特許第5771239号(P5771239)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5771239
(24)【登録日】2015年7月3日
(45)【発行日】2015年8月26日
(54)【発明の名称】原子炉心
(51)【国際特許分類】
   G21C 5/00 20060101AFI20150806BHJP
   G21C 5/18 20060101ALI20150806BHJP
   G21C 17/10 20060101ALI20150806BHJP
   G21C 7/113 20060101ALI20150806BHJP
   G21C 7/08 20060101ALI20150806BHJP
【FI】
   G21C5/00 AGDB
   G21C5/00 BGDC
   G21C5/18
   G21C17/10 T
   G21C7/10 J
   G21C7/08 A
【請求項の数】8
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2013-130101(P2013-130101)
(22)【出願日】2013年6月21日
(65)【公開番号】特開2014-6256(P2014-6256A)
(43)【公開日】2014年1月16日
【審査請求日】2014年6月11日
(31)【優先権主張番号】13/531,514
(32)【優先日】2012年6月23日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】301068310
【氏名又は名称】グローバル・ニュークリア・フュエル・アメリカズ・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100137545
【弁理士】
【氏名又は名称】荒川 聡志
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 俊久
(74)【代理人】
【識別番号】100113974
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 拓人
(72)【発明者】
【氏名】グレゴリー・ジェイ・ピアーソン
(72)【発明者】
【氏名】アトゥル・アルン・カーヴ
【審査官】 村川 雄一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−145286(JP,A)
【文献】 特開平06−186372(JP,A)
【文献】 国際公開第98/041991(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G21C 1/00 − 7/36
G21C 21/00 −21/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のタイプの制御セルと
複数の第2のタイプの制御セルと、
を備える原子炉心であって、
前記第1のタイプの制御セルおよび前記第2のタイプの制御セルが、移動可能な反応度の制御要素に直接曝される燃料バンドルだけを含み、
前記第1のタイプの制御セルが、前記第2のタイプの制御セルの合成反応度よりも高い合成反応度を有し
前記炉心内に前記第1のタイプの制御セルよりもより多くの第2のタイプの制御セルがあり、
前記炉心が高経済性単純化沸騰水型原子炉炉心であり、前記炉心が、前記第2のタイプの少なくとも25個の制御セルを含む、
原子炉心。
【請求項2】
前記第2のタイプの制御セルの各燃料バンドルが燃焼しており、前記第1のタイプの制御セルの少なくとも1つの燃料バンドルが新しい、請求項1に記載の原子炉心。
【請求項3】
前記炉心の縁部から前記炉心の中心に向かって広がる外周領域と、
前記外周領域から前記中心に向かって広がり、前記第1のタイプの制御セル内で少なくとも1つの燃料バンドルを含む内周領域と、
前記内周領域から前記中心に向かって広がり、前記第2のタイプの制御セルの少なくとも1つを含む内側炉心領域と、
をさらに含む、請求項1または2に記載の原子炉心。
【請求項4】
前記内周領域が、3つのバンドルの厚さであり、新しい燃料バンドルの大多数を含む、請求項3に記載の原子炉心。
【請求項5】
前記外周領域が、3つのバンドルの厚さであり、前記内周領域が、前記炉心内の最高の反応度で燃料バンドルを含む、請求項4に記載の原子炉心。
【請求項6】
前記移動可能な反応度の制御要素が、十字形制御ブレードであり、
前記第1のタイプの制御セルおよび前記第2のタイプの制御セルが、前記十字形制御ブレードのうちの1つのコーナーごとに配置される4つの燃料バンドルだけを含む、
