特許第5771338号(P5771338)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5771338生物分解性香味発生成分を有するエアロゾル発生物品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5771338
(24)【登録日】2015年7月3日
(45)【発行日】2015年8月26日
(54)【発明の名称】生物分解性香味発生成分を有するエアロゾル発生物品
(51)【国際特許分類】
   A24F 47/00 20060101AFI20150806BHJP
   A24D 3/04 20060101ALI20150806BHJP
【FI】
   A24F47/00
   A24D3/04
【請求項の数】10
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-556938(P2014-556938)
(86)(22)【出願日】2012年12月28日
(65)【公表番号】特表2015-506713(P2015-506713A)
(43)【公表日】2015年3月5日
(86)【国際出願番号】EP2012077087
(87)【国際公開番号】WO2013120566
(87)【国際公開日】20130822
【審査請求日】2015年3月24日
(31)【優先権主張番号】12155250.9
(32)【優先日】2012年2月13日
(33)【優先権主張国】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100092093
【弁理士】
【氏名又は名称】辻居 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100082005
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(72)【発明者】
【氏名】ジャリオー マリン
(72)【発明者】
【氏名】ルヴェ アレクシス
(72)【発明者】
【氏名】マイヤー セドリック
(72)【発明者】
【氏名】サンナ ダニエレ
(72)【発明者】
【氏名】ツバー ジェラール
【審査官】 宮崎 賢司
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2008/015570(WO,A2)
【文献】 国際公開第2009/143338(WO,A2)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0301503(US,A1)
【文献】 特開昭55−58084(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/028354(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 47/00
A24D 3/02
A24D 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル発生物品(10)であって、
ロッド(11)の形態に組み立てられた複数の要素、
を含み、
前記複数の要素は、エアロゾル形成基材(20)と、前記ロッド(11)内で該エアロゾル形成基材(20)から下流に位置付けられたマウスピースフィルタ(50)とを含み、
エアロゾル発生物品(10)が、前記ロッド(11)内で前記エアロゾル形成基材(20)と前記マウスピースフィルタ(50)の間に配置された揮発性香味発生成分を含み、該揮発性香味発生成分は、繊維性支持要素(45)に結合され、
低抵抗支持要素(40)が、前記マウスピースの上流かつ前記エアロゾル形成基材(20)の下流に位置付けられ、該低抵抗支持要素(40)は、前記揮発性香味発生成分を前記ロッド(11)内に位置付ける縦方向延在チャネルを含み、
前記低抵抗支持要素(40)は、シート材料によって定められた複数の縦方向延在チャネルを含み、かつ該チャネルを形成するために該シート材料をしわ付け、ひだ付け、ギャザー付け、及び折り畳むことから構成されるリストから選択された処理のうちの1つ又はそれよりも多くを用いて形成されたものであり、
前記エアロゾル発生物品は加熱式エアロゾル発生物品であって、約45mmの全長及び約7mmの外径を有し、前記エアロゾル形成基材は約10mmの長さを有する、
ことを特徴とする物品(10)。
【請求項2】
前記シート材料は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリ乳酸、セルロースアセテート、でんぷん系コポリエステル、紙、及びアルミニウム箔を含むリストから選択された材料であることを特徴とする請求項1に記載の物品(10)。
【請求項3】
前記低抵抗支持要素は、前記縦方向に50%と90%の間の多孔率を有することを特徴とする請求項1から請求項2のいずれか1項に記載の物品(10)。
【請求項4】
前記低抵抗支持要素は、mm長さ当たり300mm2とmm長さ当たり1000mm2の間の全表面積を有することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の物品(10)。
【請求項5】
