(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
閉扉始動感知用回動パイロットアームを閉扉受け止め用回動アームよりも小型品として、扉開口上枠における先閉まり扉又は後閉まり扉の基端部と、ドアークローザーのリンクアーム取付金具との相互間隙へ収納状態に取り付けたことを特徴とする請求項1記載の閉扉順位調整装置。
スライドバーのロック手段になるロックアームの基端部と、閉扉始動感知用回動パイロットアームの基端部とを、共通の前向き開口するコ字形感知ユニットケースの内部へ、各々垂直軸線廻りの回動自在に枢着し、
上記ロックアームの先端部をスライドバーにおける回動パイロットアームが存在する側の一端部の係止爪として、そのスライドバーの一端部を常時受け止める状態に弾圧付勢する一方、
上記ロックアームの中途部を貫通する垂直の伝動ピンと係脱可能な第1係止爪と、上記回動パイロットアームの基端部から一体的に張り出す回動片と係脱可能な第2係止爪とを備えた板カムを、上記感知ユニットケースの内部へやはり垂直軸線廻りの回動自在に枢着すると共に、
上記板カムにその第1係止爪がロックアームの伝動ピンから離れる方向とその第2係止爪が回動パイロットアームの回動片と係止する方向の弾圧付勢力を与えて、
上記回動パイロットアームがその感知ユニットケースから張り出す方向へ回動した時には、上記ロックアームのスライドバー用係止爪がスライドバーの上記一端部を受け止めるロック状態となり、
同じく回動パイロットアームが前方から押し倒される方向へ回動した時には、その回動片が上記板カムの第2係止爪に係止して、板カムをその第1係止爪とロックアームの伝動ピンとが係止する一方向へ回動させることにより、そのロックアームの上記スライドバー用係止爪をスライドバーの上記一端部から離すように設定したことを特徴とする請求項1記載の閉扉順位調整装置。
閉扉始動感知用回動パイロットアームを、前向き開口するコ字形感知ユニットケースの内部へ垂直軸線廻りの回動自在に枢着されたアウターアームと、そのアウターアームの内部をスライドし得るインナーアームとから形作り、
上記アウターアームに開口形成されたスライドガイド長孔を貫通する調整ビスにより、そのアウターアームへ上記インナーアームを取り付け固定して、
そのインナーアームを上記スライドガイド長孔に沿って進退させることにより、その先端部に軸支されたクッションローラーと先閉まり扉又は後閉まり扉との接触位置を、その扉における回動半径や厚みなどの変化に応じて調整セットできるように定めたことを特徴とする請求項1記載の閉扉順位調整装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上記特許文献1に開示された公知発明の構成では、先閉まり扉(80)と後閉まり扉(90)が完全に閉鎖した際、回動アーム(15)の先端部(ローラ)が後閉まり扉(90)へ接触した位置に保持されるようになっているため、その
図7、8のような閉鎖状態から両扉(80)(90)を開放すると、予じめ突出方向へ弾圧付勢されている回動アーム(15)が、自づと瞬時に飛び出すことになり、
図1のような両扉(80)(90)の開放時における回動アーム(15)の退避状態を得られないのである。
【0005】
更に言えば、後閉まり扉(90)の閉鎖が進行する程、これにより押圧される回動カム(60)を介して、扉開口上枠(11)と平行に移動する連結部(30)は、その先端部の係合手段(20)が回動アーム(15)の先端部(ローラ)から離れる方向へ引かれることになるため、
図7、8のような両扉(80)(90)の閉鎖状態において、その回動アーム(15)の先端部(ローラ)を連結部(30)の先端係合手段(20)によって前方から拘束する如く、その回動アーム(15)を退避状態に施錠することは到底不可能である。
【0006】
しかも、上記回動アーム(15)は1本として、先閉まり扉(80)と後閉まり扉(90)との召し合わせ線(F)上に軸支されているため、上記両扉(80)(90)の開放状態において、その扉開口上枠(11)の中央部から回動アーム(15)が最も長く突出することになり、出入り口の意匠性を阻害するほか、他物との衝突によって破損するおそれもある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明はこのような課題の抜本的な解決を目的としており、その目的を達成するために、請求項1では垂直軸線廻りに回動する観音開き式の2個の扉を、その閉鎖順序通りに閉鎖すべく、扉開口上枠に取り付けられた閉扉順位調整装置であって、
【0008】
上記扉開口上枠から前方へ予じめの設定角度だけ常時張り出す弾圧付勢状態に設置されて、先閉まり扉又は後閉まり扉の基端木口面により閉扉始動時に前方から押し倒される退避方向へ回動されることとなる閉扉始動感知用回動パイロットアームと、
【0009】
同じく扉開口上枠から前方へ予じめの設定角度だけ常時張り出す弾圧付勢状態に設置されて、先閉まり扉と後閉まり扉をその閉鎖順序通りに一旦受け止めることができ、閉扉時に前方から押し倒される退避方向へ回動されることとなる左右一対又はその両扉のほぼ召し合わせ線上に位置する1個の閉扉受け止め用回動アームと、
【0010】
