(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
[全体構成]
図1は、本発明の実施形態の例である、血糖値管理システムの全体構成を示す概略図である。
血糖値管理システム101は、個人用血糖計102及び病棟用血糖計103から血糖値データを受信する端末401と、端末401から血糖値データを受信して内部のデータベースに記録するサーバ104よりなる。
図1中、二つの端末401が示されている。
第一端末105は、キーボード106およびマウス107が接続されている周知のパソコンに、ICカードリーダ108とバーコードリーダ109が接続されて構成される。第一端末105は主に個人用血糖計102から血糖値データを受信するが、病棟用血糖計103にも対応できる。
第二端末110は、キーボードを備える周知のパソコンに、ICカードリーダ108とクレードル111が接続されている。クレードル111は病棟用血糖計103に内蔵されるリチウムイオン電池の充電器であると共に、病棟用血糖計103と赤外線通信を実行するためのインターフェースを兼ねている。第二端末110は主に病棟用血糖計103から血糖値データを受信するが、入院患者に限って個人用血糖計102にも対応できる。
第一端末105及び第二端末110は、周知のLANケーブル112を通じてサーバ104に接続されている。
【0011】
第一端末105に接続されている、キーボード106、マウス107、ICカードリーダ108とバーコードリーダ109と、第二端末110に接続されている、ICカードリーダ108とクレードル111は、例えばUSB等の汎用のインターフェースによって
第一端末105又は第二端末110に接続されている。
第一端末105と第二端末110は同一のアプリケーションプログラムが稼働する。
【0012】
ICカードリーダ108は近距離無線通信のインターフェースであり、ICカードリーダ108の仕様は例えば周知のFelica(登録商標)である。
クレードル111に備えられている赤外線通信機能は例えば周知のIrDA(Infrared Data Association)である。
これらの通信インターフェースは何れも血糖値等のデータをプレインテキスト形式のストリームデータとして送受信する。
【0013】
[病棟用血糖計103]
図2は、病棟用血糖計103の機能ブロック図である。第一の血糖計ともいえる病棟用血糖計103は、マイコンを中心として形成される電子機器である。
血糖値測定部201は、測定対象者の血液205によって変色する試験紙204の光学反射率の変化を検出して、血糖値を計測する。
個人用血糖計102及び病棟用血糖計103の基本的な血糖測定の仕組みは、従来技術と同様である。以下、血糖値を測定する仕組みを簡単に説明する。
病棟用血糖計103のユーザは、病棟用血糖計103に図示しない測定チップを取り付け、測定対象者の血液205を測定チップに吸引させる。この測定チップには、ポリエーテルサルホン等の多孔質膜でできた試験紙204が内蔵されている。そして、測定チップに吸引された血液205は、試験紙204に到達すると、試験紙204に含まれている試薬と反応して、発色する。次に、病棟用血糖計103は、発光素子であるLED202が発光する光を試験紙204に当て、試験紙204からの反射光を受光素子であるフォトダイオード203にて受光する。そして、病棟用血糖計103は、所定の反応時間を経過した後に、受光素子から得られたアナログの受光強度信号をデジタル値に変換した後、このデジタル値を血糖値に変換する。
なお、血糖値計
測の仕組みは、発色試薬を利用した前記光学測定方式に限らず、電気化学センサー方式など、従来から血糖測定に使用され得る仕組みを採用することができる。
【0014】
バーコードリーダ206は、前述の第一端末105に接続されているバーコードリーダ109と等しい機能を備えている。バーコードリーダ206は、例えば、患者が患者衣の胸部に付している名札に印刷されている、患者IDを記述しているバーコードと、医師や看護師の名札に印刷されている、操作者IDを記述しているバーコードを読み取り、バーコードとしてエンコードされているテキストストリームデータを出力する。
リアルタイムクロック(Real Time Clock:以下「RTC」)207は、一般的なマイコンの多くに装備され、日時情報を出力する。
なお、患者IDとは、患者(測定対象者)を一意に特定する(ユニーク(unique)である)、数値又はアルファベット等の文字列である。操作者IDも同様に、血糖計の操作者を一意に特定するための文字列である。
【0015】
