特許第5771350号(P5771350)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5771350携帯型電子機器のケース構造、携帯型電子機器及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5771350
(24)【登録日】2015年7月3日
(45)【発行日】2015年8月26日
(54)【発明の名称】携帯型電子機器のケース構造、携帯型電子機器及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H04M 1/02 20060101AFI20150806BHJP
   H05K 5/02 20060101ALI20150806BHJP
【FI】
   H04M1/02 C
   H05K5/02 C
【請求項の数】6
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2009-109336(P2009-109336)
(22)【出願日】2009年4月28日
(65)【公開番号】特開2010-258966(P2010-258966A)
(43)【公開日】2010年11月11日
【審査請求日】2012年3月8日
【審判番号】不服2014-9848(P2014-9848/J1)
【審判請求日】2014年5月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】314008976
【氏名又は名称】レノボ・イノベーションズ・リミテッド(香港)
(74)【代理人】
【識別番号】100084250
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 隆夫
(72)【発明者】
【氏名】小巻 英介
【合議体】
【審判長】 河口 雅英
【審判官】 萩原 義則
【審判官】 高野 美帆子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−318329(JP,A)
【文献】 特開2004−134569(JP,A)
【文献】 特開2005−191040(JP,A)
【文献】 特開2003−331223(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04M1/02-1/23
H05K5/00-5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に収容される第1及び第2の電子部品各々の一部が貫通しない状態で挿入される四角形の第1及び第2の開口を有し、大きさが異なる前記第1の開口と前記第2の開口とが互いに連結されたケース部材と、
前記ケース部材の前記第1及び第2の開口を覆う位置に組み付けられるカバー部材と、を備え、
前記ケース部材には、前記第1及び第2の開口の各隅部に、該第1及び第2の開口の内周面から該第1及び第2の開口の外周側に向かって切り欠かれた凹部が形成されている、携帯型電子機器のケース構造。
【請求項2】
前記凹部が形成された前記第1及び第2の開口を有する前記ケース部材は、樹脂材料によって一体成形されている、請求項1に記載の携帯型電子機器のケース構造。
【請求項3】
前記凹部は、円弧状に形成され、該円弧の両端が、前記各第1及び第2の開口における隣接する2つの辺の内周面に弧状に連続されている、請求項1または2に記載の携帯型電子機器のケース構造。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項に記載の携帯型電子機器のケース構造と、
前記電子部品が実装された回路基板と、を備える携帯型電子機器。
【請求項5】
内部に収容される第1及び第2の電子部品各々の一部が貫通しない状態で挿入される四角形の第1及び第2の開口を有し、大きさが異なる前記第1の開口と前記第2の開口とが連結された前記ケース部材を形成する工程と、
前記ケース部材の前記第1及び第2の開口を覆う位置に組み付けられるカバー部材を形成する工程と、を有し、
前記ケース部材を形成する工程では、前記第1及び第2の開口の各隅部に、該第1及び第2の開口の内周面から該第1及び第2の開口の外周側に向かって切り欠かれた凹部を形成する、携帯型電子機器の製造方法。
【請求項6】
