(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、表面に多数の突起を設けた従来の床材は、意匠性や防滑性を向上させることができる反面、床材表面の多数の突起によって、床材表面に降った雨水などのスムーズな排水が妨げられたり、床材表面に堆積、付着した塵埃や土埃などの掃出し(箒等による掃出し)が妨げられたり、床材表面に付着した汚れなどの拭取り(モップ等による拭取り)が妨げられたりする傾向があった。
【0006】
本発明は上記事情の下になされたもので、その解決しようとする課題は、良好な防滑性と、良好な排水性、掃出し性、拭取り性を兼ね備えた、意匠性に富む床材
を床面に敷設して構築される床構造を提供することにある。
尚、本明細書においては、掃出し性と拭取り性をまとめて清掃性という場合があり、更に、排水性と掃出し性と拭取り性をまとめて排水・清掃性という場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明に係る
床構造は、
帯状領域の長さ方向の軸線が互いに平行となるように多数の帯状領域を互いに隣接させて床材表面に配設した床材を床面に敷設した床構造であって、
前記床材は、その帯状領域が任意の一方向に配向する凸条群によって形成されており、全ての帯状領域において、帯状領域の長さ方向の軸線とその帯状領域における凸条の中心軸線とが非平行であり、その交差角度α(0°を含まない)が、隣接する帯状領域間で異なっており、前記交差角度αが0°<α≦15°である帯状領域と165°≦α<180°である帯状領域の合計面積が床材表面の面積の0〜30%を占めており、前記交差角度αが15°<α≦60°である帯状領域と120°≦α<165°である帯状領域の合計面積が床材表面の面積の30〜70%を占めており、前記交差角度αが60°<α<120°である帯状領域の合計面積が床材表面の面積の10〜40%を占めている長尺の床シートであり、
前記床面は、その長さ方向の一辺に沿って排水溝が形成され、この排水溝に向かって床面が徐々に低くなるように水勾配が設けられた、太陽光または照明光が照射される床面であり、
前記床材の帯状領域の長さ方向の軸線が
前記床面の長さ方向の軸線と平行になるように、
且つ、前記床面の水勾配と直交するように、前記床材を前記床面に敷設したことを特徴とするものである。
【0010】
本発明において、帯状領域の典型的なものは、
図2(a)に示す帯状領域1のように幅寸法が一定した帯状と認識できる長方形(矩形)の領域であるが、これに限定されるものではなく、例えば、
図2(b)に示す帯状領域1のように広幅部分と狭幅部分を有するものや、
図2(c)に示す帯状領域1のように中間部で段形に屈曲したものや、
図2(d)の帯状領域1のように幅寸法が漸減又は漸増するものなど、帯状に近似した細長い形状の領域が全て含まれる。
また、帯状領域の長さ方向の軸線の典型的なものは、
図2(a)に示す軸線Lのように帯状領域1の長さ方向の中心軸線であるが、このような中心軸線に限定されるものではなく、
図2の(b)(c)(d)に示す軸線Lのように帯状領域1の長さ方向と平行する軸線であれば、帯状領域1の中心を外れたものも含まれる。
また、
図5に示すように、帯状領域の長さ方向の軸線Lとその帯状領域における凸条2の中心軸線Lcとの交差角度αとは、軸線Lに対する中心軸線Lcの右回り方向の交差角度を意味し、この交差角度αには0°、即ち軸線Lと中心軸線Lcが平行である場合
は含まれない。
【発明の効果】
【0011】
本発明の
床構造のように、
床面に敷設される床材の帯状領域が任意の一方向に配向する凸条群によって形成され、帯状領域の長さ方向の軸線とその帯状領域における凸条の中心軸線との交差角度α(0°を
