特許第5771357号(P5771357)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5771357
(24)【登録日】2015年7月3日
(45)【発行日】2015年8月26日
(54)【発明の名称】液圧式端部フロート調節器
(51)【国際特許分類】
   F16C 17/04 20060101AFI20150806BHJP
   F16C 17/06 20060101ALI20150806BHJP
   F16C 33/10 20060101ALI20150806BHJP
   F16C 33/74 20060101ALI20150806BHJP
【FI】
   F16C17/04 B
   F16C17/06
   F16C33/10 Z
   F16C33/74 Z
【請求項の数】15
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2010-43552(P2010-43552)
(22)【出願日】2010年2月26日
(65)【公開番号】特開2010-276197(P2010-276197A)
(43)【公開日】2010年12月9日
【審査請求日】2013年1月16日
(31)【優先権主張番号】12/455,333
(32)【優先日】2009年6月1日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】510055356
【氏名又は名称】ウォーキシャー ベアリングス コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】バリー ジェイ. ブライアー
(72)【発明者】
【氏名】ドナルド エス. ピッシュ
【審査官】 久島 弘太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−310142(JP,A)
【文献】 特開平10−184670(JP,A)
【文献】 特開平10−299765(JP,A)
【文献】 特開2004−173492(JP,A)
【文献】 特開2009−057990(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16C 17/04
F16C 17/06
F16C 33/10
F16C 33/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スラストベアリングシステムであって、
該スラストベアリングシステムは、
ベアリングハウジングであって、該ベアリングハウジングは、ほぼ円筒形の側壁を有し、該ハウジングは、該円筒形の側壁の内部表面に形成された環状窪みを有する、ベアリングハウジングと、
ベアリングであって、該ベアリングは、該ベアリングハウジング内に少なくとも部分的に配置され、該ベアリングは、第1の収縮位置と第2の伸長位置との間で長手方向に可動であり、該ベアリングは、該ベアリングの外周に形成されたベアリングフランジを有する、ベアリングと、
該ベアリングハウジング内の該環状窪みと、該ベアリングの該ベアリングフランジとの間に形成された環状流体空洞と、
該ベアリングハウジングの該側壁を通って延びる少なくとも1つの流体通路であって、該流体通路は、該ベアリングハウジングの側壁の外部表面において第1の端部を有し、かつ、該流体空洞と流体連通する第2の端部を有し、該流体通路の該第2の端部は、該ベアリングが該第1の収縮位置および該第2の伸長位置の両方にあるときに該環状窪みおよび該ベアリングハウジングのそれぞれの長手方向位置の間に長手方向に位置する、少なくとも1つの流体通路と
を備えている、スラストベアリングシステム。
【請求項2】
前記ベアリングは、少なくとも1つのベアリング表面をさらに含む、請求項1に記載のスラストベアリングシステム。
【請求項3】
前記ベアリング表面は、平坦なスラスト面である、請求項2に記載のスラストベアリングシステム。
【請求項4】
前記ベアリング表面は、テーパランドスラストベアリングである、請求項2に記載のスラストベアリングシステム。
【請求項5】
前記ベアリング表面は、少なくとも1つのチルトパッドスラスト面を有する、請求項2に記載のスラストベアリングシステム。
【請求項6】
前記ベアリングハウジングに連結された少なくとも1つのベアリング保持器をさらに備え、該ベアリング保持器は、該ベアリングハウジングに対する前記ベアリングの動きを制限するように寸法設定され、構成されている、請求項5に記載のスラストベアリングシステム。
【請求項7】
前記ベアリングと前記ベアリングハウジングとの間に配置された少なくとも1つのシーリング要素をさらに備えている、請求項1に記載のスラストベアリングシステム。
【請求項8】
前記少なくとも1つのシーリング要素はOリングである、請求項7に記載のスラストベアリングシステム。
【請求項9】
前記ベアリングを通って延びる少なくとも1つのベアリング流体通路をさらに備え、該ベアリング流体通路は、前記流体空洞において第1の端部を有し、かつ、前記ベアリング表面の近傍に第2の端部を有する、請求項2に記載のスラストベアリングシステム。
【請求項10】
ベアリングシステム内の端部クリアランスを低減する方法であって、
該方法は、
ベアリングハウジングを提供することであって、該ベアリングハウジングは、ほぼ円筒形の側壁を有し、該側壁は、内部表面および外部表面を有し、該ベアリングハウジングは、該内部表面に形成された環状窪みを有し、該ベアリングハウジングは、該ベアリングハウジングの該側壁を通って延びる少なくとも1つの流体通路を含む、ことと、
