特許第5771326号(P5771326)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5771326
(24)【登録日】2015年7月3日
(45)【発行日】2015年8月26日
(54)【発明の名称】流量調整弁
(51)【国際特許分類】
   F16K 1/36 20060101AFI20150806BHJP
   F25B 41/06 20060101ALI20150806BHJP
【FI】
   F16K1/36 J
   F25B41/06 U
【請求項の数】9
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-511728(P2014-511728)
(86)(22)【出願日】2012年6月26日
(65)【公表番号】特表2014-519581(P2014-519581A)
(43)【公表日】2014年8月14日
(86)【国際出願番号】CN2012077507
(87)【国際公開番号】WO2013000389
(87)【国際公開日】20130103
【審査請求日】2013年11月21日
(31)【優先権主張番号】201110175317.5
(32)【優先日】2011年6月27日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】509133816
【氏名又は名称】ジェジアン サンホァ シーオーエルティーディー
【氏名又は名称原語表記】Zhejiang Sanhua Co.,Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】110001623
【氏名又は名称】特許業務法人真菱国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リュイ,ミン
【審査官】 関 義彦
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭61−89555(JP,U)
【文献】 実開昭48−44521(JP,U)
【文献】 実開昭60−121564(JP,U)
【文献】 実開昭48−66246(JP,U)
【文献】 実開平6−51646(JP,U)
【文献】 実開昭49−5730(JP,U)
【文献】 特開平6−123366(JP,A)
【文献】 特開平10−131604(JP,A)
【文献】 特開2002−310541(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
弁室の内部に弁口(121)が設けられている弁座(1)と、前記弁口(121)を開閉する弁棒(2)とを含む流量調整弁において、
前記弁棒(2)は管状を呈しており、前記弁座(1)は前記弁口(121)の周方向の位置に段状密閉面(123)が設けられており、前記弁棒(2)の下端面は前記段状密閉面(123)に接触して密閉しまたは前記段状密閉面(123)から離脱し、
前記弁口(121)は軸方向に沿って上に向けて突出するスリーブ延出部(122)を含み、前記段状密閉面(123)は前記スリーブ延出部(122)の内部に設けられており、前記弁棒(2)の下端部は前記スリーブ延出部(122)の内部に延在しまたは前記スリーブ延出部(122)から伸び出すことを特徴とする流量調整弁。
【請求項2】
前記弁棒(2)の円周側壁と前記弁棒(2)の下端面との間にはさらに面取り面が設けられており、前記段状密閉面(123)は前記面取り面と取り合わせる傾斜面であることを特徴とする請求項に記載の流量調整弁。
【請求項3】
前記スリーブ延出部(122)の円周側壁には流量を調整するための開口溝(3)が設けられていることを特徴とする請求項に記載の流量調整弁。
【請求項4】
前記弁棒(2)のその軸線に垂直する任意の横断面の外径はいずれも同一であり、前記弁座(1)には案内部(111)が設けられており、前記弁棒(2)は前記案内部(111)を貫通して前記弁座(1)の弁室に延在していることを特徴とする請求項乃至のうちのいずれか一項に記載の流量調整弁。
【請求項5】
前記弁座(1)は前記案内部(111)の上に環形溝(112)が設けられており、前記環形溝(112)の内部に前記弁棒(2)の外部をカバーして装着されるシール部材(113)が設けられていることを特徴とする請求項に記載の流量調整弁。
【請求項6】
前記弁座(1)は部材間独立構造であって、上弁座(11)と下弁座(12)とを含み、前記弁口(121)と前記スリーブ延出部(122)はいずれも前記下弁座(12)に設けられていると共に、前記スリーブ延出部(122)は前記上弁座(11)の弁室に延在することを特徴とする請求項乃至のうちのいずれか一項に記載の流量調整弁。
