【実施例】
【0037】
実施例1
酢酸塩の製造
約40−50mgのN−ヒドロキシ−3−[4−[[[2−(2−メチル−1H−インドール−3−イル)エチル]アミノ]メチル]フェニル]−2E−2−プロペンアミド遊離塩基一水和物を、1mlの表1に挙げられた溶媒に懸濁した。化学量論量の酢酸を、その後懸濁液に添加した。本混合物を60℃または環境温度のいずれかで撹拌した(透明な溶液が形成されたとき、撹拌を4℃で続けた)。固体を濾過により回収し、XRPD、TGAおよび数例で
1H−NMRで分析した。
【表1】
【0038】
アセトン中の塩形成反応は、非常に結晶性の塩を生じ、1:1のN−ヒドロキシ−3−[4−[[[2−(2−メチル−1H−インドール−3−イル)エチル]アミノ]メチル]フェニル]−2E−2−プロペンアミド対アセテート比で、化学量論アセトン溶媒和物
Aとして同定された。イソプロピルアルコールおよび酢酸エチル中の60℃での塩形成反応は同じ結晶性の、溶媒和されていない酢酸塩(形態A)を生じた。105℃以上での付随する重量損失は水の損失(塩が水和物ならば)または酢酸の損失もしくは両方のいずれかによる。
【0039】
実施例2
安息香酸塩の製造
約40〜50mgのN−ヒドロキシ−3−[4−[[[2−(2−メチル−1H−インドール−3−イル)エチル]アミノ]メチル]フェニル]−2E−2−プロペンアミド遊離塩基一水和物を、1mlの表2に挙げられた溶媒に懸濁した。化学量論量の安息香酸をその後懸濁液に添加した。本混合物を環境温度で撹拌した(透明な溶液が形成されたとき、撹拌を4℃で続けた)。固体を濾過により回収し、XRPD、TGAおよび数例で
1H−NMRで分析した。
【表2】
【0040】
エタノール単独および水と一緒の中での塩形成反応は、同じエタノール溶媒和物
Aを生じた。化学量論のプロトン化塩基:ベンゾエート:エタノールはNMRにより1:1:0.5である。溶媒損失および分解は10℃/分の加熱速度での密集した事象(closely spaced event)であり、そしてエタノール含有量は最初測定できなかった。最終的に、それは120℃で10分間保持することにより測定した。5.2%のLODは、式単位あたり0.5モルのエタノールに相当する。イソプロピルアルコール単独および水と一緒の中で同じイソプロパノール(IPA)溶媒和物Bを生じた。化学量論のプロトン化塩基:ベンゾエートはNMRで1:1である。溶媒損失および分解は10℃/分の加熱速度で密集しており、イソプロパノール含有量は最初測定できなかった。最終的に、それは120℃で10分間保持することにより測定した。6.3%LODは、式単位あたり0.5モルのIPAに相当する。溶媒含有量およびXRPDパターンに基づき、2種の溶媒和物AおよびSBは異性体構造(isostructural)である。アセトン中の塩形成反応は、何等溶媒または水を含まず、優秀結晶化度および高分解温度の1:1化学量論塩の安息香酸塩を生じた(形態A)。
【0041】
実施例3
塩酸塩の形成
約40〜50mgのN−ヒドロキシ−3−[4−[[[2−(2−メチル−1H−インドール−3−イル)エチル]アミノ]メチル]フェニル]−2E−2−プロペンアミド遊離塩基を、1mlの表3に挙げられた溶媒に懸濁した。化学量論量の塩酸をその後懸濁液に添加した。本混合物を60℃または環境温度のいずれかで撹拌した(透明な溶液が形成されたとき、撹拌を4℃で続けた)。固体を濾過により回収し、XRPD、TGAおよび数例で
1H−NMRで分析した。
【表3】
【0042】
上記5種の反応すべて同じ結晶性塩を生じた。本塩は無水であり、高温で分解した。
【0043】
実施例4
ヘミクエン酸塩の形成
約40〜50mgのN−ヒドロキシ−3−[4−[[[2−(2−メチル−1H−インドール−3−イル)エチル]アミノ]メチル]フェニル]−2E−2−プロペンアミド遊離塩基を、1mlの表4に挙げられた溶媒に懸濁した。化学量論量のクエン酸をその後懸濁液に添加した。本混合物を60℃または環境温度のいずれかで撹拌した(透明な溶液が形成されたとき、撹拌を4℃で続けた)。固体を濾過により回収し、XRPD、TGAおよび数例で
1H−NMRで分析した。
【表4】
【0044】
60℃への加熱(アセトンおよびエタノール)、ならびに水の導入(60℃でイソプロピルアルコールと水、アセトンと水)により、溶媒または水を何等含まない非常に結晶性の塩を生じた。環境/60℃でのアセトンについての高LOD値は、結晶性粉末内の無晶性物質の存在による。化学量論の塩は、シトレートイオンについての予測されるピークが溶媒のものと同時であるため、DMSO−d
6中の
1H−NMRでは測定できなかった。しかしながら、
13C−NMR分光学は177.3および171.6ppmで2個の
13C=Oシグナルを示した。前者はプロトン化カルボン酸基および後者は非プロトン化カルボキシレートによる。
【0045】
実施例5
ヘミフマル酸塩の形成
約40〜50mgのN−ヒドロキシ−3−[4−[[[2−(2−メチル−1H−インドール−3−イル)エチル]アミノ]メチル]フェニル]−2E−2−プロペンアミド遊離塩基一水和物を、1mlの表5に挙げられた溶媒に懸濁した。化学量論量のフマル酸をその後懸濁液に添加した。本混合物を60℃または環境温度のいずれかで撹拌した(透明な溶液が形成されたとき、撹拌を4℃で続けた)。固体を濾過により回収し、XRPD、TGAおよび数例で
1H−NMRで分析した。
【表5】
【0046】
