【実施例】
【0030】
<構成>以下、構成について説明する。
【0031】
以下、集合管継手1の概略について、
図1〜
図3および
図10を用いて説明する。
【0032】
上記した集合管継手1は、
図10および
図1に示すように、縦管11に接続可能な縦管接続部2と、この縦管接続部2の側面から突設されると共に、横管12を接続可能な少なくとも1つの横管接続部3とを有するものである。
【0033】
ここで、上記した集合管継手1は、難燃性を備えた塩化ビニル樹脂などの樹脂組成物によって主に構成される。
図1に示すように、上記した縦管11は、上下方向へ延びる管路または管部材のことである。また、上記した横管12は、ほぼ水平方向へ延びる管路または管部材のことである。なお、横管12には、必要に応じて排水勾配などが設けられる。
【0034】
上記した縦管接続部2は、ほぼ上下方向へ延びる筒状の縦管接続部本体14と、この縦管接続部本体14の上下端部に設けられて、縦管11を挿入接続可能な受口部15,16とを有している。
【0035】
この縦管接続部本体14は、本体上部14aと、本体中間部14bと、本体下部14cとの、3つの部分によって主に構成されている。但し、縦管接続部本体14の構成はこれに限るものではなく、2つまたは4つ以上の部分で構成されるようにしても良い。
【0036】
このうち、上記した本体上部14aの上端部には、上記した受口部15が設けられている。この受口部15は、縦管11の熱伸縮の影響を吸収可能な伸縮継手とされている。また、本体上部14aの側面には、上記した横管接続部3が、横方向へ向けて突設されている。この横管接続部3は、横管12を挿入接続可能な受口部を有するものとされている。この横管接続部3は、横管12の熱伸縮の影響を吸収可能な伸縮継手などとされている。この場合、横管接続部3は、周方向に90度の位相を有して3個設けられている。但し、横管接続部3の設置個数や設置角度などについては、これに限るものではない。また、横管接続部3は、端面が閉塞された横管接続予定部などであっても良い。この横管接続予定部は、必要に応じて端面を開削して使用するようにしたものである。
【0037】
上記した本体中間部14bは、径寸法がほぼ一定の筒状のものとされている。
【0038】
上記した本体下部14cは、下方へ向けて縮径するテーパ形状を有するものとされている。上記した受口部16は、本体下部14cの下端部に形成されている。受口部16は、テーパ形状と段差なく連なるようにしても良いし、段差を有して連なるようにしても良い。
【0039】
上記構成により、集合管継手1は、横管接続部3よりも下側が長い形状とされている。
【0040】
そして、縦管接続部本体14の内部には、内部を流れる流体の減勢(流速低減)を行わせるための減勢機構が設けられている。この減勢機構は、流体の流れを受けると共に流体に旋回力を与える旋回羽根18a,18b,18cなどとされている。この場合、旋回羽根18a,18b,18cは、本体上部14aと、本体中間部14bと、本体下部14cとの内部にそれぞれ合計3枚設けられている。この旋回羽根18a,18b,18cは、内部を流れる流体に旋回流を発生させて縦管11や集合管継手1の軸心部に空気芯(空気通路)を形成するのにも用いられる。但し、旋回羽根18a,18b,18cの設置数や設置位置はこれに限るものではない。
【0041】
このような構成を有する集合管継手1は、集合住宅やオフィスビルなどの建物に対して設置されることにより、排水路や給水路などの配管路(例えば、単管式排水システム)を構成するのに用いられる。この場合、建物の上下の階層間を仕切る床スラブ21に形成された貫通穴21aに、上方から縦管接続部本体14を挿入して、本体中間部14bをモルタル21bで固定することなどによって設置される。そのために、本体中間部14bは、床スラブ21の厚みよりも長いものとされる。
【0042】
そして、床スラブ21を防火区画壁として用いるために、本体中間部14bは、耐火熱膨張性樹脂パイプなどの樹脂組成物によって構成されている。この耐火熱膨張性樹脂パイプは、例えば、ポリ塩化ビニル系樹脂などの樹脂基材に対して、熱膨張性黒鉛を含有させた耐火熱膨張性樹脂によって主に構成されている。そして、火災発生時にこの熱膨張性黒鉛が熱膨張することにより、集合管継手1や貫通穴21aなどを閉塞して床スラブ21に防火区画壁としての機能を保持させるようになっている。
【0043】
ここで、若干長くなるが、上記した耐火熱膨張性樹脂パイプの詳細について説明する。
【0044】
