特許第5771232号(P5771232)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5771232
(24)【登録日】2015年7月3日
(45)【発行日】2015年8月26日
(54)【発明の名称】パルストランス
(51)【国際特許分類】
   H01F 19/04 20060101AFI20150806BHJP
   H01F 27/29 20060101ALI20150806BHJP
【FI】
   H01F19/04 U
   H01F15/10 G
【請求項の数】14
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2013-72035(P2013-72035)
(22)【出願日】2013年3月29日
(65)【公開番号】特開2014-197591(P2014-197591A)
(43)【公開日】2014年10月16日
【審査請求日】2014年8月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115738
【弁理士】
【氏名又は名称】鷲頭 光宏
(74)【代理人】
【識別番号】100121681
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 和文
(74)【代理人】
【識別番号】100130982
【弁理士】
【氏名又は名称】黒瀬 泰之
(74)【代理人】
【識別番号】100127199
【弁理士】
【氏名又は名称】三谷 拓也
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼木 信雄
(72)【発明者】
【氏名】土田 せつ
(72)【発明者】
【氏名】御子神 祐
【審査官】 堀 拓也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−248610(JP,A)
【文献】 特開2010−010597(JP,A)
【文献】 特開2011−253889(JP,A)
【文献】 特開2011−097086(JP,A)
【文献】 特開平11−204346(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0049914(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 19/04
H01F 27/29
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
巻芯部と、前記巻芯部の第1の方向における一端に設けられた第1の鍔部と、前記巻芯部の前記第1の方向における他端に設けられた第2の鍔部とを有するドラム型コアと、
前記第1の鍔部の底面に設けられ、前記第1の方向と直交する第2の方向に配列された第1の端子電極、第2の端子電極及び第2のセンタータップと、
前記第2の鍔部の底面に設けられ、前記第2の方向に配列された第3の端子電極、第4の端子電極及び第1のセンタータップと、
前記巻芯部に巻回され、一端が前記第1の端子電極に接続され、他端が前記第1のセンタータップに接続された第1のワイヤと、
前記巻芯部に巻回され、一端が前記第1のセンタータップに接続され、他端が第2の端子電極に接続された第2のワイヤと、
前記巻芯部に巻回され、一端が前記第4の端子電極に接続され、他端が前記第2のセンタータップに接続された第3のワイヤと、
前記巻芯部に巻回され、一端が前記第2のセンタータップに接続され、他端が前記第3の端子電極に接続された第4のワイヤと、を備え、
前記第1の鍔部の内側側面寄りに位置する前記第2の端子電極の先端部は、前記第1の端子電極の先端部よりも前記第1の鍔部の外側側面寄りにセットバックされており、
前記第2の鍔部の内側側面寄りに位置する前記第4の端子電極の先端部は、前記第3の端子電極の先端部よりも前記第2の鍔部の外側側面寄りにセットバックされていることを特徴とするパルストランス。
【請求項2】
前記第1及び第4のワイヤは、前記巻芯部の前記一端から前記他端に向かって第1の巻回方向に巻回されており、
前記第2及び第3のワイヤは、前記巻芯部の前記一端から前記他端に向かって第1の巻回方向と逆向きである第2の巻回方向に巻回されており、
前記第1及び第4のワイヤの少なくとも一方の引き出し部は、前記第2及び第3のワイヤの少なくとも一方の引き出し部とクロスしている、請求項1に記載のパルストランス。
【請求項3】
前記第1及び第4のワイヤの少なくとも一方の引き出し部が前記第2及び第3のワイヤの少なくとも一方の引き出し部とクロスする位置は、前記第1又は第2の鍔部の前記底面上である、請求項2に記載のパルストランス。
【請求項4】
前記第2のワイヤの他端は、前記第2の端子電極から遠い方の前記巻芯部の第1の側面側から前記巻芯部の中心軸を横切って引き出されて前記第2の端子電極に接続され、
前記第3のワイヤの一端は、前記第の端子電極から遠い方の前記巻芯部の第2の側面側から前記巻芯部の中心軸を横切って引き出されて前記第の端子電極に接続され、
前記第2のワイヤと前記第4のワイヤは、前記第2の端子電極と前記第2のセンタータップとにそれぞれ接続される途中で互いにクロスしており、
前記第3のワイヤと前記第1のワイヤは、前記第4の端子電極と前記第1のセンタータップとにそれぞれ接続される途中で互いにクロスしている、請求項1乃至のいずれか一項に記載のパルストランス。
【請求項5】
前記第2の端子電極と前記第2のセンタータップの前記第2の方向における距離は、前記第1の端子電極と前記第2の端子電極の前記第2の方向における距離よりも長く、
前記第の端子電極と前記第1のセンタータップの前記第2の方向における距離は、前記第3の端子電極と前記第4の端子電極の前記第2の方向における距離よりも長いことを特徴とする請求項1乃至のいずれか一項に記載のパルストランス。
【請求項6】
前記第2のセンタータップは前記第1の鍔部に設けられた単一の端子電極からなり、前記第1のセンタータップは前記第2の鍔部に設けられた単一の端子電極からなることを特徴とする請求項1乃至のいずれか一項に記載のパルストランス。
【請求項7】
前記第2の端子電極の先端部は、前記第2のセンタータップの先端部よりも前記第1の鍔部の外側側面寄りに位置し、
前記第4の端子電極の先端部は、前記第1のセンタータップの先端部よりも前記第の鍔部の外側側面寄りに位置する、請求項6に記載のパルストランス。