イソプロピルアルコールおよびアセトン中の環境温度での塩形成反応は、化学量論2:1(プロトン化塩基:フマレート)のフマル酸塩、すなわち、ヘミフマル酸塩を生じた。これらのいずれも溶媒和物ではないが、それらは劣等結晶化度および低分解温度を有した。イソプロピルアルコールの環境温度でのLODは、水の損失と関連している可能性が最もある。エタノール、エタノールと水、およびイソプロピルアルコールと水中の、全ての環境温度または60℃での塩形成反応は、化学量論2:1(プロトン化塩基:フマレート)のフマル酸塩、すなわち、ヘミフマル酸塩を生じた。エタノールおよび水およびイソプロピルアルコールおよび水(1:0.05)中の、環境または60℃での塩形成反応は、同一XRPDスペクトルを生じた(無水形態A)。エタノールにより環境温度で形成された塩のスペクトルは、似ているにもかかわらず、いくつかの小さな差を示し、それは、類似構造の、独特なヘミフマレート多形(形態B)を示し得る。
【0047】
実施例6
ゲンチシン酸塩の形成
約40〜50mgのN−ヒドロキシ−3−[4−[[[2−(2−メチル−1H−インドール−3−イル)エチル]アミノ]メチル]フェニル]−2E−2−プロペンアミド遊離塩基を、1mlの表6に挙げられた溶媒に懸濁した。化学量論量の2,5−ジヒドロキシ安息香酸(ゲンチシン酸)をその後懸濁液に添加した。本混合物を60℃または環境温度のいずれかで撹拌した(透明な溶液が形成されたとき、撹拌を4℃で続けた)。固体を濾過により回収し、XRPD、TGAおよび数例で
1H−NMRで分析した。
【表6】
【0048】
製造したゲンチシン酸塩は非常に結晶性で、無水であり、非常に高温で分解した。化学量論の塩はNMRで1:1である。
【0049】
実施例7
一水和物DL−乳酸塩の形成
約40〜50mgのN−ヒドロキシ−3−[4−[[[2−(2−メチル−1H−インドール−3−イル)エチル]アミノ]メチル]フェニル]−2E−2−プロペンアミド遊離塩基を、1mlの表7に挙げられた溶媒に懸濁した。化学量論量の乳酸をその後懸濁液に添加した。本混合物を環境温度で撹拌し、透明溶液が形成されたとき、撹拌を4℃で続けた。固体を濾過により回収し、XRPD、TGAおよび
1H−NMRで分析した。
【表7】
【0050】
イソプロピルアルコールおよびアセトン中、4℃での塩形成反応は、化学量論(1:1)DL−乳酸塩、一水和物を生じた。本塩は結晶性であり、77℃を超えて脱水し始め、150℃を超えて分解した。
【0051】
実施例8
マレイン酸塩の形成
約40〜50mgのN−ヒドロキシ−3−[4−[[[2−(2−メチル−1H−インドール−3−イル)エチル]アミノ]メチル]フェニル]−2E−2−プロペンアミド遊離塩基一水和物を、1mlの表8に挙げられた溶媒に懸濁した。化学量論量のマレイン酸をその後懸濁液に添加した。本混合物を60℃または環境温度のいずれかで撹拌した(透明な溶液が形成されたとき、撹拌を4℃で続けた)。固体を濾過により回収し、XRPD、TGAおよび数例で
1H−NMRで分析した。
【表8】
【0052】
イソプロピルアルコールおよびアセトン中、60℃での塩形成反応は、〜180℃以上で分解する非常に結晶性の、無水固体を生じた。マレイン酸は、N−ヒドロキシ−3−[4−[[[2−(2−メチル−1H−インドール−3−イル)エチル]アミノ]メチル]フェニル]−2E−2−プロペンアミドと1:1塩を形成した唯一のジカルボン酸であった。その
1H−NMRスペクトルは、2個のオレフィンプロトンに対応する6.01ppmでの共鳴、および1個の非プロトン化カルボン酸による10.79ppmの共鳴を示す。マレイン酸はまた高水含有量の塩も形成し、その水は穏やかな加熱条件下で無くなる。エタノール中での塩形成反応(RT〜4℃)が水和物を形成しそうである(形態H
A)。
【0053】
実施例9
ヘミリンゴ酸塩の形成
約40〜50mgのN−ヒドロキシ−3−[4−[[[2−(2−メチル−1H−インドール−3−イル)エチル]アミノ]メチル]フェニル]−2E−2−プロペンアミド遊離塩基一水和物を、1mlの表9に挙げられた溶媒に懸濁した。化学量論量のリンゴ酸をその後懸濁液に添加した。本混合物を60℃または環境温度のいずれかで撹拌した(透明な溶液が形成されたとき、撹拌を4℃で続けた)。固体を濾過により回収し、XRPD、TGAおよび数例で
1H−NMRで分析した。
【表9】
【0054】
エタノールおよび水、エタノールおよびイソプロピルアルコール中の塩形成反応は同じ結晶性および無水のヘミリンゴ酸塩を生じた。エタノールおよび水(1:0.05)およびエタノールの間のLODの差異は、2個のサンプル中の無晶性物質の異なる量を反映し得る。アセトン中の塩形成反応は、〜95℃以上で連続的に重量を失う異なるヘミリンゴ酸塩を提供した。この塩はアセトン溶媒和物(形態S
A)である。溶媒損失および分解は、密集した熱事象である。
【0055】
実施例10
ヘミマロン酸塩の形成
約40〜50mgのN−ヒドロキシ−3−[4−[[[2−(2−メチル−1H−インドール−3−イル)エチル]アミノ]メチル]フェニル]−2E−2−プロペンアミド遊離塩基を、1mlの表10に挙げられた溶媒に懸濁した。化学量論量マロン酸をその後懸濁液に添加した。本混合物を60℃または環境温度のいずれかで撹拌した(透明な溶液が形成されたとき、撹拌を4℃で続けた)。固体を濾過により回収し、XRPD、TGAおよび数例で
1H−NMRで分析した。
【表10】
【0056】
全反応は同じヘミマロン酸塩を提供した。結晶化度は通常良好であるが、無晶性ハローが全てのXRPDスペクトルで見られた。これらの物質と結合している水は、恐らく無晶性要素による増加した水分吸着によるものである。合成中の環境条件が、良質の塩を生じる。
【0057】
実施例11
メシル酸塩の形成
