(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明では、
図1〜
図3を参照して、
参考例および本発明の実施の形態を模式的に説明した後、具体的な構成例を説明する。
【0017】
[
参考例1]
図1は、
参考例1に係る振れ補正機能付きの光学ユニットの構成を模式的に示す説明図であり、
図1(a)、(b)は、可動モジュールの支持板と鋼球とによって揺動支点を構成した場合の説明図、および可動モジュールの支持板と固定体の半球状の凸部とによって
揺動支点を構成した場合の説明図である。
【0018】
図1(a)において、本形態の振れ補正機能付きの光学ユニット100は、固定体200と、レンズおよび撮像素子などの光学素子を保持する可動モジュール10(撮像ユニット1)と、可動モジュール10を揺動可能に支持する揺動支点180と、揺動支点180を中心に可動モジュール10を揺動させる振れ補正用駆動機構500とを有している。可動モジュール10と固定体200との間には、可動モジュール10を固定体200の底部に向けて付勢するバネ部材600が設けられており、揺動支点180を構成する部材同士は密着した状態にある。
【0019】
かかる光学ユニット100において、光学ユニット100に手振れなどの振れが発生したとき、かかる振れをセンサ(図示せず)が検出し、かかるセンサの検出結果に基づいて振れ補正
用駆動機構500を制御する。その結果、振れ補正
用駆動機構500は、矢印Rで示すように、揺動支点180を中心に可動モジュール10を揺動させるため、光学ユニット100の振れに起因する可動モジュール10の振れを補正することができる。
【0020】
ここで、揺動支点180は、可動モジュール10の底部と固定体200の底部との間において2つの部材の光軸方向での接触部分により構成され、ピボット軸受と同様な構成を有している。より具体的には、まず、固定体200の底部には穴711が形成されており、かかる穴711によって鋼球181(球体)が保持されている。鋼球181は、凸状に湾曲した部分により可動モジュール10の底部に接しており、可動モジュール10は、可動モジュール10と鋼球181との接触部分を支点にして揺動可能である。本形態では、可動モジュール10の底部は、可動モジュール本体に接着固定された支持板183からなり、かかる支持板183と鋼球181とによって揺動支点180が構成されている。
【0021】
また、本形態の光学ユニット100において、互いに接して揺動支点180を構成する2つの部材(支持板183および鋼球181)のうち、支持板183は、ゴムあるいは多孔性エラストマー(ゴムあるいは樹脂)などといった弾性材料からなる。
【0022】
このように構成した振れ補正機能付き光学ユニット100では、可動モジュール10の底部と固定体200の底部との間において2つの部材(支持板183および鋼球181)の光軸方向での接触部分により構成された揺動支点180を利用しているため、可動モジュール10を揺動させる際、揺動支点180を構成する部材を変形させる必要がない。従って、可動モジュール10を小さな力で揺動させることができる。
【0023】
また、本形態では、揺動支点180を構成する2つの部材(支持板183および鋼球181)のうち、支持板183が弾性材料からなるため、衝撃が加わった際、衝撃を弾性材料からなる支持板183により吸収できる。また、弾性材料からなる部材(支持板183)であれば、バネと違って、振動エネルギーを熱エネルギーに変換して吸収する。従って、可動モジュール10と固定体200との間で共振が発生しにくい。それ故、共振によって可動モジュール10と固定体200との相対的な位置関係が変化し続けるという事態を回避することができるため、サーボ制御を行った場合、制御ゲインを高めても制御系が発振することを防止することができる。例えば、可動モジュール10の底部と固定体200の底部との間において、フォトリフレクタ(図示せず)により可動モジュール10の変位を検出し、かかる検出結果に基づいて、振れ補正
用駆動機構500を制御する場合でも、振れ補正
用駆動機構500を適正に制御することができる。
【0024】
また、揺動支点180を構成する2つの部材(支持板183および鋼球181)のうち、一方の部材(鋼球181)は、凸状に湾曲した部分で他方の部材(支持板183)に接している。このため、揺動支点180は、可動モジュール
10が揺動する方向にかかわら
ず、均等に支持することができる。また、湾曲した形状であれば、衝撃を効果的に吸収するので、2つの部材(支持板183および鋼球181)のうち、一方のみが弾性材料からなる構成を採用することができる。なお、揺動支点180を構成する2つの部材(支持板183および鋼球181)の双方を弾性材料により構成してもよい。
【0025】
また、可動モジュール10と固定体200との間には、可動モジュール10を固定体200の底部に向けて付勢するバネ部材600が設けられている。このため、可動モジュール10側と固定体200側とが密に接する状態となるので、可動モジュール10の共振を防止することができる。
【0026】
なお、
図1(a)に示す形態では、可動モジュール10側の支持板183と、固定体200の底部側に位置する鋼球181とによって揺動支点180を構成したが、
図1(b)に示すように、固定体200の底部から可動モジュール10に向けて湾曲した先端部をもって突出した凸部186と支持板183とにより揺動支点180を構成してもよい。
【0027】
かかる構成の場合も、可動モジュール10の底部と固定体200の底部との間において2つの部材(支持板183および凸部186)の光軸方向での接触部分により構成された揺動支点180を利用しているため、可動モジュール10を揺動させる際、揺動支点180を構成する部材を変形させる必要がない。従って、可動モジュール10を小さな力で揺動させることができる。また、本形態では、揺動支点180を構成する2つの部材(支持板183および凸部186)のうち、支持板183が弾性材料からなるため、衝撃が加わった際、衝撃を弾性材料からなる支持板183により吸収できる。従って、可動モジュール10と固定体200との間で共振が発生しにくい。
【0028】
[
実施の形態1]
図2は、本発明の
実施の形態1に係る振れ補正機能付きの光学ユニットの構成を模式的に示す説明図であり、
図2(a)、(b)は、固定体の支持板と鋼球とによって揺動支点を構成した場合の説明図、および固定体の支持板と可動モジュールの半球状の凸部とによって揺動支点を構成した場合の説明図である。なお、本形態および以下に説明する形態はいずれも、基本的な構成が
参考例1と同様であるため、共通する部分には同一の符号を付してそれらの説明を省略する。
【0029】
