(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
シリコンのウエーハ又はシートは、例えば、集積回路又は太陽電池の産業で用いることができる。太陽電池の需要は、再生可能なエネルギー源の需要が増加するにつれて、増え続けている。太陽電池の大多数は、単結晶シリコンウエーハのようなシリコンウエーハから作られる。現在、結晶シリコン太陽電池の主要コストは、その太陽電池が作られるウエーハにかかっている。太陽電池の効率、すなわち、標準照射下で生成される電力量は、一つには、このウエーハの品質により制限される。太陽電池の需要が増えるにつれて、太陽電池産業は、コスト/電力比を下げることを1つの目標としている。品質を低下させずに、ウエーハの生産コストを削減することにより、コスト/電力比を下げ、このクリーンエネルギー技術のより広い有用性を可能にする。
【0003】
最も高い効率のシリコン太陽電池は、20%より大きい効率を有する。これらは、エレクトロニクスグレードの単結晶シリコンウエーハを用いて作られる。そのようなウエーハは、チョクラルスキー法を用いて成長させた単結晶シリコンの円筒状ブールから薄いスライスを切断することにより、作ることができる。これらのスライスの厚さは、200μm未満とすることができる。単結晶成長を維持するために、ブールは、融液を収容しているるつぼから、例えば10μm/s未満の速度で、ゆっくり成長させなければならない。後続の切断プロセスは、ウエーハ毎に約200μmの切り口損失、すなわち、ソー・ブレードの幅による損失をもたらす。円筒ブールやウエーハは、正方形の太陽電池を作るために、四角にする必要もある。正方形にすることと切り口の損失は、両方とも、材料の無駄と材料のコストの増加をもたらす。太陽電池がより薄くなるにつれて、1カット毎にシリコンの無駄の割合が増大する。インゴットのスライス技術に対する限界は、より薄い太陽電池を得る能力を妨げることになる。
【0004】
他の太陽電池は、多結晶シリコンインゴットから切断したウエーハを用いて作られる。多結晶シリコンインゴットは、単結晶シリコンインゴットより速く成長する。しかしながら、得られるウエーハの品質は、より多くの欠陥と結晶粒界があるため、低下し、この低品質は、太陽電池の効率を下げることになる。多結晶シリコンインゴット用の切断プロセスは、単結晶シリコンのインゴット、すなわち、ブールと同程度に非効率である。
【0005】
さらに別の解決法は、シリコンの薄いリボンを融液から垂直に引っ張り、次いで、引っ張ったシリコンを冷やして、シートに凍結させる方法である。この方法の引っ張り速度は、約18mm/分未満に制限される。シリコンの冷却及び凍結の間に放出される潜熱は、垂直なリボンに沿って放出しなければならない。このために、リボンに沿う温度勾配が大きくなる。この温度勾配は、結晶シリコンリボンに応力を加え、多粒子シリコンの品質を損ねることになる。リボンの幅及び厚さも、この温度勾配のために、制限される。例えば、幅は80mm未満に制限され、厚さは180μm未満に制限される。
【0006】
融液から水平方向にシートを形成することによって、インゴットからスライスされるシリコンよりもコストを低くすることができ、また、切り口損失又は正方形にすることによる損失を排除することができる。融液から水平方向に形成されるシートは、また、融液から垂直に引っ張り出されるシリコンのリボンより、コストを低くすることができる。さらに、融液から水平方向に形成されるシートは、融液から垂直に又はある角度で引っ張り出されるシリコンのリボンに比べて、シートの結晶品質を改善することができる。材料コストを低減し得る、このような結晶成長法は、シリコン太陽電池のコストを低減するための主要な実現ステップとなり得るであろう。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本装置及び方法の実施形態を太陽電池に関連して本明細書で説明する。しかしながら、これらは、また、例えば、集積回路、フラットパネル、LED又は当業者に既知の他の基板を製造するために、用いることができる。さらに、本明細書では、融液をシリコンとして説明するが、融液は、ゲルマニウム、シリコン及びゲルマニウム、ガリウム、窒化ガリウム、他の半導体材料又は当業者に既知の他の材料を含むことができる。従って、本発明は、以下に説明する特定の実施形態に限定されない。
【0016】