その1個又は左右一対の閉扉受け止め用回動アームと作用的に枢支連結されて、その回動アームの上記起伏的な回動作用を上記扉開口上枠の左右方向に沿う直線的なスライド運動に変換する所要長さのスライドバーと、
【0011】
上記回動パイロットアームが先閉まり扉又は後閉まり扉の閉扉始動時に押し倒されると、上記スライドバーをその回動パイロットアームの存在する方向へスライドさせる一方、両扉の開放時にはそのスライドバーのスライド運動を阻止することによって、上記回動アームを伏倒状態に保つロック手段とを備え、
【0012】
上記回動パイロットアームが先閉まり扉又は後閉まり扉の閉扉始動時に押し倒されると、上記スライドバーがその回動パイロットアームの存在する方向へスライド運動することにより、上記回動アームが前方へ張り出して、先閉まり扉と後閉まり扉をその閉鎖順序通りに一旦受け止め、
【0013】
その閉鎖状態にある後閉まり扉の開放により、上記回動パイロットアームが自づと前方へ張り出すことになるも、上記回動アームはロック手段のスライド阻止作用により、その回動パイロットアームの再度押し倒されることになるまで、依然伏倒状態を保つように関係設定したことを特徴とする。
【0014】
又、請求項2では閉扉始動感知用回動パイロットアームを閉扉受け止め用回動アームよりも小型品として、扉開口上枠における先閉まり扉又は後閉まり扉の基端部と、ドアークローザーのリンクアーム取付金具との相互間隙へ収納状態に取り付けたことを特徴とする。
【0015】
請求項3ではスライドバーのロック手段になるロックアームの基端部と、閉扉始動感知用回動パイロットアームの基端部とを、共通の前向き開口するコ字形感知ユニットケースの内部へ、各々垂直軸線廻りの回動自在に枢着し、
【0016】
上記ロックアームの先端部をスライドバーにおける回動パイロットアームが存在する側の一端部の係止爪として、そのスライドバーの一端部を常時受け止める状態に弾圧付勢する一方、
【0017】
上記ロックアームの中途部を貫通する垂直の伝動ピンと係脱可能な第1係止爪と、上記回動パイロットアームの基端部から一体的に張り出す回動片と係脱可能な第2係止爪とを備えた板カムを、上記感知ユニットケースの内部へやはり垂直軸線廻りの回動自在に枢着すると共に、
【0018】
上記板カムにその第1係止爪がロックアームの伝動ピンから離れる方向とその第2係止爪が回動パイロットアームの回動片と係止する方向の弾圧付勢力を与えて、
【0019】
上記回動パイロットアームがその感知ユニットケースから張り出す方向へ回動した時には、上記ロックアームのスライドバー用係止爪がスライドバーの上記一端部を受け止めるロック状態となり、
【0020】
同じく回動パイロットアームが前方から押し倒される方向へ回動した時には、その回動片が上記板カムの第2係止爪に係止して、板カムをその第1係止爪とロックアームの伝動ピンとが係止する一方向へ回動させることにより、そのロックアームの上記スライドバー用係止爪をスライドバーの上記一端部から離すように設定したことを特徴とする。
【0021】
更に、請求項4では閉扉始動感知用回動パイロットアームを、前向き開口するコ字形感知ユニットケースの内部へ垂直軸線廻りの回動自在に枢着されたコ字形のアウターアームと、そのアウターアームの枠内をスライドし得るインナーアームとから形作り、
【0022】
上記アウターアームに開口形成されたスライドガイド長孔を貫通する調整ビスにより、そのアウターアームへ上記インナーアームを取り付け固定して、
【0023】
そのインナーアームを上記スライドガイド長孔に沿って進退させることにより、その先端部に軸支されたクッションローラーと先閉まり扉又は後閉まり扉との接触位置を、その扉における回動半径や厚みなどの変化に応じて調整セットできるように定めたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
請求項1の上記構成によれば、その閉扉順位調整装置では閉扉始動感知用回動パイロットアームが先閉まり扉又は後閉まり扉の閉扉始動時に押し倒されると、スライドバーを扉開口上枠に沿って上記パイロットアームの存在する方向へ直線的にスライドさせる一方、両扉の開放時にはそのスライドバーのスライド運動を阻止することによって、閉扉受け止め用回動アームを伏倒状態に保つロック手段が具備されており、特に閉鎖状態の後閉まり扉が開放されることによって、上記パイロットアームが扉開口上枠から自づと前方へ張り出すことになっても、上記回動アームはロック手段のスライド阻止作用により、そのパイロットアームの再度押し倒されることになるまで、依然として伏倒状態を保つように関係設定されているため、冒頭に述べた従来技術の課題を確実に解決することができ、その結果
図57〜59の変形実施形態に示すような1本の長い回動アームを両扉のほぼ召し合わせ線上へ軸支する構成も、支障なく採用し得る効果がある。
【0025】
その場合、請求項2の構成を採用するならば、扉の開放時に扉開口上枠から前方へ張り出すことになる上記閉扉始動感知用回動パイロットアームを、上記閉扉受け止め用回動アームの左右一対よりも小型品として、その扉開口上枠における先閉まり扉又は後閉まり扉の回動基端部と、ドアークローザーのリンクアーム取付金具との狭小な相互間隙へ、コンパクトな収納状態に取り付けることができ、優れた意匠性や安全性を得られるのである。
