特許第5771396号(P5771396)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5771396カメラ機能付き携帯端末、フラッシュライト制御方法およびフラッシュライト制御プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5771396
(24)【登録日】2015年7月3日
(45)【発行日】2015年8月26日
(54)【発明の名称】カメラ機能付き携帯端末、フラッシュライト制御方法およびフラッシュライト制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   G03B 15/05 20060101AFI20150806BHJP
   G03B 7/17 20140101ALI20150806BHJP
   G03B 15/03 20060101ALI20150806BHJP
   H04M 1/00 20060101ALI20150806BHJP
   H04N 5/238 20060101ALI20150806BHJP
【FI】
   G03B15/05
   G03B7/17
   G03B15/03 H
   H04M1/00 R
   H04N5/238 Z
【請求項の数】5
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2010-549547(P2010-549547)
(86)(22)【出願日】2010年2月4日
(86)【国際出願番号】JP2010052009
(87)【国際公開番号】WO2010090342
(87)【国際公開日】20100812
【審査請求日】2013年1月18日
【審判番号】不服2014-10178(P2014-10178/J1)
【審判請求日】2014年6月2日
(31)【優先権主張番号】特願2009-27284(P2009-27284)
(32)【優先日】2009年2月9日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314008976
【氏名又は名称】レノボ・イノベーションズ・リミテッド(香港)
(74)【代理人】
【識別番号】100084250
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 隆夫
(72)【発明者】
【氏名】大関 慶介
【合議体】
【審判長】 藤原 敬士
【審判官】 西村 仁志
【審判官】 山村 浩
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2005/078529(WO,A1)
【文献】 特開2007−165411(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B15/05
G03B15/03
G03B7/16
H04M1/00
H04N5/238
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラ機能付き携帯端末であって、
カメラと、
フラッシュライトと、
前記フラッシュライトの電流値ごとの最大点灯可能時間が登録されると共に、前記カメラの撮影条件ごとに前記フラッシュライトの電流値と、前記電流値および前記登録されている最大点灯可能時間に応じた最大露光時間と、が登録されるメモリと、
前記カメラに設定された撮影条件に対応する電流値および最大露光時間を前記メモリから検索し、該検索した最大露光時間以下の時間を露光時間として決定し、該決定した露光時間の間、該検索した電流値で前記フラッシュライトを点灯させる制御部と、
を備える。
【請求項2】
前記メモリの各撮影条件には、前記各撮影条件での最大露光時間よりも長い最大点灯可能時間を有する電流値が登録される、請求項1に記載のカメラ機能付き携帯端末。
【請求項3】
カメラとフラッシュライトとメモリとを備えたカメラ機能付き携帯端末のフラッシュライト制御方法であって、
前記メモリには前記フラッシュライトの電流値ごとの最大点灯可能時間が登録されると共に、前記カメラの撮影条件ごとに前記フラッシュライトの電流値と、前記電流値および前記登録されている最大点灯可能時間に応じた最大露光時間と、が登録され、
前記カメラに設定された撮影条件に対応する電流値および最大露光時間を前記メモリから検索し、
該検索した最大露光時間以下の時間を露光時間として決定し、
該決定した露光時間の間、該検索した電流値で前記フラッシュライトを点灯させる。
【請求項4】
前記メモリの各撮影条件には、前記各撮影条件での最大露光時間よりも長い最大点灯可能時間を有する電流値が登録される、請求項3に記載のフラッシュライト制御方法。
【請求項5】
