【実施例1】
【0015】
実施例に係る飲食物搬送装置につき、
図1から
図7を参照して説明する。
図1に示すように注文飲食物搬送装置1は、例えば回転寿司の店等の飲食店において、厨房店員Sが調理を行う厨房Cと飲食客が飲食を行う店内Kとを連絡するように設けられた注文搬送路18と、これら注文搬送路18上を厨房C側の指示により走行する容器載置体3を備えている。本実施例においては、注文搬送路18が厨房Cから店内Kにかけて延びており、これら注文搬送路18の店内K側には、注文搬送路18挟んで左右に囲むように飲食テーブル4が配備され客席が構成されている。なお、厨房Cと店内Kは種々の配置が存在しこの実施例に限定されるものではない。なお、本実施例では、注文搬送路18上を走行する容器載置体3は、厨房C側から店内K側に向けて注文搬送路18上を走行することで、容器載置体3の走行方向から見て左右の飲食テーブル4に飲食物7を搬送することができるようになっている。
【0016】
注文搬送路18の厨房C側には、注文搬送路18の厨房C側の端部側に厨房店員Sが飲食物7を載置するための載置台20が並設され、これら載置台20には、各飲食テーブル4から受注した飲食物7を確認する確認手段と、飲食物7を飲食テーブル4に搬送する際に、注文飲食物搬送装置1の動作を制御する制御手段を有する制御装置9が載置されている。
【0017】
次に、注文搬送路18及び容器載置体3について詳述すると、
図1に示すように注文搬送路18の搬送面18a下における厨房C側の端部には、ここでは図示しないモータによって水平方向に回動する駆動部スプロケット14aが設けられているとともに、店内K側の端部には、テンション部スプロケット14bが設けられている。また、モータには、モータの回転数を計測するためのロータリーエンコーダ(図示せず)が取り付けられている。さらに両端部に配設される駆動部スプロケット14a及びテンション部スプロケット14bに、搬送駆動体としての環状に形成された駆動ベルト16が掛け渡されている。
【0018】
この駆動ベルト16の内周面には、
図2に示されるように駆動ベルト16の右側面の全長に渡っているため、
図4に示されるところの駆動部スプロケット14aの回動により駆動ベルト16が駆動するようになっている。さらに注文搬送路18の下部にはベルトガイド17が設けられ、上方に開口して前後方向を向くガイド溝17aを左右幅方向に2条有している。これらガイド溝17a内には、往路側の駆動ベルト16と復路側の駆動ベルト16とがそれぞれ配置されている。
【0019】
さらに駆動ベルト16には、断面視で略L字状に形成されたベルトブラケット22が取り付けられている。このベルトブラケット22の上端部には、強磁性を有する金属や永久磁石等で構成された第2磁性体41と、水平方向に回動するセンターローラ24、24が枢支されている。
【0020】
第2磁性体41は、駆動ベルト16が駆動することにより、注文搬送路18の略全長に亘って移動するようになっている。このように、注文搬送路18と容器載置体3とを構成することによって、駆動ベルト16を駆動させると、磁力によって第2磁性体41に駆動連結された第1磁性体40が取り付けられている容器載置体3が注文搬送路18に沿って搬送面18a上を走行することができるようになっている。
【0021】
図2に示すように、注文搬送路18の搬送面18aは、アルミやステンレス等の金属材の板材によって構成されている。そして搬送路18の各飲食テーブル4近傍位置には、後述する配膳用移動機構である駆動ローラ30a,30bに対し給電を行う給電部51が搬送面18aの裏側にそれぞれ設けられており、容器載置体3には配膳用移動機構の駆動電源としての受電部50が設けられている。
【0022】
この給電部51および受電部50は、それぞれの内部に内蔵された非接触電力伝送装置によって通電するようになっており、給電部51と受電部50が所定距離以上近接した場合に給電が開始され、給電部51より駆動ローラ30a,30bに給電されるようになっている。すなわち注文搬送路18における食事席近傍位置で前記容器載置体3が低速もしくは静止する所定のタイミングにおいて、注文搬送路18の給電部51と受電部50とが近接もしくは当接され、前記給電部50より電力を受けた配膳用移動機構の駆動力として駆動ローラ30a,30bが駆動するようになっている。なお、本発明において給電部51と受電部50はそれぞれに内蔵された非接触電力伝送装置により通電される態様になっているが、通電における態様はこの限りではなく、例えば給電部51と受電部50の表面よりそれぞれ突出された端子同士が当接することで通電するようにしてもよい。
【0023】
