特許第5771341号(P5771341)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5771341
(24)【登録日】2015年7月3日
(45)【発行日】2015年8月26日
(54)【発明の名称】軌陸両用車の軌道地固め機
(51)【国際特許分類】
   E01B 27/20 20060101AFI20150806BHJP
   B60F 1/04 20060101ALI20150806BHJP
   B61D 15/00 20060101ALI20150806BHJP
【FI】
   E01B27/20
   B60F1/04
   B61D15/00 B
【請求項の数】7
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-7663(P2015-7663)
(22)【出願日】2015年1月19日
【審査請求日】2015年2月2日
(31)【優先権主張番号】特願2014-12447(P2014-12447)
(32)【優先日】2014年1月27日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000196587
【氏名又は名称】西日本旅客鉄道株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】503257848
【氏名又は名称】芝浦エレテック株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】594183831
【氏名又は名称】伊岳商事株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081558
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 晴男
(72)【発明者】
【氏名】武市 信彦
(72)【発明者】
【氏名】小松 章胤
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 正士
(72)【発明者】
【氏名】三浦 亮
(72)【発明者】
【氏名】古山 忠章
【審査官】 竹村 真一郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−017636(JP,A)
【文献】 特開平07−216805(JP,A)
【文献】 特開平09−003803(JP,A)
【文献】 特開昭49−072812(JP,A)
【文献】 特開昭51−102808(JP,A)
【文献】 特開平09−302602(JP,A)
【文献】 実開平02−144001(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01B 27/00−37/00
B60F 1/04
B61D 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軌陸両用車の荷台に搭載される軌道地固め機であって、
前記軌道地固め機は、前記荷台を跨ぐように設置されて昇降シリンダーによって昇降駆動される車輪支持用架台と、前記車輪支持用架台に取り付けられていてこれと一体に上下動する加振装置及びレールクランプ機構とから成り、
前記加振装置は、1つのケース内に不釣合錘を備えた起振軸が2本平行に配設され、前記2本の起振軸は互いに逆方向に同速回転駆動されるものであり、前記起振軸には前記不釣合錘が2つ取り付けられ、2つの前記不釣合錘の相対角度が手動又は自動で調整可能にされることで、加振力の調整が可能であることを特徴とする軌陸両用車の軌道地固め機。
【請求項2】
前記車輪支持用架台は左右一対の側枠を備え、前記各側枠の前部及び後部の下端に前記加振装置を支持する車輪が備え付けられ、前記各側枠の前部及び後部に前記レールクランプ機構が配設される、請求項1に記載の軌陸両用車の軌道地固め機。
【請求項3】
前記加振装置は左右に一対配備され、それぞれ前記各側枠に設置された吊下軸によって支持される、請求項2に記載の軌陸両用車の軌道地固め機。
【請求項4】
前記加振装置は前記吊下軸によって垂直方向に傾斜可能に支持されて、垂直方向及び水平方向に加振可能である、請求項3に記載の軌陸両用車の軌道地固め機。
【請求項5】
前記レールクランプ機構は、それぞれ一対のクランプアームと前記クランプアームを駆動するクランプ用シリンダーとを備え、前記一対のクランプアームは、前記車輪支持用架台の上昇時において前記クランプ用シリンダーの作用で開き、前記車輪支持用架台の下降時において前記クランプ用シリンダーの作用で閉じてレールをクランプするよう動作する、請求項1乃至4のいずれかに記載の軌陸両用車の軌道地固め機。
【請求項6】
