【氏名又は名称】ブローゼ ファールツォイクタイレ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニ コマンディートゲゼルシャフト ハルシュタット
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項1において、前記第1のガイドレール(63)が、少なくとも2つの動作位置のそれぞれにおいて、ドアモジュールキャリア側の1つのセット(B1,B2)の締結ポイント(B1o,B1u;B2o,B2u)を介して前記ドアモジュールキャリア(1)に取り付け可能であり、前記ウィンドウリフタ(6)によって調節される前記ウィンドウガラス(FS)の前記調節方向(VR)に沿って延在することを特徴とする、自動車ドア装着用ドアモジュール。
請求項1または2において、前記調節されるウィンドウガラス(FS)に連結された、前記ドアモジュールキャリア(1)のキャリア(66)が、前記第1のガイドレール(63)上を当該第1のガイドレール(63)の延在方向に沿って可動案内されることを特徴とする、自動車ドア装着用ドアモジュール。
請求項3において、前記第1のガイドレール(63)は、該第1のガイドレールが前記ドアモジュールキャリア(1)において選択的に配置される前記少なくとも2つの動作位置のそれぞれにおいて、前記キャリア(66)が当該第1のガイドレール(63)に沿って前記調節方向(VR)に変位することにより当該キャリア(66)に連結された前記ウィンドウガラス(FS)が移動するように、前記ウィンドウリフタ(6)によって調節される当該ウィンドウガラス(FS)の前記調節方向(VR)に沿って延びていることを特徴とする、自動車ドア装着用ドアモジュール。
請求項1から4のいずれか一項において、前記第1のガイドレール(63)をドアモジュールキャリア側の前記少なくとも2つのセット(B1,B2)の締結ポイント(B1o,B1u;B2o,B2u)を介して前記ドアモジュールキャリア(1)に固定可能な前記少なくとも2つの動作位置が、前記ドアモジュールキャリア(1)が自動車ドアに装着された状態において、車両の長手軸(x)方向に互いに離間していることを特徴とする、自動車ドア装着用ドアモジュール。
請求項6において、前記締結用開口部(18)が、前記ドアモジュールキャリア(1)に固定された前記ドアモジュールキャリア(1)とは別体の部材に形成されていることを特徴とする、自動車ドア装着用ドアモジュール。
請求項1から7のいずれか一項において、前記ドアモジュールキャリア(1)に、前記第1のガイドレール(63)を前記ドアモジュールキャリア(1)における各動作位置に位置決め可能な位置決め手段(17)が設けられており、当該位置決め手段(17)が、前記第1のガイドレール(63)に設けられた位置決め用開口(67)に対応する少なくとも1つの位置決めピンによって形成されていることを特徴とする、自動車ドア装着用ドアモジュール。
請求項1から8のいずれか一項において、前記ウィンドウリフタ(6)が、ウィンドウリフタ駆動部(61)によって駆動可能な、前記ドアモジュールキャリア(1)の可撓性牽引手段(Z)を備えたプーリ手段式ウィンドウリフタとして形成されており、前記可撓性牽引手段(Z)は、前記第1のガイドレール(63)に沿って案内される調節部を有し、かつ、前記調節されるウィンドウガラス(FS)を支持する、前記第1のガイドレール(63)に長手方向に変位可能に取り付けられたキャリア(66)と結合していることを特徴とする、自動車ドア装着用ドアモジュール。
請求項1から9のいずれか一項において、前記ドアモジュールキャリア(1)が、少なくとも1つのベースキャリア部材(2,2a,2b)を有しており、当該少なくとも1つのベースキャリア部材(2,2a,2b)には、少なくとも1つのさらなるキャリア部材(3,3’,3a,3b)が選択的に連結するためのインターフェース(V)が設けられており、当該選択的な連結により、少なくとも1つの空間的方向(x,z)に沿った寸法が装着対象の自動車ドアの寸法に適合したドアモジュールキャリア(1)を形成可能であることを特徴とする、自動車ドア装着用ドアモジュール。
請求項1から10のいずれか一項において、前記締結ポイントのうちの一つの締結ポイントにおいて、ウィンドウリフタの方向転換要素を貫通して締結される締結要素により、前記ドアモジュールキャリアにおける前記第1のガイドレールの締結も行われる自動車ドア装着用ドアモジュール。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、前述した種類のドアモジュールについて、自動車ドアへの多種多様な装着条件に対する適応性を改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明では、上記の目的を、請求項1に記載された構成を備えたドアモジュールによって解決する。
【0008】
すなわち、互いに離間した少なくとも2つの異なるセットの締結ポイントが、そのうちの一つのセットまたは別のセットの締結ポイントによってウィンドウリフタのガイドレールをドアモジュールキャリアにおける2つの異なる動作位置のいずれかに選択的に固定できるように設けられる。ガイドレールを第1の締結ポイントによってドアモジュールキャリアに締結することにより、当該ガイドレールはドアモジュールキャリアにおける第1の動作位置に設置される。また、ガイドレールを第2の締結ポイントを用いてドアモジュールキャリアに締結することにより、当該ガイドレールはドアモジュールキャリアにおける第2の動作位置に設置される。
【0009】
ガイドレールの動作位置とは、ドアモジュールキャリアにおいて当該ガイドレールが調節方向に沿って調節されるウィンドウガラスをガイドするように並べられる位置であると理解されたい。具体的に説明すると、動作位置とは、ガイドレールを輸送目的で固定するいわゆる輸送位置や、実際の動作位置または機能位置(ガイドレールが調節対象のウィンドウガラスをその調節方向に沿ってガイドするための位置)に移動させてウィンドウリフタを使用するまでの、ドアモジュールキャリアにおいて組み付けられる予備組付位置ではない。本発明は、ガイドレールが調節対象のウィンドウガラスをガイドすることが可能な、ドアモジュールキャリアにおける2つの互いに異なる動作位置にガイドレールを配置することに関する。
【0010】
ガイドレールを動作位置に固定することができる、ドアモジュールキャリアのそれぞれのセットの締結ポイントは、ガイドレールの延在方向に沿って互いに離間した少なくとも2つの締結ポイントを有するものであってもよい。つまり、延設方向に沿って互いに離間した2つの締結ポイントにより、ガイドレールを、ドアモジュールキャリアに固定することができる。
【0011】
ガイドレールをドアモジュールキャリアにおける互いに異なる動作位置に固定可能な、互いに異なるセット(少なくとも2つのセット)の締結ポイントは、ガイドレールの延在方向を横切る方向に離間している。つまり、ガイドレールを、当該ガイドレールの延在方向を横切る方向に互いに離間した、ドアモジュールキャリアにおける互いに異なる動作位置に固定することができる。
【0012】
