特許第5771471号(P5771471)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社デンソーの特許一覧 ▶ NECトーキン株式会社の特許一覧

<>
  • 特許5771471-リアクトル 図000002
  • 特許5771471-リアクトル 図000003
  • 特許5771471-リアクトル 図000004
  • 特許5771471-リアクトル 図000005
  • 特許5771471-リアクトル 図000006
  • 特許5771471-リアクトル 図000007
  • 特許5771471-リアクトル 図000008
  • 特許5771471-リアクトル 図000009
  • 特許5771471-リアクトル 図000010
  • 特許5771471-リアクトル 図000011
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5771471
(24)【登録日】2015年7月3日
(45)【発行日】2015年9月2日
(54)【発明の名称】リアクトル
(51)【国際特許分類】
   H01F 37/00 20060101AFI20150813BHJP
【FI】
   H01F37/00 T
   H01F37/00 M
   H01F37/00 G
   H01F37/00 S
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2011-165755(P2011-165755)
(22)【出願日】2011年7月28日
(65)【公開番号】特開2013-30624(P2013-30624A)
(43)【公開日】2013年2月7日
【審査請求日】2014年3月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(73)【特許権者】
【識別番号】000134257
【氏名又は名称】NECトーキン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000648
【氏名又は名称】特許業務法人あいち国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小坂 和広
(72)【発明者】
【氏名】田辺 龍太
(72)【発明者】
【氏名】吉永 聡一
(72)【発明者】
【氏名】山下 政彦
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 政吾
(72)【発明者】
【氏名】亀田 充俊
(72)【発明者】
【氏名】武田 次夫
【審査官】 池田 安希子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−260011(JP,A)
【文献】 特開昭61−125115(JP,A)
【文献】 特開2010−034228(JP,A)
【文献】 特開2009−194199(JP,A)
【文献】 特開2010−212632(JP,A)
【文献】 特開2010−118503(JP,A)
【文献】 特開2010−165858(JP,A)
【文献】 特開平06−231987(JP,A)
【文献】 特開2012−151341(JP,A)
【文献】 特開2011−243854(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通電により磁束を発生する筒状のコイルと、
樹脂に磁性粉末を混合した磁性粉末混合樹脂からなり、上記コイルを内部に埋設してなるコアと、
上記コイルの内周側において該コイルの軸線方向に配設され、少なくとも一部が上記コアの内部に埋設された柱状の金属製の中芯部と
板状の底面部と、該底面部の外周部から立設された筒状の側面部とを有し、上記軸線方向の一方側を開口させてなり、上記コイル、上記コア、及び上記中芯部を収容するケースと、
該ケースの開口部を塞ぐ蓋部と、を備え、
上記中芯部の上記軸線方向の両端部には、上記中芯部を上記軸線方向の両側から挟持して固定する一対の金属製の固定部材にそれぞれ当接する当接面が形成されており、
上記ケースと上記蓋部とが、上記一対の固定部材であり、
上記ケースには、上記底面部から上記ケースの内側に向けて上記軸線方向に突出してなる突出部が設けられており、
上記中芯部には、上記ケースの上記突出部に嵌合させる嵌合凹部が形成されており、
上記中芯部は、上記嵌合凹部を上記突出部に嵌合させた状態にて上記軸線方向に上記ケースに締結固定されており、
上記中芯部における上記コアに接触する接触面の表面粗度Rzは、上記当接面の表面粗度Rzよりも大きく、
上記中芯部における上記接触面は、表面粗度Rzを大きくする表面加工が施された加工面であり、
上記中芯部における上記当接面は、表面粗度Rzを小さくする表面加工が施された加工面であり、
