特許第5771025号(P5771025)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5771025
(24)【登録日】2015年7月3日
(45)【発行日】2015年8月26日
(54)【発明の名称】マルチコアファイバ
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/02 20060101AFI20150806BHJP
   G02B 6/032 20060101ALI20150806BHJP
   G02B 6/036 20060101ALI20150806BHJP
【FI】
   G02B6/02 461
   G02B6/032 Z
   G02B6/036
【請求項の数】6
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2011-43328(P2011-43328)
(22)【出願日】2011年2月28日
(65)【公開番号】特開2012-181282(P2012-181282A)
(43)【公開日】2012年9月20日
【審査請求日】2013年12月13日
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成22年度、独立行政法人情報通信機構、「高度通信・放送研究開発委託研究/革新的光ファイバ技術の研究開発」、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願」
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000005186
【氏名又は名称】株式会社フジクラ
(74)【代理人】
【識別番号】100143764
【弁理士】
【氏名又は名称】森村 靖男
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 雄佑
(72)【発明者】
【氏名】松尾 昌一郎
(72)【発明者】
【氏名】竹永 勝宏
【審査官】 吉田 英一
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2009/107414(WO,A1)
【文献】 国際公開第2010/082656(WO,A1)
【文献】 Kunimasa Saitoh, Takashi Matsui, Taiji Sakamoto, Masanori Koshiba, and Shigeru Tomita,Multi-Core Hole-Assisted Fibers for High Core Density Space Division Multiplexing,15th OptoElectronics and Communications Conference (OECC2010) Technical Digest,2010年 7月, ,pp. 164 - 165
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/02
G02B 6/032
G02B 6/036
G02B 6/04
JSTPlus(JDreamIII)
JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
クラッドと、
前記クラッド内に設けられ、コアと、前記コアを囲む内側クラッド層と、前記内側クラッド層を囲むと共に、前記クラッド及び前記内側クラッド層よりも平均屈折率が低い低屈折率層と、を有する複数のコア要素と、
を備え、
特定のコア要素が、つ以上のコア要素に囲まれ、
前記4つ以上のコア要素は、6つ以上のコア要素が等間隔で配置される場合における2つのコア要素が欠落した状態で配置されると共に、前記特定のコア要素を中心とした180度回転対称性を有する
ことを特徴とするマルチコアファイバ。
【請求項2】
前記特定のコア要素を囲む前記つ以上のコア要素は、つ以上のコア要素が等間隔で矩形をなすように配置される場合における、2つのコア要素が欠落した状態で配置されていることを特徴とする請求項1に記載のマルチコアファイバ。
【請求項3】
前記低屈折率層は、前記クラッド及び前記内側クラッド層よりも屈折率の低い材料から成ることを特徴とする請求項1または2に記載のマルチコアファイバ。
【請求項4】
前記低屈折率層は、前記クラッドと前記内側クラッド層よりも屈折率が低い低屈折率部が、前記内側クラッドを囲むように複数形成されて成ることを特徴とする請求項1または2に記載のマルチコアファイバ。
【請求項5】
前記複数のコア要素における前記低屈折率部の少なくとも1つは、自己のコア要素におけるコアと、他のコア要素におけるコアとを結ぶ直線上に配置されていることを特徴とする請求項に記載マルチコアファイバ。
【請求項6】
前記低屈折率部は、空孔であることを特徴とする請求項またはに記載のマルチコアファイバ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クロストークを低減しつつ、特定のコアのカットオフ波長が長波長化することを抑制することができるマルチコアファイバに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、一般に普及している光ファイバ通信システムに用いられる光ファイバは、1本のコアの外周がクラッドにより囲まれた構造をしており、このコア内を光信号が伝搬することで情報が伝送される。そして、近年光ファイバ通信システムの普及に伴い、伝送される情報量が飛躍的に増大している。このような伝送される情報量の増大に伴い、光ファイバ通信システムにおいては、数十本から数百本といった多数の光ファイバが用いられることで、大容量の長距離光通信が行われている。