また容器載置体3と飲食テーブル4との間には検出手段である発光部60と受光部61からなる光センサが設けられており、後述する容器11の移動を検知できるようになっている。さらに飲食テーブル4上にはコンベア37が設けられており、容器11が注文搬送路18を横切る方向に移動される際に、後述する駆動ローラ30a,30bに従動して容器11の移動を補助するようになっている。
【0024】
また、
図3には容器11を搭載して運ぶ容器載置体3が示され、容器載置体3にはそれぞれ内部に駆動モータ301a、301bを有する駆動ローラ30a,30bが設けられており、駆動ローラ30a,30bは、長手方向左右にそれぞれ設けられた長孔34,34を通して上方に向け設置されており、駆動ローラ30a,30bは少なくともトレー部3b上に配置される容器11の容器底面111に当接するようにトレー部3b表面より突出するように設置されている。また、トレー部3bには駆動ローラ30a,30bの間に等間隔でフリーローラ32、32が回動可能に取り付けられている。
【0025】
次に、
図4に示す厨房Cに設けられた制御装置9について説明する。この制御装置9は、ここでは図示しない注文装置およびロータリーエンコーダと接続されており、全ての飲食テーブル4から受注した飲食物7の注文が各飲食テーブル4にそれぞれ設定された客席IDと関連付けられて記憶され、さらに注文搬送路18における載置領域20から各飲食テーブル4までの距離が記憶されている。
【0026】
制御装置9は、注文搬送路18上を走行する容器載置体3を検知することで、図示しないモータの回転数をロータリーエンコーダによって測定可能となっており、このロータリーエンコーダで測定したモータの回転数から3の走行距離を算出するようになっている。そのため、飲食物7を載置した容器11を載置した容器載置体3は、正確に飲食物7を注文した各飲食テーブル4まで走行可能となっており、さらに制御装置9の有する速度制御手段により注文のあった各飲食テーブル4で容器載置体3を停止させることができる。なお、このとき制御装置9は注文のあった各飲食テーブル4に容器載置体3を必ずしも停止させずとも、駆動ローラ30a,30bが機能可能なだけ搬送速度を減速するようにしてもよい。また、制御装置9は注文のあった飲食テーブルの客席IDに関連付けられた各給電部51の給電開始および停止をそれぞれ制御することができる。
【0027】
次に
図2に示された制御装置9、注文装置、電源回路、及び信号線を参照して搬送時の手順を、
図4から
図7を用いて詳しく説明する。
図4に示されるように、例えば注文装置により注文のあった飲食テーブル4cに飲食物7を届ける際、制御装置9は注文のあった飲食テーブル4cの客席IDに関連付けられた給電部51cに対してのみ給電を開始するとともに、注文のあった飲食テーブル4cの客席IDに関連付けられた、載置領域20から各飲食テーブル4cまでの距離に基づき、飲食物7を載置した容器11を載置した容器載置体3を搬送させる。そして速度制御手段の実施により容器載置体3が停止したタイミングで、前述した制御装置9にて給電を開始された給電部51cと駆動ローラ30aの受電部50aとが近接されることで通電する。これにより注文のあった飲食テーブル4cの客席IDに関連付けられた給電部51c以外では駆動ローラ30aは駆動しないようになっている。
【0028】
図5に示されるように、注文搬送路18における飲食テーブル4c位置で前記容器載置体3が低速もしくは静止する所定のタイミングにおいて、注文搬送路18の給電部51cと受電部50aとが近接もしくは当接され、前記給電部51cより電力を受けた配膳用移動機構の駆動力として駆動ローラ30aが駆動を開始する。そして
図6に示されるように、駆動ローラ30aが、容器底面111に当接した状態で矢印方向へ回転駆動し、容器11を搬送路18を横切るように注文のあった飲食テーブル4c方向へ移動させ、
図7に示されるように、飲食テーブル4cに設けられたコンベア37上に完全に移載されることになる。
【0029】
容器11の移動に関しては、前述した容器載置体3と飲食テーブル4cとの間に設けられた光センサの発光部60上方を容器11が通過して移動されるため、発光部60より照射された光が容器底面111で反射され、光が受光部61で受光される間(
図6)は、制御装置9は容器11が容器載置体3より移動中であること検知する。そして発光部60より照射される光が容器底面111で反射されず受光部61での受光がなくなった時点(
図7)で、制御装置9は容器11の容器載置体3から飲食テーブル4cへの移動が完了したことを検知する。この容器11の飲食テーブル4cへの移動完了を受け、制御装置9は駆動ローラ30aの駆動の完了を判断するようになっている。
【0030】