上記嵌合凹部の内面には、表面粗度Rzが上記接触面よりも小さく、上記当接面よりも大きい中間面が形成されていることを特徴とするリアクトル。
【請求項2】
請求項1に記載のリアクトルにおいて、上記中芯部の上記接触面の表面粗度Rzは、16μm以上であることを特徴とするリアクトル。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のリアクトルにおいて、上記中芯部の上記当接面の表面粗度Rzは、12.5μm以下であることを特徴とするリアクトル。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のリアクトルにおいて、上記中芯部は、ダイカスト鋳造により成形されたものであり、該中芯部の上記中間面は、ダイカスト鋳造による鋳肌面であることを特徴とするリアクトル。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のリアクトルにおいて、上記中芯部の上記接触面は、ショットブラスト加工が施された加工面であることを特徴とするリアクトル。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載のリアクトルにおいて、上記中芯部の上記当接面は、切削加工が施された加工面であることを特徴とするリアクトル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力変換装置等に用いられるリアクトルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両用のインバータ、DC−DCコンバータ等の電力変換装置等に用いられるリアクトルとして、様々な構造のものが知られている(特許文献1等参照)。
上記リアクトルとしては、例えば、通電により磁束を発生する筒状のコイルと、エポキシ樹脂等の絶縁性の樹脂に鉄粉等の磁性粉末を混合した磁性粉末混合樹脂からなり、コイルを内部に埋設してなるコアとを備えたものがある。また、コイルへの通電によってコイル及びコアが発熱することから、放熱性を向上させるために、コイルの内周側に柱状の中芯部を配置しているものがある。この中芯部は、その一部がコイルと共にコアの内部に埋設されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−199257号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記リアクトルにおいて、中芯部は、例えば、ダイカスト鋳造により成形される。しかしながら、成形された中芯部の表面には、型の表面に塗布されていたシリコン等の離型剤が残留していることがある。そのため、中芯部をコアの内部に埋設した場合、中芯部の表面に残留しているシリコン等の離型剤とコアを構成するエポキシ樹脂等の絶縁性の樹脂との相性が良くないことから、中芯部とコアとの密着性が不十分となることがある。このように、中芯部とコアとの密着性が不十分であると、コアから中芯部への放熱性が低下してしまうおそれがある。
【0005】
また、リアクトルは、導体線を巻回してなるコイルに通電した際、隣り合う導体線同士の間に電気的な反発力が生じ、この反発力がコイルに通電される電流の大きさに応じて変化することにより、コイルに振動が生じる。そして、この振動が周囲のコアや中芯部等に伝達され、リアクトル全体に振動が生じる。したがって、上述したように、中芯部とコアとの密着性が不十分であると、リアクトル全体としての剛性が低下し、この振動がより一層大きくなってしまうおそれがある。
【0006】
本発明は、かかる背景に鑑みてなされたもので、振動の低減を図り、放熱性能を向上させることができるリアクトルを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、通電により磁束を発生する筒状のコイルと、
樹脂に磁性粉末を混合した磁性粉末混合樹脂からなり、上記コイルを内部に埋設してなるコアと、
上記コイルの内周側において該コイルの軸線方向に配設され、少なくとも一部が上記コアの内部に埋設された柱状の金属製の中芯部と
板状の底面部と、該底面部の外周部から立設された筒状の側面部とを有し、上記軸線方向の一方側を開口させてなり、上記コイル、上記コア、及び上記中芯部を収容するケースと、
該ケースの開口部を塞ぐ蓋部と、を備え、
上記中芯部の上記軸線方向の両端部には、上記中芯部を上記軸線方向の両側から挟持して固定する一対の金属製の固定部材にそれぞれ当接する当接面が形成されており、
上記ケースと上記蓋部とが、上記一対の固定部材であり、
上記ケースには、上記底面部から上記ケースの内側に向けて上記軸線方向に突出してなる突出部が設けられており、
上記中芯部には、上記ケースの上記突出部に嵌合させる嵌合凹部が形成されており、