前記低抵抗支持要素は、7mm長さと28mmの間の全長を有することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の物品(10)。
【請求項6】
前記低抵抗支持要素は、約18mmの全長を有することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の物品(10)。
【請求項7】
前記シート材料は、10マイクロメートルと250マイクロメートルの間の厚みを有することを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の物品(10)。
【請求項8】
前記揮発性香味発生成分の上流かつ前記エアロゾル形成基材(20)の下流に位置付けられた分離要素(30)を更に含むことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の物品(10)。
【請求項9】
前記揮発性香味発生成分は、メントールを含むことを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の物品(10)。
【請求項10】
前記マウスピースフィルタ(50)と前記エアロゾル形成基材(20)の間に配置された1.5mgよりも多いメントールを含むことを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の物品(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、エアロゾル形成基材と消費者が吸入するエアロゾルに香味を与える生物分解性香味発生成分とを含むエアロゾル発生物品に関する。
【背景技術】
【0002】
当業分野では、タバコ含有基材のようなエアロゾル形成基材を燃焼させずに加熱する物品は公知である。そのような物品は、エアロゾル発生物品と呼ぶことができる。そのような加熱式エアロゾル発生物品の狙いは、従来のシガレットにおけるタバコの燃焼及び熱分解で生成される公知の有害な煙成分を低減することである。一般的に、このような加熱式エアロゾル発生物品において、吸入可能なエアロゾルは、熱源から熱源の内部、周囲、又は下流に配置可能なエアロゾル形成基材又は材料への熱の伝達によって発生する。エアロゾル発生物品の消費中に、熱源からの熱伝達によってエアロゾル形成基材から揮発性化合物が放出され、物品を通って吸い込まれる空気に取り込まれる。放出された化合物は、冷えると凝縮して消費者が吸入するエアロゾルを形成する。
【0003】
従来のシガレットでは、タバコは、タバコ自体の燃焼によって揮発性化合物を放出する温度まで加熱される。従来のシガレットの消費者は、タバコの燃焼によって生成される煙、及びこの煙と関連するあらゆるエアロゾルを吸入する。主流煙又はエアロゾルの香味を変更するために、メントールのような香味料を含む単一及び多重セグメントマウスピースフィルタをシガレットに設けることは公知である。メントールは、適切な液体担体を用いてシガレットのフィルタ、包装タバコロッド、又はエアロゾル形成基材に液体状態で導入することができる。液状のメントールは、揮発性であるので、保管時にシガレットの香味及びタバコから移動又は蒸発する傾向がある。これに代えて、メントール又は他の香味料をストリップ、ビード、又は他の手段として設けることができる。
【0004】
従来のシガレットの消費中に、燃焼の方向はシガレットに沿って進む。タバコへ移動したメントールは、燃焼の方向が進む時に放出される。対照的に、加熱式エアロゾル発生物品は、一般的に、エアロゾル形成基材からの揮発性化合物の蒸留によって機能する。基材の大部分が同時に加熱され、揮発性化合物を放出する。メントールのような香味添加物は、揮発性が高いので、基材内の他の要素よりも早く放出されて消費される傾向がある。物品内のメントール又は香味の充填量が多くなければ、香味は、物品が消費される時に急速に落ちる。
【0005】
従来のシガレットにメントールを含めることは公知であるが、エアロゾル発生物品にメントール香味又は他の香味を適用することは簡単ではない場合がある。エアロゾル発生物品で一般的に使用されるフィルタは、従来のシガレットで使用されるフィルタよりも短い。更に、エアロゾル発生物品内のタバコの量は、従来のシガレット内のそれよりも少ない。それによってフィルタに充填するメントールの最大量が従来のシガレットのそれと比べて低下する可能性がある。
【0006】
エアロゾル発生物品内のエアロゾル形成基材は、一般的に、グリセリンのようなエアロゾルフォーマを含有する処理された基材である。例えば、エアロゾル発生物品に含まれてエアロゾル発生デバイスで消費されるエアロゾル形成基材は、キャストリーフ又は再構成タバコを含むしわを付けた又は折り畳んだタバコプラグを含む。エアロゾル形成基材にメントールのような香味を充填することができる。しかし、その結果、エアロゾル形成基材の構造が損なわれる可能性がある。例えば、キャストタバコ内にメントールを充填すると、キャストリーフタバコの密度及び強度が低下する可能性があり、キャストリーフがエアロゾル発生物品内でのエアロゾル形成基材としての使用に適さなくなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
エアロゾル発生物品への香味料の追加を改善してそのような物品に追加することができる香味料の強度及びの濃度を改善することが望ましいと考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