図2(a)において、本形態の振れ補正機能付きの光学ユニット100でも、
参考例1と同様、固定体200と、レンズおよび撮像素子などの光学素子を保持する可動モジュール10(撮像ユニット1)と、可動モジュール10を揺動可能に支持する揺動支点180と、揺動支点180を中心に可動モジュール10を揺動させる振れ補正用駆動機構500とを有している。かかる光学ユニット100において、光学ユニット100に手振れなどの振れが発生したとき、かかる振れをセンサ(図示せず)が検出し、かかるセンサの検出結果に基づいて振れ補正
用駆動機構500を制御して、揺動支点180を中心に可動モジュール10を揺動させる。
【0030】
ここで、揺動支点180は、可動モジュール10の底部と固定体200の底部との間において2つの部材の光軸方向での接触部分により構成されている。より具体的には、まず、可動モジュール10の底部には穴185が形成されており、かかる穴185によって鋼球181が保持されている。鋼球181は、凸状に湾曲した部分により固定体200の底部に接しており、可動モジュール10は、鋼球181と固定体200の底部との接触部分を支点にして揺動可能である。本形態では、固定体200の底部は、固定体本体に接着固定された支持板188からなり、かかる支持板188と鋼球181とによって揺動支点180が構成されている。
【0031】
また、本形態の光学ユニット100において、互いに接して揺動支点180を構成する2つの部材(支持板188および鋼球181)のうち、支持板188は、ゴムあるいは多孔性エラストマー(ゴムあるいは樹脂)などといった弾性材料からなる。
【0032】
従って、本形態の振れ補正機能付き光学ユニット100でも、
参考例1と同様、可動モジュール10の底部と固定体200の底部との間において2つの部材(支持板188および鋼球181)の光軸方向での接触部分により構成された揺動支点180を利用しているため、可動モジュール10を揺動させる際、揺動支点180を構成する部材を変形させる必要がない。従って、可動モジュール10を小さな力で揺動させることができる。また、本形態では、揺動支点180を構成する2つの部材(支持板188および鋼球181)のうち、支持板188が弾性材料からなるため、衝撃が加わった際、衝撃を弾性材料からなる支持板188により吸収できる。また、弾性材料からなる部材(支持板188)であれば、バネと違って、振動エネルギーを熱エネルギーに変換して吸収する。従って、可動モジュール10と固定体200との間で共振が発生しにくい。
【0033】
また、揺動支点180を構成する2つの部材(支持板188および鋼球181)のうち、一方の部材(鋼球181)は、凸状に湾曲した部分で他方の部材(支持板188)に接している。このため、揺動支点180は、可動モジュール
10が揺動する方向にかかわらず、均等に支持することができる。また、湾曲した形状であれば、衝撃を効果的に吸収するので、2つの部材(支持板188および鋼球181)のうち、一方のみが弾性材料からなる構成を採用することができるなど、
参考例1と同様な効果を奏する。
【0034】
なお、
図2(a)に示す形態では、固定体200側の支持板188と、可動モジュール10の底部に位置する鋼球181とによって揺動支点180を構成したが、
図2(b)に示すように、可動モジュール10の底部から固定体200に向けて湾曲した先端部をもって突出した凸部187と、支持板188とにより揺動支点180を構成してもよい。
【0035】
かかる構成の場合も、可動モジュール10の底部と固定体200の底部との間において2つの部材(支持板188および凸部187)の光軸方向での接触部分により構成された揺動支点180を利用しているため、可動モジュール10を揺動させる際、揺動支点180を構成する部材を変形させる必要がない。従って、可動モジュール10を小さな力で揺動させることができる。また、本形態では、揺動支点180を構成する2つの部材(支持板188および凸部187)のうち、支持板188が弾性材料からなるため、衝撃が加わった際、衝撃を弾性材料からなる支持板188により吸収できる。また、弾性材料からなる部材(支持板188)であれば、バネと違って、振動エネルギーを熱エネルギーに変換して吸収する。従って、可動モジュール10と固定体200との間で共振が発生しにくいなど、
参考例1と同様な効果を奏する。
【0036】
[
参考例2]
図3は、
参考例2に係る振れ補正機能付きの光学ユニットの構成を模式的に示す説明図であり、
図3(a)、(b)は、可動モジュールの支持板と球体とによって揺動支点を構成した場合の説明図、および固定体の支持板と球体とによって揺動支点を構成した場合の説明図である。
【0037】
図3(a)において、本形態の振れ補正機能付きの光学ユニット100も、
図1(a)を参照して説明した形態と同様、揺動支点180は、可動モジュール10の底部と固定体200の底部との間において2つの部材の光軸方向での接触部分により構成されている。より具体的には、まず、固定体200の底部には穴711が形成されており、かかる穴711によって球体184が保持されている。球体184は、凸状に湾曲した部分により可動モジュール10の底部に接しており、可動モジュール10は、可動モジュール10と球
体184との接触部分を支点にして揺動可能である。本形態では、可動モジュール10の底部は、可動モジュール本体に接着固定された支持板183からなり、かかる支持板183と球体184とによって揺動支点180が構成されている。
【0038】
ここで、支持板183は金属板など剛性基板であるのに対して、球体184は、ゴムあるいは多孔性エラストマー(ゴムあるいは樹脂)などといった弾性材料からなる。従って、衝撃が加わった際、衝撃を弾性材料からなる球体184により吸収できる。また、弾性材料からなる部材(球体184)であれば、バネと違って、振動エネルギーを熱エネルギーに変換して吸収する。従って、可動モジュール10と固定体200との間で共振が発生しにくいなど、
参考例1と同様な効果を奏する。
【0039】
なお、
図3(a)に示す形態では、可動モジュール10側の支持板183と、弾性材料からなる球体184とによって揺動支点180を構成したが、
図3(b)に示すように、固定体200側の支持板188(剛性基板)と、弾性材料からなる球体184とによって揺動支点180を構成してもよい。
【0040】
[
参考例1の具体的構成例]
以下の説明においては、可動モジュール10として撮像ユニット1の手振れを防止するための構成を例示する。また、以下の説明では、互いに直交する3方向を各々X軸、Y軸、Z軸とし、光軸L(レンズ光軸)に沿う方向をZ軸とする。また、以下の説明では、各方向の振れのうち、X軸周りの回転は、いわゆるピッチング(縦揺れ)に相当し、Y軸周りの回転は、いわゆるヨーイング(横揺れ)に相当し、Z軸周りの回転は、いわゆるローリングに相当する。また、X軸の一方側には+Xを付し、他方側には−Xを付し、Y軸の一方側には+Yを付し、他方側には−Yを付し、Z軸の一方側(被写体側とは反対側)には+Zを付し、他方側(被写体側)には−Zを付して説明する。なお、以下に説明した形態は、