【請求項8】
前記第1のセンタータップは、前記第2の鍔部に設けられた第1及び第2のセンタータップ用端子電極からなり、
前記第2のセンタータップは、前記第1の鍔部に設けられた第3及び第4のセンタータップ用端子電極からなり、
前記第1のセンタータップ用端子電極には、前記第2のワイヤの一端が接続され、
前記第2のセンタータップ用端子電極には、前記第1のワイヤの他端が接続され、
前記第3のセンタータップ用端子電極には、前記第3のワイヤの他端が接続され、
前記第4のセンタータップ用端子電極には、前記第4のワイヤの一端が接続され、
前記第2の鍔部の内側側面寄りに位置する前記第2のセンタータップ用端子電極の先端部は、前記第3の端子電極の先端部よりも前記第2の鍔部の外側側面寄りにセットバックされており、
前記第1の鍔部の内側側面寄りに位置する前記第4のセンタータップ用端子電極の先端部は、前記第1の端子電極の先端部よりも前記第1の鍔部の外側側面寄りにセットバックされていることを特徴とする請求項1乃至のいずれか一項に記載のパルストランス。
【請求項9】
前記第1のセンタータップは、単一の端子電極内に設けられた第1及び第2のセンタータップ領域を有し、
前記第2のセンタータップは、単一の端子電極内に設けられた第3及び第4のセンタータップ領域を有し、
前記第1のセンタータップ領域には、前記第2のワイヤの一端が接続され、
前記第2のセンタータップ領域には、前記第1のワイヤの他端が接続され、
前記第3のセンタータップ領域には、前記第3のワイヤの他端が接続され、
前記第4のセンタータップ領域には、前記第4のワイヤの一端が接続され、
前記第2の鍔部の内側側面寄りに位置する前記第2のセンタータップ領域の先端部は、前記第3の端子電極の先端部よりも前記第2の鍔部の外側側面寄りにセットバックされており、
前記第1の鍔部の内側側面寄りに位置する前記第のセンタータップ領域の先端部は、前記第1の端子電極の先端部よりも前記第1の鍔部の外側側面寄りにセットバックされていることを特徴とする請求項1乃至のいずれか一項に記載のパルストランス。
【請求項10】
前記第1乃至第4の端子電極並びに前記第1及び第2のセンタータップは、いずれも前記第1又は第2の鍔部に固定された端子金具からなることを特徴とする請求項1乃至のいずれか一項に記載のパルストランス。
【請求項11】
前記第1乃至第4の端子電極並びに前記第1及び第2のセンタータップは、いずれも前記第1又は第2の鍔部に直接塗布して形成された導電性材料からなることを特徴とする請求項1乃至のいずれか一項に記載のパルストランス。
【請求項12】
前記第1のセンタータップは、前記第2の鍔部に設けられた第1及び第2のセンタータップ用端子電極からなり、
前記第2のセンタータップは、前記第1の鍔部に設けられた第3及び第4のセンタータップ用端子電極からなり、
前記第1のセンタータップ用端子電極には、前記第2のワイヤの一端及び前記第1のワイヤの他端の一方が接続され、
前記第2のセンタータップ用端子電極には、前記第2のワイヤの一端及び前記第1のワイヤの他端の他方が接続され、
前記第3のセンタータップ用端子電極には、前記第3のワイヤの他端及び前記第4のワイヤの一端の一方が接続され、
前記第4のセンタータップ用端子電極には、前記第3のワイヤの他端及び前記第4のワイヤの一端の他方が接続されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載のパルストランス。
【請求項13】
前記第2の鍔部の内側側面寄りに位置する前記第2のセンタータップ用端子電極の先端部は、前記第3の端子電極の先端部よりも前記第2の鍔部の外側側面寄りにセットバックされており、
前記第1の鍔部の内側側面寄りに位置する前記第4のセンタータップ用端子電極の先端部は、前記第1の端子電極の先端部よりも前記第1の鍔部の外側側面寄りにセットバックされていることを特徴とする請求項12に記載のパルストランス。
【請求項14】
前記第2のセンタータップ用端子電極及び前記第4の端子電極は、前記第1のセンタータップ用端子電極と前記第3の端子電極の間に位置し、
前記第4のセンタータップ用端子電極及び前記第2の端子電極は、前記第3のセンタータップ用端子電極と前記第1の端子電極の間に位置することを特徴とする請求項13に記載のパルストランス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はパルストランスに関し、特に、ドラム型コアを用いた表面実装型のパルストランスに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、コネクタなどの回路部品には、入力側(1次側)のディファレンシャル信号と出力側(2次側)のディファレンシャル信号を絶縁するためのパルストランスが広く用いられている。複数のパルストランスをプリント基板上に高密度に実装するためには、ドラム型コアを用いた表面実装型のパルストランスを用いることが好ましい(特許文献1,2参照)。
【0003】
特許文献2に記載されたパルストランスは、ドラム型コアの一方の鍔部に1次側の端子電極と2次側のセンタータップが形成され、他方の鍔部に2次側の端子電極と1次側のセンタータップが形成された構成を有している。ドラム型コアの巻芯部には一対のコイルを構成するワイヤが巻回されており、ワイヤの端部は対応する端子電極又はセンタータップに接続されている。このようなパルストランスには、自動巻線機を用いてワイヤを正確に巻回でき、ワイヤの端部を端子電極に確実に接続できることが求められる。
【0004】
図13は従来のパルストランスの端子電極構造を模式的に示す平面図である。
【0005】
図13に示すパルストランスはドラム型コアを有しており、ドラム型コアの一方の鍔部4Aには、一対の1次側端子電極6a,6bと2次側センタータップ6cが設けられており、他方の鍔部4Bには、一対の2次側端子電極6d,6eと1次側センタータップ6fが設けられている。鍔部4Aにおいて1次側端子電極6bと2次側センタータップ6cとの距離が離れているのは、1次側と2次側の絶縁耐圧を確保するためである。同様の理由から、鍔部4Bにおいても2次側端子電極6eと1次側センタータップ6fとの距離が離れている。
【0006】
