特許第5771029号(P5771029)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5771029携帯式台紙なしラベル貼付け機の台紙なしラベル挿通装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5771029
(24)【登録日】2015年7月3日
(45)【発行日】2015年8月26日
(54)【発明の名称】携帯式台紙なしラベル貼付け機の台紙なしラベル挿通装置
(51)【国際特許分類】
   B65C 11/00 20060101AFI20150806BHJP
【FI】
   B65C11/00
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2011-56530(P2011-56530)
(22)【出願日】2011年3月15日
(65)【公開番号】特開2012-192944(P2012-192944A)
(43)【公開日】2012年10月11日
【審査請求日】2014年2月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000130581
【氏名又は名称】サトーホールディングス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】前田 英幸
【審査官】 結城 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−299757(JP,A)
【文献】 実開平04−029053(JP,U)
【文献】 実開昭49−099199(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65C 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右一対の側板と、
台紙なしラベルを移送する移送ローラーと、
前記移送ローラーに対して前記台紙なしラベルを押し付ける押付けエレメントと、
前記移送ローラーにより移送されてくる前記台紙なしラベルをさらに移送可能な移送用無端ベルトと、
を有し、
前記移送用無端ベルトを通って前記側板の外部に移送されてきた前記台紙なしラベルを貼り付ける携帯式台紙なしラベル貼付け機の台紙なしラベル挿通装置であって、
前記移送ローラーと前記押付けエレメントと前記移送用無端ベルトとをプラテンフレームに組み込んだプラテンユニットと、
前記プラテンユニットを前記側板に対して係脱可能に係合させる係合機構と、
前記係合機構による係合を解除した状態において、前記移送ローラーと前記押付けエレメントとを互いに離反させて前記台紙なしラベルを挿通することができる間隙を形成可能な第1の付勢部材と、
前記プラテンユニットの全体を前記側板から離反する方向に付勢する第2の付勢部材と、
を備える携帯式台紙なしラベル貼付け機の台紙なしラベル挿通装置。
【請求項2】
前記第1の付勢部材は、前記移送ローラーと前記押付けエレメントとの間において、前記間隙からは側方にずれた位置に設けられていることを特徴とする請求項1記載の携帯式台紙なしラベル貼付け機の台紙なしラベル挿通装置。
【請求項3】
前記プラテンフレームは、前記側板に設けたプラテン開閉軸のまわりで回動可能に設けられていることを特徴とする請求項1または2記載携帯式台紙なしラベル貼付け機の台紙なしラベル挿通装置。
【請求項4】
前記押付けエレメントは、前記プラテンフレームに設けたエレメント軸のまわりで回動可能に設けられていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の携帯式台紙なしラベル貼付け機の台紙なしラベル挿通装置。
【請求項5】
前記プラテンフレームは、前記第1の付勢部材の付勢力および前記第2の付勢部材の付勢力に抗して前記側板に対して固定可能であることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の携帯式台紙なしラベル貼付け機の台紙なしラベル挿通装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は携帯式台紙なしラベル貼付け機の台紙なしラベル挿通装置にかかるもので、とくに帯状の台紙なしラベルを装填して移送し、所望の被貼付け体に貼付け操作を行うための携帯式台紙なしラベル貼付け機の台紙なしラベル挿通装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、携帯式ラベル貼付け機を用いて、各種商品その他の被貼付け体にラベルを貼り付け、商品の価格やその他必要な情報を表示することが行われている。
