特許第5771190号(P5771190)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5771190
(24)【登録日】2015年7月3日
(45)【発行日】2015年8月26日
(54)【発明の名称】ハニカムフィルタ
(51)【国際特許分類】
   B01J 35/04 20060101AFI20150806BHJP
   B01J 23/656 20060101ALI20150806BHJP
   B01D 53/86 20060101ALI20150806BHJP
   F01N 3/022 20060101ALI20150806BHJP
   F01N 3/023 20060101ALI20150806BHJP
   F01N 3/035 20060101ALI20150806BHJP
   F01N 3/28 20060101ALI20150806BHJP
【FI】
   B01J35/04 301L
   B01J35/04 301E
   B01J23/656ZAB
   B01D53/86 100
   B01D53/86 222
   F01N3/02 301C
   F01N3/02 321A
   F01N3/28 301Q
【請求項の数】9
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2012-509535(P2012-509535)
(86)(22)【出願日】2011年3月30日
(86)【国際出願番号】JP2011058083
(87)【国際公開番号】WO2011125773
(87)【国際公開日】20111013
【審査請求日】2013年11月19日
(31)【優先権主張番号】特願2010-81899(P2010-81899)
(32)【優先日】2010年3月31日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004064
【氏名又は名称】日本碍子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000017
【氏名又は名称】特許業務法人アイテック国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】青山 智克
(72)【発明者】
【氏名】水谷 貴志
【審査官】 壷内 信吾
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2009/118866(WO,A1)
【文献】 国際公開第2009/141889(WO,A1)
【文献】 特開2006−159020(JP,A)
【文献】 特開2008−296141(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J21/00−38/74
B01D53/86,53/94
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一部に触媒が担持されており一方の端部が開口され且つ他方の端部が目封止され流体の流路となる複数のセルを形成する複数の多孔質の隔壁部と、
少なくとも一部に触媒が担持されており前記隔壁部上に形成され前記流体に含まれる固体成分を捕集・除去する層である捕集層と、を備え、
前記複数の隔壁部が交差する部分である隔壁交差部の単位体積あたりの触媒量Aと、前記隔壁部の中央部分を含む隔壁中央部の単位体積あたりの触媒量Bとが、0.30≦A/B≦0.90の関係を満たす、ハニカムフィルタ。
【請求項2】
前記触媒量A及び触媒量Bが、0.60≦A/B≦0.90の関係を満たす、請求項1に記載のハニカムフィルタ。
【請求項3】
前記捕集層には触媒が担持されており、前記セルのコーナー部に形成されている捕集層である捕集層コーナー部の単位体積あたりの触媒量Cと、前記隔壁部の中央部分に形成された捕集層である捕集層中央部の単位体積あたりの触媒量Dとが、0.80≦C/D≦0.95の関係を満たす、請求項1又は2に記載のハニカムフィルタ。
【請求項4】
少なくとも一部に触媒が担持されており一方の端部が開口され且つ他方の端部が目封止され流体の流路となる複数のセルを形成する複数の多孔質の隔壁部と、
少なくとも一部に触媒が担持されており前記隔壁部上に形成され前記流体に含まれる固体成分を捕集・除去する層である捕集層と、を備え、
前記捕集層には触媒が担持されており、前記セルのコーナー部に形成されている捕集層である捕集層コーナー部の単位体積あたりの触媒量Cと、前記隔壁部の中央部分に形成された捕集層である捕集層中央部の単位体積あたりの触媒量Dとが、0.80≦C/D≦0.95の関係を満たす、ハニカムフィルタ。
【請求項5】
前記触媒は、捕集された固体成分の燃焼を促進する触媒、前記流体に含まれる未燃焼ガスを酸化する触媒及び窒素化合物を分解する触媒のうち少なくとも1種以上である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のハニカムフィルタ。
【請求項6】
前記捕集層は、気体を搬送媒体とし該捕集層の原料である無機材料を前記セルへ供給することにより形成されている、請求項1〜5のいずれか1項に記載のハニカムフィルタ。
【請求項7】
前記隔壁部は、コージェライト、SiC、ムライト、チタン酸アルミニウム、アルミナ、窒化珪素、サイアロン、リン酸ジルコニウム、ジルコニア、チタニア及びシリカから選択される1以上の無機材料を含んで形成されている、請求項1〜6のいずれか1項に記載のハニカムフィルタ。
【請求項8】
前記捕集層は、コージェライト、SiC、ムライト、チタン酸アルミニウム、アルミナ、窒化珪素、サイアロン、リン酸ジルコニウム、ジルコニア、チタニア及びシリカから選択される1以上の無機材料を含んで形成されている、請求項1〜7のいずれか1項に記載のハニカムフィルタ。
【請求項9】
前記ハニカムフィルタは、前記隔壁部及び前記捕集層を有する2以上のハニカムセグメントが接合層によって接合されて形成されている、請求項1〜8のいずれか1項に記載のハニカムフィルタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハニカムフィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ハニカムフィルタとしては、一方の端部が開口され且つ他方の端部が目封止されたセルと、一方の端部が目封止され且つ他方の端部が開口するセルとが交互に配設されるよう形成された多孔質の隔壁部と、この隔壁部上に形成された排ガスに含まれる粒子状物質(PM)を捕集・除去する層が形成されているものが提案されている(例えば、特許文献1〜3参照)。このハニカムフィルタでは、捕集層によりPMを捕集することにより、圧力損失を低減させつつPMの捕集を行うことができる。
【0003】
【特許文献1】特開2004−216226号公報
【特許文献2】特開平6−33734号公報
【特許文献3】特開平1−304022号公報
【発明の開示】
【0004】
ところで、このようなハニカムフィルタでは、例えば、将来の排ガス規制に対応するべく、あるいは、排ガス浄化システムのコンパクト化に対応するべく、排ガスに含まれる窒素化合物(NOx)や未燃焼ガス(例えばHC(Hydro Carbon)やCOなど)を浄化する触媒を担持させる要望が増加している。このような触媒は、例えば白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)などの貴金属を用いることが主流であるが、このような資源の少ない触媒ではその使用量を低減させることが求められている。一方、過剰程度、触媒を担持させるなどして排ガスの浄化性能をより高めることも求められている。このように、排ガスの浄化と触媒量の低減とを両立することが求められていた。