前記ケース部材を形成する工程では、前記凹部が形成された前記第1及び第2の開口を有する前記ケース部材を、樹脂材料を用いて一体成形する、請求項5に記載の携帯電子機器の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部に電子部品を収納するケース部材を備える携帯型電子機器のケース構造、携帯型電子機器、及び携帯型電子機器の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯型電子機器として例えば折り畳み式の携帯型電話機は、主表示板が配置された受話部側の筐体と、操作ボタンが配列された送話部側の筐体と、がヒンジ部を介して回動可能に連結されて構成されている。受話部側の筐体は、一対のフロントケースとリアケースとを組み合わせて構成されている。
【0003】
本発明に関連する携帯型電話機が備える受話部側の筐体としては、装飾効果を向上するために、不透明な樹脂材料からなるリアケースに、透明な樹脂材料からなるリアカバーが取り付けられた構成が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、携帯型電子機器において、リアケース側にLED(発光ダイオード)や副表示板等の発光部品を配置する構成が採られる場合には、これらの発光部品を覆うリアカバーが透光性を有する材料によって形成され、リアケースが不透明な材料によって形成されている。
【0005】
加えて、携帯型電話機の筐体では、例えば2つの異なる装飾加工を施すために、リアケースに施された装飾加工と異なる装飾加工が施されたリアカバーが、リアケースに組み付けられる構成が採られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−49621号公報(図3
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したように、リアケースにリアカバーが組み付けられる構造の携帯型電話機においても、近年、更なる薄型化が図られている。これに伴って、筐体の内部に収納される回路基板の電子部品と、リアカバーとが干渉する程度以上に、筐体の厚さを減らす場合には、回路基板の実装面に垂直な方向である、電子部品の高さ方向の一部が挿入される開口をリアケースに形成する構成、いわゆる部品逃がし構造が考えられている。このように、リアケースに形成される開口は、回路基板の実装面に平行な面における形状が四角形の電子部品が挿入される場合、電子部品の形状よりやや大きい四角形に形成されており、開口を形成するのに伴ってリアケースの機械的強度が低下するのが抑えられている。
【0008】
しかしながら、リアケースに四角形の開口が形成された場合、携帯型電話機の取り扱い時に筐体の外部から衝撃や押圧力等の外力が加わったときに、開口の四隅に応力が集中してしまう。このため、リアケースの開口の四隅にクラックが生じ、リアケースが破損してしまうおそれがある。
【0009】
このような応力集中を防ぐために、四角形の開口の四隅を円弧状に形成する構成が考えられる。しかし、隅部が円弧状に形成された開口に、四角形の電子部品が挿入される場合には、電子部品の角部と開口の隅部との干渉を防ぐために、この干渉量に応じて開口を大きく形成する必要がある。その結果、開口が形成されたリアケースの機械的強度を低下させてしまう。
【0010】
本発明は、上述した課題を解決することができる携帯型電子機器のケース構造、携帯型電子機器及びその製造方法を提供することを目的とする。その目的の一例は、携帯型電子機器の薄型化を図ると共に、ケース部材の破損を防止することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の1つの態様に係る携帯型電子機器のケース構造は、内部に収容される第1及び第2の電子部品各々の一部が貫通しない状態で挿入される四角形の第1及び第2の開口を有し、大きさが異なる第1の開口と第2の開口とが互いに連結されたケース部材と、ケース部材の第1及び第2の開口を覆う位置に配置されるカバー部材と、を備える。ケース部材には、第1及び第2の開口の各隅部に、第1及び第2の開口の内周面から第1及び第2の開口の外周側に向かって切り欠かれた凹部が形成されている。
【0012】
また、本発明に係る携帯型電子機器は、本発明の携帯型電子機器のケース構造と、電子部品が実装された回路基板と、とを備える。
【0013】
また、本発明に係る携帯型電子機器の製造方法は、内部に収納される第1及び第2の電子部品各々の一部が貫通しない状態で挿入される四角形の第1及び第2の開口を有するケース部材を形成する工程と、ケース部材の第1及び第2の開口を覆う位置に配置されるカバー部材を形成する工程と、を有する。ケース部材を形成する工程では、第1及び第2の開口の各隅部に、第1及び第2の開口の内周面から第1及び第2の開口の外周側に向かって切り欠かれた凹部を形成する。