この携帯式ラベル貼付け機の使用にあたっては、ラベルをロール状に巻いた状態で、携帯式ラベル貼付け機における用紙ホルダーなどの保持部に装填保持する。そして、この用紙ホルダーからラベルを帯状に繰り出して、携帯式ラベル貼付け機内に挿通し、移送又は印字可能な状態に装填する必要がある。
【0003】
携帯式ラベル貼付け機に装填するラベルとしては、帯状のラベル基材と、このラベル基材の裏面に設けた粘着剤層と、ラベル基材の表面に設けた剥離剤層と、を有する一方、台紙を持たない台紙なしラベルがあり、台紙なしラベルは、台紙を持たないことから省資源にも寄与することができる。
この台紙なしラベルを装填して使用する携帯式台紙なしラベル貼付け機においては、機内に装填して移送する台紙なしラベルを移送ローラー部分に押付け部材を押し付けて係合させる機構が必要である。ここで、台紙なしラベルの装填にあたって、この移送ローラーと押付け部材との間を開閉して台紙なしラベルを挿通可能とする機構が必要である。
【0004】
しかし、従来の携帯式台紙なしラベル貼付け機では、上記押付け部材と移送ローラーとの間の開閉機構又は挿通機構の部品点数が多いという問題と、開閉操作および挿通操作自体も手間がかかるという問題があった。
【0005】
また、あらかじめ販売促進情報や広告情報などを印刷したラベルを貼り付ける際には、印字部を設けず、操作レバーの操作のみで、ラベルを貼り付けることができるが、このように構成した携帯式台紙なしラベル貼付け機のプラテンユニットの場合であっても、開放操作および挿通操作に手間がかかるという点については同様の問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8−133259号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、以上のような諸問題にかんがみなされたもので、移送ローラー部分と、台紙なしラベルをこの移送ローラーに押し付けるための押付け部材との間に台紙なしラベルを簡単に装填可能な携帯式台紙なしラベル貼付け機の台紙なしラベル挿通装置を提供することを課題とする。
【0008】
また本発明は、比較的簡易な構成で台紙なしラベルの挿通、装填を行うことができるようにした携帯式台紙なしラベル貼付け機の台紙なしラベル挿通装置を提供することを課題とする。
【0009】
また本発明は、簡単な操作で台紙なしラベルを移送ローラー部分に挿通し、さらに押し付けて係合させ、移送可能な状態とすることができる携帯式台紙なしラベル貼付け機の台紙なしラベル挿通装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、以下のような解決手段により、前記課題を解決する。
【0011】
本発明の実施形態に係る携帯式台紙なしラベル貼付け機の台紙なしラベル挿通装置は、左右一対の側板と、台紙なしラベルを移送する移送ローラーと、前記移送ローラーに対して前記台紙なしラベルを押し付ける押付けエレメントと、前記移送ローラーにより移送されてくる前記台紙なしラベルをさらに移送可能な移送用無端ベルトと、を有し、前記移送用無端ベルトを通って前記側板の外部に移送されてきた前記台紙なしラベルを貼り付ける携帯式台紙なしラベル貼付け機の台紙なしラベル挿通装置であって、前記移送ローラーと前記押付けエレメントと前記移送用無端ベルトとをプラテンフレームに組み込んだプラテンユニットと、前記プラテンユニットを前記側板に対して係脱可能に係合させる係合機構と、前記係合機構による係合を解除した状態において、前記移送ローラーと前記押付けエレメントとを互いに離反させて前記台紙なしラベルを挿通することができる間隙を形成可能な第1の付勢部材と、前記プラテンユニットの全体を前記側板から離反する方向に付勢する第2の付勢部材と、を備える。
また、前記第1の付勢部材は、前記移送ローラーと前記押付けエレメントとの間において、前記間隙からは側方にずれた位置に設けられている。
また、前記プラテンフレームは、前記側板に設けたプラテン開閉軸のまわりで回動可能に設けられている。
また、前記押付けエレメントは、前記プラテンフレームに設けたエレメント軸のまわりで回動可能に設けられている。
また、前記プラテンフレームは、前記第1の付勢部材の付勢力および前記第2の付勢部材の付勢力に抗して前記側板に対して固定可能である。
【発明の効果】
【0018】