【0026】
特に、請求項3の構成を採用するならば、閉扉始動感知用回動パイロットアームやスライドバーのロック手段(スライド阻止手段)となるロックアーム、そのパイロットアーム並びにロックアームと各々係脱自在に係止する板カムなどを、共通する1個の感知ユニットケースへ内蔵設置することにより、閉扉始動感知ユニットとして形作ることができ、その閉扉始動感知ユニットの保守点検作業や扉開口上枠に対する取付作業などを容易に便利良く行える効果がある。
【0027】
更に、請求項4の構成を採用するならば、閉扉始動感知用回動パイロットアームの先端部に存在するクッションローラーを、先閉まり扉又は後閉まり扉の基端木口面に向かって進退操作することにより、その基端木口面へ確実に接触させるべく位置決め調整することができ、回動半径や厚みなどが異なる各種扉への対応性に優れる。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面に基いて本発明の好適な実施形態を詳述すると、その閉扉順位調整装置は
図1〜5に示した取付状態の全体から明白なように、後閉まり扉(D2)の閉扉始動感知ユニット(S)と同じく後閉まり扉(D2)の受け止め作動ユニット(A2)、先閉まり扉(D1)の受け止め作動ユニット(A1)、これらのユニット(S)(A2)(A1)群を全体的な直線状態に連動連結するスライドバー(B)とを、主要な構成部材として具備している。
【0030】
そして、このような閉扉順位調整装置の主要構成部材は悉く扉開口上枠(10)の下部に沿って列設された水平なコ字形条溝(11)の内部へ、その開口する前方(正面側)からの収納状態に取り付け固定されている。
【0031】
又、後閉まり扉(D2)と先閉まり扉(D1)は垂直な扉開口側枠(12)へ、各々ピボットヒンジ(13)を介して枢着されており、その各ピボットヒンジ(13)の垂直軸線廻りに回動して、出入り口(通路)を開閉することになる。(14)は後閉まり扉(D2)と先閉まり扉(D1)に各々取り付け固定されたドアークローザーであり、その各扉(D2)(D1)を閉扉方向へ押圧付勢する。(15)は上記扉開口上枠(10)の下面(天井面)に対するドアークローザー(14)のリンクアーム取付金具、(Y−Y)は後閉まり扉(D2)と先閉まり扉(D1)の召し合わせ線を示している。
【0032】
尚、
図1、2に示した後閉まり扉(D2)と先閉まり扉(D1)との2個は左右一対として、その互いに同じ幅寸法を具備しているが、その幅寸法の大小相違する
図4、5のような親子扉であっても、本発明の閉扉順位調整装置をそのまま支障なく適用実施することができる。
【0033】
上記閉扉順位調整装置を構成する主要部材のうち、先ず後閉まり扉(D2)の閉扉始動感知ユニット(S)について言えば、これは後閉まり扉用受け止め作動ユニット(A2)や先閉まり扉用受け止め作動ユニット(A1)よりも小型品として、上記扉開口上枠(10)の条溝(11)内における後閉まり扉(D2)の基端部と、ドアークローザー(14)のリンクアーム取付金具(15)との狭小な相互間隙(例えば幅が約40mm×長さが約90mmの空間)へ収納状態に取り付け固定されている。
【0034】
図6〜28はその後閉まり扉(D2)の閉扉始動感知ユニット(S)を抽出して示す拡大図であり、これを内蔵する感知ユニットケース(16)が金属板(ステンレス鋼板)から、上記扉開口上枠(10)の条溝(11)内へ納まる大きさ(例えば幅:約70mm×高さ:約14mm×奥行:約25mm)の扁平なコ字形に折り曲げられており、その幅方向(左右方向)の一半部がこれと向かい合う狭小なコ字形の取付ブラケット(17)と複数の皿ビス(18)によって、扉開口上枠(10)におけるコ字形条溝(11)の背後面へ前方から取り付け固定されている。(19)はその条溝(11)の背後面に溶接された補強座金であり、上記皿ビス(18)の受け入れ用ネジ孔を有する。
【0035】
又、(20)は上記感知ユニットケース(16)における幅方向(左右方向)の他半部を貫通する垂直のロックアーム支軸(21)を介して、回動自在に枢着されたロックアームであり、その金属板(ステンレス鋼板)の先端部が後述するスライドバー(B)の一端部を受け止め得るスライドバー用係止爪(22)として切り欠き造形されている。
【0036】
(23)はロックアーム(20)の中途部を貫通する垂直の伝動ピンであり、そのロックアーム支軸(21)を枢支点としてロックアーム(20)と一緒に回動作用する。(24)は上記ロックアーム支軸(21)の一端部に巻き付けられたロックアームリターン用蔓巻きバネであり、その一端部が感知ユニットケース(16)自身の背壁面へ、残る他端部がロックアーム(20)の伝動ピン(23)へ各々係止されることによって、そのロックアーム(20)の上記スライドバー用係止爪(22)を常時スライドバー(B)における一端部の受け止め方向(背後方向)へ弾圧付勢している。
【0037】
(25)は上記ロックアーム(20)の伝動ピン(23)と係脱自在に係止する第1係止爪(26)と、後述のアーム作動駒と係脱自在に係止する第2係止爪(27)とを備えた金属の板カムであり、上記感知ユニットケース(16)から内向き一体的に突出する垂直の片持ち支軸(28)によって、回動自在に枢着されている。(29)はその板カム(25)における第1係止爪(26)の近辺から突設された垂直のバネ受けピンである。