含まない)が、隣接する帯状領域間で異なっていると、それぞれの帯状領域ごとに凸条の方向(中心軸線の方向)が異なり、帯状領域ごとに様々な方向に凸条が配向するため、床材の上をどの方向に歩行しても、帯状領域ごとに様々な方向に配向する凸条によって360°全ての方向にグリップ力が生じ、良好な防滑性(防滑機能)が発揮されて歩行の安全が確保される。しかも、帯状領域ごとに様々な方向に凸条が配向していると、床材表面に降った雨水などの排水や、床材表面に堆積、付着した塵埃、土埃などの掃出し(箒等による掃出し)や、床材表面に付着した汚れなどの拭取り(モップ等による拭取り)が、凸条によって阻害されにくくなるので、排水性、掃出し性、拭取り性も改善される。従って、本発明の
床構造は、歩行者が滑って転倒する危険性がなくなり、床材表面の水溜りや、塵埃、汚れなどの除去も容易になる。
【0012】
また、本発明の
床構造に敷設される床材に太陽光や照明光が照射されると、帯状領域ごとに様々な方向に凸条が配向しているため、光線の照射方向や照射角度により、凸条相互間の平坦面(平坦な床材表面)で反射された光が歩行者の目に入って明るく見える帯状領域と、平坦面で反射された光が凸条で遮られて暗く見える帯状領域とに分かれることになり、各帯状領域間の明暗の差によって美麗な模様が形成されるようになる。そして、このような帯状領域による明暗模様は、歩行者の目の位置が移動することに伴って刻々と変化するため、美麗で変化に富んだ意匠が発現
し、意匠性が向上する。
【0013】
また、全ての帯状領域において、帯状領域の長さ方向の軸線とその帯状領域における凸条の中心軸線とが非平行であり、前記交差角度αが0°を含まないように構成され
ているため、次のような作用効果を奏する。
即ち、屋外の開放廊下やバルコニーなどの床面では、通常、床面の長さ方向の一辺に沿って排水溝が形成されており、その排水溝に向かって床面が徐々に低くなるように水勾配が設けられている。そして、歩行者は床面の長さ方向に歩行することが多い。このような開放廊下やバルコニーなどの床面に、上記の床材を各帯状領域の長さ方向の軸線と床面の長さ方向の軸線が平行となるように敷設すると、各帯状領域の凸条の中心軸線が床面の長さ方向の軸線と非平行になり、凸条が床面の幅方向(つまり水勾配の方向)に対して直交する方向に配向しないため、凸条による排水の阻害が一層軽減されて床材の排水性が向上する。そして、水勾配の方向(床面の幅方向)に掃き掃除や拭き掃除をすれば、塵埃や土埃の掃出し性や拭取り性も向上する。また、歩行方向と凸条の軸線方向が一致する帯状領域がなくなるので、床材のグリップ力が増して防滑性が向上する。
【0014】
上記のように、帯状領域の長さ方向の軸線と床面の長さ方向の軸線が平行となるように床材を床面に敷設した場合、帯状領域の長さ方向の軸線とその帯状領域における凸条の中心軸線との交差角度αが0°<α≦15°である帯状領域と、165°≦α<180°である帯状領域は、凸条が床面の長さ方向の軸線と平行に近い状態[換言すれば床面の幅方向(水勾配の方向)と直角に近い状態]で配向するため、床面の幅方向に歩行(例えば、廊下を進んだ後に、居室に入ろうとするような行動)したときのグリップ力が極めて大きく、防滑性が良好となる。しかしながら、水勾配による床面幅方向での排水性があまり良くなく、床面の幅方向(水勾配の方向)での掃出し性や拭取り性もあまり良くない。また、床面の長さ方向に歩行(例えば、廊下を進むような行動)したときのグリップ力も大きくないため、防滑性もあまり良いとはいえない。
これに対し、交差角度αが15°<α≦60°である帯状領域と、120°≦α<165°である帯状領域は、凸条が床面の長さ方向の軸線に対し斜め45°に近い状態で配向することになるため、上記の帯状領域よりも防滑性、排水性、清掃性(掃出し性及び拭取り性)が良好である。そして、交差角度αが60°<α<120°である帯状領域は、凸条が床面の幅方向(水勾配の方向)と平行に近い状態で配向することになるため、床面の幅方向に歩行したときの防滑性はあまり良くないが、床面の長さ方向における歩行時の防滑性は良く、排水・清掃性(排水性、掃出し性、拭取り性)も極めて良好となる。
