(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項1または2に記載の方法であって、工程(d)が、前記炭水化物陽性微生物ならびに/またはその部分および/もしくは溶解物による、前記炭水化物エピトープに対する、有効な炭水化物特異的細胞性免疫応答の誘導を、CD4陽性Th1型T細胞の活性化および/または細胞傷害性CD8陽性T細胞の活性化について試験する工程を包含する、方法。
適当量の前記第2化合物を負荷された前記APCの少なくとも一部を、前記目的の炭水化物エピトープを認識する炭水化物結合分子の存在下において前記免疫細胞と接触させる、請求項4に記載の方法。
請求項1から9のいずれか1項に記載の方法であって、前記炭水化物結合分子は、Core−1に結合するか、または前記炭水化物エピトープもしくはその一部を含んでいる炭水化物構造に結合する抗体を含む群から選択される、
方法。
適当量の前記化合物を負荷された前記APCの少なくとも一部を、前記目的の炭水化物を認識する炭水化物結合分子の存在下において前記免疫細胞と接触させる、請求項11に記載の方法。
目的の炭水化物エピトープに対する機能的樹状細胞を産出するための方法であって、適当量の樹状細胞を、該目的の炭水化物エピトープを含む適当量の炭水化物陽性微生物またはその部分もしくは溶解物と、適当な時間にわたって適当な条件下で、接触させることによって、該炭水化物エピトープに対する少なくとも1つの機能的樹状細胞を産出する工程を包含し、該機能的樹状細胞が、ヒトの血液もしくは骨髄由来のCD34陽性前駆細胞、CD14陽性単球細胞、ランゲルハンス細胞型の樹状細胞、ならびに、樹状細胞株起源の樹状細胞からなる群より得られ、該炭水化物エピトープがCore−1であり、かつ、該方法はヒトの体内で行われない、方法。
請求項15に記載の方法によって産出される活性化されたT細胞、T細胞クローンまたはT細胞株であって、ここで、該活性化されたT細胞、T細胞クローンまたはT細胞株は、前記炭水化物エピトープに向けられたものである、活性化されたT細胞、T細胞クローンまたはT細胞株。
ヒト細胞または動物細胞由来の分子上に存在する炭水化物エピトープに対して、ヒトまたは動物を免疫するかまたはワクチン接種するための薬学的組成物の調製のための、請求項14に記載の機能的樹状細胞の使用であって、該組成物は、有効量で投与され、該機能的樹状細胞は、目的の該炭水化物エピトープに向けられたものであり、そして、該細胞による、該炭水化物エピトープ、および/または該炭水化物エピトープを含んでいる、炭水化物構造、炭水化物結合体もしくは哺乳動物細胞に対する免疫応答(プライミング)が該ヒトまたは動物において誘導され;そして
該組成物は、該免疫応答を追加免疫するために、該炭水化物エピトープを特異的に認識する少なくとも1つの炭水化物結合分子によって認識される少なくとも1つの炭水化物陽性微生物またはその部分もしくは溶解物を含んでいる有効量の調合物と組み合わせて投与され、該炭水化物エピトープ、および/または該炭水化物エピトープを含んでいる、炭水化物構造、炭水化物結合体もしくは哺乳動物細胞に対して有効な炭水化物特異的細胞性免疫応答が誘導されることを特徴とする、使用。
ヒト細胞または動物細胞由来の分子上に存在する炭水化物エピトープに対して、ヒトまたは動物を免疫するかまたはワクチン接種するための薬学的組成物の調製のための、請求項16に記載の活性化されたT細胞、T細胞クローンまたはT細胞株の使用であって、該組成物は、有効量で投与され、該活性化されたT細胞、T細胞クローンまたはT細胞株は、目的の該炭水化物エピトープに向けられたものであり、そして、該細胞による、該炭水化物エピトープ、および/または該炭水化物エピトープを含んでいる、炭水化物構造、炭水化物結合体もしくは哺乳動物細胞に対する免疫応答(プライミング)が該ヒトまたは動物において誘導され;そして
該組成物は、該免疫応答を追加免疫するために、該炭水化物エピトープを特異的に認識する少なくとも1つの炭水化物結合分子によって認識される少なくとも1つの炭水化物陽性微生物またはその部分もしくは溶解物を含んでいる有効量の調合物と組み合わせて投与され、該炭水化物エピトープ、および/または該炭水化物エピトープを含んでいる、炭水化物構造、炭水化物結合体もしくは哺乳動物細胞に対して有効な炭水化物特異的細胞性免疫応答が誘導されることを特徴とする、使用。
ヒト細胞または動物細胞由来の分子上に存在する炭水化物エピトープに対して、ヒトまたは動物を免疫するかまたはワクチン接種するための組成物であって、該組成物は、請求項14に記載の機能的樹状細胞を含み、該組成物は、有効量で投与され、該機能的樹状細胞は、目的の該炭水化物エピトープに向けられたものであり、そして、該細胞による、該炭水化物エピトープ、および/または該炭水化物エピトープを含んでいる、炭水化物構造、炭水化物結合体もしくは哺乳動物細胞に対する免疫応答(プライミング)が該ヒトまたは動物において誘導され;そして
該組成物は、該免疫応答を追加免疫するために、該炭水化物エピトープを特異的に認識する少なくとも1つの炭水化物結合分子によって認識される少なくとも1つの炭水化物陽性微生物またはその部分もしくは溶解物を含んでいる有効量の調合物と組み合わせて投与され、該炭水化物エピトープ、および/または該炭水化物エピトープを含んでいる、炭水化物構造、炭水化物結合体もしくは哺乳動物細胞に対して有効な炭水化物特異的細胞性免疫応答が誘導されることを特徴とする、組成物。
ヒト細胞または動物細胞由来の分子上に存在する炭水化物エピトープに対して、ヒトまたは動物を免疫するかまたはワクチン接種するための組成物であって、該組成物は、請求項16に記載の活性化されたT細胞、T細胞クローンまたはT細胞株を含み、該組成物は、有効量で投与され、該活性化されたT細胞、T細胞クローンまたはT細胞株は、目的の該炭水化物エピトープに向けられたものであり、そして、該細胞による、該炭水化物エピトープ、および/または該炭水化物エピトープを含んでいる、炭水化物構造、炭水化物結合体もしくは哺乳動物細胞に対する免疫応答(プライミング)が該ヒトまたは動物において誘導され;そして
該組成物は、該免疫応答を追加免疫するために、該炭水化物エピトープを特異的に認識する少なくとも1つの炭水化物結合分子によって認識される少なくとも1つの炭水化物陽性微生物またはその部分もしくは溶解物を含んでいる有効量の調合物と組み合わせて投与され、該炭水化物エピトープ、および/または該炭水化物エピトープを含んでいる、炭水化物構造、炭水化物結合体もしくは哺乳動物細胞に対して有効な炭水化物特異的細胞性免疫応答が誘導されることを特徴とする、組成物。
炭水化物エピトープ陽性の腫瘍または疾患を予防および/または処置するための薬学的組成物の調製のための、請求項14に記載の機能的樹状細胞の使用であって、該組成物は、該炭水化物エピトープに対する、適当量で投与されることを特徴とする、使用。
炭水化物エピトープ陽性の腫瘍または疾患を予防および/または処置するための薬学的組成物の調製のための、請求項16に記載の活性化されたT細胞、T細胞クローンまたはT細胞株の使用であって、該組成物は、該炭水化物エピトープに対する、適当量で投与されることを特徴とする、使用。
炭水化物エピトープ陽性の腫瘍または疾患を予防および/または処置するための組成物であって、該組成物は、請求項14に記載の機能的樹状細胞を含み、該組成物は、該炭水化物エピトープに対する、適当量で投与されることを特徴とする、組成物。
炭水化物エピトープ陽性の腫瘍または疾患を予防および/または処置するための組成物であって、該組成物は、請求項16に記載の活性化されたT細胞、T細胞クローンまたはT細胞株を含み、該組成物は、該炭水化物エピトープに対する、適当量で投与されることを特徴とする、組成物。
【発明を実施するための形態】
【0030】
好ましい実施形態によれば、前記方法は、前記微生物ならびに/またはその部分および/もしくは溶解物による前記炭水化物エピトープに対する炭水化物特異的で有効な細胞性免疫応答および/または液性免疫応答の誘導をインビボまたはインビトロにおいて試験する工程をさらに包含する。この好ましい実施形態によれば、前記炭水化物陽性微生物は、目的の炭水化物エピトープおよび/または前記炭水化物エピトープが陽性である腫瘍細胞を認識する少なくとも1つのヒトまたは動物において、目的の炭水化物エピトープに対する免疫応答を誘導するか、または増強する。上記微生物が、目的の炭水化物エピトープ陽性であるという事実があるので、同定された微生物が投与されると、目的の炭水化物エピトープに対する免疫応答が誘導/増強される。これにより、例えば、目的の炭水化物エピトープを有する新たに生じる腫瘍細胞が排除され得、それによって、原発腫瘍の成長が予防される免疫学的監視のメカニズム、および/または免疫系が強化され、そして/もしくは免疫応答を改善する免疫学的監視のメカニズムが確立される。
【0031】
ゆえに、好ましい実施形態によれば、工程(d)は、前記炭水化物陽性微生物ならびに/またはその部分および/もしくは溶解物による、前記炭水化物エピトープに対する有効な炭水化物特異的細胞性免疫応答の誘導を、CD4陽性Th1型T細胞の活性化および/または細胞傷害性CD8陽性T細胞の活性化について、好ましくは、少なくとも1つの動物もしくはヒトおよび/またはインビトロにおいて試験する工程を包含する。
【0032】
1つの実施形態によれば、工程(d)において行われる前記細胞性免疫応答試験は、
i.)少なくとも1つの樹状細胞に、工程(a)〜(c)において同定された炭水化物陽性細胞を負荷する工程;
ii.)前記炭水化物陽性微生物を負荷された適当量の前記少なくとも1つの樹状細胞を、樹状細胞によって活性化され得るかまたは抑制され得る適当量の免疫細胞と接触させる工程;
iii.)前記免疫細胞と前記負荷された樹状細胞との相互作用を可能にするために培養する工程;
iv.)その炭水化物陽性微生物と同じ炭水化物エピトープを有する適当量の少なくとも1つの第2化合物を負荷された適当量の抗原提示細胞(APC)を加える工程(第2化合物は、前記炭水化物陽性微生物と異なる);
v.)前記免疫細胞の再刺激のために培養する工程、
vi.)その免疫細胞の再刺激が生じたか否かを測定する工程;
を包含する。
【0033】
この細胞応答試験を行うことによって、前記炭水化物陽性微生物に存在するある特定の炭水化物エピトープが、細胞性免疫応答を引き起こすことができるか否かを測定することができる。これまで、従来技術では、炭水化物は細胞性免疫応答を引きこすことができないと考えられていた。しかしながら、現在、ある特定の炭水化物エピトープが、細胞性免疫応答を誘発することができると見出された。よって、本発明の方法によって同定された炭水化物陽性微生物が、実際に各々の細胞性応答を引き起こすことができ、それによって、前記微生物が例えば治療に適しているか否かを測定するための試験システムを提供することが重要である。樹状細胞は、T細胞などの免疫細胞をプライミングする、そして例えば刺激することができるので、前記試験は、樹状細胞を使用する。樹状細胞は、遭遇した化合物をプロセッシングし、そのプロセッシングされた化合物/抗原を樹状細胞の表面上に提示する。しかしながら、樹状細胞などのMHC細胞は、ある特定の種類の抗原を提示することしかできず、そのような抗原/エピトープだけしか細胞性免疫応答を誘発することができないので、目的の抗原/エピトープが樹状細胞によって提示され得るか否かを測定することが重要である。
【0034】
従って、樹状細胞に、工程(a)〜(c)において同定された炭水化物陽性微生物を負荷する。負荷に適した条件は、本明細書中で記載される。
【0035】
次いで、前記負荷された樹状細胞を、免疫細胞、特にT細胞などのリンパ球と接触させる。この免疫細胞は、例えば、ヒトドナーから入手され得る。その免疫細胞のレセプターとマッチする抗原を提示している樹状細胞は、リンパ球を活性化し、そして刺激することによって、リンパ球の増殖および生存が可能になる。その樹状細胞によって提示される抗原とマッチしないリンパ球は、活性化されず、死滅する。
【0036】
この1回目の刺激によって、前記負荷された樹状細胞によって提示される任意の対応する抗原に特異的な活性化リンパ球がもたらされる。しかしながら、本工程の目的は、炭水化物陽性微生物が、炭水化物エピトープに特異的な細胞性応答を刺激することができるか否かを同定することである。
【0037】
ゆえに、炭水化物陽性微生物の炭水化物エピトープがリンパ球を刺激し、そして細胞性応答を引き起こすか否かを測定するために、そのリンパ球を再刺激する選択工程を行う。前記選択工程では、例えば樹状細胞などの抗原提示細胞に、目的の炭水化物を有する第2化合物を負荷する。しかしながら、前記第2化合物は、上記炭水化物陽性微生物とは異なるものである。この第2化合物もまた、APCによってプロセッシングされ、前記APCによってその抗原が提示される。第2化合物は、炭水化物陽性微生物とは異なるものであるので、提示されるほとんどの抗原、好ましくはすべての抗原が、目的の炭水化物のほかに、1回目において提示される抗原とは異なる。このことは、それらのリンパ球だけが、前記APCによって提示されるマッチする抗原を見つけ出す2回目の再刺激に対して生き残るという効果を有する。目的の炭水化物エピトープを含むかまたは目的の炭水化物エピトープからなる抗原を提示する1回目の樹状細胞ならびに2回目のAPCの両方の場合において、前記抗原を認識するリンパ球が刺激され、そしてそれらがまた再刺激されるとき生き残る。目的の炭水化物エピトープを有する前記第2化合物を負荷された前記APCと接触するとき、マッチするパートナーが見つからないこれらのリンパ球は、再刺激されないことに起因して死滅する。この選択工程によって、目的の炭水化物に対する細胞性応答の検出が確実になる。
【0038】
本発明と組み合わせて使用することができる、提供される試験システムに関するさらなる実施形態は、請求項および以下に記載される。
【0039】
前記方法によって同定された炭水化物陽性微生物は、記載される特徴および利点を有し、本発明による調合物において使用され得る。本発明による調合物は、予防的および/もしくは治療的な目的に使用され得、そして/または免疫学的活性を支援する際に使用され得る。
【0040】
本発明は、薬学組成物および栄養補助食品として使用され得、そして全身性投与(例えば、腹腔内、静脈内、皮内、皮下が挙げられるがこれらに限定されない)を含む一連の様々な投与経路によって、なおもさらに驚いたことに、微生物またはその部分を、経口経路を介して投与するときでさえも全身性免疫応答を媒介する経口投与を介して、ヒト細胞もしくは動物細胞上の炭水化物エピトープまたは疾患に対する免疫応答を誘導することができる調合物も提供する。
【0041】
本発明の調合物は、ヒト細胞または動物細胞由来の分子上に存在する炭水化物エピトープと結合する少なくとも1つの炭水化物結合分子によって特異的に結合される少なくとも1つの微生物またはその部分もしくは溶解物を含む栄養補助食品または薬学組成物であり、前記微生物またはその部分もしくは溶解物あるいは前記調合物、前記栄養補助食品または前記薬学組成物は、少なくとも1つの動物またはヒトにおいて前記炭水化物抗原に対する有効な炭水化物特異的細胞性免疫応答、好ましくは、細胞傷害性T細胞応答を誘導する。
【0042】
本発明の1つの実施形態において、本発明の調合物は、栄養補助食品であり得、ある特定の炭水化物エピトープまたは炭水化物抗原に関連する疾患に対して特異的な免疫防御を誘導するための手段を提供する。このことは、抗原特異的免疫応答をもたらすのではなく、全体的に非特異的な免疫系の誘導をもたらす従来のプロバイオティクスおよびプレバイオティクスとは対照的なものである。栄養補助食品として本発明の調合物を使用することは、従来のワクチン接種ストラテジーと比べていくつかの利点がある。その1つは、患者またはそれを使用する者にとって重要な便利さである。その免疫刺激は、炭水化物エピトープまたは炭水化物抗原に特異的であり、そのような疾患の発症を予防するか、阻害するか、もしくは減少させるため、またはその疾患の他の治療もしくはある治療と併用して使用するために、特異的な免疫防御を構築する疾患または腫瘍が確立される前に十分に誘導され得る。ゆえに、重篤な副作用を伴う侵襲性の治療(例えば、化学療法、放射線治療または手術)を回避することができる。好ましい実施形態において、個体は、疾患の予防を積極的に遂行するために必ずしも医師を訪れなくてもよいが、食品に組み込まれた必要な調合物を手に入れることによって、他の予防の可能性に対する心理的障壁を小さくすることができる。
【0043】
本発明の薬学組成物は、炭水化物または炭水化物マーカーが重要な役割を果たす、非常に医療ニーズのある疾患を標的にすることができるという利点も有する。
【0044】
限定するつもりはないが、そのような疾患および関連するヒト炭水化物エピトープの例を表1に列挙する。
【0045】
【表1】
しかしながら、炭水化物エピトープは、他の徴候にも適切な場合がある(例えば、肺癌、肝臓癌、胃癌、腎臓癌、前立腺癌に対するTFならびに腎臓および肝臓癌に対するCore−1が挙げられるがこれらに限定されない)。
【0046】
驚いたことに、本発明の調合物は、ヒトまたは動物における投与後に、炭水化物陽性の疾患または腫瘍細胞に対する免疫学的監視メカニズムとして作用する。本発明の調合物は、ヒトまたは動物に適用された炭水化物抗原の発現を特徴とする疾患または腫瘍細胞の発生を予防するか、または減少させる炭水化物特異的な免疫応答を、ヒトまたは動物において誘導するか、または増強する。
【0047】
本発明の調合物は、高度に特異的な抗炭水化物抗体価、および/または、なおもさらに驚いたことに、前記炭水化物エピトープを含んでいる、炭水化物抗原または炭水化物構造、炭水化物結合体もしくは哺乳動物細胞を認識する有効な炭水化物特異的細胞性免疫応答を誘導する。適当な炭水化物陽性微生物は、本明細書中に記載されるスクリーニング方法および試験システムを用いて同定され得る。
【0048】
本調合物の生物学的な性質に起因して、本調合物の製造は、従来の免疫治療の調合物の製造ほど高価でないし、時間がかかるものではない。
【0049】
驚いたことに、本発明の調合物は、体内アジュバント特性を有し、ゆえに、さらなるアジュバント(adjuvances)または免疫増強キャリアが、すべての場合において必要ではない。
【0050】
A)栄養補助食品および薬学組成物
本発明は、栄養補助食品および薬学組成物を含む群から選択される調合物を提供し、本調合物は、ヒト細胞または動物細胞由来の分子上に存在する炭水化物エピトープ、またはその部分もしくは溶解物を特異的に認識する少なくとも1つの炭水化物結合分子と接触する際に、それらの分子に認識され、そして結合される少なくとも1つの炭水化物陽性微生物を含み、ここで、前記微生物、前記部分もしくは前記溶解物またはそれらを含む前記調合物は、前記炭水化物エピトープおよび/または前記炭水化物エピトープを含んでいる、炭水化物構造、炭水化物結合体もしくは哺乳動物細胞に対する有効な炭水化物特異的細胞性免疫応答を誘導する。
【0051】
本発明の1つの重要な局面は、その炭水化物陽性微生物および/またはその炭水化物陽性の溶解物もしくは部分が、少なくとも1つの炭水化物結合分子、好ましくは炭水化物エピトープ特異的抗体によって認識されることである。それ故、その炭水化物陽性微生物および/またはその炭水化物陽性の溶解物もしくは部分は、前記炭水化物結合分子と接触する際に、炭水化物結合分子によって特異的に結合される。それ故、目的の炭水化物エピトープと類似または同一の炭水化物構造(好ましくはヒト炭水化物エピトープ)は、本発明の炭水化物陽性微生物において前記炭水化物結合分子に対して接近可能であり、他の構造によって「隠されて」いない。試験の際に(適当な試験は以下で記載する)測定され得るこの重要な特徴は、炭水化物陽性微生物および/またはその炭水化物陽性の部分もしくは溶解物が、目的の炭水化物エピトープを有し、ゆえに、目的の炭水化物エピトープと少なくとも免疫化学的に実質的に同一であり、目的の炭水化物エピトープと単に似ているだけのエピトープではないことを保証する。この特徴は、目的の炭水化物エピトープに対して十分に特異的な前記炭水化物陽性微生物によって確実に免疫応答が引き起こされるために重要である。微生物が目的の炭水化物エピトープを有しているか否かを測定するために使用され得るそのような炭水化物結合分子は、例えば、腫瘍(関連する周辺)における炭水化物エピトープを特異的に認識する。天然では炭水化物陽性ではないが、化学的な処理(例えば、過ヨウ素酸塩処理など)によって炭水化物陽性微生物に変換され得る微生物もまた含まれる。それぞれの微生物が、化学的な処理に起因して、炭水化物結合分子によって認識され、炭水化物陽性微生物に変換される場合、それらの微生物は、本発明の調合物の成分として、例えば、過ヨウ素酸塩処理(Core−1を露出させた)後に使用され得る。
【0052】
本発明の好ましい実施形態において、前記有効な炭水化物特異的細胞性免疫応答の前記誘導は、少なくとも1つのヒトまたは動物において生じる。
【0053】
本発明の別の好ましい実施形態において、前記有効な炭水化物特異的細胞性免疫応答の前記誘導は、インビトロにおいて行われる。
【0054】
本発明の好ましい実施形態において、前記有効な炭水化物特異的細胞性免疫応答は、前記炭水化物エピトープ、および/または前記炭水化物エピトープを含んでいる、炭水化物構造、炭水化物結合体もしくは哺乳動物細胞に向けられた、Th1型のCD4陽性T細胞の活性化および/またはCD8陽性細胞傷害性T細胞の活性化を包含する。
【0055】
本発明の好ましい実施形態において、前記有効な炭水化物特異的細胞性免疫応答は、前記炭水化物エピトープ、および/または前記炭水化物エピトープを含んでいる、炭水化物構造、炭水化物結合体もしくは哺乳動物細胞に向けられた、Th1型のCD4陽性T細胞の活性化およびCD8陽性細胞傷害性T細胞の活性化を包含する。
【0056】
本発明は、ヒトまたは動物の炭水化物エピトープならびに/またはその溶解物および/もしくは部分を提示する微生物を含んでいる調合物を提供し、その調合物は、有効な炭水化物特異的免疫応答、より好ましくは、有効な炭水化物特異的細胞性免疫応答を誘導し、なおもより好ましくは、前記細胞性免疫応答は、Th1ヘルパーT細胞および細胞傷害性T細胞の活性化を包含する。
【0057】
好ましい実施形態において、本発明は、栄養補助食品および薬学組成物を含む群から選択される調合物を提供し、その調合物は、ヒト細胞または動物細胞由来の分子上に存在する炭水化物エピトープまたはその部分もしくは溶解物と結合する少なくとも1つの炭水化物結合分子によって特異的に結合される少なくとも1つの微生物を含み、ここで、前記微生物またはその部分もしくは溶解物あるいは前記調合物、前記栄養補助食品もしくは前記薬学組成物は、前記炭水化物エピトープ、および/または前記炭水化物エピトープを含んでいる、炭水化物構造、炭水化物結合体もしくは哺乳動物細胞に対する有効な炭水化物特異的細胞性免疫応答を誘導する。
【0058】
別の好ましい実施形態において、本発明は、少なくとも1つの、ヒトまたは動物の炭水化物エピトープならびに/またはその溶解物および/もしくは部分を有しているか、または提示している少なくとも1つの微生物を含む栄養補助食品を提供し、その栄養補助食品は、有効な炭水化物特異的免疫応答、より好ましくは、前記炭水化物エピトープまたは前記炭水化物エピトープを含んでいる、炭水化物構造、炭水化物結合体もしくは哺乳動物細胞に対する有効な炭水化物特異的細胞性免疫応答を誘導し、さらにより好ましくは、前記細胞性免疫応答は、Th1ヘルパーT細胞および細胞傷害性T細胞の活性化を包含する。
【0059】
好ましい実施形態において、本発明は、少なくとも1つの、ヒトまたは動物の炭水化物エピトープならびに/またはその溶解物および/もしくは部分を有しているか、または提示している少なくとも1つの微生物を含む薬学組成物を提供し、その薬学組成物は、前記炭水化物エピトープ、または前記炭水化物エピトープを含んでいる、炭水化物構造、炭水化物結合体もしくは哺乳動物細胞に対する有効な炭水化物特異的免疫応答、より好ましくは、有効な炭水化物特異的細胞性免疫応答を誘導し、さらにより好ましくは、前記細胞性免疫応答は、Th1ヘルパーT細胞および細胞傷害性T細胞の活性化を包含する。
【0060】
好ましくは、本発明の薬学組成物は、ヒトまたは動物の炭水化物エピトープを発現している疾患細胞の発生を予防するか、もしくは減少させるため、および/または、前記細胞(例えば、ヒトもしくは動物の炭水化物エピトープを発現しているか、または含んでいる腫瘍細胞あるいは癌細胞が挙げられるがこれらに限定されない)の拡散または転移を予防するか、もしくは減少させるために、使用される。
【0061】
本発明の別の実施形態において、本薬学組成物は、ヒトもしくは動物の炭水化物エピトープを発現している疾患または腫瘍を処置するために使用される。
【0062】
本発明の好ましい実施形態において、本発明の栄養補助食品または薬学組成物は、特異性を仲介する炭水化物エピトープまたはその一部の存在を特徴とする細胞または疾患に対するワクチンとして使用される。
【0063】
炭水化物エピトープと関連するか、または炭水化物エピトープを発現している前記疾患または腫瘍は、本明細書中の別の箇所において列挙されている。
【0064】
本発明の薬学調合物は、少なくとも1つの炭水化物陽性微生物および薬学的に許容可能なキャリアを含む。本発明の調合物(例えば、炭水化物陽性微生物を含む薬物)の調製および投与は、公知の技術に従う。例えば、本調合物は、従来のガレノス(galenic)アジュバントと組み合わされて、所望の適用方法に適した組成物を形成され得る。例えば、本発明の化合物は、従来の賦形剤、すなわち、非経口または経腸的な適用に適した、活性な化合物と有害に反応しない薬学的に許容可能な有機または無機キャリア物質との混合物において使用され得る。適当な薬学的に許容可能なキャリアとしては、水、塩溶液、アルコール、植物油、ポリエチレングリコール、ゼラチン、ラクトース、アミロース、ステアリン酸マグネシウム、粘稠性パラフィン、香油、脂肪酸モノグリセリドおよび脂肪酸ジグリセリド、ペンタエリスリトール(pentaeyritol)脂肪酸エステル、ヒドロキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、タルクなどが挙げられるがこれらに限定されない。
【0065】
本発明の栄養補助食品または薬学組成物は、様々な適用経路または投与経路を介してヒトまたは動物に投与され得る。本発明の意味における好ましい投与経路は、本明細書中の別の箇所で記載される。
【0066】
本発明の好ましい実施形態において、本栄養補助食品または本薬学組成物は、ヒトまたは動物に経口的に適用される。
【0067】
本発明は、ヒト細胞または動物細胞由来の分子上に存在する炭水化物エピトープまたはその部分もしくは溶解物を特異的に認識する少なくとも1つの炭水化物結合分子によって結合される少なくとも1つの微生物を含んでいる、栄養補助食品および薬学組成物を含む群から選択される調合物を提供し、ここで、前記微生物、前記部分もしくは前記溶解物またはそれらを含む前記調合物は、少なくとも1つの動物またはヒトにおいて前記炭水化物エピトープに対して有効な炭水化物特異的細胞性免疫応答を誘導する。それゆえ、本明細書中の別の箇所において、炭水化物エピトープに対する免疫応答は、前記炭水化物エピトープを含む炭水化物構造、炭水化物結合体または哺乳動物細胞に対する免疫応答のことも意味する。
【0068】
好ましい実施形態において、前記調合物は、ヒトまたは動物において前記炭水化物エピトープに対して特異的な免疫応答を誘導するかまたは増強する。
【0069】
好ましい実施形態において、前記調合物は、ヒトまたは動物において前記炭水化物エピトープに対して特異的な免疫応答を誘導するかまたは増強し、ここで、前記炭水化物エピトープは、ヒトまたは動物における疾患と関連する。
【0070】
別の好ましい実施形態において、前記炭水化物エピトープに対する前記特異的な免疫応答は、前記炭水化物エピトープに対する液性免疫応答を包含する。
【0071】
前記炭水化物エピトープに対する前記液性免疫応答は、ヒトまたは動物において炭水化物特異的な抗体の産生をもたらし、以下で記載されるような液性免疫応答試験によって測定され得る。液性免疫応答の増強とは、本発明の調合物を投与した後の、前記炭水化物エピトープに対する、既に存在する抗体価の上昇を意味する。
【0072】
別の好ましい実施形態において、前記炭水化物エピトープに対する前記特異的免疫応答は、前記炭水化物エピトープに対する有効な炭水化物特異的細胞性免疫応答を包含する。
【0073】
別の好ましい実施形態において、前記有効な炭水化物特異的細胞性免疫応答は、前記炭水化物エピトープに向けられた、Th1型のCD4陽性T細胞の活性化およびCD8陽性細胞傷害性T細胞の活性化を包含する。
【0074】
別の好ましい実施形態において、前記炭水化物エピトープに対する前記特異的な免疫応答は、前記炭水化物エピトープに対する、炭水化物特異的で有効な細胞性免疫応答および液性免疫応答を包含する。
【0075】
本発明の好ましい実施形態において、炭水化物エピトープは、TF、Core−1、Tn、シアリル−Tn、シアリル−TF、Globo−H、Lewis−Y、シアリル−Lewis−A、シアリル−Lewis−X、ポリシアル酸、Lewis−X、GM2、GD2、GD3、9−O−アセチルGD3、9−O−アセチルGD2、GD3L、フコシルGM1、FucosylGM1、Lewis−A、Lewis B、sLac、シアル酸が付いた1型鎖、CA19−9抗原、CA72−4抗原およびCA−50抗原を含む群から選択される。
【0076】
本発明の好ましい実施形態において、炭水化物結合分子は、TF、Core−1、Tn、シアリル−Tn、シアリル−TF、Globo−H、Lewis−Y、シアリル−Lewis−A、シアリル−Lewis−X、ポリシアル酸、Lewis−X、GM2、GD2、GD3、9−O−アセチルGD3、9−O−アセチルGD2、GD3L、フコシルGM1、Lewis−A、Lewis−B、sLac、シアル酸が付いた1型鎖、CA19−9抗原、CA72−4抗原もしくはCA−50に結合するか、またはこれらの炭水化物構造もしくはその一部のいずれかを含むエピトープに結合する、少なくとも1つのレクチン、少なくとも1つのセレクチン、ならびに/または、少なくとも1つの抗体および/もしくはそれら由来の少なくとも1つの分子を含む群から選択される。
【0077】
好ましい実施形態において、本発明は、栄養補助食品および薬学組成物を含む群から選択される調合物を提供し、その調合物は、ヒト細胞または動物細胞由来の分子上に存在する炭水化物エピトープまたはその部分もしくは溶解物を特異的に認識する少なくとも1つの炭水化物結合分子によって結合される少なくとも1つの炭水化物陽性微生物を含んでおり、ここで、前記微生物、前記部分もしくは前記溶解物またはそれらを含む前記調合物は、少なくとも1つの動物またはヒトにおいて、前記炭水化物エピトープ、および/または前記炭水化物エピトープを含んでいる、炭水化物構造、炭水化物結合体もしくは哺乳動物細胞に対して有効な炭水化物特異的細胞性免疫応答を誘導し;ここで
(i)前記有効な炭水化物特異的細胞性免疫応答は、前記炭水化物エピトープならびに/または前記炭水化物エピトープを含んでいる、炭水化物構造、炭水化物結合体もしくは哺乳動物細胞に向けられた、Th1型のCD4陽性T細胞の活性化および/またはCD8陽性細胞傷害性T細胞の活性化を包含し、そして
(ii)炭水化物エピトープは、TF、Core−1、Tn、シアリル−Tn、シアリル−TF、Globo−H、Lewis−Y、シアリル−Lewis−A、シアリル−Lewis−X、ポリシアル酸、Lewis−X、GM2、GD2、GD3、9−O−アセチルGD3、GD3L、フコシルGM1、FucosylGM1、Lewis−A、Lewis−B、sLac、シアル酸が付いた1型鎖、CA19−9抗原、CA72−4抗原およびCA−50抗原を含む群から選択され、そして
(iii)炭水化物結合分子は、TF、Core−1、Tn、シアリル−Tn、シアリル−TF、Globo−H、Lewis−Y、シアリル−Lewis−A、シアリル−Lewis−X、ポリシアル酸、Lewis−X、GM2、GD2、GD3、9−O−アセチルGD3、GD3L、フコシルGM1、FucosylGM1、Lewis−A、Lewis−B、sLac、シアル酸が付いた1型鎖、CA19−9抗原、CA72−4抗原もしくはCA−50抗原に結合するか、またはこれらの炭水化物エピトープもしくはその一部のいずれかを含んでいる炭水化物構造に結合する、レクチン、セレクチン、ならびに/または抗体および/もしくはそれら由来の分子を含む群から選択される。
【0078】
限定するつもりはないが、炭水化物構造および対応する炭水化物結合分子の例を表2に列挙する。
【0080】
【表2-2】
前記炭水化物陽性微生物ならびにその炭水化物陽性微生物の部分および溶解物ならびにそれらの組み合わせは、定義の項および本明細書中の別の箇所において詳細に記載されており、前記微生物またはその部分を同定するためおよび分離するための方法も同様である。
【0081】
さらなる好ましい実施形態において、本発明は、少なくとも1つのヒトまたは動物において、炭水化物エピトープに対する炭水化物特異的免疫応答を誘導するかまたは増強する、少なくとも1つの炭水化物陽性微生物またはその部分もしくは溶解物を含んでいる栄養補助食品または薬学組成物を提供し、その栄養補助食品または薬学組成物は、前記炭水化物エピトープを有するかまたは含んでいる癌細胞を破壊する能力を有することによって炭水化物エピトープ陽性の癌細胞に対する防御として機能する。
【0082】
炭水化物エピトープ陽性の癌細胞とは、本発明の意味において、前記炭水化物エピトープを発現するか、有するか、もしくは含んでいるか、または前記炭水化物エピトープを産生するか、またはその炭水化物エピトープと関連する、癌細胞のことを意味する。
【0083】
さらに好ましい実施形態において、本発明は、少なくとも1つのヒトまたは動物において炭水化物特異的免疫応答を誘導するかまたは増強する少なくとも1つの炭水化物陽性微生物またはその部分もしくは溶解物を含んでいる、栄養補助食品または薬学調合物を提供し、その栄養補助食品または薬学調合物は、前記炭水化物エピトープに関連する疾患由来の細胞を破壊する能力を有することによって前記細胞に対する防御として機能する。
【0084】
本発明のさらに好ましい実施形態において、上記栄養補助食品は、(少なくとも1つの)健常な個体において栄養補助食品を経口的に投与することによって、上に記載されたような炭水化物細胞を破壊する能力を有する、炭水化物細胞に対する防御として機能する前記炭水化物特異的な免疫応答をもたらすために使用される。
【0085】
さらに好ましい実施形態において、本発明の栄養補助食品は、少なくとも1つの健常な個体において栄養補助食品を経口的に投与することによって、炭水化物陽性の疾患または腫瘍の発生を減少させるか、またはなおもさらに好ましくは予防するために使用される。
【0086】
本発明の好ましい実施形態において、少なくとも1つの炭水化物陽性微生物またはその部分もしくは溶解物を含んでいる薬学組成物は、本明細書中に示されるような炭水化物エピトープ陽性癌細胞を破壊する能力を有することによってそのような癌細胞に対する防御として機能する炭水化物特異的な免疫応答をもたらすために使用され、その破壊する能力とは、例えば、炭水化物エピトープ特異的抗体の誘導、炭水化物エピトープ陽性の腫瘍細胞を効率的に殺滅する、それらの細胞に対する炭水化物エピトープ抗体の炭水化物(arbohydrate)エピトープ特異的補体依存性細胞傷害の誘導、または、実施例に示されるような、および本明細書中に記載されるような、炭水化物エピトープ特異的T細胞応答によるTNFαおよび/もしくはINFγの分泌(炭水化物エピトープを有する腫瘍細胞に対して特異的な細胞傷害性T細胞媒介性の腫瘍細胞殺滅のための当業者によって科学的に認識されている代用マーカー)である。
【0087】
本発明の栄養補助食品または薬学組成物は、少なくとも1つのヒトまたは動物において炭水化物陽性の疾患または腫瘍を処置するために使用される。
【0088】
本発明の好ましい実施形態において、少なくとも1つの炭水化物陽性微生物またはその部分を含んでいる栄養補助食品は、炭水化物陽性の疾患に罹患している患者においてその栄養補助食品を経口的に投与することによって、その炭水化物陽性の疾患または腫瘍を処置するために使用される。
【0089】
本発明の好ましい実施形態において、少なくとも1つの炭水化物陽性微生物またはその部分を含んでいる薬学組成物は、炭水化物陽性の疾患に罹患している患者においてこの炭水化物陽性の疾患または腫瘍を処置するために使用される。
【0090】
さらに好ましい実施形態において、本発明の栄養補助食品または薬学組成物は、炭水化物陽性の疾患または腫瘍あるいは転移を減少させるためか、またはなおもより好ましくは予防するために、使用される。
【0091】
さらに好ましい実施形態において、本発明は、少なくとも1つのヒトまたは動物において、少なくとも1つの炭水化物陽性微生物またはその部分を含んでいる栄養補助食品または薬学組成物を投与したときに、炭水化物陽性の疾患または腫瘍の拡散または転移を減少させるか、または予防する、栄養補助食品または薬学組成物を提供する。
【0092】
さらに好ましい実施形態において、本発明は、炭水化物エピトープに関連する、ヒトまたは動物の疾患の予防および処置のために使用される、少なくとも1つの炭水化物陽性微生物またはその部分を含んでいる栄養補助食品または薬学組成物を含む群から選択される調合物を提供する。
【0093】
さらに好ましい実施形態において、本発明は、薬学組成物を提供し、その薬学組成物は、腫瘍の拡散もしくは転移もしくは転移の拡散、あるいは炭水化物エピトープ陽性の腫瘍もしくは腫瘍細胞の再発期間を予防するためまたは低減するためか、生活の質または生存の中央値または再発時間の割合を改善するためか、あるいは、炭水化物エピトープ陽性腫瘍に罹患している患者において本薬学組成物を投与することによって、炭水化物エピトープ陽性腫瘍を有しているか、または有していた腫瘍患者を処置するために、使用される。
【0094】
本発明のさらに好ましい実施形態において、栄養補助食品または薬学組成物は、少なくとも2つの異なる炭水化物陽性微生物またはその部分を含む。
【0095】
本発明の別の好ましい実施形態において、栄養補助食品または薬学組成物は、少なくとも2つの異なる炭水化物陽性微生物またはその部分を含み、ここで、その炭水化物陽性微生物またはその部分は、同じ炭水化物に対して陽性である。
【0096】
本発明の別の好ましい実施形態において、栄養補助食品または薬学組成物は、少なくとも2つの異なる炭水化物陽性微生物またはその部分を含み、ここで、その炭水化物陽性微生物またはその部分は、異なる炭水化物に対して陽性である。
【0097】
本発明の別の好ましい実施形態において、本発明の上述の栄養補助食品または薬学組成物は、2つ以上の炭水化物陽性微生物に優先的に由来する少なくとも1つの炭水化物陽性微生物および炭水化物陽性微生物の少なくとも1つの部分を含み、ここで、その炭水化物陽性微生物および炭水化物陽性微生物の部分は、同じ炭水化物または異なる炭水化物に対して陽性である。
【0098】
本発明のさらに好ましい実施形態において、栄養補助食品または薬学調合物は、少なくとも1つの炭水化物陽性微生物またはその部分を、少なくとも1つの他の有益な微生物と組み合わせて含む。
【0099】
前記有益な微生物は、好ましくは、LactobacillusおよびBifidobacteriumを含む群から選択される。
【0100】
別の好ましい実施形態において、本発明の栄養補助食品または薬学組成物は、炭水化物陽性微生物の少なくとも1つの部分および少なくとも1つの炭水化物陽性微生物を含む。
【0101】
さらに好ましい実施形態において、本発明の栄養補助食品または薬学組成物は、炭水化物陽性微生物の少なくとも1つの部分を、少なくとも1つの他の有益な微生物(例えば、lactobacillusおよび/またはbifidobacteriumが挙げられるがこれらに限定されない)と組み合わせて含み、なおもより好ましくは、様々な菌株の炭水化物陽性微生物の部分の組み合わせを、他の有益な微生物と組み合わせて含む。
【0102】
栄養補助食品および薬学組成物を含む群から選択される本発明の調合物は、微生物またはその部分のみからなり得るか、またはさらなる要素もしくは成分(例えば、2種以上の微生物もしくはその部分または他の微生物もしくはその部分、あるいは、本明細書中の別の箇所において記載されるような、緩衝液またはキャリアもしくは薬学的に許容可能なキャリアまたは食物が挙げられるがこれらに限定されない)を含み得る。
【0103】
本発明の前記栄養補助食品は、少なくとも1つの炭水化物陽性微生物またはその部分(例えば、生存しているか、もしくは死んでいる微生物、それらの凍結乾燥物もしくは低温殺菌物もしくは溶解物もしくは成分もしくは部分、または液体に少なくとも部分的に可溶化された形態が挙げられるがこれらに限定されない)のみからなり得るか、または、さらなる成分(例えば、当業者に公知の、他の栄養分、栄養添加物または食品もしくは飲み物の添加物、溶液またはエマルジョンが挙げられるがこれらに限定されない)からなり得る。前記栄養補助食品は、様々な形態で、例えば、カプセル、錠、エマルジョン、粉末、液体で、経口的に適用され得る。その栄養補助食品は、それ自身で与えられ得るか、または食物もしくは飲み物中に混合され得る。前記栄養補助食品は、任意の食物、飲み物、飲み物もしくは食品の成分、食品添加物または独立系の栄養補助食品でもあり得る。
【0104】
好ましい実施形態において、栄養補助食品は、カプセルまたは錠として使用される。別の好ましい実施形態において、栄養補助食品は、食品または飲み物(例えば、本発明の別の箇所に列挙されているものが挙げられるがこれらに限定されない)中に混合される。
【0105】
本発明は、ヒト細胞または動物細胞由来の分子上に存在する炭水化物エピトープ、またはその部分もしくは溶解物を特異的に認識する、少なくとも1つの炭水化物結合分子によって結合される少なくとも1つの微生物を含んでいる栄養補助食品のことも言及し、ここで、前記微生物、前記部分もしくは前記溶解物またはそれらを含む前記調合物は、少なくとも1つの動物またはヒトにおいて前記炭水化物エピトープに対して有効な炭水化物特異的細胞性免疫応答を誘導する。
【0106】
本発明の好ましい実施形態において、前記栄養補助食品は、食品または食品添加物としてヒトまたは動物に適用される。
【0107】
本発明の文脈における食品は、生存している有機体によって消費される、液体の飲み物を含む任意の物質である。食品は、動物/ヒトに対する主なエネルギー源および栄養源であり、通常、動物または植物が起源である。その食品は、肉、乳または卵のような動物性の産物を含んでいない、すべての種類の食品を一般に包含する厳格菜食主義者の好ましい食品である。本発明の文脈における食品は、動物性の産物を含む非厳格菜食主義者の好ましい食品でもある。本発明の文脈における食品は:
(i)加工されているか、部分的に加工されているか、または、加工されていないかであって、栄養的価値の有無に関係なく、ヒトによって消化されると意図されるか、または消化されると合理的に予想される、任意の物質または産物;(ii)水および他の飲み物;
(iii)チューインガムもしくはキャンディ産物;および/または
(iv)食品を調製する際の要素または成分として使用される物品および物質
である。
【0108】
本発明の文脈における食品は、狩猟、採集、およびいくつかの集団に対しては地域的に重要であるがその他の人に対してはそれほどではない生存するための他の方法とともに、耕作、飼育および漁業によって伝統的に入手される。近代の先進国では、食糧供給は、生産される食品の量を最大にする一方で、コストを最小限にすることを目標としている、農業、工業用農業(industrial farming)、水産養殖および養魚の技術にますます依存している。これらとしては、脱穀機、播種機からトラクターおよびコンバインなどまでに及ぶ、開発されてきた機械化された(mechanised)ツールへの依存が挙げられる。これらは、高収穫を促進するためおよび収量を減少させる昆虫または哺乳動物に立ち向かうために農薬の使用と組み合わされてきている。より最近では、より持続可能な農作業への傾向が強まってきている。このアプローチ(消費者の要求によって部分的に助長される)は、生物多様性、地域的な自己依存および有機農法の方法を促進する。
【0109】
本発明の文脈における加工食品(少なくとも1つの炭水化物陽性微生物またはその部分を含む食物)の種類は:
飲み物:ビール、ジュース、ソフトドリンク、スカッシュ、ワイン、乳、乳製品または他のアルコール飲料もしくは非アルコール飲料を含む飲み物、例えば、水(単なる炭酸水を含む)、果汁および野菜汁、ソフトドリンク、淡水(aguas frescas)、レモネード、コーラ、ジンジャーエール、アイロンブルー(irn bru)、ルートビア、サルサパリラ、クリームソーダ、タンポポおよびゴボウ、スカッシュ、水で希釈された果物風味のシロップ、スポーツドリンク、インフュージョン(infusions)、コーヒー、茶、乳飲料、例えば、乳、ヨーグルトドリンク、チョコレートミルク、ミルクシェイク、エッグノッグ、アーモンドミルク、オルチャタ、アルコール飲料、カクテル−混合酒、熱い飲料、例えば、ホットチョコレート、ホットサイダー、カプチーノまたはパールミルクティ
パンは、コムギまたは他の穀物のふくれあがった生地からできている、多くの国にとって主要な食物であり、例えば、ライムギ−コムギ、トーストブレッド(ホワイトブレッド)、全粒、コムギ−ライムギ、ホワイトブレッド、マルチグレイン、ライムギ、ヒマワリの種子、カボチャの種子、ピザ、チャパティ(chapatis)、トルティーヤ、バゲット、ピタ、ラヴァッシュ、ビスケット、プレッツェル、ナン、ベーグル、プーリー、ケーキ、プンパーニッケル、全粒パン、コムギ胚芽パン、全粒、全麦パンおよび多くの他のバリエーション
ケーキおよびクッキー、例えば、エンゼルフードケーキ、リンゴケーキ、バーブカ、ブッチェラート、ブントケーキ、バターケーキ、バタフライケーキ、ニンジンケーキ、チーズケーキ、チョコレートケーキ、クリスマスケーキ、シフォンケーキ、クロカンブーシュ、カップケーキ、デビルズフードケーキ、エクルズケーキ、フェアリーケーキ、フルーツケーキ、ジャーマンチョコレートケーキ、ジェノヴァケーキ、ジンジャーブレッド、ゴブ(gob)、グーイー(gooey)バターケーキ、ホットミルクケーキ、アイスクリームケーキ、ジャファケーキ(jaffa cakes)、発酵ケーキ(leavened cake)、月餅(mooncake)、パネトーネ、パイナップルケーキ、パウンドケーキ、クイーンエリザベスケーキ、小豆ケーキ(red bean cake)、レッドベルベットケーキ、ザッハトルテ、シムネルケーキ、スパイスケーキ、スポンジケーキ、サンケーキ、ティーケーキ、タルトタタン、バニラスライスまたはウェディングケーキ
チーズは、凝固した乳製品であり、多くの種類が存在し、