図1は、シートを融液から分離する装置の実施形態の側断面図である。シート形成装置21は、容器16を有する。容器16は、例えば、タングステン、窒化ホウ素、窒化アルミ二ウム、モリブデン、黒鉛、炭化ケイ素又は石英とすることができる。容器16は、融液10を収容できるように構成されている。この融液10は、シリコンとすることができる。シート13は融液10の上に形成される。一例では、シート13は、融液10内に、少なくとも部分的に浮かぶ。
図1では、シート13は、融液10中に浮いているように例示してあるが、シート13は、融液10中に少なくとも部分的に沈むか、又は、融液10の表面に浮かんだりする。シート13が位置付けられる深さは、シート13と融液10との相対密度に部分的に基づく。一例では、シート13の僅か10%が、融液10の表面から突き出る。融液10は、シート形成装置21内で循環させることができる。
【0017】
この容器16は、少なくとも1つの流路17を画定する。この流路17は融液10を保持するように構成され、融液10は流路17の第1の点18から第2の点19へ流れる。融液10は、例えば、圧力差、重力、ポンプ又は他の移送方法により、流すことができる。次に、融液10はスピルウェイ12を越えて流れる。このスピルウェイ12は、斜面、堰、出っ張り、小さな堰堤又は隅部とすることができるが、
図1に例示の実施形態に限定されない。スピルウェイ12は、シート13を融液10から分離することを可能にする任意の形状とすることができる。
【0018】
特定の一実施形態では、容器16は、約1685Kより少し高い温度に維持することができる。シリコンの場合、1685Kは、凍結温度又は界面温度を表す。容器16の温度を融液10の凍結温度より少し高い温度に維持することにより、冷却プレート14は、放射冷却を利用して、融液10の上又は中におけるシート13の所望の凍結速度を得るように、機能することができる。この特定の実施形態の冷却プレート14は、単一のセグメント又はセクションから成るが、多数のセグメント又はセクションを含むこともできる。流路17の底部は、融液10の溶融温度以上で加熱し、界面における融液10に僅かな垂直温度勾配を生成して、構成上の過冷却や、シート13上にデンドライト又は分岐突起を形成するのを防ぐことができる。しかしながら、容器16は、融液10の溶融温度を超える任意の温度とすることができる。これにより、融液10が容器16の上で凝固するのを防ぐ。
【0019】
シート形成装置21は、このシート形成装置21を少なくとも部分的に又は全体的に包囲体内に入れることにより、融液10の凍結温度より少し高い温度に維持することができる。包囲体がシート形成装置21を融液10の凍結温度より上の温度に維持する場合には、シート形成装置21を加熱する必要性を回避する又は減らすことができ、包囲体の中又は周囲のヒーターは熱損失を補うことができる。この包囲体は、異方性伝導率で等温にすることができる。別の特定の実施形態では、ヒーターを包囲体の上又は中に配置しないで、むしろ、シート形成装置21の中に配置する。一例では、容器16の種々の領域は、ヒーターを容器16内に組み込み、マルチゾーン温度制御を用いることにより、種々の温度に加熱することができる。
【0020】
包囲体は、シート形成装置21が配置される環境を制御することができる。特定の実施形態では、包囲体は不活性ガスを含む。この不活性ガスは、融液10の凍結温度より高い温度に維持することができる。不活性ガスは、シート13の形成中に構成上の不安定性を引き起こし得る溶質が融液10中に加えられるのを減らすことができる。
【0021】
冷却プレート14は、シート13を融液10の上に形成し得るようにするように熱除去を可能にする。冷却プレート14は、この冷却プレート14の温度を融液10の凍結温度より低く下げた場合、シート13を融液10の上又は中で凍結させることができる。この冷却プレート14は、放射冷却を利用することができ、例えば、黒鉛、石英又は炭化ケイ素から作ることができる。シート13の形成の間に融液10への外乱を低減させて、シート13の欠陥を防ぐことができる。融液10の表面上のシート13又は融液10上に浮いているシート13を冷却することにより、比較的大きなシート13の引き出し速度を保ちながら、融解潜熱をゆっくりと広範囲にわたって取り出すことができる。
【0022】