パルストランスを構成する一対のコイルは、4本のワイヤS1,S2,S3,S4で構成されており、ワイヤS1,S2が1次側コイル、ワイヤS3,S4が2次側コイルを構成している。なお同図ではワイヤの引き出し部のみを示しており、中間の巻線部分の図示は省略している。ここで、ワイヤS1の一端S1aとワイヤS3の他端S3bは、巻芯部3から引き出された後、他のワイヤとクロスすることなく対応する端子電極6a,6cにそれぞれ接続される。これに対し、ワイヤS2の他端S2bとワイヤS4の一端S4aは、接続されるべき端子電極から遠い方の巻芯部3の側面側から巻芯部3の中心軸Y0を横切って引き出されて当該端子電極に接続されている。例えば、ワイヤS2は図中の巻芯部3の左側の側面3bから中心軸Y0を横切って引き出されて端子電極6bに接続されている。また、ワイヤS3は図中の巻芯部3の右側の側面3aから中心軸Y0を横切って引き出されて端子電極6cに接続されている。そのため、ワイヤS2、S3は互いにクロスして対応する端子電極6b,6cにそれぞれ接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−302321号公報
【特許文献2】特開2010−109267号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述した従来のパルストランスにおいて、互いにクロスするワイヤの引き出し部が本来接続されるべき端子電極とは別の端子電極に接触してしまうという問題がある。すなわち、鍔部4A側でワイヤS2とクロスするワイヤS4は、その一端S4aを端子電極6cに接続する途中で端子電極6bと接触するおそれがあり、鍔部4B側でワイヤS3とクロスするワイヤS1は、その他端S1aを端子電極6fに接続する途中で端子電極6eと接触するおそれがある。このような接触を回避するためにはワイヤの端部を急に折り曲げて対応する端子電極に接続しなければならず、自動巻線機での取り扱いが非常に難しいという問題がある。
【0009】
したがって、本発明の目的は、ワイヤの引き出し部が本来接続されるべき端子電極とは別の端子電極に接触することがなく、接続信頼性の高いパルストランスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明によるパルストランスは、巻芯部と、前記巻芯部の第1の方向における一端に設けられた第1の鍔部と、前記巻芯部の前記第1の方向における他端に設けられた第2の鍔部とを有するドラム型コアと、前記第1の鍔部の底面に設けられ、前記第1の方向と直交する第2の方向に配列された第1の端子電極、第2の端子電極及び第2のセンタータップと、前記第2の鍔部の底面に設けられ、前記第2の方向に配列された第3の端子電極、第4の端子電極及び第1のセンタータップと、前記巻芯部に巻回され、一端が前記第1の端子電極に接続され、他端が前記第1のセンタータップに接続された第1のワイヤと、前記巻芯部に巻回され、一端が前記第1のセンタータップに接続され、他端が第2の端子電極に接続された第2のワイヤと、前記巻芯部に巻回され、一端が前記第4の端子電極に接続され、他端が前記第2のセンタータップに接続された第3のワイヤと、前記巻芯部に巻回され、一端が前記第2のセンタータップに接続され、他端が前記第3の端子電極に接続された第4のワイヤと、を備え、前記第1の鍔部の内側側面寄りに位置する前記第2の端子電極の先端部は、前記第1の鍔部の外側側面寄りにセットバックされており、前記第2の鍔部の内側側面寄りに位置する前記第4の端子電極の先端部は、前記第2の鍔部の外側側面寄りにセットバックされていることを特徴とする。
【0011】
本発明によれば、第4のワイヤの引き出し部が本来接続されるべき第2のセンタータップとは別の第2の端子電極に接触することを回避することができ、また第1のワイヤの引き出し部が本来接続されるべき第1のセンタータップとは別の第4の端子電極に接触することを回避することができる。したがって、接続信頼性が高いパルストランスを提供することができ、またワイヤの引き出しや端子電極への接続を容易にすることができる。
【0012】
本発明において、前記第1及び第4のワイヤは、前記巻芯部の前記一端から前記他端に向かって第1の巻回方向に巻回されており、前記第2及び第3のワイヤは、前記巻芯部の前記一端から前記他端に向かって第1の巻回方向と逆向きである第2の巻回方向に巻回されており、前記第1及び第4のワイヤの少なくとも一方の引き出し部は、前記第2及び第3のワイヤの少なくとも一方の引き出し部とクロスしていることが好ましい。この場合において、前記第1及び第4のワイヤの少なくとも一方の引き出し部が前記第2及び第3のワイヤの少なくとも一方の引き出し部とクロスする位置は、前記第1又は第2の鍔部の前記底面上であることが特に好ましい。この構成によれば、自動巻線機を用いてワイヤを容易に継線することができる。
【0013】
本発明において、前記第1の端子電極の先端部は、前記第2の端子電極の先端部よりも前記第1の鍔部の外側側面寄りに位置し、前記第3の端子電極の先端部は、前記第4の端子電極の先端部よりも前記第1の鍔部の外側側面寄りに位置することが好ましい。この構成によれば、第4のワイヤの引き出し部が第2の端子電極に接触することを回避しながら、第1のワイヤの一端の第1の端子電極への接続を容易にすることができる。また、第1のワイヤの引き出し部が第4の端子電極に接触することを回避しながら、第4のワイヤの他端の第3の端子電極への接続を容易にすることができる。
【0014】
本発明において、前記第2のワイヤの他端は、前記第2の端子電極から遠い方の前記巻芯部の第1の側面側から前記巻芯部の中心軸を横切って引き出されて前記第2の端子電極に接続され、前記第3のワイヤの一端は、前記第3の端子電極から遠い方の前記巻芯部の第2の側面側から前記巻芯部の中心軸を横切って引き出されて前記第3の端子電極に接続され、前記第2のワイヤと前記第4のワイヤは、前記第2の端子電極と前記第2のセンタータップとにそれぞれ接続される途中で互いにクロスしており、前記第3のワイヤと前記第1のワイヤは、前記第4の端子電極と前記第1のセンタータップとにそれぞれ接続される途中で互いにクロスしていることが好ましい。上記の問題はワイヤの引き出し部が互いにクロスする巻線構造において発生しやすいが、本発明によればこのような問題を解決することができる。
【0015】
本発明において、前記第2の端子電極と前記第2のセンタータップの前記第2の方向における距離は、前記第1の端子電極と前記第2の端子電極の前記第2の方向における距離よりも長く、前記第3の端子電極と前記第1のセンタータップの前記第2の方向における距離は、前記第3の端子電極と前記第4の端子電極の前記第2の方向における距離よりも長いことが好ましい。