従って、本発明の
床構造において、交差角度αが0°<α≦15°である帯状領域と165°≦α<180°である帯状領域の合計面積が床材表面の面積の0〜30%を占め、交差角度αが15°<α≦60°である帯状領域と120°≦α<165°である帯状領域の合計面積が床材表面の面積の30〜70%を占め、交差角度αが60°<α<120°である帯状領域の合計面積が床材表面の面積の10〜40%を占める
長尺の床シートである床材は、後述する実施例で実証されるように、防滑性及び排水・清掃性が総合的に良好であり、優れた意匠も兼ね備えた商品価値の高い
ものとなる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1に示す床材Fは、その表面に多数の帯状領域1を互いに隣接させて配設したものであって、各帯状領域1の長さ方向の軸線L(
図2参照)が互いに平行となるように方向を揃えて配設されている。これらの帯状領域1は、各帯状領域ごとに任意の一方向に配向する多数の凸条2からなる凸条群によって形成されており、帯状領域1の長さ方向の軸線Lと凸条2の軸線Lcとの交差角度α(
図5参照)は、隣接する帯状領域間で異なっている。
【0018】
この床材Fは、塩化ビニル樹脂やオレフィン系樹脂などの熱可塑性合成樹脂、或いは、天然ゴムや合成ゴムなどを主成分としたものであって、各帯状領域1の凸条2はエンボスロールによる熱圧プレスなどの公知の方法で形成されている。この床材Fはタイル状のものでもよいが、雨水が降りかかったり、風雨によって塵埃や土埃が運ばれて堆積する屋外用途、例えばマンションの開放廊下やバルコニーなどの床面に敷設するのに適した長尺の床シートであることが望ましい。その寸法は限定されないが、例えば、幅を90〜210cm程度、厚みを1〜5mm程度にするのが適当であり、このような長尺の床シートは施工性や運搬性が良好である。
【0019】
それぞれの帯状領域1は、任意の一方向に配向する多数の凸条2からなる凸条群で形成されたものであって、長尺の床材F(床シート)の場合は、各帯状領域1の長さ方向の軸線Lが床材Fの長さ方向の軸線と平行になるように、各帯状領域1の方向を揃えて床材Fの表面に配設することが望ましい(なお、附言しておくと、本発明において、各帯状領域1の長さ方向の軸線Lは厳密な意味での平行である必要はない)。このように帯状領域1の方向を揃えて配設すると、後述するように長尺の床材Fを開放廊下などの床面に敷設したとき、排水性や清掃性(掃出し性及び拭取り性)が向上する利点がある。
【0020】
既述したように、帯状領域1には、
図2の(a)〜(d)に示すような、帯状もしくは帯状に近似した種々の細長い形状の領域が全て含まれるが、これらの帯状領域1の輪郭あるいは隣接する帯状領域との境界を示す溝や凸リブは形成されていない。このような溝や凸リブを形成すると、溝に塵埃や土埃が溜まったり、凸リブによって塵埃や土埃の掃出しや拭取りが阻害されたりして、清掃性が低下するからである。
【0021】
この実施形態の床材Fでは、
図3(a)に示すように、互いに隣接する双方の帯状領域1,1の境界部分において双方の帯状領域1,1の各凸条2,2の端部同士が極く僅かな隙間をあけてほぼ接触しているが、
図3(b)に示すように、双方の帯状領域1,1の各凸条2,2の端部同士が少し分離していてもよいし、
図3(c)に示すように、双方の帯状領域1,1の各凸条2,2の端部同士が連続していてもよいし、
図3(d)に示すように、双方の帯状領域1,1の各凸条2,2の端部が互いに相手方の凸条2の端部相互間に突入していてもよい。
図3(a)の場合は、双方の凸条2,2の端部同士がほぼ接触しているところが双方の帯状領域1,1の境界となり、