【0003】
こうした光ファイバ通信システムにおける光ファイバの数を低減させるため、複数のコアの外周が1つのクラッドにより囲まれたマルチコアファイバを用いて、それぞれのコアを伝搬する光により、複数の信号を伝送させることが知られている。
【0004】
しかし、マルチコアファイバにおいては、コア同士のクロストークが生じる場合があり、マルチコアファイバを細径化すると、コア間距離が小さくなるため、このクロストークが更に生じ易くなる。従って、コア同士のクロストークが低減できるマルチコアファイバが求められている。
【0005】
下記特許文献1には、このようなコア同士のクロストークを低減できるマルチコアファイバの一例が記載されている。このマルチコアファイバにおいては、クラッド内に複数のコアが配されており、それぞれのコアの外周面を囲むように、クラッドよりも屈折率の低い漏洩低減部(低屈折率層)が形成されている。具体的には、それぞれのコアの外周面がクラッドと同じ屈折率を有する内側クラッド層で囲まれ、さらにそれぞれの内側クラッド層の外周面が、クラッドよりも屈折率が低い漏洩低減部で囲まれているという構成である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第WO2010/082656号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献1の構成により、コア間のクロストークが低減できる。しかし、上記特許文献1に記載のマルチコアファイバにおいては、コアの配列により、所定のコアのカットオフ波長が長くなる場合があり、その所定のコアにおいては、他のコアと同じ条件でシングルモード通信が出来ないということが本発明者らの検討の結果分かった。
【0008】
そこで、本発明は、コア間のクロストークを低減しつつ、特定のコアのカットオフ波長が長波長化することを抑制することができるマルチコアファイバを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、それぞれのコアが低屈折率層で囲まれているマルチコアファイバにおいて、コアの配列により、特定のコアのカットオフ波長が長波長化する原因を鋭意検討した。その結果、このカットオフ波長が長波長化する現象は、3つ以上のコアで囲まれている場所に位置するコアで発生していることが明らかとなった。そこで、本発明者は、更に鋭意検討を進め、本発明をするに至った。
【0010】
すなわち、本発明のマルチコアファイバは、クラッドと、前記クラッド内に設けられ、コアと、前記コアを囲む内側クラッド層と、前記内側クラッド層を囲むと共に、前記クラッド及び前記内側クラッド層よりも平均屈折率が低い低屈折率層と、を有する複数のコア要素と、を備え、特定のコア要素が、3つ以上のコア要素に囲まれ、前記特定のコア要素を囲む前記3つ以上のコア要素において、互いに隣り合う少なくとも一組のコア要素におけるそれぞれの低屈折率層間の距離が、他の互いに隣り合うコア要素のそれぞれの低屈折率層間の距離よりも大きくされることを特徴とするものである。
【0011】
このようなマルチコアファイバによれば、内側クラッドを介してコアを囲む低屈折率層により、コアへの光の閉じ込め効果が大きく、コアから光が漏えいしづらくなるので、コア間のクロストークを低減することができる。
【0012】
また、上述のように、本発明者らは、3つ以上のコア要素で囲まれている特定のコア要素については、他のコア要素よりもカットオフ波長が長波長化する傾向があることを見出した。これは、特定のコア要素を囲む複数のコア要素の低屈折率層により、特定のコア要素から高次モードが逃げづらくなることが原因であると本発明者らは考えている。しかし、本発明のマルチコアファイバによれば、特定のコア要素を囲む3つ以上のコア要素において、互いに隣り合う少なくとも一組のコア要素間の距離が、他の互いに隣り合うコア要素間の距離よりも大きくされるため、このコア要素間の距離が大きなコア要素とコア要素との間から、コア要素で囲まれている特定のコア要素の高次モードが逃げやすくなる。従って、この特定のコア要素のカットオフ波長が長波長化することを防止することができる。こうして、それぞれのコア要素のカットオフ波長が変わることを抑制でき、それぞれのコア要素における、シングルモード通信を行うための条件が変わることを抑制することができる。
【0013】
また、前記特定のコア要素を囲む前記3つ以上のコア要素は、4つ以上のコア要素が等間隔で配置される場合における、少なくとも1つのコア要素が欠落した状態で配置されていることとしても良い。
【0014】
このようなマルチコアファイバは、母材の作成段階において、4つ以上のコア要素となるガラス部材を等間隔で並べる代わりに、4つ以上のコア要素となるガラス部材の内の少なくとも1つをクラッドと同じ屈折率のガラス部材に置き換えるだけで良い。従って、このようなマルチコアファイバは、製造が容易である。
【0015】
或いは、前記特定のコア要素を囲む前記3つ以上のコア要素は、4つ以上のコア要素が矩形をなすように配置される場合における、少なくとも1つのコア要素が欠落した状態で配置されていることとしても良い。
【0016】
また、前記低屈折率層は、前記クラッド及び前記内側クラッド層よりも屈折率の低い材料から成ることとしても良い。
【0017】