1つの態様において、ロッドの形態で組み立てられた複数の要素を含むエアロゾル発生物品を提供する。複数の要素は、エアロゾル形成基材と、ロッド内でエアロゾル形成基材の下流に位置付けられたマウスピースフィルタとを含む。エアロゾル発生物品は、ロッド内でエアロゾル形成基材とマウスピースフィルタの間に配置された揮発性香味発生成分を含む。
【0009】
本明細書で用いる時に、エアロゾル発生物品は、エアロゾル形成基材が加熱された時に吸入可能なエアロゾルを発生するあらゆる物品である。この用語は、電気加熱要素のような外部熱源によって加熱されるエアロゾル形成基材を含む物品を含む。エアロゾル発生物品は、エアロゾル形成基材が燃焼することなく揮発性化合物を放出する物品である不燃性エアロゾル発生物品とすることができる。エアロゾル発生物品は、燃焼するよりも加熱されるように意図したエアロゾル形成基材を含むエアロゾル発生物品である加熱式エアロゾル発生物品とすることができ、加熱によってエアロゾルを形成可能な揮発性化合物を放出する。この用語は、エアロゾル形成基材と、例えば、可燃熱源である一体熱源とを含む物品を含む。
【0010】
エアロゾル発生物品は、ユーザの口腔を通してユーザの肺の中へ直接吸入可能なエアロゾルを形成する喫煙物品とすることができる。エアロゾル発生物品は、シガレットのような従来の喫煙物品に類似する場合があり、かつタバコを含むことができる。エアロゾル発生物品は使い捨てにすることができる。これに代えて、エアロゾル発生物品は、部分的に再利用可能であり、補充可能又は交換可能なエアロゾル形成基材を含むことができる。
【0011】
本明細書で用いる時に、用語「エアロゾル形成基材」は、エアロゾルを形成可能な揮発性化合物を放出することができる基材に関する。そのような揮発性化合物は、エアロゾル形成基材の加熱によって放出することができる。エアロゾル形成基材は、担体又は支持体に吸収され、被覆され、含浸され、又はそうでなければ充填することができる。エアロゾル形成基材は、エアロゾル発生物品又は喫煙物品の一部とすることが便利である。
【0012】
エアロゾル形成基材は、ニコチンを含むことができる。エアロゾル形成基材は、タバコを含むことができ、例えば、揮発性タバコ香味化合物を含有するタバコ含有材料を含むことができ、揮発性タバコ香味化合物は、加熱によってエアロゾル形成基材から放出される。好ましい実施形態において、エアロゾル形成基材は、例えば、キャストリーフタバコのような均質なタバコ材料を含むことができる。
【0013】
本明細書で用いる時に、「エアロゾル発生デバイス」は、エアロゾル形成基材と相互作用してエアロゾルを発生するデバイスに関する。エアロゾル形成基材は、例えば、喫煙物品の一部であるエアロゾル発生物品の一部を形成することができる。エアロゾル発生デバイスは、電源からエアロゾル形成基材へエネルギを供給してエアロゾルを発生するのに使用する1つ又はそれよりも多くの構成要素を含むことができる。
【0014】
エアロゾル発生デバイスは、加熱器を含むエアロゾル発生デバイスである加熱式エアロゾル発生デバイスとして説明することができる。加熱器は、好ましくは、エアロゾル発生物品のエアロゾル形成基材を加熱してエアロゾルを発生させるのに使用する。
【0015】
エアロゾル発生デバイスは、電力によって作動する加熱器を含むエアロゾル発生デバイスである電気加熱式エアロゾル発生デバイスとすることができ、加熱器は、エアロゾルを発生させるためにエアロゾル発生物品のエアロゾル形成基材を加熱する。エアロゾル発生デバイスは、ガス加熱式エアロゾル発生デバイスとすることができる。エアロゾル発生デバイスは、喫煙デバイスとすることができ、喫煙デバイスは、エアロゾル発生物品のエアロゾル形成基材と相互作用して、ユーザの口腔を通してユーザの肺に直接吸入可能なエアロゾルを形成する。
【0016】
好ましい実施形態において、エアロゾル発生物品の形状は、実質的に円柱とすることができる。エアロゾル発生物品は、実質的に細長くすることができる。エアロゾル発生物品は、長さ及びこの長さと実質的に垂直な周囲を有することができる。エアロゾル発生物品の全長は、約30mmから約100mmとすることができる。エアロゾル発生物品の外径は、約5mmから約12mmとすることができる。
【0017】
エアロゾル形成基材の形状は、実質的に円柱とすることができる。エアロゾル形成基材は、実質的に細長くすることができる。また、エアロゾル形成基材は、長さ及びこの長さと実質的に垂直な周囲を有することができる。エアロゾル形成基材は、エアロゾル形成基材の長さをエアロゾル発生デバイス内の空気流の方向と実質的に平行にするように、エアロゾル発生デバイスに受け入れることができる。
【0018】
エアロゾル形成基材は、固体エアロゾル形成基材とすることができる。代わりに、エアロゾル形成基材は、固体成分及び液体成分の両方を含むことができる。エアロゾル形成基材は、加熱によって基材から放出される揮発性タバコ香味化合物を含むタバコ含有材料を含むことが好ましい。代わりに、エアロゾル形成基材は非タバコ材料を含むことができる。更に、エアロゾル形成基材は、エアロゾルフォーマを含むことができる。エアロゾルフォーマの適切な例は、グリセリン及びプロピレングリコールである。
【0019】
