(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して実施の形態について説明する。
[第1の実施の形態]
図1は、第1の実施の形態に係る自動取引システムの概略図である。
【0016】
自動取引装置は、取引カードの磁気記録媒体に対するカード処理手段の読み出しが不可である場合に、当該取引カードのICチップのカード情報に基づいて当該磁気記録媒体の記録情報をカード処理手段に書き換えさせる。これにより、当該磁気記録媒体の記録情報の復旧処理を行うことができるものである。
【0017】
自動取引システム1は、
図1に示されるように、このような自動取引装置2と、自動取引装置2と通信可能なホストコンピュータ5とを備える。
自動取引装置2は、取引カード4を受け付けて、ホストコンピュータ5と通信し、ユーザの口座の残高照会、ユーザの口座への入金、ユーザの口座からの出金等を行う。
【0018】
なお、取引カード4は、カード情報を記録する磁気記録媒体4aとカード情報を記録するICチップ4bとをそれぞれ備える。このような取引カード4は、例えば、金融機関等で金融取引に利用されるICキャッシュカードである。また、磁気記録媒体4aは第1の記録形式に基づいてカード情報を構成する要素情報を記録する。ICチップ4bは、磁気記録媒体4aと同様に第1の記録形式に基づきカード情報を記録すると共に、第2の記録形式に基づいてカード情報を構成する要素情報を記録する。なお、第1及び第2の記録形式は、例えば、全国銀行協会(以下、「全銀協」)で定められている経過期間及び基本形の取引時に利用されるフォーマットである。このようなフォーマットにおいては、第1の記録形式のカード情報は銀行コードと、支店コード、口座番号、有効性コード、識別マーク、認証コードを少なくとも備える。第2の記録形式のカード情報は銀行コードと、支店コード、科目、口座番号を少なくとも備える。また、第1及び第2の記録形式では銀行コード及び支店コードの桁数が同一、または第1の記録形式の全桁と第2の記録形式の一部桁が一致する(第1の記録形式の全桁が第2の記録形式の少なくとも一部の桁と一致する)。さらに、取引カード4は、第1の記録形式は自動取引装置2で、第2の記録形式はホストコンピュータ5でそれぞれ認証が行われる。なお、これらのフォーマットの詳細については第2の実施の形態で説明する。
【0019】
また、自動取引装置2は、カード処理手段3と、情報取得手段2a、情報判別手段2b、記録形式判別手段2c、認証手段2d、書換手段2e、カード処理制御手段2f、送信要求手段2g、ホスト通信制御手段2hを備える。
【0020】
カード処理手段3は、取引カード4を受け付けて、当該取引カード4の磁気記録媒体4a並びにICチップ4bに対して情報の読み出し等の処理をそれぞれ実行する。
情報取得手段2aは、カード処理手段3が取引カード4の磁気記録媒体4a並びにICチップ4bから読み出した情報を取得する。
【0021】
情報判別手段2bは、情報取得手段2aの取引カード4からの取得結果に基づいてカード処理手段3の取引カード4の磁気記録媒体4aに対する情報の読み出しが正常に行われたか否かを判別する。また、情報判別手段2bは、カード処理手段3の磁気記録媒体4aに対する読み出しが正常に行われなかった場合には、カード処理制御手段2fに取引カード4のICチップ4bの情報の読み出し要求を通知する。
【0022】
記録形式判別手段2cは、使用対象として予め選択されているICチップ4bの記録形式を判別する。
認証手段2dは、情報取得手段2aが取得した取引カード4の第1の記録形式に基づいた情報を用いて、取引カード4の認証を行い、認証結果から取引カード4の取引の可否を判定する。
【0023】
書換手段2eは、記録形式判別手段2cの判別結果に応じてカード処理制御手段2fに書き換え要求を通知する。また、書換手段2eはホスト通信制御手段2hから磁気記録媒体4aを書き換えるための情報を受け付けると、受け付けた当該情報に基づく書き換え要求をカード処理制御手段2fに通知する。
【0024】
カード処理制御手段2fは、カード処理手段3の取引カード4に対する搬送処理と、読み出し処理等の取引カード4に対する動作処理を制御する。また、カード処理制御手段2fは、書換手段2eから書き換え要求が通知されると取引カード4の磁気記録媒体4aをICチップ4bの情報に基づいてカード処理手段3に書き換えさせる。
【0025】
送信要求手段2gは、ホストコンピュータ5に送信したい情報並びに要求をホスト通信制御手段2hに送信させる。
ホスト通信制御手段2hは、ホストコンピュータ5との情報の送受信を行う。ホスト通信制御手段2hは、送信要求手段2gからの要求に基づいて情報をホストコンピュータ5に送信する。また、ホストコンピュータ5から取引カード4の磁気記録媒体4aに記録可能に編集された情報を書換手段2eに通知する。
【0026】
なお、自動取引装置2の情報取得手段2aと、情報判別手段2b、記録形式判別手段2c、認証手段2d、書換手段2e、カード処理制御手段2f、送信要求手段2g、ホスト通信制御手段2hは、自動取引装置2が備える図示しないCPU(Central Processing Unit:中央演算処理装置)によって自動取引プログラムが実行されることにより、その処理機能が実現される。
【0027】
また、ホストコンピュータ5は、通信制御手段5aと、認証手段5b、情報編集手段5cを備える。
通信制御手段5aは自動取引装置2から情報並びに要求を受信して、認証手段5bに通知する。また、通信制御手段5aは認証手段5b及び情報編集手段5cからの要求に応じて情報を自動取引装置2に送信する。
【0028】
認証手段5bは、自動取引装置2から通知された取引カード4の第2の記録形式に基づいた情報を用いて、取引カード4の認証を行い、認証結果から取引カード4の取引の可否を判定する。
【0029】
情報編集手段5cは、自動取引装置2から受信した取引カード4の情報を取引カード4の磁気記録媒体4aが記録可能な状態に編集する。
また、ホストコンピュータ5は上記構成の他に自動取引装置2から通知された暗証番号を用いてユーザの本人確認を行う。
【0030】
なお、ホストコンピュータ5の通信制御手段5aと、認証手段5b、情報編集手段5cは、ホストコンピュータ5が備える図示しないCPUによって自動取引プログラムが実行されることにより、その処理機能が実現される。
【0031】
このような自動取引システム1における取引カード4の磁気記録媒体4aの記録情報の復旧処理について説明する。
まず、自動取引装置2のみで復旧処理が実行される場合であって、さらに、使用対象として予めICチップ4bの第1の記録形式のカード情報が選択されている場合について説明する。
【0032】
ユーザが取引カード4を自動取引装置2のカード処理手段3に挿入する。すると、カード処理手段3は受け付けた取引カード4の磁気記録媒体4aの記録情報の読み出しを実行する。しかし、読み出しできずに読み出しエラーとなる。
【0033】
情報取得手段2aはカード処理手段3から読み出しエラーである旨の情報を取得すると、情報判別手段2bはカード処理手段3が磁気記録媒体4aを読み出せなかったことを判別して、カード処理制御手段2fに取引カード4のICチップ4bの第1の記録形式に基づいた情報の読み出し要求を通知する。カード処理制御手段2fは、カード処理手段3に取引カード4のICチップ4bの第1の記録形式に基づいた情報を読み出させて、情報取得手段2aはICチップ4bの第1の記録形式に基づいた情報を取得する。
【0034】
記録形式判別手段2cは使用対象として第1の記録形式が選択されていることを判別する。さらに、認証手段2dはICチップ4bの第1の記録形式に基づいた情報から取引カード4の認証を行い、認証結果から取引が可能であることを判定する。なお、この後、自動取引装置2は自動取引装置2に入力された暗証番号をホストコンピュータ5に通知する。ホストコンピュータ5は通知された暗証番号を用いてユーザの本人確認を実行し、当該確認通知を自動取引装置2に通知する。このようにしてユーザの本人確認が取れているものとする。
【0035】
そして、書換手段2eはカード処理制御手段2fに書き換え要求を通知すると、カード処理制御手段2fはカード処理手段3に取引カード4の磁気記録媒体4aをICチップ4bの第1の記録形式に基づいた情報に基づいて書き換えさせて、取引カード4の磁気記録媒体4aの記録情報を復旧させる。
【0036】
このようにして書き換えられた取引カード4の磁気記録媒体4aは、カード処理手段3により正常に読み出されるようになる。
次に、使用対象として予めICチップ4bの第2の記録形式のカード情報が選択されている場合について説明する。
【0037】
上記と同様にユーザによる自動取引装置2に対する取引カード4の挿入後、カード処理手段3が取引カード4の磁気記録媒体4aの記録情報の読み出しを実行しようとするが読み出しエラーとなる。
【0038】
情報取得手段2aが当該読み出しエラーである旨の情報を取得すると、情報判別手段2bはカード処理手段3の磁気記録媒体4aの読み出し不可を判別して、カード処理制御手段2fに取引カード4のICチップ4bの第2の記録形式に基づいた情報の読み出し要求を通知する。カード処理制御手段2fは、カード処理手段3に取引カード4のICチップ4bの第2の記録形式に基づいた情報を読み出させて、情報取得手段2aはICチップ4bの第2の記録形式に基づいた情報を取得する。記録形式判別手段2cは使用対象として第2の記録形式が選択されていることを判別する。送信要求手段2gは取引カード4のICチップ4bの第2の記録形式に基づいた情報の認証要求(及び暗証番号)をホスト通信制御手段2hからホストコンピュータ5に送信させる。