一実施形態において、ドアモジュールキャリアにおいてガイドレールが取り得る互いに異なる動作位置は、ドアモジュールキャリアが自動車ドアに装着された状態において、ガイドレールを車両の長手軸に沿って並進的に変位させた位置に実質的に相当する。すなわち、各動作位置におけるガイドレールの空間的向きは同一なので、ガイドレールは、単純に自動車の長手軸方向に沿って互いに異なる位置を取る。
【0013】
異なる動作位置におけるガイドレールは、空間的向きが異なっていてもよく、特には、車両の鉛直軸に対する傾きが異なっていてもよい。
【0014】
ウィンドウリフタが、調節対象のウィンドウガラスの調節方向に沿って延びる単一のガイドレールにより、ウィンドウガラスを支持するキャリアを案内する、いわゆる単一ストランド式ウィンドウリフタである場合、その単一のガイドレールは、ドアモジュールキャリアの少なくとも2つの別個のセットの締結ポイントにより、ドアモジュールキャリアにおける異なる動作位置に固定されることができる。
【0015】
対照的に、ウィンドウリフタが、調節対象のウィンドウガラスの調節方向に沿って延在し且つその延在方向を横切る方向に互いに離間した少なくとも2つのガイドレールを備える、いわゆるマルチストランド式ウィンドウリフタ(特に、2ストランド式ウィンドウリフタ)である場合、これらの複数(両方)のガイドレールは、少なくとも2つの別個のセットの締結ポイントにより、ドアモジュールキャリアにおける異なる動作位置に固定されることができる。当然ながら、マルチストランド式ウィンドウリフタの場合、複数のガイドレールのそれぞれに対し、互いに異なるセットの締結ポイントが設けられてもよく、各ガイドレールを、ドアモジュールキャリアにおける互いに異なる動作位置に固定することができる。
【0016】
本発明の解決手段は、いわゆるケーブル式ウィンドウリフタを用いる用途に対して特に有用である。ケーブル式ウィンドウリフタでは、ウィンドウリフタの調節用の駆動部(例えば、ケーブルドラムなど)に接続された可撓性牽引手段は、ウィンドウリフタの各ガイドレールに沿って延びる調節部を有するように、方向転換要素(特に、リターンプーリ)を介して案内される。ウィンドウリフタの任意のガイドレールに沿って延びる可撓性牽引手段の各調節部には、ウィンドウリフタの動作時にウィンドウリフタ駆動部が駆動されることで変位するキャリアが取り付けられている。特には、ウィンドウリフタ駆動部が駆動されると、当該ウィンドウリフタ駆動部から可撓性牽引手段によって前記任意のガイドレールに沿って調節力が伝達され、この調節力の作用によってキャリアが変位する。変位方向は、ウィンドウリフタ駆動部の駆動方向(回転方向)に依存する。このようにして、少なくとも1つのキャリアに固定されたウィンドウガラスまたはキャリアが運ばれる。つまり、各キャリアの変位方向に応じて当該ウィンドウガラスが前記任意のガイドレールに沿って上昇または下降する。
【0017】
本発明の一変形例において、ドアモジュールキャリアは、当該ドアモジュールキャリアの一構成品をなす少なくとも1つのベースキャリア部材と、当該ベースキャリア部材とさらなるキャリア部材とを選択的に(任意で)組み合わせるための少なくとも1つのインターフェースとを有しており、当該選択的な(任意の)組合せにより、装着対象の自動車ドアの寸法に適合するように、ドアモジュールキャリアの寸法を適宜変更することができる。つまり、さらなるキャリア部材を必要に応じて選択することが可能な、ドアモジュールキャリア製造用の構築セットを提供することができる。このような構築セットにより、自動車ドアの多種多様な寸法および形状に簡単に適応させることが可能な、モジュール構造のドアモジュールキャリアを製作することができる。
【0018】
上記の変形例は、請求項1の特徴部に記載された構成から独立して実施可能な実施形態であり、特に、ドアモジュールキャリアを、所与の車両プラットフォームにおける種々の異なる自動車ドアの構造および寸法に適応させることができる。一つの車両プラットフォームでは、4ドアの自動車と2ドアの自動車の両方が製造されることが多く、例えば、2ドアのモデルは、4ドアのモデルのカブリオレバージョンである場合がる。そのような場合、2ドアの車両の前部ドアは、通常、4ドアの車両の前部ドアよりも大きい。例えば、2ドアの車両の前部ドアの、車両の長手軸に沿った寸法が、4ドアの車両の前部ドアの場合よりも大きくなる。
【0019】
本発明にかかるモジュール構造のドアモジュールキャリアを利用することにより、異なる仕様の車両ドア(特に、同じ車両プラットフォームの車両ドア)のそれぞれに対して固有のドアモジュールキャリアを用意する必要がなくなる。事実、モデルの異なる自動車ドアの場合、ドアモジュールキャリアのベースキャリア部材については同一のものを使用し、当該ベースキャリア部材と組み合わされるさらなるキャリア部材だけを変更すればよい。ここでは、一つの車両プラットフォームにおける互いに異なる種類のドアは、寸法に多少の違いはあれど、一部の基本的な点が一致していることが多く、また、ドアモジュールキャリアとの間のインターフェースも同一であることが多い。そのため、例えば、このような同一の車両プラットフォームにおける二種類の異なるドア間で一致する部分に対しては、ドアモジュールキャリアのベースキャリア部材を割り当てると同時に、異種のドア間で異なる部分に対しては、各ドアの構造に特化した、ドアモジュールキャリア用のさらなるキャリア部材を設けることが可能となる。
【0020】
少なくとも1つのベースキャリア部材と、これに対応する少なくとも1つのさらなるキャリア部材とは、ドアモジュールキャリアが自動車ドアに装着された状態において車両の長手軸および/または鉛直軸に沿って互いに隣接するように合体されることにより、車両の長手軸または鉛直軸に沿って所望の寸法を有するドアモジュールキャリアを得ることができる。
【0021】
ベースキャリア部材とこれに対応するさらなるキャリア部材との間の連結部における一定の重複分を、得られるドアモジュールキャリアの、車両の長手軸または鉛直軸に沿った寸法から差し引いた数値は、その方向に沿った少なくとも1つのベースキャリア部材の寸法、および当該ベースキャリア部材に隣接するさらなるキャリア部材の、当該空間的方向に沿った寸法に相当する。
【0022】
少なくとも1つのベースキャリア部材、およびこれに配設されるさらなるキャリア部材は、一緒にプレート状のドアモジュールキャリアを形成するものであってもよい。また、さらなるキャリア部材は、対応するベースキャリア部材から部分的に突出したものであってもよい。
【0023】
得られるドアモジュールキャリアによって自動車ドアの広い部分、あるいは、任意で、自動車ドアの複数の部分(特に、ドアインナースキンの広い部分または複数の部分)を密封したい場合、少なくとも1つのベースキャリア部材、およびこれに任意で配設される少なくとも1つのさらなるキャリア部材を組み付けることにより、ドアモジュールキャリアの外周に沿ってシールが形成され、このシールを介して、ドアモジュールキャリアを自動車ドアのドアインナースキンに(防水的に)当接させてもよい。
【0024】
少なくとも1つのベースキャリア部材および少なくとも1つのさらなるキャリア部材から、様々なドアモジュールキャリアを形成するために、例えば、ベースキャリア部材を、様々な種類のさらなる大きなキャリア部材と組み合わせることができる。つまり、比較的小型の自動車ドアに使用されるドアモジュールキャリアであれば、ベースキャリア部材単独でも、当該ドアモジュールキャリアを完成させることができる。大型の自動車ドアを使用するのであれば、ベースキャリア部材は、これに対応する少なくとも1つのさらなるキャリア部材と組み合わされる。