【請求項7】
前記弁棒(2)は一体化部材であることを特徴とする請求項1乃至のうちのいずれか一項に記載の流量調整弁。
【請求項8】
前記弁棒(2)の管状のキャビティは、前記弁棒(2)の上端と下端が受ける力のバランスを取れるためのバランス流路が形成されるように、軸方向に沿って前記弁棒(2)を貫通していることを特徴とする請求項1乃至のうちのいずれか一項に記載の流量調整弁。
【請求項9】
前記管状のキャビティの内部には、さらにフィルター(21)が設けられていることを特徴とする請求項に記載の流量調整弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2011年06月27日に中国特許局に提出した、出願番号が201110175317.5で、発明名称が「流量調整弁」である中国特許出願の優先権を主張し、当該特許出願の内容の全てを引用によって本願に取り入れる。
【0002】
本発明は、流体制御部材の技術分野に関し、特に流量調整弁に関する。
【背景技術】
【0003】
流量調整弁は、冷却システムを構成する重要な部材であり、冷却システムにおける四つの基本部材のうちの蒸発器、コンプレッサー及びコンデンサーを除く基本部材である。流量調整弁の作動過程としては、一般的に、コイル装置の通電または停電に伴い、弁棒で弁口の開度を調整することにより、冷媒の流量を調節する。
【0004】
従来技術において、米国特許US6568656B1には流量調整弁が開示されている。具体的に、図1図2を参照し、図1は従来技術による流量調整弁の構造模式図であり、図2図1の流量調整弁の弁口に位置する冷媒の圧力分布の模式図である。
【0005】
図1に示すように、当該従来技術による流量調整弁は、弁座1′及び弁棒2′を含み、弁座1′はその弁室の内部に弁口1′1が設けられており、弁棒2′は軸方向に沿って上下に移動することにより、前記の弁口1′1における冷媒の流量を調整する。図1に示すように、弁棒2′は部材間独立構造であり、円錐管段部分2′1、円柱管段部分2′2及び双方間に設けられるシールシート2′3を含み、弁棒2′の上下方向の移動に従って、そのシールシート2′3を介して前記の弁口1′1を開閉する。また、弁棒2′には、弁棒2′の上端と下端とを接続するためのバランス流路2′4が設けられている。これによって、冷媒の圧力から弁棒2′に及ぼす影響のバランスを図る。しかしながら、当該流量調整弁には以下の欠陥が存在する。
【0006】
第1、図2に示すように、弁棒2′はその下端に円錐管段部分2′1が設けられているので、弁口1′1の位置における冷媒の圧力は、大体最大となるA圧力レベル(横方向の線が最も密集している位置)、ミドルとなるB圧力レベル(横方向の線が比較的に密集している位置)及び最小となるC圧力レベル(横方向の線が最も疎らな位置)の3つのレベルに形成されて、当該円錐管段部分2′1の異なる位置がそれぞれ前記3つの圧力を受ける。図2に示すように、バランス流路2′4の下端の開口はA圧力レベルの領域に挿入するため、弁棒2′の上端が受ける圧力はいずれもA圧力レベルになる。これにより、弁棒2′の上端と下端との力を受ける面積が同じである前提で、弁棒2′の上端が受ける付勢力は、下端(即ち、円錐管段部分2′1である)が受ける付勢力と、等しくなく、つまり弁棒2′が受ける冷媒からの圧力がアンバランスであるため、弁棒2′の軸方向移動の安定性に影響を及ぼす。
【0007】
第2、図1に示すように、シールシート2′3で弁口1′1を閉める過程において、シールシート2′3は弁口1′1と衝突することがある。この衝突による付勢力は比較的大きいので、何度も開閉動作を行った後に、シールシート2′3は変形し且つ漏れやすいのみならず、耐用年数も短くなる。
【0008】
第3、図1に示すように、弁棒2′は部材間独立構造であって、円錐管段部分2′1、シールシート2′3及び円筒管部分2′2を含んでいる。この3つの部分はネジまたは他の手段で互いに連続されているが、運送する時の揺さぶり振動、または作業中のコンプレッサーの振動により、弁棒2′が緩んで離脱する恐れがある。
【0009】
さらに、従来技術において、出願番号が200580023202.7である中国特許に開示された流量調整弁にも上記の三つの欠陥が存在している。詳細につき、当該特許の出願書類を参考すればよく、ここでその重複する説明を省略する。
【0010】
これに鑑み、如何に弁棒が軸方向に受ける冷媒からの圧力のバランスを取れながら弁棒の耐用年数とシール性能を向上させるように、従来技術による流量調整弁を改良するかということは、当業者にとって急に要する課題である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許第6568656号明細書
