(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の吐出容器では、前記押圧を解除すると、容器本体の復元変形によって外気が容器本体内に吸入されるため、容器内の内容物が劣化し、保存性が低下するおそれがあった。
また、吐出した内容物等が吐出口に付着している場合に、その付着物が吐出後の前記吸入時において容器内に逆流することがあり、この場合、外気に触れている付着物とともに雑菌が容器内に浸入するおそれがあり、その点で改良の余地があった。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、空気の浸入を防止するとともに、吐出口に付着する付着物の逆流を防止することで、内容物の劣化を防ぐことができる吐出容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
本発明に係る吐出容器は、内容物が収容されるとともに内容物の減少に伴いしぼみ変形する可撓性に富む内容器、および該内容器が内装される外容器を備える容器本体と、該容器本体の口部に装着され、内容物を吐出する吐出口が形成された吐出体と、を備え、前記外容器には、該外容器と前記内容器との間に外気を吸入する吸気孔が形成されるとともに、前記吐出体には、前記吸気孔と外部とを連通する外気導入孔が形成され、該吐出体は、前記口部に外装されるとともに頂壁部に前記内容器の内部に連通する連通口が形成された有頂筒状の本体筒部、および前記連通口を径方向の外側から囲繞するように前記頂壁部に立設された立ち上がり筒部を有する装着部材と、前記立ち上がり筒部に装着されるとともに天板部に前記吐出口が形成された有頂筒状の吐出筒部材と、前記本体筒部の頂壁部と前記吐出筒部材の天板部との間に配置され、内部が前記連通口と前記吐出口とを連通する弁筒部材と、を備え、該弁筒部材には、当該弁筒部材の内部と前記吐出口との連通およびその遮断を切替える吐出弁と、前記吸気孔と前記外気導入孔との連通およびその遮断を切替える空気弁と、が設けられ、前記吐出弁は、前記吐出口側から前記弁筒部材の内部側への流通を規制し、かつその逆に向けた流通を許容する逆止弁とされ、前記空気弁は、前記吸気孔側から前記外気導入孔側への流通を規制し、かつその逆に向けた流通を許容する逆止弁となってい
て、前記弁筒部材には、径方向の外側に向けて環状に突出するとともに前記吐出筒部材内に液密に嵌合し、前記吐出筒部材と前記弁筒部材との間を容器軸方向に区画する区画壁が設けられ、該区画壁は、該区画壁よりも前記吐出筒部材の天板部側に、前記弁筒部材の内部と前記吐出口とを連通する第1連通空間を画成していることを特徴とする。
【0007】
この発明では、容器本体の内容器に収容された内容物を吐出させる際、例えば、容器本体の外容器をスクイズ変形(弾性変形)させる。これにより、内容器が外容器とともに変形して減容される。そして、この減容変形に伴い内容器の内圧が正圧となり、この正圧によって吐出弁が開けられ、吐出口と内容器の内部とが、装着部材の連通口および弁筒部材の内部を通して連通される。
【0008】
その後、内容器の内圧が低下すると、吐出弁が閉じられ、吐出口と内容器の内部とが遮断されて内容器が密封され、さらに前述したスクイズ変形を解除すると、外容器は復元変形しようとする。このとき、外容器と内容器との間に発生した負圧が吸気孔を通して空気弁に作用することにより、この空気弁が作動して、吸気孔と外部とが外気導入孔を通して連通され、外気が外容器と内容器との間に吸入される。
【0009】
そして、外気が吸入されることにより、外容器と内容器との間の内圧が大気圧まで上昇すると、空気弁が復元変形して吸気孔と外気導入孔との連通を遮断する。このように、外容器と内容器との間に外気が吸入されることにより、内容器の減容形状が保持される。そのため、吐出後の吐出口から内容器内に外気が流入することがなく、吐出口から吐出された内容物が内容器内に逆流することが防止される。
【0010】