図1(a)を参照して説明した形態に対応するが、
図1(b)、
図2(a)、(b)および
図3(a)、(b)を参照して説明した形態も略同様に構成することができる。
【0041】
(撮影用の光学ユニットの全体構成)
図4は、
参考例1に係る振れ補正機能付きの光学ユニットを携帯電話機等の光学機器に搭載した様子を模式的に示す説明図である。
図5は、
参考例1に係る振れ補正機能付きの光学ユニットの外観等を示す斜視図であり、
図5(a)、(b)は、光学ユニットを被写体側からみたときの斜視図、および光学ユニットを被写体側と反対側からみたときの斜視図である。
【0042】
図4に示す光学ユニット100(振れ補正機能付き光学ユニット)は、カメラ付き携帯電話機等の光学機器1000に用いられる薄型カメラであって、光学機器1000のシャーシ1100(機器本体)に支持された状態で搭載される。かかる光学ユニット100では、撮影時に光学機器1000に手振れ等の振れが発生すると、撮像画像に乱れが発生する。そこで、本形態の光学ユニット100には、後述するように、撮像ユニット1からなる可動モジュールを固定体200内で揺動可能に支持するとともに、光学ユニット100に搭載したジャイロスコープ(図示せず)、あるいは光学機器1000の本体側に搭載したジャイロスコープ(図示せず)等の振れ検出センサによって手振れを検出した結果に基づいて、撮像ユニット1を揺動させる振れ補正用駆動機構(
図4では図示せず)が設けられている。
【0043】
図4および
図5に示すように、光学ユニット100には、撮像ユニット1や振れ補正用駆動機構への給電等行うためのフレキシブル配線基板410、420が引き出されており、かかるフレキシブル配線基板410、420は、共通のコネクタ490等を介して光学機器1000の本体側に設けられた上位の制御部等に電気的に接続されている。また、フ
レキシブル配線基板410は、撮像ユニット1から信号を出力する機能も担っている。このため、フレキシブル配線基板410は、配線数が多いので、フレキシブル配線基板410としては、比較的幅広のものが使用されている。
【0044】
(撮像ユニット1の構成)
図6は、
参考例1に係る振れ補正機能付きの光学ユニット100に搭載されている撮像ユニット1の構成を模式的に示す断面図である。
図7は、
参考例1に係る振れ補正機能付きの光学ユニット100に搭載されている撮像ユニット1の分解斜視図である。
【0045】
図6および
図7に示すように、撮像ユニット1は、例えば、光学素子としての複数枚のレンズ1a(
図4参照)を光軸L方向に沿って被写体(物体側)に近づくA方向(前側)、および被写体とは反対側(撮像素子側/像側)に近づくB方向(後側)の双方向に移動させる光学素子ユニットであり、略直方体形状を有している。撮像ユニット1は、概ね、複数枚のレンズ1a(
図4参照)および固定絞り等の光学素子を内側に保持した移動体3と、この移動体3を光軸L方向に沿って移動させるレンズ駆動機構5と、レンズ駆動機構5および移動体3等が搭載された支持体2とを有している。移動体3は、レンズ1aおよび固定絞り(図示せず)を保持する円筒状のレンズホルダ12と、レンズホルダ12を内側に保持するコイルホルダ13とを備えており、コイルホルダ13の外周側面には、レンズ駆動機構5を構成するレンズ駆動用コイル30s、30tが保持されている。
【0046】
支持体2は、被写体側(−Z側)とは反対側で、後述するバネを保持するバネホルダ19と、バネホルダ19に対して被写体側(−Z側)とは反対側で実装基板15を位置決めする矩形板状の基板ホルダ16と、バネホルダ19に対して被写体側で被さる箱状のケース18と、ケース18の内側に配置される矩形板状のスペーサー11とを備えており、実装基板15において被写体側に向く基板面151には撮像素子1bが実装されている。また、バネホルダ19には、赤外線フィルタ等のフィルタ1cが保持されている。スペーサー11およびケース18の中央には、被写体からの光をレンズ1aに取り込むための入射窓11a、18aが各々形成されている。また、基板ホルダ16およびバネホルダ19の中央には、入射光を撮像素子1bに導く窓16a、19aが形成されている。
【0047】
ケース18は、鋼板等の強磁性板からなり、ヨークとしても機能する。このため、ケース18は、後述するレンズ駆動用マグネット17とともに、レンズ駆動用コイル30s、30tに鎖交する磁界を発生させる鎖交磁界発生体を構成しており、かかる鎖交磁界発生体は、コイルホルダ13の外周面に巻回されたレンズ駆動用コイル30s、30tとともにレンズ駆動機構5を構成している。
【0048】
支持体2と移動体3とは、光軸方向で離間する位置に設けられた金属製のバネ部材14sと、バネ部材14tとを介して接続されている。本形態では、撮像素子1bの側にはバネ部材14sが用いられ、被写体の側にはバネ部材14tが用いられている。バネ部材14s、14tは基本的な構成が同様であり、支持体2側に保持される外周側連結部141と、移動体3の側に保持される円環状の内周側連結部142と、外周側連結部141と内周側連結部142とを接続する細幅のアーム部143とを備えている。撮像素子1b側のバネ部材14sは、バネホルダ19に外周側連結部141が保持され、内周側連結部142が移動体3のコイルホルダ13の撮像素子側端部に連結されている。かかるバネ部材14sにおいて、アーム部143は、周方向に円弧状に延在している。被写体側のバネ部材14tは、スペーサー11に外周側連結部141が保持され、内周側連結部142が移動体3のコイルホルダ13の被写体側端部に連結されている。かかるバネ部材14tにおいて、アーム部143は、径方向において蛇行しながら周方向に円弧状に延在している。このような構成により、移動体3は、バネ部材14s、14tを介して支持体2に光軸の方向に移動可能に支持されている。バネ部材14s、14tはいずれも、ベリリウム銅や非
磁性のSUS系鋼材等といった非磁性の金属製であり、所定厚の薄板に対するプレス加工、あるいはフォトリソグラフィ技術を用いたエッチング加工により形成したものである。バネ部材14sは、2つのバネ片に2分割されており、レンズ駆動用コイル30s、30tの各端末は各々、バネ片に接続される。また、バネ部材14sにおいて、2つのバネ片には各々、端子14a、14bが接続されており、バネ部材14sはレンズ駆動用コイル30s、30tに対する給電部材としても機能する。
【0049】