【0016】
本発明において、前記第2のセンタータップは前記第1の鍔部に設けられた単一の端子電極からなり、前記第1のセンタータップは前記第2の鍔部に設けられた単一の端子電極からなることが好ましい。この構成によれば、単一の電極からなるセンタータップ上に2本のワイヤの端部を接続してコイルの直列接続を容易に実現することができる。
【0017】
本発明において、前記第1のセンタータップの先端部は、前記第2の端子電極の先端部よりも前記第1の鍔部の外側側面寄りに位置し、前記第2のセンタータップの先端部は、前記第4の端子電極の先端部よりも前記第1の鍔部の外側側面寄りに位置することが好ましい。この構成によれば、単一の電極からなるセンタータップ上に2本のワイヤの端部を容易に接続することができる。
【0018】
本発明において、前記第1のセンタータップは、前記第2の鍔部に設けられた第1及び第2のセンタータップ用端子電極からなり、前記第2のセンタータップは、前記第1の鍔部に設けられた第3及び第4のセンタータップ用端子電極からなり、前記第1のセンタータップ用端子電極には、前記第2のワイヤの一端が接続され、前記第2のセンタータップ用端子電極には、前記第1のワイヤの他端が接続され、前記第3のセンタータップ用端子電極には、前記第3のワイヤの他端が接続され、前記第4のセンタータップ用端子電極には、前記第4のワイヤの一端が接続され、前記第2の鍔部の内側側面寄りに位置する前記第2のセンタータップ用端子電極の先端部は、前記第2の鍔部の外側側面寄りにセットバックされており、前記第1の鍔部の内側側面寄りに位置する前記第4のセンタータップ用端子電極の先端部は、前記第1の鍔部の外側側面寄りにセットバックされていることが好ましい。この構成によれば、4端子対構造のパルストランスにおいて、ワイヤの引き出し部が本来接続されるべき端子電極とは別の端子電極に接触することを回避することができる。したがって、接続信頼性の高いパルストランスを提供することができ、またワイヤの引き出し及び端子電極への接続も容易である。
【0019】
本発明において、前記第1のセンタータップは、単一の端子電極内に設けられた第1及び第2のセンタータップ領域を有し、前記第2のセンタータップは、単一の端子電極内に設けられた第3及び第4のセンタータップ領域を有し、前記第1のセンタータップ領域には、前記第2のワイヤの一端が接続され、前記第2のセンタータップ領域には、前記第1のワイヤの他端が接続され、前記第3のセンタータップ領域には、前記第3のワイヤの他端が接続され、前記第4のセンタータップ領域には、前記第4のワイヤの一端が接続され、前記第2の鍔部の内側側面寄りに位置する前記第2のセンタータップ領域の先端部は、前記第2の鍔部の外側側面寄りにセットバックされており、前記第1の鍔部の内側側面寄りに位置する前記第3のセンタータップ領域の先端部は、前記第1の鍔部の外側側面寄りにセットバックされていることが好ましい。この構成によれば、センタータップを幅広な端子電極形状とした3端子対構造のパルストランスにおいて、ワイヤの引き出し部が本来接続されるべきでないセンタータップに接触することを回避することができる。
【0020】
本発明において、前記第1乃至第4の端子電極並びに前記第1及び第2のセンタータップは、いずれも前記第1又は第2の鍔部に固定された端子金具からなることが好ましい。端子電極として端子金具を用いた場合には、めっき電極を用いた場合に比べてその形成が容易であり、量産時のコスト面でも有利である。さらに、端子電極の位置精度を高くすることができる。
【0021】
本発明において、前記第1乃至第4の端子電極並びに前記第1及び第2のセンタータップは、いずれも前記第1又は第2の鍔部に直接塗布して形成された導電性材料からなることもまた好ましい。この構成によれば、素材に対する固着力が強く、より緻密で強固な電極表面を形成することができ、耐浸食性及び耐衝撃性を高めることができる。
【発明の効果】
【0022】
このように、本発明によるパルストランスを用いれば、ワイヤの引き出し部が本来接続されるべき端子電極とは別の端子電極に接触することを回避することができる。したがって、接続信頼性が高く、ワイヤの引き出し及び端子電極への接続も容易なパルストランスを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、本発明の第1の実施形態によるパルストランス1の外観構成を示す略斜視図である。
図2図2は、パルストランス1の分解斜視図である。
図3図3は、パルストランス1を上下反転させて実装面側から見た略斜視図である。
図4図4は、パルストランス1の等価回路である。
図5図5は、鍔部に設けられた各端子金具の底面部の形状を示す略平面図である。
図6図6は、本発明の第2の実施形態によるパルストランス8の分解斜視図であり、
図7図7は、パルストランス8を上下反転させて実装面側から見た略斜視図である。
図8図8は、パルストランス8の等価回路である。
図9図9は、鍔部に設けられた各端子金具の底面部の形状を示す略平面図である。
図10図10は、本発明の第3の実施形態によるパルストランス8の構造を示す図であって、鍔部に設けられた各端子金具の底面部の形状を示す略平面図である。
図11図11は、本発明によるパルストランスの端子電極構造のさらなる変形例を示す略平面図である。
図12図12は、本発明によるパルストランスの端子電極構造のさらなる変形例を示す略平面図である。
図13図13は、従来のパルストランスの端子電極構造を示す略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の好ましい実施の形態について詳細に説明する。
【0025】
図1は、本発明の第1の実施形態によるパルストランス1の外観構成を示す略斜視図である。また、図2は、本実施形態によるパルストランス1の分解斜視図であり、図3は、本実施形態によるパルストランス1を上下反転させて実装面側から見た略斜視図である。
【0026】
図1図3に示すように、本実施形態によるパルストランス1は、ドラム型コア2と、板状コア5と、6つの端子金具6a〜6fと、ドラム型コア2に巻回されたワイヤからなるコイル7とを備えている。特に限定されるものではないが、パルストランス1のX方向、Y方向及びZ方向におけるサイズは、約4.5×3.2×2.9mmである。