シート13が融液10上に形成されたら、シート13をスピルウェイ12を用いて融液10から分離する。融液10は流路17の第1の点18から第2の点19へ流れる。シート13は融液10と一緒に流れる。このシート13の移送は連続動作とすることができる。一例では、シート13は、融液10が流れるのとほぼ同じ速度で流れる。従って、シート13は、融液10に対しては静止したままで、形成し、移送することができる。スピルウェイ12の形状又は配向は、融液10又はシート13の速度プロファイルを変えるために、変更することができる。
【0023】
融液10はスピルウェイ12の箇所でシート13から分離される。一実施形態では、融液10の流れは、融液10をスピルウェイ12を越えて移送し、またその流れの少なくとも一部が、シート13をスピルウェイ12を越えて移送させることができる。これは、外部応力がシート13に全くかからないため、シート13の破損を最小限にするが、又は、防ぐことができる。もちろん、シート13は、引っ張るか、又は、いくらかの外力を加えることもできる。この特定の実施形態では、融液10は、シート13から離れて、スピルウェイ12を越えて流れる。シート13への熱衝撃をなくすために、スピルウェイ12は冷却しないようにする。一実施形態では、スピルウェイ12での分離は、等温に近い状態で行う。一実施形態では、シート13は、スピルウェイ12を越えて真っすぐに進む傾向にある。このシート13は、破損を防ぐために、いくつかの例では、スピルウェイ12を越えて進んだ後に、支持するのがよい。
【0024】
もちろん、冷却プレート14の長さにわたる種々の冷却温度、融液10の種々の流速やシート13の引っ張り速度、シート形成装置21の様々な部分の長さ、又は、シート形成装置21内のタイミングは、プロセス制御のために用いることができる。融液10がシリコンである場合、シート13は、シート形成装置21を用いることにより、多結晶の又は単結晶のシートとなり得る。
図1は、シート13を融液10から形成することができるシート形成装置の一例に過ぎない。シート13を水平に成長させる他の装置又は方法も可能である。本明細書で説明する実施形態は、任意のシート13を水平に成長させる装置又は方法に適用することができる。従って、本明細書で説明する実施形態は、
図1の特定の実施形態だけに限定されない。例えば、
図2は、シートを融液から分離する装置の第2の実施形態の側断面図である。シート形成装置31において、融液10は容器16内に収容されている。シート13は、冷却プレート14による形成後に、融液10から引っ張り出される。
図2では水平であるが、シート13は、融液10に対してある角度を成すこともできる。
図1〜2の実施形態では、融液10は、例えばシート形成装置21又は31の側面の周りと云ったような、シート形成装置21又は31の周りを循環させることができる。もちろん、融液10は、シート13の形成プロセスの一部又は全ての期間中、静止させることもできる。
【0025】
本明細書で開示する装置及び方法の実施形態は、大きい熱勾配又は付加汚染物質を導入することなく、融液10をポンプでくみ上げ、その代わりに、SiOを融液10から除去することができる。
図3は、ポンプの第1の実施形態の側断面図である。ガスが入り液体をガスと共に持ち上げる。従って、気泡27は、液体である融液10を持ち上げるのに役に立つ。これらの気泡27は、例えば、希ガス、窒素、水素又は当業者に知られた他の種とすることができる。このポンプは、「性能曲線」で説明することができ、性能曲線は、異なる浸水比率SR=H
s/Lに対し、液体の流速Q
Lをガスの流速Q
gに関連付ける。このような性能曲線を
図3の右に例示する。
【0026】
図4は、ポンプの第1の実施形態の第2の側断面図である。本明細書では、近似を行い、液体領域33中の融液10及びポンプ22中の気泡領域34を連続流体として説明する。摩擦効果を無視して、ベルヌーイ方程式を、
図4に例示するように3点30、31及び32で、適用することができる。
【数1】
【数2】
エネルギーの観点から、タンク23の中の重力位置エネルギーは、より低密度の液体及びガスを有する融液10の流れの運動エネルギーになる。液体及びガスの密度は、ガスの流れ及び気泡27の速度に依存する。気泡27の最終速度は、浮力と抗力との間のバランスの結果である。気泡のサイズに依存する挙動のいくつかの型がある。この特定の実施形態に対して、気泡のサイズは約1〜5mmの間であり、気泡27は球形又は平坦にすることができる。これは、気泡27の最終速度が、気泡27の直径とは比較的無関係であることをもたらす。以下の方程式は、融液10の液体に対するこの気泡27の最終速度のための半経験的関係を与える。