例えば、サルド(sardo)チーズ、テストゥーリ(testouri)チーズ、ボクマキーリ(bokmakiri)チーズ、クウェイト(kwaito)チーズ、ウーキー(wookie)チーズ、アカウィ(ackawi)チーズ、バスケット(basket)チーズ、レブネ、ジブネアラビエ(jibneh arabieh)チーズ、ケナファ(kenafa)チーズ、ナボーリシ(naboulsi)チーズ、パニール、アフィヌール(affineur)、ベルクケーゼ(bergkaese)、ブリムゼン(brimsen)、ダッハシュタイナー(dachsteiner)、チロリアングレイ(tyrolean grey)チーズ、ルネベルグ(luneberg)、ボーヴォールデ(beauvoorde)チーズ、ブリュッセルチーズ、エルベ(herve)チーズ、リンバーガーチーズ、マレッツ(maredsous)チーズ、パッセンダーレ(passendale)チーズ、プラトードエルベ(plateau de herve)チーズ、ポステル(postel)チーズ、レメドー(remedou)チーズ、デーニッシュブルーチーズ、デーニッシュティルジット(danish tilsit)またはティルジットハバーティ(tilsit havarti)、アルガウ(allgaeu)エメンタールチーズ、カンボゾーラチーズ、ハルツァー(harzer)チーズ、リンバーガーチーズ、シュプンディケーゼ(spundekaes)チーズ、フェタチーズ、ハロウミチーズまたはモッツァレッラチーズ
デザートは、通常甘いものであり、一般にメイン料理の後に出される一品であり、例えば、アイスクリーム、例えば、ビスケットまたはクッキー、ケーキ、クランブル、カスタード、フルーツ、ゼラチンデザート、アイスクリーム、メレンゲ、ペストリー、パイまたはタルト、プディング、ソルベ、スフレまたはトライフル
フレンチフライ、チップ、例えば、ポテトチップまたは「クリスプ」、トルティーヤチップまたはコーンチップ
機能性食品(機能性食品は、栄養学および薬学の混成語である栄養補助食品と呼ばれ、一般に加工された食品を包含し得;おおまかなカテゴリーには、機能性食品の成分から作られているか、または「ビタミンが豊富な」製品のような、健康を促進する添加物を添加して栄養価が高められた、加工食品および生鮮食品(例えば、野菜)が包含され、そしてこのカテゴリーにとって具体的な請求にかかるものは添付されているとおりである)
ジャムおよびゼリー 例えば、スグリ−、アカフサスグリ−、クロフサスグリ−、柑橘類果実−、リンゴ−、ラズベリー−、イチゴ−および熟成ブラックベリー−ジャムまたはローヤルゼリー
パスタ、例えば、成形されたパスタ、カムパネルラ(campanelle)、カサレッチョ、カヴァテッリ、コンキリエ、コンキリオーニ、ファルファッレ、フィオーリ、フジッリ、フジッリブカーティ、ジュメーリィ、ジーリ、グラミーニャ、ルマーケ、ルマコニ、マルタリアーティ、オレッキエッテ、ピーペ、クアドレフィオレ(quadrefiore)、ラジアトリ、リッチョリーニ、ロテッレ、ロティーニ、スピラリーニ、ストロッツァプレッティ、トルキオまたはトロフィエ
パイ 例えば、ベーコンおよび卵のパイ、鶏肉およびキノコのパイ、コーンビーフパイ、コーニッシュパイ、フィッシュパイ、カラクッコ(kalakukko)、クーリビヤカ(kulebjaka)、ピザパイ、ポークパイ、ポットパイ、スコッチパイ、シェパードパイ、スターゲージーパイ、ステーキパイ、ステーキアンドキドニーパイ、アップルパイ、バナナクリームパイ、ブラックベリーパイ、ブルーベリーパイ、ボストンクリームパイ、バンブルベリーパイ、チェリーパイ、チョコレートクリームパイ、ココナッツクリームパイ、カスタードパイ、ダッチアップルパイ、グレープパイ、キーライムパイ、レモンメレンゲパイ、レモンパイ、ミックスベリーパイ、オレンジパイ、ピーチパイ、ルバーブパイ、ストロベリールバーブパイ、ストロベリーパイまたはヴィネガーパイ
ピザ 例えば、標準的なタイプおよびそれらの各々のトッピングとしては:マリナラまたはナポリターナ:トマト、オリーブ油、オレガノおよびニンニク;マルゲリータ:トマト、オリーブ油、生のバジルの葉およびフィオール・ディ・ラッテ(牛乳から作られるモッツァレッラ)またはモッツァレラ・ディ・ブッファラ;フォルマッジョ・エ・ポモドーロ(formaggio e pomodoro):トマト、オリーブ油およびおろしたパルメザンチーズ、必要に応じてバジルの葉;リピエーノ(ripieno)またはカルゾーネ:フィオール・ディ・ラッテまたはモッツァレラ・ディ・ブッファラ、時折リコッタ・チーズも、オリーブ油およびサラミ、他の肉、野菜などまたはストロンボリ(stromboli):モッツァレラ、肉、野菜などが挙げられる
加工肉 例えば、両生類の肉、ヒキガエル、人工肉(artificial meat)、人造肉(imitation meat)、培養肉(in vitro meat)、牛肉(ウシ)、水牛、畜牛、ステーキ、子牛(veal)(子牛(calves))、ヤク、家禽類(鳥類)、ニワトリ、アヒル、狩猟鳥、シチメンチョウ、イヌ科、魚介類、魚類、サメ、甲殻類、カニ、ウサギ、マトン(ヒツジ)、ラム、豚肉(ブタ)、ハム(腰臀部)、ベーコン(塩漬け肉の片)または昆虫
サンドイッチ 例えば、アラム(aram)サンドイッチ、詰まったバゲット(filled baguette)、ベーコンバティ、ロールパン(bun)、バーガー、ブリート、チップバティ、クラブサンドイッチ、グリルドチーズ、ドネルケバブ、ジョージアホット(georgia hots)、メルトサンドイッチ:ツナメルトなど、パニーニ、ステーキサンドイッチ、タコス、ティーサンドイッチ、トーストサンドイッチ、トルタまたはラップ
サラダ 例えば、シーザーサラダ、シェフサラダ、コブサラダ、グリークサラダ、イタリアンサラダ、メスクランサラダ、ニース風サラダ、グリーンビーンズサラダのような豆サラダ、セブンビーンサラダ、チキンサラダ、タマゴサラダ、フルーツサラダ(スライスされ、皮を剥かれた果物が、それら自体の汁において用いられるかまたはドレッシングとともに用いられる)、ラープ(larb)、パスタサラダ、ポテトサラダ、そう麺サラダ、ソムタム、タブーリ、ウォルドーフサラダまたはウォーターゲートサラダ
ソース 例えば、ホワイトソース、キノコソース、アルマンドソース、アメリケーヌソース、シュープレームソース、クリーミーブラウンソース(eloute brown sauces)、ボルドレーズソース、ブルゴーニュ風ソース、シャトーブリアンソース、アフリケーヌソース(sauce africaine)、ロベールソース、ベシャメルソース、モルネーソース、乳化ソース、ベアネーズソース、オランデーズソース、マヨネーズ、タルタルソース、クリーム状サラダドレッシング、バターソース、ブールブラン、カフェドパリ、スイートソース、魚醤、サンバル、バーベキューソース、モレ、トマトソースまたはザジキ
ソーセージ 例えば、アンデュイユ、ブラックプディング、ブラッドソーセージ、自家製田舎ソーセージ(boerewors)、ブラートブルスト、朝食用ソーセージ、ブティファーラ、チョリソ、カンバーランドソーセージ、ファルーコルヴ(falukorv)、フエ(fuet)、ハギス、キースカ(kieska)、キールバーサ、キシュカ(kishka)、キシュカ(kishke)、クナックヴルスト、コブバーサ(kovbasa)、ランドイェーガー、リングイッサ、レバーソーセージ、ルカンカ、メットヴルスト、ミンスミート、モルタデッラ、サラミ、ソージューク(soujouk)、チューリンゲン、ヴァイスヴルストまたはホワイトプディング
スナック食品:菓子、ポテトチップス、チョコレート、堅パン、キャンディーバー、ジャンクフード 例えば、ゆで落花生、キャンディーバー、チートス、チェックスミックス(chex mix)、クッキー、クラッカー、コンボス(combos)、ファッジラウンド(fudge rounds)、フラフープ(hula hoops)、アイスクリーム、ムーンパイ(moon pies)、パイレーツブーティ(pirate’s booty)、ポップコーン、ポークラインズ、ポテトチップス、プレッツェル、スマートパフ(smart puffs)、ソフトドリンク、スノーボール(snow balls)、スチューデントフード(student food)、スイスロールケーキ、ティングス(tings)、ツインキー、ベジーブーティ(veggie booty)またはゼブラケーキ(zebra cakes)
スープ 例えば、デザートスープ(ココナツミルク、乳、果実およびタピオカパールから作られるフィリピンのスープであるギナターン(ginataan));日本の小豆スープであるお汁粉または果物のスープ、冬瓜スープ、みそ汁、フォー、ラーメン、サイミン、ルーマニアのジャガイモのスープ、アヴゴレモノ、ボルシチ、ブイヤベース、キャラルー、コッカリーキー、ファネスカ(fanesca)、ガスパチョ、ダルスープ、ミネストローネ、マリガトニースープ、スコッチブロス、スネルトゥ(snert)、サリャンカ(solyanka)、タラトール(tarator)またはワーテルゾイ
糖または糖製品 例えば、ゴールデンシロップ、キャンディまたはチョコレート
ヨーグルト、凝乳、サワークリーム、ホイップクリーム 例えば、ラッシー、ケフィア、アイラン(ayran)、ドゥー(doogh)またはタラトール
ドリンクパウダーまたはドリンクタブレット 例えば、ビタミンドリンクまたはミネラルドリンク
カプセルまたは錠
治療的食品(治療的食品は、特定の、通常は栄養的、治療的な目的のためにデザインされた食品である)、機能性食品、医療用の食品、経腸食品、非経口的な食品、特定の健康用途の食品。
【0110】
例は、主に高齢者を対象に作られた、栄養価が高められたミルクシェイクドリンクのEnsure、および重篤な栄養不良の(malnourished)小児の緊急用の栄養補給のためにデザインされている、ピーナッツがベースの食品のPlumpy’nutである。
【0111】
別の好ましい実施形態において、本発明の調合物は、処方箋の不要な薬として製造される。
【0112】
炭水化物エピトープに対する前記液性免疫応答は、液性免疫応答試験1、2、3、4、5または6のうちの少なくとも1つによって検出され得る炭水化物エピトープに対する抗体応答である。それぞれの試験は、本発明による適当な炭水化物陽性微生物を同定する方法とともに有用である。
【0113】
好ましい実施形態において、本発明は、炭水化物エピトープに対する液性免疫応答試験(液性免疫応答試験1)を提供し、その試験は、抗体、血清中の抗体、または血清、血漿もしくは便から得られた抗体と、炭水化物エピトープを有する化合物(例えば、タンパク質またはペプチド)との結合をELISAにおいて試験する工程を包含し、ここで、炭水化物エピトープに対する陽性の液性免疫応答は、上記抗体と、前記炭水化物エピトープを有する化合物(例えば、タンパク質またはペプチド)との結合のほうが、上記抗体と、炭水化物エピトープを有しない前記化合物(例えば、タンパク質またはペプチド)または炭水化物エピトープを破壊する酵素的もしくは化学的な処理の後の前記化合物(例えば、タンパク質またはペプチド)との結合よりも有意に強い結合を示す。好ましい実施形態において、栄養補助食品、薬学組成物、炭水化物陽性微生物またはその部分もしくはそれらを含んでいる調合物を投与した後の前記1つの抗体または複数の抗体の結合ほうが、前記投与の前に得られた対応する抗体、血清中の抗体、または血清、血漿もしくは便から得られた抗体の結合よりも有意に強い。
【0114】
炭水化物エピトープの前記酵素的または化学的な処理は、炭水化物エピトープの炭水化物構造を破壊する。炭水化物エピトープの前記酵素的または化学的な処理は、当業者に公知の技術(例えば、ノイラミニダーゼ、シアリダーゼ、グルコシダーゼ、ガラクトシダーゼ、グリコシダーゼ、エキソグリコシダーゼ、フコシダーゼ、HexNAcaseまたは過ヨウ素酸(実施例に記載されるような穏やかな過ヨウ素酸塩酸化/過ヨウ素酸塩処理)を用いた処理が挙げられるがこれらに限定されない)を用いて行われ得る。
【0115】
例えば、炭水化物エピトープであるCore−1およびTnは、実施例に記載されるような過ヨウ素酸による処理によって破壊される。
【0116】
液性免疫応答試験1の好ましい実施形態の例は、実施例11において詳細に記載される。実施例11では、炭水化物エピトープCore−1、炭水化物エピトープを有するタンパク質であるアシアログリコホリン、同じタンパク質であるが、シアル酸によって遮蔽されたCore−1を有するグリコホリン、および過ヨウ素酸で処理されたアシアログリコホリン(ここで、過ヨウ素酸による処置は、Core−1構造を破壊する)に対する、液性免疫応答のELISAにおける試験が記載されている。
【0117】
別の好ましい実施形態において、本発明は、炭水化物エピトープに対する液性免疫応答試験(液性免疫応答試験2)を提供し、その試験は、抗体、血清中の抗体、または血清、血漿もしくは便から得られた抗体と、ポリアクリルアミド(polyacrylamid)に結合している炭水化物構造(PAA結合体)との結合をELISAにおいて試験する工程を包含し、ここで、炭水化物エピトープに対して陽性の液性免疫応答は、上記1つの抗体または複数の抗体と炭水化物エピトープを含むPAA結合体との結合のほうが、炭水化物エピトープを破壊する酵素的または化学的な処理の後の同じPAA結合体との結合よりも有意に強い結合を示し、そして/または、上記1つの抗体または複数の抗体と炭水化物エピトープを含むPAA結合体との結合のほうが、炭水化物エピトープを含んでいないPAA結合体との結合よりも強い結合を示し、好ましくはその両方を示す。好ましい実施形態において、前記1つの抗体または複数の抗体と炭水化物エピトープを含むPAA結合体との結合は、栄養補助食品、薬学組成物、炭水化物陽性微生物もしくはその部分またはそれらを含んでいる調合物を投与した後のほうが、前記投与の前に得られた、対応する抗体、血清中の抗体、または血清、血漿もしくは便から得られた抗体との結合よりも有意に強い。
【0118】
液性免疫応答試験2の好ましい実施形態は、実施例11において詳細に記載されている。
【0119】
別の好ましい実施形態において、本発明は、炭水化物エピトープに対する液性免疫応答試験(液性免疫応答試験3)を提供し、その試験は、抗体、血清中の抗体、または血清、血漿もしくは便から得られた抗体と、炭水化物エピトープを含んでいる細胞および炭水化物エピトープを含んでいない細胞との結合を、フローサイトメトリー試験において試験する工程を包含し、ここで、炭水化物エピトープに対する陽性液性免疫応答は、上記抗体と炭水化物エピトープを含んでいる細胞との結合のほうが、炭水化物エピトープが陰性である細胞との結合よりも有意に強い結合を示す。好ましい実施形態において、前記1つの抗体または複数の抗体と炭水化物エピトープを含んでいる細胞との結合は、栄養補助食品、薬学組成物、炭水化物陽性微生物もしくはその部分またはそれらを含んでいる調合物を投与した後の結合のほうが、前記投与の前に得られた、対応する抗体、血清中の抗体,または血清、血漿もしくは便から得られた抗体との結合よりも有意に強い。液性免疫応答試験3の好ましい実施形態は、実施例11において詳細に記載されている。
【0120】
別の好ましい実施形態において、本発明は、炭水化物エピトープに対する液性免疫応答試験(液性免疫応答試験4)を提供し、その試験は、抗体、血清中の抗体、または血清、血漿もしくは便から得られた抗体と、炭水化物エピトープを含んでいる細胞および炭水化物エピトープが陰性である細胞との結合を免疫蛍光試験において試験する工程を包含し、ここで、炭水化物エピトープに対して陽性の液性免疫応答は、上記1つの抗体または複数の抗体と炭水化物エピトープを含んでいる細胞との結合のほうが、炭水化物エピトープを含んでいない細胞および/または炭水化物エピトープを破壊する酵素的(emzymatical)もしくは化学的な処理後の炭水化物エピトープを含む細胞との結合よりも、有意に強い結合を示す。好ましい実施形態において、炭水化物エピトープを含んでいる細胞との結合は、栄養補助食品、薬学組成物、炭水化物陽性微生物もしくはその部分またはそれらを含んでいる調合物を投与した後のほうが、前記投与の前に得られた、対応する抗体、血清中の抗体、または血清、血漿もしくは便から得られた抗体との結合よりも有意に強い。免疫蛍光法試験は、抗血清の段階希釈および/または同一の露光条件下における写真撮影によって、より定量的になり得る。
【0121】
当業者は、適当なキャリア分子を同定することができ、また、リンカーが付いているかまたは付いていないキャリア分子に結合された所望の炭水化物構造を得るために適当な構造を結合させることができる。当業者は、酵素的または化学的な処理を用いて、または用いずに、それらの細胞または抗原を選択することもでき、また、炭水化物エピトープについての液性免疫応答を試験するための適当な方法を選択し、改変することもできる。しかしながら、上述の液性免疫応答試験1〜4および本発明によって提供される特に好ましいそれらの組み合わせが、明らかに好ましく、実施例から分かるように特異性に関して、明白な利点を有する。
【0122】
別の好ましい実施形態において、本発明は、炭水化物エピトープに対する液性免疫応答試験(液性免疫応答試験5)を提供し、その試験は、
a)適当量のマーカー(例えば、ユーロピウムまたはクロム−51)で標識された、炭水化物エピトープを含んでいる適当量の細胞を、適当量の抗体、血清中の抗体、または血清、血漿もしくは便から得られた抗体と、適当量の補体とともに、適当な時間(代表的には3〜5時間または一晩)にわたって、インキュベートする工程;
b)(a)におけるインキュベートの後、マーカー(例えば、ユーロピウムまたはクロム−51)の放出を測定することによって細胞の溶解を測定する工程であって、炭水化物エピトープに対して陽性の液性免疫応答は、炭水化物エピトープを含んでいない細胞の溶解よりも炭水化物エピトープを含む細胞の溶解のほうが有意に高い溶解を示し、そして/あるいは、補体なしの溶解および/または抗体なしの溶解および/または炭水化物エピトープを含んでいる細胞と結合しないかもしくはほとんど結合しない抗体による溶解よりも、炭水化物エピトープを含んでいる細胞のほうが高い溶解を示す、工程
を包含する。
【0123】
前記液性免疫応答試験5は、誘導される液性免疫応答または炭水化物特異的な抗体の炭水化物特異的な補体依存性細胞傷害(CDC)(ある特定の抗体によって媒介されるエフェクターメカニズムである)を標的細胞の溶解試験において試験する。この試験は、適当量のマーカー(例えば、ユーロピウムまたはクロム−51)で標識された、炭水化物エピトープを含んでいる適当量の細胞を、適当量の抗体、血清中の抗体、または血清、血漿もしくは便から得られた抗体と、適当量の補体とともに、適当な時間(代表的には3〜5時間または一晩)にわたって、インキュベートする工程を包含する。その炭水化物エピトープを含んでいる細胞は、溶解される細胞の測定を可能にする前記マーカー(例えば、ユーロピウムまたはクロム−51)で標識されている。溶解された細胞の量は、好ましくは、インキュベーション後の、マーカー(例えば、ユーロピウムまたはクロム−51)の放出を測定することによって測定される。適当なコントロールは、当業者によって測定され得、例えば、炭水化物陰性細胞、標的細胞に結合しない抗体もしくは抗体混合物、および/または補体なしである。この試験は、適当量の抗体、標識された腫瘍細胞の数、補体の濃度およびインキュベーション時間に関して、本発明における用途のために、および記載されるように、当業者によって最適化され得る。
【0124】
本発明の補体依存性細胞傷害(CDC)は、好ましくは、ユーロピウム放出アッセイを用いて測定される。標的細胞を、800μlのユーロピウム緩衝液(50mM HEPES,pH7.4、93mM NaCl、5mM KCl、2mM MgCl
2、10mMジエチレントリアミン五酢酸、2mM酢酸ユーロピウム(III))中、4℃において10分間インキュベートし、Multiporator(Eppendorf)においてエレクトロポレーションし(710V,1パルス,30μs)、続いて、氷上でさらに10分間インキュベートする。その後、その細胞をRPMI/5%FCS中で5回洗浄し、96ウェル丸底プレート(Nunc;5×10
3/ウェル)に播種する。様々な希釈の20μlの抗体含有溶液または対応するコントロール(培地、アイソタイプコントロールヒトIgM)を加えた後、そのサンプルを室温において20分間インキュベートする。10μlの1:10希釈補体(乳のみウサギ補体)を、対応するウェルに加える。コントロールのウェルには、補体溶液の代わりに10μlのRPMI/5%FCSを加える。自然放出を測定するために、標的細胞を培地のみとインキュベートし、エタノールを用いた標的の完全溶解によって最大放出を測定する。37℃で4時間インキュベーションした後、そのプレートを500×gで5分間遠心し、すべてのウェルから20μlの無細胞上清を、予め調製しておいた平底プレート(Nunc−Immunoplate Maxisorp)上の1ウェルあたり200μlの増強溶液(Perkin−Elmer Wallac)にピペットで移す。室温で15分間インキュベーションした後、蛍光を測定する(Victor
2Fluorometer,Perkin−Elmer Wallac)。特異的な細胞傷害性は、等式(実験溶解−自然溶解)/(最大溶解−自然溶解)×100%から得られる。
【0125】
別の好ましい実施形態において、本発明は、炭水化物エピトープに対する液性免疫応答試験(液性免疫応答試験6)を提供し、その試験は、
a)適当量のマーカー(例えば、ユーロピウムまたはクロム−51)で標識された、適当量の、炭水化物エピトープを含んでいる細胞および/または炭水化物エピトープを含んでいない細胞を、適当量の抗体、血清中の抗体、または血清、血漿もしくは便から得られた抗体と、適当量の少なくとも1つの免疫エフェクター細胞または免疫エフェクター細胞もしくは末梢血単核球を含む細胞の混合物とともに、適当な時間にわたって、代表的には3〜5時間または一晩にわたって、インキュベートする工程、および
b)(a)におけるインキュベートの後、マーカー(例えば、ユーロピウムまたはクロム−51)の放出を測定することによって、細胞の溶解を測定する工程であって、ここで、炭水化物エピトープに対して陽性の液性免疫応答は、炭水化物エピトープを含んでいる細胞の溶解のほうが、炭水化物エピトープ陰性細胞の溶解よりも、抗体なしの溶解よりもおよび/または炭水化物エピトープを含んでいる細胞と結合しないかもしくはほとんど結合しない1つの抗体または複数の抗体による溶解よりも、有意に高い溶解を示す、工程
を包含する。
【0126】
前記液性免疫応答試験6は、標的細胞溶解試験において、免疫エフェクター細胞と組み合わせて、誘導される液性免疫応答または炭水化物エピトープ特異的抗体の抗体依存性細胞傷害(ADCC)(ある特定の抗体によって媒介されるエフェクターメカニズムである)を試験する。この試験は、適当量の標識された炭水化物エピトープ陽性標的細胞を、適当量の血清中の抗体または血清から得られた抗体または分離された炭水化物エピトープ抗体と、適当量の免疫エフェクター細胞(例えば、PBMC(末梢血単核球)に存在するもの)とともに、十分な時間、代表的には3〜5時間または一晩にわたって、インキュベートする工程を包含する。炭水化物エピトープを含んでいる細胞は、溶解される細胞の測定を可能にするユーロピウムまたはクロム−51で標識されている。溶解された細胞の量は、好ましくは、インキュベーション後の、ユーロピウムまたはクロム−51の放出を測定することによって測定される。適当なコントロールは、当業者によって測定され得、例えば、炭水化物陰性細胞、標的細胞に結合しない抗体もしくは抗体混合物、および/または免疫エフェクター細胞(例えば、PBMC)なしである。この試験は、適当量の抗体、標識された腫瘍細胞の数、免疫エフェクター細胞の数およびインキュベーション時間に関して、本発明における用途のために、当業者によって最適化され得る。
【0127】
本発明の抗体依存性細胞傷害(ADCC)は、好ましくは、ユーロピウム放出アッセイを用いて測定される。標的細胞を、800μlのユーロピウム緩衝液(50mM HEPES,pH7.4、93mM NaCl、5mM KCl、2mM MgCl
2、10mMジエチレントリアミン五酢酸、2mM酢酸ユーロピウム(III))中、4℃において10分間インキュベートし、Multiporator(Eppendorf)においてエレクトロポレーションし(710V,1パルス,30μs)、続いて、氷上でさらに10分間インキュベートする。その後、その細胞をRPMI/5%FCS中で5回洗浄し、96ウェル丸底プレート(Nunc;5×10
3/ウェル)に播種する。様々な濃度(200μlのインキュベーション体積中、0.05〜50μg/mlの最終濃度)の20μlのCore1特異的抗体または対応するコントロール(培地、アイソタイプコントロールIgG)を加えた後、PBMC(ヒト末梢血単核(mononucleare)細胞、80μl)を、エフェクター細胞として、100:1〜10:1の様々なエフェクター細胞/標的細胞比、好ましくは50:1を用いて加える。自然放出を測定するために、エフェクター細胞を含まない80μlのRPMI/5%FCSを加える。最大放出は、エタノールを用いた標的の完全な溶解の後、測定される。
【0128】
37℃で4時間インキュベーションした後、そのプレートを500×gで5分間遠心し、すべてのウェルから20μlの無細胞上清を、予め準備しておいた平底プレート(Nunc−Immunoplate Maxisorp)上の1ウェルあたり200μlの増強溶液(Perkin−Elmer Wallac)にピペットで移す。室温で15分間インキュベーションした後、蛍光を測定する(Victor
2 Fluorometer,Perkin−Elmer Wallac)。特異的な細胞傷害性は、等式(実験溶解−自然溶解)/(最大溶解−自然溶解)×100%から得られる。
【0129】
好ましい実施形態において、前記液性免疫応答試験1〜6は、その試験の前に、
a.栄養補助食品、薬学組成物、炭水化物陽性微生物またはその部分もしくは溶解物あるいはそれらを含んでいる調合物をヒトまたは動物に投与する工程
b.抗体、血清中の抗体、または血清、血漿もしくは便から得られる抗体を分離する工程
をさらに包含する。
【0130】
本発明のさらに好ましい実施形態において、少なくとも1つの炭水化物陽性微生物またはその部分もしくは溶解物を含んでいる栄養補助食品または薬学調合物は、液性免疫応答試験1〜6のうちの少なくとも2つの液性免疫応答試験について、好ましくは、液性免疫応答試験1および3について、より好ましくは、液性免疫応答試験1、2および3について、より好ましくは、液性免疫応答試験1、2、3および4について、より好ましくは、液性免疫応答試験1、2、3、4および6について、なおもより好ましくは、液性免疫応答試験1、2、3、4および5、最も好ましくは、6つすべての液性免疫応答試験について陽性である、炭水化物エピトープに対する液性免疫応答を誘導する。
【0131】
細胞性免疫応答試験もまた提供される。炭水化物エピトープに対する前記細胞性免疫応答は、細胞性免疫応答試験1〜5のうちの少なくとも1つによって検出され得る、炭水化物エピトープに対するT細胞応答である。より好ましいのは、炭水化物エピトープに対する細胞傷害性T細胞応答またはTh1型ヘルパーT細胞応答である、炭水化物エピトープに対する細胞性免疫応答である。最も好ましいのは、細胞性免疫応答試験1、2、3、4および5によって検出され得る、炭水化物エピトープに対する細胞傷害性T細胞応答およびTh1型ヘルパーT細胞応答である、炭水化物エピトープに対する細胞性免疫応答である。前記試験は、炭水化物陽性微生物が細胞性免疫応答も引き起こすことができることを試験する/解析するために、本明細書中に記載される適当な炭水化物陽性微生物を同定する方法と共同して使用され得る。
【0132】
前記細胞性免疫応答試験は、炭水化物陽性微生物を負荷された樹状細胞を免疫細胞と接触させ、そして適切な時間にわたって、そして適切な条件下で培養し、続いて、再刺激のために、少なくとも1つの炭水化物エピトープを有する分子を負荷された樹状細胞を加え、そして、適切な時間および条件で培養し、続いて、分泌されたGM−CSF、TNFαまたはINFγの量を測定するか、あるいはT細胞の増殖、またはGM−CSF、TNFαもしくはINFγの分泌の阻害、または炭水化物エピトープに対する抗体による増殖を測定するか、あるいは樹状細胞上の炭水化物エピトープの提示を測定するか、あるいは活性化免疫細胞、好ましくは、活性化T細胞による炭水化物エピトープ陽性細胞の溶解を測定する工程を包含する。
【0133】
前記樹状細胞(本明細書中でDCとも呼ばれる)は、任意の樹状細胞または樹状細胞の混合物または樹状細胞を含む細胞の混合物または少なくとも1つの樹状細胞であり得る。その樹状細胞は、健常なヒトドナーもしくは疾患(例えば、腫瘍疾患もしくはクローン病もしくは炭水化物エピトープ陽性疾患または本明細書中の別の箇所において列挙される疾患のうちの1つが挙げられるがこれらに限定されない)を有するヒトドナーまたは動物から由来し得る。前記DCは、当業者に公知のとおりに得て、負荷することができ、代表的には、当業者に公知の適当な分子のある特定の組み合わせを用いると未熟樹状細胞(iDC)に分化する、ヒトの血液または骨髄由来のCD34陽性前駆体細胞またはCD14陽性単球細胞から得られる。iDCは、炭水化物陽性微生物もしくは炭水化物エピトープを有する分子または適切なコントロールを負荷され、当業者に公知の適当な分子のある特定の組み合わせを用いてさらに成熟することにより、T細胞を活性化することができる負荷成熟樹状細胞(mDC)に対応する、負荷樹状細胞が得られる。それらのDCは、ランゲルハンス細胞型でもあり得る。
【0134】
好ましい実施形態において、前記DCは、樹状細胞株(例えば、ヒト樹状細胞株NEMOD−DC(Glycotope GmbH Berlin,Germany;www.glycotope.comから入手可能)またはMutz−3が挙げられるがこれらに限定されない)が起源である。
【0135】
前記樹状細胞の負荷とは、樹状細胞を、適切な分化状態および成熟状態において、適当量の炭水化物陽性微生物またはその部分もしくは溶解物あるいは少なくとも1つの炭水化物エピトープを有する分子とともに、適当な時間、代表的には24〜48時間にわたってインキュベートし(代表的には、これは、適当な分子と組み合わせた、上に記載された成熟工程の中で行う)、免疫細胞(好ましくは、炭水化物エピトープ特異的T細胞を含むT細胞)を活性化することができる負荷樹状細胞をもたらすことを意味する。
【0136】
前記免疫細胞は、PBMC(末梢血単核球)、またはCD4+および/もしくはCD8+T細胞、好ましくはCD4+かつCD8+T細胞を含む他の細胞集団であり得る。当業者は、それらの細胞をヒトまたは動物から得る方法を知っており、それらの細胞の作製は、ヒトの血液または白血球除去血(leukapherases)の血液細胞からフィコール勾配によって調製する工程を包含し得、そして、場合によってはT細胞特異的な磁気選別技術によるさらなる富化を包含し得る。
【0137】
好ましい実施形態において、上記樹状細胞は、少なくとも1つのMHCクラス分子において、好ましくは、MHCクラスI分子またはMHCクラスII分子において、より好ましくは少なくとも1つのMHCクラスIおよび1つのMHCクラスII分子において、より好ましくは、より多くのMHC分子において、最も好ましくはすべてのMHC分子において、上記免疫細胞とマッチする。後者は、同じ個体由来の樹状細胞および免疫細胞を得ることによって、達成され得る。
【0138】
負荷された樹状細胞とともに免疫細胞を培養し、そしてその後、負荷された樹状細胞を加えるのに適した前記時間および条件は、当業者に公知であり、その細胞が存在する条件を考慮に入れて、当業者によって最適化され得る。代表的には、インキュベーション時間は、2工程(初回の活性化および再刺激)の各々に対して7〜10日である。
【0139】
記載される細胞性免疫応答試験の意味における前記炭水化物エピトープを有する分子とは、十分な量の、炭水化物エピトープを有する細胞もしくは腫瘍細胞、炭水化物エピトープを有するタンパク質、または炭水化物エピトープを有するポリペプチドのことを意味する。炭水化物エピトープを有する前記細胞または腫瘍細胞は、生存しているものか、もしくは死んでいるものであり得るか、あるいは、それらの細胞由来の溶解物またはその部分であり得、より好ましいのは、溶解物である。炭水化物エピトープを有するタンパク質は、キャリアタンパク質などの炭水化物エピトープを有する任意のタンパク質であり得、ここで、その炭水化物エピトープは、腫瘍上に結合している。炭水化物エピトープを有するポリペプチドは、炭水化物エピトープを有する任意のポリペプチド(polypetide)、好ましくは、mDC上に炭水化物エピトープとともに提示され得るものであり得る。
【0140】
記載される細胞性免疫応答試験の意味における前記炭水化物陽性微生物とは、生存しているものか、もしくは死んでいるものであり得るか、あるいは、それらの細胞由来の溶解物またはその部分であり得る、十分な量の特定の炭水化物陽性微生物のことを意味し、より好ましいのは、その溶解物または部分である。
【0141】
コントロールは、免疫応答の陽性をさらに確認するために使用される。当業者は、以下および実施例12においていっそう詳細に記載されるように、適切なコントロールを使用することができる。例は、炭水化物エピトープを有する分子について記載されるようにDC上に負荷され、そして再刺激のために使用されるコントロールの使用であり、(i)炭水化物エピトープが陰性であるか、または炭水化物エピトープを含んでいない細胞、好ましくは、対応する形式で炭水化物エピトープ陽性細胞に関連するか、または可能な限りよく似ている細胞(例えば、生細胞もしくは死細胞またはそれらの細胞由来の溶解物もしくはその部分);(ii)炭水化物エピトープを有しないタンパク質、好ましくは、炭水化物エピトープを有する分子として使用されるのと同じであるが、炭水化物エピトープを有しないタンパク質、好ましくは、任意のグリコシル化を有しないか、または炭水化物エピトープを含まない、伸長もしくは短縮された、炭水化物構造を有するタンパク質、(iii)炭水化物エピトープを有しないポリペプチド、好ましくは炭水化物エピトープを有する分子として使用されるのと同じであるが、炭水化物エピトープを有しないポリペプチド、好ましくは、任意のグリコシル化を有しないか、または炭水化物エピトープを含まない、伸長もしくは短縮された、炭水化物構造を有するポリペプチド、を含み得る。さらなるコントロールは、(iv)炭水化物エピトープを有する分子を負荷されたmDCと同じ方法(成熟に必要な分子および条件を含む)で処理されたが、炭水化物エピトープを有する分子に対応する任意のさらなる分子を有しない、負荷されていないmDCまたは上述のコントロール(i〜iii)であり得る。実施例および好ましい実施形態では、最も適当なコントロールを詳細に記載しているが、他の適当なものが、当業者によって選択され得る。
【0142】
本発明の好ましい実施形態において、樹状細胞は、白血病細胞株MUTZ−3から得られる機能的樹状細胞[DE10139428 A1、WO2003/023023 A1、EP01419240、US20040265998、CA2457287、10139428.4(DE)、PCT/EP02/09260、02758474.7(EP)、US10/486,966、CA2,457,287)において記載されているようなもの]またはMUTZ−3由来の細胞(例えば、NEMOD−DC(例えば、Glycotope GmbH Berlin,Germany[www.Glycotope.com]から入手可能なNMD−100またはNMD−200))である。それらの樹状細胞は、T細胞を活性化することが十分にでき、MHCクラス分子を含む表面上の抗原をプロセッシングし、そして/または提示することが十分にできる、活性な樹状細胞である。本発明のさらに好ましい実施形態において、樹状細胞は、MUTZ−3から得られる機能的樹状細胞またはMUTZ−3由来の細胞(例えば、NMD−100またはNMD−200)であり、免疫細胞は、HLA−A2またはHLA−B44、好ましくは、HLA−A2およびHLA−B44などのMHCクラスI分子においてマッチする。さらに好ましい実施形態において、炭水化物エピトープを含む細胞の溶解物は、炭水化物エピトープを有する分子として使用される。
【0143】
当業者に公知の細胞性の免疫学的方法に対してどのコントロールが特に代表的であるかは実験ごとに異なるので、コントロールは、当業者に公知のように、その試験に対して並行して設定されなければならない。
【0144】
1つの実施形態によれば、本発明は、目的の炭水化物エピトープに対する、インビトロにおける細胞性免疫応答試験を提供し、その試験は、
a.)少なくとも1つの樹状細胞に第1の炭水化物陽性化合物を負荷する工程(ここで、前記炭水化物陽性化合物は、目的の炭水化物エピトープを有する);
b.)前記炭水化物陽性化合物を負荷された適当量の前記少なくとも1つの樹状細胞を、樹状細胞によって活性化され得るかまたは抑制され得る適当量の免疫細胞と接触させる工程;
c.)前記免疫細胞と、前記負荷された樹状細胞との相互作用を可能にするために培養する工程;
d.)前記第1化合物と同じ炭水化物エピトープを有する適当量の少なくとも1つの第2化合物を負荷された、適当量の抗原提示細胞(APC)を加える工程(ここで、前記第2化合物は、前記第1炭水化物陽性化合物と異なる);
e.)前記免疫細胞の再刺激のために培養する工程、
f.)再刺激された免疫細胞の量を測定する工程
を包含する。
【0145】
本発明は、ある特定の炭水化物エピトープが細胞性免疫応答を引き起こすことができるか否かを測定するための方法を提供する。これまで、従来技術では、炭水化物は、細胞性免疫応答を引き起こすことができないと考えられていた。しかしながら、現在、ある特定の炭水化物エピトープが、細胞性免疫応答を誘発することができると見出された。従って、ある特定の炭水化物エピトープが、実際に、それぞれの応答を引き起こし得るかを測定するため、それによって、前記炭水化物エピトープが、適当なワーキングポイント(例えば、治療用として)であるかを測定するための試験システムを提供することが重要である。従って、本発明は、樹状細胞が、T細胞などの免疫細胞をプライミングでき、かように刺激することができるので、樹状細胞を使用する。樹状細胞は、自身が遭遇した化合物をプロセッシングし、そしてそのプロセッシングした化合物/抗原を自身の表面上に提示する。しかしながら、樹状細胞などのMHC細胞は、ある特定の種類の抗原のみを提示することができ、そのような抗原/エピトープのみが細胞性免疫応答を誘発することができるので、目的の抗原/エピトープが樹状細胞によって提示され得るか否かを測定することが重要である。この細胞性免疫応答試験の原理は、
図22に図解されている。
【0146】
ゆえに、樹状細胞は、目的の炭水化物構造/エピトープと考えられるか目的の炭水化物構造/エピトープを有する、目的の化合物を負荷される。前記化合物は、例えば、本明細書中に記載されるような目的の炭水化物エピトープを有する微生物、腫瘍細胞または目的の炭水化物エピトープを有する他の任意の化合物であり得る。負荷に適する条件および炭水化物構造を有する適当な化合物は、本明細書中に記載される。
【0147】
そして、前記負荷された樹状細胞を、免疫細胞、特に、T細胞などのリンパ球と接触させる。その免疫細胞は、例えば、ヒトドナーから得ることができる。免疫細胞のレセプターがマッチする、抗原を提示している樹状細胞は、リンパ球を活性化し、かように刺激し、それによってそれらの増殖および生存が可能となる。樹状細胞によって提示される抗原とマッチしないリンパ球は、活性化されず、死滅する。
【0148】
この1回目の刺激によって、前記負荷された樹状細胞によって提示される任意の対応する抗原に特異的な活性化リンパ球が提供される。しかしながら、本方法の目的は、目的の炭水化物エピトープ/抗原が細胞性応答を刺激することができるかどうかを同定することである。
【0149】
ゆえに、目的の炭水化物がリンパ球を刺激し、そして細胞性応答を引き起こすかどうかを測定するために、リンパ球を再刺激する選択工程を行う。前記選択工程では、例えば樹状細胞などの抗原提示細胞に、目的の炭水化物もまた有する第2化合物を負荷する。しかしながら、前記第2化合物は、第1化合物とは異なるものである。この第2化合物もまた、APCによってプロセッシングされ、前記APCによってその抗原が提示される。第2化合物が、第1化合物とは異なるものであるので、提示されるほとんどの抗原、好ましくはすべての抗原が、目的の炭水化物エピトープのほかに、1回目に提示された抗原と異なる。これは、それらのリンパ球だけが、前記APCによって提示されたマッチする抗原を見つけ出す2回目の再刺激に対して生き残るという効果を有する。1回目の樹状細胞ならびに2回目のAPCの両方が、目的の炭水化物エピトープを含むかまたは目的の炭水化物エピトープからなる抗原を提示する場合、前記抗原を認識するリンパ球が刺激され、そしてそれらが再刺激されるとき生き残る。目的の炭水化物エピトープを有する前記第2化合物を負荷された前記APCと接触するとき、マッチするパートナーが見つからないそれらのリンパ球は、再刺激されないことに起因して死滅する。この選択工程によって、目的の炭水化物に対する細胞性応答の検出が確実にする。
【0150】
最後の工程では、リンパ球が、実際に再刺激されたかどうかを測定する。これは、例えば、
−前記リンパ球が(再)刺激される場合に分泌されるリンパ球の分泌産物(例えば、インターフェロンα、インターフェロンγまたはGM−CSF)
−T細胞の増殖
を測定することによって行われ得る。
【0151】
再刺激が起きているかどうかを測定するのに適した試験は、本明細書中に記載される。
【0152】
前記試験の特異性は、樹状細胞/APCによって提示されているときの目的の前記炭水化物エピトープを特異的に認識する炭水化物結合構造を用いることによって増強され得る。前記実施形態によれば、工程c)による前記刺激されたリンパ球の少なくとも一部は、目的の前記炭水化物エピトープを認識する炭水化物結合分子の存在下において、前記第1化合物と同じ炭水化物エピトープを有する適当量の少なくとも1つの第2化合物を負荷された適当量の抗原提示細胞(APC)と接触する(ここで、前記第2化合物は、前記炭水化物陽性化合物とは異なる)。目的の前記炭水化物エピトープを認識する前記炭水化物結合分子は、APCと前記リンパ球との相互作用を遮断し、それによって、再刺激が妨げられおよびそれゆえ細胞の生存が妨げられる。このさらなる工程は、目的の炭水化物が、リンパ球を特異的に刺激し、そしてかように特異的な細胞性免疫応答を引き起こすことをさらに確実にする。この特異性を増大する/確かにする工程は、並行して(工程cによる刺激されたリンパ球を分割することによって)行われ得るか、または前記増大する/確かにする工程を追加的に、つまり後で行うことによって行われ得る。
【0153】
第1の実施形態(細胞性免疫応答試験1)によれば、再刺激されたリンパ球の量/程度は、GM−CSF分泌を測定することによって測定される。例えば、分泌されたGM−CSFの量は、ELISAまたはELISPOTによって測定され得る。
【0154】
好ましい(prefereed)実施形態によれば、炭水化物エピトープに対する細胞性免疫応答試験(細胞性免疫応答試験1の実施形態)が提供され、その試験は、
a)適当量の炭水化物陽性微生物、その溶解物もしくは部分、それらを含んでいる調合物と、本発明の栄養補助食品または薬学組成物を負荷された、適当量の、少なくとも1つの樹状細胞を含む樹状細胞、複数の樹状細胞、または少なくとも1つの樹状細胞を含む細胞の混合物を、適当量の、少なくとも1つの免疫細胞を含む免疫細胞、CD4+T細胞、CD8+T細胞、少なくとも1つのT細胞を含む細胞の混合物、または末梢血単核球(これらは、樹状細胞によって活性化され得るか、または抑制され得る)とともに、接触させる工程、
b)適切な時間にわたって、そして適切な条件下で、培養する工程、
c)適当量の少なくとも1つの炭水化物エピトープを有する分子を負荷された、適当量の、少なくとも1つの樹状細胞を含む樹状細胞、複数の樹状細胞、または少なくとも1つの樹状細胞を含む細胞の混合物を加える工程、
d)再刺激のために、適切な時間にわたって、そして適切な条件下で、培養する工程、
e)分泌されたGM−CSFの量をELISAまたはELISPOTによって測定する工程であって、ここで、炭水化物エピトープに対して陽性の細胞性免疫応答は、(i)炭水化物エピトープを有する分子を負荷された前記樹状細胞で再刺激された前記免疫細胞のGM−CSF分泌のほうが、対応する負荷されていない樹状細胞で再刺激された対応する免疫細胞のGM−CSF分泌よりも、および/または炭水化物エピトープを有していないかもしくは含んでいない分子を負荷された対応する樹状細胞で再刺激された対応する免疫細胞のGM−CSF分泌よりも有意に高いこと、および/または(ii)炭水化物エピトープを有するかもしくは含んでいるタンパク質、ペプチドまたは分子を負荷された前記樹状細胞で再刺激された前記免疫細胞のGM−CSF分泌のほうが、炭水化物エピトープを有していないかもしくは含んでいない対応するタンパク質、ペプチドまたは分子を負荷された対応する樹状細胞で再刺激された対応する免疫細胞のGM−CSF分泌よりも有意に高いこと、および/または(iii)炭水化物エピトープを有するかもしくはまたは含んでいるタンパク質、ペプチドまたは分子を負荷された前記樹状細胞で再刺激された前記免疫細胞のGM−CSF分泌のほうが、炭水化物エピトープを有するかもしくは含んでいるが、炭水化物エピトープを破壊するために化学的または酵素的に処理された対応するタンパク質、ペプチドまたは分子を負荷された対応する樹状細胞で再刺激された対応する免疫細胞のGM−CSF分泌よりも有意に高いこと、および/または(iv)炭水化物エピトープを含んでいる細胞の溶解物または部分を負荷された前記樹状細胞で再刺激された前記免疫細胞のGM−CSF分泌のほうが、炭水化物エピトープが陰性であるかまたは炭水化物エピトープを含んでいない細胞の溶解物を負荷された対応する樹状細胞で再刺激された対応する免疫細胞のGM−CSF分泌よりも有意に高いことを示す工程、
を包含する。
【0155】
対応する免疫細胞とは、少なくとも1つの免疫細胞、CD4+T細胞、CD8+T細胞、少なくとも1つのT細胞もしくは末梢血単核球を含む細胞の混合物、または別の箇所に記載される他の細胞、および細胞の混合物であるかあるいはそれらを含む同じ免疫細胞(この免疫細胞は、樹状細胞によって活性化され得るか、または抑制され得る)が、比較を可能にするために、前記免疫細胞に対して使用されるもの以外の、コントロール分子または試験分子、分子の混合物、細胞、細胞の溶解物もしくは部分、微生物もしくはその部分を用いる、コントロール試験または比較試験に使用されることを意味する。
【0156】
対応する樹状細胞とは、適当量の少なくとも1つの炭水化物エピトープを有する分子を負荷された、少なくとも1つの樹状細胞、複数の樹状細胞、または少なくとも1つの樹状細胞もしくは別の箇所に記載される他の細胞を含む細胞の混合物、およびT細胞を活性化することができる細胞の混合物であるかあるいはそれらを含む同じ樹状細胞が、比較を可能にするために、コントロール分子もしくは試験分子、分子の混合物、細胞、細胞の溶解物もしくは部分、微生物もしくはそれらの部分を用いて、または前記樹状細胞に対して使用されるもの以外の任意のものを用いずに、コントロール試験または比較試験のために使用されることを意味する。
【0157】