この状態から、再び容器本体の外容器をスクイズ変形させると、空気弁は遮断状態とされていることから外容器と内容器との間の内圧が正圧となり、この正圧によって内容器が減容変形される。内容器が減容変形されることにより、前述同様の作用が得られ、内容物が吐出される。
【0011】
なお例えば、容器本体を逆さにすることで内容物の重力により吐出弁を作動させ、吐出口と内容器の内部とを連通させる場合などにおいても、内容器に収容された内容物が吐出口から吐出されるので、容器本体の外容器をスクイズ変形させる場合と同様の作用が得られる。
【0012】
以上より、当該吐出容器によれば、内容物を吐出した後、内容器の減容形状が保持されるので、吐出後の吐出口から内容器内に外気が流入することがなく、内容器の内部への空気の浸入を防止するとともに、吐出口に付着する付着物の逆流を防止することが可能になり、内容物の劣化を防ぐことができる。
また吐出体が、装着部材、吐出筒部材および弁筒部材を備えているので、これらの3つの部材の一部を変更することにより、吐出体の構成を多様に変化させることが可能になり、例えば内容物の粘性やその他の物性などに応じて、吐出体の構成を適宜変更することができる。これにより、内容物の選択の幅を広げ、種々の内容物に対応することができる。
【0014】
また、区画壁が、該区画壁よりも吐出筒部材の天板部側に、前記第1連通空間を画成しているので、弁筒部材の内部から前記第1連通空間に流入した内容物が、区画壁から本体筒部の頂壁部側に漏れるのを抑制することが可能になり、内容物を吐出口から確実に吐出することができる。
【0015】
また、前記外気導入孔は、前記吐出筒部材において前記区画壁よりも前記本体筒部の頂壁部側に位置する部分に形成されるとともに、前記区画壁により、該区画壁よりも前記本体筒部の頂壁部側に画成された第2連通空間を通して前記吸気孔に連通していてもよい。
【0016】
この場合、外気導入孔が、前記第2連通空間を通して吸気孔に連通しているので、前述のように、弁筒部材の内部から前記第1連通空間に流入した内容物が、区画壁から本体筒部の頂壁部側に漏れるのが抑制されることにより、第2連通空間を清浄な状態に維持し易く、第2連通空間を通した吸気孔と外気導入孔との連通およびその遮断を、空気弁により確実に切り替えることができる。
【0017】
また、前記吐出体には、前記吐出口を覆うオーバーキャップが装着され、該オーバーキャップは、前記外気導入孔と外部との連通を遮断していてもよい。
【0018】
この場合、オーバーキャップが、外気導入孔と外部との連通を遮断しているので、オーバーキャップが装着された状態で、外気導入孔内に、例えば埃などの異物が入り込むのを抑制することが可能になり、外気導入孔を清浄な状態に維持し、外気導入孔を通した吸気孔と外部との連通を確保し易くすることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る吐出容器によれば、空気の浸入を防止するとともに、吐出口に付着する付着物の逆流を防止することで、内容物の劣化を防ぐことができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照し、本発明の一実施形態に係る吐出容器を説明する。当該吐出容器は、例えば目薬など液状の内容物を、微量ずつ吐出する場合に好適に採用される。
【0022】
図1に示すように、吐出容器10は、内容物が収容されるとともに内容物の減少に伴いしぼみ変形する可撓性に富む内容器(内層)11、および内容器11が内装されるとともに弾性変形可能な外容器(外層)12を備える容器本体13と、容器本体13の口部13aに装着され、内容物を吐出する吐出口14が形成された吐出体15と、吐出体15に、吐出口14を覆うように着脱自在に装着されたオーバーキャップ16と、を備えている。
【0023】