【0039】
ホストコンピュータ5の認証手段5bは通信制御手段5aに通知されたICチップ4bの第2の記録形式に基づいた情報から取引カード4の認証を行い、認証結果から取引が可能であることを判定する。判定結果は通信制御手段5aを介して自動取引装置2に通知される。なお、この際にも、ホストコンピュータ5は自動取引装置2から通知された暗証番号を用いてユーザの本人確認を実行し、当該確認通知を自動取引装置2に通知する。このようにしてユーザの本人確認が取れているものとする。
【0040】
ホストコンピュータ5から取引カード4での取引が可能であることが通知された自動取引装置2では、書換手段2eはカード処理制御手段2fに書き換え要求を通知する。すると、カード処理制御手段2fはカード処理手段3に取引カード4の磁気記録媒体4aの記録情報のうちICチップ4bの第2の記録形式に基づく情報の桁数と同一、または第1の記録形式の全桁と第2の記録形式の一部桁が一致するものを、ICチップ4bの当該同一の桁数の情報に基づいて書き換えさせて、取引カード4の磁気記録媒体4aの情報の一部を復旧させる。例えば、第1及び第2の記録形式が全銀協で定められている経過期間及び基本形にそれぞれ対応する場合には、磁気記録媒体4aの情報のうちICチップ4bの桁数が同一、または第1の記録形式の全桁と第2の記録形式の一部桁が一致する銀行コード及び支店コードを、ICチップ4bの銀行コード及び支店コードに基づいて書き換える。なお、磁気記録媒体4aの他の記録情報については、例えば、固定値並びに0で書き換える。自動取引装置2ではカード処理手段3は取引カード4の磁気記録媒体4aの銀行コード及び支店コードが正常に読み取られることで、取引カード4のICチップ4bへのアクセスに移行されるようになっている。
【0041】
したがって、このようにして磁気記録媒体4aが書き換えられた取引カード4は、自動取引装置2のカード処理手段3に受け付けられると、磁気記録媒体4aの銀行コード及び支店コードが正常に読み出されることでICチップ4bに対する読み出し等の処理を行えるようになる。
【0042】
次いで、自動取引装置2及びホストコンピュータ5を利用して復旧処理が実行される場合について説明する。なお、以下では、自動取引装置2またはホストコンピュータ5で取引カード4の認証を行って、取引カード4による取引が可能であることが判別されているとする。また、ホストコンピュータ5で暗証番号による本人確認も取れているとする。
【0043】
この場合には、カード処理手段3の取引カード4の磁気記録媒体4aに対する読み出しが不可であることが情報判別手段2bで判別された後、情報取得手段2aがカード処理手段3により記録形式判別手段2cの判別結果に応じて読み出された取引カード4のICチップ4bの第1又は第2の記録形式に基づく情報を取得する。送信要求手段2gは取引カード4のICチップ4bの第1又は第2の記録形式に基づく情報をホスト通信制御手段2hからホストコンピュータ5に送信する。
【0044】
ホストコンピュータ5の情報編集手段5cは受信したICチップ4bの第1又は第2の記録形式に基づく情報を磁気記録媒体4aに記録可能な状態に編集し、編集した情報を通信制御手段5aから自動取引装置2に送信する。
【0045】
自動取引装置2では、書換手段2eが、受信した編集された情報に基づく書き換え要求をカード処理制御手段2fに通知する。カード処理制御手段2fは編集された情報に基づいて取引カード4の磁気記録媒体4aをカード処理手段3に書き換えさせて、取引カード4の磁気記録媒体4aの記録情報を復旧させる。
【0046】
このようにして書き換えられた取引カード4の磁気記録媒体4aは、カード処理手段3により正常に読み出されるようになる。
以上の通り、自動取引装置2は、取引カード4の磁気記録媒体4aに対するカード処理手段3の読み出しが不可である場合に、取引カード4のICチップ4bのカード情報に基づいて磁気記録媒体4aの記録情報をカード処理手段3に書き換えさせることで、磁気記録媒体4aの記録情報の復旧処理を行うようにした。これにより、取引カード4の磁気記録媒体4aに磁気的な異常が発生してもユーザは取引カード4を金融機関の係員に提出する必要がなくなりユーザの手間が省け、再発行手続の必要もなくなり、煩雑な事務手続及びそのための動作の発生が抑制されてユーザの利便性が向上する。また、金融機関側は再発行手続が不要になることでその手続に要する時間及び事務処理が削減されて、取引カード4が無効とならず、また、新たな取引カード4が再発行されないようになりコストを削減することができる。
【0047】
なお、このような自動取引装置2及びホストコンピュータ5についてより具体的にして以下の第2の実施の形態で説明する。
[第2の実施の形態]
図2は、第2の実施の形態に係る自動取引システムを説明するための図である。
【0048】
金融機関における自動取引システム1aには、複数のATM100(
図2ではその内の1台を図示)が備えられ、各ATM100はホストコンピュータ300と金融系ネットワーク200を介して接続される。また、複数のATM100は、監視センタ500と監視系ネットワーク400を介して接続される。監視センタ500は、監視系のシステムの保守・運用を管理するコンピュータである。
【0049】
また、このようなATM100の前面には、受付画面等を表示する表示部20aと、ICキャッシュカードが挿入/排出されるカード挿入/排出口30a、通帳が挿入/排出される通帳挿入/排出口40a、硬貨が入出金される硬貨入出金口50a、紙幣が入出金される紙幣入出金口60aが設けられている。さらに、ATM100は以下のハードウェア構成を備える。
【0050】
図3は、第2の実施の形態に係るATMのハードウェア構成例を示す図である。
ATM100は、ATM100で実行される処理の制御を行う制御ユニット10と、ユーザからの操作入力を受け付け、並びに、受付画面等を表示する表示ユニット20を有する。また、ICキャッシュカードをカード挿入/排出口30aから挿入・排出するカード処理ユニット30と、通帳を通帳挿入/排出口40aから挿入・排出する通帳処理ユニット40、硬貨を硬貨入出金口50aから入出金する硬貨処理ユニット50、紙幣を紙幣入出金口60aから入出金する紙幣処理ユニット60を有する。
【0051】
制御ユニット10は、CPU10aと、RAM(Random Access Memory)10b、HDD(Hard Disk Drive)10c、グラフィック処理部10d、入出力インタフェース10e、ホスト通信制御部10f、監視センタ通信制御部10gを備えており、これらの各部はバス10hで相互に接続されている。
【0052】
CPU10aは、HDD10c等の記憶媒体に記憶された各種プログラムを実行することにより、このATM100全体を統括的に制御する。
RAM10bには、CPU10aに実行させるOS(Operating System)並びにプログラムの少なくとも一部が一時的に格納される。また、RAM10bには、CPU10aによる処理に必要な各種データが格納される。
【0053】
HDD10cには、ATM100上のOSやアプリケーションのプログラムが格納される。また、HDD10cには、CPU10aによる処理に必要な各種情報が格納される。
グラフィック処理部10dには、表示ユニット20が接続されている。グラフィック処理部10dは、CPU10aからの命令に従って所定の画面を表示ユニット20の表示部20aに表示させる。また、グラフィック処理部10dは、表示ユニット20の入力検知部20bで検知された表示部20aに表示した画面への操作入力に応じた情報を取得する。
【0054】
入出力インタフェース10eには、カード処理ユニット30と、通帳処理ユニット40、硬貨処理ユニット50、紙幣処理ユニット60が接続されている。入出力インタフェース10eは、バス10hを介してCPU10aからの制御信号を各ユニットに通知し、各ユニットからの信号を同様にCPU10aに通知する。
【0055】
ホスト通信制御部10fは、ATM100の管理等を行うホストコンピュータ300と金融系ネットワーク200を介して通信可能に接続されており、ホストコンピュータ300と信号の送受信を行う。
【0056】
監視センタ通信制御部10gは、ATM100の監視等を行う監視センタ500と監視系ネットワーク400を介して通信可能に接続されており、監視センタ500と信号の送受信を行う。
【0057】
続いて、その他の各ユニットについて説明する。
表示ユニット20は、表示部20aと入力検知部20bとを備え、グラフィック処理部10dに接続されている。
【0058】
表示部20aは、グラフィック処理部10dからの画面情報に基づいて画面を表示する。
入力検知部20bは、表示部20aが表示する画面に対するユーザのタッチを検知する。なお、入力検知部20bが検知した画面のタッチ位置に表示されている取引内容が制御ユニット10のCPU10aで実行される。
【0059】
カード処理ユニット30は、カード挿入/排出口30aからユーザにより挿入されたICキャッシュカードに対して情報の読み出し等の処理を実行する。また、カード処理ユニット30は、読み出し等の処理が完了したら、ICキャッシュカードを搬送させてカード挿入/排出口30aから排出してユーザに返却する。なお、カード処理ユニット30の詳細については後述する。
【0060】
