(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
<概要>
実施形態に係る一態様に係る包装材は、平板状のトレーに装着された固定アダプタにより保持された照明器具を、包装箱の第1側壁を開放して内部に受け入れて、収容する包装材において、前記固定アダプタは、前記第1側壁側から前記第1側壁と対向する第2側壁に延伸する延伸片を有し、前記トレーは、延伸片通過用の挿入口を有し、前記延伸片は、前記トレーにおける前記包装箱の底壁側から天井壁側へと傾斜する状態で、前記挿入口を通過していることを特徴としている。
他の一態様に係る包装材は、前記固定アダプタは、前記照明器具を保持する保持部を有し、前記トレーは、前記保持部を前記底壁側から通過させる保持部用の抜き孔を有する。
【0012】
他の一態様に係る包装材は、前記延伸片は、前記トレーよりも底壁側に位置する部位から延出している。他の一態様に係る包装材は、前記固定アダプタは、前記トレーにおける天井壁側の面より上方部位に、外方に向かって張り出す固定部を有する。
他の一態様に係る包装材は、前記固定アダプタは、トレーに対して前記底壁側に配される板状のベース部と、前記ベース部から前記挿入口を通過して前記天井壁側へと延出する筒部と、前記筒部の天井壁側の開口を塞ぐ蓋部とを有し、前記保持部は前記蓋部に設けられ、前記固定部は、筒部に設けられ、前記延伸片は、前記ベース部から延出している。
【0013】
他の一態様に係る包装材は、被取付部に取り付けられる取付部を有する照明器具を包装する照明器具の包装材であって、前記照明器具を収納する包装箱と、前記包装箱内に収納可能な平板形状を有するトレーと、前記照明器具が取り付けられる一方、前記トレーに固定される固定アダプタと、を備え、前記固定アダプタは、前記トレーに形成された挿入口に挿通されて前記固定アダプタを前記トレーに固定する固定片(延伸片ともいう。)を有し、前記固定片は、前記固定アダプタを前記トレーに固定した場合に前記固定アダプタから前記トレー側に向かって傾斜して延びるようにして形成された傾斜面を有し、前記傾斜面は、前記照明器具を前記固定アダプタを介して前記トレーに固定した状態で前記包装箱に収納する際、滑るようにして前記包装箱の開口部の縁に乗り上げることができる。
他の一態様に係る包装材は、前記固定アダプタは、側面部に前記固定アダプタを前記トレーに固定するための固定部材を有する。
他の一態様に係る包装材は、前記トレーは、前記固定アダプタの側面部(筒部ともいう。)に設けられた前記固定部材に対応する位置に、前記固定部材が係合する抜き孔が形成されている。
【0014】
以下、この発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、ここでは、被収納物は照明器具である。
図1及び
図2は、実施形態に係る包装材を示し、この包装材は、
図1及び
図2に示すように、照明器具4の出荷に際し、この照明器具4を包装するに用いられるものである。包装材により包装される照明器具4としては、
図5に示すような、天井面等である被取付面に設けられた被取付部50に対して取付部40が着脱自在に取り付けられる構造を有するものが適している。つまり、照明器具4として、
図4に示すように、特に、天井面等に設けられた被取付部50に取り付けられる一対の引掛栓刃42a、42bを取付部本体45に備えた取付部40を有するものが適している。取付部本体45には、被取付部50に取り付けられた引掛栓刃42a、42bの回動を規制する規制部材43が設けられている。取付部本体45は、ここでは、円盤状をしている。一対の引掛栓刃42a、42bは、取付部本体45から上方に向けて延出し、突出先端が互いに対向する状態に内側に屈曲している。
【0015】
被取付部50は、例えば、丸型引掛シーリング、角型引掛シーリング、丸型フル引掛シーリング、フル引掛ローゼット(耳部付き)など、多くの種類が使われる。ここでは、
図5に示すフル引掛ローゼットが利用されている。被取付部50は、大径部51aと小径部51bとを有する有底筒状のボディ51の底部51cに、一対の引掛栓刃42a、42bが挿入係合する取付溝52a、52bを有している。なお、ここで説明する照明器具4は、