ここで、容器本体13は有底筒状に形成され、オーバーキャップ16は有頂筒状に形成され、これらの容器本体13およびオーバーキャップ16の各中心軸線は、共通軸上に位置している。以下、この共通軸を容器軸Oといい、容器軸O方向に沿ったオーバーキャップ16側を上側といい、その反対側を下側といい、容器軸Oに直交する方向を径方向といい、容器軸O回りに周回する方向を周方向という。
【0024】
容器本体13は、外容器12に対して内容器11が剥離可能に積層されたデラミボトル(積層剥離型容器)とされており、容器本体13の口部13aは、内容器11の口部11aと外容器12の口部12aとが積層された構成とされている。
外容器12には、該外容器12と内容器11との間に外気を吸入する吸気孔17が形成されており、図示の例では、吸気孔17は、外容器12の口部12aに形成されている。
【0025】
また、外容器12の口部12aにおいて吸気孔17よりも上側に位置する部分の外周面には、雄ねじ部18が形成されている。該雄ねじ部18は、前記容器軸O方向に延在する縦溝18aにより、周方向に分断されている。なお、外気が流通可能であれば、前記縦溝18aは設けなくともよい。
さらに、外容器12の口部12aにおいて吸気孔17よりも下側に位置する部分には、径方向の外側に向けて突出するシール突起19が、全周にわたって延設されている。シール突起19の外容器12の径方向に沿った突出量は、前記雄ねじ部18の径方向に沿った突出量よりも大きくなっている。
【0026】
吐出体15は、容器本体13の口部13aに外装されるとともに頂壁部21aに内容器11の内部に連通する連通口20が形成された有頂筒状の本体筒部21、および連通口20を径方向の外側から囲繞するように前記頂壁部21aに立設された立ち上がり筒部22を有する装着部材23と、立ち上がり筒部22に装着されるとともに天板部24aに前記吐出口14が形成された有頂筒状の吐出筒部材24と、装着部材23の本体筒部21の頂壁部21aと吐出筒部材24の天板部24aとの間に配置され、内部が連通口20と吐出口14とを連通する弁筒部材25と、を備えている。これらの連通口20、本体筒部21、立ち上がり筒部22、吐出筒部材24および弁筒部材25は、前記容器軸Oと同軸に配置されている。また装着部材23、吐出筒部材24および弁筒部材25は、互いに別体に形成されている。
【0027】
本体筒部21の内周面と容器本体13の口部13aの外周面との間には、吸気孔17に連通する連通隙間Sが、周方向の全周にわたって延設されている。また本体筒部21の内周面には、前記雄ねじ部18に螺合される雌ねじ部26が形成されている。さらに、本体筒部21において雌ねじ部26よりも下側に位置する部分には、前記シール突起19が気密状態で嵌合されている。これにより、吸気孔17が、連通隙間Sを通して本体筒部21の下側からこの吐出容器10の外部と連通することが防止されている。
【0028】
また本体筒部21は、前記立ち上がり筒部22よりも大径であるとともに、本体筒部21の頂壁部21aは、容器本体13の口部13aの開口端縁上に配置されており、該頂壁部21aには、容器本体13の口部13a内に液密に嵌合されるとともに立ち上がり筒部22よりも小径なシール筒部28が、下方に向けて突設されている。さらに、該頂壁部21aにおいて立ち上がり筒部22よりも径方向の内側で、かつシール筒部28よりも径方向の外側に位置する部分には、前記容器軸O方向に延在し前記連通隙間Sに開口する貫通孔27が形成されている。
【0029】
また本体筒部21の頂壁部21aには、内部が連通口20とされた連通筒部29が立設されている。連通筒部29は、前記立ち上がり筒部22の内部に位置しており、連通筒部29の上端は、立ち上がり筒部22の上端よりも下側に位置している。また連通筒部29は、前記シール筒部28よりも小径とされ、連通筒部29の内部は、シール筒部28の内部を通して容器本体13の内部に連通している。さらに連通筒部29には、径方向の外側に向けて突出するシール突部30が、全周にわたって延設されている。
【0030】