【0005】
本発明は、このような課題に鑑みなされたものであり、触媒量を低減すると共に、流体に含まれている除去対象物質をより効率的に除去することができるハニカムフィルタを提供することを主目的とする。
【0006】
本発明は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
即ち、本発明のハニカムフィルタは、
少なくとも一部に触媒が担持されており一方の端部が開口され且つ他方の端部が目封止され流体の流路となる複数のセルを形成する複数の多孔質の隔壁部と、
少なくとも一部に触媒が担持されており前記隔壁部上に形成され前記流体に含まれる固体成分を捕集・除去する層である捕集層と、を備え、
前記複数の隔壁部が交差する部分である隔壁交差部の触媒量Aと、前記隔壁部の中央部分を含む隔壁中央部の触媒量Bとが、0.30≦A/B≦0.90の関係を満たすものである。
【0008】
このハニカムフィルタでは、隔壁交差部の触媒量Aが、隔壁中央部の触媒量Bに比して小さくなるよう触媒が隔壁部及び捕集層に担持されており、触媒量を低減すると共に、流体に含まれている除去対象物質をより効率的に除去することができる。このような理由は、以下のように推察される。例えば、複数の隔壁部が交差する部分である隔壁交差部では、隔壁中央部に比して透過抵抗が高く、流体が流れにくいと考えられる。このため、流体の流れにくい隔壁交差部では触媒量を抑えることができる。その一方、流体に含まれる固体成分を捕集すると、隔壁中央部での透過抵抗が増加し、隔壁交差部にも流体が流通するようになることから、隔壁交差部にも触媒が存在する必要がある。ここでは、隔壁交差部での触媒量を隔壁中央部の触媒量との関係で好適な範囲とすることにより、触媒量の低減と流体の浄化とを両立するのである。また、隔壁部に設けられた捕集層により、流体に含まれる固体成分の隔壁内部への侵入をより抑制することができる。これにより、隔壁部に担持された触媒と捕集された固体成分との接触がより抑制されることから、例えば、固体成分の急発熱(熱衝撃)に伴う触媒の劣化や、固体成分との接触による触媒被毒などをより抑制することができる。このため、触媒劣化を考慮して過剰の触媒を担持させることなどを抑制可能であり、触媒担持量をより低減することができるのである。ここで、「除去対象物質」としては、例えば、流体に含まれる固体成分(PM)、窒素化合物(NOx)及び未燃焼ガス(例えばHC(Hydro Carbon)やCO)などが挙げられる。また、「隔壁交差部の触媒量」とは、隔壁交差部における電子顕微鏡観察での元素分析により求めた触媒量(質量%)をいい、「隔壁中央部の触媒量」とは、隔壁中央部における電子顕微鏡観察での元素分析により求めた触媒量(質量%)をいうものとする。なお、触媒量(質量%)に対して、計測対象であるハニカムフィルタの総重量を掛けて、ハニカムフィルタの体積で割ることによって、その計測部における見かけ上の単位体積あたりの触媒量(g/L)として扱ってもよい。このハニカムフィルタにおいて、前記セルには、入口が開放され出口が封止材により封止された入口開放セルと、入口が封止材により封止され出口が開放された出口開放セルとがあり、該入口開放セルと該出口開放セルとが隣接するように設けられているものとしてもよい。
【0009】
本発明のハニカムフィルタにおいて、前記触媒量A及び触媒量Bが、0.60≦A/B≦0.90の関係を満たすものとしてもよい。この割合A/Bが0.60以上では、隔壁中央部に流体が流れにくくなり隔壁交差部へ流体が流れやすくなったときに、この隔壁交差部の触媒によって除去対象物質を効率よく除去することができる。また、この割合が0.90以下では、触媒量を効果的に低減することができる。この触媒量Bに対する触媒量Aの割合A/Bは、0.75以上0.85以下の範囲とするのがより好ましい。
【0010】
本発明のハニカムフィルタにおいて、前記捕集層には触媒が担持されており、前記セルのコーナー部に形成されている捕集層である捕集層コーナー部の触媒量Cと、前記隔壁部の中央部分に形成された捕集層である捕集層中央部の触媒量Dとが、0.80≦C/D≦0.95の関係を満たすものとしてもよい。こうすれば、捕集層の角部及び中央部をも含めて触媒を低減すると共に、流体に含まれている除去対象物質をより効率的に除去することができる。この理由は、以下のように推察される。例えば、一般に、隔壁上に堆積する固体成分は、隔壁部内に担持されている触媒の作用により流体を熱源として燃焼する。流体は、透過抵抗に応じて隔壁中央部を通過しやすいから、固体成分の燃焼除去の処理(再生処理とも称する)の際に、捕集層中央部に堆積した固体成分から燃焼が始まる。一方、セルのコーナー部(隔壁部及び捕集層)に堆積した一部の固体成分は、コーナー部に担持された触媒の作用により燃焼するが、隔壁中央部での固体成分の燃焼に基づく高温ガスを熱源として、コーナー部に堆積した残りの固体成分の燃焼も生じる。即ち、ある好適な範囲において、流体の浄化性能を維持しつつ、セルコーナー部での触媒量を低減することができるのである。触媒量Dに対する触媒量Cの割合が0.80以上では、捕集層中央部に流体が流れにくくなりセルコーナー部へ流体が流れやすくなったときに、このセルコーナー部及び隔壁交差部の触媒によって除去対象物質を効率よく除去することができる。また、この割合が0.95以下では、触媒量を効果的に低減することができる。なお、「捕集層コーナー部の触媒量」とは、捕集層コーナー部における電子顕微鏡観察での元素分析により求めた触媒量(質量%)をいい、「捕集層中央部の触媒量」とは、捕集層中央部における電子顕微鏡観察での元素分析により求めた触媒量(質量%)をいうものとする。
【0011】
本発明のハニカムフィルタにおいて、前記触媒は、捕集された固体成分の燃焼を促進する触媒、前記流体に含まれる未燃焼ガスを酸化する触媒及び窒素化合物を分解する触媒のうち少なくとも1種以上であるものとしてもよい。こうすれば、触媒量を低減すると共に、流体に含まれる除去対象物質としての固体成分、未燃焼ガス及び窒素化合物のうちいずれかを浄化することができる。
【0012】
本発明のハニカムフィルタにおいて、前記捕集層は、気体を搬送媒体とし該捕集層の原料である無機材料を前記セルへ供給することにより形成されているものとしてもよい。こうすれば、気体による搬送を利用して、捕集層の厚さなど、捕集層の形成状態を比較的容易に制御することができる。
【0013】
本発明のハニカムフィルタにおいて、前記隔壁部は、コージェライト、SiC、ムライト、チタン酸アルミニウム、アルミナ、窒化珪素、サイアロン、リン酸ジルコニウム、ジルコニア、チタニア及びシリカから選択される1以上の無機材料を含んで形成されているものとしてもよい。また、前記捕集層は、コージェライト、SiC、ムライト、チタン酸アルミニウム、アルミナ、窒化珪素、サイアロン、リン酸ジルコニウム、ジルコニア、チタニア及びシリカから選択される1以上の無機材料を含んで形成されているものとしてもよい。
【0014】
本発明のハニカムフィルタは、前記隔壁部及び前記捕集層を有する2以上のハニカムセグメントが接合層によって接合されて形成されているものとしてもよい。こうすれば、接合層で接合することによりハニカムフィルタの機械的強度をより高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】ハニカムフィルタ20の構成の概略の一例を示す説明図である。
図2】SEM観察による捕集層の厚さの算出方法の説明図である。
図3】ハニカムフィルタ20のセル23に垂直な断面の説明図である。
図4】ハニカムフィルタ20Bのセル23に垂直な断面の説明図である。
図5】ハニカムフィルタ20の触媒量を求める測定点の一例の説明図である。