請求項1から5のいずれかに記載の原子炉心。
【請求項7】
前記内周が、前記第1のタイプの制御セルの前記少なくとも1つの燃料バンドルよりも高い燃料の濃縮度を有する新しい燃料バンドルを含む、請求項1から6のいずれかに記載の原子炉心。
【請求項8】
前記第1のタイプの制御セルが、少なくとも2つの新しい燃料バンドルを含み、
前記第2のタイプの制御セルが、新しい燃料バンドルを含まない、
請求項1から7のいずれかに記載の原子炉心。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原子炉炉心および運転方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図1は、いくつかの関連技術の核燃料バンドル10、および既存の原子力技術でよく出会う炉心構成要素の説明図である。図1に示すように、いくつかの個々の燃料棒を含む1つまたは複数の燃料バンドル10は、従来の燃料配置方式で原子炉の炉心内に配置され得る。チャンネル20は、バンドル10ごとに燃料棒を囲んでもよく、バンドル10内で指向性の冷却材および/または減速材の流れをもたらし、および/または単一の剛体としてバンドル10の操作を容易にする。制御棒または十字形制御ブレード60は、中性子を吸収し、反応度を制御し、最終的に燃料バンドル10の間からの挿入または引き抜きの程度によって反応度を制御するために、バンドル間で設定された炉心の位置から延びていてもよい。燃料支持体70が、バンドル10を炉心内の一定の位置で支持および位置合わせすることができる。
【0003】
図2は、炉心のある四半分内の燃料バンドルの位置を示す、関連技術の沸騰水型原子炉(BWR)炉心の四半分のマップである。典型的には、原子炉の炉心は、図2の四半分のマップが炉心全体の構成を伝えるように、少なくとも2本の垂直軸に関して好都合に対称である。図2に示すように、個々のバンドルの位置は、炉心内の出力運転の開始前、燃料サイクルの開始時に、新しい(斜め模様またはクロスハッチの塗りつぶしで示される)燃料バンドル、または燃焼した(塗りつぶしで示されていない)燃料バンドルによって占められている。新しいバンドルは、これまで出力運転中に中性子束に曝されたことがないバンドル、すなわち、まだ燃焼していないバンドルであり、それに対して、燃焼した燃料バンドルは、典型的には1〜2年続く1回または複数回の燃料サイクルにわたってそのような被曝を受けている。したがって、典型的には、燃焼した燃料バンドルは、数GWd/STの被曝または燃焼をともなっている。
【0004】
新しい燃料バンドルは、核分裂性物質の含有量に関して異なる開始時濃縮度を有してもよい。例えば、一部のBWRの設計では、(クロスハッチの塗りつぶしで示される)外側濃縮バンドルは、約4.3%のウラン235燃料を含みるものであり、(斜め模様の塗りつぶしで示される)内側濃縮バンドルは、約4.2%のウラン235燃料を含み得る。図2に示すものなどの濃縮の変化によって、炉心内のより平坦な径方向出力分布を可能にし、および/または他の運転上の効果を実現することができる。さらに、一部のBWRの設計では、バンドルは、反応度を抑制し、動作特性を最適化するために、異なる分布および濃度の可燃性毒物/中性子吸収材を保有することもできる。図2に示すように、起動時に、関連技術の核燃料炉心は、新しい高濃縮燃料バンドルの内周リングを囲む古くなった燃料バンドルの外周リングを含む。一様な分布にわたって新しい燃料の含有量を最大にし、より短い停止時間でより長い運転サイクルを可能にするために、中央領域は、50%以上の新しいバンドルを含み得る。
【0005】
関連技術のBWRでは、中性子を吸収し、炉心内の核分裂連鎖反応を制御するために、十字形制御ブレード60は、4つの燃料バンドルの配置の間の中央に延在する。図2に示すように、間を制御ブレードが延在する4つの燃料バンドルの配置は、制御されたバンドルまたは制御セルとして太字の輪郭内に特定される。従来、制御されたバンドルのグループ内のバンドルは、燃料サイクル中に使用される制御ブレードに最も近い一面を有し、そのようなバンドルは、制御されたバンドルと呼ばれ、そのポジションは、4つのバンドルの制御セル内の制御されたポジションと呼ばれる。従来、反応度および出力分布を管理し、炉心内のいくつかの異なるブレードおよび新しい燃料バンドル全体にわたって制御ブレードの使用を広げるために、四半分当たり通常4つまたは5つの異なる制御セル内の異なる制御ブレードが、様々な複雑な制御ブレードのシーケンスで交互に挿入および引き抜されている。
【0006】
