(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記座面シートと前記リフト手段との間に配設され、上下方向のガイド部と座面シートの底面に下方から当接する座面当接部とを備え、前記座面当接部から後方に延出され前記背凭れ面シートの背面に当接可能な長さを有する板状又は棒状の背凭れ面補強部材を設けた座面昇降ガイド部材を備えたことを特徴とする請求項1に記載の介護用車椅子。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の介護用車椅子は、前後方向に移動可能なスライドシートを設けることによって、自力で歩行することが困難な人を自動車の座席に移動させることができるという優れた効果を発揮する。
【0006】
しかし、特許文献1に記載の介護用車椅子にはさらなる改善の余地がある。例えば、前記スライドシートはその下端から突設した突部を、支持金具に形成した貫通孔に挿通させた状態でスライドさせるので、スライドシートに乗っている自力で歩行することが困難な人の姿勢によっては、スライドシートが傾いて突部と貫通孔とが干渉し合って円滑にスライドさせることができない場合が生じ得る。
【0007】
また、前記介護用車椅子は、その側端部または後端部を自動車の座席に隣接させた状態で、自力で歩行することが困難な人を移動させるので、自動車シートの高さとスライドシートの高さとの段差が発生したときは、自力で歩行することが困難な人を持ち上げるようにして移す必要がある。従って、多大な労力を必要とする。
【0008】
さらに、スライドシートを移動させるために支持金具やボールなどを必要とするので、全体の構成がやや複雑となってしまう。
【0009】
本発明はこうした問題に鑑み創案されたもので、自力で歩行することが困難な人を自動車のシート
等の移動先に、より円滑かつ容易に移動させることができる共に、構成が簡易な介護用の車椅子を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明において、上下方向とは介護用車椅子1の背凭れ面シート3を垂直方向にした状態に置き換えたときの上下方向を意味し、前後方向とは介護用車椅子1の背凭れ面シート3を垂直方向にした状態に置き換えたときの前後方向を意味する。
【0011】
請求項1に記載の介護用車椅子1は、被介護者の臀部及び大腿部が接する座面シート2と、被介護者の背部が接する背凭れ面シート3とを備える介護用車椅子1であって、前記座面シート2の後端と
略水平状態の前記背凭れ面シート3の前端とが蝶番4を介して連結され、前記座面シート2は、前記座面シート2の下方に配設したリフト手段5により上下方向に昇降でき、前記背凭れ面シート3の周縁に配設した背凭れフレーム6の左右の下端を回転中心軸52として前記背凭れフレーム6を傾動動作させる傾動手段51により、前記背凭れフレーム6を略垂直姿勢から
後方に回動して略水平姿勢までの任意の姿勢をさせることができ、前記背凭れ面シート3の背面側で前記背凭れフレーム6の上端側から下端側に向けて突設させた、細長状の溝31を設けた支持板部材30と、前記溝31に挿入され前記背凭れ面シート3と前記支持板部材30とを締結する締結具32によって、前記背凭れ面シート3と前記背凭れフレーム6との左右方向の位置ずれ規制及び上下方向の位置関係調整を可能とし、調整された位置関係で前記背凭れ面シート3と前記背凭れフレーム6との位置関係を固定可能とし、前記背凭れフレーム6は、上方の部位である略コ字状フレーム8の左右の一部を下方の部位であるパイプ状の左右フレーム21内に挿入して前記略コ字状フレーム8をスライドさせることで、前記背凭れフレーム6の上下方向の長さを調整可能とし、前記座面シート2及び前記背凭れ面シート3の表皮25が摩擦抵抗の少ない滑りやすい材質