ベアリングを提供することであって、該ベアリングは、該ベアリングハウジング内に少なくとも部分的に位置するように、寸法設定され、構成され、該ベアリングは、該ベアリングの外周に形成されたベアリングフランジを有し、流体空洞が、該ベアリングの該ベアリングフランジと、該ベアリングハウジングの該環状窪みとの間に形成され、該流体空洞が該流体通路と流体連通する、ことと、
流体を該流体空洞に導入することにより、ベアリング空洞内の圧力の増加を引き起こし、それにより該ベアリングフランジに作用し、該ベアリングを該ベアリングハウジングから離れるように動かすことと
を包含する、方法。
【請求項11】
前記流体通路は、前記ベアリングハウジングの側壁の前記外部表面において第1の端部を有し、かつ、前記流体空洞に隣接する該ベアリングハウジングの側壁の前記内部表面において第2の端部を有する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記動かすステップは、オイルを前記流体通路の前記第1の端部に供給することをさらに包含する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記ベアリングを潤滑することをさらに包含する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記潤滑するステップは、前記ベアリング内に少なくとも1つの潤滑通路を提供することをさらに包含し、該潤滑通路は前記流体空洞と流体連通する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記潤滑通路は、前記流体空洞において第1の端部を有し、かつ、ベアリング表面において第2の端部を有する、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
(発明の背景)
スラストベアリングは、軸方向荷重を支持しながら、部品間の回転を可能にする一種のベアリングである。流体フィルムベアリングは、一種のスラストベアリングであり、ベアリングの荷重は、液体または気体の薄い流体層またはフィルム上に支持され、この層またはフィルムは、相対運動においてベアリング表面間に形成される。流体ベアリングは、しばしば、広範囲の荷重およびスピードをカバーする多くの用途において用いられる。
【0002】
平坦なランドスラストベアリング、(ランドを有したり有しなかったりする)テーパスラストベアリング、およびチルトパッドスラストベアリングは、三種類の流体フィルムスラストベアリングである。平坦ランドスラストベアリングは、平坦板またはワッシャ(しばしば放射状の溝を有する)を利用して、軸方向荷重を保持する。テーパランドスラストベアリングは、平坦ランドスラストベアリングに似ているが、ベアリング表面に複数のプロフィール(一例としてはテーパランド)を有する平板を利用する。チルトパッドスラストベアリングは、多くの個別のセグメント(またはパッド)を利用し、これらの個別のセグメントの各々は、ほぼ最適な流体楔を形成するように旋回または傾斜するように構成されており、このほぼ最適な流体楔は、いずれの方向においても大きく変化するスピードに対して、かつ種々の潤滑剤を用いて高荷重を支持する。一部の用途において、レベリングリンクがピボットの後ろに配置され、小さな不整列を調整し、複数のパッドの各々における荷重を均等にする。
【0003】
スラストベアリングは、回転シャフトとともに利用され、この回転シャフトは、スラストカラー、ランナーまたはブロックを含む。シャフトが2つのスラストベアリング間を移動し得る距離は、端部クリアランス(end clearance)または軸方向クリアランスと呼ばれる。
【0004】
一般的に、端部クリアランスは、システムを組み立てるときにユーザによって設定される。クリアランスのサイズは、システムの性能に影響を与え得る。具体的には、相対的に大きなクリアランスは振動がシステム内で発生することを可能にし得る。この理由のために、ユーザはベアリングの着座およびシステムの許容性に非常に気をつける必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、システムセットアップにおいて厳しい許容性に対するニーズを低減させることと、振動の発生を防ぐためにクリアランスを低減させることとのために、端部クリアランスにおいて振動に対して対処する(account for)ことが可能なベアリングを提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(発明の概要)
本発明は端部クリアランスを低減させることと、ベアリングシステム内の振動を防ぐこととのためのシステムおよび方法を提供する。
【0007】
本発明の一局面は、スラストベアリングシステムを提供し、該スラストベアリングシステムは、固定のベアリングハウジングと、該ベアリングハウジング内に少なくとも部分的に配置され、第1の収縮位置と第2の伸長位置との間で可動である、可動ベアリングと、該ベアリングハウジングと、ベアリング保持器との間に形成された流体空洞と、該固定のベアリングハウジングを通って延びる少なくとも1つの流体通路であって、該流体通路は、該ベアリングハウジングの外部表面に第1の端部と、該流体空洞と流体連通する第2の端部とを有する、少なくとも1つの流体経路とを備えている。
【0008】