通帳処理ユニット40は、通帳挿入/排出口40aからユーザにより挿入された通帳を所定位置まで搬送し、ユーザからの取引実行指示に応じて実行された取引の履歴等を通帳の頁に印字する。また、通帳処理ユニット40は、取引履歴等の記録が完了した通帳を搬送して、通帳挿入/排出口40aから排出して、ユーザに返却する。
【0061】
硬貨処理ユニット50及び紙幣処理ユニット60は、ATM100で実行した取引に応じて、当該取引の形式に基づく金額に対応する硬貨及び紙幣の入金または出金を硬貨入出金口50a及び紙幣入出金口60aに対して実行する。
【0062】
ここで、ATM100で用いられるICキャッシュカードについて説明する。
図4は、ICチップ付きキャッシュカードの構成例を示す図である。
なお、
図4(A)はICキャッシュカード600の模式図、
図4(B)は磁気ストライプ610に記録されている情報の模式図、
図4(C)はICチップ630に記録されている情報の模式図をそれぞれ表している。
【0063】
ICキャッシュカード600は、
図4(A)に示されるように、金融取引で利用される情報が磁気的に記録された磁気ストライプ610と、金融取引で利用される情報が記録されたICチップ630とが設けられている。なお、クレジットカード機能を備えたICキャッシュカード(一体型ICキャッシュカード)の場合は、クレジットカード支払等で利用される情報が磁気的に記録された磁気ストライプ620(
図4中の破線箇所に)がさらに設けられている。
【0064】
このようなICキャッシュカード600は、金融機関用の磁気ストライプ610を利用する場合にはカード処理ユニット30に対して
図4中の実線矢印方向に挿入することで磁気ストライプ610に対する読み出し等の処理が実行される。また、一体型ICキャッシュカード600については、クレジットカード用の磁気ストライプ620を利用する場合にはカード処理ユニット30に対して
図4中の破線矢印方向に挿入することで磁気ストライプ620に対する読み出し等が実行される。
【0065】
また、磁気ストライプ610には、例えば、
図4(B)に示されるように、IDコードと、銀行承認コード(
図4中では、「承認コード」と図示)、銀行コード等の情報が磁気的に記録されている。なお、磁気ストライプ610に記録される情報の詳細については後述する。
【0066】
ICチップ630には、OS640と、プログラム651及びデータ652を含む全銀協キャッシュアプリケーション(
図4中では、「全銀協キャッシュアプリ」と図示)650、その他のアプリケーション(
図4中では、「アプリ(その他)」と図示)660が記録されている。さらに、データ652は、全銀協仕様領域652a及び任意領域652bに分けられている。全銀協仕様領域652aにはICキャッシュカード600の認証時に用いられる鍵情報652a1と、認証関連データ652a2、顧客情報652a3が格納されている。なお、鍵情報652a1は、後述する経過期間取引・基本形取引で実行される認証に対応した証明書・共通鍵を有する。また、任意領域652bに対する情報の格納は任意である。この任意領域652bは、全銀協が採用している「EMV仕様」に則らない、金融機関個別の仕様である。なお、
図4(C)では、任意領域652bに磁気ストライプ(MS)情報退避領域652b1が設けられている場合を図示している。
【0067】
次に、このようなICキャッシュカード600の磁気ストライプ610及びICチップ630の情報の取引に基づく形式等について説明する。
図5は、磁気ストライプ及びICチップの取引に基づく形式の例を示す図である。
【0068】
図5(A)は取引の種類ごとの特徴を、
図5(B)は取引の種類に応じた顧客情報の詳細をそれぞれ表している。
取引には磁気ストライプ(MS)取引と、経過期間取引、基本形取引の3種類がある。ICキャッシュカード600では、磁気ストライプ610でMS取引が、ICチップ630で経過期間取引または基本形取引が行われる。
【0069】
まず、MS取引は、ICキャッシュカード600の磁気ストライプ610が用いられ、対応時期に制限は現在設けられていない。ICキャッシュカード600についてICチップの有無が「有効性コード」として記録されている。また、本人確認が、ホストコンピュータ300により暗証番号が用いられて行われる。磁気ストライプ610に記録される顧客情報(Xバイト(x桁))は、後述する経過期間取引の場合と同一のフォーマット(桁数)及び内容である(
図5(A))。また、
図4(C)で示した任意領域652bのMS情報退避領域652b1には、磁気ストライプ610に記録されている内容と同一の情報(経過期間取引に対応)が記録されている。
【0070】
経過期間取引は、ICキャッシュカード600のICチップ630が用いられ、2012年9月まで行われる。ICキャッシュカード600のICチップの有無についてはMS取引と同様に記録され、本人確認についてもMS取引と同様に行われる。また、ICキャッシュカード600の正当性の確認はATM100により行われる(
図5(A))。経過期間取引で利用される顧客情報(Xバイト(x桁))は、銀行コード(a1桁)と、支店コード(b1桁)、口座番号(d1桁。但し、科目を含む)、有効性コード(e1桁)、IDマーク(f1桁)、銀行承認コード(g1桁)により構成されている(
図5(B))。MS取引でもこのような顧客情報が利用される。なお、2012年10月以降に発行されるICキャッシュカード600のICチップ630には経過期間取引の形式に基づいたこのような情報は搭載されずに次に説明する基本形取引に対応した情報が搭載される。
【0071】
基本形取引は、ICキャッシュカード600のICチップ630が用いられ、2011年1月から行われる。ICキャッシュカード600のICチップ630の有無についてはMS取引・経過期間取引と同様に記録され、本人確認についてもMS取引・経過期間取引と同様に行われる。また、ICキャッシュカード600の正当性の確認はホストコンピュータ300により行われる(
図5(A))。基本形取引で利用される顧客情報(Yバイト(y桁))は、銀行コード(a2桁)と、支店コード(b2桁。但し、有効桁は下b1桁)、科目(c2桁)、口座番号(d2桁)により構成されており、有効性コード、IDマーク、銀行承認コードは含まれていない(
図5(B))。
【0072】
なお、ICキャッシュカード600は、特に2011年1月〜2012年9月の間は、経過期間取引・基本形取引のいずれにも対応できるように、
図5(B)に示されるいずれの顧客情報がそれぞれ記録されている。
【0073】
次に、このようなICキャッシュカード600に対する読み出し等の処理を行うカード処理ユニット30について説明する。
図6は、第2の実施の形態に係るカード処理ユニットの構成例を示す図である。
【0074】
なお、
図6(A)はカード処理ユニット30の側面図を、
図6(B)はカード処理ユニットの上面図をそれぞれ示している。
カード処理ユニット30は、キャッシュカードと、ICキャッシュカード600、クレジット機能一体型ICキャッシュカード等の取引カードを受け付けて、それぞれのカードに対して読み出し等の処理を行うことができる。
【0075】
このようなカード処理ユニット30は、カード挿入/排出口30aから受け付けた取引カードを所定の位置まで搬送路30b上を搬送させる搬送手段(図示を省略)が設けられている。また、搬送路30b上を搬送させられる取引カードの磁気ストライプに対して読み出し等の処理を行う磁気リーダライタ30cと、搬送させられる取引カードの主面(磁気ストライプの読み出し面)の画像を読み取るイメージリーダ30d、ICキャッシュカード600及びクレジット機能一体型ICキャッシュカードのICチップ630に対する読み出し等の処理を行うICリーダライタ30eをそれぞれ内蔵する。
【0076】
次に、ホストコンピュータ300及び監視センタ500のハードウェア構成について説明する。
図7は、第2の実施の形態に係るホストコンピュータ及び監視センタのハードウェア構成例を示す図である。
【0077】
なお、
図7では、ホストコンピュータ300及び監視センタ500を共に表しており、例えば、「CPU300a/500a」は、CPU300aはホストコンピュータ300の構成であり、CPU500aは監視センタ500の構成であることを表す。
【0078】
ホストコンピュータ300及び監視センタ500は、CPU300a/500aと、RAM300b/500b、HDD300c/500c、通信部300f/500fをそれぞれ備えており、さらに、監視センタ500は、モニタ500iが接続されたグラフィック処理部500dと、キーボード500j及びマウス500kが接続された入力インタフェース500eをさらに有する。これらの各部はバス300h/500hで相互にそれぞれ接続されている。
【0079】
なお、通信部300f/500fは金融系ネットワーク200及び監視系ネットワーク400を介してそれぞれATM100のホスト通信制御部10f及び監視センタ通信制御部10gと通信を実行する(その他の構成については
図3の制御ユニット10が備える構成の説明を参照)。
【0080】
次いで、ATM100及びホストコンピュータ300が備える機能を表す機能ブロック図についてそれぞれ説明する。
図8は、第2の実施の形態に係るATMが備える機能を示すブロック図である。
【0081】
ATM100は、ICキャッシュカード600の磁気的に異常がある磁気ストライプ610の記録情報をICチップ630の記録情報に基づいて書き換えて復旧処理を行うことができるものである。
【0082】