図3(b)の場合は、分離した双方の凸条2,2の端部相互間の真ん中が双方の帯状領域1,1の境界となり、
図3(c)の場合は、双方の凸条2,2の端部同士が連続した部分が双方の帯状領域1,1の境界となり、
図3(d)の場合は、双方の凸条2,2の端部が互いに突入する部分の真ん中が双方の帯状領域1,1の境界となるので、後述するように帯状領域1の面積を算出するときは、これらの境界にもとづいて面積計算をすればよい。
【0022】
尚、帯状領域1の幅寸法は、歩行者の靴幅を考慮して、2〜40mm程度(好ましくは5〜20mm程度)とすることが、特に防滑性を向上させる観点から望ましい。この程度の幅寸法であれば、片方の靴底で同時に踏むことができる帯状領域1の個数が数個ないし数十個となるので、グリップ力が歩行方向によって大きい偏りを生じることなく高められ、良好な防滑性が発揮される。
【0023】
この床材Fは、帯状領域1の長さ方向の軸線Lとその帯状領域1における凸条2の中心軸線Lcとの交差角度α(
図5参照)が、隣接する帯状領域1,1間で異なっているところに大きい特徴を有する。この床材Fのように、帯状領域1が任意の一方向に配向する凸条群によって形成され、上記の交差角度αが隣接する帯状領域1,1間で異なっていると、それぞれの帯状領域1ごとに凸条2の方向(中心軸線Lcの方向)が異なり、帯状領域1ごとに様々な方向に凸条2が配向するため、床材Fの上をどの方向に歩行しても、帯状領域1ごとに様々な方向に配向する凸条2によって360°全ての方向にグリップ力が生じ、良好な防滑性が発揮されて歩行の安全が確保されることになる。しかも、帯状領域1ごとに様々な方向に凸条2が配向していると、床材Fの表面に降った雨水などの排水や、床材Fの表面に堆積、付着した塵埃、土埃などの掃出し(箒等による掃出し)や、床材Fの表面に付着した汚れなどの拭取り(モップ等による拭取り)が、凸条2によって阻害されにくくなるので、排水性、掃出し性、拭取り性も改善されることになる。従って、この床材Fは歩行者が滑って転倒する危険性がなくなり、床材表面の水溜りや、塵埃、汚れなどの除去も容易になる。
【0024】
また、この床材Fに太陽光や照明光が照射されると、帯状領域1ごとに様々な方向に凸条2が配向しているため、光線の照射方向や照射角度により、凸条2相互間の平坦面(平坦な床材表面)で反射された光が歩行者の目に入って明るく見える帯状領域1と、平坦面で反射された光が凸条2で遮られて暗く見える帯状領域1とに分かれることになり、各帯状領域間の明暗の差によって美麗な模様が形成されるようになる。そして、このような帯状領域1による明暗模様は、歩行者の目の位置が移動することに伴って刻々と変化し、美麗で変化に富んだ意匠が発現するので、床材Fの意匠性も大幅に向上するようになる。
【0025】
この床材Fは、いずれの帯状領域1も、0°≦α≦180°の範囲内で一定の交差角度αを有するが、交差角度αが0°(180°)の帯状領域1、換言すれば帯状領域の長さ方向の軸線Lと凸条2の中心軸線Lcとが平行である帯状領域1は、床材表面に設けない方が望ましい。後述するように、開放廊下などの床面に、床材Fをその帯状領域1の長さ方向の軸線Lが該床面の長さ方向の軸線と平行になるように敷設すると、交差角度αが0°の帯状領域1を床材表面に設けている場合は、その帯状領域1の凸条2の方向(中心軸線Lcの方向)が開放廊下などの床面の長さ方向の軸線と平行となり、該床面の幅方向(水勾配の方向)と直角になるため、開放廊下を長さ方向に歩行するときのグリップ力が低下すると共に、水勾配による排水、及び、床面の幅方向への塵埃などの掃出しや拭取りが凸条2によって阻害されることになり、防滑性、排水性、掃出し性、拭取り性の向上を充分に図ることができないからである。
【0026】