エアロゾル形成基材が固体エアロゾル形成基材であれば、固体エアロゾル形成基材は、例えば、粉体、顆粒、ペレット、破片、スパゲティ、ストリップ、又はシートのうちの1つ又はそれよりも多くを含むことができ、これらは、ハーブ葉、タバコ葉、タバコ茎の断片、再構成タバコ、均質化タバコ、押出しタバコ、及び膨張タバコのうちの1つ又はそれよりも多くを含むことができる。固形エアロゾル形成基材は、容器に入っていない形態とするか、又は適切な容器又はカートリッジ内に提供することができる。例えば、エアロゾル形成基材のエアロゾル形成材料は、紙又は他のラッパーの内部に収容することができ、かつプラグの形態を有する。エアロゾル形成基材がプラグの形態である時に、何らかのラッパーを含むプラグ全体は、エアロゾル形成基材と考えられる。
【0020】
任意的に、固形エアロゾル形成基材は、エアロゾル形成基材の加熱によって放出される追加のタバコ又は非タバコ揮発性香味化合物を含有することができる。また、固形エアロゾル形成基材は、例えば、追加のタバコ又は非タバコ揮発性香味化合物を含むカプセルを含むことができ、このカプセルは、固形エアロゾル形成基材の加熱時に融けることができる。
【0021】
任意的に、固形エアロゾル形成基材は、熱的に安定した担体上に設けるか又はそれに組み込むことができる。担体は、粉体、顆粒、ペレット、破片、スパゲティ、ストリップ、又はシートの形態とすることができる。固形エアロゾル形成基材は、例えば、シート、発泡体、ゲル、又はスラリの形態で担体表面に堆積させることができる。固形エアロゾル形成基材は、担体の全表面に堆積させるか、又はその代わりに使用中の香味送出を不均一にするように形成されたパターンで堆積させることができる。
【0022】
一実施形態において、エアロゾル発生物品の全長は、約45mmである。エアロゾル発生物品の外径は、約7mmとすることができる。更に、エアロゾル形成基材の長さは、約10mmとすることができる。代わりに、エアロゾル形成基材の長さは、約12mmとすることができる。更に、エアロゾル形成基材の直径は、約5mmから約12mmとすることができる。
【0023】
マウスピースフィルタは、喫煙物品の下流端に位置付けられる。フィルタは、セルロースアセテートフィルタプラグとすることができる。一実施形態において、フィルタの長さは、約7mmであるが、約5mmから約12mmの長さを有する場合がある。エアロゾル発生物品は、エアロゾル形成基材の下流に位置付けられたスペーサ要素を含むことができる。
【0024】
本明細書で用いる時に、揮発性香味発生成分は、香味を与えるためにエアロゾル発生物品に追加されるあらゆる揮発性成分である。揮発性香味発生成分は、液体又は固体の形態とすることができる。揮発性香味発生化合物は、支持要素に結合されるか又はそうでなければこれに関連付けることができる。揮発性香味発生成分は、メントールとするか又はメントールを含有することができる。
【0025】
本明細書で用いる時に、用語「メントール」は、そのいずれの異性体であっても化合物2−イソプロピル−5−メチルシクロヘキサノールを意味する。メントールは、固体形態又は液体形態で使用することができる。固体形態では、メントールは、粒子又は顆粒として与えることができる。用語「固体メントール粒子」は、少なくとも約80重量%のメントールを含むあらゆる粒状又は粒子状の固体材料を説明するために用いることができる。
【0026】
好ましくは、各エアロゾル発生物品には、1.5g又はそれよりも多くの揮発性香味発生成分が含まれる。
【0027】
本明細書で用いる時に、用語「ロッド」は、実質的に円形、長円形、又は楕円形断面のほぼ円筒形の要素を表示するのに使用される。
【0028】
本明細書で用いる時に、用語「縦方向」は、ロッドの円柱軸に沿って又はこれと平行に延びる方向を指すのに使用される。
【0029】
用語「上流」及び「下流」は、エアロゾル発生物品の各要素又は各構成要素の相対位置を説明するために用いることができる。単純化のために、本明細書で用いる時に、用語「上流」及び「下流」は、エアロゾルがロッドを通って吸い込まれる方向を基準としたエアロゾル発生物品のロッドに沿った相対位置を意味するのに使用される。
【0030】
一般的なエアロゾル発生物品におけるエアロゾル形成基材とマウスピースフィルタの間の間隔は、一般的に、マウスピースフィルタの長さよりも大きい。エアロゾル発生デバイスのこの中間部分は、一般的に自由空間の大きい割合を占め、自由空間内でエアロゾルが形成され、自由空間内に揮発性香味料が分散させることができる。この部分内に充填することができる香味発生成分の量は、フィルタ内に充填することができるそれよりも多いことが有利である。
【0031】
揮発性香味発生成分をエアロゾル形成基材とマウスピースフィルタの間に配置することにより、揮発性香味発生成分は、これら両方の構成要素へ同じ程度に浸透し、香味がフィルタ内に位置付けられる場合に考えられるよりも多くがエアロゾル形成基材に浸透する。物品の内部への香味料の充填可能性がより多いこと及びエアロゾル形成基材により近いことの組合せは、エアロゾル形成基材を浸透する香味料の合計量が、メントールをフィルタに充填した場合に考えられるよりも有利に多いことを意味する。有利な態様において、香味は、エアロゾル形成基材とマウスピースフィルタの間に位置付けられた物品の構成要素にも浸透することができる。
【0032】