【0038】
(30)は上記ロックアーム支軸(21)の他端部に巻き付けられた板カムリターン用蔓巻きバネであり、その一端部が上記コ字形取付ブラケット(17)自身の前壁面へ、残る他端部が板カム(25)の上記バネ受けピン(29)へ各々係止されることによって、その板カム(25)の上記第1係止爪(26)を常時ロックアーム(20)の伝動ピン(23)から離れる方向(係止を解除する方向)へ、同じく板カム(25)の上記第2係止爪(27)を常時後述のアーム作動駒と係止する方向(
図8の反時計方向(R))へ弾圧付勢している。
【0039】
その場合、上記ロックアームリターン用蔓巻きバネ(24)の張力は板カムリターン用蔓巻きバネ(30)の張力よりも強く設定されており、これによってロックアーム(20)のスライドバー用係止爪(22)がスライドバー(B)の一端部を受け止め、そのスライドバー(B)をスライドしないロック状態に保つことができるようになっている。
【0040】
更に、(31)は上記後閉まり扉(D2)の閉扉始動感知ユニット(S)を形作る回動パイロットアームであって、その後向き開口するコ字形のアウターアーム(31a)における幅方向(左右方向)の一端部(基端部)が、上記ロックアーム支軸(21)と平行に感知ユニットケース(16)を貫通する垂直のパイロットアーム支軸(32)を介して、上記感知ユニットケース(16)の内部におけるロックアーム(20)の前側位置へ回動自在に枢着されている。
【0041】
(33)はそのアウターアーム(31a)の一端部(回動基端部)へ複数の固定ピン(34)により付属一体化されたアーム作動駒であって、上記板カム(25)の直前位置に並列しており、そのアーム作動駒(33)から斜め後方へ連続一体に張り出す回動片(35)が、上記板カム(25)の第2係止爪(27)と係脱自在に係止して、その板カム(25)を
図9の時計方向(F)へ回動させ、延いては上記ロックアーム(20)のスライドバー用係止爪(22)をスライドバー(B)の一端部から離し、そのスライドバー(B)を上記閉扉始動感知ユニット(S)の存在方向(P)(
図50の左方向)へスライドさせることができるようになっている。
【0042】
上記閉扉始動感知ユニット(S)の回動パイロットアーム(31)は金属板(ステンレス鋼板)からコ字形に折り曲げられたアウターアーム(31a)のほか、その枠内をアウターアーム(31a)の幅方向(左右方向)に沿ってスライドし得る細長いU字形のインナーアーム(31b)も具備している。そのインナーアーム(31b)は同じ金属板(ステンレス鋼板)からアウターアーム(31a)よりも狭小なU字形に折り曲げられている。
【0043】
(36)はそのインナーアーム(31b)の一端部(折り曲げ基端部)に内蔵されたビス受けブロックであって、厚肉な金属板(ステンレス鋼板)から成り、これは上記アウターアーム(31a)の上面に開口するスライドガイド長孔(37)から、インナーアーム(31b)の対応的な上面に開口分布する複数のビス受け入れ孔(バカ孔)(38)を通じてねじ込まれる複数の調整用皿ビス(39)により、インナーアーム(31b)に取り付け固定されている。
【0044】
そして、上記インナーアーム(31b)の他端部(先端部)には後閉まり扉(D2)を受け止めるクッションローラー(40)が、垂直のローラー支軸(41)によって回動自在に枢着されている。そのため、上記調整用の皿ビス(39)を一旦弛緩させて、そのクッションローラー(40)が先端部に軸支されているインナーアーム(31b)を、上記アウターアーム(31a)のスライドガイド長孔(37)に沿って、
図10、11のように幅方向(左右方向)へ進退させることにより、回動パイロットアーム(31)の就中クッションローラー(40)と後閉まり扉(D2)との接触位置(後閉まり扉の受け止め接点)を予じめ正確に調整セットすることができる。後閉まり扉(D2)における回動半径の変化や厚みの変化などがあっても、容易に対応できる汎用性、現場作業性並びに利便性を得られることとなる。
【0045】
(42)は上記回動パイロットアーム(31)の就中アウターアーム(31a)を枢支する垂直のパイロットアーム支軸(32)に巻き付けられた蔓巻きバネであって、上記ロックアームリターン用蔓巻きバネ(24)の張力よりも強い張力を有し、その一端部が上記アウターアーム(31a)の前壁面へ、残る他端部が上記感知ユニットケース(16)自身の側壁面へ各々係止されることにより、その回動パイロットアーム(31)を常時感知ユニットケース(16)から張り出す方向(前方)へ弾圧付勢している。(θ)はその感知ユニットケース(16)から前方へ張り出す回動パイロットアーム(31)の設定回動角度を示している。
【0046】
上記蔓巻きバネ(42)の弾圧付勢力を受けて、前方へ設定回動角度(θ)の位置まで張り出した閉扉始動感知ユニット(S)の回動パイロットアーム(31)は、
図49のような開扉状態にある後閉まり扉(D2)の基端木口面を目指して接近しており、その後閉まり扉(D2)が閉鎖されるに連れて、前方から徐々に押し倒され、感知ユニットケース(16)の内部へ没入(退避)することになる一方、上記後閉まり扉(D2)がその閉扉状態から開放されるに連れて、感知ユニットケース(16)から前方へ徐々に張り出すこととなる。