カメラとフラッシュライトとメモリとを備え、該メモリには前記フラッシュライトの電流値ごとの最大点灯可能時間が登録されると共に、前記カメラの撮影条件ごとに前記フラッシュライトの電流値と、前記電流値および前記登録されている最大点灯可能時間に応じた最大露光時間と、が登録されている携帯端末のコンピュータに、
前記カメラに設定された撮影条件に対応する電流値および最大露光時間を前記メモリから検索する手順と、
該検索した最大露光時間以下の時間を露光時間として決定する手順と、
該決定した露光時間の間、該検索した電流値で前記フラッシュライトを点灯させる手順とを、
実行させるためのフラッシュライト制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラ機能付き携帯端末、フラッシュライト制御方法およびフラッシュライト制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
写真を撮影する時にフラッシュライトを点灯させる、カメラ機能付き携帯端末がある。例えば、特開2003−289367号公報(特許文献1)には、フラッシュライトとしてLED(Light Emitting Diode)を発光させるカメラ機能付き携帯電話機が開示されている。
【0003】
また、特開2005−215322(特許文献2)には、LEDを仮発光させて最適光度を調査した後、調査した最適光度でLEDを本発光させて写真を撮影する電子機器が開示されている。
【先行技術文献】
【0004】
【特許文献】
【特許文献1】特開2003−289367号公報
【特許文献2】特開2005−215322
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のカメラ機能付き携帯電話機は、撮影モードや撮影設定等の撮影条件によっては十分な輝度を確保できない場合がある。輝度を確保するために、LEDを高い電流値で長時間点灯した場合、LEDが故障する可能性がある。
【0006】
また、特許文献2の電子機器は、仮発光させて最適光度を調査する必要があり、スポーツモードのような瞬時の撮影を行う場合には撮影に支障をきたす。
【0007】
本発明の目的は、上記課題を解決し、撮影モードや撮影設定等の撮影条件に応じて、必要な輝度を的確に確保できる携帯端末、フラッシュライト制御方法およびフラッシュライト制御プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明のカメラ機能付き携帯端末は、カメラと、フラッシュライトと、カメラの撮影条件ごとにフラッシュライトの電流値が登録されているメモリと、カメラに設定された撮影条件に対応する電流値をメモリから検索し、該検索した電流値でフラッシュライトを点灯させる制御部と、を備える。
【0009】
また、本発明のフラッシュライト制御方法は、カメラとフラッシュライトとメモリとを備えたカメラ機能付き携帯端末のフラッシュライト制御方法であって、メモリにはカメラの撮影条件ごとにフラッシュライトの電流値が登録され、カメラに設定された撮影条件に対応する電流値をメモリから検索し、該検索した電流値でフラッシュライトを点灯させる。
【0010】
また、本発明のフラッシュライト制御プログラムは、カメラとフラッシュライトとメモリとを備え、該メモリにはカメラの撮影条件ごとにフラッシュライトの電流値が登録されている携帯端末に、カメラに設定された撮影条件に対応する電流値をメモリから検索する手順と、該検索した電流値でフラッシュライトを点灯させる手順とを、コンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、撮影モードや撮影設定等の撮影条件に応じて、フラッシュライトの発光時の電流値を変化させるので、必要な輝度を的確に確保した撮影を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明に係る携帯端末の一例である携帯電話機のカメラ機能の関連部位を示すブロック構成図である。
図2】本実施形態に係る携帯電話機の、撮影モードと最大露光時間との関係の一例を示すテーブルである。
図3】本実施形態に係る携帯電話機の、フラッシュライトの発光時の電流値と最大点灯可能時間との関係の一例を示すテーブルである。
図4】本実施形態に係る携帯電話機における撮影モードとフラッシュライトの電流値との関係の一例、および、そのモードでの最大露光時間と最大点灯可能時間を示すテーブルである。
図5】本発明による携帯端末の一例である携帯電話機の撮影動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明による携帯端末、フラッシュライト制御方法およびフラッシュライト制御プログラムの好適な実施形態について説明する。なお、以下の説明においては、本発明による携帯端末、フラッシュライト制御方法について説明するが、かかるフラッシュライト制御方法をコンピュータにより実行可能なフラッシュライト制御プログラムとして実施するようにしても良いし、あるいは、フラッシュライト制御プログラムをコンピュータにより読み取り可能な記録媒体に記録するようにしても良い。