消費中に、エアロゾル形成基材へ浸透した揮発性香味発生成分は、充填量が多いために長期間継続することができる。更に、ロッド内及びマウスピースフィルタへ浸透した揮発性香味発生成分が相対的に高いレベルで存在することにより、結果として香味は、ユーザが物品を完全に消費するまで存続することができる。
【0033】
揮発性香味発生成分は、繊維性支持要素に結合することができる。繊維性支持要素は、香味発生成分を位置付け、保持し、又は維持するためのあらゆる適切な基材又は支持体とすることができる。繊維性支持要素は、例えば、紙支持体とすることができる。そのような紙支持体に液体メントールのような液体成分を飽和させることができる。繊維性支持要素は、例えば、より糸又は編み糸とすることができる。そのようなより糸又は編み糸は、液体メントールのような液体成分を飽和することができる。代わりに、そのようなより糸又は編み糸は、固体香味発生成分に通すか又はそうでなければこれに結合することができる。例えば、メントールの固体粒子は、より糸に結合することができる。
【0034】
好ましくは、複数の要素は、ロッドを形成するためにラッパー内で組み立てられる。適切なラッパーは、当業者に公知である。好ましくは、揮発性香味発生成分は、より糸又は編み糸のような細長い繊維性支持要素によって支持される。好ましくは、揮発性香味発生成分は、ロッド内でラッパーの内面から半径方向内方に配置され、繊維性支持要素は、ロッドの縦軸線と実質的に平行に配置された縦方向寸法を有する。エアロゾル形成基材とマウスピースフィルタの間の中間部分がラッパー内に封入される場合に、この部分は、保ち得る香味発生成分を入れる空洞として有効である。香味発生成分は、物品から出るためにエアロゾル形成基材を通過するか又はマウスピースフィルタを通過するかのいずれかが必要である。これらの要素のいずれかを通過する時に、一部の香味が保たれる。従って、所定量の揮発性香味発生成分の有効性は、成分を物品内でエアロゾル形成基材とマウスピースフィルタの間に配置した時よりも大きくすることができる。
【0035】
エアロゾル発生物品が含む低抵抗支持要素は、マウスピースの上流かつエアロゾル形成要素の下流に位置付けることが有利な場合がある。低抵抗支持要素は、ロッド内で揮発性香味発生成分を位置付けるために少なくとも1つの縦方向延在チャネルを含む。消費される時に、ユーザは、マウスピースフィルタを吸引することによって物品から空気を吸い込む。物品内で発生したエアロゾルは、マウスピースを通過してユーザによって吸入される。エアロゾル形成基材とマウスピースフィルタとの間での空気及びエアロゾルの通過は、大きい抵抗を受けないことが望ましい。換言すれば、エアロゾル形成基材とマウスピースフィルタの間の圧力低下は小さいことが望ましい。従って、香味発生成分のための支持要素は、低抵抗支持要素と呼ぶことができ、そのように呼べるのは、揮発性香味発生成分のための支持要素がロッドの縦方向に沿った空気の通過に与える吸い込みに対する低抵抗と呼べる抵抗が低い時である。吸い込みに対する抵抗(RTD)は、22℃及び101kPa(760トル)での17.5ml/秒の流量の試験の下で物体の全長に空気を押し通すのに必要な圧力である。RTDは、一般的にmmH2Oの単位で表され、ISO 6565:2011に従って測定される。
【0036】
揮発性香味発生成分が細長い繊維性支持体に結合され、細長い繊維性支持体は、チャネルによって低抵抗支持要素内に位置付けられることが有利である。場合によっては、細長い繊維性支持体を収容する低抵抗支持要素を形成し、次にこの支持要素をエアロゾル発生物品の構成要素として使用することができる。
【0037】
低抵抗支持要素は、複数の縦方向延在チャネルを含むことができる。低抵抗支持要素の多孔率は、縦方向で50%から90%とすることができる。
【0038】
低抵抗支持要素内の複数の縦方向延在チャネルは、シート材料を処理することによって形成することができる。処理には、チャネルを形成するためのしわ付け、ひだ付け、ギャザー付け、又は折り畳みから構成されるリストから選択した1つ又はそれよりも多くの処理が含まれる。
【0039】
複数の縦方向延在チャネルは、複数のチャネルを形成するためにしわ付け、ひだ付け、ギャザー付け、又は折り畳まれた単一のシートによって形成することができる。これに代えて、複数の縦方向延在チャネルは、複数のチャネルを形成するためにしわ付け、ひだ付け、ギャザー付け、又は折り畳まれた複数のシートによって形成することができる。複数の縦方向延在チャネルは、複数のチャネルを形成するためにひだ付け、ギャザー付け、又は折り畳まれた単一のシートによって形成することができる。また、シートは、しわ付けすることができる。
【0040】
本明細書で用いる時に、用語「シート」は積層要素を表し、その幅及び長さはその厚みよりも実質的に大きい。
【0041】
本明細書で用いる時に、用語「縦方向」は、ロッドの縦軸線に沿って又はこれと平行に延びる方向を指す。
【0042】
本明細書で用いる時に、用語「しわ付け」は、複数の実質的に平行な隆起又は波形を有するシートを表している。好ましくは、エアロゾル発生物品を組み立てた時に、実質的に平行な隆起又は波形は、ロッドに関して縦方向に延びる。
【0043】