このような低屈折率層の屈折率は、それぞれのコア要素を屈折率の観点から見る場合に、低屈折率層が溝状になるため、トレンチ構造と呼ばれる。このような、構造にすることにより、
ファイバの曲げに対する損失を抑制することができ、また、量産における製造方法が確立しているため、容易に安価に製造することができる。
【0018】
或いは、前記低屈折率層は、前記クラッドと前記内側クラッド層よりも屈折率が低い低屈折率部が、前記内側クラッドを囲むように複数形成されて成ることとしても良い。
【0019】
このような、構造によれば、低屈折率部がコアを囲むように環状に連続して形成されていないため、各コアの高次モードの閉じ込め損失を大きくすることができ、各コアのカットオフ波長が長波長化することを抑制することができる。
【0020】
更に、前記複数のコア要素における前記低屈折率部の少なくとも1つは、自己のコア要素におけるコアと、他のコア要素におけるコアとを結ぶ直線上に配置されていることとしても良い。
【0021】
コアとコアとの間に低屈折率部が介在することにより、クロストークをより抑制することができる。
【0022】
また、前記低屈折率部は、空孔であることとしても良く、この場合、低屈折率層の屈折率をより低くすることができる。
【発明の効果】
【0023】
以上のように、本発明によれば、コア間のクロストークを低減しつつ、特定のコアのカットオフ波長が長波長化することを抑制することができるマルチコアファイバが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の第1実施形態に係るマルチコアファイバの長手方向に垂直な断面の構造の様子を示す図である。
図2図1に示すコア要素を示す図である。
図3】本発明の第2実施形態に係るマルチコアファイバの長手方向に垂直な断面の構造の様子を示す図である。
図4図3に示すコア要素を示す図である。
図5】本発明の第3実施形態に係るマルチコアファイバの長手方向に垂直な断面の構造の様子を示す図である。
図6】本発明の第4実施形態に係るマルチコアファイバの長手方向に垂直な断面の構造の様子を示す図である。
図7】本発明の第1変形例に係るマルチコアファイバの長手方向に垂直な断面の構造の様子を示す図である。
図8】本発明の第2変形例に係るマルチコアファイバの長手方向に垂直な断面の構造の様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明に係るマルチコアファイバの好適な実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0026】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係るマルチコアファイバの長手方向に垂直な断面の構造の様子を示す図である。
【0027】
図1に示すように、本実施形態のマルチコアファイバ1は、クラッド20と、クラッド20の径方向の中心に配置される特定のコア要素10aと、クラッド20内に配置されコア要素10aを囲むように配置される3つ以上のコア要素10bと、クラッド20の外周面を被覆する内側保護層31と、内側保護層31の外周面を被覆する外側保護層32と、を備える。本実施形態においては、コア要素10bが5つの場合を示している。
【0028】
図2は、図1に示すコア要素を示す図である。具体的には、図2(A)は、それぞれのコア要素10a,10bのマルチコアファイバ1の長さ方向に垂直な断面における構造の様子を示す図であり、図2(B)は、それぞれのコア要素10a,10bにおける屈折率分布を示す図である。
【0029】
図2(A)に示すように、それぞれのコア要素10a,10bは、それぞれ同様の構造をしており、コア11と、コア11の外周面を囲む内側クラッド層12と、内側クラッド層12の外周面を囲み、クラッド20に外周面が囲まれる低屈折率層13とを有している。本実施形態においては、各コア要素10a,10bにおいて、それぞれのコア11の直径は互いに等しく、それぞれの内側クラッド層12の外径は互いに等しく、それぞれの低屈折率層13の外径は互いに等しくされている。従って、それぞれの内側クラッド層12の厚さは、互いに等しく、さらに、それぞれの低屈折率層13の厚さは互いに等しくされている。マルチコアファイバ1を構成するそれぞれの部材の大きさは、特に限定されるわけではないが、例えば、コア11の直径は、8.2μmとされ、内側クラッド層12の外径は、19μmとされ、低屈折率層13の外径は、27μmとされ、クラッド20の直径は、150μmとされ、内側保護層31の外径は、220μmとされ、外側保護層32の外径は、270μmとされる。
【0030】
また、図2(B)に示すように、内側クラッド層12の屈折率n、及び、クラッド20の屈折率nは、コア11の屈折率nよりも低くされ、低屈折率層13の屈折率nは、内側クラッド層12の屈折率n、及び、クラッド20の屈折率nよりも更に低くされている。別言すれば、それぞれの屈折率n〜nは、
>n>n
>n
<n
を全て満たしている。
【0031】
さらに、本実施形態においては、内側クラッド層12の屈折率nとクラッド20の屈折率nとが、互いに等しくされている。つまり、n=nとされている。
【0032】
このようにそれぞれのコア要素10a,10bを屈折率の観点から見る場合に、コア要素10a,10bにおいて、低屈折率層13は、溝状の形状をしており、それぞれのコア要素10a,10bは、トレンチ構造を有している。なお、本実施形態において、低屈折率層13の屈折率は、低屈折率層13内で一様であるため、低屈折率層13における屈折率と平均屈折率は同意である。