図2に示すように、一様な炉心分布にわたってより長いサイクルで使用される新しい燃料バンドルの個数を最大にするために、いくつかの新しい燃料バンドルが、炉心の内側部分内の操作された制御ブレードに隣接した制御されたポジションに配置されてもよい。制御ブレードの従来の操作により、中央炉心部分内の全ての新しい燃料バンドルは、制御することができ、燃料サイクル全体を通じて、反応度を細かく制御するために、能動的に動かされる制御ブレードを直接被曝させる。制御された位置で新しい燃料バンドルを使用することは、プラントの経済性を悪化させるこのポジショニングにより、後のサイクルで悪化する腐食およびチャンネルの曲がり、ならびに複雑でおよび/または低い出力の制御ブレードのシークエンスの交換を実行する必要性を含むいくつかの問題を引き起こす。いくつかの関連技術の燃料炉心は、動作される制御ブレードの最も近くに燃焼した燃料バンドルだけが配置される制御セル炉心装填方式(Control Cell Core loading strategy)を用いることによってこの問題を避けてきており、炉心の中央部で、より短い運転サイクルで使用される新しいバンドルがより少なくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許出願公開第2007/0008998号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
例示の実施形態は、合計の反応度が異なる少なくとも2つの制御セルのタイプを含む原子炉心を含む。異なる制御セルのタイプは、燃料および炉心の性能を強化する個数および/またはポジションに配置することができる。例示の炉心は、より低い反応度の燃料バンドルを備える最外領域と、外周領域に沿って並び、より高い反応度の燃料バンドルおよび最外制御セルの少なくとも一部を有する内周領域と、内周領域に沿って並び、より低い反応度の燃料バンドルだけを備える内側制御セルを有する内側炉心とを備えることができる。より低い反応度のバンドルは、燃焼されていてもよく、より高い反応度のバンドルは、新しいものであってもよく、例えば、外側制御セルは、2つの新しい燃料バンドルを含むことができ、内側制御セルは、燃焼した燃料バンドルだけを含むことができる。しかし、反応度の差は、燃料の濃縮度の変更、可燃性毒物の存在などによって実現することもできる。従来のBWRに関する一例では、内周領域は、3つのバンドルの厚さであってもよく、その大部分は、より高い反応度の燃料バンドルであってもよく、外周領域は、3つのバンドルの厚さであり得る。この例では、13個の内側制御セルがあり得る。例示の実施形態は、BWRまたは特定の配置に限定されないが、制御棒、またはブレードの各コーナーに配置される4つの燃料バンドルを有する十字形制御ブレードで形成される制御セルを含む任意のタイプの炉心制御セルのセットアップに適合する。異なる炉心の幾何学的形状は、例示の実施形態を容易に装備し、すなわち例えば、ESBWRでは、内側炉心領域は、25個の内側制御セルを有し得る。
【0009】
例示の方法は、複数のタイプの制御セルを備える原子炉心を生成および/または運転するステップを含む。例えば、炉心は、例示の実施形態の炉心を形成するように装填されてもよい。例示の方法では、内側制御セルの中にだけある制御要素は、3GWd/ST後など数週間または数カ月の運転の後のシークエンスの交換時を除いて、炉心の反応度を制御するために移動することができる。そのようなシークエンスの交換では、内側制御セルを用いて日々の反応度の制御を再開するために、外側制御セル内の制御要素の単一の粗い移動を行ってもよい。サイクルの終わり近くでは、反応度が最も低いとき、炉心内の反応度は、内側制御セルだけを用いて制御することができ、外側制御セル内の制御要素は、完全に引き抜くことができる。
【0010】
例示の実施形態および方法は、サイクルごとに高い(約50%)新しい燃料の容量を用意することができ、より長いサイクルおよびより良いプラントの経済性を可能にする。例示の方法および実施形態は、炉心の周縁および内側部分における反応度により、高出力密度、および分離している燃料のタイプによる低い漏洩をさらに提供する。例示の方法および実施形態により、内側炉心内の制御要素の単純化され妨げられない移動はさらに、ネガティブな制御要素と燃料の相互作用を引き起こすことなく反応度を十分に制御することを可能にするかもしれない。
【0011】
例示の実施形態は、添付図面を詳細に説明することによってより明らかになろう。同じ要素は、同じ参照符号によって表されており、それらは例示によって与えられるものに過ぎず、したがってそれらが示す用語を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】制御要素に対する十字形ブレードを有する炉心の中に装填される関連技術の燃料バンドルの説明図である。