前記レールクランプ機構は、前記吊下軸よってレールと直交方向に回動可能に支持されるクランプ部フレームを含み、前記一対のクランプ用シリンダーは、前記クランプ部フレームに設置された一対のシリンダー取付杆の下端において枢支される、請求項に記載の軌陸両用車の軌道地固め機。
【請求項7】
前記レールクランプ機構は絶縁構造とされる、請求項1乃至のいずれかに記載の軌陸両用車の軌道地固め機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軌陸両用車の軌道地固め機に関するものであり、より詳細には、軌陸両用車に搭載されて、鉄道線路敷設道床の新設線、道床交換、設備交換等の道床工事後の初期沈下を促進し、軌道稼働時の沈下を抑制するために行う地固め工事に使用する軌陸両用車の軌道地固め機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
上記軌道地固め機は、レールとまくらぎを介して道床に加振して、バラスト密度を高めるためのものである。従来より軌道地固め機(加振装置)を備えた車両は存在していたが、それらは専ら軌道走行用のものであって、一般道路走行ができないため、踏切等の載線個所に輸送し、そこにおいて載線させるという手間のかかる作業が不可欠であった。
【0003】
また、従来用いられている加振式地固め装置における加振機構は、例えば、図10に示されるように、両端部にレール101上に乗るホイール部202を設けた回転胴201内に、不釣合錘204を固定した起振軸203を配して軸支させ、起振軸203を駆動モータ205で回転駆動することにより、振動を発生させる構成のものである。かかる機構において、回転胴201内において発生する振動エネルギーを、レール及びまくらぎを介して間接的にバラストに伝達することで、加振作業を連続的に行うことが可能となる。
【0004】
しかし、かかる機構の場合、不釣合錘204の回転に伴って発生する振動は、全ラジアル方向への圧力となるので、特にレール101の長さ方向に対して、回転胴201(ホイール部202)の摺動動作が生じ、回転胴201とレール101の局部的な摩耗が発生する。それにより、回転胴201の円滑な回転による軌道上の移動が損なわれるだけでなく、レール101の局部摩耗に伴い、列車の走行時に騒音が発生すると共に、乗り心地に悪影響が及ぶという問題が起こる。
【0005】
そして、レール101の局部摩耗により、列車通過時に衝撃が発生し、これがレール101にダメージを与えると共に、列車の車輪にもダメージを与えることになる。また、この加振機構の場合は1つの回転胴によって加振するため、起振軸203を含めた不釣合錘204自体の慣性モーメントが大きなものとなるので、これを所定の回転数に立ち上げるために、かなり大きな回転駆動力が必要となっていた。
【0006】
更に、加振式地固め装置においては、その振動伝達に当たり、2本のレールで構成されるレール面に垂直な方向に加振する場合は、レールをクランプすることなくレールに振動を伝達することができるが、レール面に平行な方向(水平方向)に加振する場合、あるいは、レール面に平行な方向への加振分力がある加振の振動伝達の場合は、何らかのクランプ手段によってレールをクランプし、そのクランプ手段を介してレールに振動を伝達する必要がある。
【0007】
例えば、そのクランプ手段として、フランジ付きの車輪で軌間の内側からレールを押し、軌間外からローラーでレールを押すことでレールをクランプする方法が採られていた。しかるに、この方法による場合は、軌間内に位置する車輪のフランジが常にレールに接触していることが必要であり、スラック等によって軌間寸法に変動が生じた場合においても、車輪のフランジが、常にその変動に追従してレールに接触し続けることが要請される。そして、この要請に応え、レールと車輪のフランジとの接触を確実に行うためには、軌間内のレール頭部に倣うように車輪をレールに押し当てる伸縮機構が必要となり、また、加振装置を支える支持機構が必要となる。
【0008】
また、その場合、軌間内寸法に倣うために、油圧シリンダー等の伸縮機構によってレールに対して軌間内側から外方への張り出し力が加えられ、これを軌間外側からクランプローラーで押さえるが、その際、内側からの張り出し力によりレールに対して過大な負荷がかかるおそれがある。そして、それに伴い、軌間の値が変わることもあり得る。このような不都合を回避するために、車軸は複雑な構造とならざるを得ず、また、強度保持のための構造も必要となるという問題が生ずる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特許第3834116号
【特許文献2】特開2001−246325号