である硬質塩化ビニール低発泡材、ナイロン、ポリエステル織布、ポリプロピレン織布、熱可塑性エラストマー樹脂、ポリオレフィン樹脂、又は防炎シートからなることを特徴とする。
【0012】
請求項2に記載の介護用車椅子1は、請求項1において、前記座面シート2と前記リフト手段5との間に配設され、上下方向のガイド棒11と座面シート2の底面に下方から当接する座面当接部12とを備え、前記座面当接部12から後方に延出され前記背凭れ面シート3の背面に当接可能な長さを有する板状又は棒状の背凭れ面補強部材13を設けた座面昇降ガイド部材9を備えたことを特徴とする。
【0013】
請求項3に記載の介護用車椅子1は、請求項1又は2において、少なくとも裏面を覆う表皮73が摩擦抵抗の少ない滑りやすい材質
である硬質塩化ビニール低発泡材、ナイロン、ポリエステル織布、ポリプロピレン織布、熱可塑性エラストマー樹脂、ポリオレフィン樹脂、又は防炎シートからなり、前記座面シート2の上面に載置されて被介護者の座布団として使用することができ、かつ、前記座面シート2の上面と傾斜させた前記背凭れ面シート3の上面を、被介護者を乗せた状態
で滑動することのできる滑動座布団10を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載の介護用車椅子1は、高さの異なる自動車シート90の上面の高さに応じて、座面シート2の高さを調整でき、背凭れ面シート3の傾斜角を調整することができる。例えば、被介護者を介護用車椅子1の座面シート2上から自動車シート90上に乗り移りさせる場合には、座面シート2の高さを自動車シート90の上面より高くし、背凭れ面シート3の自動車シート90側を低くするように傾斜させるので、介護者が軽い力で被介護者を乗り移りさせることができ、一方、被介護者を自動車シート90上から座面シート2上に乗り移りさせる場合には、座面シート2の高さを自動車シート90の上面より低くし、背凭れ面シート3の座面シート2側を低くするように傾斜させるので、介護者が軽い力で被介護者を乗り移りさせることができる。
【0015】
また、背凭れフレーム6の略コ字状フレーム8部分を伸長方向にスライドさせて、略コ字状フレーム8を自動車シート90上に奥深くしっかりと載置することができるので、背凭れ面シート3上と自動車シート90上との間を、被介護者を抱きかかえることなく容易に軽い力で乗り移りさせることができる。
【0016】
座面シート2及び背凭れ面シート3の表皮25を摩擦抵抗の少ない滑りやすい材質で造るので、座面シート2上及び背凭れ面シート3上を、座布団に座った被介護者を、又は座布団上に仰臥状態の被介護者を、介護者が座布団を引っ張って容易に軽い力で移動させることができる。
【0017】
被介護者を移送させるためのスライド機構が不要であるため、介護用車椅子1の構成を簡易にすることができる。
【0018】
また、背凭れフレーム6の上端にある略コ字状フレーム8を上下方向でスライドできるので、被介護者を自動車シート90などに移送するときは背凭れフレーム6を長くして背凭れフレームの上端側を自動車シート90上の載置することが容易にでき、介護用車椅子1を介護者が押して移動させるときには背凭れフレーム6の上端にある略コ字状フレーム8を上下方向でスライドさせて短縮させて背凭れフレーム6の上端を高さ方向で低くできるので、介護者の前方の視界を妨げることがなく前方が見えやすいという効果を奏する。
【0019】
請求項2に記載の介護用車椅子1は、請求項1に記載の発明と同じ効果を奏するとともに、座面シート2と背凭れ面シート3との連結部位に対して下方からの支持を補強することができ、座面シート2と背凭れ面シート3との連結手段である蝶番4の破損防止のための安全度が高まるという効果を奏する。
【0020】