【0033】
マルチコアファイバ1は、このような屈折率を有するため、コア11は、例えば、ゲルマニウム等の屈折率を上げるドーパントが添加された石英から成り、内側クラッド層12及びクラッド20は、例えば、何らドーパントが添加されない純粋な石英から構成される。さらに、低屈折率層13は、クラッド20及び内側クラッド層12よりも屈折率の低い材料から成り、例えば、フッ素等の屈折率を下げるドーパントが添加された石英から成る。また、内側保護層31、及び外側保護層32は、例えば、互いに種類の異なる紫外線硬化樹脂等から構成される。
【0034】
なお、光ファイバの導波特性は、上記の屈折率に基づくクラッド20の屈折率に対する比屈折率差Δで規定される。i=1、2、3としたとき、nの屈折率を有する層のクラッド20に対する比屈折率差Δは、以下の式で定義される。
【数1】
【0035】
このようにマルチコアファイバ1においては、それぞれのコア要素10a,10bにおいて、低屈折率層13の屈折率nが、内側クラッド層12の屈折率n及びクラッド20の屈折率nよりも小さくされることで、コア11への光の閉じ込め効果が大きくなり、コア11から光が漏えいしづらくなる。従って、コア11を伝播する光がコア要素10a,10bから漏えいすることを防止することができる。さらに、屈折率の低い低屈折率層13及びクラッド20が障壁となり、互いに隣り合うコア要素10a,10bにおけるコア11同士、或いは、互いに隣り合うコア要素10bにおけるコア11同士のクロストークを抑制することができる。
【0036】
コア11の比屈折率差は、特性として有するべきモードフィールド径MFDに応じて規定される。内側クラッド層12のクラッド20に対する比屈折率差は、本実施形態のように略ゼロであることが多いが、波長分散特性の調整のために正負の値に適時設定される。つまり、内側クラッド層12の屈折率nが、コア11の屈折率nと、クラッド20の屈折率nとの間に設定されたり、低屈折率層13の屈折率nと、クラッド20の屈折率nとの間に設定される。
【0037】
なお、本実施形態においては、それぞれのコア要素10a,10bにおけるコア11の屈折率nは、互いに等しくされ、それぞれのコア要素10a,10bにおける内側クラッド層12の屈折率nは互いに等しくされ、それぞれのコア要素10a,10bにおける低屈折率層13の屈折率nは互いに等しくされている。
【0038】
そして、図1に示すように、マルチコアファイバ1においては、特定のコア要素10aが、上述のようにクラッド20の径方向の中心に配置され、それぞれのコア要素10bは、それぞれのコア要素10bの中心がコア要素10a中心と、中心が一致している同心円状に配置されることで、コア要素10aを囲むように配置されている。さらに、それぞれのコア要素10bは、4つ以上のコア要素が等間隔で配置される場合における少なくとも1つのコア要素が欠落した状態で配置されている。本実施形態においては、上述のようにコア要素10bが5つの場合であるので、これらのコア要素10bは、6つのコア要素が等間隔で配置される場合における、図1の破線で示す部分に配置されるはずの1つのコア要素10xが欠落した状態で配置されている。
【0039】
こうして、それぞれのコア要素10bにおいて、コア要素10xが欠落している破線で示す場所を介して隣り合う一組のコア要素10b間の距離L1が、他の互いに隣り合うコア要素10b間の距離L2よりも大きくされている。つまり、距離L1は、コア要素が欠落している破線で示す場所を介して隣り合う一組のコア要素10bにおける、一方のコア要素10bの低屈折率層13の外周面から、他方のコア要素10bの低屈折率層13の外周面までの距離であり、距離L2は、互いに隣り合う他のコア要素10bにおける一方のコア要素10bの低屈折率層13の外周面から、他方のコア要素10bの低屈折率層13の外周面までの距離であり、L1>L2とされる。
【0040】
なお、このようなマルチコアファイバ1は、次のように製造される。まず、コア11、内側クラッド12、低屈折率層13となる複数のコア要素用ガラス部材を準備する。さらに、これらのコア要素用ガラス部材をクラッド20もしくはクラッド20の一部となるクラッド用ガラス部材中に配置する。このとき、本実施形態のマルチコアファイバ1においては、コア要素10xが欠落するため、この位置には、コア要素用ガラス部材ではなく、クラッド用ガラス部材を配置する。そして、コア要素用ガラス部材が配置された状態で、コラプスすることにより、断面における配置が、図1(A)に示すマルチコアファイバ1における内側保護層31、外側保護層32を除いた部分と相似形のファイバ用母材を作製する。そして、作成したファイバ用母材加熱溶融し紡糸することでマルチコアファイバとし、このマルチコアファイバを内側保護層31、外側保護層32で被覆して、マルチコアファイバ1とする。なお、上記のコア要素用ガラス部材をクラッド20もしくはクラッド20の一部となるクラッド用ガラス部材中に配置して、コラプスしながら紡糸しても良い。
【0041】
以上説明したように、本実施形態のマルチコアファイバ1によれば、上述のようにコア間のクロストークを低減することができる。
【0042】
