214において、当該確定ノードが探索終了ノードではないと判定した場合は(ステップS214:No)、経路探索部31は当該確定ノードに階層遷移情報があるか否かを判定する(ステップS215)。なお、確定ノードが対応するノードデータには複数の階層遷移情報を含んでいるものがある。そのため、具体的には、経路探索部31は、当該確定ノードの階層遷移情報において当該確定ノードが位置する階層の階層IDと同じ階層IDに対応する階層遷移情報がある場合は、階層遷移情報があると判定する。ステップS215において、階層遷移情報が無い場合は(ステップS215:No)、経路探索部31は異なる階層へ探索を進めることが無いと判断してステップS213へ移行し、当該確定ノードの接続ノード情報を参照して次に進むノードを探索する。
【0040】
一方、ステップS215において当該確定ノードに階層遷移情報が有ると判定した場合は(ステップS215:Yes)、経路探索部31は接続先階層IDを参照し、当該確定ノードの接続先の階層がノードデータ群を生成しているか否かの判定をおこなう(ステップS216)。ステップS216において、接続先の階層のノードデータ群を生成済みであると判定された場合は(ステップS216:Yes)、経路探索部31はステップS213へ移行する。
【0041】
ステップS216において、接続先の階層のノードデータ群を生成済みでないと判定された場合は(ステップS216:No)、経路探索部31はステップS212へ移行して接続先の階層のノードデータ群を生成する処理を行なう。
【0042】
(ノードデータ群生成処理)
ステップS212のノードデータ群生成処理について
図6を用いて以下に詳細に説明する。
まず、経路探索部31は、ネットワークデータ41における階層単位データの差分情報を参照し、対応する階層に差分ノードが存在するか否かを判定する(ステップS411)。ステップS411において、差分情報が無いと判定された場合は(ステップS411:No)、経路探索部31は対応する階層のノードデータ群生成処理を終了する。
【0043】
一方、ステップS411において、差分情報が有ると判定された場合は(ステップS411:Yes)、経路探索部31は対応する階層の差分ノードをネットワークデータ41から取得する(ステップS412)。具体的には、経路探索部31はネットワークデータ41における階層単位データの差分情報を参照し、差分対象となる追加型ノード、削除型ノードおよび変更型ノードのうち対応するノードを記憶部23から抽出する。
【0044】
ステップS412が終了すると、経路探索部31は、ステップS412で取得した差分ノードをステップS211で取得した標準ノードと合成する処理を実行する(ステップS413)。差分ノードには、上述の通り追加型ノード、削除型ノードおよび変更型ノードがある。経路探索部31は、経路探索部31は、例えば、追加型ノードについては標準ノードからなるノードデータ群に追加する処理、変更型ノードについては標準ノードのうちの特定のノードに接続する他のノードとの接続関係等を変更する処理、削除型ノードについては標準ノードデータからなるノードデータ群のうち特定のノードを削除する処理を実行する。このようにして、経路探索部31は対応する階層のノードデータ群を生成する。生成されたノードデータ群は、各階層に存在するノードデータだけで構成されているため、不必要なノードデータが存在しない。したがって、以上のようなデータ構造とすることで、経路探索部31は経路探索の効率を維持できる効果がある。
【0045】
(経路案内処理)
ステップS300の経路案内処理について、
図7を用いて以下で詳細に説明する。
まず、経路案内部32は、経路探索部31が出力したノード同士を接続するリンクデータを記憶部23のネットワークデータ41から抽出する処理を実行する(ステップS311)。経路案内部32は、経路探索部31が出力したノードの接続リンクIDを参照してリンクデータを抽出する。
たとえば、
図8の5Fの階層において経路探索部31が出力したノードがノードN6→ノードN5→ノードN7→ノードN8であった場合、本実施例においては、経路案内部32は
図11(a)に示すように標準ネットワークデータのリンクL5、差分ネットワークデータのリンクL8、L9をネットワークデータ41から抽出する。なお、リンクL8、9はともに追加型ネットワークデータである。このうちリンクL8については、鉛直方向に見て標準ネットワークデータのリンクL7と一部が一致しているので、標準ネットワークデータのリンクL7を削除する処理と差分ネットワークデータのリンクL8を追加する処理の両方を実行することによりノードN5→ノードN7に対応するリンクL8として抽出される。
【0046】
ステップS311が終了すると、経路案内部32は抽出したリンクデータと表示用地図データとから経路案内データを生成する処理を実行する(ステップS312)。経路案内部32は、ステップS311で抽出したリンクデータを接続して表示するように処理した経路表現データに、この経路表現データに対応する階層単位表示用データを抽出して重ねることで、経路案内データを生成する。
