特許第5771269号(P5771269)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5771269四肢撮影用の医療用コンピュータ断層撮影装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5771269
(24)【登録日】2015年7月3日
(45)【発行日】2015年8月26日
(54)【発明の名称】四肢撮影用の医療用コンピュータ断層撮影装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/03 20060101AFI20150806BHJP
【FI】
   A61B6/03 323Q
   A61B6/03 321Z
【請求項の数】13
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-506700(P2013-506700)
(86)(22)【出願日】2011年4月28日
(65)【公表番号】特表2013-524966(P2013-524966A)
(43)【公表日】2013年6月20日
(86)【国際出願番号】FI2011050389
(87)【国際公開番号】WO2011135188
(87)【国際公開日】20111103
【審査請求日】2014年4月9日
(31)【優先権主張番号】20100335
(32)【優先日】2010年9月30日
(33)【優先権主張国】FI
(31)【優先権主張番号】20100180
(32)【優先日】2010年4月29日
(33)【優先権主張国】FI
(73)【特許権者】
【識別番号】591261406
【氏名又は名称】プランメド オイ
(74)【代理人】
【識別番号】100105050
【弁理士】
【氏名又は名称】鷲田 公一
(72)【発明者】
【氏名】ラウッカネン タピオ
【審査官】 湯本 照基
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−278902(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0245539(US,A1)
【文献】 特開2009−207535(JP,A)
【文献】 特開2008−119449(JP,A)
【文献】 国際公開第2006/119420(WO,A1)
【文献】 特開2010−046356(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
四肢撮影用の医療用コンピュータ断層撮影装置であって、
− 撮影手段を支持している実質的に環状の構造(2)を支持する支持構造部(1)であって、前記撮影手段が放射線源(21)および画像情報の受信器(22)を含んでおり、前記撮影手段が、前記撮影手段を支持している前記実質的に環状の構造(2)の中に、実質的に互いに対向する側に配置されており、前記撮影手段を支持している前記環状の構造(2)の中で移動可能である、支持構造部(1)、
を含んでおり、
− 前記装置が、前記撮影手段を支持している前記環状の構造(2)において、検査開口部(4)を含んでおり、前記検査開口部(4)の中で、撮影される被検体を撮影のために位置決めすることができ、
− 前記装置において、前記撮影手段を支持している前記実質的に環状の構造(2)が、少なくとも垂直方向に、前記支持構造部(1)に対して可動にされており、その一方で、実質的に水平方向に且つ前記環状の構造(2)をその半径方向に沿って横断して延在する軸線を中心に旋回可能にされている、
四肢撮影用の医療用コンピュータ断層撮影装置において、
少なくとも1つのパッド要素(15)が、患者が撮影のための姿勢をとるとき、または患者の実際の位置決めに関連して、または実際の撮影中に、撮影モードに応じて、患者が前記少なくとも1つのパッド要素(15)に、触れる、もたれる、膝を載せる、座る、または足を載せることができるように、前記装置の前記環状の構造(2)に取り付けられている、
ことを特徴とする、四肢撮影用の医療用コンピュータ断層撮影装置。
【請求項2】