患者テーブル208は、患者の患者IDと患者氏名が記録されているテーブルである。
操作者テーブル209は、医師や看護師等の操作者の操作者IDと操作者氏名が記録されているテーブルである。
処方箋テーブル210は、患者IDと、当該患者に対するインスリン等の処方箋が記録されているテーブルである。
第一の血糖値小テーブルともいえる血糖値小テーブル211は、患者IDと、測定した血糖値と、測定日時とが記録されているテーブルである。
機種名212は、病棟用血糖計103の機種名を示すテキストデータである。
患者テーブル208、操作者テーブル209、処方箋テーブル210、血糖値小テーブル211及び機種名212は、EEPROM等の不揮発性ストレージに記憶されている。機種名212は上書き及び消去が不可に設定されているが、患者テーブル208、操作者テーブル209、処方箋テーブル210及び血糖値小テーブル211は端末401を通じて書き換え可能に設定されている。
【0016】
近距離無線通信部213は、端末401のICカードリーダ108と近距離無線通信を実行してデータの送受信を行うインターフェースである。
赤外線通信部214は、
発光ダイオード220及びフォトトランジスタ221を用いて端末401のクレードル111と赤外線通信を実行して
、データの送受信を行うインターフェースである。
病棟用血糖計103は、近距離無線通信部213及び赤外線通信部214の、何れの通信機能でも端末401と通信が可能である。
【0017】
入出力制御部215は、情報の入出力を制御する。具体的には、入出力制御部215は操作部216から送られる操作情報に従い、表示部217に操作を案内する画面を表示させながら、バーコードリーダ206から患者ID及び操作者IDを読み取った後、血糖値測定部201から血糖値データを取得すると共に、RTC207から血糖値データを取得した日時を取得して、血糖値小テーブル211にこれら情報を紐付けて記録する。入出力制御部215は血糖値を測定した直後、必要な患者についてはインスリン等の処方箋を処方箋テーブル210から読み出して表示部217に表示する。そして、入出力制御部215は近距離無線通信部213又は赤外線通信部214を通じて端末401と双方向通信を実行して、血糖値小テーブル211に記録された情報を端末401へ送信する
。
【0018】
[個人用血糖計102]
図3は、個人用血糖計102の機能ブロック図である。第二の血糖計ともいえる個人用血糖計102も病棟用血糖計103と同様に、マイコンを中心として形成される電子機器である。なお、
図3のうち
図2と機能が共通する機能ブロックについては同じ図番号を付して説明を省略する
。
個人用血糖計102は病棟用血糖計103と比べると、バーコードリーダ206、患者テーブル208、操作者テーブル209、処方箋テーブル210及び赤外線通信部214が欠落している。これら機能ブロックのうち赤外線通信部214を除く機能ブロックは、主に病棟用血糖計103が複数の患者の血糖値を測定して記録するために必要な要素である
。
【0019】
また、第二の血糖値小テーブルともいえる血糖値小テーブル311は病棟用血糖計103の血糖値小テーブル211と異なり、複数の患者や操作者の情報を含まない。更に、入出力制御部315は病棟用血糖計103の入出力制御部215と異なり、複数の患者や操作者の情報、また処方箋を取り扱う機能を持たない。
更に、個人用血糖計102は赤外線通信部214が欠落しているので、端末401との通信は近距離無線通信部213でのみ行われる。
一方、入出力制御部315は、過去に測定した血糖値を例えば500件まで、履歴データとして保持する機能を有する。
【0020】
[端末401]
図4は端末401の機能ブロック図である。
血糖値データ転送装置ともいえる、周知のパソコンである端末401は、周知のネットワークOSが稼働する。パソコンは、個人用血糖計102及び病棟用血糖計103と通信して血糖値データを受信(ダウンロード)し、サーバ104と通信して血糖値データをサーバ104に送信(アップロード)する、血糖値管理システム101の端末401として動作するためのアプリケーションプログラムを読み込んで実行することで、血糖値管理システム101の端末401として動作する。
ネットワークOSは周知のTCP/IPネットワークに接続する機能を備え、例えばWindows(登録商標)である。そして端末401には、ネットワークOSとアプリケーションプログラムの他に、後述する血糖値トレンドを示すグラフを表示するためのwebブラウザ402もインストールされている。
【0021】
