(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
所定の時間単位であるサブフレーム(SF)と所定の周波数帯域単位であるリソースブロック(RB)とをそれぞれ1以上含む複数の無線リソース領域(1〜8)を有し、当該無線リソース領域の周波数軸方向の位置が所定時間間隔(T)ごとに変化する試験信号を移動通信端末(50)に送信する試験信号送信手段(40)と、
前記移動通信端末から前記試験信号に応答した応答信号を受信する応答信号受信手段(14)と、
前記無線リソース領域に予め定められた時間軸方向の位置と周波数軸方向の位置との対応情報に基づいて前記応答信号の特性値を時間領域から周波数領域に変換する特性値変換手段(31)と、
前記応答信号の周波数領域の特性値を表示する周波数領域特性値表示手段(17)と、
を備え、
前記試験信号送信手段は、互いに隣接する無線リソース領域が前記時間軸方向及び前記周波数軸方向の少なくともいずれか一方で連続している無線リソース領域群を有する前記試験信号を前記移動通信端末に送信するものであることを特徴とする移動通信端末試験装置。
前記特性値変換手段は、前記無線リソース領域の前記時間軸方向の位置及び前記周波数軸方向の位置をそれぞれ示す予め定められた時刻と周波数との対応情報に基づいて、前記時間領域における前記応答信号の特性値に対応する時刻をこの時刻に対応する周波数に置換することにより、前記応答信号の特性値を前記時間領域から前記周波数領域に変換するものであることを特徴とする請求項1に記載の移動通信端末試験装置。
前記試験信号送信手段は、時間の経過とともに、前記無線リソース領域に予め定められた基準周波数(f1〜f8)が順次高くなるよう設定された無線リソース領域群を有する前記試験信号を前記移動通信端末に送信するものであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の移動通信端末試験装置。
前記試験信号送信手段は、時間の経過とともに、前記各無線リソース領域に予め定められた基準周波数(f1〜f8)が順次低くなるよう設定された無線リソース領域群を有する前記試験信号を前記移動通信端末に送信するものであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の移動通信端末試験装置。
前記試験信号送信手段は、互いに隣接する無線リソース領域が前記時間軸方向において所定のリソースブロック数で互いに重なり合っている無線リソース領域群を有する前記試験信号を前記移動通信端末に送信するものであることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の移動通信端末試験装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、前述のような広帯域の信号が用いられるようになると、それを受信する移動通信端末の受信機能の周波数特性が問題になる。そのため、移動通信端末の開発にあたり、移動通信端末の受信機能の周波数特性を評価することが重要となる。
【0006】
ここで、移動通信端末に組み込まれる受信部の部品単体(例えば増幅器)を評価対象とするのであれば、信号発生器とスペクトラムアナライザを用いて周波数特性を評価することが可能である。しかしながら、移動通信端末の受信機能の周波数特性を評価することは困難であった。
【0007】
本発明は、前述のような事情に鑑みてなされたものであり、移動通信端末の受信機能の周波数特性を容易に評価することができる移動通信端末試験装置及び移動通信端末試験方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の請求項1に係る移動通信端末試験装置は、所定の時間単位であるサブフレーム(SF)と所定の周波数帯域単位であるリソースブロック(RB)とをそれぞれ1以上含む複数の無線リソース領域(1〜8)を有し、当該無線リソース領域の周波数軸方向の位置が所定時間間隔(T)ごとに変化する試験信号を移動通信端末(50)に送信する試験信号送信手段(40)と、前記移動通信端末から前記試験信号に応答した応答信号を受信する応答信号受信手段(14)と、前記無線リソース領域に予め定められた時間軸方向の位置と周波数軸方向の位置との対応情報に基づいて前記応答信号の特性値を時間領域から周波数領域に変換する特性値変換手段(31)と、前記応答信号の周波数領域の特性値を表示する周波数領域特性値表示手段(17)と、を備え、前記試験信号送信手段は、互いに隣接する無線リソース領域が前記時間軸方向及び前記周波数軸方向の少なくともいずれか一方で連続している無線リソース領域群を有する前記試験信号を前記移動通信端末に送信するものである構成を有している。