このようなATM100は、情報保持部11と、情報取得部12、情報判別部13、カード処理制御部14、取引判別部15、認証部16、取引許可判定部17、確認要求部18、書換部19を制御ユニット10に備える。さらに、入力受付部11aと、案内通知部11b、監視要求部11cを備える。なお、各部は、CPU10aが自動取引プログラムを実行することにより、その処理機能が実現される。
【0083】
情報保持部11は、カード処理ユニット30が読み出した情報等を保持する。例えば、カード処理ユニット30がICキャッシュカード600から読み出したICチップ630の記録情報等を保持する。
【0084】
情報取得部12は、カード処理ユニット30がICキャッシュカード600から読み出した情報を取得する。
情報判別部13は、カード処理ユニット30から情報取得部12が取得した情報に基づきカード処理ユニット30がICキャッシュカード600の磁気ストライプ610を正常に読み出したか否かを判別する。また、情報判別部13は、情報取得部12が取得した情報の内容、後述する入力受付部11aが受け付けた情報の内容等を判別する。
【0085】
カード処理制御部14は、カード処理ユニット30が受け付けた取引カードに対する搬送と、読み出し等のカード処理ユニット30の動作処理を制御する。
取引判別部15は、使用対象として予め選択されている記録形式(経過期間取引または基本形取引)を判定する。
【0086】
認証部16は、情報取得部12が取得したICキャッシュカード600の経過期間取引に対応する情報を用いて、ICキャッシュカード600の認証を行う。
取引許可判定部17は、取引判別部15の判定結果に応じて、ホストコンピュータ300から送信された本人確認結果と認証部16の(または、ホストコンピュータ300から送信された)認証結果とに基づきICキャッシュカード600での取引が許可されるか否かを判定する。また、取引許可判定部17は、読み出したICチップ630のデータに経過期間取引に対応した顧客情報の有無の判別も行う。
【0087】
確認要求部18は、ユーザが表示ユニット20に対して入力した暗証番号と共に、ICキャッシュカード600の本人確認の要求をホスト通信制御部10fに出力して、ホスト通信制御部10fからホストコンピュータ300に送信する。また、確認要求部18は、このような要求だけでなく、情報の送信要求もホスト通信制御部10fからホストコンピュータ300に送信させる。
【0088】
書換部19は、取引許可判定部17の判定結果に応じ、情報保持部11が保持するICキャッシュカード600のICチップ630の情報に基づくICキャッシュカード600の磁気ストライプ610の書き換え要求をカード処理制御部14に通知する。
【0089】
入力受付部11aは、ユーザによる操作入力を表示ユニット20の入力検知部20bから受け付ける。
案内通知部11bは、情報判別部13の判別結果に応じて表示部20aに種々の案内を通知して表示させる。また、案内通知部11bは、情報判別部13の判別結果に応じて表示部20a以外にも、例えば、金融機関の店舗内の係員に対して呼び出し案内等の通知を行う。
【0090】
監視要求部11cは、カード処理ユニット30から得られた情報と共に監視要求を監視センタ通信制御部10gから監視センタ500に送信させる。
図9は、第2の実施の形態に係るホストコンピュータが備える機能を示すブロック図である。
【0091】
ホストコンピュータ300は、カード情報保持部310と、情報取得部320、認証部330、本人確認部340、送信要求部350を有する。
カード情報保持部310は、ICキャッシュカード600等の取引カードに対応する暗証番号、顧客情報等のカード情報を保持する。
【0092】
情報取得部320は、ATM100から通信部300fが受信した情報を取得する。
認証部330は、情報取得部320が取得したICキャッシュカード600の基本形取引に対応する情報を用いて、ICキャッシュカード600の認証を行う。
【0093】
本人確認部340は、カード情報保持部310が保持するカード情報を参照して情報取得部320が取得した暗証番号を判定して、取引カードの本人確認を行う。
送信要求部350は、本人確認部340の確認結果及び(または)認証部330の認証結果の送信要求を通信部300fからATM100に通知させる。
【0094】
なお、監視センタ500が備える機能を示すブロック図については後述する。
次に、このようなATM100で実行されるICキャッシュカード600の磁気ストライプ610の復旧処理について説明する。
【0095】
なお、以下の実施例2−1から第5の実施の形態では、
図5の経過期間取引及び基本形取引の桁数について、「銀行コード」のa1とa2とが等しく、既述の通り、「支店コード」のb2はb1よりも大きく有効桁が下b1桁である場合を例に挙げて説明する。さらに、「有効性コード」と、「IDマーク」、「銀行承認コード」の桁数はそれぞれ等しい場合を例に挙げる。
【0096】
<実施例2−1>
実施例2−1では、ICキャッシュカード600の磁気ストライプ610の記録情報の復旧処理をATM100で行う場合について説明する。
【0097】
図10〜
図13は、実施例2−1に係るATMで実行される復旧処理を示すフローチャートである。なお、破線で表されるブロックは人による動作を表す。
まず、金融機関の店舗内にてユーザがATM100のカード処理ユニット30のカード挿入/排出口30aにカードを挿入する。カード処理ユニット30の磁気リーダライタ30cがカードの磁気ストライプの読み出しを実行して、読み出せずに読み出しエラーとなると以下の処理がATM100で実行される。
【0098】
[ステップS101] 情報取得部12は、カード処理ユニット30から読み出しエラーである旨の情報を取得すると、情報判別部13はカード処理ユニット30が磁気ストライプ610を読み出せなかったことを判別する。
【0099】
[ステップS102] 案内通知部11bは、このような判別結果に基づき、店舗内の係員(以下、「ATM係員」)を呼び出すための呼び出しボタンを表示ユニット20の表示部20aに表示させて、ユーザからの呼び出しボタンの押下を待ち受ける。
【0100】
[ステップS103] 入力受付部11aは、入力検知部20bが検知したユーザによるボタンの押下を受け付ける。情報判別部13は、入力受付部11aから通知されたボタンの押下の情報からATM係員の呼び出し要求であることを判別して、案内通知部11bからATM係員を呼び出させる。
【0101】
[ステップS301] 呼び出しを受けたATM係員が、呼び出しがあったATM100に到着する。
[ステップS302] ATM係員は、ATM100を操作して表示ユニット20の表示部20aにATM係員用の操作画面を表示させる。
【0102】
[ステップS303] ATM係員は、ATM係員用の操作画面を操作してATM100のカード処理ユニット30内に取り込まれたままのカードをカード処理ユニット30から排出させる。
【0103】
[ステップS304] ATM係員は、排出したカードを目視により確認する。
[ステップS305] ATM係員は、目視の結果、当該カードが、処理対象であるICキャッシュカード600か否かを判断する。
【0104】
ICキャッシュカード600である場合には、ATM係員は、表示部20aのATM係員用の操作画面の磁気ストライプの復旧処理の実行ボタンを押下する(ステップS104へ)。ICキャッシュカード600では無い場合には、ATM係員は、ステップS306の動作を行う。
【0105】
[ステップS306] 一方、ATM係員は、当該カードが処理対象外(単なるキャッシュカード、一体型ICキャッシュカード、または取引カードとは別の種類のカード)である場合には、当該カードをユーザに手渡して返却する。
【0106】
[ステップS104] 入力受付部11aは、入力検知部20bが検知したボタンの押下を受け付ける。情報判別部13は、入力受付部11aから通知されたボタンの押下の情報から磁気ストライプ610の復旧処理の実行要求であることを判別する。
【0107】
[ステップS105] 情報判別部13は、このような判別結果に応じて案内通知部11bからICキャッシュカード600の挿入案内の表示要求を表示部20aに通知させる。表示ユニット20の表示部20aはICキャッシュカード600の挿入案内を表示する。これにより、カード処理ユニット30はユーザからのICキャッシュカード600を受け付ける。
【0108】
[ステップS106] カード処理ユニット30が再び磁気リーダライタ30cによりICキャッシュカード600の磁気ストライプ610の読み出しを実行すると、情報取得部12は読み出し結果を取得して、取得した読み出し結果から情報判別部13は読み出しエラーか否かを判別する。
【0109】
次の処理は、情報判別部13が読み出しエラーであることを判別した場合にはステップS107に進められ、読み出しエラーではないこと(正常に読み出せたこと)を判別した場合にはステップS125(
図13)に進められる。
【0110】
[ステップS107] 情報判別部13がICチップ630のデータに全銀協キャッシュアプリの有無を判別する。
次の処理は、情報判別部13がICチップ630のデータに全銀協キャッシュアプリが含まれていることを判別した場合にはステップS108に進められ、含まれていないことを判別した場合にはステップS125(
図13)に進められる。
【0111】
[ステップS108] 情報判別部13はカード処理制御部14にICキャッシュカード600のICチップ630の読み出し要求を通知する。カード処理ユニット30は通知された当該読み出し要求に応じてICキャッシュカード600のICチップ630に記録されているデータを読み出す。