【0025】
また、ベースキャリア部材に対して様々なさらなるキャリア部材を組み合わせることが可能な組立セットから、複数(例えば、2つ)のベースキャリア部材を、各種ドアモジュールキャリアを形成するのに使用してもよい。一例として、ドアモジュールキャリアを、2つのベースキャリア部材を互いに隣接させることで形成してもよいし、これら2つのベースキャリア部材の間にさらなるキャリア部材を収容することによって別のドアモジュールキャリアを形成してもよい。
【0026】
各種ドアモジュールキャリアを構成する個々のキャリア部材(ベースキャリア部材およびさらなるキャリア部材)間の連結部は、様々な方法で形成されてもよい。この目的のために、様々な連結技術が考えられる。すなわち、キャリア部材間の形状嵌合連結、例えば、プラグ連結および/または掛止め連結もしくはクリップ連結などが考えられる。さらに、摩擦固定連結技術、例えば、リベット、ねじなども使用可能である。また、強固接着連結技術、例えば、溶接、接着、熱かしめなども適用可能である。さらに、ドアモジュールキャリアの個々のキャリア部材を、例えば、(射出)成形などによって、互いに一体形成してもよい。
【0027】
また、上述の連結技術の組合せを利用してもよく、特には、キャリア部材同士を隣接させて連結する場合に、形状嵌合連結(プラグ連結)とさらなる連結技術との組合せが利用可能である。そのような場合、プラグ連結が各キャリア部材間の確実な係合および位置決めを提供したうえで、さらなる形状嵌合方法、摩擦固定方法、または強固接着連結、例えば、掛止め、リベット連結、ねじ連結、溶接、熱かしめなどにより、キャリア部材間の強固な連結を確実に行うことができる。
【0028】
適切なプラグ連結は、例えば、プラグピンとこれに対応するプラグ連結用開口部との係合、(櫛状の)突部と凹部(歯の種類に対応した凹部)との係合などによって実現可能である。
【0029】
特に、ドアモジュールキャリアが互いに別個のキャリア部材で構成され、自動車ドアのウェットルーム/ドライルーム隔離構造の一構成品をなす場合、好ましくは、ドアモジュールキャリアのそれらの別個のキャリア部材間の連結部は、追加のシール手段が不要な防水密封構造である必要がある。
【0030】
ドアモジュールキャリアのキャリア部材を成形、特には射出成形で作製する場合、例えば、ドアモジュールキャリアをプラスチックで形成する場合、ドアモジュールキャリアの単一物であるキャリア部材の製造方法には幾つかの選択肢がある:個々のキャリア部材を、それぞれの加工器具(成形型)で別個に作製した後、適切な方法で互いに連結することでドアモジュールキャリアを形成してもよい。また、1つの加工器具に繰り返しインサートすることにより、当該1つの加工器具内で異なる組合せのキャリア部材を作製することが可能であり、このようにして作製したキャリア部材同士を、一つのドアモジュールキャリアに組み立ててもよい。あるいは、1つの加工器具を用いて繰り返しインサートする場合には、射出成形時に互いに異なるキャリア部材を即座に成形してドアモジュールキャリアを製作することができる。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明のさらなる詳細および利点は、図面を用いて行う、実施形態の以下の説明から明らかになる。
【0033】
図1Aは、ドアボックスKと、車両の鉛直軸z方向においてドアボックスKよりも上に位置するウィンドウフレームRとを備えた、自動車ドアのドア構造体Tを、当該ドアが自動車に装着された状態において乗員室から見た側面図である。
【0034】
ドアボックスKは、自動車ドアの外側デザイン面を形成するドアアウタースキンAと、広い部分Oが設けられたドアインナースキンIとによって周知の方法で形成された部材である。ドアアウタースキンAは、ドア構造体において乗員室に面していない側に設置されているので、
図1Aではある程度しか見えない。ドアインナースキンIの広い部分Oは、ドア構造体において乗員室に面した側に位置している。ドアアウタースキンAとドアインナースキンIとは、補強部材、例えば、いわゆる補強フレームの形態の部材を介して、周知の方法で連結されている(独国特許出願公開第102005013201号明細書を参照されたい)。
【0035】
ドアアウタースキンAとドアインナースキンIとの間には、ドアケースと称される空間が形成されている。この空間は、いわゆる車両ドアのウェットルームである。
【0036】
ドアボックスKは、車両の鉛直軸zからみて、上方がいわゆるドアトリムBによって画定されている。ドアトリムBは、実質的に車両の長手軸xに沿って延在しており、当該ドアトリムBの上方には、ウィンドウ開口部Fを取り囲むウィンドウフレームRが隣接している。
【0037】
ウィンドウ開口部Fはウィンドウガラスによって閉じられる。ウィンドウガラスは、ウィンドウリフタによって車両の鉛直軸zに沿って下降することができ、ウィンドウ開口部Fを開放する。このとき、ウィンドウガラスは、ドアボックスKによって形成された車両ドアのドアケース内またはウェットルーム内へと下降する。このようにウィンドウガラスが下降すると、ウィンドウガラスに付着した水滴、例えば、雨滴が、ドアケース内またはウェットルーム内へと運ばれ、そこで湿気を形成する場合がある。
【0038】
車両ドアのウェットルーム内の湿気が乗員室に浸入しないように、ドアインナースキンIは、当該ドアインナースキンとドアアウタースキンとの間に位置する車両ドアのウェットルームを、自動車のドライルームから防水密封・隔離するように構成される必要がある。したがって、ドアインナースキンIに形成された広い部分Oは、ドアモジュールキャリア1によって緊密に防水密封・閉塞される必要がある。例えば、ドアモジュールキャリア1は、ドアインナースキンIの広い部分Oを完全に覆うと同時に、自身の外周縁部11に沿って延在するシールを介してドアインナースキンIに対して緊密に防水密封しながら当接するものとされてもよい(独国特許出願公開第19622310号明細書、および独国特許出願公開第19654956号明細書を参照されたい)。
【0039】
図1Aには、ドア構造体Tとは別に、ドアモジュールキャリア1も示されている;このドアモジュールキャリアは、ドア構造体Tと独立して製造可能であり、製造後に、自動車ドアの機能構成部品6,7,8が予め組み付けられた状態で、ドア構造体に設置・装着可能である。前述したように、このドアモジュールキャリアは、ドアインナースキンIの広い部分Oを覆って閉塞することができる。
【0040】
ドアモジュールキャリア1は、例えば、プラスチック製または金属製であり、かつ、ドア構造体Tに組み付けられる前に機能構成部品6,7,8が予め搭載されている。つまり、ドアモジュール1およびこれに予め組み付けられた機能構成部品6,7,8は、予め製作されて任意で予めテスト可能な、ドア構造体Tに一体化させることができるドアモジュールを形成している。すなわち、自動車ドアの複数の機能構成部品の搭載は、ドア構造体Tの製造場所に関係なく実行することができ、かつ、当該機能構成部品の機能を、自動車ドアへの一体化前にテストすることも可能であり、その後は、これら機能構成部品6,7,8が予め組み付けられたドアモジュールキャリア1をドア構造体T(厳密には、ドアインナースキンI)に設置・取付する単一の工程のみで、当該機能構成部品をドア構造体Tに一体化することができる。