【0009】
この構成により、本発明の請求項1に係る移動通信端末試験装置は、無線リソース領域に予め定められた時間軸方向の位置と周波数軸方向の位置との対応情報に基づいて応答信号の特性値を時間領域から周波数領域に変換する特性値変換手段と、応答信号の周波数領域の特性値を表示する周波数領域特性値表示手段と、を備えるので、移動通信端末の受信機能の周波数特性を評価することができる。
【0010】
本発明の請求項2に係る移動通信端末試験装置は、前記特性値変換手段は、前記無線リソース領域の前記時間軸方向の位置及び前記周波数軸方向の位置をそれぞれ示す予め定められた時刻と周波数との対応情報に基づいて、前記時間領域における前記応答信号の特性値に対応する時刻をこの時刻に対応する周波数に置換することにより、前記応答信号の特性値を前記時間領域から前記周波数領域に変換するものである構成を有している。
【0011】
この構成により、本発明の請求項2に係る移動通信端末試験装置は、時間領域における応答信号の特性値に対応する時刻をこの時刻に対応する周波数に置換することにより、応答信号の特性値を時間領域から周波数領域に変換することができる。
【0012】
本発明の請求項3に係る移動通信端末試験装置は、前記試験信号送信手段は、時間の経過とともに、前記無線リソース領域に予め定められた基準周波数(f1〜f8)が順次高くなるよう設定された無線リソース領域群を有する前記試験信号を前記移動通信端末に送信するものである構成を有している。
【0013】
この構成により、本発明の請求項3に係る移動通信端末試験装置は、低い周波数から高い周波数に向かう方向において、移動通信端末の受信機能の周波数特性を評価することができる。
【0014】
本発明の請求項4に係る移動通信端末試験装置は、前記試験信号送信手段は、時間の経過とともに、前記各無線リソース領域に予め定められた基準周波数(f1〜f8)が順次低くなるよう設定された無線リソース領域群を有する前記試験信号を前記移動通信端末に送信するものである構成を有している。
【0015】
この構成により、本発明の請求項4に係る移動通信端末試験装置は、高い周波数から低い周波数に向かう方向において、移動通信端末の受信機能の周波数特性を評価することができる。
【0016】
本発明の請求項5に係る移動通信端末試験装置は、前記試験信号送信手段は、互いに隣接する無線リソース領域が前記時間軸方向において所定のリソースブロック数で互いに重なり合っている無線リソース領域群を有する前記試験信号を前記移動通信端末に送信するものである構成を有している。
【0017】
この構成により、本発明の請求項5に係る移動通信端末試験装置は、各周波数における応答信号の特性値の測定ばらつきを相対的に小さくすることができる。
【0018】
本発明の請求項6に係る移動通信端末試験装置は、前記試験信号送信手段は、前記無線リソース領域群が前記時間軸方向に繰り返し配置された試験信号を前記移動通信端末に送信するものであって、前記応答信号の周波数領域の特性値について平均値を求める平均値取得手段(32)をさらに備え、前記周波数領域特性値表示手段は、前記平均値取得手段が求めた前記特性値の平均値を表示するものである構成を有している。
【0019】
この構成により、本発明の請求項6に係る移動通信端末試験装置は、各周波数での特性ばらつきを比較的小さくすることができる。
【0020】
本発明の請求項7に係る移動通信端末試験方法は、移動通信端末(50)を試験する移動通信端末試験方法であって、所定の時間単位であるサブフレームと所定の周波数帯域単位であるリソースブロックとをそれぞれ1以上含む複数の無線リソース領域(1〜8)を有し、当該無線リソース領域の周波数軸方向の位置が所定時間間隔(T)ごとに変化する試験信号を前記移動通信端末に送信する試験信号送信ステップ(S12)と、前記移動通信端末から前記試験信号に応答した応答信号を受信する応答信号受信ステップ(S13)と、前記無線リソース領域に予め定められた時間軸方向の位置と周波数軸方向の位置との対応情報に基づいて前記応答信号の特性値を時間領域から周波数領域に変換する特性値変換ステップ(S15)と、前記応答信号の周波数領域の特性値を表示する周波数領域特性値表示ステップ(S16)と、を含み、前記試験信号送信ステップにおいて、互いに隣接する無線リソース領域が前記時間軸方向及び前記周波数軸方向の少なくともいずれか一方で連続している無線リソース領域群を有する前記試験信号を前記移動通信端末に送信する構成を有している。