前記少なくとも1つのパッド要素(15)が、前記撮影手段を支持している前記構造(2)の表面のうち、前記撮影手段(21,22)を支持している前記環状の構造(2)の内側に患者が入るまたは撮影姿勢をとる側にある表面を、実質的に全体的に覆うように配置されている、
ことを特徴とする、請求項1に記載の撮影装置。
【請求項3】
前記少なくとも1つのパッド要素(15)が、前記撮影手段を支持している前記構造(2)の表面のうち、前記撮影手段(21,22)を支持している前記環状の構造(2)の内側に患者が入るまたは撮影姿勢をとる側にある表面を、全体的に覆うように配置されており、ただし、前記撮影手段(21,22)を支持している前記構造(2)が垂直姿勢にあるときを考慮したとき、前記表面の上部に、パッドが存在しない領域が配置されている、
ことを特徴とする、請求項1に記載の撮影装置。
【請求項4】
前記表面の下部にも、パッドが存在しない領域が配置されている、
ことを特徴とする、請求項に記載の撮影装置。
【請求項5】
前記装置の前記支持構造部(1)の表面のうち、その法線が、前記撮影手段(21,22)を支持している前記構造(2)の方に向いている表面に、前記少なくとも1つのパッド要素(15)が配置されている、
ことを特徴とする、請求項1から請求項のいずれかに記載の撮影装置。
【請求項6】
前記少なくとも1つのパッド要素が、着脱自在に取り付けられるように前記装置に配置されている、
ことを特徴とする、請求項1から請求項のいずれかに記載の撮影装置。
【請求項7】
前記撮影手段(21,22)を支持している前記表面の領域に、前記パッド(15)が存在しない領域が配置されており、そのような領域内にディスプレイ画面(11)が配置されている、
ことを特徴とする、請求項1から請求項のいずれかに記載の撮影装置。
【請求項8】
前記放射線源(21)および前記画像情報の受信器(22)が、前記撮影手段を支持している前記実質的に環状の構造(2)の中で、180度より広く360度よりも実質的に狭い回転角度にわたり、回転中心の周りに移動可能であるように構成されている、
ことを特徴とする、請求項1から請求項のいずれかに記載のコンピュータ断層撮影装置。
【請求項9】
前記放射線源(21)および前記画像情報の受信器(22)が、前記撮影手段を支持している前記実質的に環状の構造(2)の中で、約210±20度の回転角度にわたり、回転中心の周りに移動可能であるように構成されている、
ことを特徴とする、請求項8に記載のコンピュータ断層撮影装置。
【請求項10】
前記放射線源(21)および前記画像情報の受信器(22)が、前記放射線源(21)が前記画像情報の受信器(22)とは回転中心から異なる距離において移動するように、前記撮影手段を支持している前記実質的に環状の構造(2)の中で前記回転中心の周りを移動可能であるように構成されている、
ことを特徴とする、請求項1から請求項9のいずれかに記載の撮影装置。
【請求項11】
前記撮影手段を支持している前記環状の構造(2)の中に、実質的に環状の支持部(20)が配置されており、前記放射線源(21)および前記画像情報の受信器(22)が前記支持部(20)に取り付けられており、前記支持部(20)が、前記撮影手段を支持している前記構造(2)の中で回転可能であるように構成されている、
ことを特徴とする、請求項1から請求項10のいずれかに記載の撮影装置。
【請求項12】
前記放射線源(21)によって生成されるビームが、真の2次元ビームに限定されるようにされており、前記画像情報の受信器(22)の形状および寸法が、少なくとも前記2次元ビームをカバーするように構成されている、
ことを特徴とする、請求項1から請求項11のいずれかに記載の撮影装置。
【請求項13】
前記検査開口部(4)の、実質的に円弧形状である前記大部分の半径が、15cmのオーダーまたはそれよりいくらか大きく、前記撮影手段を支持している前記構造(2)の、実質的に円弧形状である前記大部分の半径が、50cmのオーダーまたはそれ以下である、もしくは、
前記撮影手段(21,22)の前記回転中心から前記放射線源(21)の前記焦点までの距離が、約390mmであり、前記撮影手段(21,22)の前記回転中心から前記画像情報の受信器(22)までの距離が、約190mmである、
またはその両方である、
