特許第5771403号(P5771403)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5771403
(24)【登録日】2015年7月3日
(45)【発行日】2015年8月26日
(54)【発明の名称】インナー付きグロメット構造
(51)【国際特許分類】
   H02G 3/22 20060101AFI20150806BHJP
   H01B 17/58 20060101ALI20150806BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20150806BHJP
【FI】
   H02G3/22
   H01B17/58 C
   B60R16/02 622
【請求項の数】7
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2011-19673(P2011-19673)
(22)【出願日】2011年2月1日
(65)【公開番号】特開2012-161180(P2012-161180A)
(43)【公開日】2012年8月23日
【審査請求日】2014年1月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100075959
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 保
(72)【発明者】
【氏名】松井 良夫
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 秀俊
【審査官】 和田 財太
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−148218(JP,A)
【文献】 特開平09−129066(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 3/22
B60R 16/02
H01B 17/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤーハーネスを収納する蛇腹状筒部を備え端部に筒部が形成され弾性を有するグロメットアウターと、樹脂成形品からなるグロメットインナーとからなり、前記グロメットアウターに前記グロメットインナーを装着してなるインナー付きグロメット構造において、
前記グロメットアウターの筒部から突出し、グロメットインナーの筒状体のフランジ部を嵌挿する嵌合溝が設けられた筒状の鍔部を設け、前記鍔部の外周の一部に突出する嵌合凸部を形成し、該嵌合凸部を形成する側の鍔部の肉厚を前記蛇腹状筒部を形成する方向に厚く形成し、
前記グロメットインナーの筒状体の基端外周面にフランジ部を設け、該フランジ部に前記グロメットアウターの鍔部の外周の一部に形成された嵌合凸部を嵌合する嵌合凹部を形成してなり、
前記グロメットアウターの鍔部に形成した前記嵌合凸部を前記グロメットインナーの前記フランジ部の嵌合凹部に嵌合することにより前記グロメットアウターに前記グロメットインナーを固定してなる
ことを特徴とするインナー付きグロメット構造。
【請求項2】
前記嵌合凸部は、
前記グロメットアウターの鍔部に形成する嵌合溝の底壁から突出するリブによって構成したものである
ことを特徴とする請求項1に記載のインナー付きグロメット構造。
【請求項3】
前記嵌合凸部は、
前記グロメットアウターの鍔部に形成する嵌合溝の前記蛇腹状筒部を形成する方向に該鍔部の嵌合溝の底壁の相対向する位置に形成したものである
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のインナー付きグロメット構造。
【請求項4】
前記嵌合凸部は、
前記グロメットアウターの鍔部に形成する嵌合溝の前記蛇腹状筒部を形成する方向に直交する該鍔部の嵌合溝の底壁の相対向する位置に形成したものである
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のインナー付きグロメット構造。
【請求項5】
ワイヤーハーネスを収納する蛇腹状筒部を備え端部に筒部が形成され弾性を有するグロメットアウターと、樹脂成形品からなるグロメットインナーとからなり、前記グロメットアウターに前記グロメットインナーを装着してなるインナー付きグロメット構造において、
前記グロメットアウターの筒部から突出し、グロメットインナーの筒状体のフランジ部を嵌挿する嵌合溝が設けられた筒状の鍔部を設け、該鍔部の肉厚を前記蛇腹状筒部を形成する方向に厚く形成し、該鍔部の嵌合溝の内面側で肉厚部に嵌合凹部を形成し、
前記グロメットインナーの筒状体の基端外周面にフランジ部を設け、該フランジ部の前記嵌合凹部に対向する位置に突出し該嵌合凹部に嵌合する嵌合凸部を形成し、
前記グロメットインナーの前記フランジ部の嵌合凸部を前記グロメットアウターの鍔部の嵌合溝の底壁に形成した前記嵌合凹部に嵌合して固定してなる
ことを特徴とするインナー付きグロメット構造。
【請求項6】
前記グロメットインナーの筒状体に設けられるフランジ部に形成する嵌合凸部には、
該筒状体の中心に向かって矩形状凹部を形成してなり、
前記グロメットアウターの筒部に設けられる鍔部に形成する嵌合凹部には、
前記フランジ部の矩形状凹部に嵌合する矩形状凸部を形成してなり、
前記グロメットインナーの前記フランジ部の嵌合凸部に前記グロメットアウターの鍔部に形成した前記嵌合凹部を嵌合するとともに、前記フランジ部の嵌合凸部に形成する矩形状凹部に、前記鍔部の嵌合凹部に形成する矩形状凸部を嵌合して固定してなる
ことを特徴とする請求項に記載のインナー付きグロメット構造。
【請求項7】
前記インナー付きグロメットは、
ワイヤーハーネス(W/H)が貫通する部分が一方向に屈曲してなるダッシュ用グロメット(ポットタイプ)である
ことを特徴とする請求項1,2,3,4,5又は6に記載のインナー付きグロメット構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グロメットアウターにグロメットインナーを取り付けてなるインナー付きグロメットに係り、特にグロメットインナーがグロメットアウターから容易に外れることのないインナー付きグロメット構造に関する。
【背景技術】
【0002】
インナー付きグロメットは、車両に配索されるワイヤハーネスに取り付け、車体パネルの貫通穴に装着して防水、防塵を図るもので、弾性材からなるグロメットアウターと、樹脂成形品からなるグロメットインナーとによって構成されている。
このインナー付きグロメットは、従来、特許文献1に示されるようなグロメット本体(グロメットアウターに相当)に樹脂インナー(グロメットインナーに相当)を組みつけた二体物のグロメットで、グロメット本体から樹脂インナーが外れないように工夫したものが提案されている。
【0003】