【特許文献2】中国特許出願公開第1985118号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の解決しようとする技術的課題は、独自な構造設計を介して、弁棒が軸方向に受ける冷媒からの圧力のバランスを取れる一方、弁棒の耐用年数とシール性能を向上させる流量調整弁を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記技術問題を解決するために、本発明は流量調整弁を提供し、この流量調整弁は、弁座及び弁棒を含み、前記弁座はその弁室の内部に弁口が設けられており、前記弁棒によって前記弁口を開閉しており、前記弁棒は管状を呈しており、前記弁座は前記弁口の周方向位置に段状密閉面が設けられており、前記弁棒の下端面は前記段状密閉面に接触して密閉しまたは前記段状密閉面から離脱する。
【0014】
前記弁口は軸方向に沿って上に向けて突出するスリーブ延出部を含み、前記段状密閉面は前記スリーブ延出部の内部に設けられており、前記弁棒の下端部は前記スリーブ延出部の内部に延在しまたは前記スリーブ延出部から延び出すことが、好ましい。
【0015】
前記弁棒の円周側壁と前記弁棒の下端面との間にはさらに面取り面が設けられており、前記段状密閉面は前記面取り面と取り合わせる傾斜面であることが、好ましい。
【0016】
前記スリーブ延出部の円周側壁には流量を調整するための開口溝が設けられていることが、好ましい。
【0017】
前記弁棒のその軸線に垂直する任意の横断面の外径はいずれも同一であり、前記弁座には案内部が設けられており、前記弁棒は前記案内部を貫通して前記弁座の弁室に延在していることが、好ましい。
【0018】
前記弁座は前記案内部の上に環形溝が設けられており、前記環形溝の内部に前記弁棒の外部をカバーして装着するシール部材が設けられていることが、好ましい。
【0019】
前記弁座は部材間独立構造であって、上弁座と下弁座とを含み、前記弁口とスリーブ延出部はいずれも前記下弁座に設けられていると共に、前記スリーブ延出部は前記上弁座の弁室に延在することが、好ましい。
【0020】
前記弁棒は一体化部材であることが、好ましい。
【0021】
前記弁棒の管状のキャビティは、前記弁棒の上端と下端が受ける力のバランスを取れるためのバランス流路が形成されるように、軸方向に沿って前記弁棒を貫通していることが、好ましい。
【0022】
前記管状のキャビティには、さらにフィルターが設けられていることが、好ましい。
【0023】
従来技術に基き、本発明によって提供される流量調整弁の弁棒は管状を呈しているとともに、その下端部は円柱体になっており、前記弁座は前記弁口の周方向位置に段状密閉面が設けられており、前記弁棒の下端面が前記段状密閉面に接触して密閉しまたは前記段状密閉面から離脱する。弁棒の下端部は円錐体ではなく、円筒体であるゆえ、弁棒の下端部が受ける冷媒からの圧力は同一である。それと同時に、弁棒は管状を呈して、弁室を軸方向に沿って貫通しているため、弁棒の上端と下端が受ける冷媒からの圧力は等しくなり、弁棒の上端と下端とが力を受ける面積が等しい前提で、弁棒が軸方向に受ける冷媒からの圧力のバランスが取れている。
【0024】
また、従来技術と異なり、本発明において、弁棒の下端面が弁口の周方向の段状密閉面に接触して密閉し、弁棒の下端面は剛性が強く且つ変形しにくいため、シール性能と耐用年数を著しく向上させている。
【0025】
とにかく、本発明によって提供される流量調整弁は弁棒が軸方向に受ける冷媒からの圧力のバランスを取れる一方、弁棒の耐用年数とシール性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】従来技術による流量調整弁の構造模式図である。
図2図1の流量調整弁の弁口に位置する冷媒の圧力分布の模式図である。
図3】本発明の一実施例に係る流量調整弁の構造模式図である。
図4図3の流量調整弁の弁棒の構造模式図である。
図5図4の弁棒と取り合わせる下弁座の構造模式図である。
図6】さらに改良された図5の下弁座の構造模式図である。
図7図6の下弁座の断面図である。
図8】本発明の他の実施例に係る弁棒の構造模式図である。
図9図8の弁棒と取り合わせる下弁座の構造模式図である。
図10図8の弁棒の断面図である。
図11】本発明の他の実施例に係る弁棒と下弁座との取り合わせた構造の模式図である。
図12図3の流量調整弁の弁座、スリーブ及び接続管の装着模式図である。
図13図12の各部材の分解模式図である。
図14】さらに改良された図12の弁座、スリーブ及び接続管の装着模式図である。