吐出筒部材24の周壁部24bは、下側に位置する大径部31と上側に位置する小径部32とが連結されてなる。大径部31は、装着部材23の立ち上がり筒部22内に嵌合されており、大径部31の下端は、前記貫通孔27に前記容器軸O方向に対向するとともに前記本体筒部21の頂壁部21aの上面との間に隙間をあけて配置されている。また、大径部31の上端には、径方向の外側に突出し前記立ち上がり筒部22の開口端縁上に位置する外フランジ部33が、全周にわたって突設されている。
さらに、大径部31の内周面と小径部32の内周面とを連結する第1連結段部34には、下側および径方向の内側の両方向に向けて開口する連通溝部35が形成されている。
【0031】
吐出筒部材24の天板部24aには、上端開口部が前記吐出口14とされた吐出開口57が、前記容器軸O方向に貫設されている。また図示の例では、該吐出開口57において前記吐出口14よりも下側に位置する下側部分内には、該下側部分から下方に向けて突出する係止柱36が配設されている。係止柱36は、前記下側部分の内周面から径方向の内側に向けて突出するとともに周方向に間隔をあけて複数配置された支持リブ37に支持されている。
【0032】
弁筒部材25は、有頂筒状に形成されており、弁筒部材25の頂壁部25aの上面は、前記係止柱36の下面に当接している。
また、弁筒部材25の周壁部25bは、吐出筒部材24における周壁部24bの前記小径部32内に配置された上筒部38と、該上筒部38よりも外径が大きい中筒部39と、これらの上筒部38および中筒部39よりも外径が小さい下筒部40と、が、上側から下側にこの順に連設されてなる。
【0033】
下筒部40の下端は、吐出筒部材24における周壁部24bの大径部31の下端と前記容器軸O方向の位置が同等となっている。
下筒部40の内径と、中筒部39の下端部の内径と、は同等であるとともに、当該弁筒部材25の周壁部25bのうち、中筒部39の下端部よりも上側に位置する部分の内径よりも大きくなっており、これらの下筒部40の内部と中筒部39の下端部の内部とには、装着部材23の連通筒部29が液密に嵌合されている。なお図示の例では、中筒部39の下端部の内周面には、連通筒部29の前記シール突部30が液密に当接している。
【0034】
また、中筒部39の外周面と上筒部38の外周面とを連結する第2連結段部41は、吐出筒部材24における周壁部24bの前記第1連結段部34に当接している。そして、第1連結段部34の前記連通溝部35は、弁筒部材25における中筒部39と吐出筒部材24における大径部31との間に向けて開口している。
さらに、中筒部39の外周面には、径方向の外側に向けて突出し、吐出筒部材24における周壁部24bの大径部31の内周面に当接する環状突起部42が、前記容器軸O方向に間隔を空けて複数配設されている。該環状突起部42には、前記容器軸O方向に延在する縦溝42aが形成されている。
【0035】
また、弁筒部材25には、径方向の外側に向けて環状に突出するとともに吐出筒部材24内に液密、気密に嵌合し、吐出筒部材24と弁筒部材25との間を前記容器軸O方向に区画する区画壁43が設けられている。区画壁43は、弁筒部材25における周壁部25bの上筒部38に配設されるとともに、区画壁43の外周縁は、吐出筒部材24における周壁部24bの小径部32の内周面に液密に当接している。そして該区画壁43は、前記小径部32から径方向の内側に向けて突設された係止突起44により、下方から係止されている。
【0036】
また区画壁43は、該区画壁43よりも上側(吐出筒部材の天板部側)に、弁筒部材25の内部と吐出口14とを連通する第1連通空間45を画成している。第1連通空間45は、吐出筒部材24の内部のうち、区画壁43と当該吐出筒部材24の天板部24aとの間に位置する部分とされ、弁筒部材25の周壁部25bにおいて区画壁43よりも上側に位置する部分に、径方向に貫設された連通孔46を通して弁筒部材25の内部と吐出口14とを連通する。なお連通孔46は、径方向の内側から外側に向かうに従い漸次、拡径している。