スラストベアリングシステムは、少なくとも1つのベアリング表面をさらに含み得る。
【0009】
スラストベアリングシステムのベアリング表面は、平坦なスラスト面であり得る。
【0010】
スラストベアリングシステムのベアリング表面は、テーパランドスラストベアリングであり得る。
【0011】
スラストベアリングシステムのベアリング表面は、少なくとも1つのチルトパッドスラスト面であり得る。
【0012】
スラストベアリングシステムは、ベアリングハウジングに連結された少なくとも1つのベアリング保持器をさらに備え得、該保持器は、該ベアリングハウジングに対する前記ベアリングの動きを制限するように寸法設定され、構成されている。
【0013】
スラストベアリングシステムは、可動ベアリングとベアリングハウジングとの間に配置された少なくとも1つのシーリング要素をさらに備え得る。
【0014】
スラストベアリングシステムの少なくとも1つのシーリング要素はOリングであり得る。
【0015】
スラストベアリングシステムは、ベアリングを通って延びる少なくとも1つの第2の流体通路をさらに備え得、該第2の流体通路は、前記流体空洞において第1の端部と、前記ベアリング表面の近くに第2の端部とを有する。
【0016】
本発明の別の局面は、ベアリングシステム内の端部クリアランスを低減する方法を提供し、該方法は、ベアリングハウジングを提供することであって、該ベアリングハウジングは、該ベアリングハウジング内に流体支持空洞を有し、該ベアリングハウジングは少なくとも1つの流体通路を含む、ことと、ベアリングを提供することであって、該ベアリングは、該ベアリングハウジング内に少なくとも部分的に着座するように、寸法設定され、構成され、流体空洞が該ベアリングの外部表面と、該ベアリングハウジングの内部表面との間で形成され、該流体空洞が該流対通路と流体連通する、ことと、該ベアリングを該ベアリングハウジングから離れるように動かすこととを包含する。
【0017】
上記方法の流体通路は、ベアリングハウジングの外部表面近傍にに第1の端部を有し得、流体空洞に隣接するベアリングハウジングの内部表面において第2の端部を有し得る。
【0018】
上記方法の動かすステップは、オイルを流体通路の前記第1の端部に供給することを包含し得る。
【0019】
上記方法は、ベアリングを潤滑することを包含し得る。
【0020】
上記方法の潤滑するステップは、ベアリング内に少なくとも1つの潤滑通路を提供することをさらに包含し、潤滑通路は流体空洞と流体連通する。
【0021】
上記方法の潤滑通路は流体空洞において第1の端部を有し得、ベアリング表面において第2の端部を有し得る。
【0022】
例えば、本発明は以下の項目を提供する。
(項目1)
スラストベアリングシステムであって、
固定のベアリングハウジングと、
可動ベアリングであって、該ベアリングは該ベアリングハウジング内に少なくとも部分的に配置され、該ベアリングは第1の収縮位置と第2の伸長位置との間で可動である、可動ベアリングと、
該ベアリングハウジングと、ベアリング保持器との間に形成された流体空洞と、
該固定のベアリングハウジングを通って延びる少なくとも1つの流体通路であって、該流体通路は、該ベアリングハウジングの外部表面において第1の端部と、該流体空洞と流体連通する第2の端部とを有する、少なくとも1つの流体経路と
を備えている、スラストベアリングシステム。
(項目2)
上記可動ベアリングは、少なくとも1つのベアリング表面をさらに含む、上記項目に記載のスラストベアリングシステム。
(項目3)
上記ベアリング表面は、平坦なスラスト面である、上記項目のいずれかに記載のスラストベアリングシステム。
(項目4)
上記ベアリング表面は、テーパランドスラストベアリングである、上記項目のいずれかに記載のスラストベアリングシステム。
(項目5)
上記ベアリング表面は、少なくとも1つのチルトパッドスラスト面である、上記項目のいずれかに記載のスラストベアリングシステム。
(項目6)
上記ベアリングハウジングに連結された少なくとも1つのベアリング保持器をさらに備え、該保持器は、該ベアリングハウジングに対する上記ベアリングの動きを制限するように寸法設定され、構成されている、上記項目のいずれかに記載のスラストベアリングシステム。
(項目7)
上記可動ベアリングと上記ベアリングハウジングとの間に配置された少なくとも1つのシーリング要素をさらに備えている、上記項目のいずれかに記載のスラストベアリングシステム。
(項目8)
上記少なくとも1つのシーリングはOリングである、上記項目のいずれかに記載のスラストベアリングシステム。
(項目9)
上記ベアリングを通って延びる少なくとも1つの第2の流体通路をさらに備え、該第2の流体通路は、上記流体空洞において第1の端部と、上記ベアリング表面の近傍に第2の端部とを有する、上記項目のいずれかに記載のスラストベアリングシステム。
(項目10)
ベアリングシステム内の端部クリアランスを低減する方法であって、
ベアリングハウジングを提供することであって、該ベアリングハウジングは、該ベアリングハウジング内に流体支持空洞を有し、該ベアリングハウジングは少なくとも1つの流体通路を含む、ことと、
ベアリングを提供することであって、該ベアリングは、該ベアリングハウジング内に少なくとも部分的に位置するように、寸法設定され、構成され、流体空洞が該ベアリングの外部表面と、該ベアリングハウジングの内部表面との間に形成され、該流体空洞が該流対通路と流体連通する、ことと、
該ベアリングを該ベアリングハウジングから離れるように動かすことと
を包含する、方法。