このことは、当業者に公知であり、それらは、当業者によって選択され得る。これは、実施例において詳細に示される。明確にするために:例えば、最適に比較できるように、同じ調製物からの同じ量の免疫細胞を、同じ量のアシアログリコホリンを負荷された、そして、平行して同じ量のグリコホリンまたは過ヨウ素酸塩処理アシアログリコホリンを負荷された同じ調製物からの同じ量の樹状細胞と接触させ、そして、その試験において使用する。
【0158】
変形は、当業者に公知であり、当業者によって測定され得るか、または実施例に詳細に記載される。
【0159】
前記細胞性免疫応答試験1は、GM−CSFの誘導される特異的な分泌を測定することによって、炭水化物陽性微生物による炭水化物エピトープに特異的なCD4+および/またはCD8+T細胞の活性化を試験し、この試験は、炭水化物陽性微生物、その溶解物または部分を負荷された樹状細胞と免疫細胞とを接触させる工程、適切な時間および条件で培養する工程、続いて、再刺激のために、炭水化物エピトープを有する分子を負荷された樹状細胞を加える工程、および適切な時間および条件で培養する工程、続いて、この再刺激に応答して分泌されたGM−CSFの量を測定する工程を包含する。分泌されたGM−CSFの量の前記測定は、好ましくは、ELISAまたはELISPOTによって、より好ましくは、ELISAによって行われ、この測定は、当業者に公知である。本発明の最も好ましい実施形態において、細胞性免疫応答試験1は、炭水化物陽性微生物を負荷された、MUTZ−3、NMD−100またはNMD−200に由来する細胞から得られた機能的樹状細胞を、少なくともMHCクラスI(HLA−A2)および(HLA−B44)においてマッチするPBMC(末梢血単核球)と接触させる工程、適切な時間および条件で、代表的には7〜10日間、これらの細胞を培養する工程、続いて、炭水化物エピトープを含む細胞の溶解物または炭水化物を有する分子を負荷されたMUTZ−3に由来する細胞から得られた機能的樹状細胞を、再刺激のために加える工程、そして適切な時間および条件で、代表的には7〜9日間培養する工程、続いて、ELISA解析またはELISPOT解析において、分泌されたGM−CSFの量を測定する工程を包含する。GM−CSF放出のELISA解析およびELISPOT解析は、当業者に公知であり、実施例に詳細に記載される。炭水化物エピトープに対して陽性の細胞性免疫応答は、炭水化物エピトープを含んでいる細胞の溶解物を負荷されたDCで再刺激された免疫細胞のGM−CSF分泌のほうが、炭水化物エピトープ陰性細胞の溶解物を負荷されたDCで再刺激された免疫細胞の分泌よりも高い分泌を示し、そして/または、炭水化物エピトープを有する分子を負荷されたDCで再刺激された免疫細胞のGM−CSF分泌のほうが、炭水化物エピトープ陰性分子で負荷されたDCで再刺激された免疫細胞の分泌よりも高い分泌を示す。細胞性免疫応答試験1の好ましい実施形態は、実施例12において詳細に記載される。
【0160】
第2の実施形態(細胞性免疫応答試験2)によれば、再刺激されたリンパ球の量/程度は、INFγまたはTNFαの分泌の量を測定することによって測定される。好ましい実施形態において、炭水化物エピトープに対する前記細胞性免疫応答試験2は、
a.適当量の、炭水化物陽性微生物、その溶解物もしくは部分、それらを含んでいる調合物、本発明の栄養補助食品または薬学組成物を負荷された、適当量の、少なくとも1つの樹状細胞、樹状細胞(複数)または少なくとも1つの樹状細胞を含む細胞の混合物を、少なくとも1つの免疫細胞、CD4+T細胞、CD8+T細胞、少なくとも1つのT細胞を含む細胞の混合物または末梢血単核球(これらは、樹状細胞によって活性化され得るか、または抑制され得る)を含む適当量の免疫細胞と接触させる工程
b.適切な時間にわたって、そして適切な条件下で培養する工程
c.適当量の少なくとも1つの炭水化物エピトープを有する分子を負荷された、適当量の、少なくとも1つの樹状細胞を含む樹状細胞、複数の樹状細胞、または少なくとも1つの樹状細胞を含む細胞の混合物を加える工程
d.再刺激のために、適切な時間にわたって、そして適切な条件下で培養する工程、および
e.分泌されたIFNγおよび/または分泌されたTNFαの量をELISAまたはELISPOTによって測定する工程であって、ここで、炭水化物エピトープに対して陽性の細胞性免疫応答は、(i)炭水化物エピトープを有するかもしくは含んでいる分子を負荷された前記樹状細胞で再刺激された前記免疫細胞のIFNγおよび/またはTNFαの分泌のほうが、対応する負荷されていない樹状細胞で再刺激された対応する免疫細胞のIFNγおよび/もしくはTNFαの分泌よりも有意に高いこと、および/または、炭水化物エピトープを有しているかもしくは含んでいる分子を負荷された前記樹状細胞で再刺激された前記免疫細胞のIFNγおよび/またはTNFα分泌のほうが、炭水化物エピトープを有していないかもしくは含んでいない分子を負荷された対応する樹状細胞で再刺激された対応する免疫細胞のIFNγおよび/またはTNFαの分泌よりも高いこと、および/または(ii)炭水化物エピトープを有するかもしくは含んでいるタンパク質、ペプチドまたは分子を負荷された前記樹状細胞で再刺激された前記免疫細胞のIFNγおよび/またはTNFαの分泌のほうが、炭水化物エピトープを有しないかもしくは含んでいない対応するタンパク質、ペプチドまたは分子を負荷された対応する樹状細胞で再刺激された対応する免疫細胞のIFNγおよび/またはTNFαの分泌よりも有意に高いこと、および/または(iii)炭水化物エピトープを有するかもしくはまたは含んでいるタンパク質、ペプチドまたは分子を負荷された前記樹状細胞で再刺激された前記免疫細胞のIFNγおよび/またはTNFαの分泌のほうが、炭水化物エピトープを有するかもしくは含んでいるが、炭水化物エピトープを破壊するために酵素的または化学的に処理された対応するタンパク質、ペプチドまたは分子を負荷された対応する樹状細胞で再刺激された対応する免疫細胞のIFNγおよび/またはTNFαの分泌よりも有意に高いこと、および/または(iv)炭水化物エピトープを含んでいる細胞の溶解物または部分を負荷された前記樹状細胞で再刺激された前記免疫細胞のINFγおよび/またはTNFαの分泌のほうが、炭水化物エピトープが陰性であるかまたは炭水化物エピトープを含んでいない細胞の溶解物を負荷された対応する樹状細胞で再刺激された対応する免疫細胞のIFNγおよび/またはTNFαの分泌よりも有意に高いことを示す工程、
を包含する。
【0161】
前記細胞性免疫応答試験2は、炭水化物陽性微生物によって、炭水化物エピトープ特異的な活性化された細胞傷害性T細胞に対する、細胞傷害性T細胞(例えば、CTL(細胞傷害性Tリンパ球)およびまたはTh1型細胞傷害性Tヘルパー細胞)の活性化を試験する。分泌されたIFNγおよび/またはTNFαの量の前記測定は、好ましくは、ELISAまたはELISPOTによって、より好ましくは、ELISPOTによって行われ、その測定は、当業者に公知である。本発明の最も好ましい実施形態において、細胞性免疫応答試験2は、炭水化物陽性微生物を負荷された、MUTZ−3またはNMD−100またはNMD−200に由来する細胞から得られた機能的樹状細胞を、少なくともMHCクラスI(HLA−A2およびHLA−B44)においてマッチするPBMC(末梢血単核球)と接触させる工程、適切な時間および条件で、代表的には7〜10日間、これらの細胞を培養する工程、続いて、炭水化物エピトープまたは炭水化物エピトープを有する分子を含む細胞の溶解物を負荷されたMUTZ−3、NMD−100またはNMD−200に由来する細胞から得られた機能的樹状細胞を、再刺激のために加える工程、適切な時間および条件で、代表的には7〜9日間培養する工程、続いて、分泌されたIFNγの量をELISPOT解析によって測定する工程および/または分泌されたTNFαの量をELISA解析によって測定する工程を包含する。TNFαおよびIFNγのELISA解析およびELISPOT解析は、当業者に公知であり、実施例に詳細に記載される。細胞性免疫応答試験2の好ましい実施形態は、実施例12に詳細に記載される。
【0162】
第3の実施形態(細胞性免疫応答試験3)によれば、再刺激されたリンパ球の量/程度は、増殖および/または増殖誘導を測定することによって測定される。好ましい実施形態において、炭水化物エピトープに対する前記細胞性免疫応答試験3は、
a)適当量の炭水化物陽性微生物を負荷された、適当量の、少なくとも1つの樹状細胞を含む樹状細胞、複数の樹状細胞、または少なくとも1つの樹状細胞を含む細胞の混合物、その溶解物もしくは部分、それらを含んでいる調合物、本発明の栄養補助食品あるいは薬学組成物を、適当量の、少なくとも1つの免疫細胞を含む免疫細胞、CD4+T細胞、CD8+T細胞、少なくとも1つのT細胞を含む細胞の混合物、または末梢血単核球(これらは、樹状細胞によって活性化され得るか、または抑制され得る)と接触させる工程、
b)適切な時間にわたって、そして適切な条件下で培養する工程、
c)適当量の少なくとも1つの炭水化物エピトープを有する分子を負荷された、適当量の、少なくとも1つの樹状細胞を含む樹状細胞、複数の樹状細胞、または少なくとも1つの樹状細胞を含む細胞の混合物を加える工程、
d)再刺激のために、適切な時間にわたって、そして適切な条件下で培養する工程、および
e)好ましくはWST反応を比色測定(実施例に記載されるような)と組み合わせて使用することによって、増殖および/または増殖誘導を測定する工程であって、ここで、炭水化物エピトープに対して陽性の細胞性免疫応答は、(i)炭水化物エピトープを有するかまたは含んでいる分子を負荷された前記樹状細胞で再刺激されたときの、ある特定の時間にわたる培養後の免疫細胞の増殖またはT細胞の数のほうが、対応する負荷されていない樹状細胞で再刺激された増殖または数よりも有意に高く、そして/または、炭水化物エピトープを有していないかもしくは含んでいない分子を負荷された対応する樹状細胞で再刺激されたときの増殖または数よりも有意に高いこと、および/または(ii)炭水化物エピトープを有するかもしくは含んでいるタンパク質、ペプチドまたは分子を負荷された前記樹状細胞で再刺激されたときの、ある特定の時間にわたる培養後の免疫細胞の増殖またはT細胞の数のほうが、炭水化物エピトープを有していないかもしくは含んでいない対応するタンパク質、ペプチドまたは分子を負荷された対応する樹状細胞で再刺激されたときの増殖または数よりも有意に高いこと、および/または(iii)炭水化物エピトープを有するかもしくはまたは含んでいるタンパク質、ペプチドまたは分子を負荷された前記樹状細胞で再刺激されたときの、ある特定の時間にわたる培養後の免疫細胞の増殖またはT細胞の数のほうが、炭水化物エピトープを有するかもしくは含んでいるが、炭水化物エピトープを破壊するために酵素的または化学的に処理された対応するタンパク質、ペプチドまたは分子を負荷された対応する樹状細胞で再刺激された対応する免疫細胞の増殖または数よりも有意に高いこと、および/または(iv)炭水化物エピトープを有しているかもしくは含んでいる細胞の溶解物または部分を負荷された前記樹状細胞で再刺激されたときの、ある特定の時間にわたる培養後の免疫細胞の増殖またはT細胞の数のほうが、炭水化物エピトープが陰性であるかまたは炭水化物エピトープを含んでいない細胞の溶解物を負荷された対応する樹状細胞で再刺激された対応する免疫細胞の増殖または数よりも有意に高いことを示す工程、
を包含する。
【0163】
前記細胞性免疫応答試験3は、T細胞の増殖の誘導を測定することによって、炭水化物陽性微生物またはその部分もしくは溶解物による炭水化物エピトープに特異的な活性化T細胞に対するCD4+およびCD8+T細胞の活性化を試験し、この試験は、炭水化物陽性微生物を負荷された樹状細胞と免疫細胞とを接触させる工程、適切な時間および条件で培養する工程、続いて、再刺激のために、炭水化物エピトープを有する分子を負荷された樹状細胞を加える工程、適切な時間および条件で培養する工程、続いて、増殖を測定する工程を包含する。増殖誘導の前記測定は、好ましくは、WST反応を、比色測定ならびにDCのみおよび再刺激されていない免疫細胞のみの差し引きと組み合わせて用いて行われ、それは、当業者に公知であり、実施例12に記載される。本発明の最も好ましい実施形態において、細胞性免疫応答試験3は、炭水化物陽性微生物またはその溶解物もしくは部分を負荷された、MUTZ−3またはNMD−100またはNMD−200に由来する細胞から得られた機能的樹状細胞を、少なくともMHCクラスI(HLA−A2およびHLA−B44)においてマッチするPBMC(末梢血単核球)と接触させる工程、適切な時間および条件で、代表的には7〜10日間、これらの細胞を培養する工程、続いて、炭水化物エピトープまたは炭水化物エピトープを有する分子を含む細胞の溶解物を負荷されたMUTZ−3 NMD−100またはNMD−200に由来する細胞から得られた機能的樹状細胞を、再刺激のために加える工程、適切な時間および条件で、代表的には7〜9日間培養する工程、続いて、上に、および実施例12にさらに詳細に記載されるように増殖率を測定する工程を包含する。炭水化物エピトープに対する陽性の細胞性免疫応答は、炭水化物エピトープを有する分子を負荷されたDCで再刺激されたT細胞の増殖のほうが、DCのみおよび負荷されていないmDCまたは対応するコントロールで負荷されたDCと接触したT細胞の増殖率よりも高い増殖を示す。細胞性免疫応答試験3の好ましい実施形態は、実施例12において詳細に記載される。
【0164】
別の好ましい実施形態において、本発明は、炭水化物エピトープに対する細胞性免疫応答試験(細胞性免疫応答試験4)を提供し、その試験は、
(a)適当量の
(i)炭水化物陽性微生物、その溶解物または部分、
(ii)それらを含んでいる調合物、
(iii)本発明の栄養補助食品もしくは薬学組成物、または
(iv)炭水化物エピトープを有するかもしくは含んでいる分子、
(v)炭水化物エピトープを有する分子を含む混合物、
(vi)炭水化物エピトープ、その溶解物もしくは部分が陽性であるかまたはそれらを含んでいる細胞
を負荷された、適当量の、1つの樹状細胞、複数の樹状細胞、または少なくとも1つの樹状細胞を含む細胞の混合物を、適当量の少なくとも1つの炭水化物結合分子と接触させる工程;
(b)前記炭水化物結合分子の結合を試験する工程
を包含する。
【0165】
炭水化物エピトープを有する分子を負荷された前記1つの樹状細胞または複数の樹状細胞に対する炭水化物結合分子の結合のほうが、対応する負荷されていない1つの樹状細胞または複数の樹状細胞に対する結合よりも、および/あるいは炭水化物エピトープを有していないかもしくは含んでいない分子、または、炭水化物エピトープを破壊する酵素的または化学的な処理後の炭水化物エピトープを有するかもしくは含んでいる分子を負荷された対応する1つの樹状細胞もしくは複数の樹状細胞に対する結合よりも強いとき、および/または、炭水化物陽性微生物、その溶解物もしくは部分、栄養補助食品、薬学組成物またはそれらの調合物を負荷された前記1つの樹状細胞または複数の樹状細胞に対する炭水化物結合分子の結合のほうが、負荷されていない対応する1つの樹状細胞または複数の樹状細胞に対する結合よりも、または、炭水化物結合分子によって結合されない微生物を負荷された対応する1つの樹状細胞または複数の樹状細胞に対する結合よりも、または、炭水化物エピトープを破壊する酵素的または化学的な処理後の炭水化物陽性微生物を負荷された対応する1つの樹状細胞または複数の樹状細胞に対する結合よりも強いとき、前記1つの樹状細胞または複数の樹状細胞上の炭水化物エピトープの陽性の提示が存在する。
【0166】
前記細胞性免疫応答試験4は、樹状細胞が炭水化物陽性微生物またはその部分もしくは溶解物を負荷された後にその樹状細胞の表面上に炭水化物エピトープを提示する能力(負荷された樹状細胞が微生物由来の炭水化物エピトープをプロセッシングし、そしてT細胞などの免疫細胞に提示する能力を示す)を試験し、この試験は、適当量の炭水化物陽性微生物またはその部分もしくは溶解物を、適当な分化状態および成熟状態、好ましくは、当業者に公知の分子の適切なカクテルを用いて後にmDCに成熟する未熟DCと接触させる工程、および本発明の炭水化物結合分子と前記負荷されたDCとの結合を試験することによって、負荷されたDCによる炭水化物エピトープの提示を測定する工程を包含する。前記結合の試験は、適切な方法、好ましくは、免疫細胞化学、免疫蛍光またはフローサイトメトリー、より好ましくは、免疫細胞化学によって行われ、これらの方法は当業者に公知であり、実施例に記載される。
【0167】
その試験は、炭水化物陽性微生物を負荷されたDCに対する炭水化物結合分子の結合のほうが、負荷されていないDCに対する結合よりも、またはより好ましくは、炭水化物結合分子によって結合されない微生物で負荷されたDCに対する結合よりも、もしくは炭水化物エピトープを破壊する酵素的または化学的な処理後の炭水化物陽性微生物を負荷されたDCに対する結合よりも強いとき、負荷されたDCの陽性の提示を示す。本発明の好ましい実施形態において、細胞性免疫応答試験4は、MUTZ−3またはNMD−100またはNMD−200に由来する細胞から得られた適当量の機能的未熟樹状細胞と、炭水化物陽性微生物の溶解物とを接触させる工程、続いて、実施例12に記載されるような適当な分子のカクテルを用いて、24時間〜48時間、培養して成熟させる工程、および炭水化物エピトープ特異的抗体を用いた免疫蛍光顕微鏡法(免疫細胞化学)経由で炭水化物エピトープの提示を試験する工程を包含する。
【0168】
細胞性免疫応答試験4の好ましい実施形態は、実施例12において詳細に記載される。
【0169】
本発明は、炭水化物エピトープに対する細胞性免疫応答試験(細胞性免疫応答試験5)も提供し、その試験は、
a)適当量のマーカー(例えば、ユーロピウムまたはクロム−51)で標識された、炭水化物エピトープを含んでいる細胞株由来の適当量の標的細胞を、炭水化物エピトープに向けられた少なくとも1つの免疫細胞または炭水化物エピトープに向けられた少なくとも1つの免疫細胞を含む細胞の混合物とともに、適当な時間(代表的には3〜6時間または一晩)にわたって、そして適当な条件下でインキュベートする工程、および
b)マーカー(例えば、ユーロピウムまたはクロム−51)の放出を測定することによって、標的細胞の溶解を測定する工程であって、ここで、炭水化物エピトープに対して陽性の細胞性免疫応答は、炭水化物エピトープを含んでいる細胞の溶解のほうが炭水化物エピトープ陰性細胞の溶解よりも有意に高いことを示し、そして/または炭水化物エピトープに向けられた免疫細胞とインキュベートされた、炭水化物エピトープを含んでいる細胞の溶解のほうが、炭水化物エピトープに向けられていない対応するコントロール免疫細胞とインキュベートされた、炭水化物エピトープを含んでいる細胞の溶解よりも有意に高いことを示す、工程
を包含する。
【0170】
前記CIRT5は、炭水化物エピトープに向けられた免疫エフェクター細胞(例えば、1つのT細胞または複数のT細胞、T細胞クローン、T細胞株、CD4陽性T細胞、CD8陽性T細胞、NK細胞および/またはPBMCが挙げられるがこれらに限定されない)の炭水化物エピトープに特異的な細胞傷害を試験する。
【0171】
炭水化物エピトープに向けられた免疫細胞の作製は、本明細書中の別の箇所において記載される。
【0172】
本発明の好ましい実施形態において、炭水化物エピトープに向けられた免疫細胞は、本発明の調合物、炭水化物陽性微生物またはその部分もしくは溶解物をヒトまたは動物に投与することによって、より好ましくは、本発明の調合物、炭水化物陽性微生物またはその部分もしくは溶解物をヒトまたは動物に投与することによって、続いて、そのヒトまたは動物から免疫細胞を分離することによって、得られる。
【0173】
本発明の別の好ましい実施形態において、炭水化物エピトープに向けられた免疫細胞は、CIRT5において、本発明の調合物、炭水化物陽性微生物またはその部分もしくは溶解物あるいは炭水化物エピトープを有する分子または腫瘍細胞を負荷された樹状細胞を使用する前に、それらで少なくとも1回再刺激される。
【0174】
本発明のより好ましい実施形態において、炭水化物エピトープに向けられた免疫細胞は、CIRT5において、本発明の調合物、炭水化物陽性微生物またはその部分もしくは溶解物あるいは炭水化物エピトープを有する分子または腫瘍細胞を負荷された樹状細胞を使用する前に、それらで少なくとも2回以上再刺激され、ここで、異なるキャリア上の炭水化物エピトープ(例えば、微生物、分子、タンパク質または腫瘍細胞上の炭水化物エピトープまたはそれら由来の炭水化物エピトープが挙げられるがこれらに限定されない)が、再刺激の異なる回に対して使用される。
【0175】
この試験は、適当量の標識された炭水化物エピトープ陽性標的細胞を、炭水化物エピトープに向けられた適当量の免疫細胞とともに、適当な時間、代表的には、3〜6時間または一晩にわたってインキュベートする工程を包含する。上記炭水化物エピトープ陽性細胞は、溶解された細胞の測定を可能にするユーロピウムまたはクロム−51で標識される。溶解された細胞の量は、好ましくは、インキュベーション後の、ユーロピウムまたはクロム−51の放出を測定することによって測定される。適当なコントロールは、当業者によって測定され得、例えば、炭水化物エピトープ陰性細胞または炭水化物エピトープに向けられていない対応するコントロール免疫細胞であり得る。この試験は、標識された腫瘍細胞の適当な数、免疫エフェクター細胞の適当な数および適当なインキュベーション時間に関して、本発明において使用するために、当業者によって最適化され得る。
【0176】
好ましい実施形態において、CIRT5は、ユーロピウム放出アッセイを用いて行われる。標的細胞を、800μlのユーロピウム緩衝液(50mM HEPES,pH7.4、93mM NaCl、5mM KCl、2mM MgCl
2、10mMジエチレントリアミン五酢酸、2mM酢酸ユーロピウム(III))中、4℃において10分間インキュベートし、Multiporator(Eppendorf)においてエレクトロポレーションし(710V,1パルス,30μs)、続いて、氷上でさらに10分間インキュベートする。その後、その細胞をRPMI/5%FCS中で5回洗浄し、96ウェル丸底プレート(Nunc;5×10
3/ウェル)に播種する。その後、様々なエフェクター細胞/標的細胞比100:1〜5:1、好ましくは、50:1〜20:1のエフェクター細胞/標的細胞比を用いて、炭水化物エピトープに向けられた免疫細胞または対応する免疫細胞をエフェクター細胞として加える(100μl/ウェル)。自然放出を測定するために、エフェクター細胞を含んでいない100μlのRPMI/5%FCSを加える。最大放出は、エタノールを用いた標的の完全な溶解の後に測定される。
【0177】
37℃で4時間インキュベーションした後、そのプレートを500×gで5分間遠心し、すべてのウェルから20μlの無細胞上清を、予め準備しておいた平底プレート(Nunc−Immunoplate Maxisorp)上の1ウェルあたり200μlの増強溶液(Perkin−Elmer Wallac)にピペットで移す。室温で15分間インキュベーションした後、蛍光を測定する(Victor
2 Fluorometer,Perkin−Elmer Wallac)。特異的な細胞傷害性は、等式(実験溶解−自然溶解)/(最大溶解−自然溶解)×100%から得られる。
【0178】
本発明のさらに好ましい実施形態において、少なくとも1つの炭水化物陽性微生物またはその溶解物もしくは部分を含んでいる栄養補助食品または薬学組成物は、細胞性免疫応答試験1〜5のうち少なくとも2つの細胞性免疫応答試験について陽性である、炭水化物エピトープに対する有効な炭水化物特異的細胞性免疫応答を誘導する。
【0179】
本発明のなおもさらに好ましい実施形態において、少なくとも1つの炭水化物陽性微生物またはその溶解物もしくは部分を含んでいる栄養補助食品または薬学調合物は、少なくとも1つの液性免疫応答試験および少なくとも1つの細胞性免疫応答試験について陽性である、炭水化物エピトープに対する液性および細胞性の免疫応答を誘導する。
【0180】
本発明のなおもさらに好ましい実施形態において、少なくとも1つの炭水化物陽性微生物またはその溶解物もしくは部分を含んでいる栄養補助食品または薬学調合物は、少なくとも2つの液性免疫応答試験および2つの細胞性免疫応答試験、好ましくは、液性免疫応答試験1および3ならびに細胞性免疫応答試験1および3、より好ましくは、液性免疫応答試験1、2および3ならびに細胞性免疫試験1、2および3、なおもより好ましくは、液性免疫応答試験1、2、3および4ならびに細胞性免疫応答試験1、2、3および4、なおもより好ましくは、液性免疫応答試験1、2、3、4および6ならびに5つすべての細胞性免疫応答試験、なおもより好ましくは、液性免疫応答試験1、2、3、4および5ならびに5つすべての細胞性免疫応答試験、最も好ましくは、6つすべての液性免疫応答試験および5つすべての細胞性免疫応答試験について陽性である、炭水化物エピトープに対する液性および細胞性の免疫応答を誘導する。
【0181】
別の好ましい実施形態において、本発明は、細胞性免疫応答試験1〜5を提供し、ここで、樹状細胞、複数の樹状細胞、または樹状細胞を含む細胞の混合物は、前記免疫細胞と接触するとき成熟樹状細胞である少なくとも1つの樹状細胞を含む。
【0182】
別の好ましい実施形態において、本発明は、細胞性免疫応答試験1〜5を提供し、ここで、樹状細胞、複数の樹状細胞、または細胞の混合物は、MUTZ−3由来の細胞から得られる機能的樹状細胞を含む。
【0183】
別の好ましい実施形態において、本発明は、細胞性免疫応答試験1〜5を提供し、ここで、前記免疫細胞は、前記樹状細胞と少なくとも1つのMHCクラスI分子においてマッチする。
【0184】
別の好ましい実施形態において、本発明は、細胞性免疫応答試験1〜5を提供し、ここで、炭水化物エピトープを有する分子は、炭水化物エピトープを含んでいる細胞の溶解物または部分である。
【0185】
別の好ましい実施形態において、本発明は、少なくとも1つのヒトまたは動物において、本発明による栄養補助食品、薬学組成物、炭水化物陽性微生物もしくはその部分またはそれらを含んでいる調合物によって誘導されるかまたは増大される、炭水化物エピトープに対する免疫応答を測定するための、上に記載されたような免疫応答試験のうちのいずれかの使用について言及する。
【0186】
別の好ましい実施形態において、本発明は、少なくとも1つのヒトまたは動物において栄養補助食品、薬学組成物、炭水化物陽性微生物もしくはその部分またはそれらを含んでいる調合物を投与せずに、または投与する前に、ヒトまたは動物における天然に存在する免疫応答を試験するための上に記載されたような免疫応答試験のうちのいずれかの使用について言及する。
【0187】
別の好ましい実施形態において、本発明は、本発明による栄養補助食品、薬学組成物、炭水化物陽性微生物もしくはその部分またはそれらを含んでいる調合物の、有効量、最大有効量、用量、投薬レジメン、投与経路、組成、調合、キャリアおよびそれらとともに使用される他の分子を測定し、最適化するための上に記載されたような免疫応答試験のうちのいずれかの使用について言及する。
【0188】
B)炭水化物陽性微生物、ならびに炭水化物陽性微生物が免疫応答を誘導する能力を試験するための方法、炭水化物陽性微生物を分離するための方法、栄養補助食品および薬学組成物に適した炭水化物陽性微生物を同定するための方法の提供
本発明は、ヒト細胞または動物細胞由来の分子上に存在する炭水化物エピトープを特異的に認識する少なくとも1つの炭水化物結合分子によって認識される/結合される炭水化物陽性微生物を提供し、ここで、前記微生物は、少なくとも1つの動物またはヒトにおいて前記炭水化物エピトープに対して有効な炭水化物特異的細胞性免疫応答を誘導する。
【0189】
それぞれの炭水化物陽性微生物およびそれらを得るための方法の特徴および利点は、上および下で記載される。炭水化物陽性微生物が、その「天然の」環境において(例えば、腫瘍細胞のようなヒト細胞または動物細胞上において)目的の炭水化物エピトープを特異的に認識する少なくとも1つの炭水化物結合分子によって結合され、認識されるとき、その炭水化物陽性微生物および/またはその炭水化物陽性の部分もしくは溶解物が、目的の炭水化物エピトープと少なくとも免疫化学的に実質的に同一である炭水化物構造を有することが保証される。この特徴は、目的の炭水化物エピトープに対して十分に特異的である免疫応答が前記炭水化物陽性微生物によって引き起こされることを保証するために重要である。微生物が目的の炭水化物エピトープを有することを測定するために使用され得る、そのような炭水化物結合分子、好ましくは、抗体は、例えば、腫瘍(その周辺)において炭水化物エピトープを特異的に認識する。
【0190】
本発明は、ヒト細胞または動物細胞由来の分子上に存在する炭水化物エピトープを特異的に認識する少なくとも1つの炭水化物結合分子と接触するときに、その分子によって認識され、結合される炭水化物陽性微生物またはその部分もしくは溶解物を提供し、それらは、少なくとも1つの動物またはヒトにおいて、前記炭水化物エピトープ、および/または前記炭水化物エピトープを含んでいる、炭水化物構造、炭水化物結合体もしくは哺乳動物細胞に対して炭水化物特異的で有効な細胞性免疫応答および/または液性免疫応答を誘導する。
【0191】
好ましい実施形態において、上記炭水化物陽性微生物は、少なくとも1つの動物またはヒトにおいて、前記炭水化物エピトープ、ならびに/あるいは、前記炭水化物エピトープを含んでいる、炭水化物構造、炭水化物結合体もしくは哺乳動物細胞に対して有効な炭水化物に特異的な細胞性免疫応答(好ましくは、Th1型のCD4陽性T細胞の活性化および/またはCD8陽性細胞傷害性T細胞の活性化を含む)を誘導する。
【0192】
本発明は、本発明の栄養補助食品および薬学組成物を含む群から選択される本発明による調合物において使用するのに適した炭水化物陽性微生物を提供し、ここで、その炭水化物陽性微生物は、ヒト細胞または動物細胞由来の分子上に存在する炭水化物エピトープを特異的に認識する少なくとも1つの炭水化物結合分子によって結合され、前記微生物は、好ましくは少なくとも1つの動物またはヒトにおいて、前記炭水化物エピトープに対する有効な炭水化物特異的細胞性免疫応答を誘導する。
【0193】
別の好ましい実施形態において、前記免疫応答は、インビトロにおいて誘導される。
【0194】
本発明は、好ましくは、少なくとも1つのヒトもしくは動物および/またはインビトロにおいて、前記炭水化物エピトープ、炭水化物エピトープ陽性腫瘍細胞または炭水化物エピトープ陽性疾患に対して有効な炭水化物特異的細胞性免疫応答を誘導する炭水化物陽性微生物を提供する。
【0195】
好ましい実施形態において、本発明は、
(i)本発明の炭水化物陽性微生物、または
(ii)Escherichia coli、Streptococcus、Bacteroides、Rhuminococcus、Lactobacillus、Bifidobacterium、Peptostreptococcus、Fusobacterium、Johnsonella、Atopobium、Staphylococcus、Eubacterium、Finegoldia、Clostridium、Eggerthella、Butyribacterium、Citrobacter、Helicobacter、PropionibacteriumおよびCorynebacteriumを含む群から選択される炭水化物陽性微生物;
より好ましくは、Escherichia coli、Bacteroises(例えば、Bacteroides ovatus、Bacteroides thetaiotaomicron、Bacteroides acidophilus、Bacteroides caccae)を含む群から選択される炭水化物陽性微生物;
なおもより好ましくは、2006年10月20日にGlycotope GmbH,Robert−Roessle−Str.10,13125 Berlin(Germany)によってBraunschweig(Germany)に存在する「DSMZ−Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH」に寄託された、新しい株Bacteroides ovatus AG6(DSM18726)、新しい株Bacteroides ovatus MU1(DSM18728)および新しい株Escherichia coli LH2(DSM18727)を含む群から選択される炭水化物陽性微生物、最も好ましくは、新しい株AG6またはMU1
を含む栄養補助食品または薬学調合物
を提供するか、または使用する。
【0196】
本発明のさらに好ましい実施形態において、栄養補助食品または薬学調合物の炭水化物陽性微生物は、様々な株の炭水化物陽性微生物の組み合わせである。
【0197】
さらに好ましい実施形態において、本発明による調合物の炭水化物陽性微生物は、AG6、MU1およびLH2株から選択される様々な株の炭水化物陽性微生物の組み合わせである。
【0198】
さらに好ましい実施形態において、本発明の栄養補助食品または薬学組成物は、少なくとも1つの他の有益な微生物(例えば、lactobacillusおよび/またはbifidobacteriumが挙げられるがこれらに限定されない)と組み合される少なくとも1つの炭水化物陽性微生物を含み、なおもより好ましくは、他の有益な微生物と組み合わされる様々な株の炭水化物陽性微生物の組み合わせを含む。
【0199】
本発明の好ましい実施形態において、炭水化物陽性微生物は、非病原性の微生物である。
【0200】
本発明のさらに好ましい実施形態において、炭水化物陽性微生物は、健常なドナーから分離される。
【0201】
本発明のさらに好ましい実施形態において、炭水化物陽性微生物は、健常なドナーから分離され得る。
【0202】
本発明のさらに好ましい実施形態において、炭水化物陽性微生物は、生存している有機体として、栄養補助食品または薬学組成物において使用される。
【0203】
本発明のさらに好ましい実施形態において、炭水化物陽性微生物は、生存している有機体として使用され、経口的に投与される。
【0204】
本発明のさらに好ましい実施形態において、栄養補助食品または薬学組成物において使用される炭水化物陽性微生物は、少なくとも1つの抗生物質に対して感受性である。
【0205】
本発明のさらに好ましい実施形態において、栄養補助食品において使用される炭水化物陽性微生物は、消化管に常在することができる。
【0206】
本発明の別の好ましい実施形態において、栄養補助食品または薬学組成物において使用される炭水化物陽性微生物は、死滅したものである。
【0207】
本発明のなおもさらに好ましい実施形態において、栄養補助食品または薬学組成物において使用される炭水化物陽性微生物は、低温殺菌されている。
【0208】
本発明のなおもより好ましい実施形態において、炭水化物陽性微生物は、生存している有機体として栄養補助食品または薬学組成物において使用され、そして健常なヒトドナーから分離されたものであり、ヒトの消化管にコロニーをつくることができ、抗生物質感受性である。
【0209】
本発明のなおもより好ましい実施形態において、炭水化物陽性微生物は、低温殺菌された形態で栄養補助食品において使用され、そして健常なヒトドナーの消化管から分離されたものであり、抗生物質感受性である。
【0210】
本発明の別の好ましい実施形態において、薬学組成物において使用される炭水化物陽性微生物は、死滅したものであるか、または溶解されたものである。
【0211】
本発明のさらに好ましい実施形態において、栄養補助食品または薬学組成物において使用される炭水化物陽性の微生物は、凍結乾燥されている。
【0212】
本発明は、炭水化物陽性微生物またはその部分が、炭水化物エピトープに対する液性免疫応答を誘導する能力を試験するための方法をさらに提供し、その方法は、
a)適当量の炭水化物陽性微生物またはその部分を少なくとも1つのヒトまたは動物に投与する工程、
b)炭水化物エピトープに対する液性免疫応答試験1〜6のうちの少なくとも1つにおいて免疫応答を試験する工程
を包含する。
【0213】
本発明は、炭水化物陽性微生物またはその部分が、炭水化物エピトープに対して有効な炭水化物特異的細胞性免疫応答を誘導する能力を試験するための方法をさらに提供し、その方法は、
a)適当量の炭水化物陽性微生物またはその部分を少なくとも1つのヒトまたは動物に投与する工程、および
b)炭水化物エピトープに対する少なくとも1つの細胞性免疫応答試験において免疫応答を試験する工程
を包含する。
【0214】
好ましい実施形態において、本発明は、栄養補助食品、薬学組成物、炭水化物陽性微生物もしくはその部分またはそれらを含んでいる調合物のいずれかが、免疫応答を誘導する能力を試験するための方法、およびどのような免疫応答が誘導されているかを測定する方法を提供する。
【0215】
別の好ましい実施形態において、本発明は、用量、投薬レジメン、投与経路、調合物、キャリア、あるいは栄養補助食品、薬学組成物、炭水化物陽性微生物もしくはその部分またはそれらを含んでいる調合物において使用されるか、またはそれらと共に使用される他の成分を測定する方法を提供する。
【0216】
本発明は、炭水化物陽性微生物が液性免疫応答を誘導する能力を試験するための方法をさらに提供し、その方法は、液性免疫応答試験1〜6のうちの少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つ、より好ましくは3つ、より好ましくは4つ、より好ましくは5つ、最も好ましくは6つすべての液性免疫応答試験を包含し、少なくとも1つの動物またはヒトに、試験する適当量の微生物を経口的または全身的に投与して(さらなるアジュバント有りまたは無しで)、そして血清中の抗体または血清、血漿もしくは便から得られた抗体を、好ましくは、微生物を投与する前の血清中の抗体または血液、血漿もしくは便から得られた抗体と比較して試験する。当業者は、微生物の適当量および血液から抗体を得る方法および適当なコントロールを決定することができる。この試験は、本明細書中および/または実施例11に詳細に記載される。
【0217】
本発明は、炭水化物陽性微生物が細胞性免疫応答を誘導する能力を試験するための方法をさらに提供し、その方法は、細胞性免疫応答試験1〜5のうちの少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つ、より好ましくは3つ、最も好ましくは5つすべての細胞性免疫応答試験を包含する。
【0218】
本発明は、炭水化物陽性微生物が細胞傷害性細胞性免疫応答を誘導する能力を試験するための方法をさらに提供し、その方法は、少なくとも細胞性免疫応答試験2、好ましくは2および1、より好ましくは2、3および、および最も好ましくは5つすべての細胞性免疫応答試験を包含する。
【0219】
本発明の両方の実施形態において、これらの試験は、上に記載されたように、インビトロまたは細胞性免疫応答試験1〜3および5において行われ、少なくとも1つの動物またはヒトに、試験する適当量の微生物を経口的または全身的に与えることで行われ(さらなるアジュバント有りまたは無しで)、そして免疫細胞を血液から得て、(i)上に記載されたような細胞性試験1〜3または5に従って試験するか、または(ii)炭水化物陽性微生物を負荷された樹状細胞と免疫細胞とを接触させず、そして炭水化物エピトープを有する分子を負荷された樹状細胞のみを再刺激のために加えるという点を変えて、上に記載されたような細胞性試験1〜3または5に従って試験する。(i)は、好ましくは、インビボの効果を増大させるため、およびより弱い応答として読み出されることを改善するために使用され、そして(ii)は、好ましくは、強い応答に対して使用される。当業者は、微生物の適当量および適当なコントロールを測定することができる。この試験は、実施例12において詳細に記載される。
【0220】
本発明は、好ましい実施形態において、炭水化物陽性微生物が液性および細胞性の免疫応答を誘導する能力を試験するための方法(この方法は、上に記載された方法の組み合わせに相当する)をさらに提供し、その方法は、液性免疫応答試験1〜6のうちの少なくとも1つおよび細胞性免疫応答試験1〜5のうちの少なくとも1つ、好ましくは液性免疫応答試験1〜6のうちの少なくとも2つおよび少なくとも1つ、より好ましくは、細胞性免疫応答試験1〜5のうちの少なくとも2つ、より好ましくは、液性免疫応答試験1〜6のうちの少なくとも3つ、より好ましくは、液性免疫応答試験1〜6のうちの少なくとも4つおよび細胞性免疫応答試験1〜5のすべて、より好ましくは、液性免疫応答試験1〜6のうちの少なくとも5つ、および細胞性免疫応答試験1〜5のすべて、最も好ましくは、液性免疫応答試験1〜6の6つすべておよび細胞性免疫応答試験1〜5の5つすべてを包含する。
【0221】
本発明は、本発明の意味における炭水化物陽性微生物を同定する方法、および炭水化物エピトープ陽性微生物と炭水化物エピトープ陰性微生物との混合物から炭水化物陽性微生物を分離する方法も提供する。
【0222】
本発明は、微生物の混合物から、目的の炭水化物構造を有する炭水化物陽性微生物を分離するための方法をさらに提供し、その方法は、
(a)目的の炭水化物構造に特異的な炭水化物結合分子を微生物の混合物と接触させる工程、および
(b)前記炭水化物結合分子に結合している少なくとも1つの微生物を前記混合物から分離する工程、
(c)その分離された微生物が炭水化物陽性微生物であり、目的の炭水化物構造(strurcture)を有することを試験する工程
を包含する。
【0223】
それぞれの方法の詳細は、上にも記載した。
【0224】
好ましい実施形態において、本発明は、微生物の混合物から炭水化物陽性微生物を分離するための方法をさらに提供し、ここで、工程(b)において、前記炭水化物結合分子に結合している微生物の分離/富化のために磁性粒子を使用する。
【0225】
好ましい実施形態において、本発明は、本明細書中の別の箇所において記載されるように微生物を分離するための方法に関し、その方法は:
(a)前記炭水化物結合分子を微生物の混合物と接触させる工程;および
(b)前記炭水化物結合分子に結合している少なくとも1つの微生物を分離する工程;および
(c)その分離された微生物を、前記炭水化物結合分子に対する特異的な結合について試験する工程、および
(d)前記炭水化物エピトープに対する、炭水化物特異的で有効な細胞性免疫応答および/または液性免疫応答の誘導を試験する工程
を包含する
前記炭水化物エピトープは、例えば、前記炭水化物エピトープを含んでいる、炭水化物構造、炭水化物結合体または哺乳動物細胞の一部であり得る。好ましくは、それぞれの液性応答または細胞性応答は、前記微生物ならびに/またはその部分および/もしくは溶解物によって、少なくとも1つの動物またはヒトにおいて引き起こされる。
【0226】
好ましい実施形態において、本発明は、本明細書中の別の箇所において記載されるように微生物を分離するための方法に関し、その方法は:
(a)前記炭水化物結合分子を微生物の混合物と接触させる工程;および
(b)前記炭水化物結合分子に結合している少なくとも1つの微生物を分離する工程;および
(c)その分離された微生物を、前記炭水化物結合分子に対する特異的な結合について試験する工程、および
(d)前記微生物ならびに/またはその部分および/もしくは溶解物による、前記炭水化物エピトープ、および/または前記炭水化物エピトープを含んでいる、炭水化物構造、炭水化物結合体もしくは哺乳動物細胞に対して有効な炭水化物特異的細胞性免疫応答の誘導を試験する工程、好ましくはCD4陽性Th1型T細胞の活性化および/または細胞傷害性CD8陽性T細胞の活性化について、好ましくは少なくとも1つの動物もしくはヒトおよび/またはインビトロにおいて試験する工程
を包含する。
【0227】
好ましい実施形態において、本発明は、微生物の混合物から炭水化物陽性微生物を分離するための方法をさらに提供し、ここで、前記微生物の混合物は、健常なヒトおよび/もしくは患者、動物、土壌、食品ならびに/または植物由来の微生物を含む群から選択される少なくとも2つの微生物の混合物である。
【0228】
好ましい実施形態において、本発明は、微生物の混合物から炭水化物陽性微生物を分離するための方法をさらに提供し、ここで、前記微生物の混合物は、健常な個体または患者のヒト胃腸管、ヒト大便、ヒト血液、ヒト組織またはヒト体液由来の微生物を含む混合物である。
【0229】
好ましい実施形態において、本発明は、微生物の混合物から炭水化物陽性微生物を分離するための方法をさらに提供し、その方法は、嫌気性(anaerob)炭水化物陽性微生物の分離を可能にする嫌気性条件下において行われる。
【0230】
前記微生物の混合物は、少なくとも2つの異なる微生物(例えば、天然(例えば、土壌、食物、植物、動物、健常な個体または患者のヒト胃腸管、ヒト血液、ヒト組織、ヒト体液が挙げられるがこれらに限定されない)において存在するものが挙げられるがこれらに限定されない)の任意の混合物であり得、最も好ましいのは、健常な個体由来の微生物の混合物である。上記微生物は、好ましくは、上記混合物と炭水化物結合分子とを接触させる前に、適当な溶液に入れる。上記炭水化物結合分子は、好ましくは、磁気ビーズなどのキャリアに結合されており、それによって、前記キャリアに結合している微生物の分離が可能になる。そして炭水化物結合分子を微生物の混合物と一緒にした後、炭水化物結合分子に結合しているそれらの微生物を、抗体に結合していないものから分離する。代替の実施形態において、炭水化物結合分子は、キャリアに結合しておらず、磁気ビーズクロマトグラフィベッド物質などのキャリアに結合している抗体を特異的に分離する方法(例えば、プロテインA、プロテインG、プロテインLまたは抗IgM抗体もしくは抗IgG抗体)を用いることによって、炭水化物陽性微生物を、炭水化物結合分子とともに分離する。本発明の好ましい実施形態では、炭水化物結合分子に結合している炭水化物陽性微生物を、適当な緩衝液(例えば、PBS−a)で十分に洗浄し、そして選択培地および非選択培地(例えば、MRS、BSM、KF、N、S、WC、BHI、CBAおよびSTが挙げられるがこれらに限定されない)(詳細は表3を参照のこと)上に平板培養する。その結果生じたコロニーをプレートからかきとり、炭水化物特異的分子を用いた親和性富化のさらなる回に適用する。コロニーを拾い、再度画線し、そして炭水化物発現についてELISAおよび免疫蛍光において解析する(より詳細は実施例1〜9)。これらの記載および実施例から、一部の当業者は、様々な起源からの様々な細菌について、上記方法を調整するかまたは最適化することができる。
【0231】
好ましい特別な実施形態において、上記方法は、嫌気性の炭水化物陽性微生物の分離を可能にする嫌気性条件下で行われ、それは、例えば、ヒトの消化管由来の大部分の微生物にとって重要である。
【0232】
上記方法は、実施例1〜9において詳細に記載される。
【0233】
別の好ましい実施形態において、上記微生物は、食品から分離される。なおもより好ましい実施形態において、上記微生物は、胃腸系から、なおもより好ましくは、ヒト大便から分離される。
【0234】
上記方法は、実施例1〜9において詳細に記載される。
【0235】
本発明は、本発明の栄養補助食品および薬学組成物に対する成分として使用するのに適した炭水化物陽性微生物を同定するための方法をさらに提供し、その方法は、
a)少なくとも1つの炭水化物結合分子に対するそれの結合について微生物を試験する工程、および
b)本明細書中に記載されているような少なくとも1つの炭水化物結合分子に結合しているこの炭水化物陽性微生物を同定する工程