図6】ハニカムフィルタ20Bの触媒量を求める測定点の一例の説明図である。
図7】ハニカムフィルタ40の構成の概略の一例を示す説明図である。
図8】比較例1〜3及び実施例1〜3における比較例1を基準とした初期及び繰返後のNOx浄化率の測定結果である。
図9】比較例4〜6及び実施例4〜6における比較例4を基準とした初期及び繰返後のNOx浄化率の測定結果である。
図10】比較例7〜10及び実施例7〜10における比較例7,9を基準としたPM再生効率の測定結果である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明のハニカムフィルタの一実施形態を図面を用いて説明する。図1は、本発明の一実施形態であるハニカムフィルタ20の構成の概略の一例を示す説明図である。図2は、走査型電子顕微鏡(SEM)観察による捕集層の厚さの算出方法の説明図である。また、図3は、ハニカムフィルタ20のセル23に垂直な断面の説明図であり、図4は、ハニカムフィルタ20Bのセル23に垂直な断面の説明図である。図5は、ハニカムフィルタ20の触媒量を求める測定点の一例の説明図であり、図6は、ハニカムフィルタ20Bの触媒量を求める測定点の一例の説明図である。本実施形態のハニカムフィルタ20は、図1に示すように、隔壁部22を有する2以上のハニカムセグメント21が接合層27によって接合された形状を有し、その外周に外周保護部28が形成されている。このハニカムフィルタ20は、少なくとも一部に触媒が担持されており一方の端部が開口され且つ他方の端部が目封止部26により目封止され、流体としての排ガスの流路となる複数のセル23を形成する多孔質の隔壁部22と、少なくとも一部に触媒が担持されており、隔壁部22上に形成され流体に含まれる固体成分(PM)を捕集・除去する層である捕集層24と、を備えている。なお、図1には、ハニカムフィルタ20の外形が円柱状に形成され、ハニカムセグメント21の外形が矩形柱状に形成され、セル23が矩形状に形成されているものを一例として示す。このハニカムフィルタ20では、隔壁部22は、一方の端部が開口され且つ他方の端部が目封止されたセル23と一方の端部が目封止され且つ他方の端部が開口したセル23とが交互に配置されるよう形成されている。また、ハニカムフィルタ20では、入口側が開口しているセル23(入口側セルとも称する)へ入った排ガスが捕集層24及び隔壁部22を介して出口側が開口しているセル23(出口側セルとも称する)を通過して排出され、このとき、排ガスに含まれるPMが捕集層24上に捕集される。
【0017】
このハニカムフィルタ20の外形は、特に限定されないが、円柱状、四角柱状、楕円柱状、六角柱状などの形状とすることができる。ハニカムセグメント21の外形は、特に限定されないが、接合しやすい平面を有していることが好ましく、断面が多角形の角柱状(四角柱状、六角柱状など)の形状とすることができる。セルは、その断面の形状として3角形、4角形、6角形、8角形などの多角形の形状や円形、楕円形などの流線形状、及びそれらの組み合わせとすることができる。例えば、セル23は排ガスの流通方向に垂直な断面が4角形に形成されているものとしてもよい。
【0018】
ハニカムフィルタ20において、セルピッチは、1.0mm以上2.5mm以下とするのが好ましい。PM堆積時の圧力損失は、濾過面積が大きいほど小さい値を示す。一方、初期の圧力損失は、セル直径が小さいほど大きい値を示す。したがって、初期圧力損失、PM堆積時の圧力損失、PMの捕集効率のトレードオフを考慮して、セルピッチ、セル密度や隔壁部22の厚さを設定するものとすればよい。
【0019】
隔壁部22は、多孔質であり、例えば、コージェライト、Si結合SiC、再結晶SiC、チタン酸アルミニウム、ムライト、窒化珪素、サイアロン、リン酸ジルコニウム、ジルコニア、チタニア、アルミナ及びシリカから選択される1以上の無機材料を含んで形成されているものとしてもよい。このうち、コージェライトやSi結合SiC、再結晶SiCなどが好ましい。隔壁部22は、その気孔率が30体積%以上85体積%以下であることが好ましく、35体積%以上65体積%以下であることがより好ましい。この気孔率は、水銀圧入法により測定した結果をいう。この隔壁部22は、その平均細孔径が10μm以上60μm以下の範囲であることが好ましい。この平均細孔径は、水銀圧入法により測定した結果をいう。また、隔壁部22は、その厚さが150μm以上600μm以下であることが好ましく、200μm以上400μm以下であることがより好ましい。厚さが150μm以上であれば、機械的強度を高めることができ、600μm以下であれば、圧力損失をより低減することができる。このような気孔率、平均細孔径、厚さで隔壁部22を形成すると、排ガスが通過しやすく、PMを捕集・除去しやすい。
【0020】
捕集層24は、排ガスに含まれるPMを捕集・除去する層であり、隔壁部22の平均細孔径よりも小さい平均粒径で構成された粒子群により隔壁部22上に形成されているものとしてもよい。捕集層24は、平均細孔径が、0.2μm以上10μm以下であることが好ましく、気孔率が40体積%以上95体積%以下であることが好ましく、捕集層を構成する粒子の平均粒径が0.5μm以上15μm以下であることが好ましい。平均細孔径が0.2μm以上であればPMが堆積していない初期の圧力損失が過大になるのを抑制することができ、10μm以下であれば捕集効率が良好なものとなり、捕集層24を通り抜け隔壁部22の細孔内部にPMが到達するのを抑制可能であり、PM堆積時の圧力損失低減効果の低下を抑制することができる。また、気孔率が40体積%以上であると、PMが堆積していない初期の圧力損失が過大となるのを抑制することができ、95体積%以下では耐久性のある捕集層24としての表層を作製することができる。また、捕集層を構成する粒子の平均粒径が0.5μm以上であれば捕集層を構成する粒子の粒子間の空間のサイズを十分に確保可能であるため捕集層の透過性を維持でき急激な圧力損失の上昇を抑制することができ、15μm以下であれば粒子同士の接触点が十分に存在するから粒子間の結合強度を十分に確保可能であり捕集層の剥離強度を確保することができる。このように、良好なPM捕集効率の維持、PM捕集開始直後の急激な圧力損失上昇防止、PM堆積時の圧力損失低減、捕集層の耐久性を実現することができる。この捕集層24の平均厚さは、10μm以上80μm以下であることが好ましい。捕集層の厚さが10μm以上ではPMを捕集しやすく、80μm以下では流体が隔壁を通過する抵抗をより低減可能であり、圧力損失をより低減することができる。この捕集層の平均厚さは、20μm以上60μm以下であることがより好ましく、30μm以上50μm以下であることが更に好ましい。この捕集層24は、排ガスの入口側セル及び出口側セルの隔壁部22に形成されているものとしてもよいが、図1に示すように、入口側セルの隔壁部22上に形成されており、出口側セルには形成されていないものとするのが好ましい。こうすれば、より圧力損失を低減して流体に含まれているPMをより効率よく除去することができる。また、ハニカムフィルタ20の作製が容易となる。この捕集層24は、コージェライト、SiC、ムライト、チタン酸アルミニウム、アルミナ、窒化珪素、サイアロン、リン酸ジルコニウム、ジルコニア、チタニア及びシリカから選択される1以上の無機材料を含んで形成されているものとしてもよい。このとき、捕集層24は、隔壁部22と同種の材料により形成されているものとすることが好ましい。また、捕集層24は、セラミック又は金属の無機繊維を70重量%以上含有しているものとするのがより好ましい。こうすれば、繊維質によりPMを捕集しやすい。また、捕集層24は、無機繊維がアルミノシリケート、アルミナ、シリカ、ジルコニア、セリア及びムライトから選択される1以上の材料を含んで形成されているものとすることができる。なお、捕集層24の粒子群の平均粒径は、走査型電子顕微鏡(SEM)で捕集層24を観察し、撮影した画像に含まれる捕集層24の各粒子を計測して求めた平均値をいうものとする。また、原料粒子における平均粒径は、レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置を用い、水を分散媒として原料粒子を測定したメディアン径(D50)をいうものとする。