また、帯状領域の長さ方向の軸線Lとその帯状領域における凸条2の中心軸線Lcとの交差角度αが0°<α≦15°である帯状領域1と、165°≦α<180°である帯状領域1は、凸条2が開放廊下などの床面の長さ方向の軸線と平行に近い状態[換言すれば床面の幅方向(水勾配の方向)と直角に近い状態]で配向するため、排水性があまり良くなく、床面の幅方向への掃出し性や拭取り性もあまり良くない領域である。そして、床面の長さ方向に歩行するときのグリップ力も大きくないため、防滑性もあまり良くない領域である。
これに対し、交差角度αが15°<α≦60°である帯状領域1と、120°≦α<165°である帯状領域1は、凸条2が開放廊下などの床面の長さ方向の軸線に対し斜め45°に近い状態で配向することになるため、上記の交差角度αが0°<α≦15°と165°≦α<180°である帯状領域よりも防滑性、排水性、清掃性(掃出し性及び拭取り性)が良好な領域であり、更に、交差角度αが60°<α<120°である帯状領域1は、凸条2が開放廊下などの床面の幅方向(水勾配の方向)と平行に近い状態で配向することになるため、床面の幅方向に歩行したときの防滑性はあまり良くないが、排水・清掃性(排水性、掃出し性、拭取り性)は更に良好な領域である。
【0027】
従って、床材Fの防滑性、排水・清掃性を総合的に向上させるためには、下記表1に示すように、交差角度αが0°<α≦15°と165°≦α<180°である帯状領域1の合計面積[以下、S(0〜15)と記す]が床材表面の面積の0〜30%、より好ましくは5〜20%を占め、交差角度αが15°<α≦60°と120°≦α<165°である帯状領域1の合計面積[以下、S(15〜60)と記す]が床材表面の面積の30〜70%、より好ましくは40〜60%を占め、交差角度αが60°<α<120°である帯状領域1の合計面積[以下、S(60〜90)と記す]が床材表面の面積の10〜40%、より好ましくは15〜30%を占め、且つ、S(0〜30)、S(30〜60)、S(60〜90)の合計が100%となるように、交差角度αが種々異なる帯状領域1を床材表面に配設することが望ましい。
そして、上記面積比率の範囲内であることに加えて、S(0〜15)<S(15〜60)≧S(60〜90)の関係が成立するように、交差角度αが種々異なる帯状領域1を床材表面に配設することが望ましく、更に、交差角度αが90°である帯状領域1の合計面積S(90)が床材表面の面積の5〜10%を占めることが望ましい。
【0029】
更に、帯状領域の交差角度αの範囲を10°≦α≦170°に限定し、前記合計面積S(0〜15)に代えて、交差角度αが10°≦α≦15°である帯状領域と165°≦α≦170°である帯状領域の合計面積S(10〜15)が床材表面の面積の0〜30%、より好ましくは5〜20%を占めるように構成すると、床材Fの防滑性、排水・清掃性が一層向上するので望ましい。
【0030】
なお、帯状領域の合計面積を算出するときは、既述したように互いに隣接する帯状領域1,1の境界を定め、その境界に基づいて交差角度αがそれぞれ上記範囲内にある帯状領域1の面積を求めて合計すればよい。
【0031】
帯状領域1を形成する凸条群の各凸条2は、
図4(a)に示すような略矩形の平面形状を有するもので、排水性を高めるために凸条2の両端面が半円形の凸曲面に形成されている。ただし、凸条2は、このような形状に限定される必要はなく、長円や楕円の平面形状であってもよいが、排水性や清掃性を確保する観点から、平面形状に突出部や陥入部を有するようなものは採用しないことが望ましい。また、塵埃、土埃、汚れなどの付着の軽減と、掃出し性、拭取り性を向上させるために、
図4(b)(c)に示すように、床材Fの表面から凸条2の側面や端面への立上がり部分にはアール2aが形成されている。この凸条2の上面や凸条相互間の床材表面は平坦面に形成されているが、梨地面や細かい凹凸面としてもよい。
【0032】