上記中芯部は、上記嵌合凹部を上記突出部に嵌合させた状態にて上記軸線方向に上記ケースに締結固定されており、
上記中芯部における上記コアに接触する接触面の表面粗度Rzは、上記当接面の表面粗度Rzよりも大きく、
上記中芯部における上記接触面は、表面粗度Rzを大きくする表面加工が施された加工面であり、
上記中芯部における上記当接面は、表面粗度Rzを小さくする表面加工が施された加工面であり、
上記嵌合凹部の内面には、表面粗度Rzが上記接触面よりも小さく、上記当接面よりも大きい中間面が形成されていることを特徴とするリアクトルにある(請求項1)。
【発明の効果】
【0008】
上記リアクトルにおいて、中芯部におけるコアに接触する接触面の表面粗度Rzは、固定部材に当接する当接面の表面粗度Rzよりも大きい。すなわち、コアとの密着性が要求される接触面は、表面を粗く(表面粗度を大きく)する。一方、中芯部を挟持して固定する固定部材との当接度合いが要求される当接面は、表面を滑らかに(表面粗度を小さく)する。
【0009】
そのため、上記中芯部の接触面については、表面を粗くしてコアとの接触面積を大きくすることができる。これにより、中芯部の接触面とコアとの密着性を高めることができる。その結果、リアクトル全体としての剛性及び共振周波数を高めることができ、リアクトルが動作する周波数の領域において、振動の低減を図ることができる。また、中芯部の接触面とコアとの密着性を高めることができるため、コアから中芯部への伝熱性を高めることができ、リアクトルの放熱性能を向上させることができる。
【0010】
また、上記中芯部の当接面については、表面を滑らかにして固定部材との当接度合いを高めることができる。これにより、固定部材によって中芯部を十分に挟持して固定することができる。その結果、リアクトル全体としての剛性及び共振周波数を高めることができ、リアクトルが動作する周波数の領域において、振動の低減を図ることができる。また、中芯部の当接面と固定部材との当接度合いを高めることができるため、中芯部から固定部材への伝熱性を高めることができ、リアクトルの放熱性能を向上させることができる。
【0011】
また、上記中芯部には、表面粗度Rzが接触面よりも小さく、当接面よりも大きい中間面が形成されている。そのため、例えば、中芯部をダイカスト等の鋳造によって成形した後、コアとの密着性が要求される部分に表面を粗くする加工等を施して接触面を形成し、固定部材との当接度合いが要求される部分に表面を滑らかにする加工等を施して当接面を形成し、それ以外の加工を施していない鋳肌面を中間面とすることができる。これにより、上述した効果を発揮することができる中芯部を容易に製造することができる。
【0012】
このように、振動の低減を図り、放熱性能を向上させることができるリアクトルを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施例における、リアクトルの構造を示す断面説明図。
図2】実施例における、中芯部の構造を示す断面説明図。
図3】実施例における、中芯部を示す説明図。
図4】実施例における、中芯部を第2当接面側から見た説明図。
図5】実施例における、中芯部の第1当接面側から見た説明図。
図6】実施例における、コア成形型内にコイル及び中芯部を配置する工程を示す説明図。
図7】実施例における、コア成形型内に磁性粉末混合樹脂を充填する工程を示す説明図。
図8】実施例における、コア成形型から中間品を取り出す工程を示す説明図。
図9】実施例における、ケースに中間品及び蓋部を組み付ける工程を示す説明図。
図10】実施例における、ケースにボルトを螺合させる工程を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
上記リアクトルにおいて、上記固定部材は、上記軸線方向の一方側を開口させてなり、上記コイル、上記コア及び上記中芯部を収容する有底箱型形状のケースと、該ケースの開口部を塞ぐ蓋部とからなる構成となっている
これにより、固定部材となるケースと蓋部とによって中芯部を上記軸線方向の両側からしっかりと挟持して固定することができる。
【0015】
また、上記中芯部の上記接触面の表面粗度Rzは、16μm以上とすることができる(請求項)。
この場合には、中芯部の接触面とコアとの密着性を十分に高めることができる。これにより、振動の低減を図り、放熱性能を向上させるという上述の効果を十分に発揮することができる。
【0016】
また、上記中芯部の上記接触面の表面粗度Rzは、中芯部の接触面とコアとの密着性をより一層高めるために、25μm以上とすることができる。
また、上記中芯部の上記接触面の表面粗度Rzは、所望の表面粗度にするための加工(例えば、後述するショットブラスト加工等)やその加工時間、加工精度等を考慮し、例えば、30μm以下とすることができる。
【0017】
また、上記中芯部の上記当接面の表面粗度Rzは、12.5μm以下とすることができる(請求項)。
