【実施例】
【0010】
図1は本実施例に係る冷蔵庫の斜視図、
図2は開扉した冷蔵庫を前方から見た正面図、
図3は本実施例に係る冷蔵庫庫内を示す縦断面図である。
なお、以下の説明では、観音開き(フレンチ式)扉を備える冷蔵庫とするが、片開き扉を備える冷蔵庫にも本実施例を適用することは可能である。
【0011】
図1〜3に示すように、本実施例に係る冷蔵庫1は、その本体部(筐体)をなす冷蔵庫本体1aの内部に、冷蔵室3、チルド室4(上部区画室)、野菜室5(下部区画室)、冷凍室6が区画配設されている。また、冷蔵庫本体1aの一面には、左右に分割された観音開き(いわゆるフレンチ式)の扉2a,2bが備わる。そして、扉2a,2bの開扉によって、使用者が、冷蔵室3、チルド室4、野菜室5の各貯蔵室に貯蔵される貯蔵物の取り出し、または、各貯蔵室への貯蔵物の収納ができるようになる。
冷蔵庫1は、扉2a,2bが備わる一面の側を前面Fs、前面と対向する一面の側を背面Rsとし、前面Fsの側を前方(Fr)、背面Rsの側を後方(Re)とする前後方向が設定される。また、前面Fsの側から背面Rsの側を臨む方向に左方向(Le)と右方向(Ri)が設定される。そして、冷蔵庫1の設置面(底部)の側を下方として上方向(Up)と下方向(Dn)が設定される。
【0012】
本実施例の冷蔵庫1において、扉2a,2bは前方の上方に配設される。また、扉2a,2bの下方の前方には引出扉2cが備わり、この引出扉2cの開扉によって、使用者は、冷凍室6に貯蔵される貯蔵物を取り出し、および、冷凍室6への貯蔵物の収納ができるようになる。つまり、冷蔵室3、チルド室4、野菜室5の各貯蔵室の下方に冷凍室6が配置される。そして、引出扉2cは冷凍室6の前方を開閉する扉になる。
【0013】
また、本実施例の冷蔵庫1においては、扉2a,2bの内側に形成される冷蔵空間に冷蔵室3、チルド室4、野菜室5がこの順に上方から配置されており、野菜室5は冷蔵室3およびチルド室4に比べて前方に張り出して形成される。このように、野菜室5が前方に張り出した構成によって、野菜室5の空間領域を広げることができる。
【0014】
冷蔵室3および野菜室5は、室内温度が約3〜5℃の冷蔵温度帯に保たれる貯蔵室であり、冷蔵室3には、冷蔵庫本体1aの左右の内側に突設される支持部で支持される、上下方向に複数段の収納棚3aが着脱自在に配設される。そして、冷蔵室3とチルド室4は、冷蔵室3の内部で最も下部に配置される収納棚(下部収納棚3b)で仕切られる。
【0015】
また、扉2a,2bの内部面(閉扉したときに冷蔵庫本体1aの内部側を向く面)には上下方向に複数段のドアポケット8が備わっている。ドアポケット8に収容される貯蔵物(ペットボトルやビン詰め調味料など)は、扉2a,2bが閉扉した状態のときにドアポケット8とともに冷蔵室3に収容されて冷蔵される。なお、冷蔵室3およびチルド室4よりも前方に張り出して形成される野菜室5と対向する位置にドアポケット8が備わらない構成としてもよい。
【0016】
チルド室4は、室内温度が約0℃に保たれる貯蔵室であり、例えば、上方が開口した箱状部材の引出容器(チルド室容器4a)が、前方に向かって引き出し可能に収容される。このように、チルド室4に収容されたチルド室容器4aと冷蔵室3が下部収納棚3bで仕切られ、チルド室容器4aの内部を約0℃に維持するように構成される。そして、チルド室4と野菜室5は仕切り部4cで仕切られる。
冷蔵室3、チルド室4、および野菜室5は、貯蔵物を冷凍状態にすることなく貯蔵する貯蔵室であり、本実施例の冷蔵温度帯室になる。なお、野菜室5には貯蔵物(野菜等)を収納するための野菜容器50が収容されている。
【0017】
また、例えば冷蔵室3の内部には、切換えレバー4bが備わる。この切換えレバー4bは、チルド室4に開口している、後記する冷蔵吹出し口18a(
図3参照)の開閉を操作するための操作子である。使用者は切換えレバー4bの操作で冷蔵吹出し口18aの開口度を調節することができ、チルド室4の温度を調節できる。
【0018】
冷凍室6は、室内温度が約マイナス18℃の冷凍温度帯に保たれて貯蔵物を冷凍状態で貯蔵する貯蔵室であり、本実施例の冷凍温度帯室になる。そして、冷凍室6は、扉2a,2bの下方に備わる引出扉2cによって開閉される。引出扉2cは図示しないガイドレール機構等によって前方に向かって引き出し可能に構成され、