【発明の効果】
【0014】
上述したように本発明によれば、携帯型電子機器の薄型化を図ると共に、ケース部材の破損を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施形態の携帯型電話機を示す模式図である。
図2】実施形態の携帯型電話機が備える受話部側の筐体を示す斜視図である。
図3】実施形態の携帯型電話機が備えるリアケースを示す平面図である。
図4図3に示した実施形態の携帯型電話機のA−A線に沿った断面図である。
図5】実施形態におけるリアケースの第1及び第2の開口を拡大して示す平面図である。
図6】実施形態におけるリアケースの第1及び第2の開口が有する凹部を示す拡大図である。
図7】実施形態におけるリアケースの第1の開口を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の具体的な実施形態について、図面を参照して説明する。
【0017】
本発明に係る携帯型電子機器の一例として、実施形態の携帯型電話機を説明する。図1及び図2に示すように、携帯型電話機1は、主表示板が配置された受話部側の筐体6と、操作ボタン9が配列された送話部側の筐体7と、がヒンジ部8を介して回動可能に連結されている。
【0018】
受話部側の筐体6は、一対のフロントケース11及びリアケース12と、ケース部材としてのリアケース12に組み付けられる、カバー部材としてのリアカバー13と、を備えている。フロントケース11及びリアケース12は、不透明な樹脂材料によって形成されている。リアカバー13は、リアカバー本体13aと、このリアカバー本体13aに組み付けられるリアパネル13bとを有している。リアカバー13は、リアカバー本体13aが、不透明な樹脂材料によって形成されており、リアパネル13bが、光透過性を有する樹脂材料によって形成されている。
【0019】
また、受話部側の筐体6には、図4に示すように、電子部品16が実装された回路基板15が配置されており、電子部品16がリアケース12の内部に収納されている。また、受話部側の筐体6には、主表示板17として、例えば液晶表示板や有機EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイが配置されている。この主表示板12は、フロントパネル18によって覆われている。
【0020】
図2及び図3に示すように、リアケース12には、このリアケース12の内部に収納される第1の電子部品21の一部が挿入される四角形の第1の開口26が形成されている。また、リアケース12には、回路基板15上の第2の電子部品22の一部が挿入される四角形の第2の開口27が形成されている。これら第1の開口26と第2の開口27には、図5に示すように、回路基板15の実装面に平行な方向の大きさが異なる第1及び第2の電子部品21、22がそれぞれ挿入されており、第1の開口26と第2の開口27の開口面積がそれぞれ異なっている。
【0021】
そして、第1の開口26及び第2の開口27の各隅部には、内周面から切り欠かれた凹部30がそれぞれ形成されている。このような凹部30が形成された第1及び第2の開口26、27を有するリアケース12は、樹脂材料によって一体成形されている。凹部30は、例えば図6に示すように、第1及び第2の開口26、27における隣接する2つの内周面からそれぞれ延ばした直線が交差する点Oを中心とする円弧状に形成されている。また、凹部30を形成する円弧の両端は、第1及び第2の開口26、27の内周面に弧状に滑らかに連続されている。
【0022】
このように凹部30が形成されることで、開口における応力集中する箇所を解消すると共に、開口内に配置される四角形の電子部品の角部が開口の隅部に衝突するのを防ぐことができる。したがって、携帯型電話機1の取り扱い時に、受話部側の筐体6の外部から衝撃が加わった場合であっても、リアケース12の開口が破損するのを防ぐことができる。
【0023】
なお、凹部30の形状は、上述した円弧状に限定されるものでなく、応力集中を防ぐと共に電子部品の角部が衝突するのを避けるように切り欠かれた形状であればよく、例えば、開口の隅部から開口の対角線に沿って延ばされた延長部と、この延長部の端部に形成された円弧部とを有する形状等の他の形状に形成されてもよいことは勿論である。
【0024】