を包含する。
【0236】
本発明の好ましい実施形態において、少なくとも1つの炭水化物結合分子に対するその結合について微生物を試験する工程は、ELISAによって行われ、ここで、炭水化物陽性微生物は、少なくとも1つの炭水化物結合分子とともに、バックグラウンドシグナルの少なくとも3倍、より好ましくは5倍、なおもより好ましくは少なくとも10倍のELISAシグナルを示す。
【0237】
本明細書中の別の箇所において記載されるように炭水化物エピトープを破壊する酵素または化学物質による炭水化物陽性微生物の処理後に炭水化物結合分子の結合の低下を示す炭水化物陽性微生物が、好ましい。
【0238】
好ましい実施形態において、本発明は、本明細書中の別の箇所において記載されるように炭水化物陽性微生物を同定するための方法に関し、その方法は:
a)前記炭水化物結合分子を微生物または微生物の混合物と接触させる工程;および
b)前記炭水化物結合分子と特異的に結合している微生物を同定する工程;および
c)前記微生物ならびに/またはその部分およびもしくは溶解物による細胞性免疫応答および/または液性免疫応答の誘導を試験する工程
を包含し、ここで、前記微生物は、前記炭水化物エピトープ、および/または前記炭水化物エピトープを含んでいる、炭水化物構造、炭水化物結合体もしくは哺乳動物細胞に対する対する有効な炭水化物特異的な細胞性免疫応答および/または液性免疫応答を、好ましくは、少なくとも1つの動物もしくはヒトおよび/またはインビトロにおいて誘導する。
【0239】
別の好ましい実施形態において、本発明は、本明細書中の別の箇所において記載されるように微生物を同定するための方法に関し、その方法は:
a)前記炭水化物結合分子を微生物または微生物の混合物と接触させる工程;および
b)前記炭水化物結合分子に特異的に結合している微生物を同定する工程;および
c)前記微生物および/またはその部分およびもしくは溶解物による有効な炭水化物特異的細胞性免疫応答の誘導を試験する工程
を包含し、ここで、前記微生物は、前記炭水化物エピトープ、および/または前記炭水化物エピトープを含んでいる、炭水化物構造、炭水化物結合体もしくは哺乳動物細胞に対する対する有効な炭水化物特異的細胞性免疫応答を、好ましくは、少なくとも1つの動物もしくはヒトおよび/またはインビトロにおいて誘導する。
【0240】
前記炭水化物エピトープ、および/または前記炭水化物エピトープを含んでいる、炭水化物構造、炭水化物結合体もしくは哺乳動物細胞に対する前記有効な炭水化物特異的細胞性免疫応答の誘導は、本明細書中に開示されるような細胞性免疫応答試験または当業者に公知の方法によって測定され得る。
【0241】
好ましい実施形態において、本発明は、本発明の栄養補助食品および薬学組成物において使用するのに適した炭水化物陽性微生物を同定するための方法に関し、その方法は、
a)少なくとも1つの炭水化物結合分子に対する結合について炭水化物陽性微生物を試験する工程、および
b)炭水化物エピトープおよび/または炭水化物エピトープ陽性の細胞もしくは腫瘍細胞を認識する免疫応答をヒトまたは動物において誘導する能力を試験する工程および
c)本明細書中に記載されているような少なくとも1つの炭水化物結合分子に結合していて、本明細書中に記載されているような液性免疫応答試験1〜6のうち少なくとも1つまたは細胞性免疫応答試験1〜5のうち少なくとも1つに対して陽性であることによって炭水化物エピトープおよび/または炭水化物エピトープ陽性の細胞もしくは腫瘍細胞を認識する免疫応答をヒトまたは動物において誘導する、この微生物を同定する工程
を包含する。
【0242】
好ましい実施形態において、本発明は、本発明の栄養補助食品および薬学組成物に対する成分として使用するのに適した炭水化物陽性微生物を同定するための方法に関し、ここで、ヒトまたは動物において本発明による調合物を投与した後に誘導される免疫応答は、本明細書中の別の箇所において記載されるような、炭水化物エピトープに対する少なくとも1つの液性免疫応答試験および炭水化物エピトープに対する少なくとも1つの細胞性免疫応答試験について陽性である免疫応答である。
【0243】
本発明の栄養補助食品および薬学組成物に対する成分として使用するのに適した炭水化物陽性微生物を同定するための方法は、DSMZに見られる株または他の微生物のコレクションなどの既存の株、または本発明による微生物の混合物から炭水化物陽性微生物を分離するための方法によって分離される炭水化物陽性微生物から、適当な微生物を同定するために使用され得る。
【0244】
本発明は、炭水化物陽性細菌を分離し、同定するための方法にも関し、その方法は、
a)便サンプルから全細菌を分離する工程、
b)好気性または嫌気性の条件下で、1つ以上の炭水化物結合分子を用いて炭水化物エピトープ陽性細菌の親和性富化を行う工程、
c)富化された細菌を様々な選択培地上に平板培養し、炭水化物結合分子に対する結合についてスクリーニングする工程
を包含する。
【0245】
別の好ましい実施形態において、本発明は、炭水化物陽性細菌を分離し、同定するための方法に関し、その方法は、
a)便サンプルから、全細菌を含む微生物の混合物を分離する工程
b)炭水化物結合分子を微生物の混合物と接触させる工程
c)好気性または嫌気性の条件下において、磁性粒子分離を用いて炭水化物結合分子に結合する微生物を分離する工程
d)富化された細菌を少なくとも1つの選択培地上に平板培養する工程
e)少なくとも1つの炭水化物結合分子に結合している微生物を同定する工程
を包含する。
【0246】
別の好ましい実施形態において、本発明は、炭水化物陽性細菌を分離し、同定するための方法について言及し、その方法は、
a)少なくとも1つの炭水化物結合分子に結合している純粋細菌株を産出する工程;および/または
b)前記純粋細菌株が、少なくとも1つのヒトまたは動物において、炭水化物エピトープに対する免疫応答を誘導するか、または増強する能力について試験する工程
を包含する。
【0247】
別の好ましい実施形態において、本発明は、炭水化物陽性微生物が、炭水化物エピトープ特異的免疫応答を誘導する能力を試験するための方法を提供し、その方法は、以下の工程:
1)炭水化物陽性微生物を同定し、純粋培養物を生産する工程;
2)消化管の免疫的に有効な細菌株を同定する工程;
3)免疫学的および毒物学的に試験された有効な炭水化物陽性調製物を、ヒト試験用の栄養添加物として産出する工程;
4)ヒトにおいて炭水化物特異的な免疫応答を誘導するか、または増強する工程;および必要であれば
5)前記微生物の免疫的に有効な定義された炭水化物エピトープ陽性の部分または成分を分離し、同定し、そして試験する工程
を包含する。
【0248】
本発明の好ましい実施形態において、上記の方法の炭水化物結合分子は、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、レクチンおよび/もしくはセレクチンならびに/またはそれらから得られる分子を含む群から選択される。
【0249】
本発明の好ましい実施形態において、上記方法の炭水化物エピトープは、TF、Core−1、Tn、シアリル−Tn、シアリル−TF、Globo−H、Lewis−Y、シアリル−Lewis−A、シアリル−Lewis−X、ポリシアル酸、Lewis−X、GM2、GD2、GD3、9−O−アセチルGD3、9−O−アセチルGD2、GD3L、フコシルGM1、FucosylGM1、Lewis−A、Lewis B、sLac、シアル酸が付いた1型鎖、CA19−9抗原、CA72−4抗原および/またはCA−50抗原を含む群から選択される。
【0250】
上記方法は、実施例1〜10において詳細に記載される。
【0251】
本発明は、炭水化物陽性微生物を調製するための方法にも関し、その方法は、
a)大部分の微生物を殺滅する条件下において、化学的突然変異原および/または物理的突然変異原(例えば、EMS、UV、メトトレキサート(methotrexat)、マイクロ波、発癌性物質、発癌物質、突然変異原または放射線照射が挙げられるがこれらに限定されない)によって変異を誘導するための物質(agens)と微生物とを接触させる工程、および
b)生き残っている微生物を適当な条件下で培養する工程、
c)本明細書中の別の箇所において記載されるように炭水化物陽性微生物を富化し、分離し、そしておよび/または同定する工程、
d)少なくとも1つのヒトまたは動物において、前記微生物が炭水化物エピトープに対する免疫応答を誘導するかまたは増強する能力について試験する工程
を包含する。
【0252】
本発明は、遺伝的工学(genetical engineering)によって炭水化物陽性微生物を産出するための方法にも関し、その方法は、
a)遺伝子、遺伝子の一部、DNA、RNA、アンチセンスRNA、オリゴヌクレオチド、オリゴペプチドまたはタンパク質を微生物中に誘導し、ノックアウトし、そして/またはサイレンシングして、それによって、炭水化物エピトープ生合成、炭水化物エピトープ分解または隣接する炭水化物の生合成もしくは分解に影響を及ぼす工程、および
b)本明細書中の別の箇所において記載されるように炭水化物陽性微生物を富化し、分離し、同定し、そして/または試験する工程
を包含する。
【0253】
好ましい実施形態において、前記微生物は、炭水化物エピトープ陰性微生物である。さらに好ましい実施形態において、前記微生物は、腸管にとって有益な微生物(例えば、LactobacillusまたはBifidobacteriumが挙げられるがこれらに限定されない)である。
【0254】
さらに好ましい実施形態において、前記微生物は、従来の食品の製造に使用される微生物(例えば、LactobacillusまたはBifidobacteriumが挙げられるがこれらに限定されない)である。
【0255】
別の実施形態において、前記微生物は、すでに炭水化物エピトープ陽性であり、上記方法は、細胞表面上に発現されている炭水化物エピトープの量を増加させるために使用される。
【0256】
好ましい実施形態において、上記で触れた方法のいずれかによって分離されるかもしくは同定される炭水化物陽性微生物またはその部分もしくは溶解物は、前記炭水化物エピトープに関連する疾患の予防(prohylaxis)および/または治療のための薬物または栄養補助食品を製造するために使用され、ここで、前記微生物ならびに/または部分および/もしくは溶解物は、少なくとも1つの動物またはヒトにおいて、前記炭水化物エピトープ、および/または前記炭水化物エピトープを含んでいる、炭水化物構造、炭水化物結合体もしくは哺乳動物細胞に対して、炭水化物特異的で有効な細胞性免疫応答および/または液性免疫応答を誘導する。
【0257】
別の好ましい実施形態において、上記で触れた方法のいずれかによって分離されるかもしくは同定される炭水化物陽性微生物またはその部分もしくは溶解物は、前記炭水化物エピトープに関連する疾患の予防および/または治療のための薬物または栄養補助食品を製造するために使用され、ここで、前記微生物ならびに/または部分および/もしくは溶解物は、少なくとも1つの動物またはヒトにおいて、前記炭水化物エピトープ、および/または前記炭水化物エピトープを含んでいる、炭水化物構造、炭水化物結合体もしくは哺乳動物細胞に対して、有効な炭水化物特異的細胞性免疫応答を誘導し、好ましくは、その免疫応答は、CD4陽性Th1型T細胞の活性化および/またはCD8陽性細胞傷害性T細胞の活性化を包含する。
【0258】
適当な製造の手順および条件は、当業者に公知であるか、または当業者によって調整され得る。
【0259】
C)炭水化物陽性微生物の部分の提供
本発明は、本発明の炭水化物陽性微生物の部分を提供し、ここで、炭水化物陽性微生物エピトープは、ヒト細胞または動物細胞由来の分子上に存在し、前記炭水化物陽性微生物の部分は、少なくとも1つの動物またはヒトにおいて前記炭水化物エピトープに対して、有効な炭水化物特異的細胞性免疫応答を誘導し、炭水化物を特異的に認識する少なくとも1つの炭水化物結合分子に結合する。
【0260】
本発明は、栄養補助食品または薬学組成物を含む群から選択される本発明の調合物において使用するための、本発明の炭水化物陽性微生物の適当な部分を提供する。
【0261】
本発明は、ヒトまたは動物において炭水化物エピトープまたは炭水化物エピトープ陽性の細胞もしくは腫瘍細胞に対して炭水化物特異的な免疫応答を誘導する本発明の炭水化物陽性微生物の部分を提供する。
【0262】
前記炭水化物陽性微生物の部分とは、実施例(実施例10)に記載される、前記微生物のより小さい一部分の調製物または精製物(例えば、細胞壁調製物、エンベロープ調製物、溶解物、リポ多糖(lipopolysaccharid)調製物、カプセルの調製物またはカプセル多糖調製物)のことを意味し、一部の当業者は、1つの適当な方法または適当な方法の組み合わせを最適化し、選択することができる。前記炭水化物陽性微生物の部分には、好ましくは、前記炭水化物陽性微生物の少なくとも1つの炭水化物陽性成分が含まれる。前記炭水化物陽性微生物の部分は、少なくとも1つの炭水化物陽性微生物(microorganim)由来の調製物または精製物によって得ることができる。前記調製物および精製物は、当業者に公知の方法によって得ることができ、その方法は、例えば、上で記載された方法、または単一もしくは連続的な細胞の分画、フェノール水抽出、エーテル抽出、リゾチーム消化またはクロマトグラフィの方法である。炭水化物陽性成分または炭水化物陽性成分を含む部分は、当業者に公知の試験システム(例えば、ELISAまたはドットブロットが挙げられるがこれらに限定されない)において、その部分と少なくとも1つの炭水化物結合分子との結合によって検出される。本発明の好ましい実施形態において、炭水化物陽性成分を含む部分は、少なくとも1つの炭水化物結合分子を用いたアフィニティークロマトグラフィによって得られる。
【0263】
好ましい実施形態において、1回の調製工程または精製工程が使用される。別の好ましい実施形態において、少なくとも調製工程および精製工程の組み合わせが使用される。
【0264】
さらに好ましい実施形態において、炭水化物陽性成分は、微生物全体と比べて前記部分中で富化されており、これは、少なくとも1つの炭水化物結合分子と前記部分との結合が該微生物全体との結合よりも増加していることによって測定され得(例えば、ELISAによって)、好ましくは、同じ体積中に含まれる生物学的物質の重量が等しいときに測定される。
【0265】
前記炭水化物陽性成分とは、少なくとも1つの炭水化物結合分子に結合している炭水化物陽性微生物の任意の成分のことを意味する。前記炭水化物陽性成分は、その天然分子の形態で利用可能であり得る少なくとも1つの炭水化物構造または炭水化物模倣構造を含み、ここで、それは、微生物の一部(例えば、ペプチド、オリゴペプチド、ポリペプチド、脂質、セラミド、炭水化物、リポタンパク質、多糖、オリゴ糖、多糖、プロテオグリカン、リポ多糖または糖タンパク質)であるか、または前記天然分子の一部として存在するか、または単独で存在する。炭水化物陽性成分は、本発明の意味において、炭水化物陽性微生物自体の部分としてか、または他の非天然キャリア構造(例えば、タンパク質、脂質、ポリアクリルアミドなどの化学的な分子)に結合された炭水化物陽性微生物の部分として使用され得る。好ましくは、それは、天然の形態で使用される。炭水化物陽性成分は、単一の炭水化物エピトープ構造もしくは炭水化物模倣構造または前記構造の繰り返し単位を含み得、さらなる炭水化物構造もしくは炭水化物単位または他の生体分子構造を含み得る。前記炭水化物模倣構造は、少なくとも1つの炭水化物結合分子に結合する構造であり、炭水化物エピトープに対する免疫応答、好ましくは、前記炭水化物エピトープに対する炭水化物特異的で有効な細胞性免疫応答または液性免疫応答、より好ましくは、前記炭水化物エピトープおよび/または前記炭水化物エピトープに関連する細胞に対する炭水化物特異的で有効な細胞性免疫応答および液性免疫応答を誘導する。
【0266】
炭水化物陽性部分が由来する炭水化物陽性微生物は、本発明の別の箇所に記載される。
【0267】
本発明のさらに好ましい実施形態において、栄養補助食品または薬学調合物の炭水化物陽性微生物の部分(活性な成分)は、1つの炭水化物陽性微生物からの、または優先的には、様々な株の様々な炭水化物陽性微生物からの部分の組み合わせを含む。それらの部分は、同じかまたは異なる調製タイプまたは精製タイプによるものであり得、好ましくは、様々な分子キャリアもしくは模倣(mimikry)構造(例えば、ペプチド、オリゴペプチド、ポリペプチド、脂質、セラミド、炭水化物、リポタンパク質、多糖、オリゴ糖、多糖、プロテオグリカンまたは糖タンパク質が挙げられるがこれらに限定されない)を有するか、または別の天然分子もしくは合成分子の一部として存在する炭水化物陽性成分の組み合わせである。
【0268】
本発明の別の好ましい実施形態において、炭水化物陽性成分は、細菌のリポ多糖の一部ではない。
【0269】
さらに好ましい実施形態において、前記炭水化物陽性微生物の部分は、少なくとも2つの異なる株の炭水化物陽性微生物の炭水化物陽性成分の組み合わせを含む。
【0270】
本発明の別の好ましい実施形態において、前記炭水化物構造または前記その繰り返し単位は、炭水化物陽性微生物からの富化および/または精製および/または分離によって得られる。
【0271】
本発明のさらに好ましい実施形態において、前記炭水化物構造または前記その繰り返し単位は、化学合成、当業者に公知の技術によって得られる。
【0272】
本発明のさらに好ましい実施形態において、前記炭水化物構造または前記その繰り返し単位は、AG6株からの富化および/または精製およびまたは分離によって得られる。
【0273】
詳細は、実施例10に示される。本発明のさらに好ましい実施形態において、前記炭水化物構造または前記その繰り返し単位は、化学合成によって得られる。
【0274】
当業者は、
図8による炭水化物構造またはその繰り返し単位を化学的に合成するのに適した条件および方法を測定することができる。
【0275】
D)炭水化物エピトープに向けられた免疫細胞を産出するための方法
本発明は、前記炭水化物エピトープに対する機能的樹状細胞を産出するための方法を提供し、その方法は、適当量の、樹状細胞もしくは樹状細胞の混合物または少なくとも1つの樹状細胞を含む細胞の混合物を、本明細書中の別の箇所において記載されるような適当量の調合物と、適当な時間にわたって、適当な条件下で接触させて、前記炭水化物エピトープおよび/または前記炭水化物エピトープを含んでいる、炭水化物構造、炭水化物結合体もしくは哺乳動物細胞に対する少なくとも1つの機能的樹状細胞を産出する工程を包含する。上に概説したように、前記炭水化物エピトープは、好ましくは、ヒトエピトープであり、好ましくは無電荷である。好ましくは、前記樹状細胞は、目的の炭水化物エピトープを有するペプチドを負荷されていない。
【0276】
本発明は、炭水化物エピトープに対する機能的樹状細胞を産出するための方法を提供し、その方法は、適当量の、樹状細胞もしくは樹状細胞の混合物または少なくとも1つの樹状細胞を含む細胞の混合物を、本明細書中の別の箇所において記載されるような適当量の少なくとも1つの炭水化物陽性微生物、その溶解物または部分と、適切な時間にわたって適切な条件下で接触させて、炭水化物エピトープを負荷された少なくとも1つの機能的樹状細胞を産出する工程を包含する。
【0277】
本発明は、炭水化物エピトープに対する機能的樹状細胞を産出するための方法を提供し、その方法は、適当量の、樹状細胞もしくは樹状細胞の混合物または少なくとも1つの樹状細胞を含む細胞の混合物を、本明細書中の別の箇所において記載されるような、適当量の、少なくとも1つの炭水化物エピトープを有する分子あるいは炭水化物エピトープに関連する少なくとも1つの疾患細胞あるいは少なくとも1つの炭水化物エピトープ陽性腫瘍細胞またはその溶解物もしくは部分と、適切な時間にわたって適切な条件下で接触させて、炭水化物エピトープを負荷された少なくとも1つの機能的樹状細胞を産出する工程を包含する。
【0278】
炭水化物エピトープに対する前記機能的樹状細胞は、本発明の細胞性免疫応答試験によって優先的に試験され得、本明細書中の別の箇所において記載される細胞性免疫応答試験のうちの少なくとも1つにおいて炭水化物エピトープに対して陽性である炭水化物エピトープに対して少なくとも1つのT細胞を活性化する樹状細胞または樹状細胞の混合物である。好ましい実施形態において、その機能的樹状細胞は、その表面上に炭水化物エピトープを提示しており、例えば、細胞性免疫応答試験4において記載されているように炭水化物エピトープ特異的抗体または炭水化物結合分子によって検出され得る。本発明の好ましい実施形態において、炭水化物エピトープに対する機能的樹状細胞は、未熟樹状細胞もしくは未熟樹状細胞の混合物または少なくとも1つの未熟樹状細胞を含む樹状細胞の混合物を、本明細書中の別の箇所において記載されるようなおよび当業者に公知のような、適当量の少なくとも1つの炭水化物陽性微生物、その溶解物または部分と適切な時間にわたって、そして適切な条件下で接触させて、本明細書中の別の箇所において記載されるような適当な条件(例えば、分子TNFα(腫瘍壊死因子α)、LPS(リポ多糖)もしくはBCG(Bacille Calmette Guerin)、INFγ(インターフェロンγ)、デキサメタゾンおよび/またはTGFβ(トランスフォーミング成長因子β)を含む)を用いて、前記樹状細胞を炭水化物エピトープを負荷された機能的樹状細胞に成熟させることによって得られる。本発明の好ましい実施形態において、上記樹状細胞は、MUTZ−3またはNemodDC(Glycotope GmbH Berlin,Germamy;www.glycotope.comから入手可能)に由来し、そしてさらに好ましい未熟樹状細胞は、代表的には約1週間、IL−4およびGM−CSFの使用を含む適当な条件下でMUTZ−3細胞またはNemodDCから産出され、その結果生じた未熟樹状細胞またはiNMDCを、前記適当量の少なくとも1つの炭水化物陽性微生物、その溶解物または部分と接触させ、その細胞を、代表的には約1〜2日間、例えば、TNFα、LPS、BCG、INFγ、デキサメタゾンまたはTGFβ、好ましくはTNFαを含む適当な条件を用いて成熟させることによって、炭水化物エピトープに対する前記機能的樹状細胞に対応する、炭水化物エピトープを負荷された成熟樹状細胞が得られる。
【0279】
好ましい実施形態において、本発明は、上記の方法によって作製される機能的樹状細胞を提供し、ここで、その機能的樹状細胞は、炭水化物エピトープおよび(an)/または前記炭水化物エピトープを含んでいる、炭水化物構造、炭水化物結合体もしくは哺乳動物細胞に向けられている。
【0280】
別の好ましい実施形態において、本発明は、上記の方法によって作製された機能的樹状細胞を提供し、ここで、その機能的樹状細胞は、前記炭水化物抗原または前記を含む哺乳動物細胞に向けられたものであり、前記炭水化物エピトープを発現している細胞および/または疾患に対する炭水化物特異的で有効な細胞性免疫応答および/または液性免疫応答を誘導する。
【0281】
好ましい実施形態において、本発明は、炭水化物エピトープおよび/または前記炭水化物エピトープを含んでいる、炭水化物構造、炭水化物結合体もしくは哺乳動物細胞に対する、活性化T細胞(1つまたはそれ以上)、T細胞クローンまたはT細胞株を産出するための方法を提供し、その方法は、
(a)上に記載されたような適当量の少なくとも1つの機能的樹状細胞を、適当量の少なくとも1つのT細胞もしくはT細胞の混合物または少なくとも1つのT細胞を含む細胞の混合物と接触させて、前記T細胞またはT細胞の混合物を、前記負荷された機能的樹状細胞とともに、適切な時間にわたって、適切な条件下で培養することによって前記炭水化物エピトープに対する1つのT細胞または複数のT細胞を活性化するか、またはプライミングする工程、および
(b)ヒト細胞もしくは動物細胞または前記炭水化物エピトープを有する分子を負荷された適当量の少なくとも1つの機能的樹状細胞で前記T細胞を再刺激する工程
を包含する。
【0282】
本発明は、炭水化物エピトープに対する1つまたはそれ以上の活性化T細胞を産出するための方法を提供し、その方法は、
(a)適当量の炭水化物陽性微生物、その溶解物または部分を負荷された、適当量の少なくとも1つの機能的樹状細胞または少なくとも1つの機能的樹状細胞を含む細胞の混合物を、少なくとも1つのT細胞または複数数のT細胞と接触させる工程
(b)前記1つのT細胞または複数のT細胞を、前記負荷された機能的樹状細胞とともに、適切な時間にわたって、適切な条件下で培養して、炭水化物エピトープに対して1つのT細胞または複数のT細胞を活性化するか、またはプライミングする工程
を包含する。
【0283】
本発明は、炭水化物エピトープに対する1つまたはそれ以上の活性化T細胞を産出するための方法を提供し、その方法は、
(a)適当量の炭水化物エピトープを有する分子、炭水化物エピトープ陽性腫瘍細胞または炭水化物エピトープを含む細胞またはその溶解物もしくは部分を負荷された、適当量の機能的樹状細胞または少なくとも1つの機能的樹状細胞を含む細胞の混合物を、1つのT細胞または複数のT細胞または少なくとも1つのT細胞を含む細胞の混合物と接触させる工程
(b)前記1つのT細胞または複数のT細胞または少なくとも1つのT細胞を含む細胞の混合物を、前記負荷された機能的樹状細胞とともに、適切な時間にわたって、適切な条件下で培養して、炭水化物エピトープに対して1つのT細胞または複数のT細胞を活性化するか、またはプライミングする工程
を包含する。
【0284】
好ましい実施形態において、本発明は、炭水化物エピトープに対して1つまたはそれ以上の活性化T細胞を産出するための方法を提供し、その方法は、
(a)適当量の炭水化物陽性微生物またはその溶解物もしくは部分を負荷された適当量の機能的樹状細胞を1つまたはそれ以上のT細胞と接触させる工程
(b)前記負荷された機能的樹状細胞とともに前記1つまたはそれ以上のT細胞を適切な時間にわたって適切な条件下で培養して、炭水化物エピトープに対して1つのT細胞または複数のT細胞を活性化するか、またはプライミングする工程
(c)炭水化物エピトープを有する分子または炭水化物エピトープ陽性腫瘍細胞もしくは炭水化物エピトープを含む細胞あるいはそれらの溶解物もしくは部分を負荷された機能的樹状細胞を、再刺激のために加える工程、
(d)適切な時間および条件で培養する工程
を包含する。
【0285】
好ましい実施形態において、本発明は、炭水化物エピトープに対する1つまたはそれ以上の活性化T細胞を産出するための方法を提供し、その方法は、
a)適当量の少なくとも1つの炭水化物陽性微生物またはその溶解物もしくは部分を負荷された適当量の少なくとも1つの機能的樹状細胞を、適当量の少なくとも1つのT細胞もしくはT細胞の混合物または少なくとも1つのT細胞を含む細胞の混合物と接触させる工程
b)前記T細胞もしくはT細胞の混合物または少なくとも1つのT細胞を含む細胞の混合物を、前記負荷された機能的樹状細胞ともに、適切な時間にわたって適切な条件下で培養して、炭水化物エピトープに対して1つまたはそれ以上のT細胞を活性化するか、またはプライミングする工程
を包含する。
【0286】
好ましい実施形態において、本発明は、炭水化物エピトープに対する1つまたはそれ以上の活性化T細胞を産出するための方法を提供し、その方法は、
a)適当量の少なくとも1つの炭水化物エピトープを有する分子または炭水化物エピトープ陽性腫瘍細胞または炭水化物エピトープを含む細胞あるいはそれらの溶解物もしくは部分を負荷された適当量の少なくとも1つの機能的樹状細胞を、適当量の少なくとも1つのT細胞もしくはT細胞の混合物または少なくとも1つのT細胞を含む細胞の混合物と接触させる工程
b)前記T細胞もしくはT細胞の混合物または少なくとも1つのT細胞を含む細胞の混合物を、前記負荷された機能的樹状細胞とともに、適切な時間にわたって適切な条件下で培養して、炭水化物エピトープに対して1つまたはそれ以上のT細胞を活性化するか、またはプライミングする工程
を包含する。
【0287】
別の好ましい実施形態において、本発明は、炭水化物エピトープに対する1つまたはそれ以上の活性化T細胞を産出するための方法を提供し、その方法は、前述の(preceeding)方法の工程(a)および(b)を包含し、それに続いて、
(c)適当量の少なくとも1つの炭水化物エピトープを有する分子または炭水化物エピトープ陽性腫瘍細胞または炭水化物エピトープを含む細胞あるいはそれらの溶解物もしくは部分を負荷された適当量の少なくとも1つの機能的樹状細胞を、再刺激のために加える工程;または、適当量の少なくとも1つの炭水化物陽性微生物、その溶解物または部分を負荷された適当量の少なくとも1つの機能的樹状細胞を、再刺激のために加える工程;および
(d)適切な時間にわたって、そして適切な条件下で培養する工程
を包含する。
【0288】
別の好ましい実施形態において、本発明は、炭水化物エピトープに対するT細胞株を産出するための方法を提供し、その方法は、前述の方法の工程(a)、(b)、(c)および(d)を包含し、それに続いて、さらに少なくとも1回の再刺激を含み、その再刺激の1回は、工程(e)および(f)または工程(g)および(h)のいずれかを含み、ここで、
(e)適当量の少なくとも1つの炭水化物エピトープを有する分子または炭水化物エピトープ陽性腫瘍細胞または炭水化物エピトープを含む細胞またはその溶解物もしくは部分を負荷された適当量の少なくとも1つの機能的樹状細胞を、再刺激のために加える工程;
(f)適切な時間にわたって、そして適切な条件下で培養する工程
(g)適当量の少なくとも1つの炭水化物陽性微生物またはその溶解物もしくは部分を負荷された適当量の少なくとも1つの機能的樹状細胞を、再刺激のために加える工程
(h)適切な時間にわたって、そして適切な条件下で培養する工程。
【0289】
さらに好ましい実施形態において、本発明は、炭水化物エピトープに対するT細胞株を産出するための方法を提供し、その方法は、前記再刺激の回をさらに2回包含する。
【0290】
より好ましい実施形態において、本発明は、炭水化物エピトープに対するT細胞株を産出するための方法を提供し、その方法は、前記再刺激の回をさらに3回包含する。
【0291】
なおもより好ましい実施形態において、本発明は、炭水化物エピトープに対するT細胞株を産出するための方法を提供し、その方法は、前記再刺激の回をさらに5回包含する。
【0292】
さらに好ましい実施形態において、本発明は、炭水化物エピトープに対するT細胞クローンを産出するための方法を提供し、ここで、前記再刺激の回のうちの1回の前に、細胞をクローニングするさらなる工程が、少なくとも1回行われる。
【0293】
好ましい実施形態において、上記1つまたはそれ以上の活性化T細胞は、炭水化物エピトープに対するT細胞株であり、再刺激の1回に相当する好ましくは(c)および(d)が、2回、より好ましくは3回、より好ましくは4回行われ、最も好ましくは5回以上の再刺激がT細胞株において行われる。
【0294】
好ましい実施形態において、上記1つまたはそれ以上の活性化T細胞は、炭水化物エピトープに対するT細胞クローンであり、再刺激の1回に相当する好ましくは(c)および(d)が、2回、より好ましくは3回、より好ましくは4回行われ、最も好ましくは5回以上の再刺激がT細胞株において行われ、それらの細胞は、例えば、単一細胞希釈によって、再刺激の前に少なくとも1回クローニングされる。
【0295】
さらに好ましい実施形態において、本発明は、炭水化物エピトープに対するT細胞クローンを産出するための方法を提供し、ここで、前記機能的樹状細胞は、成熟樹状細胞である。
【0296】
さらに好ましい実施形態において、本発明は、炭水化物エピトープに対するT細胞クローンを産出するための方法を提供し、ここで、前記機能的樹状細胞および1つまたはそれ以上のT細胞は、ヒト細胞である。
【0297】
さらに好ましい実施形態において、本発明は、炭水化物エピトープに対する活性化T細胞、T細胞クローンまたはT細胞株を産出するための方法を提供し、ここで、前記機能的樹状細胞は、MUTZ−3[特許出願10139428.4(DE)、PCT/EP02/09260、02758474.7(EP)、US10/486,966、CA2,457,287、DE10139428A1、WO2003/023023A1、EP01419240、US20040265998、CA2457287](例えば、Nemod−DC(Glycotope GmbH Berlin,Germany,www.glycotope.comから入手可能)が挙げられるがこれらに限定されない)に由来する。
【0298】
さらに好ましい実施形態において、本発明は、炭水化物エピトープに対する活性化T細胞、T細胞クローンまたはT細胞株を産出するための方法を提供し、ここで、前記機能的樹状細胞および1つまたはそれ以上のT細胞は、少なくとも1つのMHCクラス分子においてマッチしている。
【0299】
好ましい実施形態において、本発明は、上記の方法のいずれかによって生産される活性化T細胞(1つまたはそれ以上)、T細胞クローンまたはT細胞株を提供し、ここで、その活性化T細胞(1つまたはそれ以上)、T細胞クローンまたはT細胞株は、炭水化物エピトープおよび/または前記炭水化物エピトープを含んでいる、炭水化物構造、炭水化物結合体もしくは哺乳動物細胞に向けられたものである。
【0300】
さらに好ましい実施形態において、本発明は、上記の方法のいずれかによって生産された活性化T細胞(1つまたはそれ以上)、T細胞クローンまたはT細胞株を提供し、ここで、その活性化T細胞(1つまたはそれ以上)、T細胞クローンまたはT細胞株は、炭水化物エピトープおよび/または前記炭水化物エピトープを含んでいる、炭水化物構造、炭水化物結合体もしくは哺乳動物細胞に向けられたものであり、炭水化物エピトープならびに/または前記炭水化物エピトープに関連する細胞および/もしくは疾患に対して有効な炭水化物特異的細胞性免疫応答を誘導する。
【0301】
本発明の好ましい実施形態において、前記有効な炭水化物特異的細胞性免疫応答の前記誘導は、少なくとも1つのヒトまたは動物において起きる。
【0302】
本発明の別の好ましい実施形態において、前記有効な炭水化物特異的細胞性免疫応答の前記誘導は、インビトロにおいて行われる。
【0303】
さらに好ましい実施形態において、本発明は、上に記載されたような方法によって得られる、炭水化物エピトープに対する1つもしくはそれ以上の活性化T細胞、炭水化物エピトープに対するT細胞を含む細胞組成物、炭水化物エピトープに対するT細胞株または炭水化物エピトープに対するT細胞クローンを提供する。
【0304】
さらに好ましい実施形態において、本発明は、炭水化物エピトープに対する少なくとも1つのCD4+ヘルパー細胞を含む、上に記載されたような、炭水化物エピトープに対する1つもしくはそれ以上の活性化T細胞、炭水化物エピトープに対するT細胞を含む細胞組成物、炭水化物エピトープに対するT細胞株、または炭水化物エピトープに対するT細胞クローンを提供する。
【0305】
さらに好ましい実施形態において、本発明は、炭水化物エピトープに対する少なくとも1つの細胞傷害性T細胞を含む上に記載されたような、炭水化物エピトープに対する1つもしくはそれ以上の活性化T細胞、炭水化物エピトープに対するT細胞を含む細胞組成物、炭水化物エピトープに対するT細胞株、または炭水化物エピトープに対するT細胞クローンを提供する。
【0306】
さらに好ましい実施形態において、本発明は、少なくとも1つの炭水化物エピトープ陽性の腫瘍細胞もしくは炭水化物エピトープに関連する疾患細胞を死滅させるか、または少なくとも1つの腫瘍細胞の死滅を媒介する分子を分泌する、上に記載されているような、炭水化物エピトープに対する1つもしくはそれ以上の活性化T細胞、炭水化物エピトープに対する対する少なくとも1つのT細胞を含む細胞組成物、炭水化物エピトープに対するT細胞株、または炭水化物エピトープに対するT細胞クローンを提供する。
【0307】
少なくとも1つの炭水化物エピトープ陽性の腫瘍細胞もしくは疾患細胞を死滅させるか、または少なくとも1つの腫瘍細胞もしくは疾患細胞の死滅を媒介する分子を分泌する、炭水化物エピトープに対する1つもしくはそれ以上の活性化T細胞、炭水化物エピトープに対するT細胞を含む細胞組成物、炭水化物エピトープに対するT細胞株、または本発明の炭水化物エピトープに対するT細胞クローンとは、炭水化物エピトープに対する対する前記1つまたはそれ以上の細胞傷害性T細胞が、炭水化物エピトープ陽性の腫瘍細胞または疾患細胞を死滅させることを意味し、その死滅は、INFγもしくはTNFαの分泌を測定する本明細書中の別の箇所において記載される一致する細胞性免疫応答試験を用いるか、または細胞傷害性試験(例えば、細胞性免疫応答試験5)のいずれかによって測定され得、ここで、少なくとも1つの標識された炭水化物エピトープ陽性の腫瘍細胞または疾患細胞は、主に当業者に公知のとおり、本発明のT細胞、例えば、CTLまたはTh1細胞を用いるか、または少なくとも1つの炭水化物エピトープ陽性腫瘍細胞の死滅をもたらす一致する液性免疫応答および細胞性免疫応答の活性化を媒介する特異的なCD4Tヘルパー応答を誘導することによって、前記T細胞によって溶解される。
【0308】
当業者は、本明細書中に開示される方法および材料を用いることによって記載される作業課題を行うことができる。当業者は、それらの機能的樹状細胞またはT細胞を得るのに最良の条件、最良の投与経路、および/またはそれらを含む適当な組成物を測定することができ、そして/または特許出願DE10139428A1、WO2003/023023A1、EP01419240、US20040265998、CA2457287において、産出および使用についての好ましい実施形態においてさらに記載されている。
【0309】
炭水化物エピトープに対する前記1つまたはそれ以上の活性化T細胞とは、産出された1つまたはそれ以上のT細胞またはT細胞を含む細胞組成物が、本発明の細胞性免疫試験の少なくとも1つ、好ましくは2つ、より好ましくは3つ、最も好ましくは4つすべてに対して陽性であることを意味する。好ましくは、それらは、少なくとも1つのCD4+ヘルパー細胞を含み、なおもより好ましくは、少なくとも1つの炭水化物エピトープ陽性腫瘍細胞を死滅させることができる少なくとも1つの細胞傷害性T細胞を含む。
【0310】
接触させるために使用される前記1つまたはそれ以上のT細胞は、当業者に公知の標準的な方法によって前に分離されたか、または富化された少なくとも1つのCD4+および/もしくはCD8+T細胞のいずれかであるか、あるいは少なくとも1つのCD4+および/またはCD8+T細胞を含む細胞組成物である。
【0311】
前記溶解物は、それぞれ炭水化物エピトープ陽性(positice)微生物または炭水化物エピトープ陽性腫瘍細胞からの任意の溶解物(例えば、凍結融解の反復、超音波処理、機械的な力または温度誘導によって産出される溶解物が挙げられるがこれらに限定されない)であり得る。
【0312】
炭水化物エピトープ特異的T細胞の産出に関する詳細については、実施例12を参照のこと。
【0313】
機能的樹状細胞は、T細胞を活性化することができる細胞である。
【0314】
T細胞の活性化とは、増殖の刺激および/またはナイーブT細胞から活性なT細胞への変換を意味する。活性なT細胞は、標的、炭水化物エピトープまたは炭水化物エピトープを有する腫瘍細胞もしくは疾患細胞に対する免疫応答を誘導するか、または助ける分子を分泌し、好ましくは、炭水化物エピトープ陽性の腫瘍細胞または疾患細胞の死滅を媒介するそれらの細胞傷害性T細胞である。
【0315】
好ましい実施形態において、前記機能的樹状細胞は、成熟樹状細胞である。より好ましくは、成熟細胞が由来する樹状細胞前駆体は、ヒトから得られ、より好ましくは、1つもしくはそれ以上のT細胞が得られたか、または少なくとも1つのMHCクラス分子においてマッチするヒトから得られる。より好ましい実施形態において、機能的樹状細胞は、MUTZ−3由来であり、なおもさらに好ましくは、適切な量の炭水化物陽性微生物、その溶解物もしくは部分あるいは炭水化物エピトープを有する分子または炭水化物エピトープ陽性腫瘍細胞、その溶解物もしくは部分を負荷された、MUTZ−3細胞またはそれ由来の細胞は、Il−4およびGM−CSFを用いて分化され、そして、例えば、適当量のTNF−αを用いて、本発明の機能的樹状細胞に相当する成熟樹状細胞にさらに成熟される。なおもより好ましい実施形態において、負荷された機能的樹状細胞は、少なくともMHCクラスI(HLA−A2)および(HLA−B44)においてマッチするPBMC(末梢血単核球)とともに使用される。
【0316】
当業者は、炭水化物陽性微生物、その溶解物もしくは部分あるいは炭水化物エピトープを有する分子あるいは炭水化物エピトープ陽性腫瘍細胞もしくは疾患細胞またはその溶解物もしくは部分を負荷された機能的樹状細胞を産出するのに適した条件、ならびに1つまたはそれ以上のT細胞の適当な量および富化または精製の手順、そして両方の細胞を共に培養するのに適した条件(例えば、時間、培地、培養条件および必要なさらなる因子を含む)を測定することができる。機能的樹状細胞は、代表的には、6〜10日以内に前駆体細胞から分化し、そしてさらに1〜2日間、負荷され、成熟される。前記負荷された機能的樹状細胞と前記1つまたはそれ以上のT細胞との共培養は、代表的には7〜10日間行われ、再刺激のための各回について、代表的には7〜9日間、再刺激のために、負荷された機能的樹状細胞を加え、培養される。さらなる詳細は、実施例12において示される。
【0317】
別の好ましい実施形態において、様々な供給源由来の様々な樹状細胞または機能的樹状細胞(例えば、MUTZ−3由来およびヒトのドナー由来の樹状細胞)が、プライミングおよび再刺激の異なる工程のために使用される。当業者は、最良の組み合わせを詳細に選択することができる。
【0318】
炭水化物エピトープに対する、1つまたはそれ以上のT細胞、または1つもしくはそれ以上のT細胞を含む細胞組成物、CD4+および/またはCD8+T細胞の産出の成功は、本発明の少なくとも1つの細胞性免疫応答試験を用いて試験され得る。さらなる詳細は、本明細書中の別の箇所において記載される。好ましくは少なくとも2つの細胞性免疫応答試験が陽性であり、より好ましくは3つ、より好ましくは4つ、最も好ましくは5つすべての細胞性免疫応答試験が陽性である。
【0319】
樹状細胞、それらの使用法ならびにそれを使用するのに適した条件および分子について本明細書で使用される記載は、本明細書中の別の箇所において記載される細胞性免疫応答試験に対しても妥当であり、またその逆もまた同じであり、本発明の他のすべての部分に対しても妥当である。
【0320】
別の実施形態において、本発明は、炭水化物エピトープに対する活性化T細胞を提供する。
【0321】
別の実施形態において、本発明は、炭水化物エピトープに対する少なくとも1つの活性化T細胞を含むT細胞を提供する。
【0322】
別の実施形態において、本発明は、炭水化物エピトープに対するT細胞株を提供する。
別の実施形態において、本発明は、炭水化物エピトープに対するT細胞クローンを提供する。
【0323】
好ましい実施形態において、T細胞株またはT細胞クローンは、炭水化物陽性微生物、その溶解物または部分を負荷されたMUTZ−3由来の機能的樹状細胞(例えば、Nemod−DC)を、健常なドナー由来、なおもより好ましくは、患者由来、なおもより好ましくは、炭水化物結合分子(好ましくは、炭水化物エピトープ特異的抗体)との結合が陽性である疾患または腫瘍を有する患者由来の、少なくとも1つの炭水化物エピトープを有する分子または炭水化物エピトープ陽性の腫瘍細胞もしくは疾患細胞あるいはその溶解物または部分を負荷されたMUTZ−3由来の機能的樹状細胞による少なくとも1回の再刺激と組み合わせて使用して、産出された。
【0324】
本発明は、腫瘍治療として使用するための少なくとも1つの活性化T細胞を産出するための方法をさらに提供し、その方法は、炭水化物エピトープ陽性腫瘍細胞に対する活性化T細胞を患者に投与する工程を包含する。
【0325】
E)炭水化物エピトープに関連する疾患に対する免疫防御を誘導するための方法ならびに炭水化物エピトープに関連する疾患を予防するためおよび/または処置するための方法
本発明は、少なくとも1つの動物またはヒトにおいて、前記炭水化物エピトープ、および/または前記炭水化物エピトープを含んでいる、炭水化物構造、炭水化物結合体もしくは哺乳動物細胞に対して有効な炭水化物に特異的な細胞性免疫応答および/または特異的な液性免疫応答を誘導するためまたは増強するための方法を提供し、その方法は、本明細書中の別の箇所において記載されるような有効量の調合物をヒトまたは動物において投与する工程を包含する。
【0326】
好ましい実施形態において、本発明は、少なくとも1つの動物またはヒトにおいて、前記炭水化物エピトープ、および/または前記炭水化物エピトープを含んでいる、炭水化物構造、炭水化物結合体もしくは哺乳動物細胞に対して有効な炭水化物特異的細胞性免疫応答を誘導するためまたは増強するための方法を提供し、その方法は、本明細書中の別の箇所において記載されるような有効量の調合物をヒトまたは動物において投与する工程を包含し、好ましくは、前記有効な炭水化物特異的細胞性免疫応答は、Th1型のCD4陽性T細胞の活性化および/またはCD8陽性細胞傷害性T細胞の活性化を包含し、より好ましくは(prefably)前記有効な炭水化物特異的細胞性免疫応答は、Th1型のCD4陽性T細胞の活性化およびCD8陽性細胞傷害性T細胞の活性化を包含する。
【0327】
前記有効な炭水化物特異的細胞性免疫応答の誘導は、好ましくは、本明細書中の別の箇所において記載されるような細胞性免疫応答試験によって測定される。
【0328】
好ましい実施形態において、本発明は、癌患者または炭水化物エピトープに関連する疾患に罹患している患者を処置する方法を提供し、その方法は、炭水化物エピトープに対する1つもしくはそれ以上の活性化T細胞、炭水化物エピトープに対する少なくとも1つのT細胞を含む細胞組成物、炭水化物エピトープに対するT細胞株、または上に記載されたような炭水化物エピトープに対するT細胞クローンあるいはそれらを含む組成物のいずれかの投与を包含する。
【0329】
好ましい実施形態において、本発明は、癌患者または炭水化物エピトープに関連する疾患に罹患している患者を処置する方法を提供し、その方法は、適当量の、上に記載されたような炭水化物エピトープに対する機能的樹状細胞の少なくとも1つまたはそれらを含む組成物の投与を包含する。
【0330】
好ましい実施形態において、本発明は、癌患者を処置する方法を提供し、ここで、その患者は、炭水化物エピトープが陽性である癌細胞を有しているか、または有していた患者である。
【0331】
より好ましい実施形態において、本発明は、癌患者または炭水化物エピトープに関連する疾患に罹患している患者を処置する方法を提供し、ここで、機能的樹状細胞は、自家のものである。
【0332】
別の好ましい実施形態において、本発明は、癌患者または炭水化物エピトープに関連する疾患に罹患している患者を処置する方法を提供し、ここで、機能的樹状細胞は、ドナーが起源である同種異系のものである。
【0333】
好ましい実施形態において、本発明は、癌患者または炭水化物エピトープに関連する疾患に罹患している患者を処置する方法を提供し、ここで、機能的樹状細胞は、MUTZ−3由来のものである。
【0334】
好ましい実施形態において、本発明は、癌患者または炭水化物エピトープに関連する疾患に罹患している患者を処置する方法を提供し、ここで、機能的樹状細胞は、前記患者と少なくとも1つのMHCクラス分子を共有する。