本発明による携帯式台紙なしラベル貼付け機の台紙なしラベル挿通装置においては、移送ローラー、押付けエレメントおよび移送用無端ベルトをプラテンフレームに組み込んでプラテンユニットとし、このプラテンユニットを前記側板に対して係脱可能とする。そして、このプラテンユニットを側板に対して開放した状態において、第1の付勢部材により、移送ローラーと押付けエレメントとを互いに離反させて台紙なしラベルを挿通することができる間隙を形成し、さらに、第2の付勢部材により、プラテンユニットの全体を側板から離反する方向に付勢するようにした。これにより、本発明による携帯式台紙なしラベル貼付け機の台紙なしラベル挿通装置は、プラテンユニットを開放すると同時に、移送ローラーおよび押付けエレメントを互いに離反させてその間に台紙なしラベルを挿通することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施形態による台紙なしラベル挿通装置9(図4)を装備した携帯式台紙なしラベル貼付け機1の側面図である。
図2】同、用紙ホルダー4およびプラテンユニット6を開放した状態の側面図である。
図3】同、一方の側板2を取り除いた状態の概略側面図である。
図4】同、プラテンユニット6および台紙なしラベル挿通装置9の分解斜視図である。
図5】同、操作レバー5および移送ローラー18の部分の要部斜視図である。
図6】同、移送ローラー18と押付けエレメント19とが互いに押し付けられた状態におけるプラテンユニット6の閉鎖状態の要部側面図である。
図7】同、台紙なしラベル挿通装置9により移送ローラー18が押付けエレメント19から離間して互いの間に間隙42が形成されるプラテンユニット6の開放状態の要部側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明は、プラテンユニットと押付けエレメントとを第1の付勢部材により互いに離反するようにし、第2の付勢部材によりプラテンユニットの全体を側板から離反する方向に付勢するようにした。これにより、プラテンユニットと押付けエレメントとの間に台紙なしラベルを挿通する間隙を形成可能として、その挿通操作を簡単な構成で容易に行うことができる携帯式台紙なしラベル貼付け機の台紙なしラベル挿通装置を実現した。
【0021】
(実施形態)
つぎに本発明の実施形態による携帯式台紙なしラベル貼付け機の台紙なしラベル挿通装置を図1ないし図7にもとづき説明する。
図1は、携帯式台紙なしラベル貼付け機1の側面図、図2は、同、用紙ホルダー4およびプラテンユニット6を開放した状態の側面図、図3は、同、一方の側板2を取り除いた状態の概略側面図である。
携帯式台紙なしラベル貼付け機1は、左右(紙面表裏)一対の側板2と、台紙なしラベル3の用紙ホルダー4と、操作レバー5と、プラテンユニット6と、印字器7と、貼付けローラー8と、台紙なしラベル挿通装置9と、を有する。
【0022】
左右一対の側板2は、操作者が握持可能なグリップ10を一体に形成する。また、左右一対の側板2は、このグリップ10に対してレバー軸11(図3)のまわりに操作レバー5を回動操作可能としている。
なお、操作レバー5とグリップ10との間には、任意の付勢部材、たとえばコイルスプリング12を設けて、操作レバー5をグリップ10に対して、図1に示すような(操作レバー5の解放時)離反状態に常時付勢可能としている。
操作者は、コイルスプリング12の付勢力に抗してグリップ10および操作レバー5を握持して携帯式台紙なしラベル貼付け機1内のプラテンユニット6および印字器7を駆動する。そして、この握持操作を解放後、携帯式台紙なしラベル貼付け機1の貼付けローラー8による台紙なしラベル3の貼付け操作を行うことになる。
【0023】
台紙なしラベル3は、ロール状に巻かれた状態で用紙ホルダー4に保持される。また、台紙なしラベル3は、操作レバー5の操作にともなって、プラテンユニット6により印字器7方向に帯状に繰り出され、プラテンユニット6の先端部でプラテンユニット6から台紙なしラベル3が分離される。そして、携帯式台紙なしラベル貼付け機1は、貼付けローラー8により台紙なしラベル3を被貼付け体(図示せず)に貼り付け可能とする。ただし、台紙なしラベル3には、所定ピッチで移送用スリット3Aなどを形成し、プラテンユニット6上を移送する際に、任意の切断分離ユニット(図示せず)により、帯状の台紙なしラベル3から単葉のラベル片3Bとすることができる。
【0024】
用紙ホルダー4は、側板2の上面に設けたホルダー軸13のまわりに側板2に対して開閉回動可能とした断面半円弧状のホルダーカバー14と、このホルダーカバー14の内部に設けたラベル保持軸15と、側板2への固定用フック16(図2)と、を有している。用紙ホルダー4は、ラベル保持軸15にロール状の台紙なしラベル3を装填保持可能としてある。
【0025】
図4は、プラテンユニット6および台紙なしラベル挿通装置9の分解斜視図である。