近距離無線通信部403の実体はICカードリーダ108であり、病棟用血糖計103及び個人用血糖計102の近距離無線通信部213と双方向通信を行い、血糖値データをダウンロードするためのインターフェースである。
赤外線通信部404はクレードル111に内蔵されており、病棟用血糖計103の赤外線通信部214と双方向通信を行い、血糖値データをダウンロードするためのインターフェースである。
近距離無線通信部403と赤外線通信部404は、両方共血糖計と双方向通信を行うので、これらを通信部と総称できる。
【0022】
バーコードリーダ405は前述の病棟用血糖計103に内蔵されているバーコードリーダ206と機能的には等価である。バーコードリーダ405は、患者が患者衣の胸部に付している名札に印刷されている、患者IDを記述しているバーコードや、個人用血糖計102の筐体に貼付又は印刷されているシリアルナンバーのバーコードを読み取り、バーコードとしてエンコードされているテキストストリームデータを出力する。
【0023】
入出力制御部406は、情報の入出力を制御する。具体的には、入出力制御部406は近距離無線通信部403、赤外線通信部404及び操作部216を常時監視し、データが発生したら先ず機種特定部407で血糖計の機種を機種マスタ408と照合して特定する。次に、血糖計の機種が病棟用血糖計103であれば、入出力制御部406は直ちにデータ転送部409を制御して血糖値データを近距離無線通信部403又は赤外線通信部404から全件ダウンロードして、サーバ104にアップロードする。血糖計の機種が個人用血糖計102であれば、入出力制御部406は次にバーコードリーダ405又は操作部412から患者ID又は個人用血糖計102のシリアルナンバーを取得した後、患者種別特定部410を制御してサーバ104と通信を行い、患者が通院患者であるか或は入院患者であるかを確認する。患者が入院患者であれば、入出力制御部406はデータ転送部409を制御して血糖値データを近距離無線通信部403から最新の1件分だけダウンロードして、サーバ104にアップロードする。患者が通院患者であれば、入出力制御部406はデータ転送部409を制御して血糖値データを近距離無線通信部403から全件ダウンロードして、サーバ104にアップロードした後、入出力制御部406はwebブラウザ402を起動させ、webブラウザ402を通じて表示部411に血糖値トレンドグラフを表示する。
なお、実体がキーボード106及びマウス107である操作部412は、バーコードリーダ405の代わりに患者ID或はシリアルナンバーを入力する際と、webブラウザ402を操作する際等に用いる。
バーコードリーダ405と操作部412は、双方共患者ID又はシリアルナンバーを入力するための患者ID入力部と総称できる。
【0024】
図4は、端末401であるパソコンに接続する周辺機器を全て図示している。しかし、端末401の用途を特定すれば、必ずしも必要でない周辺機器もある。
端末401を個人用血糖計102の受信用に特化する場合、病棟用血糖計103の専用インターフェースである赤外線通信部404は不要である。
端末401を病棟用血糖計103の受信用に特化する場合、患者IDを特定して、個人用血糖計102の血糖値データと患者IDを紐付けるためのバーコードリーダ405は不要である。
【0025】
[サーバ104]
図5はサーバ104の機能ブロック図である。
サーバ104はwebサーバとデータベースサーバを兼用している。
webサーバプログラム501は、端末401の要求を受け取り、端末401の要求に応じてhtml(Hyper Text Markup Language)文書ファイルを端末401に送信したり、要求内容に該当するcgiを起動して、その結果を端末401に送信する。
【0026】
端末認証cgi502は、端末401の要求に応じて、端末401の正当性を確認するための端末認証を司る。このために、端末認証cgi502は端末マスタ503とログイン情報の送受信を行う。
データベース操作cgi504は、端末401の要求に応じて、患者マスタ505及び血糖値テーブル506に対し、検索やレコードの追記録等の操作を行う。
データ登録cgi507は、端末401から送信される血糖値データを、血糖値テーブル506に追記録する。
グラフ表示cgi508は、端末401の要求に応じて、血糖値テーブル506から指定された患者の血糖値データを検索して、当該血糖値データに基づいて血糖値トレンドグラフの画像データを画像ファイルディレクトリ509に作成し、端末401に送信する。
【0027】
端末マスタ503、患者マスタ505及び血糖値テーブル506は、データベースマネージャ510を通じて、検索や登録等の操作ができる。