【0335】
本発明は、癌患者または炭水化物エピトープに関連する疾患に罹患している患者を処置する方法をさらに提供し、その方法は、炭水化物エピトープに対する1つもしくはそれ以上の活性化T細胞、炭水化物エピトープに対する少なくとも1つのT細胞を含む細胞組成物、炭水化物エピトープに対するT細胞株、または本明細書中の別の箇所において記載される炭水化物エピトープに対するT細胞クローンあるいはそれらのうちの少なくとも1つを含む組成物のいずれかの投与を包含する。
【0336】
本発明は、癌患者または炭水化物エピトープに関連する疾患に罹患している患者を処置する方法をさらに提供し、その方法は、適当量の、本明細書中の別の箇所において記載される炭水化物エピトープに対する機能的樹状細胞のうちの少なくとも1つまたはそれらを含む組成物の投与を包含する。
【0337】
本発明の好ましい実施形態において、前記方法の少なくとも1つは、少なくとも1つの炭水化物結合分子または炭水化物エピトープ特異的抗体によって、および本明細書中の別の箇所において記載されるその好ましい実施形態において検出可能である、炭水化物エピトープが陽性である癌細胞を有しているか、または有していた患者に対して用いられる。
【0338】
本発明の好ましい実施形態において、前記方法の少なくとも1つは、本明細書中の別の箇所において記載されるような少なくとも1つの炭水化物結合分子または炭水化物エピトープ特異的抗体によって検出可能である、炭水化物エピトープに関連する疾患を有しているか、または有していた患者に対して用いられる。
【0339】
機能的樹状細胞が自家のものである前記方法がさらに好ましく、機能的樹状細胞が同種異系である前記方法がさらに好ましく、機能的樹状細胞がドナーを起源とするときの前記方法がさらに好ましく、機能的樹状細胞がMUTZ−3由来であるときの前記方法がなおもより好ましく、記載された機能的樹状細胞のいずれかがそれを投与される個体と少なくとも1つのMHCクラス分子を共有するときの前記方法がなおもより好ましい。
【0340】
本発明は、炭水化物エピトープ、炭水化物エピトープを有する分子または炭水化物エピトープ陽性腫瘍細胞もしくは炭水化物エピトープ陽性疾患細胞に対する特異的な液性および/または細胞性の免疫応答を誘導するためまたは増強するための方法を提供し、その方法は、有効量の栄養補助食品または薬学組成物または炭水化物陽性微生物もしくはその部分(これらは本明細書中の別の箇所において記載される)あるいはそれらを含んでいる調合物をヒトまたは動物において投与する工程を包含する。
【0341】
本発明は、炭水化物エピトープ、炭水化物エピトープを有する分子または炭水化物エピトープ陽性腫瘍細胞もしくは炭水化物エピトープ陽性疾患細胞に対する有効な炭水化物特異的細胞性免疫応答を誘導するための方法を提供し、その方法は、有効量の栄養補助食品または薬学組成物または炭水化物陽性微生物もしくはその部分(それらは本明細書中の別の箇所において記載される)あるいはそれらを含んでいる調合物をヒトまたは動物において投与する工程を包含する。
【0342】
好ましい実施形態において、本発明は、少なくとも1つの個体において炭水化物エピトープに対する有効な炭水化物特異的細胞性免疫応答を誘導するための方法を提供し、その方法は、本明細書中の別の箇所において記載される免疫応答試験のうちの少なくとも1つによって検出可能な、炭水化物エピトープに対するTh1型CD4陽性Tヘルパー細胞および/または細胞傷害性CD8陽性T細胞の活性化を含む。
【0343】
別の好ましい実施形態において、本発明は、少なくとも1つの個体において炭水化物エピトープに対する有効な炭水化物特異的細胞性免疫応答を誘導するための方法を提供し、その方法は、本明細書中の別の箇所において記載される免疫応答試験のうちの少なくとも1つによって検出可能な、炭水化物エピトープに対するTh1型CD4陽性Tヘルパー細胞および細胞傷害性CD8陽性T細胞の活性化を含む。
【0344】
本発明は、炭水化物エピトープ、炭水化物エピトープを有する分子または炭水化物エピトープ陽性腫瘍細胞もしくは炭水化物エピトープ陽性疾患細胞に対する特異的な液性および細胞性の免疫応答を誘導するためまたは増強するための方法を提供し、その方法は、有効量の栄養補助食品または薬学組成物または炭水化物陽性微生物もしくはその部分(それらは本明細書中の別の箇所において記載される)あるいはそれらを含んでいる調合物をヒトまたは動物において投与する工程を包含する。
【0345】
本発明は、少なくとも1つの炭水化物エピトープ陽性の癌細胞または疾患細胞を破壊する能力を有することによって、炭水化物エピトープ陽性の癌細胞または疾患細胞に対する防御として機能する、炭水化物エピトープ特異的免疫応答を誘導するためまたは増強するための方法を提供する。
【0346】
好ましい実施形態において、本発明は、本明細書中に示されるように炭水化物エピトープ陽性癌細胞を破壊する能力を有することによってそのような癌細胞に対する防御として機能する炭水化物エピトープ特異的免疫応答を誘導するための方法を提供し、その破壊する能力とは、例えば、炭水化物エピトープ特異的抗体の誘導、炭水化物エピトープ陽性の腫瘍細胞または疾患細胞を効果的に死滅させる、それらの細胞に対する炭水化物エピトープ特異的抗体の炭水化物エピトープ特異的な補体依存性細胞傷害の誘導、ならびに/または実施例に示されるような、および本明細書中に記載されるような、炭水化物エピトープ特異的T細胞応答によるTNFαおよび/もしくはINFγの分泌(炭水化物エピトープを有するそれらの腫瘍細胞または疾患細胞に対して特異的な細胞傷害性T細胞媒介性の細胞死滅に対する、当業者によって科学的に認識される代用マーカー)であり、そしてこの方法は、有効量の栄養補助食品または薬学調合物または炭水化物陽性微生物もしくはその部分(それらは本明細書中の別の箇所において記載される)あるいはそれらを含んでいる調合物をヒトまたは動物において投与する工程を包含する。
【0347】
本発明は、腫瘍、好ましくは、炭水化物エピトープ陽性腫瘍の発生を減少させるための方法、またはなおもより好ましくは予防するための方法をさらに提供し、その方法は、有効量の栄養補助食品または薬学調合物または炭水化物陽性微生物もしくはその部分(それらは本明細書中の別の箇所において記載される)あるいはそれらを含んでいる調合物を、ヒトまたは動物(好ましくは、健常な個体)において投与する工程を包含する。
【0348】
本発明は、疾患、好ましくは、炭水化物エピトープ陽性疾患の発生を減少させるための方法、またはなおもより好ましくは予防するための方法をさらに提供し、その方法は、有効量の栄養補助食品または薬学調合物または炭水化物陽性微生物もしくはその部分(それらは本明細書中の別の箇所において記載される)あるいはそれらを含んでいる調合物を、ヒトまたは動物(好ましくは、健常な個体)において投与する工程を包含する。
【0349】
本発明は、腫瘍、好ましくは、炭水化物エピトープ陽性腫瘍の拡散または転移を減少させるための方法、またはなおもより好ましくは予防するための方法をさらに提供し、その方法は、有効量の栄養補助食品または薬学調合物または炭水化物陽性微生物もしくはその部分(それらは本明細書中の別の箇所において記載される)あるいはそれらを含んでいる調合物を、ヒトまたは動物において投与する工程を包含する。
【0350】
本発明は、腫瘍、好ましくは、炭水化物エピトープ陽性腫瘍を処置する方法を提供し、その方法は、有効量の栄養補助食品または薬学調合物または炭水化物陽性微生物もしくはその部分(それらは本明細書中の別の箇所において記載される)あるいはそれらを含んでいる調合物をヒトまたは動物において投与する工程を包含する。
【0351】
本発明は、疾患、好ましくは、炭水化物エピトープに関連する疾患を処置する方法を提供し、その方法は、有効量の栄養補助食品または薬学調合物または炭水化物陽性微生物もしくはその部分(それらは本明細書中の別の箇所において記載される)あるいはそれらを含んでいる調合物を、ヒトまたは動物において投与する工程を包含する。
【0352】
本発明は、炭水化物エピトープ陽性の疾患または腫瘍の発生を減少させるための方法、またはなおもより好ましくは予防するための方法を提供し、その方法は、有効量の栄養補助食品または薬学調合物または炭水化物陽性微生物もしくはその部分(それらは本明細書中の別の箇所において記載される)あるいはそれらを含んでいる調合物を、ヒトまたは動物(好ましくは、健常な個体)において投与する工程を包含する。
【0353】
好ましい実施形態において、本発明は、ヒト細胞または動物細胞由来の分子上に存在する炭水化物エピトープに対して、ヒトまたは動物を免疫するためまたはワクチン接種するための方法を提供し、その方法は、
(i)本明細書中の別の箇所において記載されるように炭水化物エピトープに向けられた、有効量の免疫細胞または少なくとも1つの免疫細胞を含む細胞の混合物をヒトまたは動物に投与し、そしてそのヒトまたは動物において前記免疫細胞によって免疫応答を誘導する工程(プライミング)、および
ii)本明細書中の別の箇所において記載される有効量の調合物の投与によって免疫応答を追加免疫する工程
を包含する。
【0354】
好ましい実施形態において、本発明は、ヒト細胞または動物細胞由来の分子上に存在する炭水化物エピトープに対して、ヒトまたは動物を免疫するためまたはワクチン接種するための方法を提供し、その方法は、
(i)炭水化物エピトープに向けられた、有効量の免疫細胞または少なくとも1つの免疫細胞を含む細胞の混合物をヒトまたは動物に少なくとも1回投与し、そしてそのヒトまたは動物において前記免疫細胞によって免疫応答を誘導する工程(プライミング)、および
ii)炭水化物陽性微生物および/またはその部分を含む有効量の薬学組成物の投与によって免疫応答を追加免疫する工程
を包含する。
【0355】
炭水化物エピトープに向けられた前記免疫細胞は、1つもしくはそれ以上の樹状細胞、樹状細胞株、1つもしくはそれ以上のT細胞、T細胞株およびもしくはT細胞クローンまたはそれらを含む混合物を含む群から選択され得、ここで、前記免疫細胞は、炭水化物エピトープに向けられたものである。前記免疫細胞の産出は、本明細書中の別の箇所において記載されている。
【0356】
本発明の好ましい実施形態において、前記免疫細胞の投与およびプライミングは、1回行われる。
【0357】
本発明の別の好ましい実施形態において、前記免疫細胞の投与およびプライミングは、2回行われる。
【0358】
本発明の別の好ましい実施形態において、前記免疫細胞の投与およびプライミングは、少なくとも3〜5回行われる。
【0359】
本発明の好ましい実施形態において、炭水化物陽性微生物および/またはその部分を含んでいる有効量の薬学組成物の投与によって免疫応答を追加免疫する工程は、1回行われる。
【0360】
本発明の別の好ましい実施形態において、追加免疫は、2〜10回、より好ましくは10回超、より好ましくは最大20回行われ、最も好ましくは、追加免疫は、数ヶ月から数年の期間にわたって規則的な間隔で、継続して行われる。
【0361】
本発明の好ましい実施形態において、免疫応答の追加免疫は、プライミングの近くに1〜5回行われ、その後、3ヶ月から1年、または1年から10年の間隔で行われる。
【0362】
好ましい実施形態において、本発明は、ヒト細胞または動物細胞由来の分子上に存在する炭水化物エピトープに対する、有効な炭水化物特異的な細胞性免疫応答および/または液性免疫応答、好ましくは、細胞傷害性T細胞応答を誘導するための方法を提供し、その方法は、
i)炭水化物陽性微生物またはその溶解物もしくは部分を含む栄養補助食品をヒトまたは動物に経口投与する工程
ii)炭水化物エピトープの存在を特徴とする疾患の発生に対する免疫防御を誘導するために経口投与を繰り返す工程
を包含する。
【0363】
本発明の栄養補助食品は、任意の食品もしくは食品添加物または食餌性のサプリメントまたは医療用の食品または特定の健康用途の食品または特別な食餌性の用途のための食品または機能性食品であり得、本明細書中の別の箇所において記載されるように様々な形態で適用され得る。本発明の好ましい実施形態において、本栄養補助食品は、不規則な間隔で投与される。
【0364】
本発明の好ましい実施形態において、本栄養補助食品は、毎日から毎週、一定間隔で投与され、1〜6ヶ月にわたって少なくとも1週間間隔での最初の定期的な適用、続いて不規則な間隔での反復投与がより好ましい。
【0365】
本発明の好ましい実施形態において、本栄養補助食品は、臨床的な食品として使用される。なおもさらに好ましい実施形態において、本栄養補助食品は、バイオプシー、好ましくは、潜在的な腫瘍を採取する前および/または後に使用される。そしてなおもより好ましくは、本栄養補助食品は、腫瘍、好ましくは、炭水化物エピトープが陽性である腫瘍の手術の前および/または後に使用される。そしてなおもより好ましくは、本栄養補助食品は、他の処置と組み合わせて使用される。
【0366】
別の好ましい実施形態において、本発明は、炭水化物エピトープおよび/または炭水化物エピトープ陽性の疾患もしくは腫瘍に対してヒトまたは動物にワクチン接種するかまたは免疫するための方法を提供し、その方法は、
ii)炭水化物エピトープに向けられた、有効量の機能的樹状細胞または少なくとも1つの機能的樹状細胞を含む細胞の混合物をヒトまたは動物に少なくとも1回投与し、そしてそのヒトまたは動物において前記機能的樹状細胞によって免疫応答を誘導する工程、および
iii)少なくとも1つの炭水化物陽性微生物ならびに/またはその部分および/もしくは溶解物を含む有効量の薬学組成物を少なくとも1回投与することによって免疫応答を追加免疫する工程
を包含する。
【0367】
別の好ましい実施形態において、本発明は、ヒト細胞もしくは動物細胞由来の分子上に存在する炭水化物エピトープおよび/または炭水化物エピトープ陽性の疾患もしくは腫瘍に対して、ヒトまたは動物にワクチン接種するための方法を提供し、その方法は、
i)炭水化物エピトープに向けられた、有効量の、活性化T細胞、T細胞クローン、T細胞株または少なくとも1つの活性化T細胞を含む細胞の混合物をヒトまたは動物に少なくとも1回投与し、そしてそのヒトまたは動物において前記活性化T細胞によって免疫応答を誘導する工程、および
ii)炭水化物陽性微生物ならびに/またはその部分および/もしくは溶解物を含んでいる、有効量の薬学組成物を少なくとも1回投与することによって免疫応答を追加免疫する工程
を包含する。
【0368】
機能的樹状細胞、活性化T細胞、T細胞株およびT細胞クローンの産出は、本明細書中の別の箇所において記載されている。
【0369】
本発明の好ましい実施形態において、先の方法の(i)のもとに従う投与は、1回行われる。
【0370】
本発明の別の好ましい実施形態において、先の方法の(i)のもとに従う投与は、2回行われる。
【0371】
本発明の別の好ましい実施形態において、先の方法の(i)のもとに従う投与は、少なくとも3〜5回行われる。
【0372】
本発明の好ましい実施形態において、先の方法の(ii)に従う、有効量の薬学組成物の投与による免疫応答の追加免疫は、1回行われ、本発明の別の好ましい実施形態において、追加免疫は、2〜10回行われ、より好ましくは、10回超、より好ましくは最大20回行われ、最も好ましくは、追加免疫は、数ヶ月から数年の期間にわたって規則的な間隔で、継続して行われる。
【0373】
本発明の好ましい実施形態において、免疫応答の追加免疫は、プライミングの近くに1〜5回行われ、その後、3ヶ月から1年、または1年から10年の間隔で行われる。
【0374】
好ましい実施形態において、本発明は、炭水化物エピトープ陽性の腫瘍および/または疾患を予防するためおよび/または処置するための方法を提供し、その方法は、本明細書中の別の箇所において記載されるような、炭水化物エピトープおよび/または前記炭水化物エピトープを含んでいる、炭水化物構造、炭水化物結合体もしくは哺乳動物細胞に対する、適当量の、調合物、炭水化物陽性微生物もしくはその部分、機能的樹状細胞、または活性化T細胞、T細胞株もしくはT細胞クローンを、ヒトまたは動物に投与する工程を包含する。
【0375】
本発明は、炭水化物エピトープ陽性疾患の拡散を減少させるための方法、またはなおもより好ましくは予防するための方法を提供し、その方法は、有効量の栄養補助食品または薬学調合物または炭水化物陽性微生物もしくはその部分(それらは本明細書中の別の箇所において記載される)あるいはそれらを含んでいる調合物を、ヒトまたは動物において投与する工程を包含する。
【0376】
本発明は、炭水化物エピトープ陽性疾患を処置する方法を提供し、その方法は、有効量の栄養補助食品または薬学調合物または炭水化物陽性微生物もしくはその部分(それらは本明細書中の別の箇所において記載される)あるいはそれらを含んでいる調合物を、ヒトまたは動物において投与する工程を包含する。
【0377】
本発明は、免疫系を強化するか、または免疫応答を改善する方法を提供し、その方法は、有効量の栄養補助食品または薬学組成物または炭水化物陽性微生物もしくはその部分(それらは本明細書中の別の箇所において記載される)あるいはそれらを含んでいる調合物を、ヒトまたは動物において投与する工程を包含する。これは、例えば、免疫系の状態の全般的な改善(例えば、感染症または腫瘍に対する改善)、他の免疫刺激剤(immune stimulatory agent)またはプロバイオティクスもしくはプレバイオティクスの活性の改善、あるいはアジュバント(adjuvans)としての作用の改善であり得るが、これらに限定されない。
【0378】
好ましい実施形態において、上記の方法の、栄養補助食品または薬学調合物または炭水化物陽性微生物もしくはその部分(それらは本明細書中の別の箇所において記載される)あるいはそれらを含んでいる調合物は、Bacteroides ovatus AG6株(DSM18726)、Bacteroides ovatus MU1株(DSM18728)および/またはEcherichia coli LH2株(DSM18727)、より好ましくは、2006年10月20日にGlycotope GmbH,Robert−Roessle−Str.10,13125 Berlin(Germany)によって、Braunschweig(Germany)に存在する「DSMZ−Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH」に寄託されているAG6株および/またはMU1株を含む群から選択される、少なくとも1つの微生物(mircoorganism)、溶解物または部分を含む。
【0379】
調合物という用語は、薬学的に許容可能なキャリアまたは食品添加物および/もしくは栄養補助食品にとって許容可能なキャリアを含み得る、栄養補助食品、薬学組成物、炭水化物陽性微生物またはその部分、あるいは単独の、栄養補助食品、薬学組成物、炭水化物陽性微生物もしくはその部分のうちの少なくとも1つを含む、投与するのに適した形態の任意の物質または物質の組成物のことを意味する。
【0380】
発生を予防するという用語は、炭水化物エピトープ陽性癌または炭水化物エピトープ陽性疾患を発症するリスクまたは割合または確率を低下させる目的で、栄養補助食品、薬学組成物、炭水化物陽性微生物もしくはその部分またはそれらを含んでいる調合物を、被験体に対して使用することに関係する。
【0381】
腫瘍もしくは炭水化物エピトープ陽性疾患の拡散または腫瘍の転移を減少させるかまたは予防するという用語は、体内における他の器官もしくは他の部位または他の個体へのその疾患の転移または拡散のリスクまたは割合または確率を低下させる目的で、栄養補助食品、薬学組成物、炭水化物陽性微生物もしくはその部分またはそれらを含んでいる調合物を、被験体に対して使用することに関係する。
【0382】
処置するという用語は、癌、癌の症状、癌に対する素因、生存時間または進行する時間を、治癒するか、治すか、軽減するか、緩和するか、変更するか、改良するか、回復するか、改善するか、または影響する目的で、栄養補助食品、薬学組成物、炭水化物陽性微生物もしくはその部分またはそれらを含んでいる調合物を、個体または被験体に対して使用することに関係する。
【0383】
前記炭水化物エピトープ陽性疾患または前記炭水化物エピトープに関連する疾患または前記炭水化物エピトープの存在を特徴とする疾患は、プリオン、ウイルス、微生物、細菌、あるいは、炭水化物結合分子の少なくとも1つ、好ましくは、炭水化物エピトープ特異的抗体の少なくとも1つに結合し得るか、または、ヒトもしくは動物の身体の成分に関連するか、または体内に存在する、他の生物学的物質(material)(例えば、炭水化物結合分子の少なくとも1つ、好ましくは、炭水化物エピトープ特異的抗体の少なくとも1つに結合する、細胞、微生物、ウイルスまたは粒子が挙げられるがこれらに限定されない)に関連する任意の疾患である。
【0384】
「有効量」の、栄養補助食品、薬学組成物、炭水化物陽性微生物もしくはその部分またはそれらを含んでいる調合物のいずれかは、1人、1日あたり約1×10
6〜約1×10
14cfu(cfu/人/日)に対応するか、またはそれから得られる、生存しているかもしくは死滅している微生物、またはこれらの微生物の溶解物もしくは部分を含み、ここで、cfuは、当業者に公知であり、当業者によって測定され得る、1つの微生物に対する基準としてのコロニー形成単位である。
【0385】
本発明の別の実施形態において、有効量は、本明細書中の別の箇所において記載される炭水化物エピトープに対する免疫応答試験のうちの少なくとも1つによって検出可能な、少なくとも1つの個体において炭水化物エピトープに対する液性または細胞性の免疫応答、好ましくは、炭水化物エピトープに対する液性および細胞性の免疫応答を誘導する、栄養補助食品、薬学組成物、炭水化物陽性微生物もしくはその部分またはそれらを含んでいる調合物の量である。本発明の別の実施形態において、有効量は、本明細書中の別の箇所において記載される免疫応答試験のうちの少なくとも1つによって検出可能な、少なくとも1つの個体において炭水化物エピトープに対する有効な炭水化物特異的細胞性免疫応答(好ましくは、炭水化物エピトープに対するTh1型CD4陽性Tヘルパー細胞および/または細胞傷害性CD8陽性T細胞の活性化を含む)を誘導する、栄養補助食品、薬学組成物、炭水化物陽性微生物もしくはその部分またはそれらを含んでいる調合物の量である。
【0386】
本発明の別の実施形態において、有効量は、少なくとも1つの個体のおのおのにおいて、炭水化物エピトープ陽性腫瘍細胞に対する免疫防御をもたらすためか、癌に対する予防効果を有するためか、または癌に対する治療的な効果を有するためか、または別の炭水化物エピトープ陽性疾患に対する予防的もしくは治療的な効果を有するために必要な、栄養補助食品、薬学組成物、炭水化物陽性微生物もしくはその部分またはそれらを含んでいる調合物の量である。
【0387】
個体または個体の群に対する有効量は、好ましくは、本明細書中の別の箇所において記載される炭水化物エピトープに対する少なくとも1つの免疫応答試験を用いて、および好ましくは、好ましい実施形態として本明細書中の別の箇所において記載される、炭水化物エピトープに対する免疫応答試験の組み合わせを用いて、および/または当業者に公知かもしくは本明細書中の別の箇所において記載される臨床的な応答試験を用いて、当業者によって測定され得、そして/または最適化され得る。
【0388】
これらの有効量は、例えば、被験体、投薬回数および投薬のタイムスケジュール、栄養補助食品、薬学的(pharmacetical)組成物、炭水化物陽性微生物もしくはその部分の形式または調合物、投与経路および投与の時間的な計画、予防または処置などの使用目的、炭水化物エピトープ陽性の疾患または癌の状態に応じて、ある人に対する、上に記載された量または投与量、または本明細書中の別の箇所において記載される好ましい量もしくは投与量と異なり得、そして、それらは、栄養補助食品、薬学組成物、炭水化物陽性微生物もしくはその部分またはそれらを含んでいる調合物を投与される種、人種(品種)、および個別の動物間または個別のヒト間によって、異なり得る。当業者は、好ましくは(perferably)本明細書中に記載される本発明の説明および実施形態を用いることによって、個体または個体の群に対して、適当なそして/または最適な投与量、投与経路および時間的な計画を測定することができる。
【0389】
1つより多い個体、より好ましくは、かなりの数の個体、より好ましくは、個体の少なくとも10%、より好ましくは、少なくとも20%、より好ましくは、少なくとも30%、より好ましくは、少なくとも40%、より好ましくは、少なくとも50%、最も好ましくは、大部分において、炭水化物エピトープに対する前記免疫応答を誘導するか、または増強する、栄養補助食品、薬学組成物、炭水化物陽性微生物もしくはその部分またはそれらを含んでいる調合物の有効量および投与量が、好ましい。
【0390】
好ましい実施形態において、有効量は、少なくとも1つの個体において炭水化物エピトープに対する免疫応答を誘導する、前記栄養補助食品、前記薬学組成物、前記炭水化物陽性微生物もしくは前記その部分またはそれらを含む前記調合物の量である。
【0391】
好ましい実施形態において、前記誘導される免疫応答または増強される免疫応答は、液性免疫応答試験1〜6のうちの少なくとも1つおよび細胞性免疫応答試験1〜5のうちの1つによって検出可能な、炭水化物エピトープに対する、液性および細胞性の免疫応答である。
【0392】
好ましい実施形態において、有効量は、少なくとも1つの個体のおのおのにおいて、炭水化物エピトープ陽性腫瘍細胞に対する免疫防御をもたらすためか、癌に対する予防効果を有するためか、または癌に対する治療的な効果を有するためか、または別の炭水化物エピトープ陽性疾患に対する予防的もしくは治療的な効果を有するために必要な、前記栄養補助食品、前記薬学組成物、前記炭水化物陽性微生物もしくは前記その画分またはそれらを含む前記調合物の量である。別の好ましい実施形態において、有効量は、少なくとも1つの個体において、最大のまたは最大に近い、炭水化物エピトープに対する免疫応答を誘導する、前記栄養補助食品、前記薬学組成物、前記炭水化物陽性微生物もしくは前記その部分またはそれらを含む前記調合物の量である。
【0393】
なおもより好ましい実施形態において、好ましい有効量は、炭水化物エピトープに対する免疫応答試験において当業者によって検出されるとき、最大のまたは最大に近い、炭水化物エピトープに対する免疫応答を誘導する、栄養補助食品、薬学組成物、炭水化物陽性微生物もしくはその部分またはそれらを含んでいる調合物の量であり、ここで、この最大の免疫応答は、すべての免疫応答試験において陽性である必要はないが、好ましくは、炭水化物エピトープに対して最大の抗体応答もしくは抗体価および/または炭水化物エピトープに対して、より好ましくは、炭水化物エピトープ陽性腫瘍細胞に対して、より好ましくは、その両方に対して最大のT細胞応答をもたらし、最も好ましくは、炭水化物エピトープに対する液性免疫応答試験1および3において最大の抗体価を少なくとも示し、そして/または炭水化物エピトープに対する細胞性免疫応答試験1もしくは2もしくは3において最大のT細胞応答を少なくとも示す。
【0394】
好ましい実施形態において、有効量の前記栄養補助食品、前記薬学組成物、前記炭水化物陽性微生物もしくは前記その部分または前記調合物は、1個体の1用量あたり約1×10
6〜約1×10
14cfuに相当するか、またはそれから得られる、生存しているかもしくは死滅している微生物またはこれらの微生物の溶解物もしくは部分を含む。
【0395】
より好ましい実施形態において、有効量の栄養補助食品、薬学組成物、炭水化物陽性微生物もしくはその部分またはそれらを含んでいる調合物は、1×10
7〜1×10
13cfu/人/日、より好ましくは、2×10
8〜1×10
12、より好ましくは(preferrably)1×10
9〜1×10
11cfu/人/日に相当するか、またはそれから得られる、生存しているかもしくは死滅している微生物、これらの微生物の溶解物または部分を含む。
【0396】
上記有効量または有効用量は、当業者によって認識されるように、投与経路、賦形剤の使用および他の物質(例えば、免疫促進のためのもの、免疫応答を誘導するためのものまたは免疫防御を構築するものまたは癌を予防するかもしくは処置するもの)と同時に使用することの可能性に応じても、異なり得る。
【0397】
上記有効量または有効用量は、当業者によって認識されるように、使用する形式(例えば、栄養補助食品、薬学組成物、炭水化物陽性微生物もしくはその部分またはそれらを含んでいる調合物としての使用)、ならびにそれらが生存しているかもしくは死滅している微生物、その溶解物または部分を含むかどうか、ならびに投薬の回数、ならびに投薬の間隔に応じても、異なり得る。それらは、好ましくは、当業者によって、提供される本発明、本発明の試験および方法を用いることによって測定され得、そして最適化され得る。
【0398】
好ましい実施形態において、栄養補助食品は、1日2回以上から、1日、1週間または1ヶ月に1回、短期間から1年間の長さにわたって、好ましくは、4週間から2年間にわたる毎日または毎週の使用で、経口的に投与される。
【0399】
別の好ましい実施形態において、単回用量が、個体に投与される。
【0400】
別の好ましい実施形態において、反復用量が、個体に投与される。
【0401】
別の好ましい実施形態において、有効量は、単回用量に相当する。
【0402】
別の好ましい実施形態において、有効量は、反復用量に相当する。
【0403】
好ましい実施形態において、薬学組成物は、ただ1回の投薬から多数回の投薬で、好ましくは、毎週から毎月、3ヶ月毎または6ヶ月毎、またはそれらの時間をずらした組み合わせで、全身投与され得、そして、6ヶ月毎から毎年、5年毎から10年毎の免疫の回復と組み合わされ得る。
【0404】
本発明の別の好ましい実施形態において、少なくとも1つの炭水化物陽性微生物またはその溶解物もしくは部分を含む栄養補助食品調合物のヒトにおける有効な用量は、0.1mg/m
2〜10g/m
2、より好ましくは、10mg/m
2〜10g/m
2、なおもさらに好ましくは、0.1g/m
2〜10g/m
2である。
【0405】
別の好ましい実施形態において、その調合物は、最初に全身投与され、続いて、免疫の回復のために経口投与される。
【0406】
投与という用語は、ヒトまたは動物を、有効量の栄養補助食品、薬学組成物、炭水化物陽性微生物もしくはその部分またはそれらを含んでいる調合物(それらはさらなるキャリアを使用し得る)と接触させることを意味する。投与経路には、ヒトまたは動物を、栄養補助食品、薬学組成物、炭水化物陽性微生物もしくはその部分またはそれらを含んでいる調合物と接触させるための任意の方法が含まれる。炭水化物エピトープに対する免疫応答、炭水化物エピトープもしくは炭水化物エピトープ陽性腫瘍細胞に対する免疫防御、癌に対する予防効果、または癌に対する治療的な効果をもたらす投与経路(例えば、経口投与、全身投与、吸入または皮膚もしくは別の表皮との接触を介した投与が挙げられるがこれらに限定されない)が、好ましく、それらは、上または本明細書中の別の箇所において記載されるような好ましい形態で測定され得る。当業者は、最も適当な投与経路を選択することができる。
【0407】
投与経路および調合物の例および好ましいものは、以下に記載される:栄養補助食品は、好ましくは、経口的に、例えば、カプセル、錠、エマルジョン、粉末、液体のいずれかとして、任意の食品もしくは飲み物の形態で、または、食品添加物などの食品もしくは飲み物の成分として、投与される。栄養補助食品は、単独で投与され得るか、または少なくとも1つの他の成分と混合され得る。単独での栄養補助食品または少なくとも1つの他の成分とのその混合物は、単独で投与され得るか、または食品もしくは飲み物の中に混合され得る。
【0408】
栄養補助食品だけでなく、薬学組成物、炭水化物陽性微生物もしくはその部分またはそれらを含んでいる調合物の経口投与用の調合物は、任意の経口的に許容可能な剤形または有効量の栄養補助食品、薬学組成物、炭水化物陽性微生物もしくはその部分またはそれらを含んでいる調合物であり得、それらとしては、錠、カプセル、ナノ粒子、エマルジョンならびに水性の懸濁液、分散液および溶液が挙げられるがこれらに限定されない。錠に対して通常使用されるキャリアとしては、ラクトースおよびトウモロコシデンプンが挙げられる。ステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤もまた、代表的に錠に加えられる。カプセルの形態での経口投与のために、有用な希釈剤としては、ラクトースおよび乾燥トウモロコシデンプンが挙げられる。水性懸濁液またはエマルジョンが経口的に投与されるとき、活性成分は、乳化剤または懸濁剤と組み合わされて油相に懸濁され得るか、または溶解され得る。所望であれば、ある特定の甘味剤、香味料または着色剤を加えることができる。
【0409】
経口投与用の調合物は、任意の経口的に許容可能な剤形、または有効量の、栄養補助食品、薬学組成物、炭水化物陽性微生物もしくはその部分またはそれらを含んでいる調合物であり得、それらとしては、錠、カプセル、ナノ粒子、エマルジョンならびに水性の懸濁液、分散液および溶液が挙げられるがこれらに限定されない。錠に対して通常使用されるキャリアとしては、ラクトースおよびトウモロコシデンプンが挙げられる。ステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤もまた、代表的に錠に加えられる。カプセルの形態での経口投与のために、有用な希釈剤としては、ラクトースおよび乾燥トウモロコシデンプンが挙げられる。水性懸濁液またはエマルジョンが経口的に投与されるとき、活性成分は、乳化剤または懸濁剤と組み合わされて油相に懸濁され得るか、または溶解され得る。所望であれば、ある特定の甘味剤、香味料または着色剤を加えることができる。
【0410】
本発明の調合物は、経口的に投与されてもよいし、非経口的に投与されてもよい。非経口投与としては、注射(例えば、点滴注入、皮下、静脈内または筋肉内の注射)、軟膏もしくは経皮的薬物による経皮的な適用、および坐剤による直腸適用が挙げられる。組成物が経口的に投与される場合、その組成物は、ハードカプセル、ソフトカプセル、顆粒、粉末、細粒、丸剤、トローチ、錠、ゆっくりとした活性成分の送達系、液体および懸濁液の形態で調製され得る。その調製は、薬学分野における従来の方法によって容易に行われ得る。
【0411】
投与様式および剤形は、当然のことながら、所定の処置の適用にとって望ましく、かつ有効な、化合物または組成物の治療量に影響する。本発明の調合物が、経口投与の形態で調製される場合、その組成物は、通常の薬剤における通常の薬学的成分(例えば、充填剤、増量剤、結合剤、膨化剤、界面活性物質、滑沢剤などの希釈剤および賦形剤)を用いて調製され得る。通常の成分の特定の例としては、賦形剤(recipients)(例えば、乳糖、白砂糖、塩化ナトリウム、グルコース、尿素、デンプン、炭酸カルシウム、カオリン、結晶セルロースおよびケイ酸);結合剤(例えば、水、エタノール、単純シロップ、グルコース液、デンプン液、ゼラチン溶液、カルボキシメチルセルロース、シェラック、メチルセルロース、リン酸カリウムおよびポリビニルピロリドン);膨化剤(例えば、乾燥デンプン、アルギン酸ナトリウム、寒天粉末、ラミナラン粉末、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸モノグリセリド、デンプンおよび乳糖);崩壊阻害剤(decay inhibitor)(例えば、白砂糖、ステアリン酸、カカオバターおよび硬化油);吸収促進剤(例えば、第四アンモニウム塩およびラウリル硫酸ナトリウム);保湿剤(例えば、グリセリンおよびデンプン);吸収剤(例えば、デンプン、乳糖、カオリン、ベントナイトおよびコロイドケイ酸);および滑沢剤(例えば、精製タルクおよびステアリン酸塩)が挙げられる。必要であれば、調製物は、着色料、保存剤、香料、香味剤および甘味剤をさらに含む。適当な薬学的に許容可能な塩は、当業者に周知であり、そのような塩としては、無機酸および有機酸(例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、酢酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、乳酸、シュウ酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、安息香酸、サリチル酸、フェニル酢酸およびマンデル酸)の塩基性塩が挙げられる。さらに、本発明の化合物の薬学的に許容可能な塩は、例えば、置換基がカルボキシ部分を含む場合、薬学的に許容可能な陽イオンを用いて形成され得る。適当な薬学的に許容可能な陽イオンは、当該分野で周知であり、そのような陽イオンとしては、アルカリ、アルカリ土類アンモニウムおよび四級アンモニウム陽イオンが挙げられる。
【0412】
好ましい実施形態において、薬学組成物の投与経路は、静脈内注射、腹腔内注射、筋肉内注射、頭蓋内注射、腫瘍内注射、上皮内注射、経皮的送達、経食道(per oesophageal)投与、腹内投与、付属器内(intraapendicular)投与、動脈内投与、関節内投与、気管支内投与、頬内(intrabuccal)投与、嚢内投与、心臓内投与、軟骨内投与、洞内投与、頭部内投与、結腸内投与、皮内投与(intracutaneous administration)、嚢胞内(intracystic)投与、皮内投与(intradermal administration)、腺管内(intraductal)投与、十二指腸内投与、束内投与、脂肪内(intrafat)投与、網状体内(intrafilar)投与、脳溝内(intrafissural)投与、胃内投与、腺内(intraglandular)投与、肝臓内投与、腸内(intraintestinal)投与、層内(intralamellar)投与、病変内投与、靭帯内投与、舌内投与、乳腺内投与、髄内投与、髄膜内投与、心筋内投与、鼻腔内投与、眼内投与、手術中の(intraoperative)投与、口内投与、骨内投与、卵巣内投与、膵臓内(intrapancreatic)投与、壁内(intraparietal)投与、骨盤内投与、心膜内投与、会陰内(intraperineal)投与、腹腔内投与、胎盤内(intraplacental)投与、胸膜内投与、橋内(intrapontine)投与、前立腺内投与、肺内投与、脊髄内(intrarachidian)投与、直腸内投与、腎臓内投与、強膜内投与、陰嚢内投与、区内(intrasegmental)投与、トルコ鞍内(intrasellar)投与、脊髄内(intraspinal)投与、脾臓内投与、胸骨内投与、基質内投与、滑液嚢内投与、足根内(intratarsal)投与、精巣内投与、胸腔内(intrathoracic)投与、扁桃内投与、気管内投与、管内(intratubal)投与、鼓室内投与、尿管内投与、尿道内投与、子宮内投与、膣内投与、脈管内(intravascular)投与、室内投与、脊椎内投与、膀胱内投与および硝子体内投与からなる群から選択される。
【0413】
本発明のより好ましい実施形態において、投与(=接触)経路の例としては、非経口、例えば、静脈内、皮内、皮下、経口、経皮的(局所的)、経粘膜的、腹腔内、鼻腔内、直腸経腸的および経口投与が挙げられる。
【0414】
本発明の調合物は、それら中の成分の薬学的に許容可能な塩を含み得る。薬学的に許容可能な塩としては、無機酸(例えば、塩酸またはリン酸など)または有機酸(例えば、酢酸、酒石酸、マンデル酸など)を用いて形成される酸付加塩が挙げられる。遊離カルボキシル基を用いて形成される塩は、無機塩基(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、水酸化カルシウムまたは水酸化第二鉄など)および有機塩基(例えば、イソプロピルアミン、トリメチルアミノ、2−エチルアミノエタノール、ヒスチジン、プロカインなど)から得ることができる。生理的に容認できるキャリアは、当該分野で周知である。液体キャリアの例(Exemplary)は、活性成分に加えて物質を含んでいない滅菌水溶液および水であるか、または緩衝液(例えば、生理学的pH値におけるリン酸ナトリウム)、生理食塩水もしくはその両方(例えば、リン酸緩衝食塩水)を含む。なおもさらに、水性キャリアは、2つ以上の緩衝塩、ならびに塩(例えば、塩化ナトリウムおよび塩化カリウム)、デキストロース、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールおよび他の溶質を含み得る。液体組成物は、水に加えて、そして水以外の液相も含み得る。そのようなさらなる液相の例は、グリセリン、綿実油などの植物油、オレイン酸エチルなどの有機エステルおよび水−油エマルジョンである。調合物は、本発明の炭水化物陽性微生物、その溶解物または部分、代表的には、組成物の総重量あたり少なくとも0.1重量パーセントの炭水化物陽性微生物、その溶解物または部分を含む。重量パーセントは、組成物の全重量に対する、炭水化物陽性微生物、その溶解物または部分の重量の比である。従って、例えば、0.1重量パーセントは、100グラムの全組成物あたり、0.1グラムの炭水化物陽性微生物炭水化物陽性微生物、その溶解物または部分である。
【0415】
用語「薬学的に許容可能な塩」とは、生物学的有効性および遊離塩基の特性を保持していて、無機酸(例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、pトルエンスルホン酸(ptduenesulf onic acid)、サリチル酸など)との反応によって得られる化合物の塩のことを指す。薬学的に許容可能な塩としては、例えば、アルカリ金属塩(例えば、ナトリウム塩およびカリウム塩)、アルカリ土類塩およびアンモニウム塩が挙げられる。
【0416】
活性成分として、炭水化物陽性微生物、その溶解物または部分を含んでいる調合物は、経口での使用に適した形態、例えば、錠、トローチ、舐剤、水性もしくは油性の懸濁液、分散性の粉末もしくは顆粒、エマルジョン、ハードカプセルもしくはソフトカプセル、またはシロップまたはエリキシルであり得る。経口での使用が意図された組成物は、薬学組成物を製造するための分野で公知の任意の方法に従って調製され得、そのような組成物は、薬学的に的確で、味のよい調製物を提供するために、甘味剤、香味料、着色剤および保存剤からなる群から選択される1つ以上の物質を含み得る。錠は、錠の製造に適した、薬学的に許容可能な無毒性の賦形剤と混合されて活性成分を含む。これらの賦形剤は、例えば、不活性な希釈剤(例えば、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウムまたはリン酸ナトリウム);造粒剤および膨化剤、例えば、トウモロコシデンプンまたはアルギン酸;結合剤、例えば、デンプン、ゼラチンまたはアカシア、および滑沢剤、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸またはタルクであり得る。上記錠は、コーティングされていなくてもよいし、または胃腸管(gastointestinal tract)内における崩壊および吸収を遅延させるため、公知の技術によってコーティングされていてもよく、そしてそれによって長時間にわたる持続性の作用を提供する。例えば、時間遅延物質(例えば、モノステアリン酸グリセリンまたはジステアリン酸グリセリル)が使用され得る。それらを、米国特許第4,256,108号;同第4,166,452号;および同第4,265,874号に記載されている技術によってコーティングすることにより、制御放出用の浸透性の治療的錠が形成され得る。本発明による調合物は、1つ以上の薬物(それらは調節剤(modulating agent)に連結されていてもよいし、組成物内で遊離していてもよい)も含むか、あるいは、含み得る。実質的には、任意の薬物は、以下に記載されるように種々の目的のために、本明細書中に記載されるような調節剤と組み合わせて投与され得る。調節剤とともに投与され得る薬物のタイプの例としては、鎮痛薬、麻酔薬、抗狭心症薬、抗真菌薬、抗生物質、抗癌薬(例えば、タキソールまたはマイトマイシンC)、抗炎症薬(例えば、イブプロフェンおよびインドメタシン)、駆虫薬、抗うつ薬、解毒薬、制吐薬、抗ヒスタミン剤、抗高血圧薬、抗マラリア薬、抗微小管剤(antimicrotubule agents)(例えば、コルヒチンまたはビンカアルカロイド)、抗片頭痛剤、抗菌薬、抗精神病薬(antiphsychotics)、解熱薬、防腐薬、抗シグナル伝達剤(anti-signaling agents)(例えば、タンパク質キナーゼCインヒビターまたは細胞内カルシウム動員のインヒビター)、抗関節炎薬、アンチトロンビン剤、抗結核薬、鎮咳薬、抗ウイルス薬、食欲抑制薬、心臓作用性薬物、薬物依存の薬物、下剤、化学療法剤、冠血管、大脳または末梢の血管拡張薬、避妊薬、抑制薬、利尿薬、去痰薬、成長因子、ホルモン剤、催眠薬、免疫抑制剤、麻酔薬拮抗薬、副交感神経刺激興奮薬、鎮静薬、刺激薬、交感神経興奮薬、トキシン(例えば、コレラ毒素)、精神安定薬および泌尿器抗感染薬が挙げられる。
【0417】
経口で使用するための調合物は、活性成分が不活性な固体希釈剤、例えば、炭酸カルシウム、リン酸カルシウムもしくはカオリンと混合されている硬ゼラチンカプセルとして、または活性成分が水もしくは油性の媒質、例えば、落花生油、液体パラフィンまたはオリーブ油と混合されている軟ゼラチンカプセルとしても存在し得る。水性懸濁液は、水性懸濁液の調製に適した賦形剤と混合されて活性な成分を含む。そのような賦形剤は、懸濁剤、例えば、カルボキシルメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウムポリビニルピロリドン、トラガカントゴムおよびアカシアゴムであり;分散剤または保湿剤は、天然に存在するホスファチド(例えば、レシチン)、またはアルキレンオキシドと脂肪酸との縮合物(例えば、ステアリン酸ポリオキシエチレン)、またはエチレンオキシドと長鎖脂肪族アルコールとの縮合物(例えば、ヘプタデカエチレンオキシセタノール)、またはエチレンオキシドと、脂肪酸およびヘキシトールから誘導される部分エステルとの縮合物(例えば、ポリオキシエチレンと、脂肪酸およびヘキシトール無水物から誘導される部分エステルとの縮合物(例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート))であり得る。水性懸濁液は、1つ以上の保存剤、例えば、p−ヒドロキシ安息香酸エチルまたはp−ヒドロキシ安息香酸n−プロピル、1つ以上の着色剤、1つ以上の香味料、および1つ以上の甘味剤(例えば、スクロースまたはサッカリン)も含み得る。
【0418】
油性懸濁液は、活性成分を、植物油、例えば、落花生油、オリーブ油、ゴマ油もしくはやし油、または、鉱油、例えば、流動パラフィンに懸濁することによって調合され得る。油性懸濁液は、糊稠剤、例えば、蜜ろう、固形パラフィンまたはセチルアルコールを含み得る。上に示したような甘味剤および香味料は、味のよい経口調製物を提供するために加えられ得る。これらの組成物は、アスコルビン酸などの抗酸化剤を加えることによって保存され得る。
【0419】