請求項3に記載の介護用車椅子1は、請求項1又は2に記載の発明と同じ効果を奏するとともに、被介護者が座った状態又は被介護者が仰臥している状態で使用している、摩擦抵抗の少ない滑りやすい材質から造られた表皮73からなる裏面を有する滑動座布団10を、同じように摩擦抵抗の少ない滑りやすい材質で造られた表皮25からなる上面を有する座面シート2上及び背凭れ面シート3上を、介護者が滑動座布団10を引張って滑らすので、極めて軽く容易に被介護者を移動させることができ、介護用車椅子1の座面シート2上から自動車シート90上に介護者が被介護者を容易に、かつ極めて軽い力で乗り移りをさせることができ、また、自動車シート90上から介護用車椅子1の座面シート2上まで介護者が被介護者を容易に、かつ極めて軽い力で乗り移りをさせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明に係る介護用車椅子の実施形態を示す概要側面図である。
【
図2】
図1に示す介護用車椅子の概要正面図である。
【
図3】座面シート及び背凭れ面シートを除いた介護用車椅子の実施形態を示す概要側面図である。
【
図4】
図3に示す介護用車椅子の概要正面図である。
【
図5】背凭れフレームを水平状態に傾斜させたときの概要側面図である。
【
図6】座面下をリフト手段のみとし、背凭れフレームを水平状態に傾斜させ、背凭れフレームの略コ字状フレームを伸長方向にスライドさせたときの概要側面図である。
【
図7】座面シートを除いたときの座面シート下方の概要平面図である。
【
図8】座面シートと背凭れ面シートとを連結させた蝶番の説明図で、(a)は背凭れ面シートが略水平姿勢を形成したときの底面図であり、(b)は背凭れ面シートが略水平姿勢を形成したときの側面図であり、(c)は背凭れ面シートが略垂直姿勢を形成したときの側面図である。
【
図10】略コ字状フレームの説明図で、(a)は背凭れフレームが垂直姿勢のときの略コ字状フレームの正面視での概要正面図で、(b)は略コ字状フレームに突設した支持板部材や背凭れ面シートの関係を示す前後方向の断面図である。
【
図12】リフト手段の説明図で、(a)は正面視でのリフト手段とそのガイド機構の説明図で、(b)は側面視でのリフト手段とその操作ハンドル等の説明図である。
【
図13】滑動座布団の説明図で、(a)は平面図、(b)は側面図である。
【
図14】座面シート上面を自動車シート上面より高くし、滑動座布団が座面シート上に位置するときの介護用車椅子の概要側面図である。
【
図15】座面シート上面を自動車シート上面より高くし、滑動座布団が背凭れ面シート上から自動車シート上に移動させるときの介護用車椅子の概要側面図である。
【
図16】座面シート上面を自動車シート上面より低くし、滑動座布団が自動車シート上から背凭れ面シート上に移動するときの介護用車椅子の概要側面図である。
【
図17】座面シート上面を自動車シート上面より低くし、滑動座布団が座面シート上に移動し終わったときの介護用車椅子の概要側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明に係る介護用車椅子1の実施形態を、
図1乃至
図4、及び、
図14乃至
図17に示す。これは、自力で歩行することが困難な人(以下、被介護者と記す)が使用する介護用の車椅子である。
【0023】