【0027】
ドラム型コア2は例えばNi−Zn系フェライトなどの磁性材料からなり、コイル7が巻回された巻芯部3と、巻芯部3のY方向における両端に配置された一対の鍔部4A,4Bを有している。板状コア5もまたNi−Zn系フェライトなどの磁性材料からなり、一対の鍔部4A,4Bの上面に載置され、接着剤等で固定されている。
【0028】
板状コア5の上面は平坦な平滑面であるため、パルストランス1の実装時に、この平滑面を吸着面として吸着実装することができる。さらに、鍔部4A,4Bの上面と接着される板状コア5の表面も平滑面であることが好ましい。板状コア5の平滑な表面が鍔部4A,4Bと当接することにより、両者を確実に密着させることができ、磁束漏れをできるだけ小さくした閉磁路を形成することができる。
【0029】
端子金具6a〜6fは、鍔部4A,4Bの底面から外側側面にかけて延設されたL字型の金属片である。ここで、鍔部の外側側面とは、巻芯部3の取り付け面とは反対側に位置する面である。これらの端子金具6a〜6fは、一枚の金属板を加工して得られるリードフレームから切り出された部分であることが好ましい。端子金具6a〜6fはリードフレームの状態のままでドラム型コア2に接着固定され、フレーム部から切り離されることにより、独立した端子となる。端子金具6a〜6fを用いた場合には、めっき電極を用いた場合に比べてその形成が容易であり、量産時のコスト面でも有利である。さらに、端子金具6a〜6fの取り付け時の位置精度を高くすることができる。
【0030】
端子金具6a〜6fのうち、3つの端子金具6a,6b,6cは鍔部4A側に設けられており、他の3つの端子金具6d,6e,6fは鍔部4B側に設けられている。端子金具6a,6b,6cは鍔部4AにおいてX方向に配列されており、端子金具6d,6e,6fは鍔部4BにおいてX方向に配列されている。
【0031】
さらに3つの端子金具6a,6b,6cのうち、2つの端子金具6a,6bは鍔部4AのX方向における一端寄り(図2においては右寄り)に設けられており、端子金具6cは鍔部4AのX方向における他端寄り(図2においては左寄り)に設けられている。つまり、端子金具6a,6bの間隔よりも、端子金具6b,6cの間隔の方が広く、これにより1次側と2次側との間における絶縁耐圧が確保されている。同様に、3つの端子金具6d,6e,6fのうち、2つの端子金具6d,6eは鍔部4BのX方向における一端寄り(図2においては左寄り)に設けられており、端子金具6fは鍔部4BのX方向における他端寄り(図2においては右寄り)に設けられている。つまり、端子金具6d,6eの間隔よりも、端子金具6e,6fの間隔の方が広く、これにより1次側と2次側との間における絶縁耐圧が確保されている。
【0032】
図2に示すように、L字型の端子金具6a〜6fの各々は、鍔部4A,4Bの底面に接する底面部Tと、鍔部4A,4Bの外側側面に接する側面部Tとを有している。そして図3に示すように、コイル7の端末部は、端子金具6a〜6fの底面部Tの表面に熱圧着されている。
【0033】
コイル7は、4本のワイヤS1〜S4で構成されている。ワイヤS1〜S4は被覆導線であり、巻芯部3に2層構造で巻回される。詳細には、ワイヤS1,S4がバイファイラ巻き(2本のワイヤを交互に並べて単層巻きすること)により1層目を構成し、ワイヤS2,S3がバイファイラ巻きにより2層目を構成する。ワイヤS1〜S4のターン数は互いに同一である。
【0034】
また、ワイヤS1〜S4の巻回方向は1層目と2層目とで異なっている。すなわち、例えば鍔部4Aから鍔部4Bに向かう巻回方向を鍔部4A側から見た場合、ワイヤS1,S4の巻回方向は反時計回り(第1の巻回方向)であるのに対し、ワイヤS2,S3の巻回方向は時計回り(第2の巻回方向)であり、互いに逆になっている。このようにしているのは、巻き始めの際及び巻き終わりの際に各ワイヤを巻芯部3の一端から他端まで引き延ばさないで済むようにするためである。
【0035】
ワイヤS1〜S4と端子金具6a〜6fの結線について説明する。ワイヤS1の一端S1a,他端S1bはそれぞれ端子金具6a,6fに接続され、ワイヤS2の一端S2a,他端S2bはそれぞれ端子金具6f,6bに接続される。また、ワイヤS3の一端S3a,他端S3bはそれぞれ端子金具6e,6cに接続され、ワイヤS4の一端S4a,他端S4bはそれぞれ端子金具6c,6dに接続される。
【0036】
図4は、パルストランス1の等価回路である。
【0037】
図4に示すように、端子金具6aと6bは一対の平衡入力、つまり1次側のプラス側端子電極P1とマイナス側端子電極N1として用いられる。また、端子金具6eと6dは一対の平衡出力、つまり2次側のプラス側端子電極P2とマイナス側端子電極N2として用いられる。端子金具6c,6fは、それぞれ入力側,出力側のセンタータップCT1,CT2として用いられる。ワイヤS1,S2はパルストランスの一次巻線を構成し、ワイヤS3,S4はパルストランスの二次巻線を構成する。
【0038】
図5は、鍔部に設けられた各端子金具の底面部の形状を示す略平面図である。
【0039】
図5に示すように、鍔部4A側の3つの端子金具6a,6b,6cのうち、端子金具6aと端子金具6cとは、Y方向に延びる巻芯部3の中心軸Y0から見て左右対称な位置関係を有しているが、端子金具6bと左右対称な位置関係となる端子金具は設けられていない。同様に、鍔部4B側の3つの端子金具6d,6e,6fのうち、端子金具6dと端子金具6fは中心軸Y0から見て左右対称な位置関係を有しているが、端子金具6eと左右対称な位置関係となる端子金具は設けられていない。これらの端子金具を含むドラム型コアの構造は、重心点P0を中心にして二回対称となっており、端子金具6a,6b,6cは、端子金具6d,6e,6fとそれぞれ回転対称な関係を有する。
【0040】
鍔部4A側の端子金具6a,6bには、ワイヤS1の一端S1a,ワイヤS2の他端S2bがそれぞれ接続されており、端子金具6cには、ワイヤS3の他端S3bとワイヤS4の一端S4aの両方が接続されている。
【0041】
ワイヤS1の一端S1aは、巻芯部3の一方の側面3a側から引き出されて端子金具6aに接続されている。ワイヤS4の一端S4aもワイヤS1の一端S1aとともに巻芯部3の一方の側面3a側から巻芯部3の中心軸Y0を横切って引き出されて端子金具6cに接続されている。これに対し、ワイヤS3の他端S3bは、巻芯部3の他方の側面3b(第1の側面)側から引き出されて端子金具6cに接続されている。ワイヤS2の他端S2bもワイヤS3の他端S3bとともに巻芯部3の他方の側面3b側から巻芯部3の中心軸Y0を横切って引き出されて端子金具6bに接続されている。