コイルホルダ13の被写体側端部にはリング状の磁性片61が保持されており、かかる磁性片61の位置は、レンズ駆動用マグネット17に対して被写体側の位置である。このため、磁性片61は、レンズ駆動用マグネット17との間に作用する吸引力により移動体3に対して光軸Lの方向の付勢力を印加する。このため、非通電時(原点位置)においてはレンズ駆動用マグネット17と磁性片61との吸引力によってレンズホルダ12を撮像素子1b側に静置することができる。また、磁性片61は、一種のヨークとして作用し、レンズ駆動用マグネット17とレンズ駆動用コイル30s、30tとの間に構成される磁路からの漏れ磁束を少なくすることができる。磁性片61としては、棒状あるいは球状の磁性体が用いられることもある。磁性片61をリング形状にすれば、レンズホルダ12が光軸方向に移動する際にレンズ駆動用マグネット17と引き合う吸引力が等方的になるという効果がある。さらに、レンズ駆動用コイル30s、30tに対する通電時、磁性片61はレンズ駆動用マグネット17から離間する方向に移動するので、撮像素子1b側にレンズホルダ12を押し付けるような余計な力は働かない。そのため、少ない電力でレンズホルダ12を光軸方向に移動させることができる。
【0050】
本形態の撮像ユニット1において、光軸Lの方向からみたとき、レンズ1a(
図4参照)は円形であるが、支持体2に用いたケース18は矩形箱状である。従って、ケース18は、角筒状胴部18cを備えており、角筒状胴部18cの上面側には、入射窓18aが形成された上板部18bを備えている。角筒状胴部18cの内側において、四角形の角に相当する側面部にはレンズ駆動用マグネット17が固着されており、かかるレンズ駆動用マグネット17は各々、三角柱状の永久磁石からなる。4つのレンズ駆動用マグネット17はいずれも光軸の方向において2分割されており、いずれにおいても内面と外面とが異なる極に着磁されている。このため、コイルホルダ13の周りにおいて、2つのレンズ駆動用コイル30s、30tにおける巻回方向は反対である。このように構成した移動体3は、ケース18の内側に配置される。その結果、レンズ駆動用コイル30s、30tは各々、ケース18の角筒状胴部18cの内面に固着されたレンズ駆動用マグネット17に対向して、レンズ駆動機構5を構成することになる。
【0051】
このように構成した撮像ユニット1において、移動体3は、通常は撮像素子側(Z軸方向の一方側)に位置しており、このような状態において、レンズ駆動用コイル30s、30tに所定方向の電流を流すと、レンズ駆動用コイル30s、30tは、それぞれ被写体側(Z軸方向の他方側)に向かう電磁力を受けることになる。これにより、レンズ駆動用コイル30s、30tが固着された移動体3は、被写体側(前側)に移動し始めることになる。このとき、バネ部材14tと移動体3の前端との間、およびバネ部材14sと移動体3の後端との間には、移動体3の移動を規制する弾性力が発生する。このため、移動体3を前側に移動させようとする電磁力と、移動体3の移動を規制する弾性力とが釣り合ったとき、移動体3は停止する。その際、バネ部材14s、14tによって移動体3に働く弾性力に応じて、レンズ駆動用コイル30s、30tに流す電流量を調整することで、移動体3を所望の位置に停止させることができる。
【0052】
(光学ユニット100の構成)
図8は、
参考例1に係る振れ補正機能付きの光学ユニット100の内部構造を示す断面図であり、
図8(a)、(b)は、光学ユニット100のYZ断面図、および光学ユニッ
ト100のXZ断面図である。なお、
図8では、撮像ユニット1についてはケース18、基板ホルダ16および実装基板15のみを図示し、その他の部材について図示を省略してある。
図9は、
参考例1に係る振れ補正機能付きの光学ユニット100を被写体側からみたときの分解斜視図であり、
図10は、
参考例1に係る振れ補正機能付きの光学ユニット100を被写体側とは反対側からみたときの分解斜視図である。
【0053】
図8、
図9および
図10において、光学ユニット100は、まず、固定体200と、撮像ユニット1と、撮像ユニット1が固定体200に変位可能に支持された状態とするバネ部材600と、撮像ユニット1と固定体200との間で撮像ユニット1を固定体200に対して相対変位させる磁気駆動力を発生させる振れ補正用駆動機構500とを有している。撮像ユニット1の外周部分は、撮像ユニット1において支持体2に用いたケース18(
図7参照)からなる。
【0054】
固定体200は上カバー250、スペーサー280および下カバー700を備えており、上カバー250は、撮像ユニット1の周りを囲む角筒状胴部210と、角筒状胴部210の被写体側の開口部を塞ぐ端板部220とを備えている。端板部220には、被写体からの光が入射する窓220aが形成されている。上カバー250において、角筒状胴部210は、被写体側(光軸Lが延在している側)とは反対側(+Z側)の端部が開放端になっている。また、角筒状胴部210においてY軸方向で対向する2つの面のうち、Y軸方向の一方側+Yに位置する面には切り欠き219が形成されており、かかる切り欠き219は、フレキシブル配線基板420を、後述するシート状コイル550の端子部と接続する際に利用される。また、角筒状胴部210の4面には、後述するスペーサー280との係合に利用される切り欠き218が形成されており、切り欠き218のうち、Y軸方向に位置する2つの切り欠き218は、切り欠き219と繋がって一体の切り欠きを構成している。また、角筒状胴部210において、Y軸方向で対向する2つ個所の下端側には切り欠き218と繋がった切り欠き217が形成されており、かかる2つの切り欠き217のうち、Y軸方向の一方側+Yの切り欠き217は、フレキシブル配線基板410を外部に引き出すのに利用される。
【0055】
スペーサー280は、上カバー250の角筒状胴部210と下カバー700との間に挟持される四角形の枠部281と、枠部281の角部分から被写体側に向けて突出した柱状部283と、枠部281の辺部分で外側に向けて小さく突出する係合突部285とを備えている。スペーサー280に対して上カバー250を被せた際、上カバー250の角筒状胴部210において四角形状に切り欠かれた切り欠き218に係合突部285が係合して、スペーサー280と上カバー250との位置決めが行われる。
【0056】
下カバー700は、金属板に対するプレス加工品であり、略矩形の底板部710と、底板部710の外周縁から被写体側に向けて起立する4つの側板部720とを備えている。かかる下カバー700に対してスペーサー280および上カバー250を重ねた際、側板部720は、上カバー250の角筒状胴部210との間にスペーサー280の枠部281を挟持する。
【0057】