データベース操作シェル511は、webサーバプログラム501のプロトコル、すなわちhttp(TCPポート番号80番)とは異なるポート番号及びアプリケーション層プロトコルで、端末マスタ503、患者マスタ505及び血糖値テーブル506に対する種々の操作を実現するコマンドインタプリタである。
つまり、端末マスタ503、患者マスタ505及び血糖値テーブル506を操作する通信手段は、必ずしもhttpだけではなく、種々のプロトコルを利用可能である。
【0028】
[テーブルのフィールド構成]
図6は、各種テーブルのフィールド構成図である。
病棟用血糖計103の血糖値小テーブル211は、患者IDフィールドと、血糖値フィールドと、測定日時フィールドと、測定者IDフィールドとよりなる。
患者IDフィールドには、患者IDが格納される。
血糖値フィールドには、患者の血糖値が格納される。
測定日時フィールドには、患者の血糖値を測定した日時が格納される。
測定者IDフィールドには、病棟用血糖計103において患者の血糖値を測定した、医師或は看護師等の担当者の測定者IDが格納される。
病棟用血糖計103は複数の患者の血糖値を測定するため、血糖値小テーブル211には測定した血糖値を患者毎に区別するために患者IDフィールドが存在する。
【0029】
個人用血糖計102の血糖値小テーブル311は、血糖値フィールドと、食後フラグフィールドと、測定日時フィールドとよりなる。
血糖値フィールドと測定日時フィールドは、病棟用血糖計103の血糖値小テーブル211の血糖値フィールド及び測定日時フィールドと同じである。
食後フラグフィールドには、個人用血糖計102において患者の血糖値が食後に測定されたものであるか否かを示すフラグ(以下「食後フラグ」と称す)が格納される。
個人用血糖計102は一人の患者の血糖値を測定するため、血糖値小テーブル311は病棟用血糖計103の血糖値小テーブル211と異なり、測定した血糖値を患者毎に区別するための患者IDフィールドが存在しない。
なお、血糖値小テーブル311は、過去に測定した血糖値とそれに付随するデータを500件まで格納できる。
【0030】
サーバ104の患者マスタ505は、患者氏名フィールドと、患者IDフィールドと、入院通院フラグフィールドと、血糖計シリアルナンバーフィールドとよりなる。
患者氏名フィールドには、患者の氏名が格納される。
患者IDフィールドには、病棟用血糖計103の血糖値小テーブル211及び個人用血糖計102の血糖値小テーブル311の患者IDフィールドと同様、患者IDが格納される。
入院通院フラグフィールドには、当該患者が入院患者か或は通院患者であるかを示すフラグが格納される。
血糖計シリアルナンバーフィールドには、患者が通院患者である場合に、患者が所有する個人用血糖計102のシリアルナンバーが格納される。
血糖計シリアルナンバーは、患者IDと一意に紐付けることのできる情報であることから、患者ID関連情報ともいえる。したがって、血糖計シリアルナンバーフィールドは、患者ID関連情報フィールドともいえる。
【0031】
サーバ104の血糖値テーブル506は、患者IDフィールドと、血糖値フィールドと、食後フラグフィールドと、機種名フィールドと、測定日時フィールドと、測定者IDフィールドとよりなる。
患者IDフィールドは、患者マスタ505の患者IDフィールドと同じである。
血糖値フィールドには、病棟用血糖計103の血糖値小テーブル211及び個人用血糖計102の血糖値小テーブル311の血糖値フィールドと同様、患者の血糖値が格納される。
食後フラグフィールドは、個人用血糖計102の血糖値小テーブル311の食後フラグフィールドと同じである。なお、この食後フラグフィールドは、病棟用血糖計103の場合は無視される。
機種名フィールドには、患者の血糖値を測定した血糖計の機種名212が格納される。
測定日時フィールドには、患者の血糖値を測定した日時が格納される。
測定者IDフィールドには、病棟用血糖計103において患者の血糖値を測定した、医師或は看護師等の担当者の測定者IDが格納される。
【0032】
血糖値テーブル506は、病棟用血糖計103の血糖値小テーブル211と、個人用血糖計102の血糖値小テーブル311の、双方のデータを全て包含できるフィールド構成である。しかし、個人用血糖計102の血糖値小テーブル311には患者IDフィールドが存在しない。そこで、個人用血糖計102から血糖値データを取得する際、端末401は血糖値データに患者IDを紐付けるための、患者IDを特定する処理を行う。この、患者IDを取得して特定する処理の詳細については、