【特許文献3】特開2008−248650号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述したように、従来の加振装置を備えた車両は、専ら軌道走行用であったため、踏切等における載線作業が必要であり、また、従来の加振装置の場合は、レールの長さ方向に対して、回転胴の摺動動作が生じて回転胴とレールに局部的な摩耗が発生し、それにより、回転胴の円滑な回転が損なわれたり、レールの局部摩耗に伴って列車の走行時に騒音が発生し、乗り心地に悪影響が及ぶといった問題が起こっていた。
【0011】
更に、地固め装置によって道床に振動を与える際、レール面に平行な方向に加振する場合、あるいは、レール面に平行な方向への加振分力がある加振の振動伝達の場合は、レールをクランプし、そのクランプ手段を介してレールに振動を伝達する必要があるところ、従来のレールクランプ手段によった場合は、スラック等によって軌間寸法に変動が生じた場合にその変動に追従させるための伸縮機構と、加振装置を支える支持機構とが必要となり、車軸は、十分な強度を具備しなければならない関係もあって、複雑な構造とならざるを得なかった。
【0012】
そこで本発明は、軌陸両用車に搭載されることで、踏切等から直接載線可能となって機動性の向上を図ることができ、また、従来の加振装置における欠点であった、起振軸の回転に伴う回転胴とレールとの間の摺動動作を極力なくすことで、回転胴及びレールの局部摩耗の発生を防止し、以て、回転胴の円滑な回転を確保し、列車走行時における騒音の発生を防止すると共に乗り心地が悪化することを回避し、更に、列車通過時における衝撃がなくなることで、レール及び列車の車輪がダメージを受けることを回避することができ、また更に、起振軸を含めた不釣合錘の慣性モーメントを極力小さくすることができて、十分な起振力を得るために起振軸を所定の回転数に立ち上げるのに、さ程大きな回転駆動力を必要としない加振装置を備えた軌陸両用車の軌道地固め機を提供することを課題とする。
【0013】
また、本発明は、地固め工事における加振操作の際のレールのクランプを、伸縮機構を用いることなく、軌間寸法に変動が生じた場合に対応し得る態様にて行うことを可能にし、以て車軸を複雑な構造とすることを回避することができる軌陸両用車の軌道地固め機を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するための請求項1に記載の発明は、軌陸両用車の荷台に搭載される軌道地固め機であって、前記軌道地固め機は、前記荷台を跨ぐように設置されて昇降シリンダーによって昇降駆動される車輪支持用架台と、前記車輪支持用架台に取り付けられていてこれと一体に上下動する加振装置及びレールクランプ機構とから成り、前記加振装置は、1つのケース内に不釣合錘を備えた起振軸が2本平行に配設され、前記2本の起振軸は互いに逆方向に同速回転駆動されるものであり、前記起振軸には前記不釣合錘が2つ取り付けられ、2つの前記不釣合錘の相対角度が手動又は自動で調整可能にされることで、加振力の調整が可能であることを特徴とする軌陸両用車の軌道地固め機である。
【0015】
一実施形態においては、前記車輪支持用架台は左右一対の側枠を備え、前記各側枠の前部及び後部の下端に前記加振装置を支持する車輪が備え付けられ、前記各側枠の前部及び後部に前記レールクランプ機構が配設される。
【0016】
一実施形態においては、前記加振装置は左右に一対配備されて、それぞれ前記各側枠に設置された吊下軸によって支持されるようにされ、前記加振装置は前記吊下軸によって垂直方向に傾斜可能に支持されて、垂直方向及び水平方向に加振可能となる。
【0017】
また、一実施形態においては、前記レールクランプ機構は、それぞれ一対のクランプアームと前記クランプアームを駆動するクランプ用シリンダーとを備え、前記一対のクランプアームは、前記車輪支持用架台の上昇時において前記クランプ用シリンダーの作用で開き、前記車輪支持用架台の下降時において前記クランプ用シリンダーの作用で閉じてレールをクランプするよう動作することを特徴とする。また、前記レールクランプ機構は、前記吊下軸によってレールと直交方向に回動可能に支持されるクランプ部フレームを含み、前記一対のクランプ用シリンダーは、前記クランプ部フレームに設置された一対のシリンダー取付杆の下端において枢支される。好ましくは、前記レールクランプ機構は絶縁構造とされる。
【発明の効果】
【0018】
本発明は上述したとおりであって、本発明に係る軌陸両用車の軌道地固め機は、軌陸両用車に搭載されるために、踏切等から直接載線可能となって機動性の向上を図ることができ、また、車輪支持用架台に取り付けられていてこれと一体に上下動するレールクランプ機構及び加振装置とを備えているため、加振操作時にレールクランプ機構によりレールをクランプすることができ、以て、加振装置からの振動を、クランプ部フレーム、レールクランプローラ、レールの順に無駄なく伝達することが可能となり、最終的にはまくらぎを介して道床に伝達することが可能となる。そして、その際クランプ部フレームが回動可能であって、軌間の寸法の変動に追従するため、車輪・車軸の伸縮機構は不要となり、また、それによりレールに対して過大な負荷がかかることがなくなるため、スラックの既設定が地固め作業によって変動することが防止される効果がある。