特許文献1に示されるグロメットは、図2に示される樹脂インナー2を図3に示されるグロメット本体3に取り付けて図1に示される構成としたものとなっている。すなわち、特許文献1のグロメット1の樹脂インナー2は、断面長円形状の筒部20の外周面に間隔をあけて4つの車体係止用のロック部22A〜23Bを設けるとともに、この筒部20の基端側(グロメット本体3への取付側)の外周に台座部21を設け、この台座部21の外周より先端を鋭角状に突出させた突起部25A〜26Bを突設して構成してある。
【0004】
一方、特許文献1のグロメット1のグロメット本体3は、ワイヤハーネスW/Hの電線群の外周に密着させる小径筒部11と、この小径筒部11の一端より連続して長円形状に拡径する大径筒部12を備え、この大径筒部12の軸線方向に対して小径筒部11を屈曲させ、樹脂インナー2の筒部20の基端側から外周に形成する台座部21を挿入する挿入溝13dが形成された鍔部13を設けた構成となっている。そして、この鍔部13の先端外周壁13bは部分的に突出部を設けておらず、長円形状としている。
【0005】
このように構成した特許文献1に示されるグロメットは、グロメット本体3の鍔部13に形成された挿入溝13dに、樹脂インナー2の台座部21を挿入し、この挿入溝13dに挿入した樹脂インナー2の台座部21の突起部25A〜26Bの先端を、グロメット本体3の鍔部13の挿入溝13dの先端外周壁13bの内面に食い込ませて固定する構成となっている。
【0006】
このように特許文献1に示されるグロメット1は、樹脂インナー2の台座部21をグロメット本体3の挿入溝13dに挿入し、樹脂インナー2の台座部21の突起部25A〜26Bの先端を、鍔部13の挿入溝13dの先端外周壁13bの内面に食い込ませることによって樹脂インナー2とグロメット本体3の保持力をアップさせる構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010−114992号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このため、特許文献1に示されるグロメットにあっては、樹脂インナー2の台座部21の突起部25A〜26Bの先端を、食い込ませたグロメット本体3の鍔部13の挿入溝13dの先端外周壁13bが突出し、グロメット本体3の外径が大きくなり、変形するという問題点を有している。
【0009】
また、特許文献1に示されるグロメットにあっては、樹脂インナー2に形成される筒部20の形状が、断面長円形状に形成されており、樹脂インナー2の台座部21の突起部25A〜26Bが、樹脂インナー2の長手方向に形成されているため、樹脂インナー2とグロメット本体3を組み付けた際に、樹脂インナー2とグロメット本体3の組付けがズレて嵌合されるとグロメット1が変形して、車両にも組み付かなくなるという問題点を有している。
【0010】
本発明は、グロメットインナーがグロメットアウターから外れ難くすることのできるインナー付きグロメットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するためになされた請求項1に記載の本発明に係るインナー付きグロメット構造は、ワイヤーハーネスを収納する蛇腹状筒部を備え端部に筒部が形成され弾性を有するグロメットアウターと、樹脂成形品からなるグロメットインナーとからなり、前記グロメットアウターに前記グロメットインナーを装着してなるインナー付きグロメット構造において、
前記グロメットアウターの筒部から突出し、グロメットインナーの筒状体のフランジ部を嵌挿する嵌合溝が設けられた筒状の鍔部を設け、前記鍔部の外周の一部に突出する嵌合凸部を形成し、該嵌合凸部を形成する側の鍔部の肉厚を前記蛇腹状筒部を形成する方向に厚く形成し、
前記グロメットインナーの筒状体の基端外周面にフランジ部を設け、該フランジ部に前記グロメットアウターの鍔部の外周の一部に形成された嵌合凸部を嵌合する嵌合凹部を形成し、
前記グロメットアウターの鍔部に形成した前記嵌合凸部を前記グロメットインナーの前記フランジ部の嵌合凹部に嵌合することにより前記グロメットアウターに前記グロメットインナーを固定してなることを特徴とする。
【0012】
このような特徴を有する請求項1に記載の発明によれば、グロメットアウターに形成する嵌合溝にグロメットインナーのフランジ部を嵌挿することでグロメットインナーがグロメットアウターから外れ難くすることができ、防水性を確保することができる。
また、請求項1に記載の発明によれば、グロメットインナーのフランジ部の嵌合凹部にグロメットアウターの鍔部に形成した嵌合凸部を嵌合して固定することによりグロメットインナーとグロメットアウターとの位置決めを容易にすることができ、インナー付きグロメットが、長円穴のときでも、グロメットインナーとグロメットアウターとがズレるのを防止することができる。
さらに、請求項1に記載の発明によれば、グロメットアウターの鍔部の嵌合凸部の形成する側をグロメットアウターの蛇腹状筒部を形成する方向に肉厚になるように形成してあるため、グロメットインナーとグロメットアウターとの位置決めをより強固にすることができる。
【0013】
上記課題を解決するためになされた請求項2に記載の本発明に係るインナー付きグロメット構造は、請求項1に記載のインナー付きグロメットの前記嵌合凸部を、前記グロメットアウターの鍔部に形成する嵌合溝の底壁から突出するリブによって構成したことを特徴とする。
【0014】
このような特徴を有する請求項2に記載の発明によれば、嵌合凸部を、グロメットアウターの鍔部に形成する嵌合溝の底壁から突出するリブで構成するので、容易に構成することができる。
【0015】
上記課題を解決するためになされた請求項3に記載の本発明に係るインナー付きグロメット構造は、請求項1又は2に記載のインナー付きグロメットの前記嵌合凸部を、前記グロメットアウターの鍔部に形成する嵌合溝の前記蛇腹状筒部を形成する方向に該鍔部の嵌合溝の底壁の相対向する位置に形成したことを特徴とする。
【0016】
このような特徴を有する請求項3に記載の発明によれば、嵌合凸部を、グロメットアウターの鍔部の蛇腹状筒部を形成する方向で対向した位置に形成しているので、蛇腹状筒部を形成する方向に直交する方向へのグロメットアウターとグロメットインナーとのズレを防止することができる。
【0017】
上記課題を解決するためになされた請求項4に記載の本発明に係るインナー付きグロメット構造は、請求項1又は2に記載のインナー付きグロメットの前記嵌合凸部を、前記グロメットアウターの鍔部に形成する嵌合溝の前記蛇腹状筒部を形成する方向に直交する該鍔部の嵌合溝の底壁の相対向する位置に形成したことを特徴とする。
【0018】
このような特徴を有する請求項4に記載の発明によれば、嵌合凸部を、グロメットアウターの鍔部の蛇腹状筒部を形成する方向に直交する位置で対向した位置に形成しているので、蛇腹状筒部を形成する方向へのグロメットアウターとグロメットインナーとのズレを防止することができる。
【0021】
上記課題を解決するためになされた請求項に記載の本発明に係るインナー付きグロメット構造は、ワイヤーハーネスを収納する蛇腹状筒部を備え端部に筒部が形成され弾性を有するグロメットアウターと、樹脂成形品からなるグロメットインナーとからなり、前記グロメットアウターに前記グロメットインナーを装着してなるインナー付きグロメット構造において、