【0021】
次に、捕集層24の厚さなどの測定方法について説明する。まず、捕集層24の厚さの測定方法について図2を用いて説明する。捕集層24の厚さ、換言すると捕集層を構成する粒子群の厚さは、以下のようにして求めるものとする。ここでは、ハニカムフィルタ20の隔壁基材を樹脂埋めした後に研磨した観察用試料を用意し、走査型電子顕微鏡(SEM)観察を行い得られた画像を解析することによって捕集層の厚さを求める。まず、流体の流通方向に垂直な断面を観察面とするように切断・研磨した観察用試料を用意する。次に、SEMの倍率を100倍〜500倍に設定し、後述する測定位置において、視野をおよそ500μm×500μmの範囲として用意した観察用試料の観察面を撮影する。次に、撮影した画像において、隔壁の最外輪郭線を仮想的に描画する。この隔壁の最外輪郭線とは、隔壁の輪郭を示す線であって、隔壁表面(照射面、図2上段参照)に対して垂直の方向からこの隔壁表面に仮想平行光を照射したものとしたときに得られる投影線をいうものとする(図2中段参照)。即ち、隔壁の最外輪郭線は、光が当たっているものとする高さの異なる複数の隔壁上面の線分と、隣り合う高さの異なる隔壁上面の線分の各々をつなぐ垂線とにより形成される。この隔壁上面の線分は、例えば、100μmの長さの線分に対して5μmの長さ以下の凹凸については無視する「5%解像度」により描画するものとし、水平方向の線分が細かくなりすぎないようにするものとする。また、隔壁の最外輪郭線を描画する際には、捕集層の存在については無視するものとする。続いて、隔壁の最外輪郭線と同様に、捕集層を形成する粒子群の最外輪郭線を仮想的に描画する。この粒子群の最外輪郭線とは、捕集層の輪郭を示す線であって、捕集層表面(照射面、図6上段参照)に対して垂直の方向からこの捕集層表面に仮想平行光を照射したものとしたときに得られる投影線をいうものとする(図2中段参照)。即ち、粒子群の最外輪郭線は、光が当たっているものとする高さの異なる複数の粒子群上面の線分と、隣り合う高さの異なる粒子群上面の線分の各々をつなぐ垂線とにより形成される。この粒子群上面の線分は、例えば、上記隔壁と同じ「解像度」により描画するものとする。多孔性の高い捕集層では、樹脂埋めして研磨して観察用試料を作製すると、空中に浮いているように観察される粒子群もあることから、このように仮想光の照射による投影線を用いて最外輪郭線を描画するのである。続いて、描画した隔壁の最外輪郭線の上面線分の各々の高さ及び長さに基づいて隔壁の最外輪郭線の平均線である隔壁の標準基準線を求める(図2下段参照)。また、隔壁の標準基準線と同様に、描画した粒子群の最外輪郭線の上面線分の各々の高さ及び長さに基づいて粒子群の最外輪郭線の平均線である粒子群の平均高さを求める(図2下段参照)。そして、得られた粒子群の平均高さと隔壁の標準基準線との差をとり、この差(長さ)を、この撮影画像における捕集層の厚さ(粒子群の厚さ)とする。このようにして、捕集層の厚さを求めることができる。なお、複数の測定点で測定した捕集層の厚さを平均し、捕集層の平均厚さとしてもよい。
【0022】
また、捕集層24の平均細孔径及び気孔率は、SEM観察による画像解析によって求めるものとする。上述した捕集層の厚さと同様に、図2に示すように、ハニカムフィルタ20の断面をSEM撮影して画像を得る。次に、隔壁の最外輪郭線と粒子群の最外輪郭線との間に形成される領域を捕集層の占める領域(捕集層領域)とし、この捕集層領域のうち、粒子群の存在する領域を「粒子群領域」とすると共に、粒子群の存在しない領域を「捕集層の気孔領域」とする。そして、この捕集層領域の面積(捕集層面積)と、粒子群領域の面積(粒子群面積)とを求める。そして、粒子群面積を捕集層面積で除算し100を乗算することにより、得られた値を捕集層の気孔率とする。また、「捕集層の気孔領域」において、粒子群及び隔壁の最外輪郭線と粒子群の外周とに内接する内接円を直径が最大になるように描く処理を行う。このとき、例えばアスペクト比の大きい長方形の気孔領域など、1つの「捕集層の気孔領域」に複数の内接円を描くことができるときには、気孔領域が十分に埋められるように、できるだけ大きい内接円を複数描くものとする。そして、観察した画像範囲において、描いた内接円の直径の平均値を捕集層の平均細孔径とするものとする。このようにして、捕集層24の平均細孔径及び気孔率を求めることができる。
【0023】
捕集層24の形成方法は、気体(空気)を捕集層の原料の搬送媒体とし、捕集層の原料を含む気体を入口セルへ供給するものとしてもよい。こうすれば、捕集層を構成する粒子群がより粗に形成されるため、極めて高い気孔率の捕集層を作製することができ、好ましい。捕集層の原料は、例えば、無機繊維や無機粒子を用いてもよい。あるいは、無機繊維は上述したものを用いることができ、例えば平均粒径が0.5μm以上8μm以下、平均長さが100μm以上500μm以下であるものが好ましい。無機粒子としては、上述した無機材料の粒子を用いることができる。例えば、平均粒径が0.5μm以上15μm以下のSiC粒子やコージェライト粒子を用いることができる。この捕集層の原料は、隔壁部22の平均細孔径よりも小さい平均粒径を有することが好ましい。このとき、隔壁部22と捕集層24との無機材料を同じ材質とすることが好ましい。また、無機粒子を含む気体を流入させる際に、気体の出口側を吸引することが好ましい。また、捕集層24の形成において、無機繊維や無機粒子と共に結合材も供給してもよい。結合材としてはゾル材料、コロイド材料から選択でき特にコロイダルシリカを用いることが好ましい。無機粒子はシリカにより被覆されており且つ無機粒子同士、及び無機粒子と隔壁部の材料とがシリカにより結合されていることが好ましい。例えば、コージェライトやチタン酸アルミニウムなどの酸化物材料の場合には、無機粒子同士、及び無機粒子と隔壁部の材料とが焼結により結合されているのが好ましい。捕集層24は、隔壁部22上に原料の層を形成したあと、熱処理を行い結合することが好ましい。熱処理での温度としては、例えば650℃以上1350℃以下の温度とするのが好ましい。熱処理温度が650℃以上では十分な結合力を確保することができ、1350℃以下であると過度な粒子の酸化による細孔の閉塞を抑制することができる。なお、捕集層24の形成方法は、例えば、捕集層24の原料になる無機粒子を含むスラリーを用いてセル23の表面に形成するものとしてもよい。
【0024】