約40〜50mgのN−ヒドロキシ−3−[4−[[[2−(2−メチル−1H−インドール−3−イル)エチル]アミノ]メチル]フェニル]−2E−2−プロペンアミド遊離塩基一水和物を、1mlの表11に挙げられた溶媒に懸濁した。化学量論量のメタンスルホン酸をその後懸濁液に添加した。本混合物を60℃または環境温度のいずれかで撹拌した(透明な溶液が形成されたとき、撹拌を4℃で続けた)。固体を濾過により回収し、XRPD、TGAおよび数例で
1H−NMRで分析した。
【表11】
【0058】
酢酸エチル中の塩形成反応は、室温での撹拌により黄色塩を生じた。本塩(形態A)は結晶性であり、2段階重量損失を示し、NMRによると、何等溶媒を含まないが、1分子を超えるメタンスルホネート(メシレート)を有するように見える。アセトン中の塩形成反応は、60℃で加熱後白色粉末の単離を提供した。それは優秀結晶化度を示したが、1種を超える多形性形態(形態AおよびB)の混合物であり得る。NMRによると、それは何等溶媒を含まないが、1分子を超えるメタンスルホネートを含むように見える。反応を環境温度で開始し、次いで得られた帯黄色粉末懸濁液を50℃に加熱する、酢酸エチル中の他の塩形成反応は、
図5に示す新規形態Bの単離を提供する。
【0059】
実施例12
シュウ酸塩の形成
約40〜50mgのN−ヒドロキシ−3−[4−[[[2−(2−メチル−1H−インドール−3−イル)エチル]アミノ]メチル]フェニル]−2E−2−プロペンアミド遊離塩基を、1mlの表12に挙げられた溶媒に懸濁した。化学量論量の塩形成剤シュウ酸をその後懸濁液に添加した。本混合物を60℃または環境温度のいずれかで撹拌した(透明な溶液が形成されたとき、撹拌を4℃で続けた)。固体を濾過により回収し、XRPD、TGAおよび数例で
1H−NMRで分析した。
【表12】
【0060】
シュウ酸塩は、シュウ酸のN−ヒドロキシ−3−[4−[[[2−(2−メチル−1H−インドール−3−イル)エチル]アミノ]メチル]フェニル]−2E−2−プロペンアミドの懸濁液への添加により直ぐに沈殿したが、単離が困難であり、濾過中に水を吸収するように見えた。
【0061】
実施例13
リン酸塩の形成
約40〜50mgのN−ヒドロキシ−3−[4−[[[2−(2−メチル−1H−インドール−3−イル)エチル]アミノ]メチル]フェニル]−2E−2−プロペンアミド遊離塩基一水和物を、1mlの表13に挙げられた溶媒に懸濁した。化学量論量のリン酸をその後懸濁液に添加した。本混合物を60℃または環境温度のいずれかで撹拌した(透明な溶液が形成されたとき、撹拌を4℃で続けた)。固体を濾過により回収し、XRPD、TGAおよび数例で
1H−NMRで分析した。
【表13】
【0062】
エタノールおよびイソプロピルアルコール中の塩形成反応は、エタノールおよびイソプロパノールヘミ溶媒和物(各々形態S
AおよびS
B)をもたらした。エタノールおよび水では、大きなLODにも係わらずNMRで痕跡量のエタノールしか検出されなかった。本物質は、穏やかな加熱および真空条件で水を失う吸湿性であるかまたは水和物(形態H
A)である(TGAにより測定した水の損失は、10℃/分で〜60℃までで完了する)。アセトンおよび酢酸エチル中の塩形成反応は同じ結晶性および無水リン酸塩(形態A)を生じた。化学量論は1:1が最も可能性が高い。本塩は高分解温度を示す。
【0063】
実施例14
プロピオン酸塩の形成
約40〜50mgのN−ヒドロキシ−3−[4−[[[2−(2−メチル−1H−インドール−3−イル)エチル]アミノ]メチル]フェニル]−2E−2−プロペンアミド遊離塩基一水和物を、1mlの表14に挙げられた溶媒に懸濁した。化学量論量のプロピオン酸をその後懸濁液に添加した。本混合物を60℃または環境温度のいずれかで撹拌した(透明な溶液が形成されたとき、撹拌を4℃で続けた)。固体を濾過により回収し、XRPD、TGAおよび数例で
1H−NMRで分析した。
【表14】
【0064】
エタノール中の塩形成反応は未反応遊離塩基を提供した(最もありそうなのは形態H
B)。イソプロピルアルコールは、プロピオン酸塩のIPA溶媒和物を生じた(形態S
A)。NMRに基づき、IPA含有量は〜0.5である。本塩は15%の重量損失を示し、これはIPAと非同定成分の損失に対応する。アセトン中および酢酸エチルの塩形成反応は同じ結晶性および溶媒和されていない塩(形態A)を生じた。〜100℃で開始する6.3〜7%の重量損失は、水(本塩が水和物であるならば)、プロピオン酸または分解産物による。重量損失完了後(〜140℃)、本塩は分解する。本物質をNMR用にDMSOに溶解したとき、遊離プロピオン酸および痕跡量のみのプロピオネートが検出されたことは注目すべきである。
【0065】
実施例15
硫酸塩の形成
約40〜50mgのN−ヒドロキシ−3−[4−[[[2−(2−メチル−1H−インドール−3−イル)エチル]アミノ]メチル]フェニル]−2E−2−プロペンアミド遊離塩基一水和物を、1mlの表15に挙げられた溶媒に懸濁した。化学量論量の硫酸をその後懸濁液に添加した。本混合物を60℃または環境温度のいずれかで撹拌した(透明な溶液が形成されたとき、撹拌を4℃で続けた)。固体を濾過により回収し、XRPD、TGAおよび数例で
1H−NMRで分析した。
【表15】
【0066】
イソプロピルアルコール中の塩形成反応は白色結晶性塩の単離をもたらした。それは式単位あたり1.5molのIPAを含むイソプロパノール溶媒和物(形態S
A)として同定された。DMSO中、0.5molのIPAがプロトン化される。酢酸エチル中の塩形成反応は黄色吸湿性粉末(形態A)を提供する。濾過中、本サンプルは目に見えて水分を吸収し、その劣等結晶化度はこの作用に起因する。
【0067】
実施例16
ヘミコハク酸塩の形成