図4に示すように、取付部本体45から天井側に延出して被取付部50の小径部51bの外周と嵌合する嵌合部44を有している。嵌合部44は、小径部51bの外周径と同じ半径を内径とする円弧状であり、ボディ51の中心軸の延伸する方向から見たときに、中心軸を挟んで対向する2か所で周方向に間隔をおいて配されている。
【0016】
(1.包装材)
包装材は、
図1及び
図2に示すように、この照明器具4を収納する包装箱3と、照明器具4の引掛栓刃42a、42bを固定する引掛栓刃係合部を有する固定アダプタ1とを少なくとも備える。包装材は、包装箱3と固定アダプタ1の他、固定アダプタ1が固定されるトレー2を備えている。
【0017】
(2.包装箱)
包装箱3は、第1側壁3aを開放して、固定アダプタ1に取り付けられた照明器具4を内部に受け入れる構造を有する。包装箱3は、
図1及び
図2に示すように、段ボールにより偏平な箱形状に形成され、一側面に開口部3bを有し、この開口部3bの各縁にそれぞれフラップ3cが設けられている。ここでの箱形状は、トレー2の面と直交する方向から見たとき(この方向から見た形状を平面形状とする)、略正方形状をしている。フラップの1つが第1側壁3aであり、第1側壁3aにより開口部3bが塞がれる。なお、包装箱3を構成する天井壁3d及び底壁3eは、トレー2に近い側を底壁として両者を区別する。また、照明器具4を包装箱3の内部に受け入れる方向(以下、「器具受入方向」という。)、あるいは、照明器具4を包装箱3の内部に挿入する方向(以下、「器具挿入方向」という。)は、閉じられた状態の第1側壁3aと直交する方向である。この方向は、
図1において矢印Xで示されている。
【0018】
(3.トレー)
トレー2は、複合両面段ボールや両面段ボール等の強度の高い段ボールで形成された単板状の形状を有し、例えば包装箱3の平面形状に対応する四角形をなし、その中心部には円形の抜き孔22が形成され、その近傍に一対の挿入口21a、21bが形成されている。トレー2は、固定アダプタ1により固定された照明器具4と共に開口部3bから包装箱3の内部に挿入される。トレー2は板状をしている。トレー2は、包装箱3の内部で、包装箱3を構成する側壁の内面と当接する形状を有している。ここでは、トレー2の平面視形状は、包装箱3の平面視形状と同じ正方形状をしている。したがって、トレー2の4つの端面が包装箱3の4つの側壁内面と略当接する。これにより、トレー2は、包装箱3と嵌合する構成となる。なお、トレーの平面視形状は、他の形状であっても、包装箱3と嵌合できる。他の平面視形状としては、正方形の4角を面取りしたような6角形状、正方形の4角を切り込んだ「+(プラス)」の記号状(十文字状)、正方形の一辺を直径とする円形状等がある。
【0019】
トレー2は、
図1に示すように、少なくとも抜き孔22を中央に有する。この抜き孔22には固定アダプタ1の一部が挿入される。トレー2は、抜き孔22以外に、一対の挿入口21a、21bを有している。この挿入口21a、21bは、固定アダプタ1を固定するためのものである。
挿入口21a、21bは、
図1に示すように、照明器具4を包装箱3に挿入する際の器具挿入方向に沿って設けられている。つまり、2つの挿入口21a、21bを結ぶ仮想線と、器具挿入方向とが平行となっている。挿入口21a、21bは、矩形状をし、器具挿入方向と直交する方向に延伸している。なお、包装箱3において器具挿入方向と直交する側壁のうち、器具挿入方向の奥側に位置する側壁が、第1側壁3aと対向する第2側壁に相当する(
図1には現れていない)。
【0020】
(4.固定アダプタ)
固定アダプタ1は、
図1及び
図2に示すように、トレー2の裏面(
図2の下側)側からトレー2の抜き孔22を貫通するようにしてトレー2に取り付けられて、トレー2の表面(
図2の上側)において照明器具4が取り付けられて、照明器具4を包装箱3内に固定状態で収納する。換言すると、固定アダプタ1は照明器具4を保持した状態で包装箱3内に収納される。
【0021】
固定アダプタ1は、照明器具4を保持する保持部を有している。保持部は、ここでは、照明器具4の取付部40が被取付部50に取り付けられる構造を疑似した取付疑似構造部により構成される。照明器具4がフル引掛ローゼットに装着されるような場合、取付疑似構造部は、一対の引掛栓刃42a、42bが挿入される引掛栓刃挿入孔150a、150bと、引掛栓刃挿入孔150a、150bから挿入された引掛栓刃42a、42bが係合する引掛栓刃被係合部とを有する。