前記グロメットアウターの筒部から突出し、グロメットインナーの筒状体のフランジ部を嵌挿する嵌合溝が設けられた筒状の鍔部を設け、該鍔部の肉厚を前記蛇腹状筒部を形成する方向に厚く形成し、該鍔部の嵌合溝の内面側で肉厚部に嵌合凹部を形成し、
前記グロメットインナーの筒状体の基端外周面にフランジ部を設け、該フランジ部の前記嵌合凹部に対向する位置に突出し該嵌合凹部に嵌合する嵌合凸部を形成し、
前記グロメットインナーの前記フランジ部の嵌合凸部を前記グロメットアウターの鍔部の嵌合溝の底壁に形成した前記嵌合凹部に嵌合して固定してなることを特徴とする。
【0022】
このような特徴を有する請求項に記載の発明によれば、グロメットアウターに形成する嵌合溝にグロメットインナーのフランジ部を嵌挿することでグロメットインナーがグロメットアウターから外れ難くすることができ、防水性を確保することができる。
また、請求項に記載の発明によれば、グロメットインナーのフランジ部の嵌合凸部にグロメットアウターの鍔部に形成した嵌合凹部を嵌合して固定することによりグロメットインナーとグロメットアウターとの位置決めを容易にすることができ、インナー付きグロメットが、長円穴のときでも、グロメットインナーとグロメットアウターとがズレるのを防止することができる。
【0023】
上記課題を解決するためになされた請求項に記載の本発明に係るインナー付きグロメット構造は、請求項に記載のインナー付きグロメットの前記グロメットインナーの筒状体のフランジ部に形成する嵌合凸部に、該筒状体の中心に向かって矩形状凹部を形成し、前記グロメットアウターの筒部に設けられる鍔部に形成する嵌合凹部に、前記フランジ部の矩形状凹部に嵌合する矩形状凸部を形成し、前記グロメットインナーの前記フランジ部の嵌合凸部に前記グロメットアウターの鍔部に形成した前記嵌合凹部を嵌合するとともに、前記フランジ部の嵌合凸部に形成する矩形状凹部に、前記鍔部の嵌合凹部に形成する矩形状凸部を嵌合して固定してなることを特徴とする。
【0024】
このような特徴を有する請求項に記載の発明によれば、グロメットインナーのフランジ部の嵌合凸部にグロメットアウターの鍔部に形成した嵌合凹部を嵌合するとともに、フランジ部の嵌合凸部に形成する矩形状凹部に、鍔部の嵌合凹部に形成する矩形状凸部を嵌合して固定するためグロメットインナーとグロメットアウターとの位置決めを容易にすることができ、インナー付きグロメットが、長円穴のときでも、グロメットインナーとグロメットアウターとのズレをより防止することができる。
【0025】
上記課題を解決するためになされた請求項に記載の本発明に係るインナー付きグロメット構造は、請求項1,2,3,4,5又は6に記載のインナー付きグロメットを、ワイヤーハーネス(W/H)が貫通する部分が一方向に屈曲してなるダッシュ用グロメット(ポットタイプ)で構成したことを特徴とする。
【0026】
このような特徴を有する請求項に記載の発明によれば、インナー付きグロメットが、ワイヤーハーネス(W/H)が貫通する部分が一方向に屈曲してなるダッシュ用グロメット(ポットタイプ)の場合にも容易に構成することができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、グロメットインナーがグロメットアウターから外れ難くすることのでき、グロメットアウターをパネルから外れ方向に力を加えたときに、グロメットアウターが引っ張られて変形することがなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明に係るインナー付きグロメット構造の実施例1を示す斜視図である。
図2図1に図示のインナー付きグロメット構造の実施例1を示すもので、(A)は平面図、(B)はa−a断面図、(C)はb−b断面図である。
図3】本発明に係るインナー付きグロメット構造の実施例2を示すもので、(A)は平面図、(B)はc−c断面図、(C)はd−d断面図である。
図4】本発明に係るインナー付きグロメット構造の実施例3を示すもので、(A)は平面図、(B)はe−e断面図、(C)はf−f断面図である。
図5】本発明に係るインナー付きグロメット構造の実施例4を示すもので、(A)は平面図、(B)はg−g断面図、(C)はh−h断面図である。
図6】本発明に係るインナー付きグロメット構造の実施例5を示すもので、(A)は平面図、(B)はi−i断面図、(C)はj−j断面図である。
図7】本発明に係るインナー付きグロメット構造の実施例6を示す斜視図である。
図8図7に図示のインナー付きグロメット構造の実施例6を示すもので、(A)は平面図、(B)はk−k断面図、(C)はm−m断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明は、グロメットインナーの筒状体の基端外周面にグロメットインナー装着側にフランジ部を設け、フランジ部に嵌合凹部を形成し、グロメットアウターの筒部から突出し、筒状体のフランジ部を嵌挿する嵌合溝が設けられた鍔部を設け、グロメットアウターの鍔部に嵌合溝に挿入したフランジ部の嵌合凹部に嵌合する嵌合凸部を形成して、グロメットインナーのフランジ部の嵌合凹部にグロメットアウターの鍔部に形成した嵌合凸部を嵌合して固定し、筒部に形成される鍔部の蛇腹状筒部形成側をめくれ難くしたものである。
【実施例1】
【0030】
図1図2には、インナー付きグロメット構造の実施例1が示されており、図1はインナー付きグロメットの全体斜視図、図2(A)は、図1に図示のインナー付きグロメットの平面図、図2(B)は、図1に図示のインナー付きグロメットのa−a断面図、図2(C)は、図2に図示のインナー付きグロメットのb−b断面図である。
【0031】
図1図2において、インナー付きグロメット1は、ドアおよび車体フレームに取り付けられ、ドアと車体フレーム間の配線を保護するものである。インナー付きグロメット1は、グロメットアウター2と、該グロメットアウター2に取り付けられ図示しない車両のドア側の貫通孔に取り付けられるグロメットインナー3とを備えている。
グロメットアウター2は、図2(A)(B)(C)に示すように山部4aと谷部4bとが交互に連続した蛇腹状筒部4と、該蛇腹状筒部4の両端に連続した筒部を備えており、該蛇腹状筒部4は、伸縮するように構成されており、可撓性を有する材質(例えば、ゴム、合成樹脂等)によって一体成形されている。
また、グロメットインナー3は、保形性を有する樹脂成形品によって構成されている。
【0032】
グロメットアウター2には、蛇腹状筒部4から連成される筒部5と、該筒部5に連続し筒部5の径よりも大きい径に形成される鍔部6が設けられている。この鍔部6には、内面に沿ってリング状に嵌合溝7が設けられている。この嵌合溝7には、後述するグロメットインナー3の筒状体10のフランジ部11が装着するようになっている。
【0033】