【0047】
次に、先閉まり扉(D1)の受け止め作動ユニット(A1)と後閉まり扉(D2)の受け止め作動ユニット(A2)は、その前者を抽出して示す
図29〜31と後者を抽出して示す
図32〜34との対比から明白であるように、その後述する回動アームの設定回動角度調整部品だけを除く全体として、互いに実質上同じ構成を備えている。
【0048】
そのため、その共通する部材には同じ図示符号を付して説明すると、
図29〜38において、(43)は金属板(ステンレス鋼板)から上記扉開口上枠(10)の条溝(11)に納まる大きさ(例えば幅:約160mm×高さ:約14mm×奥行:約25.5mm)の扁平なコ字形に折り曲げられた作動ユニットケースであり、その幅方向(左右方向)の両端部が向かい合うL字形の金属板片から成るエンドキャップ(44)と皿ビス(45)との一対づつによって、扉開口上枠(10)におけるコ字形条溝(11)の背後面へ前方から取り付け固定されている。(46)はその皿ビス(45)の受け入れ用ネジ孔を有する補強座金であり、上記条溝(11)の背後面にやはり溶接されている。
【0049】
(47)は上記作動ユニットケース(43)の枠内を幅方向(左右方向)に沿って延在する細長い角筒形の回動アームであり、その一端部(基端部)を貫通する垂直の回動アーム支軸(48)によって、作動ユニットケース(43)へ回動自在に枢着されている。
【0050】
(49)は上記回動アーム(47)内の一端部(回動基端部)へ、その回動アーム支軸(48)と複数の別個な固定ピン(50)によって、一緒に回動し得るように付属一体化されたアーム作動駒であり、その回動基端部に上記回動アーム(47)のそれと同じ面一な円弧側面(51)を備えている。その円弧側面(51)は上記回動アーム支軸(48)からの一定な回動半径を描く形態にある。
【0051】
しかも、そのアーム作動駒(49)の回動基端部をなす円弧側面(51)の前端部は、後述の回動角度調整駒により受け止められる回動ストッパー(52)として、言わば段付き状態に造形されているほか、同じく円弧側面(51)の中途部からは斜め後方に向かって回動凸子(53)が連続一体に張り出されており、そのアーム作動駒(49)の回動凸子(53)がスライドバー(B)の後述する凸子受け入れ凹溝と作用的に枢支連結されていて、そのスライドバー(B)を左右方向へスライドさせることができるようになっている。
【0052】
又、(54)は同じく回動アーム(47)内の他端部(先端部)へ、垂直のローラー支軸(55)を介して回動自在に枢着されたクッションローラーであり、先閉まり扉(D1)又は後閉まり扉(D2)を受け止める。
【0053】
(56)は上記回動アーム支軸(48)に巻き付けられた蔓巻きバネであって、その一端部が上記回動アーム(47)自身の背後壁へ、残る他端部が上記作動ユニットケース(43)の下面から内向きに突出するバネ受け片(57)へ、各々係止されることにより、その回動アーム(47)を常時作動ユニットケース(43)から張り出す方向(前方)へ弾圧付勢している。
【0054】
その結果、延いては回動アーム(47)と一緒に回動し得る上記アーム作動駒(49)の回動凸子(53)が、スライドバー(B)を常時上記閉扉始動感知ユニット(S)の存在方向(P)(
図50の左方向)へスライドさせるべく、弾圧付勢していることになる。
【0055】
(α1)(α2)はその作動ユニットケース(43)から前方へ張り出す回動アーム(47)の設定回動角度を示しており、先閉まり扉(D1)又は後閉まり扉(D2)が閉鎖されるに連れて、前方から徐々に押し倒され、作動ユニットケース(43)の内部へ没入(退避)することになる。
【0056】
図29〜38に基いて説明した上記構成は、先閉まり扉用受け止め作動ユニット(A1)と後閉まり扉用受け止め作動ユニット(A2)に共通しているが、その何れか一方側(図示実施形態では後閉まり扉用受け止め作動ユニット(A2)側)の作動ユニットケース(43)だけには、その回動アーム(47)が作動ユニットケース(43)から前方へ張り出す設定回動角度(α2)を、大きく又は小さく調整セットする必要部品も
図32〜34のように内蔵設置されている。
【0057】
(58)はそのための回動角度調整駒(ナット)であって、上記作動ユニットケース(43)の内部へ回動不能な挟持状態に設置されており、その回動アーム(47)並びにアーム作動駒(49)の回動基端部を指向する先端部が、アーム作動駒(49)の上記円弧側面(51)に当接している。
【0058】
(59)は上記作動ユニットケース(43)における一端部(回動アームの回動基端側)のエンドキャップ(44)から、扉開口上枠(10)に対する取り付け固定用皿ビス(45)と平行に差し込み並列された回動角度調整用皿ビスであって、上記回動角度調整駒(58)を貫通する状態に螺合締結されている。
【0059】
(60)は上記エンドキャップ(44)に開口するビス受け入れ孔(バカ孔)であり、ここから図外の工具を挿入して、その回動角度調整用皿ビス(59)を回動操作することができ、そうすれば上記回動角度調整駒(58)がその皿ビス(59)の軸線方向(前後方向)に沿って、直線的な進退移動のみを行うことになる。