【0042】
このように、ワイヤS1の一端S1aとワイヤS3の他端S3bとは、接続されるべき端子金具から近い方の巻芯部の側面から巻芯部3の中心軸Y0を横切ることなく引き出されて当該端子金具に接続される。そのため、鍔部4A側のワイヤS1,S3の引き出し部は対応する端子金具に接続される途中で他のワイヤとクロスしない。これに対し、ワイヤS2の他端S2bとワイヤS4の一端S4aは、接続されるべき端子金具から遠い方の巻芯部3の側面側から巻芯部3の中心軸Y0を横切って引き出されて当該端子金具に接続される。そのため、鍔部4A側のワイヤS2、S4の引き出し部は対応する端子金具に接続される途中で互いにクロスする。
【0043】
鍔部4B側の端子金具6d,6eには、ワイヤS4の他端S4b,ワイヤS3の一端S3aがそれぞれ接続されており、端子金具6fには、ワイヤS2の一端S2aとワイヤS1の他端S1bの両方が接続されている。
【0044】
ワイヤS4の他端S4bは、巻芯部3の他方の側面3b側から引き出されて端子金具6dに接続されている。ワイヤS1の他端S1bもワイヤS4の他端S4bとともに巻芯部3の他方の側面3b側から巻芯部3の中心軸Y0を横切って引き出されて端子金具6fに接続されている。これに対し、ワイヤS2の一端S2aは、巻芯部3の一方の側面3a(第2の側面)側から引き出されて端子金具6fに接続されている。ワイヤS3の一端S3aもワイヤS2の一端S2aとともに巻芯部3の一方の側面3a側から巻芯部3の中心軸Y0を横切って引き出されて端子金具6eに接続されている。
【0045】
このように、ワイヤS2の一端S2aとワイヤS4の他端S4bとは、接続されるべき端子金具から近い方の巻芯部の側面から巻芯部3の中心軸Y0を横切ることなく引き出されて当該端子金具に接続される。そのため、鍔部4B側のワイヤS2,S4の引き出し部は対応する端子金具に接続される途中で他のワイヤとクロスしない。これに対し、ワイヤS1の他端S1bとワイヤS3の一端S3aとは、接続されるべき端子金具から遠い方の巻芯部3の側面側から巻芯部3の中心軸Y0を横切って引き出されて当該端子金具に接続される。そのため、鍔部4B側のワイヤS1、S3の引き出し部は対応する端子金具に接続される途中で互いにクロスする。
【0046】
本実施形態において、3つの端子金具6a,6b,6cの底面部TBのうち、中心軸Y0から見て外側の2つの端子金具6a,6cの先端部の位置は鍔部4Aの内側側面SUiまたはその近くまで達しているが、内側の端子金具6bの先端部の位置は、鍔部4Aの外側側面SUo寄りにセットバックされている。ここで、鍔部4Aの内側側面SUiとは、外側側面SUoとは反対側の面であり、巻芯部3の取り付け面のことをいう。
【0047】
ワイヤS2,S4の引き出し部は鍔部4Aの底面上において互いにクロスしているが、例えば端子金具6bがセットバックされていないとワイヤS4の一端S4aを端子金具6cに接続する際にワイヤS4の途中が端子金具6bの先端部に接触してしまう(図12参照)。ワイヤS4の途中が端子金具6bの先端部に接触しないように迂回させることも可能であるが、この場合、ワイヤS4を急な角度で折り曲げる必要があり、端部の処理が複雑になる。
【0048】
しかし、本実施形態においては、内側の端子金具6bの先端部がセットバックされているので、ワイヤの引き出し部が本来接続されるべき端子金具とは別の端子金具に接触することを回避することができる。一方、端子金具6a,6dについてはセットバックがなく、その先端部は端子金具6bよりも鍔部4Aの内側側面に近く、特に鍔部4Aの内側側面によるエッジに接するか或いはそのできるだけ近くまで達しているので、ワイヤS1、S4の先端部を容易に接続することができる。なお、端子金具6bの先端部のセットバック量SBは、クロスするワイヤの途中の接触を回避できかつワイヤの端部を接続することができる限りにおいて特に限定されない。
【0049】
以上、鍔部4A側の端子金具6a,6b,6cの構成について説明したが、鍔部4B側の端子金具6d,6e,6fの構成も同様であり、内側の端子金具6eの先端部がセットバックされている。
【0050】
上記実施形態においては、一対の鍔部の各々に3つの端子金具を取り付けたパルストランス1を例に説明したが、一対の鍔部にそれぞれ4つの端子金具を取り付けた構成とすることも可能である。
【0051】
図6は、本発明の第2の実施形態によるパルストランス8の分解斜視図であり、図7は、本実施形態によるパルストランス8を上下反転させて実装面側から見た略斜視図である。
【0052】
図6及び図7に示すように、本実施形態によるパルストランス8は、端子金具6cを2つのセンタータップ用端子金具6c1,6c2に分け、端子金具6fを2つのセンタータップ用端子金具6f1,6f2に分けたものであり、一対の鍔部4A,4Bの各々に4つの端子金具を取り付けたことを特徴とするものである。この場合、ワイヤS3の他端S3bを端子金具6c1(又は6c2)に接続し、ワイヤS4の一端S4aを端子金具6c2(又は6c1)に接続し、ワイヤS2の一端S2aを端子金具6f1(又は6f2)に接続する。また、ワイヤS1の他端S1bを端子金具6f2(又は6c1)に接続する。そして、プリント基板上の配線パターン(ランド)を介して、端子金具6f1,6f2を短絡するとともに、端子金具6c1,6c2を短絡すれば、図1図3に示したパルストランス8と実質的に同じ機能を実現することができる。
【0053】
図8は、パルストランス8の等価回路である。
【0054】
図8に示すように、端子金具6aと6bは一対の平衡入力、つまり1次側のプラス側端子電極P1とマイナス側端子電極N1として用いられる。また、端子金具6eと6dは一対の平衡出力、つまり2次側のプラス側端子電極P2とマイナス側端子電極N2として用いられる。端子金具6c1,6c2は、入力側のセンタータップCT1として用いられ、実装時にランドLD1を介して互いに短絡される。端子金具6f1,6f2は、出力側のセンタータップCT2として用いられ、実装時にランドLD2を介して互いに短絡される。ワイヤS1,S2はパルストランスの一次巻線を構成し、ワイヤS3,S4はパルストランスの二次巻線を構成する。
【0055】
図9は、鍔部に設けられた各端子金具の底面部の形状を示す略平面図である。