図7及び
図8のフローチャートにて後述する。
【0033】
端末401の機種マスタ408は、機種名フィールドと、種別フィールドとよりなる。
機種名フィールドは、血糖値テーブル506の機種名フィールドと同じである。
種別フィールドには、当該機種の血糖計が病棟用血糖計103か或は個人用血糖計102であるかを示すフラグが格納される。
なお、本実施形態の血糖値管理システム101では機種マスタ408を端末401に持たせているが、サーバ104に持たせても良い。
【0034】
[動作]
これより、
図7及び
図8のフローチャートを用いて、本実施形態の血糖値管理システム101の動作の流れを説明する。
図7は、端末401による血糖値データ登録作業の流れを示すフローチャートである。
処理を開始すると(S701)、端末401の入出力制御部406は機種特定処理を実行する(S702)。機種特定処理においては、端末401は近距離無線通信部403(ICカードリーダ108)或は赤外線通信部404(クレードル111)を通じて、血糖計の種別を特定し、機種を特定するフラグを設定する。この機種特定処理の詳細は
図8で後述する。
【0035】
機種特定処理を終えると、端末401内部の図示しないRAMには、個人用フラグと病棟用フラグのいずれかが立っている。そこで、端末401の入出力制御部406は次に個人用フラグと病棟用フラグのどちらが立っているか、すなわち現在通信を行なっている血糖計が病棟用血糖計103と個人用血糖計102の、どちらの血糖計であるかを確認する(S703)。
確認の結果、病棟用血糖計103であった場合には(S703のNO)、端末401の入出力制御部406は近距離無線通信部403或は赤外線通信部404を通じて、病棟用血糖計103から全ての血糖値データをダウンロードして、サーバ104に転送し(S704)、一連の処理を終了する(S705)。
【0036】
ステップS703において、確認の結果、個人用血糖計102であった場合には(S703のYES)、端末401の入出力制御部406は更に機種特定処理で取得した患者ID又はシリアルナンバーをサーバ104に問い合せて(S706)、当該患者が入院患者か通院患者であるか、つまり患者マスタ505の入院通院フラグの中身を確認する(S707)。なお、ステップS706では、機種特定処理で取得した情報が個人用血糖計102のシリアルナンバーである場合、端末401の入出力制御部406は患者マスタ505の入院通院フラグのみならず、患者IDもサーバ104から取得する。
確認の結果、当該患者が入院患者であった場合には(S707のNO)、個人用血糖計102から最新の血糖値データ1件分のみダウンロードして、患者IDと共にサーバ104に転送し(S708)、一連の処理を終了する(S705)。
ステップS707において、確認の結果、当該患者が通院患者であった場合には(S707のYES)、個人用血糖計102から全ての血糖値データをダウンロードして、患者IDと共にサーバ104に転送する(S709)。そして、サーバ104と連携して当該患者の血糖値トレンドグラフを表示する処理を行い(S710)、一連の処理を終了する(S705)。
【0037】
図8は、端末401による機種特定処理の流れを示すフローチャートである。
図7のステップS702の詳細である。
処理を開始すると(S801)、入出力制御部406は最初に内部の図示しないタイマをリセットする(S802)。次に、入出力制御部406は短い時間の、近距離無線通信部403、赤外線通信部404、バーコードリーダ405、クレードル111又はキーボード106を監視する入力待ちを行う(S803)。短い時間とは、例えば0.5〜3秒程度の時間である。この待ち時間の中で、近距離無線通信部403、バーコードリーダ405、赤外線通信部404又はキーボード106からデータの入力があれば、入出力制御部406は直ちに次の処理に移行する。また、待ち時間が経過した場合も、次の処理に移行する。
【0038】
ステップS803の入力待ちの後、入出力制御部406は近距離無線通信部403、バーコードリーダ405又はキーボード106から患者ID又はシリアルナンバーを取得したか否か、確認する(S804)。
患者ID又はシリアルナンバーを取得できなかった場合(S804のNO)、次に入出力制御部406は近距離無線通信部403又は赤外線通信部404から機種名212を取得したか否か、確認する(S805)。
機種名212を取得できなかった場合(S805のNO)、次に入出力制御部406はタイマを確認し、所定の時間が経過したか否か、確認する(S806)。この所定の時間とは、個人用血糖計102で患者IDと機種名212を取得するために要する時間の許容範囲として、例えば30秒程度の時間である。