ハニカムフィルタ20において、図3に示すように、複数の隔壁部22が交差する部分を隔壁交差部32と称し、隔壁部22の中央部分を含む部分を隔壁中央部34と称する。また、セル23のコーナー部(隔壁交差部32の近傍)に形成されている捕集層24を捕集層コーナー部36と称し、隔壁中央部34上に形成された捕集層24を捕集層中央部38と称する。ここで、隔壁交差部32や捕集層コーナー部36の定義について図3〜6を用いて説明する。まず、排ガスの流通方向に垂直な断面をSEMで観察する。この画像において、例えば図3のように、入口側セルの中心11同士を結ぶ線である中心線12と、出口側セルの中心13同士を結ぶ線である中心線14とを描画する。隔壁部22が交差する領域において、この中心線12,14と各セルのコーナー部とが交差する交差点15を求め、隣り合う交差点15同士を線で結び、四角形を形成する。この四角形に内接する円を描き、この領域を「隔壁交差部」とする。また、図4に示すように、出口側セルよりも入口側セルの開口面積が大きいハニカムフィルタ20Bにおいても、上述と同様に隔壁交差部32B及び隔壁中央部34Bを規定することができる。排ガスは、入口セルから出口セルへ透過することから、上記四角形は排ガスの透過初期段階において排ガスが透過しにくい範囲を示している。その後、隔壁中央部へPMが堆積すると隔壁中央部に排ガスが透過しにくくなり、隔壁交差部に透過するようになる。次に、捕集層コーナー部36について、隔壁部22が交差する領域において、中心線12,13と、入口側セル及び出口側セルのコーナー部に形成される捕集層角部と交差する交差点16を求め、隣り合う交差点16同士を線で結び、四角形を形成する。ここで得られる四角形と入口セルコーナー部に形成される捕集層とが重なる扇形の領域を「捕集層コーナー部」とする。また、図4に示すように、出口側セルよりも入口側セルの開口面積が大きいハニカムフィルタ20Bにおいても、上述と同様に捕集層コーナー部36B及び捕集層中央部38Bを規定することができる。排ガスは、入口側セルから出口側セルに透過することから、この扇形領域は排ガスの透過初期段階において排ガスが透過しにくい範囲を示す。堆積したPMを燃焼除去する再生処理時には、捕集層中央部上に堆積したPMから燃焼が始まり、捕集層コーナー部上に堆積するPMの一部はその燃焼を熱源とし燃焼する。この熱源分に相当する触媒量を低減可能である。
【0025】
接合層27は、ハニカムセグメント21を接合する層であり、無機粒子、無機繊維及び結合材などを含むものとしてもよい。無機粒子は、上述した無機材料の粒子とすることができ、その平均粒径は0.1μm以上30μm以下であることが好ましい。無機繊維は、上述したものとしてもよく、例えば平均粒径が0.5μm以上8μm以下、平均長さが100μm以上500μm以下であることが好ましい。結合材としてはコロイダルシリカや粘土などとすることができる。接合層27は、0.5mm以上2mm以下の範囲で形成されていることが好ましい。なお、平均粒径は、レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置を用い、水を分散媒として測定したメディアン径(D50)をいうものとする。外周保護部28は、ハニカムフィルタ20の外周を保護する層であり、上述した無機粒子、無機繊維及び結合材などを含むものとしてもよい。
【0026】
ハニカムフィルタ20において、40℃〜800℃におけるセル23の通過孔方向の熱膨張係数は、6.0×10-6/℃以下であることが好ましく、1.0×10-6/℃以下であることがより好ましく、0.8×10-6/℃以下であることが更に好ましい。この熱膨張係数が6.0×10-6/℃以下であると、高温の排気に晒された際に発生する熱応力を許容範囲内に抑えることができる。
【0027】
ハニカムフィルタ20において、隔壁部22や捕集層24は、触媒を担持している。この触媒は、捕集されたPMの燃焼を促進する触媒、排ガスに含まれる未燃焼ガス(HCやCOなど)を酸化する触媒及びNOxを吸蔵/吸着/分解する触媒のうち少なくとも1種以上としてもよい。こうすれば、PMを効率よく除去することや未燃焼ガスを効率よく酸化することやNOxを効率よく分解することなどができる。この触媒としては、例えば、貴金属元素、遷移金属元素を1種以上含むものとするのがより好ましい。また、ハニカムフィルタ20では、他の触媒や浄化材が担持されていてもよい。例えば、アルカリ金属(Li、Na、K、Cs等)やアルカリ土類金属(Ca、Ba、Sr等)などを含むNOx吸蔵触媒、少なくとも1種の希土類金属、遷移金属、三元触媒、セリウム(Ce)及び/又はジルコニウム(Zr)の酸化物に代表される助触媒、HC(Hydro Carbon)吸着材等が挙げられる。具体的には、貴金属としては、例えば、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)や、金(Au)及び銀(Ag)などが挙げられる。触媒に含まれる遷移金属としては、例えば、Mn,Fe,Co,Ni,Cu,Zn,Sc,Ti,V,Cr等が挙げられる。また、希土類金属としては、例えば、Sm,Gd,Nd,Y,La,Pr等が挙げられる。また、アルカリ土類金属としては、例えば、Mg,Ca,Sr,Ba等が挙げられる。このうち、白金及びパラジウムがより好ましい。また、貴金属及び遷移金属、助触媒などは、比表面積の大きな担体に担持してもよい。担体としては、例えば、アルミナ、シリカ、シリカアルミナ、ゼオライトなどを用いることができる。PMの燃焼を促進する触媒を有するものとすれば、捕集層24上に捕集されたPMをより容易に除去することができるし、未燃焼ガスを酸化する触媒やNOxを分解する触媒を有するものとすれば、排ガスをより浄化することができる。
【0028】
ハニカムフィルタ20は、隔壁交差部32における電子顕微鏡観察での元素分析による元素割合(質量%)の触媒量Aが、隔壁中央部34における電子顕微鏡観察での元素分析による元素割合(質量%)の触媒量Bに比して小さくなるよう触媒が隔壁部22及び捕集層24に担持されている。なお、「触媒量」は、ハニカムフィルタ20の体積あたりの触媒量をいうものとしてもよい。この「触媒量」は、触媒量Aと触媒量Bとの相対関係が把握できればよく、具体的な触媒成分、例えばPtやPdなどの貴金属元素の量を直接電子顕微鏡観察での元素分析により求めた量としてもよいし、例えばアルミナなど貴金属元素が担持される触媒担体を電子顕微鏡観察での元素分析により求めた量を間接的に貴金属元素の量の代わりに用いるものとしてもよい。なお、触媒担体(例えばアルミナ)と同じ元素が隔壁の構成元素である場合は、触媒成分(貴金属など)の測定結果を用いて、触媒量Aと触媒量Bとの相対関係を求めるものとすればよい。この触媒量Bに対する触媒量Aの割合A/Bは、0.30以上0.90以下の範囲となるよう触媒が担持されているものとし、0.60以上.90以下の範囲が好ましく、0.75以上0.85以下の範囲がより好ましい。この割合が0.30以上では、隔壁中央部34に排ガスが流れにくくなり隔壁交差部32へ排ガスが流れやすくなったときに、この隔壁交差部32の触媒によって除去対象物質を効率よく除去することができる。また、この割合が0.90以下では、触媒量を効果的に低減することができる。また、ハニカムフィルタ20は、捕集層コーナー部36における電子顕微鏡観察での元素分析による元素割合(質量%)の触媒量Cが、捕集層中央部38における電子顕微鏡観察での元素分析による元素割合(質量%)の触媒量Dに比して小さくなるよう触媒が担持されていることが好ましい。こうすれば、捕集層24の角部及び中央部をも含めて触媒を低減すると共に、流体に含まれている除去対象物質をより効率的に除去することができる。このとき、触媒量Dに対する触媒量Cの割合C/Dが0.80以上0.95以下の範囲となるよう触媒が担持されていることが好ましく、0.85以上0.90以下の範囲とするのがより好ましい。この割合が0.80以上では、捕集層中央部38に流体が流れにくくなり捕集層コーナー部36へ流体が流れやすくなったときに、捕集層コーナー部36の触媒によって除去対象物質を効率よく除去することができる。また、この割合が0.95以下では、触媒量を効果的に低減することができる。
【0029】