図2】関連技術の商用原子炉炉心の四半分のマップである。
図3】例示の実施形態の原子炉心の四半分のマップである。
図4】別の例示の実施形態の原子炉心の四半分のマップである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
これは特許文献であり、この文献を読んで理解するときは、構文に関しては一般的な幅広い規則が適用されるべきである。本文献に記載および図示されているあらゆるものは、添付の特許請求の範囲内に包含される主題の一例である。本明細書に開示された任意の特定の構造および機能の詳細は、例示の実施形態の製造および使用の仕方、または方法を説明するためのものに過ぎない。本明細書に具体的に開示されていないいくつかの異なる実施形態は、特許請求の範囲内に包含される。したがって、特許請求の範囲は、多くの代替の形態で具体化することができ、本明細書に記載した例示の実施形態のみに限定されると解釈されるべきではない。
【0014】
第1、第2などの用語が、様々な要素を説明するために本明細書に使用され得るが、これらの要素は、これらの用語によって限定されるべきではないことが理解されよう。第1、第2などの用語は、ある要素を別の要素から区別するために使用されるものに過ぎない。例えば、例示の実施形態の範囲から逸脱することなく、第1の要素は第2の要素と呼ぶこともでき、同様に、第2の要素は第1の要素と呼ぶこともできる。本明細書で用いられる場合、用語「および/または」は、関連して列挙した項目の1つまたは複数の任意の組み合わせおよび全ての組み合わせを含む。
【0015】
ある要素が、別の要素に「接続される(connected)」、「結合される(coupled)」、「噛み合わされる(mated)」、「取り付けられる(attached)」、または「固定される(fixed)」と呼ばれるとき、ある要素は、他の要素に直接接続もしくは直接結合することができ、または介在する要素が存在してもよいことが理解されよう。対照的に、ある要素が、別の要素に「直接接続される(directly connected)」もしくは「直接結合される(directly coupled)」と呼ばれるとき、介在する要素は存在しない。要素間の関係を説明するために使用される他の単語は、(例えば、「間に(between)」に対して「直接間に(directly between)」、「隣接した(adjacent)」に対して「直接隣接した(directly adjacent)」などの)似ているやり方で解釈されるべきである。同様に、「通信可能に接続される(communicatively connected)」などの用語は、ワイヤレスであろうとなかろうと接続される中継デバイス、ネットワークなどが含まれる2つのデバイス間の情報交換のルートの全ての変形を含む。
【0016】
本明細書で用いられる場合、単数形の「a」、「an」および「the」は、言い回しが「たった1つ(only)」、「単一の(single)」、および/または「1つ(one)」のような単語を用いて特段に明示的に示されない限り、単数形と複数形の両方を含むことが意図される。用語「備える、含む(comprises)」、「備える、含む(comprising)」、「含む、備える(includes)」および/または「含む、備える(including)」は、本明細書で用いられる場合、記載した特徴、ステップ、動作、要素、概念、および/または構成要素の存在を明示するが、他の特徴、ステップ、動作、要素、構成要素、概念および/またはそれらのグループの1つまたは複数の存在または追加を排除しないことがさらに理解されよう。
【0017】
以下に述べる構造および動作は、図に記載および/または言及される順序から離れて生じてもよいことにも留意されたい。例えば、連続して示される2つの動作および/または図は、含まれる機能/作用に応じて、実際には、同時に実行されてもよく、または場合によっては逆の順序で実行されてもよい。同様に、以下の記載の例示の方法内の個々の動作は、以下に記載の単一の動作の他にループまたは他の一連の動作を行うように、反復的に、個々に、または連続的に実行されてもよい。以下に記載の特徴および機能を有する任意の実施形態は、実現可能な任意の組み合わせで、例示の実施形態の範囲内に包含されると考えられるべきである。
【0018】
