(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎない。
《実施形態1》
図1は、本発明の実施形態1に係るアシストグリップ装置1の正面図、
図2は、
図1のII−II線における断面図、
図3は、
図1のIII−III線における断面図、
図4は、
図3のIV−IV線における断面図である。このアシストグリップ装置1は、例えば自動車のルーフ側部などの車体パネルPに取り付けられて、不使用時にグリップ3を車室内に突出する使用位置(
図3の2点鎖線参照)から車室パネルPに沿う格納位置(
図2及び
図3の実線参照)に回動させて格納する格納式のアシストグリップ装置である。
【0014】
アシストグリップ装置1は、使用者が把持するためのグリップ3と、該グリップ3を固定体としての車体パネルPに取り付けるための一対の取付座5とを備えている。
【0015】
グリップ3は、長尺状の把持部31と、該把持部31の両端から同一方向に湾曲した一対の脚部33とを有する長尺略コ字状の部材である。このグリップ3は、例えばポリプロピレンなどの樹脂材料から成り、樹脂材料のガスインジェクション成形により製造される。こうして製造されたグリップ3には、空洞部35が形成されている(
図4参照)。これにより、グリップ3の軽量化及び低コスト化が実現されている。尚、空洞部35は、
図4にのみ示し、他の図面では便宜上省略している。
【0016】
各脚部33には、
図2〜5に示すように、グリップ3の背面(グリップ3が格納位置にあるときに車体パネルPに対向する面)に開口するように、グリップ3の先端側(つまり、
図2,3の下側)から把持部31側(つまり、
図2,3の上側)に向かって切り欠かれた収容凹部331が形成されている。尚、
図5は、後述するダンパ機構9が設けられた側の脚部33の分解斜視図である。
【0017】
各収容凹部331は、グリップ3が格納位置にあるときに後述する各取付座5の軸受け突部53を収容するように形成されていて、グリップ3の中央側の内側面331aと、該内側面331aとグリップ3の長手方向(以下、単に長手方向という)に対向する外側面331bと、内側面331a及び外側面331bの間で互いに対向する先端側側面331c及び基端側側面331dと、これら側面331a,331b,331c,331dと連続すると共に、グリップ3が格納位置にあるときに車体パネルPと対向する底面331eとから成る。
【0018】
各収容凹部331の内側面331aには、後述する支持軸55を挿通するための有底筒状の非貫通孔331fが形成されている一方、各収容凹部331の外側面331bには、前記非貫通孔331fと同軸上に支持軸55を挿通するための貫通孔331gが形成されている。
【0019】
一方の脚部33の先端側における収容凹部331の開口端部(つまり、先端側側面331cに相当する部分)には、
図2に示すように、後述する捩りコイルばね7の一端を係止するための切り欠き331hが設けられている。
【0020】
他方の脚部33における収容凹部331の底面331eには、
図3に示すように、後述するダンパ機構9の弾性部材91の嵌合溝913に嵌合する断面矩形状の嵌合突起331iが後述する支持軸55に向けて突設されている。
【0021】
各取付座5は、例えばポリプロピレンなどの樹脂材料から成る。そして、各取付座5は、
図2〜5に示すように、矩形平板状の平板部51と、該平板部51からグリップ3側に向かって突出する軸受け突部53とを備えている。
【0022】
軸受け突部53は、長手方向に互いに対向する一対の対向壁531と、該一対の対向壁531をグリップ3の把持部31側で連結する連結壁533とを有する。これにより、軸受け突部53は、略コ字状になっている。
【0023】
両対向壁531には、同軸上に軸孔531aが設けられている。そうして、両脚部33それぞれにおいて、円柱状の支持軸55が上記貫通孔331gからこれらの軸孔531aを通って上記非貫通孔331fに嵌挿されている。これにより、グリップ3(の両脚部33)が両取付座5に回動自在に軸支されている。ここで、支持軸55の貫通孔331g側の端部は、図示はしないが表面に凹凸が形成されており、この凹凸が支持軸55の抜け止めとして機能している。