【0060】
その場合、上記回動アーム(47)にはその作動ユニットケース(43)から前方へ常時張り出す弾圧付勢力が与えられているため、これと一体回動する上記アーム作動駒(49)の円弧側面(51)に設けられている回動ストッパー(52)は、上記回動角度調整駒(58)の先端部と常時係止して、その先端部により受け止められたロック状態にある。
【0061】
その結果、上記回動角度調整用皿ビス(59)を回動操作して、回動角度調整駒(58)を前後方向へ直線的に進退移動させることにより、上記後閉まり扉用受け止め作動ユニット(A2)の回動アーム(47)がその作動ユニットケース(43)から前方へ張り出す設定回動角度(α2)を、希望に応じて大きく又は小さく調整セットすることができる。
【0062】
(61)は上記回動角度調整駒(58)を緩み止め状態に保つ圧縮コイルバネであり、その回動角度調整用皿ビス(59)における径大な頭部と回動角度調整駒(58)のバネ受け凹溝(62)との前後相互間に巻き付けられている。
【0063】
尚、上記回動角度調整用皿ビス(59)の受け入れ孔(バカ孔)(60)が開口するエンドキャップ(44)や、円弧側面(51)に回動ストッパー(52)が造形されたアーム作動駒(49)は、後閉まり扉用受け止め作動ユニット(A2)のみならず、先閉まり扉用受け止め作動ユニット(A1)にもそのまま支障なく使えるため、互換性の発揮や量産効果の向上などに役立つ。
【0064】
更に、上記スライドバー(B)は後閉まり扉(D2)の閉扉始動感知ユニット(S)と後閉まり扉用受け止め作動ユニット(A2)並びに先閉まり扉用受け止め作動ユニット(A1)を、扉開口上枠(10)に沿う全体的な直線状態に連動連結できる限り、その長尺な1本物を採用してもさしつかえないが、スライドバー(B)自身を短くコンパクト化して、梱包・輸送や取扱いなどの便利さを図ると共に、幅寸法の大小相違する2個の扉が如何なる組合せの仕様になっても、その変化に対応できるようにするため、上記スライドバー(B)を感知ユニット用スライドバー(B1)と両作動ユニット用スライドバー(B2)(B3)との少なくとも3本に分割して、着脱自在に連結一本化することが好ましい。この点、図示の実施形態では上記両作動ユニット用スライドバー(B2)(B3)を延長できる延長バー(B4)と、その延長バー(B4)同士を繋ぐ中継バー(B5)も使っている。
【0065】
先に一言したスライドバー(B)の一端部は図示実施形態の場合、感知ユニット用スライドバー(B1)の一端部(
図4、5の左端部)を意味し、ここが上記閉扉始動感知ユニット(S)の感知ユニットケース(16)内において、ロックアーム(20)のスライドバー用係止爪(22)により感知ユニットケース(16)の背後面へ押し付けられた係止状態にある。同じく感知ユニット用スライドバー(B1)の他端部(右端部)は
図39、40に示すようなビス受け入れ長孔(63)を有する重合片(64)として、後閉まり扉受け止め作動ユニット用スライドバー(B2)と重合し得るように折り曲げられている。
【0066】
後閉まり扉受け止め作動ユニット用スライドバー(B2)はその作動ユニットケース(43)を幅方向(左右方向)に沿って貫通しており、その一端部(左端部)が上記感知ユニット用スライドバー(B1)の重合片(64)と重合された上、複数の固定ビス(65)によって連結されている一方、同じくスライドバー(B2)の他端部(右端部)には複数のダボ(66)がかしめ付け一体化されている。
【0067】
又、上記後閉まり扉受け止め作動ユニット用スライドバー(B2)における作動ユニットケース(43)の内部へ臨む中途部は、
図41、42に示すような補強座金(67)の溶接によって厚肉化されており、その厚肉部分に切り欠かれた凸子受け入れ凹溝(68)が、上記後閉まり扉(D2)の受け止め作動ユニット(A2)を形作っている回動アーム(47)の回動凸子(53)と作用的な枢支連結状態(係合状態)にあるが、連結ピンを介していないため、容易に着脱することができる。(69)は扉開口上枠(10)に対する作動ユニットケース(43)の取り付け固定用皿ビス(45)を受け入れる左右一対のビス受け入れ長孔であり、これも上記後閉まり扉受け止め作動ユニット用スライドバー(B2)の中途部に切り欠かれている。
【0068】
他方、先閉まり扉受け止め作動ユニット用スライドバー(B3)もその作動ユニットケース(43)を幅方向(左右方向)に沿って貫通しており、その一端部(左端部)には複数のダボ(70)がかしめ付け一体化されているほか、他端部(右端部)と中途部には左右一対のビス受け入れ長孔(71)が切り欠かれており、扉開口上枠(10)に対する作動ユニットケース(43)の取り付け固定用皿ビス(45)を受け入れる。
【0069】
上記先閉まり扉受け止め作動ユニット用スライドバー(B3)における作動ユニットケース(43)の内部へ臨む中途部も、
図43、44に示すような補強座金(72)の溶接によって厚肉化されており、その厚肉部分に切り欠かれた凸子受け入れ凹溝(73)が、上記先閉まり扉(D1)の受け止め作動ユニット(A1)を形作っている回動アーム(47)の回動凸子(53)とやはり作用的な枢支連結状態(着脱自在の係合状態)にある。