グロメットアウター2の鍔部6に形成されるリング状の嵌合溝7の底壁8には、鍔部6の中心に向かって突出する嵌合凸部9,9が鍔部6の対向する位置に設けられている。本実施例において嵌合凸部9,9は、鍔部6の対向する位置にそれぞれ設けられ、2つの嵌合凸部が設けられているが、必ずしも2つで有る必要はなく、図面で示していないが、3個以上、複数個であっても良い。
この嵌合凸部9,9は、嵌合溝7を形成している底壁8から蛇腹状筒部4が形成されている蛇腹状筒部4の長手方向に突出するリブによって構成されており、嵌合溝7の蛇腹状筒部4の長手方向に対向する位置に設けられている。
【0034】
グロメットインナー3は、図2(A)(B)(C)に示すように筒状に形成される筒状体10からなり、この筒状体10の基端外周面にフランジ部11が設けられている。
このフランジ部11は、グロメットアウター2の鍔部6の嵌合溝7に嵌合し、グロメットインナー3をグロメットアウター2に取り付けるようになっいる。
【0035】
このフランジ部11には、中心軸を通り対向した位置に嵌合凹部12,12が設けられている。この嵌合凹部12,12は、グロメットアウター2の鍔部6の嵌合溝7の底壁8に形成される嵌合凸部9,9に嵌合させるものである。本実施例においては、フランジ部11の中心軸を通り対向した位置にそれぞれ設けられ、2つの嵌合凹部が設けられているが、必ずしも2つで有る必要はなく、図面で示していないが、3個以上、複数個であっても良い。ただし、グロメットアウター2の鍔部6の嵌合溝7の底壁8に形成される嵌合凸部9,9に嵌合させるものであるので、グロメットアウター2の鍔部6の嵌合溝7の底壁8の嵌合凸部9,9の形成位置と同じ位置で、嵌合凸部9,9の形成数と同数、又は2個以上で嵌合凸部9,9の形成数よりも少ない数であることが必要である。
【0036】
このように構成されるインナー付きグロメット1の組み付けに当たっては、グロメットインナー3の筒状体10のフランジ部11をグロメットアウター2の鍔部6の嵌合溝7に嵌合する。この際、グロメットインナー3の筒状体10のフランジ部11に形成されている嵌合凹部12,12に、グロメットアウター2の鍔部6の嵌合溝7に形成されている嵌合凸部9,9を嵌合する。
このようにグロメットアウター2の鍔部6に形成した嵌合凸部9,9をグロメットインナー3のフランジ部11の嵌合凹部12,12に嵌合することによってグロメットアウター2にグロメットインナー3を固定している。
【0037】
このように構成することにより、本実施例によれば、グロメットアウター2に形成する嵌合溝7にグロメットインナー3のフランジ部11を嵌挿することでグロメットインナー3がグロメットアウター2から外れ難くすることができ、防水性を確保することができる。
また、本実施例によれば、グロメットインナー3のフランジ部11の嵌合凹部12,12にグロメットアウター2の鍔部6に形成した嵌合凸部9,9を嵌合して固定するので、グロメットインナー3とグロメットアウター2との位置決めを容易にすることができ、インナー付きグロメット1が、長円穴のときでも、グロメットインナー3とグロメットアウター2とがズレるのを防止することができる。
【0038】
さらに、本実施例によれば、嵌合凸部9,9を、グロメットアウター2の鍔部6に形成する嵌合溝7の底壁8から突出するリブによって構成すること、容易に構成することができる。
またさらに、本実施例によれば、嵌合凸部9,9を、グロメットアウター2の鍔部6の蛇腹状筒部4を形成する方向で対向した位置に形成することで、蛇腹状筒部4を形成する方向に直交する方向へのグロメットアウター2とグロメットインナー3とのズレを防止することができる。
【実施例2】
【0039】
図3には、インナー付きグロメット構造の実施例2が示されており、図3(A)はインナー付きグロメットの平面図、図3(B)は図3(A)に図示のインナー付きグロメットのc−c断面図、図3(C)は図3(B)に図示のインナー付きグロメットのd−d断面図である。
【0040】
図3において、インナー付きグロメット20は、ドアおよび車体フレームに取り付けられ、ドアと車体フレーム間の配線を保護するものである。インナー付きグロメット20は、グロメットアウター21と、該グロメットアウター21に取り付けられ図示しない車両のドア側の貫通孔に取り付けられるグロメットインナー22とを備えている。
グロメットアウター21は、図3(A)(B)(C)に示すように山部23aと谷部23bとが交互に連続した蛇腹状筒部23と、該蛇腹状筒部23の両端に連続した筒部を備えており、該蛇腹状筒部23は、伸縮するように構成されており、可撓性を有する材質(例えば、ゴム、合成樹脂等)によって一体成形されている。
また、グロメットインナー22は、保形性を有する樹脂成形品によって構成されている。
【0041】
グロメットアウター21には、蛇腹状筒部23から連成される筒部24と、該筒部24に連続し筒部24の径よりも大きい径に形成される鍔部25が設けられている。この鍔部25には、内面に沿ってリング状に嵌合溝26が設けられている。この嵌合溝26には、後述するグロメットインナー22の筒状体29のフランジ部30が装着するようになっている。
グロメットアウター21の鍔部25に形成されるリング状の嵌合溝26の底壁27には、鍔部25の中心に向かって突出する嵌合凸部28,28が鍔部25の対向する位置に設けられている。
【0042】
そして、グロメットアウター21の鍔部25は、嵌合凸部28,28を形成する側の鍔部25の肉厚を蛇腹状筒部23を形成する方向に厚くして肉厚部25aが形成されている。
本実施例において嵌合凸部28,28は、鍔部25の対向する位置にそれぞれ設けられ、2つの嵌合凸部が設けられているが、必ずしも2つで有る必要はなく、図面で示していないが、3個以上、複数個であっても良い。
この嵌合凸部28,28は、嵌合溝26を形成している底壁27から蛇腹状筒部23が形成されている蛇腹状筒部23の長手方向に突出するリブによって構成されており、嵌合溝26の蛇腹状筒部23の長手方向に対向する位置に設けられている。
【0043】
グロメットインナー22は、図3(A)(B)(C)に示すように筒状に形成される筒状体29からなり、この筒状体29の基端外周面にフランジ部30が設けられている。
このフランジ部30は、グロメットアウター21の鍔部25の嵌合溝26に嵌合し、グロメットインナー22をグロメットアウター21に取り付けるようになっいる。
【0044】
このフランジ部30には、中心軸を通り対向した位置に嵌合凹部31,31が設けられている。この嵌合凹部31,31は、グロメットアウター21の鍔部25の嵌合溝26の底壁27に形成される嵌合凸部28,28に嵌合させるものである。本実施例においては、フランジ部30の中心軸を通り対向した位置にそれぞれ設けられ、2つの嵌合凹部が設けられているが、必ずしも2つで有る必要はなく、図面で示していないが、3個以上、複数個であっても良い。ただし、グロメットアウター21の鍔部25の嵌合溝26の底壁27に形成される嵌合凸部28,28に嵌合させるものであるので、グロメットアウター21の鍔部25の嵌合溝26の底壁27の嵌合凸部28,28の形成位置と同じ位置で、嵌合凸部28,28の形成数と同数、又は2個以上で嵌合凸部28,28の形成数よりも少ない数であることが必要である。