約40〜50mgのN−ヒドロキシ−3−[4−[[[2−(2−メチル−1H−インドール−3−イル)エチル]アミノ]メチル]フェニル]−2E−2−プロペンアミド遊離塩基一水和物を、1mlの表16に挙げられた溶媒に懸濁した。化学量論量のコハク酸をその後懸濁液に添加した。本混合物を60℃または環境温度のいずれかで撹拌した(透明な溶液が形成されたとき、撹拌を4℃で続けた)。固体を濾過により回収し、XRPD、TGAおよび数例で
1H−NMRで分析した。
【表16】
【0068】
4種の明らかに異なるヘミコハク酸塩が単離された:一水和物(形態A)(環境でエタノール)、イソプロパノールのヘミ溶媒和物(形態S
A)(イソプロピルアルコール)、および2種の溶媒和されていない形態AおよびB。形態Aは高い結晶化度、200℃までの最少重量損失、および高い分解温度を示す。加えて、それは、エタノールおよびエタノールおよび水で60℃で証明されるように、再現性よく合成できた。
【0069】
実施例17
ヘミ酒石酸塩の形成
約40〜50mgのN−ヒドロキシ−3−[4−[[[2−(2−メチル−1H−インドール−3−イル)エチル]アミノ]メチル]フェニル]−2E−2−プロペンアミド遊離塩基一水和物を、1mlの表17に挙げられた溶媒に懸濁した。化学量論量の酒石酸をその後懸濁液に添加した。本混合物を60℃または環境温度のいずれかで撹拌した(透明な溶液が形成されたとき、撹拌を4℃で続けた)。固体を濾過により回収し、XRPD、TGAおよび数例で
1H−NMRで分析した。
【表17】
【0070】
遊離塩基と酒石酸の塩形成反応は、高温への加熱が必要であった。200℃以上で分解する非常に結晶性の、無水塩がヘミタートレートとして単離され、形態Aと命名した。形態Bは1回イソプロピルアルコールおよび水で60℃で単離され、Aと非常に類似した構造ではあるが、そのXRPDパターンで顕著な差異が見られた。
【0071】
実施例18
無水DL−乳酸塩の形成
DL−乳酸(4.0g、85%水溶液、純粋DL−乳酸3.4gに相当)を水(27.2g)で希釈し、その溶液を90℃(内部温度)で15時間加熱する。本溶液を室温に冷却し、以下の塩形成工程で乳酸溶液として使用する。
【0072】
N−ヒドロキシ−3−[4−[[[2−(2−メチル−1H−インドール−3−イル)エチル]アミノ]メチル]フェニル]−2E−2−プロペンアミド遊離塩基、形態H
A(10.0g)をメカニカル・スターラーと共に4首反応フラスコに入れる。脱塩水(110.5g)を添加し、本懸濁液を65℃(内部温度)に30分以内加熱する。DL−乳酸溶液をこの懸濁液に30分間、65℃で添加する。DL−乳酸塩溶液添加中、本懸濁液は溶液に変わる。添加用漏斗を脱塩水(9.1g)で濯ぎ、本溶液を65℃でさらに30分間撹拌する。本溶液を45℃(内部温度)に冷却し、種晶(10mg N−ヒドロキシ−3−[4−[[[2−(2−メチル−1H−インドール−3−イル)エチル]アミノ]メチル]フェニル]−2E−2−プロペンアミドDL−ラクテート一水和物)をこの温度で添加する。本懸濁液を33℃に冷却し、さらに20時間、その温度で撹拌する。本懸濁液を65℃に再加熱し、1時間この温度で撹拌し、33℃に1時間以内に冷却する。さらに3時間、33℃で撹拌後、生成物を濾過により単離し、フィルターケーキを脱塩水(2×20g)で洗浄する。湿潤フィルターケーキを真空で50℃で乾燥させて、無水N−ヒドロキシ−3−[4−[[[2−(2−メチル−1H−インドール−3−イル)エチル]アミノ]メチル]フェニル]−2E−2−プロペンアミドDL−乳酸塩を結晶性生成物として得る。生成物は、HPLCおよび
1H−NMRで、一水和物塩(形態H
A)と同一である。XRPDは無水形態の存在を示す。
【0073】
上記の方法に従い実施したさらなる塩形成実験において、生成物溶液を65℃で濾過してその後45℃に冷却、種晶添加および結晶化した。全例で、形態A(無水和物形態)が生成物として得られた。
【0074】
実施例19
無水乳酸塩の形成
DL−乳酸(2.0g、85%水溶液、純粋DL−乳酸1.7gに対応)を水(13.6g)で希釈し、その溶液を90℃(内部温度)で15時間加熱する。本溶液を室温に冷却し、以下の塩形成工程で乳酸溶液として使用する。
【0075】
N−ヒドロキシ−3−[4−[[[2−(2−メチル−1H−インドール−3−イル)エチル]アミノ]メチル]フェニル]−2E−2−プロペンアミド遊離塩基、形態H
A(5.0g)をメカニカル・スターラーと共に4首反応フラスコに入れる。脱塩水(54.85g)を添加し、本懸濁液を48℃(内部温度)に30分以内加熱する。DL−乳酸溶液をこの懸濁液に30分間、48℃で添加する。種晶を添加し(5mg N−ヒドロキシ−3−[4−[[[2−(2−メチル−1H−インドール−3−イル)エチル]アミノ]メチル]フェニル]−2E−2−プロペンアミドDL−乳酸塩、無水和物形態Aの、0.25gの水中の懸濁液として)、撹拌をさらに2時間、48℃で続ける。温度を65℃(内部温度)に30分以内に上げ、本懸濁液をさらに2.5時間この温度で撹拌する。次いで温度を48℃に2時間以内に冷却し、撹拌をこの温度でさらに22時間続ける。生成物を濾過により単離し、フィルターケーキを脱塩水(2×10g)で洗浄する。湿潤フィルターケーキを真空で45−50℃で乾燥させて、無水N−ヒドロキシ−3−[4−[[[2−(2−メチル−1H−インドール−3−イル)エチル]アミノ]メチル]フェニル]−2E−2−プロペンアミドDL−乳酸塩(形態A)を結晶性生成物として得る。溶融および分解は共に188.3℃で起こる。
【0076】
実施例20
DL−乳酸塩一水和物からDL−乳酸塩無水物への変換
DL−乳酸(0.59g、85%水溶液、純粋DL−乳酸0.5gに対応)を水(4.1g)で希釈し、その溶液を90℃(内部温度)で15時間加熱する。本溶液を室温に冷却し、以下の塩形成工程で乳酸溶液として使用する。