ハニカムフィルタ20の触媒量の分布は、例えば、触媒成分を含む溶液と、隔壁部22及び捕集層24の各部分との接触時間などにより調整することができる。例えば、一方のセル23(例えば入口側)から触媒成分を含む溶液を供給し、他方のセル23(例えば出口側)から吸引することにより、隔壁中央部34や捕集層中央部38へより多くの触媒を接触させるものとしてもよい。また、接触時間を短くするなどして、隔壁交差部32や捕集層コーナー部36での触媒の接触をより少なくするものとしてもよい。この触媒量の分布調整は、触媒成分の濃度や接触時間と、各部分に担持された触媒量との関係を経験的に求め、求めた条件に基づいて行うものとしてもよい。触媒量の求め方について説明する。各部分に担持された触媒量は、ハニカムフィルタ20の径方向の断面の隔壁交差部32、隔壁中央部34、捕集層コーナー部36及び捕集層中央部38のSEM観察を行い、エネルギー分散型X線分析装置(EDX:Energy Dispersive X-ray Detector)、又は電子プローブマイクロアナライザー(EPMA:Electron Probe Micro Analyzer)により元素分布を測定することにより求めるものとする。SEM観察における倍率は、鮮明な画像が得られるものとすればよく、例えば100倍以上1000倍以下とすることができる。EDXの計測では、観察視野におけるスキャン計測を行い、得られた値(質量%)をその計測領域における濃度とする。例えば、コートされている触媒における触媒担体(例えばアルミナ)の質量%をその計測領域における濃度とし、隔壁中央部に対する隔壁交差部の触媒担体の質量%の比を求めるものとしてもよい。あるいは、触媒成分(Ptなど)が直接測定可能であれば、コートされている触媒における触媒成分(例えばPt)の質量%をその計測領域における濃度とし、隔壁中央部に対する隔壁交差部の触媒濃度の質量%の比を求めるものとしてもよい。また、触媒量の測定点は、図5,6に示すように、隔壁交差部32は入口側セルの対角線に沿って3点、隔壁中央部34は隔壁に平行に3点、捕集層コーナー部36はコーナーに沿って3点、捕集層中央部38は捕集層に沿って3点で測定し、平均して求めるものとする。また、流路方向における触媒量は、ハニカムセグメント21が接合されたハニカムフィルタにおいては、ハニカムセグメントの上流、中流、下流の触媒量を求め、更にハニカムフィルタとして全体を平均して求めるものとする。上流の触媒量は、上流側端面から流路方向の全長の20%の部位での断面の中央部、外周部の9点を測定し、これらの平均値とする。同様に、中流の触媒量は、上流側端面から流路方向の全長の50%の部位での断面の中央部、外周部の9点を測定し、これらの平均値とする。下流の触媒量は、下流側端面から流路方向の全長の20%の部位での断面の中央部、外周部の9点を測定し、これらの平均値とする。なお、一体構造のハニカムフィルタでは、ハニカムフィルタの上流、中流、下流の触媒量を、それぞれ中央部、外周部の9点を測定し、これらの触媒量を平均して求めるものとした。各測定部位(隔壁交差部での触媒量A,隔壁中央部での触媒量B,捕集層コーナー部での触媒量C,捕集層中央部での触媒量D)における相対的な濃度差は上記質量%の比にて算出するものとする。
【0030】
以上説明した実施形態のハニカムフィルタによれば、排ガスの流れにくい隔壁交差部32では触媒量を抑える一方、排ガスの流れやすい隔壁中央部34には触媒量を多くして排ガスに含まれる除去対象物質(例えば、NOxやPMなど)の除去を図る。また、複数の隔壁部が交差する部分である隔壁交差部では、隔壁中央部に比して透過抵抗が高く、流体が流れにくいと考えられる。このため、流体の流れにくい隔壁交差部では触媒量を抑えることができる。その一方、流体に含まれる固体成分を捕集すると、隔壁中央部での透過抵抗が増加し、隔壁交差部にも流体が流通するようになることから、隔壁交差部にも触媒が存在する必要がある。ここでは、隔壁交差部での触媒量を隔壁中央部の触媒量との関係で好適な範囲とすることにより、触媒量の低減と流体の浄化とを両立するのである。また、隔壁部に設けられた捕集層により、PMの隔壁内部への侵入を抑制可能であり触媒劣化を考慮して過剰の触媒を担持させることなどを抑制することができ、排ガスの浄化性能を維持しつつ、触媒担持量をより低減することができる。したがって、触媒量を低減すると共に、排ガスに含まれている除去対象物質をより効率的に除去することができる。
【0031】
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【0032】
例えば、上述した実施形態では、ハニカムセグメント21を接合層27により接合したハニカムフィルタ20としたが、図7に示すように、一体成形されたハニカムフィルタ40としてもよい。ハニカムフィルタ40において、隔壁部42、セル43、捕集層44及び目封止部46や触媒量などは、ハニカムフィルタ20の隔壁部22、セル23、捕集層24及び目封止部26と同様の構成とすることができる。こうしても、触媒量を低減すると共に、排ガスに含まれている除去対象物質をより効率的に除去することができる。
【0033】
上述した実施形態では、ハニカムフィルタ20には、PMの燃焼を促進する触媒、排ガスに含まれる未燃焼ガスを酸化する触媒及び排ガスに含まれるNOxを分解する触媒のうちいずれかを担持するものとしたが、流体に含まれる除去対象物質を浄化処理可能なものであれば特にこれに限定されない。
【実施例】
【0034】
以下には、ハニカムフィルタを具体的に製造した例を実施例として説明する。ここでは、複数のハニカムセグメントを接合した構造のハニカムフィルタを作製した。
【0035】
[ハニカムフィルタの作製]
SiC粉末及び金属Si粉末を80:20の質量割合で混合し、これにメチルセルロース及びヒドロキシプロポキシルメチルセルロース、界面活性剤及び水を添加して混練し、可塑性の坏土を得、所定の金型を用いて坏土を押出成形し、所望形状のハニカムセグメント成形体を成形した。ここでは、隔壁部の厚さが0.30mm、セルピッチが1.47mm、断面の一辺が35mm、長さが203.2mmの形状に成形した。次に、得られたハニカムセグメント成形体をマイクロ波により乾燥させ、更に熱風にて乾燥させた後、目封止をして、酸化雰囲気において550℃、3時間で仮焼きした後に、不活性雰囲気下にて1400℃、2時間の条件で本焼成を行った。目封止部の形成は、セグメント成形体の一方の端面のセル開口部に交互にマスクを施し、マスクした端面をSiC原料を含有する目封止スラリーに浸漬し、開口部と目封止部とが交互に配設されるように行った。また、他方の端面にも同様にマスクを施し、一方が開口し他方が目封止されたセルと一方が目封止され他方が開口したセルとが交互に配設されるように目封止部を形成した。得られたハニカムセグメント焼成体の排ガス流入側の開口端部より、隔壁の平均細孔径よりも小さい平均粒径を有するSiC粒子を含む空気を流入させ、且つハニカムセグメントの流出側より吸引しながら、排ガス流入側の隔壁の表層に堆積させた。次に、大気雰囲気下にて1300℃、2時間の条件の熱処理により、隔壁の表層に堆積させたSiC粒子同士、及び堆積させたSiC粒子と隔壁を構成するSiC及びSi粒子と結合させた。このように、隔壁部上に捕集層を形成したハニカムセグメントを作製した。このようにして得られたハニカムセグメントの側面に、アルミナシリケートファイバ、コロイダルシリカ、ポリビニルアルコール、炭化珪素、および水を混練してなる接合用スラリーを塗布し、互いに組み付けて圧着した後、加熱乾燥して、全体形状が四角形状のハニカムセグメント接合体を得た。さらに、そのハニカムセグメント接合体を、円柱形状に研削加工した後、その周囲を、接合用スラリーと同等の材料からなる外周コート用スラリーで被覆し、乾燥により硬化させることにより所望の形状、セグメント形状、セル構造を有する円柱形状のハニカム構造体を得た。ここでは、ハニカムフィルタは、断面の直径が228.6mm、長さが203.2mmの形状とした。また、後述する実施例1〜10及び比較例1〜10の隔壁部の気孔率は40体積%であり、平均細孔径は15μmであり、捕集層を形成する粒子の平均粒径は2.0μmであった。なお、隔壁部の気孔率及び平均細孔径は水銀ポロシメータ(Micromeritics社製Auto PoreIII型式9405)を用いて測定した。また、捕集層の原料粒子の平均粒径は、レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置(堀場製作所社製LA−910)を用い、水を分散媒として測定したメディアン径(D50)である。
