(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5771395
(24)【登録日】2015年7月3日
(45)【発行日】2015年8月26日
(54)【発明の名称】動力伝達手段及び回転感知手段を備えた動力ナットランナー並びに状態を測定する方法
(51)【国際特許分類】
B25B 21/00 20060101AFI20150806BHJP
【FI】
B25B21/00 B
B25B21/00 510Z
【請求項の数】5
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2010-547588(P2010-547588)
(86)(22)【出願日】2009年2月19日
(65)【公表番号】特表2011-512266(P2011-512266A)
(43)【公表日】2011年4月21日
(86)【国際出願番号】SE2009000095
(87)【国際公開番号】WO2009105008
(87)【国際公開日】20090827
【審査請求日】2012年1月31日
(31)【優先権主張番号】0800385-7
(32)【優先日】2008年2月20日
(33)【優先権主張国】SE
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】502212604
【氏名又は名称】アトラス・コプコ・インダストリアル・テクニーク・アクチボラグ
(74)【代理人】
【識別番号】100064388
【弁理士】
【氏名又は名称】浜野 孝雄
(74)【代理人】
【識別番号】100194113
【弁理士】
【氏名又は名称】八木田 智
(72)【発明者】
【氏名】エルスマルク,カルル,ヨハン,ラルス
(72)【発明者】
【氏名】ペルソン,エリク,ヴイルヘルム
【審査官】
大山 健
(56)【参考文献】
【文献】
特開2007−229853(JP,A)
【文献】
特開2004−237387(JP,A)
【文献】
特開2004−243471(JP,A)
【文献】
特開2005−351683(JP,A)
【文献】
特開2005−254400(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25B 21/00−21/02
B25D 1/00−17/32
B25F 1/00− 5/02
B25B 23/00−23/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジング(10、11)と、電気回転モータと、動力伝達歯車(18)を介してモータに結合され、ネジジョイント係合工具を担持するようにされた出力軸(12)と、動力伝達歯車(18)の上流に設けられたトルク感知手段とを有する動力ナットランナーにおいて、
出力軸(12)の回転運動を表示する信号を発生する回転感知手段(26、27)が設けられ、
上記モータ及び上記回転感知手段(26、27)に接続した手段を備える電力供給制御ユニットが、上記モータの出力トルク及び回転運動を測定するように設けられ、また
トルク感知手段で表示されたトルクを所望のトルクと比較しまたモータの回転運動と出力軸(12)の回転運動とを比較して、締め付けられるジョイントに所望のトルクが実際に加えられるように、モータと該出力軸(12)との間の動力伝達歯車(18)を介しての角度遅れを検知するように評価ユニットが上記電力供給制御ユニットに設けられていること
を特徴とする動力ナットランナー。
【請求項2】
上記回転感知手段(26、27)が、出力軸(12)と組み合わさったパルス発生アクチュエータ(27)と、ハウジング(10、11)に装着され、そして出力軸(12)の回転時に上記パルス発生アクチュエータ(27)によって等間隔で発生した電気パルスを供給するように構成された固定センサー(26)とを備えていることを特徴とする請求項1記載の動力ナットランナー。
【請求項3】
動力伝達歯車(18)が、出力軸(12)に担持したベベルギア(21)を備えた角度歯車を備え、上記パルス発生アクチュエータ(27)がベベルギア(21)に担持されていることを特徴とする請求項2記載の動力ナットランナー。
【請求項4】
動力ナットランナーの動力伝達歯車(18)の状態を測定する方法であって、動力伝達歯車(18)が、出力軸(12)を介して電気回転モータをネジジョイント係合工具に結合するようにされている方法において、
ネジジョイントにトルクを加えることによりネジジョイントを締付ける段階と、
出力軸(12)の瞬時回転運動を表示する段階と、
モータの出力トルク及び回転運動を測定する段階と、