【0021】
この構成により、本発明の請求項7に係る移動通信端末試験方法は、無線リソース領域に予め定められた時間軸方向の位置と周波数軸方向の位置との対応情報に基づいて応答信号の特性値を時間領域から周波数領域に変換する特性値変換ステップと、応答信号の周波数領域の特性値を表示する周波数領域特性値表示ステップと、を含むので、移動通信端末の受信機能の周波数特性を評価することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明は、移動通信端末の受信機能の周波数特性を容易に評価することができるという効果を有する移動通信端末試験装置及び移動通信端末試験方法を提供することができるものである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。なお、本発明に係る移動通信端末試験装置を、LTE通信規格に基づいて通信する移動通信端末を試験するものに適用した例を挙げて説明する。
【0025】
まず、本発明に係る移動通信端末試験装置の一実施形態における構成について説明する。
【0026】
図1に示すように、本実施形態における移動通信端末試験装置10は、制御部20、解析部30、試験信号送信部40、サーキュレータ13、受信部14、復号部15、表示制御部16、表示部17、操作部18を備えている。この移動通信端末試験装置10は、UE(移動通信端末)50を試験するものである。
【0027】
制御部20は、無線リソース領域を割り当てる無線リソース領域割当部21と、無線リソース領域の時間軸方向の位置と周波数軸方向の位置との対応関係を示す時間周波数対応情報を管理する時間周波数対応管理部22と、を備えている。また、制御部20は、例えばCPU、ROM、RAM等を備え、ROMに予め記憶されたプログラムに従って装置全体の動作を制御するようになっている。
【0028】
無線リソース領域割当部21は、時間周波数対応管理部22が管理する時間周波数対応情報に基づいて、UE50と通信するための無線リソース領域を割り当てるようになっている。すなわち、BB信号出力部11が、試験信号のベースバンドの波形データを予め生成して記憶する場合は、この波形データの生成の際に、時間周波数対応管理部22が記憶する時間周波数対応情報に従って無線リソース領域の割り当てがされた波形データを生成するようにBB信号出力部11を制御し、試験信号を出力する際に、この時間周波数対応情報に対応する波形データを選択して出力するようにBB信号出力部11を制御する。また、BB信号出力部11が実際の基地局と同様に、与えられた試験データに各送信レイヤ処理を行ってベースバンド信号を生成して出力する構成の場合は、この処理の際に、時間周波数対応管理部22が記憶する時間周波数対応情報に従って無線リソース領域の割り当てを行うようにBB信号出力部11を制御する。
【0029】
時間周波数対応管理部22は、無線リソース領域の時間軸方向の位置と周波数軸方向の位置との対応関係を示す時間周波数対応情報を予め記憶して管理するようになっている。この時間周波数対応情報は、試験者が操作部18を操作することによって、任意に設定されるようになっている。
【0030】
試験信号送信部40は、BB信号出力部11、送信部12を備えている。この試験信号送信部40は、本発明に係る試験信号送信手段を構成する。
【0031】
BB信号出力部11は、試験信号のベースバンドの波形データを予め生成して記憶するようになっている。また、BB信号出力部11は、制御部20からの制御信号に従って、制御部20が指定した試験信号のベースバンドの波形データを送信部12に出力するようになっている。なお、BB信号出力部11は、実際の基地局と同様に、与えられた試験データに各送信レイヤ処理を行ってベースバンド信号を生成して送信部12に出力する構成であってもよい。
【0032】
送信部12は、BB信号出力部11が出力したベースバンド信号を、D/A変換、直交変調、周波数変換し、試験信号としてUE50に送信するようになっている。
【0033】
ここで、送信部12が送信する試験信号に含まれる無線リソース領域について
図2に基づき説明する。
【0034】
図2に示すように、送信部12が送信する試験信号は、8つの無線リソース領域1〜8を含む少なくとも1つの無線リソース領域群を有するものである。無線リソース領域1〜8は、それぞれ、1以上の整数n個のサブフレーム(SF)と、1以上の整数m個のリソースブロック(RB)とで構成されている。LTE通信規格では、1サブフレームは1msecであり、1リソースブロックは180kHzである。ここで、