この実施例において、耐火熱膨張性樹脂パイプとしては、ポリ塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、熱膨張性黒鉛を1〜10重量部の割合で含む耐火熱膨張性樹脂組成物からなる耐火膨張層の単層構造であるもの、あるいは、耐火熱膨張性樹脂パイプが、ポリ塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、熱膨張性黒鉛を1〜15重量部の割合で含む耐火熱膨張性樹脂組成物からなる耐火膨張層と、この耐火膨張層の内外面を覆うように設けられる熱膨張性黒鉛非含有のポリ塩化ビニル系樹脂組成物からなる被覆層とからなる3層構造であるものが好ましい。
【0045】
上記ポリ塩化ビニル系樹脂としては、例えば、ポリ塩化ビニル単独重合体;塩化ビニルモノマーと、該塩化ビニルモノマーと共重合可能な不飽和結合を有するモノマーとの共重合体;塩化ビニル以外の(共)重合体に塩化ビニルをグラフト共重合したグラフト共重合体等が挙げられ、これらは単独で使用されても良く、2種以上が併用されても良い。又、必要に応じて上記ポリ塩化ビニル系樹脂を塩素化しても良い。
【0046】
上記塩化ビニルモノマーと共重合可能な不飽和結合を有するモノマーとしては、特に限定されず、例えば、エチレン、プロピレン、ブチレン等のα−オレフィン類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;ブチルビニルエーテル、セチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチルアクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類;スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル類;N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等のN−置換マレイミド類などが挙げられ、これらは単独で使用されても良く、2種以上が併用されても良い。
【0047】
上記塩化ビニルをグラフト共重合する重合体としては、塩化ビニルをグラフト共重合するものであれば、特に限定されず、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル−一酸化炭素共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−ブチルアクリレート−一酸化炭素共重合体、エチレン−メチルメタクリレート共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、ポリウレタン、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレンなどが挙げられ、これらは単独で使用されても良く、2種以上が併用されても良い。
【0048】
上記ポリ塩化ビニル系樹脂はいずれも、樹脂組成物としての耐火性能を阻害しない範囲で、架橋、変性していても良い。この場合、予め架橋、変性した樹脂を用いても良く、添加剤等を配合する際に、同時に架橋、変性しても良いし、或いは、樹脂に上記成分を配合した後に架橋、変性しても良い。上記樹脂の架橋方法についても、特に限定はなく、ポリ塩化ビニル系樹脂の通常の架橋方法、例えば、各種架橋剤、過酸化物を使用する架橋、電子線照射による架橋、水架橋性材料を使用した方法等が挙げられる。
【0049】
本発明の耐火熱膨張性樹脂パイプは、火炎等によって加熱されると耐火膨張層が膨張して、管内を閉塞あるいは閉塞に近い状態にすることができるものであれば、耐火膨張層のみの単層のものでも、耐火膨張層の内外面に耐火膨張層の耐火性能を阻害しない範囲で膨張黒鉛を含まない樹脂組成物からなる樹脂層を設けた複層構造とするようにしても構わない。
【0050】
上記単層構造品の場合、耐火膨張層を形成する耐火熱膨張性樹脂組成物としては、特に限定されないが、ポリ塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、熱膨張性黒鉛を1〜10重量部の割合で含むものが好ましく、1〜8重量部の割合で含むものがより好ましく、2〜7重量部の割合で含むものが更に好ましい。これは、熱膨張性黒鉛が1重量部未満であると、燃焼時に、十分な熱膨張性が得られず、所望の耐火性が得られないおそれがあり、10重量部を超えると、加熱により熱膨張し過ぎて、その形状を保持できずに残渣が脱落し、耐火性が低下してしまうおそれがあるからである。