この場合には、中芯部の当接面と固定部材との当接度合いを十分に高めることができる。これにより、振動の低減を図り、放熱性能を向上させるという上述の効果を十分に発揮することができる。
【0018】
また、上記中芯部の上記当接面の表面粗度Rzは、所望の表面粗度にするための加工(例えば、後述する切削加工等)やその加工時間、加工精度等を考慮し、例えば、6.3μm以上とすることができる。
【0019】
また、上記中芯部の上記中間面の表面粗度Rzは、接触面の表面粗度Rzよりも小さく、当接面の表面粗度Rzよりも大きい。
また、上記中芯部の上記中間面の表面粗度Rzは、例えば、12.5〜16μmとすることができる。
【0020】
また、上記中芯部は、ダイカスト鋳造により成形されたものであり、該中芯部の上記中間面は、ダイカスト鋳造による鋳肌面とすることができる(請求項)。
この場合には、鋳肌面である中間面を基準として、加工が必要な部位にその要求に応じた加工を施し、接触面及び当接面を有する中芯部を容易に製造することができる。
【0021】
また、上記中芯部の上記接触面は、ショットブラスト加工が施された加工面とすることができる(請求項)。
この場合には、ショットブラスト加工により、中芯部の接触面の表面を粗くしてコアとの接触面積を大きくすることができる。また、例えば、中芯部をダイカスト鋳造により成形した場合には、ショットブラスト加工によって表面に残留している離型剤を削り取って除去することができ、中芯部の接触面とコアとの密着性をより一層高めることができる。
【0022】
また、上記ショットブラスト加工の加工方式としては、ノズルから投射材を噴射して加工を行うノズル方式を採用することができる。この場合には、加工対象物(ワーク)ごとに加工部位を狙って投射材を噴射することができるため、安定的な研削加工を行うことができる。
また、上記ショットブラスト加工の投射材としては、例えば、コランダム質研磨剤、アルミナ、ステンレス、亜鉛、ガラス、樹脂、植物種子等を用いることができる。
【0023】
また、上記中芯部の上記当接面は、切削加工が施された加工面とすることができる(請求項)。
この場合には、切削加工により、中芯部の当接面の表面を滑らかにして固定部材との当接度合いを高めることができる。また、例えば、中芯部をダイカスト鋳造により成形した場合には、切削加工によって表面に残留している離型剤を削り取って除去することができ、中芯部の当接面と固定部材との当接度合いをより一層高めることができる。
【0024】
また、上記中芯部の接触面、当接面及び中間面における表面粗度としては、十点平均粗さ(Rz)を用いている。
【実施例】
【0025】
リアクトルにかかる実施例について、図を用いて説明する。
本例のリアクトル1は、図1図5に示すごとく、通電により磁束を発生する筒状のコイル2と、樹脂に磁性粉末を混合した磁性粉末混合樹脂からなり、コイル2を内部に埋設してなるコア3と、コイル2の内周側においてコイル2の軸線方向Xに配設され、少なくとも一部がコア3の内部に埋設された柱状の中芯部4とを備えている。
【0026】
中芯部4の軸線方向Xの両端部には、中芯部4を軸線方向Xの両側から挟持して固定する固定部材(ケース5、蓋部6)に当接する当接面401、402が形成されている。
中芯部4におけるコア3に接触する接触面403の表面粗度Rzは、当接面401、402の表面粗度Rzよりも大きい。
中芯部4には、表面粗度Rzが接触面403よりも小さく、当接面401、402よりも大きい中間面404が形成されている。
以下、これを詳説する。
【0027】
図1に示すごとく、リアクトル1は、例えば、車両用のインバータ、DC−DCコンバータ等の電力変換装置に用いられるものである。
リアクトル1は、通電により磁束を発生するコイル2と、コイル2への通電によって発生した磁束の磁路を構成するコア3と、コイル2及びコア3に発生した熱を伝達して放熱するための中芯部4と、コイル2、コア3及び中芯部4を収容するケース5とを備えている。
【0028】
コイル2は、銅線からなる導体線(図示略)を螺旋状に巻回して円筒状に形成されている。コイル2は、コア3の内部に埋設されている。
コア3は、絶縁樹脂であるエポキシ樹脂に磁性粉末である鉄粉を混合した磁性粉末混合樹脂からなる。コア3は、コイル2全体を覆うように配設されている。また、コア3は、コイル2と共にケース5内に収容されている。
【0029】
ケース5は、板状の底面部51と、その底面部51の外周部から立設された筒状の側面部52とを有し、軸線方向Xの一方側を開口させた有底箱型形状である。
ケース5には、底面部51からケース5の内側に向けて軸線方向Xに突出してなる突出部53が設けられている。突出部53は、後述する中芯部4の嵌合凹部41に嵌合されている。また、突出部53には、ボルト11を螺合させる螺合穴531が形成されている。
【0030】