図3に示すように上下方向に重なって配設される上段冷凍容器6aおよび下段冷凍容器6bが引出扉2cとともに引き出されるように構成される。
なお、下段冷凍容器6bのみが引出扉2cとともに引き出されるように構成され、上段冷凍容器6aは、引出扉2cと下段冷凍容器6bが引き出された状態のときに単独で引き出し可能に備わる構成であってもよい。
また、下段冷凍容器6bのみが備わる構成であってもよい。
【0019】
また、冷凍室6の前方に、引出扉2cに替わる、例えば片開きや両開きの開閉扉(図示せず)が備わり、この開閉扉が開扉した状態のときに、上段冷凍容器6aおよび下段冷凍容器6bが引き出し可能となる構成であってもよい。
【0020】
そして、
図3に示すように、冷蔵室3、チルド室4、野菜室5、および冷凍室6の各貯蔵室は、冷蔵庫本体1aの内面を覆うように備わる内壁1bで、前方を除く周囲が囲まれて形成される。
また、
図3に示すように、野菜室5と冷凍室6の間は隔壁5aによって仕切られている。隔壁5aは、後方および左右の側で内壁1bと接するように形成されて野菜室5と冷凍室6の間を隙間なく仕切るように構成されることが好ましい。この構成によって、野菜室5と冷凍室6の間の熱交換が抑止されて冷蔵温度帯室と冷凍温度帯室の間が熱的に遮断される。そして、冷蔵室3、チルド室4、および野菜室5の温度が冷蔵温度帯に維持されるとともに、冷凍室6の温度が冷凍温度帯に維持される。
【0021】
さらに、野菜室5と冷凍室6の後方には冷却器室10が形成される。冷却器室10は野菜室5と冷凍室6の後方に形成される空間からなり、野菜室5と冷凍室6を仕切る隔壁5aを貫通孔5a2(
図4参照)を介して貫通するように形成され、冷気100を生成する冷却器12と、冷却器12が生成した冷気100を送風する送風ファン11と、が収納される。また、冷却器室10の下方には、後方に機械室13が形成されて圧縮機14が配置される。
冷却器12は圧縮機14で圧縮された冷媒を気化させ、そのときの気化熱で周囲の空気を冷却して冷気100を生成するエバポレータであり、冷却器12で生成された冷気100が送風ファン11によって冷蔵庫1の各貯蔵室に供給される。つまり、送風ファン11は冷却器12が生成した冷気100を冷却器室10から吸い上げて各貯蔵室に送風して供給する。
【0022】
なお、冷却器12は冷凍室6の後方に配置されることが好ましい。冷凍室6は冷凍温度帯に維持される貯蔵室であり、冷凍室6の後方に冷却器12が配置されることによって、冷凍室6と冷気100を生成する冷却器12の温度差を小さくすることができる。
したがって、冷凍室6と冷却器12の間に厚みの厚い断熱材を配設する必要がなく、冷凍室6の容積を大きく確保することができる、冷蔵庫1を軽量化できる、などの効果を奏する。
【0023】
また、冷却器12の下方には霜取りヒータ15とドレンパイプ16が備わり、冷却器12に着霜したときは霜取りヒータ15が冷却器12を加熱して除霜するように構成される。さらに、このときに霜が融けて生じる水がドレンパイプ16を経由して排水されるように構成される。
なお、符号17は冷気100が流通するダクト(冷気ダクト)であり、符号18は送風ファン11で送風される冷気100を冷蔵室3およびチルド室4まで案内する冷気流路(冷蔵温度帯冷気流路)であり、符号19は送風ファン11で送風される冷気100を冷凍室6まで案内する冷気流路(冷凍温度帯冷気流路)である。そして、チルド室4は冷気ダクト17で冷却器室10と連通する。
【0024】
図4は、冷蔵庫の内部構造を示す後方斜視図、
図5の(a)は、冷蔵用送風ファンおよび冷凍用送風ファンが取り付けられた内部状態を前方から見た斜視図、(b)は、ダクトカバーおよび冷凍室の背板が取り付けられた内部状態を前方から見た斜視図、
図6の(a)は冷蔵用送風ファンの配置を示す側面図、(b)は冷凍用送風ファンの配置を示す側面図である。また、
図7は、ダクトカバーに取り付けられた冷蔵用送風ファンおよび冷凍用送風ファンを前方から臨んだ図である。
【0025】
図4、
図5の(a)に示すように、本実施例の冷蔵庫1には2つの送風ファン11(冷蔵用送風ファン11a,冷凍用送風ファン11b)が野菜室5の後方に備わっている。