プラテンユニット6は、用紙ホルダー4から帯状に繰り出された台紙なしラベル3をその上面に移送するものである。プラテンユニット6は、プラテンフレーム17と、移送ローラー18と、押付けエレメント19と、を有している。プラテンユニット6は、台紙なしラベル挿通装置9により移送ローラー18と押付けエレメント19との間を接離可能である。
【0026】
プラテンフレーム17は、側板2に設けたプラテン開閉軸20のまわりに回動可能に取り付けられている。プラテンフレーム17は、側板2に対してプラテンユニット6全体を開閉し、台紙なしラベル3の挿通装填を可能とする。
また、プラテンフレーム17は、駆動ギア21および従動ギア22と、これら駆動ギア21および従動ギア22のまわりに掛け回した移送用無端ベルト23と、を備えている。駆動ギア21は、移送ローラー18のローラーギア24に係合する。
移送用無端ベルト23は、移送ローラー18により移送されてくる台紙なしラベル3をさらに移送可能である。移送用無端ベルト23の表面は、台紙なしラベル3の裏面(糊面)が接触移送されるため、非粘着性の物性を有するシリコーン又はフッ素系のゴム材からこれを構成するか、剥離剤などを塗布してある。また、このプラテンフレーム17に組み込まれた移送用無端ベルト23は、印字器7による台紙なしラベル3への押印動作の受け台ともなるもので、その内方において印字器7に対向する受圧用プレート(図示せず)を配置してある。
【0027】
プラテンユニット6は、係合機構により側板2に対して係脱可能に設けられている。この係合機構について説明する。
プラテンフレーム17の先端側の左右には、一対の係脱ローラー25を突出形成してある。この係脱ローラー25は、側板2に設けた開閉用つまみ26(図1図2)に連動してつまみ軸27(図3)のまわりに回動する開閉用係脱片28の係脱用凹部28Aに係脱可能である。つまみ軸27には、任意のバネ材(図示せず)を設けて、開閉用係脱片28が係脱ローラー25に係合する方向にこれを付勢している。
すなわち、開閉用つまみ26は、係脱ローラー25に係脱する開閉用係脱片28を操作して、プラテンユニット6と開閉用係脱片28とを互いに係脱可能としている。
このように、本実施形態では、係脱ローラー25と、開閉用つまみ26と、つまみ軸27と、開閉用係脱片28とにより、プラテンユニット6を側板2に対して係脱可能に係合させる係合機構を構成している。
【0028】
図5は、操作レバー5および移送ローラー18の部分の要部斜視図である。
移送ローラー18は、プラテンフレーム17に設けたローラー軸29のまわりで移送方向に所定ピッチで回転可能に設けられている。
連結アーム30は、操作レバー5のレバー軸11の下方部に延びて形成されており、下端部に連結軸31を有している。
移送回動用爪32は、連結アーム30の連結軸31まわりで往復回転移動可能なように、連結軸31に支持されている。この移送回動用爪32が移送ローラー18におけるローラーギア24の側面に放射状に設けた複数個の移送用突起33それぞれに係脱可能である。
【0029】
このように、操作レバー5をグリップ10とともに握持および解放する操作により、連結アーム30、移送回動用爪32およびローラーギア24などを介してローラー軸29のまわりに移送ローラー18を所定ピッチだけ回転させて台紙なしラベル3を移送可能とする。また、この操作時に、移送ローラー18のローラーギア24と駆動ギア21との連結係合により移送用無端ベルト23を回転させて台紙なしラベル3をその上面に移送可能である。
【0030】
さらに、移送ローラー18には、その中央円周溝34の左右に所定ピッチで左右一対の移送用爪35が突出形成され、移送用爪35の外周側に左右一対の外周円周溝36が形成されている。この移送用爪35は、台紙なしラベル3の移送用スリット3Aに係脱可能である。
なお、操作レバー5は、その先端側に二股状のヨーク部5Aを有し、このヨーク部5Aに印字器7(図1)が取り付けられている。
【0031】
図4に戻って、押付けエレメント19は、移送ローラー18に台紙なしラベル3を押し付けるためのものであり、エレメントフレーム37と、上下左右二対のバックアップローラー38と、バックアップローラー38の間で中央に位置するバックアップリング39と、ねじりコイルバネ40(第1の付勢部材)および左右一対の板バネ41(第2の付勢部材)と、を有する。
ねじりコイルバネ40および左右一対の板バネ41は、プラテンユニット6が開閉用係脱片28から離脱したときに、移送ローラー18と押付けエレメント19とを互いに離反させる機能を有し、押付けエレメント19から移送ローラー18を離反させ、その間に台紙なしラベル3を挿通可能とする間隙42(図7)を形成可能とする。
ただし、上述したように、プラテンフレーム17は、係脱ローラー25と開閉用係脱片28との係合により、ねじりコイルバネ40および板バネ41の付勢力に抗して側板2にこれを固定可能としている。