固定アダプタ1は、
図3に示すように、直径の異なる複数の筒部により構成され、下方の大径筒部12と、この大径筒部12と上方に形成される小径筒部13とを有している。このうち、下方の大径筒部12は、トレー2の抜き孔22を貫通して、
図2に示すようにトレー2の表裏にわたって設置される。上方の小径筒部13は、トレー2の抜き孔22を貫通して、トレー2の上方にまで達して、収納すべき照明器具4の取付部40に形成された凹部(嵌合部44による凹部である。)に入り込むことができる。
【0022】
大径筒部12は、下方に開口した開口部と、この開口部の周囲には開口縁から外側に水平に延びるフランジ14とを有している。固定アダプタ1は、トレー2の下方側から抜き孔22に大径筒部12及び小径筒部13を差し込んで貫通させた後、トレー2の裏面にフランジ14(フランジ14の一部である第3固定部14a、14bが現れている。)が密着するように、
図2に示すように設置される。
換言すると、固定アダプタ1は、トレー2における包装箱3の底壁側(裏側)に配される板状のフランジ14(本発明の「ベース部」の一例に相当する。)と、フランジ14に設けられ且つトレー2の抜き孔22を挿通する筒部18と、筒部18におけるフランジ14と反対側に設けられた蓋部19とを有している。筒部18は、ここでは、小径筒部13と大径筒部12とを有する。
固定アダプタ1は、筒部18が抜き孔22を挿通する状態でトレー2に固定される固定手段を有している。上述した取付疑似構造部は蓋部19に設けられている。
【0023】
(4.−1 固定手段)
固定アダプタ1は、樹脂を用いて射出成形、又は、樹脂シートを用いて熱成形することにより、
図3に示すように、フランジ14側が開口した中空構造を有する形状に形成することができる。このため、剛性を維持しながら肉厚が薄くできているので、次に述べるトレー2に固定する際の各固定部に弾性を与えている。
【0024】
固定アダプタ1は、固定アダプタ1をトレー2に固定等するために複数の固定手段を有する。固定手段には、抜き孔22からの抜け防止手段と、抜き孔22に装着した状態で回転するのを防止する回転防止手段とがある。固定手段は、複数の固定部から構成される。
具体的には、
図3に示すように、フランジ14の径方向にそれぞれ一対の第1固定部11a、11bと第2固定部12a、12bが設けられ、特に
図3(a)に示すように、これらの第1固定部11a、11bと第2固定部12a、12bとの間に位置するフランジ14の上面部分がトレー2の裏面に密着する一対の第3固定部14a、14bとして設けられている。
第2固定部12a、12bの下面と第3固定部14a、14bの上面(即ち、フランジ14の上面)の間は、トレー2の厚さと略同等の間隔をもって形成され、
図2に示すように、固定アダプタ1をトレー2に装着した場合に、これらの第2固定部12a、12bの下面(下端)と第3固定部14a、14bの上面(即ち、フランジ14の上面)との間でトレー2を挟み込むようにしてトレー2に固定される。つまり、抜け防止手段は、第2固定部12a、12bと、第3固定部14a、14bとで構成される。なお、回転防止手段は、第1固定部11a、11bで構成される。
【0025】
第1固定部11a、11bは、
図3に示すように、フランジ14の両端から斜め上方向に延びるようにして形成された爪状の形状を有する延伸片111a、111bにより構成されている。延伸片111a、111bは、
図11に示すように、トレー2の挿入口21a、21bを裏面側から表面側へと通過するように、フランジ14から延出する(なお、
図11では、延伸片111aが示されているが、延伸片111bも延伸片111aと同様に延出している。)。ここでの「通過」は、延伸片111a、111bの先端が、平面視において、挿入口21a、21bに対して筒部18と反対側に位置することをいう。
小径筒部13や大径筒部12の筒軸O(
図6)の延伸する方向から固定アダプタ1を見たとき(この状態を平面視ともいう。)に、延伸片111a、111bは、当該筒軸を通る1つの仮想線分上であって筒軸Oから離れる方向に延出している。この仮想線分は、固定アダプタ1がトレー2に固定された状態で、照明器具4が包装箱3内に挿入される器具挿入方向と一致する。
【0026】