【0036】
[触媒担持]
まず、重量比でアルミナ:白金:セリア系材料=7:0.5:2.5とし、セリア系材料を重量比でCe:Zr:Pr:Y:Mn=60:20:10:5:5とした原料を混合し、溶媒を水とした触媒のスラリーを調製した。次に、ハニカム構造体の出口端面(排ガスが流出する側)を所定の高さまで浸漬させ、入口端面(排ガスが流入する側)より、所定の吸引圧力と吸引流量に調整しながら所定時間に亘って吸引し、隔壁に触媒を担持し、120℃2時間で乾燥させた後、550℃1時間で焼付けを行った。隔壁中央部は上記吸引によって触媒がコートされるが、隔壁交差部32は吸引後、時間を置くことで毛細管現象により触媒が染み込みコートされる。したがって、この吸引後の放置時間を制御することで、後述する実施例及び比較例の担持量となるように隔壁交差部及び捕集層コーナー部の触媒量を制御した。
【0037】
(比較例1)
上記ハニカムフィルタの作製及び触媒担持において、捕集層を形成する工程を行わず(捕集層を形成せず)、壁厚さを0.30mm、セルピッチを1.47mmとし、ハニカムフィルタの全体に、ハニカムフィルタの単位体積当たりの触媒量で200g/Lとなるように触媒担持を行い、得られたハニカムフィルタを比較例1とした。この比較例1の隔壁交差部の触媒量A及び隔壁中央部の触媒量Bを100%として、他のサンプル(実施例1〜3、比較例2,3)の触媒担持量を以下、相対的に調整した。
【0038】
(比較例2,3)
上記ハニカムフィルタの作製及び触媒担持において、捕集層を形成し、壁厚さを0.30mm、セルピッチを1.47mmとし、比較例1を100%としたときに隔壁交差部の触媒量Aが100%となり、且つ比較例1を100%としたときに隔壁中央部の触媒量Bが100%になるように触媒担持を行い、得られたハニカムフィルタを比較例2とした。また、捕集層を形成し、壁厚さを0.30mm、セルピッチを1.47mmとし、比較例1を100%としたときに隔壁交差部の触媒量Aが27%となり、且つ比較例1を100%としたときに隔壁中央部の触媒量Bが100%になるように触媒担持を行い、得られたハニカムフィルタを比較例3とした。
【0039】
(実施例1〜3)
上記ハニカムフィルタの作製及び触媒担持において、捕集層を形成し、隔壁厚さを0.30mm、セルピッチを1.47mmとし、比較例1を100%としたときに隔壁交差部の触媒量Aがそれぞれ90%、61%及び30%となり、且つ比較例1を100%としたときに隔壁中央部の触媒量Bがすべて100%となるように触媒担持を行い、得られたハニカムフィルタをそれぞれ実施例1〜3とした。
【0040】
(比較例4)
上記ハニカムフィルタの作製及び触媒担持において、捕集層を形成する工程を行わず(捕集層を形成せず)、壁厚さを0.43mm、セルピッチを1.80mmとし、ハニカムフィルタの全体に、ハニカムフィルタの単位体積当たりの触媒量で200g/Lとなるように触媒担持を行い、得られたハニカムフィルタを比較例4とした。この比較例4の隔壁交差部の触媒量A及び隔壁中央部の触媒量Bを100%として、他のサンプル(実施例4〜6、比較例5,6)の触媒担持量を以下、相対的に調整した。
【0041】
(比較例5,6)
上記ハニカムフィルタの作製及び触媒担持において、捕集層を形成し、壁厚さを0.43mm、セルピッチを1.80mmとし、比較例4を100%としたときに隔壁交差部の触媒量Aが100%となり、且つ比較例1を100%としたときに隔壁中央部の触媒量Bが100%になるように触媒担持を行い、得られたハニカムフィルタを比較例5とした。また、捕集層を形成し、比較例4を100%としたときに隔壁交差部の触媒量Aが26%となり、且つ比較例1を100%としたときに隔壁中央部の触媒量Bが100%になるように触媒担持を行い、得られたハニカムフィルタを比較例6とした。
【0042】
(実施例4〜6)
上記ハニカムフィルタの作製及び触媒担持において、捕集層を形成し、隔壁厚さを0.43mm、セルピッチを1.80mmとし、比較例4を100%としたときに隔壁交差部の触媒量Aがそれぞれ90%、60%及び31%となり、且つ比較例1を100%としたときに隔壁中央部の触媒量Bがすべて100%となるように触媒担持を行い、得られたハニカムフィルタをそれぞれ実施例4〜6とした。
【0043】
(比較例7,8)
上記ハニカムフィルタの作製及び触媒担持において、捕集層を形成し、壁厚さを0.30mm、セルピッチを1.47mmとし、ハニカムフィルタの全体に、ハニカムフィルタの単位体積当たりの触媒量で25g/Lとなるように触媒担持を行い、得られたハニカムフィルタを比較例7とした。この比較例7の捕集層コーナー部の触媒量C及び捕集層中央部の触媒量Dを100%として、他のサンプル(実施例7,8、比較例8)の触媒担持量を以下、相対的に調整した。上記ハニカムフィルタの作製及び触媒担持において、捕集層を形成し、壁厚さを0.30mm、セルピッチを1.47mmとし、比較例7を100%としたときに捕集層コーナー部の触媒量Cが78%となり、且つ比較例7を100%としたときに捕集層中央部の触媒量Dが100%になるように触媒担持を行い、得られたハニカムフィルタを比較例8とした。
【0044】
(実施例7,8)
上記ハニカムフィルタの作製及び触媒担持において、捕集層を形成し、隔壁厚さを0.30mm、セルピッチを1.47mmとし、比較例7を100%としたときに捕集層コーナー部の触媒量Cがそれぞれ95%及び80%となり、且つ比較例7を100%としたときに捕集層中央部の触媒量Dがすべて100%となるように触媒担持を行い、得られたハニカムフィルタをそれぞれ実施例7,8とした。
【0045】
(比較例9,10)
上記ハニカムフィルタの作製及び触媒担持において、捕集層を形成し、壁厚さを0.43mm、セルピッチを1.80mmとし、ハニカムフィルタの全体に、ハニカムフィルタの単位体積当たりの触媒量で25g/Lとなるように触媒担持を行い、得られたハニカムフィルタを比較例9とした。この比較例9の捕集層コーナー部の触媒量C及び捕集層中央部の触媒量Dを100%として、他のサンプル(実施例9〜10、比較例10)の触媒担持量を以下、相対的に調整した。上記ハニカムフィルタの作製及び触媒担持において、捕集層を形成し、壁厚さを0.43mm、セルピッチを1.80mmとし、比較例9を100%としたときに捕集層コーナー部の触媒量Cが77%となり、且つ比較例7を100%としたときに捕集層中央部の触媒量Dが100%になるように触媒担持を行い、得られたハニカムフィルタを比較例10とした。
【0046】
(実施例9,10)
上記ハニカムフィルタの作製及び触媒担持において、捕集層を形成し、隔壁厚さを0.43mm、セルピッチを1.80mmとし、比較例9を100%としたときに捕集層コーナー部の触媒量Cがそれぞれ95%及び81%となり、且つ比較例9を100%としたときに捕集層中央部の触媒量Dがすべて100%となるように触媒担持を行い、得られたハニカムフィルタをそれぞれ実施例9,10とした。
【0047】
(実施例11)
上記ハニカムフィルタの作製及び触媒担持において、捕集層を形成し、隔壁厚さを0.30mm、セルピッチを1.47mmとし、比較例1を100%としたときに隔壁交差部の触媒量Aが61%となり、且つ比較例1を100%としたときに隔壁中央部の触媒量Bが100%となるように触媒担持を行った。また、比較例7を100%としたときに捕集層コーナー部の触媒量Cが80%となり、且つ比較例7を100%としたときに捕集層中央部の触媒量Dが100%となるように触媒担持を行い、得られたハニカムフィルタを実施例11とした。