【数3】
【0027】
図5は、液体及びガスの密度が、どのように、液体の体積流量に依存するかを例示する。
図5において、斜線は、気泡及び融液の両方を有する領域を表す。液体の流れをQ
L=u
LAにより表すことができ、u
Lは液体の速度であり、Aは断面積である。時間間隔dtにわたり、気泡及び液体は距離(u
L+u
B)dtを上昇し、体積V
gL=A(u
B+u
L)dtを満たす。V
g=Q
gdtはガスであり、V
L=A(u
B+u
L)dt-Q
gdtは液体である。従って、ガス及び液体の平均密度(ρ
gL)は、
【数4】
であり、ここで、ρ
Lは液体の密度であり、ρ
gはガスの密度であり、V
Lは液体の体積であり、V
gはガスの体積である。連続方程式は以下により表せられる。
【数5】
これは、気泡の導入によるような液体の密度が減少する場合、液体の速度が増大しなければならないという質量保存則から述べている。これは、気泡が上昇する時に、液体が気泡間で逆流しないことを仮定している。これは、実際には、正しくないかもしれないので、経験的訂正をするために、「滑り係数」を導入する。
【数6】
これらの方程式をまとめると、
【数7】
この方程式は、Q
gの関数としてQ
L(すなわち、ガス性能曲線)を得るために、所定の形状及び気泡の速度に対して、反復して解くことができる。この方程式は、水を用いる小型のガスリフトポンプテストスタンドに適用された。溶融シリコンを扱う仕事が困難なため、最初のテストに対して水を用いた。気泡の滑り係数は、液体を、注入装置すなわち、タンクの上に、どれだけ高く持ち上げる必要があるか(浸水比率)に依存し、かつ、気泡が管を満たす程度に依存し得る。滑り係数は、浸水比率(SR)及び「気泡充填比率」bf=(ρ
L-ρ
gL)/ρ
Lのべき関数として近似することができる。従って、s=SR
α(bf
β)であり、ここで、α及びβはデータをフィットすることにより決定することができる。
【0028】
図6A〜6Bは、ポンプ性能曲線及びαとβの計算及び実際のデータの比較である。
図6Bのガスリフトポンプ(給水設備)のグラフは、水を用いる実際のデータを例示し、一方、
図6Aのガスリフトは、予測結果を表す。L=5.4cmの管を用い、同心空気管により底部の近くへ注入された空気で実験を行い、同心空気管は、3mmの外径を有し、塞いだ端部の近くの側面の0.2mmのドリル穴を有する(
図3に類似する)。タンクの深さH
sは浸水比率を変更するように変えた。気泡の速度は、上記の方程式に従って、0.23m/sとした。
図6に例示するように、α=0.5及びβ=2を用いて、実験データに対して最良のフィットを生じた。
【0029】
ガスリフトポンプは、溶融シリコン又は高温であり得る他の融液とともに、用いることができる。水の密度(ρ)は1g/cm
3であり、一方、シリコンの密度(ρ)は2.53g/cm
3である。水の表面張力(σ)は72dynes/cmであり、一方、シリコンの表面張力(σ)は720dynes/cmである。水の動粘性係数(μ)は0.89E-3 Ns/m
2であり、一方、シリコンの動粘性係数(μ)は0.78E-3 Ns/m
2である。上記の方程式を参照するに、液体の密度は、浮力と慣性との間のバランスのため、計算に影響を及ぼすことができない。従って、シリコンは水より2.5倍大きい密度を有するので、シリコンの中の泡は水の中の同じ泡より2.5倍大きい浮力がある。シリコンと水の動粘性係数は類似しているが、動粘性係数は、計算に影響を及ぼすことができない。ポンプの性能は、気泡の速度u
Bの他に、間接的に滑り係数sも介して表面張力に依存する。しかし、気泡の速度は、(σ/ρ)^0.25に依存するに過ぎず、これは、シリコンの中では水の中より約1.4倍大きい。
【0030】
空気管の水中の穴から現れる気泡のサイズは、気泡を上へ持ち上げる浮力と釣り合う、気泡の穴に対する表面張力の粘着力を考慮することにより、推定することができる。
図7は、気泡のサイズの表面張力及び密度への依存を例示する。
図7に基づくと、気泡のサイズ27は、(σ/ρ)^0.33に依存するため、シリコンの中のアルゴンの気泡のサイズ27は、水の中の場合より約1.6倍大きい。従って、シリコンの表面張力は、水の表面張力より1桁大きいけれども、気泡の速度及びサイズに対する効果は決して大きいといえるものではない。
【0031】