【0047】
ステップS312が終了すると、経路案内部32は生成した経路案内データをデータ通信部21へ出力し、配信サーバ20からインターネットWを介して携帯端末10の無線通信部11へ送信する。携帯端末10は経路案内データを無線通信部11から表示部13へ送信し、液晶ディスプレイ等に表示させる(ステップS313)。
【0048】
<実施例2>
実施例2では、ノードデータの接続ノード情報において対応するリンクの情報の形態が実施例1と異なる。なお、地点設定処理S100および経路探索処理S200については実施例1と同じである。
【0049】
実施例2におけるノードデータは、
図12に示すように、接続ノード情報に実施例1における接続リンクIDの代わりに採用リンクIDが記憶される。採用リンクとは、接続対象となるノードとの間のリンクとして採用する標準リンクを示す。また、接続ノード情報には、接続ノードIDやコスト情報の他、鉛直方向に見て採用リンクが接続対象のノードの位置を通過するリンクデータであることと、採用リンクが接続対象のノードの位置を通過するリンクデータであるときに接続対象のノードの採用リンク上における相対位置とを示す相対位置情報とが含まれる。
【0050】
相対位置情報が有効な値を持つ場合、採用リンクが接続対象となるノードを通過することを示している。たとえば、
図11(b)のように、ノードN5の接続先がN2であった場合、標準リンクである採用リンクはリンクL7で表される。ここで、リンクL7上にノードN7が追加され、ノードN5の接続先がノードN7に変更された場合、ノードN5の接続ノード情報の接続ノードIDはノードN7、採用リンクIDはリンクL7をそれぞれ表すこととなる。
【0051】
相対位置情報は、採用リンクの始点から終点までの距離に対する接続対象のノードまでの採用リンク上の距離で表される。たとえば、
図11(b)において、ノードN5からノードN2を結ぶ採用リンクL7の始点から終点までの距離が「100」であって、接続対象のノードN7までの通過リンク上の距離が「50」であるならば、相対位置情報には50パーセントを示す値が記されることとなる。このようなデータ構造とすることで、ネットワークデータ41はノードデータを接続する全てのリンクデータを格納する必要がなくなるので、データ容量を削減できる効果がある。なお、
図12ではネットワークデータ41のノードデータであって、便宜上他のデータを省略して表している。
【0052】
(経路案内処理)
相対位置情報を用いた経路案内処理を、
図13を用いて以下で詳細に説明する。まず、経路案内部32は、経路探索部31が出力したノードの採用リンクIDを参照して、リンクデータを記憶部23のネットワークデータ41から抽出する処理を実行する(ステップS1301)。たとえば、
図10の5Fの階層においては、経路探索部31が出力したノードがノードN6→ノードN5→ノードN7→ノードN8であった場合、実施例2においては、経路案内部32は
図11(b)に示すように標準ネットワークデータのリンクL5、L7、差分ネットワークデータのリンクL9をネットワークデータ41から抽出する。
【0053】
ステップS1301が終了すると、経路案内部32は、鉛直方向に見て採用リンクが接続対象のノードの位置を通過するリンクデータであることを相対位置情報が示しているか否かを判定する処理を実行する(ステップS1302)。ステップS1302において、採用リンクが接続対象のノードの位置を通過するリンクデータであると判定された場合は(ステップS1302:No)、経路案内部32は、ステップS1304へ移行して経路案内データを生成する処理を行なう。
【0054】
一方、ステップS1302において、採用リンクが有効な相対位置情報を含むと判定された場合は(ステップS1302:Yes)、経路案内部32は、ノードデータから相対位置情報を抽出し、この相対位置情報を抽出した採用リンクに適用して変更する(ステップS1303)。具体的には、
図11(b)においては、経路案内部32は、たとえばリンクL7の相対位置情報が50パーセントの場合、リンクL7はノードN5から50パーセントの長さに変更される。経路案内部32は、経路表現データとしてリンクL5→リンクL7(50パーセント)→リンクL9を生成する。
【0055】
ステップS1303およびステップS1302が終了すると、経路案内部32は、採用リンクおよび変更した採用リンクと表示用地図データとから経路案内データを生成する処理を実行する(ステップS1304)。経路案内部32は、リンクデータを画像により表現した経路表現データに、このリンクデータの階層IDに対応する階層単位表示用データを重ねることで、経路案内データを生成する。
【0056】