【0112】
なお、読み出しに際し、使用対象として経過期間取引が予め選択されている場合には、ICチップ630の経過期間取引に対応するデータが読み出される。使用対象として基本形取引が予め選択されている場合には、ICチップ630の基本形取引に対応するデータ、またはICチップ630の基本形取引及び経過期間取引に対応するデータが読み出される。読み出したICチップ630のデータは情報取得部12から情報判別部13に通知される。情報判別部13は通知されたICチップ630のデータを情報保持部11に保持させる。
【0113】
なお、ステップS108の具体的な処理については後述する。
[ステップS109] 情報判別部13は、案内通知部11bから暗証番号の入力案内の表示要求を表示部20aに通知させる。表示ユニット20の表示部20aは暗証番号の入力案内を表示する。これにより、表示ユニット20の入力検知部20bはユーザからの暗証番号を受け付ける。
【0114】
[ステップS110] 情報判別部13は、入力受付部11aを介して入力検知部20bの検知情報を受け付けて、受け付けた検知情報が暗証番号であることを判別すると、取引判別部15に、使用対象として選択されているICチップ630の取引形式を判別させる。
【0115】
次の処理は、取引判別部15が経過期間取引が選択されていることを判別した場合にはステップS111に進められ、基本形取引が選択されていることを判別した場合(経過期間取引が選択されていない場合)にはステップS118(
図13)に進められる。
【0116】
[ステップS111] 認証部16は、情報保持部11に保持されているICチップ630の経過期間取引に対応するデータから認証に用いるデータを用いてICキャッシュカード600の公開鍵暗号方式による認証を行って、ICキャッシュカード600の正当性の検証を行う。
【0117】
[ステップS112] 次の処理は、認証部16がICキャッシュカード600が正当であることを検証した場合にはステップS113(
図12)に進められ、正当ではないことを検証した場合にはステップS125(
図13)に進められる。
【0118】
[ステップS113] 確認要求部18は、残高照会要求と共に本人確認要求をホスト通信制御部10fに通知する。また、この際、確認要求部18はICチップ630の経過期間取引に対応するデータのうち顧客情報とステップS109で入力された暗証番号とについてもホスト通信制御部10fに通知する。ホスト通信制御部10fはこれらの要求及び情報をホストコンピュータ300に通知する。
【0119】
[ステップS201] ホストコンピュータ300の通信部300fはATM100から残高照会要求、ICチップ630の経過期間取引に対応する顧客情報及び暗証番号と共に本人確認要求を受信する。情報取得部320は、これらの顧客情報及び暗証番号を取得する。
【0120】
[ステップS202] 本人確認部340はカード情報保持部310を参照して情報取得部320が通信部300fから取得した暗証番号の有無を判別することにより本人確認を行う。
【0121】
[ステップS203] 送信要求部350は、本人確認部340の確認結果の送信要求を通信部300fに通知して、確認結果が通信部300fからATM100に送信される。
【0122】
[ステップS114] ホスト通信制御部10fはホストコンピュータ300から本人確認結果を受信する。
[ステップS115] 取引許可判定部17は当該本人確認結果からICキャッシュカード600を用いた取引を許可するか否かを判別する。
【0123】
次の処理は、取引許可判定部17がICキャッシュカード600による取引を許可することを判別した場合にはステップS116に進められ、取引を許可しないことを判別した場合にはステップS125(
図13)に進められる。
【0124】
[ステップS116] 書換部19は、ICキャッシュカード600のICチップ630の経過期間取引に対応する顧客情報を磁気ストライプ610に対応した状態に編集して、編集した顧客情報に基づく磁気ストライプ610の書き換え要求をカード処理制御部14に通知する。
【0125】
[ステップS117] カード処理制御部14はICチップ630の経過期間取引に対応する顧客情報に基づく磁気ストライプ610の書き換えをカード処理ユニット30に実行させる。
【0126】
これにより、ICキャッシュカード600の磁気ストライプ610の顧客情報が書き換えられることで復旧する。
[ステップS118] 確認要求部18は、残高照会要求と共に本人確認要求をホスト通信制御部10fに通知する。また、この際、確認要求部18はICチップ630の基本形取引に対応するデータのうち顧客情報とステップS109で入力された暗証番号とについてもホスト通信制御部10fに通知する。ホスト通信制御部10fはこれらの要求及び情報をホストコンピュータ300に通知する。
【0127】
[ステップS204] ホストコンピュータ300の通信部300fはATM100からICチップ630の基本形取引に対応する顧客情報及び暗証番号と共に本人確認要求を受信する。情報取得部320は、これらの顧客情報及び暗証番号を取得する。
【0128】
[ステップS205] 本人確認部340はカード情報保持部310を参照して情報取得部320が通信部300fから取得した暗証番号の有無を判別することにより本人確認を行う。
【0129】
[ステップS206] 認証部330は、通知されたICチップ630の基本形取引に対応するデータから認証に用いるデータを用いてICキャッシュカード600の共通鍵暗号方式による認証を行って、ICキャッシュカード600の正当性の検証を行う。
【0130】
[ステップS207] 送信要求部350は、本人確認部340の確認結果及び認証部330の正当性の検証結果の送信要求を通信部300fに通知して、確認結果及び検証結果が通信部300fからATM100に送信される。
【0131】
[ステップS119] ホスト通信制御部10fはホストコンピュータ300から本人確認結果及び検証結果を受信する。
[ステップS120] 取引許可判定部17は当該本人確認結果及び検証結果からICキャッシュカード600を利用した取引を許可するか否かを判別する。
【0132】
次の処理は、取引許可判定部17がICキャッシュカード600による取引を許可することを判別した場合にはステップS121に進められ、取引を許可しないことを判別した場合にはステップS125に進められる。
【0133】
[ステップS121] 取引許可判定部17は、さらに、ステップS108で読み出したICチップ630のデータに経過期間取引に対応した顧客情報の有無を判別する。
次の処理は、取引許可判定部17が経過期間取引に対応した顧客情報が有ると判別した場合にはステップS122に進められ、無いと判別した場合にはステップS123に進められる。
【0134】
[ステップS122] 書換部19は、ICキャッシュカード600のICチップ630の経過期間取引に対応した顧客情報を磁気ストライプ610に対応した状態に編集して、編集した顧客情報に基づく磁気ストライプ610の書き換え要求をカード処理制御部14に通知する。
【0135】
[ステップS123] 書換部19は、磁気ストライプ610の顧客情報の「銀行コード」及び「支店コード」を、ICチップ630の基本形取引に対応する顧客情報の「銀行コード」及び「支店コード」にそれぞれ設定する。但し、磁気ストライプ610の「支店コード」には、ICチップ630の基本形取引に対応する「支店コード」のb2桁中の下b1桁の情報を設定する。
【0136】
さらに、書換部19は、磁気ストライプ610の顧客情報の「IDマーク」と、「銀行承認コード」、「有効性コード」には、固定値をそれぞれ設定し、その他の顧客情報には全て「0」等の初期値を設定する。
【0137】
[ステップS124] カード処理制御部14はステップS122またはステップS123での編集または設定に基づいて磁気ストライプ610の書き換えをカード処理ユニット30に実行させる。
【0138】
これにより、ICキャッシュカード600の磁気ストライプ610の顧客情報が書き換えられることで復旧する。
[ステップS125] カード処理制御部14はカード処理ユニット30からICキャッシュカード600を排出させる。ICキャッシュカード600はカード処理ユニット30から排出されて、ユーザに返却される。
【0139】
このようにしてICキャッシュカード600の磁気ストライプ610のデータが復旧される。但し、ステップS123を経て復旧されたATM100では磁気ストライプ610の「銀行コード」及び「支店コード」が正常に読み取られれば、ICリーダライタ30eによるICチップ630に対するアクセスに正常に移行されて、ICキャッシュカード600による取引が通常に行われる。したがって、磁気ストライプ610では「銀行コード」及び「支店コード」のみが復旧されても、ICチップ630を正常に利用できるようになり取引を実行することが可能となる。
【0140】
ここで、ステップS108のICチップ630のデータ読み取り処理の詳細について説明する。
図14は、実施例2−1に係るATMで実行されるICチップのデータ読み取り処理を示すフローチャートである。
【0141】
ステップS106でカード処理ユニット30の磁気ストライプ610に対する読み出しエラーが判別され、ステップS107で情報判別部13がICチップ630のデータに全銀協キャッシュアプリが含まれていることを判別した場合に、以下の処理が実行される。
【0142】