(項目11)
上記流体通路は、上記ベアリングハウジングの上記外部表面近傍に第1の端部を有し、上記流体空洞に隣接する該ベアリングハウジングの上記内部表面において第2の端部を有する、上記項目に記載の方法。
(項目12)
上記動かすステップは、オイルを上記流体通路の上記第1の端部に供給することをさらに包含する、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目13)
上記ベアリングを潤滑することをさらに包含する、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目14)
上記潤滑するステップは、上記ベアリング内に少なくとも1つの潤滑通路を提供することをさらに包含し、該潤滑通路は上記流体空洞と流体連通する、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目15)
上記潤滑通路は上記流体空洞において第1の端部を有し、ベアリング表面において第2の端部を有する、上記項目のいずれかに記載の方法。
【0023】
(摘要)
端部クリアランスおよび軸方向の振動を低減するベアリングシステムは、ベアリングハウジングとベアリングとを含む。ベアリングはスラストベアリングであり、例えば、平坦スラスト面、テーパランドスラストベアリングまたはチルトパッドスラストベアリングのような任意の種類であり得る。ベアリングハウジングはベアリングを保持する空洞を含む。流体空洞は、ベアリングとベアリングハウジングとの間に形成される。少なくとも1つの流体通路がベアリングハウジングから延び、流体を流体空洞に送る。流体が流体空洞に導入されると、空洞内の圧力がベアリングを外側にベアリングハウジングから離れるように、そして、回転スラストカラーに向かうように動かし、ベアリング面とスラストカラーとの間のクリアランスまたは空間を低減し、振動を低減または除去する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1は、本発明に従うベアリングシステムの一実施形態の前部平面図である。
図2図2は、図1の線2−2に沿ってとられた断面図である。
図3図3は、図1のベアリングシステムの一部の分解斜視図である。
図4A図4Aおよび図4Bは、図1のベアリングシステムの一部の、それぞれ伸長位置および収縮位置における部分断面図である。
図4B図4Aおよび図4Bは、図1のベアリングシステムの一部の、それぞれ伸長位置および収縮位置における部分断面図である。
図5図5は、本発明に従うベアリングシステムの代替の実施形態の前部平面図である。
図6図6は、図5の線5−5に沿ってとられた断面図である。
図7図7は、本発明に従うベアリングシステムのさらなる代替の実施形態の前部平面図である。
図8図8は、図7の線8−8に沿ってとられた断面図である。
図9図9は、本発明に従うベアリングシステムのさらなる代替の実施形態の前部平面図である。
図10図10は、図9の線10−10に沿ってとられた断面図である。
図11図11は、シャフトとスラストカラーと共に使用する際の図1のベアリングシステムの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
(好適な実施形態の説明)
本明細書の開示は、当業者が本発明を実施することが可能であるように詳しく、正確であるが、本明細書において開示される物理的な実施形態は、本発明を単に例示しているだけであり、本発明は他の詳細な構造において具体化され得る。好適な実施形態が説明されているが、詳細は、特許請求の範囲によって規定される本発明から逸脱することなしに変更され得る。
【0026】
図1図10において示される例示された実施形態のベアリングシステム10、110、210、310は、それぞれ、ベアリングハウジング12、112、212、312と、ベアリング14、114、214、314とを備えている。ベアリング14、114、214、314は、好適にはスラストベアリングであり、平坦スラスト面、テーパランドスラストベアリングまたはチルトパッドスラストベアリングを含むが、これらに限定されない当該分野で公知の任意のタイプであり得る。ベアリング14、114、214、314は、好適には、少なくとも部分的にベアリングハウジング12、112、212、312内に保持される。好適には少なくとも1つの流体空洞44、144、244、344が、ベアリング14、114、214、314と、ベアリングハウジング12、112、212、312との間に形成される。好適には少なくとも1つの流体通路42、142、242、342が、ベアリングハウジング12、112、212、312を通って延び、流体を流体空洞44、144、244、344に送る。
【0027】
使用時、流体は、流体空洞44、144、244、344に導入される。空洞44、144、244、344が充填されると、空洞44、144、244、344内の圧力は、ベアリング14、114、214、314を外側に、ベアリングハウジング12、112、212、312から離れるように、かつ、スラストカラーを一般的に備えているロータに向かって動かし、このロータは回転シャフトの一部である。この態様で、ベアリング14、114、214、314の面とスラストカラーとの間のクリアランスまたは空間が低減される。
【0028】