【0019】
また、発明においては、加振装置は、1つのケース内に不釣合錘を備えた起振軸が2本平行に配設されて互いに逆方向に回転駆動されるものであるため、
2本の起振軸が同期状態となって同一位相で反対方向に回転することとなり、合成力が、2軸にて構成される平面に対して垂直方向に作用して大きな振動が得られる。また、起振力が2軸に分担されるため、慣性モーメントにおいて、同一の起振力を得る1軸のみでの場合と比べ、2軸合わせても小さい慣性モーメントとなり得る。よって、十分な起振力を得るべく起振軸を所定の回転数に立ち上げるために、さ程大きな回転駆動力を必要としないという効果がある。そして更に、加振装置が傾斜状態に設置されることにより、垂直方向及び水平方向に加振可能となって大きな振動が得られるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明に係る軌陸両用車の軌道地固め機を装備した軌陸両用車の全体構成を示す正面図である(軌道走行時)。
図2】本発明に係る軌陸両用車の軌道地固め機を装備した軌陸両用車のカバーを除去した状態の全体構成を示す正面図である(軌道走行時)。
図3】本発明に係る軌陸両用車の軌道地固め機を装備した軌陸両用車の全体構成を示す正面図である(作業時)。
図4】本発明に係る軌陸両用車の軌道地固め機の正面図である。
図5】本発明に係る軌陸両用車の軌道地固め機の側面図である。
図6】本発明に係る軌陸両用車の軌道地固め機の全体構成を示す概略構成図である。
図7】本発明に係る軌陸両用車の軌道地固め機におけるレールクランプ機構のクランプローラ部分の詳細図である。
図8】本発明に係る軌陸両用車の軌道地固め機における加振装置を示す横断面図である。
図9】本発明に係る軌陸両用車の軌道地固め機における加振装置を示す縦断面図である。
図10】本発明に係る軌陸両用車の軌道地固め機における加振装置の構成例を示す斜視図である。
図11】本発明に係る軌陸両用車の軌道地固め機における加振装置の他の構成例を示す斜視図である。
図12図11に示す加振装置の構成例の縦断面図である。
図13】従来の加振装置の構成を示す横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、本発明を実施するための形態について、図面に依拠して説明する。なお、以下の説明においては、車両の進行方向(レールの長さ方向)を前後方向とし、それに直交する方向を左右方向としてある。
【0022】
図1は、本発明に係る軌道地固め機11を搭載した軌陸両用車1の、軌道走行時における全体構成を示す図であり、図2はその外装カバー90及び内側カバー91を除去した状態を示すものである。この軌陸両用車1は、一般道路走行時に使用する前後一対のタイヤ2、3と、軌道走行時に使用する前後一対の軌道走行用車輪4、5と、軌道地固め機11の一部であって、地固め作業の際にレール101上に乗って車体を浮上させる役目を果たす前後一対の加振装置支持用車輪12、13とを備える。
【0023】
前側の軌道走行用車輪4は、軌陸両用車1の荷台8に設置された車輪引上げ用シリンダー6の作用で、一般道路走行時及び作業時には上方向に引き上げられて路面並びにレール101から浮上し(図3参照)、軌道走行時には下方に戻されてレール101上に乗る(図1、2参照)。また、後側の軌道走行用車輪5はボギー台車形態のもので、軌陸両用車1の荷台8に設置された図示せぬシリンダーによって昇降駆動され、一般道路走行時及び作業時には上方向に引き上げられて路面並びにレール101から浮上し(図3参照)、軌道走行時には下方に戻されてレール101上に乗る(図1、2参照)。図示された軌道走行用車輪5は、上昇時に90度転回する構成となっている。これらの軌道走行用車輪4、5は、自動車動力によって回転駆動される。
【0024】
加振装置支持用車輪12、13は、後述するように、地固め作業時に下降してレール101上に乗ることにより、軌陸両用車1を浮上させる。加振装置支持用車輪12、13として用いる車輪は、単に車軸にホイールを取り付けた、一般的なシンプルな構造のものである。通例、加振装置支持用車輪12、13は前輪駆動とされ、前側の加振装置支持用車輪12の車軸が、軌陸両用車1の荷台8上に配備される発電機9を駆動源とする、後出の前車輪駆動装置10によって回転駆動される。
【0025】