【0077】
10gのN−ヒドロキシ−3−[4−[[[2−(2−メチル−1H−インドール−3−イル)エチル]アミノ]メチル]フェニル]−2E−2−プロペンアミドDL−乳酸塩一水和物を4首反応フラスコに入れる。水(110.9g)を添加し、続いて乳酸溶液を添加する。乳酸の添加用漏斗を水(15.65g)で濯ぐ。本懸濁液を82℃(内部温度)に加熱して、溶液を得る。本溶液を15分間、82℃で撹拌し、他の反応フラスコに熱濾過して、透明溶液を得る。温度を50℃に冷却し、種晶を添加する(10mg N−ヒドロキシ−3−[4−[[[2−(2−メチル−1H−インドール−3−イル)エチル]アミノ]メチル]フェニル]−2E−2−プロペンアミドDL−乳酸塩、無水和物形態の、0.5gの水中の懸濁液として)。温度を33℃に冷却し、撹拌をさらに19時間この温度で続ける。形成した懸濁液を再び65℃(内部温度)に45分以内に加熱し、65℃で1時間撹拌し、33℃に1時間以内に冷却する。33℃でさらに3時間撹拌後、生成物を濾過により単離し、湿潤フィルターケーキを水(50g)で洗浄する。生成物を真空で50℃で乾燥させて、結晶性無水N−ヒドロキシ−3−[4−[[[2−(2−メチル−1H−インドール−3−イル)エチル]アミノ]メチル]フェニル]−2E−2−プロペンアミドDL−乳酸塩(形態A)を得る。
【0078】
実施例21
無水DL−乳酸塩の形成
DL−乳酸(8.0g、85%水溶液、純粋DL−乳酸6.8gに対応)を水(54.4g)で希釈し、その溶液を90℃(内部温度)で15時間加熱する。本溶液を室温に冷却し、以下の塩形成工程で乳酸溶液として使用する。
【0079】
N−ヒドロキシ−3−[4−[[[2−(2−メチル−1H−インドール−3−イル)エチル]アミノ]メチル]フェニル]−2E−2−プロペンアミド遊離塩基、形態H
A(20g)を1Lガラスリアクターに入れ、エタノール/水(209.4gの1:1w/w混合物)を添加する。明黄色懸濁液を60℃(内部温度)に30分以内に加熱し、乳酸溶液を30分間この温度で添加する。添加用漏斗を水(10g)で濯ぐ。本溶液を38℃に2時間以内に冷却し、種晶(20mgのN−ヒドロキシ−3−[4−[[[2−(2−メチル−1H−インドール−3−イル)エチル]アミノ]メチル]フェニル]−2E−2−プロペンアミドDL−乳酸塩、無水和物形態)を38℃で添加する。38℃でさらに2時間撹拌後、混合物を25℃に6時間以内に冷却する。25℃から10℃への冷却を5時間以内、10℃から5℃への冷却を4時間以内および5℃から2℃への冷却を1時間以内続ける。本懸濁液をさらに2時間、2℃で撹拌し、生成物を濾過により単離する。湿潤フィルターケーキを水(2×30g)で洗浄し、生成物を真空で45℃で乾燥させて、結晶性無水N−ヒドロキシ−3−[4−[[[2−(2−メチル−1H−インドール−3−イル)エチル]アミノ]メチル]フェニル]−2E−2−プロペンアミドDL−乳酸塩(形態A)を得る。
【0080】
実施例22
ナトリウム塩の形成
約50mgのN−ヒドロキシ−3−[4−[[[2−(2−メチル−1H−インドール−3−イル)エチル]アミノ]メチル]フェニル]−2E−2−プロペンアミド遊離塩基一水和物を1mlのメタノールに懸濁した。化学量論量の水酸化ナトリウムをその後懸濁液に添加した。本混合物を50℃で撹拌した。透明溶液が形成されたら、撹拌を4℃で続けた。固体を濾過により回収し、XRPDおよびTGAで分析した。N−ヒドロキシ−3−[4−[[[2−(2−メチル−1H−インドール−3−イル)エチル]アミノ]メチル]フェニル]−2E−2−プロペンアミドのナトリウム塩を黄色の非常に吸湿性の粉末として単離し、それは濾過中に水分を吸収した。
【0081】
実施例23
カリウム塩の形成
約50mgのN−ヒドロキシ−3−[4−[[[2−(2−メチル−1H−インドール−3−イル)エチル]アミノ]メチル]フェニル]−2E−2−プロペンアミド遊離塩基一水和を1mlのメタノールに懸濁した。化学量論量の水酸化カリウムをその後懸濁液に添加した。本混合物を50℃で撹拌した。透明溶液が形成されたら、撹拌を4℃で続けた。固体を濾過により回収し、XRPDおよびTGAで分析した。N−ヒドロキシ−3−[4−[[[2−(2−メチル−1H−インドール−3−イル)エチル]アミノ]メチル]フェニル]−2E−2−プロペンアミドのカリウム塩を黄色の非常に吸湿性の粉末として単離し、それは濾過中に水分を吸収した。
【0082】
実施例24
カルシウム塩の形成
約50mgのN−ヒドロキシ−3−[4−[[[2−(2−メチル−1H−インドール−3−イル)エチル]アミノ]メチル]フェニル]−2E−2−プロペンアミド遊離塩基一水和物を1mlのメタノールに懸濁した。化学量論量の水酸化ナトリウムをその後懸濁液に添加した。本混合物を50℃で撹拌した。透明溶液が形成されたら、化学量論量の二塩化カルシウムを添加し、直ぐに帯黄色固体沈殿が誘発された。固体を濾過により回収し、XRPDおよびTGAで分析した。N−ヒドロキシ−3−[4−[[[2−(2−メチル−1H−インドール−3−イル)エチル]アミノ]メチル]フェニル]−2E−2−プロペンアミドのカルシウム塩はN−ヒドロキシ−3−[4−[[[2−(2−メチル−1H−インドール−3−イル)エチル]アミノ]メチル]フェニル]−2E−2−プロペンアミドのナトリウムまたはカリウム塩より吸湿性が低く、容易に単離できた。
【0083】
実施例25
亜鉛塩の形成