[ステップS108a] 取引判別部15は、使用対象として選択されているICチップ630の取引に基づく形式を判別する。
次の処理は、取引判別部15が経過期間取引が選択されていることを判別した場合にはステップS108bに進められ、基本形取引が選択されていることを判別した場合(経過期間取引が選択されていない場合)にはステップS108dに進められる。
【0143】
[ステップS108b] 情報判別部13はICキャッシュカード600のICチップ630の経過期間取引に対応するアプリケーションの起動要求をカード処理制御部14に通知する。
【0144】
カード処理ユニット30はカード処理制御部14からの起動要求に応じてICチップ630の経過期間取引に対応するアプリケーションを起動させる。
ICチップ630の経過期間取引に対応するアプリケーションの起動により、ICチップ630から経過期間取引に対応するデータの読み出し要求をカード処理ユニット30に通知する。
【0145】
[ステップS108c] カード処理ユニット30は読み出し要求に応じてICチップ630の経過期間取引に対応するデータを読み出し、読み出されたデータを情報取得部12が取得する。取得されたデータは情報判別部13を介して情報保持部11に保持される。
【0146】
[ステップS108d] 情報判別部13はICキャッシュカード600のICチップ630の経過期間取引に対応するアプリケーションの起動要求をカード処理制御部14に通知する。
【0147】
カード処理ユニット30はカード処理制御部14からの起動要求に応じてICチップ630の経過期間取引に対応するアプリケーションを起動させる。
[ステップS108e] 情報取得部12は、起動したアプリケーションに応じた情報をカード処理ユニット30から取得し、情報判別部13は当該情報に基づき、当該アプリケーションが正常に起動したか否かを判別する。
【0148】
次の処理は、情報判別部13が当該アプリケーションが正常に起動したことを判別するとステップS108fに進められ、正常に起動しなかったことを判別するとステップS108gに進められる。
【0149】
[ステップS108f] ICチップ630の経過期間取引に対応するアプリケーションの起動により、ICチップ630から経過期間取引に対応するデータの読み出し要求をカード処理ユニット30に通知する。
【0150】
カード処理ユニット30は読み出し要求に応じてICチップ630の経過期間取引に対応するデータを読み出し、読み出されたデータを情報取得部12が取得する。取得されたデータは情報判別部13を介して情報保持部11に保持される。
【0151】
[ステップS108g] 情報判別部13はICキャッシュカード600のICチップ630の基本形取引に対応するアプリケーションの起動要求をカード処理制御部14に通知する。
【0152】
カード処理ユニット30はカード処理制御部14からの起動要求に応じてICチップ630の基本形取引に対応するアプリケーションを起動させる。
ICチップ630の基本形取引に対応するアプリケーションの起動により、ICチップ630から基本形取引に対応するデータの読み出し要求をカード処理ユニット30に通知する。
【0153】
[ステップS108h] カード処理ユニット30は読み出し要求に応じてICチップ630の基本形取引に対応するデータを読み出し、読み出されたデータを情報取得部12が取得する。取得されたデータは情報判別部13を介して情報保持部11に保持される。
【0154】
このようにしてICチップ630のデータの読み出し処理が終了するとステップS109に進められる。
以上の通り、ATM100は、ICキャッシュカード600の磁気ストライプ610に対するカード処理ユニット30の読み出しがエラーである場合にICキャッシュカード600のICチップ630のデータに基づいて磁気ストライプ610のデータを書き換えて、復旧処理を行うようにした。磁気ストライプ610のデータの書き換えには、特に、経過期間取引が選択されている場合にはICチップ630の経過期間取引に対応するデータを利用し、基本形取引が選択されている場合にはICチップ630の基本形取引に対応するデータのうち「銀行コード」及び「支店コード」を利用して、磁気ストライプ610の復旧処理を行うようにした。これにより、ICキャッシュカード600の磁気ストライプ610に磁気的な異常が発生してもユーザはICキャッシュカード600を金融機関の係員に提出することなく、再発行手続の必要もなくなり、煩雑な事務手続及びそのための動作の発生が抑制されてユーザの利便性が向上する。また、金融機関側は再発行手続が不要になることでその手続に要する時間及び事務処理が削減されて、無効とするICキャッシュカード600と共に再発行するICキャッシュカード600の発生が抑制される。
【0155】
<実施例2−2>
実施例2−2では、実施例2−1においてICチップ630のデータ652において任意領域652bのMS情報退避領域652b1(
図4)に経過期間取引に対応する顧客情報を格納する場合を例に挙げて説明する。
【0156】
図15は、実施例2−2に係るATMで実行される復旧処理を示すフローチャートである。
なお、
図15は、
図13のステップS123の処理に代わり、ステップS123aの処理が新たに行われるものである。
【0157】
図4での説明の通り、任意領域652bは金融機関個別に設定した領域であり、全銀協仕様に沿った読み出しを行う必要がないために、任意領域652bに対する読み出し時間が少なく、データ量が最低限であるためにデータを搭載しやすいという利点がある。
【0158】
そこで、任意領域652bにICチップ630の経過期間取引に対応する顧客情報を搭載することで、ステップS121で経過期間取引に対応した顧客情報が無いと判別されると、次のステップS123aの処理が実行される。
【0159】
[ステップS123a] 書換部19は、ICキャッシュカード600のICチップ630におけるデータ652の任意領域652bに搭載されている経過期間取引に対応した顧客情報を磁気ストライプ610に対応した状態に編集して、編集した顧客情報に基づく磁気ストライプ610の書き換え要求をカード処理制御部14に通知する。
【0160】
以後、実施例2−1と同様の処理が行われる。
このような方法を用いても、ICキャッシュカード600の磁気ストライプ610の顧客情報が書き換えられることで復旧し、実施例2−1と同様の効果が得られる。
【0161】
[第3の実施の形態]
第3の実施の形態では、ICキャッシュカード600の磁気ストライプ610の記録情報の復旧処理にてATM並びにホストコンピュータも用いる場合について説明する。
【0162】
ここでは、この時のホストコンピュータについて説明する。なお、以下では、これまでに説明した構成には同じ符号を付しており、また、これらの説明については省略する。
図16は、第3の実施の形態に係るホストコンピュータが備える機能を示すブロック図である。
【0163】
ホストコンピュータ1300は、カード情報保持部310と、情報取得部320、認証部330、本人確認部340、送信要求部350を有し、新たに、取引許可判定部360、情報編集部370を備える。
【0164】
取引許可判定部360は、本人確認部340の確認結果からICキャッシュカード600での取引を許可するか否かを判別する。
情報編集部370は、取引許可判定部360の判定結果に応じて、ATM100から通知されたICチップ630の経過期間形取引または基本形取引に対応する顧客情報を磁気ストライプ610に対応した状態に編集する。また、情報編集部370により編集された情報は送信要求部350、通信部300fを介してATM100に送信される。
【0165】
このようなホストコンピュータ1300と共にATM100で実行されるICキャッシュカード600の磁気ストライプ610の復旧処理について説明する。
図17及び
図18は、第3の実施の形態に係るATM及びホストコンピュータで実行される復旧処理を示すフローチャートである。
【0166】
ATM100において、第2の実施の形態と同様に
図10及び
図11の処理が実行されると、続けて
図17及び
図18の処理が実行される。
[ステップS211] ホストコンピュータ1300の通信部300fはATM100から残高照会要求、ICチップ630の経過期間取引に対応する顧客情報及び暗証番号と共に本人確認要求を受信する。情報取得部320は、これらの顧客情報及び暗証番号を取得する。
【0167】
[ステップS212] 本人確認部340はカード情報保持部310を参照して情報取得部320が通信部300fから取得した暗証番号の有無を判別することにより本人確認を行う。
【0168】
[ステップS213] 取引許可判定部360は、本人確認部340の確認結果からICキャッシュカード600を用いた取引を許可するか否かを判別する。
次の処理は、取引許可判定部360がICキャッシュカード600による取引を許可することを判別した場合にはステップS214に進められ、取引を許可しないことを判別した場合にはステップS215に進められる。
【0169】
[ステップS214] 情報編集部370は、ステップS211で受信したICキャッシュカード600のICチップ630の経過期間取引に対応する顧客情報を磁気ストライプ610に対応した状態に編集する。
【0170】
[ステップS215] 送信要求部350は、(ステップS214を経た場合には、編集した顧客情報と共に)ステップS213の取引可否結果の送信要求を通信部300fに通知して、取引可否結果が通信部300fからATM100に送信される。
【0171】
