【実施例】
【0028】
次に、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。通常の転写ラベル1は、
図1に示すように、キャリアフィルム2つまり剥離シートの上に転写本体3を有しており、該転写本体は保護層、図柄層、最上層の接着層5などを順次積層して構成し、さらに中間層やバックアップ層などを設けることもある。
【0029】
通常の転写ラベル1において、キャリアフィルム2は、熱転写される転写本体3の矩形周縁から外側に約5mmの余白部7を持っている。バーコード8は、キャリアフィルム2の横余白部7の所定の位置に形成する。この所定の位置は、ラベル識別用バーコードリーダ14が放射するレーザ光が作業者の手で遮られにくい位置であり、例えば、
図1においてキャリアフィルム2の上方余白部の中心に定めると好ましい。
【0030】
転写ラベル1において、バーコード8は加熱転写時に被着体転写されず、キャリアフィルム2に残存させることを要する。このため、バーコード8は転写本体3の図柄層の印刷と同時に印刷され、且つ接着層を設けていない。バーコード8の寸法は、高さ0.8mm、幅44.7mmである。
【0031】
一方、転写位置検査装置であるバーコード認識装置10を
図2に示す。バーコード認識装置10は、転写ラベルを被着体に熱転写する熱転写機(商品名:T100、ジャパンポリマーク製)12と、該熱転写機に取り付けたラベル識別用バーコードリーダ(キーエンス製)14と、生産指示データを認識する生産指示用バーコードリーダ(FKシステム製)16と、両バーコードリーダに電気接続したバーコードリーダーコントローラ(ミツビシ製シーケンサ)18とで構成する。
【0032】
熱転写機12には、その前面のほぼ中間高さにラベルカセット(ジャパンポリマーク製)20を着脱自在に取り付ける。ラベルカセット20には、バーコード印刷済みの転写ラベル1を多数枚収納しており、該ラベルカセットを熱転写機12にセットし、収納したラベルが無くなればカセットを交換する。ラベルカセット20は、
図5に示すように、左右の取付ガイド30,32の横幅が異なることにより、該カセットを熱転写機12に逆向きにセットすることを防止する。また、カセット内部に三角コーナー棒34を垂直に固着することにより、コーナーカットした転写ラベル1を収納すると、該ラベルを逆向きに入れることを未然に防止できる。
【0033】
熱転写機12の下方には、固定のラベル受け台22を水平に配置し、該受け台の上方に加熱上ゴテ(図示しない)を上下動自在に設置し、該上ゴテは受け台22に対して上方から接近する。ラベルカセット20は、収納した多数枚の転写ラベル1を1枚ずつ受け台22つまり被着体上へ送り出す。
【0034】
また、ラベル識別用バーコードリーダ14は、熱転写機12の下方支柱24において斜め下向きに設置することにより、ラベル受け台22の近傍に配置している。生産指示用バーコードリーダ16は、独立した据え置き型であり、作業者が望む任意の場所に配置して使用できる。バーコードリーダーコントローラ18の前面では、
図2に示すように、バーコードリーダ14で転写ラベル1のバーコード8を判別した結果をLEDやライトによって表示すると好ましい。
【0035】
バーコード認識装置10を稼動してバーコードの正否を判定するには、転写作業前に、生産指示用バーコードリーダ16に製造指図書などの生産指示バーコード26をセットし、バーコードリーダ16で読み取った生産指示データをバーコードリーダーコントローラ18へ送信して保存する。コントローラ18では、
図6に示すフローチャートに従って熱転写機12の稼動を処理する。次に、熱転写機12に電源を投入し、可動の上ゴテを所望の温度まで加熱しておくと、熱転写機12における任意の設定により、転写温度、転写圧力、転写時間は安定している。
【0036】
次に、作業者は、バーコード印刷済みの転写ラベル1を収納したラベルカセット20を熱転写機12にセットする。作業者が、被着体の所定の個所を受け台22の上に載置すると、転写ラベル1が被着体上に自動搬送され、その直後に、ラベル用バーコードリーダ14が転写ラベル1に印刷されたバーコード8を読み取る。読み取ったデータはバーコードリーダーコントローラ18へ送信され、該コントローラにおいて生産指示用バーコードリーダ16からの生産指示データと比較する。この結果、指定された転写ラベルと異なるラベルのバーコードや、バーコードの位置が適切な位置でない場合には、コントローラ18から熱転写機12に異常の信号を発信し、熱転写機12の動作を停止させる。バーコードリーダ14で読み取ったバーコード8のデータが生産指示データと一致すれば、熱転写機12の次の動作を継続させる。
【0037】
ラベル用バーコードリーダ14では、レーザー光28(
図3)の高さを0.2mm、幅を53.7mm(バーコードの左右側に空白部のクワイエットゾーン約4mmが必要)に設定して、ラベルの位置ずれを判別し、約4mmのクワイエットゾーンが無いと読み取りできない。この際に、転写ラベル1のバーコード8は高さが0.8mm、幅が44.7mmである。この組み合わせ態様において、
図3のようにレーザー光28がバーコード8の上下左右の中心にセットされ、該バーコードの全体を照射すると、バーコードリーダ14から許可信号がコントローラ18へ送られ、熱転写機12の次の動作を継続させる。この照射の際に、縦方向に0.3mm以上のずれまたは横方向に0.5mm以上のずれが生じると、レーザー光28の中にバーコード8が入らず、バーコードを読み取ることができない。
【0038】
図4(1)、(2)、(3)は、転写ラベル1のバーコード8の位置ずれの例をそれぞれ示している。
図4(1)は転写ラベル1のバーコード8の縦ずれを示す。
図4(2)は転写ラベル1のバーコード8の横ずれを示し、バーコード8の左側で約4mmのクワイエットゾーンを検出できない。
図4(3)は転写ラベル1のバーコード8の斜めずれを示している。これらの場合には、バーコードリーダ14から停止信号がコントローラ18へ送られ、該コントローラから熱転写機12に異常信号を発信して、熱転写機12の動作を停止させる。
【0039】
この実施例のバーコード認識装置10では、生産管理者が指示した材料の転写ラベルと、指示を受けた作業者が準備した転写ラベル1とが間違っていれば、この間違いを自動的に見つけて熱転写機12の動作を停止する。正しい転写ラベル1が投入されても、カセット20内のラベル束の中で1枚が裏向きや上下反対になっていれば、これらを自動的に見つけて熱転写機12の動作を停止する。また、正しい転写ラベル1が正しい向きで投入されても、何らかの原因でラベルの位置がずれていれば、これを自動的に見つけて熱転写機12の動作を停止する。
【0040】
バーコード認識装置10は、バーコードリーダが市場に非常に安価で供給されているため、ラベル識別用バーコードリーダ14および生産指示用バーコードリーダ16、この2つの読み取り装置を5万円から20万円で製作できる。一方、カメラを利用した画像認識・画像処理装置の場合には、読み取り装置に安価なカメラを利用しても100万円程度必要であり、非常にコスト高である。また、また、カメラを利用した画像認識・画像処理では、認識画像のラベル品種が変わると画像認識のスキルを持った技術者が設定変更を行わなければならず、人員の少ない中小企業では経済的負担が大きい。バーコード認識装置10では、バーコード仕様が国際規格で統一されているために、該装置に設定された規格のバーコードであれば、バーコードが変わるたびに設定変更することは不要である。