【0048】
(触媒量測定)
作製したハニカムフィルタのハニカムセグメントの上流、中流、下流において、径方向の断面の隔壁交差部、隔壁中央部、セルコーナー部及び捕集層中央部のSEM観察を走査型電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ社製S−3200N)を用いて行い、エネルギー分散型X線分析装置(EDX:Energy Dispersive X-ray Detector、堀場製作所製EMAX−5770W)により元素分布を測定した。試料は、スペシフィックスエポキシ系樹脂(ストルアス社製)とスペシフィックス−20硬化剤(ストルアス社製)とを混合して硬化させ、観察面を研磨し、樹脂埋めした状態で観察した。また、上述した各測定箇所にてSEM観察における倍率は150倍とし、撮影した画像を画像解析ソフト(メディアサイバネスティクス社製イメージプロプラス)を用いて解析し、貴金属担体であるアルミナの濃度を用いて間接的に触媒量を求めた。ここでは、ハニカムフィルタがSiCを主成分としているため、触媒担体であるAl濃度を測定しやすいことから、この触媒担体であるAl濃度を用いてこれを触媒量とした。
【0049】
(NOx浄化率測定)
ディーゼルエンジン(8L/6気筒)を備えた尿素SCRシステムを用いてNOx浄化率の評価を行った。実施例1〜6及び比較例1〜6のハニカムフィルタへ排ガスとNOx浄化に必要な尿素を流通させ、ハニカムフィルタの前段及び後段のNOx量を測定し、NOx浄化率を算出した。このNOx浄化率は、実施例1〜3及び比較例2,3では捕集層を備えず触媒量を低減していない比較例1を基準(100%)とした相対値として算出し、実施例4〜6及び比較例5,6では捕集層を備えず触媒量を低減していない比較例4を基準(100%)とした相対値で算出した(後述表1参照)。NOx浄化率測定は、測温位置をハニカムフィルタの入口端面から20mm手前としたときの排ガス温度を250℃とし、排ガス流量を380kg/h、NOx/NH3当量比が1.0となる条件で行った。また、NOx浄化率測定は、PMを堆積する前に測定すると共に、後述のPM再生処理を400回繰り返したのち測定した。このPM堆積前の値をNOx浄化率初期%とし、繰り返し後の値をNOx浄化率繰返後%とした。
【0050】
(PM再生効率測定)
ディーゼルエンジン(8L/6気筒)を用いてPM再生効率の評価を行った。実施例11〜20及び比較例3〜4のハニカムフィルタにPMを堆積させ、その後、高温の排ガスを流通させることによりハニカムフィルタに堆積したPMを燃焼させた(再生処理)。PM再生処理前とPM再生処理後のハニカムフィルタの重量を測定し、PM再生効率を算出した。このPM再生効率は、実施例7,8及び比較例8では触媒量を低減していない比較例7を基準(100%)とした相対値で算出し、実施例9,10及び比較例10では触媒量を低減していない比較例9を基準(100%)とした相対値で算出した(後述表2参照)。PM再生効率測定では、ハニカムフィルタの外形体積に対するPM堆積量を6g/Lとし、測温位置をハニカムフィルタの入口端面から20mm手前としたときの排ガス温度が600℃となる条件で行った。
【0051】
(実験結果)
実施例1〜6及び比較例1〜6の隔壁厚さ(mm)、セルピッチ(mm)、隔壁交差部の触媒量A(%)、隔壁中央部の触媒量B(%)及び比較例1,4を基準としたNOx浄化率(%)及び判定結果などをまとめて表1に示す。また、実施例7〜10及び比較例7〜10の隔壁厚さ(mm)、セルピッチ(mm)、捕集層コーナー部の触媒量C(%)、捕集層中央部の触媒量D(%)、PM再生効率(%)及び判定結果をまとめて表2に示す。図8は、比較例1〜3及び実施例1〜3における比較例1を基準とした初期及び繰返後のNOx浄化率の測定結果である。図9は、比較例4〜6及び実施例4〜6における比較例4を基準とした初期及び繰返後のNOx浄化率の測定結果である。図10は、比較例7〜10及び実施例7〜10における比較例7,9を基準としたPM再生効率の測定結果である。表1におけるNOx浄化率の判定基準は、94%以上を○、94%未満86%超過を△、86%以下を×とした。NOx浄化効率が94%以上であると、サイズやセル構造等のハニカムフィルタのデザインや搭載位置、車両サイズや排ガス特性によらず、各国でのNOxエミッション規制を十分に達成する事ができる。94%未満86%超過であると、ハニカムフィルタが車両床下に搭載されており、且つ、寒冷地条件下にてエミッションを評価すると、NOxエミッション規制を達成できない可能性がある。86%以下の場合は、ハニカムフィルタが車両床下に搭載されており、且つ、寒冷地条件下にてエミッション規制を達成するにはDPFの下流に更にNOx処理触媒担体を搭載する必要がある。一方、表2におけるPM再生効率の判定基準は、106%以上を○、106未満95%超過を△(同等)、95%以下を×とした。PM再生効率が106%以上であるとPM再生による燃費悪化は見られず、106%未満95%超過であると1%程度の燃費悪化が見られ、95%以下であると3%程度の燃費悪化がみられる。図8,9及び表1に示したように、実施例1〜6、特に実施例1,2,4,5は、触媒量を低減しつつもNOx浄化率が高く、良好な結果を示した。また、表2に示したように、実施例7〜10は、触媒量を低減しつつもPM再生効率が高く、良好な結果を示した。このように、隔壁交差部32や捕集層コーナー部36は、比較的排ガスが流通しにくいため触媒量を低減することができる。また、隔壁交差部32や隔壁中央部34にPMが堆積すると隔壁交差部32や捕集層コーナー部36に排ガスが流れ易くなることから、隔壁交差部32や捕集層コーナー部36には、ある程度の触媒を担持すると排ガス中の除去対象物質であるNOxやPMの除去効率を下げにくいことがわかった。また、捕集層のない比較例1、4では、繰り返しでの使用において、触媒が劣化することから、ある程度過剰量の触媒を担持させる必要があるが、実施例1〜6では、捕集層があることによって繰り返しによる触媒劣化をより抑制可能であり、その触媒劣化を抑制したのに相当する触媒量を低減可能であることがわかった。また、実施例7〜10では、PMの燃焼除去において、再生効率の低下を抑制しつつ、捕集層コーナー部の触媒量を低減させることができることがわかった。そして、隔壁部の厚さやセルピッチが変更されてもこれらの傾向は変わらないことがわかった。
【0052】
また、実施例11では、初期のNOx浄化率が99%であり、繰り返し後のNOx浄化率が96%であり、判定としては「○」であった。また、PM再生効率は、98%であり、判定としては「△」であり、好適な結果が得られた。このように、隔壁交差部の触媒量Aと隔壁中央部の触媒量Bとの比であるA/Bが0.30以上0.90以下であり、捕集層コーナー部の触媒量Cと捕集層中央部の触媒量Dとの比であるC/Dが0.80以上0.95以下の関係を満たすと、触媒量を低減すると共に、PMをより効率的に除去することができることが明らかとなった。
【0053】
【表1】
【0054】
【表2】
【0055】
本出願は、2010年3月31日に出願された日本国特許出願第2010−81899号を優先権主張の基礎としており、引用によりその内容の全てが本明細書に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明は、自動車用エンジン、建設機械用及び産業用の定置エンジン並びに燃焼機器等から排出される排ガスを浄化するためのフィルターとして好適に使用することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10