[ステップS114a] ホスト通信制御部10fはホストコンピュータ1300から(ステップS214を経た場合には、編集した顧客情報と共に)取引可否結果を受信する。
【0172】
[ステップS115a] 取引許可判定部17に取引可否結果が通知される。
次の処理は、取引許可判定部17に通知された取引可否結果がICキャッシュカード600による取引を許可する場合にはステップS117に進められ、取引を許可しない場合にはステップS125(
図13)に進められる。
【0173】
[ステップS117] カード処理制御部14はホストコンピュータ1300から通知されたホストコンピュータ1300で編集されたICチップ630の経過期間取引に対応する顧客情報に基づく磁気ストライプ610の書き換えをカード処理ユニット30に実行させる。
【0174】
以後、ステップS125(
図18)の処理が実行される。
また、ステップS110で取引判別部15により基本形取引が選択されていることが判別されると、次の処理が実行される。
【0175】
[ステップS118a] 情報判別部13は、
図11のステップS108で読み出したICチップ630のデータから経過期間取引に対応する顧客情報が読み出し可能か否かを判別する。即ち、
図14のICチップ630のデータ読み出し処理において、基本形取引時にICチップ630の経過期間取引に対応するデータが読み出されている場合には、ICチップ630の経過期間取引に対応する顧客情報の読み出しが可能となる。
【0176】
次の処理は、情報判別部13はICチップ630の経過期間取引に対応する顧客情報の読み出しが可能であると判別した場合にはステップS118に進められ、不可であると判別した場合にはステップS118bに進められる。
【0177】
[ステップS118] 情報判別部13は、磁気ストライプ610の復旧取引要求と共に、ICチップ630の経過期間取引に対応する顧客情報と暗証番号とをホスト通信制御部10fからホストコンピュータ1300に送信させる。
【0178】
[ステップS118b] 情報判別部13は、磁気ストライプ610の復旧取引要求と共に、ICチップ630の基本形取引に対応する顧客情報と暗証番号とをホスト通信制御部10fからホストコンピュータ1300に送信させる。
【0179】
[ステップS216] ホストコンピュータ1300の通信部300fはATM100から磁気ストライプ610の復旧取引要求と共にICチップ630の基本形取引に対応する顧客情報(ステップS118を経た場合にはICチップ630の基本形取引に対応する顧客情報も)と暗証番号とを受信する。情報取得部320は、これらの顧客情報及び暗証番号を取得する。
【0180】
[ステップS217,S218] 本人確認部340が本人確認を行い、認証部330がICキャッシュカード600の正当性の検証を行う(
図13のステップS205,S206参照)。
【0181】
[ステップS219] 取引許可判定部360は、本人確認結果及び正当性の検証結果からICキャッシュカード600を用いた取引を許可するか否かを判別する。
次の処理は、取引許可判定部360がICキャッシュカード600による取引を許可することを判別した場合にはステップS220に進められ、取引を許可しないことを判別した場合にはステップS221に進められる。
【0182】
[ステップS220] 情報編集部370は、ステップS216で受信したICキャッシュカード600のICチップ630の基本形取引に対応する顧客情報を磁気ストライプ610に対応した状態に編集する。
【0183】
なお、ステップS118を経た場合には、ステップS216ではICキャッシュカード600のICチップ630の基本形取引及び経過期間取引に対応する顧客情報の2種を受信する。この場合の編集対象となる情報は、事前の設定に応じて、ICチップ630の基本形取引または経過期間取引に対応する顧客情報のいずれか、または、両方の顧客情報を利用することができる。
【0184】
[ステップS221] 送信要求部350は、(ステップS220を経た場合には、編集した顧客情報と共に)ステップS219の取引可否結果の送信要求を通信部300fに通知して、取引可否結果が通信部300fからATM100に送信される。
【0185】
[ステップS119a] ホスト通信制御部10fはホストコンピュータ1300から(ステップS220を経た場合には、編集した顧客情報と共に)取引可否結果を受信する。
【0186】
[ステップS120a] 取引許可判定部17に取引可否結果が通知される。
次の処理は、取引許可判定部17に通知された取引可否結果がICキャッシュカード600による取引を許可する場合にはステップS124に進められ、取引を許可しない場合にはステップS125に進められる。
【0187】
以上の通り、ATM100は、ICキャッシュカード600の磁気ストライプ610に対するカード処理ユニット30の読み出しがエラーとなった場合にICキャッシュカード600のICチップ630のデータに基づいて磁気ストライプ610のデータを書き換えて、復旧処理を行うようにした。また、ホストコンピュータ1300で磁気ストライプ610に対応した状態にデータを編集して、編集したデータに基づいて磁気ストライプ610を書き換えた。これにより、ICキャッシュカード600の磁気ストライプ610に磁気的な異常が発生してもユーザはICキャッシュカード600を金融機関の係員に提出することなく、再発行手続の必要もなくなり、煩雑な事務手続及びそのための動作の発生が抑制されてユーザの利便性が向上する。さらに、再発行手続の必要もなくなり、煩雑な事務手続及びそのための動作の発生が抑制される。また、金融機関側は再発行手続が不要になることでその手続に要する時間及び事務処理が削減されて、ICキャッシュカード600が無効とならず、新たなICキャッシュカード600が再発行されないようになりコストを削減することができる。
【0188】
[第4の実施の形態]
第4の実施の形態では、ICキャッシュカード600の磁気ストライプ610の読み出しエラーの際に、自動でATM係員を呼び出す場合を例に挙げて説明する。
【0189】
図19は、第4の実施の形態に係るATMで実行される復旧処理を示すフローチャートである。
なお、
図19は、第2の実施の形態の
図10に対応するものであり、
図10と同じ処理には同じステップ番号を付している。
【0190】
まず、第2の実施の形態と同様に、カード処理ユニット30に挿入されたカードの磁気ストライプ610に対する磁気リーダライタ30cの読み出しがエラーである場合にATM100では、以下の処理が実行される。
【0191】
[ステップS101a] 情報取得部12は、カード処理ユニット30から読み出しエラーである旨の情報を取得すると、情報判別部13はカード処理ユニット30が磁気ストライプ610を読み出せなかったことを判別する。
【0192】
情報判別部13は、カード処理ユニット30内のカードの保留要求をカード処理制御部14に通知する。カード処理ユニット30は挿入されたカードを内部に保留する。
[ステップS102a] 情報判別部13は、ユーザにその場で待ってもらうように待機案内の表示要求を案内通知部11bに通知して、表示部20aには待機案内が表示される。これにより、ユーザをATM100前に待機させる。
【0193】
[ステップS103] 情報判別部13は、さらに、案内通知部11bから店舗内のATM係員がいる所定の領域に呼び出し案内を通知させる。
以後、ステップS301〜S306の動作が実行されて、カードが処理対象のICキャッシュカード600であれば、ステップS104,S105の処理が実行されて、
図11〜
図13の処理が行われる。
【0194】
第4の実施の形態においても第2の実施の形態と同様の効果が得られる。さらに、第4の実施の形態では、ATM100は、カードの磁気ストライプの読み出しエラー時に、自動でATM係員を呼び出すことができる。これにより、ユーザはATM係員を呼び出す必要がなくなりユーザの手間が省けて利便性が向上する。
【0195】
[第5の実施の形態]
第5の実施の形態では、ICキャッシュカード600の磁気ストライプ610の読み出しエラーの際に、監視センタ500を利用してATM係員を呼び出す場合を例に挙げて説明する。
【0196】
図20は、第5の実施の形態に係る監視センタが備える機能を示すブロック図である。
監視センタ500は、情報取得部510と、表示要求部520、入力受付部530、情報判別部540、送信要求部550を備える。
【0197】
情報取得部510は、通信部500fがATM100から受信した情報を取得する。
表示要求部520は、情報取得部510が取得した情報をモニタ500iに表示させる。
【0198】
入力受付部530は、キーボード500j及びマウス500kからの入力を受け付ける。
情報判別部540は、入力受付部530が受け付けた情報を判別する。
【0199】
送信要求部550は、情報判別部540の判別結果を通信部500fを介して、ATM100に送信させる。
次に、このような監視センタ500を利用して、ATM100で実行されるICキャッシュカード600の磁気ストライプ610の復旧処理について説明する。
【0200】
<実施例5−1>
図21は、実施例5−1に係るATM及び監視センタで実行される復旧処理を示すフローチャートである。
【0201】
なお、
図21は、第2の実施の形態の
図10に対応するものである。
第2の実施の形態と同様に、カード処理ユニット30に挿入されたカードの磁気ストライプに対する磁気リーダライタ30cの読み出しがエラーである場合にATM100では、以下の処理が実行される。
【0202】