また、マルチコアファイバが、本実施形態のコア要素10a,10bのように、コアが低屈折率層で囲まれている複数のコア要素を有し、特定のコア要素が、3つ以上のコア要素で囲まれている場合、特定のコア要素のカットオフ波長が長くなる傾向にある。しかし、本実施形態のマルチコアファイバ1によれば、特定のコア要素10aを囲む3つ以上のコア要素10bにおいて、互いに隣り合う少なくとも一組のコア要素間の距離L1が、他の互いに隣り合うコア要素間の距離L2よりも大きくされるため、このコア要素間の距離が大きなコア要素10bとコア要素10bとの間から、特定のコア要素10aの高次モードが逃げやすくなると考えられる。従って、特定のコア要素10aのカットオフ波長が長波長化することを抑制することができる。こうして、それぞれのコア要素10a,10bのカットオフ波長が変わることを抑制でき、それぞれのコア要素10a,10bにおける、シングルモード通信を行うための条件が変わることを抑制することができる。
【0043】
また、本実施形態においては、特定のコア要素10aを囲む3つ以上のコア要素10bは、4つ以上のコア要素が等間隔で配置される場合における、少なくとも1つのコア要素が欠落した状態で配置されているため、母材の作成段階において、4つ以上のコア要素となるガラス部材を等間隔で並べる代わりに、4つ以上のコア要素となるガラス部材の内の少なくとも1つをクラッドと同じ屈折率のガラス部材に置き換えるだけで良い。従って、このようなマルチコアファイバは、製造が容易である。
【0044】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について図3図4を参照して詳細に説明する。なお、第1実施形態と同一又は同等の構成要素については、特に説明する場合を除き、同一の参照符号を付して重複する説明は省略する。
【0045】
図3は、本発明の第2実施形態に係るマルチコアファイバの長手方向に垂直な断面の構造の様子を示す図である。図3に示すように、本実施形態のマルチコアファイバ2は、第1実施形態における特定のコア要素10aの代わりに、コア要素10aと同じ位置に配置されるコア要素10cを備え、第1実施形態における3つ以上のコア要素10bの代わりに、それぞれのコア要素10bと同じ位置に配置される3つ以上のコア要素10dを備える点において、第1実施形態のマルチコアファイバ1と異なる。つまり、特定のコア要素10cを囲むそれぞれのコア要素10dは、6つのコア要素が等間隔で配置される場合における、図1の破線で示す部分に配置されるはずの1つのコア要素10yが欠落した状態で配置されている。
【0046】
図4は、図3に示すコア要素10c,10dを示す図である。具体的には、図4(A)は、それぞれのコア要素10c,10dのマルチコアファイバ1の長さ方向に垂直な断面における構造の様子を示す図であり、図4(B)は、それぞれのコア要素10c,10dにおける屈折率分布を示す図である。
【0047】
図4(A)に示すように、それぞれのコア要素10c,10dは、それぞれ同様の構造をしており、第1実施形態のコア11と同様のコア11と、コア11の外周面を囲み第1実施形態の内側クラッド層12と同様の内側クラッド層12と、内側クラッド層12の外周面を囲み、クラッド20に外周面が囲まれる低屈折率層14とを有している。そして、本実施形態において、低屈折率層14は、クラッド20と内側クラッド層12よりも屈折率が低い低屈折率層13が、内側クラッド層12を囲むように複数形成されて成っている。
【0048】
図3に示すように、それぞれのコア要素10c,10dにおける複数の低屈折率部15の内、少なくとも1つは、自己のコア要素におけるコア11と、他のコア要素におけるコア11とを結ぶ直線上に配置されている。具体的には、コア要素10cにおける低屈折率部15は、自己のコア要素10cのコア11と、コア要素10dのコア11とを結ぶ直線上に配置されている。また、それぞれのコア要素10dにおいては、低屈折率部15の1つは、自己のコア要素10dのコア11と、コア要素10cのコア11とを結ぶ直線上に配置されており、低屈折率部15の他の少なくとも1つは、自己のコア要素10dのコア11と、他のコア要素10dのコア11とを結ぶ直線上に配置されている。このように、コア11と他のコア11との間に低屈折率部15が介在することにより、それぞれのコア同士のクロストークをより抑制することができる。
【0049】
本実施形態における低屈折率部15は、空孔であり、また、本実施形態においては、この低屈折率部15が6つの状態を示している。また、低屈折率層14における低屈折率部15以外の領域は、クラッド20、及び、内側クラッド層12と同様の材料から成っている。
【0050】
そして、図4(B)に示すように、低屈折率部15の屈折率は、内側クラッド層12、及び、クラッド20の屈折率よりも低いため、低屈折率層14の平均屈折率は、内側クラッド層12及びクラッド20よりも低くされている。なお、上述のように低屈折率層14の低屈折率部15以外の領域は、内側クラッド12及びクラッド20との境界がないが、図3図4においては、理解の容易のため、境界を仮想線で示している。
【0051】
なお、このようなマルチコアファイバ3は、次のように製造される。まず、コア11、内側クラッド12、低屈折率層14となるコア要素用ガラス部材となる複数のコア要素用ガラス部材を準備する。この低屈折率層14となる部材は、それぞれの低屈折率部(空孔)15が形成されるように、それぞれの低屈折率部15となる位置に、ガラス管が配置される。そして、これらのコア要素用ガラス部材をクラッド20もしくはクラッド20の一部となるクラッド用ガラス部材中に配置する。このとき、本実施形態のマルチコアファイバ2においては、コア要素10yが欠落するため、この位置には、コア要素用ガラス部材ではなく、クラッド用ガラス部材を配置する。そして、ガラス管の貫通孔に所定の圧力が加えられる状況で、コラプスすることにより、断面における配置が、図3に示すマルチコアファイバ1における内側保護層31、外側保護層32を除いた部分と相似形のファイバ用母材を作製する。そして、作成したファイバ用母材を加熱溶融し、各貫通孔に所定の圧力を加えて紡糸することでマルチコアファイバとし、このマルチコアファイバを内側保護層31、外側保護層32で被覆して、マルチコアファイバ3とする。なお、上記のコア要素用ガラス部材をクラッド20もしくはクラッド20の一部となるクラッド用ガラス部材中に配置して、コラプスしながら各貫通孔に所定の圧力を加えて紡糸しても良い。