筒軸Oと直交する方向であって一対の延伸片111a、111bが左右両側に位置する状態で固定アダプタ1を見たとき(この状態を側面視ともいう。)に、延伸片111a、111bは、フランジ14の端縁から斜め上方へ延伸する。
平面視において、フランジ14は、第1固定部11a、11b(延伸片111a、111b)が存在する部分を除いた領域で円環状をし、第1固定部11a、11b(延伸片111a、111b)が存在する領域で延伸片111a、111b側が細くなる台形状をしている。平面視において、延伸片111a、111bは矩形状をしている。
固定アダプタ1がトレー2に固定された状態では、延伸片111a、111bは、トレー2における包装箱3の底壁3e側から天井壁3d側へと傾斜する状態で、挿入口21a、21bを通過している。延伸片111a、111bは固定アダプタ1におけるトレー2よりも底壁側に位置する部位、ここではフランジ14から延出している。
【0027】
第2固定部12a、12bは、
図3に示すように、大径筒部12の側面部(周壁)の一部に、固定アダプタ1の外周側に向けて傾斜する係合爪の形態で形成される。換言すると、第2固定部12a、12bは、筒部18(ここでは大径筒部12である。)の周壁に形成されている。第2固定部12a、12bは、「U」字の開口側が蓋部19側に位置する「U」字状の切込みに囲まれ且つ前記トレー2における底壁側と反対側の面上を筒部18の径方向外方へと張り出す。この第2固定部12a、12bは、本発明の「トレーにおける天井壁側の面より上方部位に、外方に向かって張り出す固定部」の一例に相当する。
【0028】
第2固定部12a、12bは、蓋部19からフランジ14へと移るに従って、径方向外方への張り出し量が多くなる。平面視において、第2固定部12a、12bの下端は抜き孔22を超えてトレー2の面上に位置している。つまり、一対の第2固定部12a、12bの下端間の距離は、少なくともトレー2の抜き孔22の直径よりも大きく設定されている。第2固定部12a、12bは、上述したように、弾性変形させることができ、いずれも固定アダプタ1の中心側(内径側)に一対の第2固定部12a、12bが近づくように弾性変形させることができる。
【0029】
これらの固定部を使用して、固定アダプタ1をトレー2に固定する方法について説明する。まず、固定アダプタ1を、トレー2の下方から、その抜き孔22に蓋部側から挿入して貫通させる。この場合、トレー2の抜き孔22の直径は、大径筒部12の外径よりも若干大きく形成されている。このため、小径筒部13を先頭に、固定アダプタ1を、この抜き孔22に円滑に貫通させることができる。
【0030】
また、この貫通に際しては、大径筒部12の側面部から斜め下方に延びるようにして形成された第2固定部12a、12bを、抜き孔22を構成する端面に係合させて、その復元力に抗して、大径筒部12の内径側(筒軸側)に弾性変形させながら、第2固定部12a、12bをトレー2の上面側にまで移動させる。第2固定部12a、12bは、抜き孔22を通過した後は、
図2に示すように、その復元力により本来の形状である大径筒部12の側面部から突出する形態に戻る。即ち、固定アダプタ1をトレー2の下方より抜き孔22に挿入すると、抜き孔22の縁に従って第2固定部12a、12bが大径筒部12の内側に変形させられながら、大径筒部12が抜き孔22を進み、第2固定部12a、12bが抜き孔22の通過を完了するとそれまで変形させられていた第2固定部12a、12bが弾性により復元する。これにより、第2固定部12a、12bは、
図2に示すように、トレー2の上面に係合して、固定アダプタ1をトレー2に固定する。同時に、フランジ14上の第3固定部14a、14bが、トレー2の下面に係合して、それ以上の大径筒部12の上方への移動を規制する。こうして、固定アダプタ1は抜き孔22に嵌合し、第2固定部12a、12bと第3固定部14a、14bとによりトレー2が挟持される。
なお、第2固定部12a、12bはトレー2の上面に係合していなくても、上面側へと張り出することで、固定アダプタ1のトレー2からの脱落を防止できる。同様に、フランジ14は、トレー2の下面に係合しなくても、抜き孔22の直径よりも大きく、抜き孔22の周辺部に当接できる大きさを有していれば、固定アダプタ1のトレー2の通り抜けを防止できる。
【0031】
一方、延伸片111a、111bは、