本発明において、ベアリング14、114、214、314が移動する距離は非常に小さい。しかしながら、クリアランスにおける比較的小さい変化でさえ、シャフトの軸に沿った振動を低減するか、または取り除くことが理解されるべきである。本明細書において具現化される発明は、ベアリングとカラーとの間の間隔を液圧式に低減することによって、この問題を克服する。(例えば、使用によって)スラストカラーに荷重が加えられる場合、スラストカラーは、ベアリングシステム10、110、210、310からの液圧荷重を克服し、ベアリング14、114、214、314がベアリングハウジング12、112、212、312に対して完全に着座するまで、ベアリング14、114、214、314をベアリングハウジング12、112、212、312に向けて押す。
【0029】
必要に応じて、シール52、152、252、352が、ベアリングハウジング12、112、212、312とベアリング14、114、214、314との間に配置され、流体空洞44、144、244、344を密閉する。クリアランスが十分に小さい場合に、もし十分な圧力が流体空洞内に保持されて、ベアリングとロータとの間のクリアランスを低減するならば、シールは必要とされない。必要に応じて、追加の流体通路68、168、268、368が、ベアリングハウジング12、112、212、312および/またはベアリング14、114、214、314内に提供され得、ベアリングに潤滑流体を提供する。この態様で、ベアリングシステム10、110、210、310は、ベアリング面18、118、218、318とロータとの間の端部のクリアランスを低減することと、ベアリング14、114、214、314を潤滑することとの両方を行い得る。
【0030】
物理的な停止部が、ベアリング14、114、214、314がスラストカラーに向けて動き得る移動の量を制限するために用いられ得ることが企図される。このような物理的な停止部は、肩つきネジ、輪、締結タブ、鍵を含み得るが、これらに限定はされない。物理的な停止部が使用され得ず、ベアリング14、114、214、314の動きが単にスラストカラーによってのみ制限され得ることもさらに企図される。
【0031】
流体力学的なフィルムを充填させるために必要とされる流体の量が低減され、そのことがフィルムのより良好な動的性能を提供することが企図される。スラストベアリングを介する流体供給圧力が、シャフト上に荷重を伝え、ロータベアリングに事前荷重を与え、このことはジャーナルベアリングにおける横方向の振動を低減する。
【0032】
ベアリングシステム10、110、210、310は、そのシステムが利用される機械の軸方向端部フロートを設定するために調整可能であり、このことが軸方向端部フロートにおける許容差を増加させることが企図される。言い換えると、顧客は、本明細書において記載されるようにベアリングシステム10、110、210、310を用いる場合に端部クリアランスを設定するときに特定のことを行う必要はない。
【0033】
図1図4および図11は、液圧式に調整されるベアリングシステム10の例示された実施形態を示す。ベアリングシステム10は、ベアリングハウジング12とベアリング14とを含み得る。ベアリング14は、好適には、チルトパッドスラストベアリング保持器16と少なくとも2つのチルトパッド18を含む。
【0034】
オプションで、所望の場合には、ベアリングシステム10は、図1に示されるような外部ハウジング20をさらに含み得る。利用される場合には、外部ハウジング20はベアリングハウジングと一体的に形成され得るか、または図1に示されるように別個に形成され得ることが企図される。ベアリングシステム10は、図1に示されるような外部ハウジングスペーサ22をさらに含み得る。利用される場合には、外部ハウジングスペーサ22は、外部ハウジング20と一体的に形成され得るか、または図1に示されるように別個に形成され得ることが企図される。
【0035】
外部ハウジング20は、ほぼ円筒形の空洞24を含む。ベアリングハウジング12は好適には、ほぼ円筒形の空洞24内に適合する。ベアリングハウジング12は、少なくとも1つのピストンロック26によって、外部ハウジング空洞24内に保持され得る。外部ハウジング20は、内部表面上に形成された環状窪み28を含み得る。ベアリングハウジング12は、結果として、後部表面上に形成された環状突起30を含み得る。ベアリングハウジング12の環状突起30は、好適には外部ハウジング20の環状窪み28と嵌合するように寸法設定され、構成されている。
【0036】
ベアリングハウジング12は、好適には、外部表面に形成された窪み32を含む。図2Aに示されるように、ベアリングハウジング12が外部ハウジング20内に配置される場合には、第1の流体空洞34が窪み32と外部ハウジング20の内部表面36との間に画定される。ベアリングハウジング12は好適にはほぼ円筒形の空洞38を含む。好適には、ベアリングハウジング12は、円筒形空洞38上の内部表面上に形成された環状窪み40を含む。図2に示されるように、ベアリングハウジング12は、好適には、ベアリングハウジング12を通る少なくとも1つの流体通路42を含む。少なくとも1つの流体通路42は、流体が流体通路42を通過することを可能にするように寸法設定され、構成されている。
【0037】
ベアリング14は、好適には、ベアリングハウジング12内に位置する。ベアリング14は、チルトパッドスラスト保持器16を含み、該チルトパッドスラスト保持器16は、ベアリングハウジング空洞38内に少なくとも部分的に着座されるように寸法設定され、構成されている。図2Aに示されるように、第2の流体空洞44は、チルトパッドスラスト保持器16の外部表面と、ベアリングハウジング12の内部表面との間で画定される。ベアリングが荷重下にあり、ハウジングと直接接触している場合でさえも、(スロット、溝またはチャネルを含み得るがこれらに限定されない)追加のオイル通路45が、オイルを供給するための経路と、ベアリング保持器16とハウジング12との間に存在する圧力とを提供するために用いられ得る。