【0037】
さらに区画壁43は、該区画壁43よりも下側(本体筒部の頂壁部側)に、吸気孔17に連通する第2連通空間47を画成している。第2連通空間47は、吐出筒部材24の内部のうち、区画壁43と弁筒部材25の前記第2連結段部41との間に位置する部分とされ、連通溝部35、前記弁筒部材25における中筒部39および下筒部40と吐出筒部材24における大径部31との間、前記貫通孔27および前記連通隙間Sを通して吸気孔17に連通している。
【0038】
ここで前記吐出体15には、吸気孔17と外部とを連通する外気導入孔48が形成されており、本実施形態では、該外気導入孔48は、吐出筒部材24において区画壁43よりも下側(本体筒部の頂壁部側)に位置する部分に形成されるとともに、前記第2連通空間47を通して吸気孔17に連通している。なお図示の例では、外気導入孔48は、吐出筒部材24における周壁部24bの小径部32に形成されている。
【0039】
そして本実施形態では、弁筒部材25には、当該弁筒部材25の内部と吐出口14との連通およびその遮断を切替える吐出弁49と、吸気孔17と外気導入孔48との連通およびその遮断を切替える空気弁50と、が設けられている。これらの弁筒部材25、吐出弁49および空気弁50は一体に成形されている。
【0040】
吐出弁49は、吐出口14側から弁筒部材25の内部側への流通を規制し、かつその逆に向けた流通を許容する逆止弁とされている。
吐出弁49は、弁筒部材25の頂壁部25aから径方向の外側に向けて環状に突設されており、吐出弁49の外周縁は、吐出筒部材24の周壁部24bに設けられた吐出弁座51に、該吐出弁座51の上方から離間可能に着座するとともに、吐出弁49は、上方に向けて弾性変形可能となっている。また図示の例では、吐出弁座51は、吐出筒部材24における周壁部24bの小径部32から径方向の内側に向けて環状に突設されている。
なお例えば、吐出弁49を予め上方に向けて弾性変形させながら、吐出弁49の外周縁を吐出弁座51に着座させ、吐出弁49の弾性復元力により、吐出弁49の外周縁が吐出弁座51に押し付けられるように構成する等してもよい。
【0041】
空気弁50は、吸気孔17側から外気導入孔48側への流通を規制し、かつその逆に向けた流通を許容する逆止弁となっている。
空気弁50は、弁筒部材25における周壁部25bの下筒部40の下端から径方向の外側に向けて環状に突設されており、空気弁50の外周縁は、吐出筒部材24の周壁部24bに設けられた空気弁座52に、該空気弁座52の下方から離間可能に着座している。また空気弁50は、下方に向けて弾性変形可能となっており、空気弁50の外周縁は、当該空気弁50が下方に向けて弾性変形したときに、本体筒部21の上面に当接するように構成されている。また図示の例では、空気弁座52は、吐出筒部材24における周壁部24bの大径部31の下端縁とされている。
【0042】
なお例えば、空気弁50を予め下方に向けて弾性変形させながら、空気弁50の外周縁を空気弁座52に着座させ、空気弁50の弾性復元力により、空気弁50の外周縁が空気弁座52に押し付けられるように構成する等してもよい。本実施形態に係る吐出容器10では、前述のような構成を、例えば、弁筒部材25の前記下筒部40の下端を、吐出筒部材24の前記大径部31の下端よりも上方に配置すること等で具備させることができる。
【0043】
オーバーキャップ16は有頂筒状に形成され、オーバーキャップ16の周壁部は、下側に位置する大径部53aと上側に位置する小径部53bとが、径方向に延在する連結環部54を介して連結されてなる。大径部53aは、装着部材23の立ち上がり筒部22に、例えば螺着などにより外装されるとともに、連結環部54は、吐出筒部材24の前記外フランジ部33に前記容器軸O方向に対向している。
【0044】
ここでオーバーキャップ16は、外気導入孔48と外部との連通を遮断している。本実施形態では、連結環部54には、下方に向けて突出し下端が外フランジ部33に当接するシール環部55が突設されており、該シール環部55により、オーバーキャップ16と吐出筒部材24との間を通した外気導入孔48と外部との連通が遮断されている。