ことを特徴とする、請求項1から請求項12のいずれかに記載の撮影装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプリアンブルによる医療用撮影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
医療用X線撮影において採用されている従来の装置は、最も単純な基本構造として、放射線源と、放射線源と一緒に使用される別体のフィルムカセットとを備えている。病院では、一般にいわゆるCアーチX線装置(C-arch x-ray apparatuses)が使用されており、放射線源と画像情報の受信器が、アーチ(弓)状のアーム部の両端に配置されている。従来、この種類のシステムは、大型で極めて高価なコンピュータ断層撮影装置から構成されており、患者は、一般には環状構造または管構造の中で仰臥位の状態で位置決めされて撮影される。
【0003】
より小型のコンピュータ断層撮影装置も開発されている。従来技術の装置の例として、特許文献1および特許文献2が挙げられる。これらの装置においては、撮影ステーションの周りを360度回転することのできる撮影手段が、側面から支持されている環状のO型アームの中に配置されている。O型アームは、その高さ位置を調整可能であるように、および、水平軸線を中心に旋回可能であるように、することができる。
【0004】
従来のコンピュータ断層撮影装置は極めて大型かつ高価であるため、例えば病院の緊急治療室で使用する目的に購入することは、現実的に可能ではない。一方で、商用(commercial)コンピュータ断層撮影装置の場合、何らかの特定の組織構造を撮影するようには必ずしも設計されておらず、基本的には汎用の撮影装置である。例えば、患者の胴部全体を撮影したい場合、装置に配置される撮影ステーションと、装置の他の寸法とを、適切な比率において実施しなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第7108421号明細書
【特許文献2】米国特許第7388941号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、X線撮影装置、特に、従来のコンピュータ断層撮影装置と比較して、より安価でありサイズの小さい上述したX線撮影装置に関する技術水準を向上させることである。本発明の実施形態によると、例えば四肢を撮影できるように特に設計されており、例えば救急診療所において使用可能な予算の範囲内で購入できるような価格と十分な特性とを備えたコーンビーム型コンピュータ断層撮影装置、を実施することができ、これは有利である。従来のコンピュータ断層撮影では、狭扇形(narrow-fan like)ビームを採用しているため、コーンビーム型断層撮影法では、ビームは真に2次元であるようにコリメートされるが、多くの場合、撮影する被検体の極めて小さい特定の領域(ボリューム)のみがカバーされる。本発明の具体的な目的は、特に、上述したタイプの環状のアーム部を備えたX線撮影装置の分野において、技術を発展・向上させることであり、本装置の構造、特性、および寸法は、多くの点において、従来の病院向けコンピュータ断層撮影装置とは異なっており、従来のコンピュータ断層撮影装置(患者は撮影台の上に横になった状態で位置決めされる)とは異なる方法で、患者が撮影のために位置決めされる。
【0007】
特に、本発明の目的は、撮影モードに応じて、患者が撮影のための姿勢をとる手順、患者の位置決め自体、または実際の撮影工程を容易にする構造である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の本質的な特徴は、添付の特許請求の範囲に記載されている。本発明の特に本質的な特徴は、患者が撮影のための姿勢をとるとき、または患者の実際の位置決めに関連して、または実際の撮影中において、撮影モードに応じて、装置の領域のうち、患者が触れる、もたれる、座る、または足を載せる少なくとも1つの領域に配置されたパッドである。
【0009】
以下では、本発明およびその好ましい実施形態について、添付の図面を参照しながらさらに詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】支持構造部と実質的に環状のO型アームとを含んでいる基本構造を有する、本発明による撮影装置の概略図を示している。