【0056】
図9に示すように、鍔部4A側の4つの端子金具6a,6b,6c1,6c2のうち、端子金具6aと端子金具6c1とは、Y方向に延びる巻芯部3の中心軸Y0から見て左右対称な位置関係を有しており、端子金具6bも端子金具6c2と左右対称な位置関係を有する。同様に、鍔部4B側の4つの端子金具6d,6e,6f1,6f2のうち、端子金具6dと端子金具6f1は中心軸Y0から見て左右対称な位置関係を有しており、端子金具6eも端子金具6f2と左右対称な位置関係を有する。これらの端子金具を含むドラム型コアの構造は、重心点P0を中心にして二回対称となっており、端子金具6a,6b,6c1,6c2は、端子金具6d,6e,6f1,6f2とそれぞれ回転対称な関係を有する。
【0057】
鍔部4A側の端子金具6a,6bには、ワイヤS1の一端S1a,ワイヤS2の他端S2bがそれぞれ接続されており、端子金具6c1,6c2には、ワイヤS3の他端S3b,ワイヤS4の一端S4aがそれぞれ接続されている。
【0058】
ワイヤS1の一端S1aは、巻芯部3の一方の側面3a側から引き出されて端子金具6aに接続されている。ワイヤS4の一端S4aもワイヤS1の一端S1aとともに巻芯部3の一方の側面3a側から巻芯部3の中心軸Y0を横切って引き出されて端子金具6c2に接続されている。これに対し、ワイヤS3の他端S3bは、巻芯部3の他方の側面3b側から引き出されて端子金具6c1に接続されている。ワイヤS2の他端S2bもワイヤS3の他端S3bとともに巻芯部3の他方の側面3b側から巻芯部3の中心軸Y0を横切って引き出されて端子金具6bに接続されている。
【0059】
このように、ワイヤS1の一端S1aとワイヤS3の他端S3bとは、接続されるべき端子金具から近い方の巻芯部の側面から巻芯部3の中心軸Y0を横切ることなく引き出されて当該端子金具に接続される。そのため、鍔部4A側のワイヤS1,S3の引き出し部は対応する端子金具に接続される途中で他のワイヤとクロスしない。これに対し、ワイヤS2の他端S2bとワイヤS4の一端S4aは、接続されるべき端子金具から遠い方の巻芯部3の側面側から巻芯部3の中心軸Y0を横切って引き出されて当該端子金具に接続される。そのため、鍔部4A側のワイヤS2、S4の引き出し部は対応する端子金具に接続される途中で互いにクロスする。
【0060】
鍔部4B側の端子金具6d,6eには、ワイヤS4の他端S4b,ワイヤS3の一端S3aがそれぞれ接続されており、端子金具6f1,6f2には、ワイヤS2の一端S2a,ワイヤS1の他端S1bがそれぞれ接続されている。
【0061】
ワイヤS4の他端S4bは、巻芯部3の他方の側面3b側から引き出されて端子金具6dに接続されている。ワイヤS1の他端S1bもワイヤS4の他端S4bとともに巻芯部3の他方の側面3b側から巻芯部3の中心軸Y0を横切って引き出されて端子金具6f2に接続されている。これに対し、ワイヤS2の一端S2aは、巻芯部3の一方の側面3a側から引き出されて端子金具6f1に接続されている。ワイヤS3の一端S3aもワイヤS2の一端S2aとともに巻芯部3の一方の側面3a側から巻芯部3の中心軸Y0を横切って引き出されて端子金具6eに接続されている。
【0062】
このように、ワイヤS2の一端S2aとワイヤS4の他端S4bとは、接続されるべき端子金具から近い方の巻芯部の側面から巻芯部3の中心軸Y0を横切ることなく引き出されて当該端子金具に接続される。そのため、鍔部4B側のワイヤS2,S4の引き出し部は対応する端子金具に接続される途中で他のワイヤとクロスしない。これに対し、ワイヤS1の他端S1bとワイヤS3の一端S3aとは、接続されるべき端子金具から遠い方の巻芯部3の側面側から巻芯部3の中心軸Y0を横切って引き出されて当該端子金具に接続される。そのため、鍔部4B側のワイヤS1、S3の引き出し部は対応する端子金具に接続される途中で互いにクロスする。
【0063】
本実施形態において、4つの端子金具6a,6b,6c1,6c2の底面部TBのうち、外側の2つの端子金具6a,6c1の先端部の位置は、鍔部4Aの内側側面SUiまたはその近くまで達しているが、内側の2つの端子金具6b、6c2の先端部の位置は、鍔部4Aの外側側面SUo寄りにセットバックされている。
【0064】
ワイヤS2,S4の引き出し部は鍔部4Aの底面上において互いにクロスしているが、例えば端子金具6bがセットバックされていないとワイヤS4の一端S4aを端子金具6c2に接続する際にワイヤS4の途中が端子金具6bの先端部に接触してしまう。同様に、端子金具6c2がセットバックされていないとワイヤS2の他端S2bを端子金具6bに接続する際にワイヤS2の途中が端子金具6c2の先端部に接触してしまう。ワイヤS4,S2の途中が端子金具6b,6c2の先端部にそれぞれ接触しないように迂回させることも可能であるが、この場合、ワイヤS4,S2を急な角度で折り曲げる必要があり、端部の処理が複雑になる。
【0065】
しかし、本実施形態においては、内側の2つの端子金具6b,6c2の先端部がセットバックされているので、ワイヤの引き出し部が本来接続されるべき端子金具とは別の端子金具に接触することを回避することができる。一方、端子金具6a,6c1についてはセットバックがなく、その先端部は端子金具6b,6c2よりも鍔部4Aの内側側面に近く、特に鍔部4Aの内側側面によるエッジに接するか或いはそのできるだけ近くまで達しているので、ワイヤS1、S4の先端部を容易に接続することができる。なお、端子金具6b,6c2の先端部のセットバック量SBは、端子金具6a,6c1の先端部のセットバック量よりも多く、クロスするワイヤの途中の接触を回避できかつワイヤの端部を接続することができる限りにおいて特に限定されない。
【0066】
以上、鍔部4A側の端子金具6a,6b,6c1,6c2の構成について説明したが、鍔部4B側の端子金具6d,6e,6f1,6f2の構成も同様であり、内側の端子金具6e,6f2の先端部がセットバックされている。
【0067】
図10は、本発明の第3の実施形態によるパルストランス9の構造を示す図であって、鍔部に設けられた各端子金具の底面部の形状を示す略平面図である。
【0068】