【0051】
一方、複層構造品の場合、耐火膨張層を形成する耐火熱膨張性樹脂組成物としては、特に限定されないが、ポリ塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、熱膨張性黒鉛を1〜15重量部の割合で含むものが好ましく、1〜12重量部の割合で含むものがより好ましく、2〜10重量部の割合で含むものが更に好ましい。これは、熱膨張性黒鉛を熱膨張性黒鉛が1重量部未満であると、燃焼時に、十分な熱膨張性が得られず、所望の耐火性が得られないし、15重量部を超えると、加熱により熱膨張しすぎて、その形状を保持できずに残渣が脱落し、耐火性が低下してしまうおそれがあるからである。
【0052】
また、上記のように耐火膨張層がポリ塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、熱膨張性黒鉛を1〜15重量部の割合で含む耐火熱膨張性樹脂組成物で形成された複層構造品の場合、耐火膨張層の内外面を熱膨張性耐火材料非含有のポリ塩化ビニル系樹脂組成物で被覆した3層構造とすることが好ましい。
【0053】
上記のような3層構造の複層構造品の場合、耐火管状の内面および外面を被覆する被覆層の厚みが、それぞれ0.2〜2.0mmであることが好ましい。これは、耐火膨張層の内面および外面を被覆する被覆層の厚みが0.2mm未満であると管としての機械的強度に劣るおそれがあり、2.0mmを超えると耐火性が低下するおそれがあるからである。
【0054】
本発明で用いられる熱膨張性黒鉛は、天然鱗状グラファイト、熱分解グラファイト、キッシュグラファイト等の粉末を濃硫酸、硝酸、セレン酸等の無機酸と濃硝酸、過塩素酸、過塩素酸塩、過マンガン酸塩、重クロム酸塩、過酸化水素等の強酸化剤とで、黒鉛の層間に無機酸を挿入する酸処理をした後、pH調整して得られる炭素の層状構造を維持したままの結晶化合物であって、pH1.5〜4.0に調整された熱膨張性黒鉛、および、1.3倍膨張温度が180℃〜240℃の熱膨張性黒鉛を用いることが好ましい。それは、熱膨張性黒鉛のpHが1.5未満であると、酸性が強過ぎて、成形装置の腐食などを引き起こし易く、pHが4.0を超えると、ポリ塩化ビニル系樹脂の炭化促進効果が薄れ、十分な耐火性能が得られなくなるおそれがあるからである。
【0055】
また、耐火膨張層を形成する耐火熱膨張性樹脂組成物には、本発明の目的を阻害しない範囲で、必要に応じて安定剤、無機充填剤、難燃剤、滑剤、加工助剤、衝撃改質剤、耐熱向上剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、顔料、可塑剤、熱可塑性エラストマーなどの添加剤が添加されていても良い。
【0056】
なお、集合管継手1のこれ以上の詳細については省略する。
【0057】
そして、上記したような集合管継手1の外面全体を、遮音カバー25で覆うようにする。この実施例では、遮音カバー25を以下のようなものとする。
【0058】
(構成1)
図1〜
図3の全体図のいずれかに示すように、上記した遮音カバー25を、集合管継手1の、横管接続部3の中央部よりも上側の部分を被覆可能な立体形状を有する上部遮音カバー26と、横管接続部3の中央部よりも下側の部分を被覆可能な立体形状を有する下部遮音カバー27とを有するものとする。
【0059】
ここで、遮音カバー25は、集合管継手1の外形とほぼ同じ形状を有して、集合管継手1よりも若干大きいものとされる。このような立体形状の遮音カバー25は、射出成形などによって形成される。遮音カバー25は、炭酸カルシウムなどの無機フィラーを高充填した樹脂材料によって構成される。この炭酸カルシウムなどの無機フィラーを高充填した樹脂材料は、単位体積当たりの重量が大きいことによって、遮音効果を発揮するものである。
【0060】
このような遮音カバー25は、オレフィン系樹脂100重量部に対して、無機フィラーを300〜600重量部含有する樹脂組成物からなるものとするのが好ましい。
【0061】