[ステップS101a] 情報取得部12は、カード処理ユニット30から読み出しエラーである旨の情報を取得すると、情報判別部13はカード処理ユニット30が磁気ストライプ610を読み出せなかったことを判別する。
【0203】
情報判別部13は、カード処理ユニット30内のカードの保留要求をカード処理制御部14に通知する。カード処理ユニット30は挿入されたカードを内部に保留する。
なお、カード処理ユニット30はカードを受け付けた際には、イメージリーダ30dにより当該カードの主面のイメージデータを読み取る。情報取得部12は、当該イメージデータも取得して当該イメージデータは情報保持部11に保持される。
【0204】
[ステップS102a] 情報判別部13は、ユーザにその場で待ってもらうように待機案内の表示要求を案内通知部11bに通知して、表示部20aには待機案内が表示される。これにより、ユーザをATM100前に待機させる。
【0205】
[ステップS103a] 監視要求部11cは、挿入されたカードの主面のイメージデータと共に当該イメージデータの監視要求を監視センタ500に送信する。
[ステップS401] 監視センタ500の通信部500fは、カードのイメージデータを受信する。情報取得部510は、受信したイメージデータを取得して、表示要求部520がモニタ500iに当該イメージと、カードの種類の選択ボタンとを表示させる。
【0206】
[ステップS501] 監視センタ500で監視する監視係員はモニタ500iに表示されているイメージを目視して、カードの種類を確認する。
[ステップS502] 監視係員はキーボード500j及びマウス500kを利用してカードの種類に対応する選択ボタンを指定する。
【0207】
[ステップS402] 入力受付部530は、監視係員により指定されたカードの種類を受け付ける。
[ステップS403] 情報判別部540は、指定されたカードの種類が処理対象であるICキャッシュカード600か否かを判断する。
【0208】
次の処理は、情報判別部540が指定されたカードが処理対象のICキャッシュカード600以外のカードであることを判別するとステップS404に進められ、ICキャッシュカード600であることを判別するとステップS405に進められる。
【0209】
[ステップS404] 情報判別部540はカードの返却要求を送信要求部550から通信部500fに通知して、通知された返却要求が通信部500fからATM100に送信される。次の処理は、ステップS125(
図13)に進められる。
【0210】
[ステップS405] 情報判別部540は、磁気ストライプ610の復旧処理要求を送信要求部550から通信部500fに通知して、通知された復旧処理要求が通信部500fからATM100に送信される。
【0211】
[ステップS105a] ATM100では復旧処理要求が通知されると、カード処理ユニット30がICキャッシュカード600の磁気ストライプ610の読み出しを再度実行する。
【0212】
以降の処理は、ステップS106に進められ、
図11〜
図13のフローに沿って磁気ストライプの復旧処理が実行される。
このようにATM100は、カードの磁気ストライプの読み出しエラー時に、カードのイメージデータを監視センタ500に送信して、監視センタ500でカードのイメージデータからカードの種類を判別するようにした。これにより、ユーザは操作を行わずして、自動で磁気ストライプの復旧処理を実行することができる。これにより、ユーザはATM係員を呼び出す必要がなくなりユーザの手間が省けて利便性が向上する。
【0213】
<実施例5−2>
実施例5−2では、実施例5−1とは異なる監視センタ500を利用した方法について説明する。
【0214】
図22は、実施例5−2に係るATM及び監視センタで実行される復旧処理を示すフローチャートである。
これまでと同様に、カード処理ユニット30に挿入されたカードの磁気ストライプに対する磁気リーダライタ30cの読み出しがエラーである場合にATM100では、以下の処理が実行される。
【0215】
[ステップS101b] 情報取得部12は、カード処理ユニット30から読み出しエラーである旨の情報を取得すると、情報判別部13はカード処理ユニット30が磁気ストライプ610を読み出せなかったことを判別する。
【0216】
情報判別部13は、カード処理ユニット30内のカードの排出要求をカード処理制御部14に通知する。カード処理ユニット30は挿入されたカードを外部に排出して、ユーザに返却する。
【0217】
[ステップS102b] 情報判別部13は、読み出しがエラーであったことと、例えば、ATM100に備えられているインタフォン(図示を省略)で監視センタ500と連絡依頼の案内の表示要求とを案内通知部11bに通知する。案内通知部11bは、要求に応じて、連絡依頼の案内を表示ユニット20の表示部20aに表示させる。
【0218】
なお、このような表示に応じてユーザはインタフォンを利用して監視センタ500と通話を開始して、カードが読み取られなかったことを口頭で伝える。
[ステップS103a] 監視要求部11cは、挿入されたカードの主面のイメージデータと共に当該イメージデータの監視要求を監視センタ500に通知する。
【0219】
[ステップS401a] 監視センタ500の通信部500fは、カードのイメージデータを受信する。情報取得部510は、受信したイメージデータを取得して、表示要求部520がモニタ500iに当該イメージを表示させる。
【0220】
[ステップS501a] 監視センタ500で監視する監視係員はユーザと通話して、モニタ500iに表示されているイメージを目視して、カードの種類を確認する。
[ステップS502a] 監視係員は、目視の結果、当該カードが、処理対象であるICキャッシュカード600か否かを判断する。なお、当該カードが処理対象外(単なるキャッシュカード、一体型ICキャッシュカード、または取引カードとは別の種類のカード)である場合には、監視係員は、キーボード500j及びマウス500kを用いてカードの返却指示の操作入力を行う(ステップS402へ)。当該カードが処理対象である場合には、監視係員は、ステップS503aの動作を行う。
【0221】
[ステップS402] 監視センタ500の情報判別部540は入力受付部530がカードの返却指示であることを判別すると送信要求部550を介して通信部500fからATM100にカードの返却要求を通知する。
【0222】
次の処理は、
図13のステップS125に進められて、カード処理ユニット30からカードが排出されてユーザに返却される。
[ステップS503a] 監視係員は、当該カードがICキャッシュカード600である場合には、ICキャッシュカード600の磁気ストライプ610の復旧処理を実行するために、インタフォンによりユーザにICキャッシュカード600をカード処理ユニット30のカード挿入/排出口30aに再び挿入するように指示する。
【0223】
[ステップS105] カード処理ユニット30はユーザからのICキャッシュカード600を受け付ける。
以降の処理は、
図11〜
図13のフローに沿って磁気ストライプの復旧処理が実行される。
【0224】
以上により、カードの磁気ストライプが読み出しエラー時にATM係員を呼び出さずに、磁気ストライプの復旧処理を実行させることができる。
第5の実施の形態においても第2の実施の形態と同様の効果が得られる。さらに、第5の実施の形態では、ATM100は、カードの磁気ストライプの読み出しエラー時に、カードのイメージデータを監視センタ500に送信して、監視センタ500でカードの種類を確認するようにした。これにより、ATM係員を呼び出す必要が無く、ATM係員のコストを削減することができる。
【0225】
なお、前述の通り、上記の処理は、コンピュータに所定のプログラムを実行させることで実現できる。その場合、実現すべき処理内容を記述したプログラムが提供される。処理内容を記述したプログラムは、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶しておくことができる。コンピュータ読み取り可能な記憶媒体には、例えば、磁気記録装置、光ディスク、光磁気記録媒体、半導体メモリがある。磁気記録装置には、ハードディスク装置、フレキシブルディスク(FD)、磁気テープ(MT)等がある。光ディスクには、DVD(Digital Versatile Disc)、DVD−RAM、CD−ROM(Compact Disc-Read Only Memory)、CD−R(Recordable)、CD−RW(ReWritable)等がある。光磁気記録媒体には、MO(Magneto-Optical disk)等がある。
【0226】
プログラムを流通させる場合、例えば、そのプログラムが記録されたDVD、CD−ROM等の可搬型記録媒体が販売される。また、プログラムをサーバコンピュータの記憶装置に格納しておき、ネットワークを介して、サーバコンピュータから他のコンピュータにプログラムを転送することもできる。
【0227】
プログラムを実行するコンピュータは、例えば、可搬型記録媒体に記録されたプログラム又はサーバコンピュータから転送されたプログラムを、自己の記憶装置に格納する。そして、コンピュータは、自己の記憶装置からプログラムを読み取り、プログラムに従った処理を実行する。なお、コンピュータは、可搬型記録媒体から直接プログラムを読み取り、そのプログラムに従った処理を実行することもできる。また、コンピュータは、サーバコンピュータからプログラムが転送される毎に、逐次、受け取ったプログラムに従った処理を実行することもできる。