【0052】
本実施形態におけるマルチコアファイバ2によれば、低屈折率部15がコア11を囲むように環状に連続して形成されていないため、各コア11の高次モードの閉じ込め損失を大きくすることができ、各コア11のカットオフ波長が長波長化することを抑制することができる。
【0053】
また、本実施形態においては、低屈折率部15を空孔で形成しているため、低屈折率部15の屈折率をより小さくすることができるが、低屈折率部15は、空孔に限らず、内側クラッド12及びクラッド20よりも低屈折率の材料であれば、特に限定されない。
【0054】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について図5を参照して詳細に説明する。なお、第1実施形態と同一又は同等の構成要素については、特に説明する場合を除き、同一の参照符号を付して重複する説明は省略する。
【0055】
図5は、本発明の第3実施形態に係るマルチコアファイバの長手方向に垂直な断面の構造の様子を示す図である。
【0056】
図5に示すように、本実施形態のおけるマルチコアファイバ3においては、特定のコア要素10aを囲む3つ以上のコア10要素bの数が第1実施形態のコア要素10bの数よりも多くされる。具体的には、特定のコア要素10aを囲むコア要素10bが4つ以上とされ、本実施形態においては、特定のコア要素10aを囲むコア要素10bが6つとされる。そして、これらのコア要素10bは、8つのコア要素が等間隔で配置される場合における、図5の破線で示す部分に配置されるはずの2つのコア要素10xが欠落した状態で配置されている。
【0057】
こうして、本実施形態のマルチコアファイバ3においては、特定のコア要素10aを囲む6つのコア要素10bにおいて、互いに隣り合う一組のコア要素間の距離L3が、他の互いに隣り合うコア要素間の距離L4よりも大きくされる。そして、コア要素が2ヶ所において欠落することで、コア要素10b間の距離が、2ヶ所において、他のコア要素10b間の距離L4よりも大きな距離L3となっている。
【0058】
このようなマルチコアファイバ3は、マルチコアファイバ1の製造において、コア要素用ガラス部材を2ヶ所において配置せずに、代わりにクラッド用ガラス部材を配置すれば良い。
【0059】
本実施形態のマルチコアファイバ3によれば、特定のコア要素10aを囲むコア要素10bが4つ以上であり、さらに、コア要素10bにおいて、複数の箇所において、互いに隣り合う一組のコア要素10b間の距離L3が、他の互いに隣り合うコア要素10b間の距離L4よりも大きくされるので、特定のコア要素10aの高次モードをより逃がし易くすることができる。従って、それぞれのコア要素10a,10bのカットオフ波長が変わることをより抑制でき、それぞれのコア要素10a,10bにおける、シングルモード通信を行うための条件が変わることをより抑制することができる。
【0060】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態について図6を参照して詳細に説明する。なお、第1実施形態と同一又は同等の構成要素については、特に説明する場合を除き、同一の参照符号を付して重複する説明は省略する。
【0061】
図6は、本発明の第4実施形態に係るマルチコアファイバの長手方向に垂直な断面の構造の様子を示す図である。
【0062】
図6に示すように、本実施形態のマルチコアファイバ4においては、特定のコア要素10aを囲む3つ以上のコア要素10bが、4つ以上のコア要素が矩形をなすように配置される場合における、少なくとも1つのコア要素が欠落した状態で配置される。具体的には、本実施形態において、コア要素10bの数は、7つとされ、それぞれのコア要素10bは、8つのコア要素が、矩形をなすように配置される場合における、図6の破線で示す部分に配置されるはずの1つのコア要素10xが欠落した状態で配置されている。
【0063】
こうして、それぞれのコア要素10bにおいて、コア要素が欠落している破線で示す場所を介して隣り合う一組のコア要素10b間の距離L5が、他の互いに隣り合うコア要素10b間の距離L6よりも大きくされている。
【0064】
なお、このようなマルチコアファイバ4は、マルチコアファイバ1の製造において、コア11、内側クラッド12、低屈折率層13となる複数のコア要素用ガラス部材の配置を図6に示すマルチコアファイバ4におけるそれぞれのコア要素10a、10bの配置と同様にすれば良い。
【0065】
本実施形態におけるマルチコアファイバ4によれば、矩形状にコアが配置されているため、平面型の導波路等といった光デバイスとの整合性を容易に取ることができ、このような光デバイスとの間で、光の入出力を容易に行うことができる。
【0066】
以上、本発明について、実施形態を例に説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0067】