ステップS1304が終了すると、経路案内部32は生成した経路案内データをデータ通信部21へ出力し、配信サーバ20からインターネットWを介して携帯端末10の無線通信部11へ送信する。経路案内部32は経路案内データを無線通信部11から表示部13へ送信し、液晶ディスプレイ等に表示させる(ステップS1305)。
【0057】
<実施例3>
実施例3では、1つの建造物における標準ネットワークデータのパターンの数が実施例1および2と異なる。すなわち、実施例3の地図データは標準ネットワークデータを1つの建造物に対して複数のパターンで用意することを可能な構造にしている。たとえば低階層が店舗フロアで中高階層がオフィスフロアという構造を持つ複合商業施設の場合、店舗フロアとオフィスフロアとでネットワークの構造が大きく異なることは珍しくない。このような場合、差分ネットワークデータは各階層の通路網と任意に選択された1つの標準ネットワークデータとの差分となる。すなわち、各階層の差分ネットワークデータは、選択された店舗フロアに対応する標準ネットワークデータもくしはオフィスフロアに対応する標準ネットワークデータとの差分となる。このように店舗フロアにおける標準ネットワークデータのパターンとオフィスフロアにおける標準ネットワークデータのパターンとを持つようにすることで、差分ネットワークデータを少なくすることができる。
【0058】
たとえば、階層によって構造の異なる建造物について、
図14を用いて説明する。
図14における建造物Bは、1F〜2Fを店舗フロア、3F〜6Fをオフィスフロアとする複合商業施設である。1F〜2Fの店舗フロアと3F〜6Fのオフィスフロアとは用途が異なるため、通路を含む構造が大きく異なっている。このような場合、標準パターン情報の標準パターンIDにより店舗フロアとオフィスフロアとを区別し、店舗フロアに対応する標準ノードはノードN111〜N115、オフィスフロアに対応する標準ノードはノードN101〜N106と設定することができる。
【0059】
(経路探索処理)
実施例3における経路探索処理について、
図15を用いて以下に詳細に説明する。
実施例3の経路探索処理のうち、
図15に示したステップS1501からステップS1505までの処理は、
図5に示した実施例1の経路探索処理のうちステップS211からステップS215までの処理と同じである。したがってステップS1501からステップS1505までの処理の説明を省略し、ステップS1506の処理から説明を行う。
【0060】
ステップS1505において確定ノードに階層遷移情報が有ると判定した場合は(ステップS1505:Yes)、経路探索部31は接続先階層IDを参照し、接続先の階層がノードデータ群を生成しているか否かの判定をおこなう(ステップS1506)。ステップS1506において、接続先の階層のノードデータ群を生成済みであると判定された場合は(ステップS1506:Yes)、経路探索部31はステップS1503へ移行する。
【0061】
ステップS1506において、接続先の階層のノードデータ群を生成済みでないと判定された場合は(ステップS1506:No)、経路探索部31は接続先階層の標準ノードデータが取得済みか否かの判定をおこなう(ステップS1507)。具体的には、経路探索部31はネットワークデータ41を参照し、接続先階層の階層IDに対応する標準パターンIDとこれまでのステップS1501で取得した標準パターンIDとを比較して、それぞれのIDが同じであるか否かを判定する。ステップS1507において、経路探索部31が接続先階層の階層IDに対応する標準パターンIDとステップS211で取得した標準パターンIDとが同じであり、これにより、接続先階層の標準ノードデータは取得済みであると判定した場合(ステップS1507:Yes)、ステップS1502へ移行する。
【0062】
一方、ステップS1507において接続先階層の階層IDに対応する標準パターンIDとステップS211で取得した標準パターンIDとが異なり、これにより、接続先階層の標準ノードデータは取得済みでないと判定した場合(ステップS1507:No)、ステップS1501へ移行する。
【0063】
以上のように、実施例3の地図データは1つの建造物に対して標準ノードデータを複数パターン用意することで、差分ネットワークデータを少なくすることができ、地図データの容量を削減できる効果がある。たとえば店舗フロアとオフィスフロアが混在する複合商業施設のような場合、店舗フロアの標準パターンおよびオフィスフロアの標準パターンを設定することで、差分ネットワークデータを削減できるのである。
【0064】
<その他>
なお、本発明は上述の実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更、改良が可能であることは言うまでもない。例えば実施例1ではノードデータの接続ノード情報を用いて経路探索を行い、リンクデータは経路案内表示に用いるが、リンクデータとノードデータとを用いて経路探索を行なっても良い。