本発明に係る介護用車椅子1は、被介護者の臀部及び大腿部が接する座面シート2と、被介護者の背部が接する背凭れ面シート3とを備える介護用車椅子1であって、前記座面シート2の後端と前記背凭れ面シート3の前端とが蝶番4を介して連結され、前記座面シート2は、前記座面シート2の下方に配設したリフト手段5により上下方向に昇降でき、前記背凭れ面シート3の周縁に配設した背凭れフレーム6の左右の下端を回転中心軸52として前記背凭れフレーム6を傾動動作させる傾動手段51により、前記背凭れフレーム6を略垂直姿勢から略水平姿勢までの任意の姿勢をさせることができ、前記背凭れ面シート3の背面側で前記背凭れフレーム6の上端側から下端側に向けて突設させた、細長状の溝31を設けた支持板部材30と、前記溝31に挿入され前記背凭れ面シート3と前記支持板部材30とを締結する締結具32によって、前記背凭れ面シート3と前記背凭れフレーム6との左右方向の位置ずれ規制及び上下方向の位置関係調整を可能とし、調整された位置関係で前記背凭れ面シート3と前記背凭れフレーム6との位置関係を固定可能とし、前記背凭れフレーム6は、上方の部位である略コ字状フレーム8の左右の一部を下方の部位であるパイプ状の左右フレーム21内に挿入して前記略コ字状フレーム8をスライドさせることで、前記背凭れフレーム6の上下方向の長さを調整可能とし、前記座面シート2及び前記背凭れ面シート3の表皮25が摩擦抵抗の少ない滑りやすい材質からなる介護用車椅子1である。
【0024】
そして、座面シート2とリフト手段5との間に配設され、上下方向のガイド棒11と座面シート2の底面に下方から当接する座面当接部12とを備え、前記座面当接部12から後方に延出され前記背凭れ面シート3の背面に当接可能な長さを有する板状又は棒状の背凭れ面補強部材13を設けた座面昇降ガイド部材9を備えている。
【0025】
また、少なくとも裏面を覆う表皮73が摩擦抵抗の少ない滑りやすい材質からなり、座面シート2の上面に載置されて被介護者の座布団として使用することができ、かつ、前記座面シート2の上面と傾斜させた前記背凭れ面シート3の上面を、被介護者を乗せた状態で容易に滑動することのできる滑動座布団10を備える。
【0026】
次に、介護用車椅子1の構成要素について説明する。
【0027】
座面シート2は、
図9に示すように、通常時に座位状態の被介護者の臀部及び大腿部が接する部位であり、座面シート2の少なくとも上面を覆う表皮25は、硬質塩化ビニール低発泡材、ナイロン、ポリエステル織布、ポリプロピレン織布、熱可塑性エラストマー樹脂、ポリオレフィン樹脂、防炎シートなどの摩擦抵抗の少ない滑りやすい材質からなり、座面シート2の底面はベニヤ板、プラスチック板、木製板、非鉄金属板、鉄製板等の剛性を有する材料からなる。そして、平面視で略四角形上の座面シート2の底面の角近傍には垂直方向で下方に向けて細長状のガイド棒26が4本突設されている。
【0028】
座面シート2は、
図11に示す座面昇降ガイド部材9の上に載置されている。
【0029】
背凭れ面シート3は、通常時に座位状態の被介護者の背部が接する部位であり、背凭れ面シート3の少なくとも上面を覆う表皮25は、硬質塩化ビニール低発泡材、ナイロン、ポリエステル織布、ポリプロピレン織布、熱可塑性エラストマー樹脂、ポリオレフィン樹脂、防炎シートなどの摩擦抵抗の少ない滑りやすい材質からなり、背凭れ面シート3の底面はベニヤ板、プラスチック板、木製板、非鉄金属板、鉄製板等の剛性を有する材料からなる。
【0030】
図8に示すように、背凭れ面シート3の下端部が座面シート2の後端部に、蝶番4を介して少なくとも略垂直姿勢と略水平姿勢との間を自在に回動するように連結される。この連結は、蝶番4の働きによって、背凭れ面シート3が垂直姿勢になっても座面シート2と干渉しないように、座面シート2の後端部と背凭れ面シート3の前端部の間に隙間Gが形成される。
【0031】
座面シート2と背凭れ面シート3を連結する蝶番4は、前板部41と回転軸部42と後板部43で構成される蝶番本体部45と、前記蝶番本体部45の後板部43の後端部に固定される補助板44とで構成している。本実施形態では、蝶番本体部45を座面シート2にビス(図示なし)で固定し、補助板44部を背凭れ面シート3に同じくビス(図示なし)で固定している。そして、前記座面シート2と前記背凭れ面シート3との間に隙間Gを形成している。隙間Gを形成させることにより、背凭れ面シート3が垂直方向に立設状態になったときに、