冷蔵用送風ファン11aは、冷蔵室3、およびチルド室4に冷気100を供給する送風ファンであり、冷凍用送風ファン11bは、冷凍室6に冷気100を供給する送風ファンである。冷蔵用送風ファン11aおよび冷凍用送風ファン11bは固定板10bに取り付けられて冷蔵庫1に配設される。
そして、固定板10bには、冷蔵用送風ファン11aが配設される第1領域10a1と冷凍用送風ファン11bが配設される第2領域10a2を区画する仕切板10b1が形成される。また、冷凍室6の後方には、冷却器室10との境界に背面カバー1dが備わっている。
なお、
図4には、冷蔵用送風ファン11aと冷凍用送風ファン11bのそれぞれの吸気側Siが示され、
図5の(a)には、冷蔵用送風ファン11aと冷凍用送風ファン11bのそれぞれの吐出側Soが示されている。
また、
図4の符号5a2は、冷却器室10が隔壁5aを貫通する貫通部(貫通孔)である。
【0026】
また、
図4、
図5の(b)に示すように、固定板10bの前方にはダクトカバー10aが取り付けられる。そして、
図6の(a)、(b)に示すように、ダクトカバー10aの後方には、第1領域10a1となる空間領域と第2領域10a2となる空間領域が形成され、2つの空間領域が仕切板10b1(
図5の(a)参照)で仕切られるようにダクトカバー10aが取り付けられる。ダクトカバー10aの開口している下方は、隔壁5aに形成されている貫通孔5a2(
図4参照)と連通し、この構成によって冷却器室10が貫通孔5a2を介して隔壁5aを貫通するように構成される。
なお、
図6の(b)の符号5a1は、冷気100を流通させるために隔壁5aに形成されている溝部である。
【0027】
また、
図4、
図5の(b)に示すように、冷凍室6の後方には、冷凍吹出し口19aと排気口1eが開口している背板1fが背面カバー1dの前方を覆うように備わっている。
背板1fと背面カバー1dの間には間隙が形成され、この間隙によって、冷却器12が生成する冷気100を冷凍室6まで案内する冷凍温度帯冷気流路19が形成される。
冷凍温度帯冷気流路19は、冷凍用送風ファン11bの位置よりも下方に形成され、冷凍室6の位置で背板1fが開口し、冷凍室6と冷凍温度帯冷気流路19が連通する複数の冷凍吹出し口19aが形成される。そして、冷凍温度帯冷気流路19を流れる冷気100は冷凍吹出し口19aから冷凍室6に吹き出して供給される。
さらに、冷凍温度帯冷気流路19の上方は、ダクトカバー10aの第2領域10a2と連通する。
また、冷凍室6は排気口1eを介して冷却器室10(
図4参照)と連通し、冷凍吹出し口19aから冷凍室6に供給される冷気100が排気口1eから冷却器室10に戻るように構成される。
【0028】
そして、
図6の(a)に示すように、ダクトカバー10aは冷蔵用送風ファン11aの前方(吐出側So)を覆うとともに冷蔵用送風ファン11aが吐出する冷気100を冷蔵温度帯冷気流路18まで案内するカバーとなる。また、
図6の(b)に示すように、ダクトカバー10aは冷凍用送風ファン11bの前方(吐出側So)を覆うとともに冷凍用送風ファン11bが吐出する冷気100を冷凍温度帯冷気流路19まで案内するカバーとなる。
【0029】
また、
図4に示すように、冷蔵室3、およびチルド室4の後方には冷蔵温度帯冷気流路18が形成される。冷蔵温度帯冷気流路18は、例えば、冷蔵室3の上方からチルド室4の下方までの間の後方に配設される背板1cの後方の面に上下方向に延設され、前方に凹状をなす溝部からなる。冷蔵温度帯冷気流路18は、冷蔵用送風ファン11aの位置から上方に向かって延設され、冷蔵室3およびチルド室4の位置で背板1cが開口し、冷蔵室3およびチルド室4と冷蔵温度帯冷気流路18が連通する複数の吹出し口(冷蔵吹出し口18a)が形成される。さらに、冷蔵温度帯冷気流路18の下側の端部は、ダクトカバー10aの第1領域10a1の上方に形成される冷風孔10c(
図5の(b)参照)と連結される。
つまり、冷蔵温度帯冷気流路18は、冷却器12が生成した冷気100を、冷蔵室3、およびチルド室4(冷蔵温度帯室)まで案内する機能を有する。
