特許第5771443号(P5771443)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許5771443-過熱蒸気反応装置 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5771443
(24)【登録日】2015年7月3日
(45)【発行日】2015年8月26日
(54)【発明の名称】過熱蒸気反応装置
(51)【国際特許分類】
   A61L 2/06 20060101AFI20150806BHJP
   A23L 3/16 20060101ALI20150806BHJP
【FI】
   A61L2/06
   A23L3/16
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2011-110228(P2011-110228)
(22)【出願日】2011年5月17日
(65)【公開番号】特開2012-239539(P2012-239539A)
(43)【公開日】2012年12月10日
【審査請求日】2014年4月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000217653
【氏名又は名称】電気興業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100096769
【弁理士】
【氏名又は名称】有原 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100107319
【弁理士】
【氏名又は名称】松島 鉄男
(74)【代理人】
【識別番号】100114591
【弁理士】
【氏名又は名称】河村 英文
(74)【代理人】
【識別番号】100118407
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 尚美
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100125036
【弁理士】
【氏名又は名称】深川 英里
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100154298
【弁理士】
【氏名又は名称】角田 恭子
(74)【代理人】
【識別番号】100162330
【弁理士】
【氏名又は名称】広瀬 幹規
(72)【発明者】
【氏名】平島 照久
(72)【発明者】
【氏名】木藤 清明
(72)【発明者】
【氏名】平山 真一
【審査官】 宮部 裕一
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭63−079567(JP,A)
【文献】 特開昭60−241859(JP,A)
【文献】 特開2002−320663(JP,A)
【文献】 特開昭56−026180(JP,A)
【文献】 特開2004−008158(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L 2/00−2/28
A61L 11/00
A23L 3/00−3/3598
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
過熱蒸気を被処理物に接触させることにより、前記被処理物の滅菌及び殺菌を行う過熱蒸気反応装置において、
上下方向に沿って配置され、上部に前記被処理物が投入される投入部が設けられ、下部に滅菌及び殺菌された前記被処理物を排出する排出部が設けられている反応管路と、
前記反応管路の上下方向の中間部に設けられ、前記反応管路の内部に前記過熱蒸気を供給する蒸気供給手段と、
前記反応管路の前記排出部に接続され、内部に前記過熱蒸気と前記被処理物とを分離するガイド部材が設けられているセパレータと、
を備え
前記セパレータは、ボックス状のケーシングを有しており、前記ケーシングの内部には、前記ガイド部材が前記反応管路の下方位置で前記排出部と対向して斜めに配置され、前記ガイド部材は、1枚の板状体を屈曲させることにより、全体が下方へ向かって緩やかに突出した湾曲形状に形成され、垂直に落下する前記過熱蒸気が前記ガイド部材の湾曲面に当たると、横向きに方向転換して流れるように構成されているとともに、前記ガイド部材の下端部は、下方へ向かってほぼ直角に折り曲げられ、前記ガイド部材の湾曲面に当たって落下した前記被処理物が下方に導かれるように形成され、
前記ケーシングの側部には、前記ガイド部材によって分離された前記過熱蒸気を排出する蒸気排出口が設けられ、前記ケーシングの下部には、前記ガイド部材によって前記過熱蒸気が分離された滅菌及び殺菌処理後の前記被処理物を排出する被処理物排出口が設けられていることを特徴とする過熱蒸気反応装置。