図8(c)に示すように座面シート2の後端と背凭れ面シート3の前端とが干渉しない。
【0032】
また、背凭れフレーム6は、上方の部位である、
図10(a)に示すような略コ字状フレーム8の左右の一部を下方の部位であるパイプ状の左右フレーム21内に挿入して前記略コ字状フレーム8をスライドさせることで、前記背凭れフレーム6の上下方向の長さを
図6に示すように長くしたり、
図5に示すように短くすることができ、背凭れフレーム6の長さを調整可能としている。この略コ字状フレーム8は、例えば、伸張した状態で左右フレーム21と略コ字状フレーム8を螺子35などで螺設して固定し、伸長状態の略コ字状フレーム8の上部を、ベッドや自動車シート90などの移動先に載置する。なお、背凭れフレーム6には当該介護用車椅子1を押すための手押ハンドル36が設けられている。
【0033】
そして、
図10(a)に示すように略コ字状フレーム8の左右方向の中央部には、上下方向の細長状の貫通溝31を設けた平板状の支持板部材30が突設されており、
図10(b)に示すように、背凭れ面シート3裏面に埋設されたナット33に支持板部材30の貫通溝31に挿入させたボルト等の締結具32によって、背凭れ面シート3と支持板部材30とを締結している。前記ボルト等の外径と貫通溝31の横幅をほぼ同一とすることによって左右方向を規制でき、細長状の貫通溝31内をスライドさせることによって上下方向で移動できるので、締結具32を緩めることによって前記背凭れ面シート3と前記背凭れフレーム6との左右方向の位置ずれ規制及び上下方向の位置関係調整ができ、締結具32を締めることによって調整された位置関係で前記背凭れ面シート3と前記背凭れフレーム6との位置関係を固定化することができる。
【0034】
座面シート2をリフト手段5で上昇させたり下降させたりすると、座面シート2が上下方向のガイド棒26によって前後方向の位置を規制されていることから、座面シート2と蝶番4を介して連結した背凭れ面シート3に上下方向で移動させようとする外力が働くので、前記背凭れ面シート3と背凭れフレーム6との上下方向の位置関係を調整することが必要になる。このために、前記支持板部材30で上下方向の位置関係を調整する。
【0035】
次に、
図11に示す座面昇降ガイド部材9について説明する。座面昇降ガイド部材9は、
図2、
図4、
図12に示すようにリフト手段5と座面シート2との間に介設されており、リフト手段5により上昇させられる。座面昇降ガイド部材9は、リフト手段5の上端部が当接する座面当接部12のベース部15の左右端近傍から下方に突出した2本のガイド棒11を設け、座面昇降ガイド部材9の昇降時の揺れを規制し円滑な昇降をさせている。また、座面当接部12のベース部15上には座面シート2の底面に当接する当接部14を設置している。この当接部14の上下方向の高さはガイド棒11を固定する締結部16の高さより高くし、締結部16が座面シート2の底面に当接しないようにしている。
【0036】
そして、座面当接部12のベース部15から後方に延出された、背凭れ面シート3の背面に当接可能な長さを有する板状又は棒状の背凭れ面補強部材13を設けている。この背凭れ面補強部材13によって、座面シート2が上昇して背凭れ面シート3を傾斜させたときに、背凭れ面補強部材13が背凭れ面シート3の背面に下方から当接して、座面シート2と背凭れ面シート3とを連結させる蝶番4への下方へ加わる外力を低減させることができる。
【0037】
リフト手段5は、