軌道地固め機11は、図4乃至図6に示されるように、前後の加振装置支持用車輪12、13を支持する車輪支持用架台22を有する。車輪支持用架台22は、左右に配置される倒コ字形状の側枠23、24を含んで構成され、各側枠23、24の前後の垂直杆がそれぞれ、加振装置支持用車輪12、13の車軸に連結される。即ち、各垂直杆の下端にそれぞれ軸受25が設置され、前側の軸受25、25間において前側の加振装置支持用車輪12の車軸が軸支され、後側の軸受25、25間において後側の加振装置支持用車輪13の車軸が軸支されるように構成される。
【0026】
また、前側の軸受25、25間に軸受25、25を連結する連結杆26が渡され、この連結杆26上に、前出の前車輪駆動装置10が設置される(図4、6参照)。
【0027】
各側枠23、24の前端部及び後端部の上面にそれぞれガイドポスト28、28a、29、29aが立設され、側枠23の前側のガイドポスト28と後側のガイドポスト28aの上端同士が、前後方向に伸びる連結杆30によって連結され、また、側枠24の前側のガイドポスト29と後側のガイドポスト29aの上端同士が、前後方向に伸びる連結杆30によって連結される。
【0028】
ガイドポスト28、28a、29、29aはそれぞれ、スライドガイド31、31a、32、32aに摺動自在に挿通されて、その上下動動作を支持される。前側のスライドガイド31、32は、軌陸両用車1の荷台8を横切るように渡される横梁33にブラケット35を介して設置され、後側のスライドガイド31a、32aは、同じく荷台8を横切るように渡される横梁34に、ブラケット36を介して設置される(図4、6参照)。横梁33、34は、それぞれ防振装置38を介して荷台8上に設置される。
【0029】
車輪支持用架台22は、軌陸両用車1の荷台8に左右一対設置されて同期動作する昇降シリンダー41、42によって昇降駆動される。即ち、下方向に延びる車輪昇降用シリンダー41、42のロッド下端が、それぞれ側枠23、24の前後方向に伸びる上辺の中間部に連結されることにより、側枠23、24は車輪昇降用シリンダー41、42の伸縮動作に伴って上下動し、以て、加振装置支持用車輪12、13がレール101に乗り、あるいは、レール101から浮上する。
【0030】
車輪昇降用シリンダー41、42は、防振機構38を介して荷台8を横切るように渡される横梁43に取り付けられる。この横梁43と上記スライドガイド31、31a、32、32aを支持する横梁33、34は、強度保持のために、その上面側が補強フレーム44によって連結される。
【0031】
本発明に係る軌道地固め機11は、車輪支持用架台22に設置されて車輪支持用架台22と一体に上下動し、下降時においてレールをクランプするレールクランプ機構51〜54と、レールクランプ時に起振し、レールクランプ機構51〜54を介してレール及び道床に振動を与える加振装置81、82とを備える。
【0032】
レールクランプ機構51〜54は4基、車輪支持用架台22の前後左右、即ち、各側枠23、24の前部及び後部に配設される。各レールクランプ機構51〜54は、側枠23、24に設置された吊下軸65、66によって回動可能に支持されるクランプ部フレーム55を有し、右側に位置するレールクランプ機構51、52のクランプ部フレーム55、55は、前後方向に伸びる上側連結杆56と下側連結材57とによって連結され、左側に位置するレールクランプ機構53、54は、やはり前後方向に伸びる上側連結杆56aと下側連結材57aとによって連結される。
【0033】
吊下軸65、66は、側枠23、24の水平杆の中間部に設置される一対の軸支部材67、68によって軸支される(特に図4参照)。吊下軸65、66の端部は、各クランプ部フレーム55に固定されている連結部材71に連結される。かくして、各クランプ部フレーム55、換言すれば、各レールクランプ機構51〜54は、吊下軸65、66を軸に、レール101と直交方向に回動可能となる(特に図5参照)。
【0034】
各クランプ部フレーム55の上面には横梁55aが設置され、その両端部にそれぞれシリンダー取付杆73、74が取り付けられ、各シリンダー取付杆73、74の下端にクランプ用シリンダー75、76が枢着される。クランプ用シリンダー75、76のロッド端は、クランプ部フレーム55の下端部に軸着された回動アーム77、78の端部に連結される。そして、回動アーム77、78の回動軸に、先端にクランプローラ79a、80aを備えたクランプアーム79、80が固定される。
【0035】
レール101とレール101の連結部分には、両レール101に跨るようにその側面に当接する継ぎ目板101aがあてがわれるが、加振しながらの走行中にクランプローラ79a、80aがこの継ぎ目板101aに当たるおそれがある。その場合は、クランプを開いて継ぎ目板101aに当たることを回避する必要があるが、クランプが開いた状態での加振では、当然加振が弱まることになる。また、クランプローラ79a、80aが、レール101の締結具のボルト101bに当たることを避ける必要もある。そこで、クランプローラ79a、80aの高さを調整し、且つ、クランプローラ79a、80aの周側面がレール101の側面に平行になるように、回動アーム77、78とクランプアーム79、80とを設計する必要がある(図7参照)。