もし、所定の時間が未だ経過していなければ(S806のNO)、入出力制御部406は再びステップS803に戻って入力待ちを行う。
もし、所定の時間が経過していたら(S806のYES)、もはや時間切れなので入出力制御部406は既に取得済みの患者ID、シリアルナンバー或は機種名212等のデータを全て破棄して、タイマをリセットさせ(S807)、再びステップS803に戻って入力待ちを行う。
【0039】
ステップS805において、取得したデータが機種名212であれば(S805のYES)、次に入出力制御部406は機種特定部407を起動する。機種特定部407は機種マスタ408を取得した機種名212で検索し、当該機種が病棟用血糖計103なのか、それとも個人用血糖計102なのかを確認する(S808)。もし、病棟用血糖計103であれば(S808のYES)、入出力制御部406は既に患者IDやシリアルナンバーを取得していた場合はこれを破棄して(S809)、当該血糖計が病棟用血糖計103であることを示す病棟用フラグを立てて(S810)、一連の処理を終了する(S811)。
【0040】
ステップS804において、取得したデータが患者ID
又はシリアルナンバーであれば(S804のYES)、次に入出力制御部406はこの時点で機種名212を取得済みであるか否かを確認する(S812)。もし、既に機種名212を取得済みであれば(S812のYES)、入出力制御部406は当該血糖計が個人用血糖計102であることを示す個人用フラグを立てて(S813)、一連の処理を終了する(S811)。
【0041】
ステップS812において、機種名212を未だ取得していない場合は(S812のNO)、入出力制御部406は機種名212を取得するためにタイマを起動して(S814)、再びステップS803に戻って入力待ちを行う。
また、ステップS808において、個人用血糖計102である場合は(S808のNO)、入出力制御部406は次に患者IDを取得済みか確認する(S815)。患者IDを取得済みであれば(S815のYES)、入出力制御部406は当該血糖計が個人用血糖計102であることを示す個人用フラグを立てて(S813)、一連の処理を終了する(S811)。
ステップS815において患者IDを未だ取得していない場合は(S815のNO)、入出力制御部406は患者IDを取得するためにタイマを起動して(S814)、再びステップS803に戻って入力待ちを行う。
【0042】
入出力制御部406は、
図8に示す機種特定処理のフローチャートに従って、以下の判断処理を行う。
・入力待ち(S803)で得た情報の結果、通信中の血糖計が病棟用血糖計103であれば(S808のYES)、入出力制御部406は仮に誤った操作等で先に患者IDやシリアルナンバーを取得していても、それらは不要であるから破棄して(S809)、直ちに病棟用フラグを設定する(S810)。
・入力待ち(S803)で得た情報の結果、通信中の血糖計が個人用血糖計102であれば(S808のNO)、入出力制御部406はこの時点で既に患者ID又はシリアルナンバーを取得しているか更に確認する(S815)。患者ID又はシリアルナンバーを取得済みであれば(S815のYES)、必要な情報、つまり個人用血糖計102で且つ紐付けのための患者ID又はこれに類する情報が揃ったので、入出力制御部406は個人用フラグを設定する(S813)。
【0043】
・入力待ち(S803)で得た情報の結果、入力された情報が患者ID
又はシリアルナンバーであれば(S804のYES)、入出力制御部406はこの時点で既に機種名212を取得しているか更に確認する(S812)。機種名212を取得済みであれば(S812のYES)、それは個人用血糖計102であることは明らかである(病棟用血糖計103である場合(S808のYES)はステップS803の入力待ちに戻らないので、ステップS812には到達し得ない。)ので、入出力制御部406は個人用フラグを設定する(S813)。
・入力待ち(S803)で得た情報の結果、入力された情報が患者ID
又はシリアルナンバーであり(S804のYES)、未だ機種名212を取得していなければ(S812のNO)、入出力制御部406は機種名212を取得するためにタイマを起動して(S814)、再度入力待ちを行う(S803)。
・入力待ち(S803)で得た情報の結果、個人用血糖計102であり(S808のNO)、未だ患者ID又はシリアルナンバーを取得していなければ(S815のNO)、入出力制御部406は患者ID又はシリアルナンバーを取得するためにタイマを起動して(S814)、再度入力待ちを行う(S803)。