【0038】
チルトパッドスラスト保持器16は、チルトパッドスラストパッド18を保持する。チルトパッドスラスト保持器16は、好適には環状窪み46を含む。チルトパッドスラストパッド18は、好適には、環状窪み46内に少なくとも部分的に着座する。必要に応じて、ベアリングシステム10は、軸方向ベアリング保持器48を含み得る。例示される実施形態において、軸方向ベアリング保持器48は、保持リングの形態をとる。しかしながら、ベアリングシステム10は、肩ネジまたはタブを含むが、これらに限定されない、当該分野で公知の軸方向ベアリング保持器48の任意の形態を利用し得ることが企図される。ベアリングシステム10は軸方向ベアリング保持器48を提供されない可能性があることもまた企図される。
【0039】
図1に見られるように、外部ハウジング20は、好適には、流体通路50を含む。流体は、流体通路50を通過し、第1の流体空洞34に入る。ベアリングハウジング12は、好適には、第1の空洞34を密閉する手段52を含む。例示される実施形態において、第1の空洞34を密閉する手段52は、ベアリングハウジング12の外部表面の窪みに配置される一対のOリングであり、1つのOリングが空洞34のそれぞれの側に配置される。流体は、次いで、ベアリングハウジング12内の流体通路42を通過し得、第2の流体空洞44に入り得る。チルトパッドスラスト保持器16は、第2の流体空洞44を密閉する手段を含み得る。例示される実施形態において、第2の流体空洞44を密閉する手段52は、チルトパッドスラスト保持器16の外部表面内の窪みに配置される。
【0040】
流体は第2の流体空洞44に入るので、第2の流体空洞44内で圧力が増加し、このことがチルトパッドスラスト保持器16を、その伸長位置に移動させる。図4Aおよび4Bに示されるように、ベアリング14は、ベアリングハウジング12に対して外側に動く。チルトパッドスラスト保持器16を、その伸長位置に動かすことによって、任意の軸方向の端部クリアランスが低減されるか、または取り除かれる。
【0041】
図11に示されるように、ベアリングシステム10は、好適には、スラストカラー74を有する回転シャフト72と共に利用される。使用中、ベアリング14は、システムによって加えられた液圧力によって、その伸長位置に動かされる(図4A参照)。ベアリング14が伸長位置にあるとき、ベアリング表面18は、好適にはスラストカラー74と係合する。シャフトシステムが使用されているとき、スラストカラー74上の荷重がベアリングシステム10によって加えられる液圧力を超える場合には、ベアリング14が、スラストカラー74によってその収縮位置(図4B参照)に戻るように力を受ける。
【0042】
必要に応じて、ベアリング14は、少なくとも1つの潤滑流体通路68を含み得ることが企図される。潤滑流体通路68は、好適には、流体空洞44と流体連通し、ベアリング面18を潤滑するために流体を提供し得る。この態様で、ベアリング10の潤滑およびベアリング10の移動が、同一の供給流体を用いて達成され得る。
【0043】
例示される実施形態は、外部ハウジング20および外部ハウジングスペーサ22と共に用いられるベアリングハウジング12を利用するベアリングシステム10を示しているが、ベアリングハウジング12は、ベアリングハウジング12単独で使用され得ることが企図される。外部ハウジング20および/または外部ハウジングスペーサ22なしでベアリングハウジング12が使用される場合には、ベアリングハウジング12の構成は変更され得る。このような実施形態において、流体はベアリングハウジング流体通路42に直接供給され、流体空洞44に送られる。
【0044】
ベアリングシステム110の別の実施形態が図5および6に示されている。ベアリングシステム110は、好適には、ベアリングハウジング112とベアリング114とを含み、ベアリング114は、チルトパッドスラスト保持器116と少なくとも1つのチルトパッドスラストパッド118とを含む。
【0045】
ベアリングハウジング112は、好適には、ほぼ円筒形の空洞138を含む。好適には、ベアリングハウジング112は、円筒形空洞138の内部表面上に形成された環状窪み140を含む。ベアリングハウジング112は、好適には、図6に示されているように、少なくとも1つの流体空洞134を含む。図6に示されているように、ベアリングハウジング112は、ベアリングハウジング112を通る少なくとも1つの流体通路142を含む。少なくとも1つの流体通路142は、流体が流体通路142を通過することを可能にするように寸法設定され、構成され、流体を流体空洞134に提供するように適合されている。
【0046】
ベアリング114は、好適には、少なくとも部分的にベアリングハウジング空洞138の内部に着座させられるように寸法設定され、構成されている。ベアリング114は、好適には、チルトパッドスラスト保持器116と、少なくとも1つのチルトパッドスラストパッド118とを含む。図6に示されるように、第2の流体空洞144は、チルトパッドスラスト保持器116の外部表面と、ベアリングハウジング112の内部表面との間に画定される。第1の流体空洞134は、好適には、第2の流体空洞144と流体連通する。
【0047】