供給トルクをむ表示する段階と、
表示した供給トルクを所望のトルクと比較する段階と、
モータの回転運動と出力軸(12)の回転運動とを比較し、締め付けられるネジジョイントに所望のトルクが実際に加えられるのを保証するために、モータと該出力軸(12)との間の動力伝達歯車(18)を介しての角度遅れを検知するようにする段階と
を含むことを特徴とする方法。
【請求項5】
出力軸(12)の回転運動の表示が、出力軸(12)の回転時に等間隔に発生したパルス信号によって行われることを特徴とする請求項4記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動力伝達手段を介して出力軸に接続した回転モータを備えた動力ナットランナーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
上記型のナットランナーには、通常、締め付けるべきネジジョイントに供給するトルクを表示するトルク感知手段が設けられている。このトルク感知手段は減速歯車と組み合わさった機械−電気形式のものであるか、或いは電動工具の場合には電気モータ電流/トルクを検出する電気モータ駆動装置に組み込まれている。ある幾つかの場合、特に直線型の工具では、トルク感知手段は出力軸に組み合わせられ、そして実際に供給したトルクに対する適切な修正信号を供給する。というのは、これらの場合に、トルク信号は、減速歯車の欠陥の発生により妨げられないからである。しかし、アングルナットランナーにおける出力軸に設けたトルク感知手段は、信頼できるトルク信号を供給するが、かかるトルク感知手段ではスペースが必要であり、アングルヘッドが嵩張るという欠点がある。その結果、ナットランナーの取扱い易さが損なわれることになる。減速歯車の“上流”にトルク感知手段を設けたナットランナー、特にアングル歯車を備えたナットランナーでは、“上流”のトルク感知手段と出力軸との間に相当な障害が存在し得、ネジジョイントに実際に供給したトルクはトルク感知手段によって表示したトルクから相当にずれることになり得る。出力角速度及び従ってアングル歯車からの出力トルクは本来、シーケンシャル歯車歯係合のためにある程度正弦波状のものである。このため、締め付けるべきネジジョイントに非線形トルクが発生することになる。
【0003】
従って、減速歯車の“上流”にトルク感知手段を設けたナットランナーには、出力軸を介して実際に供給されたトルクの瞬時(時々刻々)の大きさの不確実性を伴うという問題がある。これは、主に、上記のような歯車歯係合によってだけでなく、減速歯車の損傷部品によっても生じる歯車の出力速度の変動によるものである。
【0004】
トルク感知誤差の別の原因は、位置合わせ動力系、寿命及び設定トルクと共に回転角度に影響を及ぼす出力軸のある弾性捩れ変形である。
【0005】
許容可能な出力トルク精度を保証する一つの方法は、動力伝達歯車の状態を追いそして歯車が工具のオーバーホール又は修理を必要とする程度に機械的に摩滅する時を決めることができるようにすることにある。摩滅した歯車は、工具の出力性能を損なうことになり、そしてナットランナーの出力トルクはもはや最初に設定したものではなくなり、このことは、ナットランナーで締め付けたネジジョイントが許容予張力レベルに締め付けられ得ないことを意味している。
【0006】
電子駆動ユニットによって付勢され制御される電気モータを備えた形式の動力ナットランナーの場合には、モータの出力トルクと角運動パラメータとの両方を監視する手段が設けられる。しかし、この形式の電気モータ装置では、出力軸の角運動も有効な減速比も正確に測定されない。これは、歯車の機械的な磨耗やその他の欠陥がモータから出力軸に伝達される回転運動に影響を及ぼすからである。上記形式の電動ナットランナーにおける別の問題は、トルク負荷の下で、動力伝達のある特定の弾性降伏に関するものであり、これは、出力軸が電気モータと位相がずれ、動力遮断時のネジジョイントの角度位置がモータの角度位置に相応しないことを意味している。すなわち出力軸とモータとの間に角度遅れが生じる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の主目的は、歯車を介して出力軸にトルクを供給するように設けられたモータを備え、出力軸の回転運動を表示する手段を備え、それにより出力トルクの許容できないずれにつながる歯車の極端な機械的磨耗やその他の損傷を検知し、そしてまた動力伝達の弾性降伏量を検知し、それによりモータに対する出力軸の角度遅れを測定するようにした動力ナットランナーを提供することにある。
【0008】