出願人は、いくらかの燃料バンドルの近くに制御要素が配置されているいくつかの異なるタイプの核燃料炉心に既存の問題を認識している。特に、出願人は、サイクルの任意の開始時に核燃料炉心内で新しい燃料を最大化することは、より長いサイクルの運転時間を可能にし、運転停止期間を減少させるが、そのような最大化は、新しい燃料バンドルを制御要素の直接隣に配置させることにもなり得、それによって腐食、チャンネルブレードの干渉、およびペレット被覆管相互作用を含む燃料の寿命についていくつかの問題を引き起こし得ることを把握している。新しい燃料バンドルが制御要素に直接隣接して配置されない制御セル炉心管理技法は、炉心内に配置できる新しい燃料の量を制限し、ならびに出力管理のために最適なポジションに新しい燃料を配置することを制限し、燃焼率/効率が悪化し、運転サイクルがより短くなることを、出願人はさらに認識している。以下、例示の実施形態および方法は、原子力プラントの種々の配列に関する関連した核燃料管理技法において出願人によって特定されるこれらの問題および他の問題に一意的に対処する。

例示の実施形態
本発明の例示の実施形態は、制御要素に隣接してより低い割合でより高い反応度の燃料を有する核燃料炉心を含む。より低い反応度の燃料は、全体の燃料の含有量および炉心の運転耐用年数の実質的な維持を可能にしつつ、制御要素に隣接してより大きい割合で配置される。例示の実施形態は、直接の制御要素の被曝を受ける2つ以上の異なるタイプのポジションを形成しており、すなわち、燃焼した燃料および/またはより低濃縮の燃料がより高い密度を有する第1のタイプのより数多くの制御されたポジションと、新しい燃料および/またはより高濃縮の燃料がより高い密度を有する第2のタイプのより少数の制御されたポジションとである。例示の実施形態における様々な領域内の異なるタイプの制御されたポジションの特定の配置は、炉心設計および反応度の必要性に基づいて変更され得るという理解の下で、どのようにこの構成がいくつかの異なる炉心設計にわたって実現できるのかを説明する特定の例示の実施形態を以下に述べる。任意の特定のプラントのタイプ、燃料のタイプ、濃縮レベル、被曝レベル、および/またはこれらの例示の実施形態で述べられる制御要素の構成は、限定するものではなく、例示の実施形態を実施できる原子炉技術の幅広さの例に過ぎないことがさらに理解されよう。例示の実施形態を形成および使用する例示の方法は、その後に説明する。
【0019】
図3は、例示の実施形態の燃料炉心100の四半分のマップであり、例えば、図3は、ある特定のサイクルのための初期の装填マップであり得る。炉心100は、既存の沸騰水型原子炉に使用可能であり得るものであり、例えば、炉心100は、図2の関連した燃料炉心装填方式と同様のプラントに使用可能であり得る。図3に示すように、炉心100は、17個のバンドルの半径四半分などの典型的なBWR燃料炉心の幾何学的形状を含むことができる。
【0020】
例示の実施形態の炉心100は、外周120、内周130、および内側炉心140の3つの領域で見えるようになされ得る。外周120は、原子炉内で炉心の縁部から3つの燃料バンドルの厚さまであってもよく、大部分は、燃焼した燃料バンドル111(塗りつぶされていない)を含んでもよい。燃焼した燃料バンドル111は、以前の運転サイクルで燃焼された、または他のやり方で中性子束に曝された、あるいは新しい燃料バンドルよりもかなり低い反応度を有するバンドルである。
【0021】
内周130は、3つの燃料バンドルの厚さまであってもよく、より高濃縮の新しい燃料バンドル110(クロスハッチの塗りつぶし)をより高い割合で含むことができる。内側炉心140は、内周130内の炉心の残りを含み、より低濃度の新しい燃料バンドル112(斜め模様の塗りつぶし)と燃焼した燃料バンドル111との混合物を含む。新しい燃料バンドル110および112は、燃焼した燃料バンドル111に比べて、以前に中性子束の被曝がほとんどまたは全くないものであり得る。例えば、新しい燃料バンドル110および112は、炉心の運転でこれまで使用されていない新たに製造したバンドルであり得る。より高濃縮の新しい燃料バンドル110およびより低濃縮の新しい燃料バンドル112は、炉心100の運転および最適化に必要な程度だけ核分裂性物質の濃縮度が異なり得る。例えば、より高濃縮の新しい燃料バンドル110は、4.3%のウラン235燃料を含有することができ、より低濃縮の新しい燃料バンドル112は、約4.2%のウラン235燃料を含むことができる。燃料バンドル110および112は、可燃性吸収材の別個の分布および濃度もそれぞれ有することができる。
【0022】