図8は、2つの異なるガスリフトポンプのサイズに対するシリコンの場合と水の場合との予測ポンプ性能を比較する。ガスリフトポンプは、2つの長さ1.4cm及び5.4cmとした。水のモデルを用いるこれらの結果は、ガスリフトポンプでシリコンをくみ上げることが、水と比較して同様の性能を有し、実現可能であることを実証する。
【0032】
シリコン融液とともにアルゴン又は他の希ガスを用いるガスリフトポンプのようなポンプは、融液からSiOを除去することができる。
図9は、シリコン融液の中のSiOの源及びポンピングを示すフローチャートである。一実施形態でのSiOは、シリコン融液を含む石英のるつぼ又は容器の結果である。太陽電池の中の酸素の存在は、例えば、LIDに導くため、酸素の除去は付加利益である。
図9に示すように、SiOは、石英のるつぼ又は容器の溶解により融液に入る。融液の中のSiOの定常状態の濃度は、(るつぼ又は容器のぬれ面積A
dに比例する)石英のるつぼ又は容器の溶解割合と、(アルゴンにさらされる表面面積A
eに比例する)蒸発割合との間で平衡を保たれる。SiOの濃度は、面積の比率A
d/A
eに比例する。アルゴンの気泡を融液に通すことにより、この比率を減少させ、従って、融液の中のSiOの濃度を下げる。
【0033】
図10は、シートを融液から分離する装置を有するポンプの第1の実施形態の側断面図である。ここで、融液10がスピルウェイ12を越えた後に、シート13を融液10から水平に引っ張り又は取り出す。シート13と融液10との間に形成されるメニスカスは、融液10をスピルウェイ12を越えてシート13からの分離点に流すことにより、安定させる。このメニスカスを安定させるために、融液10の中により低い圧力を提供するのは、スピルウェイ12を越える融液10の滴りである。融液10は、流路17及び冷却プレート14の下か、又は、流路17の両側の周りに続く、戻りを用いて、位置35からもとの位置36へ、流れることができる。戻りの一部は、冷却プレート14の下の面積より小さくすることができる。バッフル51を融液10の中に配置させる。
【0034】
融液10がスピルウェイ12を越えた後に、融液10を、位置35から、位置36又はバッフル51の近くのようなスピルウェイ12及び冷却プレート14の上流のレベルへ、戻すために、特定のリフト又はヘッドが必要とされる。ガスリフトポンプであり得るポンプ22は、一例では、約5cmより長い第1の導管43を用いて、約1cmより大きいヘッドを生じるように構成される。
図10に例示するように、ポンプ22は、第1の高さから第2の高さへの高さ37のリフトを引き起こす。
【0035】
ポンプ22は、石英から作られるパーツを有することができる。この特定の実施形態では、ポンプ22は、第1の導管43に、接続し、流体連結するガス源42を有する。第1の導管43は、ガス源42からのガスの流れを可能にするように構成される。第1の導管43は、第2の導管44に流体連結する。第2の導管44は、融液10及び気泡27を含むように構成される。従って、第2の導管44の一端を融液10の戻りに接続し、第2の導管44の他端を流路17及びシート13を凍結すなわち形成する領域(すなわち凍結領域)又は位置35に接続する。ガス源42は、融液10を位置36から持ち上げるように構成される。
【0036】
図11は、シートを融液から分離する装置を有するポンプの第2の実施形態の側断面図である。この実施形態では、ガスジェット26のようなガス衝突を用いてメニスカスをるつぼの壁に留め、このメニスカスを安定させるために、差圧を供給する。ポンプ22は、浸水比率SR=1で動作し、融液10はヘッドを必要としないで流れる。従って、ポンプ22は、約1cmのように短くすることができる。ポンプ22は、スピルウェイ12を含む分流器24に組み入れることができる。この実施形態は、融液10の戻り27を含む。本明細書で開示する他の実施形態は、そのような戻り27を含むこともできる。この戻り27を分流器24の下に例示するが、装置の側面に例示することもできる。
【0037】
図12は、シートを融液から分離する装置を有するポンプの第3の実施形態の側断面図である。この実施形態はロー アングル シリコン シート(Low Angle Silicon Sheet:LASS)方法を用いる。メニスカスの安定化は、シート13上に小さい角度で引っ張りあげることにより提供され、従って、シート13とメニスカス又は融液10との間の分離点で負の静水圧を供給する。固体シート13により排除される溶質は流し出され、構成上の過冷却を避けることができる。熱対流を生成するのに大きい熱勾配を必要とするので、ヘリウムガス冷却を必要とし得る。シート13内の大きい熱除去及び熱勾配は、シート内の転位を引き起こし得る。これらの熱勾配は、ポンプ22の使用により避け又は小さくすることができる。ポンプ22は、融液10に熱勾配のない対流を供給する。戻り27は、融液10がポンプ22に戻ることを可能にする。