それぞれのコア要素の配置や数については、特定のコア要素が、3つ以上のコア要素に囲まれ、この特定のコア要素を囲む前記3つ以上のコア要素において、互いに隣り合う少なくとも一組のコア要素間の距離が、他の互いに隣り合うコア要素間の距離よりも大きくされる限りにおいて、適宜変更が可能である。
【0068】
例えば、上記実施形態においては、特定のコア要素10a、10cの数が1つの場合について説明した。しかし、本発明は、これに限らず、特定のコア要素10a、10cの数が複数であっても良い。ここで特定のコア要素10aが複数の場合の変形例について、図7図8を用いて説明する。なお、第1実施形態と同一又は同等の構成要素については、特に説明する場合を除き、同一の参照符号を付して重複する説明は省略する。図7は、本発明の第1変形例に係るマルチコアファイバの長手方向に垂直な断面の構造の様子を示す図であり、図8は、本発明の第2変形例に係るマルチコアファイバの長手方向に垂直な断面の構造の様子を示す図である。
【0069】
図7に示すように、第1変形例おけるマルチコアファイバ5においては、3つのコア要素10aのそれぞれが、4つのコア要素10bで囲まれている。具体的には、それぞれのコア要素10aを囲むそれぞれのコア要素10bは、6つのコア要素が等間隔で配置される場合における、図7の破線で示す部分に配置されるはずの2つのコア要素10xが欠落した状態で配置されている。
【0070】
また図8に示すように、第2変形例におけるマルチコアファイバ6においては、4つのコア要素10aのそれぞれが6つのコア要素10bで囲まれている。具体的には、それぞれのコア要素10aを囲むそれぞれのコア要素10bは、8つのコア要素が矩形状に配置される場合における、図8の破線に示す部分に配置されるはずの2つのコア要素10xが欠落した状態で配置されている。本変形例においては、複数のコア要素10a,10bで囲まれるコア要素10bを特定のコア要素として考える場合においても、このコア要素10bを囲むコア要素10a,10bは、4つ以上のコア要素が矩形をなすように配置される場合における、少なくとも1つのコア要素が欠落した状態で配置されている。
【0071】
また、それぞれのコア要素については、クラッド20内に設けられ、コア11と、コア11を囲む内側クラッド層12と、内側クラッド層12を囲むと共に、クラッド20及び内側クラッド層12よりも平均屈折率が低い低屈折率層とを有する限りにおいて、適宜変更が可能である。
【0072】
例えば、第3、第4実施形態、及び、上記変形例において、それぞれのコア要素10a,10bが、第2実施形態におけるコア要素10c,10dを同様の構成であっても良い。
【0073】
また、上記実施形態や上記変形例におけるコア要素10a,10bにおいて、それぞれのコア11の直径は互いに等しく、それぞれの内側クラッド層12の外径は互いに等しく、それぞれの低屈折率層13の外径は互いに等しくされるとした。しかし、本発明はこれに限らず、コア11の直径や、内側クラッド層12の外径や、低屈折率層13の外径が、それぞれのコア要素10a,10bにおいて、互いに異なっていても良く、特に互いに隣り合うコア要素10a,10bにおけるコア11の直径が互いに異なっていることが好ましい。例えば、中心に配置されるコア要素10aを囲むコア要素10bのコア11の直径が、中心のコア要素10aのコア11に対して、約1%異なるようにされ、さらに、外周側のコア要素10bにおけるコア11の直径が、互いに隣り合うコア要素10bのコア11の直径に対して、互いに1%〜2%異なるようにされる。このように、それぞれのコア要素10a,10bにおけるコア11の直径が、物理的に僅かに異なっていても、コア11を伝播する光にしてみれば、それぞれのコア11の直径は、殆ど変わらず、略同等の光学特性となる。そして、このように互いに隣り合うコア要素10a,10bにおけるコア11の直径を異なる大きさにすることにより、クロストークをより低減することができる。
【0074】
同様に、第2実施形態におけるコア要素10c,10dにおいて、それぞれのコア11の直径や、内側クラッド層12の外径や、低屈折率層14における低屈折率部15の直径や数等が異なっていても良い。
【0075】
また、本実施形態や上記変形例においては、それぞれのコア要素10a,10bにおいて、それぞれのコア11の屈折率nは互いに等しくされ、それぞれの内側クラッド層12の屈折率nは互いに等しくされ、それぞれの低屈折率層13の屈折率nは互いに等しくされているとされた。しかし、それぞれのコア要素10a,10bにおける、それぞれのコア11の屈折率nが互いに異なっていても良く、それぞれの内側クラッド層12の屈折率nが互いに異なっていても良く、それぞれの低屈折率層13の屈折率nが互いに異なっていても良く、特に互いに隣り合うコア要素10a,10bにおけるコア11の屈折率が互いに異なっていることが好ましい。例えば、中心に配置されるコア要素10aを囲むコア要素10bのコア11の屈折率が、中心のコア要素10aのコア11に対して、約0.01%異なるようにされ、さらに、外周側のコア要素10bにおけるコア11の屈折率が、互いに隣り合うコア要素10bにおけるコア11の屈折率に対して、互いに0.01%〜0.02%異なるようにされる。このように、それぞれのコア要素10a,10bにおけるコア11の屈折率が、物理的に僅かに異なっていても、コア11を伝播する光にしてみれば、それぞれのコア11の光学特性は殆ど変わらない。そして、このように互いに隣り合うコア要素10a,10bにおけるコア11の屈折率を異なる大きさにすることにより、クロストークをより低減することができる。
【0076】