図2】撮影手段を環状の撮影部に配置するための、本発明による1つの構造を示している。
図3】撮影手段を支持している環状の構造に少なくとも1つのパッド要素を配置するための方法を示している。
図4】撮影手段を支持している環状の構造に少なくとも1つのパッド要素を配置するための方法を示している。
図5】撮影手段を支持している環状の構造に少なくとも1つのパッド要素を配置するための方法を示している。
図6】2種類の撮影状況における撮影装置に対する患者の姿勢を示している。
図7】2種類の撮影状況における撮影装置に対する患者の姿勢を示している。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下の説明では、必ずしも完全な円を形成しているのではなく大部分が円形状である構造に関連して、用語「中心」および「中心軸線」を使用する。曖昧さを回避するため、本明細書では、「中心」および「中心軸線」は、このような構造が完全な円であると想定したときにその構造の中心となる点、および中心軸線である軸線をそれぞれ意味する。
【0012】
さらには、本明細書では、本発明による装置の1つの構成要素に対して、用語「実質的に環状の構造」と「O型アーム」とを使用している。この環状の構造の中心軸線の方向における寸法が、この構造の直径に対して著しく大きい場合に曖昧さが生じないように、以下の説明では、O型アームの垂直姿勢は、O型アームの中心軸線が水平に向く姿勢であり、O型アームの水平姿勢は、O型アームの中心軸線が垂直に向く姿勢である。
【0013】
図1は、本発明による撮影装置の概略図を示している。この装置の基本構造は、実質的に環状の構造(2)を支持している支持構造部(1)を含んでおり、環状の構造(2)は、本明細書ではO型アームとも称され、その中に装置の撮影手段(21,22)が位置している。このO型アーム(2)は検査開口部(4)を備えており、撮影される組織構造は検査開口部(4)の中で位置決めされる。さらに、図1は、支持構造部(1)に配置されている患者支持レール(5)と、装置の制御システムに機能上関連しているユーザインタフェース(6)と、実質的にO型アームの方向に突き出しており、場合によっては着脱自在に取り付けられている台座または基部(7)と、検査開口部(4)に配置されている位置決め支持部(8)とを示している。図1による好ましい実施形態においては、環状の構造(2)の実質的に表面、その上縁部に、ディスプレイ画面(11)も配置されている。
【0014】
撮影手段を支持している構造(2)を支持構造部(1)に取り付けている部分は、O型アーム(2)の高さ位置を調整できるようにすることができる。さらには、このO型アーム(2)は、図1に示した垂直姿勢から水平姿勢に、少なくとも一方向に少なくとも90度旋回可能であるようにすることができる。この旋回動作は、装置の制御システムに結合されているユーザインタフェース(6)とは別に、O型アーム(2)もしくは支持構造部(1)またはその両方に関連して配置されている操作棒(9)によっても制御可能であるようにすることができる。
【0015】
図1に示したO型アーム(2)の中心軸線の方向に垂直な断面(すなわちO型アーム(2)の半径方向の断面)において見たとき、O型アーム(2)の外側カバー(3)は、その大部分において円を形成しているが、外側カバー(3)の一部の領域では、円の中心から外側カバー(3)の縁部までの距離が、大部分を占める円形部分の半径よりも小さい。図1による本発明の実施形態においては、O型アーム(2)を切り取っている領域は、外側カバー(3)の大部分を占める円の弧とは逆の方向に均一に湾曲しているが、この切取り部は、何らかの別の形状(例えば、V字形状、長方形、直線、または外側カバー(3)のうち実質的に円形の弧の部分と同じ方向に湾曲している形状)とすることもできる。
【0016】
