【実施例1】
【0026】
本発明の実施例1に係る紡糸巻取装置11について、
図1から
図5及び
図9を用いて説明する。本実施例1の紡糸巻取装置11は、紡糸された糸Yを巻取ボビンBを切り替えながら巻き取ってパッケージ18を形成するものである。以下の説明では、巻取チューブ17及びパッケージ18を総称して巻取ボビンBとする場合がある。すなわち、糸層が形成されていない巻取ボビンBが巻取チューブ17であり、糸層が形成された巻取ボビンBがパッケージ18である。
【0027】
図1、
図4に示すように、紡糸巻取装置11は、主として機体12、ターレット21、スライドボックス31、制御部51を備えている。ターレット21とスライドボックス31は機体12に設けられている。ターレット21は、機体12に対して回転するものである。ターレット21はターレット駆動装置24によって回動軸23を中心に回動可能である。ターレット21には、巻取ボビンBを装着する2本のボビンホルダ25が回動軸23に対して対称となる位置に突設されている。ターレット21をターレット駆動装置24によって略半回転させることで、ボビンホルダ25の一方が上方の巻取位置に、他方が下方の玉揚げ及び待機位置となるように、2本のボビンホルダ25の位置を交代させることができる。
【0028】
ターレット21に設けられた2本のボビンホルダ25は、それぞれボビンホルダ駆動装置26に接続されており、回転可能である。各ボビンホルダ駆動装置26は制御部51に電気的に接続されている。
【0029】
制御部51は、公知のマイクロコンピュータとして構成されており、演算装置としてのCPUや、ROM、RAM等の記憶手段を備えている。制御部51は、後記説明する各種センサが発生する信号に基いて、各種駆動装置の駆動を制御する。
【0030】
スライドボックス31は、機体12に対して昇降自在に設けられるものであり、コンタクトローラ35とトラバース装置41が設けられている。スライドボックス31は、コンタクトローラ35の接圧調整手段である昇降駆動装置33によって機体12に対して支えられている。昇降駆動装置33はエアシリンダ等で構成される。昇降駆動装置33の作動により、スライドボックス31は機体12に対して上向きの力を受け、コンタクトローラ35が巻取ボビンBに所定の接圧で接触する。昇降駆動装置33は制御部51に電気的に接続され、駆動が制御される。
【0031】
コンタクトローラ35は、糸Yの巻き取り中に巻取ボビンBに従動して回転し、トラバース装置41によって綾振された糸Yを受け継いで、巻取ボビンBの外周に糸Yを受け渡すものである。また、コンタクトローラ35は、スライドボックス31が昇降することにより、巻取ボビンBの巻き太り及び、ターレット21の回動に対応して、巻取ボビンBに圧接した状態を保ちつつ移動する。コンタクトローラ35の移動方向はスライドボックス31と同じく上下方向である。コンタクトローラ35が移動することにより、ターレット21の回動軸23からコンタクトローラ35までの距離が変動する。コンタクトローラ35の位置の検知は、位置センサ37によりスライドボックス31の位置を検知することにより行う。
【0032】
コンタクトローラ35の回転速度は回転センサ38により検知され、これにより巻取ボビンBの外周速度が検知される。検知信号は制御部51に送られる。そして回転センサ38が検知するコンタクトローラ35の回転速度が一定となるように、ボビンホルダ駆動装置26の駆動を制御する。具体的には、回転センサ38の検知した値が巻取速度に応じた所定の値を下回れば制御部51がボビンホルダ駆動装置26の回転速度を増加させる。逆に、検知した値が所定の値を上回れば制御部51がボビンホルダ駆動装置26の回転速度を減少させるように制御する。
【0033】
トラバース装置41は、コンタクトローラ35に対して、糸Yの進行方向の上流側に配置され、スライドボックス31に対して位置が固定されている。トラバースガイド22が、
図1の上方から供給される糸Yと係合した状態でトラバース範囲を往復動することによって、下流方向に送られる糸Yを綾振運動させる。
【0034】
紡糸巻取装置11は更に、設定部53、検知部55、判定部57、保護装置59を備えている。