ケース5(底面部51、側面部52、突出部53)は、アルミニウム合金からなり、ダイカスト鋳造により一体的に成形されている。
ケース5の開口部59は、板状の蓋部6によって閉塞されている。蓋部6には、ボルト11を挿通させる挿通孔61が設けられている。
【0031】
図1図2に示すごとく、中芯部4は、コイル2の内周側を貫通するように、コイル2の軸線方向Xに配設されている。中芯部4には、ケース5の突出部53に嵌合させる嵌合凹部41が形成されている。また、中芯部4には、軸線方向Xの一方の端面から嵌合凹部41まで貫通してなると共に、ボルト11を挿通させる貫通孔42が設けられている。貫通孔42は、ケース5の突出部53の螺合穴531及び蓋部6の挿通孔61にそれぞれ連通している。
【0032】
図3図5に示すごとく、中芯部4の軸線方向Xの一方の端部には、ケース5の底面部51と当接する当接面(第1当接面)401が形成されている。また、他方の端部には、蓋部6と当接する当接面(第2当接面)402が形成されている。
図1に示すごとく、中芯部4は、少なくとも第1当接面401及び第2当接面402をコア3の外側に露出させた状態で、コア3の内部に埋設されている。
【0033】
また、図1に示すごとく、中芯部4は、ボルト11によりケース5に対して締結固定されている。具体的には、中芯部4の嵌合凹部41にケース5の突出部53を嵌合させた状態で、ボルト11を蓋部6の挿通孔61、中芯部4の貫通孔42に挿通させ、ケース5の突出部53の螺合穴531に螺合させている。
また、中芯部4は、第1当接面401をケース5の底面部51に当接させ、第2当接面402を蓋部6に当接させた状態で、ケース5の底面部51と蓋部6とによって軸線方向Xの両側から挟持されている。
【0034】
また、図1図5に示すごとく、中芯部4は、アルミニウム合金からなり、ダイカスト鋳造により成形されている。中芯部4の表面40のうち、コア3に接触する接触面403には、ショットブラスト加工が施されている。また、中芯部4の表面40のうち、ケース5の底面部51に当接する第1当接面401及び蓋部6に当接する第2当接面402には、切削加工が施されている。
【0035】
また、中芯部4の表面40には、例えば中芯部4の内周面等、ショットブラスト加工や切削加工が施されていない中間面404が形成されている。中芯部4の中間面404は、ダイカスト鋳造による鋳肌面であり、表面粗度Rzが接触面403よりも小さく、当接面401、402よりも大きい。
本例では、中芯部4の接触面403の表面粗度Rzは、16μmである。また、中芯部4の当接面401、402の表面粗度Rzは、6.3μmである。また、中芯部4の中間面404の表面粗度Rzは、12.5μmである。
【0036】
次に、本例のリアクトル1の製造方法について説明する。
本例のリアクトル1を製造するに当たっては、図2図5に示すごとく、中芯部4をダイカスト鋳造により成形する。そして、中芯部4の表面40のうち、コア3と接触する接触面403には、ショットブラスト加工を施す。また、ケース5の底面部51及び蓋部6に当接する当接面401、402には、切削加工を施す。また、それ以外の表面40は、加工を施さず、中間面404とする。
【0037】
ここで、ショットブラスト加工について説明する。
本例では、まず、加工対象物となる中芯部4を回転台にセットする。次いで、中芯部4を回転させながら、首振り可能なノズルを用いて投射材を加工面となる中芯部4の接触面403に対して噴射し、中芯部4の加工を行う。そして、加工後、エアにより粉塵を除去する。
【0038】
なお、投射材としては、硬度がHv2100〜2300、粒径が180〜200μmである鋭角形状のコランダム質研磨剤を用いた。
また、加工条件としては、中芯部の回転数:36rpm、ノズル本数:3本、ノズル首振り周波数:50Hz、投射(噴射)圧:0.3MPa、投射(噴射)時間:15秒とした。
【0039】
次いで、図6に示すごとく、ケース5と同一形状のコア成形型81に中芯部4を組み付け、さらにコア成形型81内にコイル2を配置する。
次いで、図7に示すごとく、コア成形型81内に磁性粉末混合樹脂30を充填し、コイル2を磁性粉末混合樹脂30内に埋設させる。そして、磁性粉末混合樹脂30に対して熱処理を施し、磁性粉末混合樹脂30を硬化させてコア3とする。
次いで、図8に示すごとく、一体となったコイル2、コア3及び中芯部4からなる中間品10をコア成形型81から取り出す。
【0040】
次いで、図9に示すごとく、中間品10をケース5に組み付ける。このとき、中芯部4の嵌合凹部41にケース5の突出部53を嵌合させる。また、中芯部4の第1当接面401にケース5の底面部51を当接させる。
次いで、同図に示すごとく、ケース5の開口部59を蓋部6によって塞ぐ。このとき、中芯部4の第2当接面402に蓋部6を当接させる。
