(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5771434
(24)【登録日】2015年7月3日
(45)【発行日】2015年8月26日
(54)【発明の名称】プレめっき形鋼及びプレめっき形鋼の製造方法
(51)【国際特許分類】
B21D 28/24 20060101AFI20150806BHJP
C23C 2/00 20060101ALI20150806BHJP
C23F 15/00 20060101ALN20150806BHJP
【FI】
B21D28/24 B
C23C2/00
!C23F15/00
【請求項の数】2
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2011-91212(P2011-91212)
(22)【出願日】2011年4月15日
(65)【公開番号】特開2012-224883(P2012-224883A)
(43)【公開日】2012年11月15日
【審査請求日】2013年11月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】714003416
【氏名又は名称】日新製鋼株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】593023785
【氏名又は名称】日新総合建材株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100084010
【弁理士】
【氏名又は名称】古川 秀利
(74)【代理人】
【識別番号】100094695
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 憲七
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100147500
【弁理士】
【氏名又は名称】田口 雅啓
(72)【発明者】
【氏名】柴田 聡
(72)【発明者】
【氏名】椿原 孝
(72)【発明者】
【氏名】灰谷 毅
【審査官】
伊藤 寿美
(56)【参考文献】
【文献】
特開2004−052228(JP,A)
【文献】
特開平02−218991(JP,A)
【文献】
特開昭53−135085(JP,A)
【文献】
特開2009−299403(JP,A)
【文献】
特開2003−039128(JP,A)
【文献】
特開2003−275814(JP,A)
【文献】
特開昭63−126680(JP,A)
【文献】
特開昭61−078576(JP,A)
【文献】
特開平06−142921(JP,A)
【文献】
特開昭51−030570(JP,A)
【文献】
特開2008−155219(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21D 28/00−28/36
B23K 9/00− 9/038
B26F 1/00− 3/16
C23C 2/00− 2/40
C23F 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
めっき処理が施された鋼材(10)からなる形鋼本体(1)と、
打抜き加工により前記形鋼本体(1)に設けられた複数のボルト孔(2)と、
前記打抜き加工により生じた打抜屑(14)からなり、各ボルト孔(2)に嵌め込まれた閉塞体(3)と
を備え、
前記閉塞体(3)に衝撃が加えられて前記閉塞体(3)が前記ボルト孔(2)から脱落されることにより、前記ボルト孔(2)が開口されるように構成されていることを特徴とするプレめっき形鋼。
【請求項2】
めっき処理が施された鋼材(10)をダイ(11)の端面に接触するように配置した後に、前記鋼材(10)に対して第1パンチ(12)を押し込んで前記鋼材(10)にボルト孔(2)を形成するとともに、前記ボルト孔(2)を形成した際に生じた打抜屑(14)を前記第1パンチ(12)に対向して配置された第2パンチ(13)によって前記ボルト孔(2)内に埋め戻すことで、前記打抜屑(14)からなる閉塞体(3)を前記ボルト孔(2)に嵌め込むことを特徴とするプレめっき形鋼の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プレめっき形鋼及びその製造方法に関し、特に、閉塞体に衝撃が加えられることにより、閉塞体がボルト孔から脱落されて、ボルト孔が開口されるように構成することで、捨孔の内周面から赤錆が発生する可能性を低くでき、より確実に美麗な外観を保つことができるようにするための新規な改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来用いられていたこの種のプレめっき形鋼としては、例えば下記の非特許文献1等に示されている構成を挙げることができる。