より具体的には、遮音カバー25に用いられる無機フィラーとしては、この実施例の目的を達成することができれば、特に限定されないが、例えば、シリカ、珪藻土、アルミナ、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化鉄、酸化錫、酸化アンチモン、フェライト類、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、塩基性炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、炭酸バリウム、ドーンナイト、ハイドロタルサイト、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、石膏繊維、ケイ酸カルシウム、タルク、クレー、マイカ、モンモリロナイト、ベントナイト、活性白土、セピオライト、イモゴライト、セリサイト、ガラス繊維、ガラスビーズ、シリカ系バルン、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、カーボンブラック、グラファイト、炭素繊維、炭素バルン、木炭粉末、各種金属粉、チタン酸カリウム、硫酸マグネシウム、チタン酸ジルコン酸鉛、アルミニウムボレート、硫化モリブデン、炭化ケイ素、ステンレス繊維、ホウ酸亜鉛、各種磁性粉、スラグ繊維、フライアッシュ、脱水汚泥などが挙げられる。これらのうち、重量とコストのバランスを考慮すると、炭酸カルシウムを用いるのが最も好ましい。なお、これらは、単独でも、2種以上を混合して用いても良い。
【0062】
また、遮音カバー25に用いられるオレフィン系樹脂としては、この実施例の目的を達成することができれば、特に限定されないが、例えば、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、アタクチックポリプロピレン、アイソタクチックポリプロピレン、シンジオタクチックポリプロピレン、ポリαオレフィンなどが挙げられる。中でも密度が0.87〜0.93g/cm3のポリエチレンが好ましい。
【0063】
なお、遮音カバー25に用いられるポリエチレンの密度が0.87g/cm3未満だと、遮音カバー25の強度が十分ではなく、反対に、0.93g/cm3を超えると、僅かな変形によって座屈してしまうおそれがある。
この場合には、例えば、遮音カバー25は、炭酸カルシウムを高充填したPP材を84%(炭酸カルシウム80%、PP材20%)、PE材を15%、顔料を1%含む樹脂材料で構成されている。但し、遮音カバー25の組成や配合割合については、必ずしもこれに限るものではない。
【0064】
また、横管接続部3の中央部とは、横管接続部3の上下方向の中央部のことであり、横管接続部3の水平な直径の位置またはその周辺を指している。上部遮音カバー26と、下部遮音カバー27とは、上下に分割されると共に、組合せた時に隙間無く連続し得るものとされる。
【0065】
上部遮音カバー26は、上記した本体上部14aの上半部にほぼ対応する立体形状を有するものとされている。この上部遮音カバー26は、縦管接続部2の上部を被覆可能な縦管接続部上部被覆部26aと、横管接続部3の上部(上半部)を被覆可能な横管接続部上部被覆部26bとを有するものとされる。
【0066】
一方、下部遮音カバー27は、上記した本体上部14aの下半部と、本体中間部14bと、本体下部14cとにほぼ対応する立体形状を有するものとされている。なお、下部遮音カバー27の詳細については後述する。
【0067】
そして、必要な場合には、上部遮音カバー26の下縁部と、下部遮音カバー27の上縁部との間には、互いに嵌合可能な嵌合形状部28が設けられる。
【0068】
この嵌合形状部28は、この場合、
図4、
図5の部分図に示すように、上部遮音カバー26の下縁部の内面に肉厚が減少するよう形成された内段差部28aと、下部遮音カバー27の上縁部の外面に肉厚が減少するよう形成された外段差部28bとで構成される。内段差部28aと外段差部28bとは、好ましくは、嵌合によって周辺部分と面一になるよう重複される。但し、内段差部28aと外段差部28bとは、反対としても良い。また、嵌合形状部28の代わりに突合せ部などとすることもできる。更に、面一にしないのであれば、外段差部28bのみ設けても良い。
【0069】
なお、遮音カバー25における横管接続部3の受口部と対応する部分については、予め開口させておいても、閉口した状態としておいて後から開口し得るようにしても良い。
【0070】
(構成2)
主に、
図2に示すように、上記した下部遮音カバー27が、横管接続部3の下部(下半部)および縦管接続部2の下部のうちの上側の一部を被覆可能な下部遮音カバー上部片31と、縦管接続部2の下部の下側の残りの部分を被覆可能な下部遮音カバー下部片32とを有するものとされる。
【0071】