図2では、無線リソース領域の数を8つとしているが、これはあくまでも例である。無線リソース領域の数は2以上ならいくつでもよい。
【0035】
本実施形態では、無線リソース領域1の時間的な先頭位置を時刻t0で表すとともに、無線リソース領域1〜8について、それぞれの時間軸方向の位置を各中心時刻t1〜t8で表し、それぞれの周波数軸方向の位置を各中心周波数f1〜f8で表している。この各中心周波数f1〜f8は、本発明に係る基準周波数に対応しており、時間の経過とともに順次周波数が高くなっている。また、各中心時刻t1〜t8の時間間隔をT、各中心周波数f1〜f8の周波数間隔をFで表している。なお、無線リソース領域1〜8について、各時間軸方向の位置は中心時刻に限定されず、また、各周波数軸方向の位置は中心周波数に限定されない。例えば、中心時刻に代えて、時刻t0を基準とした時間で表してもよい。
【0036】
図2に示すように、時間軸方向においては、例えば、無線リソース領域1の最後尾位置は無線リソース領域2の先頭位置と一致し、無線リソース領域2の最後尾位置は無線リソース領域3の先頭位置と一致している。一方、周波数軸方向においても、例えば、無線リソース領域1の最後尾位置は無線リソース領域2の先頭位置と一致し、無線リソース領域2の最後尾位置は無線リソース領域3の先頭位置と一致している。
【0037】
すなわち、送信部12は、互いに隣接する無線リソース領域が時間軸方向及び周波数軸方向において連続している無線リソース領域群を有する試験信号を送信するようになっている。換言すれば、送信部12は、1つの無線リソース領域の周波数軸方向の位置を所定時間間隔Tごとに周波数間隔Fだけずらした無線リソース領域群を有する試験信号を送信するものである。
【0038】
次に、時間周波数対応管理部22が管理する時間周波数対応情報について
図3に基づき説明する。
【0039】
図3に示すように、時間周波数対応管理部22は、無線リソース領域1〜8について、時間軸方向の位置と周波数軸方向の位置との対応関係を示すテーブルを記憶している。図示の例では、無線リソース領域1〜8について、それぞれの中心時刻であるt1〜t8と、それぞれの中心周波数f1〜f8とが関連付けられている。このテーブルの各値は、試験者が操作部18を操作することによって、任意に設定されるようになっている。なお、試験信号が複数種類ある場合は、時間周波数対応管理部22は、時間周波数対応情報を試験信号ごとに管理する構成を有する。
【0040】
なお、移動通信端末試験装置10は、BB信号出力部11からベースバンド信号を出力し、送信部12で周波数変換を行って試験信号を出力する構成となっている。このため、時間周波数対応情報に従って、制御部20がBB信号出力部11を制御する際は、周波数変換による周波数差が考慮される。すなわち、時間周波数対応管理部22が、ベースバンドにおける周波数情報を、
図3に示す時間周波数対応情報にさらに対応付けて記憶しておく。あるいは、無線リソース領域割当部21が、上述の周波数差を考慮してBB信号出力部11を制御する。
【0041】
サーキュレータ13は、同軸ケーブルを介してUE50に接続されている。試験データの送信時においては、サーキュレータ13は、試験信号を含むRF信号を送信部12から入力し、UE50に送信するようになっている。また、サーキュレータ13は、試験信号に応答した応答信号を含むRF信号をUE50から入力し、受信部14に出力するようになっている。応答信号は、UE50の受信機能の特性値を含んでいる。例えば、UE50の受信機能の特性値として、応答信号は、受信レベル、受信品質、スループット等の特性を含む。
【0042】
受信部14は、UE50から受信したRF信号を復調し、UE50の応答信号を含むベースバンド信号を復号部15に出力するようになっている。この受信部14は、本発明に係る応答信号受信手段を構成する。
【0043】
復号部15は、受信部14からUE50の応答信号を含むベースバンド信号を入力して復号し、制御部20及び解析部30に出力するようになっている。
【0044】
解析部30は、応答信号の特性値を時間領域から周波数領域に変換する時間周波数変換部31と、特性値を平均化する特性値平均化部32を備え、応答信号が含む受信レベル、受信品質、スループット等の特性を取得するようになっている。なお、時間周波数変換部31は、本発明に係る特性値変換手段を構成し、特性値平均化部32は、本発明に係る平均値取得手段を構成する。
【0045】