次いで、図10に示すごとく、ボルト11を蓋部6の挿通孔61、中芯部4の貫通孔42に挿通させ、ケース5の突出部53の螺合穴531に螺合させる。
以上により、図1のリアクトル1を得る。
【0041】
次に、本例のリアクトル1における作用効果について説明する。
本例のリアクトル1は、中芯部4におけるコア3に接触する接触面403の表面粗度Rzは、固定部材(ケース5、蓋部6)に当接する当接面401、402の表面粗度Rzよりも大きい。
すなわち、コア3との密着性が要求される接触面403は、表面を粗く(表面粗度を大きく)する。一方、中芯部4を挟持して固定する固定部材(ケース5、蓋部6)との当接度合いが要求される当接面401、402は、表面を滑らかに(表面粗度を小さく)する。
【0042】
そのため、中芯部4の接触面403については、表面を粗くしてコア3との接触面積を大きくすることができる。これにより、中芯部4の接触面403とコア3との密着性を高めることができる。その結果、リアクトル1全体としての剛性及び共振周波数を高めることができ、リアクトル1が動作する周波数の領域において、振動の低減を図ることができる。また、中芯部4の接触面403とコア3との密着性を高めることができるため、コア3から中芯部4への伝熱性を高めることができ、リアクトル1の放熱性能を向上させることができる。
【0043】
また、中芯部4の当接面401、402については、表面を滑らかにして固定部材(ケース5、蓋部6)との当接度合いを高めることができる。これにより、固定部材(ケース5、蓋部6)によって中芯部4をしっかりと挟持して固定することができる。その結果、リアクトル1全体としての剛性及び共振周波数を高めることができ、リアクトル1が動作する周波数の領域において、振動の低減を図ることができる。また、中芯部4の当接面401、402と固定部材(ケース5、蓋部6)との当接度合いを高めることができるため、中芯部4から固定部材(ケース5、蓋部6)への伝熱性を高めることができ、リアクトル1の放熱性能を向上させることができる。
【0044】
また、中芯部4には、表面粗度Rzが接触面403よりも小さく、当接面401、401よりも大きい中間面404が形成されている。そのため、例えば、本例のように、中芯部4をダイカスト鋳造によって成形した後、コア3との密着性が要求される部分に表面を粗くするショットブラスト加工を施して接触面403を形成し、固定部材(ケース5、蓋部6)との当接度合いが要求される部分に表面を滑らかにする切削加工を施して当接面を形成し、それ以外の加工を施していない鋳肌面を中間面404とすることができる。これにより、上述した効果を発揮することができる中芯部4を容易に製造することができる。
【0045】
また、本例では、固定部材は、軸線方向Xの一方側を開口させてなり、コイル2、コア3及び中芯部4を収容する有底箱型形状のケース5と、ケース5の開口部59を塞ぐ蓋部6とからなる。そのため、ケース5と蓋部6とによって中芯部4を軸線方向Xの両側からしっかりと挟持して固定することができる。
【0046】
また、中芯部4は、ダイカスト鋳造により成形されたものであり、中芯部4の中間面404は、ダイカスト鋳造による鋳肌面である。そのため、鋳肌面である中間面404を基準として、加工が必要な部位にその要求に応じた加工(ショットブラスト加工、切削加工)を施し、接触面403及び当接面401、401を有する中芯部4を容易に製造することができる。
【0047】
また、中芯部4の接触面403は、ショットブラスト加工が施された加工面である。そのため、ショットブラスト加工により、中芯部4の接触面403の表面を粗くしてコア3との接触面積を大きくすることができる。また、例えば、本例のように、中芯部4をダイカスト鋳造により成形した場合には、ショットブラスト加工によって表面に残留している離型剤を削り取って除去することができ、中芯部4の接触面403とコア3との密着性をより一層高めることができる。
【0048】
また、中芯部4の当接面401、402は、切削加工が施された加工面である。そのため、切削加工により、中芯部4の当接面401、402の表面を滑らかにして固定部材(ケース5、蓋部6)との当接度合いを高めることができる。また、例えば、本例のように、中芯部4をダイカスト鋳造により成形した場合には、切削加工によって表面に残留している離型剤を削り取って除去することができ、中芯部4の当接面401、402と固定部材(ケース5、蓋部6)との当接度合いをより一層高めることができる。
【0049】
このように、本例によれば、振動の低減を図り、放熱性能を向上させることができるリアクトル1を提供することができる。
【符号の説明】
【0050】
1 リアクトル
2 コイル
3 コア
4 中芯部
401、402 当接面
403 接触面
404 中間面
X 軸線方向(コイルの軸線方向)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10