図15】他の方式で改良された図12の弁座、スリーブ及び接続管の装着模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の核心は、構造設計により、弁棒の軸方向に受ける冷媒からの圧力のバランスが取れる一方、弁棒の使用寿命とシール性能を向上させる流量調整弁を提供することである。
【0028】
当業者が本発明の技術案を比較的良好に理解できるように、以下、図面と具体的な実施例に基いて本発明を更に詳細に説明する。
【0029】
図3及び図4を参照し、図3は本発明の一実施例に係る流量調整弁の構造模式図であり、図4図3の流量調整弁の弁棒の構造模式図である。
【0030】
本発明において、冷媒の流量を調整するための流量調整弁を提供する。図3に示すように、流量調整弁は、モータケース52を含み、モータケース52内にはモータ5が設けられており、モータ5の出力軸51は歯車システムを介して伝動できるようにスクリュー61と接続されているので、スクリュー61は出力軸51と伴って回動する。図3に示すように、歯車システムは歯車座62に支持されており、歯車座62の外部にはスリーブ63が設けられており、スクリュー61は歯車座62を貫通するとともに弁棒2に接続されている。スクリュー61の回動に伴い、弁棒2は軸方向に沿って上下に移動して、冷媒の流量を調整する目的を達成する。
【0031】
図3に示すように、弁座1はその弁室に弁口121が設けられている。弁棒2によって弁口121を開閉する。これを踏まえ、図3及び図4に示すように、弁棒2は管状を呈し、その下端部は円柱体である。弁座2は弁口121の周方向位置に段状密閉面123が設けられており、弁棒2の下端面は段状密閉面123に接触することによって密閉し、あるいは段状密閉面123から離脱する。
【0032】
弁棒2の下端部は円錐体ではなく、円筒体であるゆえ、弁棒2の下端部が受ける冷媒からの圧力は均一である。それと同時に、弁棒2は管状を呈し、且つ軸方向に沿って貫通するため、弁棒2の上端が受ける冷媒からの圧力はその下端が受ける冷媒からの圧力と等しい。弁棒2の上端と下端との力を受ける面積が等しい前提で、弁棒2が軸方向に受ける冷媒からの圧力はバランスが取れた。
【0033】
なお、従来の技術と異なり、本発明において、弁棒2の下端面が弁口121の周方向の段状密閉面123に当接して密閉しており、弁棒2の下端面は剛性が強く、且つ変形しにくいため、シール性能と使用寿命を著しく向上することができる。
【0034】
とにかく、本発明によって提供される流量調整弁は、弁棒2が軸方向に受ける冷媒からの圧力のバランスを取れる一方、弁棒2の耐用年数とシール性能を向上させることができる。
【0035】
図5図6及び図7を参照し、図5図4の弁棒と取り合わせる下弁座の構造模式図であり、図6はさらに改良された後の図5の下弁座の構造模式図であり、図7図6の下弁座の断面図である。
【0036】
上記技術案に基き、さらに改良することができる。図5乃至図7に示すように、弁口121は軸方向に沿って上に向けて突出するスリーブ延出部122を含み、段状密閉面123はスリーブ延出部122の内部に設けられており、弁棒2の下端部は段状密閉面123に接触して密閉しまたは段状密閉面123から離脱するように、スリーブ延出部122の内部に挿入し、または伸び出している。当該スリーブ延出部122は弁棒2の移動を案内することができるため、弁棒2の揺れを回避し、更に軸方向に沿う移動の安定性と信頼性を向上させる。
【0037】
なお、図7に示すように、スリーブ延出部122の内部における段状密閉面123は傾斜面であるので、これに適するために、弁棒2の下端面と円周側壁との間にこの傾斜面に取り合わせる面取り面を設けてもよい。この構造設計により、さらに密閉の信頼性が高められている。
【0038】
それと同時に、図5乃至図7に示すように、スリーブ延出部122の円周側壁に流量曲線に対応する開口溝3が設けられている。開口溝3の形状は必要な流量曲線に対応しており、例えば、V型、Y型または他の形状に形成されてもよく、冷却システムはどのような形状を必要としても、スリーブ延出部122の円周側壁にそれと対応する開口溝3を設けてもよい。作動する際に、弁棒2がスリーブ延出部122と互いに離脱することに伴い、開口溝3は弁口121と小流量で連通しつつ、弁棒2がスリーブ延出部122と更に離脱するほど、開口溝3の流通面積が漸次に大きくなるため、冷媒の流量が漸次に大きくなっていき、開口溝3が全て開けられるまで、弁口121と最大流量での連通が実現されている。これにより、本発明によって提供される流量調整弁を利用して必要な流量曲線を得られることが分かった。
【0039】