水を加えることによる水性懸濁液の調製に適した分散性の粉末および顆粒は、分散剤または保湿剤、懸濁剤および1つ以上の保存剤と混合されて、活性成分を提供する。適当な分散剤または保湿剤および懸濁剤は、例示され、例えば、甘味剤、香味料および着色剤もまた存在し得る。
【0420】
本発明の調合物は、水中油型エマルジョンの形態でもあり得る。その油相は、植物油、例えば、オリーブ油もしくは落花生油、または鉱油、例えば、流動パラフィンまたはこれらの混合物であり得る。適当な乳化剤は、天然に存在するゴム(例えば、アカシアゴムまたはトラガカントゴム)、天然に存在するホスファチド(例えば、ダイズ、レシチン)、ならびに脂肪酸およびヘキシトール無水物から誘導されるエステルまたは部分エステル(例えば、ソルビタンモノオレエート)、および前記部分エステルとエチレンオキシドとの縮合物(例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート)であり得る。そのエマルジョンは、甘味剤および香味料も含み得る。
【0421】
シロップおよびエリキシルは、甘味剤、例えば、グリセロール、プロピレングリコール、ソルビトールまたはスクロースとともに調合され得る。そのような調合物は、粘滑剤、保存剤および香味料ならびに着色剤も含み得る。薬学組成物は、無菌の注射可能な水性または油性(oleagenous)の懸濁液の形態であり得る。この懸濁液は、上で述べた適当な分散剤または保湿剤および懸濁剤を用いて、公知の技術に従って調合され得る。無菌の注射可能な調製物は、無毒性の非経口的に許容可能な希釈剤または溶媒中の無菌の注射可能な溶液または懸濁液、例えば、1,3−ブタンジオールの溶液として(as absolution)でもあり得る。水、リンガー溶液および等張性塩化ナトリウム溶液が、許容可能なビヒクルおよび溶媒の中で使用され得る。さらに、無菌の固定油は、溶媒または懸濁媒体として通常使用されている。この目的で、合成モノグリセリドまたは合成ジグリセリドを含む任意の緩和な固定油が、使用され得る。さらに、オレイン酸などの脂肪酸は、注射可能物を調製するための用途が見出されている。約0.01mg〜約140mg/キログラム体重/日の桁の投薬レベルが、上に示された状態の処置において有用である(約2.5mg〜約7g/患者/日)。例えば、炭水化物エピトープ陽性腫瘍は、約0.01〜50mgの化合物/キログラム体重/日の投与によって効果的に処置され得る(約0.5mg〜約3.5g/患者/日)。キャリア物質と組み合わされて単回投与形態を生じ得る活性成分の量は、処置される宿主および特定の投与様式に応じて異なる。例えば、ヒトの経口投与が意図された調合物は、総組成物の約5〜約95%で異なり得る。単位剤形は、一般に約1mg〜約10gの活性成分を含む。しかしながら、任意の特定の患者に対する特定の用量レベルは、使用される特定の化合物の活性、年齢、体重、全般的な健康状態、性別、投与の食餌時間、投与経路、排出速度、薬剤の併用および治療を受けている特定の疾患の重症度を含む種々の因子に左右されることが理解される。本発明による化合物の有効投与量は、特定の化合物、毒性および阻害活性、処置される状態、ならびにその化合物が単独で投与されるのか、または他の治療とともに投与されるのかを含む因子に応じて異なる。代表的には、有効投与量は、約0.0001mg/kg〜1500mg/kg、より好ましくは、1〜1000mg/kg、より好ましくは、約1〜150mg/kg体重、および最も好ましくは、約50〜100mg/kg体重の範囲である。本発明は、上述した病的状態を処置するためのプロセスまたは方法にも関する。本発明の化合物は、予防的に、または治療的に、好ましくは、述べた障害に対して有効な量で、そのような処置が必要な温血動物、例えば、ヒトに、投与され得、その化合物は、好ましくは、薬学組成物または栄養補助食品の形態で使用される。
【0422】
薬学的に許容可能な賦形剤およびキャリア溶液の調合は、例えば、経口、非経口、静脈内、鼻腔内および筋肉内の投与および調合を含む種々の処置レジメンにおいて本明細書中に記載される特定の組成物を用いるのに適した投薬レジメンおよび処置レジメンが開発されているように、当業者に周知である。
【0423】
A.経口送達
ある特定の適用において、本明細書中に開示される調合物は、経口投与を介してヒトまたは動物に送達され得る。そのようなものとして、これらの組成物は、不活性な希釈剤もしくは同化可能な食用キャリアとともに調合され得るか、または硬殻もしくは軟殻ゼラチンカプセル内に封入され得るか、または錠に圧縮され得るか、または食餌の食物に直接組み込まれ得る。
【0424】
活性な化合物は、賦形剤とともに組み込まれ得、摂取可能な錠、バッカル錠(tables)、トローチ、カプセル、エリキシル、懸濁液、シロップ、オブラートなどの形態で使用され得る。その錠、トローチ、丸剤、カプセルなどは、以下のもの:トラガカントゴム、アカシア、トウモロコシデンプンまたはゼラチンのような結合剤;リン酸二カルシウムなどの賦形剤;膨化剤(例えば、トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、アルギン酸など);ステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤も含み得;そして甘味剤(例えば、スクロース、ラクトースまたはサッカリン)が加えられ得るか、または香味料(例えば、ペパーミント、ウインターグリーン油またはチェリーフレーバー)も含み得る。単位剤形がカプセルであるとき、その単位剤形は、上記のタイプの物質に加えて、液体キャリアを含み得る。様々な他の物質が、コーティング剤として存在し得るか、またはその単位剤形の物理的形態を改変するために存在し得る。例えば、錠、丸剤またはカプセルは、シェラック、糖またはその両方を用いてコーティングされ得る。エリキシルのシロップは、甘味剤として活性化合物スクロース、保存剤としてメチルパラベンおよびプロピルパラベン、色素および香料(チェリーまたはオレンジの香料など)を含み得る。当然のことながら、任意の単位剤形を調製する際に使用される任意の物質は、薬学的に純粋かつ使用される量において実質的に無毒性であるべきである。さらに、その活性な化合物は、徐放性の調製物および調合物に組み込まれ得る。
【0425】
代表的には、これらの調合物は、少なくとも約0.1%の活性な化合物またはそれ以上を含み得るが、当然のことながら、活性成分のパーセンテージは、様々であり得るし、都合よく、調合物全体の重量または体積の約1もしくは2%〜約60%もしくは70%またはそれ以上であり得る。当然、治療的に有用な組成物の各々における活性な化合物の量は、適当な投与量がその化合物の所与の任意の単位用量で得られるように調製され得る。溶解性、バイオアベイラビリティ、生物学的半減期、投与経路、生成物の貯蔵寿命などの因子ならびに他の薬理学的考慮は、そのような薬学調合物を調製する当業者によって熟慮され、種々の投与量および処置レジメンが望ましいことがある。
【0426】
あるいは、経口投与の場合、本発明の組成物は、うがい薬、歯磨剤、バッカル錠、経口スプレーまたは舌下経口で投与される調合物の形態において、1つ以上の賦形剤とともに組み込まれ得る。例えば、うがい薬は、ホウ酸ナトリウム溶液(ドーベル液)などの適切な溶媒中に活性成分を必要量で組み込んで調製され得る。あるいは、活性成分は、経口溶液(例えば、ホウ酸ナトリウム、グリセリンおよび重炭酸カリウムを含むもの)に組み込まれ得るか、または歯磨剤に分散され得るか、または水、結合剤、研磨剤、香味料、発泡剤および保湿剤を含み得る組成物に治療有効量/有効用量で加えられ得る。あるいは、その組成物は、舌の下に置かれ得るかもしくは別途口の中で溶解され得る、錠または溶液の形態にされ得る。
【0427】
B.注射可能な送達
ある特定の状況において、本明細書中に開示される調合物を、非経口的、静脈内、筋肉内または腹腔内に送達することが望ましいことがある。遊離塩基または薬理学的に許容可能な塩としての活性な化合物の溶液は、ヒドロキシプロピルセルロースなどの界面活性物質と適切に混合された水中に調製され得る。分散物は、グリセロール、液体ポリエチレングリコールおよびそれらの混合物中に、ならびに油中に調製され得る。貯蔵および使用の通常の条件下では、これらの調製物は、微生物の増殖を防ぐために保存剤を含む。
【0428】
注射による使用に適した薬学的形態としては、無菌の水溶液または分散液、および無菌の注射用の溶液または分散液の即時調合調製用の無菌の粉末が挙げられる。すべての場合において、その形態は、無菌でなければならないし、容易に注射できる(syringability)程度の流体でなければならない。それは、製造および貯蔵の条件下において安定でなければならないし、細菌および真菌などの微生物の汚染作用から保護されていなければならない。キャリアは、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコールおよび液体ポリエチレングリコールなど)、それらの適当な混合物および/または植物油を含む、溶媒または分散媒であり得る。適正な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティング剤を使用することによって、分散液の場合は必要な粒径を維持することによって、そして界面活性物質を使用することによって、維持され得る。微生物の作用の防止は、様々な抗菌剤および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサールなどによって容易にされ得る。多くの場合において、等張剤、例えば、糖または塩化ナトリウムを含めることが好ましい。注射用の組成物の持続的な吸収は、吸収を遅延させる組成物、例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンを使用することによってもたらされ得る。
【0429】
水溶液における非経口投与の場合、例えば、その溶液は、必要であれば適切に緩衝化されるべきであり、第1に、液体希釈剤を、十分な食塩水またはグルコースを用いて等張性にするべきである。これらの特定の水溶液は、特に、静脈内、筋肉内、皮下および腹腔内の投与に適している。この文脈において、使用することができる無菌の水性媒質は、本発明の開示に鑑みて、当業者に公知である。例えば、1つの投与量は、1mlの等張性のNaCl溶液に溶解され得、そして1000mlの皮下注入液に加えられ得るか、または所定の注入部位に注射され得る。必然的に、処置される被験体の状態に応じて、投与量のいくつかの変形がとられる。いずれにしても、投与に関与する者は、個別の被験体に対して適切な用量を測定することになる。さらに、ヒトへの投与の場合、調製物は、生物製剤の規準に関する国家または地域の官庁が求めている、無菌性、発熱性および全般的な安全性および純度の規準を満たすべきである。
【0430】
無菌の注射可能な溶液は、上で列挙された様々な他の成分を含んでいる適切な溶媒に、活性な化合物を必要な量で組み込むことによって調製され、必要であればその後フィルター滅菌される。一般に、分散液は、様々な滅菌活性成分を、基礎的な分散媒および上に列挙されたもののうち必要とされる他の成分を含む無菌のビヒクル中に組み込むことによって調製される。無菌の注射可能な溶液を調製するための無菌の粉末の場合、好ましい調製方法は、予めろ過された無菌の溶液からの活性成分および任意の付加的な所望の成分の粉末をもたらす、真空乾燥および凍結乾燥である。
【0431】
本明細書中に開示される組成物は、中性または塩の形態で調合され得る。薬学的に許容可能な塩としては、酸付加塩(タンパク質の遊離アミノ基を用いて形成される)および無機酸(例えば、塩酸またはリン酸など)または有機酸(例えば、酢酸、シュウ酸、酒石酸、マンデル酸など)を用いて形成される塩が挙げられる。遊離カルボキシル基を用いて形成される塩はまた、無機塩基(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、水酸化カルシウムまたは水酸化第二鉄など)および有機塩基(例えば、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、ヒスチジン、プロカインなど)から得られ得る。調合したら、溶液は、投薬調合物に適合した様式で、そして治療的に有効な量で、投与される。調合物は、種々の剤形(例えば、注射用溶液、薬物放出カプセルなど)で容易に投与される。
【0432】
本明細書中で使用されるとき、「キャリア」には、任意およびすべての溶媒、分散媒、ビヒクル、コーティング剤、希釈剤、抗菌剤および抗真菌剤(antifingal agents)、等張剤および吸収遅延剤、緩衝液、キャリア溶液、懸濁液、コロイドなどが含まれる。薬学的に活性な物質に対するそのような媒質および物質の使用は、当該分野で周知である。任意の通常の媒質または物質が活性成分と不適合である場合を除いて、治療的組成物におけるそれらの使用が企図される。補充性の活性成分もまた、その組成物に組み込まれ得る。
【0433】
句「薬学的に許容可能な」とは、ヒトに投与したときにアレルギー性または類似の都合の悪い反応をもたらさない分子の本質および組成物に関係する。活性成分としてタンパク質を含む水性組成物の調製は、当該分野において十分に理解されている。代表的には、そのような組成物は、液体の溶液または懸濁液としての注射可能物として調製され;注射用の溶液または注射用の懸濁液、注射の前の液体に適した固体の形態もまた調製され得る。その調製物は、乳化もされ得る。
【0434】
別の好ましい実施形態において、本発明は、炭水化物エピトープ特異的免疫応答を誘導するかもしくは増強する方法および/または炭水化物エピトープ陽性疾患を予防するかもしくは処置する方法を提供し、ここで、前記栄養補助食品、前記薬学組成物、前記炭水化物陽性微生物もしくは前記その部分またはそれらを含んでいる前記調合物は、健常な個体に投与される。
【0435】
別の好ましい実施形態において、本発明は、炭水化物エピトープ特異的免疫応答を誘導するかもしくは増強する方法および/または炭水化物エピトープ陽性疾患を予防するかもしくは処置する方法を提供し、ここで、前記栄養補助食品、前記薬学組成物、前記炭水化物陽性微生物もしくは前記その部分またはそれらを含んでいる前記調合物は、炭水化物エピトープに関連する疾患、癌、腫瘍、少なくとも1つの腫瘍もしくは癌細胞または少なくとも1つの転移を有する個体に投与される。
【0436】
特に、上記栄養補助食品、薬学組成物、炭水化物陽性微生物もしくはその部分またはそれらを含んでいる調合物は、健常な個体または患者(各々が、好ましくは、癌、腫瘍、または以下もしくは本明細書中の別の箇所に記載されるような癌性疾患もしくは腫瘍性の疾患から選択される少なくとも1つの炭水化物エピトープ陽性腫瘍細胞を含む)において、癌、腫瘍、癌細胞またはそれらからもたらされる転移に対する免疫応答を誘導するため、腫瘍細胞、癌、腫瘍、1つもしくはそれ以上の癌細胞またはそれらからもたらされる転移に対する免疫防御として機能する免疫応答を誘導するため、腫瘍または癌、転移(単数)および/もしくは転移(複数)を処置するため、そして/または、癌、腫瘍、1つもしくはそれ以上の癌細胞またはそれらからもたらされる転移の発生、拡散または転移を減少させるかもしくは予防するために、使用され得る。例えば、処置は、原発性の腫瘍または癌、残存する最小の腫瘍、あるいは癌の疾患、再発および/もしくは転移またはその一部に向けられる。上記腫瘍または癌の処置は、補助処置としても、遂げられ得る。上記栄養補助食品、薬学組成物、炭水化物陽性微生物もしくはその部分またはそれらを含んでいる調合物は、炭水化物陽性陽性腫瘍の疾患、腫瘍または腫瘍細胞の予防においても使用され得る。例えば、予防的な使用は、腫瘍および転移を予防に向けられる。これらの抗腫瘍物質は、周知の方法に従って、または本明細書中の別の箇所において記載されるように、適当な形態で投与される。好ましい変形は、これらの抗腫瘍性の物質または薬物の、経口的、静脈内、体腔への局所的、例えば、腹腔内、直腸内、胃腸内の経路、局所的、例えば、腫瘍、器官またはリンパ管(結節内(intranodal))に直接、そして皮下、皮内または皮膚上、および筋肉内への、注射または投与である。好ましい様式において、投与のタイプは、組み合わされ得、その場合、本明細書中の別の箇所において詳細に記載されるように、投与が処置と異なる日または処置と同じ日に行われ得る。本発明によれば、2個以上の本発明の栄養補助食品、薬学組成物、炭水化物陽性微生物もしくはその部分またはそれらを含んでいる調合物を組み合わせることも可能であり、ならびにそれらと、同じ時または別の時に適切に投与されるかまたは適用される、1つ以上の薬物または腫瘍処置(例えば、抗体治療、化学療法または放射線療法)の1つまたはこれらとの組み合わせを組み合わせることもできる。
【0437】
上記癌、腫瘍、腫瘍細胞、癌細胞またはそれらからもたらされる転移は、耳鼻咽喉領域、肺、縦隔、胃腸管、泌尿生殖器系、婦人科系、乳房、内分泌系、皮膚、骨の癌性疾患または腫瘍疾患、および軟部組織肉腫、中皮腫、メラノーマ、中枢神経系の新生物、乳児期の癌性疾患または腫瘍疾患、リンパ腫、白血病、新生物随伴症候群、不明な原発腫瘍を有する転移(CUP症候群)、腹膜癌腫症(peritoneal carcinomatoses)、免疫抑制関連の悪性疾患および/または腫瘍転移の群から選択される。
【0438】
より具体的には、癌、腫瘍、腫瘍細胞、癌細胞またはそれらからもたらされる転移は、以下のタイプの癌:乳房、前立腺および結腸の腺癌;気管支に生じるすべての型の肺癌;骨髄癌、メラノーマ、ヘパトーム、神経芽細胞腫;パピローマ;アプドーマ、分離腫、鰓腫;悪性カルチノイド症候群;カルチノイド心疾患(carcinoid heart disease)、癌腫(例えば、ウォーカーカルシノーマ、基底細胞癌、鱗状基底(squamobasal)癌腫、ブラウンピァスカルシノーマ、腺管癌、エールリッヒ腫瘍、上皮内癌(in situ carcinoma)、癌−2カルシノーマ(cancer−2 carcinoma)、メルケル細胞カルシノーマ、粘液性癌(mucous cancer)、非小細胞気管支カルシノーマ(non−parvicellular bronchial carcinoma)、燕麦細胞癌、乳頭状癌、硬癌(scirrhus carcinoma)、気管支肺胞癌(bronchio-alveolar carcinoma)、気管支癌(bronchial carcinoma)、扁平上皮癌および移行上皮癌);組織球(histiocytic)機能障害;白血病(例えば、B細胞白血病、混合細胞型白血病、ヌル細胞型白血病、T細胞白血病、慢性T細胞白血病、HTLV−II関連白血病、急性リンパ性白血病、慢性リンパ性白血病、肥満細胞性白血病および骨髄性白血病に関連するもの);悪性組織球増殖症、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、孤立性形質細胞腫;細網内皮症、軟骨芽細胞腫;軟骨腫、軟骨肉腫;線維腫;線維肉腫;巨細胞腫;組織球腫;脂肪腫;脂肪肉腫;白血肉腫;中皮腫;粘液腫;粘液肉腫;骨腫;骨肉腫;ユーイング肉腫;滑膜性腫瘍;腺線維腫;腺リンパ腫;癌肉腫、脊索腫、頭蓋咽頭腫、未分化胚細胞腫、過誤腫;間葉腫;中腎腫、筋肉腫、エナメル上皮腫、セメント質腫;歯牙腫;奇形腫;胸腺腫、絨毛腫;腺癌、アデノーマ;胆管腫;コレステリン腫;円柱腫;嚢胞腺癌、嚢胞腺腫;顆粒膜細胞腫;半陰陽性卵巣腫瘍;汗腺腫;ランゲルハンス島細胞腫瘍;ライディッヒ細胞腫;パピローマ;セルトーリ細胞腫、卵胞膜細胞腫、平滑筋腫;平滑筋肉腫;筋芽細胞腫;筋腫;筋肉腫;横紋筋腫;横紋筋肉腫;上衣腫;節神経腫、神経膠腫;髄芽腫、髄膜腫;神経鞘腫;神経芽細胞腫;神経上皮腫、神経線維腫、神経腫、傍神経節腫、非クロム親和性傍神経節腫、被角血管腫、好酸球増加随伴性血管類リンパ組織増殖症;硬化血管腫(sclerotizing angioma);血管腫症;グロムス血管腫;血管内皮腫;血管腫;血管周囲細胞腫、血管肉腫;リンパ管腫、リンパ管筋腫、リンパ管肉腫;松果体腫;葉状嚢肉腫(cystosarcoma phylloides);血管肉腫;リンパ管肉腫;粘液肉腫、卵巣癌;肉腫(例えば、ユーイング肉腫、実験的に、カポジ肉腫およびマスト細胞肉腫);新生物(例えば、骨新生物、乳房新生物、消化系の新生物、結腸直腸新生物、肝臓新生物、膵臓新生物、下垂体新生物、精巣新生物、眼窩新生物、頭頚部の新生物、中枢神経系の新生物、聴覚器官、骨盤、気道および泌尿生殖管の新生物);神経線維腫症および頸部の扁平上皮細胞の異形成、および/またはこれらのうちのだれでもからもたらされる転移を含み得る。
【0439】
好ましい実施形態において、上記癌、腫瘍、腫瘍細胞、癌細胞またはそれらからもたらされる転移は、以下:耳鼻咽喉領域の腫瘍(鼻の内側(inner nose)、副鼻腔、鼻咽頭、唇、口腔、口腔咽頭部、喉頭、下咽頭、耳、唾液腺の腫瘍を含む)および傍神経節腫、肺の腫瘍(非小細胞気管支カルシノーマ、小細胞気管支カルシノーマ)の腫瘍を含む、縦隔の腫瘍、胃腸管の腫瘍(食道、胃、膵臓、肝臓、胆嚢および胆管、小腸の腫瘍、ならびに結腸癌および直腸癌および肛門癌を含む)、泌尿生殖器腫瘍(腎臓、尿管、膀胱、前立腺、尿道、陰茎および精巣の腫瘍を含む)、婦人科の腫瘍(子宮頸部、膣、外陰部の腫瘍、子宮癌、悪性トロホブラスト疾患、卵巣癌、卵管(Tuba Faloppii)の腫瘍を含む)、腹腔の腫瘍、乳癌、内分泌器官の腫瘍(甲状腺、副甲状腺、副腎皮質の腫瘍を含む)、内分泌の膵臓腫瘍、カルチノイド腫瘍およびカルチノイド症候群、多発性内分泌腫瘍症、骨および軟部組織の肉腫、中皮腫、皮膚腫瘍、黒色腫(皮膚黒色腫および眼球内黒色腫を含む)、中枢神経系の腫瘍、乳児期の腫瘍(網膜芽細胞腫、ウィルムス腫瘍を含む)、神経線維腫症、神経芽細胞腫、ユーイング肉腫腫瘍ファミリー、横紋筋肉腫、リンパ腫(非ホジキンリンパ腫、皮膚T細胞性リンパ腫、中枢神経系の原発性リンパ腫を含む)、ホジキン病、白血病(急性白血病、慢性骨髄性およびリンパ性白血病を含む)、形質細胞新生物、骨髄異形成症候群、新生物随伴症候群、不明な原発腫瘍による転移(CUP症候群)、腹膜癌腫症、免疫抑制関連の悪性疾患(カポジ肉腫などのAIDS関連の悪性疾患、AIDS関連のリンパ腫、中枢神経系のAIDS関連のリンパ腫、AIDS関連のホジキン病およびAIDS関連の肛門生殖器腫瘍を含む)、移植関連の悪性疾患、転移した腫瘍(脳転移、肺転移、肝臓癌、肝臓転移、骨転移、胸膜および心膜の転移を含む)および悪性腹水、ならびに/またはこれらのうちのだれでもからもたらされる転移、の群から選択される、本発明に記載の定義において炭水化物エピトープが陽性である、少なくとも1つの細胞、または好ましくはかなりの数の細胞またはより好ましくは大部分の腫瘍細胞を含む癌性疾患または腫瘍疾患の群から選択される。
【0440】
別の好ましい実施形態において、上記癌、腫瘍、腫瘍細胞、癌細胞またはそれらからもたらされる転移は、癌性疾患または腫瘍疾患(例えば、乳癌、胃腸癌(結腸癌(colon carcinoma)、胃癌、膵臓癌、結腸癌(colon cancer)、早期胃癌、小腸癌を含む)、卵巣癌、子宮頸癌、肺癌、前立腺癌、腎細胞癌、悪性黒色腫および/もしくは肝臓癌ならびに/またはこれらのうちのだれでもからもたらされる転移を含む群から選択される。
【0441】
さらに好ましい実施形態において、上記癌、腫瘍、腫瘍細胞、癌細胞またはそれらからもたらされる転移は、少なくとも1つの細胞、好ましくは、かなりの数の細胞、またはより好ましくは、大部分の腫瘍細胞を含む癌性疾患または腫瘍疾患の群から選択され、その疾患は、本発明による定義において炭水化物エピトープが陽性であり、乳癌、胃腸癌(結腸癌、胃癌、膵臓癌、結腸癌、早期胃癌、小腸癌を含む)、卵巣癌、子宮頸癌、肺癌、前立腺癌、腎細胞癌、悪性黒色腫および/もしくは肝臓癌、ならびに/またはこれらのうちのだれでもからもたらされる転移の群から選択される。
【0442】
別の好ましい実施形態において、本発明は、炭水化物エピトープ特異的免疫応答を誘導するかもしくは増強する方法および/または炭水化物エピトープ陽性疾患、癌、腫瘍、少なくとも1つの腫瘍細胞もしくは癌細胞、または炭水化物エピトープ陽性である少なくとも1つの細胞を含む、少なくとも1つの転移を予防するかもしくは処置する方法を提供する。
【0443】
さらに好ましい実施形態において、本発明は、炭水化物エピトープ特異的免疫応答を誘導するかもしくは増強する方法、および/または炭水化物エピトープ陽性疾患を予防するかもしくは処置する方法を提供し、ここで、個体は、乳癌、胃腸腫瘍(結腸癌、胃癌、膵臓癌、結腸癌、早期胃癌、小腸癌を含む)、卵巣癌、子宮頸癌、肺癌、前立腺癌、腎細胞癌、悪性黒色腫および/または肝臓癌ならびに/またはこれらのうちのだれでもからもたらされる転移を含む癌性疾患または腫瘍疾患の群から選択される癌、腫瘍、少なくとも1つの腫瘍細胞もしくは癌細胞または少なくとも1つの転移を有する。
【0444】
本発明の好ましい実施形態において、炭水化物エピトープに関連する疾患または炭水化物エピトープ陽性疾患は、胃腸障害、ホイップル病、関節炎、サルコイドーシス、敗血症または放射線骨壊死を含む群から選択される。
【0445】
胃腸障害は、好ましくは、機能性腸障害および炎症性腸疾患を含む群から選択され;ここで、炎症性腸疾患は、クローン病、回腸炎および/または潰瘍性大腸炎を含む群から選択され、機能性腸障害は、胃食道逆流、消化不良、過敏性腸症候群および/または機能性腹痛を含む群から選択される。本発明の文脈における胃腸管は、以下の構成成分:口(口腔前庭;唾液腺、粘膜、歯および舌を含む)、咽頭、食道および噴門、胃(幽門洞および幽門、腸(bowel)または腸(intestine)を含む):小腸(3つの部分:十二指腸、空腸、回腸を有する);大腸(3つの部分:盲腸(虫垂は盲腸に付属している);結腸(上行結腸、横行結腸、下行結腸およびS状結腸);直腸を有する)および/または肛門からなる。
【0446】
本発明の意味における炭水化物エピトープと関連する疾患は、自己抗体の形成、および有機体全体または器官系に対するそれらの損傷作用、すなわち、自己攻撃(autoaggression)に全体的または部分的に起因する疾患でもある。器官特異的、中間の(intermediary)および/または全身性の自己免疫疾患への分類が行われ得る。好ましい器官特異的自己免疫疾患は、橋本甲状腺炎、原発性粘液水腫、甲状腺中毒症(バセドウ病)、悪性貧血、アジソン病、重症筋無力症および/または若年性真性糖尿病である。好ましい中間の自己免疫疾患は、グッドパスチャー症候群、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性白血球減少症、特発性血小板減少性紫斑病、尋常性天疱瘡、交感性眼炎、原発性胆汁肝硬変(primary bile cirrhosis)、自己免疫性肝炎、潰瘍性大腸炎(colitis ulcerosa)および/またはシェーグレン症候群である。好ましい全身性自己免疫疾患は、関節リウマチ、リウマチ熱、全身性エリテマトーデス、皮膚筋炎/多発性筋炎、全身性進行性硬化症(progressive systemic sclerosis)、ウェゲナー肉芽腫症、結節性汎動脈炎(panarteritis nodosa)および/または過敏性血管炎である。代表的な自己免疫疾患は、甲状腺中毒症、甲状腺が原因の粘液水腫、橋本甲状腺炎、全身性内分泌障害(generalized endocrinopathy)、悪性貧血、慢性A型胃炎(chronic gastritis type A)、血液の単一またはすべての血球成分の疾患(例えば、自己免疫性溶血性貧血、特発性血小板減少性紫斑病または血小板症;特発性白血球減少症または顆粒球減少症)、尋常性天疱瘡および類天疱瘡、交感性眼炎および多くの形態のブドウ膜炎、原発性胆汁性(primarily biliary)肝臓肝硬変(liver cirrhosis)および慢性攻撃性(chronic aggressive)自己免疫性肝炎、I型糖尿病、クローン病および潰瘍性大腸炎、シェーグレン症候群、アジソン病、播種性エリテマトーデス(lupus erythematodes disseminatus)および皮膚筋炎および強皮症のような円板状の前記疾患、関節リウマチ(=主に慢性多発性関節炎)、抗糸球体基底膜腎炎である。その基礎は、自己測定基(self−determinants)に対する免疫寛容の崩壊およびサプレッサーT細胞(リンパ球マーカーT8を有する)の活性の低下またはサプレッサー細胞よりも過剰に多いヘルパーT細胞(リンパ球マーカーT4を有する)に起因する攻撃性の免疫反応であり;さらに、例えば、宿主タンパク質をハプテン(例えば、薬物)に結合させることによって、自己寛容が発達するまで発生しない個体発生組織によって、例えば、ウイルスまたは細菌による感染と連絡したタンパク質の構造変化の結果としてデマスキングされたタンパク質成分によって;および新形成と連絡して形成される新規タンパク質によって、自己抗原の形成が起き得る。
【0447】
本発明の意味における敗血症疾患は、病原性細菌の持続的なもしくは周期的な侵襲および/または疾患の病巣からのそれらのトキシン、ならびに全身のまたは局所の感染をもたらすリンパ−血液の経路における拡散、に起因する疾患である。
【0448】
本発明の意味における敗血症は、好ましくは、創傷敗血症(wound septicemia)
【化1】
血栓性静脈炎、リンパ管炎)、産褥性敗血症(産褥熱の場合におけるもの)、耳性敗血症(otogenic septicemia)(中耳炎の場合におけるもの)、扁桃原性(tonsillogenic)敗血症(アンギナ、扁桃周囲炎の場合におけるもの)、胆管炎性(cholangitic)敗血症(化膿性胆嚢炎、胆管炎の場合におけるもの)、門脈炎性(pylephlebitic)敗血症(門脈炎の場合におけるもの)、臍帯敗血症(umbilical septicemia)(臍炎などの場合におけるもの)、尿敗血症(urosepticemia)ならびに歯根肉芽腫である。本発明の意味における敗血症は、急性から高度に急性(激症)、亜急性(例えば、遷延性心内膜炎)または慢性であり得、当然のことながら、新生児敗血症でもあり得る。
【0449】
それゆえ、本発明の意味における敗血症は、間欠熱および感冒悪寒(cold chills)、脾臓腫瘍、骨髄もしくは血液の毒性反応または損傷(多形核白血球増加、貧血、溶血、血小板減少症)または心臓および血管運動神経における病原性の反応(頻拍、血液循環の中心化、浮腫、乏尿;あるいはショック)に関連し得るか、または消化管(乾燥、苔舌、下痢)におけるか、または膿敗血症(敗血症性梗塞および転移性膿瘍の形成を伴う膿血症)に関連し得る患者のすべての病原性の変化である。
【0450】
本発明の意味において、好ましい疾患としては:AIDS、ざ瘡、アルブミン尿(タンパク尿)、アルコール離脱症候群、アレルギー、脱毛症(脱毛)、ALS(筋萎縮性側索硬化症)、アルツハイマー病、老年性網膜黄斑変性(retinal mucosa senile degeneration)、貧血、サラセミア、不安症候群、炭疽(anthrax)(炭疽(milzbrand))大動脈硬化症、閉塞性動脈疾患、動脈硬化症、動脈閉塞、側頭動脈炎、動静脈瘻、喘息、呼吸不全、自己免疫疾患、椎間板ヘルニア(prolapsed intervertebral disc)、腹膜の炎症、膵癌、ベッカー筋ジストロフィ、良性前立腺肥大(BPH)、膀胱癌、血友病、気管支癌、乳癌、BSE、クラミジア感染、慢性疼痛、肝硬変、脳振とう(脳の振とう)、クロイツフェルトヤコブ病、腸の癌、腸結核、うつ、尿崩症、真性糖尿病、若年性真性糖尿病、糖尿病性網膜症、デュシェーヌ筋ジストロフィ、十二指腸癌、進行性筋ジストロフィ(dystrophia musculorum progressiva)、ジストロフィ、エボラ、湿疹、勃起不全、肥満、線維症、頸癌(cerrix cancer)、子宮癌、脳出血、脳炎、脱毛、片麻痺、溶血性貧血、血友病、尿失禁、ペットアレルギー(動物毛アレルギー)、皮膚癌、帯状疱疹、心筋梗塞、心不全、心臓弁膜炎、脳転移(cerebral metastases)、脳卒中、脳腫瘍、精巣癌、虚血、カーレル病(形質細胞腫)、ポリオ(灰白髄炎)、骨の粗化、結腸癌、接触性湿疹(contact eczema)、麻痺、肝臓肝硬変、白血病、肺線維症、肺癌、肺浮腫、リンパ節癌(ホジキン病)、リンパ肉芽腫症、リンパ腫、狂犬病(lyssa)、胃癌、髄膜炎、ムコビシドーシス(嚢胞性線維症)、多発性硬化症(MS)、心筋梗塞、神経皮膚炎、神経線維腫症、ニューロンの腫瘍、腎臓癌(腎細胞癌)、骨粗鬆症、膵臓癌、肺炎、多発性関節炎、多発ニューロパシー、性交能障害(potency disorders)、進行性全身性硬化症(PSS)、前立腺癌、直腸癌、胸膜炎、頭蓋脳外傷、膣の癌、静脈洞炎、食道癌、振せん、結核、腫瘍疼痛(tumor pain)、熱傷(burns)/熱傷(scalds)、中毒、ウイルス性髄膜炎、閉経、軟部組織肉腫、軟部組織腫瘍、脳血液循環障害、CNS腫瘍を含む。
【0451】
試験に向けて、健常なヒト志願者を用いた研究を行うべきであり、ここで、Core−1に対する血清抗体価は、栄養補助食品を初めて適用する前に、Core−1に対する既存の抗体応答を測定する液性免疫応答試験1〜6のうちの少なくとも1つを用いることによって測定され、好ましくは、ヒト治験のために、抗Core−1抗体レベルが無いか、または低い志願者を選択する。それらの志願者では、AG6もしくはMU1またはプラセボを含む栄養補助食品が、3〜30週間にわたって経口的に投与されるべきである。少なくとも2つの異なる投与量の経口適用が行われるべきである。栄養補助食品の経口投与を開始する前および開始後は適当な間隔で、液性応答試験1〜6および/または細胞性免疫応答試験1〜5のうちの少なくとも1つを用いることによる、Core−1に対する抗体および/またはT細胞応答を測定することによって免疫応答が追跡される。調合物が、所望の特性を有する場合、液性免疫応答試験1〜6のうちの少なくとも1つおよび/または細胞性免疫応答試験1〜5のうちの少なくとも1つにおいて陽性であることによって正に試験される試験の前の力価と比べて、栄養補助食品を投与された志願者群のかなりの数の志願者において、Core−1に対する抗体応答および/またはCore−1に対するT細胞応答の有意な増加がある。プラセボ群では、Core−1に対する抗体またはT細胞の応答の増加がより少ない頻度で観察されるか、またはの程度よりもより低く観察される。
【0452】
このことは、Core−1陽性腫瘍または転移の予防、減少のためにまたはそれらの拡散に対して、Core−1陽性癌細胞に対する防御あるいはその処置として機能する、Core−1に対する免疫応答を構築するための、ヒトにおける栄養補助食品の有効性を示す。
【0453】
治療的な潜在能力を試験するために、大きな腫瘍を除去するために手術を経験したCore−1陽性腫瘍を有するヒト免疫能のある癌患者を用いて研究が行われるべきである。次いで、薬学組成物を初めて適用する前に、Core−1に対する既存の抗体応答を測定するための液性免疫応答試験1〜6のうちの少なくとも1つを用いることによって、Core−1に対する血清抗体価を測定する。AG6もしくはMU1またはプラセボを含む薬学組成物を、経口的、腹腔内(intra peritoneally)または静脈内(intra venously)に、3〜70週間にわたって数回投与する。少なくとも2つの異なる適当な投与量の投与を行う。液性応答試験1〜6および/または細胞性免疫応答試験1〜5のうちの少なくとも1つを用いて、Core−1に対する抗体応答および/またはT細胞応答を測定することによって免疫応答が追跡され、そして/または、進行するまでの時間、腫瘍のない生存時間ならびに/または腫瘍の体積および/もしくは部位を測定することのよって臨床応答が追跡され、その各々は、薬学的(pharmeutical)組成物の投与を開始する前および開始した後は適切な間隔で行われる。本発明の調合物の投与群のかなりの数の志願者において、液性免疫応答試験1〜6のうちの少なくとも1つおよび/または細胞性免疫応答試験1〜5のうちの少なくとも1つにおいて陽性であることによって正に試験された研究の前の力価と比べて、Core−1に対する抗体応答および/またはCore−1に対するT細胞応答の有意な増加が観察され、そして/または、調合物を投与されたかなりの数の患者において部分的もしくは完全な臨床応答または進行するまでの時間もしくは生存時間の延長が観察される。プラセボ群では、Core−1に対する抗体応答またはT細胞応答の増加は、より少ない頻度で観察されるか、またはより低い程度でしか観察されず、そして/または臨床応答が全く観察されないか、もしくは有意に低い臨床応答しか観察されない。
【0454】
このことは、Core−1陽性腫瘍または転移の発生の予防、減少のためにまたはそれらの拡散に対して、Core−1陽性癌細胞に対する防御あるいはその処置として機能する、Core−1に対する免疫応答を構築するための、ヒトにおける薬学組成物の有効性を示し得る。
【0455】
生存している有機体(ヒト/動物)の体内でCore−1陽性微生物またはその部分と接触させることによって、かなりの数のヒトまたは動物においてCore−1、Core−1抗原またはCore−1陽性腫瘍細胞に結合する抗体の産生が開始され得る。
【0456】
驚いたことに、Core−1に対する抗体は、新たに生じる癌細胞に対する免疫学的監視メカニズムとして機能し得る。なおもさらに驚いたことに、Core−1および/または前記炭水化物エピトープを含んでいる、炭水化物構造、炭水化物結合体もしくは哺乳動物細胞に向けられたTh1型のCD4陽性T細胞の活性化および/またはCD8陽性細胞傷害性T細胞の活性化を含むCore−1特異的細胞性免疫応答は、かなりの数のヒトまたは動物において達成され得る。
【0457】
健常なヒト志願者を用いる研究において、TnまたはLewis−またはLewis−Yに対する血清抗体価は、栄養補助食品を初めて適用する前に、TnまたはLewisYに対する既存の抗体応答を測定する液性免疫応答試験1〜6のうちの少なくとも1つを用いることによって測定され得、好ましくは、ヒト治験のために、Tn抗体レベルまたはLewisY抗体レベルが無いか、またはより低い志願者を選択する。それらの志願者では、Tn陽性微生物もしくはLewis−Y陽性微生物またはプラセボを含む栄養補助食品が、3〜30週間にわたって経口的に投与される。少なくとも2つの異なる投与量の経口適用が行われる。栄養補助食品の経口投与を開始する前および開始後は適当な間隔で、液性応答試験1〜6および細胞性免疫応答試験1〜5のうちの少なくとも1つを用いることによる、TnまたはLewisYに対する抗体応答およびT細胞応答を測定することによって免疫応答が追跡される。適当な調合物の場合、液性免疫応答試験1〜6のうちの少なくとも1つおよび/または細胞性免疫応答試験1〜5のうちの少なくとも1つにおいて陽性であることによって正に試験される研究の前の力価と比べて、栄養補助食品を投与された志願者群のかなりの数の志願者において、TnもしくはLewisY対する抗体応答および/またはTnもしくはLewisYに対するT細胞応答の有意な増加がそれぞれ観察される。プラセボ群では、TnもしくはLewisYに対する抗体応答またはT細胞応答の増加が、より少ない頻度で観察されるか、またはより低い程度で観察される。細胞性免疫応答の誘導は、有効なTn特異的またはLewisY特異的な細胞性免疫応答の誘導を示唆する、それぞれTn特異的T細胞またはLewisY特異的T細胞(例えば、CD4陽性Th1細胞および/またはCD8陽性細胞傷害性T細胞)の活性化を特徴とする。
【0458】
このことは、Tn陽性腫瘍またはLewisY陽性腫瘍または転移の予防、減少のためにまたはそれらの拡散に対して、Tn陽性癌細胞またはLewisY陽性癌細胞に対する防御あるいはその処置として機能する、TnまたはLewis−Yに対する免疫応答を構築するための、ヒトにおける栄養補助食品の有効性を示し得る。
【0459】
Lewis−Y陽性腫瘍に罹患しているヒト免疫能のある癌患者に関する研究において薬学組成物を初めて適用する前に、Lewis−Yに対する既存の抗体応答を測定する液性免疫応答試験1〜6のうちの少なくとも1つを用いることによってLewis−Yに対する血清抗体価を測定する。
【0460】
患者は、大きな腫瘍を除去した後に、アジュバントの環境において処置される。Lewis−Y陽性細菌株またはプラセボを含む薬学組成物を、経口的、腹腔内または静脈内に、3〜70週間にわたって数回投与する。少なくとも2つの異なる適当な投与量の投与が行われる。液性応答試験1〜6および/または細胞性免疫応答試験1〜5のうちの少なくとも1つを用いることによる、Lewis−Yに対する抗体応答および/またはT細胞応答の測定によって免疫応答が追跡される。進行するまでの時間、腫瘍のない生存時間ならびに/または腫瘍の体積および/もしくは部位を測定することによって、臨床応答が追跡され、その各々は、薬学組成物の投与を開始する前および開始した後は、適切な間隔で行われる。本発明の調合物の投与群のかなりの数の志願者において、液性免疫応答試験1〜6のうちの少なくとも1つまたは細胞性免疫応答試験1〜5のうちの少なくとも1つにおいて陽性であることによって正に試験される研究の前の力価と比べて、Lewis−Yに対する抗体応答および/またはLewis−Yに対するT細胞応答の有意な増加が本調合物を投与されたかなりの数の患者において観察され、そして/または、部分的もしくは完全な臨床応答または進行するまでの時間もしくは生存時間の延長が本調合物を投与されたかなりの数の患者において観察される。
【0461】
誘導されたT細胞応答は、CD4陽性Th1T細胞および/またはCD8陽性細胞傷害性T細胞の活性化を含む有効なLewis−Y特異的細胞性免疫応答の特徴を示す。プラセボ群では、Lewis−Yに対する抗体応答またはT細胞応答の増加は、より少ない頻度で観察されるか、もしくはより低い程度で観察され、そして/または臨床応答がまったく観察されないか、もしくはより低い臨床応答が観察される。
【0462】
このことは、Lewis−Y陽性腫瘍もしくは転移の発生の予防、減少のためにまたはそれらの拡散に対して、Lewis−Y陽性癌細胞に対する防御あるいはその処置として機能する、Lewis−Yに対する免疫応答を構築するための、ヒトにおける薬学組成物の有効性を示す。
【0463】
生存している有機体(ヒト/動物)の体内でLewis−Y陽性微生物またはその部分と接触させることによって、かなりの数のヒトまたは動物においてLewis−Y、Lewis−Y抗原またはLewis−Y陽性腫瘍細胞に結合する抗体の産生が開始され得る。驚いたことに、Lewis−Yに対する抗体は、新たに生じる癌細胞に対する免疫学的監視メカニズムとして機能する。有効なLewis−Y特異的細胞性免疫応答の誘導によって、その患者内に残存しているかまたは新たに生じたLewis−Y陽性腫瘍細胞が死滅され得る。
【0464】
F)キット
本発明は、本明細書中の別の箇所において記載されるようにヒトまたは動物において炭水化物エピトープまたは炭水化物エピトープ陽性腫瘍細胞に対する特異的な液性免疫応答および/または細胞性免疫応答を誘導するためのキットにも関し、そのキットは、栄養補助食品または薬学調合物または炭水化物陽性微生物もしくはその部分あるいはそれらを含んでいる調合物(これらは本明細書中の別の箇所に記載されている)およびキットの使用についての情報を含んでいる。
【0465】
本発明は、本明細書中の別の箇所において記載されるようにヒトまたは動物において炭水化物エピトープまたは炭水化物エピトープ陽性の腫瘍細胞もしくは疾患細胞に対する有効な炭水化物特異的細胞性免疫応答を誘導するためのキットにも関し、そのキットは、栄養補助食品または薬学調合物または炭水化物陽性微生物もしくはその部分あるいはあるいはそれらを含んでいる調合物(これらは本明細書中の別の箇所に記載されている)およびキットの使用についての情報を含んでいる。
【0466】
本発明は、炭水化物エピトープ陽性の疾患または腫瘍、好ましくは、炭水化物エピトープ陽性腫瘍の発生を減少させるかまたは予防するためのキットにも関し、そのキットは、栄養補助食品または薬学調合物または炭水化物陽性微生物もしくはその部分または本明細書中の別の箇所に記載されているそれらの調合物あるいはそれらを含んでいる調合物およびキットの使用についての情報を含んでいる。
【0467】
本発明は、炭水化物エピトープ陽性疾患の拡散または腫瘍の転移、好ましくは、炭水化物エピトープ陽性腫瘍の転移を減少させるかまたは予防するためのキットにも関し、そのキットは、栄養補助食品または薬学調合物または炭水化物陽性微生物もしくはその部分または本明細書中の別の箇所に記載されているそれらの調合物あるいはそれらを含んでいる調合物、およびキットの使用についての情報を含んでいる。
【0468】
本発明は、炭水化物エピトープ陽性疾患または腫瘍、好ましくは、炭水化物エピトープ陽性腫瘍を処置するキットにも関し、そのキットは、栄養補助食品または薬学調合物または炭水化物陽性微生物もしくはその部分、または本明細書中の別の箇所に記載されているそれらの調合物、あるいはそれらを含んでいる調合物、およびキットの使用についての情報を含んでいる。
【0469】
本発明は、本明細書中の別の箇所に記載されているように免疫系を強化するかまたは免疫応答を改善するキットにも関し、そのキットは、栄養補助食品または薬学調合物または炭水化物陽性微生物もしくはその部分または本明細書中の別の箇所に記載されているそれらの調合物あるいはそれらを含んでいる調合物、およびキットの使用についての情報を含んでいる。
【0470】
上記キットは、キットの成分をどのように組み合わせるのかを記載している情報(使用記載書、インターネットアドレス)を含み得る。前記情報は、治療的なスキームにも関し得る。
【0471】
本発明は、炭水化物エピトープに対する本明細書中に記載される免疫応答試験のうちの少なくとも1つ、好ましくは、少なくとも2つ、より好ましくは、少なくとも1つの液性免疫応答試験および1つの細胞性免疫応答試験を含む、炭水化物エピトープに対する免疫応答を測定するためのキットにも関し、そのキットは、一致した免疫応答試験に記載されている物質の少なくとも1つおよびキットの使用についての情報を含んでいる。好ましい実施形態において、上記キットは、一致するコントロール、より好ましくは、栄養補助食品または薬学調合物または炭水化物陽性微生物もしくはその部分、または本明細書中の別の箇所に記載されているそれらの調合物、あるいはそれらを含んでいる調合物のうちの少なくとも1つをさらに含む。
【0472】
本発明は、炭水化物エピトープに対する少なくとも1つの機能的樹状細胞を産出するためのキットにも関し、そのキットは、栄養補助食品または薬学調合物または炭水化物陽性微生物もしくはその部分あるいはそれらを含んでいる調合物、およびキットの使用についての情報を含んでいる。
【0473】
好ましい実施形態において、炭水化物エピトープに対する少なくとも1つの機能的樹状細胞を産出するためのキットは、樹状細胞株(例えば、MUTZ−3またはNemod−DCが挙げられるがこれらに限定されない)に由来する未熟樹状細胞をさらに含む。
【0474】
本発明は、炭水化物エピトープに対する少なくとも1つの活性化T細胞、T細胞、T細胞クローンまたはT細胞株を産出するためのキットにも関し、そのキットは、栄養補助食品または薬学調合物または炭水化物陽性微生物もしくはその部分またはその調合物あるいはそれらを含んでいる調合物、およびキットの使用についての情報を含んでいる。
【0475】