【請求項2】
前記反応管路は、水平断面が円形状に形成され、前記蒸気供給手段は、前記反応管路の内部に前記過熱蒸気を噴出する供給管を有しており、前記供給管は、前記反応管路の軸心に対して交差すべく、斜め下向きに配置されていることを特徴とする請求項1に記載の過熱蒸気反応装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に、米、麦、豆などの穀物を含む食料品、飼料等の被処理物の表面に存在する微生物や害虫等を過熱蒸気によって滅菌及び殺菌し、あるいは殺虫及び殺卵し、良好な状態で保存及び運搬することが可能であり、安定した品質の食料品、飼料等を得ることが可能な過熱蒸気反応装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、過熱水蒸気を用いて、食料品等の滅菌及び殺菌を行う装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。このような滅菌及び殺菌装置では、食料品等の搬送経路に設置されるトンネルを備えており、当該トンネル内に過熱水蒸気を噴射するとともに、食料品等をコンベアで搬入して過熱水蒸気と接触させながら、当該トンネル内を通過させることにより、食料品等の滅菌及び殺菌を行うように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−41098号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来の滅菌及び殺菌装置においては、コンベア上に載置した状態で食料品等の滅菌及び殺菌を行っているので、食料品等の上部と下部とで過熱水蒸気と接触する状況が異なり、食料品等を均一に滅菌及び殺菌することが難しく、十分な滅菌及び殺菌効果を得ることができないという不具合を有していた。
一方、十分な滅菌及び殺菌効果を得ようとして、高温の過熱水蒸気を長時間にわたり噴射して食料品等と接触させる場合には、食料品等の栄養成分、タンパク質、デンプンなどが変質、劣化、固化、分解してしまうという問題を生じるおそれがあった。
【0005】
また、従来の滅菌及び殺菌装置においては、噴射した過熱水蒸気が食料品等に付着したままで、食料品等が搬出されることになるので、たとえ十分に滅菌及び殺菌処理された食料品等であっても、時間の経過に伴って、変質、劣化、固化、分解等を生じてしまい、良好な状態でかつ安定した品質のままで保存したり、あるいは運搬したりすることができないという問題点を有していた。
【0006】
本発明はこのような実状に鑑みてなされたものであって、その目的は、過熱蒸気を用いて穀物などの食料品、飼料等に対して均一かつ効率的に滅菌及び殺菌、あるいは殺虫及び殺卵を行うとともに、用いた過熱蒸気を食料品、飼料等から分離して良好な状態で保存及び運搬することが可能であり、安定した品質の食料品、飼料等を得ることが可能な過熱蒸気反応装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記従来技術の有する課題を解決するために、本発明は、過熱蒸気を被処理物に接触させることにより、前記被処理物の滅菌及び殺菌を行う過熱蒸気反応装置において、上下方向に沿って配置され、上部に前記被処理物が投入される投入部が設けられ、下部に滅菌及び殺菌された前記被処理物を排出する排出部が設けられている反応管路と、前記反応管路の上下方向の中間部に設けられ、前記反応管路の内部に前記過熱蒸気を供給する蒸気供給手段と、前記反応管路の前記排出部に接続され、内部に前記過熱蒸気と前記被処理物とを分離するガイド部材が設けられているセパレータと、を備え、前記セパレータは、ボックス状のケーシングを有しており、前記ケーシングの内部には、前記ガイド部材が前記反応管路の下方位置で前記排出部と対向して斜めに配置され、前記ガイド部材は、1枚の板状体を屈曲させることにより、全体が下方へ向かって緩やかに突出した湾曲形状に形成され、垂直に落下する前記過熱蒸気が前記ガイド部材の湾曲面に当たると、横向きに方向転換して流れるように構成されているとともに、前記ガイド部材の下端部は、下方へ向かってほぼ直角に折り曲げられ、前記ガイド部材の湾曲面に当たって落下した前記被処理物が下方に導かれるように形成され、前記ケーシングの側部には、前記ガイド部材によって分離された前記過熱蒸気を排出する蒸気排出口が設けられ、前記ケーシングの下部には、前記ガイド部材によって前記過熱蒸気が分離された滅菌及び殺菌処理後の前記被処理物を排出する被処理物排出口が設けられている。
【0009】