図12(a)、(b)に示すように、手動式のジャッキで構成され、座面昇降ガイド部材9の直下に固定状態で設けられ、リフト手段5によって座面昇降ガイド部材9及び座面シート2を垂直方向に昇降させることができる。本実施形態におけるリフト手段5は、左右の骨格フレーム80間に架設されたリフト手段土台部61上に固定している。そして、リフト手段土台部61にはリフト手段5を挟んで左右に座面昇降ガイド部材9のガイド棒11を挿入させる垂直方向に貫通孔を設けたガイド部62が配設されている。これにより、座面昇降ガイド部材9は揺れなく昇降させることができる。
【0038】
なお、リフト手段5は、
図12(b)に示すように、操作ハンドル63を備えた手動式のジャッキに限定されるものではなく、例えば、油圧式あるいは電動式のジャッキや、歯車などの機構を利用した手動式あるいは電動式のリフト手段5で構成することができる。
【0039】
滑動座布団10は、
図13に示すように、略円盤状に形成され、座面シート2の上面に載置されるものであり、通常の状態では、被介護者が座布団として使用することもできる。滑動座布団10の裏面は、硬質塩化ビニール低発泡材、ナイロン、ポリエステル織布、ポリプロピレン織布、熱可塑性エラストマー樹脂、ポリオレフィン樹脂、防炎シートなどの摩擦抵抗の少ない滑りやすい材質から造られて円滑面が形成されている。
【0040】
当該滑動座布団10は、
図13(a)又は(b)に示すように、その本体部分を構成する座布団本体部71と、それに連結された2本の略リング状で紐状の連結紐部72を有する。従って、被介護者を座布団本体部71に乗せた状態で、座面シート2の上面と傾斜状態の背凭れ面シート3の上面を、連結紐部72を引っ張ることによって容易に滑らせて移動させることができる。
【0041】
また、本実施形態に係る介護用車椅子1は、介護用車椅子1の車輪やリフト手段などを取り付ける骨格となる骨格フレーム80が形成されており、この骨格フレーム80の上部に連設して逆U字状の支持フレーム81を設け、当該支持フレーム81の上端部分(水平部分)を肘掛け部としている。骨格フレーム80の前側下端部には走行ハンドルを備えた車輪を回転自在に設けている。骨格フレーム80の背面側にはリヤフレーム82を設け、当該リヤフレーム82の下端部に補助輪を回転自在に設けている。また、リヤフレーム82と背凭れフレーム6との間には、背凭れフレーム6の傾き角度を、調整ハンドル(図示せず)によって調整することのできる傾動手段51を取付けている。傾動手段51としては、油圧シリンダー等のシリンダーがある。
【0042】
図7は座面シート2や支持フレーム81を除いたときの座面シート2下方の概要平面図を示している。左右の骨格フレーム80の内側に左右それぞれに座面フレーム7が配設されている。座面フレーム7には左右前後で計4か所にガイド孔27が設けられている。ガイド孔27には、座面シート2のガイド棒26が挿入される。
【0043】
座面フレーム7は、骨格フレーム80と固定的に連結させて一体化させることもできる。一方、介護用車椅子1を折りたたみ式の仕様とする場合には、
図2、
図4に示すように横方向に伸長させることができ縮小させることができるX字型の構造75とすることもできる。X字型の構造75の左右の下端を骨格フレーム80に回動自在に連結し、左右の上部には骨格フレーム80とは離隔状態として座面フレーム7を固設する。
【0044】
本実施形態に係る介護用車椅子1は、次のように使用することができる。
図14及び
図15を参照して説明する。最初に、被介護者を介護用車椅子1から移動先(ベッドや自動車シート90など)に移動させる場合について説明する。
【0045】
まず、被介護者を乗せた介護用車椅子1を押して自動車近傍まで移動させる。そして、締付具32を緩めて背凭れ面シート3と背凭れフレーム6との上下方向の位置関係を調整可能状態にする。そして、背凭れフレーム6の螺子35を緩めて略コ字状フレーム8をスライドさせて伸長させて螺子35を締める。次に、傾動手段51によって背凭れフレーム6を傾けて略コ字状フレーム8を自動車シート90上に載置する。