凸条2の寸法は特に限定されないが、意匠性、防滑性、排水性、掃出し性、拭取り性などを向上させる観点から、高さ寸法Hを0.3〜2.0mm程度、幅寸法Wを0.1〜2.0mm程度に設定することが望ましい。なお、凸条2の長さ寸法は、帯状領域1の幅寸法と前記交差角度αに依存して定まることは言うまでもない。また、一つの帯状領域1内では凸条2の相互間隔(隣接する凸条2,2の側面間距離)は一定であり、この相互間隔Iは0.5〜3.0mm程度に設定することが望ましい。凸条2の高さ寸法Hと相互間隔Iとの関係は、前述した光線の反射による明暗意匠を効果的に発現させる観点から、H≧I の関係が成立することが望ましい。
【0033】
なお、交差角度αが0°<α≦15°の帯状領域や交差角度αが165°≦α<180°の帯状領域では、水勾配方向への排水性、掃出し性、拭取り性などを考慮して、凸条2の高さ寸法Hを、交差角度αが15°<α<165°の範囲にある帯状領域の凸条2の高さ寸法Hよりも低くすることが望ましく、具体的には2/3〜1/2程度にするのがよい。
また、交差角度αが0°<α≦15°の帯状領域や交差角度αが165°≦α<180°の帯状領域では、水勾配方向への排水性、掃出し性、拭取り性などを考慮して、凸条2の相互間隔を、交差角度αが15°<α<165°の範囲にある帯状領域の凸条2の相互間隔よりも広くすることが望ましい。
【0034】
図6は本発明の一実施形態に係る床構造の概略説明図である
【0035】
この床構造は、屋外の開放廊下の床面3(コンクリート製の下地面)に櫛目ゴテなどを用いて接着剤4を塗布し、その上に前記長尺の床材Fを敷設して圧着したものであって、床面3の長さ方向の一辺(屋外側の一辺)に沿って排水溝3aが形成されており、この排水溝3aに向かって床面3が徐々に低くなるように水勾配が床面3の幅方向に設けられている。長尺の床材Fは、その長さ方向の軸線(不図示)が開放廊下の床面3の長さ方向の軸線(不図示)と平行又は合致するように敷設されており、それによって床材Fの表面に配設された各帯状領域1の長さ方向の軸線Lも床面3の長さ方向の軸線と平行になっている。
【0036】
上記のように床材Fを開放廊下の床面3に敷設、接着した床構造は、床材Fの上をどの方向に歩行しても、帯状領域1ごとに様々な方向に配向する凸条2によって360°全ての方向に適当なグリップ力が生じ、良好な防滑性が発揮される。しかも、床材Fの表面に降った雨水などは、各帯状領域1の凸条2の相互間を通って水勾配の方向(床面3の幅方向)に流れ、排水溝3aへ排水されるので排水性が良好であり、また、床材Fの表面に堆積、付着した塵埃、土埃、汚れなどは、箒やモップによって、どの方向にも容易に掃出し又は拭き取ることができるので、掃出し性や拭取り性も大幅に改善され、特に、凸条2による掃出しや拭取りの阻害が最も生じにくい床面3の幅方向(水勾配方向)での掃出し性や拭取り性が良好である。従って、この床構造は、歩行者が滑って転倒する危険性がなくなり、床材Fの表面の水溜りや、塵埃、土埃、汚れなどの除去も容易になるという効果が奏される。
【0037】
次に、本発明の床材について行った効果確認試験について説明する。
【0038】
[試験用の床材の準備]
S(0〜15)、S(15〜60)、S(60〜90)がそれぞれ床材表面の面積の20%、50%、30%を占める実施例1の床材、0%、60%、40%を占める実施例2の床材、20%、65%、15%を占める実施例3の床材、30%、60%、10%を占める実施例4の床材を準備した。
これらの床材はいずれも長さ90cm、幅45cmの床材であり、各帯状領域の長さ方向の軸線が床材の長さ方向の軸線と平行し、凸条の高さ寸法Hが0.7mm、凸条の幅寸法Wが1.5mm、凸条の相互間隔が1.5mmの床材である。