なお図示の例では、オーバーキャップ16の頂壁部には、吐出口14を閉塞するシール部56が下方に向けて突設されており、オーバーキャップ16は、吐出口14と外部との連通も遮断している。
【0045】
以上のように構成された吐出容器10において、容器本体13の内容器11に収容された内容物を吐出させる際には、まずオーバーキャップ16を離脱させた後、例えば、容器本体13の外容器12をスクイズ変形(弾性変形)させる。これにより、内容器11が外容器12とともに変形して減容される。そして
図2に示すように、この減容変形に伴い内容器11の内圧が正圧となり、この正圧によって、吐出弁49が弾性変形して吐出弁座51から離間して吐出弁49が開けられ、吐出口14と内容器11の内部とが、装着部材23のシール筒部28および連通口20、弁筒部材25の内部、連通孔46、並びに第1連通空間45を通して連通される。
【0046】
その後、例えば容器本体13のスクイズ変形を停止する等して内容器11の内圧を低下させると、吐出弁49が復元変形することで閉じられ、吐出口14と内容器11の内部とが遮断されて内容器11が密封され、さらに前述したスクイズ変形を解除すると、外容器12は復元変形しようとする。このとき
図3に示すように、外容器12と内容器11との間に発生した負圧が吸気孔17を通して空気弁50に作用して、空気弁50が弾性変形して空気弁座52から離間することで、吸気孔17と外部とが連通隙間S、貫通孔27、弁筒部材25における下筒部40および中筒部39と吐出筒部材24における大径部31との間、連通溝部35、第2連通空間47並びに外気導入孔48を通して連通され、外気が外容器12と内容器11との間に吸入される。
【0047】
そして、外気が吸入されることにより、外容器12と内容器11との間の内圧が大気圧まで上昇すると、空気弁50が復元変形して吸気孔17と外気導入孔48との連通を遮断する。このように、外容器12と内容器11との間に外気が吸入されることにより、内容器11の減容形状が保持される。そのため、吐出後の吐出口14から内容器11内に外気が流入することがなく、吐出口14から吐出された内容物が内容器11内に逆流することが防止される。
【0048】
この状態から、再び容器本体13の外容器12をスクイズ変形させると、空気弁50は遮断状態とされていることから外容器12と内容器11との間の内圧が正圧となり、この正圧によって内容器11が減容変形される。内容器11が減容変形されることにより、前述同様の作用が得られ、内容物が吐出される。
【0049】
なお例えば、容器本体13を逆さにすることで内容物の重力により吐出弁49を作動させ、吐出口14と内容器11の内部とを連通させる場合などにおいても、内容器11に収容された内容物が吐出口14から吐出されるので、容器本体13の外容器12をスクイズ変形させる場合と同様の作用が得られる。
【0050】
以上説明したように、本実施形態に係る吐出容器10によれば、内容物を吐出した後、内容器11の減容形状が保持されるので、吐出後の吐出口14から内容器11内に外気が流入することがなく、内容器11の内部への空気の浸入を防止するとともに、吐出口14に付着する付着物の逆流を防止することが可能になり、内容物の劣化を防ぐことができる。
また吐出体15が、装着部材23、吐出筒部材24および弁筒部材25を備えているので、これらの3つの部材の一部を変更することにより、吐出体15の構成を多様に変化させることが可能になり、例えば内容物の粘性やその他の物性などに応じて、吐出体15の構成を適宜変更することができる。これにより、内容物の選択の幅を広げ、種々の内容物に対応することができる。
【0051】
また、区画壁43が、該区画壁43よりも上側に、前記第1連通空間45を画成しているので、弁筒部材25の内部から前記第1連通空間45に流入した内容物が、区画壁43から下側に漏れるのを抑制することが可能になり、内容物を吐出口14から確実に吐出することができる。