チルトパッドスラスト保持器116は、チルトパッドスラストパッド118を保持する。チルトパッドスラスト保持器116は、好適には、環状窪み146を含む。チルトパッドスラストパッド118は、好適には、少なくとも部分的に環状窪み146内部に位置する。必要に応じて、ベアリングシステム110は、軸方向ベアリング保持器(図示せず)を含み得る。軸方向ベアリング保持器は、保持リング、肩ネジまたはタブを含むが、それらに限定されない当該分野で公知の任意の形態をとり得る。ベアリングシステム110は、例示される実施形態のように、軸方向ベアリング保持器が提供されない可能性があることもまた企図される。
【0048】
図6に見られるように、ベアリングハウジング112は、好適には、少なくとも1つの流体通路142を含む。流体は通路142を通過し、第1の流体空洞132に入る。
ベアリングハウジング112は、第1の流体空洞134を密閉する手段152を含み得る。流体は、次いで、形成される少なくとも1つの第2の流体通路154を通り、ベアリングハウジング112を通り、第2の流体空洞144に入る。図4Aおよび4Bに関して前述したように、流体が第2の流体空洞144に入るとき、第2の流体空洞144内で圧力が増加し、このことが、ベアリング114をその伸長位置に動かす。ベアリング114は、ベアリングハウジング112に対して動く。ベアリング114をその伸長位置に動かすことによって、任意の軸方向端部クリアランスが低減される。
【0049】
図6に示されるように、潤滑流体空洞138は、ハウジング空洞134と、直接的な連通状態にある必要はない。別個のオイル供給および結果として別個の圧力が、各空洞138および134に提供され得る。この実施形態は、軸方向の端部クリアランスを低減するため、および振動を低減または除去するために用いられる液圧力の追加の制御を可能にする。図示されていないが、空洞138および134は、Oリングまたは他の手段によって、互いから密閉され得る。
【0050】
図7および8は、液圧式に調整されたベアリングシステム210の例示された実施形態を示す。ベアリングシステム210は、ベアリングハウジング212とベアリング214とを含み得る。ベアリング214は、当該分野で公知の任意の形態をとり得る。例示される実施形態において、ベアリング214は、テーパランドスラストベアリングの形態をとる。ベアリング214は、好適には、スラスト板保持器216とスラスト板218とを含む。
【0051】
ベアリングハウジング212は、好適には、ほぼ円筒形の空洞238を含む。好適には、ベアリングハウジング212は、円筒形の空洞238の内部表面上に形成された環状窪み240を含む。ベアリングハウジング212は、好適には、ベアリングハウジング212を通る少なくとも1つの流体通路242を含む。少なくとも1つの流体通路242は、流体が流体通路242を通過することを可能にするように寸法設定され、構成され、以下により詳細に記載されるように流体を流体空洞244に送るように適合されている。必要に応じて、ベアリングハウジング212またはスラスト面保持器216は、流体空洞244を密閉する手段252を含み得る。
【0052】
ベアリング214は、好適には、少なくとも部分的にベアリングハウジング空洞238内に着座させられるように寸法設定され、構成されている。図8に示されるように、流体空洞244は、スラスト面保持器216の外部表面と、ベアリングハウジング212との間に画定される。オプションで、図8に示されるように、スラスト面保持器216の少なくとも一部256が低減した外面直径を有する。スラスト面保持器216は、好適には、スラスト面保持器216の外径において、スラスト面保持器216の前表面から延びる環状突起260を含む。これはベアリング面218が着座させられ得る空洞246を形成する。
【0053】
必要に応じて、ベアリングシステム210は、図8に示されるようなスラスト板シム板258をさらに含み得る。このシム板258は、好適には、スラスト板保持器突起260によって形成された空洞246内に少なくとも部分的に着座させられるように寸法設定され、構成されている。このシム板258は、好適には、シム板258の内径において、シム板258の前表面から延びる環状突起262を含む。ベアリングシステム210は、スラスト面板218をさらに含み得る。スラスト面板218は、好適には、少なくとも部分的にシム板218上に着座させられるように寸法設定され、構成されている。
【0054】
図8において示されるように、少なくとも1つの流体通路242は、ベアリングハウジング212を通って流体空洞244まで延びる。流体は少なくとも1つの流体通路242に入り、ベアリングハウジング212を通って、流体空洞244に入る。図4Aおよび4Bに関して前述したように、流体が流体空洞244に入るとき、流体空洞244内で圧力が増加し、このことが、ベアリング214をその伸長位置に動かす。ベアリング214は、ベアリングハウジング212に対して動く。ベアリング214をその伸長位置に動かすことによって、任意の軸方向端部クリアランスが低減されるか、または取り除かれる。
【0055】
必要に応じて、ベアリング214は、少なくとも1つの潤滑流体通路268を含み得ることが企図される。潤滑流体通路268は、好適には、流体空洞244と流体連通し、ベアリング面218を潤滑するために流体を提供し得る。この態様で、ベアリング210の潤滑およびベアリング210の移動が、同一の供給流体を用いて達成され得る。
【0056】