本発明は、炭水化物陽性微生物、または少なくとも1つの炭水化物エピトープを有する分子もしくは構造を含む微生物の部分を分離するためのキットにも関し、そのキットは、少なくとも1つの炭水化物エピトープ特異的抗体または炭水化物結合分子およびキットの使用についての情報を含んでいる。
【0476】
本発明は、炭水化物陽性微生物または少なくとも1つの炭水化物エピトープを有する分子もしくは構造を含む微生物の部分を同定するためのキットにも関し、そのキットは、少なくとも1つの炭水化物エピトープ特異的抗体または炭水化物結合分子およびキットの使用についての情報を含んでいる。
【0477】
本発明は、炭水化物陽性微生物または少なくとも1つの炭水化物エピトープ陽性の分子もしくは構造を含む微生物の部分を同定するかもしくは分離するためのキット、または本発明の栄養補助食品および薬学組成物に対する成分として使用するのに適した炭水化物陽性微生物を同定するためのキットにも関し、そのキットは、少なくとも1つの炭水化物エピトープ特異的抗体または炭水化物結合分子およびキットの使用についての情報を含んでいる。
【0478】
好ましい(perferred)実施形態において、上記キットは、ポジティブコントロールとして、少なくとも1つの炭水化物陽性微生物、その溶解物または部分を含む。
【0479】
G)抗体産出のための方法
本発明は、目的の炭水化物エピトープを認識する抗体もしくは抗体組成物またはポリクローナル血清を産出するための方法も提供し、その方法は、
(a)上記栄養補助食品、薬学組成物、炭水化物陽性微生物またはその部分をヒトまたは動物と接触させる工程
(b)上記炭水化物エピトープおよび/または炭水化物エピトープ陽性腫瘍細胞を認識する液性免疫応答を誘導するか、または増強する工程
(c)前記抗炭水化物エピトープ抗体または抗体組成物を分離する工程
を包含する。
【0480】
1つの実施形態によれば、工程(c)において、前記抗炭水化物エピトープ抗体または抗体組成物を産生する少なくとも1つの細胞が産出される。前記最終工程(c)は、様々な方法、例えば、
(i)抗炭水化物エピトープ抗体を産生する少なくとも1つの細胞の不朽化、好ましくは、ハイブリドーマ技術において行われるような不朽細胞株との融合、または好ましくは、エプスタイン・バーウイルス(EBV)などの適当なウイルスによる感染、もしくはEBV由来のE1などの、細胞の不朽化をもたらす少なくとも1つの遺伝子の組換えトランスフェクションによって;または
(ii)上記抗炭水化物エピトープ抗体の少なくとも可変領域、または抗体の特異性に関与する抗炭水化物エピトープ抗体の少なくとも結合領域のペプチド配列の解析、および任意のアイソタイプの抗体全体もしくはそのフラグメントまたは抗炭水化物エピトープ抗体のフラグメントの融合タンパク質、あるいは少なくとも1つの他のアミノ酸またはポリペプチド配列を有する抗体全体として抗炭水化物エピトープ抗体をコードするDNAを用いた細胞の形質転換によって、
行われ得る。
【0481】
上記抗体を安定して産生することができる細胞が好ましく、その細胞とは、抗体を産生するために適当量のサイクルにわたって継代され得る(例えば、ハイブリドーマ細胞および別途不朽化された細胞が挙げられるがこれらに限定されない)か、または安定して組換え的に形質転換された細胞(例えば、CHO、NS0、SP2、Y0、PerC.6、Hec293が挙げられるがこれらに限定されない)であり得ることを意味する。しかしながら、COSもしくはHec293細胞またはB細胞における発現のような一過性の発現もまた、本発明の実施形態である。前記抗炭水化物エピトープモノクローナル抗体は、培養上清から分離され得る。本発明の好ましい実施形態において、抗炭水化物エピトープモノクローナル抗体を産生する前記細胞は、単一細胞のクローニングによって得られる。
【0482】
好ましい実施形態において、本発明は、抗炭水化物エピトープ抗体モノクローナル抗体またはそのフラグメントをコードするDNAなどの核酸を提供する。
【0483】
好ましい実施形態において、本発明は、抗炭水化物エピトープ抗体もしくは抗体組成物またはポリクローナル血清、抗炭水化物エピトープモノクローナル抗体もしくはその少なくとも1つのフラグメントを提供する。別の実施形態において、本発明は、抗炭水化物エピトープ抗体もしくは抗体組成物またはそれらの少なくとも1つのフラグメントを産生する細胞を提供する。さらに好ましい実施形態において、本発明は、トランスジェニックマウスからのヒト化抗体またはヒト抗体である、抗炭水化物エピトープモノクローナル抗体またはそのフラグメントを提供する。
【0484】
好ましい実施形態において、本発明は、上に記載されたような、抗炭水化物エピトープ抗体もしくは抗体組成物、抗炭水化物エピトープモノクローナル抗体またはそれらの少なくとも1つのフラグメントを産生する細胞を提供する。
【0485】
前記抗炭水化物エピトープ抗体は、本発明の意味において、ヒトまたは動物において目的の炭水化物エピトープおよび/または目的の炭水化物エピトープを有する腫瘍細胞を認識する誘導可能な任意の抗体であり得、好ましくは、本明細書中の定義または別の箇所において記載される結合性または特異性の基準を有する炭水化物エピトープ特異的抗体である抗体であり得る。
【0486】
前記炭水化物エピトープ抗体は、IgG、IgM、IgA、IgE、IgDなどの型、または当業者に公知の技術によってそれらから得られる任意のフラグメント(例えば、Fab、F(ab)2、一本鎖抗体、単一ドメイン抗体、マルチボディ(multibodies)、抗体融合タンパク質、二重特異性抗体(複数または単数)およびヒト化抗体またはキメラ化(chimaerized)抗体が挙げられるがこれらに限定されない)を有し得る。
【0487】
任意の動物またはヒトを、栄養補助食品、薬学組成物、炭水化物陽性微生物および/またはその部分と接触させ得、好ましいのは、ヒトおよびマウス、ラット、ウサギ、ヤギ、ラクダ、ニワトリ、ハムスター、モルモットまたはサルであり、ポリクローナル抗体血清に対する抗体応答をもたらすのに特に適当であると当業者に知られている動物(例えば、ウサギ、ヤギ、ラット、ヒト、チンパンジーおよびマウスが挙げられるがこれらに限定されない)およびモノクローナル抗体をもたらすのに特に適当であると当業者に知られている動物(例えば、マウス、ラット、ヒトが挙げられるがこれらに限定されない)がなおもさらに好ましく、ヒト抗体遺伝子の少なくとも一部を有するトランスジェニックマウスおよびヒトがさらに好ましい。
【0488】
接触させるとは、栄養補助食品、薬学組成物、炭水化物陽性微生物および/またはその部分を投与するための、目的の炭水化物エピトープに対する液性応答を誘導することができる本明細書中の別の箇所に記載されている任意の投与方法または投与経路のことを意味する。当業者に公知のさらなるアジュバントが、免疫原性を増大させるために使用され得る。経口投与および全身性投与、後者のなかでも静脈内(intra veneous)、皮内(intra dermally)または皮下の投与、さらに、腹腔内(intra peritoneal)投与が、好ましい。
【0489】
目的の炭水化物エピトープに対する液性免疫応答の誘導は、本発明の液性免疫応答試験において試験され得、液性免疫応答試験1〜6のうちの少なくとも1つが、本明細書中の別の箇所において記載されるように陽性でなければならず、好ましい実施形態において、血清、血漿または便から得られる前記抗体は、目的の炭水化物エピトープに対する抗体を産生する細胞(例えば、B細胞もしくは不朽化B細胞、または組換え的に抗炭水化物エピトープ抗体を発現する細胞)から得られる抗体も含む。これらの抗体は、当業者に公知の種々の方法において得ることができ、好ましい実施形態において、血液からの血清もしくは血清の画分、または適当な抗原(例えば、目的の炭水化物エピトープが陰性の微生物抗原、好ましくは、目的の炭水化物エピトープが陰性の微生物)に対して予め吸収された血清もしくは血清の画分、または抗体産生細胞からの抗体(例えば、全細胞上清または分画された細胞上清の形態の上に記載された抗体)、または精製抗体は、液性免疫試験1〜6のうちの少なくとも1つにおいて、血清、血漿または便から得られた前記抗体として使用される。
【0490】
定義
栄養補助食品
本発明によれば、用語「栄養補助食品」とは、ヒトまたは動物によって経口的に摂取され得る、任意の栄養分、栄養分の組成物または調合物のことを意味し、それらとしては、例えば、様々な形態(例えば、カプセル、錠、エマルジョン、粉末、液体であるがこれらに限定されない)で、ならびに、任意の食物もしくは飲み物の形態で、またはその一部として、経口的に適用され得る、栄養分、栄養添加物、食品添加物、食餌性のサプリメント、臨床的な食品もしくは栄養物、医療用の食品もしくは栄養物、経腸食品、医療用経腸栄養物、健康管理用の栄養物もしくは食品、特別な食餌性の用途のための食品、特定の健康用途の食品または機能性食品が挙げられるがこれらに限定されない。特別な場合において、栄養補助食品は、非経口的に供給され得る(非経口食物)。栄養補助食品は、単独で供給され得るか、または少なくとも1つの他の成分と混合され得る。単独での栄養補助食品または少なくとも1つの他の成分とのその混合物は、単独で供給され得るか、または食物もしくは飲み物に混合され得る。栄養補助食品という用語は、任意の食物、飲料、カプセル、錠、エマルジョン、粉末または液体のことも意味する。
【0491】
薬学組成物
本発明によれば、用語「薬学組成物」は、薬物もしくは医薬もしくは生物製剤として使用され得る任意の組成物のことを意味するか、または薬物もしくは医薬もしくは生物製剤の成分である。
【0492】
炭水化物陽性微生物
本発明によれば、用語「炭水化物陽性微生物」は、ヒト細胞または動物細胞由来の分子上に通常存在する炭水化物エピトープ(本明細書中の別の箇所において定義される)を特異的に認識する少なくとも1つの炭水化物結合分子と接触した際に認識され、そして結合される任意の微生物(mircoorganism)を意味する。好ましくは、この結合は、穏やかな過ヨウ素酸塩による処理、および/あるいは、炭水化物エピトープまたは炭水化物エピトープを含んでいる炭水化物構造の、部分的もしくは完全な化学的または酵素的な除去または変更、および/あるいは、前記炭水化物エピトープを認識する適当量の別の炭水化物結合分子による炭水化物結合分子の結合の阻害、および/あるいは、炭水化物結合分子を用いた結合研究中に微生物とともにインキュベートされるときの、適当量の炭水化物エピトープ、または前記炭水化物エピトープを含む分子、分子の混合物もしくは細胞による炭水化物結合分子の結合の阻害、によって阻害され得る。化学的または酵素的な処理(例えば、過ヨウ素酸塩による処理)後にだけ目的の炭水化物エピトープを露出する微生物もまた、用語「炭水化物陽性微生物」に含まれる。それ故、前記微生物は、前記処理後に、少なくとも対応する炭水化物結合分子と接触する際に、認識され、そして結合される。
【0493】
炭水化物陽性微生物は、任意の微生物であり得、それらとしては、例えば、細菌、ラン藻類、真正細菌、藻類、真菌(キノコ、酵母、黒穂病菌(smuts)、カビなど)、ウイルスおよび原生動物が挙げられるがこれらに限定されず、好ましいのは、細菌の微生物(例えば、土壌、植物、動物、ヒトまたは他の高等生物(例えば、ネコ、イヌ、ブタ、ウシ、ヤギ、ウサギ、マウス、チンパンジー)から分離された微生物が挙げられるがこれらに限定されない)である。好ましい実施形態において、炭水化物陽性微生物は、ヒトの胃腸系が起源である微生物である。
【0494】
炭水化物結合分子
本発明によれば、炭水化物結合分子という用語は、ある特定の炭水化物構造を認識するか、またはある特定の炭水化物に応じてそのエピトープに結合する分子のことを意味し、それらとしては、例えば、炭水化物特異的なモノクローナル抗体およびポリクローナル抗体、レクチンおよびセレクチンならびに/またはそれら由来の分子が挙げられるがこれらに限定されない。好ましくは、前記炭水化物結合分子は、ヒト細胞または動物細胞上に存在する炭水化物エピトープ(例えば、腫瘍マーカー)を特異的に認識する。「ヒト」炭水化物エピトープに特異的である各々の炭水化物結合分子を用いることによって、目的の炭水化物エピトープと同一であるか、または模擬の構造を有する(caryying)炭水化物陽性微生物が分離され得、それは、前記炭水化物結合分子(好ましくは抗体である)の結合によって測定され得る。適当な炭水化物結合分子の例は、例えば、表2に記載されている。
【0495】
前記炭水化物特異的抗体は、任意の動物またはヒト由来の全抗体(例えば、マウス、ラット、ヒト、ラクダ、ヒト化もしくはキメラの、IgM、IgG、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA、IgE、IgD)または炭水化物に対する結合特異性または結合依存性を含む限り抗体の任意のフラグメント(例えば、Fab、F(ab)2、一本鎖Fvまたは単一ドメイン抗体)であり得る。それらの抗体は、少なくとも1つのさらなるアミノ酸または変異またはポリペプチド配列(例えば、タグ、リンカーまたは多量体化ドメイン)も含み得、それらは、動物以外の他の起源、植物、および、例えば、ファージディスプレイもしくはリボソームディスプレイを使用するかまたは組換え構築による合成抗体ライブラリーからの選択物にも由来し得る。
【0496】
炭水化物エピトープ
本発明によれば、用語「炭水化物エピトープ」とは、炭水化物結合分子と接触した際に結合する構造のことを意味する:
前記炭水化物エピトープは、前記炭水化物結合分子によって結合される炭水化物部分に匹敵し得るか、または、炭水化物エピトープは、炭水化物結合分子によって結合される炭水化物部分を含み得る。さらに明らかにするために、例えば、(i)前記炭水化物エピトープは、四糖LewisYに匹敵し得、その4つすべての炭水化物ユニットは、炭水化物結合分子であるモノクローナル抗体A70−C/C8の結合に必要であるか、または、前記炭水化物エピトープは、炭水化物結合分子であるモノクローナル抗体A46−B/B10に対する結合特異性の最低の必要条件であり、Lewis Yの四糖にも結合する三糖H型2を含むLewisYでもあり、そして/または(ii)前記炭水化物エピトープは、炭水化物分子によって結合される炭水化物部分に匹敵するが、それは、異なって連結される(例えば、α結合の代わりにβ結合もしくはその逆が挙げられるがこれらに限定されない)か、または異なる炭水化物原子を介して連結される、が挙げられるがこれらに限定されない。
【0497】
炭水化物エピトープという用語は、炭水化物抗原のことも意味し得、炭水化物抗原は、炭水化物エピトープと同じであり得るか、または例えば、ペプチドの部分/一部に加えて本明細書中の別の箇所に記載される炭水化物エピトープを含む任意の構造であり得る。
【0498】
炭水化物エピトープは、炭水化物構造または炭水化物に模擬の構造(例えば、炭水化物とは異なる化学構造であるが、本発明の炭水化物結合分子によって認識され得るので免疫化学的に類似または同一の特性を有する立体配座構造を有する、ポリペプチド、ペプチド、脂質もしくは炭水化物またはそれらの組み合わせ)からなり得る。
【0499】
炭水化物エピトープは、他の生体分子に連結され得るか、または、その一部であり得る(例えば、多糖類、ペプチドグリカン、糖タンパク質、糖ペプチド、糖脂質、リポ多糖類、グリコサミノグリカン、カプセル状の多糖類またはO−抗原であるがこれらに限定されない)。
【0500】
炭水化物エピトープは、様々なリンカーおよび様々な密度によって、天然もしくは合成のキャリア(例えば、ポリアクリルアミド(本明細書中でPAAとも呼ばれる)または他の分子(例えば、クロマトグラフィのベッド物質(例えば、セファロース)、ビオチンまたはタンパク質(例えば、ウシ血清アルブミン(BSA)、オボアルブミン(Ova)、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)、トキシン、トキソイド、Tヘルパーエピトープ)にも連結され得る。
【0501】
炭水化物エピトープは、ヒト細胞もしくは動物細胞由来の炭水化物エピトープが起源であるか、またはその炭水化物エピトープに相当し(例えば、模擬の)、細胞表面上または細胞内に存在し得るか、またはヒト細胞もしくは動物細胞によって分泌され得る。好ましくは、前記炭水化物エピトープは、疾患マーカー、例えば、腫瘍マーカーである。
【0502】
有効な炭水化物特異的細胞性免疫応答(ECSCIR)
本発明によれば、用語「有効な炭水化物特異的細胞性免疫応答」とは、好ましくは以下の特徴を示す炭水化物エピトープを含む免疫原の投与によって誘導される細胞性免疫応答のことを意味する:
(i)上記免疫応答は、炭水化物エピトープに対するものであり、上記免疫応答が、炭水化物特異的であるか、または炭水化物もしくは炭水化物の利用可能性に依存し、その炭水化物エピトープに対する免疫応答が、前記炭水化物エピトープを含んでいる、少なくとも1つの炭水化物構造、炭水化物結合体および/もしくは哺乳動物細胞に対する免疫応答であり得るか、またはその免疫応答を含み得ることを意味し、
(ii)上記免疫応答は、MHC依存型であり、
(iii)上記免疫応答は、Th1型のCD4陽性T細胞の活性化を含むTh1型免疫応答を含み、そして/または
(iv)CD8陽性細胞傷害性T細胞の誘導
好ましくは、Th1型のCD4陽性T細胞の活性化およびCD8陽性細胞傷害性T細胞の誘導である。
【0503】
Th1型免疫は、本明細書中に開示されるような細胞性免疫応答試験または当業者に公知の技術(例えば、増殖アッセイ、ELISA、ELISpotまたはフローサイトメトリーが挙げられるがこれらに限定されない)によって測定され得る、T細胞の増殖、そしてサイトカインであるIFNγおよび/またはTNFαならびにGM−CSFの分泌を特徴とする。
【0504】
CD8陽性細胞傷害性T細胞の誘導は、本明細書中に開示されるような細胞性免疫応答試験または当業者に公知の技術によって測定され得る。
【0505】
細胞性免疫応答の炭水化物特異性は、炭水化物エピトープ、好ましくは、T細胞応答のプライミングに対して使用されるものとは異なる、キャリア上の炭水化物エピトープ(例えば、炭水化物エピトープまたは炭水化物エピトープを有するタンパク質もしくはペプチドを発現している細胞からの溶解物または部分が挙げられるがこれらに限定されない)を用いた活性化T細胞の再刺激によって(微生物上の炭水化物エピトープを用いてプライミングする場合)、ならびに/あるいは、炭水化物結合分子および/もしくはMHCクラス特異的抗体を用いた、増殖および/またはサイトカイン分泌の遮断によって、測定され得、好ましくは、細胞性免疫応答の炭水化物特異性は、T細胞応答のプライミングに使用されるものとは異なる、キャリア上の炭水化物エピトープを用いた活性化T細胞の再刺激によって、および炭水化物結合分子を用いた増殖またはサイトカイン分泌の遮断によって、測定される。
【0506】
炭水化物陽性微生物の部分
本発明によれば、炭水化物陽性微生物の部分という用語は、前記微生物の一部(例えば、細胞壁調製物、エンベロープ調製物、溶解物、リポ多糖(lipopolysaccharid)調製物、カプセル調製物またはカプセル多糖調製物が挙げられるがこれらに限定されない)の調製または精製のことを意味する。それらは、炭水化物エピトープおよび/または最適な抗原を認識する前記炭水化物結合分子の少なくとも1つによって結合される前記炭水化物陽性微生物の少なくとも1つの炭水化物陽性成分を含む。少なくとも1つの炭水化物陽性微生物からの調製工程、精製工程および/または調製工程もしくは精製工程によってそれらを得ることができる。前記調製物および/または精製物は、上に記載されたような当業者に公知の方法、または例えば、1回または連続的な細胞の分画、フェノール水抽出、エーテル抽出、リゾチーム消化またはクロマトグラフィ法もしくはそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない方法によって得ることができる。さらに、炭水化物陽性微生物の部分という用語は、本発明の炭水化物陽性微生物上にも見られる、人工的に(artifically)産出された炭水化物陽性成分も含む。
図19は、例えば、いくつかのCore−1陽性成分、Core−1陽性微生物の部分(そこでは:AG6)を示している。Core−1陽性微生物AG6のこれらのCore−1陽性成分/部分は、化学的にも産出され得る。炭水化物陽性成分またはその炭水化物陽性成分を含んでいる部分は、試験システム(例えば、当業者に公知である、ELISA、フローサイトメトリー、免疫蛍光またはドットブロットが挙げられるがこれらに限定されない)において、少なくとも1つの炭水化物結合分子に上記部分を結合させることによって、検出される。本発明の好ましい実施形態において、炭水化物陽性成分を含む部分は、少なくとも1つの炭水化物特異的な抗体を用いたアフィニティークロマトグラフィによって得られる。好ましい実施形態において、1回の調製工程または精製工程が使用される。別の好ましい実施形態において、少なくとも2回の調製工程および/または精製工程の組み合わせが使用される。
【0507】
炭水化物陽性成分
本発明によれば、炭水化物陽性成分という用語は、少なくとも1つの炭水化物特異的抗体または炭水化物結合分子と接触した際にそれらによって結合される炭水化物陽性微生物の任意の成分のことを意味する。前記炭水化物陽性成分は、天然の分子の形成において利用され得る、本明細書中の別の箇所で定義されているかまたは記載されているような炭水化物エピトープを含んでいる少なくとも1つの炭水化物構造(それは、微生物の一部(例えば、ペプチド、オリゴペプチド、ポリペプチド、脂質、セラミド、炭水化物、リポタンパク質、多糖、オリゴ糖、多糖、プロテオグリカンまたは糖タンパク質)である)を含んでいるか、または前記天然分子の一部としてもしくは単独で含んでいる。その炭水化物陽性成分は、炭水化物陽性微生物の部分自体として本発明の意味において使用され得るか、または他の非天然キャリア構造(例えば、タンパク質、脂質、ポリアクリルアミドなどの化学的な分子が挙げられるがこれらに限定されない)に結合され得る。好ましくは、それは、その天然の形態で使用されるか、または前記天然分子の一部として使用される。炭水化物陽性成分は、単一の炭水化物エピトープもしくは複数の炭水化物エピトープまたは前記構造の繰り返し単位を有する1つもしくは異なる糖鎖タイプを含み得、さらなる炭水化物構造もしくは炭水化物単位または他の生体分子構造を含み得る。本明細書中の別の箇所において記載されるように、炭水化物エピトープは、少なくとも1つの炭水化物特異的な抗体または結合分子によって結合され得、そして/または炭水化物に対する免疫応答を誘導し得、炭水化物に対する液性免疫応答を優先的に誘導し得、そしてより好ましくは、前記炭水化物に対する有効な細胞性免疫応答を誘導し得、炭水化物に対する液性免疫応答および炭水化物に対する有効な細胞性免疫応答をなおもさらに優先的に誘導し得る構造である、炭水化物に模擬の構造であり得るか、またはそのような構造を含み得る。
【0508】
天然分子
本発明によれば、用語「天然分子」とは、少なくとも1つの生存している生物もしくは死亡した生物(例えば、プリオン、ウイルス、微生物、原生動物、細菌、藻類、真菌、植物、動物、ヒトが挙げられるがこれらに限定されない)上に存在するか、またはその有機体によって産生される任意の生体分子またはその一部のことを意味する。
【0509】
天然分子は、有機体全体(例えば、微生物またはウイルス)として使用され得るか、または天然の供給源から分離され得るか、もしくは、それが天然に存在するときの構造と同じ構造で正確に合成され得る。
【0510】
好ましくは、天然分子は、その組み合わせで有機体上に存在せず、かつ、天然もしくは合成のキャリア(例えば、タンパク質、ペプチド、KLH、OVA、BSA、トキシン、トキソイド、Tヘルパーエピトープ、ビオチン、PAA、ビーズ、ナノ粒子またはクロマトグラフィベッド物質)に結合されていないか、または結合体化されていない生体分子またはその一部の組み合わせではない。
【0511】
限定する意図はないが、本発明は、以下の実施例を参照してより詳細に記載される。
【実施例】
【0512】
実施例1 嫌気性培養の技術および培地
細菌の培養において使用される嫌気性の技術は、BreznakおよびCostilowによって要約されている先に報告された方法に基づいた。還元剤としてシステイン・HClを用いて調製した培地を、嫌気性培養チューブ(Ochs,Bovenden,Germany)またはガラス血清瓶に分注し、容器の総容積の約2分の1から3分の1の容積が気体の空間となるようにし、ブチルゴムの栓で密閉した。還元剤なしで調製した溶液(例えば、PBS−a)を分注前に煮沸した。オートクレーブの前に、気相をN
2/CO
2(80/20,v/v)で置換した。これを達成するために、ブチルゴムの栓をしたビンに針を突き刺し、真空ポンプ(Vacuubrand,Wertheim,Germany)を用いてその瓶を排気した。排気後、瓶をプロセス全体にわたって繰り返し振盪させながら、N
2/CO
2(80/20,v/v)を供給した。この気体を抜く手順および供給する手順を、全部で3回行った。その気体混合物を、容器に入れる前に熱パラジウム触媒の上を通過させて、その気体混合物中に残留する微量の酸素を除去した。リザズリン(1mgl
−1)をレドックス指示薬として用いた。
【0513】
プレーティング用の培地を層流フードの下で注ぎ、そして使用する前に少なくとも24時間無酸素条件下で保存した。これを、3.5 I AnaeroGen(Oxoid,Basingstoke,England)を備えている、またはN
2/CO
2/H
2(80/10/10,v/v/v)が繰り返し流されている嫌気性チャンバーエアロック(Don Whitley Scientific,Shipley,England)を含んでいる加圧(1.5×10
5Pa)嫌気性ジャーにおいて行った。サンプルの操作は、嫌気性チャンバー(MACS気圧可変ワークステーション,Don Whitley Scientific,Shipley,EnglandまたはCoy Laboratory Products,Grass Lake,USA)において行った。
【0514】
未滅菌の溶液および物質をオートクレーブ(121℃,1.2×10
5Pa,15分)によって滅菌した。熱不安定性の化合物は、milli−Q水中の富化原液として産出し、フィルター滅菌し(0.22μm,混合セルロースエステル,Roth,Karlsruhe,Germany)、必要な濃度で培地に加えた。
【0515】
実施例2 core−1陽性微生物の親和性富化
2.1 TF1およびTF2でコーティングされたDynabeads(登録商標)の調製
100μlの体積のDynabeads(登録商標)(M−450 Rat Anti−Mouse IgM,Dynal Biotech ASA,Oslo,Norway)の各々を2mlのSafe−Lock Eppendorfチューブ(Eppendorf,Hamburg,Germany)に入れ、Dynal Magnetic Particle Concentrator(登録商標)−S(MPC(登録商標)−S,Dynal Biotech,Oslo,Norway)を用いて2mlのリン酸緩衝化食塩水a(PBS−a:8.1gl
−1NaCl、0.16gl
−1NaH
2PO
4・H
2O、0.98gl
−1Na
2HPO
4・2H
2O、1gl
−1BSA,pH7.4)で2回洗浄し、そして25μlのPBS−aに懸濁した。凍結乾燥されたTF1またはTF2細胞培養上清を1mlのmilli−Q合成グレード水(Millipore,Billerica,MA,USA)に溶解した。溶解されたTF1またはTF2細胞培養上清(1ml)を、Dynabeads(登録商標)の入ったチューブに加え、試験管回転装置(モデル34528,Snijders Scientific,Netherlands)上で4℃において30分間インキュベートした。チューブをMPC(登録商標)−Sに置き、3分間静置した後、ピペットを用いて流体を除去した。そのDynabeads(登録商標)を2mlのPBS−aに再懸濁し、MPC(登録商標)−Sに置き、そして流体をピペッティングで除去した。この洗浄工程を3回行った。洗浄されたDynabeads(登録商標)をその初めの容積である100μlのPBS−aに懸濁した。この様式で調製されたDynabeads(登録商標)を、2mlのPBS−aでの3回の洗浄工程を繰り返した後、すぐに、または調製の2週間以内に、使用した。
【0516】
2.2 Dynabeads(登録商標)富化にむけての便サンプルの回収および処理
8人の志願者(表3)の便サンプルを有孔のプラスチックチューブに回収し、AnaeroGen Compact(Oxoid,Basingstoke,England)を用いて無酸素条件下において維持し、そして処理の前に最大で4時間4℃で保存した。志願者は、サンプリング日の前の少なくとも3ヶ月間、抗生物質を投与されておらず、通常の食事を消費していた健常成人であった。
【0517】
【表3】
便サンプルの10倍(w/v)希釈をPBS−b(PBS−b:8.5gl
−1NaCl、0.3gl
−1KH
2PO
4、0.6gl
−1Na
2HPO
4,pH7.0含有0.1gl
−1ペプトンおよび0.25gl
−1システイン・HCl)において調製した。6つの無菌の直径3mmガラスビーズを加え、その希釈サンプルを低速でボルテックスすることによってホモジナイズした。そのホモジナイズしたサンプルを遠心して(300×g,1分,21℃)、残屑を沈降させた。得られた上清の200μlを1.8mlのPBS−bに加えることにより、元の便サンプルの約100倍希釈を得た。これらの希釈物を2mlのPBS−bで1回洗浄し(8000×g,5分,21℃)、ペレットを2mlのPBS−bに懸濁した。
【0518】
2.3 Dynabeads(登録商標)富化手順
100倍希釈物からの20μlを、180μlのPBS−aおよびTF1抗体またはTF2抗体でコーティングされた5μlのDynabeads(登録商標)を含む2mlのチューブに加えた。そのチューブを試験管回転装置上で4℃において30分間インキュベートした。そのチューブをMPC(登録商標)−Sに置き、3分間静置した後、できるだけ多くの上清を、シリンジおよび針を用いた吸引により除去した。そのサンプルを2mlのPBS−aで3回洗浄し、再度できるだけ多くの上清を除去した。
【0519】
2.4 選択培地および非選択培地上へのプレーティング
洗浄されたサンプルを1mlのPBS−bに懸濁し、100μlのアリコートを様々な選択培地および非選択培地(表4)上にスプレッドプレーティングし(spread−plated)、嫌気性チャンバー内において37℃で48時間インキュベートした。
【0520】
【表4】
製造者の指示に従って固形培地を調製した。ST寒天の組成は、以下のとおりであった:1gl
−1プロテオースペプトン、9gl
−1肉由来ペプトン、3gl
−1NaCl、2gl
−1Na
2HPO
4・2H
2O、3gl
−1肉抽出物、4gl
−1酵母抽出物、6gl
−1D(+)−グルコース、0.5mll
−1Tween80、0.25gl
−1システイン・HCl、1mgl
−1リザズリン、0.1gl
−1MgSO
4・7H
2O、5mgl
−1FeSO
4・7H
2O、0.5gl
−1、3.4mgl
−1MnSO
4・2H
2O、1.5gl
−1細菌学的寒天,pH7.0。
【0521】
被験体1〜4に対しては、1回の富化手順からのコロニーをELISAベースのスクリーニングにむけて選択した。被験体5〜8に対しては、Dynabeads(登録商標)富化手順を以下のとおり2回繰り返した:48時間のインキュベーションの後、コロニーをプレートからかき取り、McFarland濁度基準3〜5の範囲内でPBS−bに懸濁した((13)におけるように調製)。前述同様、この懸濁液の20μlのアリコートを180μlのPBS−aに加えた。富化手順およびプレーティング手順を、先に記載したように全部で3回行った。
【0522】
さらに4人の被験体(5AB、6MU、7LHおよび8CA)の便サンプルをCore1陽性細菌について富化した。その富化手順は、富化を全部で3回行ったという点をわずかに改変した。すなわち、最初の分離後に得られたコロニーをプレートからかき取り、さらなる富化に供した。この様式で60個の新しい分離菌を得た。
【0523】
実施例3 分離菌の同定
3.1 生化学
VITEKシステム(Biomerieux,Marcy l’Etoile,France)を用いて細菌を同定した。製造者の指示書に従って細菌を調製し、使用した同定カードは以下のとおりであった:嫌気性分離菌およびMRSブロス中で生育することができる通性(faculatively)嫌気性グラム陽性桿菌(lactobacilliと疑われる)に対するANIカード、グラム陽性分離菌に対するGPIカード、およびグラム陰性好気性分離菌に対するGNI+カード。
【0524】
VITEKシステム(Biomerieux,Marcy l’Etoile,France)を用いて得られた分離菌の生化学的な性質を表5にまとめた。嫌気性分離菌AG6、MU(1、3−5)およびAB12はすべてBacteroides fragilis群に属する一方で、好気性分離菌はすべてEnterobacteriaceaeのメンバーである;両方が、グラム陰性である。
【0525】
【表5】
3.2 分子(配列測定)
Invisorb Genomic DNA Kit III(Invitek,Berlin,Germany)をプロトコルIIIBに対する製造者の指示に従って使用して、液体培養物から得た洗浄細胞ペレット(1mlの溶解緩衝液Dに懸濁したもの)からDNAを抽出した。プライマー27f(5’AGAGTTTGATCCTGGCTCAG)および1492r(5’TACCTTGTTACGACTT)(10)を用いて、細菌16SリボソームRNA遺伝子を増幅した。
【0526】
各PCRを3つ組で行い、その反応混合物(50μl)は:50mM KCl、20mM Tris−HCl、1mM MgCl
2、0.25mM各dNTP、1μM各プライマー、2.5単位TaqDNAポリメラーゼ(Invitrogen,Karlsruhe,Germany)および1μlの鋳型DNAを含んでいた。PCRプログラムは:94℃5分、そして94℃1分、55℃1分および72℃1分を30サイクル、最後に72℃10分であった。High Pure PCR Product Purification Kit(Roche,Indianapolis,USA)を製造者の指示に従って使用して、PCR産物を精製した。その産物を、Tris−酢酸−EDTA緩衝液(4.84gl
−1Tris、1.142mll
−1氷酢酸 0.372gl
−1EDTA,pH8.0)中の1%アガロースゲル(w/v)における電気泳動で解析した。Low DNA Mass Ladder(Invitrogen,Carlsbad,USA)を用いて、DNA濃度を推定した。
【0527】
配列測定するために、本発明者らは、プライマー27f、338f(5’GCTGCCTCCCGTAGGAGT)(2)、338r(5’ACTCCTACGGGAGGCAGC)、968f(5’AACGCGAAGAACCTTAC)(14)または1492rのいずれかを用いた。DYEnamic(商標)ET Dye Terminator Cycle Sequencing Kit(Amersham Biosciences,Little Chalfont,England)を製造者の指示に従って使用して、シークエンシング反応を行った。MegaBACE 1000 System(Molecular Dynamics,Sunnyvale,USA)を用いて、シークエンシング産物を解析した。Vector NTI Suite 9.0.0(Invitrogen,Carlsbad,USA)のContigExpress機能を用いて、配列を構築し、手作業で調整した。続いて、それらの配列を、National Center for Biotechnology Information(NCBI)(1)のBLAST関数を用いて得られた高度に類似の配列(92%類似またはそれ以上)とアラインメントした。Ribosomal Database ProjectのBioeditソフトウェアバージョン5.0.9またはSimilarity Matrixバージョン1.1のSequence Identity Matrix関数を用いて、明確にアラインメントされた配列から、類似度のパーセンテージを計算した。配列測定の結果は、16SrRNA遺伝子配列測定サービス会社(AMODIA,Braunschweig,Germany)から得られた配列と比較することによって確かめた。
【0528】
上記分離菌の同定結果を表6に示し、分離菌AG6、MU1、それらの最も近縁のもの、およびE.coli ATCC11755型の株の配列に基づいた無根系統樹を
図1に示す。
【0529】
【表6】
3.3 ランダム増幅多型DNA(RAPD)
Dynabead(登録商標)の富化手順を繰り返すことによって得られたいくつかのCore1陽性分離菌は、異なる培地から分離されたにも関わらず、それらの細胞およびコロニーの形態が非常に類似しているように見えた。それらの株は、VITEKシステムを用いて得られた生化学的なプロファイルに関しても類似していた。そこで、それらの分離された細菌は同一の株ではないのかという疑問が生じた。RAPDは、株を区別するために適用することができる、配列情報を必要としない方法である。簡潔には、低ストリンジェンシーにおいて10塩基対のプライマーを用いて全ゲノムDNAをPCR増幅すると、標的DNA中に存在する、プライマーと相同な配列に基づいてDNAのランダムな配列が増幅される。得られたPCR産物をアガロースゲル電気泳動で分離し、そして得られたパターンを株間で比較する。すべてのLH株に対して得られたバンドパターンが、使用した5つのRAPDプライマー(OPL07、M13、OPX14、OPA16、OPA18)について類似していた。そのパターンは、血液型B活性を有すると報告されている株であるE.coliのDSMZ8697株のパターンとは明らかに異なっていた(
図2a)。MU株も、非常に良く似ているように見える(
図2b);しかしながら、それらのバンドパターンは、AG6を含む他のBacteroides株のパターンと明らかに異なっていた。1つのCore1陽性株が、分離プロセス中に各陽性ドナーから繰り返し富化されたとみられる。分離された株は、個体間で異なっていた。
【0530】
実施例4 ELISAベースのスクリーニング用の細菌の増殖および固定
十分に離れているコロニーを選択寒天プレートおよび非選択寒天プレートからランダムに拾い、非選択培地上に3回再画線した。シングルコロニーを拾い、最良の増殖がもたらされるものに応じて、ST(上記の通り、寒天を除いたもの)、WCまたはMRSブロスに接種し、37℃で一晩増殖させた。これらの培養物を300mlの新鮮ST、WCまたはMRSブロスに接種し(1%)、37℃で一晩増殖させた。細胞をペレットにし(8000×g,15分,4℃)、10mlのPBS−c(8gl
−1NaCl、0.2gl
−1KCl、1.44gl
−1Na
2HPO
4、0.24gl
−1KH
2PO
4)(12)に再懸濁した。この懸濁液を、PBS−c中の30mlの4%パラホルムアルデヒド(PFA)溶液((8)に従って調製したもの)を加えることによって4℃で3〜4時間固定した。次に、サンプルを40mlのPBS−cで洗浄し(8000×g,15分,4℃)、ペレットを15mlのPBS−cに懸濁した後、等体積の96%氷冷エタノールを加えた。サンプルを解析するまで−20℃で保存した。
【0531】
細胞の形態ならびにグラム染色挙動を比較することによって、培養物の純度を検査した。培養物をCBA上に好気的にプレーティングして、酸素の存在下における増殖能力を測定し、そして好気的な夾雑物が存在しないことを検査した。
【0532】
実施例5 分離菌の維持
製造者の指示に従ってMicrobankチューブ(MAST Diagnostica,Reinfeld,Germany)内で寒冷貯蔵物(Cryo−stocks)を維持し、−80℃で保存した。通常貯蔵物(Working stocks)をWC、STまたはMRSブロス中で維持した。これらを14日ごとに継代した。好気性条件と嫌気性条件の両方における、グラム染色挙動、細胞の形態およびCBA画線プレート上でのコロニーの形態の定期的な比較を観察することによって、その培養物の純度を確かめた。
【0533】
実施例6 動物実験用の細菌の増殖、固定および凍結乾燥
動物実験において使用するために、上記細菌を生育し、以下の改変を行いつつセクション3に記載したように固定した:最初の培養物の体積を約4lとした。固定する前に、細菌を100mlのPBS−bで1回洗浄し(8000×g,15分,4℃)、可能な最少量のPBS−bに再懸濁した。この懸濁液を等量の2つに分け、一方を固定(7.1)、他方を凍結乾燥(7.2)に用いた。
【0534】
6.1 固定
固定用の分を洗浄し(8000×g,15分,4℃)、30mlのPBS−cに再懸濁した。この懸濁液をPBS−c中の90mlの4%PFA溶液に加え、4℃で3〜4時間固定した。PFAの除去を改善するために、サンプルを120mlのPBS−cで3回洗浄した(8000×g,15分,4℃)。細胞ペレットを45mlのPBS−cに懸濁した後、等体積の96%氷冷エタノールを加えた。サンプルを−20℃で保存した。
【0535】
動物に投与する前に、固定された細菌を、無菌条件下においてLid
Bacチューブ(Eppendorf,Hamburg,Germany)内で凍結乾燥することにより、エタノールを蒸発させた。固定された細菌に生存能がないことを確かめるために、それらの細菌をWCブロス中に接種し(1%)、CBA上にプレーティングし、そして1週間にわたって増殖しないことをモニターした。
【0536】
6.2 低温殺菌
細菌の懸濁液をPBSで2回洗浄し、少量のPBSに再懸濁した。細菌の懸濁液を72℃で30分間インキュベートした。不活性化成功のコントロールとして、細菌を実施例4に記載したような適当な培養液中でインキュベートした。
【0537】
6.3 凍結乾燥
凍結乾燥用の分を、等体積の24%フィルター滅菌スクロースに加え、2mlのLid
Bacチューブに300μlずつ等分した。これらのアリコートを1時間にわたって液体窒素中で急速凍結し、そのアリコートを予め−80℃に冷やしておいたラックに置いた後、凍結乾燥した(Alpha2−4,Christ,Osterode,Germany)。凍結乾燥後、チューブの蓋を閉め、乾燥剤としてシリカゲルオレンジ(Roth,Karlsruhe,Germany)を加えたAnaerocult(登録商標)C小型ガス発生装置システム(Merck,Darmstadt,Germany)を用いて、そのチューブを4℃で保存した。
【0538】
6.4 細菌調製物の計数
0.01mm深Thomaチャンバー(LO−Laboroptik,Friedrichsdorf,Germany)を用いて、固定された細菌調製物および凍結乾燥された細菌調製物の総細胞数を測定した。凍結乾燥された細菌については、一晩培養物ならびに凍結乾燥の直前および凍結乾燥の後の、10倍段階希釈物をWC寒天上にプレーティングすることによって、コロニー形成単位(CFU)を測定した。この目的のために、凍結乾燥物(lyophilate)を300μlのWCブロスに溶解し、15分間静置し、低速でボルテックスすることによって再懸濁し、そして段階希釈した。動物実験で使用する前および使用した後の凍結乾燥調製物のCFUを数え上げることにより、生存能を確認した。セクション4に記載したように、調製物の純度を検査した。
【0539】
実施例7 血清サンプル
S−monvetteシステム(Sarstedt,Nuembrecht,Germany)を用いて血液を回収し、製造者の指示に従って血清を調製した。解析する前に、血清サンプルを分注して−80℃で保存した。
【0540】
実施例8 便IgA抽出
便サンプルを回収し、−80℃で保存した。便を凍結乾燥し、正味乾燥重量を記録した。すべての操作を氷上で行った。いくつかの改変を行ったGrewal(6)に従って便IgAを抽出した。プロテアーゼインヒビター(5μgml
−1ロイペプチン(Calbiochem,Merck)、48μgml
−14−(2−アミノエチル)ベンゼンスルホニルフッ化物(Merck)、1μgml
−1アプロチニン、2μgml
−1ベスタチン(Sigma,Steinheim,Germany)を含むIgA抽出緩衝液(1gl
−1BSAを含むPBS−Dulbecco(Biochrom,Berlin,Germany))中に15μl/mgの乾燥重量の割合で、凍結乾燥サンプル(約30mg)を懸濁し、ホモジナイズした。そのサンプルを10分ごとにボルテックスすることによって混合した。1時間インキュベーションした後、そのサンプルを遠心し(16000×g,10分,4℃)、上清を新しいチューブに回収した。IgA抽出緩衝液中に10μl/mgの乾燥重量の割合で、残っているペレットを懸濁し、ホモジナイズした。この抽出手順を繰り返し、得られた上清を、最初の抽出工程からの上清と併せた。これらの上清を遠心し(16000×g,10分,4℃)、得られた上清を新しいチューブに移し、液体窒素中で急速凍結し、そして解析するまで−80℃で保存した。
【0541】
実施例9 酵素結合免疫吸着アッセイによる細菌株のスクリーニング
固定された細菌をPBSに希釈し、細胞数を1×10
5、1×10
6、5×10
6、1×10
7、1×10
8または5×10
8細胞/mlに調整した。
【0542】
96ウェルマイクロタイタープレートの1ウェルごとに50μlの細菌溶液を、37℃で一晩コーティングした。プレートを、PBS/0,02%Tween20で3回洗浄した(同一の洗浄工程を各インキュベーション工程後に行った)。PBS/2%BSAでプレートをブロッキングした後、ELISAプレートを、様々な希釈度で、Core−1を認識する様々なモノクローナル抗体(Nemod−TF1、Nemod−TF2またはより特異的性の低いA68/BA11)またはコントロール抗体(A63−B/C2)を含むハイブリドーマ培養上清とともにインキュベートした。2次抗体として、ペルオキシダーゼ結合体化ポリクローナルヤギ抗マウス免疫グロブリン(Dako P0260)を用いた。基質としてTMBを用いてこのアッセイを発色させ、2.5N H
2SO
4を加えることによって反応を停止し、450/630nmにおける吸光度を測定した。抗体結合の過ヨウ素酸塩感度を測定するために、コーティングされたELISAプレートを、抗体とのインキュベーションの前に、過ヨウ素酸ナトリウムとともにインキュベートした。そして、プレートを酢酸ナトリウム緩衝液(50mM,pH4,5)で5分間洗浄し、その後、暗黒下で1時間、酢酸ナトリウム緩衝液中の10mM過ヨウ素酸とともにインキュベートした。プレートを酢酸ナトリウム緩衝液で洗浄し(5分間)、PBS中の50mM水素化ホウ素ナトリウム(sodium borohydrid)を加えることによって反応を停止した(30分間)。
【0543】
そのようなELISAの結果の例を
図3および3aに示す。
【0544】
実施例10:細菌のCore−1含有成分の調製
10.1.SDS−PAGEおよびウエスタンブロット解析による粗カプセル調製物の解析
AG6株の粗カプセル調製をPantostiら(1991,Infect.Immun.59,2075−2082)に従って行った。
【0545】