ここで、下部遮音カバー上部片31と、下部遮音カバー下部片32とは、上下に分割されると共に、組合せた時に隙間無く連続し得るものとされる。
【0072】
下部遮音カバー上部片31は、上記した本体上部14aの下半部と、本体中間部14bとにほぼ対応する立体形状を有するものとされている。この下部遮音カバー上部片31は、横管接続部下部被覆部31bと、縦管接続部下部被覆部上部片31aとを有するものとされる。
【0073】
一方、下部遮音カバー下部片32は、上記した本体下部14cにほぼ対応する立体形状を有するものとされている。下部遮音カバー上部片31は、縦管接続部下部被覆部下部片によって主に構成される。
【0074】
そして、必要な場合には、下部遮音カバー上部片31の下縁部と、下部遮音カバー下部片32の上縁部との間には、互いに嵌合可能な嵌合形状部33が設けられる。
【0075】
この嵌合形状部33は、この場合、
図5、
図6の部分図に示すように、下部遮音カバー上部片31の下縁部の外面に肉厚が減少するよう形成された外段差部33a(明確には図示せず)と、下部遮音カバー下部片32の上縁部の内面に肉厚が減少するよう形成された形成された内段差部33bとで構成されている。外段差部33aと内段差部33bとは、好ましくは、嵌合によって周辺部分と面一になるよう重複される。但し、外段差部33aと内段差部33bとは、反対としても良い。また、嵌合形状部33の代わりに突合せ部などとすることもできる。更に、面一にしないのであれば、内段差部33bのみ設けるようにしても良い。
【0076】
(構成3)
図1、
図3の全体図、および、
図7、
図8の部分図に示すように、上記した遮音カバー25の内面または外面の少なくとも一方に、遮音性強化部材35が取付けられるようにする。
【0077】
ここで、遮音性強化部材35は、遮音カバー25と重ねて使用することによって、遮音性を向上させるようにするものである。遮音性強化部材35は、二重または三重以上の多重に重ねて設けることができる(多重遮音性強化部材)。
【0078】
この場合には、遮音カバー25に対して遮音性強化部材35を一重(遮音カバー25と合わせて二重)に設けるようにしている。この遮音性強化部材35は、遮音カバー25と同じまたは同様の、炭酸カルシウムなどの無機フィラーを高充填した樹脂材料によって構成される。
遮音性強化部材35は、遮音カバー25と同様に立体的なものとされる。この立体的な遮音性強化部材35は、射出成形などによって形成される。
【0079】
(構成4)
上記した遮音性強化部材35が、部分的なものとされる(部分的遮音性強化部材)。
【0080】
ここで、遮音性強化部材35は、集合管継手1の全面などを覆う全体的なものとしても良い(全体的遮音性強化部材)が、集合管継手1の最も遮音性が必要な部分を重点的且つ効率的に覆う部分的なものとすることができる。
【0081】
(構成5)
上記した遮音性強化部材35が筒状のものとされる(筒状遮音性強化部材)。そして、上記した下部遮音カバー27と、縦管接続部2の下部との間に介装されるようにする。
【0082】
ここで、遮音性強化部材35は、縦管接続部2の下部全体(本体中間部14bおよび本体下部14c)を覆うものとすることなどができるが、この場合には、遮音性強化部材35は、少なくとも上記した本体中間部14bまたはその周辺を覆うものとされる。
【0083】
遮音性強化部材35は、縦管接続部2の下部の外面形状にほほ沿った内面形状を有する筒状体とされる。遮音性強化部材35は、内周面や外周面に若干の凹凸形状などを有していても良い。この場合、遮音性強化部材35は、本体中間部14bの外形に合わせて、中間部が相対的に厚肉とされ、上下部の内面が相対的に薄肉とされることにより、段差形状を有するものとされている。なお、遮音性強化部材35は、取り付け易いように周方向に複数分割しても良い。更に、遮音性強化部材35を周方向に複数分割した場合には、分割片どうしの合わせ面に、位置決め用または連結用の凹凸部などを設けるようにしても良い。この場合には、半割状の分割片などとしている。
【0084】
そして、遮音性強化部材35は、遮音カバー25の内面と集合管継手1の外面との間に設けられるようにしている。
【0085】
なお、横管接続部下部被覆部31bと、縦管接続部下部被覆部上部片31aとの境界部分の内側や、横管接続部3および受口部15の外周部分などには、複雑形状部分や段差部分に対する隙間をシールするために、必要に応じて、発泡テープなどの柔軟で遮音性を有する遮音用スペーサ部材36が取付けられる。この発泡テープは、矩形断面を有する長尺紐状の発泡材の一面に粘着層を形成して、この粘着層に剥離紙などを貼着したものである。遮音性強化部材35は、この場合、遮音用スペーサ部材36の下縁部などに、その上端部が突き当たるようにして設置されている。