実質的に下方に位置する、または下方に位置させることのできるO型アーム(2)の一部分に、上述した種類の領域が配置されている場合、このような切取り部を備えていないO型アーム(2)と比較して、本発明によって検査開口部(4)を床の高さのより近くまで駆動でき、例えば座位における下肢の撮影を容易に実施することができる。その一方で、撮影装置が、O型アーム(2)の高さ位置を調整する機能と、O型アーム(2)の中心軸線が実質的に垂直に向く姿勢までO型アーム(2)を旋回させる機能とを備えているならば、本装置を使用して患者を立位において撮影することもできる。その場合、O型アーム(2)に配置されている切取り部によって、患者が検査開口部(4)の中に入る動作および検査開口部から出る動作が容易となり、なぜなら、O型アーム(2)によって形成される「上り段」をまたぐのに必要な歩幅の長さが短くなるためである。
【0017】
図1による本発明の実施形態においては、検査開口部(4)は、その大部分において実質的に円として実施されている。検査開口部(4)には、円の延長部を形成する領域が配置されている。すなわち、検査開口部(4)に設けられている延長部の領域では、検査開口部(4)の円形部分の中心から(またはO型アーム(2)の中心軸線から)検査開口部(4)の縁部までの距離が、検査開口部(4)の円形部分の半径よりも長い。例えば、人の胴部の直径よりも小さい直径を有する組織構造(例えば四肢)を撮影するように基本的に設計された実施形態を考えるときなど、O型アーム構造の中心軸線に垂直な断面の寸法をできる限り小さくすることが目標であるとき、検査開口部(4)のこのような設計は好ましい。
【0018】
円の一部領域において検査開口部(4)を大きくすることによって、例えばギプスを装着した脚を撮影するとき、患者の位置決めが容易になる。本発明のこのような実施形態においては、検査開口部(4)の円弧部分の直径は30〜35cmのオーダーである。図1による本発明の好ましい実施形態においては、検査開口部(4)は、実質的に水滴の形状であり、すなわち延長部の形状は、先端を切り取られた1つの頂点を有する実質的に等辺の三角形である。ただし当然ながら、延長部を何らかの別の形状とすることもできる。
【0019】
本発明による装置の基本構造によると、撮影手段(すなわち放射線源(21)および画像情報の受信器(22))は、これら撮影手段を支持している実質的に環状の構造(2)の中に配置されており、検査開口部(4)の実質的に対向する側において、環状の構造(2)の中の曲線経路に沿って移動可能である。当然ながら、検査開口部(4)の縁部とO型アーム(2)の外側カバー(3)との間の距離(またはO型アームの環状部の半径方向の寸法)は、この経路が可能であるだけの十分な大きさでなければならない。図2は、本発明の1つの可能な実施形態を示しており、この実施形態は、O型アーム(2)の中に配置された環状支持部(20)を含んでおり、環状支持部(20)には、実質的に対向する側に、放射線源(21)および画像情報の受信器(22)が配置されている。支持部(20)は、撮影手段を支持している構造(2)の中で、アクチュエータ(23)および伝達ベルト(24)によって、回転可能であるようにされている。したがって、検査開口部(4)に位置決めされた被検体を、撮影手段の回転角度の範囲内で複数の異なる方向から撮影し、得られた画像情報から、それ自体公知の画像データ処理法によってボクセルモデルを作成することが可能である。
【0020】
図2による、本発明の好ましい一実施形態においては、放射線源(21)および画像情報の受信器(22)は、これら撮影手段を支持している実質的に環状の構造(2)の中で、放射線源(21)(放射線源の焦点)が、画像情報の受信器(22)とは回転中心から異なる距離において移動するように、回転中心の周りを移動可能であるようにされている。図2による構造においては、放射線源(21)は、環状支持部(20)の外周上に取り付けられており、支持部(20)を回転させるとき、支持部(20)の内周に取り付けられている画像情報の受信器(22)よりも、回転中心から遠い位置において動く。したがって、画像情報の受信器(22)は、撮影するボリュームのより近くに位置しており、使用する検出器(22)のサイズが同じであるとき、より幅の広いビームを使用することが可能であり、したがって、画像情報の受信器(22)が被検体から遠い距離において動く場合と比較して、撮影可能なボリュームが大きくなる。
【0021】