図3に示すように、第3固定部14a、14bから連続して延長するようにして形成された爪状の突出部分であるため、第3固定部14a、14bを弾性変形させることにより、また、爪状の延伸片111a、111b自体を内側へ折り曲げるようにして弾性変形させることができる。その弾性を利用し、延伸片111a、111bを、トレー2のうち、この延伸片111a、111bに対応する位置に設けられた挿入口21a、21bに、トレー2の下面側から上面側に向かって挿し込むことが可能である。これにより、固定アダプタ1は周方向への回転(回動)も規制されて、トレー2に固定される。この延伸片111a、111bによる回転を規制する固定、及び、前述の第2固定部12a、12bと第3固定部14a、14bとによる挟み込みの固定とを合わせて、固定アダプタ1をトレー2に確実に固定することができる。
【0032】
(4.−2 延伸片の傾斜面)
ここに、包装箱3の形態として、主に使用されるものはシールエンド型、タッグエンド型、ロックボトム型の包装箱である。このうち、シールエンド型の場合、開口部の4辺それぞれにタグ(フラッペ)が付いているため、
図12に示すように傾斜面(延伸片111a、111b)を有しない固定アダプタ1’を使用して被収納物(照明器具4)を収納するときは、たとえ、トレー2の下面において固定アダプタ1’の第3固定部14b’が突出していても(この突出した部分を「突出部分」という。)、タグ上に突出部分を載置できればタグの上を滑らせるようにすれば円滑に収納することができる。しかし、被収納物を収納する際には、包装箱3を平置きの状態にして行うことが多く、トレーにおける挿入側の先端部はタグ上に載置できるが、突出部分はタグ上に載置できない場合がある(
図12(a)のようになる)。
また、タッグエンド型とロックボトム型の場合、矩形状に開口する開口部の長辺側に1枚と短辺側に2枚のタグが付いており、長辺側のタグは包装箱の体裁面側(平置きした場合の上面に位置する表面側)に付いている。
【0033】
従って、
図12(a)に示すように、照明器具4等の被収納物をタッグエンド型あるいはロックボトム型の包装箱3に収納するとき(場合によってはシールエンド型の包装箱も含まれる)、体裁面と対向するタグが存在しない面を下にするため、タグが上方に位置することになる一方、下方の開口縁部にはタグが存在しないため、被収納物を収納するとき固定アダプタ1’の突出部をタグの上を滑らせながら収納するということができない。そのため、
図12(b)に示すように、トレー2の下面から突出した固定アダプタ1’の第3固定部14b’が、開口部のタグの付いていない開口端面に被収納物の一部が衝突し包装箱3を傷めてしまったり、収納に手間が掛かったりする虞がある。また、固定アダプタ1’の第3固定部14b’はトレー2の下面の中央部あるため感知するのが難しく、包装箱3の開口端面を傷めないように注意して収納作業を行うため、作業性が著しく低かった。
【0034】
実施形態における固定アダプタ1では、固定アダプタ1をトレー2に固定した場合に固定アダプタ1からトレー2側に向かって傾斜して延びるように延伸片111bを形成している。即ち、
図11に示すように、固定アダプタ1は、組立完了状態でトレー2の下面に位置する第3固定部14a、14bから上方に傾斜して延びる延伸片111a、111bを有し、この延伸片111a、111bは挿入口21a、21bを貫通し、トレー2の上面側に突出している。
【0035】
このため、
図11(a)に示すように照明器具4を固定したトレー2を包装箱3に収納するとき、包装箱3の開口部の開口端面にトレー2の下面から突出した延伸片111bは、包装箱3の開口部の開口端面との正面衝突を避ける方向に傾斜しているため、傾斜している延伸片111bの傾斜面が滑るようにして包装箱3の開口部の開口縁に乗り上げることができ、これにより、照明器具4を固定アダプタ1を介してトレー2に固定した状態で円滑に包装箱3に収納することができる。
【0036】
また、このように、固定アダプタ1の第1固定部11a、11bである延伸片111a、111bが傾斜してトレー2の下面から上面へ貫通していることで、この傾斜面によりトレー2の下面の突起による包装箱3の開口部の損傷を防ぐことができるため、包装部品のロスコストを低減でき、また、損傷を防ぐことを気にせずに作業をすることができるので作業性が向上する点でも有益である。