【0036】
クランプ機構51〜54はこのような構成であって、レール非クランプ時には、車輪昇降用シリンダー41、42の縮動作に伴い、車輪支持用架台22と一体となって上昇し、その際クランプ用シリンダー75、76も縮動作をし、クランプアーム79、80は開いた状態となっている(図5の左半部参照)。そして、レールクランプ時には、上記非クランプ状態から、先ず、車輪昇降用シリンダー41、42が伸動作をして、クランプアーム79、80を、そのレールクランプ位置まで下降させる。
【0037】
そこで、クランプ用シリンダー75、76を伸動作させると、そのロッド端が回動アーム77、78の端部を押下して、回動アーム77、78を下方に回動させる。このようにして回動アーム77、78を下方に回動させると、その軸に固定されているクランプアーム79、80も一体となって下方に回動することによってクランプアーム79、80が閉じ、その下端のクランプローラ79a、80aがレール101を両側から挟持する(図5の右半部参照)。
【0038】
また、加振装置81、82は左右に一対配備され、それぞれレールクランプ機構51〜54のクランプ部フレーム55に横方向に設置された連結部材71、72に固定されている加振装置吊持部材83に、傾斜シリンダー84、84を介して取り付けられ、その下面が下側連結材57上に載せられて支持される。このように設置される加振装置81、82は、傾斜シリンダー84、84が縮状態にあるときには水平状態を維持し(図5の左半部参照)、その状態から傾斜シリンダー84、84が伸動作するに伴い、次第に傾斜状態となる(図5の右半部参照)。その傾斜動作は、下側連結材57によって支持される。
【0039】
本発明において用いる加振装置81、82としては、1つのケース100内に、一対の扇型の不釣合錘103、103aが対向状態に取り付けられた起振軸102、102aが2本平行に配設されて、それらの起振軸102、102aが互いに逆方向に回転駆動される構成のものが推奨される(図8、9参照)。その2本の起振軸102、102aの内の一方の起振軸102が駆動軸となり、他方の起振軸102aが被動軸となり、起振軸102と起振軸102aは、共に逆向きに同速回転駆動される。なお、図10〜12は起振軸102部分の構成を示すもので、便宜上一部の部品が省略され、また、各部品のサイズ関係は図8、9における場合と一致していないことに留意されたい。
【0040】
先ず、図8乃至10に示される加振装置81、82(第1実施例)について説明すると、起振軸102と起振軸102aはそれぞれ、長尺の中実軸106及び106aと、その一端部に被装される短尺の中空軸107及び107aとから成り、中空軸107及び107aはケース100の一方の側壁において軸支され、中実軸106及び106aは、その一端がケース100の他方の側壁において軸支され、他端が中空軸107及び107a内に臨み、そこにおいて軸支される。そして、一方の不釣合錘103が中実軸106及び106aの方に固定され、他方の不釣合錘103aが中空軸107及び107aの方に固定される。
【0041】
各不釣合錘103、103aには平歯車108a〜108dが背中合わせに設置され、起振軸102側の平歯車108a、108bがそれぞれ、起振軸102a側の平歯車108c、108dと噛合する。駆動側の起振軸102は、一端がケース100の側壁外に延出され、カップリング105を介して駆動モータ104の駆動軸に連結されることにより、直接回転駆動される。一方、被動側の起振軸102aには、互いに噛合し合う平歯車108a〜108dを介して回転駆動力が伝達される。
【0042】
好ましい実施形態においては、各起振軸102、102aにおいて、一方の不釣合錘103に対して、他方の不釣合錘103aが相対的に回動可能にされ、両者のなす角度(相対角度)の変更が可能にされる。このように不釣合錘103と不釣合錘103aの相対角度を変更可能にするということは、加振力の変更を可能にすることに他ならない。
【0043】
そのために、例えば、起振軸102の中実軸106の延長端に円板110が固定され、そこにおいて、軸方向に伸びるカサ歯車111の軸が軸支されると共に、このカサ歯車111に噛合するカサ歯車112を有し、その軸がウォーム113となっていて、カサ歯車111の軸に直交するウォーム軸が軸支される。また、中空軸107の端面に、ウォーム113に噛合するウォームホイール114が固定される。そして、不釣合錘103a、平歯車108b、中空軸107及びウォームホイール114は、中実軸106に対して回転可能となるように軸支される。一方、起振軸102aの側においても、不釣合錘103a、平歯車108d及び中空軸107aは、中実軸106aに対して回転可能となるように軸支される。