約50mgのN−ヒドロキシ−3−[4−[[[2−(2−メチル−1H−インドール−3−イル)エチル]アミノ]メチル]フェニル]−2E−2−プロペンアミド遊離塩基一水和物を1mlのメタノールに懸濁した。化学量論量の水酸化ナトリウムをその後懸濁液に添加した。本混合物を50℃で撹拌した。透明溶液が形成されたら、化学量論量の硫酸亜鉛を添加し、直ぐに帯黄色固体沈殿が誘発された。固体を濾過により回収し、XRPDおよびTGAで分析した。N−ヒドロキシ−3−[4−[[[2−(2−メチル−1H−インドール−3−イル)エチル]アミノ]メチル]フェニル]−2E−2−プロペンアミドの亜鉛塩はN−ヒドロキシ−3−[4−[[[2−(2−メチル−1H−インドール−3−イル)エチル]アミノ]メチル]フェニル]−2E−2−プロペンアミドのナトリウムまたはカリウム塩より吸湿性が低く、容易に単離できた。
【0084】
実施例26
塩酸塩の形成
3.67g(10mmol)の遊離塩基一水和物(N−ヒドロキシ−3−[4−[[[2−(2−メチル−1H−インドール−3−イル)エチル]アミノ]メチル]フェニル]−2E−2−プロペンアミド)および40mlの無水エタノールを、マグネティック・スターラーおよび添加用漏斗を備えた250ml 3首フラスコに入れた。撹拌しているこの懸濁液に、7.5mlの2M HCl(15mmol、50%過剰)を滴下し、透明溶液をもたらした。白色固体が10分以内に析出し、撹拌を環境でさらに2時間続けた。本混合物を氷浴で約30分間冷却し、白色固体を濾過により回収した。それを1回冷エタノール(10ml)で洗浄し、一晩真空下で乾燥させて、3.72gのN−ヒドロキシ−3−[4−[[[2−(2−メチル−1H−インドール−3−イル)エチル]アミノ]メチル]フェニル]−2E−2−プロペンアミドの塩化物を得た(96.2%)。
【0085】
HClを収率を改善するために過剰で用いたが、等モル量でも80%を超える収率を提供したことは注目すべきである。メチル−1H−インドール−3−イル環のプロトン化を介した二塩形成は、HClを大過剰で使用したときでさえ起こらない。1、1.5、および2当量のHClは、生成物として同じ一塩化物を提供した。加えて、NMRデータは、プロトン化により起こるであろう環近接でのプロトンのシフトを何等示さない。
【0086】
実施例27
L−酒石酸塩の形成
3.67g(10mmol)の遊離塩基一水和物(N−ヒドロキシ−3−[4−[[[2−(2−メチル−1H−インドール−3−イル)エチル]アミノ]メチル]フェニル]−2E−2−プロペンアミド)および50mlの無水エタノールを、マグネティック・スターラーおよび添加用漏斗を備えた250ml 3首フラスコに入れた。本混合物を60℃に加熱し、熱懸濁液に15ml 無水エタノールに溶解した0.83g(5.5mmol、10%過剰)のl−酒石酸を滴下した。最初に、大きな黄色の凝集塊がされ、それが適切な撹拌を妨害したが、経時的にこれは自由に誘導し、撹拌できる黄色粉末へと変換した。撹拌を60℃で2時間続けた。本混合物を続いて室温に冷却し、氷浴に約30分間入れた。本黄色粉末を濾過により回収し、1回冷無水エタノール(10ml)で洗浄した。それを一晩真空下で乾燥させ、4.1gのN−ヒドロキシ−3−[4−[[[2−(2−メチル−1H−インドール−3−イル)エチル]アミノ]メチル]フェニル]−2E−2−プロペンアミドのl−酒石酸(ヘミ酒石酸)塩を得た(96.6%)。
【0087】
実施例28
DL−乳酸一水和物塩の形成
3.67g(10mmol)の遊離塩基一水和物、形態H
A(N−ヒドロキシ−3−[4−[[[2−(2−メチル−1H−インドール−3−イル)エチル]アミノ]メチル]フェニル]−2E−2−プロペンアミド)および75mlのアセトンを、マグネティック・スターラーおよび添加用漏斗を備えた250ml 3首フラスコに入れた。この撹拌している懸濁液に、20ml アセトンに溶解した10mlの1M 乳酸水溶液(10mmol)を滴下し、透明溶液を得た。撹拌を環境で続け、約1時間後白色固体が析出した。本混合物を氷浴で冷却し、さらに1時間撹拌した。本白色固体を濾過により回収し、1回冷アセトン(15ml)で洗浄した。それを続いて真空下で乾燥させて、3.94gのN−ヒドロキシ−3−[4−[[[2−(2−メチル−1H−インドール−3−イル)エチル]アミノ]メチル]フェニル]−2E−2−プロペンアミドのDL−乳酸一水和物塩を得た(86.2%)。
【0088】
実施例29
メシル酸塩の形成
3.67g(10mmol)遊離塩基一水和物(N−ヒドロキシ−3−[4−[[[2−(2−メチル−1H−インドール−3−イル)エチル]アミノ]メチル]フェニル]−2E−2−プロペンアミド)および75mlの酢酸エチルを、メカニカル・スターラーおよび添加用漏斗を備えた250ml 3首フラスコに入れた。この撹拌している懸濁液に、20mlの酢酸エチルに溶解した0.65ml(10mmol)のメタンスルホン酸を滴下し、自由に流動する黄色粉末の撹拌可能な懸濁液を得た。本混合物を50℃に加熱し、そこに一晩維持し、その間に黄色粉末が白色固体に変わった。本懸濁液を室温に冷却し、白色固体を濾過により回収した。それを1回冷酢酸エチル(15ml)で洗浄し、一晩真空下で乾燥させて、4.38gのN−ヒドロキシ−3−[4−[[[2−(2−メチル−1H−インドール−3−イル)エチル]アミノ]メチル]フェニル]−2E−2−プロペンアミドのメシル酸塩を得た(98.3%)。
【0089】
最初に形成された黄色粉末は、等モル量を超えるメタンスルホン酸を含むメシル酸塩の多形であることは注意すべきである。その結果、この固体は、非常に高度に吸湿性である。40または50℃で2〜4時間以内の穏やかな加熱により、この黄色粉末は、等モル量のメタンスルホン酸を含む白色結晶性固体に変わる。この塩は非吸湿性である。メタンスルホン酸を環境温度で添加し、その後温度に加熱することも注意すべきである。高温での添加は、塩の柔らかくそしてガム状物質としての即時の沈殿をもたらすことが観察された。