【0086】
(構成6)
上記した遮音性強化部材35が、内面に凹形状をした吸音用凹部37を有するものとされる。
【0087】
ここで、吸音用凹部37は、内部に密閉可能な遮音用の空気層を形成すると共に、内部で騒音を乱反射させてエネルギーを減衰させるようにするものである。吸音用凹部37は、遮音性強化部材35の内面に、単数または複数設けることができる。好ましくは、吸音用凹部37は、遮音性強化部材35の内面全域に亘って多数設けられるようにする。但し、遮音性強化部材35の上下縁部については、吸音用凹部37のない凹部未形成部分を確保して、その内側に上記した吸音用凹部37を設けるようにするのが好ましい。この場合には、特に明確には図示しないが、遮音性強化部材35の上下縁部に5mm程度の凹部未形成部分を形成するようにしている。
【0088】
(構成7)
上記した吸音用凹部37が、騒音や煙または火炎の上下方向への通過を防止(または阻止)可能な上下通過防止形状(上下方向遮断形状)を有するものとされる。
【0089】
この上下通過防止形状は、上記した吸音用凹部37が上下方向に連続しない上下不連続形状(上下不連続凹部)などと言い換えることもできる。この上下不連続形状は、遮音性強化部材35の上縁部と下縁部との間を直接連通しない形状のことである。なお、上下方向は、縦管接続部2の管軸方向を指している。
【0090】
(構成8)
上下通過防止形状を有する吸音用凹部37が、遮音性強化部材35に対して上下方向に不連続となるよう形成された、有底の吸音孔、または、周方向へ延びる横溝とされる。
【0091】
ここで、有底の吸音孔は、独立した丸孔や角孔やその他の形状の孔などとされる。有底の吸音孔は、規則的、または不規則に配列させることができる。
また、(縦管接続部2の)周方向へ延びる横溝は、周溝または環状溝などとされる。周溝または環状溝は、全周に亘って連続したものとすることや、周方向に不連続のものとすることができる。周溝または環状溝は、上下方向に対して複数並設される。複数の横溝は、それぞれ独立した内部空間を有するものとするのが好ましい。また、横溝は、螺旋溝とすることができる。但し、螺旋溝とする場合には、螺旋溝の内部に少なくとも1つ以上の(内部)仕切壁部を設けるようにする。更に、有底の吸音孔と横溝とは、適宜組み合わせることができる。
【0092】
そして、上下の横溝間の境界部分に形成されるリブや横溝内に形成される上記仕切壁部は、特に限定されないが、その高さが2.0〜6.0mmとするのが好ましい。上記リブや仕切壁部の先端部は、縦管接続部2の外周面に当接されて、上記吸音用凹部37を密閉するものとなる。
【0093】
即ち、リブや仕切壁部の高さが2.0mm未満であると、空気層が吸音用空間として十分に機能せず、反対に6 .0mmを超えると、耐火時に空気層が十分に塞がらず、耐火性が低下するおそれがあり、さらに、床スラブ21の貫通穴21aの穴径も大きくなってしまう。
また、上記したリブや仕切壁部は、特に限定されないが、その幅が1 .0〜3.0mmとするのが好ましい。
【0094】
即ち、リブや仕切壁部の幅が1.0mm未満であると、強度が不十分で、設置したときに座屈するおそれがあり、反対に3.0mmを超えると、施工性が低下するおそれがあるからである。
【0095】
リブや仕切壁部は、特に図示しないが、先端部や付根部分をアール形状などとしても良い。
【0096】
なお、有底の吸音孔や横溝などと比べて効果が低くなるので余り好ましくはないが、騒音や煙または火炎の上下方向への通過を防止するという目的を有して意図的に設置するのであれば、実質的に機能する不連続部分を途中に1箇所以上有していたり、或いは、遮音性強化部材35の上下端間に達しない長さなどを有する縦溝や傾斜溝を、上下通過防止形状に含ませることができる。また、このような縦溝や傾斜溝を、上記した有底の吸音孔や横溝と組み合わせることもできる。
【0097】
更に、遮音カバー25および遮音性強化部材35は、それぞれ、原則として均一肉厚に形成されるが、集合管継手1が複雑形状をしているので、これに応じて、局所的に肉厚を変化させることができる。また、騒音を発生し易い部分を局所的に厚肉とすることなどもできる。
【0098】