【0037】
(4.−3 取付疑似構造部)
図3(c)に示すように、固定アダプタ1の小径筒部13の上面には溝16が設けられ、この溝16内に取付疑似構造部である一対の引掛栓刃係合部15a、15bが設けられている。これらの一対の引掛栓刃係合部15a、15bは、
図3(c)に示すように、固定アダプタ1の上面の中心を中心とする一つの円環上において、それぞれ円弧状に形成されている。一対の引掛栓刃係合部15a、15bは、
図3(c)に示すように、それぞれ、一対の引掛栓刃42a、42b挿入される引掛栓刃挿入孔150a、150bと、引掛栓刃42a、42bと係合する引掛栓刃被係合部とを有している。引掛栓刃係合板部151a、151bは引掛栓刃被係合部の一例に相当する。固定アダプタ1の蓋部19の上面の引掛栓刃係合部15a、15bは、
図2及び
図4に示すように、照明器具4の取付部40の嵌合部44により形成された凹部に収納されて、この凹部に設けられた引掛栓刃42a、42bと係合する。
【0038】
引掛栓刃挿入孔150a、150bは、
図6に示すように、筒部18の筒軸Oを中心とした円周上に位置し、筒軸Oの延伸する方から蓋部19を見たときに、円周に沿って円弧状をしている。引掛栓刃挿入孔150a、150bは、引掛栓刃42a、42bを受け入れる受入部152a、152bと、引掛栓刃42a、42bが回動移動するための移動部153a、153bと有している。一対の引掛栓刃42a、42bは、
図4(b)に示すように、先端部が互いに対向するように、逆「L」字状をしている。このため、受入部152a、152bの開口は、移動部153a、153bでの開口よりも大きくなっている。引掛栓刃係合板部151a、151bは、固定アダプタ1の蓋部19の溝16の底壁(底板)であって移動部153a、153bに対して筒部18の筒軸Oに近い部分で構成される。なお、溝16は、一対の引掛栓刃42a、42bを受入部152a、152bへと案内するガイド機能を有する。
【0039】
この引掛栓刃係合部15a、15bを用いて、固定アダプタ1に照明器具4を固定方法について、
図7及び
図8を参照しながら説明する。
図4(b)に示すように先端部がL字状である引掛栓刃42a、42bを、
図7(a)、(b)に示すように、引掛栓刃挿入孔150a、150bの受入部152a、152bに挿入して、その先端部を引掛栓刃係合板部151a、151bの深さに達するまで貫通させる。貫通させる際に、固定アダプタ1の蓋部19の上面17と、照明器具4の取付部40(取付部本体45)とを当接させると、引掛栓刃42a、42bの先端部が引掛栓刃係合板部151a、151bの深さに達する。
その後、固定アダプタ1の開口側から見て左回り(反時計方向)に回転させ、
図8(a)、(b)に示すように引掛栓刃42a、42bの先端部を引掛栓刃係合板部151a、151bに重畳させることにより、引掛栓刃42a、42bの先端部が引掛栓刃係合板部151a、151bに係合して照明器具4が固定アダプタ1に固定される。
【0040】
この場合、左回りに回し切ると、
図8(a)、(b)に示すように、照明器具4に取付けられ上方に伸張するように付勢された規制部材43が引掛栓刃挿入孔150a、150bの受入部152a、152bに達し、この規制部材43に付与された付勢力によって、規制部材43が引掛栓刃挿入孔150a(受入部152a、152b)に突出し、この突出した規制部材43に引掛栓刃挿入孔150a、150b(受入部152a、152b)が係合することにより、照明器具4の回動が規制される。なお、引掛栓刃挿入孔150a、150bは、引掛栓刃42a、42bの先端部を貫通させることができる一方、規制部材43の周囲に対応する大きさ、形状に形成して、
図8(a)、(b)に示すように、規制部材43の周囲を囲んで、規制部材43の動きを規制する。このようにして、照明器具4が固定アダプタ1に回動できない状態で固定される。
【0041】