【0024】
各対向壁531の外面(収容凹部331を形成する上記各側面側の面)には、軸孔531aの周縁部が長手方向に膨出した膨出部531bが形成されている。そして、一方の対向壁531の膨出部531bは、内側面331aに当接しており、他方の対向壁531の膨出部531bは、外側面331bに当接している。これにより、グリップ3と取付座5との間における長手方向のガタつきを防止している。
【0025】
平板部51の一端部(
図2,3の下側の端部)には、支持軸55に向かって突出する断面略直角三角形状の突部511が設けられている。そして、グリップ3が格納位置に位置しているときにおいて、上記他方の脚部33側の突部511と上記嵌合突起331iとは、支持軸55を介して対向している。
【0026】
平板部51の連結壁533を挟んで突部511とは反対側(つまり、
図2,3の上側)には、正面側(グリップ3側)と背面側(車体パネルP側)とを貫通する挿通孔513が形成され、この挿通孔513には、それぞれ車体パネルP側に突出すると共に、先端に係止爪571を有する一対の可撓性係止片57が隙間を空けて対向配設されている。
【0027】
一対の可撓性係止片57は、ロック部材59とで取付座5を車体パネルPに取り付け固定するためのものである。
【0028】
ロック部材59は、平板状の蓋部591と、該蓋部591から突出すると共に、先端に爪部593aを有する突出部593とを備える。
【0029】
ここで、取付座5を車体パネルPに取り付け固定する方法を具体的に説明すると、一対の可撓性係止片57を車体パネルPの係止孔に挿入し、その状態で、ロック部材59の突出部593をグリップ3側から上記両可撓性係止片57間の隙間に対し、爪部593aが両可撓性係止片57よりも車体側(つまり、
図2,3の右側)に突出するまで挿通する。これにより、両可撓性係止片57の互いに近づく方向への撓みが当該両可撓性係止片57間のロック部材59の突出部593で規制された状態で、両可撓性係止片57の係止爪571が車体パネルPの係止孔周縁部に係止され、そのことにより、取付座5が車体パネルPに取付け固定される。尚、取付座5が車体パネルPに取付け固定された状態では、挿通孔513は、ロック部材59の蓋部591で覆い隠される。また、ロック部材59の爪部593aが車体側に突出して、爪部593aと両可撓性係止片57の係止爪571とが係合していることで、ロック部材59が抜けないようになっている。
【0030】
そうして、アシストグリップ装置1の一方の脚部33の収容凹部331側には、グリップ3を使用位置側から格納位置側に付勢する付勢手段としての捩りコイルばね7が設けられ、他方の脚部33の収容凹部331側には、捩りコイルばね7のバネ力によりグリップ3が使用位置から格納位置に復帰する際、グリップ3と取付座5との間で回動抵抗を発生させてグリップ3の回動速度を減衰させるダンパ機構9が設けられている。
【0031】
捩りコイルばね7は、
図2に示すように、支持軸55に外挿されて、一端が上記切り欠き331hに係止されている一方、他端が軸受け突部53の一方の対向壁531に取り付け固定されている。そして、捩りコイルばね7は、グリップ3を常時、使用位置側から格納位置側(つまり、
図2,3の右回り)に付勢している。
【0032】
ダンパ機構9は、
図3〜5に示すように、例えば軟質プラスチック等のエラストマから成る弾性部材91と、上記他方の脚部33側における取付座5の突部511とから成る。この突部511が変形手段を構成する。
【0033】
弾性部材91は、略中央部に貫通孔911が形成された略円筒形状を有している。そして、弾性部材91は、貫通孔911から支持軸55に外挿されている。
【0034】