【0044】
この構成の場合、円板110の外側からカサ歯車111を回転操作すると、それに噛合するカサ歯車112が回転し、また、ウォーム113を介してウォームホイール114が回転し、それに一体の中空軸107も共に回転する。そして、中空軸107の回転は、それに固定されている平歯車108b及び不釣合錘103aに伝達されるが、不釣合錘103には伝達されない。その結果、不釣合錘103と不釣合錘103aとのなす角度(相対角度)が変更されることになる。また、この相対角度の変更は、平歯車108b、108dを介して、そのまま被動側の起振軸102aの不釣合錘103aにも伝達され、起振軸102a側においても、不釣合錘103と不釣合錘103aとのなす角度が同様に変更される。
【0045】
この構成において加振動作をする場合、駆動モータ104が作動することにより、それに直結されている中実軸106が回転駆動され、それに固定されている平歯車108a及び不釣合錘103が一体に回転し、また、平歯車108aに噛合している平歯車108c及びそれと一体の不釣合錘103も共に回転する。そして、中実軸106の先端に固定されている円板110及びこれと一体のウォームホイール114、中空軸107を介して平歯車108b及び不釣合錘103aが回転駆動され、更に、平歯車108bに噛合している平歯車108d及びそれと一体の不釣合錘103aも共に回転し、各不釣合錘103、103aの作用で起振される。
【0046】
本発明に係る装置においては、2本の起振軸102、102aが相互に反対方向に回転駆動されるが、その場合双方の起振軸102は同期状態となり、同一位相で反対方向に回転することになる。ここで不釣合錘103、103a1つの振動力をFとすると、2つの不釣合錘103、103aの相対角度が0度の場合は、下方向に2Fの振動力が作用することになる。また、2つの不釣合錘103、103aの相対角度が180度の場合は、それらのウエイトは互いに逆方向を向くために互いに打ち消し合い、合成力はゼロとなる。従って、最大の振動力を得たい場合は、2つの不釣合錘103、103aの相対角度を0度とし、振動力を減らしたい場合は、その相対角度を増やしていけばよいことになる。
【0047】
次いで、図11、12に示される加振装置81、82(第2実施例)について説明するが、そこにおいて上記第1実施例と同じ符号は、第1実施例における場合と同じ構成の部品を示している。第2実施例と第1実施例の違いは、第1実施例の場合は、2つの不釣合錘103、103aの相対角度の調整を手動で行うのに対し、第2実施例の場合はこれを自動で行いうるようにした点である。第2実施例の場合は、相対角度調整を自動化したため、外部からの操作が可能となってケース100の開閉操作が不要となるという利点がある。
【0048】
第2実施例の場合は、機構収納箱120外に配置される駆動モータ104から、カップリング105を介して機構収納箱120内に伸びる旋回軸106に、不釣合錘103、103aが取り付けられる。その場合、不釣合錘103は旋回軸106に固定されるが、不釣合錘103aは旋回軸106に対しフリーの状態にされ、旋回軸106の回転が直接伝達されないようにされる。即ち、不釣合錘103aに中空スプライン軸121が嵌入され、スプライン軸121の中空部に、軸受を介して旋回軸106の先端部が挿入される。
【0049】
中空スプライン軸121には、機構収納箱120の側壁に軸支されて機構収納箱120外に伸びる角度調整軸122が延設され、角度調整軸122は、電磁クラッチ123を介してサーボモータ124に接続される。従って、中空スプライン軸121並びにこれにスプライン結合している不釣合錘103aは、電磁クラッチ123をつないだ状態でサーボモータ124を始動することで、回転駆動可能となる。
【0050】
不釣合錘103aは、中空スプライン軸121にスプライン結合されていて、中空スプライン軸121に沿って移動可能である。不釣合錘103aの不釣合錘103側端部には内歯車125が設置され、一方、不釣合錘103の不釣合錘103a側端部には、内歯車125に噛合する外歯車126が固定される。かくして旋回軸106の回転は、不釣合錘103aが中空スプライン軸121に沿って移動して、内歯車125に外歯車126が噛合しているときに、不釣合錘103aに伝達されることになる。不釣合錘103aは、中空スプライン軸121に卷装された押圧スプリング127によって、常時不釣合錘103側に付勢されるため、内歯車125と外歯車126は、不釣合錘103aに外力が加わらない限り、噛合状態を維持する。
【0051】
不釣合錘103aに上記外力を与えるための手段として、不釣合錘103aに、機構収納箱120に設置された移動シリンダー128によって駆動される引離し板129が固定される。移動シリンダー128は、後退動作して引離し板129を引き戻すことで、不釣合錘103aを後退させ、以て、内歯車125を外歯車126から引離すよう作用する。