【0070】
上記後閉まり扉受け止め作動ユニット用スライドバー(B2)の延長バー(B4)と先閉まり扉受け止め作動ユニット用スライドバー(B3)の延長バー(B4)は、互いに同一であって、
図45、46のように、その左右何れか一端部に複数のダボ受け入れ孔(バカ孔)(74)と、残る他端部に複数のネジ孔(75)とが各々開口分布されている。
【0071】
そのため、その延長バー(B4)のダボ受け入れ孔(74)を上記両作動ユニット用スライドバー(B2)(B3)のダボ(66)(70)へ、各々前方から抜き差し自在に差し込むことにより、その両作動ユニット用スライドバー(B2)(B3)を各々延長させることができる。(76)は上記ダボ(66)(70)へ各々ねじ込む固定ビスである。
【0072】
そして、上記中継バー(B5)の両端部には
図47、48に示すような左右一対のビス受け入れ長孔(77)が開口形成されており、ここから上記両扉作動ユニット用スライドバー(B2)(B3)を延長した延長バー(B4)のネジ孔(75)へ、前方から固定ビス(78)をねじ込むことにより、その両作動ユニット用スライドバー(B2)(B3)同士を連結することができる。
【0073】
その場合、上記感知ユニット用スライドバー(B1)と両作動ユニット用スライドバー(B2)(B3)並びに中継バー(B5)には、各々ビス受け入れ長孔(63)(69)(71)(77)が開口形成されているため、これに基きスライドバー(B)として左右方向へスライドする必要な連結長さを調整すれば良い。
【0074】
何れにしても、上記後閉まり扉(D2)の閉扉始動感知ユニット(S)と後閉まり扉用受け止め作動ユニット(A2)並びに先閉まり扉用受け止め作動ユニット(A1)を連動できるように連結した複数本の上記バー(B1)(B2)(B3)(B4)(B5)は、その全体的な連結状態を示した
図4、5から明白なように、扉開口上枠(10)の下部にある条溝(11)の背後面に沿って、その幅方向(左右方向)へ延在している。
【0075】
図49〜53は上記閉扉順位調整装置の作用を示す平面図であり、先閉まり扉(D1)と後閉まり扉(D2)とが開放している
図49の状態では、その後閉まり扉(D2)の閉扉始動感知ユニット(S)における回動パイロットアーム(31)が蔓巻きバネ(42)の弾圧付勢力を受けて、感知ユニットケース(16)から予じめの設定回動角度(θ)だけ前方へ張り出しており、後閉まり扉(D2)の基端木口面を目指した接近位置にある。
【0076】
しかも、その当初の状態にある閉扉始動感知ユニット(S)を抽出・拡大した
図54(イ)から明白なように、その感知ユニット(S)におけるロックアーム(20)のスライドバー用係止爪(22)は、スライドバー(B)における就中感知ユニット用スライドバー(B1)の一端部を受け止めており、そのスライドバー(B1)が上記感知ユニット(S)の存在方向(P)(
図50、54の左方向)へスライドしないロック状態に保っている。
【0077】
そして、
図49の当初状態から後閉まり扉(D2)が
図50のように閉鎖し始めと、その後閉まり扉(D2)の基端木口面によって上記閉扉始動感知ユニット(S)の回動パイロットアーム(31)が、前方から徐々に押し倒される方向へ回動することとなる。
【0078】
そうすると、その過程の閉扉始動感知ユニット(S)を抽出・拡大した
図54(ロ)〜(ニ)から明白なように、上記回動パイロットアーム(31)に付属一体化されているアーム作動駒(33)の回動片(35)が、板カム(25)の第2係止爪(27)に係止して、その板カム(25)を
図54(ロ)〜(ニ)の時計方向(F)へ回動させることになり、延いてはロックアーム(20)のスライドバー用係止爪(22)を上記スライドバー(B1)の一端部から離して、その一端部の受け止めロック状態を解除する。
【0079】
その結果、先閉まり扉用受け止め作動ユニット(A1)並びに後閉まり扉用受け止め作動ユニット(A2)の回動アーム(47)に各々付属一体化されているアーム作動駒(49)の回動凸子(53)とその凸子受け入れ凹溝(68)を介して、各々作用的に枢支連結しているスライドバー(B)の就中両作動ユニット用スライドバー(B2)(B3)が、その回動アーム(47)における前方への張り出し弾圧付勢力を受けていることに基き、
図50のように上記閉扉始動感知ユニット(S)の存在方向(P)へスライドすると一挙同時に、回動アーム(47)がその作動ユニットケース(43)から前方へ何れも予じめの設定回動角度(α1)(α2)だけ張り出して、引き続き
図51のような先閉まり扉(D1)並びに後閉まり扉(D2)を各々受け止めることができる状態となる。
【0080】
このような受け止め状態にある時、上記閉扉始動感知ユニット(S)の回動パイロットアーム(31)は
図55(イ)のように後閉まり扉(D2)によって押し倒され、その感知ユニットケース(16)の内部へほぼ全体的に没入(退避)することとなる。
【0081】
更に、上記先閉まり扉(D1)と後閉まり扉(D2)とが何れも対応位置する受け止め作動ユニット(A1)(A2)の回動アーム(47)によって、各々受け止められた
図51の状態から、その先閉まり扉(D1)が