弾性部材91の外周面には、嵌合溝913が形成されていて、該嵌合溝913に上記グリップ3の嵌合突起331iが嵌合している。ここで、嵌合突起331iと嵌合溝913との嵌合が確実に解除されないように、例えば嵌合突起331iと嵌合溝913とを接着することにより弾性部材91をグリップ3に固定してもよい。こうして、弾性部材91は、グリップ3に設けられていて、後述するようにグリップ3が使用位置と格納位置との間で回動するときに、グリップ3と一体的に回動するようになっている。
【0035】
また、弾性部材91の外周面には、グリップ3が格納位置に位置しているときにおいて突部511を挟んで連結壁533の反対側(つまり、突部511よりも
図3の下側)に位置する部分に複数の舌片状の突起915が形成されている。これら複数の突起915は、後述するように取付座5の突部511と当接したときに弾性変形し易いように、弾性部材91の周方向(以下、単に周方向ともいう)の異なる位置に所定の間隔を空けて配設されている。
【0036】
さらに、弾性部材91の外周面には、グリップ3が格納位置に位置しているときにおいて突部511に対し連結壁533側(つまり、
図3の上側)から当接するストッパ917が形成されている。このストッパ917は、各突起915よりも周方向の厚みが大きく、後述するようにグリップ3が使用位置から格納位置に復帰する際に、グリップ3が取付座5に衝突しないように当該グリップ3の回動量を規制する機能を有する。
【0037】
アシストグリップ装置1は以上のように構成されており、次に本アシストグリップ装置1の作用効果を
図3,6を参照しながら説明する。
【0038】
アシストグリップ装置1を使用するときには、使用者は、グリップ3の把持部31を握って、グリップ3を、車体パネルPに沿う格納位置(
図3に実線で示す)から捩りコイルばね7のバネ力に抗して車室内側(つまり、
図3の左回り)に回動させて車室内に突出させる。そして、
図3の2点鎖線で示す位置までグリップ3を回動させると、各脚部33の開口周縁部331jが取付座5の平板部51に当接し、それ以上グリップ3を回動させることができなくなる。この位置がアシストグリップ装置1の使用位置となる。この使用位置では、弾性部材91の複数の突起915は、突部511よりも連結壁533側(つまり、
図3の上側)に位置していて、突部511に当接していない。
【0039】
そして、アシストグリップ装置1の不使用時に使用者がグリップ3から手を離すと、捩りコイルばね7のバネ力によりグリップ3が使用位置側から格納位置側に回動する。ここにおいて、弾性部材91の複数の突起915の位置は、突部511を挟んで連結壁533の反対側(つまり、突部511よりも
図3の下側)に変位する。このとき、
図6に示すように、弾性部材91の複数の突起915が取付座5の突部511に順次当接して弾性変形(斜倒)し、そのことによって回動抵抗が生じグリップ3の回動速度が減衰する。これにより、アシストグリップ装置1の使用感が良好になる。そうして、弾性部材91のストッパ917が突部511に当接してグリップ3の回動が停止し、グリップ3が格納位置に復帰する。
【0040】
ここで、アシストグリップ装置1のダンパ機構9は、弾性部材91及び突部511のみで構成されているため、従来の粘性ダンパよりも部品点数が少なく、組み付け作業も容易である。従って、従来のアシストグリップ装置に比べて安価な格納式のアシストグリップ装置を得ることができる。
【0041】
また、グリップ3の格納位置を超えた回動が弾性部材91のストッパ917と突部511とで防止されているため、グリップ3が使用位置から格納位置に復帰する際に、グリップ3が取付座5と衝突して叩き音が発生することを防止できる。
【0042】
さらに、捩りコイルばね7が設けられた側の取付座5とダンパ機構9が設けられた側の取付座5を同一形状にして共通化しているため、1つの成形型で両取付座5を製造することができ、その結果、取付座5の製造コストを低減することができる。
【0043】