下カバー700の側板部720のうち、Y軸方向の一方側+Yに位置する側板部720には、切り欠き728が形成されているとともに、かかる切り欠き728の中央部には、側板部720の一部が板状突起729として残されている。また、側板部720のうち、Y軸方向の他方側−Yに位置する側板部720にも窓状の切り欠き726が形成されているとともに、かかる切り欠き726の中央部には、側板部720の一部が桟部727として残されている。かかる切り欠き726、728のうち、切り欠き728は、後述するように、フレキシブル配線基板410を外部に引き出すのに利用され、切り欠き726は、折り返し部分413が下カバー700の側板部720と干渉するのを防止するのに利用さ
れる。
【0058】
下カバー700の底板部710にはその中央位置に穴711が形成されているとともに、穴711に対してX軸方向の他方側−Xで隣接する位置、および穴711に対してY軸方向の他方側−Yで隣接する位置には、矩形形状に凹んだ凹部716、717が形成されている。後述するように、凹部716、717の底部716a、717aの内面は略鏡面になっており、底部716a、717aは、実装基板15において被写体側とは反対側の基板面152に実装された第1フォトリフレクタ580および第2フォトリフレクタ590に対する反射面として利用される。
【0059】
かかる下カバー700は、熱処理により非磁性化した金属部品からなる。より具体的には、下カバー700はSUS304等の金属材料を所定形状に曲げ加工や絞り加工等を行なった金属部品からなる。ここで、SUS304等に曲げ加工や絞り加工等を行なうと、オーステナイトの一部がマルテンサイトに転移し磁性をもつが、本形態では、曲げ加工や絞り加工等の後、熱処理を行なって下カバー700を得ている。このため、光学ユニット100を組み立てる際、永久磁石520と下カバー700との吸着等を防止することができる。また、SUS304等の金属材料に熱処理を行うと、反射率が高くなるので、下カバー700は、第1フォトリフレクタ580および第2フォトリフレクタ590に対する反射面として利用するのに十分な反射率を備えている。
【0060】
(揺動支点の構成)
撮像ユニット1に対してZ軸の一方側+Z(被写体側とは反対側)では、撮像ユニット1と固定体200の下カバー700との間に、撮像ユニット1を揺動させる際の揺動支点180が設けられており、撮像ユニット1は、バネ部材600によって揺動支点180を介して下カバー700に向けて付勢されている。本形態において、揺動支点180は、下カバー700の底板部710に形成された穴711に位置決めされた鋼球181と、実装基板15の基板面152に固着された支持板183とによって構成されており、撮像ユニット1は、鋼球181と支持板183との接触位置を揺動中心にして揺動可能である。
【0061】
このように、本形態の振れ補正機能付き光学ユニット100では、
図1(a)を参照して説明したように、可動モジュール10の底部と固定体200の底部との間において2つの部材(支持板183および鋼球181)の光軸方向での接触部分により構成された揺動支点180が構成されている。ここで、揺動支点180を構成する2つの部材(支持板183および鋼球181)のうち、支持板183は、ゴムなどの弾性材料からなる。
【0062】
(バネ部材600の構成)
バネ部材600は、固定体200において下カバー700の側板部720とスペーサー280の枠部281との間に挟持される固定側連結部620と、撮像ユニット1に連結される可動側連結部610と、可動側連結部610と固定側連結部620の間で延在する複数本のアーム部630とを備えた板状バネ部材であり、アーム部630の両端は各々、可動側連結部610および固定側連結部620に繋がっている。本形態において、バネ部材600の可動側連結部610は、撮像ユニット1の後端側において基板ホルダ16の外周側に形成された段部168に固着されている。かかるバネ部材600は、ベリリウム銅や非磁性のSUS系鋼材等といった非磁性の金属製であり、所定厚の薄板に対するプレス加工、あるいはフォトリソグラフィ技術を用いたエッチング加工により形成したものである。
【0063】
ここで、バネ部材600の固定側連結部620を固定体200において下カバー700の側板部720とスペーサー280の枠部281との間に挟持した状態で、鋼球181より被写体側に撮像ユニット1を配置すると、撮像ユニット1は鋼球181よって被写体側
に押し上げられた状態となる。このため、バネ部材600において、可動側連結部610は固定側連結部620よりも被写体側に押し上げられた状態となり、バネ部材600のアーム部630は、撮像ユニット1を被写体側とは反対側に付勢する。従って、撮像ユニット1は、バネ部材600によって揺動支点180を介して下カバー700の底板部710に向けて付勢された状態になり、撮像ユニット1は、揺動支点180によって揺動可能な状態に固定体200に支持された状態となる。
【0064】
(振れ補正用駆動機構の構成)
図8〜
図10に示すように、本形態の光学ユニット100では、コイル部560と、コイル部560に鎖交する磁界を発生させる永久磁石520とによって、振れ補正用駆動機構500が構成されている。より具体的には、撮像ユニット1においてケース18の角筒状胴部18cの4つの外面18e、18f、18g、18hには平板状の永久磁石520が各々固定されており、上カバー250の角筒状胴部210の内面211、212、213、214にはコイル部560配置されている。永久磁石520は、外面側および内面側が異なる極に着磁されている。また、永久磁石520は、光軸L方向に配置された2つの磁石片からなり、かかる磁石片は、コイル部560と対向する側の面が異なる極に着磁されている。また、コイル部560は、四角形の枠状に形成されており、上下の長辺部分が有効辺として利用される。
【0065】
これらの永久磁石520およびコイル部560のうち、撮像ユニット1をY軸方向の両側で挟む2箇所に配置された永久磁石520およびコイル部560はY側振れ補正用駆動機構500yを構成しており、
図8(a)に矢印X1、X2で示すように、揺動支点180を通ってX軸方向に延在する軸線X0を中心にして撮像ユニット1を揺動させる。また、撮像ユニット1をX軸方向の両側で挟む2箇所に配置された永久磁石520およびコイル部560はX側振れ補正用駆動機構500xを構成しており、
図8(b)に矢印Y1、Y2で示すように、揺動支点180を通ってY軸方向に延在する軸線Y0を中心にして撮像ユニット1を揺動させる。
【0066】