【0038】
別の例では、シート13の弾性及び浮力は、シート13を水平にする方法で融液10から取り出すことを可能にする。次いで、シート13を、支持構造に対し上へ傾け又は曲げることができる。そのような例では、融液10を流すためにポンプ22を用いることができる。
【0039】
ポンプは、チョクラルスキー(Cz)処理に適用することもできる。酸素のポンピング又は除去機構は、Czブール(boule)を生成するために用いられる石英のるつぼから生成されるSiOを除去することができる。溶質の増加を防ぐのに十分な循環を生成するのに、ほんの少量の流れだけを必要とするため、ポンプ22は十分に浸す(すなわちSR=1)ことができる。一実施形態では、融液内のブールを包囲するガス管のアレイは十分であり得る。この例では、ガスリフトポンプ上に外管を必要としない。るつぼの中のレベルは、ブールが結晶化されるので、低くなる。
図13は、チョクラルスキー処理用のポンプの実施形態の側断面図である。ブール25は融液10から取り出され、融液10はポンプ22を用いて循環される。融液補充システムを用いて、融液のレベルが一定に維持される場合、管をポンプ22とともに用いることができ、これがポンピング速度を増加することができる。
【0040】
図14は、シートを融液から分離する装置を有するポンプの第4の実施形態の側断面図である。この例では、ポンプ22は融液10を刺激する。例えば
図10で示すように、融液10を第1の高さから第2の高さへ持ち上げる、のではなく、ポンプ22は、ガスの注入により、融液10の流れを単に誘導するだけである。気泡を融液10の中に水平に注入することができる。一例では、これは、高圧で行うことができる。気泡は、融液10を垂直に持ち上げることなく、融液10を水平に陥れ刺激する。従って、融液10は、ほぼ同じレベルにとどまる。ポンプ22はガス源を含む又はつなぐことができる。このシステムは、融液10の流れに影響を及ぼすために、第1のバッフル38及び第2のバッフル39を含む。融液10は、流路17の下のポンプ22へ戻ることができるか、それとも、流路17の両側へ戻ることができる。
【0041】
図15は、シートを融液から分離する装置を有するポンプの第5の実施形態の側断面図である。この実施形態では、ポンプ22は、融液10を第1の高さから第2の高さへ持ち上げることができる。バッフル40、41は、均一な層流を確保する可能性があるために、融液10の圧縮及び膨張を提供することができる。融液10は、流路17の下のポンプ22へ戻ることができるか、それとも、流路17の両側へ戻ることができる。
【0042】
本明細書で開示した実施形態は、多数の利点を有する。ガスリフトポンプのようなポンプからの気泡は、融液を持ち上げることができ、又は、融液に運動量を供給することができる。ポンプ22の使用は、融液10の中に可動部分を必要としない。これは、信頼性を増大し、汚染の可能性を減少する。さらに、酸素の除去により、太陽電池を作るのに用いるシート13の形成に有利となる。溶質は、結晶化最前部から押し流され、構成上の過冷却は、熱対流に必要な高温度勾配を導入せずに防ぐことができる。従って、シート13の結晶上の応力は減少し、転位の形成は少なくなっている。本明細書で開示したポンピングの実施形態は、高温システムで用いることができ、もっと均一な流れを提供することができる。
【0043】
本発明は、本明細書に記載した特定の実施形態による範囲に限定すべきではない。実際に、本明細書に記載した実施形態に加えて、本発明の他の様々な実施形態及び変更は、前述の記載及び添付図面から当業者には明らかであろう。従って、そのような他の実施形態及び変更は、本発明の範囲内に入ることを意図している。さらに、本発明は、特定の目的のため、特定の環境で、特定の実施のコンテキストで、本明細書に記載したけれども、当業者は、その有用性がそれらに限定されず、本発明が、任意の数の目的のため、任意の数の環境で、有用に実施することができることを理解するであろう。従って、以下に記載の特許請求の範囲は、本明細書に記載されているように、本発明の全容及び精神に鑑みて解釈すべきである。