【0045】
このように構成されるインナー付きグロメット20の組み付けに当たっては、グロメットインナー22の筒状体29のフランジ部30をグロメットアウター21の鍔部25の嵌合溝26に嵌合する。この際、グロメットインナー22の筒状体29のフランジ部30に形成されている嵌合凹部31,31に、グロメットアウター21の鍔部25の嵌合溝26に形成されている嵌合凸部28,28を嵌合する。
このようにグロメットアウター21の鍔部25に形成した嵌合凸部28,28をグロメットインナー22のフランジ部30の嵌合凹部31,31に嵌合することによってグロメットアウター21にグロメットインナー22を固定している。
【0046】
このように構成することにより、本実施例によれば、グロメットアウター21に形成する嵌合溝26にグロメットインナー22のフランジ部30を嵌挿することでグロメットインナー22がグロメットアウター21から外れ難くすることができ、防水性を確保することができる。
また、本実施例によれば、グロメットインナー22のフランジ部30の嵌合凹部31,31にグロメットアウター21の鍔部25に形成した嵌合凸部28,28を嵌合して固定するので、グロメットインナー22とグロメットアウター21との位置決めを容易にすることができ、インナー付きグロメット20が、長円穴のときでも、グロメットインナー22とグロメットアウター21とがズレるのを防止することができる。
【0047】
さらに、本実施例によれば、嵌合凸部28,28を、グロメットアウター21の鍔部25の蛇腹状筒部23を形成する方向に直交する位置で対向した位置に形成し、グロメットアウター21の鍔部25の嵌合凸部28,28の形成する側をグロメットアウター21の蛇腹状筒部23を形成する方向に肉厚になるように形成して肉厚部25aを形成してあるため、グロメットアウター21にグロメットインナー22を装着した後、鍔部25の肉厚部25aがグロメットインナー22のフランジ部30の作用によってめくり上がることが無く、グロメットアウター21とグロメットインナー22との位置決めをより強固にすることができる。
【実施例3】
【0048】
図4には、インナー付きグロメット構造の実施例3が示されており、図4(A)はインナー付きグロメットの平面図、図4(B)は図4(A)に図示のインナー付きグロメットのe−e断面図、図4(C)は図4(B)に図示のインナー付きグロメットのf−f断面図である。
【0049】
図4において、インナー付きグロメット40は、ドアおよび車体フレームに取り付けられ、ドアと車体フレーム間の配線を保護するものである。インナー付きグロメット40は、グロメットアウター41と、該グロメットアウター41に取り付けられ図示しない車両のドア側の貫通孔に取り付けられるグロメットインナー42とを備えている。
グロメットアウター41は、図4(A)(B)(C)に示すように山部43aと谷部43bとが交互に連続した蛇腹状筒部43と、該蛇腹状筒部43の両端に連続した筒部を備えており、該蛇腹状筒部43は、伸縮するように構成されており、可撓性を有する材質(例えば、ゴム、合成樹脂等)によって一体成形されている。
また、グロメットインナー42は、保形性を有する樹脂成形品によって構成されている。
【0050】
グロメットアウター41には、蛇腹状筒部43から連成される筒部44と、該筒部44に連続し筒部44の径よりも大きい径に形成される鍔部45が設けられている。この鍔部45には、内面に沿ってリング状に嵌合溝46が設けられている。この嵌合溝46には、後述するグロメットインナー42の筒状体49のフランジ部50が装着するようになっている。
グロメットアウター41の鍔部45に形成されるリング状の嵌合溝46の底壁47には、鍔部45の中心に向かって突出する嵌合凸部48,48が、蛇腹状筒部43を形成する方向、すなわち蛇腹状筒部43の長手方向に直交する位置で、相対向する位置に一対設けられている。
【0051】
そして、グロメットアウター41の鍔部45は、嵌合凸部48,48を形成する側の鍔部45の肉厚を蛇腹状筒部43を形成する方向に厚くして肉厚部45aが形成されている。
本実施例において嵌合凸部48,48は、鍔部45の対向する位置にそれぞれ設けられ、2つの嵌合凸部が設けられているが、必ずしも2つで有る必要はなく、図面で示していないが、3個以上、複数個であっても良い。
この嵌合凸部48,48は、嵌合溝46を形成している底壁47から蛇腹状筒部43が形成されている蛇腹状筒部43の長手方向に突出するリブによって構成されており、嵌合溝46の蛇腹状筒部43の長手方向に対向する位置に設けられている。
【0052】
グロメットインナー42は、図4(A)(B)(C)に示すように筒状に形成される筒状体49からなり、この筒状体49の基端外周面にフランジ部50が設けられている。
このフランジ部50は、グロメットアウター41の鍔部45の嵌合溝46に嵌合し、グロメットインナー42をグロメットアウター41に取り付けるようになっいる。
【0053】
このフランジ部50には、中心軸を通り対向した位置に嵌合凹部51,51が設けられている。この嵌合凹部51,51は、グロメットアウター41の鍔部45の嵌合溝46の底壁47に形成される嵌合凸部48,48に嵌合させるものである。
本実施例においては、フランジ部50の中心軸を通り対向した位置にそれぞれ設けられ、2つの嵌合凹部が設けられているが、必ずしも2つで有る必要はなく、図面で示していないが、3個以上、複数個であっても良い。
ただし、グロメットアウター41の鍔部45の嵌合溝46の底壁47に形成される嵌合凸部48,48に嵌合させるものであるので、グロメットアウター41の鍔部45の嵌合溝46の底壁47の嵌合凸部48,48の形成位置と同じ位置で、嵌合凸部48,48の形成数と同数、又は2個以上で嵌合凸部48,48の形成数よりも少ない数であることが必要である。
【0054】
このように構成されるインナー付きグロメット40の組み付けに当たっては、グロメットインナー42の筒状体49のフランジ部50をグロメットアウター41の鍔部45の嵌合溝46に嵌合する。この際、グロメットインナー42の筒状体49のフランジ部50に形成されている嵌合凹部51,51に、グロメットアウター41の鍔部45の嵌合溝46に形成されている嵌合凸部48,48を嵌合する。
このようにグロメットアウター41の鍔部45に形成した嵌合凸部48,48をグロメットインナー42のフランジ部50の嵌合凹部51,51に嵌合することによってグロメットアウター41にグロメットインナー42を固定している。
【0055】
このように構成することにより、本実施例によれば、グロメットアウター41に形成する嵌合溝46にグロメットインナー42のフランジ部50を嵌挿することでグロメットインナー42がグロメットアウター41から外れ難くすることができ、防水性を確保することができる。
また、本実施例によれば、グロメットインナー42のフランジ部50の嵌合凹部51,51にグロメットアウター41の鍔部45に形成した嵌合凸部48,48を嵌合して固定するので、グロメットインナー42とグロメットアウター41との位置決めを容易にすることができ、インナー付きグロメット40が、長円穴のときでも、グロメットインナー42とグロメットアウター41とがズレるのを防止することができる。