図1Aには、乗員室、すなわち、ドライルームに面した側のドアモジュールキャリア1が示されている。
【0041】
図1Aの実施形態において、ドアモジュールキャリア1に予め組み付けられた機能構成部品にはウィンドウリフタ6、ドアロック7、およびラウドスピーカー8が含まれている。
図1Aには、ウィンドウリフタ6のウィンドウリフタ駆動部61およびガイドレール63も示されている。
図1Aに例示されているこれらの機能構成部品以外にも、さらなる部材、例えば、エアバッグモジュール、アームサポート(任意で、高さ調節機能付き)、ケーブルハーネスなどが、ドアモジュールキャリア1に予め組みつけられた状態で設けられてもよい。
【0042】
図1Aの実施形態におけるドアモジュールキャリア1は、プレート状の単一のベースキャリア部材2によって形成されている。この単一のベースキャリア部材2は、ドア構造体T(厳密には、ドアインナースキンI)に装着されると、ドアインナースキンIの広い部分Oを完全に覆って閉塞する。
【0043】
図1Bに示されたドア構造体Tは、ドアトリムBの上にウィンドウフレームを有さない、いわゆるフレームレス式自動車ドアである点で、
図1Aに示されたドア構造体と異なる。
図1Bのドア構造体Tには、ドアトリムBの上にはミラー取付用三角板(mirror triangle)Dのみが設けられている。また、
図1Bに示されたドア構造体は、
図1Aに示されたドア構造体よりも、車両の長手軸xの方向の範囲が大きい。
【0044】
図1Bのドア構造体Tは、例えば、
図1Aに示された前部ドアのドア構造体Tと同一のプラットフォームに基づいた自動車の、2ドアのカブリオレバージョンのドア構造体である。例えば、
図1Aに示されたドア構造体は、特定の車両プラットフォームの4ドアリムジンの前部ドアであり、
図1Bは同車種の2ドアのカブリオレバージョンまたはクーペバージョンに関する。
【0045】
一般的に、特定の車種における2ドアバージョンの特徴は、同車種の4ドアの車両の前部ドアよりも、車両の長手軸xの方向における寸法が大きいドアを有する点である。
【0046】
図1Bに示されたドア構造体Tは、車両の長手軸xに沿った寸法が大きいことから、広い部分Oの当該長手軸xと同じ方向に沿った寸法も大きくなる。したがって、このように大きい範囲の広い部分Oは、同様に大きいドアモジュール1によって覆われることになる。
【0047】
そのような大きいドアモジュール1は、
図1Aにおいてドアモジュールキャリア1の全体を構成するベースキャリア部材2と同じベースキャリア部材2と、さらに、ベースキャリア部材2に車両の長手軸xに沿って隣接するように当該ベースキャリア部材2に取り付けられるさらなるキャリア部材3とによって形成される。したがって、
図1Bのドアモジュールキャリア1は、
図1Aのドアモジュールキャリア1の寸法に比べて、車両の長手軸xに沿った寸法が、さらなるキャリア部材3の寸法の分だけ大きくなる。
【0048】
すなわち、
図1Aの実施形態および
図1Bの実施形態は、少なくとも1つのベースキャリア部材2と少なくとも1つのさらなるキャリア部材3とによって構成される、モジュール構造のドアモジュールキャリア1の組立キットに基づくものである。ベースキャリア部材2は、
図1Aおよび
図1Bの2つの互いに異なるドアモジュールキャリアのいずれにも使用されている一方、さらなるキャリア部材3は、
図1Bのドアモジュールキャリア1の場合においてのみ使用されており、つまり、大きいドア構造体Tを有する2ドアモデルの場合に任意で使用されるキャリア部材である。
【0049】
ベースキャリア部材2およびさらなるキャリア部材3は、ドアモジュールキャリア1製作用の組立キットの構成品と見なすことができる。ベースキャリア部材2は、この組立キットを用いて製作される各ドアモジュールキャリアの必須の構成品を成し、さらなるキャリア部材3は、大きいドアモジュールキャリアを形成する場合にのみ任意で使用される。
【0050】
図1Bの大きいドアモジュールキャリア1を形成するにあたっての、連結部Vに沿ったベースキャリア部材2とさらなるキャリア部材3との連結は、さらなる実施形態を参照しながら後述するように、様々な方法によって達成可能である。
【0051】
例えば、プラグ連結による2つのキャリア部材2,3間の形状嵌合連結は、これら2つのキャリア部材2,3を単純に互いに差し込むだけで確実に位置決めできることから、特に実用的である。2つのキャリア部材2,3を互いに恒久的に連結するために、さらなる連結技術、例えば、掛止め連結、クリップ連結なども利用可能であり、好ましくは、プラグ連結と組み合わせて、2つのキャリア部材2,3をプラグ連結するとともに当該2つのキャリア部材2,3を掛止め連結またはクリップ連結してもよい。しかしながら、その他の形状嵌合連結技術または摩擦固定連結技術(例えば、リベット連結、ねじ連結など)、そして、強固接着連結技術(例えば、接着、溶接、熱かしめなど)も利用可能である。
【0052】
2つのキャリア部材2,3を成形、特には、射出成形によって作製する場合、ベースキャリア部材2とさらなるキャリア部材3とを一体品として形成してもよい。
【0053】
また、
図1Bから明らかなように、2つのキャリア部材2,3、すなわち、ベースキャリア部材2およびさらなるキャリア部材3は、互いに連結された組立状態で一体的なキャリアプレートを形成し、このキャリアプレートは、ベースキャリア部材2の外縁部21およびさらなるキャリア部材3の外縁部31がそれぞれ部分的に構成した外周縁部11を有する。ベースキャリア部材2からさらなるキャリア部材3への遷移部では、外周縁部11が安定的に遷移しており、すなわち、ベースキャリア部材2の外縁部21はさらなるキャリア部材3の外縁部31に連続している。具体的に述べると、ベースキャリア部材2からさらなるキャリア部材3への遷移部において、得られるドアモジュールキャリア1の、遷移方向Rを横切る方向に沿った範囲a、すなわち、車両の鉛直軸zに沿った範囲は、実質的に一定である。
【0054】
つまり、得られるドアモジュールキャリア1の、ベースキャリア部材2からさらなるキャリア部材3への遷移部における範囲a、すなわち、車両の鉛直軸zに沿った範囲aは、遷移方向Rを横切る方向において急変していない;むしろ、前記ベースキャリア部材2からさらなるキャリア部材3への遷移部における範囲aに変化があったとしても、その変化は安定的なものである。ベースキャリア部材2からさらなるキャリア部材3への、遷移方向Rに沿ったごく僅かな離間部分を見ても、これらのキャリア部材間の、遷移方向Rを横切る方向における範囲aの変化は、仮にあったとしても僅かであり、当該範囲aが急激に変化しているとは言えない。
【0055】
自動車ドアの機能構成部品6,7,8を備える大きいドアモジュールキャリア1を、ベースキャリア部材2およびさらなるキャリア部材3で構成した場合、そのドアモジュールキャリア1の装着は、特に、
図1Bと
図1Cの組合せから明らかである。
図1Bには、ドア構造体Tとは別に、乗員室から見たドアモジュールキャリア1の側面が示されている。
図1Cには、ドアモジュールキャリア1を乗員室とは反対の側から見た側面が示されている。特に、(