かかるY側振れ補正用駆動機構500yおよびX側振れ補正用駆動機構500xを構成するにあたって、本形態では、上カバー250の4つの内面211、212、213、214に沿って延在するシート状コイル550が用いられており、シート状コイル550では、4つのコイル部560が所定の間隔を空けて一体に形成されている。また、シート状コイル550は展開したときの帯状に延在する形状を備えており、上カバー250の4つの内面211、212、213、214に沿うように折り曲げた状態で上カバー250の内面211〜214に面接着等の方法で固定されている。この状態で、シート状コイル550の両端部551、552はスリット555を介して近接することになる。
【0067】
かかるシート状コイル550は、導電配線技術を利用して微細な銅配線からなるコイル部560をプリント基板上に形成した構造を有しており、複数層の銅配線(コイル部560)が絶縁膜を介して多層に形成されている。また、銅配線(コイル部560)の表面も絶縁膜で覆われている。かかるシート状コイル550としては、例えば、旭化成エレクトロニクス株式会社製のFPコイル(ファインパターンコイル(登録商標))を挙げることができる。
【0068】
本形態では、シート状コイル550の一方の端部551には、被写体側とは反対側に矩形に突出した突部553が形成されており、かかる突部553には、4つのコイル部560から延在する導電層によって複数の端子部565が形成されている。本形態において、端子部565は、シート状コイル550において永久磁石520と対向する内側とは反対側の外側に向いている。また、
図5、
図9および
図10に示すように、上カバー250において端子部565と重なる部分は、切り欠き219が形成されている。このため、シー
ト状コイル550の端子部565(突部553)は外面に露出しているので、かかる切り欠き219において、シート状コイル550と、フレキシブル配線基板420において光軸Lの方向に向けて折り曲げられた端部425とはハンダ等により電気的に接続されている。
【0069】
このように構成した光学ユニット100において、撮像ユニット1は、揺動支点180によって揺動可能な状態に固定体200に支持された状態にある。従って、外部から大きな力が加わって撮像ユニット1が大きく揺動すると、バネ部材600のアーム部630が塑性変形するおそれがある。ここで、シート状コイル550と永久磁石520とは狭い隙間を介して対向している。また、シート状コイル550の場合、空芯コイルと違って、永久磁石520と当接しても巻線が解けることがない。そこで、本形態の光学ユニット100では、シート状コイル550と永久磁石520との当接によって、撮像ユニット1の光軸Lと交差するX軸方向およびY軸方向の可動範囲が規制されており、撮像ユニット1の揺動を阻止するストッパ機構が他に設けられていない。
【0070】
また、本形態では、シート状コイル550が用いられているため、単体の空芯コイルを用いた場合に比して、撮像ユニット1と固定体200との間隔を狭めることができるので、光学ユニット100のサイズを小さくすることができる。また、シート状コイル550の場合、複数のコイル部560が端子部565と一体に設けられているため、光軸L周りの複数個所にコイル部560を配置する場合でも、シート状コイル550を光軸L周りに延在させればよい。従って、単体の空芯コイルを用いた場合と違って、光軸L周りの複数個所の各々に単体の空芯コイルを配置する必要がないとともに、複数の単体の空芯コイルの各々に電気的な接続を行なう必要がないので、本形態によれば、組立工数が少なく済む。また、シート状コイル550において、端子部565は、永久磁石520と対向する側とは反対側の外側に向いているため、コイル部560に対する電気的接続、すなわち、端子部565へのフレキシブル配線基板420の接続を容易に行なうことができる。
【0071】
(振れ補正動作)
本形態の光学ユニット100において、
図4に示す光学機器1000が振れると、かかる振れはジャイロスコープによって検出されるとともに、上位の制御部では、ジャイロスコープでの検出に基づいて、振れ補正用駆動機構500を制御する。すなわち、ジャイロスコープで検出した振れを打ち消すような駆動電流をフレキシブル配線基板410およびフレキシブル配線基板420を介してシート状コイル550のコイル部560に供給する。その結果、X側振れ補正用駆動機構500xは、揺動支点180を中心に撮像ユニット1をY軸周りに揺動させる。また、Y側振れ補正用駆動機構500yは、揺動支点180を中心に撮像ユニット1をX軸周りに揺動させる。また、撮像ユニット1のX軸周りの揺動、およびY軸周りの揺動を合成すれば、XY面全体に対して撮像ユニット1を変位させることができる。それ故、光学ユニット100で想定される全ての振れを確実に補正することができる。かかる撮像ユニット1に対する駆動の際、撮像ユニット1の変位は、
図11および
図9を参照して後述するように、第1フォトリフレクタ580および第2フォトリフレクタ590によって監視される。
【0072】
(フレキシブル配線基板410の構成)
本形態の光学ユニット100において、撮像ユニット1の実装基板15には、フレキシブル配線基板410の一方の端部が接続されており、撮像ユニット1を揺動させた際にフレキシブル配線基板410が撮像ユニット1に負荷を印加すると、撮像ユニット1を適正に揺動させるのに支障がある。
【0073】
そこで、フレキシブル配線基板410は、光学ユニット100の外部に位置する本体部分415は、コネクタ490の搭載やフレキシブル配線基板420の接続が可能な広幅に
なっているが、光学ユニット100の内側に位置する部分は、本体部分415より幅寸法の狭い帯状部分411になっている。また、帯状部分411は、Y軸方向の一方側+Yから他方側−Yに向けて延在した後、一方側+Yに向けて折り返され、その後、端部が実装基板15の縁に沿って実装基板15の被写体側の基板面に向けて折り返されて固定されている。このため、フレキシブル配線基板410は、外部の本体部分415から実装基板15に固定にされている部分までの間に折り返し部分413が設けられている分、寸法が長い。従って、フレキシブル配線基板410の帯状部分は、撮像ユニット1の振れにスムーズに追従するので、大きな負荷を撮像ユニット1に印加することがない。
【0074】
また、フレキシブル配線基板410の帯状部分411は、長さ方向の途中部分に、帯状部分411の延在方向(Y軸方向)に沿って延在するスリット418が形成されており、帯状部分411の途中部分は、幅方向において細幅部分416、417に2分割されている。このため、帯状部分411の剛性が緩和されている。従って、フレキシブル配線基板410の帯状部分は、撮像ユニット1の振れにスムーズに追従するので、大きな負荷を撮像ユニット1に印加することがない。
【0075】