【0056】
さらに、本実施例によれば、グロメットアウター41の鍔部45の蛇腹状筒部43を形成する側を肉厚にして肉厚部45aを形成してあるため、グロメットアウター41にグロメットインナー42を装着した後、鍔部45の肉厚部45aがグロメットインナー42のフランジ部50の作用によってめくり上がることが無く、グロメットアウター41とグロメットインナー42との位置決めをより強固にすることができる。
【実施例4】
【0057】
図5には、インナー付きグロメット構造の実施例4が示されており、図5(A)はインナー付きグロメットの平面図、図5(B)は図5(A)に図示のインナー付きグロメットのg−g断面図、図5(C)は図4(B)に図示のインナー付きグロメットのh−h断面図である。
【0058】
図5において、インナー付きグロメット60は、ドアおよび車体フレームに取り付けられ、ドアと車体フレーム間の配線を保護するものである。インナー付きグロメット60は、グロメットアウター61と、該グロメットアウター61に取り付けられ図示しない車両のドア側の貫通孔に取り付けられるグロメットインナー62とを備えている。
グロメットアウター61は、図5(A)(B)(C)に示すように山部63aと谷部63bとが交互に連続した蛇腹状筒部63と、該蛇腹状筒部63の両端に連続した筒部を備えており、該蛇腹状筒部63は、伸縮するように構成されており、可撓性を有する材質(例えば、ゴム、合成樹脂等)によって一体成形されている。
また、グロメットインナー62は、保形性を有する樹脂成形品によって構成されている。
【0059】
グロメットアウター61には、蛇腹状筒部63から連成される筒部64と、該筒部64に連続し筒部64の径よりも大きい径に形成される鍔部65が設けられている。この鍔部65には、内面に沿ってリング状に嵌合溝66が設けられている。この嵌合溝66には、後述するグロメットインナー62の筒状体69のフランジ部70が装着するようになっている。
グロメットアウター61の鍔部65に形成されるリング状の嵌合溝66の底壁67には、鍔部65の中心に向かって突出する嵌合凸部68,68が、蛇腹状筒部63を形成する方向、すなわち蛇腹状筒部63の長手方向に直交する位置で、相対向する位置に一対設けられている。
【0060】
また、グロメットアウター61の鍔部65に形成されるリング状の嵌合溝66の底壁67の蛇腹状筒部63を形成する方向、すなわち蛇腹状筒部63の長手方向の蛇腹状筒部63の屈曲側に、鍔部65の中心に向かって嵌合凹部7が設けられている。
そして、グロメットアウター61の鍔部65には、嵌合凹部7を形成する側の鍔部65の肉厚を蛇腹状筒部63を屈曲する側に厚くして肉厚部65aが形成されている。
本実施例においては、グロメットアウター61の鍔部65の嵌合凸部68,68は、鍔部65の対向する位置にそれぞれ設けられ、2つの嵌合凸部が設けられているが、必ずしも2つで有る必要はなく、図面で示していないが、3個以上、複数個であっても良い。
この嵌合凸部68,68は、嵌合溝66を形成している底壁67から蛇腹状筒部63が形成されている蛇腹状筒部63の長手方向に突出するリブによって構成されており、嵌合溝66の蛇腹状筒部63の長手方向に対向する位置に設けられている。
【0061】
グロメットインナー62は、図5(A)(B)(C)に示すように筒状に形成される筒状体69からなり、この筒状体69の基端外周面にフランジ部70が設けられている。
このフランジ部70は、グロメットアウター61の鍔部65の嵌合溝66に嵌合し、グロメットインナー62をグロメットアウター61に取り付けるようになっいる。
このフランジ部70には、中心軸を通り対向した位置に嵌合凹部71,71が設けられている。この嵌合凹部71,71は、グロメットアウター61の鍔部65の嵌合溝66の底壁67に形成される嵌合凸部68,68に嵌合させるものである。
【0062】
また、グロメットインナー62のフランジ部70の蛇腹状筒部63を形成する方向、すなわち蛇腹状筒部63の長手方向の蛇腹状筒部63の屈曲側には、蛇腹状筒部63を形成する方向、すなわち蛇腹状筒部63の長手方向に突出する嵌合凸部7が設けられており、この嵌合凸部7は、グロメットアウター61の鍔部65に形成される嵌合凹部7に嵌合させるようになっている。
【0063】
このように構成されるインナー付きグロメット60の組み付けに当たっては、グロメットインナー62の筒状体69のフランジ部70をグロメットアウター61の鍔部65の嵌合溝66に嵌合する。この際、グロメットインナー62の筒状体69のフランジ部70に形成されている嵌合凹部71,71に、グロメットアウター61の鍔部65の嵌合溝66に形成されている嵌合凸部68,68を嵌合するとともに、グロメットインナー62の筒状体69のフランジ部70に形成されている嵌合凸部72を、グロメットアウター61の鍔部65の嵌合溝66に形成されている嵌合凹部73に嵌合する。
このようにグロメットアウター61の鍔部65に形成した嵌合凸部68,68をグロメットインナー62のフランジ部70の嵌合凹部71,71に嵌合し、グロメットインナー62のフランジ部70に形成されている嵌合凸部72をグロメットアウター61の鍔部65の嵌合溝66に形成されている嵌合凹部73に嵌合することによってグロメットアウター61にグロメットインナー62を固定している。
【0064】
このように構成することにより、本実施例によれば、グロメットアウター61に形成する嵌合溝66にグロメットインナー62のフランジ部70を嵌挿することでグロメットインナー62がグロメットアウター61から外れ難くすることができ、防水性を確保することができる。
また、本実施例によれば、グロメットインナー62のフランジ部70の嵌合凹部71,71にグロメットアウター61の鍔部65に形成した嵌合凸部68,68を嵌合し、グロメットインナー62のフランジ部70に形成されている嵌合凸部72をグロメットアウター61の鍔部65の嵌合溝66に形成されている嵌合凹部73に嵌合するので、グロメットインナー62とグロメットアウター61との位置決めを容易にすることができ、インナー付きグロメット60が、長円穴のときでも、グロメットインナー62とグロメットアウター61とがズレるのを防止することができる。
【0065】
さらに、本実施例によれば、グロメットアウター61の鍔部65の蛇腹状筒部63を形成する側を肉厚にして肉厚部65aを形成してあるため、グロメットアウター61にグロメットインナー62を装着した後、鍔部65の肉厚部65aがグロメットインナー62のフランジ部70の作用によってめくり上がることが無く、グロメットアウター61とグロメットインナー62との位置決めをより強固にすることができる。
【実施例5】
【0066】
図6には、インナー付きグロメット構造の実施例5が示されており、図6(A)はインナー付きグロメットの平面図、図6(B)は図5(A)に図示のインナー付きグロメットのi−i断面図、図6(C)は図4(B)に図示のインナー付きグロメットのj−j断面図である。