図2に示すように、固定アダプタ1の上面17に照明器具4の取付部40が引掛栓刃42a、42bにより密接しているため、安定した確実な状態で照明器具4がトレー2に固定されるため、従来梱包に使っていた固定用の粘着テープや固定ベルトなどの梱包用の副資材が不要となり、資源の無駄使い及び、生産コストの削減ができる。同時に、照明器具4を被取付部に取り付けるために照明器具4に設けられた引掛栓刃42a、42bと、この引掛栓刃42a、42bの回動を規制する規制部材43を利用して、照明器具4を固定アダプタ1に固定しているため、固定アダプタ1以外に緩衝材等の包装のための特別な部材を用いることなく、照明器具4の回動を防止しつつ照明器具4を位置決めして固定することができる点においても、包装用材料の費用を節減しつつ、照明器具を確実に固定して包装することができる。
【0042】
なお、
図4に示すように、照明器具4は光源からの光の出射方向とは逆の面に、天井などの被取付面に取付けるための取付部40を有し、本実施形態ではこの取付部40が照明器具4と一体に形成されている。しかし、この取付部40として、従来から使われている別体の取付部材(アダプタ)を用いる構成でも、本発明の包装材を使用することが可能である。
【0043】
ユーザーが購入し被取付部に取付ける直前、開梱し照明器具4をトレー2、ひいては、固定アダプタ1から取り外す際には、通常の用法に従って、規制部材43を解除する手段(不図示)を用いて照明器具4を、固定アダプタ1の開口側から見て右回りに回転させて、引掛栓刃42a、42bと引掛栓刃係合板部151a、151bとの係合を解除すると共に、引掛栓刃42a、42bを引掛栓刃挿入孔150a、150bから外せばよい。
【0044】
<変形例>
以上、発明の一態様としての一実施形態を説明したが、この実施形態に限られるものではなく、例えば、以下のような変形例であってもよい。また、実施形態と変形例、変形例同士を組み合わせたものであってよい。
また、実施形態や変形例に記載していていない例や、要旨を逸脱しない範囲の設計変更も発明に含まれる。
【0045】
(1.照明器具)
実施形態では、カバーの形状が床面側から見たときに円形状をしている。しかしながら、床面側から見た形状が円形状以外の形状の照明器具であってもよい。また、実施形態では、天井に取り付けられる照明器具について説明しているが、壁等に取り付けられる壁掛け照明器具であってもよい。
【0046】
(2.固定アダプタ)
実施形態の蓋部19は、平面視において円形状をした溝16を有し、その底壁に引掛栓刃挿入孔150a、150bを有している。しかしながら、引掛栓刃挿入孔は蓋部に直接設けられていてもよい。
実施形態の筒部18は、大径筒部12と小径筒部13とから構成されている。しかしながら、略一定の直径を有する1つの筒部から構成されてもよい。照明器具4の嵌合部44が嵌合できる直径を有するものが好ましい。
【0047】
ベース部の一例に相当するフランジ14は、筒部18の下端で全周に亘って存在している。しかしながら、ベース部は、トレーの裏面に当接できればよく、全周に亘って存在しなくてもよい。つまり、ベース部は、固定アダプタ1がトレー2の抜き孔22を裏面側から通り抜けるのを規制するためのものであり、1か所又は複数個所でトレーに当接できればよい。
実施形態では、蓋部19の上面17と面一状であって、筒部18の筒軸Oを挟んで対抗する部位から径方向に張り出す張出部12c、12dを有している。これにより、取付部40を固定アダプタ1に取り付ける際、取付部40における嵌合部44が設けられていない領域と張出部12c、12dとが一致するように、位置合わせすればよく、照明器具4の固定アダプタ1への取り付けを容易にできる。
【0048】
(3.トレー)
実施形態のトレー2は、平板状をしていたが、例えば、トレーは、平板部と、平板部の端部に設けられたフラッペとを有するような形状であってもよい。また、蓋を有しない箱状をしていても良い。この場合、底壁に相当する部分に、固定アダプタを固定するための抜き孔等を設ければよい。
【0049】
(4.包装箱)
実施形態の包装箱3は、内部に照明器具4を受け入れるための受入口を第1側壁3aの利用により設けた構造を有していたが、例えば、天井壁が開閉するような箱構造であってもよい。
【解決手段】 包装材は、平板状のトレー2に装着された固定アダプタ1により保持された照明器具4を、包装箱3の第1側壁3aを開放して内部に受け入れて、収容する包装材において、固定アダプタ1は、第1側壁3aと対向する第2側壁へと第1側壁3a側から延伸する延伸片111bを有し、トレー2は、延伸片通過用の挿入口21bを有し、延伸片111bは、トレー2における包装箱3の底壁側から天井壁側へと傾斜する状態で、挿入口21bを通過している。