図3図5は、患者が撮影のための姿勢をとるとき、または患者の実際の位置決めに関連して、または実際の撮影中に、撮影モードに応じて、装置の領域のうち、患者が触れる、もたれる、座る、または足を載せる少なくとも1つの領域に、少なくとも1つのパッド要素(15)を配置する方法を示している。このようなパッド要素(15)は、撮影手段(21,22)を支持している構造(2)の表面のうち、撮影手段(21,22)を支持している構造(2)の内側に患者が入るまたは撮影姿勢をとる側にある表面を、実質的に全体的に覆うように、または少なくとも一部分を覆うように、配置することができる。撮影手段(21,22)を支持している構造(2)が垂直姿勢にあるときを考えると、構造の表面の上部の一部領域に、パッドが存在しない領域を設けることができる。このような領域には、例えばディスプレイ画面(11)を配置することができ、撮影工程に関連するさまざまな情報を、ディスプレイ画面(11)によって患者に示すことができる。構造の表面の下部と、装置の検査開口部(4)の周囲にも、パッド(15)が存在しない領域を設けることができる。支持構造部(1)の表面のうち、その法線が、撮影手段(21,22)を支持している構造(2)の方に向いている表面にも、パッド要素(15)を配置することができる。
【0022】
少なくとも1つのパッド要素(15)は、着脱自在に取り付けられていることが好ましい。パッド(15)は、使用時に摩耗したり汚れたりするため、着脱自在であれば、クリーニングする、あるいは新しいパッドと交換することも容易であり、異なるパッド(15)から選択可能である場合、装置の外観を好みに応じたものとすることができる。
【0023】
パッドを使用すると、触れたり体を支えるための心地よい表面が提供されることで、患者の快適性が向上し、本装置のさまざまな動作状態を考慮したとき、パッドが利用可能であることは好ましい。特に、撮影手段(21,22)を支持している支持構造(2)の表面の領域にパッド(15)を配置することが好ましく、なぜなら、本発明による装置において提供されるいくつかの撮影モードにおいて、かなりの時間にわたる照射中に静止姿勢を維持できるように患者が支えを必要とするのは、特に構造(2)の表面であるためである。図6では、立位において患者の一方の脚が撮影されており、このとき本発明によるパッド(15)は、立位の維持を容易にするため、他方の脚の膝部を心地よく支持している。その一方で、図7では、患者の腕が撮影されており、したがって、患者はやや不自然な姿勢にあるが、支持パッド(15)に肩部や頭部をもたれさせることができることにより、この姿勢を維持することが相当に楽になっている。
【0024】
本発明の好ましい一実施形態によると、撮影手段の移動範囲は、類似するタイプの従来技術のいくつかの装置とは異なって実施されており、すなわち、放射線源(21)および画像情報の受信器(22)は、検査開口部(4)の実質的に対向する側において、曲線経路に沿って360度よりも短い距離だけ移動可能であるようにされている。本明細書では、この距離を回転角度と称し、回転角度は、180度よりいくらか大きく360度より実質的に小さい(例えば210±20度のオーダーである)ようにされていることが好ましい。この場合、回転中心から異なる距離において移動可能であるように撮影手段(21,22)を配置する形態は、特に、O型アーム(2)における上述した切取り部と検査開口部(4)における延長部とを備えた構造において実施することができる。放射線源(21)の移動範囲は、上述したように外側カバー(3)が切り取られたO型アームの領域に達しないようにすることができ、その一方で、画像情報の受信器(22)の移動範囲は、上述したように検査開口部(4)の延長部が配置されているO型アームの領域に達しないようにすることができる。撮影手段の回転中心からの、これら延長部および切取り部の最大の寸法が、撮影手段が回転するときの回転中心からのそれぞれの異なる距離に対して適切なものであるとき、図2に示したように、回転中心からより遠い距離において移動するようにされている放射線源(21)が、検査開口部(4)の延長部の外側を移動することができ、画像情報の受信器(22)が、O型アーム(2)の外側カバー(3)に配置されている切取り部の内側を移動できるように、本装置を実施することができる。
【0025】