他の例示の実施形態では、燃焼した燃料バンドル111、より高濃縮の新しい燃料バンドル110、およびより低濃縮の新しい燃料バンドル112は、例示の実施形態の炉心100中のバンドル110、111および112の間と同じ反応度の差を実現するために、同じ古さであるが初期濃縮度および可燃性吸収材濃度の異なる燃料バンドルに置き換えられてもよい。同様に、反応度の差は、より高濃縮の新しい燃料バンドル110、より低濃縮の新しい燃料バンドル112、および燃焼した燃料バンドル111の代わりに、同じ初期濃縮度であるが、新しい燃焼した1サイクルまたは燃焼した2サイクルなどの3つの異なる運転用の被曝レベルを有するバンドルを用いて実現することができる。またさらに、全ての新しい燃料バンドル110および112の間の反応度および濃縮度の差は、単一の燃料のタイプおよび濃縮度が例示の炉心全体じゅうで使用される場合のように、存在しないかまたは最小であり得、ただ、燃料バンドルの古さだけが異なる。
【0023】
図2および図3を比較すると、例示の実施形態の炉心100は、内周領域130内により多くの新しい燃料バンドルを備え、内側炉心140内では新しい燃料バンドルおよび古くなった燃料バンドルの厳密な市松模様にこだわらないことが分かり得る。このようにして、例示の実施形態の炉心100は、最大の運転サイクルの長さのために装填される関連技術の炉心と実質的に同じ量の新しい燃料バンドル110および112ならびに/または核分裂性質量および反応度を含むことができる。内側炉心140内の燃焼した燃料バンドル111とより低濃縮の新しいバンドル112の間の厳密な市松模様の変化の代わりに、例示の実施形態の炉心100は、より多くの燃焼したバンドル111を含む燃料バンドルのいくつかの配置を含む。図3に見られるように、4つの燃焼した燃料バンドル111は、非優先制御セル141より少ない新しい燃料バンドルを含む優先制御セル142を形成するように、制御ブレードを中心にして配置することができる。例えば、図3に示すように、制御されるバンドルの位置を囲む黒い実線によって示される優先制御セル142は、燃焼した燃料バンドル111だけを含み得る。優先制御セル142は、内側領域140内の最内制御セルであり得る。制御されるバンドルの位置を囲む黒の破線によって示される非優先制御セル141は、図1の関連技術の炉心と同様に、燃焼した燃料バンドル111と新しいバンドル112の混合物を含んでもよく、優先制御セル142の外側の内周130の近くまたは内に配置することができる。
【0024】
図4は、例示の実施形態の燃料炉心200の四半分のマップであり、例えば、図4は、ある特定のサイクルのための初期の装填マップであり得る。図4の例における炉心200は、高経済性単純化沸騰水型原子炉(ESBWR)で使用可能であり得る。図4に示すように、炉心200は、19個のバンドルの半径四半分などの、典型的なESBWR燃料炉心幾何学的形状を含むことができる。
【0025】
例示の実施形態の炉心200は、外周220、内周230、および内側炉心240の3つの領域で見えるようになされ得る。外周220は、原子炉内で炉心の縁部から3つの燃料バンドルの厚さまであってもよく、大部分は、一度燃焼した燃料バンドル213(ダッシュの塗りつぶし)、および二度燃焼した燃料バンドル211(塗りつぶされていない)を含んでもよい。燃焼した燃料バンドル211および213は、以前の運転サイクルで燃料された、または他のやり方で中性子束に曝された、あるいは新しい燃料バンドルよりもかなり低い反応度を有するバンドルである。例えば、一度燃焼した燃料バンドル213は、知られているESBWR炉心において単一の2年運転サイクルから約15〜23GWd/STの被曝を有し、二度燃焼した燃料バンドル211は、35〜40GWd/STの被曝のようにより多く燃焼している可能性がある。
【0026】
内周230は、1つから3つの燃料バンドルの厚さであってもよく、より高い割合のより高濃縮の新しい燃料バンドル210(クロスハッチの塗りつぶし)を含むことができる。内側炉心240は、内周230内の炉心の残りを含み、大部分のより低濃縮の新しい燃料バンドル212(斜め模様の塗りつぶし)と一度燃焼した燃料バンドル213との混合物を含む。新しい燃料バンドル210および212は、燃焼した燃料バンドル211および213に比べて、以前に中性子束の被曝がほとんどまたは全くないものであり得る。例えば、新しい燃料バンドル210および212は、炉心の運転でこれまで使用されていない新たに製造したバンドルであり得る。より高濃縮の新しい燃料バンドル210およびより低濃縮の新しい燃料バンドル212は、炉心200の運転および最適化に必要な程度だけ核分裂性物質の濃縮度が異なり得る。例えば、より高濃縮の新しい燃料バンドル210は、4.3%のウラン235燃料を含有することができ、より低濃縮の新しい燃料バンドル212は、約4.2%のウラン235燃料を含むことができる。燃料バンドル210および212は、可燃性吸収材の別個の分布および濃度もそれぞれ有することができる。
【0027】