また、第1の開口26及び第2の開口27は、図5に示すように、隣接する内周面の一部が、互いに連結されて形成されている。このように第1の開口26と第2の開口27が互いに連結されることで、各隅部に形成される凹部30の個数を減らせる。このため、リアケース12の成形性の向上を図り、リアケース12の成形用金型のキャビティ構造の簡素化を図ることが可能になる。
【0025】
リアケース12の第1及び第2の開口26、27内には、図4中の部分を拡大した図7に示すように、回路基板15の実装面に垂直な方向である、第1及び第2の電子部品21、22の高さ方向の一部が挿入されている。第1及び第2の電子部品21、22は、第1及び第2の開口26、27からリアパネル13b側に突出されていない。
【0026】
なお、リアケース12は、第1及び第2の開口26、27の縁部の厚みが0.8mm程度に形成されており、リアパネル13bの厚みは、1mm程度に形成されている。
【0027】
また、図3及び図4に示すように、リアケース12には、第3の電子部品23の一側面側の一部(図4中の右側の角部)が挿入される長方形状の第3の開口28が形成されている。この第3の開口28も、第1及び第2の開口26、27と同様に、各隅部に凹部30がそれぞれ形成されている。
【0028】
また、リアケース12には、第4の電子部品24の一側面側の一部(図4中の左側の角部)が挿入されるスリット状の第4の開口29が形成されている。この第4の開口29も、第1及び第2の開口26、27と同様に、各隅部に凹部30がそれぞれ形成されている。
【0029】
そして、リアケース12の第1から第4の開口26〜29は、リアカバー13のリアパネル13bによって覆われている。リアパネル13bは、リアカバー本体13aに接着剤によって接合されている。また、リアケース12は、リアパネル13bに接着剤によって接合されている。
【0030】
また、リアケース12には、図2及び図3に示すように、副表示板31及びLED32が配置されている。これら副表示板31の表示や、LED32の発光状態は、リアパネル13bを通して視認可能にされている。
【0031】
次に、以上のように構成された携帯型電話機の製造方法について説明する。
【0032】
本実施形態の製造方法は、内部に収納される第1から第4の電子部品21〜24の一部がそれぞれ挿入される第1から第4の開口26〜29を有するリアケース12を形成する工程と、リアケース12の第1から第4の開口26〜29を覆ってリアケース12に取り付けられるリアパネル13bを有するリアカバー13を形成する工程と、を有する。
【0033】
そして、リアケース12を形成する工程では、第1から第4の開口26〜29の各隅部に、各開口26〜29の内周面から切り欠かれた凹部を形成する。また、リアケース12を形成する工程では、凹部30が形成された各開口26〜29を有するリアケース12を、樹脂材料を用いて、成形用金型によって一体成形する。
【0034】
上述したように、携帯型電話機1は、第1の電子部品21の一部が挿入される四角形の第1の開口26を有するリアケース12を備え、リアケース12の第1の開口26の各隅部に、第1の開口26の内周面から切り欠かれた凹部30が形成されている。この構成によって、リアケース12の第1の開口26を、第1の電子部品21の大きさに応じた必要最小限の開口面積に形成することによってリアケース12の機械的強度が低下するのを防ぐと共に、第1の電子部品21の角部と第1の開口26の隅部との衝突を防ぐことができる。その結果、携帯型電話機1によれば、機器全体の薄型化を図ると共に、リアケース12の破損を防止することができる。
【0035】
なお、上述した実施形態では、凹部を有する開口が、リアケースに形成される構成について説明したが、リアケースに形成される構成に限定するものではなく、内部に電子部品を収納するための他の部材に形成されてもよい。例えば携帯型電話機が、フロントケース側に、回路基板を支持する支持板を配置するような構造を採る場合には、支持板に、凹部を有する開口が形成されてもよい。
【0036】
また、本発明に係る携帯型電子機器について、実施形態の携帯型電話機を挙げて説明したが、携帯型電話機に限定されるものでなく、例えばPDA(Personal Data Assistant)や、携帯型通信機器に用いられて好適である。
【符号の説明】
【0037】
1 携帯型電話機(携帯型電子機器)
6 受話部側の筐体
11 フロントケース
13 リアカバー
13b リアパネル(カバー部材)
12 リアケース(ケース部材)
21 第1の電子部品
26 第1の開口
30 凹部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7