【0035】
設定部53は、糸Yの巻き取りを開始した後、ターレット21の回動を開始させるターレット回動開始条件を設定するものである。本実施例では、ターレット回動開始条件として巻取ボビンBの巻径=D1を設定する。ターレット回動開始条件は、巻取ボビンBの巻径に限られない。ターレット回動開始条件は、ある巻取ボビンBの巻き取りを開始してからターレット21の回動を開始させるまでの時間や、ある巻取ボビンBに巻き取った糸Yの長さとしてもよい。ターレット回動開始条件は、玉揚げに要する時間を考慮して決定する。
【0036】
検知部55は、糸Yの巻き取り状態を検知するものである。検知部55は、糸Yの巻き取り状態として巻き取り中の巻取ボビンBの巻径や、巻き取り中の巻取ボビンBの巻き取り経過時間、巻き取り中の巻取ボビンBに巻き取った糸Yの長さを検知する。これらの検知は、回転センサ38や、図示しないセンサやタイマ等の信号に基づいて行われる。糸Yの巻き取り状態は、判定部57において、前述したターレット回動開始条件と比較されるため、少なくともターレット回動開始条件と比較できるような糸Yの巻き取り状態を検知する。
【0037】
判定部57は、検知部55により検知した糸Yの巻き取り状態が、ターレット回動開始条件に達したかどうかを判定する。糸Yの巻き取り状態がターレット回動開始条件に達したかどうかの判定は制御部51に送信される。ここでターレット回動開始条件に達したにもかかわらず玉揚げが完了していない場合は、糸Yの巻き取りを停止させる。さらに、ターレット回動開始条件は巻径や時間等の条件の設定ではなく、玉揚げの完了としても構わない。すなわち、例えば巻取パッケージが排出され、新たな巻取チューブが挿入、ボビンホルダに把持されたことをトリガーとして、回動動作を開始するようにしてもよい。
【0038】
保護装置59は、コンタクトローラ35の位置が所定の範囲から逸脱した場合に糸Yの巻き取りを停止して、紡糸巻取装置11の損傷を未然に防ぐものである。コンタクトローラ35は、スライドボックス31とともに機体12に対して昇降するが、スライドボックス31の昇降範囲には機械的な上限位置と下限位置があり、これを越えてスライドボックス31を昇降させることはできない。
図5に示すように、スライドボックス31が機械的な上限位置にある場合において、ターレット21の回動軸23からコンタクトローラ35までの距離を最大限界距離L(max2)とする。スライドボックス31が機械的な下限位置にある場合において、ターレット21の回動軸23からコンタクトローラ35までの距離を最小限界距離L(min2)とする。
【0039】
糸Yの巻き取り中に、コンタクトローラ35が、前述の最大限界距離L(max2)又は最小限界距離L(min2)となる位置に達してしまうと、糸Yの巻き取りを続けることができないばかりか、紡糸巻取装置11を損傷させてしまう。そこで保護装置59は、ターレット21の回動軸23からコンタクトローラ35までの距離が、最大限界距離L(max2)又は最小限界距離L(min2)に達する前に糸Yの巻き取りを停止させる。
【0040】
具体的には、コンタクトローラ35が上昇して、最大限界距離L(max2)に達する前に保護装置59が作動する位置を最大停止位置とする。そしてコンタクトローラ35が最大停止位置にある場合における、ターレット21の回動軸23からコンタクトローラ35までの距離を最大停止距離L(max1)とする。また、コンタクトローラ35が下降して、最小限界距離L(min2)に達する前に保護装置59が作動する位置を最小停止位置とする。そしてコンタクトローラ35が最小停止位置にある場合における、ターレット21の回動軸23からコンタクトローラ35までの距離を最小停止距離L(min1)とする。そして更に、ターレット21の回動軸23からコンタクトローラ35までの距離が最小停止距離L(min1)より長く、所定の最大停止距離より短い範囲をコンタクトローラ35の可動範囲とする。コンタクトローラ35の位置が可動範囲から逸脱した場合には、保護装置59が作動して糸Yの巻き取りを停止させる。
【0041】