ここで、フレキシブル配線基板420の帯状部分411は撮像ユニット1に対して光軸L方向で重なっているが、揺動支点180と重なる部分は、スリット418に繋がる円形の穴414になっている。このため、フレキシブル配線基板420の帯状部分411を撮像ユニット1に対して光軸L方向で重なる位置に配置しても、揺動支点180を設けるのに支障がない。
【0076】
また、下カバー700の側板部720のうち、Y軸方向の一方側+Yに位置する側板部720には、フレキシブル配線基板420の帯状部分411を引き出す切り欠き728が形成され、かかる切り欠き728の中央部には、側板部720の一部が板状突起729として残されている。但し、フレキシブル配線基板420の帯状部分411において、板状突
起729と重なる部分には楕円形の穴419が形成されている。このため、フレキシブル配線基板420の帯状部分411を側板部720の切り欠き728から外部に引き出す際、穴419に板状突起729を通すことができるので、フレキシブル配線基板420の帯状部分411を外部に引き出すのに支障がない。また、穴419に板状突起729を嵌るので、フレキシブル配線基板420の帯状部分411の位置決めを行うことができる。
【0077】
さらに、下カバー700の側板部720のうち、Y軸方向の他方側−Yに位置する側板部720には窓状の切り欠き726が形成されている。このため、フレキシブル配線基板410の折り返し部分413が側板部720の近傍に位置する場合でも、折り返し部分413と側板部720とが干渉することがない。それ故、撮像ユニット1が揺動した際、折り返し部分413と側板部720との干渉に起因する余計な負荷が撮像ユニット1に印加されることがない。
【0078】
さらにまた、フレキシブル配線基板410の折り返し部分413は、揺動支点180における撮像ユニット1の揺動中心(鋼球181と支持板183との接触位置)と同一の高さ位置にある。このため、撮像ユニット1が揺動した際の帯状部分411の変位を小さく抑えることができる。
【0079】
(フォトリフレクタの構成)
図11は、
参考例1に係る振れ補正機能付きの光学ユニット100に設けたフォトリフレクタの説明図であり、
図11(a)、(b)は、光学ユニット100において被写体側とは反対側部分の分解斜視図、およびフォトリフレクタと反射面との位置関係を示す説明図である。
【0080】
図8〜
図11に示すように、本形態の振れ補正機能付きの光学ユニット100では、撮像ユニット1の底部を構成する実装基板15と、固定体200の下カバー700との間には、揺動支点180が構成されているとともに、実装基板15において下カバー700と対向する基板面152には第1フォトリフレクタ580および第2フォトリフレクタ590が実装されている。また、下カバー700の底板部710には、2つの凹部716、717が形成されており、かかる凹部716、717の底部716a、717aの内面は、第1フォトリフレクタ580および第2フォトリフレクタ590に対する第1反射部716cおよび第2反射部717cになっている。なお、第1フォトリフレクタ580および第2フォトリフレクタ590はいずれも、光軸L方向からみたときに長方形の平面形状を有しており、第1フォトリフレクタ580および第2フォトリフレクタ590はいずれも、長手方向の一方側端部に発光部を備え、長手方向の他方側端部に受光部を備えている。また、第1フォトリフレクタ580および第2フォトリフレクタ590では、発光部と受光部との間に遮光部が形成されている。
【0081】
本形態において、第1フォトリフレクタ580は、
図8(b)を参照して説明した軸線X0に光軸L方向で重なる位置に配置されており、第1フォトリフレクタ580の発光中心および受光中心は、軸線X0に線対称な位置に光軸Lと直交する方向で配置されている。また、第2フォトリフレクタ590は、
図8(a)を参照して説明した軸線Y0に光軸L方向で重なる位置に配置されており、第2フォトリフレクタ590の発光中心および受光中心は、軸線Y0に光軸L方向で重なっている。
【0082】
また、第1フォトリフレクタ580および第2フォトリフレクタ590は、長辺がY軸方向に延在するように配置されており、フレキシブル配線基板410の帯状部分411の延在方向と平行である。従って、第1フォトリフレクタ580および第2フォトリフレクタ590は、短辺がフレキシブル配線基板410の幅方向に延在している。このため、第2フォトリフレクタ590は、フレキシブル配線基板410のスリット418と重なる位置に配置して、第2フォトリフレクタ590とフレキシブル配線基板410とが光軸L方向で重ならないように配置した場合でも、スリット418の幅寸法が狭く済む。また、フレキシブル配線基板410の帯状部分411において、細幅部分416の外縁部分に切り欠き416aを形成し、かかる切り欠き416aと重なる位置に第1フォトリフレクタ580を配置して、第1フォトリフレクタ580とフレキシブル配線基板410とが光軸L方向で重ならないように配置した場合でも、切り欠き416aの幅寸法が狭く済む。それ故、撮像ユニット1の底部(実装基板15)と固定体200の下カバー700との間において、第1フォトリフレクタ580および第2フォトリフレクタ590に対して光軸L方向で重なる位置を避けるようにフレキシブル配線基板410の帯状部分411をY軸方向に延在させた場合でも、帯状部分411の幅寸法が比較的、大である。
【0083】
このように構成した第1フォトリフレクタ580および第2フォトリフレクタ590では、実装基板15と下カバー700の底板部710とが平行な状態においては、
図11(b)に示すように、フォトリフレクタ580の発光部から出射された光は、第1反射部716cで反射して第1フォトリフレクタ580の受光部で高い強度で受光され、第2フォトリフレクタ590の発光部から出射された光は、第2反射部717cで反射して第2フォトリフレクタ590の受光部で高い強度で受光される。これに対して、実装基板15と下カバー700の底板部710とが非平行な状態においては、第1フォトリフレクタ580の受光部での受光強度および第2フォトリフレクタ590の受光部での受光強度が低下する。また、第1フォトリフレクタ580の受光部での受光強度および第2フォトリフレクタ590の受光部での受光強度は、撮像ユニット1の固定体200に対する傾きの方向によって変化する。従って、光学ユニット100において手振れを補正することを目的に撮像ユニット1を軸線X0、Y0周りに揺動させた際の撮像ユニット1の傾きを検出でき、かかる検出結果を用いれば、振れ補正用駆動機構500による撮像ユニット1の揺動を
適正に行うことができる。
【0084】