また、比較用の床材として、長さ90cm、幅45cmの床材であって、表面全体に、高さ寸法が0.7mm、幅寸法が1.5mmの多数の凸条を、1.5mmの相互間隔をあけて、床材の長さ方向に形成した床材を準備した。そして、この床材を縦向きに使用したものを比較例1の床材とし、横向きに使用したものを比較例2の床材とした。
【0039】
[試験方法]
実施例1〜4の床材と比較用の床材について、防滑性と掃出し性を評価した。
防滑性は、JIS A 1454の試験方法に基づいて、床材の長さ方向と幅方向について評価した。
また、掃出し性は、掃出し方向を床材の幅方向として、次の方法で評価した。即ち、15°に傾斜した台上に、床材を横向きにして床材が幅方向に15°傾斜するように固定し、その表面に真砂土(粒径120μm未満)を100g/m
2散布して、箒(毛足長さ40mm)で床材が傾斜する方向に5回掃き、床材から掃出された量を測定して、掃出し除去率を以下の式から算出して評価した。
掃出し除去率=(除去された真砂土の量/散布した真砂土の量)×100
その結果を下記の表2に示す。
【0041】
表2において、各性能の判定符号の◎は極めて好適(掃出し除去率においては100〜90%)、〇は好適(同90〜80%)、△は適合(同80〜60%)、×は不適(同60〜0%)を意味する。
【0042】
表2から判るように、実施例1〜4の床材はいずれも、防滑性と掃出し性を両立できるものであるが、実施例1の床材のようにS(15〜60)が50%と多く、次いでS(60〜90)が30%と多く、S(0〜15)が20%と少ないものは、床材の長さ方向の防滑性に優れ、幅方向の防滑性や掃出し性も良好である。これに対し、実施例3の床材は、S(60〜90)が15%と少なく、S(15〜60)が65%と多いため、床材の長さ方向の防滑性、幅方向の防滑性、掃出し性がいずれも良好である。また、実施例2の床材はS(0〜15)が下限の0%であり、S(60〜90)が上限の40%と多いため、床材の長さ方向の防滑性に優れるものの、幅方向の防滑性は普通である。そして、実施例4の床材は、S(0〜15)が上限の30%と多く、S(60〜90)が下限の10%と少ないため、床材の幅方向の防滑性に優れるものの、長さ方向の防滑性や掃出し性は普通である。
これらから、S(0〜15)は床材の幅方向の防滑性向上には有効であるが、長さ方向の防滑性向上や掃出し性向上には殆ど役立たないものであり、その面積比率を0〜30%の範囲とするのが妥当であると判断できる。また、S(60〜90)は、床材の長さ方向の防滑性向上と掃出し性向上には有効であるが、幅方向の防滑性向上には殆ど役立たないものであり、その面積比率を10〜40%の範囲とするのが妥当であると判断できる。また、S(15〜60)は、床材の長さ方向及び幅方向の防滑性向上と掃出し性向上に有効であり、その面積比率をS(0〜15)やS(60〜90)よりも大きくすることによって、防滑性能と掃出し性能が総合的にバランスのとれた床材が得られると判断できる。
また、比較例1の床材のように、表面全体に凸条が床材の長さ方向に形成されているものや、比較例2の床材のように、比較例1の床材を横向きに使用したものは、床材の長さ方向又は幅方向のいずれか一方向に優れた防滑性を発揮するものの、他の方向には防滑性を発揮することができず、また、掃出し性もいずれか一方向に発揮できるのみで、他の方向には発揮できないものであり、不適当な床材であると判断できる。
【0043】
これら実施例1〜4の床材と比較例1と2の床材を暗所の床面に敷設し、任意の位置に固定した光源から光を照射して観察した。
比較例1及び2の床材の観察では、特に照射光の反射による明暗の差異は認められなかった。
一方、実施例1〜4の床材の観察では、何れの床材においても、各帯状領域に明暗が生じ、優れた美観を奏することが確認できた。さらに、観察者が歩行することで、視認される各帯状領域の明暗とその調子が微妙に変化しながら移動し、極めて斬新な意匠感が得られることが確認できた。