【0067】
図6において、インナー付きグロメット80は、ドアおよび車体フレームに取り付けられ、ドアと車体フレーム間の配線を保護するものである。インナー付きグロメット80は、グロメットアウター81と、該グロメットアウター81に取り付けられ図示しない車両のドア側の貫通孔に取り付けられるグロメットインナー82とを備えている。
グロメットアウター81は、図6(A)(B)(C)に示すように山部83aと谷部83bとが交互に連続した蛇腹状筒部83と、該蛇腹状筒部83の両端に連続した筒部を備えており、該蛇腹状筒部83は、伸縮するように構成されており、可撓性を有する材質(例えば、ゴム、合成樹脂等)によって一体成形されている。
また、グロメットインナー82は、保形性を有する樹脂成形品によって構成されている。
【0068】
グロメットアウター81には、蛇腹状筒部83から連成される筒部84と、該筒部84に連続し筒部84の径よりも大きい径に形成される鍔部85が設けられている。この鍔部85には、内面に沿ってリング状に嵌合溝86が設けられている。この嵌合溝86には、後述するグロメットインナー82の筒状体89のフランジ部90が装着するようになっている。
グロメットアウター81の鍔部85に形成されるリング状の嵌合溝86の底壁87には、蛇腹状筒部83の長手方向の蛇腹状筒部83の屈曲側に対向する位置には、鍔部85の中心に向かって突出する嵌合凸部88が設けられている。
【0069】
また、グロメットアウター81の鍔部85に形成されるリング状の嵌合溝86の底壁87には、2つの嵌合凹部89,89が平行して形成され、この2つの嵌合凹部89,89の間に、鍔部85の中心に向かって突出する嵌合凸部90が設けられている。
そして、グロメットアウター81の鍔部85は、蛇腹状筒部83の長手方向、すなわち蛇腹状筒部83の屈曲側に肉厚を厚くr。肉厚部85aが形成されている。
【0070】
グロメットインナー82は、図6(A)(B)(C)に示すように筒状に形成される筒状体91からなり、この筒状体91の基端外周面にフランジ部92が設けられている。
このフランジ部92は、グロメットアウター81の鍔部85の嵌合溝86に嵌合し、グロメットインナー82をグロメットアウター81に取り付けるようになっいる。
このフランジ部92には、嵌合凹部93が設けられている。この嵌合凹部93は、グロメットアウター81の鍔部85の嵌合溝86の底壁87に形成される嵌合凸部88を嵌合させるものである。
【0071】
また、グロメットインナー82のフランジ部92の蛇腹状筒部83を形成する方向、すなわち蛇腹状筒部83の長手方向の蛇腹状筒部83の屈曲側には、蛇腹状筒部83を形成する方向、すなわち蛇腹状筒部83の長手方向に突出し、グロメットアウター81の嵌合溝86の底壁87に形成される2つの嵌合凹部89,89に嵌合する2つの嵌合凸部94,94が設けられている。
また、このグロメットインナー82のフランジ部92に形成される2つの嵌合凸部94,94とによって、嵌合凹部95が形成されている。このフランジ部92に形成される嵌合凹部95は、フランジ部92の外周端よりも深く形成されている。
この嵌合凸部94,94は、グロメットアウター81の鍔部85に形成される嵌合凹部93に嵌合させるようになっている。
【0072】
このように構成されるインナー付きグロメット80の組み付けに当たっては、グロメットインナー82の筒状体91のフランジ部92をグロメットアウター81の鍔部85の嵌合溝86に嵌合する。
この際、グロメットインナー82の筒状体91のフランジ部92に形成されている嵌合凹部93に、グロメットアウター81の鍔部85の嵌合溝86の底壁87に形成されている嵌合凸部88を嵌合する。
さらに、グロメットアウター81の鍔部85の嵌合溝86の底壁87に形成されている2つの嵌合凹部89,89に、グロメットインナー82の筒状体91のフランジ部92に形成されている2つの嵌合凸部94,94を嵌合するとともに、グロメットインナー82の筒状体91のフランジ部92に形成されている嵌合凹部95に、グロメットアウター81の鍔部85の嵌合溝86の底壁87に形成されている嵌合凸部90を嵌合する。
【0073】
このようにグロメットアウター81の鍔部85に形成した嵌合凸部88をグロメットインナー82のフランジ部92の嵌合凹部93に嵌合し、グロメットインナー82のフランジ部92に形成されている嵌合凸部94,94をグロメットアウター81の鍔部85の嵌合溝86に形成されている嵌合凹部89,89に嵌合することによってグロメットアウター81にグロメットインナー82を固定している。
【0074】
このように構成することにより、本実施例によれば、グロメットアウター81に形成する嵌合溝86にグロメットインナー82のフランジ部92を嵌挿することでグロメットインナー82がグロメットアウター81から外れ難くすることができ、防水性を確保することができる。
また、本実施例によれば、グロメットインナー82のフランジ部92の嵌合凹部93,95にグロメットアウター81の鍔部85に形成した嵌合凸部88,90を嵌合し、グロメットインナー82のフランジ部92に形成されている嵌合凸部94,94をグロメットアウター81の鍔部85の嵌合溝86に形成されている嵌合凹部89,89に嵌合するので、グロメットインナー82とグロメットアウター81との位置決めを容易にすることができ、インナー付きグロメット80が、長円穴のときでも、グロメットインナー82とグロメットアウター81とがズレるのを防止することができる。
【0075】
さらに、本実施例によれば、グロメットアウター81の鍔部85の蛇腹状筒部83を形成する側を肉厚にして肉厚部85aを形成してあるため、グロメットアウター81にグロメットインナー82を装着した後、鍔部85の肉厚部85aがグロメットインナー82のフランジ部92の作用によってめくり上がることが無く、グロメットアウター81とグロメットインナー82との位置決めをより強固にすることができる。
【実施例6】
【0076】
図7図8には、インナー付きグロメット構造の実施例6が示されており、図7はインナー付きグロメットの全体斜視図で、図8(A)は、図7に図示のインナー付きグロメットの平面図、図8(B)は、図8(A)に図示のインナー付きグロメットのk−k断面図、図8(C)は、図8(B)に図示のインナー付きグロメットのm−m断面図である。
【0077】
、図において、インナー付きグロメット100は、ダッシュ用グロメット(ポットタイプ)で、ワイヤーハーネスW/Hを貫通させる貫通部が一側に曲がって形成されている。このようなインナー付きグロメット100は、ワイヤーハーネスW/Hを貫通させる貫通部が一側に曲がっているため、一側に力が加わり易くグロメットインナーから外れ易い。
そこで、本実施例は、グロメットアウター101と、グロメットアウター101に取り付けられ図示しない車両のドア側の貫通孔に取り付けられるグロメットインナー102とからなるダッシュ用グロメット(ポットタイプ)のインナー付きグロメット100を実施例1−5と同様に構成したものである。