図1Aおよび
図1Bではなくて)
図1Cの背面図を参照することにより、ウィンドウリフタ6の構造のさらなる詳細が分かる。
【0056】
図示の例において、ウィンドウリフタ6は、当該ウィンドウリフタによって調節されるウィンドウガラスの調節方向に沿ってキャリアを案内する、車両の長手軸xに沿って互いに離間した2つのガイドレール63,64を備えた、2ストランド式ウィンドウリフタとして形成されている。
図1Cに、適切なキャリア66を、破線で概略的に示す。2つのガイドレール63,64の各ガイドレールの上端部、下端部には、それぞれ、リターンプーリの形態の上方の方向変換要素65o、下方の方向転換要素65uが設けられている。これらの方向転換要素65o,65uにより、ウィンドウリフタの可撓性牽引手段Z(
図1Cに一部を概略的に示した)は、各ガイドレール63,64の領域において当該ガイドレール63,64に沿って延びるように方向転換される。牽引手段Zは、キャリア66を移動させて、当該キャリア66を各ガイドレール63,64において当該ガイドレール63,64の延在方向に沿って案内されるようにする。このようなキャリア66の案内により、当該キャリアに周知の方法で固定されたウィンドウガラスを調節することができる(独国特許出願公開第19619087号明細書を参照されたい)。
【0057】
ウィンドウリフタ駆動部61(図示の例では、電動駆動部)は、可撓性牽引手段Zを駆動し、当該可撓性牽引手段Zを介して、ガイドレール63,64において案内されるキャリア66に対し調節力を伝達する。
図1Bでは、この駆動部は、ドアモジュールキャリア1において乗員室に面した側、つまり、ドアモジュールキャリア1におけるドライルーム側の表面に設けられている。駆動部61によって生成された調節モーメントは、ドアモジュールキャリア1を貫通する出力軸を含むモータ制御用の伝動機構を介して、ドアモジュールキャリア1において乗員室とは反対の側、つまり、ドアモジュールキャリア1におけるウェットルーム側の表面に設けられた調節用の伝動機構62に伝達される。この調節用の伝動機構が、可撓性牽引手段Zが巻き回されたケーブルドラムを周知の方法で駆動する。
【0058】
ウィンドウリフタ6の2つのガイドレール63,64は、当該ガイドレール63,64において案内されるキャリア66と共に、前述の調節用の伝動機構62と同様にドアモジュールキャリア1におけるウェットルーム側の表面に設けられる。このようにしてキャリア66は、調節対象のウィンドウガラスを、ドアケース内、すなわち、自動車ドアのウェットルーム内へと自身と共に下降させることができる。
【0059】
図1Bおよび
図1Cに示されたドアモジュールキャリア1と、
図1Aに示されたドアモジュールキャリアとを比べると明らかなように、
図1Bおよび
図1Cのドアモジュールキャリア1の場合、第2のガイドレール64(車両の長手軸xに沿って最も後方に位置するガイドレール)とドアロック7とは、さらなるキャリア部材3に設置される。他方、
図1Aの実施形態における第2のガイドレール64およびドアロック7は、他の全ての機能構成部品と共に、車両ドアのドアモジュールにおいてベースキャリア部材2に配される。
【0060】
また、
図1Aと
図1Bとを比較すると、
図1Bにおけるロック構造ユニット7は、
図1Aの場合とは若干異なる向き(傾き)でドアモジュールキャリア1に取り付けられていることが分かる。
【0061】
図1Aの実施形態のドアモジュールキャリア1と、
図1Bおよび
図1Cの実施形態のドアモジュールキャリア1とは、ベースキャリア部材2が同じなので、当該ベースキャリア部材2をドアインナースキンIに取り付ける際、ドア構造体T側のインターフェースの構造を同一とすることができる。この点は、同一のプラットフォームに基づく各種車両にとって実用的である。
【0062】
図1Bおよび
図1Cの実施形態におけるベースキャリア部材2は、車両の長手軸xに沿って、ドアモジュールキャリア1における前部と中央部とを形成しており、これらの後方にさらなるキャリア部材3が隣接する。したがって、
図1Aの構造と、
図1Bおよび
図1Cの構造との両方の場合において、ドア構造体Tの前部とドアモジュールキャリア1との間のインターフェースを同一にすることができる。当然ながら、変形例として、ドアモジュールキャリア1における最後方部分を、さらなるキャリア部材3によって補完する代わりに、ベースキャリア部材2で形成してもよい。
【0063】
図2A〜
図2Dに、
図1A〜
図1Cの構造の一変形例を示す。この変形例では、車両の長手軸xの方向に沿った寸法が大きい車両ドア(例えば、カブリオレ車両のフレームレスのドア構造体Tを有する車両ドアなど)に対してドアモジュールキャリア1を適応させるにあたって、さらなるキャリア部材3’の形状は、ベースキャリア部材2と組み合わされて形成される一体型のキャリアプレートが安定的な外周縁部を有さない形状である。むしろ、得られるドアモジュールキャリア1の寸法aは、ベースキャリア部材2からさらなるキャリア部材3’への遷移部において急変し。すなわち、ベースキャリア部材2からさらなるキャリア部材3’への遷移時に、前記範囲aは急激に(不安定に)減少する。
【0064】
さらなるキャリア部材3’は、ベースキャリア部材2と連結するための連結部35を有している。連結部35は、ベースキャリア部材2のラウドスピーカー用開口部25を閉塞する役割を兼ねる。
【0065】
比較的小さい自動車ドアの場合(すなわち、ドアモジュールキャリアがベースキャリア部材2のみで構成される場合)にラウドスピーカー用開口部25に設けられるラウドスピーカー8(例えば、ウーファーなど)は、さらなるキャリア部材3’のラウドスピーカー用開口部36に収容されることになる。そして、さらなるラウドスピーカー80(例えば、ミッドレンジドライバーなど)が、代わりにベースキャリア部材2のラウドスピーカー用開口部25に振り当てられてもよい。さらなるキャリア部材3’は、さらに、ドア制御用の駆動部9を収容する支持部37を有する。
【0066】
図2A〜
図2Dの実施形態と
図1A〜
図1Cの構造とのさらなる相違点は、
図1Bおよび
図1Cの場合に得られるドアモジュールキャリア1(ベースキャリア部材2とさらなるキャリア部材3とによって構成される)はドアインナースキンIの単一の広い部分Oを覆うのに対して、
図2A〜
図2Dの場合、ベースキャリア部材2がドアインナースキンの広い部分Oを覆って緊密に密封し、さらなるキャリア部材3’がドアインナースキンの広い部分O’を覆って緊密に密封する点である。
【0067】
図3Aおよび
図3Bに、
図1A〜
図1Cの構造の一変形例を示す。詳細には、この変形例では、ドア構造体T、特に、同一の車両プラットフォームに基づく異なるドア構造体Tにドアモジュールキャリア1を適応させるにあたって、ベースキャリア部材2が、各ドア構造体Tに装着された状態で車両の長手軸x方向の寸法が互いに異なる、第1のさらなるキャリア部材3aまたは第2のさらなるキャリア部材3bと組み合わされる。
【0068】
したがって、上記の変形例において、ドアモジュール1を製造するための組立キットは、ベースキャリア部材2と、2つのさらなるキャリア部材3a,3bとによって構成される。ベースキャリア部材2に、任意で一方または他方のキャリア部材3a,3bを組み合わせることにより、各ドア構造体Tに適応したドアモジュール1を提供することができる。