カプセル調製物をSDS−PAGEによって解析し、Karlyshevら(2001,J.Clin.Microbiol.39,279−284)に従って、その調製物中の多糖をアルシアンブルー染色によって検出したところ、その調製物中に、種々の炭水化物を含むバンドおよび高パーセンテージの高分子量炭水化物が存在することが示された(
図4A)。ウエスタンブロットの後、DIG−Glycan Detection Kit(LaRoche Diagnostics)によって多糖類を検出した。37および26kDaに強いバンドが示された(
図4B)。ウエスタンブロットにおけるcore−1含有多糖(polysaccharige)の検出は、core−1特異的抗体NEMOD−TF2(培養上清)を用いて行われ、37kDaにcore−1陽性バンドが示された(
図4C)。
【0546】
10.2.core−1陽性多糖類のクロマトグラフィ富化
Haraら、1989,Anal.Biochem.179,162−166)に従った11,2pmol/μgのKDO含有量、およびSDS−PAGEによって示されるように、AG6株のカプセル調製物内に、なおもリポ多糖類の夾雑物が存在していた。
【0547】
ゆえに、Hashimotoら(2001,Eur.J.Biochem.268,3139−3144)に従って、プロパノール/メタノール勾配(
図5を参照のこと)を用いたC18カラムにおける逆相クロマトグラフィによって、カプセル多糖類およびリポ多糖類を分離した。溶出剤B(0,1M酢酸アンモニウムpH4.5中の72%プロパノール/8%メタノール)の勾配によって多糖類を溶出した。画分内の多糖類の検出をドットブロットおよびDIG−Glycan−Kitによって行った。core−1特異的抗体Nemod−TF1およびNemod−TF2を用いてcore−1の検出を行った。14〜19%および25〜43%というプロパノール濃度で多糖類が溶出された。Core−1特異的炭水化物は、29〜29,4%プロパノール(RP1)および39〜42%プロパノール(RP2)においてのみ検出された(
図5を参照のこと)ことから、この方法によってcore−1陽性多糖の強力な富化が示された。
【0548】
Core−1陽性画分を、Tzianabosら(1992,J.Biol.Chem.267,18230−18235)に従って、弱酸加水分解によるさらなるクロマトグラフィ分離の後、0〜0.5M NaCl勾配を用いるDEAE−クロマトグラフィに使用した。この方法によって、0M NaCl(D1)、0,04M NaCl(D2)および0,9〜0,17M NaCl(D3)で溶出された3つの画分にCore−1陽性多糖類が分離され、それによって、core−1陽性多糖類がさらに富化された。
【0549】
本発明のプロセスでは、B.ovatus AG6のカプセル状多糖類を精製し、その構造を質量分析によって解析する。好ましくは、そのB.ovatus AG6のカプセル状多糖(polysaccharidee)を、Pantostiら、1991によってすでに報告されているように、フェノール水抽出の後、エーテル抽出によって蓄積する。その後、逆相クロマトグラフィ(C18 Synergi 4□Fusion−RP 80i,250mm×10mm,Phenomenex)によって粗カプセル状調製物(CPS)からcore−1陽性多糖を蓄積する。粗カプセル状多糖抽出物および精製されたcore−1陽性多糖の単糖成分を、HPAEC−PAD解析(高pH陰イオン交換クロマトグラフィ,パルスアンペロメトリック検出)によって測定する。最終的には、core−1陽性カプセル状多糖の構造を質量分析によって解析する。
【0550】
10.3 B.ovatus AG6の粗カプセル状調製抽出物および精製カプセル状抽出物の単糖解析
最初の工程において、B.ovatus AG6の粗カプセル状調製物のcore−1陽性多糖(polysasccharide)を、前にすでに記載したように逆相クロマトグラフィによって蓄積した。その後、精製収量ならびに蓄積されたcore−1陽性多糖(polysasccharide)の単糖含有量をHPAEC−PAD解析によって測定した。
【0551】
単糖解析を行う前に、多糖抽出物を100℃で4時間、2Nトリフルオロ酢酸(TFA)によって完全に加水分解した。そのTFA加水分解中に、アセチル基が喪失した。ゆえに、単糖類のグルコサミンおよびガラクトサミン(GlcNH
2およびGalNH
2)は、N−アセチルグルコサミンおよびN−アセチルガラクトサミン(GlcNAcおよびGalNAc)と区別することができなくなった。単糖類を、高pH陰イオン交換クロマトグラフィで分離し、前にすでに記載したようなパルスアンペロメトリーによって検出した。単糖類を同定するためおよびそれらの濃度を測定するために、単糖外部標準および単糖内部標準を用いた。
【0552】
LPSおよびCPSの比較(前述)のために測定された粗CPS抽出物の単糖内容物の割合は、この比較のために測定された粗CPS抽出物の単糖(monsaccharide)含有量の割合と明らかに異なる。両方の粗CPS抽出物は、B.ovatus AG6の異なる培養物から調製されたものであり、それらは、述べた種々の種類の単糖内容物についての詳述であり得る。
【0553】
逆相クロマトグラフィによって蓄積されたcore−1陽性多糖類の収率は、30%であった。粗カプセル状抽出物および精製されたカプセル状抽出物の単糖含有量の割合の比較から、フコース、GalNAc/GalNH2、ガラクトースおよびグルコースの量の増加が明らかになったが、グルコースは、混入であり得る(表7)。ラムノース、GlcNH2/GlcNAcおよびマンノースの内容物の割合は、逆相クロマトグラフィによって減少し得た(表7)。カプセル状多糖類の特徴的な成分であるガラクツロン酸およびグルクロン酸は、精製core−1陽性多糖抽出物において同定され得なかった。これらは、B.ovatus AG6が複数のカプセル状多糖を有することを示唆し得る。両方のカプセル状多糖類が、逆相クロマトグラフィによって互いから分離され得る。Tzianabosら(1992)もまた、B.fragilisのカプセルが、2つの異なる多糖類からなることを報告した。
【0554】
【表7】
フコース、GalNH2/GalNAcおよびガラクトースの蓄積は、これらの単糖類が、core−1陽性多糖の繰り返し単位の成分であることを示唆し得る。一方、大きく減少した単糖類は、低混入であり得る。
【0555】
10.4 質量分析によるcore−1陽性多糖(polysacchide)の構造解析
上ですでに記載したようにマトリックス支援レーザー飛行時間型(time−off flight)質量分析(MALDI−TOF−MS)およびエレクトロスプレーイオントラップ質量分析(ESI−Ion−Trap−MS)によって、core−1陽性多糖の構造を解析した。
【0556】
ESIイオントラップ質量分析に向けて、1%酸性酸を用いた加水分解(1,5h,100℃)またはコンドロイチナーゼABC(β1−4GalNAc/GlcNAc結合物の切断)もしくはβ1−3ガラクトシダーゼを用いた酵素による消化によって、蓄積されたcore−1陽性多糖を部分化した。さらに、コンドロイチナーゼABC/α1−3,4フコシダーゼまたは1%酸性酸/β1−3ガラクトシダーゼを用いた二重消化(dobble digestion)による部分化を行った(すべての酵素をGlyko GmbHから入手した)。すべての酵素による消化を37℃で一晩インキュベートした。質量分析解析(MSならびにMS/MS)をポジティブモードおよびネガティブモードにおいて行った。解析を行う前に、製造者のマニュアルに記載されているようにすべてのサンプルをCarbograph SPE(Aalltech Associates Inc.)を用いて脱塩し、2,5mM NH3/40%アセトニトリル(acetonitril)で希釈した。
【0557】
MALDI−MS解析によってすでに同定されているcore−1陽性グリカンフラグメントの構造を、ESIイオントラップ測定によって確認することができた。さらなるフラグメントもESIイオントラップ質量分析によって同定することができた(表8)。
表8:ESIイオントラップ質量分析による構造解析(ポジティブモード)。100℃で1,5時間、1%酸性酸を用いて加水分解することによって、精製core−1陽性多糖を部分化した。
【0558】
【表8】
HexNAc:N−アセチルヘキソサミン、Hex:ヘキソース、desHex:デオキシヘキソース、M:メチル基
core−1陽性カプセル状多糖の繰り返し単位の配列を、フラグメントを重複させることによって測定した(
図6)。
【0559】
酵素的に消化されたcore−1陽性多糖類の質量分析解析から、単糖類間のグリコシド結合が示唆された。さらに、ガラクトース(β1−3ガラクトシダーゼによる切断の成功)およびフコース(α1−3,4フコシダーゼによる切断の成功)を同定することができた(
図7)。
【0560】
この結果は、前述の単糖解析と一致し、このことから、フコース、ガラクトースおよびGalNAcの蓄積が明らかになった。
【0561】
10.5 カプセル状多糖の繰り返し単位の分枝二糖としてのcore−1構造の検証
上記繰り返し単位におけるGalβ1−3GalNAcの分枝core−1構造は、エキソグリコシダーゼβ1−3ガラクトシダーゼおよびHexNAcase(β1−2,3,4,6GalNAc/GlcNAc切断)を用いて二重消化した後の、上に記載したような単糖(monosaccharid)解析によって特定されるはずである。
【0562】
等量のcore−1陽性多糖(polyssaccharide)を含む2つのサンプルを濾過することによって、それらのサンプルを遊離単糖類から精製した。その後、その2つのサンプルのうちの一方を37℃において一晩、β1−3ガラクトシダーゼで消化した。上記の両方のサンプルを再度、1回濾過することにより、上記の消化されたサンプルから遊離ガラクトースを分離し、未消化のサンプルをネガティブコントロールとして用いた。続いて、残留物(retentats)を回収し、HexNAcaseで消化した。最後に、両方のサンプルを再度濾過した。すべての溶出液をHPAEC−PADで解析した。
【0563】
コントロールとして、core−1構造が、二重消化によって除去されたがHexNAcase消化から影響を受けていない場合(ネガティブコントロール)、その残留物をDIG−Glykan Detection Kit(Roche Diagnostics)を用いるドットブロットで解析して多糖類を検出し、そしてcore−1特異的抗体Nemod−TF1を用いることでcore−1構造を同定した。
【0564】
二重消化されたサンプルの両方の溶出液(eluats)において、ガラクトース(第1溶出液)およびGalNAc(第2溶出液)を、単糖(monosaccharid)解析によって同定することができた。エキソグリコシダーゼHexNAcaseで消化しただけのネガティブコントロールの溶出液では、ガラクトースもGalNAcも、同定することができなかった。これは、分枝core−1構造Galβ1−3GalNAcに対する強い示唆である。
【0565】
DIG−Glykan検出キットを用いた、二重消化された残留物およびHexNAcaseで消化されたサンプルの、ニトロセルロース膜に適用されたドットブロット解析から、類似の多糖(polysaccharid)濃度が明らかになった。二重消化されたサンプルでは、core−1構造を、これ以上検出することができなかったが、HexNAcaseで消化されたサンプルでは、Nemod−TF1抗体を用いた免疫ブロットによって、なおもcore−1構造が同定された。
【0566】
10.6 その分離されたフラグメントの解析によるcore−1陽性多糖構造の検証
core−1陽性多糖構造をさらに検証するために、グリカン(glykan)を1%酸性酸による加水分解によって部分化した(1,5h,100℃)。そのグリカンフラグメントを、J.C.Biggeら(1995)によってすでに報告されているようにフルオロフォア2−アミノベンズアミド(2−AB)で標識した。この手順のために、Carbograph SPEカラム(Alltech Associates Inc.)での精製によって、サンプルから粒子および塩を除去し、凍結乾燥した。そのペレットをDMSO/氷酢酸/シアノ水素化ホウ素ナトリウム中の5□lの2−ABに溶解し、60℃で2時間インキュベートした。その2−AB標識されたフラグメントをペーパークロマトグラフィによって遊離2−ABと分離した。最後に、2−AB結合体化フラグメントを水で溶出した。凍結乾燥した後、そのペレットを50%アセトニトリルに溶解した。そのフラグメントを、フラグメントの大きさに基づいて、蛍光検出を用いた順相HPLC(カラム:Luna 3□NH2 A100, Phenomenex,溶出剤A:15mM 酢酸アンモニウム,溶出剤B:アセトニトリル)によって分離した。フラグメントの配列をESI質量分析で解析した。最後に、グリコシド結合の検証、およびそのフラグメントの成分である単糖類のより良好な同定のために、前にすでに記載したように、エキソグリコシダーゼ(exoglykosidase)β1−3ガラクトシダーゼ、α1−3,4フコシダーゼおよびHexNAcaseを用いて、それらのオリゴ糖を消化した。消化の成功を、ESI質量分析によって照合し、末端の単糖類の除去を、前にすでに記載したようにHPAEC−PADによって同定した。
【0567】
core−1陽性多糖の繰り返し単位のすでに同定されている構造を両方の解析によって確かめ、予想されたオリゴ糖フラグメントおよび切断された単糖類を得た(表9)。
【0568】
【表9-1】
【表9-2】
結論として、core−1陽性カプセル状多糖の繰り返し単位の構造(
図8)が、種々の解析によって確認された。
【0569】
さらに、それらの結果から、Gal−GalNAcと骨格GalNAc分子との間のグリコシド結合がαアノマーであることが明らかになった(
図19、特に#5も参照のこと)。この知見は、TFのαアノマーに特異的なmAbのTF1、TF2およびHH8を用いたドットブロット解析によって裏付けられた。TFβに特異的なmAbのA68−E/A2およびA68−E/E3もまた使用した。それによって、B.ovatus AG6のカプセル状多糖の分枝構造内に腫瘍特異的AgTFαが同定された。
【0570】
実施例11 動物モデル
11.1 死細菌によるマウスの腹腔内免疫
11.1.1 液性免疫応答試験1によるマウス血清の解析
雌Balb/cマウス(Charles River,1群あたり4匹)を、−1日目に50mg/kg体重の用量のシクロホスファミド(Cyclophosphamid)で処置した。0、7および14日目に、マウスの腹腔内に、PBS中の5×10
8細菌(core−1陰性AG3株(I群)、32もしくは53もしくはcore−1陽性AG6株(K群))またはPBSのみ(L群)を注射した。血清サンプルを−4、21、27および30日目に採取した。
【0571】
マウス血清をcore−1に対する結合についてELISAにおいて解析した。Core−1を有する抗原として、アシアログリコホリンを用いた。ネガティブコントロールとして、過ヨウ素酸処理されたアシアログリコホリンを用いた。過ヨウ素酸塩処理は、core−1の外側の炭水化物(carhohydrate)環を破壊して、Core−1エピトープを破壊する。
【0572】
96ウェル平底マイクロタイタープレートを2μg/mlの濃度のアシアログリコホリンA(AGP)でコーティングした。プレートをPBS/Tweenで3回洗浄した。そのプレートの半分を以下のとおり過ヨウ素酸塩で処理した:
ウェルを、50mM酢酸ナトリウム緩衝液pH4.5とともに5分間インキュベートした後、酢酸緩衝液中の10mM過ヨウ素酸とともに、暗黒下で1時間インキュベーションした。ウェルを50mM酢酸ナトリウム緩衝液pH4.5とともに5分間インキュベートした。水素化ホウ素ナトリウムとのインキュベーション(PBS中50mM,30分間)によって反応を停止した。次に、プレートをPBS/Tweenで5回洗浄した。
【0573】
次いで、プレートに2%BSAを加えることによって30分間ブロッキングした。
【0574】
様々な希釈のマウス血清とのインキュベーションを1.5時間行った。ペルオキシダーゼ結合体化ヤギ抗マウスIgM抗体(PBS/1%BSA中1:5000)を用いて、結合しているマウス免疫グロブリンを検出した。基質としてTMBを用いてアッセイを発色させ、2.5N H
2SO
4を加えることによって反応を停止した。
【0575】
図9は、血清IgM−抗体とcore−1陽性AGPおよびcore−1陰性AGP(AGP+PJ)との結合を示している。Core−1陽性細菌で免疫された4匹のマウス(K群)のうちの3匹の血清だけがAGPとの強力な結合を示したのに対し、PJによるCore−1の切断後のシグナルは低下している。
【0576】
ゆえに、core−1陽性細菌は、マウスにおいてcore−1に対する体液性免疫を誘導することができる。
【0577】
11.1.2 液性免疫応答試験2によるマウス血清の解析
0、7および14日目に、雄C3Hマウス(Charles River,1群あたり4匹)の腹腔内に、200μlのPBS中の、Core−1陽性(postive)株およびCore−1陰性株からの5×10
8低温殺菌細菌を注射した。血清を免疫の前ならびに13、21および28日目に回収し、液性免疫応答試験2において解析した。
【0578】
コーティング緩衝液(8,4g/l NaHCO
3、3,56g/l Na
2CO
3、pH=9,49)中、5μg/mlの様々な炭水化物−PAA結合体(GlcNAcβ1−2Galβ1−3GalNAcα−PAA、Fucα1−2Galβ1−3GalNAcα−PAA、GalNAcα1−3Galβ−PAA、Galα1−3−GalNAcβ−PAA、Galβ1−3GalNAcα1−PAA)で96ウェル平底マイクロタイタープレートをコーティングし、4℃で一晩インキュベートした。
【0579】
プレートをPBS/Tweenで3回洗浄した。
【0580】
次いで、プレートに2%BSAを加えることによって30分間ブロッキングした。
【0581】
様々な希釈のマウス血清とのインキュベーションを1.5時間行った。ペルオキシダーゼ結合体化ヤギ抗マウスIgM抗体(PBS/1%BSA中1:5000)を用いて、結合しているマウス免疫グロブリンを検出した。基質としてTMBを用いてアッセイを発色させ、2.5N H
2SO
4を加えることによって反応を停止した。
【0582】
図10は、0日目(免疫前の血清)および21日目における1群あたり4匹のマウス由来の血清についての、GlcNAcβ1−2Galβ1−3GalNAcα−PAAに対するELISAシグナルに比較して、PAA結合体Galβ1−3GalNAcα1−PAAに対するELISAシグナルの平均値を示している[相対的ELISAシグナルは、等式:(Galβ1−3GalNAcα1−PAAに対するELISAシグナル)*100/(GlcNAcβ1−2Galβ1−3GalNAcα−PAAに対するELISAシグナル)に従って計算する]。免疫血清が、免疫前の血清と比べて少なくとも50%の増加を示した場合に、その血清を陽性と算定した。Core−1陽性AG6およびMU1株のみが、マウスにおいてCore−1特異的液性免疫応答を誘導したことを示すことができた。
【0583】
11.1.3 液性免疫応答試験3によるマウス血清の解析
雌Balb/cマウス(Charles River,1群あたり4匹)を、−1日目に50mg/kg体重の用量のシクロホスファミドで処置した。0、7および14日目に、マウスの腹膜内に、PBS中の5×10
8細菌(core−1陰性AG3株(I群)、32もしくは53もしくはcore−1陽性AG6株(K群))またはPBSのみ(L群)を注射した。血清サンプルを−4、21、27および30日目に採取した。
【0584】
マウス血清と、Core−1陽性およびcore−1陰性のヒト腫瘍細胞株(それぞれNM−wtおよびNM−D4;NM−wtは、WO2005/017130A2およびEP1654353に記載されているようにNM−D4の親細胞であり、NM−D4は、DSM ACC2605としてDSMZに寄託されている)との結合を解析するために、フローサイトメトリー解析を行った。チューブ1本あたり3×10
5細胞をペレットにし、そのペレットを、50μlのマウス血清(PBS/10%FCS中1:50希釈)、コントロール抗体またはPBS/10%FCSのみに再懸濁した。サンプルを4℃で20分間インキュベートし、PBSで洗浄し、そして遠心した。次に、細胞をCy3結合体化ヤギ抗マウスIgM抗体(Jackson Immuno Research,PBS/10%FCS中1:200)とともに4℃で20分間インキュベートし、PBSで洗浄し、フローサイトメトリー解析にむけて200μlのPBSに再懸濁した。
【0585】
図11aおよびbは、マウス血清由来のIgM抗体と、ヒト細胞株NM−wt(Core−1陰性)およびNM−D4(core−1陽性)との結合を示している。Core−1陰性NM−wt株に対する結合は、Core−1陰性細菌(I群)およびCore−1陽性細菌(K群)で免疫されたマウスの間で類似しているのに対し、Core−1陽性NM−D4株に対しては、K群の4匹のマウスのうち3匹の結合が有意に強い。このことは、Core−1陽性細菌で免疫されたマウスにおける液性免疫応答のcore−1特異性を示唆している。
【0586】
11.1.4 液性免疫応答試験1、2および3によるマウス血清の解析
0、7および14日目に、C3Hマウス(Charles River,1群あたり4匹)の腹腔内に、200μlのPBS中の、Core−1陽性Bacteroides ovatus株であるBacteroides ovatusMU−1、A68−BA11−陽性E.coli LH2株およびCore−1陰性E.coli株(AG3,E.coli O86 DSMZ8697=32)からの1×10
9低温殺菌細菌を免疫した。血清を免疫の前ならびに13、21および28日目に回収し、上に記載されたような液性免疫応答試験1、2および3において解析した。
【0587】
AG3株は、すべての液性免疫応答試験に対して陰性であったが、E.coli O86およびLH2株で免疫された後のマウスから回収された血清は、HIRT1においてAGP反応性抗体を示した。それにもかかわらず、Core−1陽性MU−1のみが、HIRTにおけるAGP特異的抗体の誘導に加えて、PAA結合体(HIRT2)およびヒト腫瘍細胞(HIRT3)においてCore−1に対して強力な抗Core1特異的液性免疫応答を示した。ゆえに、本発明者らは、Bacteroides ovatusのCore−1陽性微生物(MU−1)のみによって強力なCore−1特異的液性免疫応答を誘導することができた。
【0588】
図11c〜eは、その結果を示している。
【0589】
11.2.生のCore−1陽性細菌による無菌マウスの経口免疫
2、3、4、9、10、11、16、17および18日目に、無菌C3H−マウスをAG6株の2×10
9生細菌で経口的に免疫した。血清サンプルを0日目(免疫前の血清)ならびに14および21日目に採取し、液性免疫応答試験1においてAGP特異的IgM抗体について解析した。
【0590】
免疫されたマウスは、AGPでコーティングされたマイクロタイタープレートに対するマウス血清の結合によって示されたように、コントロールマウスに比べて抗core−1価の上昇を示した。ペルオキシダーゼ結合体化抗マウスIgM抗体を用いて、結合したマウスIgMの検出を行った。core−1に対するシグナルの特異性は、過ヨウ素酸による処理(炭水化物構造の破壊)後のELISAシグナルの低下によって示された。14または21日後に、3匹中3匹のマウスのCore−1に対するIgM抗体のレベルが上昇したのに対し、コントロールマウスは、
図12に示されるように、AGP+PJと比べて、AGPに対するELISAシグナルの上昇を示さなかった。
【0591】
11.3 低温殺菌および生のCore−1陽性細菌による通常のマウスの経口免疫
C3H−マウスを、0〜28日目に毎日、1×10
11(A群)または1×10
10(B群)のAG6株の低温殺菌細菌で経口的に免疫した。血清サンプルを−1日目(免疫前の血清)ならびに13、21、28および35日目に採取し、液性免疫応答試験1においてAGP特異的IgM抗体について解析した。
【0592】
免疫後のマウスから回収された血清は、GPまたはAGPでコーティングされたマイクロタイタープレートへのマウス血清の結合によって示されたように、抗Core−1価の上昇を示した(過ヨウ素酸による処理有りおよび無し)。結合したマウスIgMの検出を、ペルオキシダーゼ結合抗マウスIgM抗体を用いて行った。core−1に対するシグナルの特異性は、過ヨウ素酸による処理後のELISAシグナルの低下によって(炭水化物構造の破壊、少なくとも30%の低下)およびGPに対するシグナルの低下によって(少なくとも50%のAGPシグナルの上昇)示された。
【0593】
A群の6匹中5匹のマウスおよびB群の8匹中5匹のマウスが、21日目までにCore−1特異的抗体を産生したことが示された(
図13)。
【0594】
液性免疫応答試験3において、Core−1陰性細胞株NM−wtに対する結合と比べて、Core−1陽性腫瘍細胞株NM−D4に対する結合について、フローサイトメトリーでマウス血清を解析した。チューブ1本あたり3×10
5細胞をペレットにし、そのペレットを50μlのマウス血清(PBS/1%BSA中1:300希釈)、コントロール抗体またはPBS/1%BSAのみに再懸濁した。サンプルを4℃で60分間インキュベートし、PBSで洗浄し、遠心した。次に、細胞をビオチン結合体化ヤギ抗マウスIgM抗体(Jackson Immuno Research;PBS/1%BSA中1:200)とともに4℃で60分間インキュベートし、PBSで洗浄した。その後、細胞をCy3結合体化ストレプトアビジン(Jackson Immuno Research,PBS/1%BSA中1:200)とともに4℃で60分間インキュベートし、フローサイトメトリー解析にむけて200μlのPBSに再懸濁した。
【0595】
結果を以下の式に従って計算した:
(NM−D4
免疫血清上の陽性細胞%−NM−D4
免疫前血清上の陽性細胞%)/(NM−wt
免疫血清上の陽性細胞%−NM−wt
免疫前血清上の陽性細胞%)=X
商X≧10のときのマウス血清を、陽性と見なした(ここで、NM−wt
免疫血清上の陽性細胞%−NM−wt
免疫前血清上の陽性細胞%≧1)。
【0596】
28日目に、13匹中11匹のマウスが、
図14に示されるようにCore−1陽性ヒト腫瘍細胞株NM−D4に対する液性免疫応答をもたらした。
【0597】
液性免疫応答試験2において、28日目のマウス血清をGalβ1−3GalNAca−PAA(PAA48)またはGalβ1−3GlcNAca−PAA(PAA43)に対する結合について解析した。
【0598】
96ウェル平底マイクロタイタープレートを、コーティング緩衝液(8,4g/lのNaHCO3、3,56g/l NA2CO3、pH=9,49)中5μg/mlのGalβ1−3GalNAca−PAA(PAA48)またはGalβ1−3GlcNAca−PAA(PAA43)でコーティングし、4℃で一晩インキュベートした。ブロッキングした後、血清とのインキュベーションを1,5時間行った。結合したマウス免疫グロブリンを、ペルオキシダーゼ結合体化ヤギ抗マウスIgM抗体(PBS1%BSA中1:5000)を用いて検出した。基質としてTMBを用いてアッセイを発色させ、2.5N H2SOP4を加えることによって反応を停止した。
【0599】
その結果を
図21に示す。13匹中5匹のマウスが28日目までにCore−1特異的抗体を産生したことが示された。
【0600】
実施例12 Core−1陽性細菌の細胞性免疫応答誘導に対する能力(インビトロ)
12.1 機能的樹状細胞の産出
樹状細胞株NemodDC(pNM−DC)が、抗原提示細胞(APC)に対する供給源として用いられている。pNM−DCをiNM−DCに分化させた後、それらに以下の細菌株:AG6、MU1、52および53の細菌溶解物(BaLy)を負荷した。50μg/mlのすべてのBaLyを、成熟サイトカインとともに培養液に加え、iNM−DCを成熟状態(mNM−DC)に分化させた。
【0601】
より詳細には、第1工程において、1000U/mlのGM−CSF、100U/ml IL−4および2,5ng/ml TNF−αが加えられたNemodDC培地(70%MEM−α、20%FCS、10%CM5637)中で7日間インキュベーションすることによって、pNM−DC(1×10
5/ml)をiNM−DCに分化させた。次に、1×10
6/mlの未熟NM−DC(iNM−DC)に、細菌溶解物(50μg/ml)、腫瘍細胞溶解物(1×10
6NM−DCに対する負荷用の1×10
6溶解腫瘍細胞)またはAGP−およびGP−タンパク質(20μg/ml)のいずれかを負荷し、75ng/mlのTNF−αを加えることによって、2日間成熟させた。
【0602】
mNM−DCの成熟表現型は、T細胞活性化の成功に非常に重要であり、その表現型をCD1a、CD11c、CD14、CD40、CD35、CD80、CD83、CD86、CD116、HLA−ABCおよびHLA−DRの発現について、フローサイトメトリーを用いて試験した。成熟DCの表現型に対応する表現型を有するDCだけをT細胞活性化に用いた。
【0603】
12.2 Core−1に対する活性化T細胞の産出、ならびにELISAを用いたGM−CSF(細胞性免疫応答試験1)およびTNF−α(細胞性免疫応答試験2)産生の検出
Core−1陽性細菌溶解物を負荷されたNM−DCによるTリンパ球のプライミングの7〜10日後に、得られたT細胞(0,7〜1×10
6/ml)を、Core1陽性(positiv)腫瘍細胞溶解物(50μg/ml)を負荷されたmNM−DC(1×10
5/ml)で再刺激した。48時間のインキュベーションの後、上清を回収し、GM−CSF−およびTNF−α−BD OptEIA(商標)キットを用いて、ヒトCore−1陽性腫瘍細胞株NM−D4に応答したサイトカイン産生を評価するためにアッセイした。
【0604】
96ウェルプレートを、コーティング緩衝液中1:250希釈の50μlの適切な捕捉抗ヒト(GM−CSFまたはTNF−α)抗体で予めコーティングしておいた。洗浄工程およびブロッキング工程の後、100μlの上清または標準物質をマイクロウェルに加え、室温で2時間インキュベートした。検量線を書くために、0;7,8;15,6;31,2;62,5;125;250pg/mlの濃度の組換えヒトGM−CSFおよび0;4,7;9,4;18,8;37,5;75;150;300pg/mlの濃度の組換えヒトTNF−αを用いた。洗浄した後、1ウェルあたり100μlの調製された実際の検出溶液(Working Detector solution)を加え、プレートを室温で1時間インキュベートした。次の工程では、1ウェルあたり100μlのTMB One−Step Substrate Reagentを加えた。最後に30分間インキュベーションし、そして50μlの停止溶液を加えた後、吸光度(extensions)を450nmにおいて読み出した。
【0605】
図15AおよびBに示される結果は、Core1陽性細菌溶解物に対して産生されたT細胞が、腫瘍抑制性サイトカイン(例えば、TNF−αおよびGM−CSF)の産生によって、ヒト細胞株NM−D4からのCore1陽性細胞溶解物(lysat)を負荷されたDCを認識することができるという明らかな証拠を示している。対照的に、Core1陰性細胞溶解物に応答して、非常に低いレベルのサイトカインが放出された。さらに、この認識は、溶解物が負荷されたNM−DCとCore1特異的抗体との事前のインキュベーションによって、特異的に阻害された。
【0606】
12.3 Core−1に向けられた活性化Tリンパ球によるIFN−γの分泌を評価するためのELISPOTアッセイ(細胞性免疫応答試験2)
抗原特異的刺激に応答したIFN−γの分泌を評価するために、ELISpotアッセイを用いた。このアッセイによって、予め感作されたT細胞が抗原特異的様式でCore1抗原を認識する機能的能力の定量が可能になる。
【0607】
まず、細菌溶解物を負荷されたDCとTリンパ球を共培養することによって、Tリンパ球をインビトロにおいて活性化させる。プライミングの7〜10日後に、活性化T細胞を回収し、Core1陽性(NM−D4)およびCore1陰性(NM−wt)ヒト腫瘍細胞溶解物を負荷されたDC(T細胞とDCとの比10:1)で再チャレンジした。
【0608】
ELISpotプレートのウェルを、ELISpotプレートのニトロセルロースの基板に結合するマウス抗ヒトIFN−γ抗体(Mabtech−Kit)で予めコーティングしておいた。再チャレンジされたT細胞をそのウェルに移し、インキュベーション中にサイトカインが放出される。各T細胞のまわりに局所的に放出されるIFN−γは、その特異的抗体に結合し、ゆえに、その特異的抗体によって「捕捉」される。24時間のインキュベーション後、細胞を除去した。濃度1μg/mlの2次抗ヒトIFNγ抗体をウェルに加え;基質を不溶性の色の付いた生成物に変換することができる酵素に、このビオチン化抗体を結合させる。そのプレートを2回以上洗浄し、1μg/mlの濃度の、酵素−APに結合体化されたストレプトアビジンを加える。最後に、沈殿基質BCIP+NBTを加え、応答するT細胞側にスポットが現れるまでプレートをインキュベートする。色のついたスポットをカウントし、デジタルイメージングシステムを用いて解析する。
【0609】
その結果から、Core1陽性細菌溶解物(AG6およびMU1)に対して産生されたT細胞が、腫瘍抑制性サイトカインIFN−γの産生によって、ヒト腫瘍細胞株NM−D4からのCore1陽性細胞溶解物を負荷されたDCを認識することができることが示された(
図16)。Core1陰性細胞溶解物(R+DC/wt)に応答して、非常に低いレベルのサイトカインが放出された。さらに、Core1陽性細胞溶解物(R+DC/D4)の認識の特異性は、Core−1特異的抗体Nemod−TF1(R+DC/D4+Ak)を用いてサイトカイン放出を遮断することによって証明された。
【0610】
12.4 細胞性免疫応答試験3:T細胞増殖アッセイ
ELISpot解析について上に記載したような、感作されたT細胞および再刺激されたT細胞を、インキュベーション後にELISpotプレートから96ウェルプレートに移し、比色分析の細胞増殖試薬WST−1(Roche Molecular Biochemicals)を用いてアッセイし、ここで、その試薬のテトラゾリウム塩は、ミトコンドリア酵素によって開裂され、発色する色素の量(450nmにおいて読み出される)は、その培養物中の代謝的に活性な細胞の数に直接相関する。培地+細胞が存在しないwst−1の吸光度を、酵素結合免疫吸着測定リーダーのブランク位とした。その手順は、1ウェルあたり10μlのWST増殖試薬(Roche)の一段階添加および37℃での3時間のインキュベーション、続いて、450nmにおける測定からなる。
【0611】
図17の結果から、Core1陽性細菌溶解物に対して産生されたT細胞が、特異的な増殖によって示されるように、ヒト腫瘍細胞株NM−D4からのCore1陽性細胞溶解物を負荷されたDCを認識するという明らかな証拠を示している。さらに、この認識は、溶解物が負荷されたNM−DCとCore1特異的抗体との事前のインキュベーションによって特異的に阻害された。
【0612】
12.5 細胞性免疫応答試験4:細菌溶解物を負荷されたDC上のCore−1提示についての免疫蛍光法試験
細菌溶解物が負荷されたNM−DCによるCore−1のプロセッシングおよび提示を解析するために、core−1特異的モノクローナル抗体(Nemod−TF1,NEMOD−TF2)を用いて免疫蛍光解析を行った。成熟DCの表面上における、プロセッシングされたCore1−抗原の提示は、免疫蛍光法を用いて証明された。免疫蛍光法(IF)は、特異的抗原(Core1)と特異的なCore−1抗体との結合の後、1次抗体を認識するために使用される、蛍光色素で標識された2次抗体を加えることによって、細胞上の特異的抗原の可視化を可能にする技術である。
【0613】
第1工程において、pNM−DC(1×10
5/ml)を、1000U/mlのGM−CSF、100U/mlのIL−4および2,5ng/mlのTNF−αが加えられたNemodDC培地(70%MEM−α、20%FCS、10%CM5637)中で7日間インキュベーションすることによってiNM−DCに分化させた。次に、1×10
6/mlの未熟NM−DC(iNM−DC)に、細菌溶解物(50μg/ml)、腫瘍細胞溶解物(1×10
6NM−DCに対する負荷用の1×10
6溶解腫瘍細胞)またはAGP−およびGP−タンパク質(20μg/ml)のいずれかを負荷し、75ng/mlのTNF−αを加えることによって、2日間成熟させた。
【0614】
成熟DCおよび抗原負荷DCを洗浄し、免疫蛍光染色に向けて、50μlあたり1×10
6細胞をマイクロタイタープレート上に入れた。培地(10%FCS)中に希釈された3μg/mlのCore−1特異的抗体(Nemod−TF1)を細胞懸濁液とともに室温で1時間インキュベートした。洗浄工程の後、50μlの1:200希釈された2次ヤギ抗マウスIgM、Cy3標識Ab(Jackson/Dianova)を加え、30分間インキュベートした。洗浄工程の後、20μlの細胞懸濁液をMultitestスライド(10ウェル,Roth)の各ウェルに入れた。免疫蛍光染色サンプルを、デジタルカメラAxioCam(Zeiss)を備えたAxioplan2蛍光顕微鏡で検鏡した。
【0615】
図18は、プロセッシングされたAG6−およびNM−D4−Core1陽性溶解物を有する成熟mNM−DCの陽性Core−1特異的染色;およびCore1陰性溶解物(AG3およびNM−wt)を負荷されたmNM−DC上の陰性の免疫蛍光を示している。
【0616】
好ましい実施形態に関して本発明を記載してきたが、当業者は、本発明の精神から逸脱することなく、様々な改変、置換、省略および変更を行ってもよいことを認識するだろう。従って、本発明の範囲は、もっぱら以下の請求項の範囲(その均等物を包含する)によって限定されると意図される。ゆえに、本発明が、本発明の精神または不可欠な特徴から逸脱することなく、上に具体的に開示されたもの以外の形態で具体化され得ることは、本発明を扱う分野の当業者には明らかであろう。よって、上に記載された本発明の特定の実施形態は、すべての点において、例示として見なされるべきであり、限定であると見なされるべきでない。本発明の範囲は、前述の記載に含まれる実施例に限定されるのではなく、添付の請求項に示されるとおりである。本明細書中に記載される本発明の実施形態の様々な代替物が、本発明を実施する際に使用され得ることが理解されるべきである。以下の請求項が、本発明の範囲を定義し、これらの請求項およびその均等物の範囲内の方法および手段が、それによって包含されると意図される。
【0617】
細胞株:
NM−D4(DSM ACC2605)、NM−F9(DSM ACC2606)、ZR−75−1(ATCC CRL−1500)、CAMA−1(ATCC HTB−21)、KG−1(DSM ACC14)またはA−204(DSM ACC 250)。NM−wtまたはNM−H9(またはNM−H9D8 DSM ACC2806)。NM−9およびNM−D4細胞株は、Nemod Biotherapeutics GmbH & Co.KG,Robert−Rossle−Strasse 10,13125 Berlin,Germany(すなわち寄託者)によってDSMZに寄託されており、その寄託人は、本願の出願人が本明細書中に記載される寄託された生物物質に言及することを許可しており、かつ、本明細書中に記載される寄託された生物物質を欧州特許条約のRule28(1)(d)に従って公衆に入手可能にすることに無条件かつ撤回不能の承諾を本願の出願人に与えている。DSMZは、Mascheroder Weg 1b,D−38124 Braunschweig,Germanyに存在する。上述のDSMZへの寄託物は、特許手続上の微生物の寄託の国際的な承認に関するブダペスト条約の条項に準じた。
【0618】
AG6(DSM18726)、MU1(DSM18728)および新株Escherichia coli LH2(DSM18727)は、2006年10月20日に、Glycotope GmbH,Robert−Roessle−Str.10,13125 Berlin(Germany)によってBraunschweig(Germany)に存在する「DSMZ−Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH」に寄託された。
【0619】
【数1】
出願人整理番号:48 603 K
受託番号DSM ACC2605についての、PCT/RO/134様式に基づくさらなる表示
出願人はここにおいて、個々の規定を有する国に対して、本願において言及されている寄託された生物学的材料の試料の供与は、無関係の、指名された専門家に対してのみなさ得ることを要求する(適用可能な場合、特にオーストラリア、カナダ、クロアチア、デンマーク、フィンランド、ドイツ、アイスランド、ノルウェー、シンガポール、スペイン、スウェーデン、英国、ヨーロッパにおいて、「エキスパートソリューション(expert solution)」の要求)。
【0620】
したがって、ヨーロッパに関しては、出願人は、寄託された生物学的材料が、EPC規則28(3)において規定されるように、特許を付与する旨の告示が公表されるまで、または特許出願が拒絶され、取り下げられ、もしくは取り下げられたものとみなされる場合には出願の日から20年間、試料の請求人により指名された専門家に試料を分譲することによってのみ入手可能となされる(EPC規則28(4))ことを要求する。
【0621】
【数2】
【0622】
【数3】
出願人整理番号:48 603 K
受託番号DSM ACC2606についての、PCT/RO/134様式に基づくさらなる表示
出願人はここにおいて、個々の規定を有する国に対して、本願において言及されている寄託された生物学的材料の試料の供与は、無関係の、指名された専門家に対してのみなさ得ることを要求する(適用可能な場合、特にオーストラリア、カナダ、クロアチア、デンマーク、フィンランド、ドイツ、アイスランド、ノルウェー、シンガポール、スペイン、スウェーデン、英国、ヨーロッパにおいて、「エキスパートソリューション(expert solution)」の要求)。
【0623】
したがって、ヨーロッパに関しては、出願人は、寄託された生物学的材料が、EPC規則28(3)において規定されるように、特許を付与する旨の告示が公表されるまで、または特許出願が拒絶され、取り下げられ、もしくは取り下げられたものとみなされる場合には出願の日から20年間、試料の請求人により指名された専門家に試料を分譲することによってのみ入手可能となされる(EPC規則28(4))ことを要求する。
【0624】
【数4】
【0625】
【数5】
出願人整理番号:48 603 K
受託番号DSM ACC2806についての、PCT/RO/134様式に基づくさらなる表示
出願人はここにおいて、個々の規定を有する国に対して、本願において言及されている寄託された生物学的材料の試料の供与は、無関係の、指名された専門家に対してのみなさ得ることを要求する(適用可能な場合、特にオーストラリア、カナダ、クロアチア、デンマーク、フィンランド、ドイツ、アイスランド、ノルウェー、シンガポール、スペイン、スウェーデン、英国、ヨーロッパにおいて、「エキスパートソリューション(expert solution)」の要求)。
【0626】
したがって、ヨーロッパに関しては、出願人は、寄託された生物学的材料が、EPC規則28(3)において規定されるように、特許を付与する旨の告示が公表されるまで、または特許出願が拒絶され、取り下げられ、もしくは取り下げられたものとみなされる場合には出願の日から20年間、試料の請求人により指名された専門家に試料を分譲することによってのみ入手可能となされる(EPC規則28(4))ことを要求する。
【0627】
【数6】
【0628】
【数7】
出願人整理番号:48 603 K
受託番号DSM 18726についての、PCT/RO/134様式に基づくさらなる表示
出願人はここにおいて、個々の規定を有する国に対して、本願において言及されている寄託された生物学的材料の試料の供与は、無関係の、指名された専門家に対してのみなさ得ることを要求する(適用可能な場合、特にオーストラリア、カナダ、クロアチア、デンマーク、フィンランド、ドイツ、アイスランド、ノルウェー、シンガポール、スペイン、スウェーデン、英国、ヨーロッパにおいて、「エキスパートソリューション(expert solution)」の要求)。
【0629】
したがって、ヨーロッパに関しては、出願人は、寄託された生物学的材料が、EPC規則28(3)において規定されるように、特許を付与する旨の告示が公表されるまで、または特許出願が拒絶され、取り下げられ、もしくは取り下げられたものとみなされる場合には出願の日から20年間、試料の請求人により指名された専門家に試料を分譲することによってのみ入手可能となされる(EPC規則28(4))ことを要求する。
【0630】
【数8】
【0631】
【数9】
出願人整理番号:48 603 K
受託番号DSM 18727についての、PCT/RO/134様式に基づくさらなる表示
出願人はここにおいて、個々の規定を有する国に対して、本願において言及されている寄託された生物学的材料の試料の供与は、無関係の、指名された専門家に対してのみなさ得ることを要求する(適用可能な場合、特にオーストラリア、カナダ、クロアチア、デンマーク、フィンランド、ドイツ、アイスランド、ノルウェー、シンガポール、スペイン、スウェーデン、英国、ヨーロッパにおいて、「エキスパートソリューション(expert solution)」の要求)。
【0632】
したがって、ヨーロッパに関しては、出願人は、寄託された生物学的材料が、EPC規則28(3)において規定されるように、特許を付与する旨の告示が公表されるまで、または特許出願が拒絶され、取り下げられ、もしくは取り下げられたものとみなされる場合には出願の日から20年間、試料の請求人により指名された専門家に試料を分譲することによってのみ入手可能となされる(EPC規則28(4))ことを要求する。
【0633】
【数10】
【0634】
【数11】
出願人整理番号:48 603 K
受託番号DSM 18728についての、PCT/RO/134様式に基づくさらなる表示
出願人はここにおいて、個々の規定を有する国に対して、本願において言及されている寄託された生物学的材料の試料の供与は、無関係の、指名された専門家に対してのみなさ得ることを要求する(適用可能な場合、特にオーストラリア、カナダ、クロアチア、デンマーク、フィンランド、ドイツ、アイスランド、ノルウェー、シンガポール、スペイン、スウェーデン、英国、ヨーロッパにおいて、「エキスパートソリューション(expert solution)」の要求)。
【0635】
したがって、ヨーロッパに関しては、出願人は、寄託された生物学的材料が、EPC規則28(3)において規定されるように、特許を付与する旨の告示が公表されるまで、または特許出願が拒絶され、取り下げられ、もしくは取り下げられたものとみなされる場合には出願の日から20年間、試料の請求人により指名された専門家に試料を分譲することによってのみ入手可能となされる(EPC規則28(4))ことを要求する。
【0636】
【数12】