さらに、本発明において、前記反応管路は、水平断面が円形状に形成され、前記蒸気供給手段は、前記反応管路の内部に前記過熱蒸気を噴出する供給管を有しており、前記供給管は、前記反応管路の軸心に対して交差すべく、斜め下向きに配置されている。
【発明の効果】
【0010】
上述の如く、本発明に係る車両の側部車体構造は、過熱蒸気を被処理物に接触させることにより、前記被処理物の滅菌及び殺菌を行う過熱蒸気反応装置において、上下方向に沿って配置され、上部に前記被処理物が投入される投入部が設けられ、下部に滅菌及び殺菌された前記被処理物を排出する排出部が設けられている反応管路と、前記反応管路の上下方向の中間部に設けられ、前記反応管路の内部に前記過熱蒸気を供給する蒸気供給手段と、前記反応管路の前記排出部に接続され、内部に前記過熱蒸気と前記被処理物とを分離するガイド部材が設けられているセパレータと、を備え、前記セパレータは、ボックス状のケーシングを有しており、前記ケーシングの内部には、前記ガイド部材が前記反応管路の下方位置で前記排出部と対向して斜めに配置され、前記ガイド部材は、1枚の板状体を屈曲させることにより、全体が下方へ向かって緩やかに突出した湾曲形状に形成され、垂直に落下する前記過熱蒸気が前記ガイド部材の湾曲面に当たると、横向きに方向転換して流れるように構成されているとともに、前記ガイド部材の下端部は、下方へ向かってほぼ直角に折り曲げられ、前記ガイド部材の湾曲面に当たって落下した前記被処理物が下方に導かれるように形成され、前記ケーシングの側部には、前記ガイド部材によって分離された前記過熱蒸気を排出する蒸気排出口が設けられ、前記ケーシングの下部には、前記ガイド部材によって前記過熱蒸気が分離された滅菌及び殺菌処理後の前記被処理物を排出する被処理物排出口が設けられている。
したがって、本発明の過熱蒸気反応装置によれば、含有する栄養成分、タンパク質、デンプンなどを過熱蒸気によって変質、劣化、固化、分解させることなく、穀物などの食料品、飼料等の被処理物に対して均一かつ効率的に滅菌及び殺菌、あるいは殺虫及び殺卵を行うことができる。しかも、滅菌及び殺菌処理等に使用した過熱蒸気を食料品、飼料等から迅速かつ確実に分離することが可能となるため、滅菌及び殺菌処理等した後の食料品、飼料等を良好な状態で長期間にわたり保存できるとともに、所望の場所に運搬することができ、安定した品質の食料品、飼料等を提供することができる。
また、本発明の過熱蒸気反応装置によれば、比較的簡単な構造で、過熱蒸気と滅菌及び殺菌処理(殺虫及び殺卵処理を含む)後の食料品、飼料等とを円滑に分離することが可能となり、設備コストの低減化を図ることができる。
しかも、本発明の過熱蒸気反応装置によれば、分離して得られる過熱蒸気の温度が高いので、当該過熱蒸気を回収して本装置の蒸気供給手段の熱源として、あるいは他の装置の熱源として利用することが可能となり、ランニングコストなどを低減させることができる。
【0012】
さらに、本発明において、前記反応管路は、水平断面が円形状に形成され、前記蒸気供給手段は、前記反応管路の内部に前記過熱蒸気を噴出する供給管を有しており、前記供給管は、前記反応管路の軸心に対して交差すべく、斜め下向きに配置されているので、噴出させた過熱蒸気が反応管路の内部において旋回流となり、投入した被処理物に対して均等に接触して滅菌及び殺菌(殺虫及び殺卵を含む)を行うことができる。しかも、本発明の過熱蒸気反応装置によれば、噴出させた過熱蒸気が反応管路の上部に向かって流れることはなくなり、反応管路の投入部が過熱蒸気によって加熱されず、設備環境が良くなる上、当該投入部に一般的なホッパをそのままの態様で設置でき、設備コストの低減と、処理作業性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態に係る過熱蒸気反応装置を一部断面にしながら概略的に示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を図示の実施の形態に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る過熱蒸気反応装置の全体を示すものである。
【0015】
図1に示すように、本発明の実施形態に係る過熱蒸気反応装置1は、過熱蒸気(過熱水蒸気、過熱ガス蒸気など)2を被処理物3に接触させることにより、被処理物3の表面などに存在する微生物や害虫等の滅菌及び殺菌処理、あるいは殺虫及び殺卵処理を行うものである。
本実施形態の過熱蒸気反応装置1は、主として、上下方向に沿って配置される反応管路4と、反応管路4の上下方向の中間部に設けられる蒸気供給手段5と、反応管路4の下部に接続され、内部に過熱蒸気2と被処理物3とを分離する後述のガイド部材が設けられているセパレータ6とを備えている。なお、本実施形態で使用される過熱蒸気2は、蒸気をさらに追加して加熱することにより得られるものであり、温度が、例えば、600〜700℃の蒸気である。また、滅菌及び殺菌(殺虫及び殺卵を含む)される被処理物3としては、米、麦、豆などの穀物を含む食料品、飼料等が挙げられる。