【0014】
また、以下の説明においては、本発明に係る携帯端末として、携帯電話機を例にとって説明するが、これに限定されず、PHS(Personal Handy−Phone System)端末、PDA(Personal Digital Assistants)、携帯音楽プレーヤ、携帯ノートPC(Personal Computer)等、フラッシュライトを搭載しているカメラ機能付き携帯端末であれば、如何なる端末であっても構わない。
【0015】
(本発明の特徴)
本発明に係るカメラ機能付き携帯端末は、カメラとフラッシュライトとメモリとを備える。該メモリには、フラッシュライトの発光時の電流値が、撮影モードや撮影設定等の各種撮影条件に対応付けられて複数登録されている。
【0016】
本発明に係るカメラ機能付き携帯端末は、撮影条件を変化させることにより、絞り値や最大露光時間等が変化する。そして、メモリを参照することにより、設定された撮影条件に応じた適切な電流値がフラッシュライトに設定され、撮影に必要な輝度が確保される。
【0017】
例えば、該カメラ機能付き携帯端末に、撮影条件として露光時間が短いスポーツモードが設定されている場合、フラッシュライトの点灯時間はモードの露光時間に合わせて短くなる。一方、該メモリを参照することにより、フラッシュライトの発光時の電流値は大きくなる。従って、フラッシュライトの点灯時間が短くても十分な輝度を確保することができる。
【0018】
一方、該カメラ機能付き携帯端末に、全体に焦点を合わせるためにレンズの絞り値を大きくする設定をした場合、露光時間が長くなる。一方、該メモリを参照することにより、フラッシュライトの発光時の電流値は小さくなる。従って、フラッシュライトが故障する可能性が低い状態で、露光時間いっぱいまでフラッシュライトを点灯させることができ、露光に必要な輝度を的確に確保することができる。
【0019】
(実施形態の構成例)
次に、本発明に係る携帯端末の一例として、カメラ機能付き携帯電話機を例にとってその概略構成を説明する。図1は、本実施形態に係る携帯電話機のカメラ機能に関するブロック構成図の一例である。図1において、カメラ機能付き携帯電話機は、制御部100、カメラ101、フラッシュライト102、メモリ103を備える。
【0020】
カメラ101は、被写体を撮影して制御部100へ撮影データとして転送する。
【0021】
フラッシュライト102は、周囲が暗い撮影環境においても高解像度の撮影データが取得できるよう、カメラ101での撮影時に発光する。本実施形態に係るフラッシュライト102は、制御部100からの制御に応じて、所定の電流値で所定時間(露光時間)の間発光する。
【0022】
メモリ103には、フラッシュライトの発光時の電流値が、各種撮影条件に対応付けられて複数登録されている。本実施形態に係るメモリ103には、撮影モードと最大露光時間とに関するテーブルと、フラッシュライトの発光時の電流値と最大点灯可能時間とに関するテーブルと、撮影モードとフラッシュライトの発光時の電流値とに関するテーブルと、が登録されている。各テーブルについては後述する。
【0023】
制御部100は、カメラ101およびフラッシュライト102を制御する。制御部100は、カメラ101が取得した撮影環境に関する情報から、撮影に必要な露光時間を決定する。ここで、制御部100は、露光時間として、後述する各撮影モードに設定されている最大露光時間を越えない範囲の時間を決定する。さらに、制御部100は、メモリ103を参照することにより、設定されている撮影条件に応じてフラッシュライト102の発光時の電流値を決定する。そして、制御部100は、フラッシュライト102を決定した露光時間の間決定した電流値で発光させるとともに、カメラ101に被写体を撮影させて撮影データを取得する。
【0024】
次に、本実施形態に係るカメラ機能付き携帯電話機のメモリ103に登録されているテーブルについて説明する。本実施形態に係るカメラ機能付き携帯電話機は、設定できる撮影条件として、静止している人物を撮影する「人物モード」、動いている人を撮影する「スポーツモード」、夜景を撮影する「ナイトモード」の3種類の撮影モードを設定することができる。
【0025】
図2は、メモリ103に登録されている、撮影モードと最大露光時間とに関するテーブルの一例である。図2において、「スポーツモード」の最大露光時間には、被写体のブレを小さくするため、人物モードより短い400msecが設定されている。また、「ナイトモード」の最大露光時間には、撮影画像の照度を確保するため、人物モードより長い1,500msecが設定されている。そして、本実施形態に係るカメラ機能付き携帯電話機に「人物モード」が設定されている場合、制御部100は、カメラ101から取得した撮影環境に関する情報と、図2に示したテーブルとに基づき、最大750msecまでの露光時間を決定する。