図12乃至図15を参照し、図12図3の流量調整弁の弁座、スリーブ及び接続管の装着模式図であり、図13図9の各部材の分解模式図であり、図14はさらに改良された後の図12の弁座、スリーブ及び接続管の装着模式図であり、図15は他の方式で改良された後の図12の弁座、スリーブ及び接続管の装着模式図である。
【0040】
上記の技術案においては、さらに改良することができる。例えば、図12及び図13に示すように、弁座1は部材間独立構造であって、上弁座11と下弁座12を含み、弁口121とスリーブ延出部122は何れも下弁座12に設けられており、スリーブ延出部122は上弁座11の弁室中に延在している。加工する際に、下弁座12に弁口121とスリーブ延出部122を加工し出し、その後、上弁座11を加工し、最後に、加工された下弁座12と上弁座11とを組み立てる。これにより、弁座1を部材間独立構造で設計することによっては、スリーブ延出部122の加工がとても便利に実現され、加工工程が簡略化されている。
【0041】
また、図12及び図13に示すように、前記流量調整弁はさらに第1接続管41と第2接続管42とを含み、第1接続管41は上弁座11に接続されており、第2接続管42は下弁座12に接続されている。図12に示すように、第1接続管41と第2接続管42とは互いに平行に設置されているとともに、それぞれ弁座1の両側に位置している。図13に示すように、第1接続管41と第2接続管42とは互いに平行に設置されているとともに、いずれも弁座1の同じ側に位置している。図14に示すように、第1接続管41と第2接続管42とは異なる面に設置されているとともに、両者の角度が略90度になされているが、勿論、90度に限らない。これにより、上記構造設計は、冷却システムの使用環境により、第1接続管41と第2接続管42の位置を設置することができるため、極めて強い適応性を持っていることが分かった。
【0042】
具体的には、図13に示すように、下弁座12は基台124を含み、スリーブ延出部122は基台124の上端に設置されており、かつ、基台124の下端面は封じ込められている。基台124の周方向側壁には継ぎ目43が設けられており、第2接続管42が継ぎ目43に接続することができる。当該継ぎ目43は、必要に応じて、基台124の周方向側壁の任意の位置に設置されて、図12図14及び図15に示す構造設計を実現してもよい。
【0043】
また、上記の技術案においては、さらに改良することができる。図3及び図4に示すように、弁棒2のその軸線に垂直する任意の横断面の外径は全部で等しくなり、つまり、弁棒2の上部と下部の外形寸法は一致している。そして、図3に示すように、弁座1に案内部111が設けられており、弁棒2は案内部111を貫通して弁座1の弁室に延在する。具体的には、図3に示すように、上弁座11に案内部111が設けられており、弁棒2は案内部111を貫通して上弁座11の弁室に延在する。
【0044】
出願番号が200580023202.7である中国特許出願に開示された流量調整弁において、図2に示すように、弁ユニット40は下部が大きく且つ上部が小さい構造に形成されており、つまり、その下部の外径が大きく、且つ上部の外径が小さいように形成されているので、その装着は非常に複雑であり、装着のコストも高い。本発明において、弁棒2のその軸線に垂直する任意の横断面の外径は何れも同一であり、かつ上弁座11の案内部を貫通して上弁座11の弁室に延在するので、装着工程が比較的簡単になり、装着が比較的に便利になっている。
【0045】
さらに、上記の技術案においては、さらに改良することができる。図3に示すように、弁座1は案内部111の上に環形溝112が設けられており、具体的には、上弁座11は案内部111の上に環形溝112が設置されており、環溝112の内部に弁棒2の外部をカバーして装着するシール部材113が設置されている。
【0046】
出願番号が200580023202.7である中国特許出願に開示された流量調整弁において、図2に示すように、シールリング102は弁ユニット40に設置されており、具体的には、弁ユニット周方向側壁の環形溝に設置されており、弁ユニット40は軸方向に沿って移動する必要があるので、この時に、シールリング102のシール性能を維持するために、雄ねじガイドハンドル46に対して大きな軸方向の長さが必要となるため、弁体の軸方向の寸法が大きくなされていることを招致する。
【0047】
本発明において、図3に示すように、上弁座11は案内部111の上に環形溝112が設置されており、環形溝112の内部に弁棒2の外部をカバーして装着するシール部材113が設置されており、つまり、シール部材113は弁棒2でなく、上弁座11に設置されている。この時、シール部材113のシール性能を保つために、案内部111の軸方向の長さに対して、特に要求がなく、案内部111の軸方向の長さを小さくしてもよく、そうすると、弁の軸方向の寸法が短くされている。