図10に示すように、本実施形態によるパルストランス9は、図6図9に示したパルストランス8における2つの端子金具6c1,6c2の代わりにそれらの形成領域をカバーする1つの大きな端子金具6cを用い、2つの端子金具6f1,6f2の代わりにそれらの形成領域をカバーする1つの大きな端子金具6fを用いることを特徴とするものである。この場合、ワイヤS4の一端S4aを端子金具6cの内側領域6ci(又は外側領域6co)に接続し、ワイヤS3の他端S3bを端子金具6cの外側領域6co(又は内側領域6ci)に接続する。またワイヤS2の一端S2aを端子金具6fの外側領域6fo(又は内側領域6fi)に接続し、ワイヤS1の他端S1bを端子金具6fの内側領域6fi(又は外側領域6fo)に接続する。
【0069】
本実施形態において、3つの端子金具6a,6b,6cの底面部TBのうち、端子金具6aの先端部はセットバックがなく、鍔部4Aの内側側面によるエッジに接するか或いはその近くまで達しているが、内側の端子金具6bの先端部の位置は、鍔部4Aの外側側面SUo寄りにセットバックされている。さらに、端子金具6cの外側領域6coは先端部の位置は、端子金具6aと同様に鍔部4Aの内側側面によるエッジに接するか或いはその近くまで達しているが、内側領域6ciの先端部の位置は、鍔部4Aの外側側面SUo寄りにセットバックされている。
【0070】
ワイヤS2,S4の引き出し部は鍔部4Aの底面上において互いにクロスしているが、端子金具6cの内側領域6ciがセットバックされていないとワイヤS2の他端S2bを端子金具6bに接続する際にワイヤS2の途中が端子金具6cの内側領域6ciの先端部に接触してしまう。ワイヤS2の途中が端子金具6cの内側領域6ciの先端部に接触しないように迂回させることも可能であるが、この場合、ワイヤS2を急な角度で折り曲げる必要があり、巻線工程が複雑になる。
【0071】
しかし、本実施形態においては、幅広な端子金具6cの内側領域6ciの先端部がセットバックされているので、本来接続されるべき端子金具とは別の端子金具に接触することを回避することができる。一方、端子金具6cの外側領域6coについてはセットバックがなく、その先端部は鍔部4Aの内側側面のできるだけ近くまで達しているので、ワイヤS4の先端部を容易に接続することができる。なお、端子金具6cの内側領域6ciの先端部のセットバック量SBは、クロスするワイヤの途中の接触を回避できかつワイヤの端部を接続することができる限りにおいて特に限定されない。
【0072】
以上、鍔部4A側の端子金具6a,6b,6cの構成について説明したが、鍔部4B側の端子金具6d,6e,6fの構成も同様であり、端子金具6eと端子金具6fの内側領域6fiの先端部がセットバックされている。
【0073】
図11は、本発明によるパルストランスの端子電極構造の変形例を示す略平面図である。
【0074】
図11(a)〜(c)に示す端子電極構造は、鍔部4Aに設けられたすべての端子金具の先端部が一律にセットバックされたものである。このうち、図11(a)は第1の実施形態によるパルストランス1の変形例であって、3つの端子金具6a,6b,6cが設けられたものにおいて、上記特徴を有するものである。また、図11(b)は第2の実施形態によるパルストランス8の変形例であって、4つの端子金具6a,6b,6c1,6c2が設けられたものにおいて、上記特徴を有するものである。また、図11(c)は第3の実施の形態によるパルストランス9の変形例であって、幅広な端子金具6cの内側領域6ciと外側領域6coの両方がセットバックされている。また端子金具6a,6bの先端部もセットバックされている。
【0075】
図11(d)は、第3の実施形態によるパルストランス8のさらに別の変形例であって、図11(c)と同様、幅広な端子金具6cの内側領域6ciと外側領域6coの両方がセットバックされている。さらに、端子金具6bの先端部もセットバックされているが、端子金具6aの先端部はセットバックされていない。
【0076】
このように、図11(a)〜(d)に示したいずれの端子電極構造も、ワイヤS2又はS3の引き出し部の途中と接触するおそれがある端子金具の先端部がセットバックされているので、本来接続されるべき端子金具とは別の端子金具に接触することを回避することができる。
【0077】
図12は、本発明によるパルストランスの端子電極構造のさらなる変形例を示す略平面図である。
【0078】
図12に示すように、このパルストランス9は、端子金具6bの先端部が平坦ではなく、巻芯部3の中心軸Y0に向かって鍔部4Aの外側側面SUoに近づく方向に徐々に傾斜しており、外側側面SUo寄りに徐々にセットバックされている点にある。同様に、端子金具6eの先端部も平坦ではなく、巻芯部3の中心軸Y0に向かって鍔部4Bの外側側面SUoに近づく方向に徐々に傾斜しており、外側側面SUo寄りに徐々にセットバックされている点にある。その他の構成は第1の実施形態によるパルストランス1と同様である。このような構成であっても、第1の実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0079】
本発明は、以上の実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能であり、それらも本発明に包含されるものであることは言うまでもない。
【0080】
例えば、上記実施形態においては、鍔部に端子金具が接着されたタイプのパルストランスを例に説明したが、本発明の適用対象がこれに限定されるものではなく、鍔部に銀ペーストなどの導電性材料を直接塗布して端子電極を形成したタイプのパルストランスについても、本発明の適用対象である。これによれば、素材に対する固着力が強く、より緻密で強固な電極表面を形成することができ、耐浸食性及び耐衝撃性を高めることができる。
【符号の説明】
【0081】
1,1A〜1D,11,12 パルストランス
1R,1AR〜1DR パルストランスの搭載領域
2 ドラム型コア
3 巻芯部
3L 巻芯部の左側面
3R 巻芯部の右側面
4A,4B,21,22 鍔部
5 板状コア
6a〜6f,6c1,6c2,6f1,6f2 端子金具
6ci 端子金具の内側領域
6co 端子金具の外側領域
6fi 端子金具の内側領域
6fo 端子金具の外側領域
7 コイル
CT1 1次側センタータップ
CT2 2次側センタータップ
N1 1次側端子電極(マイナス側)
N2 2次側端子電極(マイナス側)
P1 1次側端子電極(プラス側)
P2 2次側端子電極(プラス側)
S1〜S4 ワイヤ
端子金具の底面部
端子金具の側面部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13