【0069】
図1A〜
図1Cの構造と同様に、得られるドアモジュールキャリア1はキャリアプレートによって構成される。このドアモジュールキャリア1は、2つのキャリア部材2,3aの外縁部21,31、または2つのキャリア部材2,3bの外縁部21,31によって形成される安定的な外周縁部11を有する。ベースキャリア部材2と各種のさらなるキャリア部材3a,3bとの連結部Vは、特に、遷移方向Rに対して垂直な範囲が急変することなく、安定的に遷移する。
【0070】
ベースキャリア部材2、およびさらなるキャリア部材3a,3bのそれぞれには、成形(射出成形)によって簡単に作製される部材、特に、プラスチック品を使用することができる。すなわち、
図4Aに示すように、これらの3つのキャリア部材2,3a,3bは、それぞれ、特定の成形用の加工器具W1,W2,W3、すなわち、特定の成形型で作製することができる。変形例として、
図4Bに示すように、ベースキャリア部材とこれに対応するさらなるキャリア部材3a,3bは、一体型の成形型を備える成形用の加工器具Wで作製してもよい。この成形型は、互いに置換可能なインサートE2,E3をさらなるキャリア部材3a,3b用に使用することにより、適宜変更することができる。つまり、ベースキャリア部材2に使用されるインサートE1は、変わらずに維持される。
【0071】
後者の場合、さらなるキャリア部材3a,3bは、対応するベースキャリア部材2との一体品として射出成形によって形成される。対照的に、さらなる実施形態を参照しながら後述するように、
図4Aの場合には、射出成形によってキャリア部材2,3a,3bを作製した後、ベースキャリア部材2にさらなるキャリア部材3a,3bを連結する。
【0072】
図5Aおよび
図5Bにおいて、多種多様なドア構造体Tに適応可能なドアモジュールキャリア1は、当該ドアモジュールキャリア1の必須構成品を形成する2つのベースキャリア部材2a,2bと、これら2つのベースキャリア部材2a,2bに任意で連結可能なさらなるキャリア部材3とを備える。さらなるキャリア部材3は、車両の長手軸xに沿って2つのベースキャリア部材2a,2bの間で当該2つのベースキャリア部材2a,2bに隣接するように挿入されることにより、
図5Aの構造から
図5Bの構造への変化にしたがって、ドアモジュールキャリアにおける車両の長手軸x方向の寸法を長くすることができる。
【0073】
上記の場合、多種多様なドアモジュールキャリア1を形成可能な組立セットは、2つのベースキャリア2a,2bおよびさらなるキャリア部材3で構成され、得られる各ドアモジュールキャリア1には、2つのベースキャリア部材2a,2bが使用され、任意で、さらなるキャリア部材3が、広い部分Oを有し且つ車両の長手軸x方向に伸長するドア構造体にドアモジュールキャリア1を適応させるために使用される。
図5Aと
図5Bとでドア構造体Tの形状が異なることに注目されたい。
【0074】
この場合でも、
図6Aに示すように、個々のキャリア部材2a,2b,3は、別個の成形用の加工器具W1,W2,W3で作製することができる。あるいは、
図6Bに示すように、基本的な構成品として2つのベースキャリア部材2a,2b用のインサートE1,E2と、これら2つのインサートE1,E2の間に任意で挿入可能な、さらなるキャリア部材3用の第3のインサートE3とを含む、一体型の成形用の加工器具Wを設けてもよい。
【0075】
図7Aおよび
図7Bに、ベースキャリア部材2およびさらなるキャリア部材3aで構成される、
図3Aに類似した、ドア構造体Tに装着可能なモジュールキャリア1を示す。同図には、ベースキャリア部材2とさらなるキャリア部材3とをプラグ連結によって連結可能な、プラグピン22およびプラグ用開口部32の形態の連結手段22,32が示されている。
【0076】
連結部Vにおけるベースキャリア部材2とさらなるキャリア部材3aとの連結は、ドア構造体Tに装着された状態において車両の長手軸xと合致する連結方向に沿って、これら2つのキャリア部材2,3aを互いにプラグ連結することで達成することができる。
図7Bに示す組立状態では、さらなるキャリア部材3aが車両の長手軸xに沿ってベースキャリア部材2に隣接するので、車両の長手軸xに沿った、得られるドアモジュールキャリア1の最終的な範囲は、当該車両の長手軸xに沿った方向におけるベースキャリア部材2の範囲とさらなるキャリア部材3aの範囲との合計に相当する。
【0077】
図7Cに、得られるドアモジュールキャリア1を、機能構成部品(例えば、ウィンドウリフタ6の駆動部61およびガイドレール63,64、ロック装置群7など)が予め搭載された状態で示す。
【0078】
図7Dから分かるように、ドアモジュールキャリア1とこれに予め搭載される機能構成部品6,7とで構成されるドアモジュールは、ドア構造体Tに対し、当該ドア構造体Tの広い部分O(
図8Bと比較されたい)を覆ってドアインナースキンIにおけるウェットルーム/ドライルーム隔離構造の一構成品をなすように装着される。
【0079】
図8A〜
図8Dに、
図7A〜
図7Dのさらなるキャリア部材3aの代わりに車両の長手軸x方向の寸法がより大きいさらなるキャリア部材3bを使用した、
図7A〜
図7Dと対応する一構造を示す。この構造の変化は、
図3Aに示す構造から
図3Bに示す構造への変化に似ている。これにより、得られるモジュールキャリアを、ドア構造体Tのより大きい範囲に適応させることができ、特には、ドア構造体Tにおいてモジュールキャリア1によって覆われる広い部分Oに適応させることができる。
【0080】
図9Aに、ベースキャリア部材2とさらなるキャリア部材3との間の連結部Vの構造の、形状嵌合連結に基づくさらなる実施形態を示す。この実施形態では、(櫛状または歯状の)形状嵌合領域201,202がベースキャリア部材2の縁部に形成され、(櫛状または歯状の)形状嵌合領域301,302がさらなるキャリア部材3の縁部に形成されており、これら形状嵌合領域は、複数の(歯状の)突部201,301と、当該突部201,301の間に位置する凹部またはクリアランス202,302とによって構成される。これら二種類の形状嵌合領域201,202;301,302は、各突部201,301がこれに対応する凹部302,202に連結方向すなわち遷移方向Rに沿って係合することにより、ベースキャリア部材2とさらなるキャリア部材3との間に形状嵌合連結部(プラグ連結部)を形成する。このようなプラグ連結により、2つのキャリア部材2,3を互いに確実に位置決めすることができる。
【0081】
恒久的な固定のために、さらなる連結技術が利用されてもよく、例えば、上記のプラグ連結部を、適切な掛止め要素またはクリップ要素を用いた自己掛止め連結部としてもよい。また、両側の形状嵌合領域を、接着、溶接、融着/熱かしめなどによって互いに緊密に保持するようにしてもよい。
【0082】
2つのキャリア部材2,3をプラグ連結一体化位置に保持するために、追加の取付要素、例えば、ねじ、リベットなどを使用してもよい。
【0083】
図9Bに、
図9Aのプラグ連結部の一変形例を示す。この変形例におけるプラグ連結要素201,202,301,302、すなわち、突部201,301および凹部202,302のそれぞれは、連結方向Rに沿って、より大きい範囲(長さ)を有する。これにより、連結部の曲げ剛性を向上させることができる。