本明細書で用いる時に、用語「ギャザー付け」、「ひだ付け」、又は「折り畳み」は、シート材料が、ロッドの実質的に縦軸線と交差して巻き込まれ、折り畳まれ、又はそうでなければ圧縮又は締め付けされることを表している。シートは、ギャザー付け、ひだ付け、又は折り畳む前にしわ付けすることができる。シートは、しわ付けせずにギャザー付け、ひだ付け、又は折り畳むことができる。
【0044】
低抵抗支持要素の全表面積は、mm長さ当たり300mm2からmm長さ当たり1000mm2である。低抵抗支持要素は、物品内部のエアロゾルを冷やす熱交換器として機能することができる。これに代えて、低抵抗支持要素は、エアロゾル冷却要素と呼ぶことができる。
【0045】
低抵抗支持要素を通る空気流は、隣接するチャネル間で実質的な程度に偏位しないことが好ましい。換言すれば、低抵抗支持要素を通る空気流は、実質的な半径方向の偏位がなく、縦方向チャネルに沿った縦方向であることが好ましい。一部の実施形態において、低抵抗支持要素は、縦方向延在チャネルを除いて多孔率が低く、又は実質的に孔を持たない材料から形成される。すなわち、例えば、しわ付き又はギャザー付きシートである縦方向延在チャネルを定めるか又は形成するのに使用する材料は、多孔率が低く又は実質的に孔を持たない。
【0046】
一部の実施形態において、低抵抗支持要素は、金属箔、ポリマーシート、及び実質的に孔なしの紙又は厚紙を含む群から選択されたシート材料を含むことができる。一部の実施形態において、低抵抗支持要素は、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ乳酸(PLA)、セルロースアセテート(CA)、でんぷん系コポリエステル、及びアルミニウム箔から構成される群から選択されたシート材料を含むことができる。
【0047】
消費後に、エアロゾル発生物品は、典型的には廃棄される。喫煙物品を形成する要素は、生物分解性であることが有利である。従って、エアロゾル冷却要素は、生物分解性材料、例えば、孔なし紙、又はポリ乳酸のような生物分解性ポリマー、又はある等級のMater−Bi(登録商標)(市販のでんぷん系コポリエステルの族)から形成することが有利である。一部の実施形態において、エアロゾル発生物品全体が生物分解性又は堆肥化可能である。
【0048】
一部の実施形態において、低抵抗支持要素は、厚みが約5マイクロメートルから約500マイクロメートルの間、例えば、約10マイクロメートルから約250マイクロメートルの間である材料から形成することができる。一部の実施形態において、低抵抗支持要素の全表面積は、ミリメートル長さ当たり300平方ミリメートル(mm2/mm)からミリメートル長さ当たり1000平方ミリメートル(mm2/mm)である。換言すれば、縦方向の1ミリメートルに対して低抵抗支持要素は、表面積が約300平方ミリメートルから約1000平方ミリメートルである。好ましくは、全表面積は、mm当たり約500mm2/mmである。
【0049】
低抵抗支持要素は、比表面積が、ミリグラム当たり10平方ミリメートル(mm2/mg)からミリグラム当たり100平方ミリメートルである(mm2/mg)である材料から形成することができる。一部の実施形態において、比表面積は、約35mm2/mgとすることができる。
【0050】
比表面積は、既知の幅及び厚みを有する材料を考慮して決定することができる。例えば、材料は、平均厚みが50マイクロメートルであって変動が±2マイクロメートルであるPLA材料とすることができる。また、材料の幅が例えば約200ミリメートルから約250ミリメートルとして既知である時に、比表面積及び密度は、計算することができる。
【0051】
低抵抗支持要素は、揮発性香味発生成分と直接結合するか又はそれで飽和することができる。
【0052】
一部の実施形態において、フェノール化合物は、低抵抗支持要素を形成する材料との相互作用によって除去することができる。例えば、フェノール化合物(例えば、フェノール及びクレゾール)は、低抵抗支持要素を形成する元になる材料によって吸収することができる。
【0053】
上述したように、低抵抗支持要素は、ひだ付け、ギャザー付け、又は折り畳まれた適切な材料のシートから複数の縦方向延在チャネルを形成する要素へと形成することができる。そのような要素の断面プロフィールは、ランダムに向いたチャネルを示す場合がある。低抵抗支持要素は、他の手段によって形成することができる。例えば、低抵抗支持要素は、縦方向延在チューブの束から形成することができる。低抵抗支持要素は、適切な材料の押出し、成形、積層化、又は射出によって形成することができる。
【0054】
低抵抗支持要素は、縦方向延在チャネルを収容するか又は位置付ける外側チューブ又はラッパーを含むことができる。例えば、ひだ付け、ギャザー付け、又は折り畳まれたシート材料は、ラッパー材料、例えば、プラグラッパー内に包んでエアロゾル冷却要素を形成することができる。一部の実施形態において、低抵抗支持要素は、ロッド形状にギャザー付けされ、かつラッパー、例えば、濾紙のラッパーによって結び付けられたしわ付き材料のシートを含むことができる。好ましくは、揮発性香味発生成分は、低抵抗支持要素内に支持要素が形成される時に組み込まれる。例えば、香味発生成分と結合されるか又はこれで飽和されたより糸は、支持要素のチャネル内にチャネルが形成される時に堆積される。
【0055】