他の例示の実施形態では、二度燃焼した燃料バンドル211、一度燃焼した燃料バンドル213、より高濃縮の新しい燃料バンドル210、およびより低濃縮の新しい燃料バンドル212は、例示の実施形態の炉心200内のバンドル210、211、212および213の間と同じ反応度の差を実現するために、同じ古さであるが初期濃縮度および可燃性吸収材濃度の異なる燃料バンドルに置き換えられてもよい。同様に、反応度の差は、より高濃縮の新しい燃料バンドル210、より低濃縮の新しい燃料バンドル212、および燃焼した燃料バンドル211および213の代わりに、同じ初期濃度であるが、新しい燃焼した1サイクルまたは燃焼した2サイクルなどの3つの異なる運転用の被曝レベルを有するバンドルを用いて実現することができる。またさらに、新しい燃料バンドル210および212の間の反応度および濃縮度の差は、単一の燃料のタイプおよび濃縮度が例示の炉心全体じゅうで使用される場合のように、存在しないかまたは最小であり得、ただ、燃料バンドルの古さだけが異なる。
【0028】
例示の実施形態の炉心200は、最大の運転サイクルの長さのために装填される関連技術のESBWRの炉心と実質的に同じ量の新しい燃料バンドル210および212ならびに/または核分裂性質量を含むことができる。例示の実施形態の炉心200は、より多くの燃焼したバンドル211および/または213を含む燃料バンドルのいくつかの配置を含む。図4に見られるように、4つの一度燃焼した燃料バンドル213は、非優先制御セル241より少ない新しい燃料バンドルおよび反応度を含む優先制御セル242を形成するように、制御ブレードを中心にして配置することができる。例えば、図4に示すように、制御されるバンドルの位置を囲む黒い実線によって示される優先制御セル242は、一度燃焼した燃料バンドル213だけを含むことができる。優先制御セル242は、内側領域240内の最内制御セルであり得る。制御されるバンドルの位置を囲む黒の破線によって示される非優先制御セル241は、燃焼した燃料バンドル211および213と新しいバンドル112の混合物を含んでもよく、内周230の近くまたは内に配置することができる。
【0029】
例示の実施形態の炉心は、2010年7月25日に出願した、名称「OPTIMIZED FUEL ASSEMBLY CHANNELS AND METHODS OF CREATING THE SAME」の共有に係る出願12/843,037に記載された燃料集合体と共に使用可能であり、これは参照により全体として本明細書に組み込まれる。例えば、例示の実施形態の炉心内の制御されたポジションに配置される燃料バンドルは、シャドー腐食に対して追加的に保護するようにジルカロイ−4と共にチャンネルを使用することができる。
【0030】
他の例示の実施形態の炉心は、適切なタイプの炉心および制御要素の配置について行われるサイズおよび初期濃縮度の修正と共に、改良型沸騰水型原子炉、他の軽水炉および重水炉、または反応度を制御するために使用可能である炉心中に延びる核分裂連鎖反応の制御構造を有する任意の原子炉に使用可能であり得る。

例示の方法
例示の方法は、原子炉心を装填するステップ、および/または原子炉心を運転するステップを含む。例示の方法は、例示の実施形態に上述したように装填される原子炉心の特定の利点を用いることができるが、例示の方法および実施形態は、別個に使用することができることが理解されよう。
【0031】
運転停止の間または他の時間の間、炉心が装填のために利用可能であるとき、操作者または他の集団は、上記の例示の実施形態に記載のものと一致する装填パターンを実現するように炉心を装填することができる。例えば、既存の燃料バンドルは、燃料バンドルの古さ、濃縮度、および/または反応度に基づいて、古くなった燃料のポジションに混ぜられてもよい。そのような混ぜ合わせは、内周および内側炉心内の非優先の制御された位置の周りにいくつかのポジションを開けることができる。所望のいくつかの最も古いまたは最低の機能の燃料バンドルが、炉心から取り出されてもよい。新しい燃料バンドルは、濃縮度または他のパラメータに基づいて、燃料の混ぜ合わせによって明け渡された位置で手に入れられ、装着することができる。そのような混ぜ合わせによって、上記の例示の実施形態または関連した実施形態に似ている燃料炉心を作り上げることができる。
【0032】
炉心の運転中、制御要素を、核分裂連鎖反応を制御するために使用することができる。例えば、関連技術のBWRでは、反応度を制御するために、十字形制御ブレードが、制御セル内で4つの隣接したバンドルの間に延在し得る。例示の方法は、炉心内で日々の反応度を細かく制御するために、比較的低い反応度を有するおよび/または以前に燃焼して新しくない燃料バンドルに直接隣接する制御要素だけを用いることを含む。例示の方法では、新しいまたはより高い反応度の燃料バンドルに直接隣接した制御要素は、比較的静止しており、燃料サイクル中にいくつかの設定点での粗い反応度の調整のみに使用される。これらの制御要素は、炉心から完全に取り除くことができ、すなわち、サイクルの後の部分の間、反応度の制御には全く使用されない。