次に、本実施例に係る紡糸巻取装置11が糸Yを巻き取る場合において、ターレット21の回動とコンタクトローラ35の移動の制御について説明する。また、比較のために特許文献1に記載された制御を行った場合についても説明する。
【0042】
まず、特許文献1に記載された制御を行った場合について説明する。符号等は本実施例に係る紡糸巻取装置11と一部共通のものを用いて説明する。糸Yの巻き取り開始時の巻径=DS=巻取チューブ17の径、ターレット回動開始条件としての巻取ボビンBの巻径=D1、巻き取り終了時の巻径=DFとする。
【0043】
図9に示すように、特許文献1の制御では、糸Yの巻き取り開始時においてコンタクトローラ35を第1ローラ位置LS´に位置させ、第1ローラ位置LS´から巻取ボビンBの巻き太りに対応させて第2ローラ位置L1´まで移動させる。第1ローラ位置LS´は、糸Yの巻き取り開始時の巻径=DS=巻取チューブ17の径に対応し、第2ローラ位置L1´は、ターレット回動開始条件としての巻取ボビンBの巻径=D1に対応している。
【0044】
続いてターレット21を巻取ボビンBの巻き太りとコンタクトローラ35の移動に対応して回動させ、コンタクトローラ35を第2ローラ位置L1´から巻き取り終了位置である第3ローラ位置LF´まで移動させる。第3ローラ位置LF´は、巻き取り終了時の巻径=DFに対応している。特許文献1に記載された制御では、第3ローラ位置LF´は第1ローラ位置LS´と同一に設定されている。
【0045】
しかしながら、糸Yの巻き取り中はパッケージ18の巻太り誤差等があり、コンタクトローラ35の位置がばらつくことがある。
図9に示すように、パッケージ18の巻径のばらつきによる、コンタクトローラ35の位置のばらつきの範囲ΔLを2点鎖線で示している。コンタクトローラ35の位置のばらつきΔLは糸Yの巻き取りが進行し、巻取ボビンBの巻径が大きくなるに従って大きくなる。特許文献1に記載された制御では、第3ローラ位置LF´を最小停止距離L(min1)に近い第1ローラ位置LS´と同じ位置に設定しているため、コンタクトローラ35の位置が、最小停止距離L(min1)を下回って可動範囲から逸脱しやすい。
図9では、コンタクトローラ35の位置がパッケージ18の巻太り誤差等により設定値より低くなった場合に、コンタクトローラ35の位置が、最小停止距離L(min1)を下回って可動範囲から逸脱する。コンタクトローラ35の位置が可動範囲から逸脱すると、その都度保護装置59が作動して糸Yの巻き取りを停止させることとなる。
【0046】
また、
図10に示すように、第3ローラ位置LF´を第2ローラ位置L1´と同一に設定した場合にも同様の問題が生じる。第3ローラ位置LF´を最大停止距離L(max1)に近い第2ローラ位置L1´に設定した場合には、コンタクトローラ35の位置のばらつきΔLにより、コンタクトローラ35の位置が、最大停止距離L(max1)を上回って可動範囲から逸脱しやすい。
図10では、コンタクトローラ35の位置がパッケージ18の巻太り誤差等により設定値より高くなった場合に、コンタクトローラ35の位置が、最大停止距離L(max1)を
上回って可動範囲から逸脱する。コンタクトローラ35の位置が可動範囲から逸脱すると、やはりその都度保護装置59が作動して糸Yの巻き取りを停止させることとなる。
【0047】
次に、本実施例に係る紡糸巻取装置11の制御について説明する。まず本実施例では、
図5に示すように、ターレット21の回動軸23から第3ローラ位置LFまでの距離は、ターレット21の回動軸23から第1ローラ位置LSまでの距離より長く、ターレット21の回動軸23から第2ローラ位置L1までの距離より短かく設定される。つまり、第3ローラ位置LFは、第1ローラ位置LSからも第2ローラ位置L1からも離れた位置に設定される。第3ローラ位置LFを第1ローラ位置LSから離す距離は、コンタクトローラ35の位置がΔLの範囲でばらついても、コンタクトローラ35の位置が、最小停止距離L(min1)を下回まわらない距離に設定することが好ましい。また、第3ローラ位置LFを第2ローラ位置L1から離す距離は、コンタクトローラ35の位置がΔLの範囲でばらついても、最大停止距離L(max1)を上回まわらない距離に設定することが好ましい。例えば、第3ローラ位置LFを第1ローラ位置LSと第2ローラ位置L1の中間位置、あるいはその近傍の位置とする。