すなわち、従来構成では、めっき処理が施された鋼材が例えばH形や溝形等の所定形状に形成されることで、形鋼本体が構成されている。形鋼本体には、形鋼本体に他の部材をボルト接合するために、複数のボルト孔が設けられている。これらのボルト孔は、汎用性を高めるために、実際に使用するか否かに拘わらず例えば等間隔等に設けられる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】軽鋼構造設計施工指針・同解説(SI単位版)(社団法人日本建築学会編集、2002年9月25日発行)の114頁の7.1.3
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、ボルト孔は、めっき処理が施された鋼材に対して打抜き加工が施されることで形成されるものであり、ボルト孔の内周面には鋼素地が露出されている。
上記のような従来のプレめっき形鋼では、実際に使用するか否かに拘わらず等間隔等にボルト孔が設けられているので、ボルト孔のうちの幾つかはボルト接合に使用されない捨孔となる。捨孔の開口部はボルト及びナットにより塞がれないので、捨孔の内周面の鋼素地も露出されたままとなる。このため、従来のプレめっき形鋼では、捨孔の内周面から赤錆が発生しやすく、美麗な外観を保つことが難しい。
【0005】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、捨孔の内周面から赤錆が発生する可能性を低くでき、より確実に美麗な外観を保つことができるプレめっき形鋼及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るプレめっき形鋼は、めっき処理が施された鋼材からなる形鋼本体と、打抜き加工により形鋼本体に設けられた複数のボルト孔と、打抜き加工により生じた打抜屑からなり、各ボルト孔に嵌め込まれた閉塞体とを備え、閉塞体に衝撃が加えられて閉塞体がボルト孔から脱落されることにより、ボルト孔が開口されるように構成されている。
【0007】
本発明に係るプレめっき形鋼の製造方法は、めっき処理が施された鋼材をダイの端面に接触するように配置した後に、鋼材に対して第1パンチを押し込んで鋼材にボルト孔を形成するとともに、ボルト孔を形成した際に生じた打抜屑を第1パンチに対向して配置された第2パンチによってボルト孔内に埋め戻すことで、打抜屑からなる閉塞体をボルト孔に嵌め込むものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明のプレめっき形鋼によれば、閉塞体に衝撃が加えられて閉塞体がボルト孔から脱落されることにより、ボルト孔が開口されるように構成されているので、ボルト接合に使用されない捨孔の開口部を閉塞体により塞いだままとすることができる。これにより、捨孔の内周面から赤錆が発生する可能性を低くでき、より確実に美麗な外観を保つことができる。
【0009】
また、本発明のプレめっき形鋼の製造方法によれば、めっき処理が施された鋼材をダイの端面に接触するように配置した後に、鋼材に対して第1パンチを押し込んで鋼材にボルト孔を形成するとともに、ボルト孔を形成した際に生じた打抜屑を第1パンチに対向して配置された第2パンチによってボルト孔内に埋め戻すことで、打抜屑からなる閉塞体をボルト孔に嵌め込むので、ボルト孔を塞ぐための別部品を別途準備する必要を無くすことができ、製造コストを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施の形態1によるプレめっき形鋼を示す斜視図である。
【
図3】
図1の閉塞体が嵌め込まれたボルト孔の形成する工程を示す説明図である。
【
図4】
図1の形鋼本体を構成する工程を示す説明図である。
【
図5】
図1のプレめっき形鋼の使用方法を示す説明図である。
【
図6】本発明の実施の形態2によるプレめっき形鋼及びその製造方法を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照して説明する。
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1によるプレめっき形鋼を示す斜視図であり、
図2は
図1の線II−IIに沿う断面図である。