なお、野菜室5の位置には冷蔵温度帯冷気流路18および冷蔵吹出し口18aが形成されないことが好ましく、この構成によって、冷蔵温度帯冷気流路18を流通する冷気100が野菜室5に供給されない構成となる。そして、野菜室5は、冷気100で直接冷却されず、後記するように間接的に冷却される。
【0030】
なお、
図4には内壁1b(
図3参照)が図示省略されている。内壁1bは、冷蔵室3、チルド室4、野菜室5、および冷凍室6の周囲を前方を除いて覆うように備わる。また、冷却器室10の後方および左右方向は、内壁1bで囲まれる。
そして、内壁1bは溝状の冷蔵温度帯冷気流路18を後方から閉塞して管状の冷蔵温度帯冷気流路18を構成する。
【0031】
さらに、野菜室5の後方には冷蔵用送風ファン11aおよび冷凍用送風ファン11bが取り付けられた固定板10bが配置されてその前方がダクトカバー10aで覆われ、冷凍室6の後方は背板1fおよび背面カバー1dで冷却器室10と仕切られる。
【0032】
そして、送風ファン11(冷蔵用送風ファン11a、冷凍用送風ファン11b)、冷却器12、冷蔵温度帯冷気流路18、冷蔵吹出し口18a、冷凍温度帯冷気流路19、および冷凍吹出し口19aを含んで、本実施例の冷却手段が構成される。
【0033】
図6の(a)に示すように、冷蔵用送風ファン11aの前方(吐出側So)にはダクトカバー10aが配設され、ダクトカバー10aで覆われる第1領域10a1は、上方に向かって延設される冷蔵温度帯冷気流路18と冷風孔10cを介して連通する。また、冷蔵用送風ファン11aの後方(吸気側Si)は冷却器室10に臨むように配置される。この構成によって、冷蔵用送風ファン11aが冷却器12で生成された冷気100を冷蔵温度帯冷気流路18内に送風することが可能になる。そして、冷蔵用送風ファン11aによって冷蔵温度帯冷気流路18に送風された冷気100は冷蔵吹出し口18aから冷蔵室3およびチルド室4に吹き出して供給される。つまり、冷気100は冷蔵室3およびチルド室4に後方から供給される。
【0034】
また、
図6の(b)に示すように、冷凍用送風ファン11bの前方(吐出側So)にはダクトカバー10aが配設され、ダクトカバー10aで覆われる内部空間の第2領域10a2は、下方に形成される冷凍温度帯冷気流路19と連通する。また、冷凍用送風ファン11bの後方(吸気側Si)は冷却器室10に臨むように配置される。この構成によって、冷凍用送風ファン11bが冷却器12で生成された冷気100を冷凍温度帯冷気流路19内に送風することが可能になる。冷凍用送風ファン11bは冷却器室10で生成された冷気100を斜め上方に吐出し、斜め上方に吐出された冷気100はダクトカバー10aによって下方に転向し、冷凍温度帯冷気流路19に流れ込む。そして、冷凍用送風ファン11bによって冷凍温度帯冷気流路19に送風された冷気100は冷凍吹出し口19aから冷凍室6に吹き出して供給される。つまり、冷気100は冷凍室6に後方から供給される。
【0035】
そして、
図6の(a)、(b)に示すように、冷蔵用送風ファン11aの取り付け角度θ1は、冷凍用送風ファン11bの取り付け角度θ2よりも小さいことが好ましい。
ここでいう取り付け角度は、冷気100の吐出方向が上下方向となす角度とし、この取り付け角度が小さいほど上方に向かって冷気100が吐出される。
つまり、冷蔵用送風ファン11aは、冷凍用送風ファン11bよりも冷気100を上方に向かって吐出するような取り付け角度で取り付けられることが好ましい。そして、冷凍用送風ファン11bの取り付け角度θ2よりも取り付け角度θ1が小さい冷蔵用送風ファン11aは、冷凍用送風ファン11bよりも冷気100を上方に向かって吐出する。
したがって、取り付け角度が小さい冷蔵用送風ファン11aは、上方に向かって延設される冷蔵温度帯冷気流路18に対して好適に冷気100を送風できる。
また、取り付け角度が大きい冷凍用送風ファン11bは、下方に向かって延設される冷凍温度帯冷気流路19に対して好適に冷気100を送風できる。
【0036】
また、
図4、
図5の(a)に示すように、本実施例の冷蔵用送風ファン11aと冷凍用送風ファン11bは左右に並び、野菜室5と冷凍室6の間の隔壁5aよりも上方に配置される。さらに、冷蔵用送風ファン11aが冷凍用送風ファン11bよりも上方の位置に配置される構成であることが好ましい。