【0016】
本実施形態の反応管路4は、水平断面が円形状に形成された円筒の配管であり、内部で過熱蒸気2と被処理物3との反応処理が行われるように構成されている。このような反応管路4は、直方体状に組み立てた剛性部材のフレーム7の上部に下部フランジ4aを載せてボルト締めで固定することによって、フレーム7上に設置されている。また、反応管路4の直径及び上下方向の長さは、被処理物3の滅菌及び殺菌処理に必要とされる反応時間などに応じて設定されており、直線状の外周部は、熱が周囲に逃げないように断熱材等によって覆われている。
【0017】
反応管路4の上部には、被処理物3を投入するホッパなどの投入部8が設けられており、この投入部8には、図外の貯蔵庫、運搬車等から被処理物3を搬送して投下する搬送ダクト(図示せず)などが接続されている。あるいは、投入部8は、被処理物3が直接投下されるように構成されていてもよい。投入部8に設置されるホッパなどは、断熱材等で覆われておらず、そのままの態様で取付けられている。
また、反応管路4の下部には、落下中に過熱蒸気2によって滅菌及び殺菌処理(殺虫及び殺卵処理を含む)された被処理物3を排出する排出部9が設けられており、当該排出部9から過熱蒸気2及び被処理物3が一緒に排出されるようになっている。
【0018】
本実施形態の蒸気供給手段5は、図1に示すように、反応管路4の上下方向の中間部に設けられ、反応管路4の内部に過熱蒸気2を供給するように構成されている。このため、蒸気供給手段5は、反応管路4の内部に過熱蒸気2を噴出させる供給管10を有しており、当該供給管10の先端部は、反応管路4の内部に連通すべく接続されている。また、供給管10の他端部は、蒸気管路11を介してボイラなどの蒸気供給源12に接続されている。
さらに、供給管10は、反応管路4の軸心に対して交差すべく、斜め下向に傾斜して配置されており、これによって、先端部から噴出させた過熱蒸気2が反応管路4の内部において旋回流となり、落下中の被処理物3に過熱蒸気2がより一層均等に接触するように構成されている。しかも、このような供給管10の傾斜配置は、反応管路4が水平断面円形状に形成されているのと相俟って、過熱蒸気2が反応管路4の投入部8に向かって上昇するのを防ぐ機能を有している。
【0019】
そして、本実施形態のセパレータ6は、図1に示すように、フレーム7の上部下面に取付けられ、内部が反応管路4の排出部9と連通するボックス状のケーシング13を有しており、該ケーシング13の内部には、過熱蒸気2と被処理物3とを分離する機能を備えたガイド部材14が設けられている。このガイド部材14は、反応管路4の下方位置であって、排出部9と対向して配置されているとともに、底面より間隔を空けた状態で上部から下部にかけて斜めに配置されている。そのため、ガイド部材14は、1枚の板状体を屈曲させることにより、全体が下方へ向かって緩やかに突出した湾曲形状に形成されており、垂直に落下する過熱蒸気2が当該ガイド部材14の湾曲面に当たると、横向きに方向転換して流れるように構成されている。
しかも、ガイド部材14の下端部14aは、下向へ向かってほぼ直角に折り曲げられており、ガイド部材14の湾曲面に当たって落下した被処理物3が後述の排出口に導かれるように形成されている。
【0020】
一方、本実施形態のケーシング13の側部には、図1に示すように、ガイド部材14によって分離された過熱蒸気2を外部へ排出する蒸気排出口15が設けられている。この蒸気排出口15から排出される過熱蒸気2の温度は、被処理物3への滅菌及び殺菌処理後でも400℃前後と高温であることから、当該蒸気排出口15は、回収管路16を介して蒸気供給源12に接続されており、排出される過熱蒸気2が再利用されるようになっている。なお、過熱蒸気2は、蒸気供給源12の熱源として再利用されるのみならず、他の装置の熱源として利用されても良い。
【0021】
また、ケーシング13の底面下部の片側には、ガイド部材14に当たって過熱蒸気2が分離された滅菌及び殺菌処理後の被処理物3を外部へ排出する被処理物排出口17が設けられている。この被処理物排出口17には、外方へ向かって突設させた排出管18が接続されており、当該排出管18の下方には、落下させた滅菌及び殺菌処理後の被処理物3を図外の貯蔵庫や運搬車などに搬送するベルトコンベア19が設置されている。
【0022】
次に、本発明の実施形態に係る過熱蒸気反応装置1を用いて、被処理物3の滅菌及び殺菌を行う方法を説明する。