エレメントフレーム37は、移送ローラー18の円周部に対向する左右一対の支持フレーム43と、支持フレーム43から外方にまたがるように出た左右一対の拡幅フレーム44と、支持フレーム43に設けられてバックアップローラー38およびバックアップリング39を取り付ける上下一対の回転軸45と、を有する。
【0032】
図6は、移送ローラー18と押付けエレメント19とが互いに押し付けられた状態におけるプラテンユニット6の閉鎖状態の要部側面図である。
バックアップローラー38およびバックアップリング39は、台紙なしラベル3の裏面(糊面)が接触移送されるため、非粘着性の物性を有するシリコーン又はフッ素系のゴム材からこれを構成するか、剥離剤などを塗布してあり、台紙なしラベル3を移送ローラー18側に押し付け可能である。
また、バックアップローラー38およびバックアップリング39は、台紙なしラベル3の糊面に線接触するため、糊面との粘着力を極力小さくすることができるとともに、所定のバネ弾性をもった押付けが可能である。
バックアップローラー38は、移送ローラー18の移送用爪35の外周部の外周円周溝36に接触回転し、バックアップリング39が、移送ローラー18の移送用爪35の内周部の中央円周溝34に接触回転する。このような構成により、移送ローラー18と押付けエレメント19との間に台紙なしラベル3を挟持した状態で、移送用爪35が台紙なしラベル3の表面側からその移送用スリット3Aに係合して、移送ローラー18の回転によって台紙なしラベル3が移送用無端ベルト23上に送り出される。
【0033】
図7は、台紙なしラベル挿通装置9により移送ローラー18が押付けエレメント19から離間して互いの間に間隙42が形成されるプラテンユニット6の開放状態の要部側面図である。
ねじりコイルバネ40は、移送ローラー18と押付けエレメント19との間において、間隙42からは側方にずれた位置となる支持フレーム43の外壁面に設けたバネ取付け軸46(図6も参照)に取り付けられている。また、ねじりコイルバネ40は、プラテンフレーム17の内壁面に設けた第1のバネ受け47と、支持フレーム43に設けた第2のバネ受け48との間に配置されており、プラテンフレーム17(プラテンユニット6)全体を押付けエレメント19に対して開放方向(図7)に常時付勢する。なお、本実施形態では、ねじりコイルバネ40は、2つ設けられている支持フレーム43のうちの一方に設けられているが、支持フレーム43の双方にねじりコイルバネ40を設けてもよい。
【0034】
板バネ41は、移送ローラー18とは反対側の支持フレーム43の背面に取り付けられており、板バネとして機能する可動片が操作レバー5のレバー軸11部分に当接している。板バネ41は、ねじりコイルバネ40と協動して、プラテンフレーム17(プラテンユニット6)全体を押付けエレメント19に対して開放方向(図7)に常時付勢する。
【0035】
拡幅フレーム44は、支持フレーム43の外方に配置されている。拡幅フレーム44は、プラテンフレーム17の外壁面に設けたエレメント軸49(図4)のまわりにプラテンフレーム17に対して回動可能に設けられている。また、拡幅フレーム44は、プラテンフレーム17を押付けエレメント19に対して相対的に開閉可能としている。
したがって、押付けエレメント19は、プラテンフレーム17に設けたエレメント軸49のまわりで回動可能となっている。
また、支持フレーム43と、支持フレーム43の外方に位置している拡幅フレーム44との間には、連結軸31に支持された移送回動用爪32が配置されている。
【0036】
印字器7は、操作レバー5における二股状のヨーク部5Aの先端部側に取り付けられている。印字器7は、インキローラー50(図1)により印字器7の活字にインキが塗布され、プラテンユニット6における移送用無端ベルト23の上面に移送されてきた台紙なしラベル3(ラベル片3B)に所定の情報を印字する。
【0037】
貼付けローラー8は、側板2の先端下方部に位置している。貼付けローラー8は、移送用無端ベルト23の先端部分で移送用無端ベルト23から剥離されたラベル片3Bを、携帯式台紙なしラベル貼付け機1全体の貼付け操作にともなって、ラベル片3Bを被貼付け体に貼り付ける。
具体的には、貼付けローラー8は、側板2の端部(図1中、左端下方端部)に位置し、その円周部の一部が側板2の外部に露出している。貼付けローラー8は、被貼付け体に打ち付けるようにして回転することにより、側板2の外部に排出するようにプラテンユニット6およびその移送用無端ベルト23を通って側板2の外部に移送されてきたラベル片3Bを、被貼付け体に貼り付け可能とする。
【0038】