【0048】
さらに、図3及び図4に示すように、本発明は従来技術におけるシールシートの構造設計を採用することを回避したため、弁棒2は軸方向に沿って、一体化の構造を採用することができ、運送する時の揺さぶり振動、または作業中のコンプレッサーの振動が生じた場合でも、弁棒2は離脱する恐れがない。
【0049】
具体的には、他の構造の弁棒も提供できる、具体に図8図9及び図10を参照し、図8は本発明の他の実施例における弁棒の構造模式図であり、図9図8の弁棒と取り合わせる下弁座の構造模式図であり、図10図8の弁棒の断面図である。
【0050】
図8に示すように、弁棒2の下端部の円周側壁には開口溝3が開けられている。これに基づいて、図13に示すように、弁棒2の下端部には位置が開口溝3よりも高い段状面22が設けられている。さらに、当該段状面22は弁棒2の下端部の内部に設置されてもよく、これに基づいて、図12乃至図14を参照し、スリーブ延出部122の上端部が段状面22に接触して密閉しまたは段状面22から離脱するように、スリーブ延出部122はさらに弁棒2の下端部の内部に延在しまたは弁棒2から伸び出すことができる。このような構造設計は技術効果が開口溝3がスリーブ延出部122に設置される構造設計(図4図5に示す)と同じであるため、ここで重複する説明を省略する。
【0051】
なお、この構造設計によれば、スリーブ延出部122の上端部が段状面22に当接して密閉を行い、段状面22は剛性が強く、且つ変形しにくいため、従来技術におけるシールシートに比べて、そのシール性能と耐用年数が大幅に向上された。
【0052】
具体的には、図10に示すように、弁棒2の管状のキャビティは軸方向に沿って弁棒2を貫通して、弁棒2の上端と下端が受ける圧力のバランスを取るためのバランス流路が形成され、弁棒2の上端と下端が受ける冷媒からの圧力が同じくされる。
【0053】
さらに、図10に示すように、前記管状のキャビティにはさらにフィルター21が設置されており、当該フィルター21はさらに係止リング23を介して弁棒2の管状のキャビティに固定されることができる。当該フィルター21は冷媒を濾過する役割を果たして、冷媒中の不純物がスクリュー61とナットとの間に入って、スクリュー61に影響を及ぼすことを防止する。
【0054】
また、段状面22は弁棒2の下端部の外部に設置されてもよい。具体的に図11を参考し、図11は本発明の他の実施例における弁棒と下弁座とが取り合わせる構造模式図である。
【0055】
図11に示すように、弁棒2の下端部に開口溝3が設置されていると共に、その下端部の外部に段状面22が設置されている。弁棒2の下端は、段状面22がスリーブ延出部122の上端面に接触して密閉しまたはスリーブ延出部122の上端面から離脱するように、スリーブ延出部122に延在しまたはスリーブ延出部122から伸び出す。明らかなように、当該技術案でも上記技術課題を解決することができ、本発明の目的を達成することができる。また、この構造設計によっても段状面22を比較的便利に形成することができ、さらにコストを低減することができる。
【0056】
以上、本発明によって提供される流量調整弁を詳細に説明した。本文には具体的な個別例を利用して本発明の原理及び実施態様を説明したが、上記の実施例の説明は、本発明の方法及びその核心思想を理解し易くするためのものに過ぎない。なお、当業者にとって、本発明の原理を外れない前提で、若干の改良や修飾を行うことができる。これらの改良や修飾も本発明の保護範囲に該当することを理解すべきである。
【符号の説明】
【0057】
なお、図1及び図2における符号と部材名称との対応関係は、以下の通りである。
1′:弁座 1′1:弁口 2′:弁棒 2′1:円錐管段部分 2′2:円柱管段部分 2′3:シールシート 2′4:バランス流路。
図3乃至図15における符号と部材名称との対応関係は、以下の通りである。
1:弁座 11:上弁座 111:案内部 112:環形溝 113:シール部材 12:下弁座 121:弁口 122:スリーブ延出部 123:段状密閉面 124:基台 2:弁棒 21:フィルター 22:段状面 23:係止リング 3:開口溝 41:第1接続管 42:第2接続管 43:継ぎ目 5:モータ 51:出力軸 52:モータケース 61:スクリュー 62:歯車座 63:スリーブ。
図1
図2
図3
図4
図5
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図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図14
図15