つまり、冷蔵用送風ファン11aから吐出される冷気100の流れの最上部が、冷凍用送風ファン11bから吐出される冷気100の流れの最上部よりも上方の位置となるように、冷蔵用送風ファン11aと冷凍用送風ファン11bが配置されることが好ましい。
【0037】
冷蔵用送風ファン11aは、隔壁5aよりも上方に配置される冷蔵室3およびチルド室4に供給される冷気100を送風するファンであるため、冷蔵用送風ファン11aが上方の位置に配置されることによって冷気100の流路長が短くなり、冷気100を冷蔵室3およびチルド室4に供給する効率を向上できる。そして、冷蔵室3、およびチルド室4を効率よく冷却できる。
【0038】
また、冷蔵用送風ファン11a、冷凍用送風ファン11bがともに、吐出側Soから臨んだ形状が矩形の外枠を有するファンの場合、冷蔵用送風ファン11aと冷凍用送風ファン11bが、ともに前後方向から臨んで左右方向に対して所定の傾斜角度を有して取り付けられ、さらに、冷蔵用送風ファン11aと冷凍用送風ファン11bの左右方向に対する傾斜角度が異なる構成であることが好ましい。
【0039】
本実施例において、冷蔵用送風ファン11aと冷凍用送風ファン11bの傾斜角度は、前方または後方から臨んだ冷蔵用送風ファン11aと冷凍用送風ファン11bの外枠が左右方向に対して傾斜する角度とする。
【0040】
例えば、
図7に示すように、矩形の外枠を有する冷蔵用送風ファン11aを前方から臨んだ外枠の上方(または下方)の一辺が左右方向に対してなす角度θ3を冷蔵用送風ファン11aの傾斜角度とする。同様に、矩形の外枠を有する冷凍用送風ファン11bを前方から臨んだ外枠の上方(または下方)の一辺が左右方向に対してなす角度θ4を冷凍用送風ファン11bの傾斜角度とする。
そして、本実施例においては、冷蔵用送風ファン11aの傾斜角度θ3と冷凍用送風ファン11bの傾斜角度θ4が異なる構成とする。例えば、
図7に示すように、角度θ4(冷凍用送風ファン11bの傾斜角度)が角度θ3(冷蔵用送風ファン11aの傾斜角度)より大きい構成(角度θ4>角度θ3)とする。
【0041】
冷蔵用送風ファン11aの傾斜角度θ3と冷凍用送風ファン11bの傾斜角度θ4が等しい場合(角度θ3=角度θ4)、冷蔵用送風ファン11aの振動と、冷凍用送風ファン11bの振動と、が同じ伝達特性で固定板10bに伝達されて互いに共鳴し、固定板10bの振動が大きくなる場合がある。この場合、冷蔵庫1(
図1参照)の騒音が大きくなるなどの問題が生じる場合がある。
図7に示すように定義された冷蔵用送風ファン11aの傾斜角度θ3と冷凍用送風ファン11bの傾斜角度θ4が異なることによって、冷蔵用送風ファン11aの振動と、冷凍用送風ファン11bの振動と、の固定板10bへの伝達特性を変えることができ、冷蔵用送風ファン11aと冷凍用送風ファン11bの振動の共鳴を抑制できる。このことによって、固定板10bの振動を抑制でき、ひいては、冷蔵庫1(
図1参照)の騒音を低減できる。
【0042】
さらに、冷蔵用送風ファン11aと冷凍用送風ファン11bがそれぞれ傾斜角度θ3,θ4を有して取り付けられることによって冷蔵用送風ファン11aと冷凍用送風ファン11bの左右方向の干渉が回避され、サイズの大きな冷蔵用送風ファン11aと冷凍用送風ファン11bを取り付けることができる。
【0043】
また、本実施例の冷蔵庫1には、野菜室5を間接冷却するための冷却機構が備わる。
図8はチルド室と野菜室の構成を示す側面断面図、
図9は冷気ダクトを示す後方斜視図、
図10は隔壁の構造を示す斜視図、
図11は冷凍室の構成を示す側面断面図である。
【0044】
図8に示すように、本実施例のチルド室4は、野菜室5の上方に配置されて野菜室5と仕切り部4cで仕切られ、さらに、野菜室5がチルド室4よりも前方に張り出すように形成される。そして、仕切り部4cはチルド室4の底面となる。
このように、チルド室4は、下部収納棚3bと、仕切り部4cと、内壁1bと、で区画された空間として形成される。
また、野菜室5は、仕切り部4cと、隔壁5aと、内壁1bと、で区画された空間に、前方に向かって引き出し可能な野菜容器50が収容されて形成される。なお、野菜容器50には、引き出し時に使用者が手を掛けるための手掛け部51が形成される。
【0045】