同様に、第2実施形態におけるコア要素10c,10dにおいて、それぞれのコア11の屈折率や、それぞれの内側クラッド層12の屈折率や、低屈折率層14における低屈折
率部15の平均屈折率が異なっていても良い。
【0077】
また、上記実施形態及び変形例においては、特定のコア要素10aを囲む3つ以上のコア要素10bは、4つ以上のコア要素が等間隔で配置される場合における、少なくとも1つのコア要素10xが欠落した状態で配置されている状態や、4つ以上のコア要素が矩形をなすように配置される場合における、少なくとも1つのコア要素10xが欠落した状態で配置されているとした。しかし、本発明はこれに限らず、特定のコア要素10aを囲む3つ以上のコア要素10bは、互いに隣り合うコア要素10b同士の間隔が意図的に1カ所以上大きくされて配置されても良い。
【実施例】
【0078】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明の内容をより具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものでは無い。
【0079】
(実施例1)
第1実施形態のマルチコアファイバと同様の構造のマルチコアファイバを想定して、シミュレーションを行った。すなわち、クラッドの中心に1つのコア要素が配置され、このクラッドの中心に配置されるコアを囲むように、外周側に6つのコア要素が等間隔で配置される場合における、1つのコア要素が欠落した状態で5つのコア要素が配置される条件でシミュレーションを行った。
【0080】
このシミュレーションにおいて、中心のコア要素と、外周側のそれぞれのコア要素との中心間距離を35.2μmとした。従って、外周側のコア要素においては、1カ所のコア要素の中心間距離が、61.0μmとなり、他のコア要素の中心間距離はそれぞれ35.2μmとなる。さらに、クラッドの外径を150μmとし、それぞれのコア要素におけるコアの半径を4.1μmとし、内側クラッドの外径を9.59μmとし、低屈折率層の外径を16.20μmとした。そして、それぞれのコア要素において、クラッドに対するコアの比屈折率差を0.4%とし、クラッドに対する内側クラッドの比屈折率差を0.0%とし、クラッドに対する低屈折率層の比屈折率差を−0.4%とした。
【0081】
(実施例2)
クラッドの中心に1つのコア要素が配置され、このクラッドの中心に配置されるコアを囲むように、外周側に8つのコア要素が等間隔で配置される場合における、1つのコア要素が欠落した状態で7つのコア要素が配置され、さらに、中心のコア要素と、外周側のそれぞれのコア要素との中心間距離を第1実施形態と同様にした。従って、外周側のコア要素においては、1カ所のコア要素の中心間距離が、49.8μmとなり、他のコア要素の中心間距離はそれぞれ26.9μmとなる。その他は、実施例1と同様にした。
【0082】
(比較例1)
クラッドの中心に1つのコア要素が配置され、このクラッドの中心に配置されるコアを囲むように、外周側に6つのコア要素が配置される条件でシミュレーションを行った。すなわち、実施形態1において、外周側のコア要素が1つも欠落しない状態である点において第1実施形態と異なる条件とし、その他は、第1実施形態と同様にした。
【0083】
次に実施例1、実施例2、比較例1のマルチコアファイバは、において、波長が1.55μmの光が伝播する場合における100kmでのクロストークを計算した。その結果を表1に示す。
【表1】
【0084】
表1に示すように、実施例1、実施例2のマルチコアファイバは、共に比較例1よりもクロストークが若干良くなった。
【0085】
次に、実施例1、実施例2、比較例1のマルチコアファイバにおけるクラッドの中心に配置されたコアの波長が1.55μmの光が伝播する場合におけるモードフィールド径MFD、及び、実効コア径Aeffを計算した。その結果を表1に示す。表1に示すように、実施例1、実施例2のモードフィールド径MFD、及び、実効コア径Aeffは、比較例1のモードフィールド径MFD、及び、実効コア径Aeffよりも若干小さい値となった。
【0086】
次に、実施例1、実施例2、比較例1のマルチコアファイバにおけるクラッドの中心に配置されたコアのカットオフ波長λcc、及び、外周側に配置されたコアのカットオフ波長λcoを計算した。その結果を表1に示す。表1に示すように、実施例1、実施例2のマルチコアファイバは、中心のコアのカットオフ波長λccと、外周側のコアのカットオフ波長λcoの差が小さく、外周側のコア要素で囲まれた中心のコアのカットオフ波長λccが、長波長化することが抑制されている。
【0087】
以上の実施例より、本発明のマルチファイバコアによれば、特定のコアのカットオフ波長が長波長化することを抑制することができることが分かった。
【産業上の利用可能性】
【0088】
以上説明したように、コア間のクロストークを低減しつつ、特定のコアのカットオフ波長が長波長化することを抑制することができるマルチコアファイバが提供され、本発明のマルチコアファイバによれば、クロストークが低減された状態で、容易にシングルモード通信が出来ると考えられる。
【符号の説明】
【0089】
1,2,3,4,5,6・・・マルチコアファイバ
10a,10b,10c,10d・・・コア要素
11・・・コア
12・・・内側クラッド層
13,14・・・低屈折率層
15・・・低屈折率部
20・・・クラッド
31・・・内側保護層
32・・・外側保護層
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8