具体的には、解析部30は、受信レベルの特性値を対象とする場合は、応答信号に含まれるRSRP(Reference Signal Received Power:基準信号受信電力)の周波数特性を取得するようになっている。また、解析部30は、受信品質の特性値を対象とする場合は、応答信号に含まれるRSRQ(Reference Signal Received Quality:基準信号受信品質)の周波数特性を取得するようになっている。なお、RSRP又はRSRQを取得する場合は、無線リソース領域1〜8の各時間幅が、例えば12フレーム(=120サブフレーム)であるときは、UE50は、12フレームごとに応答信号を移動通信端末試験装置10に返す。
【0046】
さらに、解析部30は、スループットの特性値を対象とする場合は、応答信号に含まれるACK(ACKnowledgement)信号及びNACK(Negative ACKnowledgement)信号をカウントし、そのカウント数に基づいて算出したスループットの周波数特性を取得するようになっている。なお、ACK信号は、UE50への送信信号に対してUE50が受信に成功した場合に送信する受信成功を示す信号であり、NACK信号は、UE50への送信信号に対してUE50が受信に失敗した場合に送信する受信不成功を示す信号である。なお、ACK信号及びNACK信号を取得する場合は、UE50は、例えば1サブフレームごとに応答信号を移動通信端末試験装置10に返す。
【0047】
時間周波数変換部31は、時間周波数対応管理部22から時間周波数対応情報を入力し、この時間周波数対応情報に基づいて、応答信号の特性値を時間領域から周波数領域に変換するようになっている。
【0048】
特性値平均化部32は、時間周波数変換部31が時間領域から周波数領域に変換した特性値を、必要に応じて平均化するようになっている。
【0049】
ここで、時間周波数変換部31が行う時間領域から周波数領域への変換処理について
図4に示した概念図に基づき説明する。
【0050】
図4(a)は、時間周波数変換部31が復号部15から入力したUE50の応答信号の一例を示している。横軸は時間軸であり、縦軸は特性値を表す。時間軸に示した時刻t1〜t8は、
図2に示したように、無線リソース領域1〜8の時間軸方向の位置を示している。時刻t1〜t8に対応して、特性値1a〜8aが得られている。例えば、特性値1aは無線リソース領域1の特性値を示し、特性値2aは無線リソース領域2の特性値を示す。特性値1a〜8aにより、時間領域での特性値のグラフ51が得られる。なお、特性値を基準信号受信電力とした場合、例えば特性値1aは、無線リソース領域1内の所定の基準信号受信電力であってもよいし、無線リソース領域1全体の基準信号受信電力を平均化したものであってもよい。
【0051】
時間周波数変換部31は、時間周波数対応管理部22から時間周波数対応情報(
図3参照)を入力することにより、時刻t1〜t8がそれぞれ周波数f1〜f8に対応することがわかる。したがって、時間周波数変換部31は、
図4(a)に示した時刻t1〜t8を周波数f1〜f8にそれぞれ置換することにより、解析部30は、
図4(b)に示す周波数領域での特性値1b〜8bを得る。この特性値1b〜8bは、周波数領域でのグラフ52を構成し、UE50の受信機能の周波数特性を表している。
【0052】
表示制御部16は、周波数領域でのグラフ52を表示部17の画面に表示させる表示制御を行うようになっている。
【0053】
表示部17は、表示制御部16の表示制御に従って、周波数領域でのグラフ52を画面に表示するようになっている。この表示部17は、本発明に係る周波数領域特性値表示手段を構成する。
【0054】
操作部18は、試験者が操作するものであり、例えば、無線リソース領域に含まれるサブフレーム数及びリソースブロック数、試験対象とする周波数帯域幅、時間周波数対応情報等に関する設定を行うためのディスプレイ、キーボード、ダイヤル又はマウスのような入力デバイス、これらを制御する制御回路等で構成される。
【0055】
次に、本実施形態における移動通信端末試験装置10の動作について
図5に示すフローチャートを用いて説明する。
【0056】
BB信号出力部11は、制御部20からの制御信号に従って、制御部20が指定した、無線リソース領域の割り当てがされたベースバンドの試験信号を送信部12に出力する(ステップS11)。
【0057】
送信部12は、BB信号出力部11が出力したベースバンド信号を、D/A変換、直交変調、周波数変換し、試験信号としてUE50に送信する(ステップS12)。
【0058】
受信部14は、無線リソース領域1〜8を有する各試験信号に対するUE50の各応答信号をサーキュレータ13経由でUE50から受信する(ステップS13)。受信信号は、受信部14によってベースバンドの信号に変換され、復号部15によって復号化される。