【0033】
図4の例示の実施形態に関連した特定の例示の方法として、操作者または他の集団は、炉心200の内側炉心240の中央領域内の制御ブレードに関連した燃焼した燃料だけを含む優先制御セル242を生成するように、ESBWRの炉心200を装填することができる。いくつかの新しいおよび/または高い反応度燃料バンドルを含む非優先制御セル241は、優先制御セル242の外側の、内周領域230の近くまたは内の制御ブレードのポジションに生成される。運転について約3GWd/STごとの間隔で行われるシークエンス交換中、例えば、非優先セル241内の制御ブレードは、所望の粗い反応度の制御のポジションまで動かすことができる。あるいは、非優先セル241内の制御ブレードは、反応度の制御のために動かすことを求められることはなく、優先制御セル242内の制御ブレードだけが、このシーケンスを通じて細かい反応度の制御のために動かされてもよい。最後の四半分の運転の間、約15GWd/STのサイクルの平均被曝で、例えば、非優先セル241内の制御ブレードは、完全に引き抜かれてもよく、反応度を制御するのに必要ではない。サイクル中の全ての時点で、優先セル242に関連した制御ブレードは、炉心の反応度の細かい調整を行うために、自由に動かすことができる。サイクルの最後の四半分の間、優先セル242内の制御ブレードは、炉心の反応度を制御するために単独で使用することができる。すなわち、優先セル242内の制御ブレードは、約15GWd/STの後の炉心200内の唯一のブレードであり得る。
【0034】
例示の実施形態および/または方法は、制御要素に直接隣接して新しいまたはより高い反応度の燃料を配置することに関連した問題を低減または無くしつつ、より高い出力密度でより長い運転サイクルに対応するのに十分な大きさの新しい燃料のリロードバッチサイズで、既存および将来設計される原子炉内の燃料炉心を提供することができる。炉心の内周の周りにより大きい数で、および限られた制御されたポジションの数で新しい燃料を配置することによって、新しいまたは高い反応度の燃料を含まないいくつかの内側の制御されたポジションを有する低い漏洩の炉心を提供することができる。このようにして、シャドー腐食、ペレット被覆管相互作用、および結果として生じるチャンネルの歪み、およびネガティブな制御要素−チャンネルの相互作用は、アクティブな制御要素の最も近くに最も新しいおよび/または最も高い反応度の燃料バンドルの配置を避けることによって低減することができる。より長い運転サイクルの適合性、高い出力密度、より低い漏洩、およびチャンネルの歪みの低減に加えて、例示の実施形態および/または方法は、核燃料炉心が、単純化された制御要素のやり方を用いて運転されることを可能にし得る。特に、例示の実施形態および方法は、制御要素の一部だけが、即座の細かい反応度の制御に使用されることを可能にし、運転サイクル全体を通じて合計の制御要素のシーケンスおよび交換の数を減少させ、および/またはそのような複雑な交換中に出力を下げる必要を低減することができる。これらおよび他の利点、および新しく認識された炉心の運転上の問題に対する解決策は、上記の様々な例示の実施形態および方法によって対処される。
【0035】
かくして、例示の実施形態および方法を説明したが、例示の実施形態が、添付の特許請求の範囲内になお包含されつつ、日常の実験を通じて変更および置換できることが当業者には理解されよう。例えば、種々の異なる核燃料のタイプおよび炉心設計は、装填および運転の方式を通じて、炉心の幾何学的形状または構造的ないかなる変更もともなわずに、例示の実施形態および方法に簡単に適合し、これは特許請求の範囲内に包含される。そのような変更は、これらの特許請求の範囲内から逸脱するとみなされるべきではない。
【符号の説明】
【0036】
10 燃料バンドル
20 チャンネル
60 制御ブレード
70 燃料支持体
100 例示の実施形態の燃料炉心
111 燃焼した燃料バンドル
112 新しい燃料バンドル
120 外周
130 内周
140 内側炉心
141 非優先制御セル
142 優先制御セル
200 例示の実施形態の炉心
210 より高濃縮の新しい燃料バンドル
211 二度燃焼した燃料バンドル
212 より低濃縮の新しい燃料バンドル
213 一度燃焼した燃料バンドル
220 外周
230 内周
240 内側炉心
241 非優先制御セル
242 優先制御セル
図1
図2
図3
図4