【0048】
上記のように第1ローラ位置LS、第2ローラ位置L1及び第3ローラ位置LFが設定された上で、
図1、
図5に示すように、制御部51は、ターレット21を巻き取り開始位置である第1ターレット位置に位置させ、コンタクトローラ35を巻き取り開始位置である第1ローラ位置LSに位置させた状態で巻取ボビンBへの糸Yの巻き取りを開始する。第1ローラ位置LSは、糸Yの巻き取り開始時の巻径=DS=巻取チューブ17の径に対応し、第1ターレット位置とは、
図1に示すターレット21の位置である。
【0049】
図2、
図5に示すように、糸Yの巻き取り開始から判定部57がターレット回動開始条件に達したと判定するまでの期間を第1期間P1とすると、制御部51は、第1期間P1において、ターレット21を第1ターレット位置に位置させるとともに、コンタクトローラ35を第1ローラ位置LSから巻取ボビンBの巻き太りに対応させて第2ローラ位置L1まで移動させる。つまり、第1期間P1では、巻取ボビンBの巻き太りに対応させてコンタクトローラ35のみを移動させ、ターレット21は回動させない。このため、パッケージ18の玉揚げの際にパッケージ18の位置は変化せず、玉揚げが容易となる。尚、ターレット回動開始条件は、設定部53に予め設定しておくものであり、本実施例では、ターレット回動開始条件として巻取ボビンBの巻径=D1を設定している。第2ローラ位置L1は、ターレット回動開始条件としての巻取ボビンBの巻径=D1に対応している。巻径=D1に達するまでに要する時間は、パッケージ18の玉揚げに必要かつ十分な時間とされる。
【0050】
図3、
図5に示すように、判定部57がターレット回動開始条件としての巻取ボビンBの巻径=D1に達したと判定してから、巻取ボビンBが満巻に達するまでの期間を第2期間P2とすると、制御部51は、第2期間P2において、コンタクトローラ35を第2ローラ位置L1から巻き取り終了位置である第3ローラ位置LFまで移動させる。第3ローラ位置LFは、巻き取り終了時の巻径=DFに対応している。第2期間P2においては、ターレット21を第1ターレット位置から巻取ボビンBの巻き太りとコンタクトローラ35の移動に対応して回動させる。
【0051】
また、制御部51は、第2期間P2におけるコンタクトローラ35の移動を、ターレット21の回動軸23からコンタクトローラ35までの距離が単調減少となるように制御する。
【0052】
第3ローラ位置LFは、第1ローラ位置LSからも第2ローラ位置L1からも離れた位置に設定される。このため、コンタクトローラ35の位置がΔLの範囲でばらついても、コンタクトローラ35の位置が、最小停止距離L(min1)を下回ったり、最大停止距離L(max1)を上回ったりしにくい。コンタクトローラ35の位置が可動範囲から逸脱しにくいため、保護装置59が作動して糸Yの巻き取りを停止させる頻度を減少させることができる。
【0053】
図5に示すように、巻取ボビンBが満巻に達した後、次の巻取ボビンBの巻き取りを開始するまでの期間を第3期間P3とすると、第3期間P3において、コンタクトローラ35は、第3ローラ位置LFから第1ローラ位置LSに移動する。このような動作をするのは、コンタクトローラ35は、巻取ボビンBに当接しない状態になるとスライドボックス31の自重によって下降して、機械的な下限位置である最小限界距離L(min2)まで移動するためである。コンタクトローラ35に巻取ボビンBが当接すると、コンタクトローラ35は巻取ボビンBに持ち上げられ、最小限界距離L(min2)から第1ローラ位置LSに移動する。第3期間P3においては、コンタクトローラ35の位置が、最小停止距離L(min1)を下回ったことを検知しても、保護装置59は作動しないように設定している。
【0054】
以上説明した実施例1に係る紡糸巻取装置11によれば、次のような効果を有する。
【0055】