【0059】
解析部30は、復号部15の出力信号を入力し、時間領域の特性値1a〜8a(
図4(a)参照)を取得する(ステップS14)。
【0060】
時間周波数変換部31は、時間周波数対応管理部22から時間周波数対応情報を入力し、この時間周波数対応情報に基づいて、
図4(a)に示した時刻t1〜t8を周波数f1〜f8にそれぞれ置換することにより、応答信号の特性値を時間領域から周波数領域に変換する(ステップS15)。その結果、解析部30は、受信部14の周波数特性を示す特性値1b〜8b(
図4(b)参照)を得る。なお、必要に応じて、特性値平均化部32は、周波数領域に変換された特性値を平均化する。
【0061】
表示制御部16は、解析部30が取得した特性値1b〜8bを表示部17の画面に表示させる表示制御を行い、表示部17は、特性値1b〜8bと周波数との対応を示すグラフ52を表示する(ステップS16)。
【0062】
以上のように、本実施形態における移動通信端末試験装置10は、無線リソース領域1〜8に予め定められた中心時刻と中心周波数との対応情報に基づいて応答信号の特性値を時間領域から周波数領域に変換する時間周波数変換部31と、応答信号の周波数領域の特性値を表示する表示部17と、を備える構成としたので、UE50の受信機能の周波数特性を評価することができる。
【0063】
なお、前述の実施形態では、LTE通信規格を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されず、所定の時間単位であるサブフレームと所定の周波数帯域単位であるリソースブロックとをそれぞれ1以上含む無線リソース領域を有する試験信号を送信することができる通信方式、例えばLTE−Advaned通信規格であっても前述と同様の効果が得られる。
【0064】
(無線リソース領域群の変形例)
次に、送信部12が試験信号を送信する際に用いる無線リソース領域群の変形例について、
図6〜
図10に基づき説明する。
【0065】
無線リソース領域群の第1の変形例は、
図6に示すように、互いに隣接する無線リソース領域が、時間軸方向において連続し、周波数軸方向において所定のリソースブロック数で互いに重なり合って連続した状態になっている。すなわち、
図6に示した無線リソース領域1〜8の各周波数帯域幅は、
図2に示したものよりも広くなっている。この無線リソース領域群を有する試験信号を送信した場合は、応答信号の周波数分解能は相対的に悪くなるが、各周波数における応答信号の特性値の測定ばらつきが相対的に小さくなる。したがって、周波数分解能及び測定ばらつきのどちらに重点をおくかを考慮して無線リソース領域の各周波数帯域幅を設定するのが好ましい。
【0066】
無線リソース領域群の第2の変形例は、
図7に示すように、無線リソース領域1〜8を含む無線リソース領域群が時間軸方向で繰り返されるものである。この無線リソース領域群を有する試験信号を送信した場合は、特性値平均化部32が周波数ごとに特性値を平均化することにより、解析部30が周波数ごとに平均化した特性値を取得することができ、各周波数での特性ばらつきを比較的小さくすることができる。具体的には、t11の無線リソース領域に対する特性値と、t21の無線リソース領域に対する特性値とを平均化して、f1の特性値を取得する。同様に、t12とt22、t13とt23、・・・で平均化を行う。
【0067】
無線リソース領域群の第3の変形例は、
図8に示すように、時間経過とともに、無線リソース領域1〜8の各中心周波数f1〜f8が順次低くなるよう設定された無線リソース領域群である。この無線リソース領域群を有する試験信号を送信した場合も、前述の実施形態(
図2参照)と同様の効果が得られる。
【0068】
無線リソース領域群の第4の変形例は、
図9に示すように、互いに隣接する無線リソース領域が、時間軸方向で連続し、周波数軸方向では連続せず所定のリソースブロック数で離隔している無線リソース領域群である。この無線リソース領域群を有する試験信号を送信した場合も、前述の実施形態(
図2参照)と同様の効果が得られる。
【0069】
無線リソース領域群の第5の変形例は、
図10に示すように、互いに隣接する無線リソース領域が、周波数軸方向で連続し、時間軸方向では連続せず所定のサブフレーム数で離隔している無線リソース領域群である。この無線リソース領域群を有する試験信号を送信した場合も、前述の実施形態(
図2参照)と同様の効果が得られる。
【0070】
なお、これらの変形例は、必要に応じて組み合わせてもよい。