まず、蒸気供給手段5を駆動して蒸気供給源12から高温の過熱蒸気2を送り出し、蒸気管路11を介して供給管10より過熱蒸気2を反応管路4の内部に噴出させて供給する。この状態で、図外の貯蔵庫、運搬車等から所定量の被処理物3を搬送して反応管路4の上部の投入部8に投下する。投下された被処理物3は、反応管路4の内部を落下しながら供給された旋回流の過熱蒸気2と接触することになる。この際、被処理物3の表面に存在する微生物や害虫等は、高温の過熱蒸気2によって滅菌及び殺菌処理され、被処理物3から除去されることになる。
【0023】
次いで、過熱蒸気2が付着した被処理物3は、反応管路4の下部の排出部9から外部へ排出され、下方に連通して位置するセパレータ6の内部に落下する。そして、セパレータ6内に落下した過熱蒸気2及び被処理物3は、傾斜して設けられたガイド部材14の湾曲面に当たり、質量差や衝撃力などによって互いに分離されることになる。すなわち、ガイド部材14に当たった過熱蒸気2及び被処理物3のうち、過熱蒸気2は、ガイド部材14によって水平の横向きに方向転換し、蒸気排出口15へ向かって流れる。蒸気排出口15に到達した過熱蒸気2は、回収管路16を経て蒸気供給源12に戻り、熱源として再利用されることになる。
一方、滅菌及び殺菌処理後の被処理物3は、ガイド部材14の湾曲面に沿って移動しながら落下し、下端部14aによって被処理物排出口17に導かれ、排出管18よりベルトコンベア19上に排出されることになる。しかる後、滅菌及び殺菌処理後の被処理物3は、ベルトコンベア19で図外の貯蔵庫や運搬車まで搬送され、滅菌及び殺菌処理作業が終了することになる。
【0024】
このように、本発明の実施形態に係る過熱蒸気反応装置1においては、蒸気供給手段5の供給管10から過熱蒸気2が内部に噴出される反応管路4を上下方向に沿って配置するとともに、当該反応管路4の排出部9に滅菌及び殺菌処理後の過熱蒸気2及び被処理物3が当たるガイド部材14を備えたセパレータ6を接続しているため、過熱蒸気2が均等に接触して被処理物3の表面などを均一かつ効率的に滅菌及び殺菌処理することができる。しかも、本実施形態の過熱蒸気反応装置1では、滅菌及び殺菌処理に使用した過熱蒸気2をガイド部材14によって被処理物3から確実に分離し得るため、過熱蒸気2が付着していない滅菌及び殺菌処理後の被処理物3をセパレータ6の排出口17及び排出管18から迅速に排出できる。
したがって、本実施形態の過熱蒸気反応装置1を用いて被処理物3を滅菌及び殺菌処理すれば、品質の優れた食料品、飼料等を提供できるとともに、良好な状態で品質が安定している食料品、飼料等を長期間にわたり保存することができる。
【0025】
また、本実施形態の過熱蒸気反応装置1では、セパレータ6のケーシング13の側部に設けられた蒸気排出口15から高温の過熱蒸気2を回収して蒸気供給源12の熱源として再利用しているため、エネルギー効率を向上させ、コストダウンを図ることができる。
さらに、本実施形態の過熱蒸気反応装置1では、反応管路4の水平断面を円形状に形成するとともに、供給管10を反応管路4の軸心に対して交差すべく斜め下向きに傾斜して配置しているため、噴出させた過熱蒸気2が反応管路4の内部において旋回流となり、投入した被処理物3に対して均等に接触させることができ、被処理物3の表面全体をより一層均一に滅菌及び殺菌処理を行うことができる。
【0026】
それに加えて、本実施形態の過熱蒸気反応装置1においては、噴出させた過熱蒸気2が反応管路4の上部に向かって流れなくなるため、反応管路4の投入部8が過熱蒸気2によって加熱されて高温になるという現象は起こらない。したがって、投入部8の外周を断熱材等で覆う必要がなく、一般的なホッパをそのままの態様で設置することが可能となり、設備コストの低減化を実現できるとともに、良好な設備環境を提供することができる。
【0027】
以上、本発明の実施の形態につき述べたが、本発明は既述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づいて各種の変形及び変更が可能である。
例えば、既述の実施の形態では、過熱蒸気2を噴出する供給管10が反応管路4の上下方向の中間部に1つ設けられているが、反応管路4の上下方向長さや投入される被処理物3の量などに応じて別個の供給管10をさらに設けることにより、2つ以上の供給管10が上下方向に間隔を空けながら交差して配設されていても良い。追加した供給管10は、同じ蒸気供給源12に接続されても、あるいは、別個の蒸気供給源に接続されていても良い。
【符号の説明】
【0028】
1 過熱蒸気反応装置
2 過熱蒸気
3 被処理物
4 反応管路
5 蒸気供給手段
6 セパレータ
7 フレーム
8 投入部
9 排出部
10 供給管
11 蒸気管路
12 蒸気供給源
13 ケーシング
14 ガイド部材
15 蒸気排出口
17 被処理物排出口
18 排出管
図1