図3図4図6および図7に示すように、台紙なしラベル挿通装置9は、上述のプラテンユニット6、押付けエレメント19、ねじりコイルバネ40および板バネ41などにより構成されている。台紙なしラベル挿通装置9は、開閉用つまみ26を操作してプラテンユニット6を側板2に対して開放することにより、移送ローラー18と押付けエレメント19とを互いに離反させて台紙なしラベル3を挿通することができる間隙42を形成可能である。
【0039】
こうした構成の携帯式台紙なしラベル貼付け機1および台紙なしラベル挿通装置9において、開閉用つまみ26を操作し、開閉用係脱片28の係脱用凹部28Aと係脱ローラー25との間の係合を解除する。このようにして、プラテンユニット6を側板2に対して開放すると、板バネ41を介してレバー軸11から(すなわち、側板2から)の反力を受けて、ねじりコイルバネ40が押付けエレメント19から移送ローラー18部分を離反させる。これにより、移送ローラー18と押付けエレメント19との間が最大限に開いて間隙42が形成される。
したがって、移送ローラー18の円周部における中央円周溝34、移送用爪35および外周円周溝36と、押付けエレメント19のバックアップローラー38およびバックアップリング39との間に形成される間隙42の部分に台紙なしラベル3の先頭部を挿通することができる。
ついで、プラテンユニット6を図6の状態に閉鎖して、開閉用係脱片28の係脱用凹部28Aと係脱ローラー25とを係合させる。そして、操作レバー5およびグリップ10を何回か握持して、台紙なしラベル3の移送用スリット3Aに移送用爪35を係合させれば、台紙なしラベル3の移送を可能な状態とすることができ、台紙なしラベル3の装填が完了する。
【0040】
プラテンユニット6を閉鎖した状態の携帯式台紙なしラベル貼付け機1において、操作レバー5およびグリップ10を握持することにより、印字器7が移送用無端ベルト23上の台紙なしラベル3に印字を行うとともに、移送回動用爪32が移送ローラー18におけるローラーギア24の移送用突起33から隣の(図5中、左側の)移送用突起33側に移行する。ついで操作レバー5の解放によって、移送回動用爪32がこの移送用突起33を前方に(図5中、右方向に)回動させて、移送ローラー18を所定ピッチで回動して台紙なしラベル3を移送する。
さらに、移送ローラー18に係合している駆動ギア21が回動することにより移送用無端ベルト23を回動させて、その上面の台紙なしラベル3を側板2の外方に送り出し可能とする。
移送用無端ベルト23の先頭部(下流側)において側板2の外方に送り出された台紙なしラベル3のラベル片3Bを貼付けローラー8により所定の被貼付け体に貼り付けることができる。
【0041】
以上説明したように、本実施形態によれば、側板2の外面に設けた開閉用つまみ26を操作するだけで、プラテンユニット6を側板2に対して開放すると同時に、プラテンユニット6と押付けエレメント19との間に間隙42を形成して、台紙なしラベル3の挿通操作を簡単に行うことができる。
【符号の説明】
【0042】
1 携帯式台紙なしラベル貼付け機(図1
2 左右一対の側板
3 台紙なしラベル
3A 台紙なしラベル3の移送用スリット
3B 台紙なしラベル3の単葉のラベル片
4 用紙ホルダー
5 操作レバー
5A 操作レバー5の二股状のヨーク部
6 プラテンユニット(図4
7 印字器
8 貼付けローラー
9 携帯式台紙なしラベル貼付け機1の台紙なしラベル挿通装置(実施形態、図4図6図7
10 グリップ
11 レバー軸
12 コイルスプリング
13 ホルダー軸
14 ホルダーカバー
15 ラベル保持軸
16 固定用フック
17 プラテンフレーム(図4
18 移送ローラー
19 押付けエレメント(図4
20 プラテン開閉軸
21 駆動ギア
22 従動ギア
23 移送用無端ベルト
24 ローラーギア
25 係脱ローラー
26 開閉用つまみ
27 つまみ軸
28 開閉用係脱片
28A 開閉用係脱片28の係脱用凹部
29 ローラー軸
30 連結アーム
31 連結軸
32 移送回動用爪
33 移送ローラー18の移送用突起
34 中央円周溝
35 左右一対の移送用爪
36 左右一対の外周円周溝
37 エレメントフレーム
38 上下左右二対のバックアップローラー
39 バックアップリング
40 ねじりコイルバネ(第1の付勢部材)
41 左右一対の板バネ(第2の付勢部材)
42 移送ローラー18と押付けエレメント19との間の間隙(図7
43 左右一対の支持フレーム
44 左右一対の拡幅フレーム
45 上下一対の回転軸
46 バネ取付け軸
47 第1のバネ受け
48 第2のバネ受け
49 エレメント軸
50 インキローラー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7