【0090】
実施例30
マレイン酸塩の形成
3.67g(10mmol)の遊離塩基一水和物(N−ヒドロキシ−3−[4−[[[2−(2−メチル−1H−インドール−3−イル)エチル]アミノ]メチル]フェニル]−2E−2−プロペンアミド)および75mlのアセトンを、メカニカル・スターラーおよび添加用漏斗を備えた250ml 3首フラスコに入れた。本混合物を45℃に加熱し、この懸濁液に、25ml アセトンに溶解した1.16g(10mmol)のマレイン酸を滴下した。添加はゆっくりであったが、本塩は、撹拌を妨げる柔らかいガム状固体として析出した。撹拌を一晩、45℃で続け、その間に固体は白色の自由に流動する粉末に変わった。本混合物を室温に冷却し、氷浴に約30分間入れた。本白色固体を濾過により回収し、1回冷アセトン(15ml)で洗浄し、一晩、真空下で乾燥させて、4.21gのN−ヒドロキシ−3−[4−[[[2−(2−メチル−1H−インドール−3−イル)エチル]アミノ]メチル]フェニル]−2E−2−プロペンアミドのマレイン酸塩を得た(90.5%)。
【0091】
合成のためのより好ましい溶媒は2−プロパノールであることは注意すべきである。しかしながら、最適化中に、所望の形態に加えて、低分解温度(118.9℃)の他の多形が、黄色粉末として2−プロパノールから単離され得ることが観察された。
【0092】
実施例31
無水L−(+)−乳酸塩の形成
N−ヒドロキシ−3−[4−[[[2−(2−メチル−1H−インドール−3−イル)エチル]アミノ]メチル]フェニル]−2E−2−プロペンアミド遊離塩基(20.0g)を、実施例19に記載の方法に従いL−(+)−乳酸(6.8g)で処理して、結晶性N−ヒドロキシ−3−[4−[[[2−(2−メチル−1H−インドール−3−イル)エチル]アミノ]メチル]フェニル]−2E−2−プロペンアミドL−(+)−乳酸塩、無水形態を得た。溶融および分解は共に184.7℃で起こる。XRPDパターンは
図3Dに示す通りである(2θ=9.9、11.4、13.8、18.1、18.5、19.7、20.2、21.6、25.2、29.9)。
【0093】
実施例32
無水D−(−)−乳酸塩の形成
N−ヒドロキシ−3−[4−[[[2−(2−メチル−1H−インドール−3−イル)エチル]アミノ]メチル]フェニル]−2E−2−プロペンアミド遊離塩基(20.0g)を、実施例19に記載の方法に従いD−(−)−乳酸(6.8g)で処理して、結晶性N−ヒドロキシ−3−[4−[[[2−(2−メチル−1H−インドール−3−イル)エチル]アミノ]メチル]フェニル]−2E−2−プロペンアミドD−(−)−乳酸塩、無水形態を得た。溶融および分解は共に184.1℃で起こる。XRPDパターンは
図3Eに示す通りである(2θ=9.9、11.4、13.8、18.1、18.5、19.7、20.2、21.6、25.2)。
【0094】
遊離塩基、塩酸塩、DL−乳酸塩、マレイン酸塩、メシル酸塩および酒石酸塩の物理的特徴付け
N−ヒドロキシ−3−[4−[[[2−(2−メチル−1H−インドール−3−イル)エチル]アミノ]メチル]フェニル]−2E−2−プロペンアミドの遊離塩基、塩化物、マレイン酸塩、メシル酸塩および酒石酸塩各々について多くの実験を行い、すなわち、元素組成、化学量論、純度、融解または分解点、飽和溶液のpH、溶解性、熱重量分析、吸湿性特性、固有の溶解および安定性を決定するために行った。
【0095】
HPLC法:
装置:Agilent 1100
カラム:Zorbax SB-C18(3.5μm)、150mm L×3.0mm ID
移動相:(A) 0.1%トリフルオロ酢酸水溶液(v/v)
(B) 0.1%トリフルオロ酢酸のアセトニトリル溶液(v/v)
流速:0.8mL/分
カラム温度:50℃
勾配:
【表18】
注入容量:5μL
注入質量:1μg
検出:UV、280nm
サンプル溶媒:メタノール
【0096】
全サンプルを、HPLC分析前にメタノール中0.2mg/mLの濃度に調製/希釈した。各塩の新たに調製したサンプルを外部標準較正分析のための参照標準として使用した。
【0097】
LC/MS分析:
【表19】
【0098】
1H−NMR スペクトルをDMSO−d
6中で記録した。
【0099】
DSC:全6種の物質は融解前に分解し、それ故に示差走査熱量測定は適用不可能であった。
【0100】
pH値:水中の医薬物質の飽和溶液または1%懸濁液の室温でのpHを記録した。
【0101】
水溶性:注意深く秤量した一定量(20−50mg)のサンプルを1mlの溶媒に溶解し、24時間室温での平衡を伴う。溶解性を重量測定法またはUV−VIS分光分析のいずれかにより測定した。透明溶液のpHもまた測定した。しかしながら、溶解により遊離形への解離が可能であり、それが溶解性およびpHの両方に影響するため、塩の水への溶解性の測定の困難さは強調すべきである。報告された溶解性より相当低い濃度で塩溶液を形成する試みが不成功であることは起こりそうもないことではない(完全な検討について:M. Pudipeddi, A. T. M. Serajuddin, D. J. W. Grant, and P. H. Stahl in “Handbook of Pharmaceutical Salts Properties Selection and Use”、27頁およびその中の引用文献を参照のこと)。
【0102】
報告された溶解性の濃度より低いメシル酸塩の溶液を最初は製造できたが、貯蔵時間が経つに連れて固体の沈殿が起きた。加えて、メシル酸塩水溶液性溶液について、多形転移が観察された。両方の場合の残渣をマススペクトルで分析し、遊離塩基であることが判明し、この沈殿が分解産物ではないことを示す。