本発明の別の目的及び利点は明細書の以下の説明及び特許請求の範囲から明らかとなる。
【0009】
本発明の好ましい実施形態について以下添付図面を参照して詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明による動力ナットランナーの前方部分を示す縦断面図。
【
図2】本発明による回転感知手段を示す
図1のナットランナーの出力軸の拡大縦断面図。
【
図3】角度歯車の回転運動における通常の規則的な変動を示すグラフ。
【
図4】歯車歯磨耗を重ねて表示している角度歯車の回転運動における通常の規則的な変動を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1に縦断面図で示すナットランナーの前方部分はハウジング10を有し、ハウジング10は回転モータ及び回転モータに接続された電力供給手段を含むナットランナーの図示していない後方部分に接続できる。この前方部分のハウジング10はアングル(角度を成した)ヘッド11を備え、ヘッド11は出力軸12を備え、出力軸12は前方ボール軸受13及び後方ニードル軸受14にジャーナル軸受されている。出力軸12は、締め付けるべきネジジョイントに接続するためのナットスリーブを担持する出力端部15を備えている。前方ボール軸受13のボールレースの一方は出力軸12に直接形成され、他方のボールレースはアングルヘッド11の前方端部にネジ込まれた端部カバー17に形成されている。出力軸12は角度歯車18及び中間軸19を介してモータに接続される。角度歯車18は、中間軸19上のピニオンギア20及び出力軸12上のベベルギア21を備えている。中間軸19は後方の調整可能なボール軸受22及び前方のニードル軸受23にジャーナル軸受され、そして後方端部には、モータに接続するための結合スリーブ24が設けられている。
【0012】
アングルヘッド11には、アングルヘッド11に固定したホール素子型センサー26及び出力軸12に組み合さったアクチベータ27の形態の回転感知手段が設けられている。アクチベータ27は好ましくは薄いプラスチック条片29として形成され、薄いプラスチック条片29は、ベベルギア21のまわりに取付けられ、そして横方向に等間隔の並列バンドに磁化される。これらの磁気バンドは、高分解能のために非常に狭く、そしてセンサー26を脈動作動するように構成されている。センサー26は、好ましくはナットランナーの後方端部に設けられた図示していない電子制御及び評価ユニットに接続され、またセンサー26は、出力軸12の回転中にセンサー26を通過する磁気バンド29に応じて、該ユニットに電気パルスを供給する。
【0013】
出力軸12の回転を表示するホール素子センサー及び磁気バンドに代えて、出力軸12は、アングルヘッドに設けた誘導性センサーを作動させる周囲列の歯を備えることもできる。その他の形式の回転感知手段も用いられ得る。
【0014】
ナットランナーの動作中、出力軸の瞬時回転運動は、回転感知手段からの電気信号パルスの列に基いて電子制御および評価ユニットによって監視される。回転運動の規則的な変動は、
図3に正弦波トルク/角度(T/φ)で示されている。角度歯車に過剰の磨耗の発生(通常、個々の歯車歯間の損傷した係合に関係する)は通常の正弦波曲線の上に重ねた不規則性で示されている。この状態は
図4のグラフに示されている。出力軸の回転運動における全ての形式の不規則性は、供給トルクに比較的大きな又は小さな変動を生じさせ、またこれらの不規則性を追うことによって、また締め付けるべきネジジョイントに実際に供給されるトルクの真の画像を得ることもできる。このことは、殆んどのナットランナーのトルク感知手段がナットランナーの大き過ぎる出力端部を避けるために減速/角度歯車の上流に設けられるので、重要であり、このことは、この形式のトルク感知手段によって表示されたトルクが締め付けられるべきネジジョイントに実際に掛るトルクの全ての不規則性を明らかにしないことを意味している。本発明による回転感知及び表示手段を備えた動力ナットランナーによって、所望のトルクが締め付けられるべきネジジョイントに実際に設定されるのを保証するように、出力トルクに発生する不規則性を検知することが可能となる。
【符号の説明】
【0015】
10:ハウジング
11:アングルヘッド
12:出力軸
13:前方ボール軸受
14:後方ニードル軸受
15:出力端部
17:端部カバー
18:角度歯車
19:中間軸
20:ピニオンギア
21:ベベルギア
22:後方の調整可能なボール軸受
24:結合スリーブ
26:ホール素子型センサー
27:アクチベータ
29:薄いプラスチック条片