【0026】
図3は、メモリ103に登録されている、フラッシュライト102の発光時の電流値と最大点灯可能時間とに関するテーブルの一例である。フラッシュライト102は、デバイス規格上、電流値に応じて最大点灯可能時間が変化する。本実施形態に係るフラッシュライト102の場合、発光時の電流値に700mAが設定された場合、最大0.5秒間の発光が可能である。また、発光時の電流値に600mAが設定された場合、最大1秒間、400mAが設定された場合、最大2秒間の発光が可能である。フラッシュライト102を各電流値で最大点灯可能時間を越えて発光させた場合、フラッシュライト102が故障する可能性が高くなる。
【0027】
ここで、発光時の電流値として700mAを設定した場合は、600mAに設定した場合に比して、高い輝度を確保することが可能であるが、電流値が高い分、点灯時間は短くなる。一方、発光時の電流値として400mAを設定した場合は、600mAに設定した場合に比して、点灯時間を長く確保することが可能であるが、電流値が少ない分、輝度は低くなる。
【0028】
なお、図3に示すテーブルはフラッシュライト102を変更する場合に書き換えるものであるが、常に同じ規格のフラッシュライト102が用いられる場合には、図3に示すテーブルを省略することもできる。
【0029】
図4は、メモリ103に登録されている、各撮影モードのときに設定されるフラッシュライト102の発光時の電流値の一例を示すテーブルである。図4に示すテーブルを参照することにより、制御部100は、「スポーツモード」の場合は電流値を700mAに、「人物モード」の場合は600mAに、「ナイトモード」の場合は400mAに、決定する。参考に、各モードでの最大露光時間と、決定した電流値の最大点灯可能時間を図4に並記する。各モードの最大露光時間は、各モードで設定される電流値でのフラッシュライト102の最大点灯可能時間より短い。従って、各モードで最大に露光させた場合でも、フラッシュライト102が故障する可能性は低い。
【0030】
(実施形態の動作の説明)
次に、本実施形態の携帯電話機の撮影動作の一例について図5を用いて説明する。以下の説明でも、撮影条件として「人物モード」、「スポーツモード」、「ナイトモード」の3つの撮影モードが設定できる場合について説明するが、この他の撮影モードや、絞り値、手振れ補正などの各種撮影設定を行う場合についても同様に扱うことができる。
【0031】
図5において、カメラ付き携帯電話機のカメラ101による撮影が開始されると(ステップS1)、制御部100はカメラ101が取得した撮影環境に関する情報から、必要とする露光時間を決定する(ステップS2)。さらに、撮影モードが「人物モード」、「スポーツモード」、「ナイトモード」のいずれであるのか判別する(ステップS3)。
【0032】
撮影モードが「人物モード」である場合は(ステップS3の人物)、メモリ103に登録されている、図4に示したテーブルに基づき、電流値を600mAに設定する(ステップS4)。一方、ステップS3において、撮影モードが「スポーツモード」である場合は(ステップS3のスポーツ)、電流値を700mAに(ステップS5)、「ナイトモード」である場合は(ステップS3のナイト)、電流値を400mAに(ステップS6)、それぞれ設定する。
【0033】
さらに、制御部100はフラッシュライト102を、ステップS2で決定した露光時間の間、ステップS4〜S6でそれぞれ設定した電流値で発光させ、それと同期して、カメラ101から撮影データを取得する(ステップS7)。
【0034】
(実施形態の効果の説明)
以上に説明したように、本実施形態においては、予めメモリ103に登録された撮影モードと発光時の電流値に関するテーブルを参照することにより、撮影モードに応じてフラッシュライト102の発光時の電流値を変更するので、必要な輝度を的確に確保した撮影を行うことができる。すなわち、露光時間が短い場合には高い輝度で短時間点灯させる、或いは、露光時間が長い場合には低い輝度で長時間点灯させることにより、フラッシュライト102が故障する可能性を高くすることなく、撮影に必要な輝度を的確に確保することができる。
【0035】
以上、実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【0036】
この出願は、2009年2月9日に出願された日本出願特願2009−027284を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明にかかる携帯端末は、携帯電話、PHS、携帯音楽プレーヤ、携帯ノートPC等の、フラッシュライトを搭載したカメラ機能付き携帯端末に適用できる。
【符号の説明】
【0038】
100 制御部
101 カメラ
102 フラッシュライト
103 メモリ
図1
図2
図3
図4
図5