ターレット21の回動軸23から第3ローラ位置LFまでの距離は、ターレット21の回動軸23から第1ローラ位置LSまでの距離より長く、ターレット21の回動軸23から第2ローラ位置L1までの距離より短かい。このため、第2期間P2において、パッケージ18の巻太り誤差等があってもコンタクトローラ35の位置が可動範囲から逸脱しにくい。これにより、コンタクトローラ35の可動範囲を大きくしなくても、コンタクトローラ35が可動範囲を逸脱しにくくなり、保護装置59の作動による糸Yの巻き取り停止を回避することができる。
【0056】
第2期間P2におけるコンタクトローラ35の移動は、ターレット21の回動軸23からコンタクトローラ35までの距離が単調減少となるように制御される。このため、第2期間P2においてターレット21の回動軸23からコンタクトローラ35までの距離を、所定の最大停止距離L(max1)よりも確実に短くすることができる。これにより、第2期間P2において、パッケージ18の巻太り誤差等があっても、ターレット21の回動軸23からコンタクトローラ35までの距離は、所定の最大停止距離L(max1)よりも長くなりにくく、コンタクトローラ35の位置を可動範囲から逸脱しにくくすることができる。
【0057】
第3期間P3において、コンタクトローラ35は、第3ローラ位置LFから第1ローラ位置LSに移動される。このため、コンタクトローラ35の位置を第1ローラ位置LSに戻して、新たな巻取ボビンBへの糸Yの巻き取りを開始することができる
【実施例2】
【0058】
次に本発明の実施例2に係る紡糸巻取装置11について、
図6を用いて説明する。実施例1では、コンタクトローラ35の巻き取り開始位置である第1ローラ位置LSは、ターレット21の回動軸23から第1ローラ位置LSまでの距離が最小停止距離L(min1)より長くなるように設定されている(
図5参照。)。このように設定している理由は、コンタクトローラ35の位置が、最小停止距離L(min1)を下回って可動範囲から逸脱すると保護装置59が作動して糸Yの巻き取りを停止させるためであるが、保護装置59を設けている本来の理由は、コンタクトローラ35の位置が機械的な下限位置である最小限界距離L(min2)となる位置に達すると、正常な巻き取りができなくなり、紡糸巻取装置11を損傷させてしまうためである。
【0059】
しかしながら、第1ローラ位置LSは、糸Yの巻き取り開始時の巻径=DS=巻取チューブ17の径に対応しており、糸Yの巻き取りを開始する時点とその直後では、巻取ボビンBに糸Yはほとんど巻き取られておらず、巻取ボビンBの巻径に大きなばらつきは生じていない。このため、糸Yの巻き取りを開始する時点とその直後では、コンタクトローラ35の位置を最小限界距離L(min2)に接近させても、紡糸巻取装置11を損傷させてしまうおそれはほとんどない。
【0060】
また、コンタクトローラ35の位置を最小限界距離L(min2)に接近させることで、コンタクトローラ35の位置が第2ローラ位置L1に達するまでの時間を長くすることができ、パッケージ18の玉揚げのための時間を長くできるという利点もある。
【0061】
このため、実施例2では、
図6に示すように、コンタクトローラ35の巻き取り開始位置である第1ローラ位置LSは、ターレット21の回動軸23から第1ローラ位置LSまでの距離が最小停止距離L(min1)より短くなるように設定した。また、保護装置59が作動して糸Yの巻き取りを停止させないよう、ターレット21の回動軸23からコンタクトローラ35までの距離が、糸Yの巻き取りを開始してから最初に最小停止距離L(min1)を越えるまでは、保護装置59を作動させないようにした。
【0062】
以上説明した実施例2に係る紡糸巻取装置11によれば、次のような効果を有する。
【0063】
ターレット21の回動軸23から第1ローラ位置LSまでの距離は、最小停止距離L(min1)より短くなるように設定されている。また、この場合には、保護装置59を作動させないようにしている。このため、コンタクトローラ35を第1ローラ位置LSから第2ローラ位置L1まで移動させる時間を長く確保することができ、パッケージ18の玉揚げのための時間をより長く確保することができる。