野菜容器50は、例えば、隔壁5aに取り付けられるコロ部材52の回転による前後方向へのスライド移動によって引き出し可能に構成され、隔壁5aと野菜容器50が直接接触しない構成が好ましい。
なお、野菜容器50の後方には、例えば、野菜容器50の側にコロ部材(図示せず)が備わり、このコロ部材が隔壁5aの上面を転がるような構成であってもよい。
【0046】
そして、チルド室4の後方に冷蔵温度帯冷気流路18が配設されて冷蔵温度帯冷気流路18とチルド室4を連通する冷蔵吹出し口18aが形成され、冷蔵温度帯冷気流路18を流通する冷気100が冷蔵吹出し口18aから供給されてチルド室4が冷却される。
【0047】
また、チルド室4には、前記したように前方に向かって引き出し可能なチルド室容器4aが収容される。その構成は限定されるものではないが、例えば、前後方向に延設されるガイドレール(図示せず)がチルド室4の左右の側壁をなす内壁1bに形成され、このガイドレールにチルド室容器4aがスライド移動可能に取り付けられる構成とすればよい。そして、チルド室容器4aが仕切り部4cから離間して取り付けられ、チルド室容器4aと仕切り部4cの間に、前後方向に通じる間隙部4a1が形成される構成とする。
さらに、本実施例では、チルド室4の後方に配設される背板1cに冷気ダクト17が接続され、チルド室4と冷気ダクト17が連通するように背板1cが開口する。
【0048】
図9に示すように、チルド室4の後方に備わる背板1cに一端が接続された冷気ダクト17は下方に延設され、他端が霜取りヒータ15の下方で冷却器室10に接続される。この構成によって、チルド室4は冷却器室10における冷却器12の下方と冷気ダクト17を介して連通される。
冷却器室10には冷蔵用送風ファン11a,冷凍用送風ファン11bが備わり、冷却器室10から冷気100を吸上げて冷蔵庫1の各貯蔵室に供給するように構成される。したがって、冷蔵用送風ファン11a,冷凍用送風ファン11bが駆動すると冷却器室10内は減圧し、チルド室4の冷気100が冷気ダクト17を介して冷却器室10まで流通する。このとき、
図8に示すように、チルド室容器4aと仕切り部4cの間に形成される間隙部4a1を冷気100が流通するため仕切り部4cが冷却される。
【0049】
そして、仕切り部4cが冷却されることによって、下方に形成される野菜室5が冷却される。つまり、野菜室5は、冷気100によって仕切り部4cを介して間接的に冷却される。野菜室5には野菜が貯蔵される場合が多く、過度に冷却されると「野菜の凍傷」などの不具合が生じる場合がある。本実施例の野菜室5は、仕切り部4cを介して間接的に冷却されるため、野菜室5の過度の冷却が抑制される。
このため、仕切り部4cは熱の伝達効率の高い部材で形成されることが好ましい。
【0050】
また、チルド室容器4aの下方に形成される間隙部4a1を冷気100が流通するときにチルド室容器4aを下方から冷却する。したがって、チルド室容器4aが効率よく冷却され、チルド室容器4aの貯蔵物を効率よく冷却できる。
【0051】
なお、冷気ダクト17は、冷却器12および霜取りヒータ15の後方を通るように配管される管路で形成される構成であることが好ましい。また、
図9は内壁1b(
図3参照)が図示省略されており、冷気ダクト17の下方の端部は冷却器室10の後方で内壁1bに接続される構成とすればよい。
また、
図9には左右方向に並列に2本の冷気ダクト17が備わる構成が図示されているが、1本の冷気ダクト17が備わる構成であってもよいし3本以上の冷気ダクト17が備わる構成であってもよい。
【0052】
図9に示すように、冷気ダクト17が冷却器12および霜取りヒータ15の後方に配設されると、冷気ダクト17を流れる冷気100が冷却器12によって冷却され、冷却器室10に低温の冷気100が戻ることになる。したがって、冷却器12の冷却負荷を小さくすることができ冷却効率を向上できる。
また、冷却器12と冷気ダクト17が左右方向で干渉しないため、左右方向に幅の広い大型の冷却器12を設置することができる。
【0053】