【0078】
図8には、ダッシュ用グロメット(ポットタイプ)のインナー付きグロメット100を図2に図示のインナー付きグロメット1の構成と同じ構成としたものが示されている。
グロメットアウター101は、図(A)(B)(C)に示すように、先端のワイヤーハーネスW/H貫通部が一側に曲がって形成されている。
【0079】
グロメットアウター101には、筒部103と、該筒部103に連続し筒部103の径よりも大きい径に形成される鍔部104が設けられている。この鍔部104には、内面に沿ってリング状に嵌合溝105が設けられている。この嵌合溝105には、後述するグロメットインナー102の筒状体108のフランジ部109が装着するようになっている。
【0080】
グロメットアウター101の鍔部104に形成されるリング状の嵌合溝105の底壁106には、鍔部104の中心に向かって突出する嵌合凸部107,107が鍔部104の対向する位置に設けられている。
本実施例において嵌合凸部107,107は、鍔部104の対向する位置にそれぞれ設けられ、2つの嵌合凸部が設けられている。この嵌合凸部107,107は、必ずしも2つで有る必要はなく、図面で示していないが、3個以上、複数個であっても良い。
この嵌合凸部107,107は、嵌合溝105を形成している底壁106からグロメットアウター101の先端の曲げ方向に突出するリブによって構成されており、嵌合溝105のグロメットアウター101の先端の曲げ方向の線上に位置し、対向する位置に設けられている。
【0081】
グロメットインナー102は、図8(A)(B)(C)に示すように筒状に形成される筒状体108からなり、この筒状体108の基端外周面にフランジ部109が設けられている。
このフランジ部109は、グロメットアウター101の鍔部104の嵌合溝105に嵌合し、グロメットインナー102をグロメットアウター101に取り付けるようになっいる。
【0082】
このフランジ部109には、中心軸を通り対向した位置に嵌合凹部110,110が設けられている。この嵌合凹部110,110は、グロメットアウター101の鍔部104の嵌合溝105の底壁106に形成される嵌合凸部107,107に嵌合させるものである。
本実施例においては、フランジ部109の中心軸を通り対向した位置にそれぞれ設けられ、2つの嵌合凹部が設けられているが、必ずしも2つで有る必要はなく、図面で示していないが、3個以上、複数個であっても良い。
ただし、グロメットアウター101の鍔部104の嵌合溝105の底壁106に形成される嵌合凸部107,107に嵌合させるものであるので、グロメットアウター101の鍔部104の嵌合溝105の底壁106の嵌合凸部107,107の形成位置と同じ位置で、嵌合凸部107,107の形成数と同数、又は2個以上で嵌合凸部107,107の形成数よりも少ない数であることが必要である。
【0083】
このように構成されるインナー付きグロメット100の組み付けに当たっては、グロメットインナー102の筒状体108のフランジ部109をグロメットアウター101の鍔部104の嵌合溝105に嵌合する。この際、グロメットインナー102の筒状体108のフランジ部109に形成されている嵌合凹部110,110に、グロメットアウター101の鍔部104の嵌合溝105に形成されている嵌合凸部107,107を嵌合する。
このようにグロメットアウター101の鍔部104に形成した嵌合凸部107,107をグロメットインナー102のフランジ部109の嵌合凹部110,110に嵌合することによってグロメットアウター101にグロメットインナー102を固定している。
【0084】
このように構成することにより、本実施例によれば、グロメットアウター101に形成する嵌合溝105にグロメットインナー102のフランジ部109を嵌挿することでグロメットインナー102がグロメットアウター101から外れ難くすることができ、防水性を確保することができる。
また、本実施例によれば、グロメットインナー102のフランジ部109の嵌合凹部110,110にグロメットアウター101の鍔部104に形成した嵌合凸部107,107を嵌合して固定するので、グロメットインナー102とグロメットアウター101との位置決めを容易にすることができ、インナー付きグロメット100が、長円穴のときでも、グロメットインナー102とグロメットアウター101とがズレるのを防止することができる。
【0085】
さらに、本実施例によれば、嵌合凸部107,107を、グロメットアウター101の鍔部104に形成する嵌合溝105の底壁106から突出するリブによって構成することて、容易に構成することができる。
またさらに、本実施例によれば、嵌合凸部107,107を、グロメットアウター101の鍔部104のグロメットアウター101の先端の曲げ方向の相対向した位置に形成することで、グロメットアウター101の先端の曲げ方向に直交する方向へのグロメットアウター101とグロメットインナー102とのズレを防止することができる。
【符号の説明】
【0086】
1………インナー付きグロメット 2………グロメットアウター 3………グロメットインナー 4………蛇腹状筒部 5………筒部 6………鍔部 7………嵌合溝 8………底壁 9………嵌合凸部 10………筒状体 11………フランジ部 12………嵌合凹部
20………インナー付きグロメット 21………グロメットアウター 22………グロメットインナー 23………蛇腹状筒部 24………筒部 25………鍔部 26………嵌合溝 27………底壁 28………嵌合凸部 29………筒状体 30………フランジ部 31………嵌合凹部
40………インナー付きグロメット 41………グロメットアウター 42………グロメットインナー 43………蛇腹状筒部 44………筒部 45………鍔部 46………嵌合溝 47………底壁 48………嵌合凸部 49………筒状体 50………フランジ部 51………嵌合凹部
60………インナー付きグロメット 61………グロメットアウター 62………グロメットインナー 63………蛇腹状筒部 64………筒部 65………鍔部 65a………肉厚部 66………嵌合溝 67………底壁 68………嵌合凸部 69………筒状体 70………フランジ部 71,73………嵌合凹部 72………嵌合凸部
80………インナー付きグロメット 81………グロメットアウター 82………グロメットインナー 83………蛇腹状筒部 84………筒部 85………鍔部 85a………肉厚部 86………嵌合溝 87………底壁 88………嵌合凸部 89………嵌合凹部 90………フランジ部 91………筒状体 92………フランジ部 93………嵌合凹部 94………嵌合凸部
100……インナー付きグロメット 101……グロメットアウター 102……グロメットインナー 103……筒部 104……鍔部 105……嵌合溝 106……底壁 107……嵌合凸部 108………筒状体 109……フランジ部 110……嵌合凹部
図1
図2
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図4
図5
図6
図7
図8