図9および10は、液圧式に調整されたベアリングシステム310の代替の実施形態を示す。図9および10の例示された実施形態は、ジャーナルベアリング364を含むが、3つのジャーナルベアリング364が必要に応じて除外され得ることが企図されることが留意されるべきである。ベアリングシステム310は、好適には、ベアリングハウジング312とベアリング314とを含み得る。この実施形態において、ベアリングは、テーパランドスラストベアリングを含むか、または任意の他の種類のスラストベアリングであり得る。
【0057】
ベアリングハウジング312は、好適には、ほぼ円筒形の空洞338を含む。好適には、スラスト板318は、少なくとも部分的にベアリングハウジングの円筒形の空洞338内に着座する。例示される実施形態においては、ほぼ環状の端部板370が、ベアリングハウジング空洞312の内部端部壁と、スラスト面318との間に着座する。必要に応じて、端部板370は、少なくとも1つの固定部材(例えば、ねじであるが、これに限定されない)によって、ベアリングハウジング12に固定され得る。この端部板370は、ジャーナルベアリングを適切な位置に保持するように寸法が合わせられ、構成されている。しかしながら、ベアリングシステム310がジャーナルベアリング364を含まない場合には、端部板370が必要とされないことが理解されるべきである。端部板370がハウジング320と一体化され得ることがさらに企図される。
【0058】
図10において見られるように、スラスト板318の少なくとも一部366が低減された外径を有する。スラスト板318が、ベアリングハウジング空洞338内に配置されるとき、流体空洞344がベアリングハウジング312の内壁と、スラスト板316の低減された直径の領域366との間に規定される。ベアリングハウジング312は、好適には、ベアリングハウジング312を通って延びる少なくとも1つの流体通路342を含む。流体通路342は、好適には、流体を流体空洞344に送るように寸法が合わせられ、構成されている。必要に応じて、スラスト板318は、スラスト板318を通って延びる少なくとも1つの潤滑流体通路を含み得る。潤滑流体通路368は、好適には、空洞344と流体連通する。
【0059】
この態様で、ベアリングシステムに提供される流体は、ベアリングハウジング流体通路342を通って、流体空洞344に入る。図4Aおよび図4Bに関して前述されたように、流体が流体空洞344に入ると、流体空洞344内の圧力が増加し、このことがベアリング314をベアリングハウジング312に対して動かす。ベアリング314をその展開位置に動かすことによって、任意の軸方向端部クリアランスが低減されるか、または除去される。必要に応じて、流体は、ベアリング板流体通路368を通ってスラストベアリング面318に提供され得る。
【0060】
必要に応じて、ベアリング314が少なくとも1つの潤滑流体通路368を含み得ることが企図される。潤滑流体通路368は、好適には、流体空洞344と流体連通し、ベアリング面318を潤滑するために、流体を提供し得る。この態様で、ベアリング310の潤滑およびベアリング310の移動が、同一の供給流体を用いて達成され得る。
【0061】
上記の例示された実施形態10、110、210、310のうちの任意のものが、ベアリング12、112、212、312と、ベアリング14、114、214、314自体との間に形成された空洞を密閉するために少なくとも1つの密閉要素52、152、252、352を含み得ることが企図される。密閉要素52、152、252、352は、Oリングを含むがこれに限定されない当該分野で公知の任意の形態をとり得る。
【0062】
任意の種類のスラストベアリング表面18、118、218、318が、例示された実施形態の任意のものに示されるベアリングハウジング12、112、212、312のうちの任意のものとの接続に利用され得ることもさらに企図される。
【0063】
上記のベアリングシステム10、110、210、310の例示された実施形態のうちの任意の実施形態が任意の種類のベアリング保持器48を含み得るか、またはベアリング保持器を含まない可能性があり得ることがさらに企図される。
【0064】
上記のベアリングシステム10、110、210、310の例示された実施形態のうちの任意のものが図1および図2の例示された実施形態に示された外部ハウジングおよび/またはスペーサと共に利用され得るか、あるいは外部ハウジングおよび/または外部ハウジングおよび/またはスペーサを含み得ないことがさらに企図される。
【0065】
任意の流体がベアリングシステムを達成するために利用され得ることがさらに企図される。これらの流体は水、オイルおよび空気を含むが、これらに限定されない。
【0066】
前述は、本発明の原理の例示としてのみ考えられる。さらに、多くの修正および変化が当業者には容易に思いつくので、本発明を示され説明された正確な構成および動作に限定することは望ましくない。好適な実施形態が記載されてきたが、特許請求の範囲によって規定される本発明から逸脱することなしに詳細が変更され得る。
【符号の説明】
【0067】
10 ベアリングシステム
12 ベアリングハウジング
14 ベアリング
16 チルトパッドスラストベアリング保持器
18 チルトパッド
20 外部ハウジング
22 外部ハウジングスペーサ
24 ほぼ円筒形の空洞
26 ピストンロック
28 環状窪み
30 環状突起
34 第1の流体空洞
42 流体通路
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11