光センサによる検出手段により駆動ローラ30aの駆動の完了が検出された場合、制御装置9は容器載置体3を厨房C側に戻すように搬送路18を移動させる。このとき、容器載置体3が厨房C方向に移動することで、前記給電部51と受電部50とが離間するため受電部50への給電が断絶され、駆動ローラ30aの駆動は自動的に停止する。これによれば、制御装置9は駆動ローラ30a停止を別途指示せずに駆動ローラ30aの駆動停止を行うことができるため、制御構成は簡潔になる。
【0031】
なお、本実施例においては駆動ローラ30a,30bに給電を行う際に搬送路18および容器載置体3に設けられた給電部51と受電部50により行われる態様になっているが、例えば容器載置体3内にバッテリーを内蔵して、駆動ローラ30a,30bに対し給電を行うようにしてもよい。
【実施例2】
【0032】
実施例に係る注文飲食物搬送装置につき、
図8から
図14を参照して説明する。尚、前記実施例1に示される構成部分と同一構成部分に付いては同一符号を付し、重複する構成については説明を省略する。
【0033】
図8に示すように、各飲食テーブル7の真横に位置する搬送路18の下方には、それぞれ配膳用移動機構が上下に昇降可能に収容されている。配膳用移動機構は、搬送路18に平行に設けられる2本の駆動ローラ130a,130bと、これらの駆動ローラ130a,130bを回動支持する支持板62と、支持板62を昇降させる伸縮部材63により構成されている。
【0034】
この駆動ローラ130a,130bはそれぞれ内部にモータを有しており、それぞれが別方向にのみ回転駆動するようになっている。尚、それぞれの駆動ローラ130a,130bは駆動時に一方向にのみ回転駆動する構造になっているが、給電状態でない場合はこの限りではなく、反対方向へ従動し回動可能になっている。
【0035】
図8に示すように、搬送面18aの長手方向左右にはそれぞれ、駆動ローラ130a,130bが挿通可能な長孔35が設けられており、ローラブラケット3eおよびトレー部3bには搬送面18aに設けられた長孔35、35と略同形状の長孔33、33および、長孔33、33と略同形状もしくは左右方向に幅の狭い小さい長孔34,34が長孔35、35と上面視略同位置に設けられており、駆動ローラ130a,130bがこれら長孔33、33、長孔4,34および長孔35、35をそれぞれ挿通可能となっている。そして、駆動ローラ130a,130bは少なくともトレー部3b上に配置される容器底面に当接するだけ、トレー部3b表面より突出するように引き上げ可能になっている。
【0036】
続いて搬送時の手順を
図9から
図13を用いて詳しく説明する。
図9に示すように、注文のあった飲食テーブル4に飲食物7を届ける際、制御装置9は注文のあった飲食テーブル4の客席IDに関連付けられた載置領域20から各飲食テーブル4までの距離に基づき、飲食物7を載置した容器11を載置した容器載置体53を搬送させる。
【0037】
そして
図10に示すように、速度制御手段の実施により容器載置体53が停止したタイミングで、支持板62が伸縮部材63により容器載置体53の上方まで上昇して駆動ローラ130a,130bが容器底面111に当接した状態で駆動ローラ130aが矢印方向へ回転駆動するため、容器11が搬送路を横切るように注文のあった飲食テーブル4c方向へ移動される(
図11)。このとき駆動ローラ130bは駆動せず、容器底面111を伝って駆動ローラ130aの動きに従動する。
【0038】
容器11が搬送路を横切るように注文のあった飲食テーブルc4方向へ移動される間、容器が前述した容器載置体53と飲食テーブル4cとの間に設けられた光センサの発光部60上方を通過して移動されるため、発光部60より照射された光が容器底面111で反射され、光が受光部61で受光される間(
図12)は、制御装置9は容器11が容器載置体53より移動中であること検知する。そして発光部60より照射される光が容器底面111で反射せず、受光部61での受光がなくなった時点(
図13)で、制御装置9は容器11が容器載置体53から飲食テーブル4cへ移動が完了したことを検知する。この容器11の飲食テーブル4cへの移動完了を受け、制御装置9は駆動ローラ130aの駆動の完了を判断するようになっている。
【0039】
光センサによる検出手段により駆動ローラ130aの駆動の完了が検出された場合、制御装置9により駆動ローラ130a,130bおよび支持板62が伸縮部材63によって容器載置体53の下方まで下降される(
図14)。駆動ローラ130a,130bおよび支持板6が容器載置体の下方まで下降されると、次に制御装置9は容器載置体53を厨房C側に戻すように搬送路18を移動させる。
【0040】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。