特に、本発明のこのような実施形態によって可能となる構造として、例えば四肢の撮影を考えると、検査開口部(4)に延長部が配置されていることにより、検査開口部(4)の円形部分の直径を、延長部が存在しない場合に可能であるよりも小さく実施することが可能であり、さらに、患者の何種類かの位置決め手順を容易にする切取り部を、O型アーム(2)の外側カバー(3)に配置することが可能である。本発明のこのような実施形態は、コンパクトな構造として実施可能であり、検査開口部(4)とO型アーム(2)全体の外形寸法の両方を、このような構造を採らない場合に可能であるよりも、小さく実施することができる。
【0026】
前述したように、検査開口部(4)に配置された延長部によって、例えば、ギプスを装着した脚を検査開口部に位置決めする手順が容易になる。さらには、検査開口部(4)に関連する患者位置決め支持部(8)を配置することによって、撮影する組織構造を検査開口部(4)に配置する手順を容易にすることができる。患者位置決め支持部(8)は、撮影のため検査開口部(4)の中の所望の位置に配置可能であるように、かつ、患者の位置決めをできる限り妨げない場所に配置可能または移動可能であるように、可動式に、または着脱自在に取り付けられている。このような患者位置決め支持部(8)の目的は、撮影する組織構造を、O型アーム(2)に対する所望の場所に位置決めする手順を支援することである。患者位置決め支持部(8)は凹構造を備えていることが好ましく、撮影中に上肢または下肢をこの凹構造に配置しておくことができる。
【0027】
上述した撮影手段(21,22)の回転角度は、コーンビーム型断層撮影において十分であり、この場合、放射線源(21)によって生成されるビームが真の2次元ビームに限定されるようにされており、画像情報の受信器(22)の形状および寸法は、少なくともこの2次元ビームをカバーするようにされている。本発明による装置においては、このようなビームは、複数のサイズもしくは形状またはその両方に限定されるようにすることもでき、その場合、当然ながら、生成されるすべてのビームサイズおよび形状がカバーされるように、画像情報の受信器(22)を構成しなければならない、または変更可能であるようにしなければならない。
【0028】
図1に示した撮影装置の患者支持レール(5)は、支持構造部(1)の上部から、実質的に支持構造部の少なくとも一方の側面に、特に、撮影のために患者の体が配置されると考えられる方向の側に(すなわち、O型アーム(2)の外側カバー(3)の切取り部が旋回するようにされている方向の側に)、延在するようにされていることが好ましい。患者支持レール(5)は、特に、立位での撮影、すなわち、O型アーム(2)が、その中心軸線が垂直に向く姿勢に旋回した状態での撮影を容易にし、このとき患者は、O型アーム(2)の内側に立っているときと、O型アーム(2)への出入り時に、レール(5)によって自身を支えることができる。本発明の好ましい実施形態においては、患者支持レール(5)は、支持構造部(1)の少なくとも一方の側、すなわち、O型アーム(2)に配置されている切取り部が旋回するようにされている方向の側に延在している。
【0029】
上述した本発明の好ましい実施形態は、比較的コンパクトな構造として実施することができ、上述した多くの利点を達成するためには、検査開口部(4)の大部分の円弧形状部の半径が15cmのオーダーまたはそれよりわずかに大きく、その一方で、O型アーム(2)の大部分の円弧形状部の半径が50cmのオーダーまたはそれ以下である構造として、実施することができる。この場合、撮影手段(21,22)の回転中心から放射線源(21)の焦点までの距離が例えば約390mm、画像情報の受信器までの距離が約190mmであるようにすることができる。本装置は、いくつかの異なる姿勢において四肢を撮影できるように設計されており、すなわち実際には、四肢を撮影領域内に入れる方法と、患者が撮影のための姿勢をとる方法には、いくつかの種類が存在する。本発明およびその好ましい実施形態による、装置にパッドを配置する方法によって、特に、撮影する組織構造を照射中に静止状態に維持することが容易になり、これは正常に撮影工程を実施するうえで有利である。
【0030】
当業者には明らかであるように、本発明は、その細部については、上述した本発明の実施形態による細部とは異なるように実施することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7