図52のように閉鎖されると、上記回動アーム(47)の回動に連れて、そのアーム作動駒(49)の回動凸子(53)と凸子受け入れ凹溝(68)を介して作用的な枢支連結状態にある上記スライドバー(B2)(B3)が、
図52の矢印(Z)で示す如く、上記閉扉始動感知ユニット(S)から離れる方向(右方向)へスライドし、延いてはその感知ユニット(S)における蔓巻きバネ(24)の弾圧付勢力を受けているロックアーム(20)のスライドバー用係止爪(22)が、
図55(ロ)の拡大図から明白なように、そのスライドバー(B1)の一端部を受け止めることとなる。
【0082】
このようなスライドバー(B1)の受け止めロック状態は、引き続き後閉まり扉(D2)を
図52から
図53のように閉鎖した時でも、全く同様に維持されるのである。その結果、先閉まり扉(D1)と後閉まり扉(D2)とが
図53の閉鎖状態から
図49のような当初の状態へ開放されても、その両扉(D1)(D2)の受け止め作動ユニット(A1)(A2)における回動アーム(47)がその作動ユニットケース(43)から前方へ張り出すおそれはなく、その内部への没入(退避)状態に保たれる。
【0083】
上記閉扉始動感知ユニット(S)の回動パイロットアーム(31)だけが、その後閉まり扉(D2)の開放に連れて
図55(ハ)(ニ)のように、感知ユニットケース(16)から自づと前方へ張り出し、
図54(イ)のような当初の状態に復帰するのである。そのため、閉扉始動感知ユニット(S)が小型品であることとも相俟って、両扉(D1)(D2)の開放時における出入り口の意匠性を阻害したり、上記回動アーム(47)が他物との衝突によって破損したりするおそれはない。
【0084】
図1〜55に基いて説明した上記実施形態の場合、閉扉始動感知ユニット(S)を後閉まり扉(D2)のそれとして、扉開口上枠(10)の条溝(11)内における後閉まり扉(D2)の基端部と、ドアークローザー(14)のリンクアーム取付金具(15)との狭小な相互間隙へ取り付け固定しているが、その上記回動パイロットアーム(31)における押し倒される方向への回動に連れて、その回動作用がスライドバー(B)の左右方向(幅方向)に沿う直線的なスライド運動(閉扉始動感知ユニットの存在方向へスライドする運動)に変換され、先閉まり扉用受け止め作動ユニット(A1)並びに後閉まり扉用受け止め作動ユニット(A2)の両回動アーム(47)が何れも前方へ張り出して、その先閉まり扉(D1)並びに後閉まり扉(D2)を各々受け止めることができる状態になるならば、
図1とほぼ対応する
図56の変形実施形態に示す如く、上記閉扉始動感知ユニット(S)を先閉まり扉(D1)のそれとして、同じく扉開口上枠(10)の条溝(11)内における先閉まり扉(D1)の基端部と、ドアークローザー(14)のリンクアーム取付金具(15)との狭小な相互間隙へやはり収納状態に取り付け固定して、その回動パイロットアーム(31)が先閉まり扉(D1)の基端木口面によって前方から押し倒されるように関係設定しても良い。
【0085】
又、
図1〜55の上記基本実施形態と
図56の変形実施形態では、先閉まり扉(D1)の受け止め作動ユニット(A1)と後閉まり扉(D2)の受け止め作動ユニット(A2)とを並列設置しているが、その両扉(D1)(D2)の閉扉順位が文字通りに正しく制御されるならば、
図49〜53と対応する
図57〜59の別な変形実施形態に示す如く、両扉(D1)(D2)の受け止め作動ユニット(A)を1個だけとして、その1本の長い回動アーム(47)を回動アーム支軸(48)により、両扉(D1)(D2)のほぼ召し合わせ線(Y−Y)上へ回動自在に枢着し、その回動アーム(47)の先端部をなすクッションローラー(54)により、後閉まり扉(D2)を受け止めて、先閉まり扉(D1)の閉鎖を先行させると共に、その先閉まり扉(D1)の閉鎖により上記回動アーム(47)を押し倒して、後閉まり扉(D2)も閉鎖させる構成を採用しても良い。
【0086】
このような両扉(D1)(D2)を言わば一挙同時に受け止めることができる1個の作動ユニット(A)であっても、その他の構成が
図1〜55や
図56に説示したそれと実質的に同一として、その1個の作動ユニット(A)と後閉まり扉(D2)又は先閉まり扉(D1)の閉扉始動感知ユニット(S)とが、比較的短いスライドバー(B)を介して直線状態に連動連結されておれば、両扉(D1)(D2)の開放時に回動アーム(47)が作動ユニットケース(43)から前方へ張り出さず、その内部への没入(退避)状態に保たれるため、
図1〜56の上記実施形態と同等の作用効果を達成することができる。
【0087】
その場合、1個の作動ユニット(A)としては上記回動角度調整駒(ナット)(58)や回動角度調整用皿ビス(59)、圧縮コイルバネ(61)なども具備した後閉まり扉用受け止め作動ユニット(A2)と同じ構成を採用することにより、その回動アーム(47)が作動ユニットケース(43)から前方へ張り出す設定角度を、大きく又は小さく調整セットできるように定めることが望ましい。
【0088】
尚、
図56の変形実施形態と
図57〜59の別な変形実施形態におけるその他の構成や作用は、
図1〜55の上記基本実施形態と実質的に同一であるため、その
図56〜59に
図1〜55との同一符号を記入するにとどめて、その詳細な説明を省略する。