また、集合管継手1と遮音カバー25との間に形成される空間部は、管横断面中の集合管継手1と遮音カバー25との間に形成される空間部の断面積(以下、「空間断面積」と記す)が、遮音カバー25とリブおよび仕切壁部の総断面積(以下、「外管総断面積」と記す)の30〜70%であることが好ましい。
【0099】
即ち、上記空間断面積が外管総断面積の30%未満であると、空間部の空気層が吸音用空間として十分に機能せず、反対に70%を超えると、火災発生時に集合管継手1の耐火熱膨張性樹脂パイプが膨張しても空間部が十分塞がらず、耐火性が低下するおそれがあるからである。
【0100】
<作用>以下、この実施例の作用について説明する。
【0101】
集合管継手1は、縦管接続部2に縦管11を接続し、縦管接続部2の側面から突設された少なくとも1つの横管接続部3に横管12を接続することによって、排水路などの管路を構築するのに使用される。
【0102】
この集合管継手1は、建物の上下の階層間を仕切る床スラブ21に形成された貫通穴21aに、上方から縦管接続部本体14を挿入して、本体中間部14bをモルタル21bで固定するなどによって設置される。
【0103】
このような集合管継手1は、内部で流体の合流や方向変更や減勢(流速低減)などが行われるため、縦管11や横管12と比べて発生する騒音が大きい。そこで、集合管継手1の外面全体を遮音カバー25で覆って集合管継手1の遮音を行わせるようにする。
【0104】
そのために集合管継手1に対して遮音カバー25を取付ける。この取付けは、例えば、
図9(a)に示すように、本体中間部14bの外周に半割状態の遮音性強化部材35を取り付けて、
図9(b)に示すように、遮音性強化部材35を粘着テープT1で固定した後、
図9(c)に示すように、遮音性強化部材35の上部や横管接続部3の基部外周や上端の受口部15の基部外周に発泡テープなどの柔軟で遮音性を有する遮音用スペーサ部材36を貼り付けて段差の影響をなくし、
図9(d)に示すように、遮音性強化部材35の上から下部遮音カバー上部片31を被着し、次に、
図9(e)に示すように、本体下部14cに下部遮音カバー下部片32を被着して、
図9(f)に示すように、下部遮音カバー上部片31と下部遮音カバー下部片32との間や下部遮音カバー下部片32の下端部の周囲を粘着テープT2で固定し、最後に
図9(g)に示すように、本体上部14aに上部遮音カバー26を被着して、
図9(h)に示すように、上部遮音カバー26と下部遮音カバー上部片31との間の少なくとも横管接続部3の先端部外周や、上部遮音カバー26上端の受口部15の外周などを粘着テープT3で固定することなどによって行う。これにより、短時間のうちに簡単に集合管継手1に対する遮音カバー25の取付けが行われる。なお、遮音カバー25の取付手順についてはこれに限るものではない。また、上記した粘着テープT1〜T3と、発泡テープ(遮音用スペーサ部材36)とは、その目的および構成が異なるものであることは勿論である。
【0105】
そして、万一、火災が発生した場合には、難燃性を備えた塩化ビニル樹脂によって構成された集合管継手1が燃えずに耐えると共に、耐火熱膨張性樹脂パイプによって構成された本体中間部14bに含有される熱膨張性黒鉛が熱膨張することにより、集合管継手1や貫通穴21aなどが閉塞され、床スラブ21に防火区画壁としての機能を保持させることができる。
【0106】
この際、集合管継手1の外周に取り付けられた遮音カバー25は、床スラブ21の下側から発生した煙や火炎を床スラブ21の上側へ通過させないように遮断することができる。
【0107】
<効果>この実施例によれば、以下のような効果を得ることができる。
【0108】
(作用効果1)
上記した構成1によって、以下のような作用効果を得ることができる。即ち、 遮音カバー25が、横管接続部3の中央部よりも上側の部分を被覆可能な立体形状を有する上部遮音カバー26と、横管接続部3の中央部よりも下側の部分を被覆可能な立体形状を有する下部遮音カバー27とを有することにより、複雑な形状を有する集合管継手1に対して、遮音カバー25を、最適な形状の上部遮音カバー26と下部遮音カバー27とに分けることが可能となる。これにより、遮音カバー25の部品点数を削減すると共に、遮音カバー25の作り易さや取付け易さを向上することができる。また、遮音カバー25が立体形状をしているので、集合管継手1にジャストフィットさせることが可能となり、その分、遮音性を向上することができる。
【0109】
(作用効果2)