【0046】
続いて、リフト手段5を構成するジャッキをその操作ハンドル63を上下動させて作動し、座面シート2を上方に上昇させて、その座面シート2上面を自動車シート90上面部より高い位置にする。そして、締付具32を締めて背凭れ面シート3と背凭れフレーム6との上下方向の位置関係を固定化する。
【0047】
この状態で、座面シート2は水平状態で自動車シート90の上面より高い位置にあり、背凭れ面シート3は座面シート2側が高く、自動車シート90側が低い傾斜状態を実現させている。そして、背凭れ面シート3の蝶番4近傍は背凭れ面補強部材13によって下方から支えられている。
【0048】
次に、座面シート2上に載置された滑動座布団10上に座位状態の被介護者を座面シート2上から背凭れ面シート3へ移動させる。
【0049】
このとき、滑動座布団10の裏面には円滑面が形成され、また、背凭れ面シート3は傾斜姿勢に設定されているので、滑動座布団10を座面シート2から背凭れ面シート3に円滑かつ容易に移動させることができる。
【0050】
そして、被介護者を、同様に滑動座布団10の連結紐部72を引っ張りながら背凭れ面シート3から自動車シート90上面等の移動先に滑らせて移動させる。このとき、背凭れ面シート3は略コ字状フレーム8を設け、この略コ字状フレーム8の上端部(先端部)を移動先の上に載置しているので、背凭れ面シート3と移動先とは連続しており、両者は隔離されていない。従って、被介護者を、背凭れ面シート3から移動先上に容易かつ円滑に移動させることができる。これにより、被介護者を移動先上に移動させる作業が完了する。
【0051】
次に、被介護者を、自動車シート90上等の移動先から本実施形態に係る介護用車椅子1に移動させる場合について
図16及び
図17を参照にして説明する。最初の状態として背凭れ面シート3は垂直状態にあるとする。
【0052】
まず、リフト手段5の上端を最下限までに下降させて、座面シート2の高さを最下段に設定する。これによって座面シート2の上面の高さは自動車シート90上面の高さより低くなる。
【0053】
次に、締付具32を緩めて背凭れ面シート3と背凭れフレーム6との上下方向の位置関係を調整可能状態にする。そして、背凭れフレーム6の螺子35を緩めて略コ字状フレーム8をスライドさせて伸長させて螺子35を締める。
【0054】
次に、傾動手段51によって背凭れフレーム6を傾けて略コ字状フレーム8を自動車シート90上に載置する。そして、締付具32を締めて背凭れ面シート3と背凭れフレーム6との上下方向の位置関係を固定化する。
【0055】
次に、自動車シー90上に乗っている被介護者を自動車シー90上で滑動座布団10に座らせ、その連結紐部72を引っ張って自動車シー90上から略コ字状フレーム8を含む背凭れ面シート3を滑らせながら移動させ、座面シート2に移す。
【0056】
被介護者を座面シート2に移動し、座らせた状態とした後、背凭れ面シート3を元の略垂直姿勢に戻すと共に、略コ字状フレーム8を収縮させて元通りに戻す。これにより、被介護者を介護用車椅子1に移動させる作業が完了する。
【解決手段】座面シートと背凭れ面シートとを備える介護用車椅子であって、座面シートと背凭れ面シートとが蝶番を介して連結され、座面シートは座面シートの下方に配設したリフト手段により上下方向に昇降でき、背凭れフレームを傾動動作させる傾動手段により背凭れフレームを略垂直姿勢から略水平姿勢までの任意の姿勢をさせることができ、背凭れ面シートと背凭れフレームとの左右方向の位置ずれ規制及び上下方向の位置関係調整を可能とし、背凭れフレームは上端側を伸長方向でスライドさせることで背凭れフレームの上下方向の長さを調整可能とし、座面シート及び背凭れ面シートの表皮が摩擦抵抗の少ない滑りやすい材質からなる介護用車椅子により課題解決できた。