一部の実施形態において、低抵抗支持要素は、長さが約7ミリメートル(mm)から約28ミリメートル(mm)のロッド形状に形成することができる。例えば、低抵抗支持要素の長さは、約18mmとすることができる。一部の実施形態において、低抵抗支持要素は、断面が実質的に円形であり、直径が約5mmから約10mmとすることができる。例えば、低抵抗支持要素の直径は、約7mmすることができる。
【0056】
好ましくは、エアロゾル発生物品は、揮発性香味発生成分の上流かつエアロゾル形成基材の下流にスペーサ要素を含む。スペーサ要素は、エアロゾル形成基材を位置付けるのを助けることができる。スペーサ要素は、実質的に管状であって自由空間を与えることができ、自由空間の内部にエアロゾルを形成可能であり、自由空間内に揮発性香味料を浸透可能である。スペーサ要素には、香味が浸透され、物品の消費中にユーザの香味体験に寄与する。
【0057】
1つの態様において、低抵抗支持要素を設けることができる。低抵抗支持要素は、揮発性香味発生成分を含み、かつエアロゾル発生物品の構成要素として使用することができる。低抵抗支持要素は、エアロゾル発生物品に関連して上述した低抵抗支持要素のいずれかとすることができる。
【0058】
1つの態様において、低抵抗支持要素を製造する方法を提供する。本方法は、シート材料を複数の縦方向延在チャネルを有する要素へと形成する段階を含み、成形段階は、シート材料のしわ付け、ひだ付け、ギャザー付け、及び折り畳みから構成されるリストから選択された1つ又はそれよりも多くの処理を含む。本方法は、次に、要素を所望長さに切断する段階を含む。揮発性香味発生成分は、形成中に支持要素内に組み込まれる。好ましくは、揮発性香味発生成分に結合された細長い繊維性支持体は、シート材料の形成段階中に縦方向延在チャネルのうちの1つの内部に同時に堆積される。本方法は、エアロゾル発生物品に関連して上述したいずれかの方法とすることができる。
【0059】
ここで、特定の実施形態を図面を参照して以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0060】
図1】エアロゾル発生物品の第1の実施形態の概略断面図である。
図2】エアロゾル発生物品の第2の実施形態の概略断面図である。
図3A】エアロゾル冷却要素の縦方向多孔率を計算するのに使用することができるしわ付きシート材料及びロッドの寸法を例示する図である。
図3B】エアロゾル冷却要素の縦方向多孔率を計算するのに使用することができるしわ付きシート材料及びロッドの寸法を例示する図である。
図3C】エアロゾル冷却要素の縦方向多孔率を計算するのに使用することができるしわ付きシート材料及びロッドの寸法を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0061】
図1は、エアロゾル発生物品10の実施形態を例示している。エアロゾル発生物品10は、4つの要素、すなわち、エアロゾル形成基材20、中空セルロースアセテートチューブ30、メントール入りより糸45を支持する低抵抗支持要素40、及びマウスピースフィルタ50を含む。これら4つの要素は、順番にかつ同軸アラインメントに配置され、シガレットペーバ60によって組み立てられてロッド11を形成する。ロッド11は、ユーザが使用中に彼又は彼女の口腔内に挿入する唇側端部12と、ロッド11に対して唇側端部12とは反対側に位置付けられた遠位端13とを有する。唇側端部12と遠位端13の間に位置付けられた各要素は、唇側端部12の上流又はこれに代えて遠位端13の下流と説明することができる。図1に例示した実施形態は、エアロゾル形成基材を加熱するための加熱器を含むエアロゾル発生デバイスでの使用に特に適している。
【0062】
組み立てた時に、ロッド11は、長さが約45ミリメートル、外径が約7.2ミリメートル、内径が約6.9ミリメートルである。
【0063】
エアロゾル形成基材20は、中空チューブ30の上流に位置付けられてロッド11の遠位端13まで延びる。エアロゾル形成基材20は、プラグを形成するように濾紙(図示しない)内に包まれたしわ付きのキャストリーフタバコの束を含む。キャストリーフタバコは、エアロゾル形成添加物としてのグリセリンを含む添加物を含む。
【0064】
チューブ30は、エアロゾル形成基材20のすぐ下流に位置付けられ、セルロースアセテートから形成される。チューブ30の1つの機能は、エアロゾル形成基材20が加熱要素と接触することができるようにエアロゾル形成基材20をロッド11の遠位端13に向けて位置付けることである。中空チューブ30は、加熱要素がエアロゾル形成基材20内へ挿入された時に、エアロゾル形成基材20がロッド11に沿って低抵抗支持要素40に向けて押されるのを防止するように作用する。また、中空チューブ30は、低抵抗支持要素40をエアロゾル形成基材20から離間させるスペーサ要素として作用する。
【0065】
低抵抗支持要素40は、長さが約18mm、外径が約7.1mm、内径が約6.9mmである。低抵抗支持要素40は、厚みが50mm±2mmのポリ乳酸のシートから形成される。ポリ乳酸のシートは、低抵抗支持要素40の長さに沿って延びる複数のチャネルを形成するようにしわが付けられかつギャザー付けされる。要素を形成するために、ポリ乳酸のシートは、しわ付けローラを通って送られて縦方向のひだ又はしわを形成する。しわ付きシートは、次に、ギャザー付けされて複数の縦方向に延びるチャネルを有する円筒を形成する。支持要素40の形成中に、メントール入りより糸45をしわ付きシートに縦方向のしわと平行に堆積させる。従って、メントール入りより糸45は、支持要素40の縦方向チャネル内にチャネルが形成される時に組み込まれる。メントール入りより糸45には、1.5mgよりも多いメントールを要素40へ充填するために十分な量のメントールが充填されることになる。