加えて、グリップ3が使用位置及び格納位置に位置しているときには、弾性部材91の突起915と取付座5の突部511とは当接しておらず、グリップ3を回動させたときにのみ、弾性部材91の突起915と取付座5の突部511とが当接して、弾性部材91の突起915が変形するように構成されているから、弾性部材91の突起915に変形癖がつき難く、長期に亘って一定の回動抵抗が生じる安定したダンパー効果を得ることができる。
《実施形態2》
次に、本発明の実施形態2に係るアシストグリップ装置101について説明する。
【0044】
この実施形態2に係るアシストグリップ装置101は、
図7に示すように、ダンパ機構の弾性部材がグリップではなく取付座に設けられ、変形手段が取付座ではなくグリップに設けられている点が実施形態1と異なる。そこで、実施形態1と同様の構成については同一を符号を付して適宜説明を省略し、実施形態1と異なる構成を中心に説明する。
【0045】
各取付座105は、上記実施形態1と同様に、平板部51と、軸受け突部53とを備えている。平板部51の一端部(
図7の下側の端部)には、支持軸55に向かって突出する断面矩形状の嵌合突起1051aが設けられている。そして、一方の取付座105の嵌合突起1051aは、弾性部材1091の嵌合溝913に嵌合している。ここで、嵌合突起1051aと嵌合溝913との係合が確実に解除されないように、例えば嵌合突起1051aと嵌合溝913とを接着することにより弾性部材1091を取付座105に固定してもよい。こうして、弾性部材1091は、取付座105に設けられている。従って、本アシストグリップ装置101では、上記実施形態1とは異なり、グリップ3が使用位置と格納位置との間で回動するときに、弾性部材1091が回動しないようになっている。
【0046】
ダンパ機構109が設けられた側の脚部33における収容凹部331の底面331eには、断面直角三角形状の突部1093が支持軸55に向けて突設されていて、該突部1093は、グリップ3が格納位置に位置しているときにおいて支持軸55を介して上記嵌合突起1051aと対向している。従って、本アシストグリップ装置101では、グリップ3と突部1093とが一体的に回動するようになっている。
【0047】
弾性部材1091の外周面には、グリップ3が格納位置に位置しているときにおいて突部1093を挟んで連結壁533の反対側(つまり、突部1093よりも
図7の下側)に位置する部分に複数の突起915が形成されている。
【0048】
また、弾性部材91の外周面には、グリップ3が格納位置に位置しているときにおいて突部1093に対し連結壁533側(つまり、
図7の上側)から当接するストッパ917が形成されている。
【0049】
アシストグリップ装置101は、以上のように構成されており、この構成によると、使用位置では、突部1093は、嵌合突起1051aと対向する位置(
図7に示す位置)から嵌合突起1051aを挟んで連結壁533の反対側における車体パネルP側(つまり、
図7の右下)に変位して、弾性部材1091の複数の突起915よりも車体パネルP側(つまり、
図7の右側)に位置することになる。そして、不使用時にグリップ3が使用位置側から格納位置側に回動すると、突部1093の位置は、弾性部材1091の複数の突起915よりも連結壁533側(
図7の上側)に変位する。このとき、突部1093が弾性部材91の複数の突起915に順次当接して当該複数の突起915を弾性変形(斜倒)させ、そのことによって回動抵抗が生じグリップ3の回動速度が減衰する。これにより、アシストグリップ装置101の使用感が良好になる。そうして、突部1093が弾性部材1091のストッパ917に当接してグリップ3の回動が停止し、グリップ3が格納位置に復帰する。従って、本アシストグリップ装置101によっても、上記実施形態1と同様の効果を得ることができる。
《その他の実施形態》
本発明は、前記実施形態について、以下のような構成としてもよい。
【0050】
即ち、弾性部材91,1091の複数の突起915の形状や配置は、上記に限られず、例えば
図8に示すように、複数の円錐形状の突起915を剣山状に設けてもよい。
【0051】
また、弾性部材91,1091の材料として、ゴムやシリコンを採用してもよい。