【0052】
上記構成の第2実施例の場合、通常運転状態時には、不釣合錘103aは押圧スプリング127の作用で押圧され、その内歯車125が外歯車126に噛合した状態となっていて、駆動モータ104に駆動されて旋回軸106が回転するに伴い、不釣合錘103、103aは一体となって回転する。
【0053】
そして、不釣合錘103、103aの相対角度を変更調整する場合は、移動シリンダー128の作用で、押圧スプリング127の押圧力に抗して引離し板129を引き戻すことで、内歯車125を外歯車126から引離す。次いで、電磁クラッチ123をつないだ後、サーボモータ124を動作させる。かくして、サーボモータ124の出力軸の回転は、電磁クラッチ123、角度調整軸122、中空スプライン軸121を介して不釣合錘103aに伝達され、不釣合錘103aを所望角度回転させて、不釣合錘103、103aの相対角度を変更調整することが可能となる。この相対角度の変更調整は、外部からのリモコン操作によって行うことができる。
【0054】
このように、本発明における加振装置81、82の場合は、その反対方向に回転する起振軸102、102aの各2つの不釣合錘103、103aが互いに干渉し合い、振動方向が上下方向に規制される作用が起こる。起振軸を2軸とすることにより、起振軸102、102aを含めた不釣合錘103、103aの慣性モーメントを極力小さくすることが可能となり、十分な起振力を得るために起振軸102、102aを所定の回転数に立ち上げるのに、さ程大きな回転駆動力を必要としない加振装置となし得るのである。また、振動方向が上下方向に規制される結果、レール101に対する加振装置81、82の摺動的動きが抑制され、相互の局部摩耗が防止される。
【0055】
なお、図示した軌陸両用車1の場合の外装カバー90は内外二重となっていて、作業時に内側カバー91が下降して、軌道地固め機11の部分を覆う構成となっている。このような構成とすることにより、騒音を低減することができて環境悪化を防止することが可能となる。また、車両重量軽減のため、例えば、加振装置81、82の駆動モータ104の駆動を、車両のPTOから油圧を供給して駆動する構造とすることで小型化した発電機によって行うことが考えられる。
【0056】
また、加振装置81、82はリモコン操作により動作させるが、そのリモコンは、軌陸両用車1本体の操作用リモコンに一体化することができる。このようにリモコンを一体化することで、踏切での載線・離線操作、回送の操作、地固め作業の操作等が容易且つスムーズとなるという利点がある。なお、リモコンは脱着可能にされ、例えば、車両の前後(前キャビン、後操作席)、あるいは、左右(リヤタイヤ上部付近)の4箇所に設置される。
【0057】
更に、レールクランプ機構は絶縁構造とすることが好ましい。そのようにした場合は、軌道回路に影響を与えることがなく、また、踏切の開閉に影響を与えるおそれもなくなる。
【0058】
この発明をある程度詳細にその最も好ましい実施形態について説明してきたが、この発明の精神と範囲に反することなしに広範に異なる実施形態を構成することができることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0059】
1 軌陸両用車
8 荷台
11 軌道地固め機
12、13 加振装置支持用車輪
22 車輪支持用架台
23、24 側枠
41、42 昇降シリンダー
51〜54 レールクランプ機構
55 クランプ部フレーム
57、57a 下側連結材
65、66 吊下軸
75、76 クランプ用シリンダー
79、80 クランプアーム
81、82 加振装置
【要約】
【課題】軌陸両用車に搭載されて、踏切等から直接載線可能となって機動性の向上を図ることができ、起振軸の回転に伴う回転胴とレールとの間の摺動動作を極力なくすことで、回転胴及びレールの局部摩耗の発生を防止し得る、軌陸両用車の軌道地固め機を提供することを課題とする。
【解決手段】軌陸両用車1の荷台8を跨ぐように設置されて昇降シリンダー41、42によって昇降駆動される車輪支持用架台22と、車輪支持用架台22に取り付けられていてそれと一体に上下動する加振装置81、82及びレールクランプ機構51〜54とから成る。加振装置81、82は、1つのケース内に不釣合錘103、103aを備えた起振軸102、102aが2本平行に配設され、それらが互いに逆方向に回転駆動されるものであって、左右に一対配備され、それぞれ吊下軸65、66によって垂直方向に支持され、垂直方向、水平方向に加振可能である。
【選択図】図4
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13