また、例えば、冷気ダクト17が冷却器12の左右に配管されると、冷却器12の左右の端部近傍と中心部近傍とで温度差が生じるため、冷却器12の特定の部位に集中して着霜する場合がある。冷却器12(エバポレータ)は冷媒が流通する細い管路の配管によって形成されるため、特定の部位に集中して着霜すると冷媒の流通が妨げられる場合がある。これに対し、冷気ダクト17を冷却器12の後方に配管すると、例えば、冷気ダクト17を冷却器12の後方の面の全面に亘って配管すること(または、それに近い状態にすること)も可能になり、左右の端部近傍と中心部近傍の温度差を小さくすることが可能となる。したがって、特定の部位に集中して着霜する現象の発生を抑制でき、冷媒の流通が妨げられることを好適に回避できる。
【0054】
また、
図10に示すように、隔壁5aの下面には、貫通孔5a2から前方に向かって複数(
図10には2本を例示)の溝部5a1が延設され、溝部5a1の下方がカバー部材5a3で閉塞される。このように構成される溝部5a1は貫通孔5a2と連通するため冷却器室10(
図8参照)と連通し、
図11に示すように、カバー部材5a3で閉塞された溝部5a1は冷却器室10から冷気100が流れ込んで流通する管路(冷気管路60)を形成する。つまり、冷気管路60は、隔壁5aに前後方向に延設されて後端部側が冷却器室10と連通する管路となり、冷気100を冷却器室10から前方に向かって流通させる流通手段として機能する。
【0055】
また、カバー部材5a3には、例えば、前方、後方、およびその中間部などに適宜貫通孔5a4が形成され、冷気管路60(溝部5a1)を流通する冷気100が貫通孔5a4から下方に吹き出す構成が好ましい。
なお、カバー部材5a3を隔壁5aに固定する方法は限定されるものではない。
例えば、カバー部材5a3に形成される係合爪(図示せず)と、溝部5a1に形成される係合溝(図示せず)が係合することによってカバー部材5a3が固定される構成(スナップフィット)であってもよいし、ボルト(図示せず)などの締結部材による締結固定であってもよいし、接着剤等による接着固定であってもよい。
【0056】
図11に示すように、冷凍室6は、隔壁5aと、内壁1bと、で囲まれた空間であり、前方は引出扉2cによって閉塞される。
さらに、前記したように、冷凍室6には、引出扉2cとともに前方に引き出し可能に構成される下段冷凍容器6bと、引出扉2cとともに、または、単独で、前方に引き出し可能に構成される上段冷凍容器6aと、が収容される。
【0057】
上段冷凍容器6aは上方が開口した箱状に形成され、上端が隔壁5aの下面と対面するように配設される。したがって、上段冷凍容器6aの開口した上端は、溝部5a1の下方を閉塞するカバー部材5a3と対面する。この構成によって、冷気管路60(溝部5a1)を流通して貫通孔5a4から吹き出す冷気100が上段冷凍容器6aの内部に供給されて上段冷凍容器6aの貯蔵物が冷却される。
【0058】
また、
図11に示すように、下段冷凍容器6bが上段冷凍容器6aよりも後方に張り出す構成としてもよい。この構成によって、下段冷凍容器6bの後方は上方が開口し、冷凍室6に後方から供給された冷気100は、張り出した部分に形成される開口部から下段冷凍容器6bに供給されて下段冷凍容器6bの貯蔵物が冷却される。
【0059】
また、図示はしないが、カバー部材5a3の最も前方に形成される貫通孔5a4の位置まで、上段冷凍容器6aの前方の面の少なくとも一部が後退している構成としてもよい。例えば、上段冷凍容器6aの前方の面が、当該貫通孔5a4の位置まで凹状になるように後方に湾曲している構成であってもよい。
この構成によると、下段冷凍容器6bの前方の面の上端に間隙が形成され、カバー部材5a3の最も前方に形成される貫通孔5a4から吹き出す冷気100が、この間隙から下段冷凍容器6bに流れ込む。したがって、冷気100が下段冷凍容器6bの内部に効率よく供給されて下段冷凍容器6bの貯蔵物が効果的に冷却される。
【0060】
また、隔壁5aの冷気管路60(溝部5a1)に効率よく冷気100を送り込むため、
図4および
図6の(b)に示すように、冷蔵用送風ファン11aよりも下方に配置される冷凍用送風ファン11bは、少なくとも一部が隔壁5aに形成される貫通孔5a2に入り込むように取り付けられていることが好ましい。そして、冷凍用送風ファン11bの一部が冷気管路60の後方に配置される構成が好ましい。