【0084】
特に、得られるドアモジュールキャリア1は、自動車ドアのウェットルーム/ドライルーム隔離構造の一構成品をなすので、キャリア部材2,3の連結部は、防水密封、少なくとも緊密密封されている必要があり、最低でも防沫密封されている必要がある。
【0085】
図10Aから明らかなように、ベースキャリア部材2およびさらなるキャリア部材3は、必ずしも車両の長手軸xに沿って交互に配置されることでドアモジュールキャリア1における車両の長手軸xの方向に沿った範囲を多様に変更する構成に限定されない。ベースキャリア部材2とさらなるキャリア部材3とを車両の鉛直軸zに沿って互いに隣接するように(交互に)設置してもよく、さらなるキャリア部材の使用しだいで、ドアモジュールキャリア1における車両の鉛直軸zの方向に沿った範囲を変化させることができる。
【0086】
また、ベースキャリア部材2およびさらなるキャリア部材3a,3b,3cを
図10Bに示すように組み合わせてもよく、得られるドアモジュールキャリア1の、車両の長手軸x方向の寸法および車両の鉛直軸zに沿った範囲を、様々なドア構造体および広い部分に対して多種多様に適応させることができる。
【0087】
図1A〜
図1Cを参照しながら説明したように、少なくとも1つのベースキャリア部材2および少なくとも1つのさらなるキャリア部材3を用いることにより、ドアモジュールキャリア1を多種多様に形成することができるので、特に、当該ドアモジュールキャリア1の様々な位置に、機能構成部品を位置決めすることができる。つまり、
図1A〜
図1Cの構造の場合、ドアモジュールキャリア1がベースキャリア部材2のみで構成される
図1Aでは、第2のガイドレール64が、車両ドアの他の全ての機能構成部品と同様にベースキャリア部材2に設置され、かつ、当該ベースキャリア部材2において車両の長手軸xの方向の後端部に配置される。対照的に、
図1Bおよび
図1Cでは、ベースキャリア部材2と当該ベースキャリア部材2に車両の長手軸xに沿って隣接したさらなるキャリア部材とによってドアモジュールキャリア1が形成されており、第2のガイドレール64はさらなるキャリア部材3に設置される。
図1Bおよび
図1Cに従って得られるドアモジュールのさらなるキャリア部材3は、車両の長手軸xに沿ってベースキャリア部材2に隣接している。したがって、第2のガイドレール64は、
図1Aの構造と比べて、車両の長手軸xに沿ってシフトしている。
【0088】
同じことは、さらなるキャリア部材3,3a,3bを使用することでドアモジュールキャリア1における車両の長手軸xの方向の範囲を変化させることが可能な、前述の他の実施形態についても当てはまり、少なくとも1つのガイドレール63,64を、車両の長手軸xの方向に沿って様々な位置に設置することができる。
【0089】
自動車のウィンドウリフタのガイドレール用に複数の締結ポイントを設けることにより、ガイドレールをドアモジュールキャリアの様々な動作位置に設置する、特に、車両の長手軸xの方向の様々な位置にシフトさせる(並進的に変位させる)というコンセプトは、基本的に、車両の長手軸xの方向の範囲が変更可能でないドアモジュールキャリアにも適用可能であり、また、個々のキャリア部材(例えば、複数の構成品からなるモジュールキャリアのうちのベースキャリア部材)にも適用可能である。
図11Aを参照しながら詳細に後述する。
【0090】
図11Aに、外周縁部11によって画定されたキャリアプレート10によって形成されるドアモジュールキャリア1を示す。このキャリアは、一つのガイドレールをドアモジュールキャリア1に締結するための少なくとも3つのセット(少なくとも三対)の締結ポイントB1,B2,B3を有する。
【0091】
少なくとも2つのセットまたは二対の締結ポイントB1,B2は、ドアモジュールキャリア1における車両の長手軸xの前方における2つの異なる位置への、ウィンドウリフタのガイドレール63の選択的な締結を可能にする。これら2つの異なる位置は、車両の長手軸xの方向に互いにずれている。
図11Bを参照されたい。対照的に、第3のセットまたは第3の対の締結ポイントB3は、車両の長手軸xの方向における後端部への第2のガイドレール64の締結を可能にする。
【0092】
締結ポイントB1,B2,B3のそれぞれのセットまたは対は、車両の鉛直軸zからみて、上方の締結ポイントB1o,B2o,B3oおよび下方の締結ポイントB1u,B2u,B3uで構成されており、そのうちの一つの(下方の)締結ポイントB1uは、他の締結ポイントB1o,B2o,B3o;B2u,B3uと異なる構造であり、例えば、いわゆる貫通ねじ手段、すなわち、ウィンドウリフタの方向転換要素を貫通して締結される締結要素により、ドアモジュールキャリアにおけるガイドレールの締結も行う構成に適している。
【0093】
第1のガイドレール63の、車両の長手軸xの前方への位置決めは、各キャリア部材の場合、例えば、前述の実施形態における複数の構成品からなるドアモジュールキャリアにおいて前方に位置するベースキャリア部材2の場合にも同様に行われてよい。すなわち、ドアモジュールキャリアにウィンドウリフタのガイドレールの複数の異なる動作位置を設ける構成は、車両の長手軸xに沿って互いに離間した少なくとも2つのセットの締結ポイントをガイドレール63用に設けるキャリア部材が、それ単独でドアモジュールキャリア1を形成するものであるか、あるいは、完全なドアモジュールキャリアの一部のみをなすキャリア部材であるかに関係なく実施可能である。
【0094】
なお、ガイドレール63をモジュールキャリア1に設置するためのこれらの(少なくとも2つの)異なる位置が、車両の長手軸xに沿って一方がいわゆる輸送位置に対応して他方が動作位置に対応するのではない点に留意されたい。すなわち、上記の締結ポイントは、輸送時にガイドレールをドアモジュールキャリアに対する予備組付位置に固定するためのポイントではなく、具体的に述べると、輸送してからウィンドウリフタを動作させるまでのポイントではなく、例えば、ドアモジュールキャリアを自動車ドアに装着して、調節対象のウィンドウガラスを調節方向に沿って(車両の鉛直軸zに実質的に沿って)ガイドするための動作位置または機能位置に移動させるまでのポイントではない。
【0095】
むしろ、上記の2つの位置は、第1の前方のガイドレール63がウィンドウガラス、厳密には、ウィンドウガラスに結合したキャリアを調節方向に沿って案内するための、車両の長手軸xの方向に沿った動作位置または機能位置であり、各位置では、対応するセットの締結ポイントB1o,B1u,B2o,B2により、ドアモジュールキャリア1に当該ガイドレール63を締結することができる。つまり、2つのセットの締結ポイントB1o,B1u;B2o,B2uを介して、第1の前方のガイドレール63を、ドアモジュールキャリア1における2つの動作位置または機能位置のうちの1つに選択的に設置することができる。
【0096】