上記した構成2によって、以下のような作用効果を得ることができる。即ち、下部遮音カバー27が、横管接続部3の下部および縦管接続部2の下部の上側の一部を被覆可能な下部遮音カバー上部片31と、縦管接続部2の下部の下側の残りの部分を被覆可能な下部遮音カバー下部片32とを有することにより、下部遮音カバー27を、最適な大きさの下部遮音カバー上部片31と下部遮音カバー下部片32とに分けることが可能となる。これにより、下部遮音カバー27の作り易さや取付け易さを向上することができる。また、下部遮音カバー27を、縦管接続部2の形状や機能に合わせて分割することが可能となる。
【0110】
(作用効果3)
上記した構成3によって、以下のような作用効果を得ることができる。即ち、遮音カバー25の内面または外面の少なくとも一方に、遮音性強化部材35が取付けられたことにより、遮音カバー25による遮音効果を遮音性強化部材35によって増強し、遮音性をより高めることができる。そして、遮音性強化部材35を遮音カバー25の内面に取付けることにより、外部から遮音性強化部材35が見えないようにすることができる。反対に、遮音性強化部材35を遮音カバー25の外面に取付けることにより、スペース上の制限を受けることなく遮音性強化部材35を最適な形状や肉厚にしてより遮音性の高いものにすると共に、自在に設置することが可能となる。
【0111】
(作用効果4)
上記した構成4によって、以下のような作用効果を得ることができる。即ち、遮音性強化部材35を部分的なものとしたことにより、集合管継手1の最も遮音性が必要な部分を、重点的且つ効率的に覆わせるようにすることができる。これにより、コストを抑えつつ遮音性強化部材35を効率的に設置することが可能となる。
【0112】
(作用効果5)
上記した構成5によって、以下のような作用効果を得ることができる。即ち、遮音性強化部材35が筒状をして、下部遮音カバー27と、縦管接続部2の下部との間に介装されたことにより、遮音性強化部材35を比較的簡単に設置することが可能となる。また、遮音性強化部材35を下部遮音カバー27と、縦管接続部2の下部との間に介装したことにより、下部遮音カバー27によって覆われる部分に対して、より効果的な騒音対策を施すことが可能となる。これにより、上記部分で流体の減勢(流速低減)を行わせるようにした場合であっても、充分な遮音性を確保することが可能となる。
【0113】
(作用効果6)
上記した構成6によって、以下のような作用効果を得ることができる。即ち、遮音性強化部材35が、内面に凹形状をした吸音用凹部37を有することにより、吸音用凹部37の内部に遮音用の空気層を形成し、吸音用凹部37の内部で騒音を乱反射させてエネルギーを減衰させることができる。これにより、一層効果的に遮音を行わせることが可能となる。
【0114】
(作用効果7)
上記した構成7によって、以下のような作用効果を得ることができる。即ち、吸音用凹部37が、騒音や煙または火炎の上下方向への通過を防止可能な上下通過防止形状を有することにより、騒音や煙または火炎などが吸音用凹部37の内部を通って上下方向へ抜けるのを防止することができる。これにより、遮音性や防煙性または防炎性を高めることができる。
【0115】
(作用効果8)
上記した構成8によって、以下のような作用効果を得ることができる。即ち、上下通過防止形状を有する吸音用凹部37が、遮音性強化部材35に対して上下方向に不連続となるよう形成された、有底の吸音孔、または、周方向へ延びる横溝であることにより、確実に騒音や煙または火炎などの上下方向への通過を阻止することができる。
【0116】
以上、この発明の実施例を図面により詳述してきたが、実施例はこの発明の例示にしか過ぎないものであるため、この発明は実施例の構成にのみ限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があってもこの発明に含まれることは勿論である。また、例えば、各実施例に複数の構成が含まれている場合には、特に記載がなくとも、これらの構成の可能な組合せが含まれることは勿論である。また、複数の実施例や変形例が示されている場合には、特に記載がなくとも、これらに跨がった構成の組合せのうちの可能なものが含まれることは勿論である。また、図面に描かれている構成については、特に記載がなくとも、含まれることは勿論である。更に、「等」の用語がある場合には、同等のものを含むという意味で用いられている。また、「ほぼ」「約」「程度」などの用語がある場合には、常識的に認められる範囲や精度のものを含むという意味で用いられている。