【0052】
さらに、外気導入孔48が、前記第2連通空間47を通して吸気孔17に連通しているので、前述のように、弁筒部材25の内部から前記第1連通空間45に流入した内容物が、区画壁43から下側に漏れるのが抑制されることにより、第2連通空間47を清浄な状態に維持し易く、第2連通空間47を通した吸気孔17と外気導入孔48との連通およびその遮断を、空気弁50により確実に切り替えることができる。
【0053】
また、オーバーキャップ16が、外気導入孔48と外部との連通を遮断しているので、オーバーキャップ16が装着された状態で、外気導入孔48内に、例えば埃などの異物が入り込むのを抑制することが可能になり、外気導入孔48を清浄な状態に維持し、外気導入孔48を通した吸気孔17と外部との連通を確保し易くすることができる。
【0054】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、前記実施形態では、オーバーキャップ16が、外気導入孔48と外部との連通を遮断しているものとしたが、これに限られない。さらに、オーバーキャップ16はなくてもよい。
【0055】
また吐出弁49は、前記実施形態に示したものに限られず、吐出口14側から弁筒部材25の内部側への流通を規制し、かつその逆に向けた流通を許容する逆止弁とされた他の構成を、適宜採用することが可能である。例えば、吐出弁を、弁筒部材25の頂壁部25aから上方に向けて筒状に突設し、吐出弁座を、吐出開口57の前記下側部分の内周面に、吐出弁49の上端縁が径方向の内側から当接するように形成し、吐出弁が、内容器11の内圧変動により径方向の内側に向けて弾性変形して吐出弁座から離間するように構成しても良い。
また空気弁50も、前記実施形態に示したものに限られず、吸気孔17側から外気導入孔48側への流通を規制し、かつその逆に向けた流通を許容する逆止弁とされた他の構成を、適宜採用することが可能である。
【0056】
また前記実施形態では、前記第1連結段部34と前記第2連結段部41とが当接しているものとしたが、当接していなくてもよい。この場合、連通溝部35はなくてもよい。
さらに、これらの両段部34、41はなくてもよく、例えば弁筒部材25は、前記容器軸O方向の全長にわたって同径であってもよい。
また、係止柱36はなくてもよい。
【0057】
また前記実施形態では、弁筒部材25内には、装着部材23の連通筒部29が液密に嵌合されているものとしたが、これに限られない。例えば、弁筒部材25が、装着部材23の連通筒部29内、つまり連通口20内に液密に嵌合されていてもよい。
また前記実施形態では、連通筒部29の内部が連通口20であるものとしたが、これに限られず、連通口20は、本体筒部21の頂壁部21aを前記容器軸O方向に貫通する開口であってもよい。
【0058】
また前記実施形態では、吐出筒部材24における周壁部24bは、装着部材23の立ち上がり筒部22内に嵌合されているものとしたが、これに限られるものではなく、例えば、吐出筒部材24における周壁部24bが、装着部材23の立ち上がり筒部22に外嵌されていてもよい。
さらに前記実施形態では、外気導入孔48が、吐出筒部材24に形成されているものとしたが、これに限られるものではない。さらにまた、吸気孔17および外気導入孔48の数は、特に限定されない。
【0059】
また前記実施形態では、容器本体13は、内容器11が外容器12の内面に剥離可能に積層されたいわゆるデラミボトルであるとしたが、これに限定されるものではなく、例えば、内容器11と外容器12とが別体に形成された後に組合わされた二重容器であってもよい。
さらに当該吐出容器10は、目薬を吐出する目薬容器に限定されるものではない。
【0060】
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。