【0066】
低抵抗支持要素40の全表面積は、8000mm2から9000mm2であり、これは、mm長さ当たり約500mm2と同等である。低抵抗支持要素40の比表面積は、約2.5mm2/mgであり、低抵抗支持要素40の多孔率は、縦方向で60%から90%である。
【0067】
本明細書では、多孔率は、本明細書に説明したものと矛盾しないエアロゾル冷却要素を含むロッド内の詰まっていない空間の尺度として定義される。例えば、ロッド11の直径の50%が低抵抗支持要素40によって詰まっていなければ、多孔率は50%になる。同様に、ロッドの多孔率は、内径が全く詰まっていなければ100%になり、完全に詰まっていれば0%になる。多孔率は、公知の方法を用いて計算することができる。
【0068】
多孔率をどのように計算するかを示す典型例は、本明細書に説明され、図3A図3B、及び図3Cに例示されている。厚みがtで幅がwのシート材料1110から低抵抗支持要素を形成する時に、シート材料1110の縁部1100が与える断面積は、幅と厚みの積で与えられる。厚みが50マイクロメートル(±2マイクロメートル)で幅が230ミリメートルのシート材料の特定の実施形態において、断面積は、約1.15×10-52である(これは第1の面積で表すことができる)。図3Aに例示された典型的なしわ付き材料は、図示の厚み及び幅を有する。また、例示された典型的なロッド1200の直径はdである。ロッドの内側面積1210は、式(d/2)2πによって与えられる。材料を最終的に封入するロッドの内径を6.9mmと仮定すれば、詰まっていない空間の面積は、約3.74×10-52として計算することができる(これは第2の面積で表すことができる)。
【0069】
縦方向の多孔率が高くなれば、要素の抵抗は低くなる。
【0070】
マウスピースフィルタ50は、セルロースアセテートから形成された従来のマウスピースフィルタであり、長さは約45ミリメートルである。
【0071】
上述したように識別した4つの要素は、シガレット紙60内に緊密に包むことによって組み立てられる。この特定の実施形態におけるシガレット紙60は、標準的特性を有する従来のシガレット紙である。シガレット紙60と各々の要素の間の干渉が、各要素を位置付けし、かつエアロゾル発生物品10のロッド11を形成する。
【0072】
上述して図1に例示した特定の実施形態は、シガレット紙内に組み立てられた4つの要素を含むが、エアロゾル発生物品の要素は、より多く又はより少なくすることができることは明らかである。
【0073】
製造後の貯蔵時に、メントール入りより糸45からメントール蒸気が放出される。この蒸気は、エアロゾル発生物品10内を自由に移動する。このメントール蒸気は、エアロゾル形成基材20を浸透する。また、メントール蒸気は、中空チューブ30及びマウスピースフィルタ50を浸透する。
【0074】
図1に例示したエアロゾル発生物品10は、消費されるようにエアロゾル発生デバイス(図示しない)と係合されるように設計される。そのようなエアロゾル発生デバイスは、エアロゾル形成基材20をエアロゾルを形成するのに十分な温度まで加熱するための手段を含む。典型的に、エアロゾル発生デバイスは、エアロゾル形成基材20に隣接してエアロゾル発生物品10を取り囲む加熱要素、又はエアロゾル形成基材20内に挿入される加熱要素を含む。
【0075】
エアロゾル発生デバイスと係合した状態で、ユーザは、喫煙物品10の唇側端部12を吸引し、エアロゾル形成基材20は約375℃に加熱される。この温度で、揮発性化合物がエアロゾル形成基材20から放出される。メントール香味料を含むこれらの化合物は、凝縮してエアロゾルを形成する。エアロゾルは、ロッド11を通ってユーザの口腔に向けて吸い込まれる。
【0076】
エアロゾルがロッド11を通って吸い込まれる時に、中空チューブ30、メントール入りより糸45、及びマウスピースフィルタ50内へ浸出したメントール香味料はまた、エアロゾルに取り込まれて消費者のために香味体験を与える。
【0077】
図2は、エアロゾル発生物品の第2の実施形態を例示している。図1の物品はエアロゾル発生デバイスと併せて消費するように意図していたが、図2の物品は、吸入可能なエアロゾルを形成するために着火可能であって熱をエアロゾル形成基材20へ伝達可能である可燃性熱源80を含む。可燃性熱源80は、ロッド11の遠位端13でエアロゾル形成基材の近くに組み立てられたチャコール要素である。図2の物品10は、空気がロッド11内へ流入し、かつユーザによって吸入される前にエアロゾル形成基材20を通って循環することを可能にするように設計される。図1の要素と基本的に同じ要素には、同じ付番が与えられている。
【0078】
上述の例示的な実施形態は、限定ではない。上述の例示的な実施形態に鑑みると、上述の例示的な実施形態と矛盾しない他の実施形態がここで当業者に明らかであろう。
【符号の説明】
【0079】
10 エアロゾル発生物品
20 エアロゾル形成基材
30 中空チューブ
40 低抵抗支持要素
45 メントール入りより糸
図1
図2
図3A
図3B
図3C