【0044】
以上に説明したように、端末401は、個人用血糖計102から血糖値データをダウンロードして、サーバ104の血糖値テーブル506にアップロードする際、個人用血糖計102から直接得られない患者IDを取得して、ダウンロードした血糖値データに紐付けなければならない。本実施形態の端末401の入出力制御部406は、機種特定部407で個人用血糖計102であると判断した場合、バーコードリーダ405或は操作部412を通じて患者ID又はシリアルナンバーを取得し、患者IDと血糖値データを紐付ける。
【0045】
更に端末401の入出力制御部406は、血糖値データをダウンロードする対象が個人用血糖計102である場合、患者種別特定部410を通じて、対象となる患者が入院患者か或は通院患者であるかを確認する。そして、通院患者であれば個人用血糖計102に含まれている血糖値データを全件ダウンロードし、血糖値トレンドグラフをwebブラウザ402を通じて表示部411に表示する。逆に入院患者であれば、個人用血糖計102に含まれている血糖値データを直近の最新1件のみダウンロードする。そしてその際、血糖値トレンドグラフは表示しない。
【0046】
図9は、血糖値トレンドグラフの一例を示す図である。
端末401の入出力制御部406は、サーバ104のグラフ表示cgi508にアクセスするためのURL文字列を引数としてwebブラウザ402に渡した上で、webブラウザ402を起動する。
webブラウザ402は、引数として渡されたURL文字列に従って、グラフ表示cgi508にアクセスする。
グラフ表示cgi508は、アクセスがあった端末401の端末IDから、血糖値テーブル506に追記録が行われた直近のレコードから、患者IDを特定し、当該患者の血糖値トレンドグラフの画像データを画像ファイルディレクトリ509に作成する。webブラウザ402は、画像ファイルディレクトリ509に作成された血糖値トレンドグラフ901の画像データを読み込み、表示部411に表示する。
表示部411に表示される血糖値トレンドグラフには、横軸に測定日時、縦軸に血糖値をとった折れ線グラフの画像が表示されると共に、患者の氏名が表示される。
webブラウザ402は、表示部411に血糖値トレンドグラフ901を表示させるための、グラフ表示制御部としての機能を有する。
【0047】
本実施形態においては、血糖値管理システム101を開示した。
血糖値管理システム101の端末401は、病棟用血糖計103と個人用血糖計102を、通信の最初の段階で機種名を問い合わせることで判別する。そして、病棟用血糖計103であれば、即座に血糖値データをダウンロードし、サーバ104にアップロードする。
しかし、個人用血糖計102であれば、個人用血糖計102から血糖値データをダウンロードして、サーバ104の血糖値テーブル506にアップロードする際、個人用血糖計102から直接得られない患者IDを取得して、ダウンロードした血糖値データに紐付けなければならない。本実施形態の端末401の入出力制御部406は、機種特定部407で個人用血糖計102であると判断した場合、バーコードリーダ405或は操作部412を通じて患者ID又はシリアルナンバーを取得し、患者IDと血糖値データを紐付ける。
このように血糖値管理システム101を構成することで、病棟用血糖計103と個人用血糖計102を共通のシステムで取り扱うことができるだけでなく、全ての患者の血糖値を統一的に一元管理することができる。
【0048】
更に、端末401の入出力制御部406は、血糖値データをダウンロードする対象が個人用血糖計102である場合、患者種別特定部410を通じて、対象となる患者が入院患者か或は通院患者であるかを確認する。そして、通院患者であれば個人用血糖計102に含まれている血糖値データを全件ダウンロードし、血糖値トレンドグラフをwebブラウザ402を通じて表示部411に表示する。逆に入院患者であれば、個人用血糖計102に含まれている血糖値データを直近の最新1件のみダウンロードする。そしてその際、血糖値トレンドグラフは表示しない。
このように血糖値管理システム101を構成することで、個人用血糖計102の使用者が通院患者と入院患者とで異なる場合でも、きめ細かい対応ができる。
【0049】
以上、本発明の実施形態例について説明したが、本発明は上記実施形態例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した本発明の要旨を逸脱しない限りにおいて、他の変形例、応用例を含む。