この構成によると、冷凍用送風ファン11bの前面(吐出側So)から吐出される冷気100の一部が隔壁5aの冷気管路60に直接送風されることになり、冷気管路60(溝部5a1)に効率的に冷気100を送り込むことができる。
【0061】
また、
図11に示すように、隔壁5aに形成される冷気管路60に冷気100が流通すると、冷気管路60を流通する冷気100によって隔壁5aが冷却される。そして、冷却された隔壁5aは上方に配置される野菜室5を冷却する。したがって、野菜室5が冷気100によって隔壁5aを介して間接的に冷却されることになり、野菜室5を冷却する効率が向上するとともに、間接的な冷却によって野菜室5の過度の冷却が抑制される。
さらに、野菜室5は、上方の仕切り部4c(
図8参照)と下方の隔壁5aによって上下の両方向から冷却される。したがって、上下方向が高く形成される野菜室5に備わる、上下方向の深さが深い野菜容器50であっても上下の両方向から冷却されるため、野菜容器50の貯蔵物を効率よく冷却できる。
【0062】
なお、
図8に示すように野菜容器50はコロ部材52によって引き出し可能に支持されて、隔壁5aと野菜容器50が直接接触しないように構成される。したがって、野菜容器50は冷却された隔壁5aからも間接的に冷却されることになり、野菜容器50の貯蔵物が過度に冷却されることが抑制される。
【0063】
以上のように、本実施例の冷蔵庫1(
図1参照)には、
図4に示すように2つの送風ファン11(冷蔵用送風ファン11aと冷凍用送風ファン11b)が備わり、冷蔵温度帯室(冷蔵室3、チルド室4、野菜室5)と、冷凍温度帯室(冷凍室6)と、にそれぞれの送風ファン11で冷気100を供給できる。
そして、上方の冷蔵温度帯室に冷気100を供給する冷蔵用送風ファン11aは、下方の冷凍温度帯室に冷気100を供給する冷凍用送風ファン11bよりも上方に配置され、取り付け角度θ1(
図6の(a)参照)が冷凍用送風ファン11bの取り付け角度θ2(
図6の(b)参照)よりも小さくなるように取り付けられる。
この構成によって、上方の冷蔵温度帯室に冷気100を効率よく供給できる。
【0064】
また、本実施例の野菜室5(
図8参照)は、冷気100(
図8参照)によって直接冷却されず、間隙部4a1(
図8参照)を流通する冷気100によって冷却される仕切り部4c(
図8参照)と、冷気管路60(
図11参照)を流通する冷気100によって冷却される隔壁5a(
図8参照)と、によって間接的に冷却される。
この構成によって、野菜室5の過度の冷却が抑制される。
さらに、冷凍用送風ファン11bの少なくとも一部が隔壁5aに形成される貫通孔5a2(
図11参照)に入り込むように構成される。冷気管路60は、隔壁5aと連通して形成されるため、隔壁5aに入り込んだ冷凍用送風ファン11bの一部から冷気管路60に冷気100が効果的に送風され、隔壁5aを効率よく冷却できる。
【0065】
なお、本発明は前記した実施例に限定されるものではない。例えば、前記した実施例は本発明をわかりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。
また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることも可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。
【0066】
例えば、本実施例の隔壁5a(
図10参照)には下面に2本の溝部5a1(
図10参照)からなる冷気管路60(
図10参照)が形成される構成としたが、3本以上の溝部5a1からなる冷気管路60が形成される構成であってもよい。
また、隔壁5aの下面に形成される溝部5a1をカバー部材5a3(
図10参照)で閉塞して形成される冷気管路60としたが、この構成も限定されるものではない。
例えば、ドリルなどの加工工具で隔壁5aの後端部側から前方に向かって加工される縦孔からなる冷気管路60であってもよい。
【0067】
また、冷気ダクト17(
図9参照)の数も2本に限定されるものではなく、3本以上の冷気ダクト17が備わる構成であってもよい。
【0068】
この他、本発明は、前記した実施例に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜設計変更が可能である。