【0103】
固有の溶解:約30mgの各物質を0.13cm
2のペレットに圧縮した。遊離塩基ペレットのほとんどは水性溶解媒体と接触の血に分解し、それ故に上記の溶解速度は遊離塩基の真の固有の溶解に対応していない。0.1N HCl中、遊離塩基ペレットは完全に溶解し、溶解速度は測定しなかった。他の塩のペレットは少なくとも数分間完全なままであり、固有の溶解速度を測定できた。溶解速度試験を回転ディスク法(VanKell装置)で行った。200r.p.m.の一回転速度を使用して医薬物質を500mL容器に37℃で溶解した。本溶液を続いてUVセル測定を通してポンプ輸送し、および本溶解容器に戻した。
【0104】
上記試験の結果を以下の表18に示す。
【表20】
【0105】
表18に示す通り、塩の各々は遊離塩基の溶解性より約3桁優れている。塩酸塩、マレイン酸塩およびL−酒石酸塩は約0.3%の非常に類似した溶解性を有する。メシル酸塩は1.3%で全ての中で最も可溶性である。(大凡の溶解性を、溶液の密度を1g/mLと仮定して、mg/mLの濃度から推算した。)固有の溶解速度はそれに応じて変化した。
【0106】
加えて、一水和物DL−乳酸塩および無水DL−乳酸塩の各々について、多くの実験を行い、すなわち、純度、融解または分解点、熱重量分析、吸湿性特性および固有の溶解を決定するために行った。これらの実験の結果を以下の表19に示す。
【表21】
【0107】
また撹拌実験も一水和物および無水DL−乳酸塩について行った。特に、DL−乳酸塩の形態AとH
Aの混合物を一定および温度にわたり撹拌した。これらの実験の結果を以下の表20および21に示す。
【表22】
【表23】
【0108】
N−ヒドロキシ−3−[4−[[[2−(2−メチル−1H−インドール−3−イル)エチル]アミノ]メチル]フェニル]−2E−2−プロペンアミドの遊離塩基、塩酸塩、マレイン酸塩、一水和物DL−乳酸塩、メシル酸塩およびヘミ酒石酸塩各々の溶液中(表22)、固体状態(表23)および賦形剤混合物(表24)存在下での安定性もまた測定した。
【表24】
【表25】
【表26】
【0109】
N−ヒドロキシ−3−[4−[[[2−(2−メチル−1H−インドール−3−イル)エチル]アミノ]メチル]フェニル]−2E−2−プロペンアミドの遊離塩基、塩酸塩、DL−乳酸塩、マレイン酸塩、メシル酸塩および酒石酸塩の各々は、溶液および固体状態の両方で非常に良好な安定性特性を示した。大凡、1.5%の総分解が、乳酸塩緩衝液(pH3.5)、水、およびメタノール中の溶液としての全塩および遊離塩基について観察された。塩もまた、試験したすべてのtox溶液において非常に良好な安定性も示した(CMC、HPMC、KlucelおよびTween−80)。
【0110】
加えて、N−ヒドロキシ−3−[4−[[[2−(2−メチル−1H−インドール−3−イル)エチル]アミノ]メチル]フェニル]−2E−2−プロペンアミドの遊離塩基、塩酸塩、DL−乳酸塩、マレイン酸塩、メシル酸塩および酒石酸塩各々はまた、50℃/75%r.h.で2週間後、試験した全賦形剤混合物で非常に良好な安定性を示した。
【0111】
追加的試験
以下に記載の塩の大凡の溶解性を、5−15mgの塩を1mLの溶媒に懸濁することにより水およびpH1で測定した。サンプルを環境温度で少なくとも20時間平衡した。上清を濾過し、溶解性測定に使用し、それは水のいては重量測定法で、およびpH1についてはUV−VIS分光学で行った。固体残渣をXRPDにより分析した。さらに、以下に記載の塩の固体サンプルを、7日間または10日間のいずれか93%r.h.に保持した。続いてそれらをXRPDおよびTGAで測定した(後者が必要であると思われるならば)。不可逆性のまたはゆっくりした可逆性事象のみが検出できる。結果を以下の表25に記載する。
【表27】
【0112】
上記表25に見ることができる通り、ほとんどの塩は、93%RHで7日間または10日間のいずれかの貯蔵後に何等不可逆性転移をしなかった。しかしながら、以下の観察が注目された:酢酸塩は新規形態に変換され、それはまた塩水溶液の平衡により単離された。この新規形態は恐らく水和物を形成している。
【0113】
平衡水溶液からの固体残渣をXRPDおよび必要であると思われるならば他の技術で試験した。結果を以下の通り要約できる:
・ クエン酸、ゲンチシン酸、リンゴ酸およびリン酸の塩で構造変化は観察されなかった。
・ プロピオン酸塩平衡の固体残渣は遊離塩基のみから成った。
・ 酢酸塩、安息香酸塩、フマル酸塩およびコハク酸塩は新規塩多形に変換した。
【0114】
XRPD分析が、プロピオン酸塩以外の全例で、溶液が対応する塩と平衡にあることを示したとの事実から、表25における水性溶解性は塩を表す(Chapter 2, in Handbook of Pharmaceuticals Salts;Authors: M. Pudipeddi, A. T. M. Serajuddin, D. J. W. Grant, and P. H. Stahl)。
【0115】
pH1緩衝液溶液中での平衡中、全塩とも塩化物に変換した。これは0.3〜0.6mg/mlの間に入る、観察された狭い範囲の溶解性に反映されている(塩化物についてS=0.25mg/mL)。
【0116】
本発明をその具体的態様を参照して上記に記載しているが、多くの変化、修飾および変形がここに記載された本発明の概念から逸脱することなく成し得ることは明らかである。したがって、添付の請求の範囲の精神および広い範囲に入る全てのこのような変化、修飾および変形を包含することを意図する。ここに引用された全ての特許明細書、特許および他の刊行物は、その全体を引用により本明細書に包含させる。