図示の例は、調節対象のウィンドウガラスの調節方向を横切る方向、すなわち、車両の鉛直軸zを横切る方向に互いに離間した2つのガイドレール63,64を備える、いわゆる2ストランド式ウィンドウリフタであり、少なくとも1つのガイドレール63は、2つの互いに異なる動作位置に位置決めすることができる。したがって、残った後方のガイドレール64をドアモジュールキャリア1に固定するために、合計で3つのセットまたは三対の締結ポイントB1o,B1u;B2o,B2u;B3o,B3uが必要となる。調節対象のウィンドウガラスをガイドするガイドレールを1つのみ備える単一ストランド式ウィンドウリフタの場合、当該ウィンドウリフタの一つ(単一)のガイドレールを、2つの互いに異なる動作位置のうちの1つに選択的に設置することができる。
【0097】
図12Aおよび
図12Bに、ドアモジュールキャリア1における前方のガイドレール63の第1の設置状態を示す。ドアモジュールキャリア1は、
図12Bにおいて、他の機能構成部品(ロック装置群7およびラウドスピーカー8)が予め搭載された状態でドア構造体Tに装着されている。
図12Aおよび
図12Bには、第1の前方のガイドレール63の車両の長手軸xに沿った最後方の設置状態が示されており、当該第1のガイドレールは、第2の後方のガイドレール64から車両の長手軸xに沿って比較的小さい距離で離間している。対照的に、
図13Aおよび
図13Bには、第1のガイドレール63が車両の長手軸xに沿った前方に設置された、別の設置位置が示されている。
【0098】
第1の前方のガイドレール63の動作位置にそれぞれ相当する、
図12Aおよび
図12Bに示す当該ガイドレール63の設置位置と、
図13Aおよび
図13Bに示す設置位置とのずれは、車両の長手軸xに沿った、当該第1のガイドレール63の並進的な変位に相当する。したがって、ガイドレール63の2つの設置位置は、当該ガイドレール63の、車両の長手軸xに沿った空間的位置が異なる。当然ながら、各設置位置では、第1のガイドレール63の、車両の長手軸xに沿ったずれに加えて、当該ガイドレール63の空間的向きがある程度変わっていてもよい。例えば、ガイドレール63は、2つの各設置位置において、車両の鉛直軸zに対して異なる傾きを有していてもよい。
【0099】
つまり、
図12Aおよび
図12Bに示すガイドレール63の設置位置、ならびに
図13Aおよび
図13Bに示すガイドレール63の設置位置からなる2つの設置位置は、それぞれ、ガイドレール63の動作位置または機能位置、すなわち、ガイドレール63が調節対象のウィンドウガラスを(当該ガイドレールにおいて案内されるキャリアを介して)調節方向に沿って移動させる位置に相当する。これについては、
図14A〜
図15Bを参照しながら詳細に後述する。
【0100】
図12Bに示すドア構造体T、および
図13Bに示すドア構造体Tは、例えば、フレームレスの自動車ドア用のドア構造体、特には、カブリオレ型またはクーペ型の車両のドア構造体であり、実施形態によっては(車両の長手軸xの方向における)ドアの長さが極めて異なり得る。これは、例えば、4ドアバージョンと2ドアバージョンとの両方の形態で販売されているクーペ型の車両について言えることであり、
図13Bに例示されているように、2ドアバージョンは、一般的に、
図12Bに例示された4ドアバージョンよりも前方ドアが大きい。
【0101】
あるいは、
図12Bの車両ドアは、ウィンドウフレームが設けられた車両ドアであってもよく、その場合、
図12BにはドアトリムBよりも上のフレーム(R)が図示されていないものとする。
【0102】
図14Aおよび
図14Bは、ドアモジュールキャリア1に対するガイドレール63の締結の種類として、車両の長手軸xの方向に沿って前方に位置する第1のガイドレール63と、車両の鉛直軸zに沿って互いに離間したセット(対)の締結ポイントB2o,B2uとを例示した詳細図である。
【0103】
ドアモジュールキャリア1に締結された2つのガイドレール63,64のそれぞれに、当該ガイドレールに沿って調節可能なキャリア66が示されており、当該キャリア66は、
図14Aにのみ例示されているようにウィンドウガラスTSを運び、各ガイドレール63,64に沿った調節運動を介してウィンドウガラスFSを調節方向VRに上昇または下降させることができる。必要な調節力は、ガイドレール63,64に設けられたリターンプーリ65o,65uによって方向転換される可撓性牽引手段Zにより、キャリア66に伝達される。可撓性牽引手段Zは、2つのガイドレール63,64のそれぞれに沿って延びる、各ガイドレールごとの調節部を有しており、当該調節部は各キャリア66に接続されている。可撓性牽引手段への力の伝達は、ウィンドウリフタ駆動部によって行われる。ウィンドウリフタ駆動部は、通常、ドアモジュールキャリアのウェットルーム側に設けられているので、ドアモジュールキャリア1のウェットルーム側の平面図である
図14Aからは見えない。調節用の駆動部によって生成される駆動モーメントは、ドアモジュールキャリア1を貫通する出力軸を介して調節用の伝動機構62に伝達される。この調節用の伝動機構62が、回転自在に取り付けられ可撓性牽引手段Zが巻き回されたケーブルドラムを駆動することにより、調節用の駆動部によって生成された前記駆動モーメントが可撓性牽引手段に伝達される。この可撓性牽引手段を介して、前記駆動モーメントがガイドレール63,64において案内されるキャリア66に伝達されることにより、当該キャリア66が調節運動時にウィンドウガラスFSをガイドレール63,64に沿って運ぶ。
【0104】
図14Aに示すドアモジュールキャリア1は、完全なドアモジュールキャリアであってもよいし、あるいは、ドアモジュールキャリア2においてさらなるキャリア部材によって選択的に補完可能な、ベースキャリア部材2であってもよい。
【0105】
特に、
図14Bに示すドアモジュールキャリア1の断面から分かるように、第1の前方のガイドレール63の領域において、車両の鉛直軸zに沿って互いに離間した2つの締結ポイントB2o,B2uのそれぞれは、当該ガイドレール63の位置決め用開口67に係合する、ドアモジュールキャリア1から突出した位置決め用要素17(同図では位置決めピン)を有しており、ガイドレールをドアモジュールキャリア1に確実に位置決めすることができる。ガイドレール63とドアモジュールキャリア1との固定連結は、ガイドレール63の貫通用の開口部/締結用の開口部68を介して各締結ポイントB2o,B2uに達する取付用ボルト100(同図の例では、ねじ付きボルトまたはねじ)を、ドアモジュールキャリア1において締結用開口部18を形成し且つ雌ねじを有するように構成された締結用部材に螺合させることで達成される。しかしながら、基本的には、他の種類の締結方法で、各ガイドレールをドアモジュールキャリアに締結させてもよい。
【0106】
図15Aおよび
図15Bに、
図14Aおよび
図14Bの構造の一変形例を示す。基本的な違いは、リターンプーリの形態の上方の方向転換要素65oがガイドレール63に単純に(支承ボルトLを介して)取り付けられており、下方の方向転換要素65uの領域、詳細には、当該下方の方向転換要素65uの軸心には、ドアモジュールキャリア1に対するガイドレール63の位置を車両の水平断面軸yに沿って調節できるように、調節要素Eが設けられている。これは、フレームレスドアの場合に特に重要である。
【0107】
同時に、調節要素Eは、ガイドレール63をドアモジュールキャリア1に締結するための締結エレメントとしての二重の役割も周知の方法で果たす(いわゆる貫通ねじ手段)。この方法により、ガイドレール63を、締結用部材に形成された、雌ねじを有する下方の締結用の開口部18を介して締結する必要がなくなる。