ここで、第1フォトリフレクタ580は軸線X0に光軸L方向で重なる位置に配置され、第2フォトリフレクタ590は軸線Y0に光軸L方向で重なる位置に配置されている。このため、第1フォトリフレクタ580での検出結果によれば、撮像ユニット1が軸線Y0周りに回転した際の撮像ユニット1のZ軸方向への変位を監視することができる。また、第2フォトリフレクタ590での検出結果によれば、撮像ユニット1が軸線X0周りに回転した際の撮像ユニット1のZ軸方向への変位を監視することができる。それ故、撮像ユニット1の軸線X0周りに回転した際の変位、および軸線Y0周りに回転した際の変位を独立して監視することができるので、撮像ユニット1の軸線X0周りの回転、および軸線Y0周りの回転を独立して制御することができる。
【0085】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態の光学ユニット100では、可動モジュールとしての撮像ユニット1を揺動させる振れ補正用駆動機構500が設けられているため、光学ユニット100に手振れ等の振れが発生した際、かかる振れを相殺するように撮像ユニット1を揺動させることができる。このため、光学ユニット100が振れても光軸Lの傾きを補正することができる。
【0086】
また、本形態の振れ補正機能付き光学ユニット100では、可動モジュール10の底部と固定体200の底部との間において2つの部材(支持板183および鋼球181)の光軸方向での接触部分により構成された揺動支点180を利用しているため、可動モジュール10を揺動させる際、揺動支点180を構成する部材を変形させる必要がない。従って、可動モジュール10を小さな力で揺動させることができる。また、本形態では、揺動支点180を構成する2つの部材(支持板183および鋼球181)のうち、支持板183が弾性材料からなるため、衝撃が加わった際、衝撃を弾性材料からなる支持板183により吸収できる。また、弾性材料からなる部材(支持板183)であれば、バネと違って、振動エネルギーを熱エネルギーに変換して吸収する。従って、可動モジュール10と固定体200との間で共振が発生しにくい。それ故、共振によって可動モジュール10と固定体200との相対的な位置関係が変化し続けるという事態を回避することができるため、サーボ制御を行った場合、制御ゲインを高めても制御系が発振することを防止することができる。例えば、可動モジュール10の底部と固定体200の底部との間において、第1フォトリフレクタ580および第2フォトリフレクタ590により可動モジュール10の変位を検出し、かかる検出結果に基づいて、振れ補正
用駆動機構500を制御する場合でも、振れ補正
用駆動機構500を適正に制御することができるなど、
図1(a)を参照して説明した効果を奏する。
【0087】
また、本形態では、フレキシブル配線基板410の折り返し部分413は、揺動支点180における撮像ユニット1の揺動中心(鋼球181と支持板183との接触位置)と同一の高さ位置にある。このため、撮像ユニット1が揺動した際の帯状部分411の変位を小さく抑えることができる。従って、フレキシブル配線基板410が撮像ユニット1に及ぼす影響を低減することができるので、撮像ユニット1を精度よく揺動させることができる。
【0088】
さらに、振れ補正用駆動機構500は、撮像ユニット1の外周面と固定体200(上カバー250)との間に設けられている一方、第1フォトリフレクタ580および第2フォトリフレクタ590は、揺動支点180が設けられている撮像ユニット1の底部(実装基板15)と固定体200(下カバー700)との間を利用して設けられている。このため、撮像ユニット1に対してフォトリフレクタ(第1フォトリフレクタ580および第2フォトリフレクタ590)、揺動支点180、振れ補正用駆動機構500を設けた場合でも
、光軸L方向および光軸方向に対して交差する方向(X軸方向およびY軸方向)のサイズの増大を抑えることができる。
【0089】
[他の実施の形態]
上記実施の形態では、カメラ付き携帯電話機に用いる光学ユニット100に本発明を適用した例を説明したが、薄型のデジタルカメラ等に用いる光学ユニット100に本発明を適用してもよい。また、上記形態では、撮像ユニット1にレンズ1aや撮像素子1bに加えて、レンズ1aを含む移動体3を光軸方向に磁気駆動するレンズ駆動機構5が支持体2上に支持されている例を説明したが、撮像ユニット1にレンズ駆動機構5が搭載されていない固定焦点タイプの光学ユニットに本発明を適用してもよい。
【0090】
さらに、本発明を適用した振れ補正機能付きの光学ユニット100は、携帯電話機やデジタルカメラ等の他、冷蔵庫等、一定間隔で振動を有する装置内に固定し、遠隔操作可能にしておくことで、外出先、たとえば買い物の際に、冷蔵庫内部の情報を得ることができるサービスに用いることもできる。かかるサービスでは、姿勢安定化装置付きのカメラシステムであるため、冷蔵庫の振動があっても安定な画像を送信可能である。また、本装置を児童、学生のカバン、ランドセルあるいは帽子等の、通学時に装着するデバイスに固定してもよい。この場合、一定間隔で、周囲の様子を撮影し、あらかじめ定めたサーバへ画像を転送すると、この画像を保護者等が、遠隔地において観察することで、子供の安全を確保することができる。かかる用途では、カメラを意識することなく移動時の振動があっても鮮明な画像を撮影することができる。また、カメラモジュールのほかにGPSを搭載すれば、対象者の位置を同時に取得することも可能となり、万が一の事故の発生時には、場所と状況の確認が瞬時に行える。さらに、本発明を適用した振れ補正機能付き光学ユニット100を自動車において前方が撮影可能な位置に搭載すれば、ドライブレコーダーとして用いることができる。また、本発明を適用した振れ補正機能付き光学ユニット100を自動車において前方が撮影可能な位置に搭載して、一定間隔で自動的に周辺の画像を撮影し、決められたサーバに自動転送してもよい。また、カーナビゲーションの道路交通情報通信システム等の渋滞情報と連動させて、この画像を配信することで、渋滞の状況をより詳細に提供することができる。かかるサービスによれば、自動車搭載のドライブレコーダーと同様に事故発生時等の状況を、意図せずに通りがかった第三者が記録し状況の検分に役立てることも可能である。また、自動車の振動に影響されることなく鮮明な画像を取得できる。かかる用途の場合、電源をオンにすると、制御部に指令信号が出力され、かかる指令信号に基づいて、振れ制御が開始される。
【0091】
また、本発明を適用した振れ補正機能付きの光学ユニット100は、レーザポインタ、携帯用や車載用の投射表示装置や直視型表示装置等、光を出射する光学機器の振れ補正に適用してもよい。また、天体望遠鏡システムあるいは双眼鏡システム等、高倍率での観察において三脚等の補助固定装置を用いることなく観察するのに用いてもよい。また、狙撃用のライフル、あるいは戦車等の砲筒とすることで、トリガ時の振動に対して姿勢の安定化が図れるので、命中精度を高めることができる。