図1において、形鋼本体1は、めっき処理が施された鋼材10がH形に形成されたものである。すなわち、形鋼本体1の外面は、例えば亜鉛-アルミニウム6%−マグネシウム3%等の耐食性に優れためっき層により覆われている。
【0012】
形鋼本体1には、複数のボルト孔2が設けられている。ボルト孔2は、形鋼本体1に他の部材をボルト接合するためのものであり、汎用性を高めるために実際に使用するか否かに拘わらず等間隔に設けられている。すなわち、ボルト孔2のうちの幾つかはボルト接合に使用されない捨孔となる。なお、ボルト孔2の配置位置は、等間隔の位置に限定されず、想定される形鋼本体1の複数の用途に対応した非等間隔の位置でもよい。
【0013】
各ボルト孔2には、閉塞体3が嵌め込まれている(
図2参照)。すなわち、ボルト孔2の開口部は、閉塞体3によって塞がれている。後に図を用いて説明するが、形鋼本体1に他の部材をボルト接合する際には、ボルト接合に使用されるボルト孔2の閉塞体3が打ち落とされる。
【0014】
次に、
図1に示すプレめっき形鋼の製造方法について説明する。
図3は、
図1の閉塞体3が嵌め込まれたボルト孔2の形成する工程を示す説明図である。
図3の(a)及び(b)に示すように、形鋼本体1を構成するめっき処理が施された鋼材10に対して打抜き加工が行われることで、ボルト孔2が形成される。すなわち、鋼材10がダイ11の端面に接触するように配置された後に、鋼材10に対して第1パンチ12が押し込まれることでボルト孔2が形成される。
図3の(b)及び(c)に示すように、ボルト孔2を形成する打抜き加工で生じた円板状の打抜屑14は、第1パンチ12に対向して配置された第2パンチ13によってボルト孔2内に埋め戻される。すなわち、閉塞体3は、本来はスクラップとされる打抜屑14により構成されている。
【0015】
次に、
図4は、
図1の形鋼本体1を構成する工程を示す説明図である。形鋼本体1は、
図4の(a)に示すように、ボルト孔2を形成した箇所から溶接トーチ19により鋼材10を随時溶接して構成してもよいし(プレノッチ)、
図4の(b)に示すように、ボルト孔2を形成する前に予め鋼材10を溶接して構成してもよい(アフターノッチ)。
【0016】
次に、
図5は、
図1のプレめっき形鋼の使用方法を示す説明図である。図において、
図1に示す形鋼本体1に他の部材をボルト接合する際には、形鋼本体1の使用現場にて、ハンマー20及びポンチ21により、ボルト接合に使用するボルト孔2の閉塞体3に衝撃が加えられる。閉塞体3に衝撃が加えられると、その閉塞体3がボルト孔2から脱落されてボルト孔2が開口される。従って、ボルト接合に使用されないボルト孔2(捨孔)の開口部は、閉塞体3により塞がれたままとなる。
【0017】
このようなプレめっき形鋼では、閉塞体3に衝撃が加えられて閉塞体3がボルト孔2から脱落されることにより、ボルト孔2が開口されるように構成されているので、ボルト接合に使用されない捨孔の開口部を閉塞体3により塞いだままとすることができる。これにより、捨孔の内周面から赤錆が発生する可能性を低くでき、より確実に美麗な外観を保つことができる。このような構成は、例えば太陽電池架台等の屋外に設置される用途に特に有効である。
【0018】
また、このようなプレめっき形鋼の製造方法では、めっき処理が施された鋼材10をダイ11の端面に接触するように配置した後に、鋼材10に対して第1パンチ12を押し込んで鋼材10にボルト孔2を形成するとともに、ボルト孔2を形成した際に生じた打抜屑14を第1パンチ12に対向して配置された第2パンチ13によってボルト孔2内に埋め戻すことで、打抜屑14からなる閉塞体3をボルト孔2に嵌め込むので、ボルト孔2を塞ぐための別部品を別途準備する必要を無くすことができ、製造コストを低減できる。
【0019】
実施の形態2.
図6は、本発明の実施の形態2によるプレめっき形鋼及びその製造方法を示す斜視図である。図において、形鋼本体1は溝形に成形されている。形鋼本体1の形状が溝形の場合であっても、
図6の(a)に示すように、ボルト孔2を形成した箇所から鋼材10の幅方向に沿う両端を随時屈曲させて形鋼本体1を構成してもよいし(プレノッチ)、
図6の(b)に示すように、ボルト孔2を形成する前に鋼材10の幅方向に沿う両端を予め屈曲させて形鋼本体1を構成してもよい(アフターノッチ)。
【0020】
すなわち、形鋼本体1の形状は、実施の形態1で示したようなH形に限定されず、溝形等の他の形状とされてもよい。
【符号の説明】
【0021】
1 形鋼本体
2 ボルト孔
3 閉塞体
10 鋼材
14 打抜屑